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特開2024-104376可塑化装置、三次元造形装置、及び、射出成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104376
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】可塑化装置、三次元造形装置、及び、射出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/321 20170101AFI20240729BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240729BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240729BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240729BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240729BHJP
   B29C 31/02 20060101ALI20240729BHJP
   B29C 45/46 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B29C64/321
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/209
B29C31/02
B29C45/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008535
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】合津 昌幸
【テーマコード(参考)】
4F201
4F206
4F213
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201AL01
4F201AL10
4F201AL16
4F201BA06
4F201BC02
4F201BD04
4F201BQ01
4F201BQ07
4F201BQ17
4F201BQ34
4F201BQ54
4F201BQ57
4F206AJ08
4F206AL01
4F206AL10
4F206AL16
4F206JA07
4F206JD01
4F206JF23
4F206JL02
4F206JQ11
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL52
4F213WL74
(57)【要約】
【課題】材料供給機構に動作不良が発生した場合に、三次元造形装置による三次元造形物の造形や、射出成形装置による成形品の製造が中断されることを抑制する。
【解決手段】可塑化装置は、第1投入口及び第2投入口を有し、可塑化材料を貯留する材料貯留部と、前記可塑化材料が供給される供給口を有し、前記可塑化材料の少なくとも一部を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記第1投入口及び前記第2投入口と前記供給口とをつなぐ接続経路を有する接続管と、制御部と、を備え、前記材料貯留部は、前記第1投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第1供給機構と、前記第2投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第2供給機構と、を有し、前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構の少なくとも一方を制御して、前記可塑化材料を前記接続経路に供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1投入口及び第2投入口を有し、可塑化材料を貯留する材料貯留部と、
前記可塑化材料が供給される供給口を有し、前記可塑化材料の少なくとも一部を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、
前記第1投入口及び前記第2投入口と前記供給口とをつなぐ接続経路を有する接続管と、
制御部と、を備え、
前記材料貯留部は、
前記第1投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第1供給機構と、
前記第2投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第2供給機構と、を有し、
前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構の少なくとも一方を制御して、前記可塑化材料を前記接続経路に供給する、可塑化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可塑化装置であって、
前記第1供給機構は、前記可塑化材料が通る孔を有するスライド部材、及び、前記スライド部材をスライドさせるスライド駆動部、を有し、
前記制御部は、前記スライド駆動部を制御することで、前記可塑化材料が前記接続経路に供給される第1状態と、前記可塑化材料が前記接続経路に供給されない第2状態とに切り替え、
前記スライド部材の前記孔は、前記第1状態及び前記第2状態の両方の状態において、前記第1投入口に連通する、可塑化装置。
【請求項3】
請求項1に記載の可塑化装置であって、
前記材料貯留部は、前記第1投入口と前記第2投入口との間に、上方に向かって延びる仕切り板を有する、可塑化装置。
【請求項4】
請求項1に記載の可塑化装置であって、
前記第1供給機構は、前記可塑化材料が通る第1孔を有する第1スライド部材を有し、
前記第2供給機構は、前記可塑化材料が通る第2孔を有する第2スライド部材を有し、
前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材は、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材をスライドさせるスライド駆動部に、それぞれ付勢部材を介して、接続されている、可塑化装置。
【請求項5】
請求項1に記載の可塑化装置であって、
前記制御部は、前記第1投入口から前記可塑化材料を供給する動作の少なくとも一部と、前記第2投入口から前記可塑化材料を供給する動作の少なくとも一部が、重なるように前記第1供給機構と前記第2供給機構とを制御し、
前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構のうちの一方の供給機構の動作不良を検知した場合、動作不良を検知していない他方の供給機構による前記可塑化材料の供給量を多くする、可塑化装置。
【請求項6】
請求項1に記載の可塑化装置であって、
前記制御部は、前記第1投入口から前記可塑化材料を供給する動作と、前記第2投入口から前記可塑化材料を供給する動作とが、重ならないように前記第1供給機構と前記第2供給機構とを制御し、
前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構のうちの一方の供給機構に動作不良を検知した場合、動作不良を検知していない他方の供給機構による前記可塑化材料の供給頻度を高くする、可塑化装置。
【請求項7】
請求項1に記載の可塑化装置と、
ステージに向けて前記造形材料を吐出するノズルと、
を備える三次元造形装置。
【請求項8】
請求項1に記載の可塑化装置と、
成形型に前記造形材料を射出するノズルと、
を備える射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可塑化装置、三次元造形装置、及び、射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、射出成形装置や三次元造形装置に備えられた可塑化機構に材料を供給する材料供給機構が開示されている。この材料供給機構は、材料を収容する筐体と、筐体に収容され、筐体の内縁に沿って回転可能な回転部材とを備えている。回転部材には貫通孔が形成されている。回転部材が回転し、貫通孔と、可塑化機構に繋がる導入口とが連通した場合に、材料が貫通孔及び導入口を通って可塑化機構に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-36539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
