(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104387
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】読取装置、読取装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/12 20060101AFI20240729BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240729BHJP
B65H 7/08 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H04N1/12
H04N1/00 567J
H04N1/00 L
B65H7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008561
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】村橋 賢一
(72)【発明者】
【氏名】小柳 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】首藤 亮一
(72)【発明者】
【氏名】野田 一仁
【テーマコード(参考)】
3F048
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F048AA08
3F048AB02
3F048BA02
3F048BA05
3F048BA20
3F048BB02
3F048CA03
3F048CB03
3F048CC04
3F048DA01
3F048DA06
3F048DB07
3F048DB11
3F048DB12
3F048DC11
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC09
5C062AC61
5C062AC66
5C062AC68
5C062AE01
5C062AF10
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA02
5C072DA25
5C072EA06
5C072EA07
5C072FB12
5C072FB25
5C072NA01
5C072NA04
5C072UA11
5C072UA13
(57)【要約】
【課題】後続原稿が、斜行した状態で搬送されることを抑制できる読取装置、読取装置の制御方法を提供する。
【解決手段】複数の原稿Mが載置される載置部19と、載置部19から原稿Mを給送する給送ローラー24と、給送ローラー24により給送される原稿Mを分離する分離部25と、搬送方向D1に搬送される原稿Mを読み取る読取部22と、原稿Mの搬送エラーを判定する制御部42と、載置部19に載置されている原稿Mを検知する検知部20と、を備え、制御部42は、読取部22が読み取った先行原稿M1の画像に基づいて、先行原稿M1の側端部が給送ローラー24と分離部25とに挟まれるニップ領域Aに変位したかを判定する斜行判定を行い、先行原稿M1の側端部がニップ領域Aに変位したと判定する場合、かつ、検知部20が後続原稿M2を検知している場合、搬送エラーと判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原稿が載置される載置部と、
前記載置部から前記原稿を給送する給送ローラーと、
前記給送ローラーにより給送される前記原稿を分離する分離部と、
搬送方向に搬送される前記原稿を読み取る読取部と、
前記原稿の搬送エラーを判定する制御部と、
前記載置部に載置されている前記原稿を検知する検知部と、
を備え、
先行する前記原稿を先行原稿とし、前記先行原稿に続いて給送される前記原稿を後続原稿としたとき、
前記制御部は、
前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像に基づいて、前記先行原稿の側端部が前記給送ローラーと前記分離部とに挟まれるニップ領域に変位したかを判定する斜行判定を行い、
前記先行原稿の側端部が前記ニップ領域に変位したと判定する場合、かつ、前記検知部が前記後続原稿を検知している場合、前記搬送エラーと判定することを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記読取部が読み取った前記先行原稿の先端領域の画像に基づいて前記斜行判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記先行原稿の先端領域の画像から、前記先行原稿の走査方向に対する傾き角度と、前記先行原稿の側端部から前記ニップ領域までの前記走査方向における先端距離と、を算出し、
前記傾き角度と前記先端距離とに基づいて前記斜行判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記先行原稿の傾きが搬送に伴って変化すると推定される量を用いて、前記傾き角度を補正することを特徴とする請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記搬送方向において前記給送ローラーと前記読取部との間に設けられ、前記原稿の後端を検知する後端検知部を備え、
前記制御部は、
前記読取部が読み取った前記先行原稿の先端領域の画像と、前記後端検知部の検知結果と、に基づいて、前記先行原稿の先端から後端までの前記搬送方向の長さである原稿長を取得し、
前記原稿長に基づいて前記斜行判定を行うことを特徴とする請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記搬送方向において前記給送ローラーと前記読取部との間に設けられ、前記原稿の後端を検知する後端検知部を備え、
前記制御部は、
前記後端検知部が前記先行原稿の後端を検知したタイミングで前記斜行判定を行うことを特徴とする請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の読取装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記読取部が読み取った画像から前記先行原稿の後端の位置を取得し、
