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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104385
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20240729BHJP
   F23N 5/02 20060101ALI20240729BHJP
   F23N 3/08 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
F23N5/24 106Z
F23N5/02 341Z
F23N3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008557
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】大脇 将太
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠輔
【テーマコード(参考)】
3K003
3K005
【Fターム(参考)】
3K003JA12
3K003KA07
3K003KB02
3K003LA01
3K003NA03
3K003SA01
3K003SA05
3K003SB10
3K003SC04
3K005AA06
3K005AB17
3K005AC07
3K005BA01
3K005CA06
3K005DA06
3K005EA02
(57)【要約】
【課題】燃焼室の過熱異常を正確に判定して、安定して燃焼運転を行えるとともに、高い安全性を有する燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼室5の外方で、空気取り込み用開口部58と一定距離、離間して対向する遮蔽板70と、感熱部81が空気取り込み用開口部58と遮蔽板70との間に位置するように、遮蔽板70に設けられた温度検知手段80と、バーナ9の点火及び消火や給排気ファン21の作動を制御する制御部Cとを備える燃焼装置1であって、制御部1は、給排気ファン21を作動させるとともにバーナ9を点火させて燃焼運転を開始させ、バーナ9の燃焼が安定した後、温度検知手段80で検知される検知温度の温度上昇勾配が所定の燃焼時勾配閾値より大きくなるか、または検知温度が所定の燃焼時温度閾値より高くなると、燃焼室5の過熱異常と判定して、バーナ9を消火させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を取り込む空気取り込み用開口部が設けられた構成壁を有する燃焼室と、
前記燃焼室に収容されたバーナと、
前記燃焼室よりも給排気経路の下流に設けられた給排気ファンと、
前記燃焼室の外方で、前記空気取り込み用開口部と一定距離、離間して対向する遮蔽板と、
感熱部が前記空気取り込み用開口部と前記遮蔽板との間に位置するように、前記遮蔽板に設けられた温度検知手段と、
前記バーナの点火及び消火や前記給排気ファンの作動を制御する制御部と、を備える燃焼装置であって、
前記制御部は、前記給排気ファンを作動させるとともに前記バーナを点火させて燃焼運転を開始させ、前記バーナの燃焼が安定した後、前記温度検知手段で検知される検知温度の温度上昇勾配が所定の燃焼時勾配閾値より大きくなるか、または前記検知温度が所定の燃焼時温度閾値より高くなると、前記燃焼室の過熱異常と判定して、前記バーナを消火させる燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
前記燃焼時勾配閾値及び前記燃焼時温度閾値はそれぞれ、前記バーナの火力に応じて設定されている燃焼装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃焼装置において、
前記制御部は、前記過熱異常と判定した場合、前記バーナを消火させるが、前記給排気ファンの作動を継続させ、
前記バーナを消火させた後、前記検知温度の温度下降勾配が所定の消火時勾配閾値より大きくなると、前記バーナの再点火を許可し、
前記バーナを消火させた後、前記検知温度の前記温度下降勾配が前記消火時勾配閾値より小さければ、前記バーナの再点火を禁止する燃焼装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の燃焼装置において、
前記遮蔽板は、前記空気取り込み用開口部と一定距離、離間して対向し、前記燃焼室の前記構成壁に向かって下方に傾斜する内向き傾斜面部を有し、
前記温度検知手段は、前記感熱部が前記空気取り込み用開口部と前記内向き傾斜面部との間に位置するように、前記内向き傾斜面部に設けられており、
前記感熱部より上方の前記空気取り込み用開口部と前記内向き傾斜面部との間の距離が、前記感熱部より下方の前記空気取り込み用開口部と前記内向き傾斜面部との間の距離よりも大きい燃焼装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の燃焼装置において、
前記遮蔽板は、前記バーナ近傍に設けられた前記空気取り込み用開口部と一定距離、離間して対向しており、
前記温度検知手段は、前記感熱部が前記バーナ近傍の前記空気取り込み用開口部の上方域に臨むように、前記遮蔽板に設けられている燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関する。特に、本発明は、燃焼室の過熱異常を判定可能な燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類乾燥機や給湯器などの燃焼装置では、加熱源であるバーナの燃焼運転中、給排気経路の閉塞が生じると、バーナを収容する燃焼室が過熱異常となる。そのため、燃焼室の構成壁の外面に温度センサを取り付け、温度センサで検知される検知温度が所定の設定温度以上になるかどうかから閉塞を判定している(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、燃焼室の構成壁に空気取り入み用開口部が設けられる場合では、給排気経路の閉塞によって燃焼室に取り込まれる空気が少なくなると、バーナに形成される燃焼炎が揺動するため、燃焼室の構成壁が燃焼炎によって直接、加熱される。そのため、従来のように燃焼室の構成壁の外面に温度センサを直接、取り付けた場合、給排気経路の一部に塵埃が付着した程度の低閉塞状態であっても、構成壁からの伝熱によって検知温度が設定温度以上となり、燃焼室の過熱異常と判定される。その結果、バーナが消火され、燃焼運転が停止されるという問題がある。
