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特開2024-104328室外機の保護部材および冷凍サイクル装置
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  • 特開-室外機の保護部材および冷凍サイクル装置 図1
  • 特開-室外機の保護部材および冷凍サイクル装置 図2
  • 特開-室外機の保護部材および冷凍サイクル装置 図3
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  • 特開-室外機の保護部材および冷凍サイクル装置 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104328
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】室外機の保護部材および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/56 20110101AFI20240729BHJP
【FI】
F24F1/56
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008469
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗山 卓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀昭
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA02
3L054BD01
3L054BD07
(57)【要約】
【課題】
室外機本体への固定の作業効率が高い室外機の保護部材および冷凍サイクル装置を提供することである。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る室外機の保護部材は、金属製のワイヤーを主体に構成された縦方向に延びる複数の縦条部材および横方向に延びる複数の横条部材を格子状に配置して形成される。複数の横条部材のうち一部は、室外機の上方または下方へ突出するように曲げて形成された略U字状の固定部を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置の室外機の外表面に取り付けられた保護部材であって、
金属製のワイヤーを主体に構成された縦方向に延びる複数の縦条部材および横方向に延びる複数の横条部材を格子状に配置して形成され、
複数の前記横条部材のうち一部は、前記室外機の上方または下方へ突出するように曲げて形成された略U字状の固定部を有することを特徴とする室外機の保護部材。
【請求項2】
前記略U字状の固定部は、ねじによって前記室外機に固定されることを特徴とする請求項1に記載の室外機の保護部材。
【請求項3】
室外機の外表面に、請求項1または2に記載の保護部材を備える冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、室外機の保護部材および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置の一種である空気調和機の室外機の内部には、熱交換器が設けられている。この熱交換器の一部は、室外機から外部に露出しており、熱交換器の露出部分を保護するための保護部材が設けられている。
【0003】
従来、この熱交換器の露出部分を保護するために、特許文献1に記載のように、熱交換器の露出部分にリアガードを設ける方法が考案されてきた。リアガードは、複数本の縦桟と横桟とを網目状に組み合わせたものであり、複数本の横桟の一部の一方の端部を室外機本体の係止部に係止させ、複数本の横桟の一部の他方の端部を熱交換器の端部の孔部に差し込むとともに、室外機本体のパネルで抑え込むことで固定されている。
【0004】
しかし、上述した方法では、横桟の一部の一方の端部(U字状部)を室外機本体の係止部に係止する際に、リアガードをU字状部および係止部の形状に応じて移動させながら係止する必要があり、リアガードの固定に時間と手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4980249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、室外機本体への固定の作業効率が高い室外機の保護部材および冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る室外機の保護部材は、金属製のワイヤーを主体に構成された縦方向に延びる複数の縦条部材および横方向に延びる複数の横条部材を格子状に配置して形成される。複数の横条部材のうち一部は、室外機の上方または下方へ突出するように曲げて形成された略U字状の固定部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の傾斜図。
