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特開2024-104372画像形成装置、その制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104372
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、その制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 26/04 20060101AFI20240729BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240729BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240729BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240729BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240729BHJP
   B65H 23/185 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B65H26/04
G03G15/00 303
G03G21/00 502
B41J29/38 202
G03G15/00 411
B65H7/02
B65H23/185
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008530
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勉
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
3F048
3F105
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AS05
2C061HJ03
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
2H072AA09
2H072AA16
2H072AA24
2H072CA01
2H072DA01
2H072DA04
2H072HA04
2H270KA04
2H270KA09
2H270KA28
2H270KA32
2H270KA35
2H270KA57
2H270LA37
2H270LC10
2H270LD03
2H270LD06
2H270MC55
2H270MC67
2H270MF01
2H270MF08
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC06
3F048AA05
3F048AC04
3F048BB02
3F048CC02
3F048DC05
3F048EB22
3F048EB29
3F105AA02
3F105AB04
3F105BA02
3F105BA08
3F105CA02
3F105CB01
3F105DA02
3F105DA17
3F105DB02
(57)【要約】
【課題】フィーダ部において連続媒体の弛みが形成されるように連続媒体の搬送を行う。
【解決手段】画像形成装置は、フィーダ部(100)と本体部(200)と制御部(300)とを有し、制御部(300)は、連続媒体(P)が定着器(250)に到達するまでの期間(T1)において、第1の空間(140)で連続媒体(P)に弛みが形成されるように、第1の弛みセンサ(142)の検知信号に基づいてフィーダ搬送速度(V1)を基準速度(Vr)より早い第1の設定速度(Vr1)を超えない範囲内で調整し、連続媒体(P)が定着器(250)に到達した後の所定期間(T2)において、第1の空間(140)で連続媒体(P)に弛みが形成されるように、第1の弛みセンサ(142)の検知信号に基づいてフィーダ搬送速度(V1)を第1の設定速度(Vr1)より早い第2の設定速度(Vr2)を超えない範囲内で調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続媒体を供給するフィーダ部と、
前記フィーダ部から供給された前記連続媒体上に画像を形成する本体部と、
前記フィーダ部及び前記本体部の動作を制御する制御部と、
を有する画像形成装置であって、
前記フィーダ部は、
前記連続媒体をフィーダ搬送速度で搬送して、前記連続媒体を前記フィーダ部に設けられた弛み形成用の第1の空間を介して前記本体部に向けて送り出すフィーダ搬送部と、
前記第1の空間における前記連続媒体の弛みを検知する第1の弛みセンサと、
を有し、
前記本体部は、
前記連続媒体を基準速度で搬送する本体搬送部と、
前記連続媒体上に画像を形成する画像形成部と、
前記本体部に設けられた第2の空間を介して進む前記連続媒体を定着器搬送速度で搬送しながら、前記連続媒体上に前記画像を定着させる定着器と、
を有し、
前記制御部は、
前記連続媒体が前記定着器に到達するまでの期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記基準速度より早い第1の設定速度を超えない範囲内で調整し、
前記連続媒体が前記定着器に到達した後の所定期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記第1の設定速度より早い第2の設定速度を超えない範囲内で調整する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記第2の空間における前記連続媒体の弛みを検知する第2の弛みセンサを更に有し、
前記制御部は、前記所定期間以降において、前記第2の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第2の弛みセンサの検知信号に基づいて前記定着器搬送速度を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定期間において、前記定着器搬送速度を前記基準速度より早い速度に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定期間において、前記フィーダ搬送速度を前記基準速度以上で調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定期間において、前記フィーダ搬送速度を徐々に又は段階的に変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記所定期間以降において、前記フィーダ搬送速度を前記基準速度以上であって前記第1の設定速度を超えない範囲内で調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の空間は、前記本体部に隣接する位置に設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の空間は、前記定着器に隣接する位置に設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
