(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104362
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】原稿搬送装置、原稿読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240729BHJP
B65H 31/02 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008519
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】藤井 謙
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA02
3F054AC00
3F054BA03
3F054DA13
(57)【要約】
【課題】原稿を原稿載せ部に載せてから搬送部により搬送して収容部に収容させる原稿搬送装置等において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分が上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制する。
【解決手段】原稿搬送装置1Aは、原稿8を載せる原稿載せ部2と、原稿載せ部に載せられた原稿を筐体30の内部における原稿の読み取り位置を通過させた後に排出口30eから排出させるよう搬送する搬送部3と、排出口から排出される原稿を積み重ねて収容する収容部4Aと、を備え、前記収容部4Aは、原稿を収容する収容面41Aの少なくとも原稿の排出方向Jの下流側の部分が、その排出方向の下流側になるにつれて下方に下がる下り斜面部43として構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載せる原稿載せ部と、
前記原稿載せ部に載せられた前記原稿を原稿の読み取り位置を通過させてから排出するよう搬送する搬送部と、
前記搬送部から排出される前記原稿を積み重ねて収容する収容部と、
を備え、
前記収容部は、前記原稿を収容する収容面の少なくとも前記原稿の排出方向の下流側の部分が、前記排出方向の下流側になるにつれて下方に下がる下り斜面部として構成されている原稿搬送装置。
【請求項2】
前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記原稿が排出される前に、前記搬送部における原稿の排出口の下端に接近した位置まで上昇移動する請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記収容部は、前記下り斜面部の傾斜角が調整可能に構成されている請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記原稿が特定の種類であるときに、上昇移動する請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記上昇移動した後、前記原稿が予め定める排出数に達する毎に下降移動する請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記下り斜面部の傾斜角が、前記原稿の種類の違いで異なる角度に調整される請求項3に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記下り斜面部の前記排出方向の下流側になる端部に、収容される原稿の移動を制止させる制止部が設けられている請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記収容部は、前記収容面の全域が前記下り斜面部として構成されている請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の原稿搬送装置と、
前記原稿搬送装置により搬送される原稿の少なくとも片面の情報を読み取る読取部と、
を備える原稿読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の原稿読取装置と、
前記原稿読取装置により読み取られる原稿の情報を画像として記録媒体に形成する像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿搬送装置、原稿読取装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、排紙トレイが支点を中心に上下方向に回動駆動できるようになっており、排出原稿の枚数が少ない場合は排紙トレイの位置を高く、その枚数が多くなるにつれて下降させるよう制御する自動原稿搬送装置が記載されている。
【0003】
下記特許文献2には、用紙の搬送手段と、用紙に画像を形成する画像形成手段と、画像が形成された用紙が所定の排出角度で前記搬送手段により搬送されて積載される排紙台とを有する画像形成装置が記載されている。
また、特許文献2には、前記画像形成装置において、排紙台に、排出される用紙の幅方向の両縁部にそれぞれ接触して用紙を腰付する一対の腰付が前記幅方向の両側に間隔を調整できるように設けられていることも記載されている。
さらに、特許文献2には、前記画像形成装置において、前記排出角度と使用する用紙の種類の少なくとも何れか一方に応じて腰付部材による用紙の腰付を制御するために、前記排出角度については前記排出角度が大きいほど、前記用紙の種類については用紙厚さが薄いほど、1枚目の用紙が接触する場合の前記一対の腰付部材の間隔を、2枚目以降の用紙が接触する場合よりも狭めることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-44449号公報(段落0037、
図6)
【特許文献2】特開2012-206815号公報(請求項4、
図2,
図3,
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、原稿を原稿載せ部に載せてから搬送部により搬送して収容部に収容させる原稿搬送装置等において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分がその下流側にむけて上方に上がる上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、
原稿を載せる原稿載せ部と、
前記原稿載せ部に載せられた前記原稿を原稿の読み取り位置を通過させてから排出するよう搬送する搬送部と、
前記搬送部から排出される前記原稿を積み重ねて収容する収容部と、
を備え、
前記収容部は、前記原稿を収容する収容面の少なくとも前記原稿の排出方向の下流側の部分が、前記排出方向の下流側になるにつれて下方に下がる下り斜面部として構成されている原稿搬送装置である。
【0007】
第2の発明は、上記第1の発明の原稿搬送装置において、前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記原稿が排出される前に、前記搬送部における原稿の排出口の下端に接近した位置まで上昇移動する原稿搬送装置である。
【0008】
第3の発明は、上記第1の発明の原稿搬送装置において、前記収容部は、前記下り斜面部の傾斜角が調整可能に構成されている原稿搬送装置である。
【0009】
第4の発明は、上記第2の発明の原稿搬送装置において、前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記原稿が特定の種類であるときに、上昇移動する原稿搬送装置である。
【0010】
第5の発明は、上記第2の発明の原稿搬送装置において、前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記上昇移動した後、前記原稿が予め定める排出数に達する毎に下降移動する原稿搬送装置である。
【0011】
第6の発明は、上記第3の発明の原稿搬送装置において、前記下り斜面部の傾斜角が、前記原稿の種類の違いで異なる角度に調整される原稿搬送装置である。
【0012】
第7の発明は、上記第1の発明の原稿搬送装置において、前記下り斜面部の前記排出方向の下流側になる端部に、収容される原稿の移動を制止させる制止部が設けられている原稿搬送装置である。
【0013】
第8の発明は、上記第1の発明の原稿搬送装置において、前記収容部は、前記収容面の全域が前記下り斜面部として構成されている原稿搬送装置である。
【0014】
第9の発明は、
上記第1から第8の発明のいずれかの原稿搬送装置と、
前記原稿搬送装置により搬送される原稿の少なくとも片面の情報を読み取る読取部と、
を備える原稿読取装置である。
【0015】
第10の発明は、
上記第9の発明の原稿読取装置と、
前記原稿読取装置により読み取られる原稿の情報を画像として記録媒体に形成する像形成部と、
を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明によれば、原稿を原稿載せ部に載せてから搬送部により搬送して収容部に収容させる原稿搬送装置において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分がその下流側にむけて上方に上がる上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
【0017】
上記第2の発明によれば、収容部の収容面を含む一部又は全部が移動せず固定されている場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることが抑制されやすくなる。
【0018】
上記第3の発明によれば、収容部の下り斜面部の傾斜角が固定されている場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを的確に抑制することができる。
【0019】
上記第4の発明によれば、収容部に特定の種類の原稿の先端部が丸まって収容されることを適切に抑制しやすくなる。
【0020】
上記第5の発明によれば、収容部の収容面を含む一部又は全部が上昇移動した後に原稿の予め定める排出数に達する毎に下降移動しない場合に比べて、収容部への原稿の収容量および収容性を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
