(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010438
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ケラチン物質の美容トリートメントに好適な組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240117BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240117BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240117BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240117BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20240117BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240117BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240117BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240117BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240117BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/02
A61K8/67
A61K8/44
A61K8/365
A61K8/29
A61K8/34
A61Q1/04
A61Q19/00
A61Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022111770
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・マイドゥル・アラム
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラヴ・アガルワル
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲シュ▼
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB222
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC262
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC621
4C083AC622
4C083AC662
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD631
4C083AD632
4C083BB11
4C083BB25
4C083BB51
4C083CC03
4C083CC12
4C083CC13
4C083DD12
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE11
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシート等のデバイスを好ましくは用いる、皮膚及び唇等のケラチン物質等の美容トリートメントに好適な組成物であって、その均一な分散を伴う少なくとも1種の疎水性顔料と、その沈殿のない少なくとも1種の皮膚ケア活性剤とを含みうる、組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は(a)少なくとも1種の皮膚ケア活性剤と、(b)少なくとも1種の水溶性酸と、(c)少なくとも1種の疎水性顔料と、(d)少なくとも1種のポリオールと、(e)水とを含む組成物であって、(b)水溶性酸の量が、組成物の総質量に対して5質量%未満であり、(e)水の量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、組成物に関する。該組成物は、その均一な分散を有する疎水性顔料と、その沈殿のない皮膚ケア活性剤とを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の皮膚ケア活性剤と、
(b)少なくとも1種の水溶性酸と、
(c)少なくとも1種の疎水性顔料と、
(d)少なくとも1種のポリオールと、
(e)水と
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物であって、
(b)水溶性酸の量が、組成物の総質量に対して5質量%未満であり、且つ
(e)水の量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、
組成物。
【請求項2】
皮膚ケア活性剤が、水溶性であり、好ましくは抗しわ剤、白色化剤、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはナイアシンアミド、トラネキサム酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(b)水溶性酸が、有機酸、好ましくはヒドロキシ酸、より好ましくは乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)水溶性酸の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%未満、好ましくは0.05質量%~4質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(c)疎水性顔料が、少なくとも1種の疎水性コーティングを有し;好ましくは少なくとも1種の疎水性コーティングを有する酸化鉄、二酸化チタン、及びこれらの混合物から選択され;より好ましくはモノ-アルキルトリ-アシルチタネート処理された、酸化鉄、二酸化チタン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(c)疎水性顔料の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(d)ポリオールが、ジオール、好ましくはアルキレングリコール、より好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(d)ポリオールの量が、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは20質量%~55質量%、より好ましくは30質量%~50質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(e)水の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%未満、好ましくは3質量%~12質量%、より好ましくは5質量%~10質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(f)少なくとも1種の油を更に含み、少なくとも1種の油が、好ましくは極性油から選択され、より好ましくはエステル油から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚及び唇等のケラチン物質のための美容方法であって、
ケラチン物質上に請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程と、
組成物が塗布されたケラチン物質上に少なくとも1つのデバイスを適用して、組成物をケラチン物質の表面層中に送達する工程と
を含む、美容方法。
【請求項12】
デバイスが、マイクロニードルがケラチン物質中に針入してそれにより組成物をケラチン物質の表面層中に送達することができるように、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えたマイクロニードルシートを備える、請求項11に記載の美容方法。
【請求項13】
皮膚及び唇等のケラチン物質のためのキットであって、
請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物と、
組成物をケラチン物質の表面層中に送達するための少なくとも1つのデバイスと
を含む、キット。
【請求項14】
デバイスが、マイクロニードルがケラチン物質中に針入してそれにより組成物をケラチン物質の表面層中に送達することができるように、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えたマイクロニードルシートを含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
組成物を皮膚及び唇等のケラチン物質の表面層中に送達するための少なくとも1つのデバイスと組み合わせた、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物の、ケラチン物質に均一な着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物をケラチン物質中に送達するための複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシート等のデバイスを好ましくは用いる、皮膚及び唇等のケラチン物質の美容トリートメントに好適な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
美容目的のために、皮膚又は唇の表面は着色される又は染色されることが多い。例えば、ファンデーション及び口紅等のメイクアップ化粧料は、皮膚、特に顔及び唇の皮膚を着色する又は染色するのに広く使用されている。メイクアップ化粧料による着色又は染色は一時的であり、例えばクレンジング製品を用いて皮膚などから容易に除去することができる。そのため、メイクアップ化粧料のユーザは、日常ベースで皮膚及び/又は唇を着色する必要がある。
【0003】
皮膚又は唇のための長く持続する着色効果を達成するための可能な選択肢のうちの1つは、皮膚又は唇の内部に着色剤を送達することである。
【0004】
しかしながら、着色剤を含む配合物の局所塗布は、着色剤の、皮膚又は唇中への十分な浸透をもたらすことができない。皮膚又は唇の角質層の薄層は、皮膚又は唇中に浸透する物質にとっての主要なバリアである。したがって、皮膚又は唇の内部に着色剤を送達するための最も重要な点は、角質層を通ることである。
【0005】
着色物質の皮膚中への深い送達のために、タトゥーデバイスとして知られる単一のニードルデバイスの使用が周知である。米国特許第B-9393395号が、このようなデバイスの例である。これらのデバイスは、タトゥーアーティストとして知られる専門家によって注意深く使用され、その理由は、高周波数を有する単一のニードル振動子又は振動、並びに熟練及び時間が、単一のニードルを用いてタトゥーの正しいパターンを作製するのに必要であるためである。
【0006】
WO2021/125067は、皮膚の長く持続する着色のための、着色剤を皮膚の表面層中へ送達するためのマイクロニードルアレイの使用を開示している。着色剤として、水溶性染料が使用される。そのため、WO2021/125067において、水溶性染料を含む組成物は、マイクロニードルアレイとの組み合わせにおいて使用される。
【0007】
その一方で、皮膚ケア活性剤がまた、皮膚の表面上に塗布されることが多い。皮膚上の美容効果を確実にするために、皮膚ケア活性剤が皮膚中に浸透することが好ましい。しかしながら、皮膚の角質層のバリア作用に起因して、皮膚ケア活性剤が皮膚中に浸透することは難しい。
【0008】
WO2019/230990は、C-グリコシドの皮膚浸透を増強するために、皮膚ケア活性剤として機能できるC-グリコシドを含むマイクロニードルを有するマイクロニードルアレイの使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第B-9393395号
【特許文献2】WO2021/125067
【特許文献3】WO2019/230990
【特許文献4】仏国特許第2679771号
【特許文献5】米国特許第B-4578266号
【特許文献6】JP H07-196946
【特許文献7】米国特許第5725882号
【特許文献8】米国特許第5209924号
【特許文献9】米国特許第4972037号
【特許文献10】米国特許第4981903号
【特許文献11】米国特許第4981902号
【特許文献12】米国特許第5468477号
【特許文献13】米国特許第5219560号
【特許文献14】EP0388582
【特許文献15】米国特許第B-5246694号
【特許文献16】EP0486135
【特許文献17】JP H05-86984
【特許文献18】米国特許出願公開第2005/0019284号
【特許文献19】米国特許第6219574号
【特許文献20】カナダ特許出願第2226718号
【特許文献21】米国特許第6652478号
【特許文献22】WO2011/115602
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Meylan及びHoward: Atom/Fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients、J. Pharm. Sci.、84: 83~92頁、1995年
【非特許文献2】Exploring QSAR: hydrophobic, electronic and steric constants(ACS professional reference book、1995年)
【非特許文献3】インターネットサイト、アドレス:http://esc.syrres.com/interkow/kowdemo.htm
【非特許文献4】Ullmann's Encyclopedia
【非特許文献5】Witucki、「A Silane Primer, Chemistry and Applications of Alkoxy Silanes、Journal of Coatings Technology、65、822、57~60頁、1993年」
【非特許文献6】C. M. Hansen: 論文「The three-dimensional solubility parameters」、J.Paint Technol. 39、105(1967年)
【非特許文献7】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press
【非特許文献8】Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、1976年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献9】ASTM規格445附属書C