連続媒体を供給するフィーダ部と、前記フィーダ部から供給された前記連続媒体上に画像を形成する本体部とを有する画像形成装置であって、前記フィーダ部が、前記連続媒体をフィーダ搬送速度で搬送して、前記連続媒体を前記フィーダ部に設けられた弛み形成用の第1の空間を介して前記本体部に向けて送り出すフィーダ搬送部と、前記第1の空間における前記連続媒体の弛みを検知する第1の弛みセンサとを有し、前記本体部が、前記連続媒体を基準速度で搬送する本体搬送部と、前記連続媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記本体部に設けられた第2の空間を介して進む前記連続媒体を定着器搬送速度で搬送しながら、前記連続媒体上に前記画像を定着させる定着器とを有する、前記画像形成装置を制御する制御方法であって、
前記連続媒体が前記定着器に到達するまでの期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記基準速度より早い第1の設定速度を超えない範囲内で調整し、
前記連続媒体が前記定着器に到達した後の所定期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記第1の設定速度より早い第2の設定速度を超えない範囲内で調整する
ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
連続媒体を供給するフィーダ部と、前記フィーダ部から供給された前記連続媒体上に画像を形成する本体部とを有する画像形成装置であって、前記フィーダ部が、前記連続媒体をフィーダ搬送速度で搬送して、前記連続媒体を前記フィーダ部に設けられた弛み形成用の第1の空間を介して前記本体部に向けて送り出すフィーダ搬送部と、前記第1の空間における前記連続媒体の弛みを検知する第1の弛みセンサとを有し、前記本体部が、前記連続媒体を基準速度で搬送する本体搬送部と、前記連続媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記本体部に設けられた第2の空間を介して進む前記連続媒体を定着器搬送速度で搬送しながら、前記連続媒体上に前記画像を定着させる定着器とを有する、前記画像形成装置を制御する制御装置に、
前記連続媒体が前記定着器に到達するまでの期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記基準速度より早い第1の設定速度を超えない範囲内で調整する処理と
前記連続媒体が前記定着器に到達した後の所定期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記第1の設定速度より早い第2の設定速度を超えない範囲内で調整する処理と
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置、その制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻かれたロール状媒体(例えば、ロール紙)から引き出された連続媒体(例えば、連続紙)を供給するフィーダ部と、フィーダ部から供給された連続媒体上に電子写真方式を用いて画像を形成する本体部(すなわち、印刷部)と、を有する画像形成装置が実用されている。このような画像形成装置では、フィーダ部から本体部に連続媒体を安定して送り出すために、フィーダ部内の本体部に隣接する位置に設けられた弛み形成用の空間に連続媒体の弛みが形成されるように、フィーダ部の搬送ローラの搬送速度が制御されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-108644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィーダ部の小型化のためには弛み形成用の空間を狭くする必要があり、その結果、弛み形成用の空間における連続媒体の弛み量は小さい。したがって、連続媒体のフィード動作時において、連続媒体が定着器に到達した後に連続媒体が定着器によって引っ張られて、弛み形成用の空間における連続媒体の弛みが無くなり(すなわち、張り状態になり)、連続媒体の張り状態が継続することによるエラーが検出され、フィード動作が停止するという問題がある。
【0005】
本開示は、フィーダ部の弛み形成用の空間において連続媒体の弛みが形成されるようにする画像形成装置、その制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像形成装置は、連続媒体を供給するフィーダ部と、前記フィーダ部から供給された前記連続媒体上に画像を形成する本体部と、前記フィーダ部及び前記本体部の動作を制御する制御部と、を有する装置であって、前記フィーダ部は、前記連続媒体をフィーダ搬送速度で搬送して、前記連続媒体を前記フィーダ部に設けられた弛み形成用の第1の空間を介して前記本体部に向けて送り出すフィーダ搬送部と、前記第1の空間における前記連続媒体の弛みを検知する第1の弛みセンサと、を有し、前記本体部は、前記連続媒体を基準速度で搬送する本体搬送部と、前記連続媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記本体部に設けられた第2の空間を介して進む前記連続媒体を定着器搬送速度で搬送しながら、前記連続媒体上に前記画像を定着させる定着器と、を有し、前記制御部は、前記連続媒体が前記定着器に到達するまでの期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記基準速度より早い第1の設定速度を超えない範囲内で調整し、前記連続媒体が前記定着器に到達した後の所定期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記第1の設定速度より早い第2の設定速度を超えない範囲内で調整することを特徴とする。
【0007】
本開示の画像形成装置の制御方法は、連続媒体を供給するフィーダ部と、前記フィーダ部から供給された前記連続媒体上に画像を形成する本体部とを有する画像形成装置であって、前記フィーダ部が、前記連続媒体をフィーダ搬送速度で搬送して、前記連続媒体を前記フィーダ部に設けられた弛み形成用の第1の空間を介して前記本体部に向けて送り出すフィーダ搬送部と、前記第1の空間における前記連続媒体の弛みを検知する第1の弛みセンサとを有し、前記本体部が、前記連続媒体を基準速度で搬送する本体搬送部と、前記連続媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記本体部に設けられた第2の空間を介して進む前記連続媒体を定着器搬送速度で搬送しながら、前記連続媒体上に前記画像を定着させる定着器とを有する、前記画像形成装置を制御する方法であって、前記連続媒体が前記定着器に到達するまでの期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記基準速度より早い第1の設定速度を超えない範囲内で調整し、前記連続媒体が前記定着器に到達した後の所定期間において、前記第1の空間で前記連続媒体に弛みが形成されるように、前記第1の弛みセンサの検知信号に基づいて前記フィーダ搬送速度を前記第1の設定速度より早い第2の設定速度を超えない範囲内で調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、フィーダ部の弛み形成用の空間において連続媒体の弛みが形成されるように、連続媒体のフィード動作が安定して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
