(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104316
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】コーヒー豆焙煎機
(51)【国際特許分類】
A23N 12/10 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A23N12/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008449
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】503135904
【氏名又は名称】久松 光喜
(74)【代理人】
【識別番号】100206461
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 司
(72)【発明者】
【氏名】久松 亨夫
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA01
4B061BA09
4B061CD07
4B061CD15
(57)【要約】
【課題】4点自立することで平衡安定性に優れるとともに、支持フレーム等の分解工程を行わずとも容易にコンパクトに折り畳むことができ、かつ、炎の位置が異なる種々の熱源であっても効率よく焙煎することのできるコーヒー豆焙煎機を提供することを目的とする。
【解決手段】ドラム本体と回転軸台とから構成されるコーヒー豆焙煎機であって、前記回転軸台は左右一対の支柱フレームと前記支柱フレーム間に着脱自在に連結される複数の連結棒とからなり、前記支柱フレームは、略X字状に交差して回転自在に連結された2本のアームと、その下部に着脱自在に渡設される1本アームから構成されて折り畳み可能とし、また、前記回転軸台は、上下反転可能な遮熱板を備え、さらにドラム本体の内側には少なくとも2つのU字型の撹拌部を備えている構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆が投入されるドラム本体と、前記ドラム本体を回転可能に枢支する回転軸台とから構成され、前記ドラム本体を回転させながら熱源の炎によりドラム本体内を加熱して焙煎を行うコーヒー豆焙煎機であって、前記回転軸台は左右一対の支柱フレームと、前記支柱フレーム間に着脱自在に連結されるアームと複数の連結棒とからなり、前記支柱フレームは、略X字状に交差して回転自在に連結された2本のアームと、その下部に着脱自在に渡設される1本アームから構成されて折り畳み可能としたことを特徴とするコーヒー豆焙煎機。
【請求項2】
前記回転軸台は、支柱フレーム上部に2本の連結棒と支柱フレーム下部に2本の連結棒とを有し、支柱フレーム下部に備えられた連結棒には上下反転可能の遮熱板を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコーヒー豆焙煎機。
【請求項3】
前記ドラム本体は、左右の側面内側にU字状の撹拌部を少なくともそれぞれ対角に備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコーヒー豆焙煎機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナ等の熱源上でコーヒー豆を焙煎するコーヒー豆焙煎機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー豆の焙煎機として金属製の回転ドラムにコーヒー豆を投入して、回転ドラムを回転させながら下方に置いた熱源からの加熱により焙煎を行うものが知られている。
【0003】
そして、少量を簡単に焙煎できるハンディタイプの焙煎機として下記特許文献に記載のものが提案されている。
【0004】
この焙煎機は、熱源を卓上カセットコンロに限定されており、回転台の底部に溝部を有し、卓上カセットコンロの台座への設置時の安定性が保たれている。また、回転台がドラム本体を支えるよう一体に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記焙煎機では、底部を円形にすることでカセットコンロ等の熱源への安定性は保たれるが、使用する熱源がカセットコンロやガスレンジに限定されてしまい、炎の位置が異なる種々の熱源には対応できないという問題がある。
【0007】
また、持ち運びや省スペースでの使用等で利便性に欠けるとともに、使用の際には熱を周囲に逃し易く熱の損失を招いてしまうという問題もある。
【0008】
さらに、ドラム内部に投入されたコーヒー豆が効率よく撹拌されないため、均一な焙煎がなされず、温度にムラが生じる等の問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、4点自立することで平衡安定性に優れるとともに、支持フレーム等の分解工程を行わずとも容易にコンパクトに折り畳むことができ、かつ、炎の位置が異なる種々の熱源であっても効率よく焙煎することのできるコーヒー豆焙煎機を提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、使用する熱源の炎位置に合わせて高さ調節可能な遮熱板を備えていることで、種々の熱源にも対応し、ドラム本体に効率よく熱を伝えることができる。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明のコーヒー豆焙煎機は、コーヒー豆が投入されるドラム本体と、前記ドラム本体を回転可能に枢支する回転軸台とから構成され、前記ドラム本体を回転させながら熱源の熱によりドラム内を加熱して焙煎を行うコーヒー豆焙煎機であって、前記回転軸台は左右一対の支柱フレームと、前記支柱フレーム間に着脱自在に連結される複数の連結棒とからなり、前記支柱フレームは、略X字状に交差して回転自在に連結された2本のアームと、その下部に着脱自在に渡設される1本アームから構成されて折り畳み可能としたことを特徴とする。
