(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104380
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】除菌装置および空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/22 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
F24F1/0007 361F
F24F13/22 222
F24F13/22 228
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008541
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 渉
(72)【発明者】
【氏名】仲山 聡通
(72)【発明者】
【氏名】中谷 英敏
(72)【発明者】
【氏名】須原 遼太
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BF02
(57)【要約】
【課題】ドレンパンの水を除菌できる除菌装置を提供する。
【解決手段】除菌装置(60)は、ポンプ(51)によってドレンパン(43)内から搬送された水を外部へ送るための排水管(62)から分岐し、水を前記ドレンパン(43)内に戻すための分岐流路(63A)と、分岐流路(63A)内の水に紫外線を照射する照射部(70)とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置(10)のドレンパン(43)内からポンプ(51)によって搬送された水を外部へ送るための排水管(62)から分岐し、水を前記ドレンパン(43)内に戻すための分岐流路(63A)と、
前記分岐流路(63A)内の水に向かって紫外線を照射する照射部(70)とを備える
除菌装置。
【請求項2】
前記ポンプ(51)が動作し前記分岐流路(63A)を水が流れるときに前記照射部(70)をONする第1制御部(90)を備える
請求項1に記載の除菌装置。
【請求項3】
前記照射部(70)を通過する前の水を浄化するフィルタ(71)を備える
請求項2に記載の除菌装置。
【請求項4】
前記フィルタ(71)は、前記分岐流路(63A)における前記照射部(70)よりも水流れの上流側に配置される
請求項3に記載の除菌装置。
【請求項5】
前記ポンプ(51)の吐出側と前記外部とを前記排水管(62)を介して連通させる第1状態と、前記ポンプ(51)の吐出側と前記分岐流路(63A)とを連通させる第2状態とに切り換わる流路切換弁(73)を備え、
前記第1制御部(90)は、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第1状態とし、前記照射部(70)をOFFする第1動作と、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第2状態とし、前記ポンプ(51)を動作させ、前記照射部(70)をONする第2動作とを実行させる
請求項2~4のいずれか1つに記載の除菌装置。
【請求項6】
前記第1制御部(90)は、前記第2動作中に、前記ドレンパン(43)内の水位が所定値に至ると、前記第1動作を実行させる
請求項5に記載の除菌装置。
【請求項7】
前記第1制御部(90)は、前記第2動作中に、所定時間が経過すると、前記第1動作を実行させる
請求項5に記載の除菌装置。
【請求項8】
ドレンパン(43)と、
前記ドレンパン(43)内の水を搬送するポンプ(51)と、
前記ポンプ(51)によって搬送された水を外部へ送るための排水管(62)と、
前記排水管(62)から分岐し、前記水を前記ドレンパン(43)内に戻すための分岐流路(63A)と、
前記分岐流路(63A)内の水に向かって紫外線を照射する照射部(70)とを備えた
空気調和装置。
【請求項9】
前記ポンプ(51)が動作し前記分岐流路(63A)を水が流れるときに前記照射部(70)をONする第2制御部(80)を備える
請求項8に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記ポンプ(51)の吐出側と前記外部とを前記排水管(62)を介して連通させる第1状態と、前記ポンプ(51)の吐出側と前記分岐流路(63A)とを連通させる第2状態とに切り換わる流路切換弁(73)を備え、
前記第2制御部(80)は、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第1状態とし、前記照射部(70)をOFFする第1動作と、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第2状態とし、前記照射部(70)をONする第2動作とを実行させる
請求項9に記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記第2制御部(80)は、前記第2動作中に、前記ドレンパン(43)内の水位が所定値に至ると、前記第1動作を実行させる
請求項10に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除菌装置および空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、UV光源を備えた除菌装置が開示されている。同文献の
図7の構成では、ドレン排水管から分岐する分岐管から流出した水が、分岐管の外部にある汚れ捕集部を通過する。汚れ捕集部は、比較的大きなサイズの汚れを捕集する。UV光源は、汚れ捕集部に捕集された汚れに向かって紫外線を照射する。その結果、汚れ捕集部に捕集された汚れが殺菌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の除菌装置は、汚れ捕集部に捕集された汚れの殺菌を考慮しているだけであり、ドレンパン内の水の除菌については何ら考慮していない。
