(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104334
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】可動脱着式の外付自動機器ユニット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008477
(22)【出願日】2023-01-24
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523026721
【氏名又は名称】FNS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】見島 史郎
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS10
(57)【要約】
【課題】 自動製造設備に対して、後付けにて着脱が可能な独立ユニットである可動脱着式の外付自動機器ユニットを提供する。
【解決手段】 メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対して、外付自動機器ユニットを付加したい箇所の筐体に対して後付けまたは新設にて取り付ける外付連結プレート110と、外付自動機器ユニット100の筐体の一部に取り付けられ、外付連結プレート110と接続可能な取付ジョイント部120と、ロボットアームなどの外付付加装置を搭載した外付機能装置部130と、外付自動機器ユニット100を可搬可能に支持する可動機構部140を備えた構成である。自動製造設備200に対して外付連結プレート110と取付ジョイント部120を介して、後付けまたは新設にて脱着可能に外付自動機器ユニットを取り付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対して、後付けにて随時付加接続および随時取り外しの着脱が可能な独立ユニットである可動脱着式の外付自動機器ユニットであって、
前記自動製造設備において前記外付自動機器ユニットを付加したい箇所の筐体に対して後付けまたは新設にて取り付ける外付連結プレートと、
外付で提供する外付付加装置を搭載した外付機能装置部と、
前記外付自動機器ユニットを可搬可能に支持する可動機構部と、
前記外付自動機器ユニットの筐体の一部に取り付けられ、前記外付連結プレートと接続可能な取付ジョイント部を備え、
前記自動製造設備に対して、前記外付連結プレートと前記取付ジョイント部を介して、後付けまたは新設にて外付脱着が可能である可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項2】
前記自動製造設備側の前記外付連結プレートが、周辺部にすり鉢状のすり鉢ガイドと中心部にメインロック穴機構を備えたメインロック受け部と、周辺部にすり鉢状のすり鉢ガイドと中心部にラフガイド穴機構を備えたラフガイド受け部を備え、
前記外付自動機器ユニットの前記取付ジョイント部が、周辺部にテーパー状のテーパーガイドと中心部にメインロック機構をもち前記メインロック受け部とロック接合するメインロック機構と、テーパー状の先端をもち前記ラフガイド受け部に嵌入するラフガイドを備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項3】
前記外付自動機器ユニットの前記取付ジョイント部から突出している前記ラフガイドの突出長さが前記メインロック機構の突出長さよりも長く、
前記可動機構部を介して前記外付自動機器ユニットを前記自動製造設備に接近してゆけば、先に前記ラフガイドが前記ラフガイド受け部に嵌入され始め、その後に前記メインロック機構が前記メインロック受け部との接合される関係にあることを特徴とする請求項2に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項4】
前記自動製造設備側の前記外付連結プレートにおいて、前記ラフガイド受け部が少なくとも第1のラフガイド受け部と第2のラフガイド受け部の2つあり、
前記外付自動機器ユニットの前記取付ジョイント部において、前記ラフガイドが少なくとも第1のラフガイドと第2のラフガイドの2つあり、
前記取付ジョイント部から突出している前記第1のラフガイドの突出長さが、前記第2のラフガイドの突出長さよりも長く、
前記可動機構部を介して前記外付自動機器ユニットを前記自動製造設備に接近してゆけば、先に前記第1のラフガイドが前記第1のラフガイド受け部に嵌入され始め、その後に前記第2のラフガイドが前記第2のラフガイド受け部に嵌入され始める関係にあることを特徴とする請求項3に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項5】
前記外付自動機器ユニットの一部から、設置箇所の床面に向かって空圧または弾性力により所定圧力で突出する床面当接シリンダーを備え、
前記メインロック機構が前記メインロック受け部との接合された後に、前記床面当接シリンダーが前記床面に向かって突出して当接して前記床面の凹凸差を調整できることを特徴とする請求項1に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項6】
カメラ装置を備え、当該カメラ装置で撮影した過去の前記随時付加接続した際の前記自動製造設備と前記外付自動機器ユニットとの接続状態を写した撮影データを基に、今回の前記随時付加接続した際の前記自動製造設備と前記外付自動機器ユニットとの接続状態を補正するランドマーク補正機能を備えたことを特徴とする請求項1に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項7】
前記外付連結プレートと前記取付ジョイント部との接続機構が、3次元的な機械的接続と、電気的接続と、データ通信接続が可能でインターフェイスを提供する接続機構であることを特徴とする請求項1に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項8】
前記外付自動機器ユニットがティーチングプロセスデータ記憶部を備え、
前記ティーチングプロセスデータ記憶部に過去に前記随時付加接続した際のティーチングプロセスデータを保持し、
前記随時取り外しをした後、再度、前記随時付加接続する際に、前記ティーチングプロセスデータ記憶部から過去の前記ティーチングプロセスデータを読み込み可能とし、再度の前記外付自動機器ユニットに対するティーチングを不要としたことを特徴とする請求項7に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項9】