【0021】
上記第6の発明によれば、下り斜面部の傾斜角が原稿の種類の違いで異なる角度に調整されない場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを適切に抑制することができる。
【0022】
上記第7の発明によれば、下り斜面部の排出方向の下流側になる端部に制止部が設けられていない場合に比べて、原稿の収容部からの落下を防ぎつつ収容部への良好な収容を行うことができる。
【0023】
上記第8の発明によれば、収容面のうち原稿の排出方向の下流側の部分等の一部の領域が下り斜面部として構成されている場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることをより抑制することができる。
【0024】
上記第9の発明によれば、原稿搬送装置において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分が上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
【0025】
上記第10の発明によれば、原稿読取装置の原稿搬送装置において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分が上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施の形態1に係る原稿搬送装置を備えた原稿読取装置の概略図である。
【
図3】(A)は
図1の原稿搬送装置の一部(主に収容部)の概略図、(B)はその一部の上面概略図である。
【
図4】(A)は
図3の収容部における原稿の収容過程の一状態を示す説明図、(B)はその収容過程の次の状態を示す説明図、(C)はその収容過程の更に次の状態を示す説明図である。
【
図5】(A)は実施の形態2に係る原稿搬送装置の一部(主に収容部)の概略図、(B)はその一部の上昇移動したときの概略図である。
【
図6】(A)は
図5の収容部における昇降動作の制御系を示すブロック図、(B)はその収容部の昇降動作の制御の流れを示すフローチャート図である。
【
図7】(A)は
図5の収容部における上昇した収容面に対する原稿の収容過程の一状態を示す説明図、(B)はその収容過程の次の状態を示す説明図、(C)はその収容過程の更に次の状態を示す説明図である。
【
図8】(A)は
図5の収容部における上昇した収容面に収容された複数の原稿の収容状態を示す説明図、(B)はその収容部が少し下降した収容面に対する原稿の収容過程の状態を示す説明図である。
【
図9】実施の形態3に係る原稿搬送装置を備えた原稿読取装置の概略図である。
【
図10】(A)は
図9の原稿搬送装置の一部(主に収容部)の概略図、(B)はその一部の上面概略図である。
【
図11】(A)は
図10の収容部における原稿の収容過程の一状態を示す説明図、(B)はその収容過程の次の状態を示す説明図、(C)はその収容過程の更に次の状態を示す説明図である。
【
図12】(A)は実施の形態4に係る原稿搬送装置の一部(主に収容部)の概略図、(B)はその一部の上昇移動したときの概略図である。
【
図13】(A)は
図12の収容部における上昇した収容面に対する原稿の収容過程の一状態を示す説明図、(B)はその収容過程の次の状態を示す説明図、(C)はその収容過程の更に次の状態を示す説明図である。
【
図14】実施の形態5に係る画像形成装置の概略図である
【
図15】(A)は一部が下り傾斜面部からなる収容面を有する収容部を備えた変形例の原稿搬送装置の一状態を示す要部概略図、(B)はその収容部の他の状態を示す要部概略図である。
【
図16】(A)は全域が下り傾斜面部からなる収容面を有する収容部を備えた変形例の原稿搬送装置の一状態を示す要部概略図、(B)はその収容部の他の状態を示す概略図である。
【
図17】比較例の原稿搬送装置における収容部への原稿の排出および収容の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0028】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る原稿搬送装置1Aを備えた原稿読取装置5の概略図である。
図2は、
図1の原稿読取装置5の上方から見たときの上面概略図である。
本明細書および図面においては実質的に同一の構成要素に対して同一の符号を付し、また本明細書ではその同一の構成要素の重複説明を省略する。
【0029】
原稿読取装置5は、
図1に示されるように、原稿8を搬送する原稿搬送装置1Aと、原稿搬送装置1Aにより搬送される原稿8が有する情報を読み取る読取部50とを備えている。原稿8は、用紙等のシート状媒体に読み取り対象となり得る情報が記録されているものである。
【0030】
原稿搬送装置1Aは、
図1や
図2に示されるように、原稿8を載せる原稿載せ部2と、原稿8を搬送する搬送部3と、原稿8を収容する収容部4Aと、を備えている。
この原稿搬送装置1Aは、いわゆる自動原稿供給装置であるADF(Auto Document Feeder)と称されるものである。
【0031】
上記原稿載せ部2、搬送部3および収容部4Aは、それらの少なくとも一部が、後方(奥側)に配置される本体部10に支持されている。本体部10は、図示しない構造部材、外装材等で構成された部分である。また、本体部10は、その内部に図示しない駆動装置、制御装置等の所要の機器が配置されている。
【0032】
次に、上記原稿載せ部2は、搬送すべき原稿8を積み重ねて載せるよう構成された部分である。
原稿載せ部2は、原稿8を載せる載せ面21を有する板状の部材20により構成されている。このような板状の部材20で構成される原稿載せ部2は、例えば供給トレイと称される。
【0033】
また、原稿載せ部2は、その一部が本体部10に支持されている。詳しくは、原稿載せ部2は、原稿搬送装置1Aの前方(正面の手前)側から見た場合、搬送部3の右の側面部に対して、板状の部材20をその載せ面21が搬送部3にむけて下方に下る下り斜面部になるように配置されている。
原稿載せ部2には、板状の部材20と搬送部3との境界部に、原稿8の搬送時における先端8sを突き当ててその載せる先頭位置を合わせる突当て壁面27が設けられている。
【0034】
また、下り斜面部43は、水平面部45に対する傾斜角が少なくとも10°以上の角度からなる斜面であることが好ましい。さらに、下り斜面部43は、その傾斜角が10°以上かつ25°以下の範囲内で選定される角度からなる斜面であることが好ましい。
この傾斜角が10°よりも小さい角度になると、原稿8(特に後述する特定の種類の原稿)の先端部が収容部4Aに丸まって収容されることが抑制されるという原稿収容性の良化作用が得られない等の不具合がある。反対に、この傾斜角が25°を超える角度になると、原稿8の先端が収容面41Aに接触せず、例えば原稿8の後端が収容部4Aに排出され切ったときに原稿8が収容面41Aに止まらず放り出される等のように原稿収容性が悪化する等の不具合がある。
【0035】
さらに、原稿載せ部2は、載せ面21に一対のサイド規制板22、23が配置されている。一対のサイド規制板22、23は、載せ面21に載せられる原稿8の搬送方向Dと直交する幅方向Eにおける左右の端(側辺)にそれぞれ接触し得るよう存在して、原稿の幅方向Eにおける端の位置を規制するものである。
【0036】
サイド規制板22、23は、載せ面21に対して垂直な規制面22a,23aを有する板部を有する構成になっている。ここで、規制面22a,23aは、原稿8に対するサイド規制位置に相当する。
サイド規制板22、23は、
図2に示されるように、載せ面21のうち搬送部3に近い部位において原稿8の幅方向Eに沿うよう形成されたガイド溝24,25に沿って所要の距離を移動して、規制面22a,23aの(静止)位置を原稿8の幅サイズに適合するよう調整できるよう設けられている。
【0037】
また、サイド規制板22、23は、搬送部3が搬送可能な最大幅Wmの原稿8の幅方向Eの中央位置を搬送時の基準位置にして搬送するセンターレジの搬送方式を採用している場合、その原稿8の中央位置を通る搬送方向Dに沿う直線の搬送中央線Lcに対して同じ距離だけ互いに離れた位置に存在するよう構成されている。
すなわち、この場合のサイド規制板22、23は、その一方をその他方に対して接近又は離間する方向に所要の距離だけ移動させると、その他方がその一方に対して接近又は離れる方向に同じ距離だけ連動して移動する構造になっている。換言すると、サイド規制板22、23は、搬送中央線Lcを対称線とする線対称のごとき位置関係になる仕組みになっている。
【0038】
更にまた、原稿載せ部2は、手前側の隅部のうち原稿の搬送方向D下流側の隅部(又はかど)を切り欠いた切欠き部26が設けられている。
切欠き部26は、原稿搬送装置1Aの後方となる奥側にむけて所要の形状で切り欠かれている。切欠き部26を設けた原稿載せ部2では、原稿載せ部2の下方に配置される収容部4Aのうち上方から視認できる範囲を広めることができ、また収容部4Aに収容される原稿8を取り出して回収する際に使用者が手を収容部4Aの奥側に侵入させやすくなる。
【0039】
次に、上記搬送部3は、
図1に示されるように、原稿載せ部2に載せられた原稿8をその原稿8が有する情報を読み取る所要の読み取り位置S1,S2を通過させてから排出するよう搬送するよう構成された部分である。
搬送部3は、筐体30を有しており、筐体30の内部に、複数の搬送ロールおよび搬送案内部材で構成される搬送路(一点鎖線で示される経路)Rt、原稿8の通過を検出する複数の検出器等を配置して構成されている。
【0040】
上記筐体30は、構造部材、外装材等を用いて所要の構造体として構成されている。
筐体30は、原稿搬送装置1Aの正面の手前側から見た場合、その右の側面部に、原稿載せ部2から原稿8が搬入される際に通過する搬入口30dと、原稿8が収容部4Aにむけて排出される際に通過する排出口30eが設けられている。
また、筐体30は、その底面部のうち後述する第1の読み取り位置S1に相当する部分が開口部として形成されている。その開口部には、透明板が配置されている。
筐体30は、その後方において本体部10に支持されている。
【0041】
上記複数の搬送ロールとしては、ピックアップ搬送ロール31、一対の捌き搬送ロール32、一対のレジスト搬送ロール33、一対の中継搬送ロール34A~34D、一対の排出搬送ロール35等が配置されている。
