(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104361
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】作業空間形成設備、作業方法及び管理空間施設
(51)【国際特許分類】
E04H 5/02 20060101AFI20240729BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20240729BHJP
F24F 7/007 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
E04H5/02 B
F24F7/06 C
F24F7/007 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008518
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】502040041
【氏名又は名称】日揮株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太郎
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
【Fターム(参考)】
3L056BF04
3L058BE02
3L058BF01
3L058BF07
3L058BG04
(57)【要約】
【課題】管理空間に配置された作業対象に対して容易にアクセスする。
【解決手段】作業スペース設備3は、清浄空間20への進入と清浄空間20からの退出とが可能である可動壁33と、作業スペース30を清浄空間20から隔てた状態を維持したまま、可動壁33の清浄空間20への進入に伴って伸長し、且つ、可動壁33の清浄空間20からの退出に伴って収縮する画成シート34と、を備える。作業スペース設備3は、可動壁33が清浄空間20から退出して、作業スペース30Aを画成する収納形態T1と、可動壁33が清浄空間20へ進入して、作業スペース30Aよりも広い作業スペース30Bを画成する拡張形態T2と、を相互に切り替える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部圧力が管理されている管理空間に配置された作業対象に関する作業を行うための作業空間を形成する作業空間形成設備であって、
前記作業対象に面する作業部位が設けられると共に、前記管理空間への進入と前記管理空間からの退出とが可能である可動壁と、
第1の縁部が前記可動壁に連結されると共に第2の縁部が前記管理空間を画成する管理空間壁面に連結されることにより、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま、前記可動壁の前記管理空間への進入に伴って伸長し、且つ、前記可動壁の前記管理空間からの退出に伴って収縮する画成シートと、を備え、
前記可動壁が前記管理空間から退出して、第1の作業空間を画成する第1の形態と、
前記可動壁が前記管理空間へ進入して、前記第1の作業空間よりも広い第2の作業空間を画成する第2の形態と、を相互に切り替える、作業空間形成設備。
【請求項2】
前記管理空間を画成する管理空間床面を前記可動壁の移動に伴って移動可能であり、前記作業空間に面する立ち入り面を有する可動床をさらに備える、請求項1に記載の作業空間形成設備。
【請求項3】
前記作業空間に設けられる固定床をさらに備え、
前記可動壁は、前記固定床の先端部から前記管理空間に向かって進入する、請求項2に記載の作業空間形成設備。
【請求項4】
前記画成シートは、前記管理空間に露出する画成シート外面と、前記作業空間に露出する画成シート内面と、を有すると共に、山部と谷部とが交互に形成された波形状であり、
前記画成シートは、前記第1の形態であるときの前記山部と谷部との距離が第1の距離であり、前記第2の形態であるときの前記山部と谷部との距離が第2の距離であり、
前記第2の距離は、前記第1の距離より小さい、請求項1に記載の作業空間形成設備。
【請求項5】
前記作業部位には、前記可動壁において前記管理空間に面する可動壁外面から前記管理空間へ突出し、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま前記作業対象に接触可能なグローブが設けられている、請求項1に記載の作業空間形成設備。
【請求項6】
前記可動壁の移動を開始させるための開始制御指令を出力する第1制御部と、
前記管理空間の内部圧力を制御するための圧力制御指令を出力する第2制御部と、をさらに備え、
前記第1制御部は、前記開始制御指令を出力する前に、前記開始制御指令を出力することを予告する予告指令を前記第2制御部に出力し、
前記第2制御部は、前記予告指令に応じて前記圧力制御指令の内容を変更する、請求項1に記載の作業空間形成設備。
【請求項7】
前記可動壁の移動を開始させるための開始制御指令を出力する第1制御部と、
前記管理空間の内部圧力を制御するための圧力制御指令を出力する第2制御部と、をさらに備え、
前記第2制御部は、前記管理空間の内部圧力を示す情報を取得し、前記管理空間の内部圧力を示す情報に応じて前記可動壁の移動を停止又は前記可動壁の移動の再開を要求する要求指令を前記第1制御部に出力する、請求項1に記載の作業空間形成設備。
【請求項8】
内部圧力が管理されている管理空間に配置された作業対象に関する作業を行う作業方法であって、
前記管理空間を形成する管理空間形成設備に設けられ、前記作業対象に関する作業を行うための作業空間を形成する作業空間形成設備を操作して、前記作業空間を拡張するステップと、
拡張された前記作業空間において、作業部位を介して前記作業対象に対して所定の作業を行うステップと、を有し、
前記作業空間形成設備は、
前記作業対象に面する前記作業部位が設けられると共に、前記管理空間への進入と前記管理空間からの退出とが可能である可動壁と、
第1の縁部が前記可動壁に連結されると共に第2の縁部が前記管理空間を画成する管理空間壁面に連結されることにより、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま、前記可動壁の前記管理空間への進入に伴って伸長し、且つ、前記可動壁の前記管理空間からの退出に伴って収縮する画成シートと、を有し、
前記作業空間を拡張するステップでは、前記可動壁が前記管理空間から退出して、第1の作業空間を画成する第1の形態から、前記可動壁が前記管理空間へ進入して、前記第1の作業空間よりも広い第2の作業空間を画成する第2の形態へ切り替えることによって、前記作業空間を拡張する、作業方法。
【請求項9】
内部圧力が管理されると共に作業対象を収容するための管理空間を形成する管理空間形成設備と、
前記管理空間から隔てられた作業空間から前記作業対象に関する作業を行うための作業空間形成設備と、を備え、
前記作業空間形成設備は、
前記作業対象に面する作業部位が設けられると共に、前記管理空間への進入と前記管理空間からの退出とが可能である可動壁と、
第1の縁部が前記可動壁に連結されると共に第2の縁部が前記管理空間を画成する管理空間壁面に連結されることにより、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま、前記可動壁の前記管理空間への進入に伴って伸長し、且つ、前記可動壁の前記管理空間からの退出に伴って収縮する画成シートと、を備え、
前記可動壁が前記管理空間から退出して、第1の作業空間を画成する第1の形態と、