材料供給機構に動作不良が発生した場合、三次元造形装置による三次元造形物の造形や、射出成形装置による成形品の製造が中断されてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、可塑化装置が提供される。この可塑化装置は、第1投入口及び第2投入口を有し、可塑化材料を貯留する材料貯留部と、前記可塑化材料が供給される供給口を有し、前記可塑化材料の少なくとも一部を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記第1投入口及び前記第2投入口と前記供給口とをつなぐ接続経路を有する接続管と、制御部と、を備え、前記材料貯留部は、前記第1投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第1供給機構と、前記第2投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第2供給機構と、を有し、前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構の少なくとも一方を制御して、前記可塑化材料を前記接続経路に供給する。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記可塑化装置と、ステージに向けて前記造形材料を吐出するノズルとを備える。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記可塑化装置と、成形型に前記造形材料を射出するノズルと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】可塑化装置を備える三次元造形装置の構成を示す概略図である。
図2】材料貯留部の具体的構成を示す斜視図である。
図3】材料供給機構の内部構造を示す斜視図である。
図4】材料供給機構の内部構造を模式的に示す第1の側断面図である。
図5】材料供給機構の平面構造を模式的に示す第1の平断面図である。
図6】材料供給機構の内部構造を模式的に示す第2の側断面図である。
図7】材料供給機構の平面構造を模式的に示す第2の平断面図である。
図8】接続管の構造を説明するための要部模式側断面図。
図9】接続管の構造を説明するための要部模式側断面図。
図10】制御部によって実行される材料供給処理のフローチャートである。
図11】供給機構駆動処理の第1の例を示すフローチャートである。
図12】供給機構駆動処理の第2の例を示すフローチャートである。
図13】可塑化部の構成を模式的に示す側断面図である。
図14】フラットスクリューの構成を示す概略斜視図である。
図15】バレルの構成を示す概略平面図である。
図16】第2実施形態における材料供給機構の内部構造を示す斜視図である。
図17】スライド駆動部をY負方向に見た側面図である。
図18】スライド駆動部をZ正方向に見た下面図である。
図19】第3実施形態における材料貯留部の内部構造を示す断面斜視図である。
図20】第4実施形態における射出成形装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、可塑化装置21を備える三次元造形装置1の構成を示す概略図である。図1には、互いに直交するX、Y、Z方向に沿った矢印が表されている。矢印の方向がそれぞれの方向の正方向であり、逆向きの方向が負方向である。正負を付さずにX方向、Y方向、Z方向というときは、正方向と負方向の両方の方向を含む。X方向及びY方向は、水平方向に沿った方向であり、Z方向は、鉛直方向に沿った方向である。重力方向はZ負方向である。
【0010】
三次元造形装置1は基台2を備える。基台2上には移動部としてのXYテーブル3が設置される。XYテーブル3は、Yテーブル4及びXテーブル5がこの順にZ正方向に重ねて設置されることで構成されている。XYテーブル3上にはステージ6が重ねて設置される。
【0011】
Yテーブル4はY軸モーター4a、ボールねじ、Y軸スケール等を備える。Yテーブル4はステージ6をY方向に移動させる。Xテーブル5はX軸モーター5a、ボールねじ、X軸スケール等を備える。Xテーブル5はステージ6をX方向に移動させる。
【0012】
三次元造形装置1は制御部7を備える。制御部7は、CPU及び記憶部を備えるコンピューターとして構成されている。CPUは、記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって、三次元造形装置1の各部を制御する。なお、制御部7は、回路によって構成されてもよい。
【0013】
制御部7は、Yテーブル4及びXテーブル5の移動を制御する。制御部7はY軸スケールが出力する情報によりステージ6のY方向の位置を認識する。制御部7はX軸スケールが出力する情報によりステージ6のX方向の位置を認識する。制御部7はステージ6を移動させる目標の位置と現在位置との差が無くなるようにYテーブル4及びXテーブル5を移動させる。制御部7はステージ6を移動させる目標の位置を順次変更することにより、ステージ6が移動する軌跡を制御する。
【0014】
基台2上にはX正方向側に移動部としての昇降テーブル8が設置される。昇降テーブル8は固定テーブル8aを備え、固定テーブル8aは基台2上に立脚される。固定テーブル8aのX正方向側の面にはレール8bが設置される。レール8bのX正方向側には移動テーブル8cが設置される。移動テーブル8cはレール8bに沿ってZ方向に移動する。
【0015】
固定テーブル8aのZ正方向側にはZ軸モーター8dが設置される。固定テーブル8aは内部にボールねじ及びZ軸スケールを備える。Yテーブル4及びXテーブル5と同様に制御部7は移動テーブル8cが移動する軌跡を制御する。移動部にはXYテーブル3及び昇降テーブル8が含まれる。
【0016】
移動テーブル8cのX正方向側にはユニット支持部9が設置される。ユニット支持部9のX正方向側には造形ユニット11が設置される。ユニット支持部9は造形ユニット11を支持する。造形ユニット11には材料貯留部12、接続管13、可塑化部14及び吐出部15がZ負方向に向かってこの順に設置される。
【0017】
材料貯留部12は、内部に空洞を有する容器16及び材料供給機構17を備える。容器16の内部には可塑化材料18が貯留される。「可塑化材料」とは、可塑化部14によって可塑化される材料のことをいう。本実施形態で用いる可塑化材料18は、樹脂ペレットである。樹脂ペレットは樹脂の塊である。樹脂ペレットの大きさは特に限定されないが、本実施形態では、例えば、5mmから20mmの範囲内である。材料供給機構17には、投入口120が備えられている。接続管13は、内部に接続経路13aを備える。材料供給機構17は、可塑化材料18を投入口120から接続経路13aに供給する。容器16は、第3窓16b及び第4窓16cを備える。第3窓16b及び第4窓16cはガラス等の透明な材質で形成される。第3窓16bは容器16のZ正方向側に配置される。第4窓16cは容器16のZ負方向側に配置される。第3窓16b及び第4窓16cを通して容器16内の可塑化材料18の残量が観察される。
【0018】
接続管13は、材料貯留部12の投入口120と接続されている。可塑化材料18は、自重により材料貯留部12内から接続管13内に移動する。接続管13は、可塑化部14と接続されている。可塑化部14は、投入口120に連通する供給口14aを有する。接続経路13aは、投入口120と供給口14aとをつなぐ。可塑化材料18は、接続管13から可塑化部14に供給される。なお、可塑化材料18の中には、熱可塑性材料の他に金属、セラミック等のその他の材料が含まれていてもよい。また、可塑化材料18の中に金属粉やセラミック粉等が含まれている場合には、可塑化部14では可塑化材料18の全てが可塑化するわけではないため、可塑化部14では可塑化材料18のうちの少なくとも一部が可塑化される。
【0019】
可塑化部14は、可塑化材料18の少なくとも一部を可塑化する。「可塑化」とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。可塑化部14は、可塑化材料18を可塑化させて造形材料19を生成する。材料貯留部12、接続管13、可塑化部14及び制御部7等により可塑化装置21が構成される。
【0020】
可塑化部14は、吐出部15と接続されている。吐出部15は、ノズル22を備える。ステージ6は造形面6aを有する。ステージ6のノズル22側の面が造形面6aである。ノズル22は、可塑化装置21から供給された造形材料19をステージ6の造形面6aに向かって吐出する。ステージ6の造形面6aは、ノズル22から吐出された造形材料19を受ける。ノズル22が造形材料19を吐出する間に、制御部7が、XYテーブル3を駆動してステージ6をX方向及びY方向に移動させる。これにより、三次元造形装置1はステージ6上に所定のパターンの層を形成する。
【0021】
次に、昇降テーブル8が造形ユニット11をZ正方向に所定の距離だけ移動させる。三次元造形装置1は、1層目の層に重ねて2層目の層を形成する。更に、3層目以降の層を順次重ねて形成することにより、三次元造形装置1は立体的な三次元造形物20を造形する。
【0022】