図2】実施の形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る画像形成装置によって行われる連続媒体のフィード動作を示すタイムチャートである。
図4図3のt=t1時における連続媒体の状態を示す図である。
図5図3のt=t2時における連続媒体の状態を示す図である。
図6図3のt=t3時における連続媒体の状態を示す図である。
図7図3のt=t4時における連続媒体の状態を示す図である。
図8図3のt=t5時における連続媒体の状態を示す図である。
図9図3のt=t6時における連続媒体の状態を示す図である。
図10図3のt=t7時における連続媒体の状態を示す図である。
図11図3のt=t8時における連続媒体の状態を示す図である。
図12図3のt=t9時における連続媒体の状態を示す図である。
図13図3のt=t10時における連続媒体の状態を示す図である。
図14】比較例の画像形成装置によって行われる連続媒体のフィード動作を示すタイムチャートである。
図15図14のt=t6a時における連続媒体の状態を示す図である。
図16図14のt=t7a時における連続媒体の状態を示す図である。
図17図14のt=t8a時における連続媒体の状態を示す図である。
図18図14のt=t9a時における連続媒体の状態を示す図である。
図19図14のt=t10a時における連続媒体の状態を示す図である。
図20】実施の形態に係る画像形成装置によって行われる連続媒体のフィード動作を示すフローチャート(その1)である。
図21】実施の形態に係る画像形成装置によって行われる連続媒体のフィード動作を示すフローチャート(その2)である。
図22】実施の形態に係る画像形成装置によって行われる第1の空間における連続媒体の弛み制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態に係る画像形成装置、その制御方法、及び制御プログラムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【0011】
《1》実施の形態の構成
図1は、実施の形態に係る画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、ロール状に巻かれたロール状媒体(例えば、ロール紙)111から引き出された連続媒体(例えば、連続紙)Pを供給する媒体供給装置であるフィーダ部(「アンワインダー」ともいう。)100と、フィーダ部100から供給された連続媒体P上に画像を形成する印刷装置である本体部200と、フィーダ部100及び本体部200の動作を制御する制御部(後述の図2に示される制御部300)とを有している。制御部は、本体部200若しくはフィーダ部100の一方に備えられてもよく、又は、本体部200及びフィーダ部100に分かれて備えられてもよい。また、制御部は、本体部200の一部若しくはフィード部100の一部であってもよく、又は、本体部200及びフィーダ部100と別に設けられた制御装置(例えば、本体部200又はフィーダ部100と通信可能なコンピュータ)であってもよい。
【0012】
フィーダ部100は、主要な構成として、ロール状媒体111を支持するための構成と引き出された連続媒体Pに張りを持たせる方向(すなわち、図1における時計回り)に弱い回転力を付与する機構を備えた媒体フォルダ110と、ロール状媒体111から引き出された連続媒体P(このとき、ロール状媒体111は反時計回りに回転する)に張りを持たせるための揺動部材としてのテンションバー121と、連続媒体Pを本体部200に向けて搬送するためのフィーダ搬送部120と、連続媒体Pを切断するためのカッタ部130と、連続媒体Pに弛みを持たせるための弛み形成部としての第1の空間140と、を有している。なお、図1のフィーダ部100の構造は、例に過ぎず、種々の変更が可能である。
【0013】
フィーダ搬送部120は、主要な構成として、連続媒体Pの有無を検知する媒体センサ(「ペーパーエンドセンサ」ともいう。)122と、搬送ローラ対123と、連続媒体Pの有無を検知する媒体センサ(「カッタIN透過センサ」ともいう。)124と、連続媒体Pがダイカットラベルである場合においてブラックマークを検知する媒体センサ(「カッタIN反射センサ」ともいう。)125と、を有している。搬送ローラ対123は、搬送ローラ駆動用のモータ126の回転によって回転して、連続媒体Pを挟み込んで搬送する。なお、ブラックマークは、ダイカットラベルのラベルエッジを光学的に検知可能にするために連続媒体Pの裏面に設けられている黒色のマークである。
【0014】
カッタ部130は、長尺な連続媒体Pを切断する回転刃131と、回転刃131の動きを検知するカッタセンサ132と、搬送ローラ対134と、回転刃131を動作させるカッタモータ135と、を有している。搬送ローラ対134は、フィーダ部100の搬送ローラ駆動用のモータ126の回転によって回転して、連続媒体Pを挟み込んで本体部200に向かう方向に搬送する。搬送ローラ対134は、搬送ローラ対123と同じ搬送速度で連続媒体Pを搬送する。搬送ローラ対134と搬送ローラ対123とモータ126とは、フィーダ部100の媒体搬送機構としてのフィーダ搬送部120を構成する。回転刃131は、カッタ駆動用のカッタモータ135の回転によって動作する。
【0015】
カッタ部130の媒体搬送方向(図1における左向き方向)の下流には、本体部200の媒体搬送部である本体搬送部210とフィーダ部100のフィーダ搬送部120との間の連続媒体Pの搬送を安定化させるために連続媒体Pを弛ませる空間(すなわち、弛み形成部)である第1の空間140が設けられている。第1の空間140には、連続媒体Pを案内するガイドが備えられてもよい。第1の空間140には、カッタ部130を通過した連続媒体Pを検知するための媒体センサ(「カッタOUTセンサ」ともいう。)141と、連続媒体Pの弛みの有無を検知する第1の弛みセンサ142と、が備えられている。第1の弛みセンサ142は、連続媒体Pの弛みの有無の他に、連続媒体Pの弛みの大きさ(すなわち、弛み量)を検知する機能を有してもよい。また、第1の弛みセンサ142は、検知位置における連続媒体Pの有無を検知する信号を出力することもできる。第1の空間140は、本体部200に隣接した位置に設けられているが、本体部200から離れた位置に設けられてもよい。第1の弛みセンサ142は、連続媒体Pの張り状態(すなわち、弛み無し状態)、連続媒体Pの適正量の弛み有り状態(すなわち、弛み(適正))、連続媒体Pの適正量より大きい弛み有り状態(すなわち、弛み(大))を判定可能にする検知信号を制御部に出力する。