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
美容目的のために皮膚等のケラチン物質に浸透する着色剤がケラチン物質中に均一に分散されることが、審美的な美容効果の点で重要である。例えば、疎水性顔料が着色剤として使用される場合、ケラチン物質中での疎水性顔料の均一な分散が好ましい。したがって、この場合、疎水性顔料を均一に含む組成物の使用が好ましい。
【0012】
その一方で、着色と皮膚ケアとのハイブリッド美容効果を有するために、疎水性顔料等の着色剤だけでなく皮膚ケア活性剤も含む組成物を使用することを想定することが可能である。
【0013】
皮膚ケア活性剤が組成物中に含まれる場合、組成物が、皮膚ケア活性剤を溶解するための水を含むことが好ましい。水なしでは、皮膚ケア活性剤は組成物中に十分に溶解することができず、且つ例えば結晶として沈殿しうる。
【0014】
しかしながら、皮膚ケア活性剤が同じ組成物中に疎水性顔料と共に含まれる場合、組成中の水の量を増加させることは難しく、その理由は、水の量が多いほど、組成物中の疎水性顔料の均一な分散に負の影響を及ぼしうるからである。
【0015】
本発明の一目的は、複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシート等のデバイスを好ましくは用いる、皮膚及び唇等のケラチン物質の美容トリートメントに好適な組成物であって、その均一な分散を伴う少なくとも1種の疎水性顔料と、その沈殿のない少なくとも1種の皮膚ケア活性剤とを含みうる、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種の皮膚ケア活性剤と、
(b)少なくとも1種の水溶性酸と、
(c)少なくとも1種の疎水性顔料と、
(d)少なくとも1種のポリオールと、
(e)水と
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物であって、
(b)水溶性酸の量が、組成物の総質量に対して5質量%未満であり、且つ
(e)水の量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、
組成物によって達成することができる。
【0017】
皮膚ケア活性剤は、水溶性であってよく、好ましくは抗しわ剤、白色化剤、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはナイアシンアミド、トラネキサム酸、及びこれらの混合物から選択される。
【0018】
本発明による組成物中の(a)皮膚ケア活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってよい。
【0019】
(b)水溶性酸は、有機酸、好ましくはヒドロキシ酸、より好ましくは乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0020】
本発明による組成物中の(b)水溶性酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%未満、好ましくは0.05質量%~4質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%であってよい。
【0021】
(c)疎水性顔料は、少なくとも1種の疎水性コーティングを有してよく;好ましくは、少なくとも1種の疎水性コーティングを有する、酸化鉄、二酸化チタン、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくは、モノ-アルキルトリ-アシルチタネート処理された、酸化鉄、二酸化チタン、及びこれらの混合物から選択される。
【0022】
本発明による組成物中の(c)疎水性顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%であってよい。
【0023】
(d)ポリオールは、ジオール、好ましくはアルキレングリコールから、より好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0024】
本発明による組成物中の(d)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは20質量%~55質量%、より好ましくは30質量%~50質量%であってよい。
【0025】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%未満、好ましくは3質量%~12質量%、より好ましくは5質量%~10質量%であってよい。
【0026】
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の油を更に含んでよく、少なくとも1種の油は、好ましくは極性油から選択され、より好ましくはエステル油から選択される。
【0027】
本発明はまた、皮膚及び唇等のケラチン物質のための美容方法であって、
ケラチン物質上に本発明による組成物を塗布する工程と、
組成物が塗布されたケラチン物質上に少なくとも1つのデバイスを適用して、ケラチン物質の表面層中に組成物を送達する工程と
を含む、
美容方法にも関する。
【0028】
本発明による美容方法のために使用されるデバイスは、マイクロニードルがケラチン物質中に針入してそれにより組成物をケラチン物質の表面層中に送達することができるように、基材シート、及び基材シート上に複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートであってよい又はマイクロニードルシートを備えてよい。
【0029】
本発明はまた、皮膚及び唇等のケラチン物質のためのキットであって、
本発明による組成物と、
ケラチン物質の表面層中に組成物を送達するための少なくとも1つのデバイスと
を含む、キットにも関する。
【0030】
本発明によるキット中のデバイスは、マイクロニードルがケラチン物質中に針入してそれにより組成物をケラチン物質の表面層中に送達することができるように、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えたマイクロニードルシートであってよい又はマイクロニードルシートを備えてよい。
【0031】
本発明はまた、組成物を皮膚及び唇等のケラチン物質の表面層中に送達するための少なくとも1つのデバイスと組み合わせた本発明による組成物の、ケラチン物質に均一な着色及び皮膚ケア効果をもたらすための、使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明のために好ましくは使用されるデバイスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
鋭意検討の結果、本発明者らは、複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシート等のデバイスを好ましくは用いる、皮膚及び唇等のケラチン物質の美容トリートメントに好適な組成物であって、その均一な分散を伴う少なくとも1種の疎水性顔料と、その沈殿のない少なくとも1種の皮膚ケア活性剤とを含むことができる、組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0034】
そのため、本発明による組成物は、少なくとも1種の疎水性顔料と、少なくとも1種の皮膚ケア活性剤とを、均一に含むことができる。
【0035】
本発明による組成物中の疎水性顔料の均一な分散は、均一な着色効果をもたらすことができる。疎水性顔料の「均一な」分散は、本明細書では、疎水性顔料が凝集体を形成するよう凝集することがないことを意味する。
【0036】
本発明による組成物は、組成物をケラチン物質の表面層中に送達するためのデバイスと組み合わせて使用されることによって、長く持続する着色効果をもたらすことができる。
【0037】
本発明による組成物はまた、均一な皮膚ケア効果ももたらすことができ、その理由は、皮膚ケア活性剤が、一切の沈殿なしで組成物に溶解されうるためであり、これは、組成物中の皮膚ケア活性剤の均一な分布を反映している。
【0038】
そのため、本発明は、皮膚及び唇等のケラチン物質に、均一の着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすことができる。
【0039】
本発明はまた、皮膚及び唇等のケラチン物質に、改善された白色化効果等の長く持続する着色効果及び/又は増強された皮膚ケア効果ももたらすことができる。
【0040】
本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種の皮膚ケア活性剤と、
(b)少なくとも1種の水溶性酸と、
(c)少なくとも1種の疎水性顔料と、
(d)少なくとも1種のポリオールと、
(e)水と
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物であって、
(b)水溶性酸の量が、組成物の総質量に対して5質量%未満であり、且つ
(e)水の量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、
組成物である。
【0041】
本発明の別の態様は、皮膚及び唇等のケラチン物質のための美容方法であって、
ケラチン物質上に本発明による組成物を塗布する工程と、
組成物が塗布されたケラチン物質上に少なくとも1つのデバイスを適用して、ケラチン物質の表面層中に組成物を送達する工程と
を含む、美容方法である。
【0042】
本発明の別の態様は、皮膚及び唇等のケラチン物質のためのキットであって、
本発明による組成物と、
組成物をケラチン物質の表面層中に送達するための少なくとも1つのデバイスと
を含む、キットである。
【0043】
本発明の他の態様は、組成物を皮膚及び唇等のケラチン物質の表面層中に送達するための少なくとも1つのデバイスと組み合わせた本発明による組成物の、ケラチン物質に均一な着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすための、使用である。
【0044】
本発明のいくつかの態様によれば、本発明による組成物は、ケラチン物質中に組成物を送達するための複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシート等のデバイスと組み合わせて使用される。デバイスは、本発明による組成物を、ケラチン物質の表面層中に送達することができる。
【0045】
好ましい一実施形態では、マイクロニードルシートのマイクロニードルは、皮膚及び唇等のケラチン物質の表面を穿刺して、そこを通って少なくとも1種の皮膚ケア活性剤と少なくとも1種の疎水性顔料とを含んだ本発明による組成物が皮膚又は唇中に進むことができる微細な孔又は経路を創製することができる。そのため、皮膚ケア活性剤と疎水性顔料とは、それらが角質層を通って行くことができるように且つ/又はそれらが角質層の底部に到達することができるように、微細な孔又は通路を通って皮膚又は唇中に浸透することができる。更に、皮膚ケア活性剤と疎水性顔料とは、角質層を通って、表皮のより低い層、例えば粒状層、有棘層及び基底層のうちの任意の1つに到達することができる。
【0046】
疎水性顔料は、皮膚及び唇等のケラチン物質中に、長期間、残存することができる。これは、長く持続する着色効果をもたらしうる。
【0047】
その一方で、皮膚ケア活性剤は、改善された白色化効果等の増強された皮膚ケア効果をもたらすことができ、その理由は、それが、角質層のバリアなしに、皮膚中に直接到達することができるためである。
【0048】
マイクロニードルが痛みを一切引き起こさないため、本発明による美容方法及びキットは、痛みなしで、美容トリートメントを提供することができる。
【0049】
加えて、本発明による美容方法は、比較的短期間で実施することができる。
【0050】
そのため、本発明は、美容トリートメント又は非治療的トリートメントに好都合である。例えば、本発明は、数日~数週間等の長い期間にわたって暗いスポット及び孔等の皮膚の欠陥を隠す非侵襲的方法として使用することができる。
【0051】
これ以降、本発明による組成物、美容方法、キット等を、詳細に説明する。
【0052】
[組成物]
本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の皮膚ケア活性剤と、
(b)少なくとも1種の水溶性酸と、
(c)少なくとも1種の疎水性顔料と、
(d)少なくとも1種のポリオールと、
(e)水と
を含み、
(b)水溶性酸の量は、組成物の総質量に対して5質量%未満であり、且つ
(e)水の量は、組成物の総質量に対して15質量%未満である。
【0053】
組成物は、ケラチン物質上にマイクロニードルデバイス等のデバイスを適用する前に、組成物をケラチン物質の表面層中に、例えば皮膚の角質層の下に送達するために、ケラチン物質用の予備処理組成物として使用することができる。
【0054】
そのため、本発明の第1の態様は、組成物をケラチン物質の表面層中に送達するのにデバイスを使用する、例えばデバイスをケラチン物質の表面層上に適用する、美容トリートメントにおける使用のための組成物であってよい。
【0055】
本発明による美容方法のために使用されることになる組成物が、大気圧下(760mmHg)、室温(例えば25℃)にて液体の形態にあり、これが、1000cP未満、好ましくは500cP未満、より好ましくは200cP未満の粘度を有することが好ましい。
【0056】
(皮膚ケア活性剤)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の皮膚ケア活性剤を含む。単一のタイプの(a)皮膚ケア活性剤を使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプの(a)皮膚ケア活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0057】
(a)皮膚ケア活性剤が、-4.5~4.5、好ましくは-4.0~4.0、より好ましくは-3.5~3.5の範囲のlog P値を有することが好ましい。(a)皮膚ケア活性剤のlog P値が、-1.0~1.0、より好ましくは-0.5~0.5であることが好ましい場合がある。
【0058】
log P値は、オクタン-1-オール/水の、見かけの分配係数の底を10とする対数の値である。log P値は公知であり、オクタン-1-オール及び水の中の、検討中の化合物の濃度を決定する標準試験により決定される。log Pは、Meylan及びHoward: Atom/Fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients、J. Pharm. Sci.、84: 83~92頁、1995年による記事に記載されている方法に従って算出することができる。この値は、多数の市販のソフトウェアパッケージを使用して算出してもよく、これらは、log Pを、分子の構造の関数として決定する。例として、米国環境保護庁製のEpiwinソフトウェアを挙げることができる。
