(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104365
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】土砂ホッパーおよび土砂搬出方法
(51)【国際特許分類】
E02F 7/00 20060101AFI20240729BHJP
B65G 65/46 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
E02F7/00 A
B65G65/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008522
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596074029
【氏名又は名称】東京機材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修二
(72)【発明者】
【氏名】浅利 誠也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 公貴
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB04
3F075CA02
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB12
3F075CC03
3F075CC05
(57)【要約】
【課題】土砂の排出量の制御が可能で、より効率的に土砂の搬出作業を行うことができる土砂ホッパーおよび土砂排出方法を提案する。
【解決手段】土砂ホッパー1は、土砂を貯留可能な土槽2と、土槽2を支持する架台3と、土槽2の直下に設けられたスクリューコンベア4とを備えている。架台3は、スクリューコンベア4の下方にダンプトラック5が進入可能な空間31を確保した状態で土槽2を支持している。土槽2は上部に土砂の投入口21を有しているとともに下端に土砂の排出口22を有している。スクリューコンベア4は、排出口22から排出された土砂を内部に受け入れる受入口と、内部に受け入れた土砂を排出する排土口を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂を貯留可能な土槽と、
前記土槽を支持する架台と、
前記土槽の直下に設けられたスクリューコンベアと、を備える土砂ホッパーであって、
前記架台は、前記スクリューコンベアの下方に運搬手段が進入可能な空間を確保した状態で前記土槽を支持しており、
前記土槽は、上部に土砂の投入口を有しているとともに、下端に土砂の排出口を有し、
前記スクリューコンベアは、前記排出口から排出された土砂を内部に受け入れる受入口と、前記内部に受け入れた前記土砂を排出する排土口を有していることを特徴とする、土砂ホッパー。
【請求項2】
前記スクリューコンベアに、前記土砂の改質材を供給する改質材投入機が接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の土砂ホッパー。
【請求項3】
複数の前記土槽が並設されていることを特徴とする、請求項1に記載の土砂ホッパー。
【請求項4】
前記土槽は、四方を取り囲む4つの壁面を有し、
少なくとも前記土槽の下部において、前記壁面は下に行くに従って対向する他の壁面に近づくように傾斜しており、
前記排出口は、前記土槽の中心から偏心していることを特徴とする、請求項3に記載の土砂ホッパー。
【請求項5】
前記土槽内の土砂量を計測するセンサを備えていることを特徴とする、請求項3に記載の土砂ホッパー。
【請求項6】
前記土槽および前記スクリューコンベアの重量を計測する荷重計を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の土砂ホッパー。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の土砂ホッパーを利用した土砂搬出方法であって、
前記土槽に前記土砂を投入する工程と、
前記土槽の下方の前記空間に前記運搬手段を進入させる工程と、
前記スクリューコンベアを駆動させて前記運搬手段の荷台に前記土砂を投入する工程と、
前記運搬手段により前記土砂を搬出する工程と、を備え、
前記スクリューコンベアを制御することにより、前記土槽からの排出量を制御することを特徴とする、土砂搬出方法。
【請求項8】
前記スクリューコンベアの回転数により前記土槽からの排出量を計測することを特徴とする、請求項7に記載の土砂搬出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂ホッパーおよび土砂搬出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削を伴う建設工事では、掘削残土を土砂ホッパーに一時的に貯蔵した後、土砂ホッパーからダンプトラックなどの輸送手段に積み込んで、当該輸送手段により搬出する場合がある。