前記外付機能装置部が提供する前記外付付加装置が、ワークを或る位置から所定の位置に移動させる移載装置か、ワークに対して加工を施す加工用装置か、ワークの所定箇所の所定諸元を測定する測定装置のいずれかを含むものである請求項1から8のいずれかに記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項10】
前記自動製造設備の前記筐体の複数の箇所にそれぞれ外付連結プレートを設けた構成とし、1台の前記自動製造設備に1台または複数台の前記外付自動機器ユニットを接続した構成である請求項9に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【請求項11】
前記自動製造設備が複数あり、1または複数の前記外付自動機器ユニットを複数台ある前記自動製造設備と組み合わせた構成である請求項9に記載の可動脱着式の外付自動機器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対して、後付けにて随時付加接続および随時取り外しの着脱が可能な独立ユニットである可動脱着式の外付自動機器ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かつて製造現場で見られたような同じ品種のものを大量に製造する『少品種大量生産』の割合は減りつつあり、むしろ、近年の工業製品に供される加工対象となるワークは、小型の精密な物も多く、その形状も多種にわたっており、多種多品種のものを比較的小ロットを製造する『多品種少量生産』の割合が増えつつある。従来から人件費の抑制のため工業製品の組立、加工などの作業の自動化が進められ、ロボットアームや各種エンドエフェクタなどを搭載したロボットシステム装置が用いられることも多くなってきた。
そのため、従来技術では、ロボットシステム装置に汎用性を持たせることにより『多品種少量生産』に適合させる工夫が行われている。
【0003】
例えば、ロボットアームの先端治具を付け替え可能とし、多種多様なワークを把持したり加工組立をしたりする諸動作に対応させて汎用性を確保している。先端治具を付け替えたり、加工組立作業の内容を変更したりするたびに、ロボットシステム装置に対して新たなプロセスを学習させたりティーチングを行ったりする必要があった。つまり、作業員が初期設定のために随時必要なプログラミングをしたり、新たなにパラメータを設定したり、メインとなる自動製造設備との距離や角度などの微調整をしたりする必要があった。
従来技術では、このように、製造現場ではワークの品種や工程の変更に応じてロボットアーム本体の先端に装着されるツールの交換などを含む変更作業を行っている。この変更作業は時間が掛かり、人的資源、時間的資源を投入せざるを得ない状況にあった。
【0004】
例えば、従来技術において、
図13に示す特許文献1(特開2017-54841号)の部品実装装置が知られている。
図13に示すように、特許文献1に開示された部品実装装置1は、把持するワークのサイズや形状に対応した把持面を有するアダプタ50をロボットシステム装置のチャック爪39に装着し、当該アダプタ50を用いてワークを把持する。このアダプタ50は多種類用意されており、収納手段により一カ所にまとめて配置されている。またアダプタ50にはチャック爪39が挿入される開口部51bが設けられており、この開口部51bにチャック爪39が挿入されることで容易にアダプタ50の装着を行い、把持するワークのサイズや形状に対応できる部品実装装置1となっている。
【0005】
例えば、従来技術において、
図14に示す特許文献2(特開2019-202357号)のロボットシステム10が知られている。
図14に示すように、特許文献2に開示されたロボットシステム10は、ロボットアームに着脱可能な交換ツールを用いて対象物に所定の作業を行うロボットシステムであって、ロボットアーム100の可動域内に設置された交換ツール210を保持するツールストッカー310と、交換ツール210がツールストッカー310に保持されている状態で、交換ツール210によって所定の作業の一部を行うことができるよう対象物を供給する供給手段410を備えた構成である。交換ツール210は、対象物と接触する接触部211と、接触部211を駆動する駆動源と、駆動源を駆動するためにロボットアームと電気的に接続される第1の電気接続部125と、駆動源を駆動するためにツールストッカー310と電気的に接続される第2の電気接続部202とを有していることを特徴とするロボットシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-54841号公報
【特許文献2】特開2019-202357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これら従来技術における部品実装装置やロボットシステムには、実際の作業現場では解決すべき課題があった。
それは、メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対する動的な機能拡張のアシストが難しいという課題である。
本発明では、あくまでもメインとなる装置は、メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備が存在していることを前提とする。ここで、多品種少量生産を前提とすると、そのメインの自動製造設備が提供する機能のみでは、加工作業、組立作業が足りず、動的に加工工程や組立工程を変更したり追加したりするニーズがあり得る。そこで、ある加工工程や組立構成を分業化して、メインの自動製造設備に対して、外付にて、それら機能を動的に追加したり組み替えたりするような用途がある。上記従来技術ではいずれもそのニーズに応えることができない。
【0008】
図13に示す特許文献1に開示された部品実装装置は、それ自体がメインの装置の把持部であり、当該部品実装装置自体が把持できるワークを多様化するものに過ぎない。つまり当該部品実装装置自体が把持できるワークのサイズや形状に対応するようアダプタ50やチャック爪39を取り替える技術である。つまり、メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対する動的な機能拡張のアシストに資するものではない。