【0059】
この値は、特にACD(Advanced Chemistry Development)Solaris software V4.67を使用して算出することができ;この値はまた、Exploring QSAR: hydrophobic, electronic and steric constants(ACS professional reference book、1995年)から得ることもできる。概算値を提供しているインターネットサイトもある(アドレス: http://esc.syrres.com/interkow/kowdemo.htm)。
【0060】
(a)皮膚ケア活性剤は、塩の形態にあってよい。(a)皮膚ケア活性剤の塩には、前記化合物の従来型の非毒性塩、例えば酸から又は塩基から形成されたものが挙げられる。
【0061】
(a)皮膚ケア活性剤が水溶性であり、より好ましくは、25℃以下でpH7において、0.1g/ml以上、特定すると0.5g/ml以上の水溶度を有することが好ましい。
【0062】
(a)皮膚ケア活性剤が、抗老化剤、例えば抗しわ剤;脱色素剤、例えば白色化剤;及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0063】
(a)皮膚ケア活性剤として、ビタミンB3及び誘導体を挙げることができる。
【0064】
ビタミンB3は、ビタミンPPとも呼ばれ、以下の式:
【0065】
【0066】
[式中、Rは、-CONH2(ナイアシンアミド)、-COOH(ニコチン酸若しくはナイアシン)、又はCH2OH(ニコチニルアルコール)、-CO-NH-CH2-COOH(ニコチン尿酸)又は-CO-NH-OH(ニコチニルヒドロキサム酸)でありうる]
の化合物である。ナイアシンアミドが好ましい。
【0067】
挙げることができるビタミンB3誘導体には、例えば、ニコチン酸トコフェロール等のニコチン酸エステル、-CONH2の水素基の置換によるナイアシンアミド由来のアミド、カルボン酸とアミノ酸との反応からの生成物、ニコチニルアルコールと、酢酸、サリチル酸、グリコール酸又はパルミチン酸等のカルボン酸とのエステルが含まれる。
【0068】
以下の誘導体も挙げることができる: 2-クロロニコチンアミド、6-メチルニコチンアミド、6-アミノニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、N,N-ジメチルニコチンアミド、N-(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、N-ベンジルニコチンアミド、N-エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、メチルイソニコチン酸、チオニコチンアミド、ニアラミド、2-メルカプトニコチン酸、ニコモール及びニアプラジン、ニコチン酸メチル、並びにニコチン酸ナトリウム。
【0069】
また挙げることができる他のビタミンB3誘導体には、塩化物、臭化物、ヨウ化物又は炭酸塩等の無機塩、及びカルボン酸との反応によって得られる塩等の有機塩、例えば酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩等が含まれる。
【0070】
(a)皮膚ケア活性剤として、トラネキサム酸及びその誘導体もまた挙げることができる。
【0071】
トラネキサム酸の誘導体の例として、トラネキサム酸のダイマー[例えば塩酸トランス-4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸]、トラネキサム酸とヒドロキノンとのエステル(例えば4'-ヒドロキシフェニルトランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、トラネキサム酸とゲンチシン酸とのエステル[例えば2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸及びその塩]、トラネキサム酸アミド[例えばトランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、並びにトランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩]などを挙げることができる。
【0072】
(a)皮膚ケア活性剤が水溶性であることが好ましく、より好ましくは抗しわ剤、白色化剤、及びこれらの混合物から選択され、更により好ましくはナイアシンアミド、トラネキサム酸、及びこれらの混合物から選択される。
【0073】
本発明による組成物中の(a)皮膚ケア活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0074】
その一方で、本発明による組成物中の(a)皮膚ケア活性剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0075】
本発明による組成物中の(a)皮膚ケア活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲であってよい。
【0076】
(水溶性酸)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の水溶性酸を含む。単一のタイプの(b)水溶性酸を使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプの(b)水溶性酸を組み合わせて使用することもできる。
【0077】
(b)水溶性酸は、10g/100ml以上、好ましくは20g/100ml以上、より好ましくは30g/100ml以上の、25℃以下でのpH7における水中溶解度を有する。
【0078】
(b)水溶性酸は、有機酸であっても無機酸であってもよい。
【0079】
有機酸は、カルボン酸、酸性アミノ酸、ヒドロキシ酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0080】
カルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボンシ酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0081】
モノカルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0082】
ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0083】
酸性アミノ酸は、グルタミン酸、アスパルギン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0084】
ヒドロキシ酸は、グルコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシブチル酸、グルコン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0085】
無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、及びこれらの混合物であってよい。
【0086】
(b)水溶性酸は、8個以上の炭素原子を含む脂肪酸でなくてもよい。
【0087】
(b)水溶性酸が、有機酸、より好ましくはヒドロキシ酸、更により好ましくは乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0088】
本発明による組成物中の(b)水溶性酸の量は、組成物の総質量に対して、5質量%未満である。
【0089】
本発明による組成物中の(b)水溶性酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
【0090】
その一方で、本発明による組成物中の(b)水溶性酸の量は、組成物の総質量に対して、5質量%未満であり、且つ4質量%以下、好ましくは3質量%以下であってよい。
【0091】
本発明による組成物中の(b)水溶性酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%未満、好ましくは0.05質量%~4質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲であってよい。
【0092】
(疎水性顔料)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の疎水性顔料を含む。単一の疎水性顔料、又は複数の異なる疎水性顔料の組み合わせを、使用することができる。
【0093】
本発明では、用語「顔料」は、生理学的に許容される媒体に不溶性であり、皮膚及び唇等のケラチン物質を着色することを意図する、任意の形状の白色又は有色の無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。
【0094】
(c)疎水性顔料のサイズが100nm超であることが好ましい。本発明の目的では、粒子の「サイズ」は、平均体積直径を意味する。平均体積直径は、例えばレーザー粒径アナライザ、例えばMalvern Mastersizerを用いた光回析により評価されてよく、ここで、評価される粒子は、液体媒体中に、例としてはネオペンタン酸オクチルドデシル中に分散されている。本発明の一実施形態によれば、疎水性顔料のサイズは、100nm~25μm、好ましくは200nm~10μmの範囲であってよい。
【0095】
(c)疎水性顔料が疎水性コーティング顔料から選択されることが好ましい。用語「疎水性コーティング顔料」は、少なくとも1種の親油性又は疎水性化合物でコーティングされた任意の顔料を意味する。用語「親油性化合物」は、油に可溶性又は分散性である任意の化合物を意味する。用語「疎水性化合物」は、水に不溶性である任意の化合物を意味する。
【0096】
本発明の特定の実施形態によれば、少なくとも1種の親油性又は疎水性化合物でコーティングされることになる顔料は、無機顔料及び有機顔料から選ばれる。
【0097】
用語「無機顔料」は、Ullmann's Encyclopediaの無機顔料の章の定義と一致する任意の顔料を意味することを意図する。無機顔料の中で、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロムなどの金属酸化物、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、並びに金属パウダー、例えばアルミニウムパウダー及び銅パウダーを挙げることができる。これらの無機顔料は、金属酸化物から特に選ぶことができる。
【0098】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による美容方法のために使用される組成物中に存在する、無機顔料、特に金属酸化物は、二酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化鉄から選ばれる。無機顔料としての酸化チタンが、0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更により好ましくは0.3μm以上の粒径を有することが好ましい場合がある。
【0099】
用語「有機顔料」は、Ullmann's Encyclopediaの有機顔料の章の定義と一致する任意の顔料を意味することを意図する。有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン及びフタロシアニンの各化合物、金属錯体型の化合物、並びにイソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインディゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロンの各化合物から選ぶことができる。
【0100】
有機顔料は、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照番号CI42090、69800、69825、73000、74100及び74160で色指数に体系化されている青色顔料、参照番号CI11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005で色指数に体系化されている黄色顔料、参照番号CI61565、61570及び74260で色指数に体系化されている緑色顔料、参照番号CI11725、15510、45370及び71105で色指数に体系化されている橙色顔料、参照番号CI12085、CI12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470で色指数に体系化されている赤色顔料、並びに仏国特許第2679771号に記載されているインドール誘導体又はフェノール誘導体の酸化重合により得られる顔料から選ぶことができる。
【0101】
顔料のコーティング
疎水性顔料は、少なくとも1種の親油性又は疎水性化合物を含む少なくとも1種のコーティングを有してよい。この親油性又は疎水性コーティングは、疎水性顔料の最外表面上に存在することができる。
【0102】
本発明の目的では、顔料の「コーティング」は、一般に、前記顔料上に、吸収される、吸着される又はグラフトされる表面処理剤を用いた顔料の全体的又は部分的表面処理を示す。そのため、疎水性顔料は、表面処理された顔料であってよい。
【0103】
表面処理された顔料は、当業者には周知である、化学的、電子的、機械化学的又は機械的性質の表面処理技術で調製することができる。市販製品をまた、表面処理された顔料として使用することもできる。
【0104】
表面処理剤は、溶媒の蒸発、化学反応及び共有結合の創製によって、顔料上に、吸収され、吸着され又はグラフトされうる。
【0105】
一変形形態によれば、表面処理は、顔料のコーティングからなる。
【0106】
疎水性顔料はまた、少なくとも1種の非親油性又は非疎水性化合物を含む少なくとも1種のコーティングも有してよく、例えば少なくとも1種の親水性化合物である。例えば、非親油性又は非疎水性化合物は、金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム、及び金属塩化物、例えば塩化マグネシウムから選択することができる。この非親油性又は非疎水性コーティングは、顔料それ自体と、親油性又は疎水性コーティングとの間に存在することができる。
【0107】
コーティングは、コーティングされた顔料の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、特定すると0.5質量%~5質量%を占めることができる
【0108】
コーティングは、例えば、粒子を、本発明のために使用される組成物の他の成分中に組み込む前に、任意選択で加熱しながら、粒子と前記表面処理剤とを撹拌しながら単純に混合することにより、固体顔料粒子の表面上に液状表面処理剤を吸着させることによって実施することができる。
