(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104339
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】色管理システムおよび色管理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20240729BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240729BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240729BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
B41J29/393 101
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008483
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 義之
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5B057
5C079
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061KK18
2C187AD14
2C187BF60
2C187CD08
2C187DB21
2C187GA01
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CH07
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5C079HB03
5C079LB01
5C079MA04
5C079MA10
5C079NA03
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】管理装置において決定された色変換の設定と、画像形成装置において決定された色変換の設定とが一致していることを、色管理の工程においてユーザが確認可能にする。
【解決手段】色管理システム1は、画像形成装置30と、管理装置10とを備え、管理装置10は、色を管理する際に用いる色変換の設定を受け付け、受け付けた設定を識別可能な第1識別情報とカラーチャートとを含むデータを画像形成装置30へ送信し、画像形成装置30は、画像形成装置30の色変換の設定と、第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報、およびカラーチャートを含む管理用画像を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色を管理する色管理システムであって、
画像形成装置と、
色を管理するためのカラーチャートを前記画像形成装置に出力させる管理装置とを備え、
前記管理装置は、前記画像形成装置の色を管理する際に用いる色変換の設定を受け付け、受け付けた設定を識別可能な第1識別情報と前記カラーチャートとを含むデータを前記画像形成装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記画像形成装置の色変換の設定と、前記第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報、および前記カラーチャートを含む管理用画像を出力する、色管理システム。
【請求項2】
前記特定用情報は、前記第1識別情報と、前記画像形成装置の色変換の設定を識別可能な第2識別情報とを含む、請求項1に記載の色管理システム。
【請求項3】
前記特定用情報は、合成画像を含み、
前記画像形成装置は、管理に用いる色変換の設定がコード化された第1コードを前記第1識別情報に基づいて取得し、取得した前記第1コードに基づいて前記合成画像を生成し、
前記合成画像は、前記第1コードと、前記画像形成装置の色変換の設定がコード化された第2コードとを重ねることによって生成され、
前記第1コードは、前景が第1色で構成され、背景が第2色で構成され、
前記第2コードは、前景が前記第2色で構成され、背景が前記第1色で構成される、請求項1または請求項2に記載の色管理システム。
【請求項4】
前記第1コードおよび前記第2コードは、二次元コードにより構成される、請求項3に記載の色管理システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記第1コードと前記第2コードとを重ねたときに、異なる色で重なり合う部分を前記第1色および前記第2色のうちの一方に設定し、同じ色で重なり合う部分を前記第1色および前記第2色のうちの前記一方と異なる他方に設定することにより、前記合成画像を生成する、請求項3に記載の色管理システム。
【請求項6】
前記カラーチャートは、色検証用のチャートまたはプロファイル作成用のチャートである、請求項1または請求項2に記載の色管理システム。
【請求項7】
前記色変換の設定は、ソースプロファイル、ターゲットプロファイル、プリンタプロファイル、およびデバイスリンクプロファイルのうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1または請求項2に記載の色管理システム。
【請求項8】
前記第1識別情報および前記第2識別情報は、用紙情報を含む、請求項2に記載の色管理システム。
【請求項9】
前記特定用情報は、前記管理装置が前記第1識別情報と前記カラーチャートとを含むデータを前記画像形成装置へ送信した送信日時と、前記画像形成装置が前記管理用画像を出力した出力日時とを含む、請求項1または請求項2に記載の色管理システム。
【請求項10】
前記画像形成装置は、前記送信日時と前記出力日時との差が閾値の範囲にある場合、前記送信日時と前記出力日時との差を切り捨てる処理を実行する、請求項9に記載の色管理システム。
【請求項11】
色を管理する色管理方法であって、
画像形成装置の色を管理する際に用いる色変換の設定を受け付けるステップと、
受け付けた設定を識別可能な第1識別情報と色を管理するためのカラーチャートとを含むデータを前記画像形成装置へ送信するステップと、
前記画像形成装置の色変換の設定と、前記第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報、および前記カラーチャートを含む管理用画像を前記画像形成装置において出力するステップとを含む、色管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、色管理システムおよび色管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置を対象とする色管理の一例として、色検証が従来から実施されている。色検証においては、画像形成装置から出力された検証チャートが測色され、測色により得られた色値が、色認証規格で定められる色値と比較される。
【0003】
たとえば、特開2021-19258号公報(特許文献1)には、色管理システムに関して、管理装置の指令に応じてプリンタが検証チャートを印刷し、印刷された検証チャートの測色情報に基づいて管理装置が色検証用ターゲットを作成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
色管理が適切に行われるためには、管理装置において決定された色変換の設定と、画像形成装置において決定された色変換の設定とが一致していることが必要である。しかしながら、従来、両者の設定が一致していることを色検証等の色管理の工程において確認できる手法は提案されていなかった。
【0006】
