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特開2024-104379コンクリートの切削及び切削物の回収装置
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  • 特開-コンクリートの切削及び切削物の回収装置 図1
  • 特開-コンクリートの切削及び切削物の回収装置 図2
  • 特開-コンクリートの切削及び切削物の回収装置 図3
  • 特開-コンクリートの切削及び切削物の回収装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104379
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】コンクリートの切削及び切削物の回収装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/02 20060101AFI20240729BHJP
   B28D 1/18 20060101ALI20240729BHJP
   B08B 15/04 20060101ALI20240729BHJP
   E01C 23/08 20060101ALI20240729BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B28D7/02
B28D1/18
B08B15/04
E01C23/08
E04G23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008539
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由郎
(72)【発明者】
【氏名】大山 将
(72)【発明者】
【氏名】松生 隆司
(72)【発明者】
【氏名】永塚 典幸
【テーマコード(参考)】
2D053
2E176
3C069
【Fターム(参考)】
2D053BA01
2D053DA03
2D053DA13
2E176AA01
2E176BB05
2E176BB36
3C069AA00
3C069BA04
3C069CA07
3C069DA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、粉塵を回収することができるとともに、それによって回収できなかった切削物を、周囲環境を汚染することなく回収することができるコンクリートの切削及び切削物の回収装置を提供すること。
【解決手段】ベースマシン1に切削装置2を取り付けるとともに、切削装置2をカバー3で覆うことで切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、コンクリートの切削物を回収するようにしたもので、カバー3内の粉塵を含有する空気を吸引し、粉塵を回収する第1の回収装置4と、カバー3外でコンクリートの切削物を吸引し、切削物を回収する第2の回収装置5とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンに切削装置を取り付けるとともに、該切削装置をカバーで覆うことで切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、コンクリートの切削物を回収するようにしたコンクリートの切削及び切削物の回収装置であって、前記カバー内の粉塵を含有する空気を吸引し、粉塵を回収する第1の回収装置と、前記カバー外でコンクリートの切削物を吸引し、切削物を回収する第2の回収装置とを備えるようにしたことを特徴とするコンクリートの切削及び切削物の回収装置。
【請求項2】
前記第1の回収装置及び第2の回収装置が、吸引ホースを介して接続される粉塵又は切削物の回収容器とバキューマとをそれぞれ備えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの切削及び切削物の回収装置。
【請求項3】
前記粉塵又は切削物の回収容器が、ドラム缶又はフレコンバッグを利用したトランスファータンクからなることを特徴とする請求項2に記載のコンクリートの切削及び切削物の回収装置。
【請求項4】
前記第2の回収装置が、吸引ホースを接続した、カバーの外縁に沿って開口する吸引口を有する吸引ノズルを備えるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のコンクリートの切削及び切削物の回収装置。
【請求項5】
前記吸引ノズルを、カバーに着脱可能に設けるようにしたことを特徴とする請求項4に記載のコンクリートの切削及び切削物の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの切削及び切削物の回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベースマシンのアームの先端に切削ビットを備えたドラムカッタ式の切削装置を取り付けるとともに、切削装置をカバーで覆うことで切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、集塵装置によりカバー内の粉塵を含有する空気を吸引し、粉塵を回収するようにしたコンクリートの切削装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-203304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のコンクリートの切削装置の用途として、PCB処理施設や放射性セシウム取扱施設の解体に伴う床面剥離工事がある。
