(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104287
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】二次電池保護集積回路、バッテリ装置、システム及びシステムのバッテリ装置認証方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240726BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214549
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2023008397
(32)【優先日】2023-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】竹下 順司
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053AA09
5G053EA09
5G053EC03
5G053FA06
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB02
5G503DA07
5G503FA17
5G503GA20
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】バッテリ装置の認証に使用する認証コードの解読が困難な認証手法を低コストで実現する。
【解決手段】二次電池保護集積回路は、二次電池の充放電経路に設けられるトランジスタの動作を制御することで、前記二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、第1抵抗を介して第1電圧線に接続される認証端子に一端が接続される第2抵抗と、前記第2抵抗の他端を第2電圧線に接続する第1スイッチと、前記認証端子の電圧が閾値電圧を超えてから第1時間以上経過したときに認証要求を検出し、前記認証要求に対する応答として、前記第1スイッチを第2時間オンすることで、前記閾値電圧を超えない値に前記認証端子の電圧を設定する制御回路と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充放電経路に設けられるトランジスタの動作を制御することで、前記二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
第1抵抗を介して第1電圧線に接続される認証端子に一端が接続される第2抵抗と、
前記第2抵抗の他端を第2電圧線に接続する第1スイッチと、
前記認証端子の電圧が閾値電圧を超えてから第1時間以上経過したときに認証要求を検出し、前記認証要求に対する応答として、前記第1スイッチを第2時間オンすることで、前記閾値電圧を超えない値に前記認証端子の電圧を設定する制御回路と、を有する二次電池保護集積回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記認証端子の電圧が閾値電圧を超えてから前記第1時間より長い第3時間が経過したとき、前記第1スイッチを第2時間オンする、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項3】
前記応答時の前記認証端子の電圧は、前記第1スイッチのオンにより前記第1電圧線と前記第2電圧線との間に前記認証端子を介して直列に接続される前記第1抵抗及び前記第2抵抗による分圧により、前記閾値電圧を超えない値に設定される、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項4】
前記閾値電圧を超える値に前記認証端子の電圧を設定するための電流が前記認証要求の検出後も外部装置との間で流れる前記認証端子の前記応答時の電圧は、前記第1スイッチのオンにより前記第2抵抗を介して前記認証端子と前記第2電圧線との間に流れる電流と、前記第1抵抗を介して前記認証端子と前記第1電圧線との間に流れる電流と、前記認証端子と前記外部装置との間で流れる電流とにより、前記閾値電圧を超えない値に設定される、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記認証要求が検出されなくなるまで、前記認証要求の検出と前記応答の出力とを前記第1時間及び前記第2時間の和を周期として繰り返し実施する、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項6】
前記認証要求の検出回数をカウントするカウンタを有し、
前記制御回路は、前記カウンタが予め設定された回数をカウントするまで、前記認証要求の検出と、前記認証端子の電圧の前記閾値電圧を超えない値への設定とを繰り返す、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項7】
前記認証端子は、前記二次電池保護集積回路の制御に使用される制御端子と兼用され、
前記制御回路は、前記認証要求の検出と前記応答の出力とを実施しない期間に、前記制御端子に現れる制御信号又は制御電圧に応じて、前記二次電池保護集積回路の動作を制御する、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項8】
前記制御端子は、サーミスタである前記第1抵抗の抵抗値に応じて前記認証端子に現れる電圧値に応じて温度が検出される温度検出端子であり、
前記制御回路は、前記温度検出端子の電圧値で示される温度に応じて前記トランジスタの動作を制御する、請求項7に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項9】
前記充放電経路に流れる前記二次電池の充電電流の大きさを判定する電流判定回路を有し、
前記制御回路は、前記電流判定回路が判定した前記充電電流の大きさに応じて前記第3時間及び前記第2時間を設定する、請求項2に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項10】
前記制御回路は、
最初の前記認証要求を検出した場合、前記第3時間及び前記第2時間を初期値に設定し、
2番目の前記認証要求を検出した場合、前記充電電流の大きさに応じて前記第3時間及び前記第2時間を設定する、請求項9に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項11】
前記充電電流の大きさに応じて変化する電圧を受ける電流検出端子を有し、
前記電流判定回路は、
前記電流検出端子で受ける電圧に応じて基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記基準電圧を複数の抵抗で分圧して複数の判定電圧を生成する分圧回路と、を含む判定電圧生成回路と、
前記複数の判定電圧を電圧が固定の固定電圧とそれぞれ比較する複数の比較器を含み、前記複数の比較器から前記充電電流の大きさを示す複数の比較結果信号を出力する電圧比較回路と、を有し、
前記制御回路は、2番目の前記認証要求を検出した場合、前記複数の比較結果信号の論理値が示す前記充電電流の大きさに応じて前記第3時間及び前記第2時間を設定する、請求項10に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項12】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の二次電池保護集積回路と、前記二次電池と、前記トランジスタと、を有するバッテリ装置。
【請求項13】
請求項12に記載のバッテリ装置と、
前記バッテリ装置に接続され、前記二次電池からの電力を受けて動作する負荷と、前記バッテリ装置が正規品であるか否かを検出する認証制御部と、を有する電子機器と、を有し、
前記認証制御部は、前記認証端子を前記第1時間以上、前記閾値電圧を超える電圧に設定する制御電圧を前記認証要求として出力し、前記認証要求の出力後、前記認証端子が前記閾値電圧を超えない電圧に設定されることを前記応答として検出した場合、前記バッテリ装置が正規品であることを検出する、システム。
【請求項14】
前記認証制御部は、さらに、前記認証端子が前記第2時間、前記閾値電圧を超えない電圧に維持されることを前記応答として検出した場合、前記バッテリ装置が正規品であることを検出する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の二次電池保護集積回路と、前記二次電池と、前記トランジスタと、を有するバッテリ装置。
【請求項16】
請求項15に記載のバッテリ装置と、
前記バッテリ装置に接続され、前記二次電池からの電力を受けて動作する負荷と、前記バッテリ装置が正規品であるか否かを検出する認証制御部と、を有する電子機器と、を有し、
前記認証制御部は、
最初の前記認証要求を前記バッテリ装置に出力し、最初の前記認証要求に応答して、前記第3時間及び前記第2時間のそれぞれが前記最初の認証要求用の期待値と一致することを検出した場合、前記充放電経路を介して大きさが異なる複数の充電電流のいずれかである認証用充電電流を前記二次電池に供給し、2番目の前記認証要求を前記バッテリ装置に出力し、
2番目の前記認証要求に応答して、前記第3時間及び前記第2時間のそれぞれが前記認証用充電電流に対応する期待値と一致することを検出した場合、前記バッテリ装置が正規品であることを検出する、システム。
【請求項17】
前記制御回路は、前記充電電流の大きさに応じて、前記第3時間及び前記第2時間と、前記第2電圧線の電圧を設定し、
前記認証制御部は、
2番目の前記認証要求に応答して、前記第3時間及び前記第2時間のそれぞれが前記認証用充電電流に対応する期待値と一致し、かつ、前記認証端子の電圧が前記認証用充電電流に対応する前記閾値電圧より低いことを検出した場合、前記バッテリ装置が正規品であることを検出する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の二次電池保護集積回路と、前記二次電池と、前記トランジスタと、を有するバッテリ装置と、
前記バッテリ装置に接続され、前記二次電池からの電力を受けて動作する負荷と、前記バッテリ装置が正規品であるか否かを検出する認証制御部と、を有する電子機器と、を有するシステムのバッテリ装置認証方法であって、
前記認証制御部が、
前記認証端子を前記第1時間以上、前記閾値電圧を超える電圧に設定する制御電圧を前記認証要求として出力し、
前記認証要求の出力後、前記認証端子が前記閾値電圧を超えない電圧に設定されることを前記応答として検出した場合、前記バッテリ装置が正規品であることを検出する、システムのバッテリ装置認証方法。
【請求項19】
請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の二次電池保護集積回路と、前記二次電池と、前記トランジスタと、を有するバッテリ装置と、
前記バッテリ装置に接続され、前記二次電池からの電力を受けて動作する負荷と、前記バッテリ装置が正規品であるか否かを検出する認証制御部と、を有する電子機器と、を有するシステムのバッテリ装置認証方法であって、
前記認証制御部が、
最初の前記認証要求を前記バッテリ装置に出力し、
最初の前記認証要求に応答して、前記第3時間及び前記第2時間のそれぞれが前記最初の認証要求用の期待値と一致することを検出した場合、前記充放電経路を介して大きさが異なる複数の充電電流のいずれかである認証用充電電流を前記二次電池に供給し、
2番目の前記認証要求を前記バッテリ装置に出力し、
2番目の前記認証要求に応答して、前記第3時間及び前記第2時間のそれぞれが前記認証用充電電流に対応する期待値と一致することを検出した場合、前記バッテリ装置が正規品であることを検出する、システムのバッテリ装置認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池保護集積回路、バッテリ装置、システム及びシステムのバッテリ装置認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スマートフォン、ゲーム機等の携帯型の電子機器は、電子機器に搭載される電池パック等のバッテリ装置からの電力を受けて動作する。この種の電子機器では、正規のバッテリ装置とともに正規でないバッテリ装置が流通する場合がある。正規でないバッテリ装置は、安価であるが安全性及び信頼性が正規品に比べて低いため、電子機器に搭載されて使用されることを避ける必要がある。例えば、電子機器にバッテリ装置が接続されたときに、バッテリ装置に搭載された認証回路を使用して電子機器とバッテリ装置との間で認証処理を実施することで、正規品以外のバッテリ装置の使用を制限する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ハッカー装置など処理能力の高い装置が認証コードの解読に使用されるようになってきており、認証コードが解読されるのを避けるため、より高度な認証方式が使用されるようになってきている。しかしながら、高度な認証方式を使用する場合、電子機器及び電池パックに搭載する認証回路の回路規模が大きくなり、コストが上昇してしまう。
【0005】
開示の技術は、バッテリ装置の認証に使用する認証コードの解読が困難な認証手法を低コストで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の二次電池保護集積回路は、二次電池の充放電経路に設けられるトランジスタの動作を制御することで、前記二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、第1抵抗を介して第1電圧線に接続される認証端子に一端が接続される第2抵抗と、前記第2抵抗の他端を第2電圧線に接続する第1スイッチと、前記認証端子の電圧が閾値電圧を超えてから第1時間以上経過したときに認証要求を検出し、前記認証要求に対する応答として、前記第1スイッチを第2時間オンすることで、前記閾値電圧を超えない値に前記認証端子の電圧を設定する制御回路と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
バッテリ装置の認証に使用する認証コードの解読が困難な認証手法を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
【
図2】
図1のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すタイミング図である。
【
図3】
図1のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すフロー図である。
【
図4】第2の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
【
図5】
図4のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すタイミング図である。
【
図6】
