(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104330
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】マイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物及び複合構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 59/40 20060101AFI20240729BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
C08G59/40
C09J163/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008473
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000162434
【氏名又は名称】協立化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151367
【弁理士】
【氏名又は名称】柴 大介
(72)【発明者】
【氏名】青野 智史
【テーマコード(参考)】
4J036
4J040
【Fターム(参考)】
4J036AA05
4J036AB07
4J036AD08
4J036AJ09
4J036AJ10
4J036FA10
4J036GA02
4J036GA03
4J036GA04
4J036GA24
4J036GA26
4J036HA03
4J036HA12
4J036JA06
4J040EC021
4J040FA261
4J040GA03
4J040JB07
4J040KA12
4J040NA12
4J040NA16
4J040NA17
4J040NA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マイクロ波照射により短時間で熱硬化し、耐熱性の低い精密・小型部材であっても一度に多くを接着することができる熱硬化性樹脂組成物と、前記熱硬化性樹脂組成物を使用した精密・小型部材で構成される複合構造物の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】(1)環状エーテル化合物及び重合開始剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、前記重合開始剤が、熱カチオン重合開始剤であり、回路接続部材、電子・電器部材、光学系部材、建築部材、自動車部材からなる群から選ばれる1以上の部材を、マイクロ波照射の下で前記部材間又は他の部材と接着するための熱硬化性樹脂組成物。
(2)環状エーテル化合物及び重合開始剤を含むマイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物であって、前記重合開始剤が、ヨードニウム系光カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤である、マイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状エーテル化合物(化合物A)及び重合開始剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
前記重合開始剤が、熱カチオン重合開始剤(化合物B1)であり、
回路接続部材、電子・電器部材、光学系部材、建築部材、自動車部材からなる群から選ばれる1以上の部材を、マイクロ波照射の下で前記部材間又は他の部材と接着するための熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
環状エーテル化合物(化合物A)及び重合開始剤を含むマイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物であって、
前記重合開始剤が、ヨードニウム系光カチオン重合開始剤(化合物B2)及びラジカル重合開始剤(化合物C)である、マイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1記載の部材を含む複合構造物の製造方法であって、
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を、前記部材のいずれかに塗布する工程1と、
前記熱硬化性樹脂組成物にマイクロ波を照射して熱硬化させる工程2とを含む、
複合構造物の製造方法。
【請求項4】
部材1及び部材2を含む複合構造物の製造方法であって、
前記部材1と前記部材2とを、請求項2記載の熱硬化性樹脂組成物を介して貼り合せる工程Aと、
前記熱硬化性樹脂組成物にマイクロ波を照射して熱硬化させる工程Bとを含む、