前記可動壁が前記管理空間へ進入して、前記第1の作業空間よりも広い第2の作業空間を画成する第2の形態と、を相互に切り替える、管理空間施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業空間形成設備、作業方法及び管理空間施設に関する。
【背景技術】
【0002】
内部圧力が管理された管理空間は、さまざまな用途で用いられる。例えば、内部圧力が大気圧よりも常に高くなるように管理された管理空間として、クリーンルームが挙げられる。また、内部圧力が大気圧よりも常に低くなるように管理された管理空間として、塗装ブースが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、クリーンルームに設置された装置に対して何らかの操作を行う場合には、作業者がクリーンルームに入室する。クリーンルームに作業者が入室するときには、クリーンルームの清浄度を維持するためのさまざまな事前準備が必要である。例えば、作業者は、防塵服を着用した上に、エアシャワーを浴びなければならない。このような入室の手間を省く技術として、特許文献1は、無菌室に立ち入ることなく、無菌室内の患者を診察することが可能なアクセスウォールを開示する。
【0005】
さらに、クリーンルームの運用には、クリーンルームそのものに関する設備に加えて、クリーンルームを運用するためのさまざまな付帯設備が必要になる。そのため、入室のための事前準備には手間を要するし、付帯設備の準備及び運用には相応のコストが発生する。
【0006】
従って、当該分野では、管理空間に配置された作業対象に対して容易にアクセスできる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、[1]「内部圧力が管理されている管理空間に配置された作業対象に関する作業を行うための作業空間を形成する作業空間形成設備であって、前記作業対象に面する作業部位が設けられると共に、前記管理空間への進入と前記管理空間からの退出とが可能である可動壁と、第1の縁部が前記可動壁に連結されると共に第2の縁部が前記管理空間を画成する管理空間壁面に連結されることにより、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま、前記可動壁の前記管理空間への進入に伴って伸長し、且つ、前記可動壁の前記管理空間からの退出に伴って収縮する画成シートと、を備え、前記可動壁が前記管理空間から退出して、第1の作業空間を画成する第1の形態と、前記可動壁が前記管理空間へ進入して、前記第1の作業空間よりも広い第2の作業空間を画成する第2の形態と、を相互に切り替える、作業空間形成設備。」である。
【0008】
作業空間形成設備は、管理空間から隔てられた作業空間を形成する。この作業空間は、可動壁及び画成シートによって形成されている。その結果、作業空間を管理空間から隔てた状態を維持しながら作業部位を含む可動壁を作業対象に近づけることができる。従って、管理空間に立ち入ることなく、管理空間に配置された作業対象に対して管理空間から隔てられた作業空間からアクセスすることができる。
【0009】
本発明の一形態は、[2]「前記管理空間を画成する管理空間床面を前記可動壁の移動に伴って移動可能であり、前記作業空間に面する立ち入り面を有する可動床をさらに備える、上記[1]に記載の作業空間形成設備。」である。この構成によっても、管理空間に配置された作業対象に対して容易にアクセスすることができる。
【0010】
本発明の一形態は、[3]「前記作業空間に設けられる固定床をさらに備え、前記可動床及び前記可動壁は、前記固定床の先端部から前記管理空間に向かって進入する、上記[2]に記載の作業空間形成設備。」である。この構成によっても、管理空間に配置された作業対象に対して容易にアクセスすることができる。
【0011】
本発明の一形態は、[4]「前記画成シートは、前記管理空間に露出する画成シート外面と、前記作業空間に露出する画成シート内面と、を有すると共に、山部と谷部とが交互に形成された波形状であり、前記画成シートは、前記第1の形態であるときの前記山部と谷部との距離が第1の距離であり、前記第2の形態であるときの前記山部と谷部との距離が第2の距離であり、前記第2の距離は、前記第1の距離より小さい、上記[1]~[3]の何れか一項に記載の作業空間形成設備。」である。この構成によれば、可動壁の移動に追従できる天井と側壁とを形成することができる。
【0012】
本発明の一形態は、[5]「前記作業部位には、前記可動壁において前記管理空間に面する可動壁外面から前記管理空間へ突出し、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま前記作業対象に接触可能なグローブが設けられている、上記[1]~[4]の何れか一項に記載の作業空間形成設備。」である。この構成によれば、作業者は作業対象に対して手作業を行うことができる。
【0013】
本発明の一形態は、[6]「前記可動壁の移動を開始させるための開始制御指令を出力する第1制御部と、前記管理空間の内部圧力を制御するための圧力制御指令を出力する第2制御部と、をさらに備え、前記第1制御部は、前記開始制御指令を出力する前に、前記開始制御指令を出力することを予告する予告指令を前記第2制御部に出力し、前記第2制御部は、前記予告指令に応じて前記圧力制御指令の内容を変更する、上記[1]~[5]の何れか一項に記載の作業空間形成設備。」である。この構成によれば、管理空間の内部圧力を所定の値に維持することができる。
【0014】
本発明の一形態は、[7]「前記可動壁の移動を開始させるための開始制御指令を出力する第1制御部と、前記管理空間の内部圧力を制御するための圧力制御指令を出力する第2制御部と、をさらに備え、前記第2制御部は、前記管理空間の内部圧力を示す情報を取得し、前記管理空間の内部圧力を示す情報に応じて前記可動壁の移動を停止又は前記可動壁の移動の再開を要求する要求指令を前記第1制御部に出力する、上記[1]~[5]の何れか一項に記載の作業空間形成設備。」である。この構成によっても、管理空間の内部圧力を所定の値に維持することができる。
【0015】
本発明の別の形態は、[8]「内部圧力が管理されている管理空間に配置された作業対象に関する作業を行う作業方法であって、前記管理空間を形成する管理空間形成設備に設けられ、前記作業対象に関する作業を行うための作業空間を形成する作業空間形成設備を操作して、前記作業空間を拡張するステップと、拡張された前記作業空間において、作業部位を介して前記作業対象に対して所定の作業を行うステップと、を有し、前記作業空間形成設備は、前記作業対象に面する前記作業部位が設けられると共に、前記管理空間への進入と前記管理空間からの退出とが可能である可動壁と、第1の縁部が前記可動壁に連結されると共に第2の縁部が前記管理空間を画成する管理空間壁面に連結されることにより、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま、前記可動壁の前記管理空間への進入に伴って伸長し、且つ、前記可動壁の前記管理空間からの退出に伴って収縮する画成シートと、を有し、前記作業空間を拡張するステップでは、前記可動壁が前記管理空間から退出して、第1の作業空間を画成する第1の形態から、前記可動壁が前記管理空間へ進入して、前記第1の作業空間よりも広い第2の作業空間を画成する第2の形態へ切り替えることによって、前記作業空間を拡張する、作業方法。」である。
【0016】
この作業方法によれば、作業空間を拡張するステップによって、作業空間を作業対象に近づけることができる。さらに、作業者は、作業空間から作業対象に対して所定の作業を行うことができる。従って、この作業方法によれば、作業者が管理空間に配置された作業対象に対して容易にアクセスすることができる。