【0004】
低閉塞状態では燃焼室の過熱異常と判定しないように、燃焼室の構成壁に遮熱板を取り付け、燃焼室の構成壁から離れた位置の遮熱板の温度を温度センサで検知することも考えられる。しかしながら、燃焼室の構成壁からの伝熱によって遮熱板の温度が設定温度以上に上昇するには一定の時間が必要になる。また、燃焼室の構成壁から離れた位置に温度センサが設けられた場合、燃焼室近傍の雰囲気温度が低いと検知温度が設定温度以上に上昇するまで時間がかかってしまう。そのため、実際にバーナを停止する必要がある燃焼室の過熱異常の判定が遅れるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-178897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、燃焼室の過熱異常を正確に判定して、安定して燃焼運転を行えるとともに、高い安全性を有する燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の態様によれば、
空気を取り込む空気取り込み用開口部が設けられた構成壁を有する燃焼室と、
前記燃焼室に収容されたバーナと、
前記燃焼室よりも給排気経路の下流に設けられた給排気ファンと、
前記燃焼室の外方で、前記空気取り込み用開口部と一定距離、離間して対向する遮蔽板と、
感熱部が前記空気取り込み用開口部と前記遮蔽板との間に位置するように、前記遮蔽板に設けられた温度検知手段と、
前記バーナの点火及び消火や前記給排気ファンの作動を制御する制御部と、を備える燃焼装置であって、
前記制御部は、前記給排気ファンを作動させるとともに前記バーナを点火させて燃焼運転を開始させ、前記バーナの燃焼が安定した後、前記温度検知手段で検知される検知温度の温度上昇勾配が所定の燃焼時勾配閾値より大きくなるか、または前記検知温度が所定の燃焼時温度閾値より高くなると、前記燃焼室の過熱異常と判定して、前記バーナを消火させる燃焼装置が提供される。
【0008】
上記第1の態様によれば、遮蔽板が、燃焼室の外方で、空気取り込み用開口部と一定距離、離間して対向して設けられ、温度検知手段は、感熱部が空気取り込み用開口部と遮蔽板との間に位置するように、遮蔽板に設けられているから、給排気経路の低閉塞状態でバーナに形成される燃焼炎に揺動が生じて燃焼室の構成壁が加熱されても、感熱部が燃焼室の構成壁の温度上昇の影響を直接、受けるのを防止することができる。また、給排気ファンが正常に作動されていれば、給排気経路の低閉塞状態では、燃焼室の外部から一定量の空気が空気取り込み用開口部と遮蔽板との間の隙間を通って空気取り込み用開口部を介して燃焼室内に取り込まれる。そのため、空気取り込み用開口部と遮蔽板との間に位置する感熱部が上記隙間を通る空気によって冷却される。これにより、給排気経路の低閉塞状態での感熱部の過度の温度上昇を防止することができ、不要なバーナの消火による燃焼運転の停止を防止することができる。
【0009】
一方、給排気経路への異物の侵入やファン故障などによって給排気経路が高閉塞状態になると、燃焼室に十分な空気が供給されないから、バーナに形成される燃焼炎が伸び、燃焼炎が空気を求めて大きく揺動して、燃焼炎や燃焼排気が空気取り込み用開口部から燃焼室の外部にあふれてくる。そのため、空気取り込み用開口部からあふれてくる燃焼炎や燃焼排気が、空気取り込み用開口部に臨んでいる感熱部に接触する。また、給排気経路が高閉塞状態にあれば、燃焼室の外部から空気取り込み用開口部に向かって流れる空気が少ないから、感熱部が冷却され難い。その結果、給排気経路の高閉塞状態では検知温度が短時間で上昇する。従って、検知温度の温度上昇勾配が燃焼時勾配閾値より大きい急勾配になるか、または検知温度が燃焼時温度閾値より高くなれば、給排気経路の高閉塞状態での燃焼室の過熱異常と判定することができ、早期にバーナを消火させて、安全に燃焼運転を停止させることができる。
【0010】
従って、上記第1の態様によれば、燃焼室の過熱異常を正確に判定して、安定して燃焼運転を行えるとともに、高い安全性を有する燃焼装置を提供することができる。
【0011】
本技術の第2の態様によれば、上記第1の態様の燃焼装置において、
前記燃焼時勾配閾値及び前記燃焼時温度閾値はそれぞれ、前記バーナの火力に応じて設定される。
【0012】
バーナの火力によってバーナに形成される燃焼炎の大きさが異なってくるから、温度検知手段の検知温度も異なってくる。従って、上記第2の態様によれば、燃焼室の過熱異常をより正確に判定することができる。
【0013】
本技術の第3の態様によれば、上記第1または第2の態様の燃焼装置において、
前記制御部は、前記過熱異常と判定した場合、前記バーナを消火させるが、前記給排気ファンの作動を継続させ、
前記バーナを消火させた後、前記検知温度の温度下降勾配が所定の消火時勾配閾値より大きくなると、前記バーナの再点火を許可し、
前記バーナを消火させた後、前記検知温度の前記温度下降勾配が前記消火時勾配閾値より小さければ、前記バーナの再点火を禁止する。
【0014】
例えば、燃焼装置の外部から排気通路を構成する排気筒に突風が吹きこんだりすると、給排気経路が高閉塞状態となる。このような給排気経路の高閉塞状態は一時的であり、燃焼装置に異常は発生していないから、閉塞の原因がなくなると正常に燃焼室に空気が取り込まれる。一方、上記のような一時的な給排気経路の高閉塞状態でも燃焼室に取り込まれる空気は少なくなるから、検知温度が上昇して燃焼室の過熱異常と判定される。その結果、上記のような一時的な給排気経路の高閉塞状態が生じるたびにバーナが消火されて、燃焼運転が停止されると、燃焼運転が安定に行われなくなる。