複合構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波照射の下で熱硬化するマイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物と、部材同士が当該マイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物で接着された複合構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネル、タッチパネル、センサー、レンズ、電池用部品、半導体用部品等の精密・小型部材及びこれらの精密・小型部材を外装する筐体等の部材は、これらの部材が組み込まれる映像・画像表示装置、撮像装置、通信装置、家庭用電気製品、電池、集積回路等の複合体を製造する工程で、硬化性樹脂組成物(以下「接着剤」ともいう)で接着される場合がある(以下、上記部材が接着剤により接着される工程を「接着工程」ともいう)。
【0003】
上記複合体を製造する際の接着工程では、短時間の光照射で硬化する光硬化性接着剤を使用して、部材に塗布された接着剤を部材毎又は接着部分毎に光照射して接着剤を硬化することが主流である(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
光硬化性接着剤を光照射する工程では、光硬化性接着剤が秒単位の光照射で硬化し、部材毎又は接着部分毎に光照射できるため光照射スペースを大きく確保する必要がない。
【0005】
一方、接着工程で使用する接着剤としては熱硬化性接着剤も使用されるが、熱硬化性接着剤は、100℃前後以上の加熱による硬化に数十分以上を要する場合は、加熱スペースを大きく確保する必要があるため、耐熱性を有する精密・小型部材の接着に使用され、常温で数十分から数時間で硬化する場合は、塗料用途、土木・建築用途等で広く使用されている(例えば、特許文献3~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-144641号公報
【特許文献2】国際公開第2011/001911号
【特許文献3】特開平6-345726号公報
【特許文献4】国際公開第2021/241129号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従前の光硬化性接着剤と熱硬化性接着剤は、多くの利点がある一方で、以下のような課題を有する。
【0008】
従前の光硬化性接着剤は、精密・小型部材を個別に小さな光照射スペースで短時間に高温発熱することなく光硬化できるため、精密・小型部材の接着に好適であるが、光が届きにくい箇所の接着が不安定になり、多くの精密・小型部材の接着を一度に行うことができないという課題がある。
【0009】
従前の熱硬化性接着剤は、熱硬化性接着剤は100℃前後以上の加熱による硬化に数十分以上を要し、加熱スペースを大きく確保するため、耐熱性の低い精密・小型部材の接着にはほとんど使用されていない。
【0010】
本発明は、マイクロ波照射により短時間で熱硬化し、耐熱性の低い精密・小型部材であっても一度に多くを接着することができる熱硬化性樹脂組成物と、前記熱硬化性樹脂組成物を使用した精密・小型部材で構成される複合構造物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
〔1〕環状エーテル化合物(化合物A)及び重合開始剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
前記重合開始剤が、熱カチオン重合開始剤(化合物B1)であり、
回路接続部材、電子・電器部材、光学系部材、建築部材、自動車部材からなる群から選ばれる1以上の部材を、マイクロ波照射の下で前記部材間又は他の部材と接着するための熱硬化性樹脂組成物(以下「本発明1」ともいう)、
〔2〕環状エーテル化合物(化合物A)及び重合開始剤を含むマイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物であって、
前記重合開始剤が、ヨードニウム系光カチオン重合開始剤(化合物B2)及びラジカル重合開始剤(化合物C)である、マイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物(以下「本発明2」ともいう)、
〔3〕前項〔1〕記載の部材を含む複合構造物の製造方法であって、
前項〔1〕記載の熱硬化性樹脂組成物を、前記部材のいずれかに塗布する工程1と、
前記熱硬化性樹脂組成物にマイクロ波を照射して熱硬化させる工程2とを含む、
複合構造物の製造方法(以下「本発明3」ともいう)、及び、
〔4〕部材1及び部材2を含む複合構造物の製造方法であって、
前記部材1と前記部材2とを、前項〔2〕記載の熱硬化性樹脂組成物を介して貼り合せる工程Aと、
前記熱硬化性樹脂組成物にマイクロ波を照射して熱硬化させる工程Bとを含む、
