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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104329
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】内装建材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20240729BHJP
   E04F 15/04 20060101ALI20240729BHJP
   E04F 15/08 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
E04F15/02 A
E04F15/04 601Z
E04F15/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008470
(22)【出願日】2023-01-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年9月9日に大建工業株式会社および利昌工業株式会社が、NEDO主催の「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発事業およびNEDO人材育成講座合同 事業者交流会&ミニ展示会」にて、山下達也らが発明した「内装建材」に関連し、CNF技術を利用した住宅・非住宅用内装建材の開発の展示を行った。 [刊行物等] 令和4年10月12日~14日に大建工業株式会社および利昌工業株式会社が、「BioJapan 2022」にて、山下達也らが発明した「内装建材」に関連し、CNF技術を利用した住宅・非住宅用内装建材の開発の展示を行った。 [刊行物等] 令和4年11月8日に大建工業株式会社および利昌工業株式会社が、ふじのくにCNFフォーラム、静岡県および富士市主催の「ふじのくにCNF総合展示会」にて、山下達也らが発明した「内装建材」に関連し、CNF技術を利用した住宅・非住宅用内装建材の開発の展示を行った。 [刊行物等] 令和4年12月7日~9日に大建工業株式会社および利昌工業株式会社が、RX Japan株式会社主催の「第2回サステナブルマテリアル展(SUSMA)」にて、山下達也らが発明した「内装建材」に関連し、CNF技術を利用した住宅・非住宅用内装建材の開発の展示を行った。
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 達也
(72)【発明者】
【氏名】馬場 大輔
(72)【発明者】
【氏名】連 綾香
(72)【発明者】
【氏名】石黒 成紀
(72)【発明者】
【氏名】川邊 伸夫
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA12
2E220AA16
2E220AA26
2E220AC01
2E220BA01
2E220BB04
2E220EA02
2E220FA01
2E220GA12X
2E220GA22X
2E220GA25X
2E220GA25Y
2E220GA27Y
2E220GB11Y
2E220GB12Y
2E220GB32X
2E220GB38X
2E220GB42X
2E220GB43Y
(57)【要約】
【課題】内装建材を傷が付きにくいものにする。
【解決手段】内装建材1,1’,1’’を木質ボード又は無機ボードからなる基材2,2’,2’’にセルロースナノファイバー成形体3,3’’が積層されたものにする。セルロースナノファイバー成形体3’’には、熱硬化性樹脂を含浸させてもよい。セルロースナノファイバー成形体3,3’’の層の厚さは、0.5mm以上2.0mm以下としてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質ボードからなる基材にセルロースナノファイバー成形体が積層されている
ことを特徴とする内装建材。
【請求項2】
無機ボードからなる基材にセルロースナノファイバー成形体が積層されている
ことを特徴とする内装建材。
【請求項3】
前記セルロースナノファイバー成形体が、熱硬化性樹脂を含浸させている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内装建材。
【請求項4】
前記セルロースナノファイバー成形体の層の厚さは、0.5mm以上2.0mm以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内装建材。
【請求項5】
前記セルロースナノファイバー成形体の層を表面材とする床材である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内装建材。
【請求項6】
