IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京計器株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-接触検知装置 図1
  • 特開-接触検知装置 図2
  • 特開-接触検知装置 図3
  • 特開-接触検知装置 図4
  • 特開-接触検知装置 図5
  • 特開-接触検知装置 図6
  • 特開-接触検知装置 図7
  • 特開-接触検知装置 図8
  • 特開-接触検知装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104305
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】接触検知装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096598
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003388
【氏名又は名称】東京計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】東 孝行
(72)【発明者】
【氏名】大塚 麻美
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET03
3C707EU02
3C707HS27
3C707KS21
3C707MS07
(57)【要約】
【課題】より低コストで被駆動部材と対象物との接触を検知する接触検知装置を提供する。
【解決手段】回転力を発生させる回転駆動部により回転可能または揺動可能に設けられた被駆動部材による対象物への接触を検知する接触検知装置14であって、回転駆動部を所定のトルクにより回転駆動させる駆動制御部151と、回転センサにより測定された回転駆動部の回転角度を周期的に取得する駆動監視部152と、取得された回転角度に基づく回転角度の変化がゼロである場合、被駆動部材が対象物に接触したと判定する接触判定部153とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転力を発生させる回転駆動部により回転可能または揺動可能に設けられた被駆動部材による対象物への接触を検知する接触検知装置であって、
前記回転駆動部を所定のトルクにより回転駆動させる駆動制御部と、
回転センサにより測定された前記回転駆動部の回転角度を周期的に取得する駆動監視部と、
前記取得された回転角度に基づく回転角度の変化がゼロである場合、前記被駆動部材が前記対象物に接触したと判定する接触判定部と
を備える接触検知装置。
【請求項2】
前記被駆動部材は、略円形に形成され、前記回転駆動部により円中心周りに回転されることを特徴とする請求項1に記載の接触検知装置。
【請求項3】
前記被駆動部材は、一方向に延在するように形成され、前記回転駆動部により一端部を支点として揺動されることを特徴とする請求項1に記載の接触検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータにより駆動される被駆動部材の対象物への接触検知は、接触センサ、トルクセンサ、電流検出などによりなされていた。接触センサは被駆動部材において対象物との接触により生じる物理的変位を検知することにより接触を検知する。トルクセンサは、モータにおけるトルクの増加を検出することにより接触を検知する。電流検出は、モータにおける電流の増加を検出することにより接触を検知する。
【0003】
また、関連する技術として、基台の上部に3軸以上の多関節を有するロボットの外部接触2重チェック装置において、ロボットと外部との接触を検知する相互に独立した第1検知手段及び、第2検知手段の2つの検知手段を有し、第1検知手段は多関節のうち第1軸と第2軸と第3軸に設けた3つのトルクセンサによる第1系統であり、第2検知手段は基台の設置部に設けた3自由度力トルクセンサによる第2系統であり、第1検知手段及び第2検知手段から得られる検知信号により、ロボットを安全に制御することを特徴とするロボットの外部接触2重チェック装置、が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-42906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接触センサ、トルクセンサ、電流検出のそれぞれによる接触検知によれば、被駆動部材またはモータに対して追加の専用部品や専用回路が必要となるため、コストが増大する、という問題がある。
【0006】