【0109】
コーティングは、例えば、表面処理剤を、固体顔料粒子の表面と化学反応させて、表面処理剤と粒子との間に共有結合を創製することによって実施することができる。この方法は、特に米国特許第B-4578266号に記載されている。
【0110】
化学的表面処理は、揮発性溶媒中で表面処理剤を希釈すること、この混合物中に顔料を分散させること、及び次いで、表面処理剤が顔料の表面に堆積されるように揮発性溶媒をゆっくり蒸発させることからなっていてもよい。
【0111】
親油性又は疎水性化合物
本発明の特定の実施形態によれば、顔料は、以下に説明されるように、シリコーン系表面処理剤、フルオロ表面処理剤、フルオロシリコーン表面処理剤、金属石鹸、脂肪酸、N-アシルアミノ酸又はその塩、レシチン及びその誘導体、モノアルキルトリアシルチタネート、例えばイソプロピルトリイソステアリルチタネート、セバシン酸イソステアリル、天然の植物又は動物ワックス、極性合成ワックス、脂肪エステル、リン脂質、並びにこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の親油性又は疎水性化合物でコーティングすることができる。
【0112】
シリコーン系表面処理剤
本発明の特定の一実施形態によれば、顔料は、シリコーン系化合物、すなわちシリコーン系表面処理剤で、全体的に又は部分的に表面処理されていてよい。
【0113】
シリコーン系表面処理剤は、以下に説明されるような、オルガノポリシロキサン、シラン誘導体、シリコーン-アクリレート(コ)ポリマー、シリコーン樹脂、及びこれらの混合物から選ぶことができる。
【0114】
用語「オルガノポリシロキサン」は、ケイ素原子及び酸素原子を交互に含み且つケイ素原子と結合した有機基を含む構造を有する化合物を意味する。
【0115】
i)オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサン(orgaopolysiloxane)が、非エラストマー系オルガノポリシロキサンから選択されることが好ましい。
【0116】
特に挙げることができる非エラストマー系オルガノポリシロキサンには、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドロゲノシロキサン及びポリアルコキシジメチルシロキサンが含まれる。
【0117】
アルコキシ基は、R-O-基により表すことができ、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル若しくはオクチル、2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル若しくは3,3,3-トリフルオロプロピルの各基、アリール基、例えばフェニル、トリル若しくはキシリル、又は置換アリール基、例えばフェニルエチルを表す。
【0118】
ポリメチルヒドロゲノシロキサンを用いて表面処理された顔料を調製する一方法は、有機溶媒に顔料を分散させること、及び次いでシリコーン化合物を添加することからなる。該混合物を加熱することにより、シリコーン化合物と顔料の表面との間に共有結合を創製することができる。
【0119】
本発明の好ましい一実施形態によれば、シリコーン系表面処理剤は、特にポリジメチルシロキサンから選ばれる、非エラストマー系オルガノポリシロキサンであってよい。
【0120】
特定の一形態によれば、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、例えば信越化学工業株式会社から名称KF9908(登録商標)で販売されている市販製品を使用することができる。
【0121】
ii)シラン誘導体
シラン誘導体が、アルキルシラン及びアルコキシシランから選択されることが好ましい。
【0122】
アルコキシ官能基を保持するシランは、特に、Wituckiによる「A Silane Primer, Chemistry and Applications of Alkoxy Silanes、Journal of Coatings Technology、65、822、57~60頁、1993年」で説明されている。
【0123】
参照名Silquest A-137(OSI Specialities社)及びProsil 9202(PCR社)で販売されているアルキルトリエトキシシラン及びアルキルトリメトキシシラン等のアルコキシシランを、顔料をコーティングするのに使用することができる。
【0124】
反応性末端基を保持するアルキルポリシロキサン、例えばアルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ又はイミノの使用は、特許出願JP H07-196946に記載されている。それらはまた、顔料の処理にも好適である。
【0125】
iii)シリコーン-アクリレート(コ)ポリマー
シリコーン主鎖を有するグラフト化されたシリコーン-アクリル(コ)ポリマーで、米国特許第5725882号、第5209924号、第4972037号、第4981903号、第4981902号及び第5468477号に記載されているもの、並びに米国特許第5219560号及びEP0388582に記載されているものを使用することができる。
【0126】
他のシリコーン-アクリレート(コ)ポリマーは、それらの構造中に、以下の式(I):
【0127】
【0128】
[式中、G1基は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはC1~C10アルキル基、或いはフェニル基を表し、G2基は、同一であっても異なっていてもよく、C1~C10アルキレン基を表し、G3は、少なくとも1種のエチレン不飽和アニオン性モノマーの(単独)重合から得られるポリマー残基を表し、G4は、少なくとも1種のエチレン不飽和疎水性モノマーの(単独)重合から得られるポリマー残基を表し、m及びnは、0又は1に等しく、aは、0~50の範囲の整数であり、bは、10から350の間でありうる整数であり、cは、0~50の範囲の整数であり、但し条件としてパラメータa及びcのうち1つは0以外である]
の単位を含むシリコーン(コ)ポリマーであってよい。
【0129】
好ましくは、上記式(I)の単位は、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、更により優先的にはこれらの全てを有する。
- G1基は、アルキル基、好ましくはメチル基を表す、
- nは、非0であり、G2基は、C1~C3二価基、好ましくはプロピレン基を表す、
- G3は、エチレン不飽和カルボン酸型、好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸の少なくとも1種のモノマーの(単独)重合から得られるポリマー基を表す、
- G4は、好ましくはイソブチル又はメチル(メタ)アクリレート等の、(C1~C10)アルキル(メタ)アクリレート型の少なくとも1種のモノマーの(単独)重合から得られるポリマー基を表す。
【0130】
式(I)に相当するシリコーン(コ)ポリマーの例は、特に、その上に、チオプロピレン型の連結鎖単位を介して、ポリ(メタ)アクリル酸型及びポリメチル(メタ)アクリレート型の混合ポリマー単位がグラフトされているポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0131】
式(I)に相当するシリコーン(コ)ポリマーの他の例は、特に、その上に、チオプロピレン型の連結鎖単位を介して、ポリイソブチル(メタ)アクリレート型のポリマー単位がグラフトされているポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0132】
iv)シリコーン樹脂
シリコーン系表面処理剤は、シリコーン樹脂から選ぶことができる。
【0133】
用語「樹脂」は、三次元構造体を意味する。
【0134】
シリコーン樹脂は、シリコーン油に可溶性であっても膨潤性であってもよい。これらの樹脂は、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである。
【0135】
シリコーン樹脂の名称は、MDTQの呼称で知られ、樹脂はそれが含む多様なシロキサンモノマー単位に応じて記載され、MDTQの文字のそれぞれは、単位の種類を特徴づける。
【0136】
Mという文字は、式(CH3)3SiO12の単官能性単位を表し、このケイ素原子は、この単位を含むポリマー中の酸素原子には1個のみ結合する。
【0137】
Dという文字は、ケイ素原子が2個の酸素原子に結合している二官能性単位(CH3)2SiO2を意味する。
【0138】
Tという文字は、式(CH3)SiO3/2の三官能性単位を表す。
【0139】
上で定義した単位M、D、及びTにおいて、メチル基のうち少なくとも1つが、メチル基以外のR基、例えば2~10個の炭素原子を含有する炭化水素系基(特にアルキル)、若しくはフェニル基、又は代替的にヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0140】
最後に、Qという文字は、四官能性単位SiO4/2(式中、ケイ素原子は、ポリマーの残部に結合されうる)を意味する。
【0141】
異なる性質を有する様々な樹脂を、これらの異なる単位から得ることができ、これらのポリマーの性質は、モノマー(又は単位)の種類、置換基の種類及び数、ポリマー鎖の長さ、分枝度、並びに側鎖の大きさに応じて変化する。
【0142】
挙げることができるこれらのシリコーン樹脂の例には、以下が含まれる:
- 式[(CH3)3XSiXO]xX(SiO4/2)y(MQ単位)(式中、x及びyは、50~80の範囲の整数である)のトリメチルシロキシシリケートでありうる、シロキシシリケート、
- 式(CH3SiO3/2)x(T単位)(式中、xは100より大きく、そのメチル基のうちの少なくとも1つは、上に定義したようなR基で置換されうる)のポリシルセスキオキサン、
- メチル基がいずれも別の基で置換されていないポリシルセスキオキサンである、ポリメチルシルセスキオキサン。このようなポリメチルシルセスキオキサンは、米国特許第B-5246694号に記載されている。
【0143】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、以下を挙げることができる。
- Wacker社により参照名Resin MK(登録商標)で販売されているもの、例えば、Belsil PMS MK(登録商標)、すなわちCH3SiO3/2繰り返し単位(T単位)を含むポリマーであって、1質量%までの(CH3)2SiO2/2単位(D単位)を含むこともでき、約10,000の平均分子量を有するポリマー、並びに
- 信越化学工業株式会社により、参照名KR-220L(登録商標)で販売されているもので、これは、式CH3SiO3/2のT単位から構成され、Si-OH(シラノール)末端基を含有し、参照名KR-242Aで販売されているもので、これは、T単位98%及びジメチルD単位2%を含み、Si-OH末端基を含有し、又は更に参照名KR-251で販売されているもので、T単位88%及びジメチルD単位12%を含み、Si-OH末端基を含有するもの。
【0144】
挙げることができるシロキシシリケート樹脂には、任意選択で粉末の形態にあるトリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂が含まれる。このような樹脂は、General Electric社により参照名SRI000(登録商標)、E 1 170-002(登録商標)若しくはSS4230(登録商標)で販売されており、又はWacker Silicone Corporation社により参照名TMS803(登録商標)、Wacker803(登録商標)及び804(登録商標)で販売されている。
【0145】
シクロメチコン等の溶媒中で販売されるトリメチルシロキシシリケート樹脂もまた挙げることができ、信越化学工業株式会社により名称KF-7312J(登録商標)で販売されており、又はDow Corning社により名称DC749(登録商標)及びDC593(登録商標)で販売されている。
【0146】
シリコーン化合物で処理されている顔料の市販参照物の例として、三好化成株式会社により参照名SA-C 338075-10(登録商標)で販売されている赤色の酸化鉄/ジメチコンを挙げることができる。
【0147】
フルオロ表面処理剤
顔料は、フルオロ性の化合物、すなわちフルオロ表面処理剤で、全体的又は部分的に表面処理されてよい。
【0148】
フルオロ表面処理剤は、ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロポリエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、及びペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサンから選ぶことができる。
【0149】
用語「ペルフルオロアルキル基」は、そこで水素原子の全てがフッ素原子で置き換えられているアルキル基を意味する。
【0150】
ペルフルオロポリエーテルは、特に、特許出願EP0486135に記載されており、且つMontefluos社により商品名Fomblin(登録商標)で販売されている。
【0151】
ペルフルオロアルキルホスフェートは、具体的には特許出願JP H05-86984に記載されている。旭硝子社により参照名AsahiGuard AG530(登録商標)で販売されているペルフルオロアルキルジエタノールアミンホスフェートを使用することができる。
【0152】
挙げることができる直鎖状ペルフルオロアルカンの中で、ペルフルオロシクロアルカン、ペルフルオロ(アルキルシクロアルカン)、ペルフルオロポリシクロアルカン、芳香族ペルフルオロ炭化水素(ペルフルオロアレーン)、及び少なくとも1個のヘテロ原子を含む炭化水素系ペルフルオロ有機化合物が含まれる。
【0153】
ペルフルオロアルカンの中で、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロノナン又はペルフルオロデカン等の直鎖状アルカン系列を挙げることができる。
【0154】
ペルフルオロシクロアルカン及びペルフルオロ(アルキルシクロアルカン)の中で、Rhodia社により名称Flutec PP5 GMP(登録商標)で販売されているペルフルオロデカリン、ペルフルオロ(メチルデカリン)、及びペルフルオロ(ブチルシクロヘキサン)等のペルフルオロ(C3~C5アルキルシクロヘキサン)を挙げることができる。
【0155】
ペルフルオロポリシクロアルカンの中で、ペルフルオロトリメチルビシクロ[3.3.1]ノナン等のビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体、ペルフルオロジメチルアダマンタン等のアダマンタン誘導体、及びテトラコサフルオロテトラデカヒドロフェナントレン等の水素化ペルフルオロフェナントレン誘導体を挙げることができる。