図4のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すフロー図である。
【
図7】第3の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
【
図8】
図7のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すタイミング図である。
【
図9】
図7のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すフロー図である。
【
図10】第4の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
【
図11】
図10のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すタイミング図である。
【
図12】
図10のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すフロー図である。
【
図13】第5の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
【
図14】
図13の電流判定回路及び制御回路の一例を示す回路ブロック図である。
【
図15】
図13のバッテリ装置の認証動作時における充電電流と設定されるパラメータの例を示す説明図である。
【
図16】
図14の電流判定回路の動作の一例を示す説明図である。
【
図17】
図13のシステムによるバッテリ装置の認証動作の一例を示すフロー図である。
【
図19】充電中の任意のタイミングで認証動作を実施する一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態の説明を行う。以下では、信号が伝達される信号線、端子及びノードには、信号名と同じ符号が使用される場合がある。電圧が伝達される電圧線、端子、ノード及び電圧値には、電圧名と同じ符号が使用される場合がある。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
図1に示すシステム100は、バッテリ装置200及び電子機器300を有する。例えば、電子機器300は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、イヤホンなどのポータブル機器である。電子機器300は、バッテリ装置200に接続される外部装置の一例である。なお、電子機器300は、バッテリ装置200が接続される機器であれば、ポータブル機器に限定されない。
【0011】
バッテリ装置200は、例えば、電子機器300内に着脱自在に収納される電池パックであり、電子機器300に接続された状態で電子機器300に電力を供給可能である。バッテリ装置200と電子機器300とは、
図1に丸印で示す正側の電源端子P+、負側の電源端子P-及び認証端子ID等を介して相互に接続される。なお、システム100は、バッテリ装置200と電子機器300とを接続する図示しない他の端子を有してもよい。また、以下で説明するバッテリ装置200の認証動作は、認証端子IDの代わりに温度検出端子等の他の端子を利用して実施されてもよい。この場合、温度検出端子等の他の端子は、本来の端子機能に加えて、認証端子としても機能する兼用端子である。例えば、電源端子P+、P-は、二次電池210を充電するときに、電子機器300のUSB(Universal Serial Bus)ポート等を介して充電器又は電源アダプタ等に接続される。
【0012】
バッテリ装置200は、二次電池210、保護IC(Integrated Circuit)220、トランジスタTR1、TR2、抵抗R21、R22、R23、R24及びコンデンサC21、C22を有する。保護IC220は、二次電池210を保護する二次電池保護集積回路の一例である。抵抗R24は、第1抵抗の一例である。
【0013】
二次電池210は、充電が可能なリチウムイオン電池又はリチウムポリマ電池などである。二次電池210の正極(+)は、正側の電流経路(充放電経路)である電源線201(例えば、電源線VDD)を介して電源端子P+に接続される。二次電池210の負極(-)は、直列に接続された抵抗R22及びトランジスタTR2、TR1を介して負側の電流経路(充放電経路)である接地線202に接続される。接地線202は、第1電圧線の一例であり、電源端子P-に接続される。
【0014】
保護IC220は、コンパレータ221、検出/遅延タイマ222、カウンタ223、制御回路224、スイッチSW21及び抵抗R210を有する。なお、コンパレータ221及び検出/遅延タイマ222は、制御回路224に含まれていてもよい。抵抗R210の一端は、認証端子ID2に接続され、抵抗R210の他端は、スイッチSW21に接続される。抵抗R210は、第2抵抗の一例である。スイッチSW21は、第1スイッチの一例である。
【0015】
保護IC220は、電源端子VDD、接地端子VSS、電流検出端子CS、放電制御端子DOUT、充電制御端子COUT、監視端子VM及び認証端子ID2を有する。なお、例えば、抵抗R24がサーミスタの場合、認証端子ID2、IDは、温度検出端子と兼用されてもよい。この場合、制御回路224は、保護IC220が認証要求REQの検出と応答RPLYの出力とを実施しない期間に、認証端子IDの電圧値で示される温度に応じてトランジスタTR1、TR2の動作を制御してもよい。認証端子IDの電圧値で示される温度は、保護IC220により検出されてもよく、PMIC310により検出されてもよい。
【0016】
また、認証端子ID2、IDは、PMIC310による保護IC220の制御に使用される制御端子と兼用されてもよい。この場合、制御回路224は、保護IC220が認証要求REQの検出と応答RPLYの出力とを実施しない期間に、認証端子ID2に現れる制御信号又は制御電圧に応じて、保護IC220の動作を制御してもよい。以下では、典型的な例として、バッテリ装置200の認証動作を専用の認証端子ID2、IDを使用して実施する例が説明される。
【0017】
保護IC220の電源端子VDDは、抵抗R21を介して電源線201(VDD)に接続され、コンデンサC21を介して接地線VSSに接続される。保護IC220の接地端子VSSは、接地線VSSに接続される。保護IC220は、二次電池210からの電源電圧VDD又は電子機器300に接続された充電器等からの電源電圧VDDを電源端子VDDで受けることで動作する。
【0018】
電流検出端子CSは、抵抗R22とトランジスタTR2のソースとを接続する接続ノードND1に接続される。また、電流検出端子CSは、コンデンサC22を介して接地端子VSSに接続される。例えば、保護IC220は、電流検出端子CSを介して抵抗R22を流れる電流を検出することで、二次電池210に流れる充電過電流又は放電過電流を検出することができる。抵抗R22は、二次電池210に流れる電流を検出するセンス抵抗として機能する。
【0019】
監視端子VMは、抵抗R23を介して電源端子P-に接続される。例えば、保護IC220は、監視端子VMで受ける電源端子P-の電圧を監視することで、バッテリ装置200が電子機器300に接続されたことを検出することができる。認証端子ID2は、認証端子IDを介して電子機器300に接続される。また、認証端子ID2、IDは、抵抗R24を介して接地線202に接続される。
【0020】
コンパレータ221は、認証端子ID、ID2の電圧を閾値電圧V1と比較し、比較結果を検出/遅延タイマ222に出力する。検出/遅延タイマ222は、コンパレータ221による比較結果等に基づいて時間を計測し、計測した時間に応じて制御信号CNT21を生成する。スイッチSW21は、制御信号CNT21に基づいてオン又はオフされ、オン時に内部電源線VREGを抵抗R210の他端に接続する。スイッチSW21を介して抵抗R210の他端に接続される内部電源線VREGは、第1電圧線の一例である。例えば、内部電源線VREGの内部電源電圧VREGは、電源電圧VDDを使用して、保護IC220に内蔵される図示しないレギュレータにより生成されてもよい。内部電源線VREGは、第2電圧線の一例であり、内部電源電圧VREGは、ハイレベル電圧の一例である。
【0021】
検出/遅延タイマ222は、コンパレータ221により認証端子ID2の電圧が閾値電圧V1より高くなったことが検出され、閾値電圧V1より高い時間が時間t1以上継続した場合、認証要求REQを検出する。検出/遅延タイマ222は、認証端子ID2の電圧が時間t1以上の間、閾値電圧V1より高く維持された場合、時間t2を計測し、時間t2の経過に基づいて、スイッチSW21をオンする制御信号CNT21を出力する。
【0022】
また、検出/遅延タイマ222は、認証要求REQを検出する毎にカウンタ223をカウント動作させ、認証要求REQの検出回数をカウントする。検出/遅延タイマ222は、カウンタ223のカウント値が、予め設定された回数になったときに、
図2で説明するIDモードを解除する。
【0023】
なお、検出/遅延タイマ222は、認証要求REQを検出してから時間t2が経過するまでの間、スイッチSW21をオフする制御信号CNT21を出力する。認証端子ID2、IDが電子機器300により駆動されていない状態で、スイッチSW21がオフされている場合、認証端子ID2、IDは、接地線202に接続された抵抗R24により、接地電圧202に設定される。
【0024】
検出/遅延タイマ222は、スイッチSW21を時間t3の間、オンし、時間t3の経過に基づいて、スイッチSW21をオフする制御信号CNT21を出力する。検出/遅延タイマ222によるスイッチSW21のオフによりノードID2に設定される接地電圧202と、スイッチSW21のオンによりノードID2に設定される電圧と、時間t3とは、認証要求REQに対応する応答RPLYの一例である。
【0025】
認証端子ID2、IDが電子機器300により駆動されていない状態で、スイッチSW21がオンされた場合、認証端子ID2、IDは、内部電源電圧VREGを抵抗R210、R24で分圧した電圧に設定される。電子機器300は、内部電源電圧VREGを抵抗R210、R24で分圧した電圧を検出することで、電子機器300にバッテリ装置200が接続されたことを判定することができる。
【0026】
トランジスタTR1、TR2は、例えば、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、スイッチとして機能する。トランジスタTR1は、アノードがトランジスタTR1のソースに接続され、カソードがトランジスタTR1のドレインに接続された寄生ダイオードD1を有する。トランジスタTR2は、アノードがトランジスタTR2のソースに接続され、カソードがトランジスタTR2のドレインに接続された寄生ダイオードD2を有する。
【0027】
充電制御端子COUTは、トランジスタTR1のゲートに接続される。保護IC220は、トランジスタTR1のオン/オフを制御する充電制御信号COUTをトランジスタTR1のゲートに出力する。トランジスタTR1は、ハイレベルの充電制御信号COUTを受けている間にオンし、ロウレベルの充電制御信号COUTを受けている間にオフする。トランジスタTR1がオフしている期間、寄生ダイオードD1により電源端子P-側から二次電池210の負極(-)側に向かう放電経路がトランジスタTR1内に形成される。トランジスタTR1は、二次電池210への充電を制御する充電制御トランジスタとして機能する。
【0028】
放電制御端子DOUTは、トランジスタTR2のゲートに接続される。保護IC220は、トランジスタTR2のオン/オフを制御する放電制御信号DOUTをトランジスタTR2のゲートに出力する。トランジスタTR2は、ハイレベルの放電制御信号DOUTを受けている間にオンし、ロウレベルの放電制御信号DOUTを受けている間にオフする。トランジスタTR2がオフしている期間、寄生ダイオードD2により二次電池210の負極(-)側から電源端子P-側に向かう充電経路がトランジスタTR2内に形成される。トランジスタTR2は、二次電池210からの放電を制御する放電制御トランジスタとして機能する。
【0029】
例えば、保護IC220は、二次電池210に蓄積された電力を電子機器300で使用する通常モード中、又は、二次電池210を充電する充電モード中、トランジスタTR1、TR2をオンする。例えば、保護IC220は、二次電池210に蓄積された電力を電子機器300で使用しないスタンバイモード中、トランジスタTR2をオフする。なお、保護IC220は、充電モード中、トランジスタTR1をオンし、トランジスタTR2をオフしてもよい。
【0030】
保護IC220は、電源端子VDDに供給される電源電圧VDDを監視し、電源電圧VDDが過充電検出電圧よりも高いことを検出した場合、トランジスタTR1をオフすることで、二次電池210を過充電等の充電異常から保護する。また、保護IC220は、電源電圧VDDが過放電検出電圧よりも低いことを検出した場合、トランジスタTR2をオフすることで、二次電池210を過放電等の放電異常から保護する。
【0031】
電子機器300は、PMIC(Power Management IC)310、電子機器300の機能を実現する機能部320、トランジスタTR3、抵抗R300、及び、端子VBUS、D+、D-、GNDが設けられたUSBポートを有する。PMIC310は、電源端子P+に接続された電源線301、端子VBUS及び電源端子P-に接続された接地線302に接続される。
【0032】
PMIC310及び機能部320は、電源線301を介して二次電池210から供給される電源電圧VDD、又は、端子VBUSを介して充電器等から供給される電源電圧VDDを受けて動作する。機能部320は、二次電池210からの電力を受けて動作する負荷の一例である。トランジスタTR3は、Nチャネル型のMOSFETであり、ソース・ドレインの一方が電源線301に接続され、ソース・ドレインの他方がUSBポートの端子VBUSに接続される。
【0033】
PMIC310は、ADC(Analog-to-Digital Converter)311、バッファBUF、ドライバ312、スイッチSW31、抵抗R310及び端子BAT-ID、GPIO、GND、PROG、VBAT、OUT、VINを有する。端子GPIOは、汎用入出力端子である。
【0034】
端子VBATは、電源線301に接続され、二次電池210からの電力の供給を受ける。端子VINは、USBポートの端子VBUSに接続され、USBポートに接続される充電器又は電源アダプタ等からの電力の供給を受ける。端子OUTは、トランジスタTR3のゲートに接続される。端子PROGは、抵抗R300を介して接地線302に接続される。端子BAT-ID、GPIOは、認証端子IDに接続される。
【0035】
PMIC310は、端子VINの電圧に基づいて、USBポートに充電器等が接続されたことを検出した場合、端子OUTを介してドライバ312からトランジスタTR3のゲートにハイレベルを出力し、トランジスタTR3をオンする。PMIC310は、USBポートに充電器等が接続されていない場合、端子OUTを介してドライバ312からトランジスタTR3のゲートにロウレベルを出力し、トランジスタTR3をオフする。ドライバ312によりトランジスタTR3のオン抵抗を調整することにより、二次電池210に供給する充電電流量を調整することができ、二次電池210を急速充電、通常充電又は予備充電することができる。