土砂ホッパーから輸送手段に土砂を積み込む際には、ホッパー下部の両開き式の扉を開くことで、内容物を輸送手段の荷台に落下させるのが一般的である。一方、両開き式の扉は、排出量の制御が難しい。そのため、輸送手段の荷台には、不均一な状態で土砂が積み込まれてしまう。
これに対し、特許文献1には、平面視矩形状のホッパー本体の1つの側面を閉塞部材とし、ホッパー本体または閉塞部材のいずれか一方が他方に向かって移動手段により移動可能に構成された土砂ホッパーが開示されている。特許文献1の土砂ホッパーによれば、ホッパー本体の排出口を閉じた状態で、閉塞手段またはホッパー本体を移動させることで、ホッパー本体内の土砂を圧密することを可能としている。こうすることで、土砂ホッパーから均一の量(高さ)の土砂を排出することができる。
一方、特許文献1の土砂ホッパーは、土砂ホッパーまたは閉塞手段を移動させて土砂を圧密するため、装置が大掛かりになる。また、粘着力が高い土砂の場合、圧密により土砂がホッパー本体の壁面に密着して、排出し難くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、土砂の排出量の制御が可能で、より効率的に土砂の搬出作業を行うことができる土砂ホッパーおよび土砂排出方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の土砂ホッパーは、土砂を貯留可能な土槽と、前記土槽を支持する架台と、前記土槽の直下に設けられたスクリューコンベアと、を備えている。前記架台はスクリューコンベアの下方に運搬手段が進入可能な空間を確保した状態で前記土槽を支持しており、前記土槽は上部に土砂の投入口を有しているとともに下端に土砂の排出口を有し、前記スクリューコンベアは前記排出口から排出された土砂を内部に受け入れる受入口と前記内部に受け入れた前記土砂を排出する排土口を有している。
この土砂ホッパーを利用した土砂搬出方法は、前記土槽に土砂を投入する工程と、前記土槽の下方の前記空間に運搬手段を進入させる工程と、前記スクリューコンベアを駆動させて前記運搬手段の荷台に前記土砂を投入する工程と、前記運搬手段により前記土砂を搬出する工程とを備えている。
かかる土砂ホッパーおよび土砂搬出方法によれば、スクリューコンベアにより土槽内の土砂を排出するため、スクリューコンベアを制御することで、土砂の排出量を制御できる。また、粘性が高い土砂でも、スクリューコンベアによって効率的に運搬手段に積み込むことができる。前記スクリューコンベアの回転数により前記土槽からの排出量を計測してもよい。
【0006】
なお、前記スクリューコンベアに、前記土砂の改質材を供給する改質材投入機が接続されていれば、スクリューコンベア内において土砂を改質することが可能となり、輸送に適した状態で土砂を搬出できる。
また、複数の前記土槽が並設されていれば、運搬手段の荷台の前後複数個所に土砂を投入し、荷台に対してバランスよく土砂を積み込むことができる。このとき、前記土槽が四方を取り囲む4つの壁面を有し、少なくとも前記土槽の下部において、前記壁面は下に行くに従って対向する他の壁面に近づくように傾斜しており、前記排出口は前記土槽の中心から偏心しているのが望ましい。また、前記土槽内の土砂量を計測するセンサを備えていれば、どちらの土槽に土砂を投入すればよいか制御できる。
さらに、前記土槽および前記スクリューコンベアの重量を計測する荷重計を備えていれば、土槽への土砂の投入量および土槽からの土砂の排出量を管理できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の土砂ホッパーおよび土砂排出方法によれば、土砂の排出量を制御して、より効率的に土砂の搬出作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る土砂ホッパーの概要を示す断面図である。
【
図2】(a)は上方から望む土砂ホッパーの一部を示す斜視図、(b)は下方から望む土砂ホッパーの一部を示す斜視図である。
【
図3】スクリューコンベアを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、ニューマチックケーソン工法において発生した掘削土砂を搬出する土砂搬出方法について説明する。
掘削により発生した掘削土砂は、一時的に土砂ホッパー1に貯留された後、ダンプトラック5などの運搬手段により搬出する。
図1に土砂ホッパー1を示す。
土砂ホッパー1は、