前記セルロースナノファイバー成形体の表面側に化粧仕上層が形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内装建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノファイバー(CNF)の成形体で覆われた内装建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の上に木質繊維板が接着され、この木質繊維板の上に表面化粧材が水性接着剤を介して接着されて一体化された木質床材は知られている(例えば、特許文献1参照)。木質繊維板に代表されるMDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)は、長さ0.5~10mm程度の木材繊維若しくは植物繊維を主な原料として、繊維を比重0.6~1.0程度にまで圧締して成形した木質材料である。そのMDFの表面に天然銘木を薄くスライスして形成された薄シート状の突板等よりなる表面化粧板を接着している。表面化粧板として、美観性、素材感等の観点からナラ、オーク、クルミ、ウォールナット、ビーチ、バーチ等の突板が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-2246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、内装用建材として、例えば床であれば、フローリング用基材として、合板若しくはMDF、パーティクルボード、OSB(Oriented Strand Bord:配向性ストランドボード)等の木質ボードが使用されているが、いずれも表面硬度が不足しており、重量物などが落下した場合などに、床が凹んだり傷が付いたりしやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内装建材を傷が付きにくいようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、基材をセルロースナノファイバー(CNF)の成形体で覆うようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、木質ボードからなる基材にセルロースナノファイバー成形体が積層されている。
【0008】
セルロースナノファイバー(CNF)は、通常、木材などの植物繊維の主成分であるセルロースをナノサイズ(1mmの百万分の1)にまで細かく解きほぐすことにより得られる木質バイオマス資源のことをいい、軽量かつ頑丈で寸法が安定しているという特徴がある。一方、基材となる木質ボードは、一般的な針葉樹又は広葉樹の木材チップを原料とした板材であり、木質ボード単体では硬度が十分ではないが、上記の構成によると、木質ボードの表面に硬さの硬いセルロースナノファイバー成形体を積層することで、表面硬度が向上し、重量物、椅子のキャスターなどで傷が付きにくくなる。
【0009】
第2の発明では、
無機ボードからなる基材にセルロースナノファイバー成形体が積層されている。
【0010】
ロックウール等で形成された無機ボードは、例えば、軽量で防火性能に優れた不燃材料としての特徴を有するものの表面硬度は十分ではない。しかし、上記の構成によると、無機ボードの表面に硬さの硬いセルロースナノファイバー成形体を積層することで、表面硬度が向上し、重量物、椅子のキャスターなどで傷が付きにくくなる。
【0011】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
前記セルロースナノファイバー成形体が、熱硬化性樹脂を含浸させている。
【0012】
上記の構成によると、樹脂含有により力学特性が向上し、また水や湿度による寸法変化が低減されるので、CNFの硬さを活かした内装建材が得られる。
【0013】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
前記セルロースナノファイバー成形体の層の厚さは、0.5mm以上2.0mm以下である。
【0014】
セルロースナノファイバー成形体の層の厚さが0.5mmよりも薄いと、基材の影響を受けやすく、セルロースナノファイバー成形体を積層した効果が現れにくくなる。また、2.0mmよりも厚いと、質量やコストが高くなりすぎる。しかし、上記の構成によると、質量やコストを抑えながら、MDFに比べて薄い構成で十分な表面硬度が得られる。
【0015】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
前記セルロースナノファイバー成形体の層を表面材とする床材である。
【0016】
上記の構成によると、重量物がおかれたり、キャスターが行き来したりする、負荷の大きい床材として使用した場合でも、表面にセルロースナノファイバー成形体を積層することで、表面硬度が向上し、重量物、椅子のキャスターなどで傷が付きにくくなる。
【0017】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、
前記セルロースナノファイバー成形体の表面側に化粧仕上層が形成されている。
【0018】
上記の構成によると、セルロースナノファイバー成形体の表面には、意匠性に優れた化粧仕上層も積層しやすく、積層した場合でも硬度を保ちやすい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、木質ボード又は無機ボードからなる基材に表面硬度の高いセルロースナノファイバー成形体を積層させたので、傷の付きにくい内装建材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】木質ボードにセルロースナノファイバー成形体を積層した内装建材を示す断面図である。
図2】木質ボードにセルロースナノファイバー成形体を積層した内装建材に対して行った落球試験及びブリネル硬さ試験の結果を示す表である。
図3】無機ボードにセルロースナノファイバー成形体を積層した内装建材を示す断面図である。
図4】無機ボードにセルロースナノファイバー成形体を積層した内装建材に対して行った落球試験及びブリネル硬さ試験の結果を示す表である。
図5】木質ボード又は無機ボードにフェノール樹脂を含浸させたセルロースナノファイバー成形体を積層した内装建材を示す断面図である。
