(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104366
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/04 20060101AFI20240729BHJP
H01Q 3/08 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H01Q3/04
H01Q3/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008523
(22)【出願日】2023-01-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、「アクティブ空間無線リソース制御技術に関する研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000232287
【氏名又は名称】日本電業工作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149113
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 謹矢
(72)【発明者】
【氏名】二上 広之
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA01
5J021AB00
5J021DA04
5J021DA05
5J021DA07
5J021GA02
5J021HA01
(57)【要約】
【課題】アンテナに対する他の部品の干渉を抑制し、アンテナの動作においてより高い自由度を実現する。
【解決手段】アンテナ10と、このアンテナ10を支持する支持板41と、支持板41を回転させてアンテナ10の向きを動的に制御する第1軸駆動部30と、を備える。第1軸駆動部30は、支持板41を回転軸回りに回転させる継手部材33を備える。支持板41は、第1軸駆動部30による回転中心に、支持板41の一面側からアンテナ10に接続される第1給電線11と支持板41の他面側から延びる第2給電線12とを接続する回転接続用コネクタ42を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナを支持する支持板と、
前記支持板を回転させて前記アンテナの向きを動的に制御する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記支持板を回転軸周りに回転させる継手部材を備え、
前記支持板は、前記駆動機構による回転中心に、当該支持板の一面側から前記アンテナに接続される第1給電線と当該支持板の他面側から延びる第2給電線とを接続する回転接続用コネクタを備えることを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項2】
前記継手部材は、一端が回転駆動力を与えるモータの回転軸に接続し、他端が前記支持板の回転中心から外れた位置に接続する、曲がった棒状部材であることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記アンテナの向きを動的に制御する2軸回転機構の一方の軸であることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記駆動機構を覆い、当該駆動機構の回転軸における前記支持板が取り付けられる端部側が開口された覆い部材をさらに備え、
前記支持板は、前記駆動機構に取り付けられた状態で、前記覆い部材の開口を塞ぐことを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナを覆い、前記駆動機構の駆動力により、前記支持板および当該アンテナと共に向きを変えるアンテナ覆い部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
アンテナと、
前記アンテナを支持し、当該アンテナの向きを動的に制御する駆動機構を有する基台と、
前記アンテナを覆うと共に、当該アンテナと共に向きを変えるアンテナ覆い部と、
前記基台を覆う基台覆い部と、を備え、
前記基台の前記駆動機構は、
モータと、
一端が前記モータの回転軸に接続し、他端が当該モータの回転軸上から外れた位置に接続する、曲がった棒状であって、前記モータの駆動力により前記アンテナを当該モータの回転軸周りに回転させる継手部材と、
を備えることを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナに対する給電線が、前記基台覆い部の内部から前記駆動機構の前記モータの回転軸上を通って前記アンテナに接続されていることを特徴とする、請求項6に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指向性アンテナを用いて電波源の探索が行われる場合がある。例えば、複数の位置で同一の電波源を探知し、電波源を探知した位置と各位置から見た電波源の方向とに基づいて電波源の位置を特定することができる。