本開示のある局面における目的は、管理装置において決定された色変換の設定と、画像形成装置において決定された色変換の設定とが一致していることを、色管理の工程においてユーザが確認可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の色管理システムは、色を管理する色管理システムであって、画像形成装置と、画像形成装置の色を管理するためのカラーチャートを画像形成装置に出力させる管理装置とを備え、管理装置は、色を管理する際に用いる色変換の設定を受け付け、受け付けた設定を識別可能な第1識別情報とカラーチャートとを含むデータを画像形成装置へ送信し、画像形成装置は、画像形成装置の色変換の設定と、第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報、およびカラーチャートを含む管理用画像を出力する。
【0008】
一態様において、特定用情報は、第1識別情報と、画像形成装置の色変換の設定を識別可能な第2識別情報とを含む。
【0009】
一態様において、特定用情報は、合成画像を含み、画像形成装置は、管理に用いる色変換の設定がコード化された第1コードを第1識別情報に基づいて取得し、取得した第1コードに基づいて合成画像を生成し、合成画像は、第1コードと、画像形成装置の色変換の設定がコード化された第2コードとを重ねることによって生成され、第1コードは、前景が第1色で構成され、背景が第2色で構成され、第2コードは、前景が第2色で構成され、背景が第1色で構成される。
【0010】
一態様において、第1コードおよび第2コードは、二次元コードにより構成される。
【0011】
一態様において、画像形成装置は、第1コードと第2コードとを重ねたときに、異なる色で重なり合う部分を第1色および第2色のうちの一方に設定し、同じ色で重なり合う部分を第1色および第2色のうちの一方と異なる他方に設定することにより、合成画像を生成する。
【0012】
一態様において、カラーチャートは、色検証用のチャートまたはプロファイル作成用のチャートである。
【0013】
一態様において、色変換の設定は、ソースプロファイル、ターゲットプロファイル、プリンタプロファイル、およびデバイスリンクプロファイルのうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0014】
一態様において、第1識別情報および第2識別情報は、用紙情報を含む。
【0015】
一態様において、特定用情報は、管理装置が第1識別情報とカラーチャートとを含むデータを画像形成装置へ送信した送信日時と、画像形成装置が管理用画像を出力した出力日時とを含む。
【0016】
一態様において、画像形成装置は、送信日時と出力日時との差が閾値の範囲にある場合、送信日時と出力日時との差を切り捨てる処理を実行する。
【0017】
他の実施形態において、色管理方法は、色を管理する色管理方法であって、画像形成装置の色を管理する際に用いる色変換の設定を受け付けるステップと、受け付けた設定を識別可能な第1識別情報と色を管理するためのカラーチャートとを含むデータを画像形成装置へ送信するステップと、画像形成装置の色変換の設定と、第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報、およびカラーチャートを含む管理用画像を画像形成装置において出力するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、管理装置において決定された色変換の設定と、画像形成装置において決定された色変換の設定とが一致していることを、色管理の工程においてユーザが確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】色管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】管理装置によって構築される色管理部のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】画像形成装置のコントローラによって構築されるソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図11】プリンタから出力される検証用画像(設定一致の場合)を示す図である。
【
図12】プリンタから出力される検証用画像(設定不一致の場合)を示す図である。
【
図15】管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】プリンタの処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。以下に説明する構成要素、種類、組み合わせ、形状、および構成要素の相対的な配置は、特定的な記載がない限り、それに限定する主旨ではない。以下の説明において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない場合がある。
【0021】
<色管理システム1の全体構成>
図1は、色管理システム1の全体構成を示す図である。色管理システム1は、管理装置10と、測色機20と、画像形成装置30A~30Cとを備える。管理装置10と、測色機20と、画像形成装置30A~30Cとは、ネットワーク40を介して接続されている。管理装置10は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。画像形成装置30A,30Bは、たとえば、ファクシミリを含む複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)である。画像形成装置30Cは、たとえば、プリンタである。以下では、画像形成装置30A~30Cを画像形成装置30と総称する。また、以下では、画像形成装置30Cをプリンタ30Cとも称する。
【0022】
図1には、色管理システム1に含まれる画像形成装置として、画像形成装置30A~30Cが例示されている。しかしながら、色管理システム1には、画像形成装置30が1台のみ接続されていてもよく、4台以上の画像形成装置30が接続されていてもよい。また、色管理システム1には、画像形成装置30Cのようなプリンタのみが接続されていてもよく、画像形成装置30A,30Bのような複合機のみが接続されていてもよい。
【0023】
管理装置10は、カラーチャートを用いて画像形成装置30の色管理を行う。画像形成装置30は、管理装置10の指令に応じて、カラーチャートを含む画像を紙などの記録媒体に印刷する。測色機20は、管理装置10の指令に応じて、画像形成装置30から印刷された画像に含まれるカラーチャートを測色する。ユーザは、測色結果を評価し、必要に応じて管理装置10または画像形成装置30の色設定を見直すなどの処理を実施する。
【0024】
色管理システム1における色管理が適切に行われるためには、管理装置10において決定された色変換の設定と、画像形成装置30において決定された色変換の設定とが一致していることが必要である。しかしながら、従来、両者の設定が一致していることを色管理の工程において確認できる手法は提案されていなかった。
【0025】
たとえば、画像形成装置30から印刷されたカラーチャートのみからでは、管理装置10で期待している色変換の設定に従って画像形成装置30がカラーチャートを印刷したか否か不明である。より具体的には、管理装置10がカラープロファイルAで画像形成装置30の色管理を実行しようとしているときに、画像形成装置30がカラープロファイルAに対応する設定に対応できないためにカラープロファイルBでカラーチャートを印刷する可能性がある。この場合、ユーザは、その印刷結果からでは、管理装置10において決定されたカラープロファイルと、画像形成装置30において決定されたカラープロファイルとが一致していないことを確認することができない。
【0026】