さらに、ワークの把持部の拡張だけに機能を絞ったと捉えても、特許文献1に開示された部品実装装置では作業効率が低下する懸念もある。つまり、アダプタ50やチャック爪39を取り替え作業も自動化する点は良いのだが、把持するワークの種類が増え、アダプタの装着動作が増えると、アダプタの収納手段から把持するワークの配置位置まで移動する回数が増える。ゆえにアダプタの装着動作からワークの把持動作に至るまでの時間が増え、加工時間が増えてしまうという課題がある。
【0009】
次に、
図14に示す特許文献2に開示されたロボットシステムは、やはりそれ自体がメインの装置のロボットアーム部分であり、当該ロボットアームに着脱可能な交換ツールを用いて対象物を把持できるワークを多様化するものに過ぎない。つまり当該部品実装装置自体が把持できるワークのサイズや形状に対応するようツールストッカー310に保持されている交換ツール210を選択して取り替える技術である。つまり、メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対する動的な機能拡張のアシストに資するものではない。
【0010】
本発明では、あくまでもメインとなる装置としてメインとなる既設または新設の独立した自動製造設備が存在していることを前提とし、そのメインの自動製造設備が提供する機能のみでは、加工作業、組立作業が足りず動的に加工工程や組立工程を変更したり追加したりする課題に対するものである。ある加工工程や組立構成を分業化して、メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対して、後付けにて随時付加接続および随時取り外しの着脱が可能な独立ユニットである可動脱着式の外付自動機器ユニットを提供することを目的とする。
つまり、この本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットは、メインの自動製造設備に対して、固設して拡張するものではなく、後付けにて随時付加接続および随時取り外しの着脱が可能な独立ユニットである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットは、 メインとなる既設または新設の独立した自動製造設備に対して、後付けにて随時付加接続および随時取り外しが可能な独立ユニットである可動脱着式の外付自動機器ユニットであって、前記自動製造設備において前記外付自動機器ユニットを付加したい箇所の筐体に対して後付けまたは新設にて取り付ける外付連結プレートと、外付で提供する外付付加装置を搭載した外付機能装置部と、前記外付自動機器ユニットを可搬可能に支持する可動機構部と、前記外付自動機器ユニットの筐体の一部に取り付けられ、前記外付連結プレートと接続可能な取付ジョイント部を備え、 前記自動製造設備に対して、前記外付連結プレートと前記取付ジョイント部を介して、後付けまたは新設にて外付脱着が可能である可動脱着式の外付自動機器ユニットである。
【0012】
上記構成により、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットは、後付けで自動製造設備側に対して外付連結プレートを設け、可動脱着式の外付自動機器ユニット側にも取付ジョイント部を設け、両者を動的に連結したり取り外したりすることにより、後付けにて随時付加接続および随時取り外しが可能な可動脱着式の外付自動機器ユニットとすることができる。
【0013】
なお、外付自動機器ユニットには外付機能装置部があり、メインの自動製造設備に対して外付にて提供するロボットアームなどの外付付加装置を搭載することができる。
外付機能装置部が提供する付加装置としては多様なものがあり、例えば、ワークを或る位置から所定の位置に移動させるロボットアームなどの移載装置、ワークに対して加工を施す加工用装置、ワークの所定箇所の所定諸元を測定する測定装置などがあり得る。
典型的にはロボットアームが搭載されており、移載装置の場合は、ロボットアームの先端にワークに対する把持機構や吸引機構などが搭載されていてロボットアームの可動範囲が制御できれば良い。加工用装置の場合は、ロボットアームの先端に溶接機構、ドリル機構、切断治具など多様な治具が搭載されていれば良い。測定装置の場合はレーザーセンサ、重量センサ、タイマ、カメラ、スキャナなどの適切な諸センサが搭載されていれば良い。
【0014】
可動機構部としては、簡易なものとしては底面に設けられた台車の車輪コマでも良い。本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットは、メインの自動製造設備に対してアプローチして接続されたり離脱して離隔したりするが、常時移動しているわけではなく、移動の期間はメインの自動製造設備に対する外付自動機器ユニットの取り付け時や取り外し時であるので、このような台車の車輪コマであっても良いと想定される。
【0015】
この場合は、作業員が手動で押すことにより、台車の車輪コマを用いて可動脱着式の外付自動機器ユニットを移動させる必要がある。
本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットの取り付け作業は、取り付け完了後の装置稼働時には、メインの自動製造設備と協働するため、メインの自動製造設備との位置関係や相対的角度などを精密に配置する必要がある。
しかし、取り付け作業の途中は、作業員の目視による手作業のアプローチとなるので、その途中過程では多少の位置のズレやアプローチ角度の偏移があるものと考えられる。
【0016】
そこで、連結プレートと取付ジョイント部との接続をスムーズに行うため以下の工夫を行う。
自動製造設備側の外付連結プレートには、周辺部にすり鉢状のすり鉢ガイドと中心部にメインロック穴機構を備えたメインロック受け部と、周辺部にすり鉢状のすり鉢ガイドと中心部にラフガイド穴機構を備えたラフガイド受け部を備えた構成とする。
一方、外付自動機器ユニットの取付ジョイント部には、周辺部にテーパー状のテーパーガイドと中心部にメインロック機構をもちメインロック受け部とロック接合するメインロック機構と、テーパー状の先端をもちラフガイド受け部に嵌入するラフガイドを備えた構成とする。
上記構成により、外付連結プレートのメインロック受け部に設けられているすり鉢のガイドと取付ジョイント部のメインロック機構に設けられているテーパー状のテーパーガイドと、外付連結プレートラフガイド受け部に設けられているすり鉢のガイドとラフガイドとの当接により、多少の位置のズレがあっても、すり鉢面をテーパー面が滑って正しい位置に導かれてゆき、導かれるまま自然と精密に正しい位置関係や相対的角度に配置され得る。
【0017】