図2】本発明の第一の実施形態に係る室外機の保護部材の全体図。
図3】本発明の第一の実施形態に係る室外機の保護部材の中央部の部分的な拡大図。
図4】本発明の第一の実施形態に係る室外機の保護部材の横方向中央部に位置する固定部の部分的な拡大図。
図5】本発明の第一の実施形態に係る室外機の保護部材の横方向両端部に位置する固定部の部分的な拡大図。
図6】従来の室外機の保護部材における円形状の固定部の部分的な拡大図。
図7】従来の室外機の保護部材における矩形形状の固定部の部分的な拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下、本発明に係る室外機の保護部材について、図1図7を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機1の傾斜図である。
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和機は、室外機1と、室内機(図示省略)と、を備えている。室外機1の設置場所は、建築物の室外である。室外機1は、実質的に水平な基礎の上、つまり設置面に設置される。室内機の設置場所は、建築物の室内である。室内機は、室内の天井に埋め込まれたり、天井や梁から吊り下げられたりして設置される。
【0011】
また、空気調和機は、冷凍サイクル(図示省略)を備えている。冷凍サイクルは、熱源側の熱交換器2と、圧縮機と、利用側の熱交換器と、膨張弁と、これらの機器に冷媒を循環させる冷媒管と、を備えている。このとき、冷凍サイクルは、空気調和機の冷却運転と加熱運転とを切り替える四方弁を備えていてもよい。
さらに、空気調和機は、冷暖同時運転型であってもよい。冷暖同時運転型の空気調和機は、複数の室内機と、少なくとも1つの室外機と、複数の室内機と少なくとも1つの室外機との間で冷媒を往来させる複数の渡り管と、を備えている。複数の渡り管は、圧縮機から吐出された高圧のガス冷媒を流通させる高圧ガス管と、熱源側の熱交換器2で凝縮された液冷媒を流通させる液管と、利用側の熱交換器で熱交換された低圧のガス冷媒を圧縮機へ流通させる低圧ガス管と、を含んでいる。
【0012】
室外機1は、冷凍サイクルの熱源側の熱交換器2、圧縮機、四方弁、第一電気部品箱、および第二電気部品箱を収容している。室内機は、冷凍サイクルの利用側の熱交換器を収容している。膨張弁は、室内機に収容されてもよいし、室外機1に収容されてもよい。また、膨張弁は、室外機1および室内機の両方に設けられてもよい。
【0013】
室外機1と室内機とは、渡り管を介して接続されている。渡り管は、冷媒管の一部である。空気調和機は、室外機1側の熱交換器2と室内機側の熱交換器との間で冷媒を循環させて室内の空気を調和する。
【0014】
本実施形態に係る空気調和機の室外機1は、高さ寸法よりも幅寸法が小さく、かつ幅寸法よりも奥行き寸法が小さい直方体形状の筐体3と、筐体3に設けられるモータベース(図示省略)と、モータベースに支持される送風機4と、を備えている。
【0015】
筐体3の内部には、熱交換器2および圧縮機を収容する機械室5と、送風機4を収容する送風機室6と、が区画されている。機械室5は、筐体3内の下部に配置されている。送風機室6は、機械室5の上方に配置されている。送風機室6の上面には、吹出口7を有するベルマウス8が設けられている。
【0016】
送風機室6には、左送風機4Lと右送風機4Rとの2つの送風機4が配置されている。左送風機4Lの真上には、左吹出口7Lを有する左ベルマウス8Lが設けられている。右送風機4Rの真上には、右吹出口7Rを有する右ベルマウス8Rが設けられている。つまり、室外機1は、複数の送風機4と、送風機4と同数の吹出口7と、ベルマウス8と、を備えている。
【0017】
筐体3は、フレーム9と、フレーム9の側面を覆う外板10と、を備えている。
【0018】
フレーム9は、鋼板の板金加工品である複数の部材の組立品である。各部材は、ねじ止めや溶接によって接合されている。フレーム9は、筐体3の底面に配置されるベースフレーム11と、ベースフレーム11の四隅それぞれから上方へ平行に延びる4つのピラー12と、隣り合うピラー12の間のそれぞれ架け渡される4つのビーム(図示省略)と、を備えている。これら4つのピラー12は、実質的に同じ長さ寸法を有している。4つのピラー12の長さは、筐体3の高さに相当する。