【0003】
特許文献1には、電波の到来方向と電波諸元とを、方位角と仰角の制御が可能な線状ビームアンテナにより測定する測定受信機を備えた電波方向探知装置が開示されている。
【0004】
また、アンテナを保護するため、アンテナをレドームで覆うことが一般に行われており、アンテナと共に向きを変えるレドームを用いることで、アンテナの向きを変えてもアンテナの受信面とレドームとの間の距離が変わらないように構成し、アンテナの特性が変化することを抑制することができる。
【0005】
特許文献2には、アンテナを覆うと共に、このアンテナと共に向きを変えるアンテナ覆い部と、基台を覆う基台覆い部とを別個に設けることにより、アンテナの向きを変更してもアンテナの受信面とアンテナを覆う部材との間の距離が変わらず、アンテナの利得に対する影響が抑制されるアンテナ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-267742号公報
【特許文献2】特開2022-120554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電波源の方向(電波の到来方向)を特定するために、アンテナを様々な方向に向けることが必要となる場合がある。しかしながら、アンテナを支持する基台がアンテナに干渉し、アンテナを向けることが可能な方向を制限してしまう場合があった。
【0008】
本発明は、アンテナに対する他の部品の干渉を抑制し、アンテナの動作においてより高い自由度を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本発明は、アンテナと、アンテナを支持する支持板と、支持板を回転させてアンテナの向きを動的に制御する駆動機構と、を備え、駆動機構は、支持板を回転軸周りに回転させる継手部材を備え、支持板は、駆動機構による回転中心に、支持板の一面側からアンテナに接続される第1給電線と支持板の他面側から延びる第2給電線とを接続する回転接続用コネクタを備えることを特徴とする、アンテナ装置である。
より詳細には、継手部材は、一端が回転駆動力を与えるモータの回転軸に接続し、他端が支持板の回転中心から外れた位置に接続する、曲がった棒状部材としても良い。
さらに詳細には、駆動機構は、アンテナの向きを動的に制御する2軸回転機構の一方の軸としても良い。
さらに詳細には、駆動機構を覆い、駆動機構の回転軸における支持板が取り付けられる端部側が開口された覆い部材をさらに備え、支持板は、駆動機構に取り付けられた状態で、覆い部材の開口を塞ぐ構成としても良い。
さらに詳細には、アンテナを覆い、駆動機構の駆動力により、支持板およびアンテナと共に向きを変えるアンテナ覆い部をさらに備える構成としても良い。
また、上記の目的を達成する他の本発明は、アンテナと、アンテナを支持し、アンテナの向きを動的に制御する駆動機構を有する基台と、アンテナを覆うと共に、アンテナと共に向きを変えるアンテナ覆い部と、基台を覆う基台覆い部と、を備え、基台の駆動機構は、モータと、一端がモータの回転軸に接続し、他端がモータの回転軸上から外れた位置に接続する、曲がった棒状であって、モータの駆動力によりアンテナをモータの回転軸周りに回転させる継手部材と、を備えることを特徴とする、アンテナ装置である。
より詳細には、アンテナに対する給電線が、基台覆い部の内部から駆動機構のモータの回転軸上を通ってアンテナに接続されている構成としても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アンテナに対する他の部品の干渉を抑制し、アンテナの動作においてより高い自由度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態によるアンテナ装置の外観を示す図である。
【
図2】本実施形態によるアンテナ装置の内部の装置構成を示す図である。
【
図3】本実施形態によるアンテナ装置を
図2に示す矢印IIIの方向に沿って見た状態を示す図である。
【
図4】第1軸駆動部の動作とアンテナの向きとの関係を示す図であり、アンテナが基準の向きである水平方向を向いている状態を示す図である。
【
図5】第1軸駆動部の動作とアンテナの向きとの関係を示す図であり、アンテナが基準の向きに対して上方を向いている状態を示す図である。
【
図6】第1軸駆動部の動作とアンテナの向きとの関係を示す図であり、アンテナが基準の向きに対して下方を向いている状態を示す図である。
【
図7】支持板およびアンテナと第2給電線との関係を表す図である。
【
図8】支持板およびアンテナと第2給電線との関係を表す図であり、支持板を回転させた様子図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<装置構成>
図1は、本実施形態によるアンテナ装置の外観を示す図である。