【0015】
しかしながら、上記第3の態様によれば、バーナは消火されるが、給排気ファンは継続して作動されるから、一時的な給排気経路の高閉塞状態が生じた後、閉塞の原因がなくなると、燃焼室の外部の空気は空気取り入れ用開口部に向かって流れる。その結果、感熱部が冷却されて、検知温度が大きく低下する。従って、バーナが消火された後、給排気ファンが継続して作動されたときに、検知温度の温度下降勾配が消火時勾配閾値より大きい急勾配になれば、燃焼室の過熱異常は一時的な給排気経路の高閉塞状態に起因すると判定できるから、バーナの再点火を許可することにより、早期に燃焼運転を再開させることができる。
【0016】
一方、給排気経路の高閉塞状態が継続していれば、空気取り入れ用開口部に向かって流れる空気は少ないから、感熱部は冷却され難く、検知温度の低下は小さい。従って、バーナが消火された後、給排気ファンが継続して作動されても、検知温度の温度下降勾配が消火時勾配閾値より小さい緩勾配であれば、燃焼室の過熱異常は継続的な給排気経路の高閉塞状態に起因すると判定できるから、バーナの再点火を禁止することにより、給排気経路の高閉塞状態での燃焼運転の再開を防止して、燃焼室の過熱異常の繰り返しを防止することができる。
【0017】
本技術の第4の態様によれば、上記第1~第3のいずれか1つの態様の燃焼装置において、
前記遮蔽板は、前記空気取り込み用開口部と一定距離、離間して対向し、前記燃焼室の前記構成壁に向かって下方に傾斜する内向き傾斜面部を有し、
前記温度検知手段は、前記感熱部が前記空気取り込み用開口部と前記内向き傾斜面部との間に位置するように、前記内向き傾斜面部に設けられており、
前記感熱部より上方の前記空気取り込み用開口部と前記内向き傾斜面部との間の距離が、前記感熱部より下方の前記空気取り込み用開口部と前記内向き傾斜面部との間の距離よりも大きい。
【0018】
上記第4の態様によれば、遮蔽板は空気取り込み用開口部と対向しているから、給排気経路が高閉塞状態となると、空気取り込み用開口部から燃焼室の外部にあふれる燃焼炎や燃焼排気が遮蔽板によって遮られる。また、感熱部は内向き傾斜面部に設けられており、感熱部より上方の空気取り込み用開口部と内向き傾斜面部との間の距離は、感熱部より下方の空気取り込み用開口部と内向き傾斜面部との間の距離よりも大きいから、給排気経路の高閉塞状態で空気取り込み用開口部から空気取り込み用開口部と内向き傾斜面部との間の隙間にあふれる燃焼炎や燃焼排気は上方に流れて、上方の隙間に滞留しやすい。従って、燃焼炎や燃焼排気が感熱部に接触しやすくなり、給排気経路の高閉塞状態において検知温度をさらに短時間で上昇させることができる。これにより、さらに早期に燃焼室の過熱異常を判定することができる。
【0019】
本技術の第5の態様によれば、上記第1~第4のいずれか1つの態様の燃焼装置において、
前記遮蔽板は、前記バーナ近傍に設けられた前記空気取り込み用開口部と一定距離、離間して対向しており、
前記温度検知手段は、前記感熱部が前記バーナ近傍の前記空気取り込み用開口部の上方域に臨むように、前記遮蔽板に設けられる。
【0020】
給排気経路が高閉塞状態となり、燃焼室に取り込まれる空気が少なくなると、バーナに形成される燃焼炎は空気を求めて上方に向かってリフティングして揺動する。そのため、バーナ近傍の空気取り込み用開口部の上方域から燃焼炎や燃焼排気があふれやすい。従って、感熱部がバーナ近傍の空気取り込み用開口部の上方域に臨むように、遮蔽板に温度検知手段を設けることにより、給排気経路の高閉塞状態において検知温度をさらに短時間で上昇させることができる。これにより、さらに早期に燃焼室の過熱異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略縦断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略背面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略分解斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の燃焼室近傍を示す前方視要部概略斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の燃焼室を示す要部概略斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るバーナ及びバーナボックスを示す概略斜視図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の燃焼室の過熱異常の判定動作を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る燃焼室の過熱異常を判定するためのバーナの火力に対応して設定される燃焼時勾配閾値のデータテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の燃焼装置を衣類乾燥機に適用した実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略縦断面図であり、図2は、本体ケースの後壁を省略した概略背面図であり、図3は、回転ドラムの前後に配設される構成部品の要部概略分解斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係る衣類乾燥機1は、略矩形箱状の本体ケース11と、本体ケース11の正面に開設された衣類取出し口100をその正面側から被蓋する開閉扉12とで、その外郭が構成されている。なお、本明細書では、衣類乾燥機1の開閉扉12側を正面側とし、衣類乾燥機1を正面側から見たときの奥行き方向を前後方向、横方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0023】