【0019】
ベースフレーム11は、設置面に平行に延びて、井桁状に組み合わされた複数の桁材13を備えている。複数の桁材13は、筐体3の正面に沿う前桁材13F、筐体3の背面に沿う後桁材13R、前桁材13Fと後桁材13Rとの間に架設される複数の縦桁材13Cと、を含んでいる。前桁材13Fと後桁材13Rとは、平行に延びている。前桁材13Fの左端は、筐体3の底部の左前の角部に相当し、前桁材13Fの右端は、筐体3の底部の右前の角部に相当する。後桁材13Rの左端は、筐体3の底部の左後ろの角部に相当し、後桁材13Rの右端は、筐体3の底部の右後ろの角部に相当する。
【0020】
後桁材13Rには、中央部から上方へ延びるセンターピラー12Cが設けられている。換言すると、センターピラー12Cは、左後ろのピラー12LRと右後ろのピラー12RRとの間に、筐体3の高さ方向、つまり筐体3が水平面に接地された状態における鉛直方向に向けて延びている。
【0021】
4つのビームは、ピラー12の長さの中途であって、筐体3の高さ方向において、実質的に同じ箇所に架け渡されている。換言すると、ビームは、筐体3を設置面に接地した状態で、実質的に設置面に平行に延びている。4つのビームは、機械室5と送風機室6との境である。4つのビームより下方の筐体3の内部空間は、機械室5であり、4つのビームより上方の筐体3の内部空間は、送風機室6である。
4つのビームは、左前のピラー12(図示省略)と右前のピラー12RFとに架け渡されるフロントビーム(図示省略)と、左後ろのピラー12LRと右後ろのピラー12RRとに架け渡されるリアビーム(図示省略)と、を含んでいる。これらフロントビームとリアビームとは、平行に延びている。さらに、筐体3は、4つのビームの他に、フロントビームとリアビームとに架け渡されるセンタービーム(図示省略)を備えている。
【0022】
外板10は、筐体3の機械室5の正面、すなわち前の側面を覆い、かつ同一面内で適宜分割されている。外板10は、鋼板の板金加工品である複数の部材を含んでいる。それぞれの部材は、フレーム9にねじ止めされている。筐体3の背面、左側面および右側面は、開口部を有している。この開口部には、熱交換器2が露出している。
【0023】
保護部材14は、筐体3の背面、左側面および右側面の開口部から露出する熱交換器2を覆い、ピラー12にねじ等の締結部材15で固定されている。
【0024】
室外機1に収容される熱交換器2は、左熱交換器2Lおよび右熱交換器2Rを含んでいる。熱交換器2は、ピラー12で囲まれる筐体3の背面、左側面および右側面のそれぞれに沿っている。それぞれの熱交換器2は、筐体3の平面視でコの字形状に形成された板状の熱交換器2であり、コの字の開口部を筐体3の正面である外板10へ向けている。そのため、筐体3の機械室5は、背面、左側面および右側面の開口に露出する熱交換器2に直接外気を送り込み、送風機室6へ外気が抜ける構造を有している。
【0025】
フロントビームは、断面L字形状の鋼板の一体成形品である。フロントビームは、左前のピラー12と右前のピラー12RFとの間に水平に架け渡されている。フロントビームの左端は、左前のピラー12にねじ止め、または溶接されている。フロントビームの右端は、右前のピラー12RFにねじ止め、または溶接されている。断面L字形状のフロントビームは、筐体3の正面に沿う第一板部(図示省略)と、筐体3の正面から筐体3の内側へフランジ状に突出する第二板部(図示省略)と、を有している。
【0026】
リアビームは、フロントビームの鏡像の形状を有している。リアビームは、断面L字形状の鋼板の一体成形品である。リアビームは、左後ろのピラー12LRと右後ろのピラー12RRとの間に水平に架け渡されている。リアビームの左端は、左後ろのピラー12LRにねじ止め、または溶接されている。リアビームの右端は、右後ろのピラー12RRにねじ止め、または溶接されている。断面L字形状のリアビームは、筐体3の背面に沿う第一板部と、筐体3の背面から筐体3の内側へフランジ状に突出する第二板部と、を有している。
【0027】
センタービームは、フロントビームの中央部とリアビームの中央部との間に、筐体3の奥行き方向へ水平に架設されている。センタービームの上端には、ベルマウス8を支持する支持部(図示省略)が設けられている。センタービームの筐体3の前側には、第一切欠部(図示省略)が設けられている。フロントビームの第一板部の中央部には、第二切欠部(図示省略)が設けられている。これら第一切欠部と第二切欠部との間には、第二電気部品箱を搭載する搭載部(図示省略)が水平に設けられている。