【0005】
本開示は、ドレンパンの水を除菌できる除菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、空気調和装置(10)のドレンパン(43)内から搬送された水を外部へ送るための排水管(62)から分岐し、水を前記ドレンパン(43)内に戻すための分岐流路(63A)と、前記分岐流路(63A)内の水に紫外線を照射する照射部(70)とを備える除菌装置である。
【0007】
第1の態様では、排水管(62)の水が分岐流路(63A)を介してドレンパン(43)内に戻る。照射部(70)は、分岐流路(63A)内の水に紫外線を照射するので、この水を除菌できる。その結果、ドレンパン(43)には、除菌された水を戻すことができるので、ドレンパン(43)内での菌の繁殖を抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記ポンプ(51)が動作し前記分岐流路(63A)を水が流れるときに前記照射部(70)をONする第1制御部(90)を備える。
【0009】
第2の態様では、ポンプ(51)が動作することでドレンパン(43)内の水が分岐流路(63A)を流れる。照射部(70)は、分岐流路(63A)を流れる水に紫外線を照射する。その結果、分岐流路(63A)を流れる水は、紫外線によって除菌された後、ドレンパン(43)内に戻る。ドレンパン(43)内の水は、再び分岐流路(63A)を流れ、照射部(70)によって除菌される。このように第2の態様では、ドレンパン(43)内の水が分岐流路(63A))を介して循環するとともに、循環する水が照射部(70)によって除菌される。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記照射部(70)を通過する前の水を浄化するフィルタ(71)を備える。
【0011】
第3の態様では、フィルタ(71)を通過した水が、照射部(70)を流れる。このため、照射部(70)を流れる水の濁りを抑制できるので、紫外線が水中と透過し易くなる。その結果、紫外線による水の殺菌効果を向上できる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記フィルタ(71)は、前記分岐流路(63A)における前記照射部(70)よりも水流れの上流側に配置される。
【0013】
第4の態様では、フィルタ(71)が分岐流路(63A)に配置されるので、ドレンパン(43)内の水が排水管(62)から外部へ送られるときには、水がフィルタ(71)を通過しない。このため、フィルタ(71)の寿命を延ばすことができる。
【0014】
第5の態様は、第2~第4のいずれか1つの態様において、前記ポンプ(51)の吐出側と前記外部とを前記排水管(62)を介して連通させる第1状態と、前記ポンプ(51)の吐出側と前記分岐流路(63A)とを連通させる第2状態とに切り換わる流路切換弁(73)を備え、前記第1制御部(90)は、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第1状態とし、前記照射部(70)をOFFする第1動作と、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第2状態とし、前記ポンプ(51)を動作させ、前記照射部(70)をONする第2動作とを実行させる。
【0015】
第5の態様では、第1制御部(90)が第1動作と第2動作とを切り換える。第1動作では、ポンプ(51)によってドレンパン(43)内から搬送された水が流路切換弁(73)を通過した後、排水管(62)を介して外部へ排出される。第1動作では、照射部(70)はOFF状態となるので、照射部(70)の寿命を延ばすことができる。
【0016】
第2動作では、ポンプ(51)によって搬送された水が流路切換弁(73)を通過した後、分岐流路(63A)を介してドレンパン(43)内に戻される。照射部(70)をON状態とすることで、ドレンパン(43)内の水を循環させながら殺菌できる。
【0017】
第6の態様は、第5の態様において、前記第1制御部(90)は、前記第2動作中に、前記ドレンパン(43)内の水位が所定値に至ると、前記第1動作を実行させる。
【0018】
第2動作を行うと、ドレンパン(43)内の水は外部へ排出されないので、ドレンパン(43)内の水位が上昇してしまう。第6の態様では、第2動作中にドレンパン(43)内の水位が所定値に至ると第1動作を実行させる。これにより、ドレンパン(43)内の水を外部へ排出できるので、ドレンパン(43)内の水位の上昇を抑制できる。
【0019】
第7の態様は、前記第1制御部(90)は、前記第2動作中に、所定時間が経過すると、前記第1動作を実行させる。
【0020】
第7の態様では、第2動作において所定時間が経過すると、第1動作を実行するので、第2動作に起因してドレンパン(43)内の水位が上昇することを抑制できる。
【0021】
第8の態様は、ドレンパン(43)と、前記ドレンパン(43)内の水を搬送するポンプ(51)と、前記ポンプ(51)によって搬送された水を外部へ送るための排水管(62)と、前記排水管(62)から分岐し、前記水を前記ドレンパン(43)内に戻すための分岐流路(63A)と、前記分岐流路(63A)内の水に向かって紫外線を照射する照射部(70)とを備えた空気調和装置である。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、前記ポンプ(51)が動作し前記分岐流路(63A)を水が流れるときに前記照射部(70)をONする第2制御部(80)を備える。
【0023】