前記先行原稿の後端の位置に基づいて前記斜行判定を行うことを特徴とする請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の読取装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像から前記先行原稿の幅を取得し、該幅が閾値以下であると判定した場合、前記斜行判定を行うことを特徴とする請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の読取装置。
【請求項9】
複数の原稿が載置される載置部と、
前記載置部から前記原稿を給送する給送ローラーと、
前記給送ローラーにより給送される前記原稿を分離する分離部と、
搬送方向に搬送される前記原稿を読み取る読取部と、
前記載置部に載置されている前記原稿を検知する検知部と、
を備える読取装置の制御方法であって、
先行する前記原稿を先行原稿とし、前記先行原稿に続いて給送される前記原稿を後続原稿としたとき、
前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像に基づいて、前記先行原稿の側端部が前記給送ローラーと前記分離部とに挟まれるニップ領域に変位したかを判定することと、
前記先行原稿の側端部が前記ニップ領域に変位したと判定した場合、かつ、前記検知部が前記後続原稿を検知している場合、搬送エラーと判定することと、
を含むことを特徴とする読取装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る読取装置、読取装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、原稿の画像を読み取る読取装置の一例である画像読取装置がある。画像読取装置は、給送ローラー対を回転させることで、載置部の一例である原稿サポートにセットされた原稿を給送する。
【0003】
画像読取装置は、原稿の傾き角度が閾値より大きい場合に、斜行エラーが発生したと判定して動作を停止させる。画像読取装置は、斜行エラーが発生したと判定する傾き角度を、原稿の幅に応じて変更する。すなわち、画像読取装置は、原稿の幅が閾値以上の場合、原稿の幅が閾値より小さい場合に比べて、小さな傾き角度で斜行エラーが発生したと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばレシートなどの非定型の原稿は、原稿ごとに長さが異なる。長さが長い原稿が斜行した場合、傾きの角度が小さくても後端は大きくずれてしまう。給送ローラーは、ニップ領域にて原稿を押さえると共に、回転して原稿を給送する。複数の原稿を順に給送する場合、先行する先行原稿の側端部がニップ領域に変位すると、先行原稿の給送が終わる前に、後続の後続原稿が給送ローラーに接触して斜行してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する読取装置は、複数の原稿が載置される載置部と、前記載置部から前記原稿を給送する給送ローラーと、前記給送ローラーにより給送される前記原稿を分離する分離部と、搬送方向に搬送される前記原稿を読み取る読取部と、前記原稿の搬送エラーを判定する制御部と、前記載置部に載置されている前記原稿を検知する検知部と、を備え、先行する前記原稿を先行原稿とし、前記先行原稿に続いて給送される前記原稿を後続原稿としたとき、前記制御部は、前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像に基づいて、前記先行原稿の側端部が前記給送ローラーと前記分離部とに挟まれるニップ領域に変位したかを判定する斜行判定を行い、前記先行原稿の側端部が前記ニップ領域に変位したと判定する場合、かつ、前記検知部が前記後続原稿を検知している場合、前記搬送エラーと判定する。
【0007】
上記課題を解決する読取装置の制御方法は、複数の原稿が載置される載置部と、前記載置部から前記原稿を給送する給送ローラーと、前記給送ローラーにより給送される前記原稿を分離する分離部と、搬送方向に搬送される前記原稿を読み取る読取部と、前記載置部に載置されている前記原稿を検知する検知部と、を備える読取装置の制御方法であって、先行する前記原稿を先行原稿とし、前記先行原稿に続いて給送される前記原稿を後続原稿としたとき、前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像に基づいて、前記先行原稿の側端部が前記給送ローラーと前記分離部とに挟まれるニップ領域に変位したかを判定することと、前記先行原稿の側端部が前記ニップ領域に変位したと判定した場合、かつ、前記検知部が前記後続原稿を検知している場合、搬送エラーと判定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】変更例の読取装置の搬送経路を垂直方向にみた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、読取装置、読取装置の制御方法の一実施形態について図を参照しながら説明する。読取装置は、例えば、搬送される紙、フィルムなどの原稿を、固定された読取部が読み取るシートフィードスキャナーである。
【0010】
<読取装置の構成>
図1に示すように、読取装置11は、筐体12と、支持部13と、を備えてもよい。支持部13は、筐体12を支持する。支持部13は、筐体12に取り付けられる。支持部13は、例えば、水平面に設置される。
【0011】
筐体12には、供給口14と、排出口15と、が開口する。供給口14は、原稿Mが供給される開口である。供給口14を通じて、原稿Mが筐体12内に供給される。排出口15は、原稿Mが排出される開口である。排出口15を通じて原稿Mが筐体12内から排出される。
【0012】