図2は、本実施形態によるアンテナ装置の内部の装置構成を示す図である。
図3は、本実施形態によるアンテナ装置を
図2に示す矢印IIIの方向に沿って見た状態を示す図である。
図2および
図3に示すように、アンテナ装置1は、アンテナ10と、基台20と、第1軸駆動部30とを備える。アンテナ装置1において、アンテナ10はアンテナ覆い部40に覆われ、基台20は基台覆い部50に覆われ、第1軸駆動部30は第1軸覆い部60に覆われている。
【0013】
アンテナ10は、特定の方向に強い感度を示す指向性アンテナである。第5世代移動通信システム(5G)などの基地局を設置するため、同システムと使用周波数帯が重なる電波源を探索する用途にアンテナ装置1が用いられる場合、同システムで用いられる周波数帯である準ミリ波帯やミリ波帯の電波を受信可能なアンテナ10が用いられる。アンテナ10の形状は特に限定しないが、以下では、平面アンテナが用いられるものとして説明する。アンテナ10には、アンテナ10に電力を供給するための第1給電線11が取り付けられている。第1給電線11は、コネクタ(後述する回転接続用コネクタ42)を介して第1軸覆い部60の内部の第2給電線12に接続されている。
【0014】
基台20および第1軸駆動部30は、アンテナ10を支持する支持部材である。第1軸駆動部30は、アンテナ10の向きを一つの回転軸(以下、「第1軸」と呼ぶ)の周りに回転させる駆動機構を構成する。基台20は、第1軸駆動部30の第1軸に対して交差またはねじれの位置関係にある回転軸(以下、「第2軸」と呼ぶ)と、アンテナ10の向きを第2軸の周りに回転させる駆動機構とを有する。第1軸駆動部30および基台20は、この第1軸および第2軸による2軸回転機構を構成する。そして、図示しない制御装置の制御により、この第1軸および第2軸を回転軸として駆動することで、アンテナ10を左右および上下に振り、3次元空間の様々な方向へ向けることができる。
図1乃至
図3に示す構成では、アンテナ10の向きは、第1軸駆動部30の第1軸の周りの回転により上下方向(ピッチ角方向)に振ることができ、基台20の第2軸の周りの回転により左右方向(ヨー角方向)に振ることができる。基台20および第1軸駆動部30は、駆動機構の一例である。
【0015】
基台20は、制御装置等を内蔵する基幹部21と、第1軸駆動部30を支持すると共に第2軸の周りの回転動作を第1軸駆動部30に伝える駆動軸部22とを備える。基幹部21には、第2軸の周りの回転動作の駆動力を与えるモータ23が設けられている。基幹部21に設けられる制御装置は、例えば、組込みシステムのプロセッサにより実現される。
【0016】
駆動軸部22は、第2軸に沿って設けられ、一端(
図2、3では、上端)が第1軸駆動部30に接続されている。そして、駆動軸部22は、モータ23の駆動力を受けて第2軸の周りに回転し、第1軸駆動部30を回転させる。駆動軸部22の内部には、第2給電線12が通っている。また、駆動軸部22の内部には図示しない回転接続用コネクタ(ロータリー・ジョイント)が設けられており、駆動軸部22の内部の第2給電線12は、この回転接続用コネクタにより途中で回転自在となっている。このため、駆動軸部22が第2軸の周りに回転しても、駆動軸部22の内部の第2給電線12は捩れない。
【0017】
第1軸駆動部30は、第1軸の周りの回転動作の駆動力を与えるモータ31と、モータ31の駆動力を伝達するカップリング32と、伝達された駆動力によりアンテナ10を回転させる継手部材33とを備える。継手部材33は、棒状部材であり、一端がカップリング32を介してモータ31の回転軸に接続され、他端が接続部34において後述する支持板41に回転可能に接続されている。モータ31、カップリング32および継手部材33は、台板35の一面(
図2、3では、上面)に取り付けられている。台板35の他面(
図2、3では、下面)は、基台20の駆動軸部22の上端部に接続されている。これにより、第1軸駆動部30は、駆動軸部22の回転に伴って回転する。そして、第1軸駆動部30の回転にしたがって、アンテナ10の向きが横方向に変化する。基台20による横方向の回転動作は、物理的な干渉がなく、駆動軸部22の内部の第2給電線12が捩れないので、360度以上回転することができる。
【0018】
アンテナ覆い部40は、アンテナ10を覆う部材である。アンテナ覆い部40を設けることにより、アンテナ10が風雨等から保護される。アンテナ覆い部40は、アンテナ10が収まるサイズの箱型であり、アンテナ10の放射方向の反対側の面(以下、「背面」と呼ぶ)に、第1給電線11が挿入される挿入口が設けられている。第1給電線11は、この挿入口からアンテナ覆い部40に挿入され、アンテナ10に接続されている。アンテナ覆い部40は、例えば、ナイロン系の樹脂で形成される。
【0019】