第10の態様は、第9の態様において、前記ポンプ(51)の吐出側と前記外部とを前記排水管(62)を介して連通させる第1状態と、前記ポンプ(51)の吐出側と前記分岐流路(63A)とを連通させる第2状態とに切り換わる流路切換弁(73)を備え、前記第2制御部(80)は、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第1状態とし、前記照射部(70)をOFFする第1動作と、前記ポンプ(51)の動作中に前記流路切換弁(73)を第2状態とし、前記照射部(70)をONする第2動作とを実行させる。
【0024】
第11の態様は、第10の態様において、前記第2制御部(80)は、前記第2動作中に、前記ドレンパン(43)内の水位が所定値に至ると、前記第1動作を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和装置の配管系統図である。
【
図3】
図3は、ドレンパンおよび水配管の概略の構成図である。
【
図4】
図4は、空調システムの主要な機器を表すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1動作および第2動作の切り換えの制御に関するフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1動作および第2動作の切り換えの制御に関するタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、変形例2に係る1動作および第2動作の切り換えの制御に関するフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例11に係る空気調和装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。
【0027】
本実施形態の空調システム(S)は、空気調和装置(10)と除菌装置(60)とを有する。除菌装置(60)は、空気調和装置(10)とともに空調システム(S)に組み込まれる。除菌装置(60)は、現地に据え付けられた空気調和装置(10)に増設される付加的な装置であってもよい。
【0028】
(1)空気調和装置の概要
空気調和装置(10)は、対象空間である室内空間の空気の温度を調節する。
図1に示すように、空気調和装置(10)は、室外機(20)と、室内機(30)とを備える。室外機(20)と室内機(30)は、一対の連絡配管(12)を介して互いに接続される。空気調和装置(10)では、室外機(20)と室内機(30)と連絡配管(12)とによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)が構成される。空気調和装置(10)は、複数の室内機(30)を有する室内マルチ式であってもよいし、複数の室外機(20)を有する室外マルチ式であってもよい。
【0029】
(1-1)室外機
室外機(20)は、室外に設置される。室外機(20)は、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、室外ファン(25)と、膨張弁(24)と、液側閉鎖弁(26)と、ガス側閉鎖弁(27)とを有する。
【0030】
圧縮機(21)は、例えばスクロール式またはロータリ式の全密閉型圧縮機である。圧縮機(21)は、低圧冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機(21)は、圧縮された高圧冷媒を吐出する。
【0031】
四方切換弁(22)は、冷媒回路(11)における冷媒の流れを切り換えるための弁である。四方切換弁(22)は、
図1に実線で示す第1状態と、
図1に破線で示す第2状態とに切り換わる。第1状態は、圧縮機(21)が吐出した高圧冷媒を室外熱交換器(23)へ送り、室内機(30)から流入した低圧冷媒を圧縮機(21)へ送る状態である。第2状態は、圧縮機(21)が吐出した高圧冷媒を室内機(30)へ送り、室外熱交換器(23)を通過した低圧冷媒を圧縮機(21)へ送る状態である。
【0032】
室外熱交換器(23)は、冷媒を室外空気と熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器(23)は、例えばフィン・アンド・チューブ熱交換器である。室外ファン(25)は、室外熱交換器(23)に室外空気を供給するファンである。膨張弁(24)は、開度可変の電動式膨張弁である。膨張弁(24)は、室内機(30)に設けられてもよい。
【0033】
(1-2)室内機
室内機(30)は、空気調和の対象空間である室内に設置される。室内機(30)は、室内熱交換器(31)と、室内ファン(32)とを有する。
【0034】
図2に示すように、本実施形態の室内機(30)は、天井埋込型の室内機である。室内機(30)は、天井吊下式、壁掛け式、ダクト式、床置き式などの他の方式であってもよい。室内機(30)は、ケーシング(40)と、室内ファン(32)と、室内熱交換器(31)と、ドレンパン(33)と、ベルマウス(34)とを備える。
【0035】
ケーシング(40)は、ケーシング本体(41)と化粧パネル(42)とを備える。ケーシング(40)には、室内ファン(32)と、室内熱交換器(31)と、ドレンパン(43)と、ベルマウス(44)とが収容される。
【0036】
室内ファン(32)は、いわゆるターボファンである。室内ファン(32)は、下方から吸い込んだ空気を径方向の外側に向けて吹き出す。室内ファン(32)は、ケーシング本体(41)の内部中央に配置される。
【0037】
ベルマウス(44)は、室内ファン(32)の下方に配置される。ベルマウス(44)は、ケーシング(40)へ流入した空気を室内ファン(32)へ案内するための部材である。
【0038】
室内熱交換器(31)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。室内熱交換器(31)は、その内側から外側へ向かって通過する空気を、冷媒回路(11)の冷媒と熱交換させる。