【0016】
第1の空間140における連続媒体Pの弛み量は、第1の空間140の入口における連続媒体Pの搬送速度(すなわち、フィーダ搬送部120による連続媒体Pの搬送速度であるフィーダ搬送速度V1)を第1の空間140の出口における連続媒体Pの搬送速度(すなわち、本体搬送部210による連続媒体Pの搬送速度である基準速度Vr)より早くすることで増加し、フィーダ搬送速度V1を基準速度Vrと等しくすることで安定し、フィーダ搬送速度V1を基準速度Vrより遅くすることで減少する。
【0017】
図1に示されるように、本体部200は、主要な構成として、連続媒体Pを基準速度Vrで搬送する本体搬送部210と、連続媒体P上に電子写真方式を用いて画像(すなわち、現像剤像としてのトナー像)を形成する画像形成部220と、本体部200において定着器250の媒体搬送方向の下流に配置された空間(すなわち、弛み形成部)である第2の空間240と、第2の空間240を介して進む連続媒体Pを定着器搬送速度V2で搬送しながら、連続媒体P上に画像を定着させる定着器250と、を有している。第2の空間240は、定着器250に隣接した位置に設けられているが、離れた位置に設けられてもよい。なお、図1の本体部200の構造は、例に過ぎず、種々の変更が可能である。
【0018】
本体搬送部210は、主要な構成として、搬送ローラ対211と、連続媒体Pの有無を検知する媒体センサ(「IN1センサ」ともいう。)212と、搬送ローラ対213と、連続媒体Pの有無を検知する媒体センサ(「IN2センサ」ともいう。)214と、搬送ローラ対215と、連続媒体Pの有無を検知する媒体センサ(「IN3センサ」ともいう。)216と、を有している。搬送ローラ対211、213、215は、本体部200の搬送ローラ駆動用のモータ217の回転によって回転して、連続媒体Pを挟み込んで基準速度Vrで搬送する。媒体センサ212、214、216は、それぞれの位置における連続媒体Pの有無を検知する。
【0019】
画像形成部220は、主要な構成として、イエロー、マゼンタ、シアン、黒、ホワイト、の画像を形成する、複数のイメージドラム(ID)ユニット221と、各IDユニットに対応する位置に配置された静電潜像形成手段であるLED(発光ダイオード)アレイヘッドのような露光装置223と、中間転写ベルト231と、各IDユニットに対応する位置に配置された1次転写部材としての1次転写ローラ224と、中間転写ベルト231上に形成された画像を連続媒体P上に転写させる2次転写部材としての2次転写ローラ237と、各部に駆動力を与えるモータ225、238とを有している。各IDユニット221は、像担持体としての感光体ドラム(すなわち、イメージドラム)222の他に、電子写真方式で中間転写ベルト231上に画像を形成するための各種の構成を有している。電子写真方式を実行するための各種の構成は、感光体ドラム222の表面を一様帯電させるための帯電装置、感光体ドラム222上に形成された静電潜像を現像する現像装置、感光体ドラム222の表面の残トナーなどを除去するクリーニング部、などを含む。中間転写ベルト231は、駆動ローラ232、従動ローラ233、ローラ234、235、236に巻き掛けられている。中間転写ベルト231上には、各IDユニット221で形成された画像である未定着な現像剤像が、形成される。中間転写ベルト231上の未定着なトナー像は、2次転写ローラ237によって連続媒体P上に転写される。
【0020】
画像形成部220の媒体搬送方向の下流であって定着器250の媒体搬送方向の上流には、画像形成部220における連続媒体Pの搬送を安定化させるために連続媒体Pを弛ませるための空間(すなわち、弛み形成部)である第2の空間240が設けられている。第2の空間240には、連続媒体Pの弛みの有無を検知する第2の弛みセンサ241が備えられている。第2の弛みセンサ241は、連続媒体Pの弛みの有無のほかに、連続媒体Pの弛みの大きさ(すなわち、弛み量)を検知する機能を有してもよい。第2の空間240は、定着器250に隣接した位置に設けられているが、離れた位置に設けられてもよい。第2の弛みセンサ241は、連続媒体Pの張り状態(すなわち、弛み無し状態)、連続媒体Pの適正量の弛み有り状態(すなわち、弛み(適正))、連続媒体Pの適正量より大きい弛み有り状態(すなわち、弛み(大))を判定可能にする検知信号を制御部に出力する。また、第2の弛みセンサ241は、検知位置における連続媒体Pの有無を検知する信号を出力することもできる。
【0021】
第2の空間240における連続媒体Pの弛み量は、第2の空間240の出口における連続媒体Pの搬送速度(すなわち、定着器250による連続媒体Pの搬送速度である定着器搬送速度V2)を第2の空間240の入口における連続媒体Pの搬送速度(すなわち、基準速度Vr)より遅くすることで増加し、定着器搬送速度V2を基準速度Vrと等しくすることで安定し、定着器搬送速度V2を基準速度Vrより早くすることで減少する。
【0022】
定着器250は、連続媒体Pを挟み込んで定着器搬送速度V2で搬送しながら、連続媒体Pを加熱、加圧して、連続媒体P上に画像を定着させる定着ベルト251、252と、これらを駆動する定着モータ253とを有している。なお、定着器250の構造は、図示のものに限定されない。
【0023】
定着器250の媒体搬送方向の下流には、媒体センサ(「定着EXITセンサ」ともいう。)261と、搬送ローラ対262と、媒体センサ(「EXITセンサ」ともいう。)263とが備えられている。
【0024】
図2は、実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、実施の形態に係る制御方法を実行することができる装置である。画像形成装置1は、RAM(Random Access Memory)などのメモリ103に格納されたプログラム(例えば、画像形成装置1の制御方法を実行させるするための制御プログラム)を実行する制御回路を備えた装置である。この制御回路は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含んでもよい。図2は、本体部200が本体制御部301を有し、フィーダ部100がフィーダ制御部302を有し、本体制御部301とフィーダ制御部302とが画像形成装置1の制御部を構成する例を示している。本体制御部301は、本体部200の各部の動作を制御するとともに、フィーダ部100に対して指示コマンドを送信する。フィーダ制御部302は、各種の検知信号を本体制御部301に送信する。フィーダ部100で検知されたフィーダ制御部302は、フィーダ部100の各部の動作を制御するとともに、本体制御部301から送信された指示コマンドに基づく動作を実行する。
【0025】
《2》実施の形態の動作
《2-1》実施の形態における弛み制御