【0156】
ペルフルオロアレーンの中で、ペルフルオロナフタレン誘導体、例えばペルフルオロナフタレン及びペルフルオロメチル-1-ナフタレンを挙げることができる。
【0157】
フルオロ化合物で処理されている顔料の市販参照物の例として、以下を挙げることができる:
- 大東化成工業株式会社により参照名PF 5 Yellow 601(登録商標)で販売されている、黄色酸化鉄/ペルフルオロアルキルホスフェート、
- 大東化成工業株式会社により参照名PF 5 Red R 516L(登録商標)で販売されている、赤色酸化鉄/ペルフルオロアルキルホスフェート、
- 大東化成工業株式会社により参照名PF 5 Black BL100(登録商標)で販売されている、黒色酸化鉄/ペルフルオロアルキルホスフェート、
- 大東化成工業株式会社により参照名PF 5 TiO2 CR 50(登録商標)で販売されている、二酸化チタン/ペルフルオロアルキルホスフェート、
- 東色ピグメント株式会社により参照名Iron oxide yellow BF-25-3(登録商標)で販売されている、黄色酸化鉄/ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル、
- Cardre Inc.社により参照名D&C Red 7 FHC(登録商標)で販売されている、DC Red 7/ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル、及び
- Warner-Jenkinson社により参照名T 9506(登録商標)で販売されている、DC Red 6/PTFE。
【0158】
フルオロシリコーン表面処理剤
顔料は、フルオロシリコーン性の化合物、すなわちフルオロシリコーン表面処理剤で、全体的又は部分的に表面処理されてよい。
【0159】
フルオロシリコーン化合物は、ペルフルオロアルキルジメチコン、ペルフルオロアルキルシラン及びペルフルオロアルキルトリアルコキシシランから選ぶことができる。
【0160】
挙げることができるペルフルオロアルキルシランには、信越化学工業株式会社(シリコーン事業本部)(Shin-Etsu Silicone)により販売されている製品LP-IT(登録商標)及びLP-4T(登録商標)が含まれる。
【0161】
ペルフルオロアルキルジメチコンは、以下の式(II):
【0162】
【0163】
(式中、
- Rは、1~6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状二価アルキル基、好ましくは二価のメチル、エチル、プロピル又はブチル基を表し、
- Rfは、1~9個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を含有するペルフルオロアルキル基を表し、
- mは、0から150の間、好ましくは20~100から選ばれ、
- nは、1から300の間、好ましくは1~100から選ばれる)
によって表すことができる。
【0164】
フルオロシリコーン化合物で処理された顔料の市販参照物の例として、Advanced Dermaceuticals International Inc.社により参照名Fluorosil Titanium dioxide 100TA(登録商標)で販売されている二酸化チタン/フルオロシリコーンを挙げることができる。
【0165】
他の親油性表面剤
疎水性処理剤はまた、以下から選ぶこともできる:
i)金属石鹸、例えばジミリスチン酸アルミニウム及び水素化獣脂グルタメートのアルミニウム塩で、特に挙げることができる金属石鹸には、12~22個の炭素原子を含有する脂肪酸、特定すると12~18個の炭素原子を含有する脂肪酸の金属石鹸が含まれる。金属石鹸の金属は、特に亜鉛又はマグネシウムであってよい。使用することができる金属石鹸には、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム及びステアリン酸亜鉛、並びにこれらの混合物が挙げられる、
ii)ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸等の脂肪酸、
iii)8~22個の炭素原子を含有するアシル基、例としては2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はココイルの各基を含みうるN-アシルアミノ酸又はその塩。アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸又はアラニンであってよい。これらの化合物の塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、ナトリウム又はカリウムの各塩であってよい。そのため、本発明の特に好ましい実施形態によれば、N-アシルアミノ酸誘導体は、特にグルタミン酸誘導体及び/又はその塩、より特定するとグルタミン酸ステアロイル、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムであってよい。それは、例えば三好化成株式会社により販売されているNAI表面処理剤である、
iv)レシチン及びその誘導体、例えば水素化レシチン、例としてはLCW社により販売されているHLC表面処理剤、
v)モノアルキルトリアシルチタネート。モノアルキルチタネートとも称されるモノアルキルトリアシルチタネートは、式RO-Ti-(OR')3(式中、Rはアルキルであり、R'はアシル基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい)によって表すことができる。モノアルキルトリアシルチタネートの特定の実施形態では、前記アルキルは、C1~5アルキル基であり、特定するとC1~4アルキル基であり、前記アシルは、アクリル酸又はアクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸、又は脂肪酸に由来する。アシル基は、特に、C6~30脂肪酸、より特定するとC12~24脂肪酸、更により特定するとC16~20脂肪酸に由来する。このような脂肪酸は、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシルステアリン酸、オレイン酸であってよい。これらのトリアシルチタネート中のアシル基は、同一であっても異なっていてもよい。好ましい実施形態は、モノ-イソプロピルトリアシルチタネートであり、米国特許出願公開第2005/0019284号(特に段落[0038]~[0052])を参照されたい。別の好ましい実施形態によれば、モノアルキルトリアシルチタネートは、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネートであってよい。好ましくは、モノアルキルトリアシルチタネートは、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)であってよく、これはまた、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン(INCI名: トリイソステアリン酸イソプロピルチタン)とも称される。モノ-アルキルトリ-アシルチタネート処理顔料は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料であってよい。モノ-アルキルトリ-アシルチタネート処理顔料は、少なくともモノアルキルトリアシルチタネートで処理された顔料である。モノ-アルキルトリ-アシルチタネート処理顔料は、モノアルキルトリアシルチタネートのみで処理されていてもよく、又はモノアルキルトリアシルチタネートと、少なくとも1種の追加の表面処理剤、例えばフッ素化表面処理剤又はシリコーン系表面処理剤、例えばポリジメチルシロキサンとで処理されていてもよい。例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料は、少なくともイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)で処理された顔料である。イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)のみで処理されていてもよく、又はイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)と、少なくとも1種の追加の表面処理剤、例えばフッ素化表面処理剤又はシリコーン系表面処理剤、例えばポリジメチルシロキサンとで処理されていてもよい。トリイソステアリン酸イソプロピルチタン(ITT)処理顔料の例として、株式会社KOBOディスパティックにより市販参照名BTD-401(登録商標)(二酸化チタンCI77891及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)、BBO-12(登録商標)(酸化鉄CI77499及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)、BYO-12(登録商標)(酸化鉄CI77492及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)並びにBRO-12(登録商標)(酸化鉄CI77491及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)で販売されているものを挙げることができる、
vi)セバシン酸イソステアリル、
vii)天然の植物性若しくは動物性ワックス、又は極性合成ワックス、
viii)脂肪エステル、具体的にはホホバエステル、
ix)リン脂質、並びに
x)これらの混合物。
【0166】
先に挙げられたワックスは、以下に定義される通り、化粧品中で一般に使用されるものでありうる。
【0167】
それらは特に、エステル又はヒドロキシル官能基を任意選択で含む、炭化水素、シリコーン及び/又はフルオロワックスであってよい。それらはまた、天然起源であっても合成起源であってもよい。
【0168】
用語「極性ワックス」は、少なくとも1個の極性基を含む化学物質を含有するワックスを意味する。極性基は当業者に周知であり、それらは、例えばアルコール、エステル又はカルボン酸の各基でありうる。ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト及びフィッシャー-トロプシュワックスは、極性ワックスの中には含まれない。
【0169】
詳細には、極性ワックスは、25℃にて、δa>0(J/cm3)1/2、なおもより良好にはδa>1(J/cm3)1/2となるような、平均ハンセン溶解度パラメータδaを有する。
【0170】
【0171】
(式中、δp及びδhは、それぞれ、極性寄与率及びハンセン溶解度パラメータに特異的な相互作用型の寄与率である)
【0172】
ハンセンによる三次元溶解度空間における溶媒の定義は、C. M. Hansen:「The three-dimensional solubility parameters」、J.Paint Technol. 39、105(1967年)の論文に記載されている。
- δhは、特定の相互作用力(水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴とし、
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、及びまた誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴とする。
【0173】
溶解度パラメータは、HSPiP v4.1ソフトウェアを用いて算出される。
【0174】
パラメータδp及びδhは、(J/cm3)1/2で表される。
【0175】
極性ワックスは、特に、それらの化学構造中の炭素及び水素原子以外に、ヘテロ原子(例えばO、N及びP)を含む分子から形成されている。
【0176】
特に挙げることができるこれらの極性ワックスの非限定的例示には、天然の極性ワックス、例えば蜜ろう、ラノリンワックス、オレンジワックス、レモンワックス及びイボタろう、米糠ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オウリカリワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、木ろう、ハゼろう及びモンタンワックスが含まれる。
【0177】
本発明の特定の一実施形態によれば、顔料は、N-アシルアミノ酸又はそれらの塩、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、シリコーン表面剤、天然の植物又は動物ワックス、水素化レシチン、脂肪エステル、及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物でコーティングされていてよい。
【0178】
本発明のより特に好ましい実施形態によれば、顔料は、N-アシルアミノ酸及び/又はその塩、特定するとグルタミン酸誘導体及び/又はその塩、特にグルタミン酸ステアロイル、例としてはステアロイルグルタミン酸アルミニウムでコーティングされていてよい。
【0179】
本発明のより特に好ましい一実施形態によれば、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムでコーティングされている二酸化チタン及び酸化鉄から選ばれる疎水性コーティング顔料が使用されることになり、例えば三好化成株式会社により参照名NAI(登録商標)で販売されている。
【0180】
本発明のより特に好ましい一実施形態によれば、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン(ITT)でコーティングされている二酸化チタン及び酸化鉄から選ばれる疎水性コーティング顔料が使用されることになり、株式会社KOBOディスパティックにより市販参照名BTD-401(登録商標)(二酸化チタンCI177891及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)、BBO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77499及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)、BYO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77492及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)、並びにBRO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77491及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)で販売されているものを挙げることができる。