図6】木質ボード又は無機ボードにフェノール樹脂を含浸させたセルロースナノファイバー成形体を積層した内装建材に対して行ったキャスター試験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態1及び2)
図1は本発明の実施形態1の木質ボードからなる基材2にセルロースナノファイバー成形体3が積層された内装建材1を示す。この内装建材1は、例えば、セルロースナノファイバー成形体3の層を表面材とする床材である。セルロースナノファイバー(CNF)は、通常、木材などの植物繊維の主成分であるセルロースをナノサイズ(1mmの百万分の1)にまで細かく解きほぐすことにより得られる木質バイオマス資源のことをいい、軽量かつ頑丈で寸法が安定しているという特徴がある。本実施形態では、セルロースナノファイバー成形体は、セルロース100%で構成されている。
【0023】
セルロースナノファイバー成形体3の表面側に化粧シート、化粧突板等よりなる化粧仕上層が形成されていてもよい。セルロースナノファイバー成形体3は、化粧仕上層を設けやすい。
【0024】
セルロースナノファイバー成形体3は、そのファイバーそのものが非常に微細であるため、密度は一般的な木質繊維板であるMDFの約1.7~1.8倍(MDFが800kg/mであるのに対しセルロースナノファイバー成形体3は1390~1460kg/m)である。
【0025】
基材2と、セルロースナノファイバー成形体3とは、一定以上の厚さ、例えば厚さ0.05~0.2mmの接着層(図示せず)を介して接合されている。この接着層として樹脂含浸紙が好適に用いられる。樹脂含浸紙を用いた接着構造は、例えば硬化したメラミン含浸紙を接着剤で貼り合わせた構造や、メラミン等の未硬化含浸紙を挟んで熱圧硬化で貼り合わせた構造がある。樹脂含浸紙の他に、基材2又はセルロースナノファイバー成形体3の接着面に、例えば固形分塗布量15g/尺2以上で塗布された例えば酢酸ビニル系の樹脂、PUR接着剤(poly urethanereactive)ホットメルト等で接着層Dを構成することもできる。
【0026】
基材2は、一般的な針葉樹又は広葉樹の木材チップを原料とした木質ボードよりなり、その材料は、特に限定されない。
【0027】
一方、図3は、本発明の実施形態2に係る、無機ボードからなる基材2’にセルロースナノファイバー成形体3が積層された内装建材1’を示す。基材2’は、ロックウール等で形成された無機ボードよりなり、軽量で防火性能に優れた不燃材料としての特徴を有するものが多い。無機ボードの種類は特に限定されない。
【0028】
-実施例-
次に、本実施形態に係る内装建材1,1’の実施例とその比較例について説明する。
【0029】
図2に示すように、実施例1~4は、実施形態1に係る内装建材1に関するものであり、実施例1~3の基材2が厚さ9mmの国産針葉樹合板よりなり、セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mm、1.0mm、2.0mmで異なる。実施例4は、基材2が厚さ9mmの広葉樹合板よりなる点で異なり、セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mmである。
【0030】
一方、比較例1は、厚さ9mmの国産針葉樹合板そのものであり、比較例2は、厚さ9mmの国産針葉樹合板に2.7mmの厚さのMDFが積層されたものよりなる。比較例3は、厚さ9mmの広葉樹合板そのものである。
【0031】
図4に示すように、実施例5は、実施形態2に係る内装建材1’に関するものであり、実施例5の基材2’が厚さ3.2mmの無機ボードよりなり、セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mmである。一方、比較例4は、厚さ3.2mmの無機ボードそのものである。
【0032】
これら実施例1~5及び比較例1~4に対して落球衝撃試験及びブリネル硬さ試験を行った結果を図2及び図4に示す。
【0033】
(落球衝撃試験)
落球衝撃試験(鋼球落下試験)は、日本複合・防音床工業会「複合・防音床材品質試験規格」の鋼球落下試験に準じて行った。具体的には、砂上に試験片を固定し、重量500gで直径50mmの鋼球を高さ750mmから自然落下させ、それによって生じた凹みをダイヤルゲージにて測定した。
【0034】
図2上側に示すように、まず、基材2が国産針葉樹の合板である場合、比較例1を基準としてその凹みの深さを100とすると、比較例2が、その28.6%となり、比較例1に対して硬度が高いことが分かる。実施例1~3については、62.9%、40.0%、14.3%となり、比較例1に対しては十分に硬度が向上していることが分かる。比較例2と同等以上の硬さになるには、セルロースナノファイバー成形体3の厚さが2.0mm必要であるが、その場合でも、MDFの厚さ2.7mmに対して厚さが0.7mm薄くなって有利である。
【0035】
次いで、図2下側に示すように、基材2が広葉樹の合板である場合、比較例3を基準としてその凹みの深さを100とすると、実施例4については、57.6%となり、比較例3に対しては十分に硬度が向上している。セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mmと薄くてもMDFと同等の表面硬度が得られるので、内装建材1全体の厚さが薄くなって有利である。
【0036】
さらに、図4に示すように、基材2が無機ボードである内装建材1’の場合、比較例4を基準としてその凹みの深さを100とすると、実施例5については、31.3%となり、比較例4に対しては十分に硬度が向上していることが分かる。この場合、セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mmと薄くても十分な表面硬度が得られることが分かる。