【0039】
ドレンパン(43)は、室内熱交換器(31)の下側に配置される。ドレンパン(43)は、ケーシング本体(41)の下端を塞ぐように配置される。ドレンパン(43)は、室内熱交換器(31)において生成したドレン水を受ける。
【0040】
ドレンパン(43)には、吹出し通路(45)が形成される。吹出し通路(45)は、室内熱交換器(31)を通過した空気が流れる通路である。吹出通路(45)は、ドレンパン(43)を上下方向に貫通する。
【0041】
化粧パネル(42)は、四角い厚板状に形成された樹脂製の部材である。化粧パネル(42)は、ケーシング本体(41)の下面を覆うように配置される。化粧パネル(42)の中央部には、正方形状の一つの吸込口(46)が形成される。吸込口(46)は、化粧パネル(42)を上下に貫通する。吸込口(46)には、格子状の吸込グリル(47)が設けられる。吸込グリル(47)の上方には、エアフィルタ(48)が配置される。
【0042】
化粧パネル(42)には、複数の吹出口(49)が、吸込口(46)を囲むように形成される。吹出口(49)は、化粧パネル(42)を上下に貫通する。吹出口(49)は、吹出し通路(45)と連通する。吹出口(49)の内部には、風向調節羽根(50)が設けられる。
【0043】
(1-3)ポンプ
空気調和装置(10)は、ポンプ(51)を備える。
図3に模式的に示すように、ポンプ(51)は、ドレンパン(43)の内部に配置される。ポンプ(51)は、ドレンパン(43)の底板(43a)に形成された凹部(43b)の内部に配置される。ポンプ(51)は、ドレンパン(43)に溜まった水を汲み上げて吐出する。ポンプ(51)によって搬送された水は、水配管(61)を介して外部に排出される。
【0044】
(1-4)水位検知部
空気調和装置(10)は、水位検知部(52)を備える。水位検知部(52)は、ドレンパン(43)の内部に配置される。水位検知部(52)は、ドレンパン(43)の水位を検知する。本実施形態の水位検知部(52)は、フロートスイッチであるが、超音波式、静電容量式、圧力式などの水位検知部であってもよい。水位検知部(52)は、ドレンパン(43)内の水位が所定の所定値に至ると信号を出力する。所定値は、ドレンパン(43)内の水の上限高さである。
【0045】
(2)運転動作
空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転を行う。
【0046】
(2-1)冷房運転
冷房運転では、四方切換弁(22)が第1状態に設定され、冷媒回路(11)において冷媒が循環する。冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が放熱器として機能し、室内熱交換器(31)が蒸発器として機能する。室内機(30)は、室内空間から吸い込んだ空気を室内熱交換器(31)において冷却し、冷却された空気を室内空間へ吹き出す。
【0047】
(2-2)暖房運転
暖房運転では、四方切換弁(22)が第2状態に設定され、冷媒回路(11)において冷媒が循環する。冷媒回路(11)では、室内熱交換器(31)が放熱器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室内機(30)は、室内空間から吸い込んだ空気を室内熱交換器(31)において加熱し、加熱された空気を室内空間へ吹き出す。
【0048】
(2-3)室内機における空気の流れ
室内機の運転中には、室内ファン(25)が回転する。室内ファン(25)が回転すると、室内空間の室内空気が、吸込口(46)を通ってケーシング(40)の内部に吸い込まれる。ケーシング(40)内の空気は、室内熱交換器(65)を通過する間に冷却され又は加熱される。冷却または加熱された空気は、吹出し通路(45)および吹出口(49)を通って室内空間へ吹き出される。
【0049】
(3)除菌装置
除菌装置(60)は、ドレンパン(43)内の水の除菌・殺菌を行う。言い換えると、除菌装置(60)は、ドレンパン(43)内の水を浄化する。除菌装置(60)は、水配管(61)と、照射部(70)と、フィルタ(71)と、流路切換弁(73)とを備える。
【0050】
(3-1)水配管
水配管(61)は、ドレンパン(43)内の水が流れる配管である。水配管(61)は、排水管(62)と、分岐流路(63A)とを備える。排水管(62)は、ポンプ(51)によってドレンパン(43)内から搬送された水を外部へ送るための流路を構成する。分岐流路(63A)は、排水管(62)から分岐し、水をドレンパン(43)内に戻すための流路である。分岐流路(63A)は、分岐管(63)の内部に形成される。
【0051】
排水管(62)の流入端は、ポンプ(51)の吐出側に接続する。排水管(62)の流出端は、空気調和装置(10)の外部に繋がる。排水管(62)は、上流側から下流側に向かって、第1管(P1)、第2管(P2)、第3管(P3)、および第4管(P4)を有する。第1管(P1)は、ポンプ(51)側から上方に延びる。第2管(P2)は、第1管(P1)の流出端から水平に延びる。第3管(P3)は、第2管(P2)に接続する流路切換弁(73)から下方に延びる。第4管(P4)は、第3管(P3)の流出端から斜め下方に延びる。
【0052】
分岐管(63)の流入端は、流路切換弁(73)に接続する。分岐管(63)の流出端は、ドレンパン(43)の内部に向かって開口する。分岐管(63)の全体の形状は、略U字状に形成される。分岐管(63)のうち、湾曲した部分は側方に位置する。分岐管(63)は、その全体に亘って、下側に延びる配管によって構成される。ここでいう、「下側」は、「鉛直下方」および「斜め下方」の双方を含む意味である。分岐管(63)は、水平の延びる部分を有してもよい。このような構成により、ポンプ(51)の停止時においても、分岐管(63)内の水を自重によってドレンパン(43)内に排出できる。
【0053】