この複数の搬送ロールに回転動力を伝えるための図示しない駆動装置等の機器は、主に上記本体部10に配置されている。
また、複数の搬送ロールどうしの間には、上記搬送路となる通路空間を形成しつつ、原稿8の搬送移動を補助的に案内する図示しない搬送案内部材が配置されている。
【0042】
ピックアップ搬送ロール31は、上昇移動した原稿載せ部2に載せられた原稿8(の積載物)の最上の原稿の表面が接触した状態で回転することにより、その原稿8を搬送部3に送り込む搬送ロールである。ピックアップ搬送ロール31は、原稿載せ部2に載せられる種々の幅の寸法からなる原稿8のいずれも搬送部3に送り込むことが可能な位置に配置され、また必要な数だけ設けられる。
捌き搬送ロール32、中継搬送ロール34A~34Dおよび排出搬送ロール35はいずれも、回転軸に間隔をあけて配置される複数のロール体からなる駆動ロールおよび従動ロールで構成された搬送ロールである。このうち捌き搬送ロール32は、捌きロール(リタードロール)32aと搬送ロールを組み合わせて構成されている。
排出搬送ロール35は、
図1や
図3等に示されるように、筐体30の排出口30eに接近した位置に配置されている。
【0043】
また、搬送部3は、筐体30の内部に第1の検出器39Aおよび第2の検出器39Bが配置されている。
第1の検出器39Aは、一対の捌き搬送ロール32と一対のレジスト搬送ロール33との間に配置されており、搬送される原稿8の先端の通過を検出する。
第2の検出器39Bは、一対の中継搬送ロール34Dと一対の排出搬送ロール35との間に配置されており、搬送される原稿8の後端の通過を検出する。
【0044】
さらに、搬送部3は、第1の読み取り位置S1と第2の読み取り位置S2が配置されている。
第1の読み取り位置S1は、原稿読取装置5における読取部50により原稿8の搬送時における下面側の情報を読み取る位置になる。第1の読み取り位置S1は、搬送路Rtにおける一対の中継搬送ロール34Bと中継搬送ロール34Cの間の位置に配置されている。また、第1の読み取り位置S1の付近には、原稿8を第1の読み取り位置S1に接近させて通過させるよう誘導する接近誘導部材36が配置されている。
一方、第2の読み取り位置S2は、筐体30の内部に配置される後述の第二読取機器57により原稿8の搬送時における上面側の情報を読み取る位置になる。第2の読み取り位置S2は、搬送路Rtにおける一対の中継搬送ロール34Cと中継搬送ロール34Dの間の位置に配置されている。また、第2の読み取り位置S2の第二読取機器57と対向する位置にも、原稿8を第2の読み取り位置S2に接近させて通過させるよう誘導する図示しない接近誘導部材が配置されている。
【0045】
次に、上記収容部4Aは、搬送部3から排出される原稿8を積み重ねて収容するよう構成された部分である。
収容部4Aは、原稿載せ部2の下方に所要の空間を確保した状態で配置されている。これは、原稿載せ部2が収容部4Aの上方に所要の間隔をあけた状態で配置されていると言い換えることもできる。
【0046】
収容部4Aは、排出される原稿8を収容する収容面41Aを有する本体40にて構成されている。
本体40は、板状の部材であり、収容面41Aを設ける台座部分になっている。また、本体40は、その下面が後述するように読取部50の上面を開閉する開閉カバーとなるよう構成されている。さらに、本体40は、
図3等に示されるように、収容面41Aに収容した原稿8の搬送時(又は排出時)における後端8eの排出方向Jの上流側への移動範囲を規制する収容壁面部44が設けられている。
【0047】
収容面41Aは、
図1や
図3に示されるように、その少なくとも原稿8が排出口30eから収容部4Aに排出される方向(排出方向)Jの下流側の部分が、その排出方向Jの下流側になるにつれて下方に下がる下り斜面部43として構成されている。この下り斜面部43は、例えば、一部下り斜面部とも言える。
また、実施の形態1における収容面41Aは、下り斜面部43以外の残り部分がほぼ水平な水平面部45として構成されている。
【0048】
下り斜面部43は、収容面41Aの原稿8の排出方向Jに沿う範囲のうち少なくとも排出方向Jの下流側になる半分以上の範囲に設けられることが好ましい。実施の形態1では、下り斜面部43を、収容面41Aの排出方向Jに沿う範囲のうち下流側端から3/5の範囲で設けている。
この下り斜面部43の設ける範囲は、例えば、原稿8のうち先端部が丸まって収容されやすい物性の原稿の先端8sが排出されて収容面41Aに最初に接触すると予測される位置が含まれる範囲に選定される。
【0049】
また、下り斜面部43は、水平面部45に対する傾斜角が少なくとも10°以上の角度からなる斜面であることが好ましい。さらに、下り斜面部43は、その傾斜角が10°以上25°以下の範囲以内で選定される角度からなる斜面であることが好ましい。
この傾斜角が10°よりも小さい角度になると、原稿8(特に後述する特定の種類の原稿)が収容部4Aに丸まって収容されることが抑制されるという原稿8の収容性の良化作用が得られない等の不具合がある。
反対に、この傾斜角が25°を超える角度になると、原稿8の先端が収容面41Aに接触せず、例えば原稿8の後端が収容部4Aに排出され切ったときに原稿8が収容面41Aに止まらず放り出される等のように原稿8の収容性が悪化してしまう等の不具合がある。
【0050】
下り斜面部43と水平面部45は、本体40の上面に収容面形成部42Aの上面部として形成される。また、収容面形成部42Aは、合成樹脂等の材料を用いて本体40と一体で成形されたものであるか、又は別体として形成された後に本体40に取り付けるものである。
また、下り斜面部43と水平面部45の各表面には、その傾斜角や水平が確保される範囲内で、排出方向Jに沿って直線状に延びる複数本のリブ(突条)を設けてもよい。
【0051】
また、収容部4Aは、
図3等に二点鎖線で示されるように、収容面41Aの下り斜面部43の排出方向Jの下流側になる端部に、収容される原稿8の移動を制止させる制止部49を設けてもよい。
制止部49は、例えば、収容面41Aに収容される原稿8の搬送時の先端8s(排出方向Jの下流側の先端ともいえる)が突き当たって原稿8全体の移動が止められることが可能な高さの突起又壁面部として形成される。
【0052】
ちなみに、
図3(A)においては、一対の排出搬送ロール35が上部ロール35Aと下部ロール35Bで構成されていることが示されている。同中の符号Npは、上部ロール35Aと下部ロール35Bとの接触部(ニップ部)を示す。また、
図3(B)においては、代表して、その下部ロール35Bが回転軸35jとその回転軸35jに固定される複数のロール体35rで構成されていることが示される。
【0053】
原稿搬送装置1Aは、原稿読取装置5における読取部50の上面部に設置されているとともに、背面部においてヒンジ部12により読取部50と連結されて上下方向に揺動移動できるように取り付けられている。これにより、原稿搬送装置1Aは、読取部50の上面部を開放した状態と閉じた(覆い隠す)状態にすることが可能な開閉カバーとしても機能するようになっている。
【0054】
次に、上記読取部50は、原稿搬送装置1Aにより搬送される原稿8の少なくとも片面の情報を読み取るよう構成された部分である。
読取部50は、筐体51と、筐体51の内部に配置される第一読取機器55等にて構成されている。また、読取部50は、搬送部3の筐体30の内部に配置した第二読取機器57を有している。
【0055】
まず、筐体51は、ほぼ箱状の形状からなる構造体である。筐体51は、その上面部の一部に設けられた開口部に、透明なガラス板等で構成される第一透明平板52および第二透明平板53が設置されている。
【0056】
第一透明平板52は、第二透明平板53よりも広い面積からなる矩形状の平板であり、その上面にシート状の原稿8を載せるか或いは書籍等の厚みのある他の読取対象物を載せる原稿台として構成されている。
第一透明平板52は、原稿8等を固定した状態で読み取る原稿固定読取モード時に使用される。このような第一透明平板52は、プラテンガラスと称されることもある。また、第一透明平板52に原稿8又は他の読取対象物を載せる場合は、原稿搬送装置1Aを上方に持ち上げて第一透明平板52を開放させた状態にする。
【0057】
第二透明平板53は、前後方向に細長く延びる平板であり、上記第1の読み取り位置S1と対峙する読み取り窓として構成されている。
第二透明平板53は、原稿8を移動させた状態で読み取る原稿移動読取モード時に使用される。
【0058】
次に、第一読取機器55は、原稿8等を照明したときに得られる反射光を受光して電気信号に変換して原稿8等が有する情報を読み取る機器である。実施の形態1における第一読取機器55は、CIS(Contact Image Sensor)方式の機器で構成されている。
CISからなる第一読取機器55は、原稿読取装置5の前後方向(奥行方向にも相当する)に長い直方体状の読取本体55aと、読取本体55aを収容する収容体55bとで構成されている。
【0059】
読取本体55aは、原稿読取装置5の前後方向に長く上面が開口した直方体状の図示しないケース内に、図示しない発光アレイ、受光基板、集光レンズアレイ等の機器が配置されている。
収容体55bは、読取本体55aを収容して保持できる形態の枠体で構成されている。収容体55bは、筐体51の内部において左右方向に延びるガイドバー56に移動可能に取り付けられている。また、収容体55bは、ベルト又はワイヤ、プーリ、モータ等からなる図示しない移動機構によりガイドバー56に沿って移動させられるとともに所定の位置で停止させられるようになっている。
【0060】
第一読取機器55は、原稿固定読取モードによる読み取り時には、第一透明平板52の左端付近の真下になる読取開始位置P2sからその右端付近の真下になる読取終了位置P2eまでの間を所定の速度で往復移動する。これにより、第一読取機器55は、第一透明平板52上に載せた原稿8等における情報を、第一透明平板52の下方で移動して読み取る。
【0061】
また、第一読取機器55は、原稿移動読取モードによる読み取り時には、第二透明平板53の真下の停止読取位置P1まで移動して停止する。これにより、第一読取機器55は、原稿搬送装置1Aにより搬送されて第1の読み取り位置S1を通過する原稿8の下面にある情報を、第二透明平板53の下方で停止して読み取る。