本発明の実施形態は、より低コストで被駆動部材と対象物との接触を検知する接触検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本実施形態に係る接触検知装置は、回転力を発生させる回転駆動部により回転可能または揺動可能に設けられた被駆動部材による対象物への接触を検知する接触検知装置であって、前記回転駆動部を所定のトルクにより回転駆動させる駆動制御部と、回転センサにより測定された前記回転駆動部の回転角度を周期的に取得する駆動監視部と、前記取得された回転角度に基づく回転角度の変化がゼロである場合、前記被駆動部材が前記対象物に接触したと判定する接触判定部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、より低コストで被駆動部材と対象物との接触を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る接触検知システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】接触検知装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】接触検知装置の動作を示すフローチャートである。
図4】接触検知装置を適用したロボットハンドを示す概略図である。
図5】接触が検知された状態におけるロボットハンドを示す概略図である。
図6】接触検知装置を適用したロボットアームを示す概略図である。
図7】接触が検知された状態におけるロボットアームを示す概略図である。
図8】接触検知装置を適用した多車両連結ロボットを示す概略図である。
図9】接触が検知された状態における多車両連結ロボットを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
(接触検知装置の構成)
本実施形態に係る接触検知装置のハードウェア構成及び機能構成について説明する。図1は、本実施形態に係る接触検知装置を含むシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る接触検知システム1は、ハードウェアとして、回転駆動部11と、回転センサ12と、被駆動部材13と、回転駆動部11及び回転センサ12と通信可能に接続される接触検知装置14とを備える。回転駆動部11は、後に詳述する被駆動部材13を回転または揺動させる回転駆動力を出力するものであり、例えば回転モータである。回転センサ12は、回転駆動部11の回転角度を測定するセンサである。被駆動部材13は、回転駆動部11により回転可能または揺動可能に設けられた部材である。
【0013】
なお、回転駆動部11と回転センサ12とは、回転駆動部11から被駆動部材13に一方的に回転力が伝達されるのではなく、互いに回転力が伝達されるように接続されているものとする。
【0014】
接触検知装置14は、ハードウェアとして、各種機能を実現するCPU(Central Processing Unit)141とメモリ142とを備える。また、接触検知装置14は、図2に示すように、CPU141及びメモリ142により実現される機能として、駆動制御部151、駆動監視部152、接触判定部153を備える。
【0015】
駆動制御部151は、所定のトルクで回転するように回転駆動部11を駆動制御する。駆動監視部152は、回転センサ12により測定された回転駆動部11の回転角度を周期的に取得する。接触判定部153は、駆動監視部152により取得された回転駆動部11の回転角度に基づいて、被駆動部材13が対象物に接触しているか否かを判定する。
【0016】
(接触検知装置の動作)
接触検知装置の動作について説明する。図3は、接触検知装置の動作を示すフローチャートである。なお、図3に示す動作は、所定の周期毎に実行されるものとする。
【0017】
図3に示すように、まず、駆動制御部151は、所定のトルク、具体的には被駆動部材13が対象物に接触した場合に停止する程度に低く設定されたトルクにより回転駆動部11を駆動制御する(S101)。次に、駆動監視部152は、回転センサ12により測定された、駆動制御部151により駆動制御された状態における回転駆動部11の回転角度を取得する(S102)。
【0018】
次に、接触判定部153は、駆動監視部152により取得された回転角度に関して、回転角度変化、即ち、前周期の回転角度と現周期の回転角度との差がゼロであるか否かを判定する(S103)。
【0019】
回転角度変化がゼロである場合(S103,YES)、接触判定部153は、被駆動部材13が対象物に接触していると判定し(S104)、再度、駆動制御部151が回転駆動部11を駆動制御する(S101)。
【0020】
一方、回転角度変化がゼロではない場合(S103,NO)、接触判定部153は、被駆動部材13が対象物に接触していないと判定し(S105)、再度、駆動制御部151が回転駆動部11を駆動制御する(S101)。
【0021】
このような接触検知装置14によれば、回転駆動部11と回転センサ12とを備えたサーボモータに他のハードウェアを追加することなく接触検知を行うことができる。これによって、サーボモータを用いた装置において、コスト、重量が増加させることなく接触判定を行うことができる。また、接触検知装置14に含まれる各機能についても、回転駆動部11、回転センサ12、被駆動部材13を含む装置全体を制御する他の制御装置上で実現することができる。