可塑化部14は、材料貯留部12の重力方向の下方に配置される。昇降テーブル8は、可塑化部14及び材料貯留部12をステージ6に対して相対的に移動させる。昇降テーブル8は、材料貯留部12を可塑化部14の移動に連動させて移動させる。この構成によれば、可塑化部14と材料貯留部12とが連動して移動するので、可塑化部14及び材料貯留部12が移動するときに接続管13が変形することが抑制される。従って、接続管13が変形するときに比べて、接続管13を短くすることができる。
【0023】
XYテーブル3は、造形面6aを造形面6aに沿った方向に移動させる。昇降テーブル8は、可塑化部14及び材料貯留部12を、造形面6aに垂直な方向に移動させる。この構成によれば、可塑化部14及び材料貯留部12は、重力方向及び重力方向の逆方向に移動する。可塑化部14及び材料貯留部12は慣性が大きいため、可塑化部14及び材料貯留部12を重力加速度方向と直交する平面に沿って移動させるときに比べて、早く移動させることができる。
【0024】
接続経路13aの可塑化部14側には、第1材料センサー23及び第2材料センサー24が設置される。第1材料センサー23及び第2材料センサー24は、接続経路13a内の可塑化材料18の残量を検出する。第2材料センサー24は、第1材料センサー23と投入口120との間に配置される。第1材料センサー23及び第2材料センサー24が可塑化材料18を検出する方式は特に限定されないが、本実施形態では例えば光学式を採用している。
【0025】
可塑化装置21は、材料貯留部12と可塑化部14との間に送風部25を備える。送風部25は、ユニット支持部9に設置される。送風部25は、可塑化部14及び接続管13と連動して昇降する。送風部25は、送風ファン26及び送風ノズル27を備える。送風ファン26が空気を流動させて送風ノズル27に送風する。送風ノズル27は第1材料センサー23に向けて設置される。送風部25は送風ノズル27から第1材料センサー23に向けて送風する。この構成によれば、第1材料センサー23に付着する粉末状の可塑化材料18や塵を吹き飛ばすことができる。そして、第1材料センサー23の感度が低下することを抑制できる。送風は連続して行ってもよく、所定の間隔を開けて行ってもよい。
【0026】
送風部25は、第2材料センサー24に向けて送風する送風ノズル27を備えてもよい。第2材料センサー24に付着する粉末状になった可塑化材料18や塵を吹き飛ばすことができる。そして、第2材料センサー24の感度が低下することを抑制できる。なお、送風ノズル27と、第1材料センサー23或いは第2材料センサー24との間に可塑化材料18があるときにも、送風部25は第1材料センサー23或いは第2材料センサー24に向けて送風してもよい。
【0027】
送風ファン26は、内部にイオナイザー28を備える。イオナイザー28は正又は負の電荷を有する気体を生成する。気体の電荷を正にするか負にするかは設定可能である。イオナイザー28は正と負との電荷を交互に生成することもできる。送風部25は電荷を有する気体を送風する。この構成によれば、第1材料センサー23に粉末状になった可塑化材料18や塵が静電気により付着するときに、除電して粉末状になった可塑化材料18や塵を除去し易くすることができる。
【0028】
図2は、材料貯留部12の具体的構成を示す斜視図である。材料貯留部12は、材料供給機構17を備える。材料供給機構17は、ガイドケース29を備える。ガイドケース29の内部は空洞になっている。ガイドケース29の内部には、後述するように、複数のスライド部材が配置される。ガイドケース29は、蓋部291と、底部292とを備える。蓋部291には、ボルトによって容器16が固定されている。蓋部291と底部292とは、連結装置293によって連結されている。蓋部291には取っ手294が設けられている。操作者は、連結装置293による蓋部291と底部292との連結状態を解除しつつ取っ手294を持って蓋部291を持ち上げることで、容器16と共に蓋部291を持ち上げることができる。こうすることにより、操作者は、ガイドケース29内に配置されたスライド部材のメンテナンスを行うことができる。
【0029】
図3は、材料供給機構17の内部構造を示す斜視図である。図4は、材料供給機構17の内部構造を模式的に示す第1の側断面図である。図3に示すように、材料供給機構17は、第1供給機構171と第2供給機構172とを備える。第1供給機構171は、第1スライド部材173と、第1スライド部材173をスライドさせる第1スライド駆動部174とを備える。第2供給機構172は、第2スライド部材175と、第2スライド部材175をスライドさせる第2スライド駆動部176とを備える。図4には、第1供給機構171及び第2供給機構172のうち、第1供給機構171の断面を示している。第1スライド部材173及び第2スライド部材175は、それぞれ、所定量の可塑化材料を、接続経路13aを通じて可塑化部14に供給する材料切出板として機能する。第1スライド部材173及び第2スライド部材175は、それぞれ、ガイドケース29の内部をX方向に摺動して往復移動する。以下において、第1スライド部材173と第2スライド部材175とを区別しないときには、単に、スライド部材と呼ぶ。第1スライド駆動部174と第2スライド駆動部176とを区別しないときは、単に、スライド駆動部と呼ぶ。
【0030】
図4に示すように、ガイドケース29は、容器16側の面、すなわち上面に材料入口16aを備える。ガイドケース29は、接続管13側の面、すなわち下面に投入口120を備える。投入口120は、材料入口16aよりもX正方向側に位置している。そのため、材料入口16aから投入口120に、直接的に可塑化材料18が落下することがない。第1実施形態において、材料入口16aは、第1供給機構171及び第2供給機構172に対して共通して設けられている。つまり、容器16内の可塑化材料18は、1つの材料入口16aから、第1供給機構171及び第2供給機構172の両方に供給される。これに対して、投入口120は、第1供給機構171及び第2供給機構172に対してそれぞれ個別に設けられている。具体的には、図3に示すように、第1供給機構171に対応するように、第1投入口121が設けられており、第2供給機構172に対応するように、第2投入口122が設けられている。
【0031】
図5は、材料供給機構17の平面構造を模式的に示す第1の平断面図である。図5は、図4をAA線から見た図である。図6は、材料供給機構17の内部構造を模式的に示す第2の側断面図である。図7は、材料供給機構17の平面構造を模式的に示す第2の平断面図である。図7は、図6をAA線から見た図である。第1実施形態では、第1供給機構171の構造及び第2供給機構172の構造は同じである。つまり、第1スライド部材173の構造と第2スライド部材175の構造は同じである。また、第1スライド駆動部174の構造と第2スライド駆動部176の構造は同じである。そのため、以下では、図4図7を参照して、主に第1スライド部材173及び第1スライド駆動部174の構造及び動作を説明し、第2供給機構172の第2スライド部材175及び第2スライド駆動部176の詳細な説明は省略する。
【0032】
図5,7に示すように、第1スライド部材173は、可塑化材料が通る孔31aを備える。孔31aは、第1スライド部材173をZ方向に貫く。第1スライド部材173に設けられた孔31aのことを、第1孔という。第2スライド部材175に設けられた孔31aのことを、第2孔という。本実施形態では、第1スライド部材173は、孔31aが形成されることで、Z負方向に見て、略U字状の形状を有している。孔31aのX負方向側の側面は、Z負方向に見て、半円弧状に湾曲している。孔31aのX正方向側の側面は、開放されている。ガイドケース29内において、孔31aは、第1スライド部材173の孔31aを除く部分と、ガイドケース29の内面とによって区画される。図3に示すように、ガイドケース29のX正方向側の側面には、第1スライド部材173がX正方向に移動したときに、第1スライド部材173のX正方向側の端部が外部に突出可能な孔が形成されている。
【0033】
図4,6に示すように、ガイドケース29のZ負方向側には、第1スライド部材173をスライドさせる第1スライド駆動部174が設置される。本実施形態の第1スライド駆動部174は、エアーシリンダーによって構成されている。第1スライド駆動部174は、内部にピストンロッド32aを備える。ピストンロッド32aはX方向に往復移動する。ピストンロッド32aの一端は、第1スライド部材173に固定される。ピストンロッド32aの一端が第1スライド部材173に固定されることで、第1スライド部材173の往復移動はピストンロッド32aの往復移動と連動する。
【0034】