ここで、外付自動機器ユニットの取付ジョイント部から突出しているラフガイドの突出長さがメインロック機構の突出長さよりも長い構成が好ましい。
このように構成しておくことにより、可動機構部を介して外付自動機器ユニットを自動製造設備に接近してゆけば、先にラフガイドがラフガイド受け部に嵌入され始め、その後にメインロック機構がメインロック受け部との接合される関係となる。メインロック機構とメインロック受け部との不必要な衝突を低減することができる。
【0018】
さらに、ラフガイドの工夫として以下ように構成することにより、押し込み角度が斜めに偏移している場合にも不必要な衝突を避けることができる。その工夫とは、自動製造設備側の外付連結プレートにおいて、ラフガイド受け部が少なくとも第1のラフガイド受け部と第2のラフガイド受け部の2つの構成とし、外付自動機器ユニットの取付ジョイント部においてラフガイドが少なくとも第1のラフガイドと第2のラフガイドの2つある構成とし、さらに、取付ジョイント部から突出している第1のラフガイドの突出長さが、第2のラフガイドの突出長さよりも長い構成とする。
上記構成により、台車などの可動機構部を介して外付自動機器ユニットを自動製造設備に接近してゆけば、先に第1のラフガイドが第1のラフガイド受け部に嵌入され始め、その後に第2のラフガイドが第2のラフガイド受け部に嵌入され始める関係にあり、押し込み角度が斜めに偏移している場合でも角度を制御して正対する角度に修正することができる。
【0019】
次に、連結プレートと取付ジョイント部との接続を水平面だけでなく、垂直面においても精密に制御することにより3次元的に正しい接続を可能とする。なぜならば工場内における自動製造設備の設置箇所の床面には微少な凹凸差があったり微少な傾きがあったりする可能性もあり、その高さ方向の校正も必要な場合があるからである。
ここ、可動機構部の一部または外付機能装置部から、空圧または弾性力により床面に向かって所定圧力で突出する床面当接シリンダーを備え、メインロック機構がメインロック受け部との接合された後に、床面当接シリンダーが床面に向かって突出して当接して床面の凹凸差を調整できる構成とすることが好ましい。
上記構成により、床面当接シリンダーの突出により床面を捉えることができ、適度な圧力であれば、床面の微少な凹凸差や微少な傾きを校正することができる。
【0020】
次に、連結プレートと取付ジョイント部との接続をスムーズに行うため、補助的にランドマーク補正を採用することもできる。ここで言うランドマーク補正とは、過去に一度精密に接続した際の両者の接続箇所の背景を含めて画像(ランドマーク画像)を撮影しておき、離脱後の次回の接続の際に当該ランドマーク画像を参照する方法である。
つまり、装置構成としてカメラ装置を備えておき、当該カメラ装置で撮影した過去の随時付加接続した際の自動製造設備と外付自動機器ユニットとの接続状態を写した撮影データを基に、今回の随時付加接続した際の自動製造設備と外付自動機器ユニットとの接続状態を補正する。このランドマーク補正機能を備えた構成とすれば接続時のアプローチに際して補正を行うことができる。
【0021】
なお、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットの外付において、外付連結プレートと取付ジョイント部との接続機構として、3次元的な機械的接続と、電気的接続と、データ通信接続が可能となるインターフェイスを提供する接続機構であることが好ましい。
つまり、機械的な接続のみならず、両者間で通電し、データ通信も可能とすることができる
このように、両者間でデータ通信ができると、外付時のティーチングを省略することができ作業効率が劇的に向上する。
つまり、本来であれば、加工組立作業の内容を変更して可動脱着式の外付自動機器ユニットを新たに外付するたびに新たなプロセスを学習させたりティーチングを行ったりする必要があるが、過去に一度精密に接続した際のプロセスを学習させたりティーチングを行ったりしたデータをメモリに保持しておけば、離脱後に同じ加工組立作業の内容を再開するために可動脱着式の外付自動機器ユニットを再度接続する場合に、メモリに記録した過去の該当のプロセスの学習結果やティーチングをリロードすれば良く、再度プロセスを学習させたりティーチングを行ったりする必要がなくなる。
具体的には、自動製造設備または外付自動機器ユニットが、ティーチングプロセスデータ記憶部を備え、ティーチングプロセスデータ記憶部に過去に随時付加接続した際のティーチングプロセスデータを保持し、随時取り外しをした後、再度、随時付加接続する際に、ティーチングプロセスデータ記憶部から過去のティーチングプロセスデータを読み込み可能とすれば、再度の外付自動機器ユニットに対するティーチングを不要となる。
【0022】
次に、メインの自動製造設備と、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットとの台数の関係について述べておく。
もちろん、最小構成は、両者が1台対1台の関係で接続され、離脱後も1台対1台の関係で再接続されるパターンである。
なお、同じく両者が1台対1台の関係で接続される場合でも、メインの自動製造設備に対して、ある外付自動機器ユニットの離脱後、別の外付自動機器ユニットを1台対1台の関係で再接続するパターンもある。
【0023】
次に、メインの自動製造設備と、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットが1台対多数台の関係があり得る。
この場合、メインの自動製造設備の筐体の複数の箇所にそれぞれ外付連結プレートを設けた構成とし、1台の自動製造設備に対して複数台の外付自動機器ユニットを接続する構成があり得る。
メインの加工工程や組立工程に対して、分業化する加工工程や組立工程が複数ある場合に、1台の自動製造設備に対して複数台の外付自動機器ユニットを接続する構成があり得る。
【0024】
さらに、メインの自動製造設備と、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットが多数台対1台の関係があり得る。
この場合、自動製造設備が複数あり、1台の外付自動機器ユニットをそれらの複数台の自動製造設備と組み合わせるパターンである。
典型的には、例えば、自動製造設備1と自動製造設備2が近い配置で2台並べられており、外付自動機器ユニットが移載装置であり、自動製造設備1から受け取った1次加工済みのワークを受け取り、2次加工を行う自動製造設備2に渡すという移載作業などがある。
【0025】