具体的には、分岐管(63)は、上流側から下流側に向かって、第5管(P5)、第6管(P6)、および第7管(P7)を有する。第5管(P5)は、流路切換弁(73)側から斜め下方に延びる。第6管(P6)は、第5管(P5)の流出端から下方に延びる。第7管(P7)は、第6管(P6)の流出端から斜め下方に延びる。
【0054】
分岐管(63)の管径は、排水管(62)の管径と同じであるが、分岐管(63)の管径は、排水管(62)の管径よりも小さくてもよい。
【0055】
(3-2)照射部
照射部(70)は、分岐流路(63A)に設けられる。具体的には、本実施形態の照射部(70)は、分岐管(63)の下流側の第7管(P7)に設けられる。照射部(70)は、分岐流路(63A)内の水に向かって紫外線を照射する。照射部(70)は、UV光源、レンズ、およびUV光源の制御回路、およびそれらを収容するケースを有する。照射部(70)は、照射する紫外線のピーク波長が255nm以上275nm以下であることが好ましい。これにより、水の殺菌効果を向上できる。
【0056】
例えば照射部(70)は、分岐管(63)の周壁に形成された開口を塞ぐように分岐流路(63A)に設けられる。照射部(70)は、分岐管(63)の内部の水に向かって紫外線を照射する。分岐管(63)は、紫外線に対する耐性に優れた材料、例えば無機材料であることが好ましい。これにより、紫外線に起因して分岐管(63)が劣化することを抑制できる。
【0057】
分岐管(63)の中途部にタンクを接続し、照射部(70)は、タンク内の水に向かって紫外線を照射してもよい。この場合、タンク内の流路は、分岐流路(63A)の一部を構成する。タンクは、紫外線に対する耐性に優れた材料、例えば無機材料であることが好ましい。これにより、紫外線に起因してタンクが劣化することを抑制できる。この構成では、照射部(70)から照射される紫外線が分岐管(63)にあたることを回避できるので、紫外線による分岐管(63)の劣化を抑制できる。したがって、分岐管(63)を、塩化ビニルや一般的な金属材料で構成することができる。
【0058】
照射部(70)は、水流路を形成する流路形成部材と一体的なユニットであってもよい。水流路は、分岐管(63)の中途部と接続する。照射部(70)は、流路形成部材内の水流路の水に向かって紫外線を照射する。この場合、水流路は、分岐流路(63A)の一部を構成する。流路形成部材は、紫外線に対する耐性に優れた材料、例えば無機材料であることが好ましい。これにより、紫外線に起因して流路形成部材が劣化することを抑制できる。この構成では、照射部(70)から照射される紫外線が分岐管(63)にあたることを回避できるので、紫外線による分岐管(63)の劣化を抑制できる。したがって、分岐管(63)を、塩化ビニルや一般的な金属材料で構成することができる。
【0059】
(3-3)フィルタ
フィルタ(71)は、水配管(61)における照射部(70)よりも水流れの上流側に配置される。フィルタ(71)は、照射部(70)を通過する前の水を浄化する。フィルタ(71)は、分岐流路(63A)における照射部(70)よりも水流れの上流側に配置される。具体的には、本実施形態のフィルタ(71)は、第5管(P5)に設けられる。フィルタ(71)は、水中の固形成分を捕捉する。具体的には、フィルタ(71)は、水中の不溶解性物質を捕捉することで水の濁度を低下させる。フィルタ(71)は、例えばろ過式のフィルタやストレーナで構成される。
【0060】
(3-4)流路切換弁
流路切換弁(73)は、排水管(62)の中途部に設けられる。流路切換弁(73)は、三方弁で構成される。流路切換弁(73)は、第1ポート(73a)、第2ポート(73b)、および第3ポート(73c)を有する。第1ポート(73a)は、ポンプ(51)の吐出側と連通する。第2ポート(73b)は、空気調和装置(10)の外部と連通する。第3ポート(73c)は、分岐流路(63A)と連通する。流路切換弁(73)は、第1状態と第2状態とに切り換わる。第1状態の流路切換弁(73)では、第1ポート(73a)と第2ポート(73b)とが連通し、第1ポート(73a)と第3ポート(73c)とが断続する。第2状態の流路切換弁(73)では、第1ポート(73a)と第3ポート(73c)とが連通し、第1ポート(73a)と第2ポート(73b)とが断続する。第1状態の流路切換弁(73)は、ポンプ(51)の吐出側と、空気調和装置(10)の外部とを排水管(62)を介して連通させる。第2状態の流路切換弁(73)は、ポンプ(51)の吐出側と分岐流路(63A)とを連通させる。
【0061】
(4)制御部に関する構成
図4に示すように、空調システム(S)は、空気調和装置(10)に設けられる空調制御部(80)と、除菌装置(60)に設けられる除菌制御部(90)とを有する。空調制御部(80)は、室外機(20)に設けられる室外制御部(81)と、室内機(30)に設けられる室内制御部(82)を含む。除菌制御部(90)は、第1制御部に対応し、空調制御部(80)は、第2制御部に対応する。
【0062】
空調制御部(80)および除菌制御部(90)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0063】
室外制御部(81)と室内制御部(82)とは、第1通信線(W1)を介して双方向に信号を送受信する。空調制御部(80)と除菌制御部(90)とは、第2通信線(W2)を介して双方向に信号を送受信する。第1通信線(W1)および第2通信線(W2)は、有線または無線である。本実施形態では、室内制御部(82)と除菌制御部(90)とが、第2通信線(W2)を介して互いに接続される。
【0064】
(4-1)空調制御部
空調制御部(80)は、空気調和装置(10)の運転や、空気調和装置(10)の各機器を制御する。
【0065】