読取装置11は、搬送経路16を備えてもよい。搬送経路16は、原稿Mが搬送される経路である。搬送経路16は、筐体12内を延びる。搬送経路16は、供給口14から排出口15に向かって延びる。搬送経路16が延びる方向は、搬送方向D1である。
【0013】
読取装置11は、排出トレイ17を備えてもよい。排出トレイ17は、筐体12に取り付けられる。排出トレイ17は、例えば、筐体12に対して回転可能である。排出トレイ17は、筐体12に対して開くことによって、原稿Mを受けることが可能となる。排出トレイ17は、読取後の原稿Mを受ける。排出トレイ17は、排出口15から排出される原稿Mを受ける。
【0014】
読取装置11は、載置部19と、検知部20と、給送部21と、読取部22と、を備える。
載置部19は、筐体12に取り付けられる。載置部19には、複数の原稿Mが載置可能である。載置とは、ものを載せる形で置くことである。載置部19には、読取前の原稿Mがセットされる。原稿Mは、先端Efが供給口14に進入する状態で載置部19にセットされる。原稿Mが載置部19にセットされると、原稿Mの先端Efが給送部21に突き当たる。
【0015】
検知部20は、載置部19に載置されている原稿Mを検知する。検知部20は、例えば、レバーを有する接触式センサーであってもよいし、光学式センサーなどの非接触式センサーであってもよい。
【0016】
給送部21は、給送ローラー24と、分離部25と、を有する。給送部21は、載置部19に載置される複数の原稿Mを1枚ずつ順に搬送経路16に送り出す。
本実施形態では、複数の原稿Mのうち、連続して給送される何れか2枚を先行原稿M1と後続原稿M2ともいう。先行原稿M1は、先行する原稿Mである。後続原稿M2は、先行原稿M1に続いて給送される原稿Mである。先行原稿M1と後続原稿M2の区別をしない場合は、単に原稿Mという。
【0017】
給送ローラー24は、載置部19から原稿Mを給送する。給送ローラー24は、駆動回転する。給送ローラー24は、分離部25より上方の位置に設けられてもよい。給送ローラー24は、原稿Mの表面に接触してもよい。
【0018】
分離部25は、給送ローラー24により給送される原稿Mを分離する。本実施形態の分離部25は、原稿Mを1枚ずつに分離するためのローラーである。分離部25は、原稿Mの裏面に接触してもよい。
【0019】
分離部25は、例えば、原稿M同士の摩擦係数よりも、原稿Mに対する摩擦係数が高いローラーによって構成される。分離部25には、例えば、トルクリミッターによって、回転負荷が付与されている。そのため、給送ローラー24と分離部25とが原稿Mを複数挟む場合においては、給送ローラー24が駆動回転することに対し、分離部25が従動回転しにくくなる。すなわち、給送ローラー24と分離部25とによって、原稿Mが1枚ずつに分離される。これにより、原稿Mが2枚重なる状態で搬送されるおそれが低減される。
【0020】
図2に示すように、給送ローラー24と分離部25は、搬送経路16における走査方向D2の中央に設けられてもよい。本実施形態では、走査方向D2における搬送経路16の中央を仮想中心線Cで示す。走査方向D2は、搬送方向D1と交差する方向である。走査方向D2は、原稿Mの幅方向であって、給送ローラー24の軸方向でもある。給送ローラー24と分離部25は、
図2に一点鎖線で示すニップ領域Aにおいて原稿Mを挟む。
【0021】
ニップ領域Aは、搬送経路16に垂直な垂直方向D3において、給送ローラー24と分離部25との間の領域である。ニップ領域Aは、給送ローラー24と分離部25との間に原稿Mがない状態で、給送ローラー24と分離部25とが互いに接する領域である。原稿Mは、ニップ領域Aに位置する部分が、給送ローラー24と分離部25とに挟まれる。走査方向D2において、ニップ領域Aの大きさは、給送ローラー24と分離部25とのうち、小さい方と同じであってもよい。分離部25が給送ローラー24より小さい場合、走査方向D2における分離部25の一端から他端までがニップ領域Aになる。ニップ領域Aの走査方向D2における大きさは、読取装置11で読取可能な最小サイズの原稿Mより小さい。走査方向D2において、ニップ領域Aは、仮想中心線Cからニップ距離Lnの範囲であってもよい。
【0022】
図1に示すように、読取装置11は、後端検知部27を備えてもよい。読取装置11は、走査方向D2に並んで設けられる複数の後端検知部27を備えてもよい。後端検知部27は、原稿Mを検知するセンサーであってもよい。後端検知部27は、原稿Mの後端Ebを検知する。後端検知部27は、原稿Mの先端Efを検知してもよい。後端検知部27は、例えば、光学式のセンサーである。後端検知部27は、例えば、搬送方向D1において給送ローラー24と読取部22との間に設けられる。
【0023】
読取装置11は、搬送部29を備えてもよい。搬送部29は、原稿Mを搬送するように構成される。搬送部29は、搬送経路16に沿って原稿Mを搬送する。搬送部29は、例えば、1以上のローラーを含む。搬送部29は、例えば、第1ローラー対31と、第2ローラー対32と、を含む。
【0024】
第1ローラー対31と第2ローラー対32は、給送部21よりも搬送方向D1の下流に設けられる。第1ローラー対31、第2ローラー対32は、例えば、搬送経路16に沿って並ぶ。本実施形態の給送部21、第1ローラー対31、第2ローラー対32は、搬送方向D1にこの順で並ぶ。第1ローラー対31、第2ローラー対32のそれぞれは、原稿Mを挟む状態で回転することによって原稿Mを搬送する。
【0025】
第1ローラー対31は、搬送方向D1において、読取部22よりも上流に位置する。第2ローラー対32は、搬送方向D1において、読取部22よりも下流に位置する。第1ローラー対31及び第2ローラー対32は、搬送方向D1において読取部22を挟むように位置する。
【0026】
読取装置11は、第1ローラー対31の回転を検出する回転検出部34を備えてもよい。回転検出部34は、例えばロータリーエンコーダーである。回転検出部34は、第1ローラー対31と共に回転するエンコーダースケールの目盛りを検出することで、第1ローラー対31の回転量を出力してもよい。
【0027】