本体ケース11は、衣類取出し口100が開口する前壁11aと、前後方向で前壁11aと対向する後壁11bと、前壁11aと後壁11bの上下側辺を連結する上下壁11c,11dと、前壁11aと後壁11bの左右側辺を連結する左右壁11e,11fとからなる周壁110を有する。
【0024】
本体ケース11内には、その正面側に円形状の開口部130を有する円筒形状の回転ドラム3が横向き姿勢で収容されている。衣類取出し口100の回転ドラム3側の外周には、円環状の前ドラムサポート14が形成されている。図示しないが、前ドラムサポート14には、衣類の湿り具合に応じてオン/オフする湿度センサが配設されている。湿度センサで検知された検知信号は、後述する制御回路に出力される。
【0025】
円筒形状の衣類取出し口100の下方部分の一定領域には、半円弧形状の開口部121(以下、「温風排出口121」という)が開設されている。温風排出口121には、取り外し可能な網目状のエアフィルタ19が装着されている。回転ドラム3内の温風が温風排出口121及び後述する連絡ダクト120を介して排気ダクト20内へ送り出される際、このエアフィルタ19によって回転ドラム3内に浮遊するごみや糸くずが除去される。
【0026】
回転ドラム3の胴部131の後端には、後壁133が接続されている。回転ドラム3の後壁133の中央部には、円筒形状の支軸15が挿通されている。
【0027】
支軸15は、回転ドラム3の後壁133の後方で本体ケース11内に立設する後ドラムサポート111に挿通されている。後ドラムサポート111の平板部の外周部には、前方に膨出する円形状の凸部が形成されている。凸部は、後述する給気ダクト17の前面に形成されているダクト連絡口171に対向する環状領域に一定幅の開口部112を有する。
【0028】
回転ドラム3の外周部とモータ16の図示しない一端側の出力軸のドラム駆動プーリとの間には、伝動ベルト160が架け渡されている。図示しないが、モータ16には、モータ16の回転数を検出するためにホール素子を使用した回転数センサが設けられている。回転数センサで検知された検知信号は、制御回路に出力される。
【0029】
支軸15の後端部には、ファンプーリ151が取り付けられている。ファンプーリ151とモータ16の他端側の出力軸に取付けられたファン駆動プーリ154との間には、ファンベルト155が架け渡されている。共通のモータ16によるベルト駆動によって、回転ドラム3及び給排気ファン21が回転駆動される。
【0030】
図1及び図3に示すように、後ドラムサポート111の後面側の左領域には、バーナ9によって加熱された温風を回転ドラム3内へ送り込むための扁平な略半円弧形状の給気ダクト17が配設されている。給気ダクト17の後面上部には、後方に開放し、後述する燃焼室5に連通する流入口170が開設されている。また、給気ダクト17の前面の略全面には、前方に開放し、温風を前方に吹き出すダクト連絡口171が開設されている。
【0031】
後ドラムサポート111の後面側の中心部には、排気ダクト20の排気部200が配設されている。排気部200の後方の開口部210(以下、「排気出口210」という)は、ファンケース4の吸気口40と対向している。また、排気ダクト20の下端には、前方に開放する開口部が設けられている。そして、排気ダクト20は、後ドラムサポート111の下端の開口を介して、衣類取出し口100の下方部分の温風排出口121から回転ドラム3と本体ケース11の下壁11dとの間に形成される隙間Gを通って回転ドラム3の後方まで延びる連絡ダクト120と接続されている。このため、温風排出口121から排出される温風は、連絡ダクト120及び排気ダクト20を通って、ファンケース4に送り込まれる。
【0032】
給気ダクト17及び排気ダクト20の後方には、給排気ファン21を収容するファンケース4が配設されている。ファンケース4は、所定形状に成形した後方に開放する浅皿形状の前壁43と、所定形状に成形した平板形状の後壁44とを接合することにより、扁平な略円筒箱状に形成されている。ファンケース4は、前壁43に開口し、排気ダクト20の排気出口210と連通する吸気口40と、ファンケース4の周面から接線方向に上方に突出し、本体ケース11の上壁11cに形成された排気口10に連通する吐出口41とを有する。屋外に連通する排気筒900が排気口10に接続される。
【0033】
回転ドラム3の後壁133の凹部には、支軸15から放射状に複数の小円孔135(以下、「温風吹き出し口135」という)が穿設されている。燃焼室5から給気ダクト17へ送り込まれる温風は、これらの温風吹き出し口135を通って、後壁133と後述するカバー板153との間の間隙へ導かれる。
【0034】
支軸15の前端部には、その外周方向へ広がる略円板形状の固定フランジ152が固設されている。固定フランジ152の前面には、後壁133の前面の略全体を回転ドラム3の内側から覆う円板形状のカバー板153が非回転状態で固設されている。図示しないが、カバー板153の外周の所定幅の環状領域には、複数の小円孔が穿設されている。カバー板153の前面には、回転ドラム3に収容された衣類の温度を検知するための衣類温センサM1が設けられており、衣類温センサM1で検知された検知信号は、制御回路に出力される。
【0035】
図4は、前方から見たときの燃焼室5近傍を示す要部概略斜視図である。図2及び図4に示すように、ファンケース4の外周面と、本体ケース11の周壁110の上壁11cと右壁11fのコーナ部との間に形成される空間Sには、略横L字状の燃焼室5が配設されている。燃焼室5は、所定形状に形成した複数の金属板を接合することにより形成されている。燃焼室5は、前後、左右及び上下の構成壁51~56を有する。
【0036】