【0036】
ADC311は、電源電圧VADCを使用して、汎用入出力端子GPIOで受ける認証端子IDの電圧をデジタル値に変換する。PMIC310は、認証期間中に、認証端子IDの電圧値に対応してADC311が出力するデジタル値と、認証端子IDの電圧値の変化タイミングとに基づいて、バッテリ装置200が正規品であるか否かの判定を実施する。
【0037】
バッファBUFは、イネーブル信号ENAで有効レベルを受けている間、入力でハイレベルを受けたとき、汎用入出力端子GPIOにハイレベルを出力する。バッファBUFは、イネーブル信号ENAで有効レベルを受けている間、入力でロウレベルを受けたとき、汎用入出力端子GPIOにロウレベルを出力する。バッファBUFは、イネーブル信号ENAで無効レベルを受けている間、出力を停止し、出力端子をハイインピーダンス状態に設定する。
【0038】
スイッチSW31及び抵抗R310は、電圧線VD1と端子BAT-IDとの間に直列に接続される。スイッチSW31は、制御信号CNT31の論理レベルに応じてオン又はオフされる。スイッチSW31がオンされている間、端子BAT-IDは、抵抗R310を介して電圧線VD1に接続される。
【0039】
例えば、抵抗R310及びバッテリ装置200の抵抗R24は、スイッチSW31がオンしている間、電圧線VD1と接地線202との間に認証端子IDを介して直列に接続される。PMIC310は、電子機器300に接続されたバッテリ装置200が正規品であるか否かを判定する認証期間に、スイッチSW31をオンし、イネーブル信号ENAを無効レベルに設定する。
【0040】
認証端子IDには、電圧線VD1の電圧VD1を抵抗R310、R24により分圧した電圧が生成される。ADC311は、認証端子IDに生成される、電圧VD1を分圧した電圧をデジタル値に変換する。PMIC310は、ADC311が生成したデジタル値を期待値と比較することで、正規のバッテリ装置200が接続されたか否かの認証(
図2の初期認証)を実施することができる。
【0041】
また、PMIC310は、認証期間にスイッチSW31をオフし、イネーブル信号ENAを有効レベルに設定し、認証端子IDを介してバッファBUFからバッテリ装置200にハイレベル電圧を所定の期間出力する。その後、ADC311は、バッテリ装置200の内部電源線VREGと接地線202との間に直列に接続された抵抗R210、R24による分圧により認証端子IDに生成される電圧をデジタル値に変換する。
【0042】
PMIC310は、ADC311が生成したデジタル値を期待値と比較することで、正規のバッテリ装置200が接続されたか否かの認証(
図2のIDモードでの認証)を実施することができる。PMIC310は、バッテリ装置200が正規品であるか否かを検出する認証制御部の一例である。
【0043】
なお、例えば、既に認証端子IDを有し、初期認証の機能を有するシステムを改良してシステム100を開発する場合、システム100に新たな端子を設けることなく、
図2に示す認証動作を実施することできる。この結果、例えば、バッテリ装置200が搭載される基板と、電子機器300が搭載される基板とを、改良前のシステムからそれぞれ流用することができ、システム100のコストの増加を抑えることができる。
【0044】
図2は、
図1のシステム100によるバッテリ装置200の認証動作の一例を示すタイミング図である。
図2に示す認証動作は、充電器等がUSBポートに接続されたことに基づいて開始される。なお、
図2に示す認証動作は、バッテリ装置200が電子機器300に接続されたときに実施され、又は、バッテリ装置200が電子機器300に接続されている間の任意のタイミングで実施されてもよい。
【0045】
PMIC310は、充電器等の接続に基づいて起動モードに遷移する。起動モードにおいて、PMIC310は、スイッチSW31を所定の期間オンし、例えば、閾値電圧V1より低いハイレベル電圧を端子BAT-IDから認証端子IDに出力する(
図2(a)、(b))。端子BAT-ID、認証端子ID及び汎用入出力端子GPIOには、電圧線VD1と接地線202との間に直列に接続された抵抗R310、R24により分圧された電圧V2が認証コードとして生成される(
図2(c))。ここで、抵抗R310、R24は、汎用入出力端子GPIOに期待値である電圧V2が生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。
【0046】
PMIC310は、認証端子IDに生成される電圧をADC311によりデジタル値に変換し、変換により得たデジタル値が電圧V2に対応するデジタル値と一致又はほぼ一致するか否かを判定することで、初期認証を実施する(
図2(d))。スイッチSW31は、所定の期間の経過後にオフされ、端子BAT-IDは、フローティング状態Hi-Zに設定される(
図2(e))。
【0047】
図2は、デジタル値が期待値と一致し、初期認証が成功する例を示す。PMIC310は、初期認証が成功した場合、認証動作を続行する。PMIC310は、デジタル値が期待値と一致せず、初期認証が失敗した場合、
図2に示す認証動作を途中で終了する。
【0048】
初期認証が成功した場合、PMIC310は、起動モードからIDモードに遷移し、イネーブル信号ENAを時間t1より長い時間、有効レベルであるハイレベルHに設定する。これにより、ハイレベル電圧がバッファBUFから汎用入出力端子GPIO及び認証端子IDを介して保護IC220に認証要求REQとして出力される(
図2(f)、(g))。認証端子IDを介して保護IC220に認証要求REQとして出力されるハイレベル電圧は、制御電圧の一例である。
【0049】
バッファBUFが出力するハイレベル電圧は、閾値電圧V1より高い電圧(すなわち、閾値電圧V1より高い側に超える電圧)を認証端子IDに生成させる電圧である。閾値電圧V1は、初期認証での電圧V2より高い。その後、PMIC310は、イネーブル信号ENAを無効レベルであるロウレベルLに設定し、バッファBUFの出力をフローティング状態Hi-Zに設定する(
図2(h))。
【0050】
保護IC220のコンパレータ221は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高くなったこと(すなわち、閾値電圧V1を高い側に超えたこと)を検出する。保護IC220の検出/遅延タイマ222は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高い時間が時間t1以上継続した場合、認証要求REQを検出する(
図2(i))。
【0051】
検出/遅延タイマ222は、時間t1の経過から時間t2後に、スイッチSW21を時間t3の間、オンする。これにより、SW21の出力(抵抗R210の一端)に内部電源電圧VREGが印加される(
図2(j))。時間t1は、第1時間の一例である。時間t3は、第2時間の一例である。時間t1+t2は、第3時間の一例である。
【0052】
認証端子ID及び汎用入出力端子GPIOには、バッテリ装置200の内部電源線VREGと接地線202との間に直列に接続された抵抗R210、R24により内部電源電圧VREGを分圧した電圧が認証コードとして生成される(
図2(k)、(l))。認証コードは、認証要求REQに対する応答RPLYとしてPMIC310の汎用入出力端子GPIOに伝達される。ここで、抵抗R210、R24は、認証端子ID及び汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1より低い電圧(すなわち、閾値電圧V1を高い側に超えない電圧)が生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。
【0053】
PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧をADC311によりデジタル値に変換する。PMIC310は、ADC311により生成されたデジタル値に基づいて、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1+t2の経過後、時間t3の間、閾値電圧V1より低いハイレベル電圧に維持されたか否かを判定することで、認証を実施する(
図2(m))。
【0054】
PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1+t2の経過後、時間t3の間、閾値電圧V1より低いハイレベル電圧に維持された場合、正規のバッテリ装置200が接続されたと判定する(認証成功)。PMIC310は、時間t1+t2、時間t3及び汎用入出力端子GPIOの電圧の1つ又は複数が、それぞれの期待値と一致しない場合、正規でないバッテリ装置200が接続されたと判定する(認証失敗)。
【0055】
なお、PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1+t2の経過後に閾値電圧V1より低いハイレベル電圧に一時的になった場合、時間t3の間に電圧が維持されてなくても正規のバッテリ装置200が接続されたと判定してもよい。
【0056】
図2は、時間t1+t2、t3及び汎用入出力端子GPIOの電圧が全て期待値と一致し、認証が成功する例を示す。PMIC310は、デジタル値が期待値と一致せず、認証が失敗した場合、
図2に示す認証動作を途中で終了する。
図2では、PMIC310は、認証が成功した場合、2回目の認証動作を実施する例が示される。しかしながら、初期認証後のIDモードでの認証は、1回のみ実施されてもよく、3回以上実施されてもよい。
【0057】
検出/遅延タイマ222は、認証要求REQを受ける毎にカウンタ223をカウントさせ、カウント値が期待値になるまで、認証コード(応答RPLY)をPMIC310に繰り返し出力する。例えば、カウンタ223は、起動モードにおいて"0"にリセットされ、認証要求REQを受ける毎に、"1"、"2"とカウントアップする。
【0058】
検出/遅延タイマ222は、カウンタ223のカウント値が期待値である"2"になったとき、スイッチSW21を時間t3の間オンした後、IDモードからチャージモードに遷移する。認証の回数が多いほど認証の信頼性を向上することができる。初期認証の後の認証が複数回実施される場合、PMIC310は、全ての認証が成功した場合のみ、認証の成功を判定する。なお、PMIC310には、IDモードにおいて認証要求REQを2回することが予め設定されている。
【0059】
PMIC310は、初期認証の結果及び2回の認証の結果に基づいて、電子機器300に接続されたバッテリ装置200が正規品であるか否かの判定を実施する(
図2(n))。そして、PMIC310は、バッテリ装置200が正規品であると判定した場合、トランジスタTR3をオンすることで、バッテリ装置200に充電器等を電気的に接続し、バッテリ装置200への充電を開始するチャージモードに移行する(
図2(o))。
【0060】
図3は、
図1のシステム100によるバッテリ装置200の認証動作の一例を示すフロー図である。すなわち、
図3は、システム100のバッテリ装置認証方法の一例を示す。なお、
図3では、説明の簡略化のため、
図2における初期認証後の認証が1回のみ実施される例が示される。
【0061】
図3に示すPMIC310の動作は、PMIC310のハードウェアにより実現されてもよく、PMIC310の機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。同様に、
図3に示す保護IC220の動作は、保護IC220のハードウェアにより実現されてもよく、保護IC220の機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。
【0062】
まず、ステップS310において、PMIC310は、スイッチSW31を所定の期間オンする。次に、ステップS320において、PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が期待値(電圧V2)であるか否かを判定する。PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が電圧V2である場合、初期認証の成功を判定し、ステップS330を実施する。PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が電圧V2でない場合、初期認証の失敗を判定し、ステップS380を実施する。
【0063】
ステップS330において、PMIC310は、バッファBUFからハイレベルを出力し、汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1より高い電圧を時間t1以上出力することで、保護IC220に認証要求REQを出力する。次に、ステップS340において、PMIC310は、汎用入出力端子GPIOのハイレベル電圧を検出した場合、汎用入出力端子GPIOの電圧、時間t1+t2及び時間t3を取得する。
【0064】
次に、ステップS350において、PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1より低いハイレベル電圧であるか否かを判定する。PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1より低いハイレベル電圧である場合、ステップS360を実施する。PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1より低いハイレベル電圧でない場合、認証の失敗を判定し、ステップS380を実施する。
【0065】
ステップS360において、PMIC310は、時間t1+t2及び時間t3のそれぞれが期待値と一致するか否かを判定する。PMIC310は、時間t1+t2及び時間t3のそれぞれが期待値と一致する場合、認証が成功したため、ステップS370を実施する。PMIC310は、時間t1+t2及び時間t3の一方又は両方が期待値と一致しない場合、認証が失敗したため、ステップS380を実施する。
【0066】
なお、ステップS350、S360は、1つの判定処理として実施されてもよい。また、初期認証後の認証が複数回実施される場合、ステップS360で認証が成功した場合、PMIC310は、最後の認証を除いてステップS330の処理に戻る。
【0067】
ステップS370において、PMIC310は、認証が成功したため、電子機器300に接続されたバッテリ装置200が正規品であると判定し、
図3に示す動作を終了する。ステップS380において、PMIC310は、認証が失敗したため、電子機器300に接続されたバッテリ装置200が模造品であると判定し、
図3に示す動作を終了する。
【0068】
