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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104368
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20240729BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240729BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008525
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】松尾 拓哉
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AH04
2G003AH05
2G011AA02
2G011AA10
2G011AA15
2G011AA16
2G011AB01
2G011AE03
2G011AF07
(57)【要約】
【課題】コンタクト時に基板に作用する荷重を抑え、基板の反りを低減し、平坦性を担保することができる電気的接続装置を提供しようとするものである。
【解決手段】本発明は、検査装置と被検査体との間を電気的に接続する電気的接続装置において、板厚方向に複数の貫通孔を有し、検査装置と電気的に接続する第1の基板と、一方の面に、被検査体に電気的に接触する電気的接触子と接続する接続端子を設け、他方の面に、一方の面の接続端子と電気的に接続する電極端子を設ける第2の基板とを備え、第1の基板の複数の貫通孔のそれぞれに収められた筒状導電部材に、第2の基板の電極端子と接合する棒状導電部材を嵌合して、第1の基板と第2の基板との間を導通することを特徴とする。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置と被検査体との間を電気的に接続する電気的接続装置において、
板厚方向に複数の貫通孔を有し、前記検査装置と電気的に接続する第1の基板と、
一方の面に、前記被検査体に電気的に接触する電気的接触子と接続する接続端子を設け、他方の面に、前記一方の面の前記接続端子と電気的に接続する電極端子を設ける第2の基板と
を備え、
前記第1の基板の前記複数の貫通孔のそれぞれに収められた筒状導電部材に、前記第2の基板の前記電極端子と接合する棒状導電部材を嵌合して、前記第1の基板と前記第2の基板との間を導通する
ことを特徴とする電気的接続装置。
【請求項2】
前記筒状導電部材は、一方の端部の径が他方の端部の径よりも小さい先細り筒状であり、前記一方の端部には拡張部が設けられており、
前記貫通孔に収められている前記筒状導電部材の前記他方の端部から、前記棒状導電部材が差し込まれて、前記筒状導電部材の前記一方の端部が拡張して前記貫通孔の内面に電気的に接触する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項3】
前記筒状導電部材の前記拡張部が、前記一方の端部から長手方向に設けられた複数のスリット部であることを特徴とする請求項2に記載の電気的接続装置。
【請求項4】
前記複数のスリット部は、前記第1の基板の平面方向の部位によって前記棒状導電部材との密着力が異なるように形成されることを特徴とする請求項3に記載の電気的接続装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続装置に関し、例えば、半導体ウェハ上に形成された各半導体集積回路の通電試験等の電気的検査に用いられるプローブカードなどの電気的接続装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ上の半導体集積回路の電気的検査では、複数のプローブを有するプローブカードをテストヘッダに取り付けた検査装置(テスター)が用いられる。検査の際、プローブカードのプローブを半導体集積回路の電極端子に電気的に接触させる。そして、検査装置が、プローブを介して半導体集積回路に電気信号を供給し、電気信号を受けた半導体集積回路が、プローブを介して電気信号を検査装置に供給する。そして、検査装置が半導体集積回路からの電気信号を解析することで、半導体集積回路の電気的特性を検査する。
【0003】
図4は、従来の垂直型のプローブカード9の構成例を示す構成図である。垂直型のプローブカード9は、配線基板2と多層配線基板4との間に、複数の接続子42を支持するインターポーザ43が組み込まれているものがある。
【0004】