図1に示すように、ケーソン6の側方に設けられていて、土槽2と、架台3と、スクリューコンベア4とを備えている。本実施形態の説明では、ダンプトラック5の進行方向を基準とし前後左右を決定する。
【0010】
図2(a)および(b)に土砂ホッパー1の一部を示す。土槽2は、
図2(a)に示すように、掘削土砂を貯留可能となるように、平面視矩形状の箱形に形成されている。土槽2の上端は、掘削土砂の投入口21として開口している。また、土槽2の下端には、掘削土砂の排出口22が形成されている。排出口22は、土槽2の下端に形成された開口であり、
図2(b)に示すように、直下にスクリューコンベア4が設けられている。
土槽2は、架台3によって支持されている。本実施形態では、二つの土槽2が前後に並設されている。
土槽2は、四方を取り囲む4つの壁面23,23,…を有いる。壁面23は、下に行くに従って対向する他の壁面23に近づくように傾斜している。前後に配設された壁面23は、同等の角度で傾斜していて、左右に配設された壁面23は、異なる角度で傾斜しており、排出口22は土槽2の中心から偏心している。前後に並設された一方(
図2において前側)の土槽2の排出口22は右側に偏心していて、他方(
図2において後側)の土槽2の排出口22は左側に偏心している。
土槽2には、土槽2内の土砂量を計測するセンサ(図示せず)が設けられている。
また、土槽2には、加振機(図示せず)が取り付けられている。壁面23を加振機で振動させることで、掘削土砂が壁面に付着することを抑制することができる。なお、加振機は、全ての壁面23を加振可能に設けられていてもよいし、一部の壁面23を加振可能に設けられていてもよい。
【0011】
架台3は、
図2(a)および(b)に示すように、鋼材を組み合わせることにより形成されていて、二つの土槽2,2を支持している。架台3は、4本の支柱32,32,…と、前後の支柱32,32の上端に横架された梁33と、土槽2およびスクリューコンベア4を支持する支持枠34と、梁33と支持枠34とを連結する斜材35とを備えている。支柱32は、スクリューコンベア4の下方にダンプトラック5が進入可能(通過可能)な空間31を確保できる高さを有している。
架台3には、土槽2およびスクリューコンベア4の重量を計測する荷重計(図示せず)が設けられている。このように、架台3は、土槽2およびスクリューコンベア4内の土砂量を計測可能に構成されている。
また、
図1に示すように、架台3の上部には、クレーン7が設けられている。クレーン7は、架台3からケーソン6の上方に張り出しており、ケーソン6への重量物の搬入や、ケーソン6からの重量物の搬出を可能としている。
【0012】
スクリューコンベア4は、
図2(a)および(b)に示すように、土槽2の直下に設けられている。本実施形態では、各土槽2の直下にそれぞれスクリューコンベア4が設けられている。
図3にスクリューコンベア4を示す。スクリューコンベア4は、
図3(a)および(b)に示すように、ケーシング41と、ケーシング41内に設けられたスクリュー42と、スクリュー42を回転するための駆動機43とを備えている。ケーシング41には、土槽2の排出口22から排出された掘削土砂を内部に受け入れる受入口44が形成されている。また、ケーシング41の下面には、ケーシング41の内部に受け入れた掘削土砂を排出する排土口45が形成されている。
スクリューコンベア4の受入口44は、土槽2の排出口22の直下に位置しているとともに、土槽2の排出口22に接続されている。受入口44には、排出口22に接続するための接続部46が形成されている。各土槽2の直下に配設されたスクリューコンベア4,4は、ダンプトラック5の進行方向と平行になるように、左右に並設されている。また、並設された二つのスクリューコンベア4,4は、逆向きになるように配置されていて、
図2(b)に示すように、一方(
図2(b)において左側)のスクリューコンベア4の排土口45は架台3の前側、他方(
図2(b)において右側)のスクリューコンベア4の排土口45は架台3の後側に位置している。
また、本実施形態のスクリューコンベア4には、掘削土砂の改質材を供給する改質材投入機(図示せず)が接続されている。改質材投入機は、ケーシング41の内部に改質材を供給する。
【0013】
土砂ホッパー1を利用した土砂搬出方法は、
図4に示すように、土砂投入工程S1と、運搬手段進入工程S2と、土砂積替工程S3と、土砂搬出工程S4とからなる。
土砂投入工程S1は、土槽2に掘削土砂を投入する工程である。掘削土砂は、
図1に示すように、作業室61からアースバケット71を利用して地上部に搬出される。アースバケット71は、クレーン7によって吊持されており、作業室61から上方に延設されたマテリアルシャフト62を介して、地上部と作業室61とを往復する。地上部に引き上げられたアースバケット71は、土槽2の上方に移動させる。土槽2の投入口21の上方でアースバケット71の下部を開口すると、掘削土砂が土槽2内に投入される。