なお、第一読取機器55は、読取動作を行わないときは、ホームポジションに移動して待機している。ホームポジションは、例えば、停止読取位置P1と読取開始位置P2sの間の位置に設定される。
【0062】
次に、第二読取機器57は、例えば、第一読取機器55における読取本体55aとほぼ同様に構成されている。
第二読取機器57は、原稿搬送装置1Aの搬送部3における搬送路Rt内の第2の読み取り位置S2で、その搬送路Rtを通して搬送される原稿8の上面の情報を読み取ることができる状態に配置される。
【0063】
原稿読取装置5は、筐体51の内部又は外部に、図示しない操作部、制御部、電源機器等の必要な機器が配置されている。特に原稿読取装置5は、情報端末等に接続して、独立した単体の原稿読取装置として使用する場合、単独で操作することが可能な構成からなる操作部14(
図2参照)を備えている。
操作部14は、電源スイッチ、各種選択ボタン、スタートボタン、停止ボタン等の操作に必要な部品が配置された部分である。操作部14は、物理的なボタンや、操作内容等の情報が表示されるとともに入力操作もできる液晶パネル等の表示部15で構成されている。操作部14は、物理的なボタンと表示部15が併設されたものでもよい。
制御部は、第一読取機器55、第二読取機器57、上記移動機構、操作部14、表示部15、電源機器等の動作を制御する。
【0064】
この他、原稿読取装置5においては、図示しない制御部によって、原稿固定読取モードによる読み取り動作と原稿移動読取モードによる読み取り動作が次のように自動で切り替えられて実行されるよう構成されている。
【0065】
原稿固定読取モードによる読み取り動作は、原稿搬送装置1Aを持ち上げて読取部50における第一透明平板52に原稿8等を載せてから原稿搬送装置1Aを下げて第一透明平板52を閉じた状態にした後、操作部14等において読取動作のスタート指示の操作が一連で行われることをきっかけとして実行される。原稿搬送装置1Aの上下移動による開閉動作は、図示しない検出器で検出されるようになっている。
原稿移動読取モードによる読み取り動作は、原稿搬送装置1Aにおける原稿載せ部2に原稿8を載せた後、操作部14等において読取動作のスタート指示の操作が一連で行われることをきっかけとして実行される。原稿載せ部2に原稿8を載せたことは、上記第1の検出器39Aによって検出されるようになっている。
【0066】
・原稿読取装置および原稿搬送装置の動作
原稿読取装置5は、上記したように原稿固定読取モードによる読み取りと原稿移動読取モードによる読み取りが可能であるが、以下では原稿移動読取モードによる読み取り動作について説明する。
【0067】
原稿読取装置5では、原稿搬送装置1Aにおける原稿載せ部2に原稿8を載せた後、操作部14等において読取動作のスタート指示の操作が行われると、原稿移動読取モードによる読み取り動作が開始される。
すなわち、この場合、原稿載せ部2に載せられた原稿8が搬送部3における搬送路Rtを通して搬送され、その搬送の途上にある第1の読み取り位置S1と第2の読み取り位置S2を通過する際に原稿8の読み取りが行われる。またこの場合、読取部50では、第一読取機器55がホームポジションから、
図1に示されるように、第二透明平板53の真下の停止読取位置P1まで移動して停止する。
【0068】
この際、原稿載せ部2では、単数又は複数の原稿8をその搬送時の先端8sが突当て壁面27に突き当たるように載せた後、サイド規制板22、23を原稿8の幅方向Eにおける左右の端(側辺)にそれぞれ接触させるよう移動させる。
これにより、原稿8は、原稿載せ部2の載せ面21に対してセンターレジの搬送方式に適合した状態で載せられる(セットされる)。具体的には、このときの原稿8は、その中央位置が搬送路Rtにおける搬送中央線Lcに合わせられた状態になる。
また、原稿載せ部2は、サイド規制板22、23の調整の開始前又は終了後に、上昇移動する。
【0069】
また、搬送部3では、ピックアップ搬送ロール31が原稿載せ部2に載せられた原稿8に接触して最上の原稿8を筐体30の搬入口30dから搬送路Rtに送り込む。しかる後、搬送部3では、捌き搬送ロール32が複数の原稿8の場合に捌き作用を発揮して原稿8を1枚だけレジスト搬送ロール33に送る。続いて、搬送部3では、レジスト搬送ロール33が原稿8を送り出し、その原稿8を中継搬送ロール34A~34Dが搬送路Rtを通過させるよう順次搬送する。
【0070】
さらに、第1の読み取り位置S1では、読取部50において停止読取位置P1に停止する第一読取機器55が、原稿8の表面(第1の読み取り位置S1を通過するときの下面)にある情報を読み取る。
また、第2の読み取り位置S2では、搬送部3の筐体30内に配置された第二読取機器57が、原稿8の裏面(第2の読み取り位置S2を通過するときの上面)にある情報を読み取る。
第一読取機器55および第二読取機器57で読み取られた情報は、原稿読取装置5における図示しない制御部等に送信される。
【0071】
続いて、搬送部3では、搬送路Rtにおいて、排出搬送ロール35が読み取り終了後の原稿8を、筐体30の排出口30eから収容部4Aにむけて排出する。
【0072】
この際、原稿8は、
図3(A)に破線で示されるように、一対の排出搬送ロール35の搬送力により排出口30eを通して排出されると、
図4(A)に示されるように、その先端8sの方から排出方向Jに移動しつつ自重で収容面41Aに落下し始める。
次に、原稿8は、
図4(B)に例示されるように、その先端8sが収容部4Aの収容面41Aに接触した後、排出搬送ロール35の搬送力により排出方向Jに押されるように移動する。
しかる後、原稿8は、
図4(C)に示されるように、その後端8eが排出搬送ロール35から抜け出すと、その原稿全体が自重で落下して収容面41Aに着地するようにして収容される。
【0073】
以上説明した動作により、1枚の原稿8に対する原稿移動読取モードによる読み取りが終了する。また、原稿8が複数ある場合は、上記した原稿8の搬送動作と読み取り動作が同様に繰り返される。
【0074】
そして、この原稿読取装置5における原稿搬送装置1Aでは、原稿8が排出されて収容部4Aに収容される際、
図4(B)に例示されるように、原稿8の先端8sが収容面41Aの下り斜面部43に接触して収容される場合、その先端8sが収容面41Aの水平面部45に接触する場合に比べると、下り斜面部43に対して平行な状態で接近して接触する。
つまり、その場合の原稿8は、下り斜面部43に対する進入角度又は接触角度α1が、比較例の原稿搬送装置1X(
図17参照)における収容面41Xの水平面部45に接触するときの進入角度又は接触角度αxに比べると、下り斜面部43の傾斜角にほぼ比例して小さくなる。
【0075】
これにより、原稿読取装置5では、原稿8が原稿搬送装置1Aにおける収容部4Aの収容面41Aに収容される際、その搬送時(又は排出時)の先端8sを含む先端部が丸まった状態8k(
図17参照)になって収容されることが抑制される。
図17に示す比較例の原稿搬送装置1Xは、全域が水平な水平面部45からなる収容面41Xを有する収容部4Xを備えたものである。
【0076】
これに対して、比較例の原稿搬送装置1Xでは、二点鎖線で例示するように原稿8が収容部4Xに対して先端8sを含む先端部が丸まった状態で収容される場合がある。この場合には、その丸まった状態で収容された原稿8の上に後続の原稿8が良好に収容されない不具合や、最悪の場合は丸まって収容された原稿8や後続の原稿8が収容面41Xから押し出されて落下してしまう不具合が誘発されることがある。
このように原稿8が丸まった状態で収容される現象は、原稿8として特定の種類の原稿、具体的には先端部が丸まって収容されやすい物性の原稿を適用した場合に起こりやすい。先端部が丸まって収容されやすい物性の原稿としては、例えば、厚さが比較的薄い原稿、腰が比較的弱い、剛性が比較的低い原稿等が挙げられる。
【0077】
この点、原稿読取装置5の原稿搬送装置1Aでは、例え原稿8として先端部が丸まって収容されやすい物性の原稿を適用した場合であっても、原稿8が収容部4Aの収容面41Aに対して先端部が丸まった状態で収容されるおそれが少ない。
この結果、原稿読取装置5では、収容部4Aへの原稿8の収容性が良好に保たれ、また原稿8の収容量が初期の想定通りの量を満たすようになる。
【0078】
したがって、原稿搬送装置1Aを備えた原稿読取装置5によれば、収容部4Aの収容面41Aの全部が水平な面として構成されている場合に比べると、収容部4Aへの原稿8の収容量が確保されつつ、収容部4Aに原稿8の先端部が丸まって収容されることが抑制される。
また、このような効果は、収容面の少なくとも原稿8の排出方向Jの下流側の部分がその下流側にむけて上方に上がる上り斜面として構成されている場合に比べても、同様に得られる。
【0079】
また、原稿搬送装置1Aでは、収容面41Aの下り斜面部43の排出方向Jの下流側になる端部に制止部49を設けた場合、収容される原稿8の必要以上の移動が制止される。
このため、制止部49を設けた原稿搬送装置1Aおよびそれを備えた原稿読取装置5では、その制止部49が設けられていない場合に比べると、原稿8の収容部4A(収容面41A)からの落下が回避されつつ収容部4Aへの良好な収容が確保される。
【0080】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る原稿読取装置における原稿搬送装置1Bの一部(主に収容部)の概略図である。
図6は、その収容部の動作の状態を示す説明図である。
実施の形態2に係る原稿読取装置は、構成の一部が異なる収容部4Bを備えた原稿搬送装置1Bを適用して変更した以外は、実施の形態1に係る原稿読取装置5(
図1、
図2参照)と同じ構成からなるものである。
【0081】
原稿搬送装置1Bにおける収容部4Bは、
図5に示されるように、収容部4Bの収容面41Bを含む一部である収容面形成部42Bが、搬送部3における原稿8の排出口30eの下端30edに接近した位置まで上昇移動するよう構成されている。
【0082】
収容部4Bの収容面41Aは、実施の形態1における収容面41Aと同様に下り斜面部43と水平面部45とで構成されている。
収容面41Aを含む一部である収容面形成部42Bは、本体部10に配置された昇降駆動装置(昇降駆動部47:
図6(A)参照)により上昇方向G1と下降方向G2に昇降移動するようになっている。また、収容面形成部42Bは、本体40とは別体のものであり、それ単独で昇降移動する。本体40は、昇降移動しない。