室外制御部(81)は、圧縮機(21)のON/OFF、および回転数を制御する。室外制御部(81)は、四方切換弁(22)の状態、および膨張弁(24)の開度を制御する。室外制御部(81)は、室外ファン(25)のON/OFF、および回転数を制御する。室内制御部(82)は、室内ファン(32)の回転数を制御する。室内制御部(82)は、ポンプ(51)のON/OFFを制御する。室内制御部(82)は、ドレンパン(43)内の水位が上限値に至るときに水位検知部(52)から出力される信号を受信する。
【0066】
(4-2)除菌制御部
除菌制御部(90)は、照射部(70)のON/OFFを制御する。除菌制御部(90)は、照射部(70)から照射する紫外線の照度を調整してもよい。除菌制御部(90)は、空気調和装置(10)から出力される信号に応じて照射部(70)を制御する。除菌制御部(90)は、流路切換弁(73)の状態を制御する。具体的には、除菌制御部(90)は、空気調和装置(10)から出力される信号に応じて流路切換弁(73)を制御する。
【0067】
空気調和装置(10)から除菌制御部(90)へ出力される信号は、空調制御部(80)から出力される信号であるが、各機器から直接出力される信号であってもよい。この信号は、空気調和装置(10)の運転状態に関する信号、ポンプ(51)の運転状態に関する信号、水位検知部(52)が検出した水位に関する信号を含む。
【0068】
(5)制御動作
ドレンパン(43)の排水に関する制御動作について、
図3~
図6を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の除菌装置(60)は、空調制御部(80)の判定結果に基づき第1動作と第2動作とを実行する。なお、
図3において実線の矢印は第1動作における水の流れを示し、破線の矢印は、第2動作における水の流れを示す。
【0069】
(5-1)第1動作
第1動作は、ドレンパン(43)内の水を外部に排出するための排水動作である。第1動作では、除菌制御部(90)が、ポンプ(51)の動作中に流路切換弁(73)を第1状態とし、照射部(70)をOFFする。第1動作では、照射部(70)がOFF状態になるので、照射部(70)によって水が殺菌されない。
【0070】
第1動作では、ポンプ(51)がドレンパン(43)内の水を汲み上げる。ポンプ(51)から吐出された水は、排水管(62)を流れ、空気調和装置(10)の外部へ排出される。具体的には、ポンプ(51)から吐出された水は、第1管(P1)、第2管(P2)、流路切換弁(73)、第3管(P3)、および第4管(P4)を通過し、空気調和装置(10)の系外の排水路などに送られる。
【0071】
(5-2)第2動作
第2動作は、ドレンパン(43)内の水を循環させながら、この水を殺菌する循環動作である。第2動作では、ポンプ(51)の動作中に流路切換弁(73)を第2状態とし、照射部(70)をONする。第2動作では、照射部(70)がON状態になるので、照射部(70)によって水が殺菌される。
【0072】
第2動作では、ポンプ(51)がドレンパン(43)内の水を汲み上げる。ポンプ(51)から吐出された水は、排水管(62)の第1管(P1)、第2管(P2)、および流路切換弁(73)を通過した後、分岐流路(63A)に流入する。分岐流路(63A)では、第5管(P5)にあるフィルタ(71)によって水が浄化される。その結果、水の濁度が低下する。言い換えると、フィルタ(71)を通過する水は、透明度が高くなる。
【0073】
フィルタ(71)を通過した水は、第7管(P7)にある照射部(70)を通過する。照射部(70)は、分岐流路(63A)を流れる水に向かって紫外線を照射する。これにより、水が殺菌される。この水は、フィルタ(71)によって濁度が低下しているので、水中における紫外線の透過率が上がる。このため、紫外線による殺菌効果が向上する。照射部(70)を通過した水は、ドレンパン(43)内に戻る。
【0074】
以上のようにして、ドレンパン(43)内の水の殺菌が行われると、ドレンパン(43)内での菌の繁殖を抑制できる。この結果、菌の繁殖に伴いカビやスライムなどが生成することを抑制できる。
【0075】
(5-3)第1動作および第2動作の切り換え制御
第1動作および第2動作の切り換え制御について、
図5および
図6を参照しながら説明する。
【0076】
図5に示すように、ステップS11では、除菌制御部(90)が、冷房動作の指令の有無を判定する。ここで、冷房動作は、上述した冷房運転において、室内機(30)の室内熱交換器(31)によって空気を冷却する動作である。冷房動作は、いわゆるサーモオンにより室内熱交換器(31)が蒸発器として機能する動作を含む。冷房動作の指令は、空調制御部(80)から除菌制御部(90)に出力される。ステップS11において冷房動作の指令があると判定されると、処理はステップS12に移行する。
【0077】
ステップS12では、第1動作が実行される。厳密にいうと、第1動作では、空調制御部(80)がポンプ(51)を運転させ、除菌制御部(90)が照射部(70)をOFFさせるとともに流路切換弁(73)を第1状態とする。なお、第1動作において、除菌制御部(90)がポンプ(51)を直接運転させる、あるいは除菌制御部(90)が、空調制御部(80)を介して間接的にポンプ(51)を運転させてもよい。
【0078】
このように、本実施形態では、冷房動作の開始時においては、第1動作が実行される。冷房動作の開始時には、室内熱交換器(31)の周囲の空気が急激に冷却されるので、この空気が露点温度以下となり、凝縮水が生成しやすい。このため、冷房動作の開始時には、ドレンパン(43)内の水位が上昇しやすい。冷房動作の開始時において第1動作を実行することで、ドレンパン(43)内の水位が急上昇することと抑制できる。
【0079】
ステップS13では、除菌制御部(90)が、第1時間ΔT1が経過したか否かを判定する。第1時間の起点は、除菌制御部(90)に冷房動作の指令が入力されたとき、つまり、冷房動作の開始の時点である。ステップ13において第1時間ΔT1が経過したと判定されると、処理はステップS14に移行する。