【0181】
本発明による組成物中の(c)疎水性顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってよい。
【0182】
本発明による組成物中の(c)疎水性顔料の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってよい。
【0183】
そのため、本発明による組成物中の(c)疎水性顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%の範囲であってよい。
【0184】
(ポリオール)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のポリオールを含む。単一のタイプのポリオールを使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0185】
用語「ポリオール」は、本明細書では、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体には、糖類の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及びそこでその1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子が、少なくとも1つの置換基、例えばアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基で置き換えられた糖類又は糖アルコールが挙げられる。
【0186】
(d)ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含む、C2~C12ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールであってよい。
【0187】
(d)ポリオールは、天然のポリオールであっても合成のポリオールであってもよい。(d)ポリオールは、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造を有してよい。
【0188】
(d)ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択することができる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール(5~50のエチレンオキシド基)及びソルビトール等の糖からなる群から選択することができる。
【0189】
(d)ポリオールが、ジオール、好ましくはアルキレングリコール、より好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0190】
本発明による組成物中の(d)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であってよい。
【0191】
その一方で、本発明による組成物中の(d)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、60質量%以下、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下であってよい。
【0192】
そのため、(d)ポリオールは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは20質量%~55質量%、例えば30質量%~50質量%の範囲の量で存在してよい。
【0193】
(水)
本発明による組成物は、(e)水を含む。
【0194】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、15質量%未満である。
【0195】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってよい。
【0196】
その一方で、本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、15質量%未満であり、且つ12質量%以下、好ましくは10質量%以下であってよい。
【0197】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%未満、好ましくは3質量%~12質量%、より好ましくは5質量%~12質量%の範囲であってよい。
【0198】
(油)
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の油を含んでもよい。2種以上の油が使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0199】
本明細書では、「油」は、大気圧下(760mmHg)、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品中で一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0200】
(f)油は、炭化水素油、シリコーン油などの非極性油、植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってよい。
【0201】
(f)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0202】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0203】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0204】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0205】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、エステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0206】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、そこから本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。
【0207】
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0208】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用することができる。
【0209】
特に挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0210】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、アルデヒド又はケトン官能基ありの又はなしの、少なくとも4個の炭素原子を含む、いくつかのアルコール官能基を含有する、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0211】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0212】
脂肪酸の糖エステルは、特に、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から選ぶことができる。これらの化合物が不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0213】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0214】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特にオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってよい。
【0215】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0216】
挙げることができる例は、ジオレイン酸メチルグルコースである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品である。
【0217】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0218】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0219】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなど;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなど、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0220】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、特に液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
【0221】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明により使用されうる有機変性シリコーンは、上に定義されており、且つそれらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0222】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Pressに、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0223】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により特定すると以下から選ばれる:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7207で、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7158で、Rhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、式:
【0224】
【0225】
の、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109もまた挙げることができる。
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができ、並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃にて5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、Vol.91、1976年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに発表された記事にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445附属書Cに従って、25℃にて測定される。
【0226】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンも使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中で、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0227】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60000mm2/sの粘度を有するDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF96、SF18)。
【0228】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた挙げることができる。
【0229】
アリール基を含有するシリコーンの中で、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0230】
フェニルシリコーン油は、以下の式:
【0231】
【0232】
(式中、
R1~R10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチルの各基であり、
m、n、p、及びqは、互いに独立に、両端を含めて0~900、好ましくは両端を含めて0~500、より好ましくは両端を含めて0~100の整数であり、
但し条件として和n+m+qは0以外である)
のフェニルシリコーンから選ぶことができる。
【0233】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製のDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid油、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0234】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上の式中、R1~R10はメチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0235】
有機変性液状シリコーンは、特に、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有しうる。そのため、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製のSilwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
【0236】
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる、
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0237】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレンなど;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0238】
脂肪アルコールにおける用語「脂肪族」は、比較的多数の炭素原子の包含を意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0239】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選ぶことができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0240】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0241】