【0017】
本発明のさらに別の形態は、[9]「内部圧力が管理されると共に作業対象を収容するための管理空間を形成する管理空間形成設備と、前記管理空間から隔てられた作業空間から前記作業対象に関する作業を行うための作業空間形成設備と、を備え、前記作業空間形成設備は、前記作業対象に面する作業部位が設けられると共に、前記管理空間への進入と前記管理空間からの退出とが可能である可動壁と、第1の縁部が前記可動壁に連結されると共に第2の縁部が前記管理空間を画成する管理空間壁面に連結されることにより、前記作業空間を前記管理空間から隔てた状態を維持したまま、前記可動壁の前記管理空間への進入に伴って伸長し、且つ、前記可動壁の前記管理空間からの退出に伴って収縮する画成シートと、を備え、前記可動壁が前記管理空間から退出して、第1の作業空間を画成する第1の形態と、前記可動壁が前記管理空間へ進入して、前記第1の作業空間よりも広い第2の作業空間を画成する第2の形態と、を相互に切り替える、管理空間施設。」である。
【0018】
この管理空間施設は、上述した作業空間形成設備を備えている。従って、作業空間形成設備と同様に、管理空間に配置された作業対象に対して管理空間から隔てられた作業空間からアクセスすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、管理空間に配置された作業対象に対して容易にアクセスできる作業空間形成設備、作業方法及び管理空間施設が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、クリーンルーム施設の概略の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すクリーンルーム設備の利用例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すクリーンルーム設備の利用例を示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すクリーンルーム設備を清浄度ごとに視覚化した平面図である。
【
図5】
図5(a)は、作業スペース設備の収納形態を示す平面図である。
図5(b)は、作業スペース設備の拡張形態を示す平面図である。
【
図6】
図6(a)は、作業スペース設備の収納形態を示す側面図である。
図6(b)は、作業スペース設備の拡張形態を示す側面図である。
【
図7】
図7(a)は、収納形態であるときの清浄空間と作業スペースとを視覚化した側面図である。
図7(b)は、拡張形態であるときの清浄空間と作業スペースとを視覚化した側面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の空調コントローラと作業スペースコントローラを説明するためのブロック図である。
【
図9】
図9は、空調コントローラと作業スペースコントローラによる切替動作を説明するためのフロー図である。
【
図10】
図10は、作業方法の主要なステップを示すフロー図である。
【
図11】
図11は、変形例の空調コントローラと作業スペースコントローラを説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
<クリーンルーム設備>
図1に示すクリーンルーム施設1(管理空間施設)は、クリーンルーム設備2(管理空間形成設備)と、作業スペース設備3(作業空間形成設備)と、を備えている。クリーンルーム設備2は、清浄空間20(管理空間)を形成する。作業スペース設備3(作業空間)は、作業スペース30を形成する。クリーンルーム施設1によれば、作業者は、清浄空間20に入室することなく、清浄空間20に設置された液体製剤充填モジュール21を作業スペース30から操作することができる。
【0023】
管理空間とは、周囲環境の状態とは異なる状態に維持された空間と定義してよい。管理空間の例示が、清浄空間20である。清浄空間20は、室内の空気の清浄度が所定の値となるように管理されている。また、清浄空間20は、清浄度を維持するために、室内の圧力が室外の圧力よりも高くなるように管理されている。換言すると、清浄空間20は、陽圧(正圧)となるように管理されている。
【0024】
図2及び
図3は、
図1に示す清浄空間20を利用して薬品を製造する場合のレイアウトの例示である。クリーンルーム設備2は、クリーンルーム床面221(管理空間床面)と、クリーンルーム壁面222(管理空間壁面)と、クリーンルーム天井面223と、を有する。クリーンルーム床面221、クリーンルーム壁面222及びクリーンルーム天井面223は、清浄空間20を画成する。
【0025】
さらに、クリーンルーム設備2は、清浄空間20の清浄度を所定の値に保つための空調モジュール23を有する。空調モジュール23は、ファン231と、フィルタ232と、送気口233と、吸気口234と、外気排出口235と、外気取込口236と、モーターダンパー237と、空調コントローラ238(第2制御部)と、を有する。
【0026】
ファン231は、空気をフィルタ232に送る。フィルタ232は、受けた空気を浄化する。浄化された空気は、送気口233から清浄空間20に送られる。清浄空間20の空気は、吸気口234から取り込まれる。吸気口234から取り込まれた空気は、モーターダンパー237を介して再びファン231に送られる。モーターダンパー237をファン231に接続するダクトには、外気排出口235と、外気取込口236と、が接続されている。
【0027】
外気取込口236から取り込まれた空気は、吸気口234から取り込んだ空気と共にファン231に送られる。送気口233から清浄空間20に送り込まれた空気の量と、吸気口234から取り込まれた空気の量が等しいとき、清浄空間20の陽圧の状態が維持される。一方、なんらかの理由によって、清浄空間20の内部圧力が所定の圧力よりも高くなることもあり得る。例えば、送気口233から清浄空間20に送り込まれた空気の量が、吸気口234から取り込まれた空気の量より多いとき、清浄空間20の内部圧力が高まる。この場合には、高まった内部圧力を所定の値まで下げるために、空調コントローラ238は、モーターダンパー237の開度を大きくさせる圧力制御指令C2aをモーターダンパー237に与える。その結果、外気排出口235から一部の空気が排出される。つまり、モーターダンパー237は、清浄空間20の内部圧力を調整する機能を有する。空調コントローラ238の動作については、後に詳細に説明する。
【0028】
作業スペース設備3は、清浄空間20に設置された作業対象にアクセスするための作業スペース30(作業空間)を形成する。作業スペース30は、清浄空間20から隔てられている。つまり、作業スペース30の状態は、清浄空間20の状態と異なっている。例えば、作業スペース30の状態は、周囲環境と同じ圧力の状態であってもよいし、周囲環境と同じ清浄度であってもよい。換言すると、作業スペース30の圧力は、清浄空間20の圧力よりも低い。作業スペース30の清浄度は、清浄空間20の清浄度よりも低い。
【0029】
このような環境の作業スペース30は、周囲環境から隔てる必要がない。例えば、作業スペース30は、廊下41とつながっている。廊下41と作業スペース30との間には、簡易的な仕切りやドアが設けられてもよいが、周囲環境と作業スペース30との状態を異ならせるような厳密な仕切りは存在しない。従って、作業者は、廊下41から作業スペース30に入室する際に、なんらの事前準備も要しない。
【0030】