この床面剥離工事は、コンクリート面にエポキシ樹脂やウレタン樹脂塗装を施した床面の汚染部(例えば、深さ30mm程度。)を切削するものである。
【0005】
特許文献1に記載されたコンクリートの切削装置を用いて、床面剥離工事を実施することによって、切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、集塵装置によりカバー内の粉塵を含有する空気を吸引し、粉塵を回収することができる。
しかしながら、集塵装置によって回収できなかった切削物は、床面に堆積物として残留するため、別途回収する必要があるが、その際に発生する粉塵によって、周囲環境が汚染されるという問題があった。
【0006】
本発明は、特許文献1に記載されたコンクリートの切削装置が有する切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、粉塵を回収することができる利点を享有しながら、集塵装置によって回収できない切削物を、周囲環境を汚染することなく回収することができるようにしたコンクリートの切削及び切削物の回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置は、ベースマシンに切削装置を取り付けるとともに、該切削装置をカバーで覆うことで切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、コンクリートの切削物を回収するようにしたコンクリートの切削及び切削物の回収装置であって、前記カバー内の粉塵を含有する空気を吸引し、粉塵を回収する第1の回収装置と、前記カバー外でコンクリートの切削物を吸引し、切削物を回収する第2の回収装置とを備えるようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記第1の回収装置及び第2の回収装置が、吸引ホースを介して接続される粉塵又は切削物の回収容器とバキューマとをそれぞれ備えるようにすることができる。
【0009】
また、前記粉塵又は切削物の回収容器が、ドラム缶又はフレコンバッグを利用したトランスファータンクからなるようにすることができる。
【0010】
また、前記第2の回収装置が、吸引ホースを接続した、カバーの外縁に沿って開口する吸引口を有する吸引ノズルを備えるようにすることができる。
【0011】
また、前記吸引ノズルを、カバーに着脱可能に設けるようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置によれば、第1の回収装置により、切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、粉塵を回収することができるとともに、第1の回収装置によって回収できない切削物を、第2の回収装置により、周囲環境を汚染することなく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置の一実施例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図2】トランスファータンクの説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図3】本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置の変形実施例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図4】同変形実施例の第2の回収装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1図2に、本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置の一実施例を示す。
このコンクリートの切削及び切削物の回収装置は、ベースマシン1に切削装置2を取り付けるとともに、切削装置2をカバー3で覆うことで切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、コンクリートの切削物を回収するようにしたもので、カバー3内の粉塵を含有する空気を吸引し、粉塵を回収する第1の回収装置4と、カバー3外でコンクリートの切削物を吸引し、切削物を回収する第2の回収装置5とを備えるようにしている。
【0016】
この場合において、ベースマシン1には、例えば、0.1~0.15m(3~5トン)級程度のバックホウを好適に用いることができる。
【0017】
切削装置2には、ベースマシン1のアームの先端に取り付けるようにした、切削ビットを備えたドラムカッタ式の切削装置、例えば、田口工業社製アスファルト切削機「エスカルゴン」(登録商標)を好適に用いることができる。
【0018】
第1の回収装置4は、カバー3内の粉塵を含有する空気を吸引できるように、カバー3内と連通した吸引ホース41を介して接続される粉塵の回収容器42、43及びバキューマ44を備えるようにする。
ここで、粉塵の回収容器42、43は、例えば、切削物が汚染物の場合、他容器への移し替え作業がなくなり、そのまま密閉保管でき、後処理も容易なドラム缶(又はフレコンバッグ)を利用したトランスファータンク42と、ダスト回収ボックス43で構成するようにしているが、発生する粉塵量が少ない場合には、トランスファータンク42を省略し、ダスト回収ボックス43のみで構成するようにすることもできる。