【0028】
モータベースは、板金加工された鋼板の一体成形品である。モータベースは、一対の横架材としてのフロントビームおよびリアビームに架設されている。つまり、モータベースは、筐体3の奥行き方向へ架設されている。室外機1は、複数の送風機4と同数のモータベース、つまり2つのモータベースを備えている。左モータベースは、左送風機4Lを支えている。右モータベースは、右送風機4Rを支えている。
【0029】
2つの送風機4、つまり左送風機4Lおよび右送風機4Rは、筐体3の水平方向であって、筐体3の幅方向へ並んでいる。2つの送風機4は、筐体3の内側から空気を吸い込んで筐体3の上方へ吹き出す。つまり、左送風機4Lは、もっぱら左熱交換器2Lを介して空気を吸い込み、左ベルマウス8Lの左吹出口7Lから筐体3の上方へ空気を吹き出す。また、右送風機4Rは、もっぱら右熱交換器2Rを介して空気を吸い込み、右ベルマウス8Rの右吹出口7Rから筐体3の上方へ空気を吹き出す。
送風機4は、モータベースに支持される電動機(図示省略)と、電動機によって回転駆動される羽根車(図示省略)と、を備えている。送風機4は、筐体3の高さ方向、つまり筐体3が水平面に接地された状態における鉛直方向に電動機の回転軸(図示省略)を向けている。
【0030】
第一電気部品箱は、機械室5の前方上部に配置され、左前のピラー12およびフロントビームに支持されている。第一電気部品箱は、制御回路や駆動回路などを含む各種の電気部品を収容している。
【0031】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る室外機1の保護部材の全体図である。
図1に加えて、図2に示すように、本発明の第一の実施形態に係る室外機1は、熱交換器2の露出部分を保護する保護部材14を備えている。
【0032】
次に、室外機1の保護部材14の構成について説明する。保護部材14は、図1に示すように、筐体3の熱交換器2側、つまり筐体3の正面、左側面および右側面に着脱可能に取り付けられて、熱交換器2の露出部分を覆っている。
【0033】
図2に示すように、保護部材14は、複数の条部材21、22を格子状に配置して構成されている。本実施形態の場合、保護部材14は、複数の縦条部材21と、複数の横条部材22と、をそれぞれ直交するように配置することで、格子網状に形成されている。条部材21、22は、例えば金属製のワイヤーや細長い棒状の部材を主体に構成されている。そして、条部材21、22は、金属製のワイヤー等をウレタン等の樹脂で被覆して構成されている。
例えば、保護部材14は、次のように製造される。まず、所定の長さに切り揃えた金属製のワイヤーを格子状、つまり縦方向および横方向に等間隔に配置する。そして、縦方向に延びるワイヤー、つまり縦条部材21と、横方向に延びるワイヤー、つまり横条部材22との交差部分を溶接し、その後、縦条部材21および横条部材22をウレタン等の樹脂で被覆する。なお、条部材21、22の材質は、上記したものに限定されるものではなく、金属のみや樹脂のみで構成されたものであってもよい。また、本実施形態の場合、縦条部材21および横条部材22は、それぞれ同一外径のワイヤーで構成されているが、縦条部材21と横条部材22の外径は異なっていてもよい。
【0034】
図3に、本発明の第一の実施形態に係る室外機の保護部材の中央部の部分的な拡大図を示す。また、図4に、本発明の第一の実施形態に係る室外機の保護部材14の横方向中央部に位置する固定部30の部分的な拡大図を示し、図5に保護部材14の横方向両端部に位置する固定部31の部分的な拡大図を示す。
【0035】
図2に加えて、図3図5に示すように、保護部材14の複数の横条部材22のうち一部は、室外機1の上方へ突出するように曲げて形成された略U字状の固定部30、31を有している。固定部30、31は、ねじ等の締結部材15によって、筐体3に取り付けられている。
【0036】
図2に示すように、本発明の第一の実施形態の場合、固定部31は、縦方向に並んで配置された13本の横条部材22のうち、上から数えて2本目の横条部材22、下から数えて2本目の横条部材22および縦方向中央(上から数えて7本目)の横条部材22の両端部、つまり左後ろのピラー12LRおよび右後ろのピラー12RR側に設けられている。さらに、固定部31が設けられている横条部材22の中央部、つまりセンターピラー12C上には、横条部材22に加えて、固定部30を有する固定用横条部材23が設けられている。この固定用横条部材23は、隣り合う2本の縦条部材21の間に架設され、横条部材22と平行に並んでいる。図3では、固定用横条部材23の長さは、隣り合う2本の縦条部材21間の距離と同程度であるが、固定用横条部材23の長さと縦条部材21間の距離は異なっていてもよい。