そこで、本実施の形態においては、管理装置10において決定された色変換の設定と、画像形成装置30において決定された色変換の設定とが一致していることを、色管理の工程においてユーザが確認可能にする技術を提案する。
【0027】
管理装置10の色管理の概念には、画像形成装置30の色検証およびプロファイル作成が含まれる。なお、色管理とは、たとえば、予め定められたカラープロファイルによって、プリンタなどの個々の機器による色再現の違いを統一的に管理することをいう。管理装置10は、カラーチャートとして色検証用のチャートを用いて、画像形成装置30の色検証を実行する。管理装置10は、カラーチャートとしてプロファイル作成用のチャートを用いて、画像形成装置30のプロファイルを作成する。以下では、色管理の代表例として、色検証を採り上げて、本実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する色検証に関する実施の形態は、色管理の他の一例となるプロファイル作成にも適用可能である。
【0028】
<色管理システム1のブロック図>
図2は、色管理システム1の構成を示すブロック図である。
【0029】
管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、CPU11が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)12と、CPU12の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)13と、入力装置14と、表示装置15と、記憶装置16と、通信インタフェース(I/F)17とを備える。
【0030】
ROM12には、色検証方法を実行する色検証プログラム、および、色検証方法に用いる各種データが記憶されている。CPU11は、ROM12に記憶されている各種プログラムを読み出し、RAM13を作業領域として用いてプログラムを実行し、色検証処理等を実行する。色検証とは、印刷物が目的とする色を出力できているかを検証することをいう。
【0031】
入力装置14は、マウスおよびキーボード等により構成される。表示装置15は、各種画像を表示可能な液晶表示器等により構成される。記憶装置16は、ハードディスクドライブ(HDD)等の不揮発性の記憶装置により構成される。記憶装置16は、管理情報等の各種データを記憶する。通信インタフェース17は、測色機20および画像形成装置30と、CPU11とを情報通信可能に接続する。
【0032】
管理装置10は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。しかしながら、クラウドサーバまたはアプリケーションサーバによって管理装置10を構成してもよい。このようなサーバにより管理装置10を構成した場合、管理装置10は、インターネットを介して測色機20および画像形成装置30と接続される。
【0033】
測色機20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、入力装置24と、表示装置25と、通信インタフェース27と、光学センサ28とを備える。
【0034】
ROM22には、測色を実行するプログラムが記憶されている。CPU21は、ROM22に記憶されているプログラムを読み出し、RAM23を作業領域として用いてプログラムを実行し、測色を実行する。入力装置24は、マウスおよびキーボード等により構成される。表示装置25は、各種画像を表示可能な液晶表示器等により構成される。通信インタフェース27は、管理装置10と、CPU21とを情報通信可能に接続する。
【0035】
ユーザは、光学センサ28と対向する位置に、画像形成装置30から出力された印刷物のうち、色検証用のチャート部分を配置する。CPU21は、通信インタフェース27を介して、管理装置10から測色の指令を受信する。CPU21は、その指令に応じて、光学センサ28で色検証用のチャート部分を測色し、測色結果(たとえば、L*a*b*値等の測色値のデータ)を管理装置10へ送信する。
【0036】
画像形成装置30は、コントローラ38と、プリントエンジン39とを備える。画像形成装置30は、仕様に応じてファクシミリ、その他の構成をさらに備える場合がある。コントローラ38は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、表示操作部35と、記憶装置36と、通信インタフェース37とを備える。
【0037】
ROM32には、印刷処理などの画像形成処理を実行するプログラムが記憶されている。CPU31は、ROM32に記憶されているプログラムを読み出し、RAM33を作業領域として用いてプログラムを実行し、印刷処理などを実行する。表示操作部35は、タッチパネルなどにより構成されており、画像を表示する機能と、色変換に関する設定などのユーザの操作を受け付ける機能とを備える。記憶装置36は、色変換に関する設定などの情報を記憶する。通信インタフェース37は、管理装置10と、CPU31とを情報通信可能に接続する。
【0038】
CPU31は、通信インタフェース37を介して、管理装置10から検証用のチャートを印刷する印刷指令を受信する。CPU31は、印刷指令に応じて、検証用のチャートを含む検証用画像を印刷する。
【0039】
CPU11,21,31は、各種のプログラムを実行することで、各種の処理を実行する演算装置の一例である。演算装置としては、CPUの他、MPU(Micro-processing unit)などのプロセッサを採用してもよい。演算装置の機能の一部またはすべてを、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェア回路で構成してもよい。演算装置の一例として開示したCPUは、各種の処理を実行する処理回路(processing circuitry)または回路(circuitry)の一例でもある。演算装置は、1チップで構成されてもよいし、複数のチップで構成されてもよい。演算装置および関連する処理回路は、ローカルエリアネットワークまたは無線ネットワークなどを介して、直接または無線で相互接続された複数のコンピュータであってもよい。演算装置の一部の機能を、サーバ装置(たとえば、クラウド型のサーバ装置)に設けてもよい。
【0040】
<色管理部100のソフトウェア構成>
図3は、管理装置10によって構築される色管理部100のソフトウェア構成を示すブロック図である。色管理部100は、
図2に示される管理装置10のハードウェア構成によって実現される。
【0041】
色管理部100は、UI(User Interface)部110と、色検証処理部120と、チャートデータ記憶部130と、管理データ記憶部140とを含む。チャートデータ記憶部130と、管理データ記憶部140とは、たとえば、記憶装置16により実現される。チャートデータ記憶部130には、色検証用のチャートデータが記憶されている。管理データ記憶部140には色検証管理データが記憶されている。色検証管理データには、色検証の際に用いられる各種パラメータが含まれる。
【0042】
UI部110は、設定部111と、測色部112と、結果表示部113とを含む。設定部111は、色検証に関する設定を行う。測色部112は、測色機20を用いて測色処理を実行するときに測色処理の状況を表示装置15に表示する。結果表示部113は、色検証の結果(Pass/Fail)を表示装置15に表示する。
【0043】
色検証処理部120は、チャート管理部121と、印刷指示部122と、チャート測色部123と、計算部124と、編集部125とを含む。チャート管理部121は、色検証処理のために用いる色検証チャートを管理する。印刷指示部122は、画像形成装置30へ色検証チャートの印刷を指令する。チャート測色部123は、測色機20を制御し、画像形成装置30から印刷された色検証チャートを測色する。計算部124は、測色機20の測色結果に基づいて、色検証結果を計算する。編集部125は、ユーザの操作に従って色検証に用いる色変換の設定を編集する。