第1スライド駆動部174は、X負方向側に第1空気圧ポート32bを備える。第1スライド駆動部174は、X正方向側に第2空気圧ポート32cを備える。第1空気圧ポート32bに圧縮空気が供給されるとき、ピストンロッド32a及び第1スライド部材173はX正方向に移動する。第2空気圧ポート32cに圧縮空気が供給されるとき、ピストンロッド32a及び第1スライド部材173はX負方向に移動する。
【0035】
第1空気圧ポート32b及び第2空気圧ポート32cとは図示しない配管により電磁弁に連結される。電磁弁には圧縮空気を供給する配管が接続される。制御部7は、電磁弁を制御して、第1空気圧ポート32b及び第2空気圧ポート32cの一方に圧縮空気を供給する。このようにして、制御部7は第1スライド部材173の移動方向を制御する。
【0036】
ピストンロッド32aには磁石片32dが設置される。第1スライド駆動部174は、第1空気圧ポート32b側に第1シリンダーセンサー32eを備える。第1スライド駆動部174は、第2空気圧ポート32c側に第2シリンダーセンサー32fを備える。第1スライド部材173がX正方向側に移動するとき、第1シリンダーセンサー32eが磁石片32dを検出する。第1スライド部材173がX正方向側に移動するとき、第2シリンダーセンサー32fが磁石片32dを検出する。従って、第1シリンダーセンサー32e及び第2シリンダーセンサー32fは第1スライド部材173がX正方向側に位置するか、X正方向側に位置するか、中間点に位置するか、を検出する。
【0037】
上述したように、本実施形態では、第1スライド駆動部174及び第2スライド駆動部176は、エアーシリンダーによって構成されているが、これらは電動アクチュエーターによって構成されてもよい。
【0038】
図4には、第1スライド部材173の第1状態を示している。第1状態では、第1スライド部材173はX正方向に位置する。図5には、第1状態における第1スライド部材173の位置と材料入口16a及び投入口120の位置関係が示されている。図5では、第1スライド部材173に右下がりのハッチングが施されている。Z負方向に見て、第1状態では、第1スライド部材173がX正方向に移動している。そのため、孔31aの中の可塑化材料18の一部が接続管13へと押し出され、投入される。つまり、第1状態では材料貯留部12内の可塑化材料18が接続管13の接続経路13aに供給される。なお、図5では、第2スライド部材175も第1状態となっている。
【0039】
孔31aはX負方向側の側面が斜面31gになっている。斜面31gとX方向とが成す角度は25度以上35度以下が好ましい。この角度は安息角とよび、可塑化材料18が斜面31gで滑らない角度である。斜面31gの角度が安息角のとき、可塑化材料18が孔31a内に留まるので、可塑化材料18は材料入口16aから投入口120へ連続して流動しない。更に、可塑化材料18が材料入口16aと斜面31gとの間で詰まることを抑制できる。
【0040】
第2空気圧ポート32cから第1スライド駆動部174に圧縮空気が供給されると、図6及び図7に示すように、ピストンロッド32aがX負方向に移動し、これに連動して、第1スライド部材173がX負方向に移動する。第1スライド部材173がX負方向に位置する状態を第2状態とする。図7では、第1スライド部材173に右下がりのハッチングが施されている。Z負方向に見て、第2状態では、第1スライド部材173の斜面31gの位置が、第1状態よりもX負方向側にある。この第2状態では、材料貯留部12内の可塑化材料18が接続管13へと投入されない。つまり、第2状態では材料貯留部12内の可塑化材料18が接続管13の接続経路13aに供給されない。なお、図7では、第2スライド部材175は第1状態となっている。
【0041】
本実施形態では、図5及び図7に示すように、第1スライド部材173の孔31aは、第1状態及び第2状態の両方の状態において、第1投入口121に連通する。つまり、第1スライド部材173の孔31aの大きさは、第1状態及び第2状態の両方の状態において、第1投入口121に連通する大きさである。
【0042】
図7に示すように、Z負方向に見て、第2状態では材料入口16aと孔31aとが重なる面積が、図5に示した第1状態より広くなる。そのため、材料入口16aから可塑化材料18が排出され易くなり、孔31aの空洞となった部分に可塑化材料18が投入される。制御部7は、第1スライド駆動部174を駆動して第1状態と第2状態とを交互に切り替える。第1スライド部材173が一往復するとき、所定量の可塑化材料18が第1投入口121から接続経路13aへ投入される。制御部7は、第1スライド部材173を往復させる回数や第1スライド部材173の往復移動量を制御することにより、接続経路13aへ投入される可塑化材料18の量を制御する。
【0043】
上述した第1シリンダーセンサー32e及び第2シリンダーセンサー32fは、第1スライド部材173の可塑化材料18の噛みこみを検知する噛みこみ検知センサーとしても機能する。第1スライド部材173がX正方向に移動するとき、第1スライド部材173とガイドケース29との間に可塑化材料18が挟まることを噛みこみという。噛みこみが生じたとき、第2シリンダーセンサー32fは磁石片32dを検出しない。第2シリンダーセンサー32fが磁石片32dを検出しないとき、制御部7は、噛みこみが生じたと判断する。そして、制御部7は、第1スライド駆動部174を駆動して第1スライド部材173をX負方向に移動させる。このように、第2シリンダーセンサー32fが可塑化材料18の噛みこみを検知した場合、第1スライド駆動部174は、第1スライド部材173を逆方向にスライドさせる復帰動作を行う。
【0044】
第1スライド部材173がX負方向に移動するとき、第1スライド部材173とガイドケース29との間に可塑化材料18が挟まることも噛みこみという。この噛みこみが生じたとき、第1シリンダーセンサー32eは磁石片32dを検出しない。第1シリンダーセンサー32e所定時間経過しても磁石片32dを検出しないとき、制御部7は噛みこみが生じたと判断する。そして、制御部7は第1スライド駆動部174を駆動して第1スライド部材173をX正方向に移動させる。このように、第1シリンダーセンサー32eが可塑化材料18の噛みこみを検知した場合、第1スライド駆動部174は第1スライド部材173を逆方向にスライドさせる復帰動作を行う。
【0045】
このように、第1シリンダーセンサー32e及び第2シリンダーセンサー32fが可塑化材料18の噛みこみを検知した場合、第1スライド駆動部174が第1スライド部材173をスライドさせることで、可塑化材料18の噛みこみが解消される。従って、操作者の介在なしに、可塑化材料18の噛みこみを解消できる。
【0046】
なお、第1スライド駆動部174を電動アクチュエーターによって構成する場合には、制御部7は、電動アクチュエーターを構成する電動モーターの回転角度を監視し、駆動電力を印加しているにもかかわらず回転角度が変化しない場合に、噛みこみが発生したと判断することができる。
【0047】
図3及び図4に示すように、本実施形態の材料供給機構17は、更に、シャッター機構177を備えている。シャッター機構177は、投入口120を塞ぐための機構である。シャッター機構177は、ガイドケース29の蓋部291と底部292の間に形成された隙間を通じて、ガイドケース29の内部から外部に向けてX正方向に延出する板状の形状を有している。シャッター機構177の、ガイドケース29の外部に延出した部分には、シャッター機構をガイドケース29の内部に向けて押し込んだり、ガイドケース29の内部から引き出したりするための操作部178が設けられている。操作者は、取っ手294を用いて容器16及び蓋部291を持ち上げる前に、シャッター機構177を操作して投入口120を塞ぐことで、容器16内に残存した可塑化材料が接続管13に意図せずに落下することを防止することができる。
【0048】
図8及び図9は、接続管13の構造を説明するための要部模式側断面図である。図8に示すように、第1材料センサー23は、第1発光部23a及び第1受光部23bがY方向に対向して配置されることで構成される。接続管13における可塑化材料18が減少するとき、第1発光部23aと第1受光部23bとの間から可塑化材料18が無くなり、第1受光部23bは第1発光部23aが発光する光を検出する。このとき、接続管13の内部に存在する可塑化材料18の残量が第1基準値である。第1材料センサー23は可塑化材料18の残量が第1基準値未満であることを検出する。第1材料センサー23によって検出される可塑化材料18の残量が第1基準値未満であるとき、制御部7は、材料供給機構17を動作させて、可塑化材料18を接続経路13aに供給する。
【0049】
接続管13は透明部材としての第1窓33及び透明部材としての第2窓34を備える。第1窓33及び第2窓34はガラス等の透明部材で構成される。従って、接続管13の内部の様子が視認可能になっている。このように、接続管13の少なくとも一部は透明部材で構成されている。この構成によれば、操作者が接続経路13a内に保有される可塑化材料18の残量を確認できる。
【0050】