読取装置11は、1以上の読取部22を備えてもよい。読取部22は、原稿Mを読み取るように構成される。読取部22は、搬送方向D1に搬送される原稿Mを読み取る。読取部22は、筐体12に収容される。
【0028】
本実施形態の読取装置11は、2つの読取部22を備える。2つの読取部22は、搬送経路16を挟むように位置する。2つの読取部22は、搬送経路16において、第1ローラー対31と第2ローラー対32との間に位置する。2つの読取部22は、互いに対向する。読取部22は、走査方向D2に長尺である。走査方向D2を主走査方向と称する場合、搬送方向D1は、副走査方向であるともいえる。
【0029】
2つの読取部22は、原稿Mに対してそれぞれ異なる面を読み取る。2つの読取部22のうち、一方の読取部22は、原稿Mの表面を読み取る。2つの読取部22のうち、他方の読取部22は、原稿Mの裏面を読み取る。これにより、読取装置11は、原稿Mの片面、又は、原稿Mの両面を読み取る。
【0030】
読取部22は、例えば、光源36と、複数のイメージセンサー37と、背景板38と、を有する。光源36は、例えば、LED、蛍光ランプなどである。光源36は、対向する読取部22に向けて光を照射する。光源36は、例えば、走査方向D2に長尺である。
【0031】
複数のイメージセンサー37は、走査方向D2に並ぶ。複数のイメージセンサー37は、モジュール化されている。イメージセンサー37は、例えば、コンタクト型イメージセンサーである。詳しくは、イメージセンサー37は、CMOSイメージセンサーである。イメージセンサー37は、受けた光を光電変換する。イメージセンサー37は、受光量に応じた出力値を出力する。
【0032】
イメージセンサー37は、モノクロセンサーでもよいし、カラーセンサーでもよい。読取部22は、フルカラーで原稿Mを読み取るように構成されてもよい。例えば、読取部22は、RGBの3色で原稿Mを読み取るように構成されてもよい。読取部22は、原稿Mをグレースケールで読み取るように構成されてもよい。
【0033】
背景板38は、例えば、別の読取部22が有するイメージセンサー37及び光源36と対向する。背景板38には、対向する読取部22が有する光源36から光が照射される。背景板38は、照射された光を反射する。背景板38が反射した光は、その背景板38と対向する読取部22が有するイメージセンサー37に入射する。背景板38は、イメージセンサー37によって原稿Mとともに背景として読み取られる。
【0034】
背景板38は、イメージセンサー37が原稿Mとともに背景板38を読み取る場合に、原稿Mと背景板38とを区別できる色を呈することが好ましい。背景板38は、例えば、グレー色を呈する。
【0035】
読取装置11は、操作部40を備えてもよい。操作部40は、例えば、筐体12に取り付けられる。操作部40は、例えば、タッチパネルである。操作部40は、ユーザーからの操作を受け付ける。操作部40は、タッチパネルに限らず、例えば、ボタン、スイッチなどでもよい。
【0036】
読取装置11は、例えば、読取装置11と通信可能に接続される端末から操作を受け付けるように構成されてもよい。端末は、例えば、ユーザーが所有するパーソナルコンピューター、スマートフォンなどである。
【0037】
読取装置11は、制御部42を備える。制御部42は、読取装置11における各機構の駆動を統括的に制御し、読取装置11で実行される各種動作を制御する。
制御部42は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0038】
図3に示すように、制御部42は、読取部22が読み取った先行原稿M1の先端領域の画像44を取得する。すなわち、制御部42は、読取部22が読み取った先行原稿M1の画像を取得する。制御部42は、読取部22から出力される信号から画像44のデータを取得する。先端領域の画像44は、先端Efを含むと共に、搬送方向D1のサイズが先行原稿M1よりも小さい。すなわち、先端領域の画像44は、先行原稿M1の後端Ebを含まない。
【0039】
画像44は、原稿領域46と、背景領域47と、を含む。原稿領域46は、原稿Mが読み取られることによって生成された画素を示す領域である。背景領域47は、背景板38が読み取られることによって生成された画素を示す領域である。
【0040】
制御部42は、画像44から原稿領域46を検出する。例えば、制御部42は、背景範囲に含まれる輝度値を示す画素を背景領域47とみなすことによって、原稿領域46を検出する。
【0041】
制御部42は、画像44から、傾き角度θを算出してもよい。傾き角度θは、先行原稿M1の走査方向D2に対する角度である。傾き角度θは、先行原稿M1の先端Efと走査方向D2とがなす角度である。
【0042】
制御部42は、画像44から、右先端距離Lrもしくは左先端距離Llを算出してもよい。右先端距離Lr及び左先端距離Llは、それぞれ先端距離の一例である。右先端距離Lrは、先行原稿M1の右側端部Erからニップ領域Aまでの走査方向D2における距離である。左先端距離Llは、先行原稿M1の左側端部Elからニップ領域Aまでの走査方向D2における距離である。
【0043】
右側端部Erと左側端部Elは、それぞれ側端部の一例である。右側端部Erは、原稿Mを搬送方向D1にみたとき、右側に位置する側端部である。左側端部Elは、原稿Mを搬送方向D1にみたとき、左側に位置する側端部である。搬送方向D1における原稿Mの下流側の角であって、搬送方向D1にみたとき、右側の角を右先角Crともいい、左側の角を左先角Clともいう。
【0044】
図3に示すように、右先角Crが左先角Clより搬送方向D1の下流に位置する姿勢に原稿Mが斜行することを右側先行ともいう。これに対し、左先角Clが右先角Crより搬送方向D1の下流に位置する姿勢に原稿Mが斜行することを左側先行ともいう。
【0045】
右側先行の場合、制御部42は、先端距離として左先端距離Llを算出する。左先端距離Llは、画像44の下流端における、左側端部Elから仮想中心線Cまでの走査方向D2の距離と、ニップ距離Lnとの差である。
【0046】