【0044】
<コントローラ38のソフトウェア構成>
図4は、画像形成装置30のコントローラ38によって構築されるソフトウェア構成を示すブロック図である。コントローラ38は、UI部310と、ジョブ管理部320と、描画処理部330と、プリントエンジン制御部340とを備える。UI部310は、表示操作部35においてユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた情報を表示操作部35に表示する。ジョブ管理部320は、印刷ジョブを管理する。描画処理部330は、印刷ジョブを描画データに変換する。プリントエンジン制御部340は、プリントエンジン39を制御する。プリントエンジン制御部340は、たとえば、描画データをプリントエンジン39に送信し、印刷ジョブに応じた画像をプリントエンジン39に印刷させる。
【0045】
描画処理部330は、解析部331と、印字部332と、変換処理部333と、ラスタライズ処理部334とを備える。解析部331は、ジョブの描画情報および印刷設定を解析する。印字部332は、ジョブの印刷設定に基づいて、ジョブデータに情報を付加する。変換処理部333は、ジョブデータの色変換処理を行う。ラスタライズ処理部334は、ジョブデータを印字データにラスタライズする。
【0046】
<色検証の具体例>
次に、
図5~
図14を用いて、色検証の具体例を説明する。ここでは、色管理システム1に含まれる画像形成装置30のうち、“プリンタ30C”の色検証をする場合を例に挙げて、具体例を説明する。
【0047】
図5は、色検証のための設定画面151を示す図である。
図6は、色検証のための編集画面152を示す図である。
図7は、色検証チャート80の一例を示す図である。管理装置10は、設定画面151と編集画面152とを表示装置15に表示することが可能である。
【0048】
管理装置10は、プリンタ30Cと色検証のターゲットとの組み合わせを管理する。設定画面151には、プリンタ30Cと色検証のターゲットとの組み合わせが、その組み合わせの「名前」と、対象の「プリンタ」と、色の「検証結果」と共に表示される。ここでは、2台のプリンタ30Cが管理装置10によって管理されているものとする。このため、
図5に示される設定画面5には、2台のプリンタ30Cの各々に対応する「プリンタ」として、「Printer1」と「Printer2」とが示されている。
図5に示される設定画面5において、「Printer1_JapanColor」に対応する「プリンタ」と「Printer1_Fogra」に対応する「プリンタ」とは、共に「Printer1」である。これは、「Printer1_JapanColor」および「Printer1_Fogra」が「Printer1」を対象としているものの、両者では色検証のターゲットが異なることを意味する。
【0049】
設定画面151には、ユーザがマウスによってクリック可能な編集ボタン1511および検証ボタン1512が含まれる。ユーザは、編集対象としたい「プリンタ30Cと色検証のターゲットとの組み合わせ」の「名前」を選択した後、編集ボタン1511をクリックする。その場合、設定画面151が
図6に示される編集画面152に切り替わる。
【0050】
ユーザは、編集画面152を用いて、色検証に用いられる様々な設定内容を編集することができる。編集画面152には、「プリンタ30Cと色検証のターゲットとの組み合わせ」に付された名前、色検証対象のプリンタ名、色検証の際に使用する色検証チャート、色検証の基準となるターゲットプロファイル、色検証の際に使用するプリンタプロファイル、許容する色差などを設定する許容値設定、紙白、レベル、dE算出方法、用紙dE、平均dE、最大dE、およびCMYKdchなどといった様々な設定項目が表示される。これらの設定項目は、色変換の設定の一例である。
図7には、編集画面152において選択可能な色検証チャート80の一例が示されている。ユーザは、編集画面152において、プルダウン形式によって、または、直接、値を入力する形式によって、色検証チャート8を含む各種の色変換の設定を編集することができる。
【0051】
編集画面152には、ユーザがマウスによってクリック可能なキャンセルボタン1521およびOKボタン1522が含まれる。ユーザがOKボタン1522をクリックした場合、編集した設定内容が管理データ記憶部140に記憶される。ユーザがキャンセルボタン1521をクリックした場合、編集した設定内容は管理データ記憶部140に保存されることなく、その内容が破棄される。編集画面152を用いてユーザが決定する「色変換の設定」は、管理装置10が色検証対象のプリンタ30Cに期待する「色変換の設定」に相当する。
【0052】
ユーザは、設定画面151において、検証対象としたい「プリンタ30Cと色検証のターゲットとの組み合わせ」の名前を選択した後、検証ボタン1512をクリックする。その場合、編集画面152で編集された色変換等の設定に基づいて、色検証の処理が実行される。この場合、管理装置10は、色検証対象のプリンタ30Cに対して、色検証のための印刷指令を送信する。
【0053】
図8は、検証用画像データ90を示す図である。管理装置10によってプリンタ30Cに送信される印刷指令には、
図8に示される検証用画像データ90が含まれる。検証用画像データ90には、プリンタ30Cに印刷させる色検証チャート80に加えて、編集画面152において編集された色変換の設定情報等を特定可能な付加情報が含まれる。検証用画像データ90には、付加情報の例となる、二次元コード81および検証設定情報83が含まれる。
【0054】
図8に示されるように、検証設定情報83は、「Name」、「Target Profile」、「Printer Profile」、および「Validation Date」を含む。「Name」は、
図5に示される「名前」に対応する情報を表す。「Target Profile」は、色検証の編集画面152(
図6参照)において設定された「ターゲットプロファイル」を表す。「Printer Profile」は、色検証の編集画面152(
図6参照)において設定された「プリンタプロファイル」を表す。「Validation Date」は、色検証が開始された日時を表す。より具体的には、「Validation Date」は、管理装置10が色検証のためにプリンタ30Cへ印刷指令を送信した日時を表す。「Validation Date」は、色検証の設定画面151(
図5参照)において、管理装置10が検証ボタン1512のクリック操作を受け付けた日時を表してもよい。
【0055】
二次元コード81は、管理装置10で決定された色変換の設定を表すコード情報である。二次元コード81は、前景色に対応する第1色と背景色に対応する第2色との2つの色から構成される画像である。たとえば、グレースケール画像が256階調の画素値で表現される場合、第1色は黒に対応する0であり、第2色は白に対応する255である。
【0056】
前景色と背景色との組み合わせは黒と白とに限られない。二次元コード81においては、前景色と背景色とが異なるものであればよい。たとえば、二次元コード81の前景色を赤に設定し、二次元コード81の背景色を緑に設定してもよい。以下では、二次元コード81が黒(前景色)と白(背景色)とによって表現される場合を例として、説明を続ける。
【0057】
二次元コード81は、検証設定情報83のうち、「Validation Date」または「name」を除いた情報を表すコード情報であってもよい。
【0058】
プリンタ30Cは、管理装置10から色検証のための印刷指令を受信する。プリンタ30Cは、印刷指令に基づいて、管理装置10が期待する色変換の設定を特定し、特定した色変換の設定を考慮して、プリンタ30Cにおける色変換の設定を決定する。