アンテナ覆い部40の一辺には、アンテナ覆い部40と共にアンテナ10を支持する支持板41が取り付けられている。支持板41は、円形の板状部材であり、一面側にアンテナ覆い部40が固定されている。また、支持板41の他面側には、第1軸駆動部30の継手部材33が接続部34により回転可能に接続されている。これにより、支持板41は、継手部材33を介してモータ31の駆動力を受け、回転する。そして、この支持板41の回転に従って、アンテナ10の向きが縦方向に変化する。
【0020】
支持板41の回転中心には、回転接続用コネクタ42(ロータリー・ジョイント)が設けられており、アンテナ10側の第1給電線11と第1軸駆動部30(基台20)側の第2給電線12とを接続している。このため、支持板41が第1軸駆動部30により第1軸の周りに回転しても、第1給電線11と第2給電線12とは捩れない。このため、第1軸駆動部30による縦方向の回転動作は、給電線の捩れに関しては、360度以上回転することが可能である。ただし、第2給電線12と継手部材33とが干渉するため、回転可能な範囲には制限がある。第1軸駆動部30による回転の範囲については後述する。なお、円形の支持板41の中心と、第1軸駆動部30による支持板41の回転中心とは一致しているものとする。ここで、第1軸駆動部30による支持板41の回転中心は、第1軸と一致している。
【0021】
基台覆い部50は、基台20を覆う部材である。基台覆い部50は、基幹部21を覆う直方体の部分と、駆動軸部22を覆う段差のある円筒形の部分とを有している。なお、基台覆い部50の形状は、基幹部21および駆動軸部22を覆うものであればよく、図示の形状には限定されない。基台覆い部50は、例えば、ナイロン系の樹脂や、アルミニウム、鉄、その他の金属等で形成される。
【0022】
第1軸覆い部60は、第1軸駆動部30を覆う部材である。第1軸覆い部60は、円筒形の部材であり、円筒形状の中心軸が第1軸と一致するように設けられている。第1軸覆い部60は、例えば、ナイロン系の樹脂で形成される。第1軸覆い部60のアンテナ10が設けられる側の端部は開口されており、反対側の端部は閉じている。また、第1軸覆い部60の円筒形状の側面には基台20の駆動軸部22が挿入される孔が開けられており、この孔を通った駆動軸部22が第1軸駆動部30の台板35に接続される。
【0023】
第1軸覆い部60の直径は、支持板41の直径とほぼ等しい。これにより、第1軸覆い部60の開口は、支持板41が装着された状態で、支持板41により塞がれる。これにより、第1軸覆い部60に支持板41が装着されると、第1軸駆動部30全体が覆われる状態となり、第1軸駆動部30が風雨等から保護される。
【0024】
より詳細には、第1軸覆い部60の開口部分の縁は、支持板41の円周部分が嵌るように形成されている。ただし、支持板41は、第1軸覆い部60の開口部分に装着された状態で固定されず、支持板41の円形の縁が第1軸覆い部60の開口部分に沿って回転可能となる。第1軸覆い部60の円筒形状の中心軸と円形の支持板41の中心とは、共に第1軸と一致しているので、第1軸駆動部30が動作することにより、第1軸覆い部60に装着された支持板41は、円形の縁が第1軸覆い部60の開口部分に誘導されて回転する。
【0025】
<第1軸駆動部30の動作>
第1軸駆動部30の動作について、さらに詳細に説明する。
図4乃至
図6は、第1軸駆動部30の動作とアンテナ10の向きとの関係を示す図である。
図4は、アンテナ10が水平方向を向いている状態を示す。アンテナ10のこの向きを基準の向きとする。
図5は、アンテナ10が基準の向きに対して上方を向いている状態を示す。
図6は、アンテナ10が基準の向きに対して下方を向いている状態を示す。
【0026】
まず、第1給電線11および第2給電線12についてさらに説明する。第1給電線11および第2給電線12としては、例えば、同軸ケーブルが用いられる。第1給電線11は、支持板41の回転中心に設けられた回転接続用コネクタ42からアンテナ覆い部40の背面に設けられた孔を通ってアンテナ10に接続されている。そして、回転接続用コネクタ42からアンテナ覆い部40までは、第1給電線11が露出した状態となっている。ここで、露出した第1給電線11が他の部材等に触れて損傷することを防止するため、配線された第1給電線11が弛んだり、自由に振れたりすることを抑制することが望ましい。一例として、硬質の樹脂や金属の筒等を通して第1給電線11を配線しても良い。
図1乃至
図6に示す例では、第1給電線11が、回転接続用コネクタ42から第1軸に沿って伸び、先端部で屈曲してアンテナ覆い部40に装着された状態となっている。なお、第1給電線11の配線の形状や方式は、弛んだり、自由に振れたりしないようになっていれば良く、図示の状態には限定されない。
【0027】
第2給電線12は、基台20の基幹部21から駆動軸部22の内部を通り、第1軸覆い部60に覆われている駆動軸部22の上端付近から駆動軸部22の外へ出て、支持板41の回転接続用コネクタ42に接続されている。ここで、駆動軸部22の外に出た第2給電線12が第1軸駆動部30の部材等に触れて損傷したり、絡まったりすることを防止するため、配線された第2給電線12が弛んだり、自由に振れたりすることを抑制することが望ましい。一例として、硬質の樹脂や金属の筒等を通して第2給電線12を配線しても良い。