燃焼室5の下構成壁56は、ファンケース4の外周形状と略一致する上方に凸の略半円弧形状を有する。燃焼室5の前構成壁51は、変形五角形状を有する。また、前構成壁51の左右方向の長さは、後構成壁52のそれよりも小さい。このため、燃焼室5の前構成壁51の左方には、流出口57が前方に開放している。この燃焼室5の流出口57は、給気ダクト17の後面上部に設けられた流入口170と前後方向で対向するように接続されている。
【0037】
燃焼室5の上構成壁55は、左右方向に長手の略矩形状を有する。従って、この燃焼室5では、左右方向が長手方向となる。燃焼室5の右構成壁53は、略矩形状を有し、本体ケース11の上壁11c近傍からファンケース4の約上半分の高さまで略垂直に下方に延びている。燃焼室5の左構成壁54は、本体ケース11の上壁11c近傍からファンケース4の上方まで略垂直に下方に延びている。
【0038】
燃焼室5内の右端近傍には、図6に示すバーナ9が配置されたバーナボックス7が収容されている。図6に示すように、本実施の形態では、2本のバーナ9が、縦置きにバーナボックス7内に配置されている。各バーナ9は、複数(ここでは、10個)の炎孔90が上下方向に所定の間隔で並設された複数(ここでは、2列)の炎孔列91を有する。また、いずれの炎孔90も、同一の左方向に向かって略水平に開口している。このため、バーナ9によって生成される燃焼排気は、燃焼室5の長手方向の右から左に向かって流れる。図示しないが、各バーナ9のガス入口は、開口方向を揃えて下方に開口しており、ガス入口にはバルブユニット92から延びるガスノズルが臨んでいる。なお、バーナ9の本数や炎孔90の形状、数、配列構造は、適宜設定される。
【0039】
図示しないが、燃焼室5内には、バーナ9を点火するための点火電極と、バーナ9の点火及び消火を検知するための熱電対が配設されている。点火電極は、制御回路からの指示によりバーナ9を点火させる。熱電対は、バーナ9に形成される燃焼炎に晒されると熱起電力を発生し、熱起電力の検知信号は制御回路に出力される。
【0040】
図2図4及び図5に示すように、燃焼室5の前後及び上下の構成壁51,52,55,56にはいずれも、複数の空気取り込み用開口部58が所定の間隔で開口している。前後の構成壁51,52に形成されているバーナ側の空気取り込み用開口部58は、上下方向に長手のスリット形状を有する。また、上下構成壁55,56に形成されている空気取り込み用開口部58は、前後方向に長手のスリット形状を有する。また、バーナ9から離れた後構成壁52の左右方向の中央部よりも左方の空気取り込み用開口部58は左右方向に長手のスリット形状を有し、燃焼室5の流出口57に対向している。給排気ファン21を作動させることにより、これらの空気取り込み用開口部58から本体ケース11内の空気が燃焼室5に取り込まれる。
【0041】
燃焼室5の上構成壁55と本体ケース11の上壁11cとの間には、上構成壁55全体を覆うように略矩形状の金属製の遮熱板62が配設されている。これにより、燃焼室5の上構成壁55が燃焼炎で炙られた場合でも、本体ケース11の上壁11cの温度上昇を防止することができる。
【0042】
バーナ9の下方には、バルブユニット92が配設されている。バルブユニット92は従来公知の構成を有するため図示しないが、電磁弁や比例弁等を有する。これらの制御弁が開弁されることにより、先端のノズルからバーナ9内へ所定量のガスと周辺の空気とが送り込まれる。そして、点火電極から火花放電を生じさせて混合気を点火させると、バーナ9に燃焼炎が形成されて、燃焼排気が燃焼室5内へ放出され、空気取り込み用開口部58から燃焼室5内に取り込まれる空気が加熱されて、温風が形成される。
【0043】
図2及び図5に示すように、略矩形状の金属製の遮蔽板70が遮熱板62の右寄りの後縁から下方に延びている。なお、遮熱板62と遮蔽板70とは一部品で形成されてもよい。遮蔽板70は、バーナ9側に位置する空気取り込み用開口部58(以下、バーナ9近傍に位置するこれらの空気取り込み用開口部を、「バーナ側空気取り込み用開口部」という)と一定距離、離間して対向する対向片71と、対向片71の上縁の左端部及び右端部から燃焼室5に向かって延びる一対の第1上接続片72(図5では、一方のみ表示)と、一対の第1上接続片72の間の対向片71の左右中央部の上縁から燃焼室5に向かって延び、第1上接続片72の前後中央部で上方に折り曲げられた第2上接続片73と、対向片71の左縁及び右縁の下端部から燃焼室5に向かって延びる一対の下接続片74(図5では、一方のみ表示)を有する。このため、遮蔽板70は、後構成壁52に形成された上方の複数(ここでは、5個)のバーナ側空気取り込み用開口部58を外方から覆うように配設されている。
【0044】
第1上接続片72は、先端部に係合孔を有する。この係合孔には、上構成壁55の上面から上方に突出する係合部が係合する。図示しないが、第2上接続片73は螺子孔を有する。第2上接続片73は、遮熱板62の後縁から下方に垂下する接続部62aに設けられた螺子挿通孔と螺子孔とに後方から螺子を挿通させることによって、遮熱板62と接続される。下接続片74は、対向片71の左縁及び右縁の下端部から燃焼室5に向かって延びる側延部741と、側延部741の前端から前後外方に屈曲して延びる下接続部742とを有する。下接続部742は、後構成壁52にスポット溶接により接続される。このため、燃焼室5の後構成壁52と遮蔽板70との間には、上下左右に開放する隙間が形成されている。これにより、正常な状態であれば、給排気ファン21を作動させることにより、本体ケース11内に取り込まれた空気が、後構成壁52と遮蔽板70との間の上下左右の隙間を通ってバーナ側空気取り込み用開口部58に向かって流れる。
【0045】
遮蔽板70の対向片71は、変形矩形状の平板からなる。対向片71は、右方領域に、対向片71の上端近傍から燃焼室5の後構成壁52に向かって下方に傾斜する内向き傾斜面部75と、内向き傾斜面部75の下端から外方に向かって下方に傾斜する外向き傾斜面部76とを有する。このため、対向片71の右方領域は、略横V字状に前方に向かって凹んでいる。外向き傾斜面部76の下方には、対向片71の下縁から外向き傾斜面部76の下端まで切り欠かれた切欠き部が形成されている。