複合構造物の製造方法(以下「本発明4」ともいう)に関する。
【0012】
以下では、本発明1~4をまとめて「本発明」ともいう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マイクロ波照射により短時間で熱硬化し、耐熱性の低い精密・小型部材であっても一度に多くを接着することができる熱硬化性樹脂組成物と、前記熱硬化性樹脂組成物を使用した精密・小型部材で構成される複合構造物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《本発明1及び本発明2》
【0015】
本発明1は、環状エーテル化合物(化合物A)及び重合開始剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
前記重合開始剤が、熱カチオン重合開始剤(化合物B1)であり、
回路接続部材、電子・電器部材、光学系部材、建築部材、自動車部材からなる群から選ばれる1以上の部材を、マイクロ波照射の下で前記部材間又は他の部材と接着するための熱硬化性樹脂組成物である。
【0016】
本発明2は、環状エーテル化合物(化合物A)及び重合開始剤を含むマイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物であって、
前記重合開始剤が、ヨードニウム系光カチオン重合開始剤(化合物B2)及びラジカル重合開始剤(化合物C)である、マイクロ波照射用熱硬化性樹脂組成物である。
【0017】
《本発明1及び本発明2の用途》
本発明1及び本発明2は、マイクロ波照射により、低発熱かつ数分で硬化するため、従前の光照射では光が届きにくい箇所の部材の接着が可能であり、耐熱性の低い精密・小型部材であっても一度に多くを接着することができるため、以下のような用途で使用できる。
【0018】
なお、本発明1及び本発明2を適用する部材がマイクロ波照射により発熱し易い金属を含んだり、マイクロ波照射により発熱し易い金属部材と隣接している場合は、マイクロ波照射により、当該金属又は金属部材が過熱して部材がダメージを受けないようにする観点から、
当該金属をマイクロ波照射により発熱し難い材料に置き換える、
当該金属を本発明1及び本発明2を適用する部材から外す、又は、
当該金属を部材に取り付ける前にマイクロ波照射を行うなど、
マイクロ波照射の対象部材が、マイクロ波照射により発熱し易い金属を含んだり、マイクロ波照射により発熱し易い金属部材と隣接しないようにすることが好ましい。
【0019】
以下に、本発明1及び本発明2の典型的な使用態様又は用途として、射出成型加工プラスチック成型品部材の接合の場合を詳細に説明するが、射出成型加工プラスチック成型品部材をガラス等のセラミックス部材に置き換えても当該説明は妥当する。
【0020】
〔射出成型加工プラスチック成型品部材の接合〕
射出成形加工された複数のプラスチック成形品部材を後加工で接合する場合に、本発明1又は2を各部材の接合箇所に塗布して各部材を接合した後に、マイクロ波照射の下で、接合箇所に塗工された本発明1又は2を熱硬化することで、短時間に安定した接合をすることができる。
【0021】
例えば、以下のような接合態様が例示でき、これらの接合態様は、射出成形加工された複数のプラスチック成形品部材を後加工で接合することになる場合が多い。
【0022】
カメラ本体の筐体部材同士又は筐体部材と加飾部品との接合、携帯電話の筐体部材の接合、ディスプレイのバックライトユニットと筐体の接合、冷蔵庫・洗濯機等の白物家電、建築又は自動車部品のプラスチック筐体と加飾部材との接合等のデバイスと筐体部材同士又は筐体部材と加飾部品との接合;
交換レンズのバレルとレンズ玉の接合;
携帯電話の筐体部材の接合;
光通信機器でのプリズムとプラスチックやセラミック部材との接合;
カラーフィルターとフィルム又はガラス基材との接合。
【0023】
上記に例示した接合工程は、マイクロ波照射により発熱し易い金属部材を組み込む前の工程で行われることが好ましい。
【0024】
〔光学表示装置を構成する貼合レンズの製造〕
【0025】
(1)本発明1及び本発明2は、光学カメラ用レンズ、VR、AR用レンズ、プロジェクター等で使用される貼合レンズの製造に好適に適用できる。
【0026】
例えば、プラスチックレンズ1、本発明1又は2の熱硬化性樹脂組成物の熱硬化体及びプラスチックレンズ2が積層してなる貼合プラスチックレンズの製造方法であって、
プラスチックレンズ1及びプラスチックレンズ2を、本発明1又は2の熱硬化性樹脂組成物を介して貼り合せる工程1と、
工程1における本発明1又は2の熱硬化性樹脂組成物をマイクロ波照射の下で熱硬化させて本発明1又は2の熱硬化性樹脂組成物の熱硬化体を形成する工程2とを有する製造方法が挙げられる(なお、プラスチックレンズ1及び/又はプラスチックレンズ2をガラスレンズ1及び/又はガラスレンズ2に置き換えてもよい)。
【0027】