図3は、実施の形態に係る画像形成装置1によって行われる連続媒体Pのフィード動作を示すタイムチャートである。制御部300は、連続媒体Pのフィード動作を開始してから連続媒体Pが定着器250に到達するまでの期間T1(すなわち、時間t1~t5)において、第1の空間140で連続媒体Pに弛みが形成されるように、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいてフィーダ搬送速度V1を基準速度Vrより早い第1の設定速度Vr1を超えない範囲内で調整する。
【0026】
また、制御部300は、連続媒体Pが定着器250に到達した後の所定期間T2(すなわち、時間t5~t8)において、第1の空間140で連続媒体Pに弛みが形成されるように、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいてフィーダ搬送速度V1を第1の設定速度Vr1より早い第2の設定速度Vr2を超えない範囲内で調整する。制御部300は、所定期間T2において、定着器搬送速度V2を基準速度Vrより早い速度に設定する。制御部300は、所定期間T2において、フィーダ搬送速度V1を基準速度Vr以上で調整する。制御部300は、所定期間T2において、フィーダ搬送速度V1を徐々に又は段階的に変化させることが望ましい。
【0027】
また、制御部300は、所定期間以降の期間T3(すなわち、時間t8以降)において、第2の空間240で連続媒体Pに弛みが形成されるように、第2の弛みセンサ241の検知信号に基づいて定着器搬送速度V2を調整する。制御部300は、所定期間以降T3において、フィーダ搬送速度V1を基準速度Vr以上であって第1の設定速度Vr1を超えない範囲内で調整する。
【0028】
図4は、図3のt=t1時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図4に示されるように、t=t1時において、連続媒体Pの先端は、IN1センサである媒体センサ212を通過した直後の位置にある。t=t1時は、フィーダ部による弛み制御開始時であり、媒体センサ212による連続媒体Pの先端の検知から所定時間経過後の時点である。このときのフィーダ搬送速度V1は、基準速度Vrに等しく、連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正である状態(「弛み(適正)」と表記)である。
【0029】
図5は、図3のt=t2時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図5に示されるように、t=t2時において、連続媒体Pの先端は、搬送ローラ対213を通過した直後の位置にある。t=t2時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度Vrからアッパーリミット速度(UPリミット速度)である第1の設定速度Vr1までの間で制御されており、本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrである。本実施の形態においては、第1の設定速度Vr1は、基準速度Vrより10%速い速度(すなわち、(Vr+10%)=1.1Vr)である。t=t2時において、連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態であり、フィーダ搬送速度V1は(Vr+10%)=1.1Vrである。
【0030】
図6は、図3のt=t3時における連続媒体Pの状態を示す図である。図4に示されるように、t=t3時において、連続媒体Pの先端は、IN2センサである媒体センサ214を通過した直後の位置にある。t=t3時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1(すなわち、(Vr+10%)=1.1Vr)までの間で制御されており、本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrである。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正量より大きい状態(「弛み(大)」と表記)である。
【0031】
図7は、図3のt=t4時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図7に示されるように、t=t4時において、連続媒体Pの先端は、IN3センサである媒体センサ216を通過した直後の位置にある。t=t4時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1(すなわち、(Vr+10%)=1.1Vr)までの間で制御されており、本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrである。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正である状態(「弛み(適正)」と表記)である。
【0032】
図8は、図3のt=t5時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図8に示されるように、t=t5時は、連続媒体Pの先端が定着器に到達した時点であり、媒体センサ216による連続媒体Pの先端の検知から所定時間経過後の時点である。t=t5時において、連続媒体Pの先端は、第2の空間240を通過して定着器250に到達した位置にある。t=t5時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されており、本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrである。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正である状態(「弛み(適正)」と表記)である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、t=t5からt=t8までの期間T2において、UPリミット速度は第1の設定速度Vr1から第2の設定速度Vr2に切り替えられる(すなわち、上げられる)。本実施の形態においては、第2の設定速度Vr2は、基準速度Vrより20%速い速度(すなわち、Vr2=(Vr+20%)=1.2Vr」と表記)である。
【0033】
図9は、図3のt=t6時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図9に示されるように、t=t6時において、連続媒体Pの先端は、第2の空間240を通過して定着器250内の位置にある。t=t6時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第2の設定速度Vr2までの間で制御されている。本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrであるが、連続媒体Pは定着器250によって引っ張られるので、定着器搬送速度V2によって搬送される。このときの定着器搬送速度V2は、基準速度Vrより5%速い速度(すなわち、(Vr+5%)=1.05Vr)である。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。