【0012】
また、前記回転軸台は、支柱フレーム上部に2本の連結棒と、支柱フレーム下部に2本の連結棒とを備えており、支柱フレーム下部に備えられた連結棒には遮熱板が設けられて、使用する熱源の炎位置に応じて遮熱板の位置を調整可能とすることを特徴とする。
【0013】
また、前記ドラム本体は、左右の側面内側に、U字状の撹拌部がそれぞれ対角に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコーヒー豆焙煎機によれば、その回転軸台において、使用時の形状からアームや連結棒等の分解工程を行わずに、可動域だけで容易にコンパクトに折り畳むことが可能となるため、移動や持ち運び適している。
【0015】
また、本発明は、遮熱板を備えており、前記遮熱板が連結棒に駆動可能に軸着することで反転可能であるため、高さの異なる種々の熱源の炎に対応して上下に反転させて使用することにより、輻射熱による周囲への熱損失を防止することができ、その結果、効率よく焙煎することが可能となる。
【0016】
また、本発明は、ドラム本体の側面内側に、U字状の撹拌部がそれぞれ対角に設けられており、ドラム本体に投入されたコーヒー豆をドラム本体の回転に応じて偏りがなく撹拌することができ、焼きムラのない均一な焙煎が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るコーヒー豆焙煎機において、熱源炎が高い場合の使用時を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るコーヒー豆焙煎機野回転軸台において、遮熱板を熱源炎が高い場合に合わせた斜視図である。
【
図3】本発明に係るコーヒー豆焙煎機において、熱源炎が低い場合の使用時を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係るコーヒー豆焙煎機の回転軸台において、遮熱板を熱源炎が低い場合に合わせた斜視図である。
【
図5】本発明に係るコーヒー豆焙煎機の回転軸台について、折り畳んだ状態を示す平面図である。
【
図6】本発明に係るコーヒー豆焙煎機の回転軸台について、折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係るコーヒー豆焙煎機のドラム本体の斜視図である。
【
図8】本発明に係るコーヒー豆焙煎機のドラム本体の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び
図3は本発明に係るコーヒー豆焙煎機の使用時を示す図であり、
図2及び
図4は回転軸台を示す図であり、
図5及び
図6は回転軸台を折り畳んだ状態を示す図であり、
図7及び
図8はドラム本体を示す図である。
【0019】
本発明に係るコーヒー豆焙煎機Aは、
図1及び
図2に示すように、ドラム本体Bと回転軸台Cとから構成される。回転軸台Cの下部に熱源を置き、ドラム本体Bを回転させることで、ドラム本体Bの内部に投入されたコーヒー豆の焙煎がなされる。
【0020】
前記回転軸台Cは、
図3及び
図4に示すように、アーム1、2及び3からなる一対の支持フレームから構成される。前記アーム1及び2は連結軸5を備え、前記連結軸5を支点として枢動可能に連結されている。また、アーム2及び3は連結軸7を備え、前記連結軸7を支点として枢動可能に連結されている。本実施形態においては、連結軸5及び7としてネジを使用することにより適度な圧縮力を加え、各アーム1、2及び3が枢動可能となっている。前記構成とすることで、アーム1及び2は合掌型に開くことができ、アーム2及び3はX字状に開くことができる。これにより、アーム1、2及び3の3本一組でトライアングル状の一つの支柱を形成することができる。
【0021】
また、アーム3は、アーム1に設けられた固定ピン8が嵌入される切欠部24を所定位置に備えており、固定ピン8が前記切欠部24に嵌入されることでアーム3が水平になるように支持フレームが形成され、その形状が維持される。
【0022】
一対の支持フレームは、所定位置において連結棒11、12、13及び14が渡設されるとともに、固着部6、9及び10において連結棒11、13及び14がそれぞれ取り付けられることで使用時の形態が形成される。これにより、本発明に係る回転軸台Cは、一対のアーム1及び2の4点で自立し、平衡安定性を保つことが可能となる。
【0023】
アーム1、2及び3から構成される一対の支持フレームは、それぞれI字状に折り畳むことを可能にするための切欠部を有している。アーム2には固定ピン8が嵌入される切欠部19と連結棒13が嵌入される切欠部20が形成されており、アーム3には固定ピン8が嵌入する切欠部18及び24と、連結棒13が嵌入する切欠部17と、連結棒14が嵌入する切欠部16とが形成されている。これらが連結軸5及び7の適度な圧縮力で枢結されることにより全てのアームが容易に駆動でき、
図5及び
図6に示すように折り畳みが可能となる。
【0024】
アーム1及び2は連結軸5の上部に切欠部21及び22をそれぞれ有しており、アーム1及び2を合掌型に開いた際には前記切欠部21及び22とでU字状となり軸受4がはじめて形成される。前記軸受4には、ドラム本体Aに設けられた回転軸35が載置されることにより、ドラム本体Aを回転させることが可能となる。