図9に示すように、第1材料センサー23と投入口120との間に第2材料センサー24が配置される。第2材料センサー24は、第2発光部24a及び第2受光部24bがY方向に対向して配置されることで構成される。材料供給機構17が接続経路13aに可塑化材料18を供給すると、接続経路13a内に可塑化材料18が徐々に増える。第2発光部24aと第2受光部24bとの間に可塑化材料18が無いとき、第2受光部24bは第2発光部24aが発光する光を検出する。第2発光部24aと第2受光部24bとの間に可塑化材料18が有るとき、第2受光部24bは第2発光部24aが発光する光を検出しない。第2材料センサー24まで可塑化材料18が供給されるときに、接続管13の内部に存在する可塑化材料18の残量が第2基準値である。第2材料センサー24は可塑化材料18の残量が第2基準値に達したことを検出する。
【0051】
第1材料センサー23において、第1発光部23aが発光する光を第1受光部23bが検出するとき、制御部7は第1材料センサー23が出力する信号を受信して、可塑化材料18の残量が第1基準値より減少したと判定する。このとき、第2材料センサー24まで可塑化材料18は達していない。第2材料センサー24では第2発光部24aが発光する光を第2受光部24bが検出する。制御部7は材料供給機構17を動作させて、接続経路13aに可塑化材料18を供給する。
【0052】
第2材料センサー24において、第2発光部24aが発光する光を第2受光部24bが検出しないとき、制御部7は第2材料センサー24が出力する信号を受信して、可塑化材料18の残量が第2基準値に達したと判定する。制御部7は材料供給機構17の動作を停止させて、接続経路13aへの可塑化材料18の供給を停止する。
【0053】
このように、第1材料センサー23によって検出される可塑化材料18の残量が第1基準値未満であるとき、第2材料センサー24が検出する第2基準値まで材料供給機構17は可塑化材料18を供給する。
【0054】
図10は、制御部7によって実行される材料供給処理のフローチャートである。この材料供給処理は、三次元造形装置1において三次元造形物20の造形が行われている間に繰り返し実行される。
【0055】
ステップS10において、制御部7は、第1材料センサー23からの出力信号に基づき、可塑化材料18の残量が、第1基準値未満であるか否かを判定する。可塑化材料18の残量が、第1基準値未満であると判定した場合、制御部7は、ステップS20において、供給機構駆動処理を実行し、材料供給機構17から接続経路13aに対して、可塑化材料18の供給を行う。供給機構駆動処理の詳細については後述する。ステップS10において、可塑化材料18の残量が、第1基準値未満ではないと判定した場合、制御部7は、ステップS10の処理を繰り返し実行する。
【0056】
ステップS30において、制御部7は、第2材料センサー24からの出力信号に基づき、可塑化材料18の残量が、第2基準値以上であるか否かを判定する。可塑化材料18の残量が、第2基準値以上であると判定した場合、制御部7は、ステップS40において、供給機構駆動処理の実行を停止させることにより、材料供給機構17の駆動を停止させる。ステップS30において、可塑化材料18の残量が、第2基準値以上ではないと判定した場合、制御部7は、処理をステップS20に戻して、供給機構駆動処理を継続する。
【0057】
図11は、上記ステップS20で実行される供給機構駆動処理の第1の例を示すフローチャートである。ステップS202において、制御部7は、第1供給機構171と第2供給機構172とのうち、いずれか一方の供給機構に噛みこみ等の動作不良が生じたか否かを判断する。いずれか一方の供給機構に動作不良が発生していないと判断した場合、制御部7は、ステップS204において、第1供給機構171と第2供給機構172とを同時に駆動する。「同時に駆動する」とは、第1投入口121から可塑化材料18を供給する動作の少なくとも一部と、第2投入口122から可塑化材料18を供給する動作の少なくとも一部が重なるように、第1供給機構171と第2供給機構172とを制御することをいう。具体的には、制御部7は、第1スライド部材173がX正方向に位置するときに、第2スライド部材がX正方向に位置し、第1スライド部材がX負方向に位置するときに、第2スライド部材がX負方向に位置するように、第1スライド駆動部174と第2スライド駆動部176とを駆動する。こうすることにより、第1供給機構171及び第2供給機構172から可塑化材料18が、ほぼ同じタイミングで接続経路13aに供給される。
【0058】
ステップS202において、一方の供給機構に動作不良が生じたと判断した場合、制御部7は、ステップS206において、他方の供給機構による可塑化材料18の供給量が多くなるように、他方の供給機構を駆動する。具体的には、スライド部材の孔31aに対する可塑化材料18の投入量が多くなるように、スライド部材の移動量を調整する。こうすることで、制御部7は、動作不良が生じた一方の供給機構による可塑化材料の供給量を補償するように、他方の供給機構による可塑化材料の供給量を多くする。続いて、制御部7は、ステップS208において、動作不良を検知した供給機構に、上述した復帰動作を行わせる。
【0059】
図12は、上記ステップS20で実行される供給機構駆動処理の第2の例を示すフローチャートである。図12では、図11と同じ処理内容に対しては同じステップ番号を付している。制御部7は、図10に示したステップS20において、図11に示す供給機構駆動処理と図12に示す供給機構駆動処理のいずれか一方を実行する。
【0060】
図12のステップS202において、制御部7は、第1供給機構171と第2供給機構172とのうち、いずれか一方の供給機構に噛みこみ等の動作不良が生じたか否かを判断する。いずれか一方の供給機構に動作不良が発生していないと判断した場合、制御部7は、ステップS204aにおいて、第1供給機構171と第2供給機構172とを交互に駆動する。「交互に駆動する」とは、第1投入口121から可塑化材料18を供給する動作と、第2投入口122から可塑化材料18の供給する動作とが、重ならないように第1供給機構171と第2供給機構172とを制御することをいう。具体的には、制御部7は、第1スライド部材173がX正方向に位置するときに、第2スライド部材がX負方向に位置し、第1スライド部材がX負方向に位置するときに、第2スライド部材がX正方向に位置するように、第1スライド駆動部174と第2スライド駆動部176とを駆動する。こうすることにより、第1供給機構171及び第2供給機構172から可塑化材料18が交互に接続経路13aに供給される。
【0061】
ステップS202において、一方の供給機構に動作不良が生じたと判断した場合、制御部7は、ステップS206aにおいて、他方の供給機構による可塑化材料18の供給頻度が高くなるように、他方の供給機構を駆動する。具体的には、供給機構の往復速度を高め、単位時間当たりの往復回数を増加させる。こうすることで、制御部7は、動作不良が生じた一方の供給機構による可塑化材料の供給量を補償するように、他方の供給機構による可塑化材料の供給量を多くする。続いて、制御部7は、ステップS208において、動作不良を検知した供給機構に、上述した復帰動作を行わせる。
【0062】
図10図12を用いて説明した材料供給処理を実行することにより、制御部7は、第1材料センサー23、第2材料センサー24及び材料供給機構17を用いて、第2基準値まで可塑化材料18を供給できる。
【0063】
本実施形態では、第1基準値及び第2基準値として、ブリッジ現象が生じない量を設定する。ブリッジ現象とは、可塑化材料18自身の重みによって、可塑化材料18同士が互いに干渉して詰まる現象をいう。ブリッジ現象が生じない量は、予めシミュレーションや実験を行うことで定めることができる。本実施形態によれば、可塑化材料18の供給量と残量とを加算した量が第2基準値になるまで可塑化材料18を投入できるので、少量の可塑化材料18を多くの回数供給するときに比べての供給頻度を減らすことができる。
【0064】
図13は、可塑化部14の構成を模式的に示す側断面図である。可塑化部14はスクリューケース35を備える。スクリューケース35は内部が空洞になっている。スクリューケース35のZ正方向側にはモーター36が設置される。モーター36の回転角度、回転速度、回転を開始するタイミング及び回転を停止するタイミングは、制御部7が制御する。
【0065】
モーター36の回転軸36aには減速装置37が接続される。回転軸36aが高速回転するとき、減速装置37の外周側が減速された低速で回転する。減速装置37は低速回転する外周側が出力軸37aとなる。減速装置37の外周側にはベアリング38が設置される。ベアリング38はスクリューケース35と減速装置37との間に配置される。ベアリング38は減速装置37を回転可能に支持する。
【0066】