一方、保護IC220は、ステップS210において、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高い時間が時間t1以上継続するまで待つ。保護IC220は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高い時間が時間t1以上継続した場合、ステップS220を実施する。ステップS220において、保護IC220は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高くなってから時間t1+t2後に、スイッチSW21を時間t3の間オンし、
図3に示す動作を終了する。
【0069】
以上、この実施形態では、保護IC220は、認証端子IDを介してPMIC310から認証要求REQを受けた場合、認証要求REQの応答RPLYとして認証端子IDの電圧を閾値電圧V1より低いハイレベル電圧に設定する。このため、PMIC310は、認証要求REQの出力後、認証端子IDの電圧を閾値電圧V1と比較することで、バッテリ装置200が正規品であるか否かを判定することができる。
【0070】
認証コードをデジタル値でなくアナログ値(電圧値)で保護IC220からPMIC310に出力するため、例えば、ハッカー等の悪意のある第三者がデジタル値を解析する手法を使用する場合にも、認証コードが解読されることを抑止することができる。すなわち、アナログ値を認証コードとすることで、認証コードの秘匿性を高めることができる。
【0071】
デジタル値による複雑な認証コードを使用しないため、認証コードを生成する保護IC220の回路規模を増大することなく、秘匿性の高い認証コードを生成することができる。また、PMIC310の回路規模を増大することなく、認証コードに基づいてバッテリ装置200が正規品であるか否かを判定することができる。この結果、認証コードの解読が困難な認証手法を低コストで実現することができる。
【0072】
閾値電圧V1をより低いハイレベル電圧を認証コードにするだけでなく、時間t1+t2、t3を認証コードとして使用することで、さらに秘匿性の高い認証コードを生成することができ、認証コードの解読を困難にすることができる。
【0073】
既に認証端子IDを有し、初期認証の機能を有するシステムを改良してシステム100を開発する場合、新たな端子を設けることなく、
図2に示す認証動作を実施することが可能になる。この結果、例えば、バッテリ装置200が搭載される基板と、電子機器300が搭載される基板とを、改良前のシステムからそれぞれ流用することができ、システム100のコストの増加を抑えることができる。そして、保護IC220及びPMIC310の小規模な回路変更で、秘匿性の高い認証コードを用いた正規品の判定を実施することができる。
【0074】
検出/遅延タイマ222は、カウンタ223を使用することで、PMIC310から出力される所定回数の認証要求REQに対する応答RPLYをPMIC310に出力することができる。これにより、PMIC310と保護IC220との間で認証を複数回実施することができ、認証の回数を増やすほど、認証の信頼性を向上することができる。
【0075】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4に示すシステム100Aは、バッテリ装置200A及び電子機器300Aを有する。
図1と同様に、電子機器300Aは、携帯電話、スマートフォン、タブレット、イヤホンなどのポータブル機器である。電子機器300Aは、バッテリ装置200Aに接続される外部装置の一例である。
【0076】
バッテリ装置200Aは、
図1の保護IC220の代わりに保護IC220Aを有することを除き、
図1のバッテリ装置200と同様の構成及び機能を有する。電子機器300Aは、
図1のPMIC310の代わりにPMIC310Aを有することを除き、
図1のPMIC310と同様の構成及び機能を有する。
【0077】
保護IC220Aは、
図1の検出/遅延タイマ222、スイッチSW21及び抵抗R210の代わりに、検出/遅延タイマ222A、スイッチSW22及び抵抗R220を有することを除き、
図1の保護IC220と同様の構成及び機能を有する。
図1と同様に、保護IC220Aは、認証端子ID2を介してPMIC310Aから認証要求REQを受け、認証端子ID2を介してPMIC310Aに応答RPLYを出力する。
【0078】
なお、第1の実施形態と同様に、認証端子ID2、IDは、温度検出端子等の他の制御端子と兼用されてもよい。例えば、抵抗R24は、サーミスタでもよい。以下では、典型的な例として、バッテリ装置200Aの認証動作を専用の認証端子ID2、IDを使用して実施する例が説明される。
【0079】
検出/遅延タイマ222Aは、コンパレータ221による比較結果等に基づいて時間を計測し、計測した時間に応じて制御信号CNT22を生成する。抵抗R220及びスイッチSW22は、認証端子ID2と監視端子VMとの間に直列に接続される。抵抗R220は、第2抵抗の一例である。スイッチSW22は、制御信号CNT22に基づいてオン又はオフされ、認証端子ID、ID2を抵抗R220、監視端子VM及び抵抗R23を介して接地線202に接続する。接地線202は、第1電圧線及び第2電圧線の一例である。
【0080】
PMIC310Aは、電圧線VD2と汎用入出力端子GPIOとの間に直列に接続されたスイッチSW32及び抵抗R320が追加されることを除き、
図1のPMIC310と同様の構成及び機能を有する。PMIC310Aは、バッテリ装置200Aが正規品であるか否かを検出する認証制御部の一例である。
【0081】
図5は、
図4のシステム100Aによるバッテリ装置200Aの認証動作の一例を示すタイミング図である。
図2と同様の動作については、詳細な説明は省略する。
図5に示す認証動作は、
図2と同様に、充電器等がUSBポートに接続されたことに基づいて開始される。なお、
図5に示す認証動作は、バッテリ装置200Aが電子機器300Aに接続されたときに実施され、又は、バッテリ装置200Aが電子機器300Aに接続されている間の任意のタイミングで実施されてもよい。起動モードでの動作は、
図2と同様である。
図5は、起動モードでの初期認証が成功する例を示す。
【0082】
初期認証が成功した場合、PMIC310Aは、IDモードの期間、スイッチSW32をオンし続ける(
図5(a))。スイッチSW32のオンにより、抵抗R320、R24が電圧線VD2と接地線202との間に直列に接続される。バッテリ装置200Aにより生成される電圧を加味しない場合、スイッチSW32がオンしている間、抵抗R320の出力ノード(汎用入出力端子GPIO)には、電圧VD2を抵抗R320、R24により分圧した、閾値電圧V1より高い電圧が生成され続ける(
図5(b))。閾値電圧V1は、初期認証での電圧V2より高い。
【0083】
そして、閾値電圧V1より高いハイレベル電圧が、認証端子IDを介してPMIC310Aから保護IC220Aに認証要求REQとして出力される(
図5(c))。ここで、抵抗R320、R24は、電圧VD2に対応して汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1より高い電圧が生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。
【0084】
保護IC220Aのコンパレータ221は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高くなったこと(すなわち、閾値電圧V1を高い側に超えたこと)を検出する(
図5(d))。保護IC220Aの検出/遅延タイマ222Aは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高い時間が時間t1になった場合、認証要求REQを検出する。検出/遅延タイマ222Aは、認証要求REQの検出に基づいて、時間t1の経過から時間t2の間、スイッチSW22をオンする(
図5(e))。時間t1は、第1時間の一例であり、時間t2は、第2時間の一例である。
【0085】
スイッチSW22のオンにより、認証端子ID2、IDは、抵抗R220、スイッチSW22、監視端子VM及び抵抗R23を介して接地線202に接続される。これにより、PMIC310Aから認証端子IDに流れ込む電流は、抵抗R24を介した経路だけでなく、抵抗R220、R23を介した経路により接地線202に流れる。すなわち、認証端子IDと接地線202との間の抵抗値は、抵抗R24と、抵抗R220、R23とによる並列接続により低下し、認証端子IDの電圧は低下する(
図5(f)、(g))。
【0086】
抵抗R320、R24、R220、R23は、スイッチSW22がオンして電圧VD2が供給されるときに、認証端子ID、ID2及び汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1より低いハイレベル電圧(認証コード)が生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。換言すれば、応答RPLY時の認証端子ID、ID2の電圧は、抵抗R220、R23と抵抗R24とをそれぞれ介して接地線202に流れる電流と、PMIC310から認証端子IDに流れ込む電流とにより、閾値電圧V1を高い側に超えない値に設定される。
【0087】
PMIC310Aは、汎用入出力端子GPIOを介して認証端子IDの電圧を受け、ADC311によりデジタル値に変換する。PMIC310Aは、変換により得たデジタル値に基づいて、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1の経過後、時間t2の間、閾値電圧V1より低いハイレベル電圧になったか否かを判定することで、認証を実施する(
図5(h))。この後、保護IC220Aは、認証端子ID2の電圧が閾値電圧V1より低い間(認証要求REQが検出されなくなるまで)、認証要求REQの検出と応答RPLYの出力とを時間t1、t2の和を周期として繰り返し実施する。
【0088】
PMIC310Aは、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1の経過後、時間t2の間、閾値電圧V1より低いハイレベル電圧になった場合、正規のバッテリ装置200Aが接続されたと判定する(認証成功)。PMIC310Aは、時間t1、時間t2及び汎用入出力端子GPIOの電圧の1つ又は複数が、それぞれの期待値と一致しない場合、正規でないバッテリ装置200Aが接続されたと判定する(認証失敗)。
【0089】
なお、PMIC310Aは、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1の経過後に一時的に閾値電圧V1より低いハイレベル電圧になった場合、時間t2の間に電圧が維持されてなくても正規のバッテリ装置200Aが接続されたと判定してもよい。
【0090】
図5は、時間t1、t2及び汎用入出力端子GPIOの電圧が全て期待値と一致し、認証が成功する例を示す。PMIC310Aは、時間t1、t2及び汎用入出力端子GPIOの電圧の少なくとも1つが期待値と一致せず、認証が失敗した場合、
図5に示す認証動作を途中で終了する。
【0091】
図5では、PMIC310Aは、認証が成功した場合、2回目の認証動作及び3回目の認証動作を実施する例が示される。しかしながら、初期認証の後の認証は、1回のみ実施されてもよく、4回以上実施されてもよい。認証の回数が多いほど認証の信頼性を向上することができる。初期認証の後の認証が複数回実施される場合、PMIC310Aは、全ての認証が成功した場合のみ、認証の成功を判定する。
【0092】
PMIC310Aは、初期認証の結果及び3回の認証の結果に基づいて、電子機器300Aに接続されたバッテリ装置200Aが正規品であるか否かの判定を実施する(
図5(i))。そして、PMIC310Aは、バッテリ装置200Aが正規品であると判定した場合、トランジスタTR3をオンすることで、バッテリ装置200Aに充電器等を接続し、バッテリ装置200Aへの充電を開始するチャージモードに移行する(
図5(j))。
【0093】
図6は、
図4のシステム100Aによるバッテリ装置200Aの認証動作の一例を示すフロー図である。すなわち、
図6は、システム100Aのバッテリ装置認証方法の一例を示す。なお、
図6では、説明の簡略化のため、
図5における初期認証後の認証が1回のみ実施される例が示される。
【0094】
図3と同様の動作については、
図3と同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。PMIC310Aの動作では、
図3のステップS330、S340、S360の代わりにステップS330A、S340A、S360Aが実施される。保護IC220Aの動作では、
図2のステップS220の代わりにステップS220Aが実施される。
【0095】
図6に示すPMIC310Aの動作は、PMIC310Aのハードウェアにより実現されてもよく、PMIC310Aの機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。同様に、
図6に示す保護IC220Aの動作は、保護IC220Aのハードウェアにより実現されてもよく、保護IC220Aの機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。
【0096】
PMIC310Aは、初期認証が成功した場合、ステップS330Aを実施する。ステップS330Aにおいて、PMIC310Aは、IDモード中、スイッチSW32をオンすることで、保護IC220Aに認証要求REQを出力する。次に、ステップS340Aにおいて、PMIC310Aは、汎用入出力端子GPIOのハイレベル電圧を検出した場合、汎用入出力端子GPIOの電圧値、時間t1及び時間t2を取得する。
【0097】
次に、ステップS350において、PMIC310Aは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1より低いハイレベル電圧である場合、ステップS360Aを実施する。ステップS360Aにおいて、PMIC310Aは、時間t1及び時間t2のそれぞれが期待値と一致するか否かを判定する。なお、ステップS350、S360Aは、1つの判定処理として実施されてもよい。また、初期認証後の認証が複数回実施される場合、ステップS360Aで認証が成功した場合、PMIC310Aは、最後の認証を除いてステップS330Aの処理に戻る。
【0098】
PMIC310Aは、時間t1及び時間t2のそれぞれが期待値と一致する場合、認証が成功したため、ステップS370を実施する。PMIC310Aは、時間t1及び時間t2の一方又は両方が期待値と一致しない場合、認証が失敗したため、ステップS380を実施する。ステップS370、S380の動作は、
図3のステップS370、S380の動作と同様である。
【0099】