検査の際、被検査体83に対してプローブカード9が押し込まれ、配線基板2と多層配線基板4とは、各接続子42を介して電気的に導通する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-014556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、被検査体83に対してプローブカード9が押し込まれると、インターポーザ43の荷重が、配線基板2と多層配線基板4の両方に作用することになる。特に、ラバータイプのインターポーザ43のように重量があるインターポーザ43を使用する場合には、コンタクト荷重に対して大きな反発力が基板に作用することになる。そのため、配線基板2と多層配線基板4のそれぞれに反りが発生し、プローブカード9の平坦性に悪影響が生じ得る。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑み、コンタクト時に基板に作用する荷重を抑え、基板の反りを低減し、平坦性を担保することができる電気的接続装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明は、検査装置と被検査体との間を電気的に接続する電気的接続装置において、板厚方向に複数の貫通孔を有し、検査装置と電気的に接続する第1の基板と、一方の面に、被検査体に電気的に接触する電気的接触子と接続する接続端子を設け、他方の面に、一方の面の接続端子と電気的に接続する電極端子を設ける第2の基板とを備え、第1の基板の複数の貫通孔のそれぞれに収められた筒状導電部材に、第2の基板の電極端子と接合する棒状導電部材を嵌合して、第1の基板と第2の基板との間を導通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンタクト時に基板に作用する荷重を抑え、基板の反りを低減し、平坦性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す構成図である。
図2】実施形態に係る電気的接続装置の配線基板と多層配線基板との接続構造の組み立て図である。
図3】実施形態に係る導電性ソケットと導電性接続子との嵌合を説明する説明図である。
図4】従来の電気的接続装置の構成を示す構成図である。
図5】変形実施形態に係る導電性ソケットの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る電気的接続装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
この実施形態では、本発明を利用して、半導体ウェハ上に形成された各半導体集積回路が規定の電気的特性を有しているか否かを検査するテスターに取り付けられる電気的接続装置に適用する場合を例示する。
【0013】
(A-1)電気的接続装置の構成
図1は、実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す構成図である。図2は、実施形態に係る電気的接続装置の配線基板と多層配線基板との接続構造の組み立て図である。
【0014】
図1において、実施形態に係る電気的接続装置1は、配線基板2、多層配線基板4、固定リング31、プローブ基板6を有する。
【0015】
なお、図1に例示する電気的接続装置1は、主要な構成部材を図示しているが、これらの部材に限定されるものでなく、実際は図示していない部材も備える。
【0016】
電気的接続装置1は、被検査体83とテスターTEとの間で電気信号を授受するものであり、電気的接続装置1は、被検査体83の電極端子に対して電気的に接触する複数の電気的接触子(プローブ)61を有する。例えば、電気的接続装置1は、プローブカードなどを適用することができ、この実施形態では垂直型プローブカードである場合を例示する。電気的接触子61は、垂直型プローブとする。
【0017】
電気的接続装置1は、テスターTEのテストヘッドに装着されて、検査時に、被検査体83の各電極端子に対して、対応する電気的接触子61を電気的に接触させて、テスターTEと被検査体83との間を電気的に接続させる。電気的接続装置1は、検査時に、テスターTEからの電気信号を、電気的接触子61を介して被検査体83の電極端子に供給し、また、電気的接触子61を介して被検査体83からの電気信号をテスターTEに与える。このように、被検査体83とテスターTEとの間を電気的接続装置1が電気的に接続することで、被検査体83の電気的特性をテスターTEが検査することができる。
【0018】
被検査体83は、テスターTEによって電気的特性を検査する対象物であり、例えば、半導体ウェハ上に半導体集積回路が存在しているダイジング前の状態を想定する。被検査体83は、例えば、多軸ステージなどの駆動部81と接続しているチャック82の上面に置かれ、駆動部81の駆動により、チャック82上の被検査体83の位置が調整可能となっている。検査時に、チャック82上の被検査体83と、電気的接続装置1の電気的接触子61とを相対的に近づけて、被検査体83の各電極端子と、対応する電気的接触子61の接触部とが電気的に接触するようにする。
【0019】
[配線基板2]
配線基板2は、例えばポリイミド等の合成樹脂材料で形成され、略円形板状のプリント基板である。配線基板2は、第1の基板の一例である。
【0020】
配線基板2の一方の面(例えば、上面)にはプリント配線が形成されており、抵抗やコンデンサ等の電子部品が設けられている。配線基板2の外縁部には、テスターTEの電気回路と接続するため複数のテスター接続部(図示しない)が設けられており、テスター接続部は、配線基板2上のプリント配線と接続している。
【0021】
配線基板2は、板厚方向(Z軸方向)に貫通する複数の貫通孔(スルーホール)21が形成されている。
【0022】
貫通孔21には、筒状導電部材としての導電性ソケット51が挿入され、さらに筒状の導電性ソケット51に、棒状導電部材としての導電性接続子52が挿入される。
【0023】
導電性接続子52は、多層配線基板4上の電極端子41と接続している。そのため、貫通孔21に挿入されている導電性ソケット51内に導電性接続子52が挿入されることで、導電性接続子52及び導電性ソケット51を介して、配線基板2と、配線基板2の下面に存在している多層配線基板4との間で導通できる。