【0083】
また、収容面形成部42Bは、
図5(A)に示されるように、原稿8が排出口30eから排出される前に、上昇移動する。
原稿8が排出口30eから排出される前の時期は、例えば、搬送部3における第2の検出器39Bが搬送される原稿8の先端の通過を検出した情報を利用して検出される。
【0084】
また、収容面形成部42Bは、
図5(B)に示されるように、初期の定位置でもある最下位の位置Dpから、排出口30eの下端30edに接近した位置でもある最上位の位置Upまで上昇する。
最上位の位置Upは、収容面形成部42Bの排出方向Jの上流側になる端部42eが、排出口30eの下端30edと所要の高低差h1となる位置である。所要の高低差h1は、例えば、排出口30eから排出される原稿8が収容面41Aに自然落下して収容されるのに必要とされる最低限の寸法に設定される。
なお、収容面41Aに制止部49を設ける場合、その制止部49は、収容面41Aが最上位の位置Upに移動したときに収容面41Aより上方に突出して原稿8の移動を制止し得る状態になるよう構成するとよい。
【0085】
さらに、収容面形成部42Bは、
図6(A)に示されるように、昇降移動を行う昇降駆動部47の動作が制御部16により制御される。
昇降駆動部47は、収容面形成部42Bの移動する位置を検出する移動位置の検出部48から得られる位置情報も参考にして作動する。
【0086】
また、昇降駆動部47は、
図6に示されるように、原稿8の種類を検出する原稿種類の検出部17により特定の種類の原稿8が検出されたときに、所要量の上昇移動を実行するよう制御される(
図6(B)におけるステップS10~S11の動作参照)。特定の種類の原稿8であるか否かの検出は、例えば、使用者が操作部14から入力する原稿8の種類に関する情報を原稿種類の検出部17が検出することで行われる。
特定の種類の原稿8とは、収容部4Bへの収容時に先端部が丸まって収容されやすい物性の原稿であり、例えば、上記したように厚さが比較的薄い原稿、腰が比較的弱い、剛性が比較的低い原稿等の原稿である。
【0087】
さらに、昇降駆動部47は、
図6に示されるように、原稿8の収容部4Bへの排出数を検出する原稿排出数の検出部18により排出数が予め定める排出数N以上になったことが検出されたときに、所要量の下降移動を実行するよう制御される(
図6(B)におけるステップS12~S13の動作参照)。
予め定める排出数Nは、例えば、収容面41Aに既に収容されている原稿8の上に、排出されて収容される後続の原稿8が収容され得ると見込まれる数に設定される。
【0088】
・原稿読取装置および原稿搬送装置の動作
この収容部4Bを採用した原稿搬送装置1Bを備える原稿読取装置においては、以下に説明する収容面41Aを含む一部である収容面形成部42Bの移動動作が付加される点を除けば、実施の形態1に係る原稿搬送装置1Aおよび原稿読取装置5の場合とほぼ同様にして原稿8の搬送および読み取りが行われる。
【0089】
すなわち、実施の形態2に係る原稿読取装置では、
図6(B)に示されるように、読み取り対象の原稿8が特定の種類の原稿8であることが検出されると(ステップS10)、原稿搬送装置1Bにおける昇降駆動部47が所要の時期に所要の時間だけ作動する。これにより、原稿読取装置では、
図5(B)や
図7に示されるように、収容部4Bにおいて収容面41Aを含む一部である収容面形成部42Bが所要量だけ上昇移動する(ステップS11)。
【0090】
この際、収容部4Bにおける収容面形成部42Bは、
図5(B)に示されるように、原稿8が搬送部3の筐体30における排出口30eから排出される前に、排出口30eの下端30edに接近した位置でもある最上位の位置Upまで上昇して停止する。
【0091】
続いて、原稿搬送装置1Bでは、原稿8が排出搬送ロール35により搬送されて筐体30の排出口30eを通して排出される。これにより、その原稿8が、最上位の位置Upまで上昇した収容面形成部42Bにおける収容面41Aに収容される。
【0092】
この際、原稿8は、
図7(A)に例示されるように、その先端8sが収容部4Bの上昇移動した収容面41Aの下り斜面部43に接触した後、
図7(B)に例示されるように排出搬送ロール35の搬送力により排出方向Jに押されるように収容面41A(実際には下り斜面部43)上を移動する。
しかる後、原稿8は、
図7(C)に示されるように、その後端8eが排出搬送ロール35から抜け出すと、その原稿全体が自重で落下して収容面41Aに着地するようにして収容される。
【0093】
そして、原稿搬送装置1Bでは、原稿8が排出されて収容部4Bに収容される際、
図7(A)に例示されるように、原稿8の先端8sが上昇した収容面41Aの下り斜面部43に接触して収容される場合には、その場合の原稿8が次のようになる。
すなわち、原稿8は、その先端8sが実施の形態1における収容部4Aの上昇していない収容面41Aを含む一部である収容面形成部42Aにおける下り斜面部43に接触する場合(
図4(A)参照)に比べると、その先端8sを含む先端部が大きく下方に垂れる前に収容面41Aの下り斜面部43に接触する。
【0094】
つまり、原稿搬送装置1Bでは、排出搬送ロール35のニップ部Npから下り斜面部43までの落差r1(
図5(A)参照)が、収容部4Aの上昇していない収容面41Aの下り斜面部43に接触する場合(
図4(A)参照)に比べると、少なくなる。
このため、このときの原稿8は、その先端8sが収容面41Aの下り斜面部43に接触するのが早まる。
また、このときの原稿8は、下り斜面部43に対する進入角度又は接触角度α2が、収容部4Aの上昇していない収容面41Aの下り斜面部43に接触する場合(
図4(A)参照)における進入角度又は接触角度α1に比べると、収容面41Aが上昇移動している分にほぼ比例して小さくなる(α2<α1)。
【0095】
これにより、原稿搬送装置1Bでは、原稿8が原稿搬送装置1Bにおける収容部4Bの収容面41Aに収容される際、その搬送時の先端8sを含む先端部が丸まった状態8k(
図17参照)になって収容されることが抑制される。
【0096】
続いて、原稿搬送装置1Bでは、読み取り対象の原稿8が複数ある場合、その後続の原稿8が、上昇した収容面41Aに既に収容されている先行の原稿8の上に積み重なれるように収容される(
図8(A)参照)。
【0097】
そして、原稿搬送装置1Bでは、
図6に示されるように、原稿8が収容部4Bへの原稿8の排出数が所定の排出数N以上になると、昇降駆動部47が作動し、
図8(B)に示されるように、収容部4Bの収容面形成部42Bが所要量だけ下降移動する(ステップS12~S13)。
このときの収容面形成部42Bは、最下位の位置Dpと最上位の位置Upの間にある中位の位置Mpまで下降して停止する。
【0098】
この際、原稿搬送装置1Bでは、
図8(B)に例示されるように、二点鎖線で例示する後続の原稿8が、中位の位置Mpまで下降移動した収容面形成部42Bの収容面41Aに既に収容されている複数の原稿8の上に積み重なるように収容される。
このときの後続の原稿8は、その先端8sが、収容面41Aに既に収容されている原稿8のうち下り斜面部43に収容されて下り傾斜の状態になっている部分に最初に接触してから収容される。また、後続の原稿8は、中位の位置Mpまで下降移動した収容面41Aに既に収容されている原稿8の上にある程度の落差をもって収容される。
【0099】
ちなみに、このときの排出搬送ロール35のニップ部Npと既に収容されている最上の原稿8との間の落差r2(
図8(A)参照)は、上記した落差r1(
図5(B)参照)と同程度になるように設定することが好ましい。この落差r2は、収容面形成部42Bの下降移動量や原稿8の上記排出数Nの設定を調整することで対応することができる。
【0100】
これにより、原稿読取装置では、後続の原稿8が原稿搬送装置1Bにおける収容部4Bの収容面41Aに既に収容されている先行の原稿8の上に収容される際にも、収容面形成部42Bが上昇移動した後に原稿8の予め定める排出数Nに達する毎に下降移動しない場合に比べると、その搬送時の先端8sを含む先端部が丸まった状態8kになって収容されることが抑制される。
【0101】
また、原稿読取装置においては、上昇移動した後の収容面形成部42Bが下降移動もするので、収容部4Bの収容面41Aへの原稿8の収容量が確保される。さらに、原稿読取装置においては、後続の原稿8が下降移動した収容面41Aに既に収容されている原稿8の収容状態を乱すことなく良好に収容され、その結果、収容部4Bの収容面41Aへの原稿8の収容性も良好に確保される。
【0102】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係る原稿搬送装置1Cを備えた原稿読取装置5の概略図である。
図10は、
図9の原稿搬送装置1Cの一部(主に収容部)の概略図とその原稿搬送装置1Cの上方から見たときの上面概略図である。
実施の形態3に係る原稿読取装置は、構成の一部が異なる収容部4Cを備えた原稿搬送装置1Cを適用して変更した以外は、実施の形態1に係る原稿読取装置5(
図1、
図2参照)と同じ構成からなるものである。
【0103】
原稿搬送装置1Cにおける収容部4Cは、
図9に示されるように、収容面の全域が下り斜面部46からなる収容面41Bを有する収容部として構成されている。この下り斜面部46は、例えば、全域下り斜面部とも言える。
【0104】
下り斜面部46の水平に対する傾斜角については、実施の形態1における収容面41Aにおける下り斜面部(一部下り斜面部)43における傾斜角と同じ角度に設定されるが、異なる角度に設定しても構わない。
【0105】
また、下り斜面部46は、本体40の上面に収容面形成部42Cの上面部として形成される。この下り斜面部46の表面にも、実施の形態1で説明した複数本のリブ(突条)を設けてもよい。
さらに、収容部4Cは、
図10等に二点鎖線で示されるように、収容面41Bの下り斜面部46の排出方向Jの下流側になる端部に、実施の形態1で説明した制止部49を設けてもよい。
【0106】
・原稿読取装置および原稿搬送装置の動作
この収容部4Cを採用した原稿搬送装置1Cを備える原稿読取装置においては、以下に説明する原稿8が収容部4Cの収容面41Bに収容される点を除けば、実施の形態1に係る原稿搬送装置1Aおよび原稿読取装置5の場合とほぼ同様にして原稿8の搬送および読み取りが行われる。