また、トランスファータンク42に、分離機構として、サイクロン式の分離機構42aを用いることにより、粉塵の回収率を向上することができる。
また、ダスト回収ボックス43が満タンとなり、ダスト回収ボックス43を外す際に、
フィルタを備えたバキューマ44による負圧吸引運転を行うことで、粉塵の発生を防止することができる。
また、ダスト回収ボックス43に水噴霧機構(図示省略)を付設することにより、ダスト回収ボックス43が満タンとなり、ダスト回収ボックス43を外し、ドラム缶やフレコンバッグ等にダストを移し替える際に、ダスト回収ボックス43内のダストを湿らせることで、粉塵の発生を防止することができる。
【0019】
第2の回収装置5は、カバー3外でコンクリートの切削物を吸引できるように、カバー3の外縁に沿って開口する吸引口を有する吸引ノズル55を備えるとともに、この吸引ノズル55に接続した吸引ホース51を介して接続される切削物の回収容器52、53及びバキューマ54とを備えるようにする。
ここで、切削物の回収容器52、53は、例えば、切削物が汚染物の場合、他容器への移し替え作業がなくなり、そのまま密閉保管でき、後処理も容易なドラム缶(又はフレコンバッグ)を利用したトランスファータンク52と、ダスト回収ボックス53で構成するようにしている。
また、トランスファータンク52に、分離機構として、サイクロン式の分離機構52aを用いることにより、粉塵の回収率を向上することができる。
また、ダスト回収ボックス53が満タンとなり、ダスト回収ボックス53を外す際に、フィルタを備えたバキューマ54による負圧吸引運転を行うことで、粉塵の発生を防止することができる。
また、ダスト回収ボックス53に水噴霧機構(図示省略)を付設することにより、ダスト回収ボックス53が満タンとなり、ダスト回収ボックス53を外し、ドラム缶やフレコンバッグ等にダストを移し替える際に、ダスト回収ボックス53内のダストを湿らせることで、粉塵の発生を防止することができる。
【0020】
吸引ノズル55は、吸引口がベースマシン1の反対側のカバー3の外縁に沿って開口するように取り付けるようにする。
これにより、ベースマシン1のアームを操作することで、切削装置2をベースマシン1側に移動させながら切削作業を行ったときに、第1の回収装置4によって回収できずに堆積物として残留しているコンクリートの切削物を吸引し、周囲環境を汚染することなく回収することができる。
【0021】
なお、第1の回収装置4と第2の回収装置5は、必要とされる吸引力が異なるため、別系統で構成しているが、例えば、流量調整バルブで吸引力を調整することにより、ダスト回収ボックス43、53やバキューマ44、54をそれぞれ1台の機器で構成し、共用するようにすることもできる。
ここで、ダスト回収ボックス43、53及びバキューマ44、54には、例えば、流機エンジニアリング社製コンパクトバキュームクリーナー「バキューMAX」を好適に用いることができる。
【0022】
ところで、本実施例においては、吸引ノズル55は、吸引口がベースマシン1の反対側のカバー3の外縁に沿って開口するように取り付けるようにしたが、図3図4に示す本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置の変形実施例のように、作業者が吸引ノズル55を、切削装置2とは独立して操作することができるようにすることができる。
【0023】
この場合、吸引ノズル55を、適宜の着脱機構(図示省略)を介して、切削装置2のカバー3に着脱可能に設けるようにすることもできる。
【0024】
また、切削装置2のカバー3の下端縁と切削面とに隙間が生じないように、カバー3の下端縁にブラシや可撓性のシート(図示省略)を設けることができる。
【0025】
このコンクリートの切削及び切削物の回収装置によれば、第1の回収装置4により、カバー3内の粉塵を含有する空気を吸引し、粉塵を回収することで、切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、粉塵を回収することができるとともに、第1の回収装置4によって回収できずに堆積物として残留しているコンクリートの切削物を、第2の回収装置により吸引し、周囲環境を汚染することなく回収することができる。
【0026】
以上、本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができ、また、適用対象も、例えば、アスファルトコンクリートを排除しないものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のコンクリートの切削及び切削物の回収装置は、切削作業時に発生する粉塵の飛散を防止しながら、粉塵を回収することができるとともに、それによって回収できなかった切削物を、周囲環境を汚染することなく回収することができることから、例えば、
1)PCB処理施設解体に伴うエポキシ塗装床面の剥離工事
2)放射性セシウム取扱施設解体に伴う床面除染工事
3)アスファルト舗装道路等のリニューアル工事
4)コンクリート構造物のリニューアル・耐震補強工事
等のコンクリートの切削及び切削物の回収の用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ベースマシン
2 切削装置
3 カバー
4 第1の回収装置
41 吸引ホース
42 トランスファータンク(粉塵の回収容器)
43 ダスト回収ボックス(粉塵の回収容器)
44 バキューマ
5 第2の回収装置
51 吸引ホース
52 トランスファータンク(切削物の回収容器)
53 ダスト回収ボックス(切削物の回収容器)
54 バキューマ
55 吸引ノズル
図1
図2
図3
図4