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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104393
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】電動締付機
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B25B23/14 610P
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008577
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉野 祐大
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038AA04
3C038AA06
3C038BC04
3C038CD05
3C038EA06
(57)【要約】
【課題】外中間スリーブとアウタスリーブとを固定するねじの脱落を抑制すること。
【解決手段】電動締付機は、モータと、モータの回転力が入力されるインターナルギヤを含む遊星歯車機構と、インターナルギヤの前端部の径方向内側に配置され、遊星歯車機構の回転力が入力される外中間スリーブと、外中間スリーブの径方向内側に配置され、遊星歯車機構の回転力が入力される内中間スリーブと、外中間スリーブの前端部の径方向内側に配置され、ナットを保持するアウタスリーブと、アウタスリーブの径方向内側に配置され、シャーボルトのピンテールを保持するインナスリーブと、外中間スリーブと前記アウタスリーブとを固定するねじと、ねじを径方向外側から覆うカバー部材と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転力が入力されるインターナルギヤを含む遊星歯車機構と、
前記インターナルギヤの前端部の径方向内側に配置され、前記遊星歯車機構の回転力が入力される外中間スリーブと、
前記外中間スリーブの径方向内側に配置され、前記遊星歯車機構の回転力が入力される内中間スリーブと、
前記外中間スリーブの前端部の径方向内側に配置され、ナットを保持するアウタスリーブと、
前記アウタスリーブの径方向内側に配置され、シャーボルトのピンテールを保持するインナスリーブと、
前記外中間スリーブと前記アウタスリーブとを固定するねじと、
前記ねじを径方向外側から覆うカバー部材と、を備える、
電動締付機。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記外中間スリーブに取り付けられる、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項3】
前記外中間スリーブは、前記ねじが結合されるねじ孔を有し、
前記アウタスリーブは、前記ねじの先端部が挿入される透孔を有し、
前記カバー部材は、前記外中間スリーブに取り付けられた状態で、前記ねじ孔を遮蔽する位置と前記ねじ孔を露出する位置とに移動可能である、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記外中間スリーブの周方向に移動可能である、
請求項3に記載の電動締付機。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記外中間スリーブの周囲の一部に配置される帯状である、
請求項4に記載の電動締付機。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記外中間スリーブを締め付けるように弾性力を発生する、
請求項5に記載の電動締付機。
【請求項7】
前記カバー部材は、開口部を有し、
前記ねじ孔を遮蔽する位置は、前記カバー部材の非開口部が前記ねじ孔に一致する位置であり、
前記ねじ孔を露出する位置は、前記開口部が前記ねじ孔に一致する位置である、
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の電動締付機。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記径方向内側に突出する突出部を有し、
前記ねじ孔を遮蔽する位置は、前記突出部が前記ねじ孔に一致する位置である、
請求項3に記載の電動締付機。
【請求項9】
前記突出部は、前記ねじ孔の径方向外側の開口を規定する前記外中間スリーブのエッジに接触可能である、
請求項8に記載の電動締付機。
【請求項10】
前記カバー部材は、前記外中間スリーブの軸方向に移動可能である、
請求項3に記載の電動締付機。
【請求項11】
前記カバー部材は、前記外中間スリーブの周囲に配置される円環状である、
請求項10に記載の電動締付機。
【請求項12】
前記カバー部材は、円弧状の第1カバー部材と、前記第1カバー部材に固定される円弧状の第2カバー部材と、を含む、
請求項11に記載の電動締付機。
【請求項13】
前記第1カバー部材の一端部に設けられた第1の凸部が前記第2カバー部材の一端部に設けらた第1の凹部に圧入され、
前記第2カバー部材の他端部に設けられた第2の凸部が前記第1カバー部材の他端部に設けらた第2の凹部に圧入されることにより、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とが固定される、
請求項12に記載の電動締付機。
【請求項14】
前記ねじ孔を露出する位置は、前記カバー部材が前記ねじ孔よりも後方に配置された位置である、
請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の電動締付機。
【請求項15】
前記カバー部材が前記ねじ孔を遮蔽する位置に移動するように弾性力を発生するばねを備える、
請求項14に記載の電動締付機。
【請求項16】
前記カバー部材は、リング部と、前記リング部から径方向内側に突出するストッパ部と、を有し、
前記外中間スリーブは、前記ねじ孔が設けられる大径部と、前記大径部よりも後方に設けられる小径部と、を有し、
前記ばね及び前記ストッパ部は、前記小径部の周囲に配置される、
請求項15に記載の電動締付機。
【請求項17】
前記ばねの前端部は、前記ストッパ部の後面に接触し、前記ばねの後端部は、前記小径部の後端部に設けられた後側支持面に接触する、
請求項16に記載の電動締付機。
【請求項18】
前記リング部が前記ねじ孔を遮蔽する位置に配置された状態で、前記ストッパ部の前面が前記小径部の前端部に設けられた前側支持面に接触する、
請求項16に記載の電動締付機。
【請求項19】
前記前側支持面は、径方向外側に向かって前方に傾斜する、
請求項18に記載の電動締付機。
【請求項20】
前記リング部が前記ねじ孔を遮蔽する位置に配置された状態で、前記リング部の前端部と前記ねじ孔の前端部とは、一致する、