清浄空間20の室内には、液体製剤充填モジュール21(作業対象)が設置されている。液体製剤充填モジュール21は、空の充填容器51Aに薬液を充填する。以下、清浄空間20で行われる作業について具体的に説明する。
【0031】
まず、搬入室42から空の充填容器51Aが清浄空間20に搬入される。搬入された空の充填容器51Aは、コンベヤ521を有する容器搬送設備52によって所定の待機位置まで搬送される。搬送された空の充填容器51Aは、容器搬送ロボット53によって液体製剤充填モジュール21のマガジン211にセットされる。液体製剤充填モジュール21は、マガジン211から空の充填容器51Aを取り出す。そして、液体製剤充填モジュール21は、空の充填容器51Aに薬液を充填する。薬液は、薬液バッグ54に充填されている。この薬液バッグ54は、チューブ541を介して液体製剤充填モジュール21に接続されている。さらに、薬液バッグ54は、薬液バッグ搬送ロボット55によって所定の位置まで搬送されている。液体製剤充填モジュール21は、薬液が充填された充填容器51Bを閉塞し、再び充填容器51Bをマガジン211にセットする。薬液が充填された充填容器51Bは、容器搬送ロボット53によって、容器搬出設備56まで搬送される。容器搬出設備56は、清浄空間20から搬出室43へ薬液が充填された充填容器51Bを搬送する。
【0032】
上述した一連の作業は、各種の設備や装置によって自動的に実行される。つまり、作業者Pによる操作を要しない。一方、上述した一連の作業とは別に、付帯する作業も発生する。この付帯する作業は、作業者Pによる手作業を要することがある。例えば、作業者Pによる手作業として、薬液バッグ54から延びるチューブ541を液体製剤充填モジュール21のコネクタ212につなぐ作業がある。また、作業者Pによる手作業として、液体製剤充填モジュール21の内部環境をモニタリングする作業がある。具体的には、作業者Pは、培地が収められたシャーレ213を培地搬送モジュール24から受け取る。そして、作業者Pは、受け取ったシャーレ213を液体製剤充填モジュール21の所定の位置214に設置する。
【0033】
図4は、
図2に示すクリーンルーム施設1における室内の状態の相違を視覚的に示す図である。クリーンルーム施設1は、第1の領域A1と、第2の領域A2と、第3の領域A3と、を含む。これらの領域は、清浄度に応じて区分されている。第1の領域A1の清浄度が最も低く、第3の領域A3の清浄度が最も高い。
【0034】
第1の領域A1は、作業スペース30と、廊下41と、搬入室42と、搬出室43と、を含む。これらの場所を行き来する場合には、なんらの事前準備も必要ない。第2の領域A2は、清浄空間20を含む。第2の領域A2の清浄度は、第1の領域A1の清浄度よりも高い。例えば、第2の領域A2の清浄度は、欧州における医薬品の製造所の製造管理と品質管理に関する基準(EU-Good Manufacturing Practice:EU-GMP)に定義されているグレードCであってもよい。従って、仮に、第1の領域A1から第2の領域A2に入室するためには、第2の領域A2の清浄度を維持するための事前準備が必要である。第3の領域A3は、第2の領域A2に含まれる。第3の領域A3の清浄度は、第2の領域A2の清浄度よりもさらに高い。例えば、第3の領域A3の清浄度は、EU-GMPに定義されているグレードAであってもよい。第3の領域A3は、液体製剤充填モジュール21の内部空間を含む。
【0035】
実施形態のクリーンルーム施設1は、作業スペース設備3を備えている。作業者Pは、第1の領域A1に含まれる作業スペース30から、第2の領域A2に設置された液体製剤充填モジュール21に対して所定の作業を実行することができる。つまり、作業者Pは、清浄空間20に設置された液体製剤充填モジュール21に対する作業を行う際に、清浄空間20に入室する必要がない。
【0036】
<作業スペース設備>
次に、作業スペース設備3について詳細に説明する。作業スペース設備3は、清浄空間20に、清浄空間20から隔離された作業スペース30を形成する。さらに、作業スペース設備3は、清浄空間20に占める作業スペース30の大きさを調整することができる。
【0037】
具体的には、作業スペース設備3は、清浄空間20から退出することより、清浄空間20に占める作業スペース30A(第1の作業空間)を縮小する(
図5(a)及び
図6(a)参照)。
図5(a)及び
図6(a)に示す形態を、「収納形態」(第1の形態)と称する。さらに、作業スペース設備3は、清浄空間20へ進入することより、清浄空間20に占める作業スペース30B(第2の作業空間)を拡張する(
図5(b)及び
図6(b)参照)。
図5(b)及び
図6(b)に示す形態を、「拡張形態」(第2の形態)と称する。
【0038】
収納形態T1によれば、クリーンルーム壁面222の近傍まで作業スペース30が縮む。換言すると、清浄空間20は拡張する。例えば、液体製剤充填モジュール21をメンテナンスする際には、液体製剤充填モジュール21の扉を開く必要がある。扉を開くためには十分なスペースが必要である。収納形態T1によれば、このような作業に要する清浄空間20のスペースを確保することができる。
【0039】
拡張形態T2によれば、液体製剤充填モジュール21の近傍まで作業スペース30が延びる。作業スペース30に居る作業者Pが手を伸ばすと、液体製剤充填モジュール21に触れることができる。従って、作業者Pは、チューブ541の接続やシャーレ213の配置といった所定の作業を、液体製剤充填モジュール21に対して行うことができる。
【0040】
さらに付言すると、収納形態T1と拡張形態T2とで重複する領域20S(
図7(a)参照)は、清浄空間20に入ることなく室外から作業者Pが作業を行うための領域(作業スペース30A)と、清浄空間20に入って作業者Pが作業を行うための領域と、の2つの機能を奏する。なぜならば、収納形態T1であるとき、拡張形態T2を構成していた構成要素(例えば、後述する画成シート34)が清浄空間20における作業を妨げることがないからである。つまり、作業空間とメンテナンススペースのプロットとを共有することができるとも言える。従って、作業スペース設備3によれば、清浄空間20におけるある領域20Sを、2つの互いに異なる用途に利用することが可能になる。その結果、作業スペース設備3によれば、省スペース化という効果を得ることができる。
【0041】
図6(b)に示すように、作業スペース設備3は、固定床31と、可動床32と、可動壁33と、画成シート34と、作業スペースコントローラ35(第1制御部)と、を有する。
【0042】
固定床31は、作業スペース30に設けられたいわゆる土間である。固定床31は、清浄空間20を画成するクリーンルーム床面221の上に設けられている。固定床31の一方の固定床基端31aは、廊下41に繋がっている。固定床31の他方の固定床先端31bは、クリーンルーム床面221に位置する。固定床31は、作業者Pが立ち入り可能な固定床立ち入り面31pを有する。
【0043】
可動床32は、清浄空間20を画成するクリーンルーム床面221を移動可能である。より詳細には、可動床32は、固定床立ち入り面31pの上に配置された収納形態T1(
図5(a)及び
図6(a)参照)と、固定床先端31bから清浄空間20へ進入するように突出する拡張形態T2(
図5(b)及び