さらに、メインの自動製造設備と、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットが多数台対多数台の関係もあり得る。
この場合、自動製造設備も複数台あり、外付自動機器ユニットも複数台あり、それらを多数台対多数台で組み合わせるパターンである。
典型的には、例えば、自動製造設備1と自動製造設備2が近い配置で2台並べられており、外付自動機器ユニット1が移載装置であり、自動製造設備1から受け取った1次加工済みのワークを受け取り、2次加工を行う自動製造設備2に渡すという移載作業などを行い、外付自動機器ユニット2が加工用装置であり、自動製造設備1と協働して1次加工の加工作業を分業し、外付自動機器ユニット3が測定装置であり、自動製造設備2で2次加工が済んだワークの所定箇所を測定するなどがある。なお、これらの組み合わせは一例に過ぎず、多様な加工作業や組立作業において、複数台の自動製造設備と複数台の外付自動機器ユニットが組み合わされる例は多様にあり得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる可動脱着式の外付自動機器ユニットによれば、自動製造設備側に対して後付けで両者を動的に連結したり取り外したりすることができ、随時に付加接続したり随時に取り外しが可能となる。外付する外付付加装置としては多様なものがあり、典型的にはロボットアームであり移載装置、加工用装置、測定装置などがあり得る。
また、本発明にかかる可動脱着式の外付自動機器ユニットによれば、台車のような簡易な可動機構部であっても、外付連結プレートのメインロック受け部とラフガイド受け部に設けられているすり鉢のガイドと、取付ジョイント部のテーパー状のテーパーガイドとラフガイドを設けておくことにより、多少の位置のズレがあっても、すり鉢面をテーパー面が滑って正しい位置に導かれてゆき、導かれるまま自然と精密に正しい位置関係や相対的角度に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニット100の構成例を示す図である。
【
図2】外付連結プレート110と取付ジョイント部120との接続をごく簡単に示した図である。
【
図3】連結プレート110と取付ジョイント部120と外付の接続が完了する様子を示す図である。
【
図4】取付ジョイント部120から突出しているラフガイド122の長さに差を設けた場合の構成例を示す図である。
【
図5】手押しの際の角度の偏移が矯正され、さらに水平方向での位置のずれが修正されて中央部に導かれて行く様子を示す図である。
【
図6】ティーチングおよびそのティーチングプロセスデータの記憶、ティーチングプロセスIDのやりとりについて示す図(その1)である。
【
図7】ティーチングおよびそのティーチングプロセスデータの記憶、ティーチングプロセスIDのやりとりについて示す図(その2)である。
【
図8】自動製造設備200と外付自動機器ユニット100が1台対複数台である配設例を示す図である。
【
図9】
図8(b)の接続後のティーチングプロセスを示す図である。
【
図10】
図9(b)の後に両者が離脱した状態と、両者が再接続した状態を示す図である。
【
図11】複数台対1台の配設において接続後のティーチングプロセスを示す図である。
【
図12】
図11(b)の後に両者が離脱した状態と、両者が再接続した状態を示す図である。
【
図13】従来技術における特開2017-54841号(特許文献1)の部品実装装置の構成例を示した図である。
【
図14】従来技術における特開2019-202357号のロボットシステム(特許文献2)の構成例を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットの実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1として、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットの基本構成、および、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットとメインの自動製造設備との基本的な接続構成例(1台対1台)を示す。
実施例2として、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットとメインの自動製造設備との複数台の接続(1台対複数台、複数台対1台、複数台対複数台)の構成例を示す。
【実施例0029】
図1は、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニット100の構成例を示す図である。メインとなる自動製造設備200も併せて図示している。
図1(a)は両者の接続前、
図1(b)は両者の接続時の様子を示している。
図1(a)および
図1(b)では、外付連結プレート110、取付ジョイント部120を拡大した図を併せて示している。
【0030】
可動脱着式の外付自動機器ユニット100は、メインとなる自動製造設備200に対して、後付けにて随時付加接続したり、随時取り外したりすることが可能な独立ユニットであり、作業員が押して可動できる可動式のユニットである。
実施例1にかかる可動脱着式の外付自動機器ユニット100は、外付連結プレート110、取付ジョイント部120、外付機能装置部130、可動機構部140、床面当接シリンダー150、カメラ装置160、制御部170、ティーチングプロセスデータ記憶部180を備えた構成となっている。
なお、
図1において、床面当接シリンダー150、制御部170、ティーチングプロセスデータ記憶部180の図示は省略している。
【0031】
外付連結プレート110は、自動製造設備200側に取り付けるインターフェイス部分であって、自動製造設備200の筐体のうち外付自動機器ユニットを付加したい箇所に対して取り付ける。なお、自動製造設備200自体は特に限定されず、多様なメーカーやサプライヤーのものが想定され、当初には外付連結プレート110は取り付けられていないことが想定される。そこで、自動製造設備200の筐体に対して、後付けまたは新設にて取り付けるもので良い。
【0032】
外付連結プレート110は、メインロック受け部111と、ラフガイド受け部112を備えている。オプションとしてデータ通信端子113を備えた構成もあり得る。
【0033】
メインロック受け部111は、周辺部にすり鉢状のすり鉢ガイドと中心部にメインロック穴機構を備えた接続端子であり、後述するように取付ジョイント部120側のメインロック機構121と接続できる形状となっている。