【0034】
図10は、図3のt=t7時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図10に示されるように、t=t7時において、連続媒体Pの先端は、定着器250を通過した位置にある。t=t7時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第2の設定速度Vr2までの間で制御されている。本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrであるが、連続媒体Pは定着器250によって引っ張られるので、定着器搬送速度V2によって搬送される。このときの定着器搬送速度V2は、定着器基準速度より5%速い速度(「Vr+5%」と表記)である。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正である状態(「弛み(適正)」と表記)である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。
【0035】
図11は、図3のt=t8時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図11に示されるように、t=t8時は、定着前弛み形成開始時であり、媒体センサ261による連続媒体Pの先端の検知から所定時間経過後の時点である。t=t8時において、連続媒体Pの先端は、定着器250の下流にある搬送ローラ対262を通過した後の位置にある。t=t8時において、UPリミット速度は、第2の設定速度Vr2から第1の設定速度Vr1に切り替えられる。フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrであるが、連続媒体Pは定着器250によって引っ張られるので、定着器搬送速度V2によって搬送される。このときの定着器搬送速度V2は、定着器基準速度より5%速い速度(「Vr+5%」と表記)である。t=t8時において、連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正である状態(「弛み(適正)」と表記)である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、t=t8以降の期間T3において、UPリミット速度は第2の設定速度Vr2から第1の設定速度Vr1に切り替えられている。
【0036】
図12は、図3のt=t9時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図12に示されるように、t=t9時において、連続媒体Pの先端は、本体部200の外側の位置にある。t=t9時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。定着器搬送速度V2は、第2の弛みセンサ241の検知信号に基づいて、基準速度Vrから±5%の範囲内(すなわち、(Vr-5%)から(Vr+5%)までの範囲内)で制御されている。t=t9時において、連続媒体Pの第1の空間140における状態は、張り状態(すなわち、弛み無し状態)である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正な状態(「弛み(適正)」と表記)である。
【0037】
図13は、図3のt=t10時における連続媒体Pの状態を示す図である。図3及び図13に示されるように、t=t10時において、連続媒体Pの先端は、本体部200の外側の位置にある。t=t10時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。また、定着器搬送速度V2は、第2の弛みセンサ241の検知信号に基づいて、基準速度Vrから±5%の範囲内(すなわち、(Vr-5%)から(Vr+5%)までの範囲内)で制御されている。t=t10時において、連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正である状態(「弛み(適正)」と表記)である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正量より大きい状態(「弛み(大)」と表記)である。
【0038】
《2-2》比較例における制御
次に、本実施の形態との比較対象としての比較例の画像形成装置の弛み制御を説明する。比較例の画像形成装置は、図1及び図2に示される構成を有するが、連続媒体Pの搬送制御の点が、本実施の形態のものと異なる。つまり、比較例の画像形成装置は、所定期間T2a及び所定期間Ta後の期間3aにおける弛み制御が、本実施の形態に係る画像形成装置1と異なる。
【0039】
図14は、比較例の画像形成装置によって行われる連続媒体Pのフィード動作を示すタイムチャートである。比較例の画像形成装置の制御部は、連続媒体Pのフィード動作を開始してから連続媒体Pが定着器250に到達するまでの期間T1(すなわち、t1~t5)、連続媒体Pが定着器250に到達した後の所定期間T2a(すなわち、t5~t8a)、及び所定期間以降の期間T3a(すなわち、t8a以降)において、第1の空間140で連続媒体Pに弛みが形成されるように、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいてフィーダ搬送速度V1を基準速度Vrより早い第1の設定速度Vr1を超えない範囲内で調整する。
【0040】
図15は、図14(比較例)のt=t6a時における連続媒体Pの状態を示す図である。図14及び図15に示されるように、t=t6a時において、連続媒体Pの先端は、第2の空間240を通過して定着器250内の位置にある。t=t6a時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrであるが、連続媒体Pは定着器250によって引っ張られるので、定着器搬送速度V2によって搬送される。このときの定着器搬送速度V2は、定着器基準速度より5%速い速度(「Vr+5%」と表記)である。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態が、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。
【0041】
図16は、図14(比較例)のt=t7a時における連続媒体Pの状態を示す図である。図15及び図16に示されるように、t=t7a時において、連続媒体Pの先端は、定着器250を通過した位置にある。t=t7a時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrであるが、連続媒体Pは定着器250によって引っ張られるので、定着器搬送速度V2によって搬送される。このときの定着器搬送速度V2は、定着器基準速度より5%速い速度(「Vr+5%」と表記)である。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。