左側先行の場合、制御部42は、先端距離として右先端距離Lrを算出する。右先端距離Lrは、画像44の下流端と右側端部Erとの交点から仮想中心線Cまでの走査方向D2の距離とニップ距離Lnとの差である。
【0047】
制御部42は、画像44から先行原稿M1の幅Wを取得してもよい。幅Wは、右側端部Erから左側端部Elまでの先端Efに平行な長さである。幅Wは、先端Efの長さでもある。
【0048】
制御部42は、画像44から、先長Lfを算出してもよい。先長Lfは、先端Efから画像44の下流端までの仮想中心線Cに沿う長さである。
図2に示すように、制御部42は、許容距離Ltを算出してもよい。例えば制御部42は、許容距離Lt=先端距離/tan(傾き角度θ+補正値B)の式に基づいて許容距離Ltを算出する。
【0049】
原稿Mは、搬送に伴って傾き量が変化することがある。補正値Bは、搬送に伴って変化する傾き量を補正するための値である。特に搬送方向D1の長さが長い原稿Mは、走査方向D2と先端Efの傾き角度θと、走査方向D2と後端Ebがなす角度と、の差が大きくなりやすい。そのため、制御部42は、先行原稿M1の傾きが搬送に伴って変化すると推定される量を用いて、傾き角度θを補正する。制御部42は、先行原稿M1の傾きが搬送に伴って変化すると推定される量を用いて、先端距離を補正してもよい。
【0050】
制御部42は、原稿長Lmを取得してもよい。原稿長Lmは、先端Efから後端Ebまでの搬送方向D1における長さである。制御部42は、画像44と、後端検知部27の検知結果と、に基づいて原稿長Lmを取得してもよい。制御部42は、回転検出部34の検出結果に基づいて原稿長Lmを取得してもよい。例えば、制御部42は、画像44を読み取ってから後端検知部27が後端Ebを検知するまでに先行原稿M1を搬送した距離を回転検出部34から取得し、先長Lfと、読取部22から後端検知部27までの距離と、を加えて原稿長Lmを取得してもよい。
【0051】
<制御方法>
図4に示すフローチャートを参照し、読取装置11の制御方法について説明する。
図4に示す判定ルーチンは、読取部22が先行原稿M1の先端領域の画像44を読み取ったタイミングで実行される。
【0052】
図4に示すように、ステップS101において、制御部42は、画像44から傾き角度θを算出する。ステップS102において、制御部42は、画像44から先行原稿M1の幅Wを算出する。
【0053】
ステップS103において、制御部42は、先行原稿M1の幅Wと閾値の一例である幅閾値とを比較する。幅閾値は、抽出したい原稿Mに合わせて予め設定された値であってもよい。例えば、原稿Mの一例であるレシートを抽出したい場合、幅閾値は85mmとしてもよい。
【0054】
幅Wが幅閾値以下である場合、ステップS103がYESになり、制御部42は、処理をステップS106に移行する。幅Wが幅閾値より大きい場合、ステップS103がNOになり、制御部42は、処理をステップS104に移行する。ステップS104において、制御部42は、傾き角度θと傾き閾値とを比較する。傾き閾値は、予め設定された値であってもよいし、幅Wに応じて設定される値であってもよい。
【0055】
傾き角度θが傾き閾値以上である場合、ステップS104がYESになり、制御部42は、処理をステップS105に移行する。ステップS105において、制御部42は、搬送エラーと判定して処理を終了する。傾き角度θが傾き閾値より小さい場合、ステップS104がNOになり、制御部42は、そのまま処理を終了する。
【0056】
ステップS106において、制御部42は、先行原稿M1が右側先行であるか否かを判定する。
先行原稿M1が右側先行である場合、ステップS106がYESになり、制御部42は、処理をステップS107に移行する。ステップS107において、制御部42は、左先端距離Llを算出する。
【0057】
先行原稿M1が左側先行である場合、ステップS106がNOになり、制御部42は、処理をステップS108に移行する。ステップS108において、制御部42は、右先端距離Lrを算出する。
【0058】
ステップS109において、制御部42は、画像44から先長Lfを算出する。ステップS110において、制御部42は、許容距離Ltを算出する。ステップS111において、制御部42は、後端検知部27が先行原稿M1の後端Ebを検知したか否かを判定する。後端Ebを検知していない場合、ステップS111がNOになり、制御部42は、処理をステップS112に移行する。
【0059】
ステップS112において、制御部42は、画像44を読み取った後に先行原稿M1が搬送された搬送距離が、許容距離Lt以上になったか否かを判定する。搬送距離が許容距離Lt以上である場合、ステップS112がYESになり、制御部42は、処理をステップS113に移行する。ステップS113において、制御部42は、搬送エラーと判定して処理を終了する。搬送距離が許容距離Lt未満の場合、ステップS112がNOになり、制御部42は、処理をステップS111に移行する。
【0060】
後端検知部27が先行原稿M1の後端Ebを検出した場合、ステップS111がYESになり、制御部42は、処理をステップS114に移行する。ステップS114において、制御部42は、原稿長Lmを算出する。
【0061】
ステップS115において、制御部42は、原稿長Lmと先長Lfの差と、許容距離Ltと、を比較する。原稿長Lmと先長Lfの差より、許容距離Ltが長い場合、ステップS115がNOになり、制御部42は、処理を終了する。許容距離Ltが、原稿長Lmと先長Lfの差以下である場合、ステップS115がYESになり、制御部42は、処理をステップS116に移行する。
【0062】
ステップS116において、制御部42は、後続原稿M2の有無を判定する。すなわち、検知部20が載置部19に載置された原稿Mを検知していない場合、制御部42は、後続原稿M2なしと判定する。後続原稿M2がない場合、ステップS116がNOになり、制御部42は、処理を終了する。
【0063】