【0059】
このとき、プリンタ30Cが決定した色変換の設定と、管理装置10が期待する色変換の設定とが一致しない場合がある。たとえば、管理装置10の指定する用紙がプリンタ30Cに補給されていない場合など、プリンタ30Cが有するハードウェア資源またはソフトウェア資源が、管理装置10が期待する色変換の設定に完全に対応できない場合、そのような事態が発生し得る。
【0060】
このような場合、プリンタ30Cによって印刷された色検証チャート80は、色検証に役立たない。そこで、プリンタ30Cは、色検証チャート80を印刷する際、印刷物に「特定用情報」を付加する。「特定用情報」は、管理装置10が色検証において期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定との一致/不一致をユーザが特定可能な情報である。この「特定用情報」を生成するために、プリンタ30Cは、印刷指令に含まれる上述の付加情報(二次元コード81および検証設定情報83)を利用する。
【0061】
以下、プリンタ30Cが「特定用情報」を生成する手順について説明する。プリンタ30Cは、管理装置10から印刷指令を受信したとき、上述のようにプリンタ30Cの色変換の設定を決定する。プリンタ30Cは、決定した色変換の設定を、黒(前景色)と白(背景色)とによって表現される二次元コードに変換する。さらに、プリンタ30Cは、その二次元コードの前景色と背景色とを反転させた反転コード82を生成する。ここで、
図9を用いて、反転コード82を説明する。
【0062】
図9は、反転コード82を示す図である。反転コード82は、プリンタ30Cにより生成される。反転コード82の前景色は白であり、反転コード82の背景色は黒である。このため、反転コード82は、管理装置10で作成される二次元コード81(
図8参照)と比べて、前景色と背景色とが反転している。
【0063】
反転コード82は、プリンタ30Cの色変換の設定を示す。これに対して、
図8に示した二次元コード81は、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定を示す。したがって、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致している場合、二次元コード81と反転コード82とは、同じ情報を表す。
【0064】
ただし、反転コード82は、管理装置10で作成される二次元コード81(
図8参照)と比べて、前景色と背景色とが反転している。ここで、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致しているものと仮定する。この場合、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせると、前者の白のすべてのエリアは後者の黒のエリアと重なり、前者の黒すべてのエリアは後者の白のエリアと重なる。
【0065】
したがって、ユーザは、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせた画像を確認することにより、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していることを確認することができる。そこで、プリンタ30Cは、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせた合成画像830を生成する。ここで、
図10を用いて、合成画像830を説明する。
【0066】
図10は、合成画像830を示す図である。合成画像830は、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせた画像の一例である。
図10には、合成画像830として、合成画像831と合成画像832とが示されている。合成画像831は、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致している場合に生成される画像を示す。合成画像832は、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していない場合に生成される画像を示す。
【0067】
プリンタ30Cは、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせ、白と黒とが重なる箇所を黒、白と白とが重なる箇所を白、並びに黒と黒とが重なる箇所を白にそれぞれ変換して得られる合成画像を生成する。
【0068】
管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致している場合、合成画像831が生成される。合成画像831は、黒のベタ画像である。管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していない場合、黒のベタ画像が生成されることなく、白の領域が含まれる合成画像832が生成される。
【0069】
図11は、プリンタ30Cから出力される検証用画像91(設定一致の場合)を示す図である。
図12は、プリンタ30Cから出力される検証用画像91(設定不一致の場合)を示す図である。
【0070】
プリンタ30Cは、管理装置10から印刷指令を受信したとき、色検証チャート80、検証設定情報83、プリンタ設定情報84、および合成画像830を含む検証用画像91を印刷する。検証設定情報83は、管理装置10から受信した検証用画像データ90(
図3参照)に含まれる。プリンタ設定情報84は、検証設定情報83と対応するプリンタ30Cの設定情報である。
図11および
図12に示されるように、プリンタ設定情報84には、検証設定情報83と同様の項目が含まれている。プリンタ設定情報84に含まれる「Name」、「Target Profile」、および「Printer Profile」は、管理装置10がプリンタ30Cに期待する設定ではなく、プリンタ30Cにより設定された情報である。プリンタ設定情報84に含まれる「Validation Date」は、プリンタ30Cが検証用画像を印刷した印刷日時を示す。
【0071】
管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致している場合、プリンタ30Cは、
図11に示される検証用画像91を印刷する。
図11に示される検証用画像91には、黒ベタの合成画像831が含まれている。ユーザは、合成画像831を確認することによって、プリンタ30Cが期待通りの色変換の設定(管理装置10で決定した色変換の設定)によって色検証チャート80を印刷していることを一目で確認することができる。さらに、ユーザは、検証設定情報83と、プリンタ設定情報84とを対比することによっても、プリンタ30Cが期待通りの色変換の設定によって色検証チャート80を印刷していることを確認することができる。
【0072】
管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していない場合、プリンタ30Cは、
図12に示される検証用画像91を印刷する。
図12に示される検証用画像91には、黒ベタではない合成画像832が含まれている。ユーザは、合成画像832を確認することによって、プリンタ30Cが期待通りの色変換の設定(管理装置10で決定した色変換の設定)によって色検証チャート80を印刷していないことを一目で確認することができる。さらに、ユーザは、検証設定情報83と、プリンタ設定情報84とを対比することによっても、プリンタ30Cが期待通りの色変換の設定によって色検証チャート80を印刷していないことを確認することができる。特に、ユーザは、検証設定情報83と、プリンタ設定情報84とを対比することによって、色変換の設定のうち、一致していない設定項目を特定することができる。
【0073】