熱硬化性樹脂組成物の熱硬化体は、
25℃における、引張弾性率が0.1MPa以上、1000MPa以下であり、
25℃における、HAZE値が1.0以下であり、
25℃における、屈折率が1.50以上であることが好ましい。
【0028】
プラスチックレンズ又はガラスレンズは透明で高屈折率であることが好ましく、
例えば、プラスチックレンズ又はガラスレンズについて、
HAZE値は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%以下であり、
屈折率は、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.60以上、更に好ましくは1.70以上、更に好ましくは1.80以上である。
【0029】
HAZE値は、JISK7136に基づいて測定する。
【0030】
屈折率は、25℃における波長589nmの光に対する屈折率をプリズムカプラ(Metricon社製、2010/M)で測定する。
【0031】
透明で高屈折率であるプラスチックレンズを構成する樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレンテレフタレート系樹脂、ポリオキシアルキレン系樹脂等が改良され続けているが、透明性と高屈折性の観点から、好ましくは(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂であり、より好ましくは(メタ)アクリル系樹脂である。
【0032】
プラスチックレンズ又はガラスレンズの口径(プラスチックレンズの上面視の面積の円の直径)は、
車載リア/フロントカメラ、監視カメラ等の用途で、小口径(好ましくは2mm超30mm未満、より好ましくは3~20mm、更に好ましくは5~10mm)が多く、
光学カメラ用レンズ、VR、AR用レンズ、プロジェクター等の用途で、大口径(好ましくは30~150mm、より好ましくは40~100mm、更に好ましくは50~80mm)が多く使用される。
【0033】
(2)映像技術の多様化に伴い三次元映像(いわゆる3D映像)や三次元画像(いわゆる3D画像)を表示する光学表示装置(以下、3D表示装置ともいう)の製造において、表示体、保護パネル、タッチパネル等の光学部品構成部材の貼り合せに本発明1及び本発明2を使用することができる。
【0034】
従前の光硬化型接着剤を使用すると、保護パネルの遮光印刷、タッチパネルのフレキシビリティや配線、表示パネルの配線やブラックマトリックスや光学フィルムによる遮光部分で硬化不良が問題となりうるが、本発明1及び本発明2を使用することで、高温発熱せず、これらの光学表示装置の構成部材にダメージを与えずに、短時間で遮光部と被遮光部とを同等に接着させることができる。
【0035】
〔その他の例〕
(1)本発明1及び本発明2は、例えば、カメラ本体の筐体部材同士もしくは加飾部品との接着や、交換レンズのバレルとレンズの固定に好適に適用できる。
【0036】
従前の光硬化型接着剤を使用すると、例えば、着色した筐体と加飾部品に挟み込まれたり、バレルの内側にレンズが装着されること等による遮光領域に光を十分に当てることが出来ず、硬化不良が課題となりうるが、本発明1及び本発明2を使用してマイクロ波照射することで、高温発熱せず、これら構成部材にダメージを与えずに、短時間で遮光部と被遮光部とを同等に接着させることができる。
【0037】
(2)本発明1及び本発明2は、例えば、携帯電話の筐体部材の接着、ディスプレイのバックライトユニットユニットと筐体の固定、またカラーフィルターとフィルムやガラス基材との貼り合わせに好適に適用できる。
【0038】
従前の光硬化型接着剤を使用すると、例えば、筐体と接合するプラスチック成型部材に挟み込まれたり、バックライトユニットと筐体によって遮光される、又はカラーフィルターにより吸光されて、光を十分に当てることが出来ず、硬化不良が課題となりうるが、本発明1及び本発明2をしてマイクロ波照射することで、高温発熱せず、これら構成部材にダメージを与えずに、短時間で遮光部と被遮光部とを同等に接着させることができる。
【0039】
(3)本発明1及び本発明2は、例えば、冷蔵庫や洗濯機など白物家電や建築もしくは自動車部品のプラスチック筐体と加飾部材やパッキン等の固定、建築部材同士もしくは部材と加飾紙もしくは加飾フィルムの貼り合わせに好適に適用できる。
【0040】
従前の光硬化型接着剤を使用すると、筐体、加飾部材、パッキン等が着色部材であると、光照射では着色部材と接触したり挟み込まれた部材まで光が十分に透過しないことにより硬化不良が課題となりうるが、本発明1及び本発明2を使用してマイクロ波照射することで、高温発熱せず、これら構成部材にダメージを与えずに、短時間で着色部材と接触又は挟み込まれた部材とを接着させることができる。
【0041】
〔化合物A〕
化合物Aは、環状エーテル化合物であり、本発明1及び本発明2のマイクロ波照射の下での熱硬化速度と熱硬化体の強度の観点から、以下の態様が好ましい。