【0107】
すなわち、実施の形態3に係る原稿読取装置では、読み取り終了後の原稿8が、原稿搬送装置1Cにおける収容部4Cの全域が下り斜面部46からなる収容面41Bに収容される。
【0108】
この際、原稿8は、
図10(A)に破線で示されるように、一対の排出搬送ロール35の搬送力により排出口30eを通して排出されると、
図11(A)に示されるように、その先端8sの方から排出方向Jに移動しつつ自重で収容面41Bに落下し始める。
次に、原稿8は、
図11(B)に例示されるように、その先端8sが収容面41Bに接触した後、排出搬送ロール35の搬送力により排出方向Jに押されるように移動する。
しかる後、原稿8は、
図11(C)に示されるように、その後端8eが排出搬送ロール35から抜け出すと、その原稿全体が自重で落下して収容面41Bに着地するようにして収容される。
【0109】
そして、この原稿読取装置5における原稿搬送装置1Cでは、原稿8が排出されて収容部4Cに収容される際、
図11(B)に例示されるように、原稿8の先端8sが収容面41Bの全域を構成する下り斜面部46に接触して収容される。
このときの原稿8は、その先端8sが
図17に示す比較例の原稿搬送装置1Xの収容部4Xにおける全域が水平面部45からなる収容面41Xに接触する場合に比べると、下り斜面部46に対して平行な状態で接近して接触する。
つまり、このとき原稿8は、下り斜面部46に対する進入角度又は接触角度α3が、比較例の原稿搬送装置1Xにおける収容面41Xの水平面部45に接触するときの進入角度又は接触角度αxに比べると、下り斜面部46の傾斜角にほぼ比例して小さくなる。
【0110】
これにより、原稿読取装置5においても、原稿8が原稿搬送装置1Cにおける収容部4Cの収容面41Bに収容される際、その搬送時(又は排出時)の先端8sを含む先端部が丸まった状態8k(
図17参照)になって収容されることが抑制される。
このため、原稿読取装置5では、例え原稿8として先端部が丸まって収容されやすい物性の原稿を適用した場合であっても、原稿8が収容部4Cの収容面41Bに対して先端部が丸まった状態で収容されるおそれが少ない。
この結果、原稿読取装置5では、収容部4Cへの原稿8の収容性が良好に保たれ、また原稿8の収容量が初期の想定通りの量を満たすようになる。
【0111】
したがって、原稿搬送装置1Cを備えた原稿読取装置5によっても、収容面のうち原稿8の排出方向Jの少なくとも下流側の部分等の一部が下り傾斜部として構成されている場合に比べると、収容部4Cへの原稿8の収容量が確保されつつ、収容部4Cに原稿8の先端部が丸まって収容されることが抑制される。
特に、原稿搬送装置1Cでは、排出される原稿8の先端8sが下り斜面部46のいずれかの部分に必ず接触するので、収容部4Cに原稿8の先端部が丸まって収容されることがより抑制されやすくなる。
【0112】
実施の形態4.
図12は、実施の形態4に係る原稿読取装置における原稿搬送装置1Dの一部(主に収容部)の概略図である。
図13は、その収容部の動作の状態を示す説明図である。
実施の形態4に係る原稿読取装置は、構成の一部が異なる収容部4Dを備えた原稿搬送装置1Dを適用して変更した以外は、実施の形態2、3に係る原稿読取装置5(
図2、
図9参照)と同じ構成からなるものである。
【0113】
原稿搬送装置1Dにおける収容部4Dは、
図12に示されるように、収容部4Dの収容面41Bを含む一部である収容面形成部42Dが、実施の形態2における収容部4Bの場合とほぼ同様に、搬送部3における原稿8の排出口30eの下端30edに接近した位置まで上昇移動するよう構成されている。
【0114】
収容面41Bは、実施の形態3における収容面41Bと同様に全域が下り斜面部46にて構成されている。
収容面41Bを含む一部である収容面形成部42Dは、実施の形態2における収容面形成部42Bの場合とほぼ同様に、本体部10に配置された昇降駆動装置により上昇方向G1と下降方向G2に昇降移動するようになっている。
最上位の位置Upは、収容面形成部42Dの端部42eが、排出口30eの下端30edと所要の高低差h2となる位置である。この高低差h2は、実施の形態2における高低差h1(
図5(B)参照)と同じ寸法に設定されるが、異なる寸法に設定しても構わない。
【0115】
また、収容面形成部42Dも、
図12(B)に示されるように、原稿8が排出口30eから排出される前に、上昇移動する。
また、収容面形成部42Dは、実施の形態2における収容面形成部42Bの場合とほぼ同様に、
図12(B)等に示されるように、初期の定位置でもある最下位の位置Dpから、排出口30eの下端30edに接近した位置でもある最上位の位置Upまで上昇する。
【0116】
さらに、収容面形成部42Dについても、実施の形態2における収容面形成部42Bの場合とほぼ同様に、昇降移動を行う昇降駆動部47の動作が制御部16により制御される(
図6(A)参照)。
この場合の昇降駆動部47は、原稿8の種類を検出する原稿種類の検出部17により特定の種類の原稿8が検出されたときに、所要量の上昇移動を実行するよう制御される(
図6(B)におけるステップS10~S11の動作参照)。
また、この場合の昇降駆動部47は、原稿8の収容部4Dへの排出数を検出する原稿排出数の検出部18により排出数が予め定める排出数N以上になったことが検出されたときに、所要量の下降移動を実行するよう制御される(
図6(B)におけるステップS12~S13の動作参照)。
【0117】
・原稿読取装置および原稿搬送装置の動作
この収容部4Dを採用した原稿搬送装置1Dを備える原稿読取装置においては、以下に説明する収容面41Bを含む一部である収容面形成部42Dの移動動作が付加される点を除けば、実施の形態3に係る原稿搬送装置1Cおよび原稿読取装置5の場合とほぼ同様にして原稿8の搬送および読み取りが行われる。
【0118】
すなわち、実施の形態4に係る原稿読取装置では、示されるように、読み取り対象の原稿8が特定の種類の原稿8であることが検出されると(
図6(B)におけるステップS10の動作参照)、原稿搬送装置1Dにおける昇降駆動部47が所要の時期に所要の時間だけ作動する。これにより、原稿読取装置では、
図12(B)や
図13に示されるように、収容部4Dにおいて収容面41Bを含む一部である収容面形成部42Dが所要量だけ上昇移動する(同ステップS11の動作参照)。
【0119】
この際、収容部4Dにおける収容面形成部42Dは、
図12(B)に示されるように、原稿8が搬送部3の筐体30における排出口30eから排出される前に、排出口30eの下端30edに接近した位置でもある最上位の位置Upまで上昇して停止する。
【0120】
続いて、原稿搬送装置1Dでは、原稿8が排出搬送ロール35により搬送されて筐体30の排出口30eを通して排出される。これにより、その原稿8が、最上位の位置Upまで上昇した収容面形成部42Dにおける収容面41Bに収容される。
【0121】
この際、原稿8は、
図13(A)に例示されるように、その先端8sが収容部4Dの上昇移動した収容面41Bの下り斜面部46に接触した後、
図13(B)に例示されるように排出搬送ロール35の搬送力により排出方向Jに押されるように収容面41B(実際には下り斜面部46)上を移動する。
しかる後、原稿8は、
図13(C)に示されるように、その後端8eが排出搬送ロール35から抜け出すと、その原稿全体が自重で落下して収容面41Bに着地するようにして収容される。
【0122】
そして、原稿搬送装置1Dでは、原稿8が排出されて収容部4Dに収容される際、
図13(A)に示されるように、原稿8の先端8sが上昇した収容面41Bの下り斜面部46のいずれかの部分に接触して収容されるが、そのときの原稿8は次のようになる。
すなわち、このときの原稿8は、その先端8sが実施の形態3における収容部4Cの上昇していない収容面41Bを含む一部である収容面形成部42Cにおける下り斜面部43に接触する場合(
図11(A)参照)に比べると、その先端8sを含む先端部が大きく下方に垂れる前に収容面41Bの下り斜面部46に接触する。
【0123】
つまり、原稿搬送装置1Dでは、排出搬送ロール35のニップ部Npから下り斜面部46(収容面形成部42Dの端部42e)までの落差r3(
図12(B)参照)が、収容部4Cの上昇していない収容面41Bの下り斜面部46に接触する場合(
図11(A)参照)に比べると、少なくなる。
このため、このときの原稿8は、その先端8sが収容面41Bの下り斜面部46に接触するのが早まる。
また、このときの原稿8は、下り斜面部46に対する進入角度又は接触角度α4が、収容部4Cの上昇していない収容面41Bの下り斜面部46に接触する場合(
図11(A)参照)における進入角度又は接触角度α3に比べると、収容面41Aが上昇移動している分にほぼ比例して小さくなる(α4<α3)。
【0124】
これにより、原稿搬送装置1Dでは、原稿8が原稿搬送装置1Dにおける収容部4Dの収容面41Bに収容される際、その搬送時の先端8sを含む先端部が丸まった状態8k(
図17参照)になって収容されることが抑制される。
【0125】
また、原稿搬送装置1Dにおいても、読み取り対象の原稿8が複数ある場合、その後続の原稿8が、上昇した収容面41Bに既に収容されている先行の原稿8の上に積み重なれるように収容される。
【0126】
さらに、原稿搬送装置1Dにおいても、原稿8が収容部4Dへの原稿8の排出数が所定の排出数N以上になると、実施の形態2における収容部4Bの場合と同様に、昇降駆動部47が作動し、収容部4Dの収容面形成部42Dが所要量だけ下降移動する(ステップS12~S13の動作や
図8(B)参照)。
【0127】
これにより、原稿読取装置では、後続の原稿8が原稿搬送装置1Dにおける収容部4Dの収容面41Bに既に収容されている先行の原稿8の上に収容される際にも、収容面形成部42Dが上昇移動した後に原稿8の予め定める排出数Nに達する毎に下降移動しない場合に比べると、その搬送時の先端8sを含む先端部が丸まった状態8kになって収容されることが抑制される。
また、この原稿読取装置においても、実施の形態2に係る原稿搬送装置1Bおよび原稿読取装置の場合と同様に、収容部4Dの収容面41Bへの原稿8の収容量が確保されるとともに、収容部4Dの収容面41Bへの原稿8の収容性も良好に確保される。
【0128】
実施の形態5.