【0034】
ラフガイド受け部112は、周辺部にすり鉢状のすり鉢ガイドと中心部にラフガイド穴機構を備えたものとなっている。後述するように取付ジョイント部120側のラフガイド122と接続できる形状となっている。
【0035】
データ通信端子113は、後述する取付ジョイント部120側のデータ通信端子123と電気的に接続され、両者間でデータを通信できる端子である。データ通信とともに電気を通電できる構成も好ましい。データ通信端子113はオプション構成でも良い。
データ通信端子113は、データを通信できる端子であれば特に限定されないが、例えば、USB(ユニバーサルシリアルバス)端子がある。USB端子はデータ通信規格が決まっており、また、通電して電力供給も可能な端子である。実施例2で後述するようにデータ通信端子113を備えたオプション構成であれば、可動脱着式の外付自動機器ユニット100、自動製造設備200が複数台存在し、相互に取り替えたりする構成であれば、ティーチングが省略できるなどのメリットが得られる。詳しくは後述する。
【0036】
取付ジョイント部120は、外付自動機器ユニット100の筐体の一部に取り付けられたインターフェイス部分であり、外付連結プレート110と接続可能な構造となっている。
取付ジョイント部120は、メインロック機構121、テーパー状のラフガイド122、また、データ通信端子123を備えている。
メインロック機構121は、外付連結プレート110側のメインロック受け部111とロック接合する。
【0037】
ラフガイド122は、テーパー状の先端をもち、外付連結プレート110側のラフガイド受け部112に嵌入する形状となっている。
データ通信端子123は、外付連結プレート110側のデータ通信端子113と電気的に接続され、両者間でデータを通信できる端子である。データ通信とともに電気を通電できる構成も好ましい。
【0038】
データ通信端子123はデータを通信できる端子であれば特に限定されないが、例えば、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポートがある。USBポートはデータ通信規格が決まっており、また、通電して接続されたUSB端子113に対して電力供給も可能なポートである。
実施例2で後述するようにデータ通信端子123を備えた構成であるので、一度行ったティーチングプロセスデータを記憶しておけば、取り外して再接続した際のティーチングが省略できるなどのメリットが得られる。詳しくは後述する。
この構成例では、取付ジョイント部120と外付連結プレート110との接続機構は、3次元的な機械的接続と、電気的接続と、データ通信接続を可能とする接続機構となっている。
【0039】
このように、外付自動機器ユニット100を自動製造設備200にアプローチしてゆき、インターフェイスとして提供されている取付ジョイント部120と外付連結プレート110を精密な位置合わせのもと嵌合させる必要がある。しかし、外付自動機器ユニット100は作業員の手押しにより移動する可動脱着式のものを想定しており、人手では精密にアプローチしにくい。
そこで、この構成例では、取付ジョイント部120から突出しているラフガイド122の突出長さをメインロック機構121の突出長さよりも長くする工夫を行っている。
【0040】
図2は、外付連結プレート110と取付ジョイント部120との接続をごく簡単に示した図である。特に、ラフガイド受け部112とラフガイド122とのすり鉢状の形状とテーパー状の形状による嵌合支援のメリットを説明するものである。
図2は両者の嵌合箇所を水平断面で示している。
図2(a)は、自動製造設備200の外付連結プレート110に対して、外付自動機器ユニット100の取付ジョイント部120がアプローチして接近している様子を示す図である。
図2(b)は、両者の位置に多少のズレがあり、完全には正対していない状態で当接を始めた状態を示す図である。
【0041】
取付ジョイント部120から突出しているラフガイド122の突出長さをメインロック機構121の突出長さよりも長くなっているため、自動製造設備200の外付連結プレート110に対して外付自動機器ユニット100の取付ジョイント部120がアプローチして接近してゆけば、先にラフガイド122がラフガイド受け部112に当接し始める。
【0042】
図2(b)の下側の拡大図に示すように、ラフガイド122のテーパー先端が、ラフガイド受け部112のすり鉢状の窪みの縁内にさえ入れば、テーパー斜面とすり鉢状斜面が当接し合って、中央部に導かれて行く。例えば、ラフガイド受け部112のすり鉢状の縁の径が5cmであれば、人手で5cm以内の誤差の範囲で外付自動機器ユニット100を手押しでアプローチできれば良いこととなる。ラフガイド受け部112のすり鉢状の縁の径は限定されないが、例えば、3~10cm程度の径であれば、作業員が手押しで外付自動機器ユニット100をアプローチし、自動製造設備200に接合させることが容易になると期待できる。
取付ジョイント部120から突出している長さの違いにより、ラフガイド122がラフガイド受け部112に当接し始めて中心に導かれてゆき、その後にメインロック機構121がメインロック受け部111と接合される関係となる。
【0043】
図3は、連結プレート110と取付ジョイント部120と外付の接続が完了する様子を示す図である。両者の位置が完全に正対する位置に調整された状態で接合された状態を示す図である。
図3(a)は両者の位置が完全に正対する位置に調整された状態を示す図である。
図3(b)は取付ジョイント部120のメインロック機構121からロックフランジが張り出して外付連結プレート110のメインロック受け部111内に嵌合・係止されて接続される様子を簡単に示している。
なお、ロックフランジはごく簡単に図示しており、実際の形状や構造については図示を省略している。
図3の接続状態となれば、自動製造設備200側に取り付けられた外付連結プレート110と、外付自動機器ユニット100側に取り付けられた取付ジョイント部120とのインターフェイスを介して、両者間で電力供給、データ通信が可能となる。
【0044】
次に、さらなる工夫として、ラフガイド受け部112とラフガイド122が少なくとも複数セットあり、取付ジョイント部120から突出しているラフガイド122の長さに差を設ける工夫について述べる。
図4は、取付ジョイント部120から突出しているラフガイド122の長さに差を設けた場合の構成例を示す図である。
例えば、