本実施の形態によれば、ユーザは、検証用画像91を確認し、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していることを特定した上で、測色機20による測色処理を実行することができる。その結果、本実施の形態によれば、プリンタ30Cから印刷された不適切な色検証チャート80に基づいてユーザが色検証を進めてしまうことを防止できる。
【0074】
図13は、測定画面153を示す図である。管理装置10は、測定画面153を表示装置15に表示する。測定画面153には、色検証の基準とされる色検証チャートと、スタートボタン1531とが表示される。ユーザは、スタートボタン1531をクリックすることによって、管理装置10に測色処理を開始させる。スタートボタン1531がクリックされた場合、管理装置10は、測色機20に測色を開始させる指令を送信する。測色機20は、管理装置10の指令に応じて、検証対象のプリンタ30Cから印刷された画像に含まれる色検証チャート80を測色する。測色機20によって測定された色は、測定画面153のうち、色検証の基準とされる色検証チャートの下に表示される。
【0075】
図14は、測定結果画面154を示す図である。管理装置10は、測定結果画面154を表示装置15に表示する。測定結果画面154には、色検証の結果(Pass/Fail)と結果の詳細とが表示される。たとえば、測定結果画面154には、測色された色検証チャート80に基づいて、色差が基準値以下であるか否かのチェックを行った結果などが表示される。ユーザは、測定結果画面154に基づいて、色検証の結果を特定する。
【0076】
<フローチャートに基づいた処理手順の説明>
これまでに詳細に説明した管理装置10および画像形成装置30の処理の内容を整理し、フローチャートに基づいて、その処理の手順を説明する。引き続き、ここでは、画像形成装置30としてプリンタ30Cを例に挙げて、処理手順を説明する。
【0077】
図15は、管理装置10の処理手順を示すフローチャートである。はじめに管理装置10は、プリンタ30Cの色変換の設定を編集する操作を受け付ける(ステップS1)。より具体的には、管理装置10は、設定画面151および編集画面152を表示装置15に表示し、色変換の設定を編集するユーザ操作を受け付ける。
【0078】
次に、管理装置10は、ユーザの編集操作によって決定された色変換の設定を取得する(ステップS2)。次に、管理装置10は、取得した色変換の設定に基づいて、二次元コード81を生成する(ステップS3)。二次元コード81には、ステップS2において取得された色変換の設定が反映されている。次に、管理装置10は、検証用画像データ90を生成する(ステップS4)。既に説明したとおり、検証用画像データ90には、色検証チャート80、二次元コード81、および検証設定情報83が含まれる。
【0079】
次に、管理装置10は、検証用画像データ90を含む印刷指令を色検証対象のプリンタ30Cへ送信し(ステップS5)、本フローチャートに基づく処理を終える。この後、管理装置10は、測色処理の指示をユーザから受けるまで待機する。
【0080】
図16は、プリンタ30Cの処理手順を示すフローチャートである。本フローチャートに基づいた処理は、より詳しくは、プリンタ30Cが備えるコントローラ38により実行される。
【0081】
はじめに、プリンタ30Cは、管理装置10から検証用画像データの印刷指令を受信する(ステップS21)。次に、プリンタ30Cは、印刷指令を考慮して、色変換の設定を決定する(ステップS22)。基本的には、プリンタ30Cは、印刷指令に含まれる色変換の設定に従うように、プリンタ30Cの色変換の設定を調整する。しかしながら、上述のとおり、プリンタ30Cが有するハードウェア資源またはソフトウェア資源が、管理装置10が期待する色変換の設定に完全に対応できない場合がある。この場合、プリンタ30Cは、管理装置10から受信した色変換の設定の一部を変更し、変更後の設定を採用する。このため、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致しない場合が生じる。
【0082】
次に、プリンタ30Cは、決定した色変換の設定を記憶装置36に保存する(ステップS23)。次に、プリンタ30Cは、保存した色変換の設定を記憶装置36から読み出す(ステップS24)。次に、プリンタ30Cは、読み出した色変換の設定に基づいて、二次元コードを生成する(ステップS25)。生成された二次元コードには、ステップS24において読出された色変換の設定が反映されている。
【0083】
次に、プリンタ30Cは、生成した二次元コードの階調を反転させた反転コード82を生成する(ステップS26)。なお、プリンタ30Cは、二次元コードを生成するステップと、生成した二次元コードから反転コード82を生成するステップとを実行することなく、ステップS25のひとつのステップで、反転コード82を生成してもよい。
【0084】
次に、プリンタ30Cは、検証用画像データ90の二次元コード81に、反転コード82を重ねることで、合成画像830を生成する(ステップS27)。より詳しくは、プリンタ30Cは、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせ、白と黒とが重なる箇所を黒、白と白とが重なる箇所を白、並びに黒と黒とが重なる箇所を白にそれぞれ変換して得られる合成画像830を生成する。
【0085】
管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致している場合、
図10に例示される合成画像831が生成される。管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していない場合、
図10に例示される合成画像832が生成される。
【0086】
次に、プリンタ30Cは、検証用画像91を生成する(ステップS28)。検証用画像91には、色検証チャート80、合成画像830、検証設定情報83、およびプリンタ設定情報84が含まれる。次に、プリンタ30Cは、検証用画像91を印刷し(ステップS29)、本フローチャートに基づく処理を終える。
【0087】
ユーザは、印刷された検証用画像91をチェックし、合成画像830が黒ベタの画像であることを確認する。合成画像830が黒ベタの画像である場合、ユーザは、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していると判断できる。
【0088】
合成画像830が黒ベタの画像である場合、ユーザは、測色機20で色検証チャート80を測色する。合成画像830が黒ベタの画像でない場合、ユーザは、管理装置10またはプリンタ30Cの色変換の設定を見直す。ユーザは、検証用画像91に含まれる検証設定情報83とプリンタ設定情報84とを対比することによって、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していることを確認してもよい。
【0089】
図17は、管理装置10の処理手順を示すフローチャートである。本フローチャートは、色検証チャート80を測色機20で測色するための測色処理に関する。管理装置10は、測定画面153において、スタートボタン1531をクリックする操作が検出された場合、検証用画像91の色検証チャート80を測色機20で測色する(ステップS31)。この場合、測色機20の光学センサ28と対向する位置には、色検証チャート80が配置されている必要がある。測色機20から管理装置10へは測色値が送信される。
【0090】
次に、管理装置10は、色検証の基準値と測定値との色差を計算する(ステップS32)。次に、管理装置10は、色検証の結果を測定結果画面154に表示し(ステップS33)、本フローチャートに基づく処理を終える。
【0091】