請求項18に記載の電動締付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動締付機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動締付機に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなシャーレンチが知られている。シャーレンチは、シャーボルトとナットとの締付作業に使用される。特許文献1において、シャーレンチは、外中間スリーブ(200)と、外中間スリーブ(200)の前側に配置されるアウタスリーブ(204)と、を有する。外中間スリーブとアウタスリーブとは、ねじにより固定される。アウタスリーブは、ナットのサイズに合わせて交換される。作業者は、ねじによる外中間スリーブとアウタスリーブとの固定を解除することにより、アウタスリーブを交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-018312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば締付作業に起因する振動に起因して、外中間スリーブとアウタスリーブとを固定するねじが緩む可能性がある。緩んだねじがシャーレンチから脱落すると、ねじが紛失する可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、外中間スリーブとアウタスリーブとを固定するねじの脱落を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動締付機を開示する。電動締付機は、モータと、モータの回転力が入力されるインターナルギヤを含む遊星歯車機構と、インターナルギヤの前端部の径方向内側に配置され、遊星歯車機構の回転力が入力される外中間スリーブと、外中間スリーブの径方向内側に配置され、遊星歯車機構の回転力が入力される内中間スリーブと、外中間スリーブの前端部の径方向内側に配置され、ナットを保持するアウタスリーブと、アウタスリーブの径方向内側に配置され、シャーボルトのピンテールを保持するインナスリーブと、外中間スリーブとアウタスリーブとを固定するねじと、を備えてもよい。電動締付機は、ねじを径方向外側から覆うカバー部材を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、外中間スリーブとアウタスリーブとを固定するねじの脱落が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る電動締付機を示す右前方からの斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電動締付機を示す右側面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る電動締付機を示す断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る電動締付機の前端部を示す左前方からの斜視図である。
図6図6は、第1実施形態に係る電動締付機の前端部を示す左前方からの分解斜視図である。
図7図7は、第1実施形態に係る電動締付機の前端部を示す右側面図である。
図8図8は、第1実施形態に係る電動締付機の前端部を示す断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る電動締付機の前端部を示す左前方からの斜視図である。
図10図10は、第1実施形態に係る電動締付機の前端部を示す右側面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る電動締付機の前端部を示す断面図である。
図12図12は、第2実施形態に係る電動締付機の前端部を示す左前方からの斜視図である。
図13図13は、第2実施形態に係る電動締付機の前端部を示す左前方からの分解斜視図である。
図14図14は、第2実施形態に係る電動締付機の前端部を示す右側面図である。
図15図15は、第2実施形態に係る電動締付機の前端部を示す断面図である。
図16図16は、第2実施形態に係る電動締付機の前端部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、モータと、モータの回転力が入力されるインターナルギヤを含む遊星歯車機構と、インターナルギヤの前端部の径方向内側に配置され、遊星歯車機構の回転力が入力される外中間スリーブと、外中間スリーブの径方向内側に配置され、遊星歯車機構の回転力が入力される内中間スリーブと、外中間スリーブの前端部の径方向内側に配置され、ナットを保持するアウタスリーブと、アウタスリーブの径方向内側に配置され、シャーボルトのピンテールを保持するインナスリーブと、外中間スリーブとアウタスリーブとを固定するねじと、を備えてもよい。電動締付機は、ねじを径方向外側から覆うカバー部材を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、ねじを覆うカバー部材が設けられるので、ねじが緩んでも、カバー部材によりねじの脱落が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、外中間スリーブに取り付けられてもよい。
【0012】
上記の構成では、作業者は、カバー部材を外中間スリーブに取り付けた状態で、例えばアウタスリーブの交換作業を実施することができる。これにより、カバー部材の紛失が抑制される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、外中間スリーブは、ねじが結合されるねじ孔を有してもよい。アウタスリーブは、ねじの先端部が挿入される透孔を有してもよい。カバー部材は、外中間スリーブに取り付けられた状態で、ねじ孔を遮蔽する位置とねじ孔を露出する位置とに移動可能でもよい。
【0014】
上記の構成では、作業者は、ねじ孔を遮蔽する位置にカバー部材を配置した状態で、電動締付機を用いる締付作業を実施することができる。作業者は、ねじ孔を露出する位置にカバー部材を配置した状態で、例えばアウタスリーブの交換作業を実施することができる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、外中間スリーブの周方向に移動可能でもよい。
【0016】
上記の構成では、作業者は、カバー部材を周方向に移動することにより、ねじ孔を遮蔽する位置とねじ孔を露出する位置とにカバー部材を移動することができる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、外中間スリーブの周囲の一部に配置される帯状でもよい。
【0018】
上記の構成では、カバー部材の形状又は構造の複雑化が抑制される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、外中間スリーブを締め付けるように弾性力を発生してもよい。
【0020】
上記の構成では、カバー部材の弾性力により、カバー部材が不必要に移動したり外中間スリーブから脱落したりすることが抑制される。カバー部材を外中間スリーブに装着する場合、カバー部材の弾性力に抗ってカバー部材を拡径させることにより、カバー部材を外中間スリーブに装着することができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、開口部を有してもよい。ねじ孔を遮蔽する位置は、カバー部材の非開口部がねじ孔に一致する位置でもよい。ねじ孔を露出する位置は、開口部がねじ孔に一致する位置でもよい。