一方、保護IC220Aは、ステップS210において、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高い時間が時間t1継続した場合、ステップS220Aを実施する。ステップS220Aにおいて、保護IC220Aは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高くなってから時間t1後に、スイッチSW22を時間t2の間オンし、
図6に示す動作を終了する。
【0100】
以上、この実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、保護IC220Aは、認証要求REQを受けた場合、認証要求REQの応答RPLYとして認証端子IDの電圧を閾値電圧V1より低いハイレベル電圧に設定する。このため、PMIC310Aは、認証要求REQの出力後、認証端子IDの電圧を閾値電圧V1と比較することで、バッテリ装置200Aが正規品であるか否かを判定することができる。
【0101】
この際、認証動作において、PMIC310AのスイッチSW32がオンし続ける場合にも、保護IC220Aが認証端子IDから電流を引き抜く。これにより、認証要求REQの応答RPLYとして認証端子IDの電圧を閾値電圧V1より低いハイレベル電圧に設定することができる。このため、PMIC310Aは、認証要求REQの出力後、認証端子IDの電圧を閾値電圧V1と比較することで、バッテリ装置200Aが正規品であるか否かを判定することができる。
【0102】
認証コードをアナログ値(電圧値)で保護IC220AからPMIC310Aに出力するため、デジタル値を解析する手法により認証コードが解読されることを抑止することができ、認証コードの秘匿性を高めることができる。認証コードを生成する保護IC220Aの回路規模を増大することなく、秘匿性の高い認証コードを生成することができ、PMIC310Aの回路規模を増大することなく、認証コードに基づいてバッテリ装置200Aが正規品であるか否かを判定することができる。この結果、認証コードの解読が困難な認証手法を低コストで実現することができる。
【0103】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示すシステム100Bは、バッテリ装置200B及び電子機器300Bを有する。
図1と同様に、電子機器300Bは、携帯電話、スマートフォン、タブレット、イヤホンなどのポータブル機器である。電子機器300Bは、バッテリ装置200Bに接続される外部装置の一例である。
【0104】
バッテリ装置200Bは、
図1の保護IC220、トランジスタTR1、TR2及び抵抗R23、R24の代わりに、保護IC220B、トランジスタTR1B、TR2B及び抵抗R23B、R24Bを有する。バッテリ装置200Bのその他の構成及び機能は、
図1のバッテリ装置200の構成及び機能と同様である。電子機器300Bは、
図1のPMIC310の代わりにPMIC310Bを有することを除き、
図1の電子機器300と同様の構成及び機能を有する。
【0105】
保護IC220Bは、
図1の監視端子VMの代わりに監視端子VPを有し、スイッチSW21に内部電源線VREGBが接続されることを除き、
図1の保護IC220と同様の構成及び機能を有する。二次電池210の正極(+)は、直列に接続されたトランジスタTR2B、TR1Bを介して電源線201に接続される。充電制御端子COUT及び放電制御端子DOUTは、トランジスタTR1B、TR2Bのゲートにそれぞれ接続される。なお、二次電池210の負極(-)は、接地線VSS、202に直接接続される。
【0106】
監視端子VPは、抵抗R23Bを介して電源端子P+に接続される。例えば、保護IC220Bは、監視端子VPで受ける電源端子P+の電圧を監視することで、バッテリ装置200Bが電子機器300Bに接続されたことを検出することができる。認証端子ID2、IDは、抵抗R24Bを介して電源線201に接続される。抵抗R24Bは、第1抵抗の一例である。電源線201は、第1電圧線の一例である。
【0107】
なお、第1の実施形態と同様に、認証端子ID2、IDは、温度検出端子等の他の制御端子と兼用されてもよい。例えば、抵抗R24Bは、サーミスタでもよい。以下では、典型的な例として、バッテリ装置200Bの認証動作を専用の認証端子ID2、IDを使用して実施する例が説明される。
【0108】
コンパレータ221は、認証端子ID、ID2の電圧を閾値電圧V1Bと比較し、比較結果を検出/遅延タイマ222に出力する。例えば、閾値電圧V1Bは、
図1の閾値電圧V1と同じでもよく、閾値電圧V1より低くてもよい。スイッチSW21を介して抵抗R210の他端に接続される内部電源線VREGBは、第2電圧線の一例である。例えば、内部電源線VREGの内部電源電圧VREGBは、電源電圧VDDを使用して、保護IC220Bに内蔵される図示しないレギュレータにより生成されてもよい。
【0109】
検出/遅延タイマ222の機能は、
図1の検出/遅延タイマ222の機能と同様である。検出/遅延タイマ222は、コンパレータ221により認証端子ID2の電圧が閾値電圧V1Bより低くなったことが検出され、閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1以上継続した場合、認証要求REQを検出する。検出/遅延タイマ222は、認証端子ID2の電圧が時間t1以上の間、閾値電圧V1より低く維持された場合、時間t2を計測し、時間t2の経過に基づいて、スイッチSW21をオンする制御信号CNT21を出力する。
【0110】
なお、検出/遅延タイマ222は、認証要求REQを検出してから時間t2が経過するまで、スイッチSW21をオフする制御信号CNT21を出力する。認証端子ID2、IDが電子機器300Bにより駆動されていない状態で、スイッチSW21がオフされている場合、認証端子ID2、IDは、電源線201に接続された抵抗R24Bにより、電源電圧(例えば、電源電圧VDD)に設定される。
【0111】
検出/遅延タイマ222は、スイッチSW21を時間t3の間、オンし、時間t3の経過に基づいて、スイッチSW21をオフする制御信号CNT21を出力する。検出/遅延タイマ222によるスイッチSW21のオフによりノードID2に設定される電源線201の電源電圧と、スイッチSW21のオンによりノードID2に設定される電圧と、時間t3とは、認証要求REQに対応する応答RPLYの一例である。
【0112】
認証端子ID2、IDが電子機器300Bにより駆動されていない状態で、スイッチSW21がオンされた場合、認証端子ID2、IDは、電源線201の電源電圧と内部電源電圧VREGBとの電圧差を抵抗R24B、R210で分圧した電圧に設定される。電子機器300Bは、抵抗R210、R24Bで分圧した電圧を検出することで、電子機器300Bにバッテリ装置200Bが接続されたことを判定することができる。
【0113】
トランジスタTR1B、TR2Bは、例えば、Pチャネル型のMOSFETであり、スイッチとして機能する。トランジスタTR1Bは、アノードがトランジスタTR1Bのドレインに接続され、カソードがトランジスタTR1Bのソースに接続された寄生ダイオードD1Bを有する。トランジスタTR2Bは、アノードがトランジスタTR2Bのドレインに接続され、カソードがトランジスタTR2Bのソースに接続された寄生ダイオードD2Bを有する。
【0114】
トランジスタTR1Bは、ロウレベルの充電制御信号COUTを受けている間にオンし、ハイレベルの充電制御信号COUTを受けている間にオフする。トランジスタTR1Bがオフしている期間、寄生ダイオードD1Bにより二次電池210の正極(+)側から電源端子P+側に向かう放電経路がトランジスタTR1B内に形成される。トランジスタTR1Bは、二次電池210への充電を制御する充電制御トランジスタとして機能する。
【0115】
トランジスタTR2Bは、ロウレベルの放電制御信号DOUTを受けている間にオンし、ハイレベルの放電制御信号DOUTを受けている間にオフする。トランジスタTR2Bがオフしている期間、寄生ダイオードD2Bにより電源端子P+側から二次電池210の正極(+)側に向かう充電経路がトランジスタTR2B内に形成される。トランジスタTR2Bは、二次電池210からの放電を制御する放電制御トランジスタとして機能する。なお、トランジスタTR1B、TR2Bの代わりに
図1のトランジスタTR1、TR2(Nチャネル形MOSFET)が正側の電流経路に配置されてもよい。この場合、トランジスタTR1、TR2をオンさせる電圧として、トランジスタTR1、TR2のドレイン電圧に閾値電圧より高い電圧を加えた電圧(例えば、昇圧電圧)がトランジスタTR1、TR2のゲートに印加される。
【0116】
例えば、保護IC220Bは、二次電池210に蓄積された電力を電子機器300Bで使用する通常モード中、又は、二次電池210を充電する充電モード中、トランジスタTR1B、TR2Bをオンする。例えば、保護IC220Bは、二次電池210に蓄積された電力を電子機器300Bで使用しないスタンバイモード中、トランジスタTR2Bをオフする。なお、保護IC220Bは、充電モード中、トランジスタTR1Bをオンし、トランジスタTR2Bをオフしてもよい。
【0117】
PMIC310Bは、スイッチSW31が電圧線VD1Bに接続され、バッファBUFがロウレベル電圧を出力する機能を有することを除き、
図1のPMIC310と同様の構成及び機能を有する。例えば、電圧線VD1Bの電圧VD1Bは、接地電圧より高く、ADC311に供給される電源電圧VADC及び電源線201の電源電圧より低い。PMIC310Bは、バッテリ装置200Bが正規品であるか否かを検出する認証制御部の一例である。
【0118】
PMIC310Bは、バッテリ装置200Bが正規品であるか否かを検出する場合、スイッチSW31をオンし、認証端子ID、ID2の電圧を、電源線201の電圧と電圧VD1Bとの電圧差を抵抗R24B、R310で分圧した電圧に設定する(認証要求REQ)。
保護IC220Bは、認証端子ID2を介してPMIC310Bから認証要求REQを受けた場合、スイッチSW21をオンし、認証端子ID2、IDの電圧を閾値電圧V1Bより低い電圧に設定する(応答RPLY)。
【0119】
図8は、
図7のシステム100Bによるバッテリ装置200Bの認証動作の一例を示すタイミング図である。
図2と同様の動作については、詳細な説明は省略する。
図8に示す認証動作は、
図2と同様に、充電器等がUSBポートに接続されたことに基づいて開始される。
図8に示す各ノードの電圧波形は、ロウレベル側に変化するパルス状の波形を有する点で、
図2に示す各ノードの電圧波形と異なる。各ノードの電圧の変化タイミング及び時間t1、t2、t3は、
図2における各ノードの電圧の変化タイミング及び時間t1、t2、t3とそれぞれ同じである。
【0120】
起動モードにおいて、PMIC310Bは、スイッチSW31を所定の期間オンし、例えば、閾値電圧V1Bより高い電圧を端子BAT-IDから認証端子IDに出力する(
図8(a)、(b))。端子BAT-ID、認証端子ID及び汎用入出力端子GPIOには、電源線201と電圧線VD1Bとの間に直列に接続された抵抗R24B、R310により分圧された電圧V2Bが認証コードとして生成される(
図8(c))。ここで、抵抗R24B、R310は、汎用入出力端子GPIOに期待値である電圧V2Bが生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。
【0121】
PMIC310Bは、認証端子IDに生成される電圧をADC311によりデジタル値に変換し、変換により得たデジタル値が電圧V2Bに対応するデジタル値と一致又はほぼ一致するか否かを判定することで、初期認証を実施する(
図8(d))。スイッチSW31は、所定の期間の経過後にオフされ、端子BAT-IDは、フローティング状態Hi-Zに設定される(
図8(e))。
【0122】
図8は、デジタル値が期待値と一致し、初期認証が成功する例を示す。PMIC310Bは、初期認証が成功した場合、認証動作を続行する。PMIC310Bは、デジタル値が期待値と一致せず、初期認証が失敗した場合、
図8に示す認証動作を途中で終了する。
【0123】
初期認証が成功した場合、PMIC310Bは、起動モードからIDモードに遷移し、イネーブル信号ENAを時間t1より長い時間、有効レベルであるハイレベルHに設定する。これにより、ロウレベル電圧がバッファBUFから汎用入出力端子GPIO及び認証端子IDを介して保護IC220Bに認証要求REQとして出力される(
図8(f)、(g))。
【0124】
バッファBUFが出力するロウレベル電圧は、閾値電圧V1Bより低い電圧(すなわち、閾値電圧V1Bより低い側に超える電圧)を認証端子IDに生成させる電圧である。閾値電圧V1Bは、初期認証での電圧V2Bより低い。その後、PMIC310Bは、イネーブル信号ENAを無効レベルであるロウレベルLに設定し、バッファBUFの出力をフローティング状態Hi-Zに設定する(
図8(h))。
【0125】
保護IC220Bのコンパレータ221は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低くなったこと(すなわち、閾値電圧V1Bを低い側に超えたこと)を検出する。保護IC220Bの検出/遅延タイマ222は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1以上継続した場合、認証要求REQを検出する(
図8(i))。
【0126】
検出/遅延タイマ222は、時間t1の経過から時間t2後に、スイッチSW21を時間t3の間、オンする。これにより、SW21の出力(抵抗R210の一端)に内部電源電圧VREGBが印加される(
図8(j))。
【0127】
認証端子ID及び汎用入出力端子GPIOには、電源線201の電源電圧と内部電源電圧VREGBとの電圧差を抵抗R24B、R210で分圧した電圧が認証コードとして生成される(
図8(k)、(l))。認証コードは、認証要求REQに対する応答RPLYとしてPMIC310Bの汎用入出力端子GPIOに伝達される。ここで、抵抗R24B、R210は、認証端子ID及び汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1Bより高い電圧(すなわち、閾値電圧V1を低い側に超えない電圧)が生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。
【0128】
PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧をADC311によりデジタル値に変換する。PMIC310Bは、ADC311により生成されたデジタル値に基づいて、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1+t2の経過後、時間t3の間、閾値電圧V1Bより高い電圧に維持されたか否かを判定することで、認証を実施する(
図8(m))。
【0129】
PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1+t2の経過後、時間t3の間、閾値電圧V1Bより高い電圧に維持された場合、正規のバッテリ装置200Bが接続されたと判定する(認証成功)。PMIC310Bは、時間t1+t2、時間t3及び汎用入出力端子GPIOの電圧の1つ又は複数が、それぞれの期待値と一致しない場合、正規でないバッテリ装置200Bが接続されたと判定する(認証失敗)。
【0130】
なお、PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1+t2の経過後に閾値電圧V1Bより高い電圧に一時的になった場合、時間t3の間に電圧が維持されてなくても正規のバッテリ装置200Bが接続されたと判定してもよい。
【0131】
図8は、時間t1+t2、t3及び汎用入出力端子GPIOの電圧が全て期待値と一致し、認証が成功する例を示す。PMIC310Bは、デジタル値が期待値と一致せず、認証が失敗した場合、
図8に示す認証動作を途中で終了する。
図8では、PMIC310Bは、認証が成功した場合、2回目の認証動作を実施する例が示される。しかしながら、初期認証後のIDモードでの認証は、1回のみ実施されてもよく、3回以上実施されてもよい。
【0132】
検出/遅延タイマ222は、認証要求REQを受ける毎にカウンタ223をカウントさせ、カウント値が期待値になるまで、認証コード(応答RPLY)をPMIC310Bに繰り返し出力する。例えば、カウンタ223は、起動モードにおいて"0"にリセットされ、認証要求REQを受ける毎に、"1"、"2"とカウントアップする。
【0133】
検出/遅延タイマ222は、カウンタ223のカウント値が期待値である"2"になったとき、スイッチSW21を時間t3の間オンした後、IDモードからチャージモードに遷移する。初期認証の後の認証が複数回実施される場合、PMIC310Bは、全ての認証が成功した場合のみ、認証の成功を判定する。
【0134】
PMIC310Bは、初期認証の結果及び2回の認証の結果に基づいて、電子機器300Bに接続されたバッテリ装置200Bが正規品であるか否かの判定を実施する(
図8(n))。そして、PMIC310Bは、バッテリ装置200Bが正規品であると判定した場合、トランジスタTR3をオンすることで、バッテリ装置200Bに充電器等を電気的に接続し、バッテリ装置200Bへの充電を開始するチャージモードに移行する(
図8(o))。
【0135】
図9は、
図7のシステム100Bによるバッテリ装置200Bの認証動作の一例を示すフロー図である。すなわち、
図9は、システム100Bのバッテリ装置認証方法の一例を示す。なお、
図9では、説明の簡略化のため、
図8における初期認証後の認証が1回のみ実施される例が示される。
【0136】
図3と同様の動作については、
図3と同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。PMIC310Bの動作では、
図3のステップS320、S330、S350の代わりにステップS320B、S330B、S350Bが実施される。保護IC220Bの動作では、
図2のステップS210、S220の代わりにステップS210B、S220Bが実施される。
【0137】
図9に示すPMIC310Bの動作は、PMIC310Bのハードウェアにより実現されてもよく、PMIC310Bの機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。同様に、
図9に示す保護IC220Bの動作は、保護IC220Bのハードウェアにより実現されてもよく、保護IC220Bの機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。
【0138】
ステップS320Bにおいて、PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が期待値(電圧V2B)であるか否かを判定する。PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が電圧V2Bである場合、初期認証の成功を判定し、ステップS330Bを実施する。PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が電圧V2Bでない場合、初期認証の失敗を判定し、ステップS380を実施する。
【0139】
ステップS330Bにおいて、PMIC310Bは、バッファBUFからロウレベル電圧を出力し、汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1Bより低い電圧を時間t1以上出力することで、保護IC220Bに認証要求REQを出力する。
【0140】
ステップS350Bにおいて、PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1Bより高い電圧であるか否かを判定する。PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1Bより高い電圧である場合、ステップS360を実施する。PMIC310Bは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1Bより高い電圧でない場合、認証の失敗を判定し、ステップS380を実施する。
【0141】
一方、保護IC220Bは、ステップS210Bにおいて、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1以上継続するまで待つ。保護IC220Bは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1以上継続した場合、ステップS220Bを実施する。ステップS220Bにおいて、保護IC220Bは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低くなってから時間t1+t2後に、スイッチSW21を時間t3の間オンし、
図9に示す動作を終了する。
【0142】
以上、この実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、閾値電圧V1Bより高いハイレベル電圧を認証コードにするだけでなく、時間t1+t2、t3を認証コードとして使用することで、さらに秘匿性の高い認証コードを生成することができ、認証コードの解読を困難にすることができる。この結果、バッテリ装置200Bの認証に使用する認証コードの解読が困難な認証手法を低コストで実現することができる。
【0143】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
図4及び
図7と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図10に示すシステム100Cは、バッテリ装置200C及び電子機器300Cを有する。
図1と同様に、電子機器300Cは、携帯電話、スマートフォン、タブレット、イヤホンなどのポータブル機器である。電子機器300Cは、バッテリ装置200Cに接続される外部装置の一例である。
【0144】
バッテリ装置200Cは、
図7の保護IC220Bの代わりに保護IC220Cを有することを除き、
図7のバッテリ装置200Bと同様の構成及び機能を有する。電子機器300Cは、
図4のPMIC310Aの代わりにPMIC310Cを有することを除き、
図4の電子機器300Aと同様の構成及び機能を有する。
【0145】
保護IC220Cは、
図4と同様のコンパレータ221、検出/遅延タイマ222A、カウンタ223、抵抗R220及びスイッチSW22を有する。スイッチSW22及び抵抗R220は、監視端子VPと認証端子ID2との間に直列に接続される。電源線201は、第1電圧線及び第2電圧線の一例である。
【0146】
なお、第1の実施形態と同様に、認証端子ID2、IDは、温度検出端子等の他の制御端子と兼用されてもよい。例えば、抵抗R24Bは、サーミスタでもよい。以下では、典型的な例として、バッテリ装置200Cの認証動作を専用の認証端子ID2、IDを使用して実施する例が説明される。
【0147】
コンパレータ221は、
図7のコンパレータ221と同様に、認証端子ID、ID2の電圧を閾値電圧V1Bと比較し、比較結果を検出/遅延タイマ222Aに出力する。検出/遅延タイマ222Aの機能は、
図4の検出/遅延タイマ222Aの機能と同様である。
【0148】
検出/遅延タイマ222Aは、コンパレータ221により認証端子ID2の電圧が閾値電圧V1Bより低くなったことが検出され、閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1になった場合、認証要求REQを検出する。検出/遅延タイマ222Aは、認証要求REQの検出に基づいて、時間t1の経過から時間t2の間、スイッチSW22をオンする制御信号CNT22を出力する。
【0149】
PMIC310Cは、スイッチSW31が電圧線VD1Bに接続され、スイッチSW32が電圧線VSに接続されていることを除き、
図4のPMIC310Aと同様の構成及び機能を有する。例えば、電圧線VD1Bの電圧VD1Bは、接地電圧より高く、ADC311に供給される電源電圧VADC及び電源線201の電源電圧より低い。電圧線VSの電圧VSは、例えば、接地電圧GND等のロウレベル電圧である。PMIC310Cは、バッテリ装置200Cが正規品であるか否かを検出する認証制御部の一例である。
【0150】
PMIC310Cは、バッテリ装置200Cが正規品であるか否かを検出する場合、スイッチSW31をオンし、認証端子ID、ID2の電圧を、電源線201の電圧と電圧VD1Bとの電圧差を抵抗R24B、R310で分圧した電圧に設定する(認証要求REQ)。
保護IC220Cは、認証端子ID2を介してPMIC310Cから認証要求REQを受けた場合、スイッチSW22をオンし、認証端子ID2、IDの電圧を閾値電圧V1Bより低い電圧に設定する(応答RPLY)。
【0151】
図11は、
図10のシステムによるバッテリ装置200Cの認証動作の一例を示すタイミング図である。
図5及び
図8と同様の動作については、詳細な説明は省略する。
図11に示す認証動作は、
図5と同様に、充電器等がUSBポートに接続されたことに基づいて開始される。
図11に示す各ノードの電圧波形は、ロウレベル側に変化するパルス状の波形を有する点で、
図5に示す各ノードの電圧波形と異なる。各ノードの電圧の変化タイミング及び時間t1、t2は、
図5における各ノードの電圧の変化タイミング及び時間t1、t2とそれぞれ同じである。
【0152】
初期認証が成功した場合、PMIC310Cは、IDモードの期間、スイッチSW32をオンし続ける(
図11(a))。スイッチSW32のオンにより、抵抗R24B、R320が電源線201と電圧線VSとの間に直列に接続される。バッテリ装置200Cにより生成される電圧を加味しない場合、スイッチSW32がオンしている間、抵抗R320の出力ノード(汎用入出力端子GPIO)には、電源電圧201と電圧VSとの差を抵抗R24B、R320により分圧した、閾値電圧V1Bより低い電圧が生成され続ける(
図11(b))。閾値電圧V1Bは、初期認証での電圧V2Bより低い。
【0153】
そして、閾値電圧V1Bより低い電圧が、認証端子IDを介してPMIC310Cから保護IC220Cに認証要求REQとして出力される(
図11(c))。ここで、抵抗R24B、R320は、電源電圧201と電圧VSとの差に対応して汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1Bより低い電圧が生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。
【0154】
保護IC220Cのコンパレータ221は、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低くなったこと(すなわち、閾値電圧V1Bを低い側に超えたこと)を検出する(
図11(d))。保護IC220Cの検出/遅延タイマ222Aは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1になった場合、認証要求REQを検出する。検出/遅延タイマ222Aは、認証要求REQの検出に基づいて、時間t1の経過から時間t2の間、スイッチSW22をオンする(
図11(e))。
【0155】
スイッチSW22のオンにより、認証端子ID2、IDは、抵抗R220、スイッチSW22、監視端子VP及び抵抗R23Bを介して電源線201に接続される。これにより、PMIC310Cから認証端子IDに流れ込む電流は、抵抗R24Bを介した経路だけでなく、抵抗R220、R23Bを介した経路により電源線201に流れる。すなわち、認証端子IDと電源線201との間の抵抗値は、抵抗R24Bと、抵抗R220、R23Bとによる並列接続により低下し、認証端子IDの電圧は上昇する(
図11(f)、(g))。
【0156】
抵抗R320、R24B、R220、R23Bは、スイッチSW22がオンして電源線201から認証端子IDに電流が流れるときに、認証端子ID、ID2及び汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1Bより高い電圧(認証コード)が生成される抵抗値にそれぞれ設定されている。換言すれば、応答RPLY時の認証端子ID、ID2の電圧は、抵抗R23B、R220と抵抗R24Bとをそれぞれ介して電源線201から流れる電流と、認証端子IDからPMIC310Cに流れ込む電流とにより、閾値電圧V1Bを低い側に超えない値に設定される。
【0157】
PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOを介して認証端子IDの電圧を受け、ADC311によりデジタル値に変換する。PMIC310Cは、変換により得たデジタル値に基づいて、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1の経過後、時間t2の間、閾値電圧V1Bより高い電圧になったか否かを判定することで、認証を実施する(
図11(h))。
【0158】
PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1の経過後、時間t2の間、閾値電圧V1Bより高い電圧になった場合、正規のバッテリ装置200Cが接続されたと判定する(認証成功)。PMIC310Cは、時間t1、時間t2及び汎用入出力端子GPIOの電圧の1つ又は複数が、それぞれの期待値と一致しない場合、正規でないバッテリ装置200Cが接続されたと判定する(認証失敗)。
【0159】
なお、PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOの電圧が、時間t1の経過後に一時的に閾値電圧V1Bより高い電圧になった場合、時間t2の間に電圧が維持されてなくても正規のバッテリ装置200Cが接続されたと判定してもよい。
【0160】