図6(b)参照)と、を相互に切り替えることができる。可動床32は、可動床駆動装置32Dによって、収納形態T1と拡張形態T2とを相互に切り替えられる。可動床駆動装置32Dの具体的な構成は特に制限はなく、任意の機構を採用してよい。例えば、可動床駆動装置32Dは、駆動源32D1と、駆動フレーム32D2と、を有する。可動床駆動装置32Dは、作業スペースコントローラ35から出力される開始制御指令C3aを受けて、収納形態T1と拡張形態T2とを相互に切り替える。開始制御指令C3aは、収納形態T1から拡張形態T2に切り替える拡張制御指令C3a1と、拡張形態T2から収納形態T1に切り替える収納制御指令C3a2と、を含む。
【0044】
可動床32は、作業者Pが立ち入ることが可能な程度の強度を有する板状の部材である。可動床32は、作業者Pが立ち入るための可動床立ち入り面32pを有する。従って、可動床立ち入り面32pは、作業スペース30に面している。可動床立ち入り面32pの裏面である可動床裏面32rは、清浄空間20に面する。拡張形態T2であるときに可動床裏面32rとクリーンルーム床面221との間には、隙間が形成される。つまり、可動床裏面32rは、クリーンルーム床面221から離間する。
【0045】
可動壁33は、可動床32の可動床先端32bから起立している。可動壁33は、可動床32と共に清浄空間20への進入と清浄空間20からの退出とが可能である。可動壁33は、可動壁内面33aと、可動壁外面33bと、を有する。可動壁内面33aは、作業スペース30に面する。可動壁外面33bは、清浄空間20に面する。可動床先端32bは、可動壁内面33aに連結されてもよい。この場合には、可動壁33の下端には、ローラ331が設けられてもよい。さらに、可動壁33は、作業部位332を含む。作業部位332は、作業者Pが液体製剤充填モジュール21に対する所望の作業を行うためのものである。例えば、作業部位332は、第1グローブセット332aと、第2グローブセット332bと、窓332cと、を有してもよい。
【0046】
第1グローブセット332a及び第2グローブセット332bは、可動壁33において清浄空間20に面する可動壁外面33bから清浄空間20に向けて突出する。そして、第1グローブセット332a及び第2グローブセット332bは、作業スペース30を清浄空間20から隔てた状態を維持したまま液体製剤充填モジュール21を操作することを許す。例えば、第1グローブセット332aは、液体製剤充填モジュール21へ培地を設置する作業に用いられる。また、第2グローブセット332bは、薬液バッグ54のチューブ541を液体製剤充填モジュール21のコネクタ212に接続する作業に用いられる。
【0047】
可動壁33には、可動壁33を移動させるための可動壁駆動装置33Dが設けられてもよい。例えば、可動壁駆動装置33Dは、駆動源33D1と、駆動フレーム33D2と、を有する。駆動フレーム33D2は、作業スペース30の天井側に配置されており、クリーンルーム壁面222から可動壁33に向かって延びる。駆動フレーム33D2の先端は、可動壁33に連結されている。駆動フレーム33D2は、駆動源33D1から受ける駆動力によって伸縮する。その結果、可動壁33が移動することとしてもよい。
【0048】
可動壁駆動装置33D及び可動床駆動装置32Dは、いずれか一方が設けられてもよいし、両方が設けられることとしてもよい。
【0049】
ところで、作業スペース30の形状が直方体状であるとすれば、第1の面は、廊下41から作業スペース30に入室するための面である。第2の面は、第1の面に対面する可動壁33である。そして、第3の面は、第1の面から第2の面に至る固定床31及び可動床32である。そうすると、清浄空間20から隔離された作業スペース30を形成するためには、残りの3つの面を覆う必要がある。つまり、作業スペース30の天井面と、第1の側面と、第2の側面と、を覆う必要がある。画成シート34は、これらの面を覆う。
【0050】
可動床32及び可動壁33は、板状の部材であった。つまり、可動床32及び可動壁33のそのものは、移動に伴って変形することがない。一方、画成シート34は、可動床32及び可動壁33の移動に伴って柔軟に変形する。画成シート34は、可撓性を有する樹脂シートであってもよい。
【0051】
画成シート34の第1の縁部34aは、可動壁33の可動壁内面33aに連結されている。画成シート34の第2の縁部34bは、清浄空間20を画成するクリーンルーム壁面222に連結されている。例えば、可動床32が収納形態T1であるとき、可動壁33からクリーンルーム壁面222までの距離は短くなる。この場合において画成シート34は、例えば、複数に折り畳まれたジャバラ形態となる。一方、可動床32が拡張形態T2であるとき、可動壁33からクリーンルーム壁面222までの距離は長くなる。この場合において画成シート34は、例えば、ジャバラ形態が展開された展開状態となる。展開状態であるとき、画成シート34は、折り目のない平面状態であってもよい。
【0052】
ジャバラ形態と展開形態とを相互に切替可能な画成シート34は、可動床32及び可動壁33の清浄空間20への進入に伴って伸長することができる。なお、この「伸長」とは、ジャバラ状に折り畳まれた画成シート34が広げられることを意味する。さらに、画成シート34は、可動床32及び可動壁33の清浄空間20からの退出に伴って収縮することもできる。この「収縮」とは、画成シート34がジャバラ状に折り畳まれることによって縮むことを意味する。そのうえ、この伸長するとき、及び、収縮するときは、いずれも作業スペース30を清浄空間20から隔てた状態を維持することができる。
【0053】
収納形態T1であるときの画成シート34の形状と、拡張形態T2であるときの画成シート34の形状との違いは、画成シート34における山部34t及び谷部34dによって定義してもよい。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、画成シート34は、山部34tと谷部34dとが交互に形成された波形状を有する。そして、収納形態T1であるとき、画成シート34における山部34tから谷部34dまでの第1の距離は、高さ34h1として定義できる。また、拡張形態T2であるとき、画成シート34における山部34tから谷部34dまでの第2の距離は、高さ34h2として定義できる。そして、高さ34h2は、高さ34h1よりも、低い。従って、拡張形態T2であるときには、画成シート34の凹凸が小さいので、画成シート34の画成シート外面34p及び画成シート内面34rを容易に清掃できる。従って、画成シート34の画成シート外面34pを清浄に保つことができる。
【0054】
画成シート34は、作業スペース30の天井面を覆う天井面シート部341と、作業スペース30の第1の側面を覆う第1側面シート部342(
図5参照)と、作業スペース30の第2の側面を覆う第2側面シート部343(
図5参照)と、を有する。それぞれのシート部は、互いに連結されており、展開すると一枚のシートとなっていてもよい。また、それぞれのシート部は、それぞれが一枚のシートであってもよい。
【0055】
なお、画成シート34は、可動床32の可動床裏面32rとクリーンルーム床面221との間に設けられた床面シート部344を有してもよい。床面シート部344は、固定床31に連結されると共に可動壁33に連結される。つまり。床面シート部344は、拡張形態T2であるときに、可動床裏面32rを覆う。
【0056】
図8は、空調コントローラ238及び作業スペースコントローラ35を含む制御系を模式的に示す図である。空調コントローラ238及び作業スペースコントローラ35は、清浄空間20の内部圧力を所定の範囲に収めつつ、作業スペース30の拡張及び収納を行う。
【0057】