【0037】
保護部材14の横方向中央部に位置する固定部30は、締結部材15によって、センターピラー12Cに締結され、保護部材14の横方向両端部に位置する固定部31は、締結部材15によって、左後ろのピラー12LRおよび右後ろのピラー12RRに締結され、筐体3に取り付けられている。
【0038】
固定部30、31は、図4図5に示すように、第一直線部32と、第二直線部33と、円弧部34と、を一体に有している。
【0039】
第一直線部32は、横条部材22の両端部と同一である。第二直線部33は、第一直線部32から室外機1の上方、つまり送風機4側へ向かって延びている。円弧部34は、緩やかな曲線形状であり、横方向に平行に並んで配置された2本の第二直線部33を連結している。2本の第二直線部33は、円弧部34と反対側に開口部35を形成している。このとき、2本の第二直線部33間の距離は、例えば、締結部材15のねじ部外径寸法と同等、またはねじ部外径寸法よりも大きいことが好ましい。また、第二直線部33、円弧部34、開口部35の形状は、ねじ等の締結部材15の挿通と締結を阻害しない形状に構成されていればよく、例えば、円弧部34は、略180°の円弧状に形成されており、2本の第二直線部33は、互いに平行に配置されていることが好ましい。
【0040】
さらに、第二直線部33は、第一直線部32から室外機1の下方、つまり桁材13側へ向かって延びていてもよい。ここで、保護部材14に設けられる固定部30、31は、全てが略同一形状で、かつ同一方向に形成されていてもよい。すなわち、全ての固定部30、31の円弧部34が上に凸の円弧状に形成され、開口部35が下方側に開口した状態である。
【0041】
ここで、固定部30、31は、熱交換器2やピラー12と縦条部材21、横条部材22とが、離間するための曲げ部等を備えてもよい。また、固定部30は、第一直線部32と第二直線部33と円弧部34を全て同一平面上に形成し、固定部31は、第一直線部32と第二直線部33の前後方向に亘る連結部を設けて形成してもよい。
【0042】
ピラー12は、固定部31に対応する位置に、図示しないねじ穴が形成されている。そして、締結部材15は、固定部31に挿通された後、ピラー12の図示しないねじ穴にねじ込まれる。これにより、保護部材14の固定部31は、ねじ等の締結部材15を介して、ピラー12に固定される。保護部材14の固定部31は、筐体3に取り付けられる。なお、固定部31の数や配置は、保護部材14のサイズや取り付け対象となる室外機1のサイズ等に応じて適宜変更することができる。
【0043】
上記のように構成することで、ねじ等の締結部材15を完全に着脱することなく、締緩作業の後に、保護部材14を上下方向に移動させることで、保護部材14の着脱を行うことが容易となる。すなわち、保護部材14を取り付ける場合は、締結部材15を仮止めしてある状態で、保護部材14の固定部30、31を締結部材15へ係止させた後、締結部材15を締め付けできる。保護部材14が取り付けられた状態から、全ての締結部材15を緩めた後に、保護部材14を上方へずらすことで取り外しが可能となる。
【0044】
以上説明した実施形態によれば、保護部材14は、複数の条部材21、22を格子状に配置して形成されている。保護部材14の複数の横条部材22のうち一部は、室外機1の上方、つまり送風機4側、または室外機1の下方、つまり桁材13側へ突出するように曲げて形成された略U字状の固定部30、31を有している。
【0045】
これによれば、作業者は、保護部材14に設けられた固定部30、31をピラー12にねじ止めすることで、保護部材14の固定部30、31を筐体3に容易に取り付けることができる。さらに、固定部30、31の2本の第二直線部33は、横方向に平行に並んで配置され、かつ2本の第二直線部33間の距離は、ねじ等の締結部材15を容易に挿通することができる大きさであるため、固定部30、31のねじ止めには手間や時間がかからない。
【0046】
また、従来の保護部材14をピラー12に固定する固定部30の形状は、図6に示すような円形状や、図7に示すような矩形形状がほとんどであった。そのため、固定部30が円形状の場合には、ねじ等の締結部材15をピラー12から完全に外さなければ、保護部材14を筐体3から取り外すことができなかった。さらに、ピラー12から外したねじを紛失する恐れもあった。また、固定部30が矩形形状の場合には、ねじ等の締結部材15の締め過ぎにより、締結部材15の外径寸法より2本の横条部材22間の距離が広がり、ねじ止めができなくなっていた。さらに、固定部30を矩形形状にするためには、横条部材22を多く使用する必要があり、製造コストも増加していた。