減速装置37の出力軸37aにスクリュー支持部39が設置される。スクリュー支持部39にフラットスクリュー41が設置される。フラットスクリュー41は出力軸37aと同期して回転する。フラットスクリュー41はモーター36によって回転する。フラットスクリュー41の回転中心であるスクリュー回転中心41dはモーター36の回転中心であるモーター回転中心36bと同軸である。
【0067】
図14は、フラットスクリュー41の構成を示す概略斜視図である。フラットスクリュー41は螺旋状の溝41bが形成された溝形成面41aを有する。フラットスクリュー41は、回転軸36a方向の大きさが、回転軸36a方向と直交する方向の大きさよりも小さい略円柱形状を有している。図示の例では、渦状の溝41bが1つ設けられている。溝41bの数は、特に限定されない。図示はしないが、溝41bは、2つ以上設けられていてもよい。溝41bの形態は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよい。また、溝41bは、中央部から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0068】
図13に示すように、スクリューケース35は減速装置37、スクリュー支持部39及びフラットスクリュー41を収容する。スクリューケース35は接続管13と接続する供給路35aを備える。供給路35aは接続管13からフラットスクリュー41まで続く。供給路35aのフラットスクリュー41側の開口が通過口35bである。スクリューケース35にはフラットスクリュー41に向かって可塑化材料18が通過する通過口35bが備えられる。
【0069】
フラットスクリュー41のZ負方向側にはバレル42が設置される。スクリューケース35のZ負方向側にはバレル42を収容するバレルケース43が設置される。フラットスクリュー41はバレル42に対して回転する。
【0070】
バレル42は、フラットスクリュー41の溝形成面41aに対向する対向面42aを有する。バレル42の内部には溝41bと対向する場所にヒーター44が設置される。ヒーター44は溝形成面41aと対向面42aとの間に供給された可塑化材料18を加熱する。加熱された可塑化材料18は可塑化して造形材料19になる。バレル42には可塑化材料18が可塑化した造形材料19が流入する連通孔45が設けられる。
【0071】
図15は、バレル42の構成を示す概略平面図である。バレル42の対向面42aにおける連通孔45の周りには、複数の案内溝46が形成されている。それぞれの案内溝46は、一端が連通孔45に接続され、連通孔45から対向面42aの外周に向かって渦状に延びている。各案内溝46は、造形材料19を連通孔45に導く。なお、案内溝46は一端が連通孔45に接続されていなくてもよい。また、案内溝46は、対向面42aに形成されていなくてもよい。
【0072】
図13に示すように、フラットスクリュー41における溝41bの深さはスクリュー回転中心41dに近い方が外周側より浅い。このため、溝41bの断面積はスクリュー回転中心41dに近い方が外周側より小さくなる。溝41b内の造形材料19はスクリュー回転中心41d側の圧力が高くなり、連通孔45に押し出される。フラットスクリュー41は造形材料19を移動させるポンプとして機能する。
【0073】
本実施形態では、可塑化部14がフラットスクリュー41及びバレル42で構成される構成であるため、可塑化部14がインラインスクリューで構成される構成に比べて、可塑化部14を小型にできる。
【0074】
以上で説明した第1実施形態によれば、可塑化装置21は、第1供給機構171と第2供給機構172とを備えているので、一方の供給機構に動作不良が発生した場合でも、他方の供給機構から可塑化材料18を供給できる。この結果、三次元造形装置1による三次元造形物20の造形が中断されることを抑制できる。
【0075】
また、本実施形態では、可塑化材料18が接続経路13aに供給される第1状態と、可塑化材料18が前記接続経路13aに供給されない第2状態との両方の状態において、スライド部材に設けられた孔31aが、投入口120に連通する。そのため、スライド部材をX正方向にスライドさせた場合と、X負方向にスライドさせた場合のどちらの場合にもスライド部材がX方向に投入口120を跨ぐように移動しない。この結果、スライド部材に可塑化材料18が噛みこむことを効果的に抑制できる。特に、本実施形態では、孔31aのX負方向側の側面が、円弧状に形成されているので、スライド部材をX正方向にスライドさせた場合に、孔31aの角部に可塑化材料18が噛みこみを抑制できる。また、孔31aのX正方向側が開放されているので、スライド部材をX負方向にスライドさせた際に噛みこみが生じることがない。
【0076】
また、本実施形態では、図11及び図12に示した供給機構駆動処理において、一方の供給機構に動作不良が生じた場合に、他方の供給機構による可塑化材料18の供給量を多くしたり、供給の頻度を高めたりする。そのため、可塑化部14に対する可塑化材料18の供給が不足することを抑制できる。
【0077】
B.第2実施形態:
上述した第1実施形態において、材料供給機構17に備えられた第1スライド部材173は、第1スライド駆動部174に接続され、第2スライド部材175は、第2スライド駆動部176に接続されている。つまり、各スライド部材に対して、個別にスライド駆動部が接続されている。これに対して、第2実施形態では、第1スライド部材173及び第2スライド部材175は、第1スライド部材173及び第2スライド部材175の両方をスライドさせる1つのスライド駆動部に接続される。第2実施形態における材料供給機構17以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0078】
図16は、第2実施形態における材料供給機構17Bの内部構造を示す斜視図である。図16ではガイドケース29の図示を省略している。図17は、スライド駆動部190をY負方向に見た側面図である。図18は、スライド駆動部190をZ正方向に見た下面図である。図16に示すように、材料供給機構17Bは、第1スライド部材173、第2スライド部材175及びスライド駆動部190を備える。
【0079】
本実施形態のスライド駆動部190は、電動スライダーによって構成されている。図16図18に示すように、スライド駆動部190は、モーター191、ボールねじ192、テーブル193を備える。モーター191は、ボールねじ192を駆動し、ボールねじ192にボールねじナットを介して結合されたテーブル193を、テーブルガイド194に沿って往復移動させる。図16図18では、ボールねじ192が、伸縮可能なカバー195によって覆われている。
【0080】
テーブル193にはベース部材180が固定されている。ベース部材180の下端は、Y負方向を向く面と、Y正方向を向く面とを備えている。Y負方向を向く面には、X方向に沿って延びる第1シャフト183の両端が固定されており、Y正方向を向く面には、X方向に沿って延びる第2シャフト184の両端が固定されている。
【0081】
第1シャフト183は、第1スライド部材173に連結される第1連結部材185の端部を支持している。第1連結部材185の端部には、X方向に沿って貫通孔が設けられている。第1シャフト183は、その貫通孔を通る。第1シャフト183には、第1連結部材185の端部よりもX負方向側及びX正方向側の両方に、付勢部材としてのバネ186が配置されてる。付勢部材は、バネに限らず、弾性ゴムであってもよい。第1スライド部材173及び第1連結部材185は、ベース部材180の下面に設けられた第1ガイド197にガイドされながら、第1シャフト183に沿って、バネ186の反力を受けつつ、ベース部材180に対してX方向に相対的に移動可能である。
【0082】
第2シャフト184は、第2スライド部材175に連結される第2連結部材187の端部を支持している。第2連結部材187の端部には、X方向に沿って貫通孔が設けられている。第2シャフト184は、その貫通孔を通る。第2シャフト184には、第2連結部材187の端部よりもX負方向側及びX正方向側の両方に、付勢部材としてのバネ188が配置されてる。第2スライド部材175及び第2連結部材187は、ベース部材180の下面に設けられた第2ガイド198にガイドされながら、第2シャフト184に沿って、バネ188の反力を受けつつ、ベース部材180に対してX方向に相対的に移動可能である。
【0083】
制御部7は、モーター191を制御してテーブル193を移動させると、テーブル193に固定されたベース部材180もテーブル193と共に移動する。ベース部材180には、バネ186を介して第1連結部材185が結合され、また、バネ188を介して第2連結部材187が結合されている。そのため、ベース部材180が移動すると、第1連結部材185に接続された第1スライド部材173と、第2連結部材187に接続された第2スライド部材175とが、同時に同じ方向に移動する。このとき、第1スライド部材173と第2スライド部材175のいずれかに噛みこみが発生すると、噛みこみが生じたスライド部材に接続された連結部材の端部を挟むバネが伸縮する。このバネの伸縮によって、噛みこみが生じていないスライド部材のスライド移動を許容しつつ、噛みこみが生じたスライド部材の移動を停止させることができる。