【0042】
環状エーテル化合物としては、例えば、
n-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,2-エポキシシクロヘキサン等の単官能エポキシ樹脂;
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF ジグリシジルエーテル、モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸、グリシジルメタクリレート等の2官能エポキシ樹脂;
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノエチル)ベンゼン、ノボラック型エポキシ樹脂、テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;
1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等の脂環式オキシラン環を有するエポキシ樹脂;
3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル(トリエトキシシリルプロポキシメチル)オキセタン、3-シクロヘキシルオキシメチル-3-エチル-オキセタン等の単官能オキセタン樹脂;
ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス{〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン等の2官能オキセタン樹脂;
トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタン樹脂;テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0043】
〔化合物B1〕
化合物B1は、加熱によりカチオン重合させる際のカチオン発生源となる成分である熱カチオン重合開始剤であり、本発明1のマイクロ波照射の下での熱硬化速度と熱硬化体の強度の観点から、以下の態様が好ましい。
【0044】
熱カチオン重合開始剤としては、
カチオン部分が、芳香族スルフォニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、チアンスレニウム、チオキサントニウム、又は、(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1-メチルエチルベンゼン]-Feカチオンであり、
アニオン部分が、SbF6
-、BF4
-、PF6
-、B(C6F5)4
-、[P(RF)nF6-n]-(式中、RFは、独立して、炭素原子数1~6の部分又は全フッ素化アルキル基であり、nは0~5の整数である)、又は、[BX4]-(式中、Xは少なくとも2つ以上のフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基である)である、
カチオン部分及びアニオン部分で構成されるオニウム塩が挙げられる。
【0045】
熱カチオン重合開始剤は、スルフォニウム塩であることが好ましい。
【0046】
熱カチオン重合開始剤のアニオンが、SbF6
-、B(C6F5)4
-、又は[P(RF)nF6-n]-(式中、RFは、独立して、炭素原子数1~6の部分又は全フッ素化アルキル基であり、nは0~5の整数である)であることが好ましい。
【0047】
熱カチオン重合開始剤の市販品としては、
サンアプロ社製のTA-60、TA-60B、TA-100、TA-120;ADEKA社製のアデカオプトンCP-77、アデカオプトンCP-66;
日本曹達社製のCI-2639、CI-2624;
キングインダストリーズ社製のCXC-1612、CXC-1738;
三新化学工業社製のサンエイドSI-45、サンエイドSI-60、サンエイドSI-80、サンエイドSI-100、サンエイドSI-110、サンエイドSI-B3、サンエイドSI-B3A、サンエイドSI-B4等が挙げられる。
【0048】
熱カチオン重合開始剤は、1種又は2種以上の組み合わせであってよい。
【0049】
〔化合物B2〕
化合物B2は、光照射によりカチオン重合を開始させる物質を発生させることが可能なヨードニウム系光カチオン重合開始剤であり、本発明2のマイクロ波照射の下での熱硬化速度と熱硬化体の強度の観点から、以下の態様が好ましい。
【0050】
化合物B2は、ヨードニウム系化合物が挙げられる。このような化合物としては、光照射によりブレンステッド酸を発生させるヨードニウム塩が好ましい。
【0051】
ブレンステッド酸のヨードニウム塩は、カチオン部分が芳香族ヨードニウムであり、
アニオン部分がBF4
-、PF6
-、SbF6