脂肪アルコールが飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0242】
そのため、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和のC12~C20アルコールから選択することができる。
【0243】
用語「飽和脂肪アルコール」は、本明細書では、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールが、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30脂肪アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の、飽和のC12~C20脂肪アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の、飽和のC16~C20脂肪アルコールが、より好ましくは使用されうる。分枝状のC16~C20脂肪アルコールが、更により好ましくは使用されうる。
【0244】
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0245】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0246】
(f)油が、600g/mol未満の分子量を有する油から選ばれることもまた、好ましい。
【0247】
好ましくは、(f)油は、600g/mol未満等の低分子量を有し、1つ又は複数の短い炭化水素鎖(C1~C12)を有するエステル油(例えば、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル及びパルミチン酸エチルヘキシル)、シリコーン油(例えば、シクロヘキサシロキサン等の揮発性シリコーン)、炭化水素油(例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン及びスクアラン)、分枝状及び/又は不飽和の脂肪アルコール(C12~C30)タイプの油、例えばオクチルドデカノール及びオレイルアルコール、並びにジカプリリルエーテル等のエーテル油の中から選ばれる。
【0248】
(f)油が、極性油から、より好ましくはエステル油から選ばれることが好ましい。
【0249】
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0250】
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってよい。
【0251】
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~30質量%、好ましくは0.5質量%~25質量%、より好ましくは1質量%~20質量%であってよい。
【0252】
(任意選択の成分)
本発明による組成物は、前述の成分に加えて、化粧品中で典型的に利用される任意選択の成分、具体的には、界面活性剤又は乳化剤、親水性又は親油性の増粘剤、動物又は植物に由来する天然抽出物、香料などを、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでよい。
【0253】
本発明による組成物は、上記の任意選択の成分を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでよい。
【0254】
(調製物)
本発明による組成物は、例えば、上記の必須成分と、必要な場合は任意選択の成分とを混合して調製することができる。
【0255】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段、例えばミキサーを使用して、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して本発明による組成物を調製することができる。
【0256】
[美容方法]
皮膚及び唇等のケラチン物質のための本発明による美容方法は、
ケラチン物質上に本発明による組成物を塗布する工程と、
組成物が塗布されたケラチン物質上に少なくとも1つのデバイスを適用して、ケラチン物質の表面層中に組成物を送達する工程と
を含む。
【0257】
上記デバイスは、それが本発明による組成物を、特に皮膚又は唇の角質層を通ってケラチン物質の表面層中に送達できる限り、限定されない。
【0258】
デバイスは、エネルギー、例えば光、音、熱及び振動を、皮膚及び唇等のケラチン物質に適用することができる場合がある。
【0259】
マイクロニードルがケラチン物質に針入してそれにより本発明による組成物をケラチン物質の表面層中に送達することができるように、デバイスが、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えたマイクロニードルシートであること又はマイクロニードルシートを備えていることが好ましい。デバイス及びマイクロシートは、後に説明されることになる。
【0260】
ケラチン物質上に、本発明による組成物を塗布する工程は、ブラシ等の任意のアプリケータを用いて実施することができる。
【0261】
本発明による組成物が、組成物のケラチン物質との良好な接触及びケラチン物質の所望の部位上の良好な美容効果のために、織布の布帛又は不織布の布帛等の少なくとも1枚の多孔質シートと組み合わせてケラチン物質上に塗布されることが好ましい場合がある。
【0262】
多孔質シートは、本発明による組成物を吸収し維持することができる。したがって、多孔質シートを適用することは、組成物がケラチン物質と良好に接触することを容易にすることができ、これは、ケラチン物質上の良好な美容効果に寄与することができる。
【0263】
上記の組み合わせのタイプは、限定されない。そのため、本発明による組成物をケラチン物質上に塗布する前に、多孔質シートがケラチン物質上に適用されてもよい。或いは、組成物をケラチン物質上に塗布した後で、多孔質シートがケラチン物質上に適用されてもよい。
【0264】
デバイスをケラチン物質上に適用する工程が、ケラチン物質上の所望の領域について実施されることが好ましい。例えば、デバイスが本発明による組成物をケラチン物質上の所望の領域中に送達できるのである限り、デバイスの部位を適用することが、ケラチン物質の表面上で動くことができることが好ましい。
【0265】
デバイスが、本発明による組成物をケラチン物質上で乾かす工程なしに、ケラチン物質上に適用されることが好ましい。換言すれば、組成物が乾かされる前に又はケラチン物質が濡れている間にデバイスが組成物をケラチン物質中に送達できるように、デバイスがケラチン物質上に適用されることが好ましい。
【0266】
本発明による美容方法は、ケラチン物質の表面からデバイスを外す工程を更に含んでよい。
【0267】
ケラチン物質の表面からデバイスを外す工程の後、本発明におる組成物は、ケラチン物質の表面から除去されてよい。
【0268】
本発明による美容方法が、ケラチン物質の表面からデバイスを外す工程の後に、且つケラチン物質の表面から本発明による組成物を除去する工程の前に、本発明による組成物をケラチン物質上に維持する又は放置する工程を更に含むことが好ましく、その理由は、該組成物が、例えば、マイクロニードルによって、ケラチン物質上に且つケラチン物質中に形成された孔を介してケラチン物質中に効果的に浸透できるためである。
【0269】
本発明による美容方法は、皮膚及び唇、好ましくは皮膚、より好ましくは顔の皮膚等の、ケラチン物質の美容トリートメントを意図しうる。
【0270】
本発明による美容方法は、例えば、皮膚等のケラチン物質を着色する及び/又はケアする(例えば白色化する)ことによって、ケラチン物質の審美的外観を改善するために使用することができる。
【0271】
本発明による美容方法は、ケラチン物質に、均一な着色効果及び皮膚ケア効果、並びに長く持続する着色効果、及び改善した皮膚ケア効果をもたらすことができる。したがって、例えば、本発明による美容方法によってもたらされるメイクアップ効果は、例えば、顔の上に皮脂若しくは汗が存在する又は雨が顔の上に落ちる場合であってさえ、顔の上に、長期間、維持することができる。
【0272】
しかしながら、本発明による美容方法は、半永久的着色である皮膚タトゥーには該当せず、その理由は、皮膚タトゥーが、痛みを伴うためである。更に、本発明による美容方法は、皮膚及び唇等のケラチン物質の表面層を着色し、したがって、本発明による美容方法によってもたらされた色は、例えば数週間のみ持続することができ、これは、半永久的着色には該当しない。
【0273】
[キット及び使用]
本発明はまた、皮膚及び唇等のケラチン物質のためのキットであって、
本発明による組成物と、
組成物をケラチン物質の表面層中に送達するための少なくとも1つのデバイスと
を含む、キットにも関する。
【0274】
本発明による組成物は、美容目的のために一般に使用される容器(vessel)等の任意の容器(container)中に収容することができる。
【0275】
キットは、好ましくは、本発明による美容方法を実施するために使用することができる。
【0276】
上記デバイスは、それが本発明による組成物を、特に皮膚又は唇の角質層を通ってケラチン物質の表面層中に送達できる限り、限定されない。
【0277】
デバイスは、エネルギー、例えば光、音、熱及び振動を、皮膚及び唇等のケラチン物質に適用することができる場合がある。
【0278】
デバイスが、マイクロニードルがケラチン物質中に針入してそれにより本発明による組成物をケラチン物質の表面層中に送達することができるように、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えたマイクロニードルシートである又はマイクロニードルシートを備えていることが好ましい。
【0279】
これ以降、マイクロニードルシート、及びマイクロニードルシートを有するデバイスの実施形態が記載される。
【0280】
{マイクロニードルシート}
マイクロニードルシートは、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えてよい。
【0281】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートを備えたデバイスは、美容デバイス、好ましくはケラチン物質用の美容デバイス、より好ましくは皮膚、特に顔の皮膚用並びに唇用の美容デバイスであってよい。
【0282】
(マイクロニードル)
マイクロニードルシートは、複数のマイクロニードルを備えてよい。
【0283】
マイクロニードルは、基材シートの表面上に存在する。マイクロニードルは、基材シートの表面上のうちの50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上に存在してよい。
【0284】
マイクロニードルが基材シートの表面のうちの一方に存在することが好ましい。
【0285】
本発明のために使用されることになるマイクロニードルシートのマイクロニードルが、皮膚、特に顔の皮膚及び唇の角質層中に針入する又は入るように設計されていることが好ましい。
【0286】
マイクロニードルは、角質層を穿刺するのに好適な任意のサイズ及び形状であることができる。マイクロニードルが、角質層を貫いて通過するように設計されることが好ましい場合がある。マイクロニードルは、角質層中に開口部又は通路を創製することが可能でありうる。
【0287】
必要な場合、マイクロニードルの高さを、皮膚の表皮及び/又は真皮、好ましくは表皮、より好ましくは表皮中の層のうちの任意のものへの針入を可能にするように適合させることができる。
【0288】
マイクロニードルの形状は、その形状が「針」である限り、限定されない。本発明のマイクロニードルが、角錐状、円錐状、棒状及び/又は柱状が含まれるがこれらに限定されない任意の合理的な形状をとれることが、当業者には明らかとなる。そのため、マイクロニードルは、先端部が底部と同一の直径を有していてもよく、又は直径が底部から先端部の方向に先細りしていてもよい。
【0289】
例えば、マイクロニードルの形状は、三角錐、四角錐又は五角錐の形態にあってもよい。或いは、マイクロニードルは、好ましくは先端部を有する円柱の形態にあってもよく、これは、円柱を斜め切りして形成することができる。マイクロニードルの断面は、円形、三角形、四角形、矩形、多角形を含めた任意の幾何学的形態、規則的又は不規則な形態などをとってよい。本発明の一実施形態では、マイクロニードルの群は、中空のミクロキャピラリーの形態をとってよい。しかしながら、本発明では、中実(非中空)マイクロニードルが好ましいことがある。
【0290】
そのため、「マイクロニードル」を、利用されている1種の微細突起又は微細突出として言及する。多くの場合、同一の発明原理が、皮膚に針入するための他の微細突起又は微細突出の使用に該当することが当業者には理解されよう。他の微細突起又は微細突出には、例えば、米国特許第6219574号及びカナダ特許出願第2226718号に記載されているマイクロブレード、並びに米国特許第6652478号に記載されているエッジ付きマイクロニードルを挙げることができる。
【0291】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの高さ又は長さは、10~500ミクロン、好ましくは30~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンであってよい。
【0292】
本発明の一実施形態によれば、マイクロニードルは円錐体の形態にある。
【0293】
円錐体は、先端部及び底面等の遠位端を備えてよい。底面の形状は、円形又は楕円形であってよい。
【0294】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの円錐体の高さ又は長さは、10~500ミクロン、好ましくは30~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンであってよい。
【0295】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの円錐体の底面は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンの直径又は幅を有してよい。本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの円錐体の底面が楕円形又は長円形の形状にある場合、楕円形の主軸の長さ又は幅は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンであってよい。
【0296】