本実施の形態によれば、ユーザは、管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致していることを確認した上で、
図17に示される測色処理を実行することができる。このため、プリンタ30Cから印刷された不適切な色検証チャート80に基づいてユーザが測色処理を進めてしまうことを防止できる。このように、本実施の形態によれば、管理装置10において決定された色変換の設定と、画像形成装置30において決定された色変換の設定とが一致していることを、色管理の工程においてユーザが確認することができる。
【0092】
以上、プリンタ30Cを画像形成装置30の代表例として、
図5~
図17を用いて色検証の具体例について説明した。以上に説明した色検証の具体的な処理については、プリンタ30Cのみならず、複合機を含む画像形成装置30A,30Bなどにも適用可能である。
【0093】
本実施の形態において、検証用画像データ90に含まれる、二次元コード81および検証設定情報83は、色を管理する際に用いる色変換の設定を識別可能な第1識別情報の一例である。色検証チャート80は、色を管理するためのカラーチャートの一例である。検証用画像91に含まれるプリンタ設定情報84は、画像形成装置の色変換の設定を識別可能な第2識別情報の一例である。
【0094】
合成画像830は、画像形成装置の色変換の設定と、第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報の一例である。さらに、検証設定情報83とプリンタ設定情報84との組み合わせは、画像形成装置の色変換の設定と、第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報の一例である。検証用画像91には、特定用情報として、検証設定情報83とプリンタ設定情報84との組み合わせ、および合成画像830のうちのいずれか一方のみを含ませてもよい。
【0095】
画像形成装置30は、管理に用いる色変換の設定がコード化された第1コード(二次元コード81)を第1識別情報に基づいて取得し、取得した第1コードに基づいて合成画像830を生成する。画像形成装置30は、検証設定情報83を用いて二次元コード81を生成することによって、第1コード(二次元コード81)を第1識別情報に基づいて取得してもよい。この場合、管理装置10は、印刷指令に二次元コード81を含める必要がない。
【0096】
図11および
図12に示される検証用画像91は、管理用画像の一例である。二次元コード81は、管理に用いる色変換の設定がコード化された第1コードの一例である。第1コードは、たとえば、前景が第1色(黒)で構成され、背景が第2色(白)で構成される。反転コード82は、画像形成装置の色変換の設定がコード化された第2コードの一例である。第1コードは、たとえば、前景が第2色(白)で構成され、背景が第1色(黒)で構成される。
【0097】
<変形例>
以下、本実施の形態に関わる変形例について説明する。
【0098】
(1)
図11および
図12に示されるように、検証用画像91には、検証設定情報83とプリンタ設定情報84とが含まれる。検証設定情報83およびプリンタ設定情報84は、「Validation Date」を含む。検証設定情報83に含まれる「Validation Date」は、管理装置10が色検証のためにプリンタ30Cへ印刷指令を送信した日時を表す。プリンタ設定情報84に含まれる「Validation Date」は、プリンタ30Cが検証用画像を印刷した印刷日時を示す。このため、検証設定情報83に含まれる「Validation Date」とプリンタ設定情報84に含まれる「Validation Date」との間には時間差が生じ得る。
【0099】
そこで、印刷指令の送信日時と検証用画像の印刷日時との差が閾値(たとえば、5分)未満の場合、プリンタ30Cは、その差を切り捨てる切捨処理を実行してもよい。たとえば、プリンタ30Cは、切捨処理として、プリンタ設定情報84に含まれる「Validation Date」を、検証設定情報83に含まれる「Validation Date」と同一の内容に設定してもよい。あるいは、プリンタ30Cは、切捨処理として、検証設定情報83に含まれる「Validation Date」を、プリンタ設定情報84に含まれる「Validation Date」と同一の内容に設定してもよい。プリンタ30Cは、そのような切捨処理を実行した後、検証設定情報83およびプリンタ設定情報84を含む検証用画像91を印刷する。
図4に示されるように、たとえば、コントローラ38には、切捨処理を実行する切捨処理部350を設けてもよい。
【0100】
(2)色変換の設定の項目としては、ターゲットプロファイルおよびプリンタプロファイルなどの他、ソースプロファイルおよびデバイスリンクプロファイルなどを含めてもよい。この場合、二次元コード81、検証設定情報83、およびプリンタ設定情報84に、ソースプロファイルおよびデバイスリンクプロファイルなどを含めてもよい。色変換の設定として、たとえば、ソースプロファイル、ターゲットプロファイル、プリンタプロファイル、およびデバイスリンクプロファイルのうちの少なくともいずれか1つを含むように構成すればよい。
【0101】
(3)二次元コード81、検証設定情報83、およびプリンタ設定情報84に、色管理(色検証、プロファイル作成)において用いられる印刷用紙の種類を示す用紙情報を含めてもよい。
【0102】
(4)二次元コードの具体例としては、QRコード(登録商標)、DataMatrix ECC200(登録商標)、およびPDF417(登録商標)などを挙げることができる。また、二次元コードに代えて、一次元コードを採用してもよい。
【0103】
(5)プリンタ30Cは、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせ、白と黒とが重なる箇所を黒、白と白とが重なる箇所を白、並びに黒と黒とが重なる箇所を白にそれぞれ変換して得られる合成画像830を生成する。しかしながら、プリンタ30Cは、二次元コード81と反転コード82とを重ね合わせ、白と黒とが重なる箇所を白、白と白とが重なる箇所を黒、並びに黒と黒とが重なる箇所を黒にそれぞれ変換して得られる合成画像830を生成してもよい。管理装置10がプリンタ30Cに期待する色変換の設定と、プリンタ30Cの色変換の設定とが一致する場合、合成画像830として、白ベタの画像が生成される。
【0104】
このように、画像形成装置(プリンタ30C)は、第1コード(二次元コード81)と第2コード(反転コード82)とを重ねたときに、異なる色で重なり合う部分を第1色(黒)および第2色(白)のうちの一方に設定し、同じ色で重なり合う部分を第1色(黒)および第2色(白)のうちの一方と異なる他方に設定することにより、合成画像830を生成する。
【0105】
(6)検証用画像91には、合成画像830と、検証設定情報83と、プリンタ設定情報84とが含まれる。これらの印字位置は、
図11および
図12に示される位置に限定されるものではない。
【0106】
(7)本実施の形態では、管理装置10によって二次元コード81が生成される。しかしながら、画像形成装置30によって二次元コード81が生成されるように構成してもよい。たとえば、画像形成装置30は、管理装置10から受信した検証設定情報83に基づいて、色変換の設定を特定し、特定した結果に基づいて二次元コード81を作成してもよい。
【0107】
(8)