図4(a)に示すように、ラフガイド受け部112が第1のラフガイド受け部112aと第2のラフガイド受け部112bの2つあり、ラフガイド122が第1のラフガイド122aと第2のラフガイド122bの2つあるものとする。ここで、第1のラフガイド122aの突出長さが、第2のラフガイド122bの突出長さよりも長いものとする。
このように、ラフガイド122の長さに差があれば、外付自動機器ユニット100を自動製造設備200に接近してゆけば、
図4(b)に示すように、先に第1のラフガイド122aが第1のラフガイド受け部112aに嵌入され始め、その後に第2のラフガイド122bが第2のラフガイド受け部112bに嵌入され始める関係になる。
【0045】
ここで、
図4(b)に示すように、先に一方のラフガイド(この例では第1のラフガイド122a)による当接が始まるので、ラフガイド122aのテーパー形状がラフガイド受け部112aのすり鉢状の形状に当接し始めて中心に導かれてゆくが、他方のラフガイド(この例では第2のラフガイド122b)が当接するまで前進するので、手押しの際の角度の偏移が矯正されやすくなる。
図5は、手押しの際の角度の偏移が矯正され、さらに水平方向での位置のずれが修正されて中央部に導かれて行く様子を示す図である。
図5(a)は、水平方向には未だ位置がずれているが、手押しの際の角度の偏移が矯正された状態を示す図である。
図5(b)は、両者の位置が完全に正対する位置に調整された状態を示す図である。
このように、手押しの際の斜め方向へのずれがあり、押し込み角度に偏移があっても、矯正されやすくなっている。
なお、取付ジョイント部120から突出しているラフガイド122の長さに差を設けた場合でも、
図2と同様、人手での押し込みが、ラフガイド122aがラフガイド受け部112aのすり鉢状の縁の径に入れば、その誤差の範囲で外付自動機器ユニット100を手押しでアプローチできる。
この
図5(b)の後、
図3に示すように、取付ジョイント部120のメインロック機構121からロックフランジが張り出して外付連結プレート110のメインロック受け部111内に嵌合・係止されて接続される
【0046】
引き続き、外付自動機器ユニット100の他の構成要素の説明を続ける。
外付機能装置部130は、自動製造設備200に対して外付で提供する付加機能を奏するロボットアームなどの外付付加装置を搭載した部分である。典型的にはロボットアームなどがあるが、特に限定されず多様なものが可能である。
例えば、外付機能装置部130には移載装置がある。ロボットアームの先端に把持機構や吸引機構などが搭載されていれば良い。ワークを把持したり吸着したりしてワークを持ち上げ、ある箇所から他の箇所へワークを移動させる。
例えば、外付機能装置部130には加工用装置がある。ロボットアームの先端に溶接機構、ドリル機構、切断治具など多様な治具が搭載されていれば良い。もちろん、外付機能装置部130はロボットアーム以外のものであっても良い。例えば、ワークの所定箇所を切断する自動切断装置、ワークを熱処理するためのマイクロ波照射装置、ワークを冷凍するための冷却装置、ワークを洗浄する洗浄装置、ワーク同士を接着する接合装置など多種多様な加工用装置があり得る。ワークを当該加工用装置に投入して取り出すために移載装置としてのロボットアームを併用することもあり得る。
例えば、外付機能装置部130には測定装置がある。レーザーセンサ、重量センサ、タイマ、カメラ、スキャナなどの適切な諸センサが搭載されていれば良い。そのセンサに対してワークを供給し、所定の諸元データを計測した後、ワークを取り出す。ワークを当該測定装置に投入して取り出すために移載装置としてのロボットアームを併用することもあり得る。
【0047】
可動機構部140としては、外付自動機器ユニット100を可搬可能に支持する構造物である。例えば、簡易なものとしては底面に設けられた台車の車輪コマでも良い。この可動機構部140により外付自動機器ユニット100は、メインの自動製造設備200に対してアプローチして接続されたり離脱して離隔したりできる。
なお、外付自動機器ユニット100は常時移動する必要はなく、移動はメインの自動製造設備200に対する外付自動機器ユニット100の取り付け時や取り外し時であるので、このような台車の車輪コマであっても良い。
【0048】
次に、床面当接シリンダー150を説明する。
床面当接シリンダー150は、外付自動機器ユニット100の筐体の一部、例えば、可動機構部が台車ならば、その台車の一部から、空圧または弾性力により設置箇所の床面に向かって所定圧力で突出するシリンダーである。
床面当接シリンダー150は必須の構成ではなく、オプション構成である。
本発明の外付自動機器ユニット100およびメインの自動製造設備200を設置する工場等の床面には微少な凹凸差があったり微少な傾きがあったりする可能性もあり、その高さ方向の校正も必要な場合がある。そこで、この床面当接シリンダー150が設置箇所の床面に向かって所定圧力で突出することにより、連結プレート110と取付ジョイント部120との接続を水平面だけでなく、垂直面においても精密に制御することにより3次元的に正しい接続を可能とする。
【0049】
なお、ここでは、床面に目視できるほどの大きな窪みや傾きが存在する場合までも想定はしていない。そのような劣悪な床面の場合は、本発明の外付自動機器ユニット100を外付で増設することを検討する前に床面の補修を行うべきである。ここでは、概ね床面が平常のフラットと評価できる程度の平滑面であるが、微小な凹凸がありこの微小な凹凸が、外付自動機器ユニット100と自動製造設備200との精密な接続に影響を与えることもあり得るので、それを微小な範囲で校正するものである。
メインロック機構121がメインロック受け部111と接合された後に、床面当接シリンダー150が床面に向かって突出して当接すれば、床面の微小な凹凸差を調整できる。もともと床面がある程度平滑な平面であるため、床面当接シリンダー150が校正する凹凸差は相当小さく、床面当接シリンダー150が突出する圧力はここでは限定しないが、床面に軽く当接する程度で十分である場合が多いと想定される。
【0050】
カメラ装置160は、可視光を撮像する一般的なカメラ装置で良い。カメラの撮影方向は、自動製造設備200と外付自動機器ユニット100との接続面であれば良い。
ここでは、カメラ装置160は、ランドマーク補正機能に用いるもので、カメラ装置160は必須の構成ではなく、オプション構成である。