【0042】
図17は、図14(比較例)のt=t8a時における連続媒体Pの状態を示す図である。図15及び図17に示されるように、t=t8a時において、連続媒体Pの先端は、定着器250の下流にある搬送ローラ対262を通過した位置にある。t=t8a時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。本体搬送部210の搬送速度は基準速度Vrであるが、連続媒体Pは定着器250によって引っ張られるので、定着器搬送速度V2によって搬送される。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。
【0043】
図18は、図14(比較例)のt=t9a時における連続媒体Pの状態を示す図である。図15及び図19に示されるように、t=t9a時において、連続媒体Pの先端は、本体部200の外側の位置にある。t=t9a時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。定着器搬送速度V2は、第2の弛みセンサ241の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である(Vr1+5%)までの間で制御されている。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み有り且つ弛み(適正)の状態である。
【0044】
図19は、図14(比較例)のt=t10a時における連続媒体Pの状態を示す図である。図15及び図19に示されるように、t=t10a時において、連続媒体Pの先端は、本体部200の外側の位置にある。t=t10a時において、フィーダ搬送部120のフィーダ搬送速度V1は、第1の弛みセンサ142の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である第1の設定速度Vr1までの間で制御されている。また、定着器搬送速度V2は、第2の弛みセンサ241の検知信号に基づいて、基準速度VrからUPリミット速度である(Vr1+5%)までの間で制御されている。このときの連続媒体Pの第1の空間140における状態は、弛み無し、すなわち、張り状態である。また、このときの連続媒体Pの第2の空間240における状態は、弛み有り且つ弛み量が適正である状態(「弛み(大)」と表記)である。
【0045】
《2-3》実施の形態におけるフィード動作
図20及び図21は、実施の形態に係る画像形成装置1によって行われる連続媒体のフィード動作を示すフローチャート(その1、その2)である。
【0046】
まず、ステップS101において、本体制御部301は、上位装置であるホストからフィード要求を受信する。
【0047】
ステップS102において、本体制御部301は、搬送弛みパラメータ制御が連続媒体Pの搬送速度、弛み形成時の搬送速度のUPリミット速度、搬送速度のダウンリミット(DOWNリミット)を、フィーダ部100のフィーダ制御部302に送信する。
【0048】
ステップS103において、本体制御部301は、フィーダ制御部302から連続媒体ステータスを取得して、フィーダ部100にロール状媒体111から引き出された連続媒体がセットされていれば(ステップS103においてYES)、処理をステップS104に進め、セットされていなければ(ステップS103においてNO)、連続媒体のセットを待つ。
【0049】
ステップS104において、本体制御部301は、フィーダ制御部302へフィード動作の開始要求を送信する。
【0050】
ステップS105において、本体制御部301は、予め設定されている速度で、搬送用のモータ217、ID駆動用のモータ225、ベルト駆動用のモータ238、定着モータ253の駆動を開始する。
【0051】
ステップS106において、本体制御部301は、定着器250にウォーミングアップ動作を実行させる。
【0052】
ステップS107において、フィーダ制御部302は、ロール状媒体111から引き出された連続媒体Pのフィード動作を開始する。
【0053】
ステップS108及びS109において、フィーダ制御部302は、連続媒体Pの先端が、カッタINセンサである媒体センサ124及び第1の弛みセンサ142によって検知されるのを待つ。
【0054】
ステップS110において、本体制御部301は、IN1センサである媒体センサ212によって連続媒体Pの先端の検知を待つ。
【0055】
ステップS111において、本体制御部301は、連続媒体Pの先端がIN1センサである媒体センサ212から搬送弛み開始ポイントに搬送されるのを待つ。ここで、搬送弛み開始ポイントは、媒体センサ212が連続媒体有りを検知してから予め決められた距離L1(又は予め決められた時間)を搬送した位置である。
【0056】
ステップS112において、本体制御部301は、フィーダ制御部302へ搬送弛み制御開始を要求し、ステップS113において、フィーダ制御部302は、搬送弛み制御を開始する。
【0057】
ステップS114及びS115において、IN2センサである媒体センサ214及びIN3センサである媒体センサ216によって連続媒体有りが検知され、ステップS116において、第2の弛みセンサ241で連続媒体が検知され、ステップS117において、連続媒体の先端が定着器250の入口まで到達したことが検知されると、ステップS118において、本体制御部301は、フィーダ制御部302に対し、搬送弛み制御のUPリミット速度を、第1の設定速度Vr1(=Vr+10%=1.1Vr)から第2の設定速度Vr2(=Vr+20%=1.2Vr)に変更する指示を送信する。このとき、図14のタイムチャートに示されるように、定着器250に連続媒体Pの先端が噛み込むと、定着器250の連続媒体の搬送速度が印刷ユニットよりも速いので、連続媒体が引っ張られて、フィーダ部100側の弛み形成が上手くいかなくなる。このため、図3のタイムチャートにある通り、連続媒体の先端が定着器250の先端に噛み込むタイミングから、本体制御部301から、フィーダ制御部302に対し、搬送弛み制御のUPリミット速度を第1の設定速度Vr1(=Vr+10%=1.1Vr)から第2の設定速度Vr2(=Vr+20%=1.2Vr)に変更する指示を送信する。
【0058】
ステップS119において、本体制御部301は、連続媒体Pの先端が定着EXITセンサである媒体センサ261を通過するのを待つ。
【0059】
ステップS120において、本体制御部301は、定着前弛み制御を開始する。
【0060】
ステップS121において、本体制御部301は、定着前弛み制御が開始されるため、フィーダ部100で実施しているUPリミット速度を第2の設定速度Vr2=(Vr+20%)から第1の設定速度Vr1=(Vr+10%)に低下させるように、本体制御部301からフィーダ制御部302へ指示を送信する。このときの設定速度の変更は、徐々に又は段階的に(例えば、一定周期で、-2%程度ずつ落としていく)低下させるように、本体制御部301からフィーダ部100へ指示を送信する。