【0046】
対向片71の内向き傾斜面部75には、温度検知手段であるサーミスタ80が取り付けられている。なお、温度検知手段として、熱電対を用いてもよい。サーミスタ80は、内向き傾斜面部75を貫通し、バーナ側空気取り込み用開口部58に向かって斜め上方に延びる感熱部81を有する。感熱部81の後端には、下方に延びるリード線82が接続されている。サーミスタ80は、感熱部81が、後構成壁52に形成されている複数の空気取り込み用開口部58のうち、最もバーナ9に近いバーナ側空気取り込み用開口部58の上方域に臨むように、内向き傾斜面部75に設けられている。上記のようにサーミスタ80は配設されているため、給排気経路が低閉塞状態であれば、燃焼室5と対向片71との間の隙間の雰囲気温度がサーミスタ80で検知される。また、給排気経路が高閉塞状態であれば、バーナ側空気取り込み用開口部58からあふれる燃焼炎や燃焼排気の温度がサーミスタ80で検知される。サーミスタ80で検知された検知温度を示す検出信号は、制御回路に出力される。
【0047】
サーミスタ80は、感熱部81が後構成壁52に接触しなければ、感熱部81ができるだけバーナ側空気取り込み用開口部58に近接するように内向き傾斜面部75に配設される。好ましくは、燃焼室5の過熱異常が生じたときに、バーナ側空気取り込み用開口部58からあふれる燃焼炎が直接、感熱部81に接触するようにサーミスタ80が配設される。これにより、給排気経路が高閉塞状態になったときに、感熱部81の検知温度をより短時間で上昇させることができる。また、感熱部81は、燃焼室5の後構成壁52に直接、接触していないから、後構成壁52からの伝熱がない。これにより正常状態や給排気経路の低閉塞状態での検知温度の上昇を抑えることができる。
【0048】
内向き傾斜面部75は対向片71の上部から後構成壁52に向かって下方に傾斜しており、感熱部81よりも上方のバーナ側空気取り込み用開口部58と内向き傾斜面部75との間の距離は、感熱部81よりも下方のバーナ側空気取り込み用開口部58と内向き傾斜面部75との間の距離よりも大きい。このため、給排気経路が高閉塞状態となり、感熱部81が臨むバーナ側空気取り込み用開口部58から、バーナ側空気取り込み用開口部58と内向き傾斜面部75との間の隙間にあふれてくる燃焼炎や燃焼排気は遮蔽板70の対向片71に遮蔽される。そして、燃焼炎や燃焼排気は、サーミスタ80の先端の感熱部81に接触しながら上方の隙間に向かって流れ、感熱部81近傍の上方の隙間に滞留しやすくなる。
【0049】
遮蔽板70の左方領域の後面には、温度ヒューズやOHS(Over Heat Switch)などからなる過熱防止装置300の検知部301が固定されている。過熱防止装置300で検知された検知温度を示す検出信号は、制御回路に出力される。
【0050】
開閉扉12の前面下方には、電源スイッチ、乾燥運転スイッチ等の各種操作スイッチや運転状態を表示する表示部などが配置された操作表示部45が配設されている。
【0051】
本体ケース11内には、衣類乾燥機全体の運転を制御する制御回路Cが組み込まれている。既述したモータ16、回転数センサ、回転ドラム3内の衣類温センサM1や湿度センサ、燃焼室5内の点火電極や熱電対、遮蔽板70に設けられたサーミスタ80や過熱防止装置300は、配線を介して制御回路Cに接続されている。
【0052】
図示しないが、制御回路Cは、バルブユニット92の作動及び停止を行うことによりバーナ9の点火及び消火を行う点消火回路、バルブユニット92の比例弁の開度を調整して、バーナ9の燃焼速数を変更する火力調整回路、モータ16の作動及び停止を行うモータ作動回路、衣類温センサM1や湿度センサからの出力に基づいて衣類の乾燥運転の継続及び終了を判定する乾燥運転判定回路、サーミスタ80から出力される検知温度を監視する監視回路、乾燥運転が開始されてバーナ9の燃焼が安定した後、サーミスタ80から出力される所定時間内の検知温度の温度上昇勾配を算出し、温度上昇勾配と後述するバーナ9の火力に応じて設定されている所定の燃焼時勾配閾値とを対比して、燃焼室5の過熱異常を判定し、燃焼室5の過熱異常と判定された場合、点消火回路にバーナ9の消火を指示する燃焼時判定回路、燃焼時判定回路で燃焼室5の過熱異常と判定されてバーナ9が消火された後、サーミスタ80から出力される所定時間内の検知温度の温度下降勾配を算出し、温度下降勾配と後述する所定の消火時勾配閾値とを対比して、閉塞状態を判定し、継続的な高閉塞状態と判定された場合、乾燥運転を停止し、継続的な高閉塞状態でないと判定された場合、バーナ9を再点火を指示して乾燥運転を再開させる消火時判定回路、消火時判定回路で継続的な高閉塞状態と判定された場合、操作表示部45から警告情報を報知する報知回路等によって構成されており、これらの各回路によって衣類の乾燥運転などの各種運転が実行される。また、制御回路Cは、乾燥運転を実行するための運転プログラムや乾燥運転を制御する各種設定値のデータが格納されたメモリを備える。従って、本実施の形態では、制御回路Cが制御部を構成する。
【0053】
まず、燃焼運転の1つである乾燥運転における運転動作について説明する。乾燥運転の運転動作は従来と同様である。使用者が操作表示部45の乾燥運転スイッチをオンする乾燥運転の開始操作がなされると、制御回路Cはモータ16を作動させて給排気ファン21及び回転ドラム3を回転駆動させ、さらにバルブユニット92を作動させる。これにより、バーナ9を点火する一連の初期乾燥動作が開始される。すると、給排気ファン21の回転駆動によって、外部の空気が本体ケース11の取り込み口(図示せず)から本体ケース11内に吸い込まれる。本体ケース11内に取り込まれた空気の一部は、空気取り込み用開口部58から燃焼室5内に取り込まれ、バーナ9から放出された燃焼排気によって加熱されて温風となる。温風は給気ダクト17内へ導かれ、温風吹き出し口135から回転ドラム3内へ供給される。そして、回転ドラム3内へ供給された温風は、衣類の水分を蒸発させつつ温風排出口121に向かって流れ、温風排出口121を介して連絡ダクト120に排出される。さらに、連絡ダクト120に排出された温風は、連絡ダクト120を通じて排気ダクト20へ導かれ、ファンケース4を介して排気口10から本体ケース11の外部へ排出される。