【0025】
また回転軸台Cは、連結棒13及び14において一対の遮熱板15を備えている。前記遮熱板15は、連結棒13及び14をそれぞれ回転軸として反転可能に止めピン23により軸着されており、熱源炎の高さに応じて前記遮熱板15を上下に反転させることができる。例えば熱源としてシングルバーナー25を使用したときように炎の位置が高い場合は、遮熱板15を上方向に反転させて使用することにより、輻射熱による周囲への熱損失を防止することができ、その結果、効率よく焙煎することが可能となる。
【0026】
逆に、熱源としてカセットコンロやアルコールストーブ26を使用した時のように炎の位置が低い場合は、前記遮熱板15を下方向に反転させて使用することにより、輻射熱による周囲への熱損失を防止することができ、その結果、効率よく焙煎することが可能となる。
【0027】
このように回転軸台Cを上記の構成とすることで、熱源としてカセットコンロに限らず、シングルバーナーやアルコールストーブ等の使用スペースを確保することができ、また、連結軸13及び14を回転軸として反転可能な遮熱板を備えたことにより、高さの異なる種々の熱源にも対応可能となり、さらに輻射熱による周囲への熱損失を抑えて効率のよい焙煎が可能となる。また、連結棒11及び12上には、
図1に示すように、網状の板を載置することが可能である。
【0028】
なお、ドラム本体Bは、金属製の円筒型で網状のドラム31、ドラム31の両端に嵌合される側板32a及び32b、ハンドル34、回転軸35から構成される。回転軸35は側板32a及び32bの中心部を貫通してねじ止めされ、また、ハンドル34は回転軸35に連結されているため、ハンドル34を回すことで回転軸35を介してドラム本体Bを回転することが可能となる。なお、ドラム31の形状としては、上記のとおり円筒型が好ましいが、必ずしもこれに限定されるわけではない。また、網状のドラム31としては、例えば金属で構成されたパンチング板等である。
【0029】
また、側板32bには開閉可能な投入口36が設けられており、該投入口36からドラム本体内にコーヒー豆を投入することができる。
【0030】
さらに側板32a及び32bの内側にはドラム31内に投入されたコーヒー豆を撹拌するための撹拌部37a及び37bがそれぞれ設けられており、ドラム本体Bを回転すると該撹拌部37a及び37bがドラム内部のコーヒー豆を偏りがなく均一に撹拌させるため、効率の良い焙煎が可能となる。
【0031】
本発明に係るコーヒー豆焙煎機を使用例について説明する。まず、
図5及び
図6に示すような折り畳み状態にある回転軸台Cを、連結軸5を起点としてアーム1及び2を合掌型に開き、次に連結軸7を起点としてアーム3を回転させて水平状態とするとともに、切欠部24に固定ピン8を嵌入させて一対の支柱フレームの形状を固定させる。
【0032】
なお、回転軸台Cの下部には熱源となるシングルバーナー等を設置するが、その熱源の炎の位置に応じて、遮熱板15を上下に反転させて固定して熱源に点火する。
【0033】
次に、ドラム本体Bの投入口36を開き、そこからコーヒー豆を投入して投入口36を閉じる。コーヒー豆が投入されたドラム本体Bは、回転軸35が軸受け4に載置されることで回転軸台Cとドラム本体Bが一体化される。
【0034】
そして、ハンドル4を回すことでドラム本体Bが回転し、内部に投入されたコーヒー豆は撹拌部37a及び37bにより均一に撹拌されて、効率のよい焙煎が行われる。
【0035】
使用後は、回転軸台Cを再び
図5及び
図6に示すように折り畳むことでコンパクトに収納及び持ち運びが可能となる。
【0036】
以上、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
A コーヒー豆焙煎機
B ドラム本体
C 回転軸台
1、2、3 アーム
4 軸受け
5、7 連結軸
8 固定ピン
6、9、10 固着部
11、12、13、14 連結棒
15 遮熱板
16、17、18、19、20、21、22 切欠部
23 止めピン
25 シングルバーナー
26 カセットコンロ・アルコールストーブ
31 ドラム
32a、32b 側板
34 ハンドル
35 回転軸
36 投入口
37a、37b 撹拌部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆が投入されるドラム本体(B)と、前記ドラム本体(B)を回転可能に枢支する回転軸台(C)とから構成され、前記ドラム本体(B)を回転させながら熱源の炎によりドラム本体(B)内を加熱して焙煎を行うコーヒー豆焙煎機(A)であって、前記回転軸台(C)は、アーム(1)、(2)及び(3)のからなる左右一対の支持フレームから構成され、前記アーム(1)及び(2)は連結軸(5)を支点として枢動可能に連結され、アーム(2)及び(3)は連結軸(7)を支点として枢動可能に連結された構成により折り畳み可能としたことを特徴とするコーヒー豆焙煎機。
【請求項2】
前記回転軸台(C)は、支持フレーム上部に2本の連結棒(11、12)と支持フレーム下部に2本の連結棒(13、14)とを有し、支持フレーム下部に備えられた連結棒(13、14)には上下反転可能の遮熱板(15)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコーヒー豆焙煎機。
【請求項3】
前記ドラム本体(B)は、左右の側面内側にU字状の撹拌部(37a、37b)を少なくともそれぞれ対角に備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコーヒー豆焙煎機。