【0080】
ステップS14では、第2動作が実行される。厳密にいうと、第2動作では、ポンプ(51)が連続的に運転され、除菌制御部(90)が照射部(70)をONさせるとともに流路切換弁(73)を第2状態とする。第2動作では、上述したようにドレンパン(43)内の水が殺菌される。第2動作では、ドレンパン(43)内の水が外部に排出されないので、ドレンパン(43)内の水位が徐々に高くなっていく。その後、冷房運転の指令が継続してあると(ステップS15のYES)、処理はステップS16に移行する。
【0081】
ステップS16では、除菌制御部(90)が、ドレンパン(43)内の水位が上限値に至ったか否かを判定する。水位検知部(52)がドレンパン(43)内の水位が上限値に至ったことを検知すると、水位検知部(52)から出力された信号が、空調制御部(80)を介して除菌制御部(90)に入力される。除菌制御部(90)は、この信号に基づきドレンパン(43)内の水位が上限値に至ったか否かを判定できる。なお、除菌制御部(90)は、水位検知部(52)から出力された信号を直接受信し、この信号に基づきドレンパン(43)内の水位が上限値に至ったか否かを判定してもよい。ステップS16において、水位が上限値に至ったと判定されると、処理はステップS17に移行する。
【0082】
ステップS17では、第1動作が実行される。これにより、ドレンパン(43)内の水が再び外部に排出される。その結果、ドレンパン(43)内の水位が徐々に低くなっていく。その後、冷房運転の指令が継続してあると(ステップS18のYES)、処理はステップS19に移行する。
【0083】
ステップS19では、除菌制御部(90)が、第2時間ΔT2が経過したか否かを判定する。第2時間の起点は、前回の第1動作の開始の時点である。本実施形態の第2時間ΔT2は、第1時間ΔT1よりも長い。第2時間ΔT2は、第1時間Δ1と同じ、あるいは第1時間ΔT1より短くてもよい。ステップ19において第2時間ΔT2が経過したと判定されると、処理はステップS14に戻り、再び第2動作が実行される。その結果、ドレンパン(43)内の水が再び殺菌される。
【0084】
以上のようにして、冷房動作の指令があるときには、第1動作と第2動作とが交互に繰り返し実行される。
【0085】
(6)実施形態の効果
除菌装置(60)は、分岐流路(63A)内の水に向かって紫外線を照射する照射部(70)を備える。照射部(70)は、分岐流路(63A)からドレンパン(43)内に戻る水にむかって直接紫外線を照射するので、水の殺菌効果を向上できる。
【0086】
除菌制御部(90)は、ポンプ(51)が動作し分岐流路(63A)を水が流れるときに照射部(70)をONする。このため、ドレンパン(43)内の水を循環させながら、分岐流路(63A)内の水を連続的に殺菌できる。加えて、照射部(70)がONするときに照射部(70)から発する熱を、水に放出できる。このため、照射部(70)の温度上昇を抑制できるので、照射部(70)の寿命を延ばすことができる。
【0087】
分岐流路(63A)における照射部(70)よりも水流れの上流側には、水を浄化するフィルタ(71)が設けられる。このため、照射部(70)を流れる水の濁度を低下できるので、照射部(70)から照射される紫外線が水中を透過しやすくなる。その結果、照射部(70)による水の殺菌効果を向上できる。加えて、フィルタ(71)は、排水管(62)ではなく、分岐流路(63A)に配置される。このため、水がフィルタ(71)を流れる時間を短くできるので、フィルタ(71)の寿命を延ばすことができる。
【0088】
除菌制御部(90)は、ポンプ(51)の動作中に流路切換弁(73)を第1状態とし、照射部(70)をOFFする第1動作と、ポンプ(51)の動作中に流路切換弁(73)を第2状態とし、ポンプ(51)を動作させ、照射部(70)をONする第2動作とを実行させる。このため、ドレンパン(43)内の水を外部に排出できる第1動作と、ドレンパン(43)内の水を循環させながら殺菌する第2動作とを選択的に切り換えることができる。
【0089】
除菌制御部(90)は、第2動作中にドレンパン(43)内の水位が所定値(上限値)に達すると、第1動作を実行させる。このため、ドレンパン(43)の水を速やかに外部へ排出できるので、ドレンパン(43)の水が溢れてしまうことを確実に回避できる。
【0090】
(7)変形例
上述した実施形態については、以下のような変形例の構成としてもよい。
【0091】
(7-1)変形例1
上記実施形態では、除菌制御部(90)が、第1動作および第2動作を実行するための判定を行っている。しかしながら、空調制御部(80)が第1動作および第2動作を実行するための判定を行ってもよい。具体的には、例えばステップS13では、空調制御部(80)は、ΔT1が経過したことを判定し、ΔT1が経過した場合に空調制御部(80)から除菌制御部(90)に、照射部(70)および流路切換弁(73)を制御するための信号を出力してもよい。この場合、この信号を受信した除菌制御部(90)が、照射部(70)をONさせ、流路切換弁(73)を第2状態とすることで第2動作が実行される。
【0092】
また、例えばステップS16では、空調制御部(80)がドレンパン(43)内の水位が上限値に至ったことを判定し、水位が上限値に至った場合に空調制御部(80)から除菌制御部(90)に、照射部(70)および流路切換弁(73)を制御するための信号を出力してもよい。この場合、この信号を受信した除菌制御部(90)が、照射部(70)をOFFさせ、流路切換弁(73)を第1状態とすることで第1動作が実行される。
【0093】
(7-2)変形例2
変形例2の空調システム(S)は、上記実施形態の空調システム(S)と、第2動作から第1動作への切り換えの判定方法が異なる。
図7に示すように、変形例2の除菌制御部(90)は、実施形態のステップS16に替わって、ステップS26の判定を行う。