【0061】
ステップS122において、本体制御部301は、EXITセンサが連続媒体Pの先端を検知するのを待つ。
【0062】
ステップS123において、本体制御部301は、EXITセンサが連続媒体Pの先端を検知してから、予め決められたリワインダ巻き付け量のフィードを行うのを待つ。
【0063】
ステップS124において、本体制御部301は、定着モータ253、ID駆動用のモータ225、ベルト駆動用のモータ253、搬送用のモータ217を停止させる。
【0064】
ステップS125において、本体制御部301は、フィーダ制御部302へフィード動作停止を指示する。
【0065】
ステップS126において、フィーダ制御部302は、フィード動作を停止する。以上で、フィード動作を終了する。
【0066】
図22は、実施の形態に係る画像形成装置1によって行われる第1の空間140における連続媒体Pの弛み制御動作を示すフローチャートである。まず、ステップS201において、本体制御部301は、図1のフィーダ部100の連続媒体Pの弛み制御の開始が要求されると、弛み制御パラメータをチェックし、フィーダ搬送速度のUPリミット速度を第2の設定速度Vr2(=Vr+20%=1.2Vr)に上げる変更要求があるかチェックし、要求があれば(ステップS201においてYES)、ステップS202において、フィーダ搬送速度のUPリミット速度を第2の設定速度Vr2に設定する。変更要求がなければ(ステップS201においてNO)、処理はステップS203に進み、本体制御部301は、フィーダ搬送速度のUPリミット速度を本体制御部301から指定されている指示値に設定する。指示値は、基準速度Vrから第1の設定速度Vr1(=Vr+10%=1.1Vr)までの間の値である。
【0067】
ステップS204において、本体制御部301は、第1の弛みセンサ142が、張り状態であるか、弛み状態であるかをチェックし、張り状態であれば(ステップS204においてYES)、処理をステップS205に進め、そうでなければ(ステップS204においてNO)、処理をステップS207に進める。
【0068】
ステップS205において、本体制御部301は、フィーダ搬送速度が第1の弛みセンサ142が、UPリミット速度より遅い場合には(ステップS205においてYES)、処理をステップS206に進め、そうでなければ(ステップS205においてNO)、処理をステップS210へ進める。
【0069】
ステップS206において、本体制御部301は、フィーダ搬送速度を2%上げて、処理をステップS210に進める。
【0070】
また、ステップS207において、第1の弛みセンサ142が弛み適正状態を検知した場合には、本体制御部301は、処理をステップS208に進める。ステップS208において、本体制御部301は、フィーダ搬送速度がDOWNリミット速度より速い場合には(ステップS208においてYES)、処理をステップS209に進め、そうでなければ(ステップS208においてNO)、フィーダ搬送速度を変更せずに、処理をステップS210へ進める。
【0071】
ステップS209において、本体制御部301は、フィーダ搬送速度を2%下げて、処理をステップS210に進める。
【0072】
ステップS210において、本体制御部301は、フィーダ部における弛み制御の終了要求があれば(ステップS210においてYES)、弛み制御を終了し、終了要求がなければ(ステップS210においてNO)、処理をステップS201へ戻す。
【0073】
《3》実施の形態の効果
本開示によれば、画像形成装置1内の連続媒体Pの先端の位置が期間T2にあるときには、上流側の第1の空間140における弛み制御のため、連続媒体Pの搬送速度の可変パラメータの上限値を可変し(すなわち、フィーダ搬送速度V1のUPリミット速度を基準速度Vrより20%速い速度とし)、下流側の第2の空間において弛みが形成された後の期間T3では、フィーダ搬送速度V1のUPリミット速度を基準速度Vrより10%速い速度(元のパラメータ値)に戻す制御を行う。このような制御により、図14に破線で示されるエラー発生を回避し、図3に破線で示される安定搬送を実現することができる。
【0074】
また、本開示によれば、図3の所定期間T2及び図22のステップS206、S208に示されるように、画像形成装置1内の連続媒体Pの先端の位置が期間T2にあるときには、上流側の第1の空間140における弛み制御のため、連続媒体Pの搬送速度の可変パラメータの上限値を可変し(すなわち、フィーダ搬送速度V1のUPリミット速度を基準速度Vrより20%速い速度とし)、下流側の第2の空間において弛みが形成された後の期間T3では、フィーダ搬送速度V1のUPリミット速度を基準速度Vrより10%速い速度(元のパラメータ値)に戻す制御を行う。このような制御により、図14に破線で示されるエラー発生を回避し、図3に破線で示される安定搬送を実現することができる。
【0075】
《4》変形例
上記実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置に適した例を説明したが、本発明は、連続媒体を搬送しながら画像形成部の上流と下流の各々に連続媒体の弛みを形成する画像形成装置であれば、他の画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置、 100 フィーダ部、 110 媒体フォルダ、 111 ロール状媒体、 120 フィーダ搬送部、 121 テンションバー、 122 媒体センサ(ペーパーエンドセンサ)、 123 搬送ローラ対、 124 媒体センサ(カッタIN透過センサ)、 125 媒体センサ(カッタIN反射センサ)、 126 モータ、 130 カッタ部、 131 回転刃、 132 カッタセンサ、 134 搬送ローラ対、 135 カッタモータ、 140 第1の空間(弛み形成部)、 141 媒体センサ(カッタOUTセンサ)、 142 第1の弛みセンサ、 200 本体部、 210 本体搬送部、 211、213、215 搬送ローラ対、 212 媒体センサ(IN1センサ)、 214 媒体センサ(IN2センサ)、 216 媒体センサ(IN3センサ)、 220 画像形成部、 221 IDユニット、 222 感光体ドラム(像担持体)、 223 露光装置(LEDアレイヘッド)、 224 1次転写ローラ、 231 中間転写ベルト、 237 2次転写ローラ、 240 第2の空間(弛み形成部)、 241 第2の弛みセンサ、 250 定着器、 253 定着モータ、 261 媒体センサ(定着EXITセンサ)、 263 媒体センサ(EXITセンサ)、 300 制御部、 301 本体制御部、 302 フィーダ制御部、 T1 連続媒体が定着器に到達するまでの期間、 T2 所定期間、 T3 所定期間以降、 P 連続媒体、 V1 フィーダ搬送速度、 V2 定着器搬送速度、 Vr 基準速度、 Vr1 第1の設定速度、 Vr2 第2の設定速度。
図1
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図22