【0022】
上記の構成では、カバー部材の一部に開口部が設けられるので、作業者は、開口部がねじ孔に一致するようにカバー部材を周方向に移動することにより、ねじ孔を露出することができる。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、径方向内側に突出する突出部を有してもよい。ねじ孔を遮蔽する位置は、突出部がねじ孔に一致する位置でもよい。
【0024】
上記の構成では、カバー部材の非開口部の一部に突出部が設けられるので、作業者は、突出部がねじ孔に一致するようにカバー部材を周方向に移動することにより、ねじ孔を遮蔽することができる。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、突出部は、ねじ孔の径方向外側の開口を規定する外中間スリーブのエッジに接触可能でもよい。
【0026】
上記の構成では、突出部の位置がねじ孔の位置に一致した状態で、突出部が外中間スリーブのエッジに接触するので、外中間スリーブに対してカバー部材が位置決めされる。これにより、例えば電動締付機を用いる締付作業において、カバー部材が不必要に移動することが抑制される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、外中間スリーブの軸方向に移動可能でもよい。
【0028】
上記の構成では、作業者は、カバー部材を軸方向に移動することにより、ねじ孔を遮蔽する位置とねじ孔を露出する位置とにカバー部材を移動することができる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、外中間スリーブの周囲に配置される円環状でもよい。
【0030】
上記の構成では、カバー部材が外中間スリーブを囲むように設けられるので、カバー部材が外中間スリーブから脱落することが抑制される。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、円弧状の第1カバー部材と、第1カバー部材に固定される円弧状の第2カバー部材と、を含んでもよい。
【0032】
上記の構成では、カバー部材がいわゆる半割れ構造なので、カバー部材を外中間スリーブの周囲に配置することができる。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1カバー部材の一端部に設けられた第1の凸部が第2カバー部材の一端部に設けらた第1の凹部に圧入され、第2カバー部材の他端部に設けられた第2の凸部が第1カバー部材の他端部に設けらた第2の凹部に圧入されることにより、第1カバー部材と第2カバー部材とが固定されてもよい。
【0034】
上記の構成では、第1カバー部材と第2カバー部材とは、例えば接着剤を使用することなく固定される。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ孔を露出する位置は、カバー部材がねじ孔よりも後方に配置された位置でもよい。
【0036】
上記の構成では、作業者は、ねじ孔を遮蔽する位置に配置されているカバー部材を後方に移動することにより、ねじ孔を遮蔽する位置からねじ孔を露出する位置にカバー部材を移動することができる。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、カバー部材がねじ孔を遮蔽する位置に移動するように弾性力を発生するばねを備えてもよい。
【0038】
上記の構成では、カバー部材は、ばねの弾性力により、カバー部材は、ねじ孔を露出する位置からねじ孔を遮蔽する位置に移動することができる。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバー部材は、リング部と、リング部から径方向内側に突出するストッパ部と、を有してもよい。外中間スリーブは、ねじ孔が設けられる大径部と、大径部よりも後方に設けられる小径部と、を有してもよい。ばね及びストッパ部は、小径部の周囲に配置されてもよい。
【0040】
上記の構成では、リング部を大径部の周囲に配置することができる。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ばねの前端部は、ストッパ部の後面に接触し、ばねの後端部は、小径部の後端部に設けられた後側支持面に接触してもよい。
【0042】
上記の構成では、ばねは、リング部がねじ孔を露出する位置からねじ孔を遮蔽する位置に移動するように弾性力を発生することができる。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リング部がねじ孔を遮蔽する位置に配置された状態で、ストッパ部の前面が小径部の前端部に設けられた前側支持面に接触してもよい。
【0044】
上記の構成では、リング部は、ねじ孔を遮蔽する位置に位置決めされる。ばねの弾性力によりストッパ部が外中間スリーブの前側支持面に押し付けられることにより、カバー部材が不必要に移動することが抑制される。
【0045】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前側支持面は、径方向外側に向かって前方に傾斜してもよい。
【0046】
上記の構成では、径方向外側に向かって前方に傾斜する前側支持面にストッパ部が接触することにより、リング部がねじ孔を遮蔽する位置に位置決めされる。
【0047】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リング部がねじ孔を遮蔽する位置に配置された状態で、リング部の前端部とねじ孔の前端部とは、一致してもよい。
【0048】
上記の構成では、リング部の大型化が抑制される。特に、リング部の軸方向の寸法が過度に大きくなることが抑制される。
【0049】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動締付機1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0050】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る電動締付機1を示す右前方からの斜視図である。図2は、本実施形態に係る電動締付機1を示す左後方からの斜視図である。図3は、本実施形態に係る電動締付機1を示す右側面図である。図4は、本実施形態に係る電動締付機1を示す断面図である。
【0051】
本実施形態において、電動締付機1は、シャーレンチである。なお、電動締付機1は、一次締めレンチでもよい。電動締付機1は、シャーボルトとナットとの締付作業に使用される。一次締めレンチは、シャーボルトとナットとを第1トルクで締め付ける仮締付作業(一次締付作業)に使用される。シャーレンチは、一次締めレンチで締め付けられたシャーボルトとナットとを第1トルクよりも高い第2トルクで締め付ける本締付作業に使用される。本締付作業により、シャーボルトに設けられているピンテールがシャーボルトから分離される。
【0052】
<シャーレンチ>