【0094】
ステップS26では、除菌制御部(90)は、第3時間ΔT3が経過したか否かを判定する。第3時間ΔT3の起点は、前回の第2動作の開始の時点である。言い換えると、第3時間ΔT3の起点は、除菌制御部(90)が、第2動作の開始時に照射部(70)をONさせ、流路切換弁(73)を第2状態に切り換えた時点である。ステップS26において、第3時間ΔT3が経過したと判定されると、処理はステップS17に移行する。その結果、第1動作が再び実行され、ドレンパン(43)内の水が外部に排出される。
【0095】
変形例2では、冷房動作の開始の指令が除菌制御部(90)に入力されたタイミングを起点として、第1動作と第2動作とが所定時間毎に交互に繰り返される。変形例2では、水位検知部(52)からの信号を出力するための出力部、この信号を入力するための入力部、および出力部と入力部に亘る通信線を省略できる。このため、空調システム(S)の簡素化できる。特に、既設の空気調和装置(10)には、水位検知部(52)からの信号を出力するための出力部が存在しないことがある。このため、既設の空気調和装置(10)に、後から除菌装置(60)を増設する場合、変形例2に係る制御を簡単に付加できる。
【0096】
(7-3)変形例3
除菌制御部(90)は、第2動作中に、ドレンパン(43)内の水位が所定値(上限値)に至った第1条件と、第2動作中に所定時間(第3時間Δ3)が経過した第2条件のいずれかが成立すると、第1動作を実行してもよい。
【0097】
(7-4)変形例4
図5や
図7に示す制御において、ステップS11で冷房動作の指令があると、ステップS12およびステップS13の処理を省略して、ステップS14に移行してもよい。つまり、除菌制御部(90)は、冷房動作の開始の指令が入力されると、第1動作を実行させずに、第2動作を実行させてもよい。
【0098】
(7-5)変形例5
除菌制御部(90)は、第1動作中に水位検知部(52)で検知したドレンパン(43)の水位が所定値(下限値)に至ると、第2動作を実行させてもよい。この下限値は、上記上限値よりも低い所定高さに設定される。
【0099】
(7-6)変形例6
除菌制御部(90)は、空気調和装置(10)の運転が停止したとき、停止した直後、あるいは停止した期間に第2動作を実行させてもよい。除菌制御部(90)は、空気調和装置(10)の運転が停止したとき、停止した直後、あるいは停止した期間に第1動作を実行させてもよい。
【0100】
(7-7)変形例7
照射部(70)は、ポンプ(51)の停止時において分岐流路(63A)内の水に向かって紫外線を照射してもよい。具体的には、照射部(70)は運転中のポンプ(51)が停止した直後に、分岐流路(63A)内の水に向かって紫外線を照射してもよい。また、照射部(70)は、ポンプ(51)の停止時に水の自重により分岐流路(63A)内を流れる水に向かって紫外線を照射してもよい。
【0101】
(7-8)変形例8
実施形態では、流路切換弁(73)が排水管(62)における第2管(P2)に設けられている。しかし、流路切換弁(73)は、排水管(62)における第1管(P1)に設けられてもよい。
【0102】
(7-9)変形例9
実施形態のフィルタ(71)は、分岐流路(63A)に設けられている。しかし、フィルタ(71)は、排水管(62)における照射部(70)の水流れの上流側に設けられてもよい。具体的には、例えばフィルタ(71)を第1管(P1)や第2管(P2)に設けてもよい。
【0103】
(7-10)変形例10
実施形態の水配管(61)において流路切換弁(73)を省略した構成としてもよい。この場合、ポンプ(51)が運転されると、排水管(62)を流れる水の一部が分岐流路(63A)に分流し、ドレンパン(43)内に戻る。これにより、ドレンパン(43)内の水を外部に排出すると同時に、ドレンパン(43)内の水を殺菌できる。この構成では、分岐管(63)の管径を排水管(62)の管径よりも小さくするのが好ましい。これにより、ポンプ(51)の運転時において、ドレンパン(43)から外部へ排出される水の量が少なくなり過ぎるのを抑制でき、ドレンパン(43)内の水位の上昇を抑制できる。
【0104】
(7-11)変形例11
変形例11は、実施形態、および上述した各変形例に係る除菌装置(60)に相当する構成を有する空気調和装置(10)である。
【0105】
空気調和装置(10)は、上述した水配管(61)と、照射部(70)と、フィルタ(71)と、流路切換弁(73)とを備える。
図8に示すように、室内制御部(82)は、実施形態の除菌制御部(90)と同様にして、照射部(70)および流路切換弁(73)を制御する。
【0106】
室内制御部(82)は、ポンプ(51)の動作中に流路切換弁(73)を第1状態とし、照射部(70)をOFFする第1動作と、ポンプ(51)の動作中に流路切換弁(73)を第2状態とし、照射部(70)をONする第2動作とを実行させる。
【0107】
室内制御部(82)は、上記実施形態や各変形例と同様にして、第1動作と第2動作の切り換えの判定を行う。空調制御部(80)は、第2動作中に、ドレンパン(43)内の水位が所定値に至ると、前記第1動作を実行させる。空調制御部(80)は、第2動作中に、所定時間が経過すると、前記第1動作を実行させる。
【0108】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0109】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上に説明したように、本開示は、除菌装置および空気調和装置について有用である。
【符号の説明】
【0111】
10 空気調和装置
43 ドレンパン
51 ポンプ
60 除菌装置
62 排水管
63A 分岐流路
70 照射部
71 フィルタ
72 流路切換弁
80 空調制御部(第2制御部)
90 除菌制御部(第1制御部)