【0054】
従って、本実施の形態では、排気経路に設けられた引張り式の給排気ファン21を作動させることによって、本体ケース11の取り込み口、燃焼室5、給気ダクト17、後ドラムサポート111の開口112、回転ドラム3、温風排出口121、連絡ダクト120、排気ダクト20、給排気ファン21、及び給排気ファン21の排気口10に接続される排気筒900の順に空気が流れる給排気経路Lが構成される。また、給排気ファン21は、燃焼室5よりも給排気経路Lの下流に配設されている。
【0055】
次に、図7及び図8を参照して、乾燥運転中に燃焼室5の過熱異常を判定する判定動作について説明する。
上記の乾燥運転が開始すると、バーナ9の燃焼が安定するかどうかが判定される(ステップS1)。なお、バーナ9の燃焼の安定は、バーナ9が点火されてから所定時間が経過したかどうかから判定されてもよいし、バーナ9が点火された後、所定時間内の燃焼室5に配設された熱電対からの出力の変動が一定範囲(例えば、±3mV)以下であるかどうかから判定されてもよい。このように、バーナ9の燃焼の安定を判定することにより、後述するサーミスタ80で検知される検知温度の温度上昇勾配で燃焼室5の過熱異常を判定する場合に、バーナ9の点火初期における検知温度の温度上昇を排除して、誤判定を防止することができる。
【0056】
制御回路Cはサーミスタ80から出力される検知温度を監視し、所定の判定時間(例えば、3sec)内の検知温度の温度上昇勾配が図8に示すバーナ9の火力に応じて設定されている所定の燃焼時勾配閾値より大きくなるかどうかを判定する(ステップS2)。なお、図示しないが、燃焼時勾配閾値の代わりに、検知温度がバーナ9の火力に応じて設定される所定の燃焼時温度閾値より高くなるかどうかから、燃焼室5の過熱異常が判定されてもよい。この場合も、バーナ9の火力が大きければ燃焼時温度閾値が高くなる。
【0057】
検知温度の温度上昇勾配が燃焼時勾配閾値より小さい緩勾配である場合(ステップS2で、No)、温度上昇傾向が小さい。従って、燃焼室5近傍の雰囲気温度は上昇しておらず、給排気経路は少なくとも低閉塞状態(例えば、閉塞度:75%以下)であり、バーナ9は安定に燃焼していると考えられるから、乾燥運転が継続される。
【0058】
一方、検知温度の温度上昇勾配が燃焼時勾配閾値より大きい急勾配である場合(ステップS2で、Yes)、温度上昇傾向が大きい。従って、燃焼室5近傍の雰囲気温度が短時間で大きく上昇しており、給排気経路の高閉塞状態(例えば、閉塞度:95%以上)であると考えられるから、制御回路Cは燃焼室5の過熱異常と判定し、バーナ9を消火させる(ステップS3~S4)。
【0059】
燃焼室5の過熱異常が生じると、バーナ9を消火させた状態で給排気ファン21の作動を継続させる送風運転に移行する(ステップS5)。そして、制御回路Cは消火時判定時間(例えば、1000sec)を計測するために消火時判定タイマをスタートさせ、サーミスタ80から出力される検知温度を監視し、所定の判定時間(例えば、30sec)内の検知温度の温度下降勾配が所定の消火時勾配閾値(例えば、30℃/30sec)より大きくなるかどうかを判定する(ステップS6)。
【0060】
検知温度の温度下降勾配が所定の消火時勾配閾値より大きい急勾配である場合(ステップS6で、Yes)、温度下降傾向が大きい。従って、一時的な給排気経路の高閉塞状態と判定され、バーナ9の再点火が許可されて(ステップS7)、バーナ9が再点火され、乾燥運転が再開される(ステップS8)。
【0061】
一方、検知温度の温度下降勾配が上記消火時勾配閾値より小さい緩勾配である場合(ステップS6で、No)、温度下降傾向が小さい。従って、給排気経路の高閉塞状態が継続しており、バーナ9を再点火すると燃焼室5の過熱異常が繰り返される虞がある。このため、バーナ9の再点火が禁止される(ステップS9)。そして、消火時判定時間が経過すると(ステップS10で、Yes)、制御回路Cは給排気ファン21の作動を停止させて、乾燥運転を停止させ、操作表示部45からユーザに給排気経路の高閉塞状態を示す警告情報を報知させる(ステップS11~S12)。なお、図示しないが、一旦、バーナ9を再点火した後、再度、検知温度の温度上昇勾配が燃焼時勾配閾値より大きい急勾配となる場合、給排気経路の高閉塞状態が断続的に起きる環境にあると考えられるため、再点火を禁止して、乾燥運転を停止させてもよい。
【0062】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の衣類乾燥機1によれば、遮蔽板70が、燃焼室5の外方で、空気取り込み用開口部58と一定距離、離間して対向して設けられ、温度検知手段であるサーミスタ80は、感熱部81が空気取り込み用開口部58と遮蔽板70との間に位置するように、遮蔽板70に設けられているから、給排気経路の低閉塞状態でバーナ9に形成される燃焼炎に揺動が生じて燃焼室5の後構成壁52が加熱されても、感熱部81が燃焼室5の後構成壁52の温度上昇の影響を直接、受けるのを防止することができる。また、給排気ファン21が正常に作動されていれば、給排気経路の低閉塞状態では、燃焼室5の外部から一定量の空気が空気取り込み用開口部58と遮蔽板70との間の隙間を通って空気取り込み用開口部58を介して燃焼室5内に取り込まれる。そのため、空気取り込み用開口部58と遮蔽板70との間に位置する感熱部81が上記隙間を通って燃焼室5内に取り込まれる空気によって冷却される。これにより、給排気経路の低閉塞状態での感熱部81の過度の温度上昇を防止することができる。従って、不要なバーナ9の消火による燃焼運転の停止を防止することができるから、ユーザによる燃焼運転の再開操作を必要とせず、安定に燃焼運転を実行することができる。