図16に示されるフローチャートにおいて、プリンタ30Cは、プリンタ30Cの色変換の設定に基づいて二次元コードを作成し(ステップS25)、その後に、その二次元コードの階調を反転させた反転コード82を生成する。しかしながら、プリンタ30Cは、階調を反転させるステップを経ることなく、ステップS25において、反転コード82を生成してもよい。さらに、プリンタ30Cは、反転コード82を生成するステップも経ることなく、ステップS24から直ちに、合成画像を生成する処理を実行してもよい。すなわち、プリンタ30Cは、ステップS25(二次元コード生成)およびステップS26(反転コード生成)の処理において画像を生成することなく、演算処理のみによって、ステップS24から合成画像を生成する処理(ステップS27)に移行してもよい。
【0108】
(9)画像形成装置30としては、MFP(Multi-Functional Peripheral)、コピー機、プリンタ、ファクシミリ等のあらゆる画像形成装置が対象とされる。
【0109】
(10)実施の形態として説明した色管理方法(色検証方法)を実施するために実行されるプログラムは、管理装置10のROM12または画像形成装置30のROM32に予め記憶された組込み式のプログラム、ROM12,32に後からインストールされるプログラムのいずれの形式のものであってもよい。また、これらのプログラムは、通信回線を介したダウンロード等の通信により記憶装置16,36に読込まれてインストールされるものであってもよい。
【0110】
(11)上記に述べた処理を管理装置10または画像形成装置30に実行させるためのプログラムは、少なくとも上記のフローチャートに従うプログラムを含む。プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。プログラムは、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより、またはプロセッサとASIC,FPGAなどの回路との組み合わせにより実行され得る。
【0111】
なお、プログラムは、コンピュータのOS(Operating System)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して、プロセッサに処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本実施の形態のプログラムに含まれ得る。
【0112】
また、本実施の形態にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して、プロセッサに処理を実行させる。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。
【0113】
[態様]
以下、本開示の態様を列挙する。
【0114】
(第1項)第1項に記載の色管理システムは、色を管理する色管理システムであって、画像形成装置と、画像形成装置の色を管理するためのカラーチャートを画像形成装置に出力させる管理装置とを備え、管理装置は、色を管理する際に用いる色変換の設定を受け付け、受け付けた設定を識別可能な第1識別情報とカラーチャートとを含むデータを画像形成装置へ送信し、画像形成装置は、画像形成装置の色変換の設定と、第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報、およびカラーチャートを含む管理用画像を出力する。
【0115】
(第2項)第1項に記載の色管理システムにおいて、特定用情報は、第1識別情報と、画像形成装置の色変換の設定を識別可能な第2識別情報とを含む。
【0116】
(第3項)第1項または第2項に記載の色管理システムにおいて、特定用情報は、合成画像を含み、画像形成装置は、管理に用いる色変換の設定がコード化された第1コードを第1識別情報に基づいて取得し、取得した第1コードに基づいて合成画像を生成し、合成画像は、第1コードと、画像形成装置の色変換の設定がコード化された第2コードとを重ねることによって生成され、第1コードは、前景が第1色で構成され、背景が第2色で構成され、第2コードは、前景が第2色で構成され、背景が第1色で構成される。
【0117】
(第4項)第3項に記載の色管理システムにおいて、第1コードおよび第2コードは、二次元コードにより構成される。
【0118】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の色管理システムにおいて、画像形成装置は、第1コードと第2コードとを重ねたときに、異なる色で重なり合う部分を第1色および第2色のうちの一方に設定し、同じ色で重なり合う部分を第1色および第2色のうちの一方と異なる他方に設定することにより、合成画像を生成する。
【0119】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の色管理システムにおいて、カラーチャートは、色検証用のチャートまたはプロファイル作成用のチャートである。
【0120】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の色管理システムにおいて、色変換の設定は、ソースプロファイル、ターゲットプロファイル、プリンタプロファイル、およびデバイスリンクプロファイルのうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0121】
(第8項)第2項に記載の色管理システムにおいて、第1識別情報および第2識別情報は、用紙情報を含む。
【0122】
(第9項)第1項~第8項のいずれか1項に記載の色管理システムにおいて、特定用情報は、管理装置が第1識別情報とカラーチャートとを含むデータを画像形成装置へ送信した送信日時と、画像形成装置が管理用画像を出力した出力日時とを含む。
【0123】
(第10項)第9項に記載の色管理システムにおいて、画像形成装置は、送信日時と出力日時との差が閾値の範囲にある場合、送信日時と出力日時との差を切り捨てる処理を実行する。
【0124】
(第11項)第11項に記載の色管理方法は、色を管理する色管理方法であって、画像形成装置の色を管理する際に用いる色変換の設定を受け付けるステップと、受け付けた設定を識別可能な第1識別情報と色を管理するためのカラーチャートとを含むデータを画像形成装置へ送信するステップと、画像形成装置の色変換の設定と、第1識別情報によって識別される色変換の設定との一致を特定可能な特定用情報、およびカラーチャートを含む管理用画像を画像形成装置において出力するステップとを含む。
【0125】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この出願の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
1 色管理システム、10 管理装置、11,21,31 CPU、12,22,32 ROM、13,23,33 RAM、14,24 入力装置、15,25 表示装置、16,36 記憶装置、17,27,37 通信インタフェース、28 光学センサ、30,30A,30B,30C プリンタ(画像形成装置)、35 表示操作部、38 プリンタコントローラ、39 プリントエンジン、80 色検証チャート、81 二次元コード、82 反転コード、83 検証設定情報、84 プリンタ設定情報、90 検証用画像データ、91 検証用画像、100 色管理部、110 UI部、111 設定部、112 測色部、113 結果表示部、120 色検証処理部、121 チャート管理部、122 印刷指示部、123 チャート測色部、124 計算部、125 編集部、130 チャートデータ記憶部、140 管理データ記憶部、151 設定画面、152 編集画面、153 測定画面、154 測定結果画面、310 UI部、320 ジョブ管理部、330 描画処理部、331 解析部、332 印字部、333 変換処理部、334 ラスタライズ処理部、340 プリントエンジン制御部、350 切捨処理部、830,831,832 合成画像、1511 編集ボタン、1512 検証ボタン、1521 キャンセルボタン、1522 OKボタン、1531 スタートボタン。