【0084】
以上で説明した第2実施形態によれば、1つのスライド駆動部190で第1スライド部材173と第2スライド部材175とを駆動することができる。また、一方のスライド部材に噛みこみ等による動作不良が発生した場合にも、1つのスライド駆動部190によって他方のスライド部材を駆動できるので、噛みこみが発生していないスライド部材を用いて可塑化材料18の供給を継続することができる。この結果、三次元造形装置1による三次元造形物20の造形が中断されることを抑制できる。
【0085】
なお、第2実施形態では、スライド駆動部190を電動スライダーによって構成している。これに対して、スライド駆動部190は、テーブル付きのエアーシリンダーによって構成してもよい。
【0086】
C.第3実施形態:
上述した第1実施形態では、第1供給機構171及び第2供給機構172には、材料貯留部12の容器16から同じ可塑化材料18が投入される。これに対して、第3実施形態では、第1供給機構171及び第2供給機構172に対して、異なる可塑化材料18が投入可能である。第3実施形態における材料貯留部12以外の構成は第1実施形態と同じである。
【0087】
図19は、第3実施形態における材料貯留部12Cの内部構造を示す断面斜視図である。材料貯留部12Cは、内部に、第1投入口121と第2投入口122との間に、上方に向かって延びる仕切り板160を有する。仕切り板160は、着脱可能であってもよい。仕切り板160の下端の位置は、第1スライド部材173及び第2スライド部材175の上面の位置と略等しい。これにより、材料貯留部12Cの容器16内は、仕切り板160を挟んで、第1収容室161と第2収容室162とに分離される。
【0088】
第1収容室161と第2収容室162とには、組成の異なる可塑化材料や色の異なる可塑化材料が収容可能である。例えば、第1収容室161には、三次元造形物20の本体の造形に用いる可塑化材料を収容し、第2収容室162には、三次元造形物20のオーバーハングをサポートするための可塑化材料を収容してもよい。
【0089】
以上で説明した第3実施形態によれば、一方の供給機構に動作不良が生じた場合でも、他方の供給機構から異なる可塑化材料を可塑化部14に供給することができる。そのため、異なる可塑化材料を用いて、三次元造形物20の造形を継続できる。また、供給機構に動作不良が生じていない場合には、異なる可塑化材料を可塑化部14に供給することができ、材料の切り替えを容易に行うことができる。
【0090】
D.第4実施形態:
上述した第1実施形態では、可塑化装置21が三次元造形装置1に備えられている。これに対して、第4実施形態では、可塑化装置51が射出成形装置50に備えられる。
【0091】
図20は、射出成形装置50の構成を示す概略図である。射出成形装置50は、可塑化装置51と、射出制御機構52と、ノズル53と、成形型54と、型締装置55とを備えている。可塑化装置51には第1~3実施形態のいずれかの可塑化装置21が用いられる。
【0092】
可塑化装置51は、フラットスクリュー56と、バレル57とを有する。バレル57の連通孔58には、射出シリンダー59が接続されている。可塑化装置51は、制御部61の制御下で、フラットスクリュー56の溝部62に供給された可塑化材料18を可塑化し、流動性を有するペースト状の造形材料19を生成して連通孔58から射出制御機構52へと導く。
【0093】
他にも、可塑化装置51は材料貯留部69、接続管71及び送風部72を備える。材料貯留部69、接続管71、送風部72はそれぞれ第1実施形態の材料貯留部12、接続管13、送風部25に相当する。
【0094】
射出制御機構52は、射出シリンダー59と、プランジャー63と、プランジャー駆動部64とを備える。射出制御機構52は、射出シリンダー59内の造形材料19をキャビティー65に射出する。射出制御機構52は、制御部61の制御下で、ノズル53から射出される造形材料19の射出量を制御する。射出シリンダー59は、バレル57の連通孔58に接続された略円筒状の部材であり、内部にプランジャー63を備えている。プランジャー63は、射出シリンダー59の内部を摺動し、射出シリンダー59内の造形材料19を、可塑化装置51に接続されたノズル53に圧送する。プランジャー63は、モーターによって構成されるプランジャー駆動部64により駆動される。
【0095】
成形型54は可動型66及び固定型67を備える。可動型66と固定型67とは、互いに対面して設けられ、その間に成形品の形状に応じた空間であるキャビティー65が形成される。キャビティー65には射出制御機構52によって圧送された造形材料19がノズル53を介して射出される。
【0096】
型締装置55は成形型駆動部68を備える。成形型駆動部68は可動型66と固定型67との開閉を行う。型締装置55は、制御部61の制御下で、成形型駆動部68を駆動して可動型66を移動させて可動型66と固定型67とを開閉させる。
【0097】
射出成形装置50では可塑化装置51に第1実施形態の可塑化装置21が用いられる。射出成形装置50は、可塑化装置51から供給された造形材料19を成形型54に向けて射出するノズル53を備える。
【0098】
この構成によれば、可塑化装置51に備えられた2つの供給機構の一方に動作不良が生じた場合でも、他方の供給機構から可塑化材料を可塑化装置51に供給できるので、供給機構の一方に動作不良が生じた際に、射出成形装置50による成形品の製造が中断することを抑制できる。
【0099】
E.他の実施形態:
(E1)上記第1実施形態では、XYテーブル3がステージ6をX方向及びY方向に移動させ、昇降テーブル8が吐出部15をZ方向に移動させる。他にも、ステージ6をZ方向に移動させる昇降テーブルと吐出部15をX方向及びY方向に移動させるXYテーブルを備えてもよい。他にも、ステージ6は移動せず、吐出部15をX方向、Y方向及びZ方向に移動させるXYZテーブルを備えてもよい。他にも、吐出部15は移動せず、ステージ6をX方向、Y方向及びZ方向に移動させるXYZテーブルを備えてもよい。いずれの形式においても、ステージ6上に立体的な三次元造形物20を形成することができる。
【0100】
(E2)上記第1実施形態において、可塑化装置21の材料貯留部12は、第1供給機構171に対応して設けられた第1投入口121と、第2供給機構172に対応して設けられた第2投入口122とを有している。これに対して、材料貯留部12は、投入口120を1つのみ備えていてもよい。この場合、投入口120は、第1スライド部材173の孔31aと、第2スライド部材175の孔31aの両方に連通するように形成される。このような構成において、投入口120のうちの、第1スライド部材173の孔31aに連通する部分は、第1投入口121に相当し、第1スライド駆動部174の孔31aに連通する部分は、第2投入口122に相当する。
【0101】
(E3)上記第1実施形態では、スライド部材の孔31aのX負方向側の側面は、Z負方向に見て、半円弧状に湾曲している。これに対して、第1スライド部材173のX負方向側の側面は、Z負方向に見て、X方向に交差する直線状でもよい。また、第1実施形態では、第1スライド部材173のX正方向側の側面は、開放されている。これに対して、第1スライド部材173のX正方向側の側面は、開放されていなくてもよく、孔31aは周囲が囲われていてもよい。
【0102】
(E4)上記第1実施形態では、各スライド部材の孔31aは、可塑化材料18が接続経路13aに供給される第1状態、及び、可塑化材料18が接続経路13aに供給されない第2状態の両方の状態において、投入口120に連通する大きさを有する。これに対して、孔31aは、第1状態において投入口120に連通し、第2状態において投入口120に連通しない大きさであってもよい。
【0103】
(E5)上記第1実施形態において、第1材料センサー23及び第2材料センサー24を省略してもよい。また、送風部25やイオナイザー28を省略してもよい。
【0104】
(E6)上記第1実施形態では、接続管13の下部に設けられた第1材料センサー23と第2材料センサー24との間に可塑化材料18が一時的に貯留されて、供給口14aを通じて可塑化部14に可塑化材料18が供給される。これに対して、可塑化材料18は、接続管13に一時的に貯留されることなく、接続管13から供給口14aを通じて可塑化部14に直接的に供給されてもよい。この場合、図10に示した材料供給処理では、ステップS20の供給機構駆動処理のみが実行される。このような態様において、図11に示したステップS206や図12に示したステップS206aが実行されれば、噛みこみの発生していない供給機構によって可塑化材料18の供給量を増加させたり供給頻度を高めたりできるので、造形材料19の生成不足が生じることを抑制できる。