電動締付機1は、ハウジング2と、動力部6と、動力伝達部4と、スリーブ機構18と、ハンドル部7と、バッテリ装着部9とを備える。ハウジング2は、電動締付機1を構成する各種部材を直接的又は間接的に保持する。動力部6は、回転力を発生する。動力伝達部4は、動力部6で発生した回転力をスリーブ機構18に伝達する。動力伝達部4及びスリーブ機構18の中心軸AXは、前後方向に延びる。動力部6は、動力伝達部4の中央下部から下方へ突出するように配置される。ハンドル部7は、動力伝達部4の後下部から下方へ突出するように配置される。バッテリ装着部9は、動力部6の下部とハンドル部7の下部とを繋ぐように配置される。バッテリ装着部9にバッテリ8が装着される。
【0053】
動力部6は、ロータシャフト10を有するモータ11を含む。ロータシャフト10の回転軸は、上下方向に延びる。動力伝達部4の少なくとも一部は、スリーブ機構18よりも後方に配置される。動力伝達部4は、モータ11の回転力が入力される中間歯車機構12と、中間歯車機構12を介してモータ11の回転力が入力される遊星歯車機構14とを有する。遊星歯車機構14の少なくとも一部は、中間歯車機構12よりも前方に配置される。遊星歯車機構14は、インターナルギヤ31を含む。スリーブ機構18の少なくとも一部は、遊星歯車機構14よりも前方に配置される。モータ11は、電動締付機1の駆動源である。ロータシャフト10の回転は、中間歯車機構12及び遊星歯車機構14により減速された後、スリーブ機構18に伝達される。
【0054】
ハウジング2は、ハンドルハウジング20と、モータハウジング24と、ギヤハウジング26と、リヤカバー28と、ギヤケース30とを含む。ハンドルハウジング20は、いわゆる半割れハウジングであり、左ハンドルハウジング21と右ハンドルハウジング22とを含む。ハンドルハウジング20及びモータハウジング24のそれぞれは、ギヤハウジング26の下部から下方に延びるように配置される。モータハウジング24は、ハンドルハウジング20よりも前方に配置される。モータハウジング24は、モータ11を保持する。ギヤハウジング26は、中間歯車機構12及び動力伝達部4の少なくとも一部を保持する。ギヤケース30は、動力伝達部4の少なくとも一部を保持する。ギヤケース30の後部は、ギヤハウジング26の上方に配置される。リヤカバー28は、ハンドルハウジング20よりも上方において、ギヤハウジング26及びギヤケース30の後部の開口を覆うように配置される。ギヤハウジング26及びギヤケース30は、金属製である。なお、ギヤハウジング26とギヤケース30とは、一体とみなされてもよい。リヤカバー28は、合成樹脂製である。リヤカバー28が合成樹脂製なので、ハウジング2の軽量化が図られる。
【0055】
インターナルギヤ31は、スリーブ機構18を保持するように配置される。インターナルギヤ31は、ギヤケース30よりも前方に配置される。
【0056】
左ハンドルハウジング21と右ハンドルハウジング22とは、複数のねじ34により相互に固定される。ギヤハウジング26は、モータハウジング24とギヤケース30とにより上下方向から挟まれる。ギヤハウジング26は、複数のねじ35によりモータハウジング24に固定される。リヤカバー28は、ハンドルハウジング20に位置決めされる。リヤカバー28は、ねじ38によりギヤケース30に固定される。
【0057】
ハンドル部7の上端部にスイッチ44及び引金45が配置される。引金45は、モータ11を起動させるために作業者に操作される。スイッチ44及び引金45のそれぞれは、ハンドルハウジング20に保持される。引金45は、スイッチ44の前側に配置される。
【0058】
バッテリ装着部9にバッテリ8が装着される。バッテリ8は、充電式バッテリである。バッテリ8は、リチウムイオンバッテリである。バッテリ装着部9の上方にコントローラ74が配置される。右ハンドルハウジング22の下部に複数の通気口79が設けられる。ハンドルハウジング20の内部におけるバッテリ装着部9と動力部6との境界には、前後左右に広がる仕切リブ80が配置されている。コントローラ74は、通気口79におけるファン126によらない自然な通気により、適宜冷却される。モータハウジング24の下部に複数の吸気口90が設けられる。
【0059】
モータ11は、電動モータである。モータ11は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ11は、ステータ96と、ステータ96の内側に配置されるロータ98とを有する。モータ11は、コントローラ74により制御される。
【0060】
ステータ96は、ステータコアと、インシュレータを介してステータコアに装着される複数のコイルとを有する。ステータ96の下部にセンサ回路基板108が固定される。
【0061】
ロータ98は、ロータシャフト10と、ロータシャフト10の周囲に配置された筒状のステータコアと、ステータコアの内部に配置される永久磁石と、センサ回路基板108に対向するようにステータコアの下部に固定されるセンサ用永久磁石とを有する。ロータシャフト10は、ロータコアに固定される。ロータシャフト10の上端部にピニオン115が設けられる。
【0062】
センサ回路基板108は、センサ用永久磁石を検出することによりロータ98の回転位置を検出する磁気センサを有する。コントローラ74は、センサ回路基板108の磁気センサにより検出されたロータ98の回転位置に基づいて、モータ11に供給される電流を制御する。
【0063】
ピニオン115の下側にロータシャフト10の上部を支持する軸受122が設けられる。軸受122は、ギヤハウジング26に保持される。ステータ96の下側にロータシャフト10の下部を支持する軸受124が設けられる。軸受124は、モータハウジング24に保持される。
【0064】
軸受122とステータ96との間にファン126が配置される。ファン126は、ロータシャフト10に固定される。ロータシャフト10の回転により、ファン126が回転する。ファン126が回転することにより、モータ11の周囲に気流が生成され、モータ11が冷却される。ギヤハウジング26に複数の排気口128が設けられる。モータ11の周囲を流れた空気は、排気口128から排出される。
【0065】
中間歯車機構12は、ピニオン115に噛み合う第1中間ギヤ130と、第1中間ギヤ130に噛み合う第2中間ギヤ132とを有する。第1中間ギヤ130の回転軸は、上下方向に延びる。第1中間ギヤ130の上部を支持する軸受134は、ギヤケース30に保持される。第1中間ギヤ130の下部を支持する軸受136は、ギヤハウジング26に保持される。第2中間ギヤ132の回転軸は、上下方向に延びる。第2中間ギヤ132は、第1中間ギヤ130よりも後方に配置される。第2中間ギヤ132の上部を支持する軸受138は、ギヤケース30に保持される。第2中間ギヤ132の下部を支持する軸受139は、ギヤハウジング26に保持される。第2中間ギヤ132の中心部に貫通孔が形成される。第2中間ギヤ132の貫通孔は、上下方向に延びる。第2中間ギヤ132の貫通孔にロッド140が配置される。ロッド140の下端部は、チップレバー56の上端部に接触する。
【0066】
遊星歯車機構14は、ロータシャフト10の回転を減速してスリーブ機構18に伝達する。遊星歯車機構14は、中心軸AXに平行な前後方向に配置された3段の遊星歯車列を有する。遊星歯車機構14は、後遊星歯車列150と、中遊星歯車列160と、前遊星歯車列170とを有する。
【0067】