検知部20が載置部19に載置された原稿Mを検知している場合、制御部42は、後続原稿M2ありと判定する。後続原稿M2がある場合、ステップS116がYESになり、制御部42は、処理をステップS117に移行する。ステップS117において、制御部42は、搬送エラーと判定して処理を終了する。
【0064】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
制御部42は、画像44に基づいて、先行原稿M1の右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位したかを判定する。この判定は、斜行判定ともいう。具体的には、制御部42は、傾き角度θと先端距離とに基づいて斜行判定を行う。制御部42は、傾き角度θと先端距離とに基づいて許容距離Ltを算出する。
【0065】
制御部42は、原稿長Lmに基づいて斜行判定を行ってもよい。許容距離Ltが、原稿長Lmと先長Lfの差以下である場合、制御部42は、右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位したと判定する。原稿長Lmと先長Lfの差より、許容距離Ltが長い場合、制御部42は、右側端部Er及び左側端部Elがニップ領域Aに変位していないと判定する。
【0066】
画像44を読み取った後に先行原稿M1が搬送された搬送距離が、許容距離Lt以上になった場合、制御部42は、右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位したと判定する。搬送距離が許容距離Lt未満の場合、制御部42は、右側端部Er及び左側端部Elがニップ領域Aに変位していないと判定する。右側端部Er及び左側端部Elがニップ領域Aに変位していないと判定した場合、制御部42は、後続原稿M2を給送する。
【0067】
制御部42は、後端検知部27が先行原稿M1の後端Ebを検知する前に斜行判定を行ってもよい。すなわち、制御部42は、判定ルーチンのステップS111において後端Ebが検知される前に、ステップS112にて斜行判定を実行してもよい。
【0068】
制御部42は、後端検知部27が先行原稿M1の後端Ebを検知したタイミングで斜行判定を行ってもよい。すなわち、制御部42は、判定ルーチンのステップS111において後端Ebが検知された場合に、ステップS115にて斜行判定を実行してもよい。
【0069】
制御部42は、先行原稿M1の幅Wが幅閾値以下であると判定した場合、斜行判定を行ってもよい。すなわち、制御部42は、判定ルーチンのステップS103において幅Wが幅閾値以下である場合に、ステップS112もしくはステップS115にて斜行判定を実行してもよい。
【0070】
制御部42は、原稿Mの搬送エラーを判定する。具体的には、制御部42は、先行原稿M1の右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位したと判定する場合、かつ、検知部20が後続原稿M2を検知している場合、搬送エラーと判定する。
【0071】
搬送エラーと判定した場合、制御部42は、給送部21及び搬送部29の駆動を停止させてもよい。先行原稿M1の右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位したと判定しても、後続原稿M2を検知しない場合、制御部42は、先行原稿M1を排出トレイ17に排出してもよい。
【0072】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)制御部42は、先行原稿M1の右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位したと判定する場合、且つ検知部20が後続原稿M2を検知する場合に搬送エラーと判定する。すなわち、制御部42は、先行原稿M1の給送中に後続原稿M2が給送ローラー24に接触した可能性がある場合に搬送エラーと判定する。したがって、後続原稿M2が斜行した状態で搬送されることを抑制できる。
【0073】
(1-2)制御部42は、先行原稿M1の先端領域の画像44に基づいて斜行判定を行う。そのため、例えば先行原稿M1の全体の画像に基づいて斜行判定を行う場合に比べ、斜行判定を早く行うことができる。
【0074】
(1-3)制御部42は、先行原稿M1の先端領域の画像44から傾き角度θ及び先端距離を算出する。そのため、例えば先行原稿M1の全体の画像から傾き角度θ及び先端距離を算出する場合に比べ、制御部42にかかる負荷を低減できる。
【0075】
(1-4)原稿Mは、搬送される途中で傾き度合いが変化することがある。特に長さが長い原稿Mは、先端Efの傾き角度θと後端Ebの傾き角度との差が大きくなることがある。その点、制御部42は、先行原稿M1の傾きが変化すると推定される量を用いて傾き角度θを補正する。そのため、斜行判定の精度を高めることができる。
【0076】
(1-5)制御部42は、先行原稿M1の先端領域の画像44と、後端検知部27の検知結果に基づいて原稿長Lmを取得し、取得した原稿長Lmに基づいて斜行判定を行う。そのため、例えば読取部22が読み取った画像から原稿長Lmを取得する場合に比べ、斜行判定を早く行うことができる。
【0077】
(1-6)制御部42は、後端検知部27が先行原稿M1の後端Ebを検知したタイミングで斜行判定を行う。後端検知部27は、給送ローラー24と読取部22との間に設けられる。すなわち、例えば読取部22が読み取った画像44から原稿Mの後端Ebを検知する場合に比べ、原稿Mの後端Ebを早く検知することができるため、斜行判定を早く行うことができる。
【0078】
(1-7)幅Wの狭い原稿Mは、幅Wの広い原稿Mよりも、右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位する可能性が高い。制御部42は、先行原稿M1の幅Wが閾値以下であると判定した場合に斜行判定を行う。そのため、斜行判定を効率的に行うことができる。
【0079】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0080】
・