図14は、実施の形態5に係る画像形成装置6の概要図である。
画像形成装置6は、
図14に示されるように、実施の形態1~4に係る原稿搬送装置1A~1Dのいずれか1つを備えた原稿読取装置5と、原稿読取装置5により読み取られる原稿8の情報を画像として記録媒体9に形成する像形成部61とを備えている。
この場合、画像形成装置6は、原稿読取装置5を備えた複写機として少なくとも構成される。
【0129】
画像形成装置6は、筐体60を有している。筐体60は、構造部材、外装材等を用いて所要の形状に形成される構造体である。
実施の形態5における筐体60は、像形成部61、媒体供給部63等を収容して配置する内部の収容空間と、画像が形成された記録媒体9を排出させて収容する排出収容部65等を有している。排出収容部65は、例えば、筐体60の上面部に斜めに窪んだ斜面の収容面を有する構造部分として設けられている。
【0130】
像形成部61は、原稿搬送装置1A~1Dのいずれか1つで読み取った原稿8の情報を記録媒体9に画像として形成することも可能な構成部分である。このため、像形成部61は、その画像形成方式等については特に制約されるものではない。
実施の形態5における像形成部61は、画像形成方式として公知の電子写真方式を採用した部分として構成される。電子写真方式を採用した像形成部61は、トナーからなるトナー像を形成する作像ユニット、作像ユニットで形成されたトナー像を記録媒体9に直接又は中継して転写する転写ユニット、記録媒体9に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させる定着ユニット等の図示しない機器を配置して構成されている。
【0131】
媒体供給部63は、像形成部61において画像を記録媒体9に形成する位置に供給すべき所要のサイズの記録媒体9を収容して送り出す構成部分である。媒体供給部63は、記録媒体9を収容する媒体収容体、その媒体収容体内の記録媒体9を1つずつ送り出す送出装置等の図示しない機器を配置して構成されている。
記録媒体9は、筐体60の内部での収容および搬送が可能でかつトナー像の転写および定着が可能なシート状の媒体であればよい。記録媒体9としては、普通紙、コート紙、厚紙、封筒等が挙げられるが、その材質、形態等については特に制約されるものでない。
【0132】
図14における符号64で示す一点鎖線は、筐体60の内部で記録媒体9が搬送される主な搬送路である。搬送路64は、記録媒体9を挟持して搬送する図示しない複数の搬送ロールや、記録媒体9の搬送空間を確保して記録媒体9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。
【0133】
また、画像形成装置6は、筐体60の内部に制御部66が配置され、筐体60の外部に表示部69を有する操作部68が配置されている。
【0134】
制御部66は、像形成部61、媒体供給部63、搬送路64等の動作を制御する部分である。制御部66は、原稿読取装置5や情報端末等の外部機器と有線又は無線で接続して情報の通信を行う図示しない通信部や、原稿読取装置5等の外部から送信入力される画像情報の処理を行う図示しない画像処理部等とも接続されている。また、制御部66は、原稿読取装置5の制御部とも接続されている。
【0135】
操作部68は、例えば、原稿搬送装置1A~1Dのいずれか1つにおける読取部50の外部に配置されている。操作部68は、画像形成装置6の使用に必要な操作を行う部分である。また、操作部68は、一般に、原稿読取装置5の操作部を兼ね備えるように構成される。
表示部69は、画像形成装置6に関する情報が表示される部分である。表示部69は、液晶パネル等で構成される。また、表示部69は、原稿読取装置5等に関する情報も表示する表示部としても構成される。
【0136】
・画像形成動作
画像形成装置6では、原稿読取装置5を使用する場合には、次のようにして画像形成動作(複写動作)が行われる。
【0137】
はじめに、画像形成装置6では、原稿読取装置5において所要の原稿8の情報を原稿固定読取モードによる読み取り動作か又は上記したような原稿移動読取モードによる読み取り動作が行われる。
【0138】
続いて、画像形成装置6では、原稿読取装置5で読み取られた原稿8の情報について必要な画像処理をした後に像形成部61を主体とする画像の形成が行われる。すなわち、像形成部61において電子写真方式により画像情報に基づいてトナー像が形成され、そのトナー像が媒体供給部63から搬送路64を経由して供給される記録媒体9に形成される。実際には、記録媒体9にトナー像が転写された後に定着されることで画像として形成される。画像が形成された記録媒体9は、搬送路64を経由して排出収容部65に排出されて収容される。
【0139】
以上の動作により、画像形成装置6においては、原稿読取装置5で読み取られた原稿8の情報が画像として形成された記録媒体9が得られる。
【0140】
そして、画像形成装置6においては、原稿8が原稿搬送装置1A~1Dにおける収容部4A~4Dのいずれかに収容される際、実施の形態1~4に係る原稿搬送装置1A~1Dとして説明した場合と同様の作用効果が得られる。つまり、画像形成装置6においても、少なくとも収容部4A~4Dへの原稿8の収容量を確保しつつ、その原稿8の搬送時の先端8sを含む先端部が丸まった状態になることが抑制されて収容部4A~4Dのいずれかに収容される。
【0141】
変形例.
本発明は、上記実施の形態1~5として例示した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の構成を含む範囲内で種々の変形や改変が可能である。このため、本発明は、例えば、以下に示す変形例も含むものである。
【0142】
実施の形態1,2に係る原稿搬送装置1A,1Bにおいては、収容部4A,4B(
図3,
図5参照)に代えて、
図15に示されるように構成の一部が異なる収容部4E,4Fを適用してもよい。
【0143】
収容部4Eは、収容面41Aにおける下り斜面部43Bの傾斜角θ1が調整可能に構成されている収容部である。
具体的には、収容部4Eは、
図15に示されるように、上面部に水平面部45が形成された固定部420と、上面部に下り斜面部43Bが形成された可動部430とで構成されている。また、収容部4Eは、固定部420と可動部430からなる収容面形成部42Aを有する収容部である。
可動部430は、原稿8の排出方向Jの上流側になる端部430dの下面部に前後方向に延びる支持軸432が配置されている。支持軸432の後方の一端部は、例えば、本体部10又は本体40に配置される図示しない軸駆動装置(角度調整駆動部435:
図6(A)参照)に連結されており、その軸駆動装置の作動により正逆方向に所要の量だけ回転駆動する。角度調整駆動部435については、他の方式で可動部430をその支持軸432を支点にして動かすことが可能なものに変更してもよい。
【0144】
これにより、可動部430は、その排出方向Jの下流側になる端部430eが上下するように可動し、下り斜面部43Bの傾斜角θ1が調整される。
図15(A)に例示される傾斜角θ1aは最大の傾斜角θ1であり、
図15(B)に例示される傾斜角θ1bはゼロではない最小の傾斜角θ1である(θ1a>θ1b)。
【0145】
そして、収容部4Eは、下り斜面部43Bの傾斜角θ1が原稿8の種類の違いで異なる角度(θ1b~θ1aの範囲内の角度)に調整される。
原稿8の種類は、例えば、原稿8の厚さ、剛性の大きさ等の物性である。また、原稿8の種類は、上記した原稿種類の検出部17(
図6(A)参照)で検出される。原稿種類の検出部17は、実際には使用者が操作部14等で入力される原稿8の種類の情報を検出するようにすればよい。
下り斜面部43Bの傾斜角θ1については、例えば、原稿8の厚さが薄くなるについて又は剛性が弱くなるにつれて、相対的に大きい角度に調整される。
【0146】
このように下り斜面部43Bの傾斜角θ1が調整可能に構成した収容部4Eを採用した場合は、下り斜面部43Bの傾斜角θ1が固定されている場合に比べると、収容部4Eに原稿8の先端部が丸まって収容されることが的確に抑制される。
また、下り斜面部43Bの傾斜角θ1を原稿8の種類の違いで異なる角度に調整するように構成した場合は、下り斜面部43Bの傾斜角θ1が調整されない場合に比べると、収容部4Eに原稿8の先端部が丸まって収容されることが適切に抑制される。
【0147】
収容部4Fは、固定部420と可動部430からなる収容面形成部42Bが、実施の形態2における収容面形成部42B(
図5参照)の場合と同様に、昇降移動するよう構成された収容部である。
【0148】
また、実施の形態3,4に係る原稿搬送装置1C,1Dにおいては、収容部4C,4D(
図10,
図12参照)に代えて、
図16に示されるように構成の一部が異なる収容部4G,4Hを適用してもよい。
【0149】
まず、収容部4Gは、収容面41Bにおける下り斜面部46Bの傾斜角θ2が調整可能に構成されている収容部である。
具体的には、収容部4Gは、
図16に示されるように、上面部に下り斜面部46Bが形成された可動部440で構成されている。
可動部440は、原稿8の排出方向Jの上流側になる端部440dの下面部に前後方向に延びる支持軸442が配置されている。支持軸442の後方の一端部は、例えば、本体部10又は本体40に配置される図示しない軸駆動装置(角度調整駆動部435:
図6(A)参照)に連結されており、その軸駆動装置の作動により正逆方向に所要の量だけ回転駆動する。
【0150】
これにより、可動部440は、その排出方向Jの下流側になる端部440eが上下するように可動し、下り斜面部46Bの傾斜角θ2が調整される。