後遊星歯車列150は、第2中間ギヤ132の上部の傘歯部と噛み合う傘歯151と、傘歯151の前部に形成されたサンギヤ部にそれぞれ噛み合う複数(4個)の遊星ギヤ152と、ピン及びキャリアと、インターナルギヤ31の内面に形成され遊星ギヤ152に噛み合う内歯部とを有する。傘歯151の前部は、軸受156に支持される。傘歯151の後部は、軸受157に支持される。傘歯151は、中心軸AXを中心に回転する。
【0068】
中遊星歯車列160は、1段目のキャリアの前部に形成されたサンギヤ部に噛み合う複数(4個)の遊星ギヤ162と、ピン及びキャリアと、インターナルギヤ31の内面に形成され遊星ギヤ162に噛み合う内歯部とを有する。
【0069】
前遊星歯車列170は、2段目のキャリアの前部に形成されたサンギヤ部に噛み合う複数(4個)の遊星ギヤ172と、ピン173及びキャリア174と、インターナルギヤ31に保持され遊星ギヤ172に噛み合う内歯部175とを有する。
【0070】
遊星歯車機構14の中心を貫くようにチップロッド180が配置される。チップロッド180は、前後方向に延びるように配置される。チップロッド180は、前後方向に移動可能である。チップロッド180の後部に押し出しリング182が配置される。押し出しリング182は、ロッド140と接触する。
【0071】
スリーブ機構18は、電動締付機1の出力部である。スリーブ機構18の中心軸AXは、前後方向に延びる。以下の説明において、回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称する。回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。回転軸AXを周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称する。径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。周方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、周方向一方側、と称し、周方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、周方向他方側、と称する。軸方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、軸方向一方側、と称し、軸方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、軸方向他方側、と称する。軸方向一方側は、前方側であり、軸方向他方側は、後方側である。
【0072】
スリーブ機構18は、シャーボルト及びナットを同時に保持可能である。スリーブ機構18は、外中間スリーブ200と、内中間スリーブ202と、アウタスリーブ204と、インナスリーブ206とを有する。
【0073】
外中間スリーブ200は、円筒状である。外中間スリーブ200は、回転軸AXの周囲に配置される。外中間スリーブ200の後端部は、インターナルギヤ31の前端部の径方向内側に配置される。外中間スリーブ200は、遊星歯車機構14に結合される。実施形態において、外中間スリーブ200は、3段目の内歯部175に結合される。遊星歯車機構14の回転力は、外中間スリーブ200に入力される。
【0074】
内中間スリーブ202は、円筒状である。内中間スリーブ202は、回転軸AXの周囲に配置される。内中間スリーブ202は、外中間スリーブ200の径方向内側に配置される。内中間スリーブ202は、遊星歯車機構14に結合される。実施形態において、内中間スリーブ202は、3段目のキャリア174に結合される。遊星歯車機構14の回転力は、内中間スリーブ202に入力される。
【0075】
外中間スリーブ200と内中間スリーブ202の間に軸受210が配置される。軸受210の内輪は、内中間スリーブ202及び3段目のキャリアに接触する。軸受210の外輪は、外中間スリーブ200に接触する。外中間スリーブ200の中央部と内中間スリーブ202の前端部との間に軸受211が配置される。軸受211は、オイルレスベアリングである。
【0076】
アウタスリーブ204は、外中間スリーブ200に着脱可能である。アウタスリーブ204の少なくとも一部は、外中間スリーブ200の前側に配置される。アウタスリーブ204の後端部は、外中間スリーブ200の前端部の径方向内側に配置される。外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とは、後述するねじ222により固定される。
【0077】
インナスリーブ206は、内中間スリーブ202に着脱可能である。インナスリーブ206の少なくとも一部は、内中間スリーブ202の前側に配置される。インナスリーブ206は、アウタスリーブ204の径方向内側に配置される。インナスリーブ206の後端部は、内中間スリーブ202の前端部の径方向内側に配置される。内中間スリーブ202とインナスリーブ206とは、スプライン結合される。
【0078】
アウタスリーブ204及びインナスリーブ206は、電動締付機1の先端工具として機能する。外中間スリーブ200及び内中間スリーブ202は、先端工具を保持する電動締付機1の先端工具保持部として機能する。
【0079】
アウタスリーブ204は、ソケット状である。アウタスリーブ204は、ナットを保持する。アウタスリーブ204の前部の内周面には、ナットが嵌められるナット嵌め込み部が形成される。
【0080】
インナスリーブ206は、ソケット状である。インナスリーブ206は、シャーボルトのピンテールを保持する。インナスリーブ206の前部の内周面には、シャーボルトのピンテールが嵌められるボルト嵌め込み部が形成される。
【0081】
インナスリーブ206は、インナスリーブスプリング212により前方に付勢されている。インナスリーブスプリング212は、3段目のキャリア174とインナスリーブ206との間に配置される。インナスリーブ206は、前後方向に移動可能な1個のピン214と、ピン214から径方向外側に延びるように配置された複数のストッパ216とを有する。ピン214の後部の太さは、ピン214の前部の太さよりも太い。ピン214が前方に位置している場合には、ピン214の後部がストッパ216の内側端部に接触してストッパ216を径方向外側に押し出す。ピン214が後方に位置している場合には、ピン214の前部がストッパ216の径方向内側への移動を許容する。径方向外側に押し出されたストッパ216は、アウタスリーブ204の内周部に係合する。
【0082】
ピン214の後部は、チップロッド180の先端部に装着された頭部218と接触する。チップロッド180及び頭部218は、チップロッドスプリング220により前方に付勢されている。チップロッドスプリング220は、3段目のキャリア174と頭部218との間に配置される。ピン214は、頭部218により前方に押される。
【0083】
シャーボルトとナットとの締付作業(本締付作業)を実施する場合、作業者は、インナスリーブ206にシャーボルトのピンテールを挿入する。シャーボルトとナットとは、仮締め(一次締め)されている。ピンテールがチップロッドスプリング220の付勢力に抗してインナスリーブ206に完全に挿入されると、ピン214がピンテールにより後方に押されて、ストッパ216が径方向内側に移動し、インナスリーブ206とアウタスリーブ204との係合が解除され、インナスリーブ206の後方への移動が許容され、アウタスリーブ204へのナットの嵌め込みが許容される。このとき、チップロッド180は、後方に移動し、チップロッド180の後端部は、押し出しリング182を経て、リヤカバー28に設けられている穴40に達する。