【0037】
(ブリネル硬さ試験)
ブリネル硬さ試験は、JIS Z 2101「木材の試験方法」に準じて行った。具体的には、試験体に直径10mm鋼球を0.5mm/minの速度で、深さ0.32(1/π)mmまで圧入し、そのときの押込荷重を、除荷後に残った凹みの表面積で割ったものである。
【0038】
図2上側に示すように、まず、基材2が国産針葉樹の合板である場合、比較例1を基準としてその値を100とすると、比較例2が、その199%となり、比較例1に対して硬度が高いことが分かる。実施例1~3については、191%、248%、330%となり、比較例1に対しては2~3倍程度硬度が向上していることが分かる。セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mmであっても、比較例2と同程度の硬さとなることが分かった。その場合、MDFの厚さ2.7mmに対して2.2mm薄くなって有利である。
【0039】
次いで、図2下側に示すように、基材2が広葉樹の合板である場合、比較例3を基準としてその値を100とすると、実施例4については、162%となり、比較例3に対しては十分に硬度が向上している。セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mmと薄くてもMDFと同等の表面硬度が得られるので、内装建材1全体の厚さが薄くなって有利である。
【0040】
さらに、図4に示すように、基材2が無機ボードの内装建材1’である場合、比較例4を基準としてそのその値を100とすると、実施例5については、109%となり、セルロースナノファイバー成形体3の厚さが0.5mmと薄くても、比較例4に対して若干だが表面硬度が向上していることが分かる。
【0041】
(実施形態3)
図5は本発明の実施形態3に係る熱硬化性樹脂を含浸させたセルロースナノファイバー成形体3’’が積層された内装建材1’’を示し、セルロースナノファイバー成形体3’’が熱硬化性樹脂を含浸させている点で上記実施形態2と異なる。基材2’’は、図6に示すように、無機ボードでも木質ボードでもよい。なお、以下の各実施形態では、図1と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0042】
含浸させる熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂であるが、含浸させる材料や含浸方法は特に限定されない。例えば、厚さ2.0mmのセルロースナノファイバー成形体3のブリネル硬さが28.0とすると、本実施形態のセルロースナノファイバー成形体3’’のブリネル硬さは59.2と2倍近くに表面硬度が上がる。
【0043】
そこで、その効果を確認するために、本実施形態の内装建材1’’について、キャスター試験を行った。
【0044】
(キャスター試験)
キャスター試験では、直径50mmの鉄製キャスターに25kgの荷重をかけ、試験片300mmの間を500回往復させたときの凹みを測定する。
【0045】
図6に示すように、実施例6及び7は、実施形態3に係る内装建材1’’に関するものであり、基材2’’が厚さ3.2mmのロックウールなどよりなる無機ボードよりなり、フェノール樹脂が含浸されたセルロースナノファイバー成形体3’’(PFCNF)の厚さがそれぞれ0.5mm、2.0mmである。実施例8も、実施形態3に係る内装建材1’’に関するものであり、基材2’’が厚さ9.0mmの合板ボードよりなり、フェノール樹脂が含浸されたセルロースナノファイバー成形体3’’の厚さが2.0mmである。一方、比較例5は、基材が厚さ9.0mmの合板ボードよりなり、厚さが2.7mmのMDFが積層されている。比較例6は、厚さ3.2mmの無機ボードそのものである。
【0046】
図6に示すように、MDFが積層された内装建材である比較例5を基準とした場合、比較例6の無機ボードそのものだと、それよりも若干凹みが大きく弱いことが分かる。一方、実施例6~8では、いずれも凹みが十分に減ることが分かった。特に実施例6は、表面層の厚みが1/5程度に減っているものの、その凹みは4割程度に減っている。
【0047】
なお、セルロースナノファイバー成形体3’’の厚さを薄くしすぎると、基材の影響を受けやすくなるので、基材2’’そのものの硬度が低いと、凹みは大きくなる傾向にあることも分かった。しかし、無機ボードなどで基材2’’そのものの硬度が高い場合には、セルロースナノファイバー成形体3’’の厚さも薄くできるので、その結果として軽量化及び低コストを実現できる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の内装建材1,1’,1’’は、製造、運搬及び施工を含めた建築物のCOの削減を目的として生物由来素材であるCNFの成形体が積層された軽量及び高強度で傷が付きにくい内装建材である。
【0049】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0050】
すなわち、上記実施形態では、内装建材1,1’,1’’が床材の場合について説明したが、ドア、壁、パーティションなどその他の内装建材にも適用できる。このように用途を拡大することで、さらなるC0排出量削減への貢献が期待できる。
【0051】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1,1’,1’’ 内装建材
2,2’,2’’ 基材(木質ボード、無機ボード)
3,3’’ セルロースナノファイバー成形体
図1
図2
図3
図4
図5
図6