図2乃至
図6に示す例では、駆動軸部22の外に出た第2給電線12が、第1軸と平行に、支持板41へ向かって伸び、支持板41付近で屈曲して支持板41の中心に向かい、さらに屈曲して回転接続用コネクタ42に接続された状態となっている。なお、第2給電線12の配線の形状や方式は、弛んだり、自由に振れたりしないようになっていれば良く、図示の状態には限定されない。
【0028】
次に、継手部材33についてさらに説明する。継手部材33は、例えば、アルミニウム、鉄、その他の金属等で形成される。継手部材33は、第1軸駆動部30のモータ31の駆動力を支持板41に伝達し、回転させるための部材である。ここで、上記のように、支持板41の回転中心には第2給電線12と第1給電線11とを接続するための回転接続用コネクタ42が設けられているため、継手部材33を支持板41の回転中心に接続することができない。しかし、継手部材33は、一端が第1軸駆動部30の回転軸に接続され、他端が第1軸駆動部30の回転軸から外れた位置にある場合、この他端は円運動をする。そして、支持板41の円形の縁は、第1軸覆い部60の円形の開口部に、動作可能に嵌っているため、継手部材33の支持板41側の端部が円運動することにより、支持板41は、第1軸覆い部60の開口部に誘導されて回転する。
【0029】
ここで、継手部材33が直線的な棒であると、回転軸に接続された端部付近でも円運動が生じてしまい、第1軸駆動部30の他の部材、特に台板35と干渉する可能性がある。そこで、このような他の部品との干渉を避けるため、図示の例では、継手部材33は、クランク形状となっている。具体的には、継手部材33は、カップリング32に接続する一端側から第1軸に沿って伸び、台板35の上から外れた位置で屈曲し、再度屈曲して支持板41に接続されている。なお、図示の例では、継手部材33をクランク形状としたが、継手部材33の形状は、回転運動において第1軸駆動部30の他の部材に干渉しない形状であれば良く、例えば曲線的に湾曲した形状等であっても良い。
【0030】
<アンテナ10の向きの制限>
継手部材33の回転可能な範囲に基づくアンテナ10の向きの制限について説明する。上記のように、継手部材33は、回転運動において第1軸駆動部30の他の部材との干渉を回避する形状である。しかし、
図2乃至
図6に示すように、継手部材33の回転軌道上には第2給電線12が存在するため、継手部材33は、第2給電線12を超えて回転することができない。このため、継手部材33の回転により変化するアンテナ10の向きには制限がある。以下、
図7および
図8を参照して、継手部材33による支持板41およびアンテナ10の回転の様子を説明する。
【0031】
図7および
図8は、支持板41およびアンテナ10と第2給電線12との関係を表す図である。
図7および
図8では、支持板41およびアンテナ10の回転を説明するために必要な構成のみを記載しており、他の構成は省略している。具体的には、第1軸駆動部30および第1軸覆い部60は図示していない。また、アンテナ覆い部40も図示せず、アンテナ10のみを記載している。なお、第2給電線12と干渉する継手部材33も図示していないが、継手部材33と第2給電線12との干渉の様子は接続部34の位置により認識できることと、継手部材33を図示すると、アンテナ10や第2給電線12と継手部材33とが図面上で重なって見難くなることを考慮し、継手部材33の図示を省略した。
【0032】
図7には、第1軸に沿って、第1軸駆動部30側から支持板41および第2給電線12を見た様子が示されている。
図7に示す状態において、アンテナ10の向き(図中の矢印で示す向き)は、
図4に示した基準の向きを向いている。このとき、
図7に示す例では、継手部材33の接続部34が第2給電線12の上方にある。このため、継手部材33は、第2給電線12と干渉していない。
【0033】
図8には、第1軸駆動部30を駆動して支持板41を回転させた様子が示されている。
図7に示した状態から支持板41を図の右方向に回転させると、継手部材33の接続部34は、図における第2給電線12の右側の34Aの位置まで移動可能である。このとき、アンテナ10は、
図7に示した位置から回転中心の上方を通過し、10Aの位置まで移動する。そして、アンテナ10の向きは、
図7に示した基準の向きから上方を向き、その後、矢印Aの向きまで変化する。
【0034】
一方、
図7に示した状態から支持板41を図の左方向に回転させると、継手部材33の接続部34は、図における第2給電線12の左側の34Bの位置まで移動可能である。このとき、アンテナ10は、
図7に示した位置から回転中心の下方を通過し、10Bの位置まで移動する。そして、アンテナ10の向きは、
図7に示した基準の向きから下方を向き、その後、矢印Bの向きまで変化する。
【0035】
図8に示すように、本実施形態の構成によれば、アンテナ10の向きは、