【0084】
アウタスリーブ204に嵌め込まれたナットは、インナスリーブ206をインナスリーブスプリング212の付勢力に抗して後方に移動させる。シャーボルトのピンテールがインナスリーブ206に完全に嵌められることで、ナットがアウタスリーブ204に嵌められる。
【0085】
作業者がハンドル部7を把持して引金45を引くと、スイッチ44がオンされ、コントローラ74を介してバッテリ8からモータ11へ給電され、モータ11が駆動する。コントローラ74は、センサ回路基板108の磁気センサから出力されるロータ98の回転位置の検出信号に基づいて、ステータ96のコイルに対して順番に電流を流すことで、ロータシャフト10を含むロータ98を回転させる。
【0086】
ロータシャフト10の回転により、ファン126が回転し、吸気口90から排気口128へ空気が流れ、その空気の流れによって、モータ11を始めとする各種の部材が冷却される。
【0087】
ロータシャフト10の回転力は、ピニオン115から第1中間ギヤ130及び第2中間ギヤ132を介して遊星歯車機構14に伝わり、遊星歯車機構14により減速された状態でスリーブ機構18に伝達される。3段目のキャリア174の回転力は、内中間スリーブ202及びインナスリーブ206に伝達される。3段目の内歯部175の回転力は、外中間スリーブ200及びアウタスリーブ204に伝達される。3段目のキャリア174の回転力の方向は、3段目の内歯部175の回転力の方向とは逆である。内歯部175の回転に伴って、インターナルギヤ31がゆっくりと回転する。
【0088】
ナットの締め付け途中では、インナスリーブ206がシャーボルトにより停止され、アウタスリーブ204の回転力がナットに伝達され、ナットがシャーボルトに対して回転する。また、内歯部175の回転に伴って、インターナルギヤ31がゆっくりと回転する。
【0089】
ナットの締め付けが最終段階に至り、所定しきい値以上の反動トルクがアウタスリーブ204に付加されると、3段目の内歯部175を介してインターナルギヤ31の回転が規制される。すると、3段目のキャリア174と一体のアウタスリーブ204が、シャーボルトのピンテールの剛性に抗してナット締め付け方向と逆方向に回転し、ピンテールを剪断する。ピンテールは、シャーボルトから分離される。こうして、シャーボルトに対するナットの締め付けが完了し、ピンテールの分離を伴うナットの締め付けにより、所定のトルクに係るナットの締め付けが確保される。
【0090】
ナットがアウタスリーブ204から外されると、インナスリーブスプリング212により前方に付勢されたインナスリーブ206が前方に移動し、ストッパ216がアウタスリーブ204に係合する。インナスリーブ206の内側には、シャーボルトから分離されたピンテールであるチップが存在する。インナスリーブ206の内側のチップは、チップロッドスプリング220により前方に付勢されたチップロッド180及びピン214によって、前方への排出を促される。また、作業者がチップレバー56を引くと、チップレバー56により上方に押されたロッド140が押し出しリング182を押し、押し出しリング182が、後方に位置するチップロッド180及びピン214を前方に押し出して、インナスリーブ206の内側のチップが前方に排出される。
【0091】
<カバー部材>
図5は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す左前方からの斜視図である。図6は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す左前方からの分解斜視図である。図7は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す右側面図である。図8は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す断面図であり、図7のA1-A1断面矢視図に相当する。
【0092】
外中間スリーブ200は、外中間スリーブ200から前方に突出する複数の爪部230を有する。本実施形態において、爪部230は、4つ設けられる。4つの爪部230は、周方向に等間隔に配置される。アウタスリーブ204に溝部232が設けられる。爪部230は、溝部232に配置される。爪部230が溝部232に配置されることにより、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との相対回転が抑制される。爪部230及び溝部232は、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との相対回転を抑制する回り止め機構として機能する。
【0093】
外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とは、複数のねじ222により固定される。本実施形態において、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とは、2つのねじ222により固定される。
【0094】
上述のように、アウタスリーブ204は、外中間スリーブ200に着脱可能である。すなわち、アウタスリーブ204は、交換可能である。アウタスリーブ204は、ナットのサイズに合わせて交換される。外中間スリーブ200からアウタスリーブ204を外す場合、作業者は、工具を用いて、ねじ222による外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との固定を解除する。ねじ222による外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との固定が解除されることにより、外中間スリーブ200からアウタスリーブ204が外される。外中間スリーブ200にアウタスリーブ204を固定する場合、作業者は、外中間スリーブ200の前端部の径方向内側にアウタスリーブ204の後端部を挿入した後、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とをねじ222で固定する。
【0095】
なお、上述のように、インナスリーブ206は、内中間スリーブ202に着脱可能である。インナスリーブ206は、ピンテール(シャーボルト)のサイズに合わせて交換される。作業者は、外中間スリーブ200からアウタスリーブ204を外した状態で、インナスリーブ206の交換を実施することができる。
【0096】
外中間スリーブ200は、ねじ222の中間部が配置されるねじ孔224を有する。ねじ孔224には、ねじ222に設けられているねじ山が結語区されるねじ溝が設けられる。ねじ222は、ねじ孔224に結合される。アウタスリーブ204は、ねじ222の先端部が挿入される透孔226を有する。ねじ222がねじ孔224に結合された状態で、ねじ222の先端部が透孔226に挿入されることにより、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との相対回転が抑制され、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との軸方向の相対移動が抑制される。ねじ222及び透孔226は、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との相対移動を抑制する位置決め機構として機能する。