図5に示すように、給送部21は、複数の給送ローラー24を有してもよい。複数の給送ローラー24は、走査方向D2に並んで設けられてもよい。給送部21は、複数の給送ローラー24に個別に対応する複数の分離部25を有してもよい。給送ローラー24と分離部25の数は異なっていてもよい。例えば、2つの給送ローラー24に対応する1つの分離部25を有してもよい。例えば、1つの給送ローラー24が2つの分離部25との間に原稿Mを挟んでもよい。給送ローラー24と分離部25との少なくとも一方が複数に分割されている場合、搬送方向D1にみて右端の給送ローラー24と分離部25とが接する領域の右端から、左端の給送ローラー24と分離部25とが接する領域の左端までがニップ領域Aになる。
【0081】
・制御部42は、搬送エラーと判定した場合、複数の給送ローラー24を異なる回転速度で回転させてもよい。例えば、右側先行の場合、左側の給送ローラー24の回転速度を右側の給送ローラー24の回転速度より速くしてもよい。
【0082】
・給送ローラー24は、原稿Mの裏面に接触してもよい。分離部25は、原稿Mの表面に接触してもよい。すなわち、給送ローラー24は搬送経路16に対して下側に設けられ、分離ローラーは搬送経路16に対して上側に設けられる構成であってもよい。
【0083】
・分離部25は、給送ローラー24との間に原稿Mを挟むパッドであってもよい。
・制御部42は、読取部22が読み取った画像から先行原稿M1の後端Ebの位置を取得してもよい。制御部42は、先行原稿M1の先端Efと後端Ebとが含まれる画像から、傾き角度θ、幅W、先長Lf、原稿長Lm、及び許容距離Ltを算出してもよい。制御部42は、画像から取得した先行原稿M1の後端Ebの位置に基づいて斜行判定を行ってもよい。この場合、読取装置11は、後端検知部27を備えない構成としてもよい。制御部42は、読取部22が先行原稿M1の後端Ebを読み取ったタイミングで斜行判定を行ってもよい。すなわち、制御部42は、読取部22が先行原稿M1の後端Ebを読み取ったタイミングで判定ルーチンを実行してもよい。制御部42は、読取部22が読み取った先行原稿M1の画像から、先行原稿M1の後端Ebの位置を取得する。したがって、例えば後端Ebを検知するセンサーを別に設ける場合に比べ、簡易な構成で先行原稿M1の後端Ebを検知できる。
【0084】
・制御部42は、読取部22が読み取った画像から、後端Ebの右端及び左端のそれぞれから仮想中心線Cまでの走査方向D2における距離を算出してもよい。制御部42は、算出した距離がそれぞれニップ距離Lnより長い場合に、右側端部Er及び左側端部Elがニップ領域Aに変位していないと判定してもよい。制御部42は、算出した距離がニップ距離Ln以下である場合に、許容距離Ltを算出してもよい。
【0085】
・制御部42は、先行原稿M1の幅Wに関係なく斜行判定を行ってもよい。
・後端検知部27は、読取部22より搬送方向D1の下流、或いは、読取部22より搬送方向D1の上流であって第1ローラー対31より搬送方向D1の下流に設けられてもよい。
【0086】
・制御部42は、先行原稿M1の傾きが搬送に伴って変化すると推定される量を考慮せずに傾き角度θ、右先端距離Lr、左先端距離Llを算出してもよい。制御部42は、補正値Bを用いずに許容距離Ltを算出してもよい。
【0087】
・原稿Mが矩形の場合、搬送方向D1に対する右側端部Erの傾き角度と、搬送方向D1に対する左側端部Elの傾き角度と、走査方向D2に対する先端Efの傾き角度θと、は同じである。そのため、制御部42は、先行原稿M1の画像から、搬送方向D1に対する右側端部Erもしくは左側端部Elの傾き角度を算出し、算出した傾き角度に基づいて斜行判定を行ってもよい。
【0088】
・制御部42は、ステップS101において算出した傾き角度θが所定の閾値以上であると判定した場合、搬送速度を遅くしてもよい。本構成により、制御部42が搬送エラーと判定してから先行原稿M1の搬送を停止させるまでに掛かる時間を少なくでき、結果として後続原稿M2が斜行した状態で搬送されることを抑制できる。
【0089】
・制御部42は、搬送エラーと判定する前であって傾き角度θが所定の閾値以下であると判定した場合或いは搬送エラーと判定した場合に、給送ローラー24及び搬送部29を逆回転させてもよい。制御部42は、原稿Mを搬送方向D1とは逆の方向に搬送した後、原稿Mを搬送方向D1に搬送してもよい。本構成によれば、先行原稿M1の斜行を補正することにより、先行原稿M1の右側端部Erもしくは左側端部Elがニップ領域Aに変位することを抑制できる。
【0090】
・斜行判定を実行するか否かは、ユーザーが設定してもよい。
・ユーザーは、原稿Mの種類を入力してもよい。制御部42は、特定の原稿Mが設定された場合に、斜行判定を実行してもよい。
【0091】
・原稿Mは、レシート、しおり、リボン、短冊、箸袋、のし札、札紙、及び命名札など、任意に選択してもよい。
・読取装置11は、プリンターなどの記録装置に搭載された複合機や複写装置としてもよい。
【0092】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0093】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0094】
(A)読取装置は、複数の原稿が載置される載置部と、前記載置部から前記原稿を給送する給送ローラーと、前記給送ローラーにより給送される前記原稿を分離する分離部と、搬送方向に搬送される前記原稿を読み取る読取部と、前記原稿の搬送エラーを判定する制御部と、前記載置部に載置されている前記原稿を検知する検知部と、を備え、先行する前記原稿を先行原稿とし、前記先行原稿に続いて給送される前記原稿を後続原稿としたとき、前記制御部は、前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像に基づいて、前記先行原稿の側端部が前記給送ローラーと前記分離部とに挟まれるニップ領域に変位したかを判定する斜行判定を行い、前記先行原稿の側端部が前記ニップ領域に変位したと判定する場合、かつ、前記検知部が前記後続原稿を検知している場合、前記搬送エラーと判定する。