-、[BX4]-(Xは、少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示す)、[PFnY6-n]-(Yは、炭素数1~9のフッ素化アルキル基又はフッ素化フェニル基を示し、nは1~6の整数である。)等により構成されたヨードニウム塩であり、アニオン部分は、安全性の観点、及び硬化速度が速い点から、PF6
-、[PFnY6-n]-が好ましく、[PFnY6-n]-がより好ましい。
【0052】
具体的には、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩等を挙げることができる。
【0053】
市販品としては、例えば、PI2074(ソルベイ(ローディア)社製)、CD-1012(SARTOMER社製、製品名)、WPI-113、WPI-116、WPI-170、WPI-124(以上、富士フイルム和光純薬社製)、IK-1、IK-1FG(以上、サンアプロ社製)等を挙げることができる。
【0054】
ヨードニウム系光カチオン重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
〔化合物C〕
化合物Cはラジカル重合開始剤であり、本発明2のマイクロ波照射の下での熱硬化速度と熱硬化体の強度の観点から、以下の態様が好ましい。
【0056】
熱ラジカル重合開始剤は、例えば、イミダゾール類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類、三フッ化ホウ素アミン錯体、オルガノホスフィン類、オルガノホスホニウム塩等のイオン触媒、ジアリルパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、パーオキシドカーボネート及びヒドロパーオキシド等の有機過酸化物並びにアゾ類等が挙げられる
【0057】
〔任意成分〕
(1)溶剤
化合物B1、化合物B2及び化合物Cは、化合物Aとの混合性を向上する観点から、必要に応じて溶剤に予め溶解させておいてもよい。
【0058】
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、イソプロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2-ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1以上の溶剤が好ましく、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレンがより好ましい。
【0059】
(2)その他の成分
本発明1及び本発明2には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、
公知の添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤、増量剤、粘度調節剤、粘着付与剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、平滑化剤、発泡剤、離型剤等を含有していてもよい。
【0060】
〔本発明1の熱硬化性組成物の配合〕
本発明1のマイクロ波照射の下での熱硬化速度と熱硬化体の強度の観点から、本発明1の熱硬化性組成物は、化合物B1は、化合物A100重量部に対して、
好ましくは0.5~50重量部、より好ましくは1~40重量部、更に好ましくは2~30重量部、更に好ましくは3~20重量部、更に好ましくは4~10重量部、更に好ましくは5~7重量部である。
【0061】
化合物Aとの混合性を向上する観点から、化合物B1を予め溶剤に混合する場合は、
溶剤は、化合物B1が100重量部に対して、
好ましくは10~300重量部、より好ましくは20~250重量部、更に好ましくは30~200重量部更に好ましくは40~150重量部である。
【0062】
〔本発明2の熱硬化性組成物の配合〕
本発明2のマイクロ波照射の下での熱硬化速度と熱硬化体の強度の観点から、本発明2の熱硬化性組成物は、化合物B2と化合物Cの合計量は、化合物A100重量部に対して、
好ましくは1~50重量部、より好ましくは2~40重量部、更に好ましくは3~30重量部、更に好ましくは4~20重量部、更に好ましくは6~10重量部であり、
化合物B2と化合物Cの配合重量比(化合物B2/化合物C)は、
好ましくは1/100~100/1、より好ましくは10/90~90/10、更に好ましくは20/80~80/20、更に好ましくは30/70~70/30、更に好ましくは35/65~65/35、更に好ましくは40/60~50/50である。
【0063】
化合物Aとの混合性を向上する観点から、化合物B2及び化合物Cを予め溶剤に混合する場合は、化合物B2及び化合物Cの合計100重量部に対して、溶剤は、
好ましくは10~300重量部、より好ましくは20~200重量部、更に好ましくは30~150重量部、更に好ましくは40~100重量部、更に好ましくは50~70重量部である。