【0024】
[多層配線基板4]
多層配線基板4は、例えばポリイミド等の合成樹脂材料の複数の多層基板で形成されており、複数の多層基板の間に配線路(図示しない)が存在している。多層配線基板4は、第2の基板の一例である。
【0025】
多層配線基板4の配線路の一端は、多層配線基板4上の電極端子41と接続しており、配線路の他端は、多層配線基板4の下面に設けられたプローブ接続用端子(例えばプローブランド)に接続しており、配線路を介して電気的接触子61と配線基板2との間を電気的に接続する。
【0026】
接続基板32は、多層配線基板4の下面のプローブ接続用端子と、プローブ基板6に支持される電気的接触子61とを接続するための基板である。
【0027】
多層配線基板4の下面には接続基板32が設けられ、多層配線基板4の外縁には固定リング31が配置される。固定リング31は、多層配線基板4の周囲を囲んで配置され、固定リング31及び接続基板32が、多層配線基板4とプローブ基板6を支持する。接続基板32は、固定リング31と一体に形成されていてもよい。
【0028】
[プローブ基板6]
プローブ基板6は、複数の電気的接触子61を支持する基板である。プローブ基板6はプローブヘッドとも呼ばれる。プローブ基板6に支持される電気的接触子61は、垂直型のプローブを用いることができるが、これに限定されない。プローブ基板6は、被検査体83の電極端子のそれぞれの位置と対応する位置に電気的接触子61を保持している。
【0029】
(A-2)配線基板2と多層配線基板4との接続構造
図2に示すように、電気的接続装置1を組み立てる際、配線基板2に形成された各貫通孔(スルーホール)21には、筒状の導電性ソケット51が挿入される。さらに、各貫通孔21に収まっている筒状の導電性ソケット51に、導電性接続子52が挿通される。このように、配線基板2の各貫通孔21に収納されている導電性ソケット51に、導電性接続子52が嵌合することで、配線基板2と多層配線基板4とを接続する。
【0030】
なお、導電性接続子52の一方の端部(例えば、下端部)は、半田等の接合材54で、多層配線基板4上の電極端子41と固定される。
【0031】
ここで、貫通孔21は、配線基板2に数千~数万個程度形成されており、スルーホールとしての貫通孔21の内面211と開口周辺(ランド)には金属メッキされている。なお、貫通孔21の数は特に限定されない。貫通孔21の孔径は、特に限定されないが、数百マイクロメートル~数ミリメートル程度とすることができる。全ての貫通孔21の孔径は同じであってもよいし、又は貫通孔21の位置に応じて孔径の大きさを変えてもよい。
【0032】
導電性ソケット51は、両端部が開放している、円筒、多角筒などの筒状部材である。導電性ソケット51は、金属等の導電性材料で形成されたものであってもよいし、又は導電性ソケット51の表面(外側面、内側面)に金属メッキをしたものでもよい。
【0033】
導電性ソケット51の外径は、貫通孔21の孔径と同程度若しくはわずかに小さく、貫通孔21に導電性ソケット51が挿入できるようになっている。図3(A)に示すように、導電性ソケット51の一方の端部(例えば図3(A)における上端部)512の外径が、他方の端部(例えば図3(A)における下端部)513の外径よりも小さく、一方の端部512に近づくにつれて外径が細くなるテーパ状となっている(内径も同様に一方の端部512に近づくにつれて細くなっている)。
【0034】
そのため、貫通孔21へ挿入しやすくなっている。導電性ソケット51の全長(Z軸方向の長さ)は、貫通孔21の孔の深さ(すなわち、配線基板2の板厚)と同程度又は小さくすることができる。
【0035】
導電性ソケット51は一方の端部512の先端から、他方の端部513に向けて、複数のスリット511が形成され、先端部分は円錐状をなしている。スリット511は、切れ目、ある形状にカットした切れ目である。スリット511の形状は特に限定されないが、例えば、スリット511は、導電性ソケット51の一方の端部512の先端が幅広になっており、他方の端部513に近づくにつれて細くなっているテーパ状(三角形のスリット)とすることができる。スリット511は、切り込みであってもよいし、長方形等であってもよい。
【0036】
導電性接続子52は、金属等の導電性材料で形成された棒状のピンである。導電性接続子52は、導電性を有しているものであれば、棒状部材の表面を金属メッキしたものとしてもよい。導電性接続子52は、貫通孔21内の導電性ソケット51に挿通するため、導電性接続子52の径は、貫通孔21の他方の端部513の内径よりも小さく、一方の端部512の内径よりも大きいものとする。なお、導電性接続子52は、円柱のピンである場合を例示するが、断面が多角形、楕円形のものでもよい。
【0037】
図3(A)に示すように、導電性ソケット51の他方の端部513から、導電性接続子52の端部521を挿入して嵌合する。
【0038】
そうすると、図3(B)に示すように、スリット511がある導電性ソケット51の一方の端部512が拡がり、導電性接続子52の端部521が貫通孔21の内面211と接触する。また、導電性ソケット51全体はテーパ状なので、導電性接続子52が導電性ソケット51に挿通されると、導電性接続子52が導電性ソケット51に強く嵌りこみ、しっかりと密着する。