空調コントローラ238は、圧力センサ239に接続されている。空調コントローラ238は、圧力センサ239から圧力データD2を受ける。圧力データD2は、清浄空間20の内部圧力を示す情報である。空調コントローラ238は、圧力データD2に基づいてモーターダンパー237を制御するための圧力制御指令C2aを生成する。空調コントローラ238は、圧力制御指令C2aをモーターダンパー237に出力する。空調コントローラ238は、圧力制御指令C2aを生成するための機能的な構成要素として、圧力制御指令生成部238aを有する。
【0058】
さらに、空調コントローラ238は、作業スペースコントローラ35にも接続されている。空調コントローラ238は、圧力データD2に基づいて作業スペースコントローラ35の動作を制御する要求指令C2bを生成する。空調コントローラ238は、要求指令C2bをモーターダンパー237に出力する。空調コントローラ238は、要求指令C2bを生成するための機能的な構成要素として、要求指令生成部238bを有する。
【0059】
作業スペースコントローラ35は、可動床駆動装置32D及び可動壁駆動装置33Dに接続されている。作業スペースコントローラ35は、開始制御指令C3aを可動床駆動装置32D及び/又は可動壁駆動装置33Dに対して出力する。開始制御指令C3aは、収納形態T1から拡張形態T2に切り替えるための拡張制御指令C3a1と、拡張形態T2から収納形態T1に切り替えるための収納制御指令C3a2と、を含む。作業スペースコントローラ35は、開始制御指令C3aを生成するための機能的な構成要素として、開始制御指令生成部35aを有する。
【0060】
開始制御指令生成部35aは、開始制御指令C3aを作業者Pの操作に応じて出力することとしてよい。例えば、作業スペースコントローラ35には、「拡張」のためのボタン351と、「収納」のためのボタン352とが設けられてもよい。作業者Pが「拡張」のためのボタン351を押したとき、開始制御指令生成部35aは、拡張制御指令C3a1を出力してよい。作業者Pが「収納」のためのボタン352を押したとき、開始制御指令生成部35aは、収納制御指令C3a2を出力してよい。
【0061】
なお、拡張制御指令C3a1が清浄空間20(管理空間)への進入に関する情報として、可動床32及び/又は可動壁33の移動量や可動床32及び/又は可動壁33の移動速度が例示できる。拡張制御指令C3a1は、移動量のみを含んでもよいし、移動速度のみを含んでもよい。さらに、拡張制御指令C3a1は、移動量と移動速度の両方を含んでもよい。
【0062】
例えば、拡張制御指令C3a1は、常に可動床32及び可動壁33を最大移動量だけ移動させるものであってもよい。さらに、拡張制御指令C3a1は、作業者Pが望むだけ可動床32及び可動壁33を移動させるものであってもよい。例えば、拡張制御指令C3a1は、作業者Pが「拡張」ボタン351を押している間に出力され、作業者Pが「拡張」ボタン351を離したときに出力が停止されてもよい。この構成によると、作業者Pは、「拡張」ボタン351を押している時間を調整することによって、可動床32及び可動壁33の移動量を所望の値にすることができる。
【0063】
作業スペースコントローラ35は、開始制御指令C3aに加えて、さらに、動作制御指令C3bを可動床駆動装置32D及び/又は可動壁駆動装置33Dに対して出力する。動作制御指令C3bは、切り替える動作を一時的に停止させる停止制御指令C3b1と、一時的に停止させた切り替え動作を再開させる再開制御指令C3b2と、を含む。作業スペースコントローラ35は、動作制御指令C3bを生成するための機能的な構成要素として、動作制御指令生成部35bを有する。動作制御指令生成部35bは、空調コントローラ238の要求指令C2bに応じて、停止制御指令C3b1又は再開制御指令C3b2を出力する。
【0064】
<切替動作>
図9を参照しながら、作業スペースコントローラ35及び空調コントローラ238による切替動作について詳細に説明する。いま作業スペース設備3は、収納形態T1であるとする(
図7(a)参照)。そして、作業スペース設備3は、収納形態T1から拡張形態T2に切り替えるとする(
図7(b)参照)。
【0065】
まず、作業スペースコントローラ35は、拡張制御指令C3a1を出力する(ステップS40)。その結果、収納形態T1から拡張形態T2に切り替えが開始される。切り替えの進行に従って、作業スペース30の容積が増加する。換言すると、清浄空間20の容積が減少する。そうすると、仮に清浄空間20に送り込まれる空気の量と、清浄空間20から取り込まれた空気の量とが同じであったとしても、清浄空間20の容積が減少するに従って、清浄空間20の内部圧力は高まる。
【0066】
そこで、空調コントローラ238は、内部圧力を所定の範囲に維持するための制御を実行する。具体的には、空調コントローラ238は、圧力制御指令C2aをモーターダンパー237に与える(ステップS41)。その結果、外気排出口235から外部へ排気する空気の量が増加するので、清浄空間20の内部圧力が下がる。空調コントローラ238によるモーターダンパー237の制御は、基本的に継続する。つまり、以下に説明するステップS42~S49の動作を実行している期間中は、常に、空調コントローラ238によるモーターダンパー237の制御は、実行されているとしてよい。
【0067】
ここで、空調コントローラ238は、モーターダンパー237による圧力制御が、清浄空間20の圧力変化に追いついているかを判定する(ステップS42)。例えば、空調コントローラ238は、圧力センサ239から得る内部圧力の値の経時変化を観察する。そして、空調コントローラ238は、内部圧力の値が所定の許容範囲に収まっている場合には、圧力制御が圧力変化に追いついていると判定する(ステップS42:YES)。一方、空調コントローラ238は、内部圧力の値が所定の許容範囲に収まっていない場合には、圧力制御が圧力変化に追いついていないと判定する(ステップS42:NO)。内部圧力の値が所定の許容範囲に収まっていない場合とは、例えば、内部圧力の値が時間の経過と共に次第に増加した結果、許容範囲の上限値を上回った場合が挙げられる。
【0068】
圧力制御が圧力変化に追いついている場合には、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えが継続する(ステップS43)。そして、作業スペースコントローラ35は、収納形態T1から拡張形態T2に切り替えが完了したか否かを判定する(ステップS44)。例えば、作業スペースコントローラ35は、可動壁33の移動距離が所定の距離に達したことを条件として、収納形態T1から拡張形態T2に切り替えが完了したと判定してよい。
【0069】
収納形態T1から拡張形態T2に切り替えが完了したと判定した場合には(ステップS44:YES)、作業スペースコントローラ35は、可動壁33の移動を停止させる停止制御指令C3b1を出力する。
【0070】
収納形態T1から拡張形態T2に切り替えが完了したと判定されない場合には(ステップS44:NO)、作業スペースコントローラ35及び空調コントローラ238によって、再びステップS42からの動作が実行される。ステップS42からステップS44までの動作は、ステップS44の判定結果が「YES」になるまで繰り返される。
【0071】