図11は、時間t1、t2及び汎用入出力端子GPIOの電圧が全て期待値と一致し、認証が成功する例を示す。PMIC310Cは、時間t1、t2及び汎用入出力端子GPIOの電圧の少なくとも1つが期待値と一致せず、認証が失敗した場合、
図11に示す認証動作を途中で終了する。初期認証の後の認証が複数回実施される場合、PMIC310Cは、全ての認証が成功した場合のみ、認証の成功を判定する。
【0161】
PMIC310Cは、初期認証の結果及び3回の認証の結果に基づいて、電子機器300Cに接続されたバッテリ装置200Cが正規品であるか否かの判定を実施する(
図11(i))。そして、PMIC310Cは、バッテリ装置200Cが正規品であると判定した場合、トランジスタTR3をオンすることで、バッテリ装置200Cに充電器等を接続し、バッテリ装置200Cへの充電を開始するチャージモードに移行する(
図11(j))。
【0162】
図12は、
図10のシステム100Cによるバッテリ装置200Cの認証動作の一例を示すフロー図である。すなわち、
図12は、システム100Cのバッテリ装置認証方法の一例を示す。なお、
図12では、説明の簡略化のため、
図11における初期認証後の認証が1回のみ実施される例が示される。
【0163】
図6と同様の動作については、
図6と同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。PMIC310Cの動作では、
図6のステップS320、S350の代わりにステップS320B、S350Bが実施される。保護IC220Cの動作では、
図6のステップS210、S220Aの代わりにステップS210B、S220Cが実施される。
【0164】
図12に示すPMIC310Cの動作は、PMIC310Cのハードウェアにより実現されてもよく、PMIC310Cの機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。同様に、
図12に示す保護IC220Cの動作は、保護IC220Cのハードウェアにより実現されてもよく、保護IC220Cの機能を制御するソフトウェアにより実現されてもよい。
【0165】
ステップS320Bにおいて、PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOの電圧が期待値(電圧V2B)であるか否かを判定する。PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOの電圧が電圧V2Bである場合、初期認証の成功を判定し、ステップS330Aを実施する。PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOの電圧が電圧V2Bでない場合、初期認証の失敗を判定し、ステップS380を実施する。
【0166】
ステップS350Bにおいて、PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1Bより高い電圧であるか否かを判定する。PMIC310Cは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1Bより高い電圧である場合、ステップS360Aを実施する。PMIC310は、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1Bより高い電圧でない場合、認証の失敗を判定し、ステップS380を実施する。
【0167】
一方、保護IC220Cは、ステップS210Bにおいて、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1継続するまで待つ。保護IC220Cは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低い時間が時間t1継続した場合、ステップS220Cを実施する。ステップS220Cにおいて、保護IC220Cは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1Bより低くなってから時間t1後に、スイッチSW22を時間t2の間オンし、
図12に示す動作を終了する。
【0168】
以上、この実施形態においても、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、閾値電圧V1Bより高いハイレベル電圧を認証コードにするだけでなく、時間t1、t2を認証コードとして使用することで、さらに秘匿性の高い認証コードを生成することができ、認証コードの解読を困難にすることができる。この結果、バッテリ装置200Cの認証に使用する認証コードの解読が困難な認証手法を低コストで実現することができる。
【0169】
(第5実施形態)
図13は、第5の実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。
図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図13に示すシステム100Dは、バッテリ装置200D及び電子機器300Dを有する。
図1と同様に、電子機器300Dは、携帯電話、スマートフォン、タブレット、イヤホンなどのポータブル機器である。
【0170】
バッテリ装置200Dは、
図1の保護IC220の代わりに保護IC220Dを有することを除き、
図1のバッテリ装置200と同様の構成及び機能を有する。保護IC220Dは、
図1の制御回路224の代わりに制御回路224Dを有し、新たに電流判定回路225Dを有することを除き、
図1の保護IC220と同様の構成及び機能を有する。電子機器300Dは、
図1のPMIC310の代わりにPMIC310Dを有することを除き、
図1の電子機器300と同様の構成及び機能を有する。PMIC310Dは、
図1のPMIC310にパラメータ保持部313Dを追加していることを除き、
図1のPMIC310と同様の構成及び機能を有する。
【0171】
保護IC220Dにおいて電流判定回路225Dは、バッテリ装置200Dの認証動作時に、抵抗R22(センス抵抗)を介して接地端子VSSと電流検出端子CSとの間を流れる充電電流の大きさを判定する。電流判定回路225Dは、判定結果である充電電流の大きさに応じた論理値の電流検出信号ID60、ID10、ID05を制御回路224Dに出力する。以下では、電流検出信号ID60、ID10、ID05を区別なく説明する場合、電流検出信号IDとも称される。電流判定回路225Dの回路構成例については、
図14で説明される。
【0172】
制御回路224Dは、
図1の制御回路224の機能に加えて、電流検出信号IDの論理値に応じて
図2に示した時間t1、t2、t3及び内部電源電圧VREGの値を設定する機能を有する。これにより、保護IC220Dは、バッテリ装置200Dの認証動作時に、電流判定回路225Dにより判定される充電電流の大きさに応じて時間t1+t2、t3及び内部電源電圧VREGの値を変更可能である。なお、保護IC220Dは、時間t1を、認証動作時の電子機器300Dから受ける認証要求REQの時間閾値として使用する。
【0173】
例えば、時間t2、t3は、検出/遅延タイマ222の計測時間を変更することで設定され、内部電源電圧VREGの値は、内部電源電圧VREGを生成する図示しない電圧生成回路により設定される。例えば、電圧生成回路は、電圧を分圧する直列に接続された複数の抵抗を有し、抵抗間から分圧電圧を出力する抵抗分割回路と、複数の分圧電圧のいずれかを内部電源電圧VREGとして選択する電圧選択回路とを有する。
【0174】
PMIC310Dのパラメータ保持部313Dは、バッテリ装置200Dの認証動作を実施するときに使用する充電電流の大きさと、充電電流の大きさ毎の時間t1+t2、t3の期待値及び閾値電圧V1とをパラメータとして保持する。PMIC310Dは、バッテリ装置200Dの認証動作時に、ドライバ312を制御して選択したパラメータに対応する充電電流をバッテリ装置200Dに供給する。そして、PMIC310Dは、認証要求に応じたバッテリ装置200Dからの応答である時間t1+t2及び時間t3をパラメータ毎の期待値と比較し、さらに、認証端子IDの電圧をパラメータ毎の閾値電圧V1と比較することでバッテリ装置200Dが正規品であるか否かを判定する。
【0175】
電子機器300D及びバッテリ装置200Dにおいて、充電電流は閉回路を流れるため、電子機器300Dから出力する充電電流は、バッテリ装置200Dで検出可能である。このように、充電電流は、電子機器300D及びバッテリ装置200Dの共通のパラメータであるため、充電電流を電子機器300Dとバッテリ装置200Dとの間での認証動作に使用することができる。
【0176】
図14は、
図13の電流判定回路225D及び制御回路224Dの一例を示す回路ブロック図である。電流判定回路225Dは、判定電圧生成回路2251及び電圧比較回路2252を有する。
【0177】
判定電圧生成回路2251は、基準ノードが電流検出端子CSに接続されたバンドギャップリファレンス回路BGRと、バンドギャップリファレンス回路BGRの電圧生成ノードと電流検出端子CSとの間に直列に接続された抵抗R31、R32、R33、R34とを有する。バンドギャップリファレンス回路BGRは、電流検出端子CSの電圧に対して所定電圧(例えば、1.2V)高い電圧を生成する。
【0178】
判定電圧生成回路2251は、電流検出端子CSの電圧に応じてバンドギャップリファレンス回路BGRが生成する電圧を抵抗R31、R32、R33、R34により分圧することで、判定電圧V60A、V10A、V05Aを生成する。例えば、判定電圧V60A、V10A、V05Aの値は、V60A>V10A>V05Aの順に大きい。このように、バンドギャップリファレンス回路BGRと、直列に接続された複数の抵抗R31-R34とにより、電流検出端子CSの電圧に応じて複数の判定電圧を生成する回路を簡易に構成することができる。
【0179】
電圧比較回路2252は、判定電圧V60A、V10A、V05Aと接地電圧VSSとをそれぞれ比較するコンパレータCMP1、CMP2、CMP3を有する。コンパレータCMP1は、判定電圧V60Aに応じて電流検出信号ID60を出力する。コンパレータCMP2は、判定電圧V10Aに応じて電流検出信号ID10を出力する。コンパレータCMP3は、判定電圧V05Aに応じて電流検出信号ID05を出力する。そして、電流判定回路225Dは、充電電流の大きさを電流検出信号ID60、ID10、ID05の論理値として出力する。
【0180】
制御回路224Dは、デコーダ2241及びパラメータ保持部2242を有する。デコーダ2241は、真理値表に示すように、電流検出信号ID60、ID10、ID05の論理値に応じた値の選択信号SELを出力する。例えば、選択信号SELは、2ビットである。
【0181】
選択信号SEL="0"は、充電電流が規定の最大電流より大きいことを示す(充電過電流)。選択信号SEL="3"は、充電電流が急速充電時の電流範囲に含まれることを示す。選択信号SEL="2"は、充電電流が急速充電時より小さい通常充電時の電流範囲に含まれることを示す。選択信号SEL="0"は、充電電流が通常充電時より小さい予備充電時の電流範囲に含まれることを示す。
【0182】
パラメータ保持部2242は、パラメータPARAM1、PARAM2、PARAM3、PARAM4を保持する記憶領域を有する。以下では、パラメータPARAM1、PARAM2、PARAM3、PARAM4を区別なく説明する場合、パラメータPARAMとも称される。
【0183】
パラメータPARAM1は、後述する一次認証時に使用され、時間t1、t2、t3、閾値電圧V1及び内部電源電圧VREGの初期値を含む。例えば、パラメータPARAM1に含まれる初期値は、
図2の動作で使用する時間t1、t2、t3及び閾値電圧V1に対応する内部電源電圧VREGと同じである。パラメータPARAM2-PARAM4は、後述する二次認証時に使用され、電流判定回路225Dにより判定された充電電流の大きさに応じて変更される時間t1、t2、t3、閾値電圧V1及び内部電源電圧VREGを示す値を含む。時間t1、t2、t3、閾値電圧V1及び内部電源電圧VREGを示す値は、パラメータPARAM1-PARAM4毎に異なる。
【0184】
制御回路224Dは、選択信号SELが"1"、"2"、"3"のいずれかの場合、選択信号SELの値に対応するパラメータPARAMをパラメータ保持部2242から読み出す。制御回路224Dは、読み出したパラメータPARAMに応じて、内部電源電圧VREGの値を設定し、検出/遅延タイマ222に指示してパラメータPARAMに含まれる時間t1、t2、t3の値に応じたタイミングでスイッチSW21を動作させる。これにより、認証時の認証端子ID(汎用入出力端子GPIO)の電圧は、例えば、
図2に示す波形になる。制御回路224Dは、選択信号SELが"0"の場合、過充電を判定し、トランジスタTR1、TR2をオフして充電を停止する。
【0185】
図15は、
図13のバッテリ装置200Dの認証動作時に使用される充電電流と設定されるパラメータPARAMの例を示す説明図である。PMIC310Dは、認証動作時に充電電流を予備充電、通常充電又は急速充電に対応する電流のいずれかに設定する。なお、認証動作時に充電電流が充電過電流を示す場合、バッテリ装置200Dを過充電から保護するために充電が遮断される。
【0186】
PMIC310Dは、一次認証時に充電電流を出力しない。このため、一次認証において正規品かどうか分からないバッテリ装置200Dが充電されることを避けることができ、認証動作を安全に実行することができる。保護IC220Dは、監視端子VMで受ける電圧に基づいて、電子機器300が接続されたことを検出した場合(一次認証時)、パラメータPARAM1に応じて内部電源電圧VREGの初期値を設定し、検出/遅延タイマ222に指示してパラメータPARAM1に含まれる時間t1、t2、t3の初期値に応じたタイミングでスイッチSW21を動作させる。なお、実際には、保護IC220Dは、
図2に示すように、認証要求REQの検出から時間t1+t2後にスイッチSW21をオンし、さらに時間t3後にスイッチSW21をオフする。
【0187】
保護IC220Dは、一次認証後、充電電流が予備充電の範囲にある場合、パラメータPARAM2に応じて内部電源電圧VREGの値を設定し、検出/遅延タイマ222に指示してパラメータPARAM2に含まれる時間t1、t2、t3の値に応じたタイミングでスイッチSW21を動作させる。保護IC220Dは、一次認証後、充電電流が通常充電の範囲にある場合、パラメータPARAM3に応じて内部電源電圧VREGの値を設定し、検出/遅延タイマ222に指示してパラメータPARAM3に含まれる時間t1、t2、t3の値に応じたタイミングでスイッチSW21を動作させる。保護IC220Dは、一次認証後、充電電流が急速充電の範囲にある場合、パラメータPARAM4に応じて内部電源電圧VREGの値を設定し、検出/遅延タイマ222に指示してパラメータPARAM4に含まれる時間t1、t2、t3の値に応じたタイミングでスイッチSW21を動作させる。
【0188】
なお、PMIC310Dに搭載されるパラメータ保持部313D(