マイクロニードルは、少なくとも約3:1、少なくとも約2:1、又は少なくとも約1:1のアスペクト比(底部における長さ/幅)を有しうる。マイクロニードルの(円錐体の高さ)/(円錐体の底面の直径)の比は、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であってよい。
【0297】
本発明の別の実施形態によれば、マイクロニードルは、角錐体、例えば三角錐及び四角錐の形態にある。
【0298】
角錐体は、先端部及び底面等の遠位端を備えていてよい。底面の形状は、三角形又は四角形であってよい。
【0299】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの角錐体の高さ又は長さは、10~500ミクロン、好ましくは30~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンであってよい。
【0300】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの角錐体の底面は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンの幅を有してよい。本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの角錐体の底面が三角形又は四角形の形状にある場合、三角形又は四角形の側面の長さ又は幅は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンであってよい。
【0301】
マイクロニードルは、少なくとも約3:1、少なくとも約2:1、又は少なくとも約1:1のアスペクト比(底部における長さ/幅)を有しうる。マイクロニードルの(角錐体の高さ)/(角錐体の底面の幅)の比は、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であってよい。
【0302】
マイクロニードルが、200ミクロン以下、好ましくは180ミクロン以下、より好ましくは160ミクロン以下の深さまで、皮膚及び唇等のケラチン物質中に針入できることが好ましい場合がある。
【0303】
マイクロニードルのきわめて狭いピッチは、マイクロニードルに、十分な表面積を提供することができず、その結果、マイクロニードルは、皮膚の内部に針入することができない。その一方で、広すぎるピッチもまた、個々のマイクロニードルが針入するのに十分な圧力を得ることができないという問題を引き起こしうる。そのため、マイクロニードルアレイのピッチが400~700ミクロン、より好ましくは400~500ミクロンであることが好ましい場合がある。
【0304】
マイクロニードルの数、及びマイクロニードル同士の間のピッチは、所望の色パターン及びマイクロニードルの幅等のいくつかの要素に依存する。例えば、0.5ミクロン幅を有する色パターンが所望である場合、0.5mmピッチを伴うマイクロニードルアレイ(2×2)を有するマイクロニードルシートの使用が最も適当でありうる。
【0305】
本発明の一実施形態では、マイクロニードルの密度は、100~2000マイクロニードル/cm2、好ましくは200~1000マイクロニードル/cm2、更により好ましくは200~500マイクロニードル/cm2であってよい。
【0306】
マイクロニードルが溶解性ではないことが、好ましい。
【0307】
「溶解性はない」マイクロニードルは、マイクロニードルが、例えば自然の湿潤因子又は外部水分によって、皮膚及び唇等のケラチン物質の内部で破壊されえない又は崩壊されえないことを意味する。
【0308】
マイクロニードルが水溶性ではないことが、より好ましい。
【0309】
マイクロニードルは、有機材料から作製されても無機材料から作製されてもよい。有機材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン及びフォトレジスト、生分解性プラスチック、セルロース誘導体、及びこれらの混合物を含む合成ポリマーを挙げることができる。無機材料の例として、ステンレス鋼を含む金属、シリコーン、ガラス及びセラミクス等の非金属、並びにこれらの混合物を挙げることができる。更に、皮膚又は体の中に埋め込み可能である任意の他の材料も使用することができる。
【0310】
マイクロニードルが、使用前に無菌である又は無菌化されていることが好ましい。マイクロニードルが、1回のみ使用され、したがって使い捨てであることがより好ましい。
【0311】
マイクロニードルが、無機材料、より好ましくは金属又は非金属、更により好ましくはケイ素(特に単一結晶ケイ素)から作製されていることが好ましい。
【0312】
マイクロニードルが、中実である(非中空)こともまた好ましい。
【0313】
マイクロニードルそれら自体は、任意の色を有してよい。しかしながら、マイクロニードルが、ケラチン物質を着色するために着色剤を一切含んでいないことが好ましい場合もある。
【0314】
(基材シート)
マイクロニードルシートは、その上にマイクロニードルが存在する又は置かれる基材シートを備えてよい。
【0315】
基材シートとマイクロニードルとは、分離されていても一体化されていてもよい。
【0316】
例えば、基材シートとマイクロニードルとは、少なくとも1種の共通の材料を含みうる。そのため、本発明の一実施形態では、基材シートとマイクロニードルとは、少なくとも1種の共通の材料を含む単一の要素であることができる。好ましくは、この単一の要素は、同じ材料を使用して調製することができる。
【0317】
その一方で、基材シートは、マイクロニードルと異なっていても別個であってもよい。例えば、基材シートとマイクロニードルとは、異なる材料から作製されていてよい。この場合、基材シートは、例えば、マスク、ワイプ、パッチ、及び一般に全てのタイプの多孔質基材シートから選ばれてよい。好ましくは、これらの基材シートは長円構造を有し、すなわち、その中でそれらが画定される平面の寸法よりも小さい厚みを有する。
【0318】
基材シートは、パッチ、ディスク、マスク、タオル、グローブ、プレカットロールの形態、又は美容上の使用に好適な他の任意の形態にあるように切断されてよい。
【0319】
(調製物)
本発明のために使用されるマイクロニードルシートをどのように調製するかに関して、制限はない。本発明のために使用されるマイクロニードルシートを、成型、3Dプリンティング、金属加工などの従来の技術に基づいて調製することが可能である。
【0320】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートの形状は限定されず、それは、マイクロニードルシートを適用する標的に応じて、唇の形状、又は目の下への適用に好適な形状等の任意の形状であってよい。
【0321】
{デバイス}
マイクロニードルシートは、デバイスとして、マイクロニードルがケラチン物質中に針入できるように皮膚及び唇等のケラチン物質上に適用することができる。
【0322】
マイクロニードルが、ケラチン物質中に繰り返し針入できることが好ましい。
【0323】
マイクロニードルの、ケラチン物質中への繰り返しの針入をどのように実施するかに制限はない。例えば、繰り返しの針入は、基材シートの前表面上のマイクロニードルがケラチン物質中に繰り返し針入できるように、マイクロニードルシートの基材シートの裏表面を指で数回タッピングすることによって実施することができる。
【0324】
更に、皮膚及び唇等のケラチン物質に向けた振動を用いて、マイクロニードルの繰り返しの針入を実施することが好ましい。
【0325】
例えば、
図1に示されているように、マイクロニードルシート1は、
図1中の上下の方向に相当する、ケラチン物質の表面に向けて振動を生成できる振動子2に連結されうる。振動子2のタイプは、それが振動を生成できる限り、限定されない。例えば、振動子2は、圧電素子によって構成されうる。当然ながら、ケラチン物質に向けて繰り返し動くことができる、好ましくは振動できる、任意の他のアクチュエータを、振動子2の代わりに使用することができる。
【0326】
図1では、マイクロニードル1は、振動子2により引き起こされる振動に基づいて上下に動くことができ、したがって、マイクロニードルシート1上のマイクロニードルは、皮膚及び唇等のケラチン物質中に繰り返し針入することができる。
【0327】
振動子2が、マイクロニードルシート1のレセプタとして機能できるヘッドと結合していることが好ましく、且つマイクロニードルシート1の基材シートがヘッドに取り付けられていることが好ましい。そのため、振動子2により引き起こされる振動は、ヘッドへと伝達されうる。そのようにして、マイクロニードルシート1はまた、ヘッドを介して振動することもできる。
【0328】
マイクロニードルシート1を振動させるシステムを備えたデバイスを用いることが好ましい。例えば、デバイスは、振動子2、及び振動子2に連結されているヘッド、及び振動子2を駆動できる乾電池等のバッテリー、及び振動子2により引き起こされる振動の周波数を制御する制御手段を備えていてよい。例として、その内容が参照により本明細書に組み込まれるWO2011/115602に開示されているデバイスを、上記デバイスとして使用することができる。
【0329】
上記デバイスを使用するとき、マイクロニードルシート1は、振動子2のヘッド上に載せられてよく、マイクロニードルシート1のマイクロニードルがケラチン物質中に繰り返し針入できるように、皮膚及び唇等のケラチン物質上に適用することができる。
【0330】
振動又はタッピング周波数は限定されない。例えば、周波数は、1分当たり1000~10000、好ましくは1分当たり1000~8000、より特定すると1分当たり3000~6000であってよい。
【0331】
マイクロニードルをケラチン物質中に針入させるために使用される圧力を制御することが好ましい場合がある。該圧力は、マイクロニードルのタイプ及び着色のタイプ等のいくつかの要素に依存しうる。
【0332】
マイクロニードルのタッピング又は振動針入は、連続的で安定な皮膚穿刺を可能にし、マイクロニードルをケラチン物質中へ駆動するのに必要とされる力を低減することができる。それは、ケラチン物質の処理された領域にマッサージ効果を更にもたらして、疎水性顔料の、ケラチン物質中へのより良好な拡散又は分散を可能にすることができる。
【0333】
本発明はまた、組成物を、皮膚及び唇等のケラチン物質の表面層中に送達するための少なくとも1つのデバイスと組み合わせた本発明による組成物の、ケラチン物質に均一な着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすための、使用にも関する。
【0334】
詳細には、本発明による使用は、皮膚又は唇等のケラチン物質に均一な着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすための、
本発明による組成物の、ケラチン物質上への第1の塗布と、
マイクロニードルがケラチン物質中に針入できるように、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えたマイクロニードルシートの、組成物が塗布されたケラチン物質上への第2の適用と
を含むことができる。
【0335】
マイクロニードルがケラチン物質中に繰り返して針入できることが好ましい。繰り返しは、マイクロニードルシートの振動又はタッピングに基づいてよい。
【0336】
本発明による使用の別の態様は、基材シートと基材シート上の複数のマイクロニードルとを備えたマイクロニードルシートと組み合わせた、皮膚及び唇等のケラチン物質を均一に着色する及び/又は白色化することにおける使用のための、本発明による組成物であって、マイクロニードルが、好ましくは繰り返して、より好ましくはマイクロニードルシートの振動又はタッピングに基づいて繰り返して、ケラチン物質中に針入することができる、組成物であってよい。
【0337】
本発明による上記キット及び使用によれば、マイクロニードルシートのマイクロニードルは、疎水性顔料及び/又は皮膚ケア活性剤を皮膚及び唇等のケラチン物質の表面層中へ送達して、ケラチン物質に均一な着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすことができる。更に、本発明による上記キット及び使用は、皮膚及び唇等のケラチン物質の表面層に、長く持続する着色効果及び/又は増強された皮膚ケア効果、例えば改善された白色化効果も、もたらすことができる。
【実施例0338】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載されることになる。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示される。
【0339】
[実施例1及び比較例1~3]
[調製]
実施例1及び比較例1~3による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合して調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料の「質量%」に基づく。
【0340】
【0341】
[評価]
(顔料の分散)
調製直後の実施例1及び比較例1~3による組成物を、偏光顕微鏡を用いて目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
良好: 顔料の凝集体を観察しなかった。
不良: 顔料の凝集体を観察した。
【0342】
結果を表1に示す。
【0343】
(結晶化)
調製直後の実施例1及び比較例1~3による組成物を、偏光顕微鏡を用いて目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
良好: 結晶を観察しなかった。
不良: 結晶を観察した。
【0344】
結果を表1に示す。
【0345】
(概要)
実施例1による組成物では、疎水性顔料は均一に分散し、皮膚ケア活性剤は結晶の沈殿なしに溶解した。
【0346】
そのため、実施例1による組成物は、特に組成物を表面層中に送達するのにデバイスを用いて皮膚及び唇等のケラチン物質上に適用するとき、均一な着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすことができる。
【0347】
水溶性酸を一切含まない比較例1による組成物では、疎水性顔料は均一に分散したが、皮膚ケア活性剤はその結晶の形成を引き起こし、これは、皮膚ケア活性剤が均一に溶解できなかったことを意味する。
【0348】
比較的多量の水を含む比較例2による組成物では、疎水性顔料は均一に分散することができず、一方で、皮膚ケア活性剤は結晶の沈殿なしに溶解した。
【0349】
比較的多量の水溶性酸を含む比較例3による組成物では、疎水性顔料は均一に分散することができず、一方で、皮膚ケア活性剤は結晶の沈殿なしに溶解した。
【0350】
そのため、比較例1~3による組成物は、特に組成物をケラチン物質の表面層中に送達するのにデバイスを用いて皮膚及び唇等のケラチン物質上に適用されるとき、均一な着色効果及び皮膚ケア効果をもたらすことができない。