なお、土槽2に掘削土砂を投入する際は、センサにより土槽2内の土砂の量を確認し、土砂の少ない方の土槽2に投入するようにする。なお、掘削土砂を投入する土槽2の振り分けは、センサの計測結果に応じて自動的に行うものとする。また、掘削土砂を土槽2投入する前に、スクリューコンベア4の正反回転を繰り返し行うことが好ましい。土槽2の排出口22において掘削土砂を撹拌することで、掘削土砂の固結により排出口22が閉塞することを防止できる。
【0014】
運搬手段進入工程S2は、土槽2の下方の空間31にダンプトラック5を進入させる工程である。ダンプトラック5は、架台3の前方から、支柱の間に進入させる。前後に並設された二つの土槽2,2の下にダンプトラック5を進入させて、二つのスクリューコンベア4,4の排土口45,45の直下に荷台を位置させる。
【0015】
土砂積替工程S3は、スクリューコンベア4を駆動させてダンプトラック5の荷台に土槽2内の土砂を投入する工程である。スクリューコンベア4を制御することにより、土砂ホッパー1からの排土量を制御する。このとき、スクリューコンベア4の回転数により土槽2からの土砂の排出量を計測する。
スクリューコンベア4の駆動に伴い、改質材投入機を起動させて、スクリューコンベア4内に改質材を供給する。スクリューコンベア4のスクリュー42の回転により、掘削土砂がケーシング41内を移動するとともに、ケーシング41内で掘削土砂と改質材とが撹拌される。すなわち、スクリューコンベア4により、土槽2からの排土中に掘削土砂が改質される。改質材は、例えば、セメント、石灰、吸水材である。
左右に配設されたスクリューコンベア4は、同時に駆動させることが好ましい。このようにすると、ダンプトラック5の荷台の前後に均等に掘削土砂を投入できる。
【0016】
土砂搬出工程S4は、ダンプトラック5により掘削土砂を搬出する工程である。スクリューコンベア4の回転数を確認して、ダンプトラック5に投入した土砂の体積を把握し、ダンプトラック5の積載量(土砂の排出量)を管理する。
所定量の掘削土砂をダンプトラック5に上載させたら、スクリューコンベア4を停止させて、ダンプトラック5を移動させる。なお、スクリューコンベア4は、スクリューコンベア4の回転数や、土槽2とスクリューコンベア4の重量の変化などに基づき自動的に制御してもよいし、目視などにより手動で制御してもよい。
【0017】
本実施形態の土砂ホッパー1によれば、スクリューコンベア4の稼働、停止によって、土槽2からの掘削土砂の排土を制御できるため、ダンプトラック5への積載量の管理が容易である。
スクリューコンベア4による土砂の排出量は、土槽2およびスクリューコンベア4の重量や、スクリューコンベア4の回転数等により管理可能である。また、スクリューコンベア4の制御を自動的に行うことも可能である。
さらに、スクリューコンベア4内において改質材を掘削土砂に混合するため、土砂ピットにおいて別途改質作業を行う従来の方法に比べて作業性に優れている。また、改質用の土砂ピットを省略することで、省スペース化が可能である。
スクリューコンベア4を正反回転させることで、土槽2の排出口22の閉塞を緩和させることができる。
また、壁面23を振動させることで、壁面23に掘削土砂が付着することを抑制できる。
【0018】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、スクリューコンベア4に改質材投入機が接続されていて、スクリューコンベア4に改質材を投入するものとしたが、改質材を投入するタイミングは限定されるものではなく、例えば、土槽2内に改質材を投入してもよいし、作業室61内で改質材を投入してもよい。スクリューコンベア4では、改質材を投入するタイミングに関わらず、土砂と改質材とが混合することができる。したがって、ダンプトラック5に搭載された段階で、掘削土砂が改質されている。
土砂ホッパー1が有する土槽2の数は限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
土槽2の形状は限定されるものではなく、必ずしも平面視矩形状(逆四角錘台状)である必要はない。例えば、逆円錐台状であってもよい。
土槽2のセンサは必要に応じて設ければよい。同様に、荷重計も必要に応じて設ければよい。
【符号の説明】
【0019】
1 土砂ホッパー
2 土槽
21 投入口
22 排出口
23 壁面
3 架台
31 空間
4 スクリューコンベア
41 ケーシング
42 スクリュー
43 駆動機
44 受入口
45 排土口
5 ダンプトラック(運搬手段)
6 ケーソン
61 作業室
S1 土砂投入工程
S2 運搬手段進入工程
S3 土砂積替工程
S4 土砂搬出工程