圧力制御が圧力変化に追いついていない場合には、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えを一時的に停止する(ステップS46)。具体的には、空調コントローラ238は、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えを一時的に停止させることを要求する停止要求指令C2b1を作業スペースコントローラ35に出力する。停止要求指令C2b1を受けた作業スペースコントローラ35は、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えを一時的に停止するための停止制御指令C3b1を出力する。その結果、可動壁33の移動が停止する。つまり、清浄空間20の容積の減少が一時的に停止する。この停止期間においても空調コントローラ238によるモーターダンパー237の制御は実行されている。そこで、空調コントローラ238は、内部圧力の値が所定の許容範囲に収まったか否かを判定する(ステップS47)。内部圧力の値が所定の許容範囲に収まったと判定された場合には(ステップS47:YES)、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えを再開する(ステップS48)。具体的には、空調コントローラ238は、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えの再開を要求するための再開制御指令C3b2を作業スペースコントローラ35に出力する。再開制御指令C3b2を受けた作業スペースコントローラ35は、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えを再開するための再開制御指令C3b2を出力する。そして、再びステップS42からの動作が実行される。
【0072】
内部圧力の値が所定の許容範囲に収まったと判定されない場合には(ステップS47:NO)、収納形態T1から拡張形態T2への切り替えの停止を継続する(ステップS49)。そして、所定の期間が経過した後に、再び空調コントローラ238は、内部圧力の値が所定の許容範囲に収まったか否かを判定する(ステップS47)。ステップS47、S49は、ステップS47の判定結果が「YES」となるまで繰り返し実行される。
【0073】
<作業方法>
次に、
図10を参照しながら、クリーンルーム施設1における作業方法を説明する。初期状態として、作業スペース設備3は、収納形態T1であるとする。
【0074】
始めに、作業スペース30を拡張する(ステップS1)。まず、作業者Pは、作業スペースコントローラ35の「拡張」ボタン351を押す(ステップS11)。このステップS11をきっかけとして、前述した切替動作(ステップS4)が実行される。
【0075】
次に、作業を行う(ステップS2)。まず、作業者Pは、作業スペース30に立ち入る(ステップS21)。次に、例えば、作業者Pが培地をセットする作業を行う場合には、第1グローブセット332aに手を入れる(ステップS22)。また、例えば、作業者Pが薬液バッグ54のチューブ541をコネクタ212に接続する作業を行う場合には、第2グローブセット332bに手を入れる(ステップS22)。そして、作業者Pは、所定の作業を実施する(ステップS23)。
【0076】
次に、作業スペース30を収納する(ステップS3)。なお、ステップS3は必要に応じて実施することとしてよい。まず、作業者Pは、作業スペースコントローラ35の「収納」ボタン352を押す(ステップS31)。このステップS31によって、前述した切替動作(ステップS4)が実行される。
【0077】
<作用効果>
作業スペース設備3は、内部圧力が管理されている清浄空間20に配置された液体製剤充填モジュール21に関する作業を行うための作業スペース30を形成する。
作業スペース設備3は、液体製剤充填モジュール21に面する作業部位332が設けられると共に、清浄空間20への進入と清浄空間20からの退出とが可能である可動壁33と、第1の縁部が可動壁33に連結されると共に第2の縁部が清浄空間20を画成するクリーンルーム壁面222に連結されることにより、作業スペース30を清浄空間20から隔てた状態を維持したまま、可動壁33の清浄空間20への進入に伴って伸長し、且つ、可動壁33の清浄空間20からの退出に伴って収縮する画成シート34と、を備える。
作業スペース設備3は、可動壁33が清浄空間20から退出して、作業スペース30Aを画成する収納形態T1と、可動壁33が清浄空間20へ進入して、作業スペース30Aよりも広い作業スペース30Bを画成する拡張形態T2と、を相互に切り替える。
【0078】
作業スペース設備3は、清浄空間20から隔てられた作業スペース30を形成する。この作業スペース30は、可動床32、可動壁33及び画成シート34によって形成されている。その結果、作業スペース30を清浄空間20から隔てられた状態を維持しながら作業部位332を含む可動壁33を液体製剤充填モジュール21に近づけることができる。従って、清浄空間20に立ち入ることなく、清浄空間20に配置された液体製剤充填モジュール21に対して清浄空間20から隔てられた作業スペース30からアクセスすることができる。
【0079】
作業スペース設備3は、作業スペース30に設けられる固定床31をさらに備える。可動床32及び可動壁33は、固定床31の先端縁から清浄空間20に向かって進入する。この構成によっても、清浄空間20に配置された液体製剤充填モジュール21に対して容易にアクセスすることができる。
【0080】
画成シート34は、清浄空間20に露出する画成シート外面34pと、作業スペース30に露出する画成シート内面34rと、を有する。画成シート34は、第1の形態であるときに、複数に折り畳まれたジャバラ形態となる。画成シート34は、第2の形態であるときに、ジャバラ形態が展開された展開状態となる。この構成によれば、可動床32及び可動壁33の移動に追従できる天井と側壁とを形成することができる。
【0081】
作業部位332には、可動壁33において清浄空間20に面する可動壁外面33bから清浄空間20から突出する第1グローブセット332a及び第2グローブセット332bが設けられている。第1グローブセット332a及び第2グローブセット332bは、作業スペース30を清浄空間20から隔てた状態を維持したまま液体製剤充填モジュール21に接触可能とする。この構成によれば、作業者Pは液体製剤充填モジュール21に対して手作業を行うことができる。
【0082】
作業スペース設備3は、可動壁22の移動を開始させるための開始制御指令C3aを出力する作業スペースコントローラ35と、清浄空間20の内部圧力を制御するための圧力制御指令C2aを出力する空調コントローラ238と、を備える。空調コントローラ238は、清浄空間20の内部圧力を示す圧力データD2を取得し、圧力データD2に応じて可動壁22の移動を停止又は可動壁の移動の再開を要求する要求指令C2bを作業スペースコントローラ35に出力する。
【0083】
作業方法では、内部圧力が管理されている清浄空間20に配置された液体製剤充填モジュール21に関する作業を行う。
作業方法は、清浄空間20を形成するクリーンルーム設備2に設けられ、液体製剤充填モジュール21に関する作業を行うための作業スペース30を形成する作業スペース設備3を操作して、作業スペース30を拡張するステップS1と、拡張された作業スペース30において、作業部位332を介して液体製剤充填モジュール21に対して所定の作業を行うステップS2と、を有する。作業スペース30を拡張するステップS1では、可動床32及び可動壁33が清浄空間20から退出して、作業スペース30Aを画成する収納形態T1から、可動床32及び可動壁33が清浄空間20へ進入して、作業スペース30Aよりも広い作業スペース30Bを画成する拡張形態T2へ切り替えることによって、作業スペース30を拡張する。
【0084】