ランドマーク補正とは、画像情報をもとに自動製造設備200と外付自動機器ユニット100との接続状態を補正するものであり、画像には接続箇所の機械回りの背景も写り込んでいるので、画像情報の背景(ランドマーク)を手掛かりに接続状態を合わせるものである。ランドマーク補正のみで精密に位置補正することには向かないが、アプローチ時の大まかな手掛かりとしては有用な場合も多い。例えば、当該カメラ装置160で撮影した過去の付加接続した際の自動製造設備200と外付自動機器ユニット100との接続状態を写した撮影データを基に、次回に付加接続する際に、前回の接続時の撮影画像を用いて、自動製造設備200への外付自動機器ユニット100のアプローチが概ね良い方向で進んでいるか、ランドマーク補正を行うことができる。
【0051】
制御部170およびティーチングプロセスデータ記憶部180は、外付自動機器ユニット100内、例えば、外付機能装置部130、取付ジョイント部120、筐体の中などのいずれかの部位に設けられている。
制御部170を通じて、外付自動機器ユニット100のロボットアームなどの外付機能装置部130に対して、その動作内容を制御する制御プログラミングを設定する。例えば、自動製造設備200で処理されたワークの受け取りと受け渡しなどの移載処理、ワークへの加工処理、ワークの計測処理などの動作内容を制御する制御プログラミングを設定する。なお、この作業がいわゆる『ティーチング』である。なお、このティーチングプロセスデータの作成自体は外付自動機器ユニット100の外部にあるパソコンなど操作しやすいもので行っても良い。その場合は作成したティーチングプロセスデータは制御部170を介してティーチングプロセスデータ記憶部180に書き込んで記憶保持する。
【0052】
メインの自動製造設備200側にも、このティーチングプロセスデータについて記憶保持する構成もオプションとしても可能である。つまり、特定の外付自動機器ユニット100を外付で付加するにあたり、メインの自動製造設備200側にも何らかのティーチングプロセスデータを保持しておけば役立つことも想定される。しかし、メインの自動製造設備200側にもティーチングプロセスデータ全部を記憶保持しても良いが、例えば、メインの自動製造設備200側には特定の外付自動機器ユニット100を外付するにあたり、そのプロセスに関するIDデータを保持する構成もあり得る。
【0053】
本発明の特徴の1つは、メインの自動製造設備200の装置本体を改変する必要はなく、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニット100を後付けにて随時付加接続および随時取り外しが可能な独立ユニットとして付加することである。つまり、メインの自動製造設備200自体は既設のものであっても良く、その筐体の一部に外付にて外付連結プレート110を取り付けるだけで良いので、ここでは、制御部170やティーチングプロセスデータ記憶部180を可動脱着式の外付自動機器ユニット100側に設ける構成としている。
【0054】
なお、実施例2で後述するように、メインの自動製造設備200に外付で取り付ける外付自動機器ユニット100は必ずしも特定の1台に限らず、他のものがあり得るし、外付自動機器ユニット100を移動させて他の自動製造設備200に外付する場合もあり得ることを考え合わせると、メインの自動製造設備200にも組み合わせとなる所定の情報を持たせておけば便利である。そこで、メインの自動製造設備200に外付する外付連結プレート110にも記憶部を持たせておき、ティーチングプロセスのIDデータを保持しておく構成も可能である。この実施例2の構成は後述する。
なお、外付連結プレート110にはUSB端子などのデータ通信端子113が設けられている構成であれば、取付ジョイント部120のデータ通信端子123との間で電力供給やデータ通信が可能な構成であるので、ティーチングプロセスのIDデータを受け渡して記憶させることもできる。
【0055】
図6および
図7は、ティーチングおよびそのティーチングプロセスデータの記憶、ティーチングプロセスIDのやりとりについて示す図である。模式的に、外付連結プレート110の制御部170およびティーチングプロセスデータ記憶部180と、取付ジョイント部120の記憶部181を取り出して図示している。
図6(a)に示すように、ティーチングを実行してゆき、そのティーチングの流れがティーチングプロセスAであり、作成されたデータがティーチングプロセスデータである。
図6(b)に示すように、作成されたティーチングプロセスデータAがティーチングプロセスデータ記憶部180に格納され、そのIDデータがティーチングプロセスAのIDデータとして記憶部181に格納される。
このように、過去に随時付加接続した際のティーチングプロセスデータをティーチングプロセスデータ記憶部180に保持する。
【0056】
その後、
図7(a)に示すように、必要に応じて外付自動機器ユニット100がメインの自動製造設備200から随時取り外して離脱したとする。離脱すると外付連結プレート110のデータ通信端子113と、取付ジョイント部120のデータ通信端子123との間の電力供給やデータ通信が遮断されるが、ティーチングプロセスデータ記憶部180に格納されたティーチングプロセスデータAおよび記憶部181に格納されたティーチングプロセスAのIDデータは保持され続ける。
【0057】
次に、
図7(b)に示すように、再接続して随時付加接続する際には、ティーチングプロセスデータ記憶部180から過去のティーチングプロセスデータAおよび記憶部181からティーチングプロセスAのIDデータが制御部170に読み込まれて、
図6(b)の状態に復帰する。その結果、再接続時の外付自動機器ユニット100に対するティーチングが不要となる。
実施例2として、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニット100とメインの自動製造設備200との複数台の接続(1台対複数台、複数台対1台、複数台対複数台)の構成例を示す。
外付連結プレート110を外付にてメインの自動製造設備200の筐体に複数取り付ければ、それらの筐体箇所に可動脱着式の外付自動機器ユニット100をそれぞれ取り付けることができる。構成としては、同時にそれぞれの外付連結プレート110に可動脱着式の外付自動機器ユニット100を取り付けることができ、1台対複数台の配設も可能となる。逆に外付自動機器ユニット100側に複数の取付ジョイント部120を取り付けておき、それぞれの取付ジョイント部120にそれぞれのメインの自動製造設備200を取り付けることもでき、複数台対1台の配設も可能となる。もちろん、複数台対複数台の配設も可能となる。
以上、本発明の可動脱着式の外付自動機器ユニットの構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。