【0097】
ねじ孔224及び透孔226のそれぞれは、ねじ222と同じ数だけ設けられる。本実施形態において、ねじ孔224は、2つ設けられる。透孔226は、2つ設けられる。ねじ孔224は、回転軸AXを挟んで相互に対向する位置に設けられる。透孔226は、回転軸AXを挟んで相互に対向する位置に設けられる。
【0098】
本実施形態において、電動締付機1は、ねじ222を径方向外側から覆うカバー部材100を備える。カバー部材100は、ねじ222が外中間スリーブ200から脱落することを抑制する。例えば締付作業に起因する振動に起因して、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とを固定するねじ222が緩む可能性がある。緩んだねじ222が電動締付機1から脱落すると、ねじ222が紛失する可能性がある。カバー部材100により、電動締付機1からのねじ222の脱落が抑制される。
【0099】
カバー部材100は、外中間スリーブ200に取り付けられる。カバー部材100は、外中間スリーブ200の周囲の一部に配置される帯状である。本実施形態において、カバー部材100は、金属製の帯状の薄板により構成される。
【0100】
カバー部材100は、外中間スリーブ200を締め付けるように弾性力を発生する。カバー部材100は、板ばね状である。カバー部材100が外中間スリーブ200を締め付けるように弾性力を発生することにより、外中間スリーブ200からカバー部材100が脱落することが抑制される。
【0101】
カバー部材100は、径方向内側に突出する突出部101と、開口部102とを有する。突出部101は、カバー部材100のうち開口部102が設けられていない非開口部に設けられる。突出部101及び開口部102のそれぞれは、ねじ孔224と同じ数だけ設けられる。本実施形態において、突出部101は、2つ設けられる。開口部102は、2つ設けられる。周方向において、1つの突出部101と1つの開口部102とは、隣接するように設けられる。
【0102】
本実施形態において、カバー部材100でねじ222を径方向外側から覆うことは、カバー部材100が外中間スリーブ200に取り付けられた状態で、カバー部材100でねじ孔224を遮蔽することを含む。
【0103】
カバー部材100は、外中間スリーブ200の周方向に移動可能である、カバー部材100は、周方向に移動可能に外中間スリーブ200に支持される。カバー部材100は、外中間スリーブ200に取り付けられた状態で、ねじ孔224を遮蔽する位置とねじ孔224を露出する位置とに移動可能である。
【0104】
図9は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す左前方からの斜視図である。図10は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す右側面図である。図11は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す断面図であり、図10のA2-A2断面矢視図に相当する。
【0105】
図5図7、及び図8は、カバー部材100がねじ孔224を遮蔽する位置に配置されている状態を示す。図9図10、及び図11は、カバー部材100がねじ孔224を露出する位置に配置されている状態を示す。
【0106】
図5図7、及び図8に示すように、ねじ孔224を遮蔽する位置は、カバー部材100の非開口部がねじ孔224に一致する位置である。本実施形態において、ねじ孔224を遮蔽する位置は、突出部101がねじ孔224に一致する位置である。すなわち、カバー部材100でねじ孔224を遮蔽することは、突出部101をねじ孔224に配置することを含む。
【0107】
図8に示すように、突出部101は、ねじ孔224の径方向外側の開口からねじ孔224に入り込む。突出部101は、ねじ孔224の径方向外側の開口を規定する外中間スリーブ200のエッジに接触可能である。
【0108】
図9図10、及び図11に示すように、ねじ孔224を露出する位置は、開口部102がねじ孔224に一致する位置である。
【0109】
例えばトルシアボルトとナットとの締付作業を実施する場合、作業者は、図5図7、及び図8に示すように、ねじ孔224を遮蔽する位置にカバー部材100を配置する。ねじ孔224が径方向外側からカバー部材100で覆われるので、ねじ222の脱落が抑制される。カバー部材100の弾性力により外中間スリーブ200がカバー部材100に締め付けられるので、締付作業においてカバー部材100が不必要に移動することが抑制される。
【0110】
例えばアウタスリーブ204の交換作業を実施する場合、作業者は、図9図10、及び図11に示すように、ねじ孔224を露出する位置にカバー部材100を配置する。作業者は、カバー部材100が外中間スリーブ200に取り付けられた状態で、カバー部材100を手で回転させる。作業者は、開口部102とねじ孔224とが一致するように、カバー部材100をひねるように回転させる。カバー部材100は、開口部102とねじ孔224とが一致するように外中間スリーブ200の周囲を回転することにより、ねじ孔224を露出する位置に配置される。作業者は、開口部102を介して、ねじ222に工具を接触させ、ねじ222を外すことができる。ねじ222による外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との固定が解除されることにより、外中間スリーブ200からアウタスリーブ204が外される。外中間スリーブ200にアウタスリーブ204を固定する場合、作業者は、外中間スリーブ200の前端部の径方向内側にアウタスリーブ204の後端部を挿入した後、開口部102を介して、ねじ孔224及び透孔226にねじ222を挿入する。ねじ孔224及び透孔226にねじ222を挿入した後、作業者は、開口部102を介して、ねじ222に工具を接触させ、ねじ222を締め付ける。これにより、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とがねじ222で固定される。外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とがねじ222で固定された後、突出部101がねじ孔224に一致するようにカバー部材100が回転されることにより、ねじ222がカバー部材100で覆われる。