この作業方法によれば、作業スペース30を拡張するステップS1によって、作業スペース30を液体製剤充填モジュール21に近づけることができる。さらに、作業者Pは、作業スペース30から液体製剤充填モジュール21に対して所定の作業を行うことができる(ステップS2)。従って、この作業方法によれば、作業者Pが清浄空間20に配置された液体製剤充填モジュール21に対して容易にアクセスすることができる。
【0085】
クリーンルーム施設1は、内部圧力が管理されると共に液体製剤充填モジュール21を収容するための清浄空間20を形成するクリーンルーム設備2と、清浄空間20から隔てられた作業スペース30から液体製剤充填モジュール21に関する作業を行うための作業スペース設備3と、を備える。
作業スペース設備3は、清浄空間20を画成するクリーンルーム床面221を移動可能であり、作業スペース30に面する立ち入り面を有する可動床32と、可動床32の先端側から起立して、液体製剤充填モジュール21に面する作業部位332が設けられると共に、可動床32と共に清浄空間20への進入と清浄空間20からの退出とが可能である可動壁33と、第1の縁部が可動壁33に連結されると共に第2の縁部が清浄空間20を画成するクリーンルーム壁面222に連結されることにより、作業スペース30を清浄空間20から隔てた状態を維持したまま、可動床32及び可動壁33の清浄空間20への進入に伴って伸長し、且つ、可動床32及び可動壁33の清浄空間20からの退出に伴って収縮する画成シート34と、を有する。
作業スペース設備3は、可動床32及び可動壁33が清浄空間20から退出して、作業スペース30Aを画成する収納形態T1と、可動床32及び可動壁33が清浄空間20へ進入して、作業スペース30Aよりも広い作業スペース30Bを画成する拡張形態T2と、を相互に切り替える。
【0086】
このクリーンルーム施設1は、上述した作業スペース設備3を備えている。従って、作業スペース設備3と同様に、清浄空間20に配置された液体製剤充填モジュール21に対して清浄空間20から隔てられた作業スペース30からアクセスすることができる。
【0087】
本発明である作業空間形成設備、作業方法及び管理空間施設は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0088】
実施形態では、空調コントローラ238と作業スペースコントローラ35とは、それぞれ別個の装置として説明した。例えば、これらのコントローラは、1台の装置であってもよい。例えば、空調コントローラ238が作業スペースコントローラ35の機能を付加的に備えていてもよい。
【0089】
清浄空間20の容積が一定であるときの空調コントローラ238の制御と、清浄空間20の容積が変化しているときの空調コントローラ238の制御と、は、具体的な制御の態様が同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここでいう制御の態様とは、たとえば、PID制御における各ゲイン(Pゲイン、Dゲイン、Iゲイン)の設定であると定義してよい。制御の態様が同じとは、清浄空間20の容積が一定であるときの空調コントローラ238のゲイン設定と、清浄空間20の容積が変化しているときの空調コントローラ238のゲイン設定と、が同じであるとも言える。制御の態様が異なるとは、清浄空間20の容積が一定であるときの空調コントローラ238のゲイン設定と、清浄空間20の容積が変化しているときの空調コントローラ238のゲイン設定と、が異なることであるとも言える。
【0090】
図11は、変形例のクリーンルーム施設1Aが備える空調コントローラ238A及び作業スペースコントローラ35Aの構成を示すブロック図である。例えば、空調コントローラ238Aは、作業スペースコントローラ35Aの予告指令生成部35cから受ける予告指令C3cに応じて、制御の態様を変更してもよい。空調コントローラ238Aは、制御の態様を変更する制御PID値変更部238cを有する。具体的には、制御PID値変更部238cは、作業スペースコントローラ35Aから受ける予告指令C3cに応じて、第1の設定とした制御PID値を、第2の設定とした制御PID値に切り替えてもよい。第1の設定は、清浄空間20の容積が一定であるときのものである。第2の設定は、清浄空間20の容積が変化しているときのものである。第2の設定の制御PID値は、第1の設定の制御PID値よりも応答速度が速くなるように設定されていてもよい。
【0091】
このような動作を採用する場合には、まず、作業スペースコントローラ35Aは、作業者Pから拡張又は収納の指示を受け入れる。次に、作業スペースコントローラ35Aの予告指令生成部35cは、拡張又は収納の指示があったことを、予告指令C3cとして空調コントローラ238に伝える。このとき、作業スペースコントローラ35Aは、可動床駆動装置32D及び可動床駆動装置32Dには制御指令を出力しない。換言すると、作業スペースコントローラ35Aは、可動床駆動装置32D及び可動床駆動装置32Dに開始制御指令C3aを出力する前に、拡張又は収納の指示があったことを、予告指令C3cとして空調コントローラ238に伝える。そして、予告指令C3cを受け取った空調コントローラ238は、制御PID値を第1の設定から第2の設定に切り替える。次に、空調コントローラ238は、制御PID値の切り替えが完了したことを、作業スペースコントローラ35Aに伝えてもよい。そして、切り替えが完了したこと受け取った作業スペースコントローラ35Aは、可動床駆動装置32D及び可動床駆動装置32Dに開始制御指令C3aを出力してもよい。また、作業スペースコントローラ35Aは、予告指令C3cを送信した後に所定の時間が経過したことを条件として、開始制御指令C3aを出力してもよい。
【0092】
要するに、作業スペース設備3Aは、可動壁33の移動を開始させるための開始制御指令C3aを出力する作業スペースコントローラ35Aと、清浄空間20の内部圧力を制御するための圧力制御指令C2aを出力する空調コントローラ238Aと、を備える。作業スペースコントローラ35Aは、開始制御指令C3aを出力する前に、開始制御指令C3aを出力することを予告する予告指令C3cを空調コントローラ238Aに出力する。空調コントローラ238Aは、予告指令C3cに応じて、制御PID値を変更することによって、圧力制御指令C2aの内容を変更する。この構成によっても、清浄空間20の内部圧力を所定の値に維持することができる。この構成によっても、清浄空間20の内部圧力を所定の値に維持することができる。
【0093】
上記の説明では、管理空間としてクリーンルームの清浄空間20を例示した。清浄空間20は、いわゆる陽圧に保たれる。本発明である作業空間形成設備、作業方法及び管理空間施設は、陰圧(負圧)に保たれる管理空間にも適用してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…クリーンルーム施設(管理空間施設)、2…クリーンルーム設備(管理空間形成設備)、3…作業スペース設備(作業空間形成設備)、20…清浄空間(管理空間)、21…液体製剤充填モジュール(作業対象)、238,238A…空調コントローラ(第2制御部)、30…作業スペース(作業空間)、30A…作業スペース(第1の作業空間)、30B…作業スペース(第2の作業空間)、31…固定床、32…可動床、33…可動壁、33b…可動壁外面、34…画成シート、35,35A…作業スペースコントローラ(第1制御部)、332…作業部位、C2a…圧力制御指令、C2b…要求指令、C3a…開始制御指令、C3b…動作制御指令、C3c…予告指令、D2…圧力データ、T1…収納形態(第1の形態)、T2…拡張形態(第2の形態)。