これに対して、本実施形態の場合において、保護部材14をピラー12に固定する固定部30、31は、室外機1の上方または下方へ突出するように曲げて形成された略U字状である。そのため、ねじ等の締結部材15をピラー12から完全に外さなくても、ねじ等の締結部材15を円弧部34から2本の第二直線部33間を滑らせ、開口部35へ通すように保護部材14を動かすことで、保護部材14を筐体3から容易に取り外すことができる。
【0047】
また、保護部材14を取り付ける際には、ねじ等の締結部材15を仮止めし、保護部材14の固定部30、31を仮掛けした後に、締結部材15を本締めすることで、容易な作業で強固な固定構造とすることができる。このような構成によって、たとえ大型の筐体を有する室外機等や単独の作業者であっても、容易に保護部材14の着脱作業を行うことができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、保護部材14に設けられる固定部30、31は、全ての円弧部34が上に凸の円弧状に形成され、開口部35が下方側に開口した状態の場合について説明したが、全ての固定部30、31の円弧部34が下方に位置し、開口部35が上方に位置したものとしてもよい。
【0049】
(第二の実施形態)
図2では、全ての固定部30、31が同一方向へ突出しているが、1つの保護部材14において、室外機1の上方または下方へ突出する固定部30、31が、混在してもよい。
例えば、横条部材22の両端部、つまり左後ろのピラー12LRおよび右後ろのピラー12RR側に設けられた固定部31は、室外機1の下方へ突出するように曲げて形成された略U字状とする。一方で、横条部材22の中央部、つまりセンターピラー12C上に設けられた固定部30は、室外機1の上方へ突出するように曲げて形成された略U字状とする。
【0050】
この場合、筐体3から保護部材14を外すには、まず横条部材22の固定部30、31を締め付けるねじを緩める。次に、保護部材14を室外機1の下方へ引き下げ、横条部材22の両端部を固定するねじ等の締結部材15から固定部31を取り外す。このとき、保護部材14は、金属製のワイヤーで構成されているため、横条部材22の中央部の弾性変形により、容易に横条部材22の両端部を筐体3から取り外すことができる。最後に、保護部材14を室外機1の上方へ持ち上げ、横条部材22の中央部を固定するねじ等の締結部材15から固定部30を取り外す。このとき、横条部材22の中央部に設けられた固定部30は、室外機1の上方へ突出するように曲げて形成された略U字状であるため、締結部材15に固定部30が掛着し、重力による下方への落下を防ぐ。
【0051】
保護部材14は、筐体3の正面、左側面および右側面の開口部から露出する熱交換器2を覆うため、大型で重量も大きいことがほとんどである。万が一、作業者が保護部材14から手を放してしまった場合でも、横条部材22の中央部に設けられた固定部30が、室外機1の上方へ突出するように曲げて形成された略U字状であれば、保護部材14の落下を防ぐことができる。
【0052】
さらに、保護部材14の取り付け時には、横条部材22の両端部に設けられた固定部31よりも中央部に設けられた固定部30を先にねじ止めすれば、中央部の固定部30に保護部材14を掛着させた上で、両端部の固定部31をねじ止めすることができ、安全かつ容易に保護部材14を取り付けることができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発名の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…室外機
2…熱交換器
2L…左熱交換器
2R…右熱交換器
3…筐体
4…送風機
4L…左送風機
4R…右送風機
5…機械室
6…送風機室
7…吹出口
7L…左吹出口
7R…右吹出口
8…ベルマウス
8L…左ベルマウス
8R…右ベルマウス
9…フレーム
10…外板
11…ベースフレーム
12…ピラー
12RF…右前のピラー
12LR…左後ろのピラー
12RR…右後ろのピラー
12C…センターピラー
13…桁材
13F…前桁材
13R…後桁材
13C…縦桁材
14…保護部材
15…締結部材
21…縦条部材
22…横条部材
23…固定用横条部材
30…横方向中央部に位置する固定部
31…横方向両端部に位置する固定部
32…第一直線部
33…第二直線部
34…円弧部
35…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7