図16(A)に例示される傾斜角θ2aは最大の角度であり、
図16(B)に例示される傾斜角θ2bはゼロではない最小の角度である(θ2a>θ2b)。下り斜面部46Bの傾斜角θ2は、上記した変形例における下り斜面部43Bの傾斜角θ1と同じ角度に設定されるが、異なる角度に設定しても構わない。
【0151】
そして、収容部4Gは、上記した変形例における収容部4Eの場合と同様に、下り斜面部46Bの傾斜角θ2が原稿8の種類の違いで異なる角度(θ2b~θ2aの範囲内の角度)に調整される。
【0152】
このように下り斜面部46Bの傾斜角θ2が調整可能に構成した収容部4Gを採用した場合は、下り斜面部46Bの傾斜角θ2が固定されている場合に比べると、収容部4Gに原稿8の先端部が丸まって収容されることが的確に抑制される。
また、下り斜面部46Bの傾斜角θ2を原稿8の種類の違いで異なる角度に調整するように構成した場合は、下り斜面部46Bの傾斜角θ2が調整されない場合に比べると、収容部4Gに原稿8の先端部が丸まって収容されることが適切に抑制される。
【0153】
次に、収容部4Hは、
図16に示されるように、可動部440からなる収容面形成部42CBが、実施の形態4における収容面形成部42D(
図12参照)の場合と同様に、昇降移動するよう構成された収容部である。
【0154】
また、実施の形態2,4に係る原稿搬送装置1B,1Dでは、収容部4B,4Dにおける収容面形成部42B,42Dを本体40と共に一体で(つまり、収容部4Bの収容面41Bを含む全部や、収容部4Dの収容面41Dを含む全部を)昇降移動させるように構成してもよい。
【0155】
さらに、実施の形態1~4に係る原稿搬送装置1A~1D又は原稿読取装置5においては、最大幅Wmの原稿8における前方(手前側)の端又は後方(奥側)の端を搬送時の基準位置にして搬送するサイドレジの搬送方式を適用してもよい。
【0156】
また、原稿読取装置5は、読取部50として、原稿8の片面のみを読み取る読取部を採用してもよい。
このように構成する読取部50は、例えば、第二読取機器57の配置を省略して、第一読取機器55のみを配置するように構成すればよい。
【0157】
また、原稿読取装置5は、読取部50として、原稿固定読取モードによる読み取りがなく、原稿移動読取モードによる読み取りのみが可能な読取部を採用してもよい。
このように構成する読取部50は、例えば、第一読取機器55を第二透明平板53の真下の停止読取位置P1に固定されて配置するように構成すればよい。この場合、読取部50は、第一透明平板52のない構成にすることができる。
【0158】
さらに、原稿搬送装置1は、読取部50として、CIS以外の読み取り方式で構成した読取部を採用してもよい。
CIS以外の読み取り方式としては、例えば、照明機器が第一透明平板52の真下を往復移動し、その照明した第一透明平板52上の原稿8からの反射光を撮像素子に光学部品を介して結像させる方式等が挙げられる。
【0159】
画像形成装置6は、像形成部61として、電子写真方式以外の画像形成方式にて構成されるものを適用してもよい。電子写真方式以外の画像形成方式としては、例えば、液滴噴射方式、感熱方式、印刷方式等が挙げられる。
像形成部61については、単色の画像を形成する像形成部に限らず、多色の画像を形成する像形成部であってもよい。
画像形成装置6は、原稿読取装置5を設置する筐体と像形成部を配置する筐体とが、別体でかつ水平方向で隣接した状態又は離間した状態で配置される形態からなる画像形成装置であってもよい。
【0160】
(付記)
(((1)))
原稿を載せる原稿載せ部と、
前記原稿載せ部に載せられた原稿を原稿の読み取り位置を通過させてから排出するよう搬送する搬送部と、
前記搬送部から排出される原稿を積み重ねて収容する収容部と、
を備え、
前記収容部は、原稿を収容する収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分が、前記排出方向の下流側になるにつれて下方に下がる下り斜面部として構成されている原稿搬送装置。
(((2)))
前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記原稿が排出される前に、前記搬送部における原稿の排出口の下端に接近した位置まで上昇移動する(((1)))に記載の原稿搬送装置。
(((3)))
前記収容部は、前記下り斜面部の傾斜角が調整可能に構成されている(((1)))又は(((2)))に記載の原稿搬送装置。
(((4)))
前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記原稿が特定の種類であるときに、上昇移動する(((1)))から(((3)))のいずれかに記載の原稿搬送装置。
(((5)))
前記収容部の前記収容面を含む一部又は全部は、前記上昇移動した後、前記原稿が予め定める排出数に達する毎に下降移動する (((2)))から(((4)))のいずれかに記載の原稿搬送装置。
(((6)))
前記下り斜面部の傾斜角が、原稿の種類の違いで異なる角度に調整される(((3)))に記載の原稿搬送装置。
(((7)))
前記下り斜面部の前記排出方向の下流側になる端部に、収容される原稿の移動を制止させる制止部が設けられている(((1)))から(((6)))のいずれかに記載の原稿搬送装置。
(((8)))
前記収容部は、前記収容面の全域が前記下り斜面部として構成されている(((1)))から(((7)))のいずれかに記載の原稿搬送装置。
(((9)))
(((1)))から(((8)))のいずれかに記載の原稿搬送装置と、
前記原稿搬送装置により搬送される原稿の少なくとも片面の情報を読み取る読取部と、
を備える原稿読取装置。
(((10)))
(((9)))に記載の原稿読取装置と、
前記原稿読取装置により読み取られる原稿の情報を画像として記録媒体に形成する像形成部と、
を備える画像形成装置。
【0161】
(((1)))に係る原稿搬送装置によれば、原稿を原稿載せ部に載せてから搬送部により搬送して収容部に収容させる原稿搬送装置において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分がその下流側にむけて上方に上がる上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
(((2)))に係る原稿搬送装置によれば、収容部の収容面を含む一部又は全部が移動せず固定されている場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることが抑制されやすくなる。
(((3)))に係る原稿搬送装置によれば、収容部の下り斜面部の傾斜角が固定されている場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを的確に抑制することができる。
(((4)))に係る原稿搬送装置によれば、収容部に特定の種類の原稿の先端部が丸まって収容されることを適切に抑制しやすくなる。
(((5)))に係る原稿搬送装置によれば、収容部の収容面を含む一部又は全部が上昇移動した後に原稿の予め定める排出数に達する毎に下降移動しない場合に比べて、収容部への原稿の収容量および収容性を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
(((6)))に係る原稿搬送装置によれば、下り斜面部の傾斜角が原稿の種類の違いで異なる角度に調整されない場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを適切に抑制することができる。
(((7)))に係る原稿搬送装置によれば、下り斜面部の排出方向の下流側になる端部に制止部が設けられていない場合に比べて、原稿の収容部からの落下を防ぎつつ収容部への良好な収容を行うことができる。
(((8)))に係る原稿搬送装置によれば、収容面のうち原稿の排出方向の下流側の部分等の一部の領域が下り斜面部として構成されている場合に比べて、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることをより抑制することができる。
(((9)))に係る原稿読取装置によれば、原稿搬送装置において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分が上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
(((10)))に係る画像形成装置によれば、原稿読取装置の原稿搬送装置において、その収容部の原稿の収容面の全部が水平な面として又はその収容面の少なくとも原稿の排出方向の下流側の部分が上り斜面として構成されている場合に比べて、収容部への原稿の収容量を確保しつつ、収容部に原稿の先端部が丸まって収容されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0162】
1A,1B,1C,1D…原稿搬送装置
2 …原稿載せ部
3 …搬送部
4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H…収容部
5 …原稿読取装置
6 …画像形成装置
8 …原稿
9 …記録媒体
41A,41B…収容面
42A,42C…収容形成部(収容部の収容面を含む(固定された)一部の一例)
42B,42D…収容形成部(収容部の収容面を含む(昇降移動する)一部の一例)
43…下り斜面部(収容面の一部領域が下り斜面部である場合の一例)
46…下り斜面部(収容面の全域が下り斜面部である場合の一例)
49…制止部
50…読取部
61…像形成部
J …排出方向
θ1,θ2…傾斜角