【0022】
(第1の適用例)
第1の適用例として、接触検知装置を適用したロボットハンドについて説明する。図4は、接触検知装置を適用したロボットハンドを示す概略図である。図5は、接触が検知された状態におけるロボットハンドを示す概略図である。
【0023】
図4に示すように、第1の適用例に係るロボットハンド2は、対象物Oを把持可能に構成された装置であり、回転駆動部11及び回転センサ12に相当するサーボモータ21と、被駆動部材13に相当する2つのグリッパ23a,23bと、2つの伝達ギヤ26a,26bと、サーボモータ21と通信可能に接続される接触検知装置14とを備える。
【0024】
2つのグリッパ23a,23bは、それぞれ、全体として、一方向に延在する略棒状に形成された部材であり、一端部を支点として揺動可能に設けられる。伝達ギヤ26aは、サーボモータ21により回転されるように設けられたギヤであり、伝達ギヤ26bは、伝達ギヤ26aと噛み合い、伝達ギヤ26aによりサーボモータ21の回転が伝達されるように設けられたギヤである。グリッパ23aは、サーボモータ21の回転力により直接に揺動され、グリッパ23bは、伝達ギヤ26bを介してサーボモータ21の回転力により揺動される。
【0025】
図5に示すように、図5中反時計周りの回転力がサーボモータ21に発生されることによって、2つのグリッパ23a,23bは、それぞれにおける揺動支点とは逆側の端部が互いに近接するように揺動される。この際、2つのグリッパ23a,23bが対象物Oに接触するとサーボモータ21の回転角度変化がゼロとなり、接触検知装置14により接触が検知される。
【0026】
(第2の適用例)
第2の適用例として、接触検知装置を適用したロボットアームについて説明する。図6は、接触検知装置を適用したロボットアームを示す概略図である。図7は、接触が検知された状態におけるロボットアームを示す概略図である。
【0027】
図6に示すように、第2の適用例に係るロボットアーム3は、一部分が対象物Oに接触可能に構成された装置であり、第1アーム30と、回転駆動部11及び回転センサ12に相当するサーボモータ31と、被駆動部材13に相当する第2アーム33と、サーボモータ31と通信可能に接続される接触検知装置14とを備える。
【0028】
第1アーム30、第2アーム33は、それぞれ、全体として一方向に延在する略棒状に形成された部材である。第1アーム30は、下端部がロボットアーム3の接地面に載置された基台に接続され、上端部にサーボモータ31が設けられる。第2アーム33は、一端部を支点としてサーボモータ31の回転力により揺動可能に設けられる。
【0029】
図7に示すように、図7中反時計回りの回転力がサーボモータ31により発生されることによって、第2アーム33が揺動されて対象物Oに接触すると、サーボモータ31の回転角度変化がゼロとなり、接触検知装置14により接触が検知される。
【0030】
(第3の適用例)
第3の適用例として接触検知装置を適用した多車両連結ロボットについて説明する。図8は、接触検知装置を適用した多車両連結ロボットを示す概略図である。図9は、接触が検知された状態における多車両連結ロボットを示す概略図である。
【0031】
図8に示すように、第3の適用例に係る多車両連結ロボット4は、複数の車両が進行方向に連結された移動装置であって、互いに連結される2つの車両において、後方の車両が前方の車両をピッチング可能に構成される。接触検知装置14(図8図9に不図示)は、多車両連結ロボット4における先頭の車両に適用され、地面と直交する壁面Wを接触検知対象とする。
【0032】
先頭の車両は、筐体部40と、回転駆動部11及び回転センサ12に相当するサーボモータ41と、被駆動部材13に相当する車輪42と、筐体部40内に内蔵され、サーボモータ41と通信可能に接続される接触検知装置14とを備える。車輪42は、地面または壁面Wを走行面として走行可能に構成された全体として略円形に形成された部材であり、サーボモータ41により円中心周りに回転可能に設けられる。
【0033】
図9に示すように、図9中時計回りの回転力がサーボモータ41により発生された状態において、多車両連結ロボット4が壁面Wに向かって走行し、車輪42が壁面Wに当接すると、車輪42の回転が停止される。これによって、サーボモータ41の回転角度変化がゼロとなり、接触検知装置14により接触が検知される。
【0034】
以上に説明したように、接触検知装置14は、被駆動部材13を回転または揺動させるあらゆる装置において、被駆動部材13と対象物Oとの接触検知に用いることができる。
【0035】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
14 接触検知装置
151 駆動制御部
152 駆動監視部
153 接触判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9