図8に示す矢印Aの向きから基準の向きを通って矢印Bの向きまで、360度に近い、広い範囲で変化させることができる。したがって、上記の縦方向の動作と第2軸の周りに360度以上の回転が可能な横方向の動作と組み合わせることで、本実施形態のアンテナ装置1は、死角のない広い範囲に対してアンテナ10を自在に向かせることができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、第2給電線12を、弛んだり、自由に振れたりしないように、固定的に配線した。これに対し、第1軸覆い部60の内部で第1軸駆動部30の部品に触れたり絡まったりしない範囲で曲がるように配線しても良い。一例として、回転接続用コネクタ42から第1軸に沿って立ち上がる部分と、駆動軸部22から引き出された部分では直線的かつ固定的に配線し、これらの間は若干の弛みを持たせて配線しても良い。このように構成すれば、継手部材33が回転して第2給電線12に当たった際に、第2給電線12が振れて逃げることができる。そして、継手部材33の回転によるアンテナ10の向きの縦方向の変化を360度以上とすることができる。
【0037】
また、上記の実施形態では、継手部材33が第1軸駆動部30の他の部材と干渉しないように、継手部材33の形状をクランク状に曲げたり湾曲させたりすることとした。これに対し、継手部材33とカップリング32の接続位置や台板35のサイズおよび形状によって、継手部材33が回転しても第1軸駆動部30の他の部材に当たらないようにすることができれば、継手部材33の形状を曲がりのない棒状としても良い。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…アンテナ装置、10…アンテナ、11…第1給電線、12…第2給電線、20…基台、21…基幹部、22…駆動軸部、23…モータ、30…第1軸駆動部、31…モータ、32…カップリング、33…継手部材、34…接続部、35…台板、40…アンテナ覆い部、41…支持板、42…回転接続用コネクタ、50…基台覆い部、60…第1軸覆い部
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナを固定的に支持する支持板と、
前記支持板を回転させて前記アンテナの向きを動的に制御する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記支持板を回転軸周りに回転させる継手部材を備え、
前記継手部材は、一端が回転駆動力を与えるモータの回転軸に接続し、他端が前記支持板の回転中心から外れた位置に接続する、棒状部材であり、
前記支持板は、前記駆動機構による回転中心に、当該支持板の一面側から前記アンテナに接続される第1給電線と当該支持板の他面側から延びる第2給電線とを接続する回転接続用コネクタを備えることを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記アンテナの向きを動的に制御する2軸回転機構の一方の軸であることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナを覆い、前記駆動機構の駆動力により、前記支持板および当該アンテナと共に向きを変えるアンテナ覆い部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
アンテナと、
前記アンテナを固定的に支持する支持板と、
前記支持板を回転させて前記アンテナの向きを動的に制御する駆動機構と、
前記駆動機構を覆い、当該駆動機構の回転軸における前記支持板が取り付けられる端部側が開口された覆い部材と、を備え、
前記駆動機構は、前記支持板を回転軸周りに回転させる継手部材を備え、
前記支持板は、前記駆動機構による回転中心に、当該支持板の一面側から前記アンテナに接続される第1給電線と当該支持板の他面側から延びる第2給電線とを接続する回転接続用コネクタを備え、
前記支持板は、前記駆動機構に取り付けられた状態で、前記覆い部材の開口を塞ぐことを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項5】
アンテナと、
前記アンテナを支持し、当該アンテナの向きを動的に制御する駆動機構を有する基台と、
前記アンテナを覆うと共に、当該アンテナと共に向きを変えるアンテナ覆い部と、
前記基台を覆う基台覆い部と、を備え、
前記基台の前記駆動機構は、
モータと、
一端が前記モータの回転軸に接続し、他端が当該モータの回転軸上から外れた位置に接続する、曲がった棒状であって、前記モータの駆動力により前記アンテナを当該モータの回転軸周りに回転させる継手部材と、
を備えることを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナに対する給電線が、前記基台覆い部の内部から前記駆動機構の前記モータの回転軸上を通って前記アンテナに接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のアンテナ装置。