【0105】
(E7)上記第1実施形態では、材料供給機構17は、2つの供給機構を備えている。これに対して、材料供給機構17は、3つ以上の供給機構を備えてもよい。
【0106】
(E8)上記第1実施形態の材料供給処理では、制御部7は、第1供給機構171と第2供給機構172の両方を駆動しているが、必ずしも第1供給機構171と第2供給機構172の両方を制御して可塑化材料18を供給しなくてもよい。例えば、一方の供給機構のみを制御して可塑化材料18を供給してもよい。この場合、他方の供給機構は、一方の供給機構が故障した場合の予備として用いられてもよい。
【0107】
F.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0108】
(1)本開示の第1の形態によれば、可塑化装置が提供される。この可塑化装置は、第1投入口及び第2投入口を有し、可塑化材料を貯留する材料貯留部と、前記可塑化材料が供給される供給口を有し、前記可塑化材料の少なくとも一部を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記第1投入口及び前記第2投入口と前記供給口とをつなぐ接続経路を有する接続管と、制御部と、を備え、前記材料貯留部は、前記第1投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第1供給機構と、前記第2投入口から前記接続経路への前記可塑化材料の供給量を調節する第2供給機構と、を有し、前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構の少なくとも一方を制御して、前記可塑化材料を前記接続経路に供給する。
このような形態によれば、2つの供給機構によって可塑化材料を可塑化部に供給できる。そのため、一方の供給機構に動作不良が発生した場合でも、他方の供給機構から可塑化材料を供給できる。この結果、三次元造形装置による三次元造形物の造形や、射出成形装置による成形品の製造が中断されることを抑制できる。
【0109】
(2)上記形態の可塑化装置において、記第1供給機構は、前記可塑化材料が通る孔を有するスライド部材、及び、前記スライド部材をスライドさせるスライド駆動部、を有し、前記制御部は、前記スライド駆動部を制御することで、前記可塑化材料が前記接続経路に供給される第1状態と、前記可塑化材料が前記接続経路に供給されない第2状態とに切り替え、前記スライド部材の前記孔は、前記第1状態及び前記第2状態の両方の状態において、前記第1投入口に連通してもよい。このような形態によれば、スライド部材をスライドさせた際に、可塑化材料がスライド部材に噛みこむことを抑制できる。
【0110】
(3)上記形態の可塑化装置において、前記材料貯留部は、前記第1投入口と前記第2投入口との間に上方に向かって延びる仕切り板を有してもよい。このような形態によれば、仕切り板によって隔てられた2つ収容室に、それぞれ異なる可塑化材料を収容できる。
【0111】
(4)上記形態の可塑化装置において、前記第1供給機構は、前記可塑化材料が通る第1孔を有する第1スライド部材を有し、前記第2供給機構は、前記可塑化材料が通る第2孔を有する第2スライド部材を有し、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材は、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材をスライドさせるスライド駆動部に、それぞれ付勢部材を介して、接続されてもよい。このような形態によれば、1つのスライド駆動部によって2つのスライド部材を駆動することができる。また、第1スライド部材及び第2スライド部材のうちの一方のスライド部材に噛みこみ等による動作不良が生じた場合でも、1つのスライド駆動部によって他方のスライド部材を駆動できる。
【0112】
(5)上記形態の可塑化装置において、前記制御部は、前記第1投入口から前記可塑化材料を供給する動作の少なくとも一部と、前記第2投入口から前記可塑化材料を供給する動作の少なくとも一部が、重なるように前記第1供給機構と前記第2供給機構とを制御し、前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構のうちの一方の供給機構の動作不良を検知した場合、動作不良を検知していない他方の供給機構による前記可塑化材料の供給量を多くしてもよい。このような形態によれば、第1供給機構及び第2供給機構のうちの一方の供給機構に動作不良が生じた場合に、可塑化部に対する可塑化材料の供給が不足することを抑制できる。
【0113】
(6)上記形態の可塑化装置において、前記制御部は、前記第1投入口から前記可塑化材料を供給する動作と、前記第2投入口から前記可塑化材料を供給する動作とが、重ならないように前記第1供給機構と前記第2供給機構とを制御し、 前記制御部は、前記第1供給機構及び前記第2供給機構のうちの一方の供給機構に動作不良を検知した場合、動作不良を検知していない他方の供給機構による前記可塑化材料の供給頻度を高くしてもよい。このような形態によれば、第1供給機構及び第2供給機構のうちの一方の供給機構に動作不良が生じた場合に、可塑化部に対する可塑化材料の供給が不足することを抑制できる。
【0114】
(7)本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記可塑化装置と、ステージに向けて前記造形材料を吐出するノズルとを備える。
【0115】
(8)本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記可塑化装置と、成形型に前記造形材料を射出するノズルと、を備える。
【0116】
本開示は、上述した可塑化装置や、三次元造形装置、射出成形装置の態様に限らず、可塑化材料の供給方法や、可塑化材料の可塑化方法など、種々の態様によって実現することが可能である。
【符号の説明】
【0117】
1…三次元造形装置、2…基台、3…XYテーブル、4…Yテーブル、4a…Y軸モーター、5…Xテーブル、5a…X軸モーター、6…ステージ、6a…造形面、7…制御部、8…昇降テーブル、8a…固定テーブル、8b…レール、8c…移動テーブル、8d…Z軸モーター、9…ユニット支持部、11…造形ユニット、12,12C…材料貯留部、13…接続管、13a…接続経路、14…可塑化部、14a…供給口、15…吐出部、16…容器、16a…材料入口、16b…第3窓、16c…第4窓、17,17B…材料供給機構、18…可塑化材料、19…造形材料、20…三次元造形物、21…可塑化装置、22…ノズル、23…第1材料センサー、23a…第1発光部、23b…第1受光部、24…第2材料センサー、24a…第2発光部、24b…第2受光部、25…送風部、26…送風ファン、27…送風ノズル、28…イオナイザー、29…ガイドケース、31a…孔、31g…斜面、32a…ピストンロッド、32b…第1空気圧ポート、32c…第2空気圧ポート、32d…磁石片、32e…第1シリンダーセンサー、32f…第2シリンダーセンサー、33…第1窓、34…第2窓、35…スクリューケース、35a…供給路、35b…通過口、36…モーター、36a…回転軸、36b…モーター回転中心、37…減速装置、37a…出力軸、38…ベアリング、39…スクリュー支持部、41…フラットスクリュー、41a…溝形成面、41b…溝、41d…スクリュー回転中心、42…バレル、42a…対向面、43…バレルケース、44…ヒーター、45…連通孔、46…案内溝、50…射出成形装置、51…可塑化装置、52…射出制御機構、53…ノズル、54…成形型、55…型締装置、56…フラットスクリュー、57…バレル、58…連通孔、59…射出シリンダー、61…制御部、62…溝部、63…プランジャー、64…プランジャー駆動部、65…キャビティー、66…可動型、67…固定型、68…成形型駆動部、69…材料貯留部、71…接続管、72…送風部、120…投入口、121…第1投入口、122…第2投入口、160…仕切り板、161…第1収容室、162…第2収容室、171…第1供給機構、172…第2供給機構、173…第1スライド部材、174…第1スライド駆動部、175…第2スライド部材、176…第2スライド駆動部、177…シャッター機構、178…操作部、180…ベース部材、183…第1シャフト、184…第2シャフト、185…第1連結部材、186…バネ、187…第2連結部材、188…バネ、190…スライド駆動部、191…モーター、192…ボールねじ、193…テーブル、194…テーブルガイド、195…カバー、197…第1ガイド、198…第2ガイド、291…蓋部、292…底部、293…連結装置、294…取っ手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20