【0039】
そのため、検査時には、多層配線基板4上の電極端子41と接続する導電性接続子52と、導電性ソケット51と、スルーホールとしての貫通孔21の内面211とが導通経路となり、電気信号が導通する。導通経路が従来よりも短くなるので、検査精度が良好となる。
【0040】
また、配線基板2の各貫通孔21に導電性ソケット51を挿入し、多層配線基板4上の各導電性接続子52を、貫通孔21の導電性ソケット51に嵌合することで、従来よりも配線基板2と多層配線基板4との基板接続性が良好となる。
【0041】
つまり、従来は、図4に例示するように、配線基板2と多層配線基板4との間に、ポゴピン等の接続子42、接続子42を支持するインターポーザ43が介在しているので、配線基板2と多層配線基板4との間の距離が比較的大きい。電気的接続装置1(プローブカード)の厚さ(高さ)も比較的厚い。
【0042】
これに対して、図1に例示するように、導電性接続子52と導電性ソケット51を嵌合することで、配線基板2と多層配線基板4との間の距離が従来よりも小さくなり、電気的接続装置1(プローブカード)の厚さ(高さ)を薄くすることができる。また、配線基板2と多層配線基板4との間の距離を近づけることができるので、基板の反りを抑えることができる。加えて、導電性接続子52を導電性ソケット51に挿入する接続構造であれば、両者のクリアランスを調整する(大きくする)ことで、導電性ソケット51へ導電性接続子52をスムーズに挿入することが可能となり、基板にかかる応力を小さくできるので、基板の反りを抑えることもできる。
【0043】
なお、この実施形態では、図1図2に示すように、検査に使用する電気的接続装置1の厚さ(高さ)を維持するため、多層配線基板4上の外縁にスペーサ53を配置している。スペーサ53の高さは、特に限定されず、調整可能である。
【0044】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、配線基板2の各貫通孔21に導電性ソケット51を挿入し、さらに導電性ソケット51に導電性接続子52を挿通して嵌合することで、配線基板2と多層配線基板4との間の距離を近づけて接続させることができる。
【0045】
そのため、従来のように、インターポーザを使用する場合には、コンタクト荷重に対して大きな反発力が基板に作用して、配線基板2と多層配線基板4のそれぞれに反りが発生していたが、そのような基板の反りを抑えることができる。また、プローブカードとしての電気的接続装置1全体の平坦性を保持できる。その結果、プローブカードでの被検査体に対するプロービングを安定させ、検査精度を向上させることができる。
【0046】
また、従来のインターポーザを使用しているプローブカードの場合、ポゴピン等の接続子などを交換する際、インターポーザを含む1セットの接続部材を交換している。これに対して、この実施形態によれば、導電性接続子52を個別に交換することができる。
【0047】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0048】
(B-1)上述した実施形態では、導電性ソケット51がスリット511を有する場合を例示した。しかし、導電性接続子52が差し込まれることで、導電性接続子52と導電性ソケット51とがしっかりと密着し、導電性ソケット51の端部が拡張し、貫通孔21の内面211と電気的に接触できるのであれば、スリット511に限定されない。
【0049】
例えば、図5(A)及び図5(B)において、導電性ソケット51は、プリーツスカート等のように、折りひだ部515が形成されているものでもよい。この場合でも、導電性接続子52が挿通されると、折りひだ部515が拡がり、導電性ソケット51が貫通孔21の内面211と電気的に接触できる。
【0050】
また例えば、図5(C)に示すように、貫通孔21への挿入前に、導電性接続子52との密着を良好にするため、導電性ソケット51の一方の端部512を内側に折り曲げてもよい。また逆に、貫通孔21の内面211との接触性を良好にするため、導電性ソケット51の一方の端部512を外側に折り曲げてもよい。
【0051】
なお、導電性ソケット51の端部が拡張する機能部を「拡張部」と呼ぶ。拡張部は、スリット511による端部の拡張、折りひだ部515による端部の拡張などを含む概念である。
【0052】
(B-2)配線基板2上の貫通孔21の位置に応じて、導電性ソケット51のスリット511の形状を変えるようにしてもよい。例えば、コンタクト荷重に対して大きな反力が作用する位置では、導電性ソケット51と導電性接続子52とを強く密着させることができるスリット形状としてもよいし、基板の反りを抑制するため、基板の平面方向における中央領域とその外側の領域で導電性ソケット51と導電性接続子52の密着力をスリット形状によって異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…電気的接続装置、2…配線基板、21…貫通孔、211…内面、31…固定リング、32…接続基板、4…多層配線基板、41…電極端子、42…接続子、43…インターポーザ、51及び51A…導電性ソケット、511…スリット、512…端部、513…端部、52…導電性接続子、521…端部、53…スペーサ、54…接合材、6…プローブ基板、61…電気的接触子、81…駆動部、82…チャック、83…被検査体、TE…テスター。

図1
図2
図3
図4
図5