【0095】
この構成によれば、制御部は、先行原稿の側端部がニップ領域に変位したと判定する場合、且つ検知部が後続原稿を検知する場合に搬送エラーと判定する。すなわち、制御部は、先行原稿の給送中に後続原稿が給送ローラーに接触した可能性がある場合に搬送エラーと判定する。したがって、後続原稿が斜行した状態で搬送されることを抑制できる。
【0096】
(B)読取装置において、前記制御部は、前記読取部が読み取った前記先行原稿の先端領域の画像に基づいて前記斜行判定を行ってもよい。
この構成によれば、制御部は、先行原稿の先端領域の画像に基づいて斜行判定を行う。そのため、例えば先行原稿の全体の画像に基づいて斜行判定を行う場合に比べ、斜行判定を早く行うことができる。
【0097】
(C)読取装置において、前記制御部は、前記先行原稿の先端領域の画像から、前記先行原稿の走査方向に対する傾き角度と、前記先行原稿の側端部から前記ニップ領域までの前記走査方向における先端距離と、を算出し、前記傾き角度と前記先端距離とに基づいて前記斜行判定を行ってもよい。
【0098】
この構成によれば、制御部は、先行原稿の先端領域の画像から傾き角度及び先端距離を算出する。そのため、例えば先行原稿の全体の画像から傾き角度及び先端距離を算出する場合に比べ、制御部にかかる負荷を低減できる。
【0099】
(D)読取装置において、前記制御部は、前記先行原稿の傾きが搬送に伴って変化すると推定される量を用いて、前記傾き角度を補正してもよい。
原稿は、搬送される途中で傾き度合いが変化することがある。特に長さが長い原稿は、先端の傾き角度と後端の傾き角度との差が大きくなることがある。その点、この構成によれば、制御部は、先行原稿の傾きが変化すると推定される量を用いて傾き角度を補正する。そのため、斜行判定の精度を高めることができる。
【0100】
(E)読取装置は、前記搬送方向において前記給送ローラーと前記読取部との間に設けられ、前記原稿の後端を検知する後端検知部を備え、前記制御部は、前記読取部が読み取った前記先行原稿の先端領域の画像と、前記後端検知部の検知結果と、に基づいて、前記先行原稿の先端から後端までの前記搬送方向の長さである原稿長を取得し、前記原稿長に基づいて前記斜行判定を行ってもよい。
【0101】
この構成によれば、制御部は、先行原稿の先端領域の画像と、後端検知部の検知結果に基づいて原稿長を取得し、取得した原稿長に基づいて斜行判定を行う。そのため、例えば読取部が読み取った画像から原稿長を取得する場合に比べ、斜行判定を早く行うことができる。
【0102】
(F)読取装置は、前記搬送方向において前記給送ローラーと前記読取部との間に設けられ、前記原稿の後端を検知する後端検知部を備え、前記制御部は、前記後端検知部が前記先行原稿の後端を検知したタイミングで前記斜行判定を行ってもよい。
【0103】
この構成によれば、制御部は、後端検知部が先行原稿の後端を検知したタイミングで斜行判定を行う。後端検知部は、給送ローラーと読取部との間に設けられる。すなわち、例えば読取部が読み取った画像から原稿の後端を検知する場合に比べ、原稿の後端を早く検知することができるため、斜行判定を早く行うことができる。
【0104】
(G)読取装置において、前記制御部は、前記読取部が読み取った画像から前記先行原稿の後端の位置を取得し、前記先行原稿の後端の位置に基づいて前記斜行判定を行ってもよい。
【0105】
この構成によれば、制御部は、読取部が読み取った先行原稿の画像から、先行原稿の後端の位置を取得する。したがって、例えば後端を検知するセンサーを別に設ける場合に比べ、簡易な構成で先行原稿の後端を検知できる。
【0106】
(H)読取装置において、前記制御部は、前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像から前記先行原稿の幅を取得し、該幅が閾値以下であると判定した場合、前記斜行判定を行ってもよい。
【0107】
幅の狭い原稿は、幅の広い原稿よりも、側端部がニップ領域に変位する可能性が高い。この構成によれば、制御部は、先行原稿の幅が閾値以下であると判定した場合に斜行判定を行う。そのため、斜行判定を効率的に行うことができる。
【0108】
(I)読取装置の制御方法は、複数の原稿が載置される載置部と、前記載置部から前記原稿を給送する給送ローラーと、前記給送ローラーにより給送される前記原稿を分離する分離部と、搬送方向に搬送される前記原稿を読み取る読取部と、前記載置部に載置されている前記原稿を検知する検知部と、を備える読取装置の制御方法であって、先行する前記原稿を先行原稿とし、前記先行原稿に続いて給送される前記原稿を後続原稿としたとき、前記読取部が読み取った前記先行原稿の画像に基づいて、前記先行原稿の側端部が前記給送ローラーと前記分離部とに挟まれるニップ領域に変位したかを判定することと、前記先行原稿の側端部が前記ニップ領域に変位したと判定した場合、かつ、前記検知部が前記後続原稿を検知している場合、搬送エラーと判定することと、を含む。
【0109】
この方法によれば、上記読取装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0110】
11…読取装置、12…筐体、13…支持部、14…供給口、15…排出口、16…搬送経路、17…排出トレイ、19…載置部、20…検知部、21…給送部、22…読取部、24…給送ローラー、25…分離部、27…後端検知部、29…搬送部、31…第1ローラー対、32…第2ローラー対、34…回転検出部、36…光源、37…イメージセンサー、38…背景板、40…操作部、42…制御部、44…画像、46…原稿領域、47…背景領域、θ…傾き角度、A…ニップ領域、B…補正値、C…仮想中心線、Cl…左先角、Cr…右先角、D1…搬送方向、D2…走査方向、D3…垂直方向、Eb…後端、Ef…先端、El…左側端部、Er…右側端部、Ln…ニップ距離、Lf…先長、Ll…左先端距離、Lm…原稿長、Lr…右先端距離、Lt…許容距離、M…原稿、M1…先行原稿、M2…後続原稿、W…幅。