【0064】
《本発明3及び本発明4》
本発明3は、本発明1の被着部材を含む複合構造物の製造方法であって、
本発明1を、前記部材のいずれかに塗布する工程1と、
前記熱硬化性樹脂組成物にマイクロ波を照射して熱硬化させる工程2とを含む、
複合構造物の製造方法である。
【0065】
本発明4は、部材1及び部材2を含む複合構造物の製造方法であって、
前記部材1と前記工程2とを、本発明2を介して貼り合せる工程Aと、
前記熱硬化性樹脂組成物にマイクロ波を照射して熱硬化させる工程Bとを含む、
複合構造物の製造方法である。
【0066】
(熱硬化性樹脂組成物の塗布)
本発明3及び本発明4において、貼り合せる部材には、どちらか一方又は両方に本発明1又は本発明2の熱硬化性樹脂組成物を塗布する。
【0067】
本発明1又は本発明2の熱硬化性樹脂組成物の塗布は、貼り合わせる表面全域に必要な塗布厚みで塗布したり、貼り合せる表面の一部に面状に塗布したり、スポット状に塗布してよい。部材の角部を貼り合せる場合は、部材の角部に沿って線状又はスポット状に塗布してもよい。
【0068】
本発明1又は本発明2の熱硬化性樹脂組成物の塗布をする装置としては、例えば、面状に塗布する場合は、スリットコートやスピンコート、スクリーンなど各種印刷などを使用でき、スポット状又は線状に塗布する場合は、ディスペンサーやスクリーンなど各種印刷などが使用できる。
【0069】
(マイクロ波の照射)
本発明1又は本発明2の熱硬化性樹脂組成物を介して貼り合わされた(以下「仮接着された」ともいう)部材をマイクロ波照射して本発明1又は本発明2の熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する際には、マイクロ波照射装置が使用される。
【0070】
マイクロ波照射装置としては、例えば、導電性格納容器内に、仮接着された部材が入れられるマイクロ波反応容器が配置され、マイクロ波反応容器を囲むように複数のダイポールアンテナが均等に配置されたマイクロ波照射装置が使用される。
【0071】
仮接着された部材を、コンベアなどを用いてそのまま連続してマイクロ波照射装置に搬入し、マイクロ波照射され熱硬化性樹脂組成物が熱硬化されて接合された部材をそのまま連続してマイクロ波照射装置から搬出してもよく、仮接着された部材を複数個を仮置きした上で、仮置きした複数個の仮接着された部材をマイクロ波照射装置に搬入して、複数個の仮接着された部材を一度にマイクロ波照射して接合された複数個の部材をマイクロ波照射装置から搬出してもよい。その際、照射装置の容量が大きく、照射電力が大きいほど、多数の部材を短時間で接着できるという観点から好ましい。
【0072】
マイクロ波の波長は、上述と同様の観点から、
好ましくは300MHz~300GHz、より好ましくは500MHz~100GHz、更に好ましくは700MHz~50GHz、更に好ましくは1GHz~10GHz、更に好ましくは2GHz~5GHzの波長である。
【0073】
マイクロ波照射は、上記好適波長において、好ましくは100~8000W、より好ましくは300~6000W、更に好ましくは500~5000Wを、
好ましくは1~60分、より好ましくは1.5~45分更に好ましくは2~30分、更に好ましくは3~20分、更に好ましくは4~15分照射する。
【0074】
〔実施例〕
【0075】
(1)化合物原料
(1-1)化合物A(環状エーテル化合物)
【0076】
化合物A-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC製社製)
【0077】
化合物A-2:3‘,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製)
【0078】
(1-2)化合物B1(熱カチオン重合開始剤)
【0079】
化合物B1-1:ベンジルメチルp-ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(γ-ブチロラクトン溶液)(SI-100L、三新化学工業社製)
【0080】
化合物B1-2:4-ヒドロキシフェニル-メチル-ベンジルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(TA-100、サンアプロ社製)
【0081】
化合物B1-3:ヘキサフルオロアンチモン酸の4級アンモニウム塩(CXC-1612、KING社製)
【0082】
(1-3)化合物B2(ヨードニウム系光カチオン重合開始剤)
【0083】
化合物B2-1:4-メチルフェニル[4-(1-メチルエチル)フェニル]ヨードニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(PI2074、ソルベイ(ローディア)社製)
【0084】