【0063】
一方、給排気経路への異物の侵入や排気筒900に設けられた図示しないダンパの誤動作、ファン故障などによって給排気経路が高閉塞状態になると、燃焼室5に十分な空気が供給されないから、バーナ9に形成される燃焼炎が伸び、燃焼炎が空気を求めて大きく揺動して、燃焼炎や燃焼排気が空気取り込み用開口部58から燃焼室5の外部にあふれてくる。そのため、空気取り込み用開口部58からあふれてくる燃焼炎や燃焼排気が、空気取り込み用開口部58に臨んでいる感熱部81に接触する。また、給排気経路が高閉塞状態にあれば、燃焼室5の外部から空気取り込み用開口部58に向かって流れる空気が少ないから、感熱部81が冷却され難い。また、遮蔽板70は空気取り込み用開口部58と対向しているから、空気取り込み用開口部58からあふれる燃焼炎の広がりが抑えられ、感熱部81に接触する燃焼炎のふらつきが少なく、検知温度を安定化させることができる。その結果、給排気経路の高閉塞状態では検知温度が短時間で上昇する。従って、検知温度の温度上昇勾配が燃焼時勾配閾値より大きい急勾配になるか、または検知温度が燃焼時温度閾値より高くなれば、給排気経路の高閉塞状態での燃焼室5の過熱異常と判定することができ、早期にバーナ9を消火させて、安全に燃焼運転を停止させることができる。特に、外気温が低い場合などの外部要因によって燃焼室5近傍の温度が低下している場合、燃焼運転を開始させてから検知温度が燃焼時温度閾値に上昇するまでには一定の時間が必要になるから、検知温度の温度上昇勾配が燃焼時勾配閾値より大きくなるかどうかを判定することによって、より短時間で燃焼室5の過熱異常を判定することができる。これにより、燃焼室5の過熱異常を正確に判定して、安定して燃焼運転を行えるとともに、高い安全性を有する衣類乾燥機1を提供することができる。
【0064】
また、バーナ9の火力によってバーナ9に形成される燃焼炎の大きさが異なってくるため、サーミスタ80の検知温度も異なってくるが、本実施の形態によれば、燃焼時勾配閾値はバーナ9の火力に応じて設定されているから、燃焼室5の過熱異常をより正確に判定することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、燃焼室5の過熱異常が判定されると、バーナ9は消火されるが、給排気ファン21は継続して作動されるから、排気筒900への突風の侵入などによって一時的な給排気経路の高閉塞状態が生じた後、閉塞の原因がなくなると、燃焼室5の外部の空気は空気取り入れ用開口部58に向かって流れる。その結果、感熱部81が冷却されて、検知温度が大きく低下する。従って、バーナ9が消火された後、給排気ファン21が継続して作動されたときに、検知温度の温度下降勾配が消火時勾配閾値より大きい急勾配になれば、燃焼室5の過熱異常は一時的な給排気経路の高閉塞状態に起因すると判定できるから、バーナ9の再点火を許可することによって、早期に燃焼運転を再開させることができる。
【0066】
一方、給排気経路の高閉塞状態が継続していれば、空気取り入れ用開口部58に向かって流れる空気は少ないから、感熱部81は冷却され難く、検知温度の低下は小さい。従って、バーナ9が消火された後、給排気ファン21が継続して作動されても、検知温度の温度下降勾配が消火時勾配閾値より小さい緩勾配であれば、燃焼室5の過熱異常は継続的な給排気経路の高閉塞状態に起因すると判定できるから、バーナ9の再点火を禁止することにより、給排気経路の高閉塞状態での燃焼運転の再開を防止して、燃焼室5の過熱異常の繰り返しを防止することができる。また、燃焼室5の過熱異常が判定されると、バーナ9が消火されて、給排気ファン21の作動だけが継続されるから、安全に給排気経路の閉塞状態を判定することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、遮蔽板70は空気取り込み用開口部58と対向しているから、給排気経路が高閉塞状態となると、空気取り込み用開口部58から燃焼室5の外部にあふれる燃焼炎や燃焼排気が遮蔽板70によって遮られる。また、感熱部81は内向き傾斜面部75に設けられており、感熱部81よりも上方の空気取り込み用開口部58と内向き傾斜面部75との間の距離は、感熱部81よりも下方の空気取り込み用開口部58と内向き傾斜面部75との間の距離よりも大きいから、給排気経路の高閉塞状態で空気取り込み用開口部58から空気取り込み用開口部58と内向き傾斜面部75との間の隙間にあふれる燃焼炎や燃焼排気は上方に流れて、上方の隙間に滞留しやすい。従って、燃焼炎や燃焼排気が感熱部81に接触しやすくなり、給排気経路の高閉塞状態において検知温度をさらに短時間で上昇させることができる。これにより、さらに早期に燃焼室5の過熱異常を判定することができる。
【0068】
また、給排気経路が高閉塞状態となり、燃焼室5に取り込まれる空気が少なくなると、バーナ9に形成される燃焼炎は空気を求めて上方に向かってリフティングして揺動する。そのため、バーナ9近傍の空気取り込み用開口部58の上方域から燃焼炎や燃焼排気があふれやすい。本実施の形態によれば、感熱部81がバーナ9近傍の空気取り込み用開口部58の上方域に臨むように、遮蔽板70にサーミスタ80を設けられているから、給排気経路の高閉塞状態において検知温度をさらに短時間で上昇させることができる。これにより、さらに早期に燃焼室5の過熱異常を判定することができる。
【0069】
なお、上記実施の形態では、衣類乾燥機を例に挙げて説明したが、本発明は給湯器などの他の燃焼装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 衣類乾燥機
5 燃焼室
9 バーナ
21 給排気ファン
52 後構成壁
58 空気取り込み用開口部
70 遮蔽板
75 内向き傾斜面部
80 サーミスタ
81 感熱部
C 制御回路
L 給排気経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8