図13)は、パラメータPARAM1-PARAM4の各々に対応して、時間t1、t2、t3、t1+t2及び閾値電圧V1の値を保持する。電圧V1の値は、保護IC220Dが生成する内部電源電圧VREGに応じて認証端子ID(汎用入出力端子GPIO)に生成される電圧の値より高い値に設定される。時間t1、t2、t3、t1+t2及び閾値電圧V1の値は、パラメータPARAM1-PARAM4毎に異なる。時間t1+t2、t3及び閾値電圧V1の値は、認証動作時に期待値として使用される。
【0189】
また、パラメータ保持部313Dは、パラメータPARAM2-PARAM4の各々に対応して、後述する二次認証時にバッテリ装置200Dに供給する充電電流の大きさを示す値を保持する。以下では、パラメータPARAM1-PARAM4に対応してパラメータ保持部313Dが保持するパラメータも、パラメータPARAM1-PARAM4として説明する。
【0190】
図16は、
図14の電流判定回路225Dの動作の一例を示す説明図である。判定電圧生成回路2251は、充電電流の増加とともに低下する電流検出端子CSの電圧に追従して判定電圧V60A、V10A、V05Aを低下させる。電圧比較回路2252は、充電電流の増加により判定電圧V05Aが接地電圧VSSより低くなったとき、電流検出信号ID05をロウレベルからハイレベルに変化させる。電圧比較回路2252は、充電電流の増加により判定電圧V10Aが接地電圧VSSより低くなったとき、電流検出信号ID10をロウレベルからハイレベルに変化させる。電圧比較回路2252は、充電電流の増加により判定電圧V60Aが接地電圧VSSより低くなったとき、電流検出信号ID60をロウレベルからハイレベルに変化させる。
【0191】
図17及び
図18は、
図13のシステム100Dによるバッテリ装置200Dの認証動作の一例を示すフロー図である。すなわち、
図17及び
図18は、システム100Dのバッテリ装置認証方法の一例を示す。
図3と同様の動作については、
図3と同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
図17は、バッテリ装置200Dの認証動作における一次認証の動作の例を示し、
図18は、認証動作において一次認証が成功したときに実施される二次認証の動作の例を示す。
【0192】
図17及び
図18に示す認証動作は、バッテリ装置200Dが電子機器300Dに接続されたときに実施され、又は、バッテリ装置200Dが電子機器300Dに接続されている間の任意のタイミング(例えば、充電中)で実施される。なお、
図17及び
図18に示す認証動作は、充電器又は電源アダプタ等が電子機器300のUSBポートに接続されたことに基づいて開始されてもよい。
【0193】
図17のPMIC310Dの動作では、
図3のステップS330、S360の代わりにステップS330D、S360Dが実施され、
図3のS370は実施されない。保護IC220Dの動作では、
図3のステップS210、S220の代わりにステップS210D、S220Dが実施される。
【0194】
PMIC310Dは、ステップS320による初期認証が成功した場合、ステップS330Dにおいて、汎用入出力端子GPIOに閾値電圧V1より高い電圧を時間t1以上出力することで、保護IC220Dに認証要求REQを出力する。時間t1の値は、パラメータ保持部313DのパラメータPARAM1に含まれる。
【0195】
保護IC220Dは、ステップS210Dにおいて、パラメータPARAM1に含まれる時間t1の値を使用して、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高い時間が時間t1以上継続する場合、認証要求REQを検出し、ステップS220Dを実施する。ステップS210Dで検出する認証要求REQは、最初の認証要求の一例である。
【0196】
ステップS220Dにおいて、保護IC220Dは、パラメータPARAM1に含まれる時間t1、t2、t3と内部電源電圧VREGとの値を使用して認証端子IDに電圧を出力した後、
図18のステップS230Dを実施する。例えば、保護IC220Dは、
図2に示すように、認証端子IDの電圧がパラメータPARAM1に含まれる閾値電圧V1の値より高くなってから時間t1+t2後に、スイッチSW21を時間t3の間オンする。
【0197】
一方、PMIC310Dは、ステップ350Dにおいて、汎用入出力端子GPIOの電圧が、ステップS410Dで選択したパラメータPARAMに含まれる閾値電圧V1の値より低いハイレベル電圧である場合、ステップS450Dを実施する。PMIC310Dは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1より低いハイレベル電圧でない場合、認証の失敗を判定し、ステップS480Dを実施する。
【0198】
次に、ステップ360Dにおいて、PMIC310Dは、ステップS340で取得した時間t1+t2及び時間t3のそれぞれが、パラメータ保持部313DのパラメータPARAM1に含まれる期待値と一致するか否かを判定する。PMIC310Dは、時間t1+t2及び時間t3のそれぞれが期待値と一致する場合、認証が成功したため、
図18のステップS410Dを実施する。PMIC310Dは、時間t1+t2及び時間t3の一方又は両方が期待値と一致しない場合、認証が失敗したため、ステップS380においてバッテリ装置200Bが模造品であると判定し、認証動作を終了する。
【0199】
図18のステップ410Dにおいて、PMIC310Dは、パラメータPARAM2-PARAM4のいずれかを選択し、選択したパラメータPARAMに対応する充電電流をバッテリ装置200Dに出力する。次に、ステップ420Dにおいて、PMIC310Dは、パラメータ保持部313DのパラメータPARAM1に含まれる時間t1の値を使用して、閾値電圧V1より高い電圧を時間t1以上汎用入出力端子GPIOに出力することで、保護IC220に認証要求REQを出力する。
【0200】
保護IC220Dは、ステップS230Dにおいて、パラメータPARAM1に含まれる時間t1の値を使用して、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高い時間が時間t1以上継続する場合、認証要求REQを検出し、ステップS240Dを実施する。ステップS230Dで検出する認証要求REQは、2番目の認証要求の一例である。
【0201】
ステップS240Dにおいて、保護IC220Dは、充電電流を検出し、検出した充電電流に応じてパラメータPARAM2-PARAM4のいずれかを選択する。次に、ステップS250Dにおいて、保護IC220Dは、選択したパラメータPARAMに含まれる時間t1、t2、t3及び内部電源電圧VREGの値を使用して認証端子IDに電圧を出力し、
図17及び
図18に示す動作を終了する。
【0202】
例えば、保護IC220Dは、認証端子IDの電圧が閾値電圧V1より高くなってから時間t1+t2後に、スイッチSW21を時間t3の間オンする。認証端子ID及び汎用入出力端子GPIOの電圧は、選択されたパラメータPARAMに対応してスイッチSW21から出力される内部電源電圧VREGを抵抗R210、R24で分圧した値に設定され、パラメータPARAM毎の閾値電圧V1より低い。
【0203】
PMIC310Dは、ステップS420Dの後、ステップ430Dにおいて、
図17のステップS340と同様に、汎用入出力端子GPIOの電圧と時間t1+t2、t3とを取得する。次に、ステップ440Dにおいて、PMIC310Dは、汎用入出力端子GPIOの電圧が、ステップS410Dで選択したパラメータPARAMに含まれる閾値電圧V1の値より低いハイレベル電圧である場合、ステップS450Dを実施する。PMIC310Dは、汎用入出力端子GPIOの電圧が閾値電圧V1より低いハイレベル電圧でない場合、認証の失敗を判定し、ステップS470Dを実施する。
【0204】
ステップ450Dにおいて、PMIC310Dは、時間t1+t2及び時間t3のそれぞれが、ステップS410Dで選択したパラメータPARAMに含まれる時間t1+t2及び時間t3の期待値と一致するか否かを判定する。PMIC310は、時間t1+t2及び時間t3のそれぞれが、選択したパラメータPARAMに含まれる期待値と一致する場合、ステップS460Dにおいてバッテリ装置200Dが正規品であると判定し、
図17及び
図18に示す動作を終了する。PMIC310は、時間t1+t2及び時間t3の一方又は両方が選択したパラメータPARAMに含まれる期待値と一致しない場合、ステップS470Dにおいてバッテリ装置200Dが模造品であると判定し、
図17及び
図18に示す動作を終了する。
【0205】
図17及び
図18に示すように、
図13のシステム100Dによるバッテリ装置200Dの認証動作では、一次認証と二次認証とが順次実施される。二次認証時の時間t1、t2、t3は、充電電流の大きさに応じて一次認証時の時間t1、t2、t3に対して変更される。また、二次認証時の内部電源電圧VREG及び閾値電圧V1は、充電電流の大きさに応じて選択されたパラメータPARAMに応じて設定される。例えば、バッテリ装置200Dの認証動作のタイミングは、
図2の認証1回目までを一次認証とし、
図2の認証2回目を二次認証とすることで表すことが可能である。
【0206】
以上、この実施形態においても、第1から第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、保護IC220Dは、認証端子IDを介してPMIC310Dから認証要求REQを受けた場合、認証要求REQの応答RPLYとして認証端子IDの電圧を閾値電圧V1より低いハイレベル電圧に設定する。このため、PMIC310Dは、認証要求REQの出力後、認証端子IDの電圧を閾値電圧V1と比較することで、バッテリ装置200Dが正規品であるか否かを判定することができる。
【0207】
さらに、第5の実施形態では、バッテリ装置200Dの二次認証において、充電電流の大きさに応じて時間t1+t2及び時間t3を一次認証の設定値に対して変更することで、第1から第4の実施形態に比べて認証コードの秘匿性を高めることができ、認証コードの解読を困難にすることができる。
【0208】
また、バッテリ装置200Dの二次認証において、内部電源電圧VREG及び閾値電圧V1は、充電電流の大きさに応じて選択されたパラメータPARAMに応じて変更される。これにより、内部電源電圧VREG及び閾値電圧V1を固定にする場合に比べて、認証コードの秘匿性を高めることができ、認証コードの解読を困難にすることができる。さらに、一次認証時には充電電流を流さないため、一次認証時に正規品かどうか分からないバッテリ装置200Dが充電されることを避けることができ、認証動作を安全に実行することができる。
【0209】
なお、第5の実施形態では、第1の実施形態と同様に、PMIC310Dは、認証毎にバッファBUFからハイレベル電圧を出力し、バッテリ装置200Dが正規品であるか否かを判定する。しかしながら、第2の実施形態と同様に、PMIC310Dは、連続する認証においてバッファBUFからハイレベル電圧を出力し続け、バッテリ装置200Dが正規品であるか否かを判定してもよい。さらに、第3及び第4の実施形態と同様に、認証に使用する電圧の極性を逆にしてもよい。
【0210】
図19は、充電中の任意のタイミングで認証動作を実施する一例を示すフロー図である。
図3と同様の動作については、
図3と同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
図19では、
図1のシステム100によるバッテリ装置200の認証動作の例を示すが、
図4のシステム100A、
図7のシステム100B、
図10のシステム100C及び
図13のシステム100Dにおいても、
図19と同様に充電中の任意のタイミングで認証動作が実施されてもよい。
【0211】
図19では、PMIC310は、ステップS370において、認証の成功によりバッテリ装置200が正規品であると判定した場合、充電を継続する。また、PMIC310は、ステップS362において、認証が失敗した場合、ステップS390を実施する。ステップS390において、PMIC310は、充電を停止し、
図19に示す認証動作を終了する。
【0212】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0213】
なお、
図1及び
図4では、負側の電流経路にトランジスタTR1、TR2が設けられる例が説明されたが、
図7及び
図10と同様に、トランジスタTR1、TR2の代わりに、正側の電流経路にトランジスタTR1B、TR2Bが設けられてもよい。また、
図7及び
図10では、正側の電流経路にトランジスタTR1B、TR2Bが設けられる例が説明されたが、
図1及び
図4と同様に、トランジスタTR1B、TR2Bの代わりに、負側の電流経路にトランジスタTR1、TR2が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0214】
100、100A、100B、100C、100D システム
200、200A、200B、200C、200D バッテリ装置
201 電源線
202 接地線
210 二次電池
220、220A、220B、220D 保護IC
221 コンパレータ
222、222A 検出/遅延タイマ
223 カウンタ
224、224D 制御回路
2241 デコーダ
2242 パラメータ保持部
225D 電流判定回路
2251 判定電圧生成回路
2252 電圧比較回路
300、300A、300B、300C、300D 電子機器
301 電源線
302 接地線
310、310A、310B、310C、310D PMIC
311 ADC
312 ドライバ
313D パラメータ保持部
320 機能部
BAT-ID 端子
BGR バンドギャップリファレンス回路
BUF バッファ
C21、C22 コンデンサ
CMP1、CMP2、CMP3 コンパレータ
CNT21、CNT22、CNT31、CNT32 制御信号
COUT 充電制御端子
CS 電流検出端子
D+、D- 端子
D1、D1B、D2、D2B 寄生ダイオード
DOUT 放電制御端子
ENA イネーブル信号
GPIO 汎用入出力端子
ND1 接続ノード
ID、ID2 認証端子
ID05、ID10、ID60 電流検出信号
OUT 端子
P+、P- 電源端子
PROG 端子
R21、R22、R23、R23B、R24、R24B 抵抗
R31、R32、R33、R34 抵抗
R210、R220、R300、R310、R320 抵抗
REQ 認証要求
RPLY 応答
SEL 選択信号
SW21、SW22、SW31、SW32 スイッチ
TR1、TR1B、TR2、TR2B、TR3 トランジスタ
V1、V1B 閾値電圧
V2 電圧
V05A、V10A、V60A 判定電圧
VADC 電源電圧
VBAT、VBUS 端子
VD1、VD1B、VD2 電圧線
VDD 電源端子
VIN 端子
VM、VP 監視端子
VS 電圧線
VSS 接地端子
VREG、VREGB 内部電源線