化合物B2-2:4-(1-メチルエチル)フェニル](4-メチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロトリス(1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル)フォスフェート(1-)(1:1)(IK-1、サンアプロ社製)
【0085】
(1-3)化合物C(ラジカル重合開始剤)
化合物C-1:1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーオクタO、日本油脂社製)
【0086】
(1-4)化合物D(熱重合開始剤)
化合物D-1:変性脂肪族ポリアミン(EH5030S、ADEKA社製)
【0087】
(1-5)化合物E:(光カチオン重合開始剤)
化合物E-1:4-メチルフェニル[4-(1-メチルエチル)フェニル]ヨードニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(PI2074、ソルベイ(ローディア)社製)
【0088】
(1-4)化合物F(溶剤):γ-ブチロラクトン(東京化成工業社製)
【0089】
(2)熱硬化性樹脂組成物の製造
表1を参照して説明する。
【0090】
化合物A1及び化合物A2を表1記載の質量部を秤量し、ビーカー(500ml)に充填し、スリーワンモータ撹拌機BlH300(アズワン社製)を使用して200回転/分で30分間攪拌して、化合物A1と化合物A2とも含む化合物A混合組成物を得た後、
化合物A混合組成物に、化合物A1及び化合物A2の合計量を100質量部として、
化合物B、化合物C、化合物D、化合物E及び/又は化合物Fを、
表1記載の質量部を秤量し、化合物A混合組成物に混合して得た混合物を、
さらに同じ攪拌条件で10分撹拌して、実施例及び比較例の液状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0091】
(3)熱硬化性樹脂組成物の物性
比較例及び実施例の液状の熱硬化性樹脂組成物に対して、以下の室温環境(25℃、湿度50%)で物性を測定した。
【0092】
(3-1)マイクロ波硬化性
50×50mmのPETフィルム(ルミラー100T60(パナック社製)厚さ100μm)に、0.15gの液状の熱硬化性組成物をミクロスパーテル(品番180ヒラステンレス、アズワン社製)でポッティングした後120秒以内に、電子レンジ(吉井電気社製ERD-20(5))にて、波長2450MHzのマイクロ波を、700Wの条件で2分30秒照射した場合と、5分照射した場合について、以下の評価を行った。
【0093】
所定時間のマイクロ波照をした後に、PETフィルム上の熱硬化性樹脂組成物を指先で押しつけたときに、
熱硬化性樹脂組成物の内部が硬化していて指先がPETフィルム表面まで到達せず、指先に液が付着しなければ、熱硬化性樹脂組成物は硬化している(表1では「硬」)と評価し、
熱硬化性樹脂組成物の内部は硬化していて指先がPETフィルム表面まで到達しないが、指先に液が付着すれば、熱硬化性樹脂組成物は半硬化している(表1では「半」)と評価し、
熱硬化性樹脂組成物は内部まで液状のままで指先がPETフィルム表面まで到達すれば、熱硬化性樹脂組成物は未硬化である((表1では「未」)と評価した。
【0094】
(3-3)加熱硬化性
50×50mmのPETフィルム(ルミラー100T60(パナック社製)厚さ100μm)に、0.15gの液状の熱硬化性組成物をミクロスパーテル(品番180ヒラステンレス、アズワン社製)でポッティングした後120秒以内に、熱硬化性組成物が付着したPETフィルムを、100℃に加熱したオーブンLC-113(ESPEC社製)に入れて、10分加熱した場合と、20分加熱した場合と、30分加熱した場合とについて、以下の評価を行った。
【0095】
所定時間のマイクロ波照をした後に、PETフィルム上の熱硬化性樹脂組成物を指先で押しつけたときに、
熱硬化性樹脂組成物の内部が硬化していて指先がPETフィルム表面まで到達せず、指先に液が付着しなければ、熱硬化性樹脂組成物は硬化している(表1では「硬」)と評価し、
熱硬化性樹脂組成物の内部は硬化していて指先がPETフィルム表面まで到達しないが、指先に液が付着すれば、熱硬化性樹脂組成物は半硬化している(表1では「半」)と評価し、
熱硬化性樹脂組成物は内部まで液状のままで指先がPETフィルム表面まで到達すれば、熱硬化性樹脂組成物は未硬化である(表1では「未」)と評価した。
【0096】
以上の実施例及び比較例の組成及び物性について結果を表1にまとめた。
【0097】
【0098】
表1から、環状エーテル化合物と重合開始剤の混合物をマイクロ波硬化させると、重合開始剤が、
(a)熱カチオン重合開始剤である場合、マイクロ波照射を5分すれば低発熱で熱硬化し、
(b)ヨードニウム系光カチオン重合開始剤の場合、マイクロ波照射を2分30秒すれば低発熱で熱硬化することができることが示された。