【0111】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動締付機1は、モータ11と、モータ11の回転力が入力されるインターナルギヤ31を含む遊星歯車機構14と、インターナルギヤ31の前端部の径方向内側に配置され、遊星歯車機構14の回転力が入力される外中間スリーブ200と、外中間スリーブ200の径方向内側に配置され、遊星歯車機構14の回転力が入力される内中間スリーブ202と、外中間スリーブ200の前端部の径方向内側に配置され、ナットを保持するアウタスリーブ204と、アウタスリーブ204の径方向内側に配置され、シャーボルトのピンテールを保持するインナスリーブ206と、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とを固定するねじ222と、を備える。電動締付機1は、ねじ222を径方向外側から覆うカバー部材100を備える。
【0112】
上記の構成では、ねじ222を覆うカバー部材100が設けられるので、ねじ222が緩んでも、カバー部材100によりねじ222の脱落が抑制される。
【0113】
本実施形態において、カバー部材100は、外中間スリーブ200に取り付けられる。
【0114】
上記の構成では、作業者は、カバー部材100を外中間スリーブ200に取り付けた状態で、例えばアウタスリーブ204の交換作業を実施することができる。これにより、カバー部材100の紛失が抑制される。
【0115】
本実施形態において、外中間スリーブ200は、ねじ222が結合されるねじ孔224を有する。アウタスリーブ204は、ねじ222の先端部が挿入される透孔226を有する。カバー部材100は、外中間スリーブ200に取り付けられた状態で、ねじ孔224を遮蔽する位置とねじ孔224を露出する位置とに移動可能である。
【0116】
上記の構成では、作業者は、ねじ孔224を遮蔽する位置にカバー部材100を配置した状態で、電動締付機1を用いる締付作業を実施することができる。作業者は、ねじ孔224を露出する位置にカバー部材100を配置した状態で、例えばアウタスリーブ204の交換作業を実施することができる。
【0117】
本実施形態において、カバー部材100は、外中間スリーブ200の周方向に移動可能である。
【0118】
上記の構成では、作業者は、カバー部材100を周方向に移動することにより、ねじ孔224を遮蔽する位置とねじ孔224を露出する位置とにカバー部材100を移動することができる。
【0119】
本実施形態において、カバー部材100は、外中間スリーブ200の周囲の一部に配置される帯状である。
【0120】
上記の構成では、カバー部材100の形状又は構造の複雑化が抑制される。
【0121】
本実施形態において、カバー部材100は、外中間スリーブ200を締め付けるように弾性力を発生する。
【0122】
上記の構成では、カバー部材100の弾性力により、カバー部材100が不必要に移動したり外中間スリーブ200から脱落したりすることが抑制される。カバー部材100を外中間スリーブ200に装着する場合、カバー部材100の弾性力に抗ってカバー部材100を拡径させることにより、カバー部材100を外中間スリーブ200に装着することができる。
【0123】
本実施形態において、カバー部材100は、開口部102を有する。ねじ孔224を遮蔽する位置は、カバー部材100の非開口部がねじ孔224に一致する位置である。ねじ孔224を露出する位置は、開口部102がねじ孔224に一致する位置である。
【0124】
上記の構成では、カバー部材100の一部に開口部102が設けられるので、作業者は、開口部102がねじ孔224に一致するようにカバー部材100を周方向に移動することにより、ねじ孔224を露出することができる。
【0125】
本実施形態において、カバー部材100は、径方向内側に突出する突出部101を有する。ねじ孔224を遮蔽する位置は、突出部101がねじ孔224に一致する位置である。
【0126】
上記の構成では、カバー部材100の非開口部の一部に突出部101が設けられるので、作業者は、突出部101がねじ孔224に一致するようにカバー部材100を周方向に移動することにより、ねじ孔224を遮蔽することができる。
【0127】
本実施形態において、突出部101は、ねじ孔224の径方向外側の開口を規定する外中間スリーブ200のエッジに接触可能である。
【0128】
上記の構成では、突出部101の位置がねじ孔224の位置に一致した状態で、突出部101が外中間スリーブ200のエッジに接触するので、外中間スリーブ200に対してカバー部材100が位置決めされる。これにより、例えば電動締付機1を用いる締付作業において、カバー部材100が不必要に移動することが抑制される。
【0129】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0130】
<カバー部材>
図12は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す左前方からの斜視図である。図13は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す左前方からの分解斜視図である。図14は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す右側面図である。図15は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す断面図である。図16は、本実施形態に係る電動締付機1の前端部を示す断面図である。
【0131】
本実施形態において、ねじ222を径方向外側から覆うカバー部材300は、外中間スリーブ200の軸方向に移動可能である。上述の第1実施形態で説明したカバー部材100と同様、カバー部材300は、外中間スリーブ200に取り付けられる。カバー部材300は、外中間スリーブ200に取り付けられた状態で、ねじ孔224を遮蔽する位置とねじ孔224を露出する位置とに移動可能である。
【0132】
図12図14、及び図15は、カバー部材100がねじ孔224を遮蔽する位置に配置されている状態を示す。図16は、カバー部材100がねじ孔224を露出する位置に配置されている状態を示す。
【0133】
カバー部材300は、外中間スリーブ200の周囲に配置される円環状である。図13に示すように、本実施形態において、カバー部材300は、円弧状の第1カバー部材300Lと、第1カバー部材300Lに固定される円弧状の第2カバー部材300Rと、を含む。すなわち、本実施形態において、カバー部材300は、いわゆる半割れ構造である。
【0134】
第1カバー部材300Lの一端部(上端部)に設けられた第1の凸部300Cが第2カバー部材300Rの一端部(上端部)に設けらた第1の凹部300Dに圧入される。第2カバー部材300Rの他端部(下端部)に設けられた第2の凸部300Cが第1カバー部材300Lの他端部(下端部)に設けらた第2の凹部(図13において不図示)に圧入されることにより、第1カバー部材300Lと第2カバー部材300Rとが固定される。
【0135】
カバー部材300は、外中間スリーブ200の軸方向(前後方向)に移動可能である、カバー部材300は、軸方向に移動可能に外中間スリーブ200に支持される。カバー部材300は、外中間スリーブ200に取り付けられた状態で、ねじ孔224を遮蔽する位置とねじ孔224を露出する位置とに移動可能である。
【0136】
図16に示すように、本実施形態において、ねじ孔224を露出する位置は、カバー部材300がねじ孔224よりも後方に配置された位置である。すなわち、カバー部材300の前後方向の可動範囲の後端部にカバー部材300が移動することにより、ねじ孔224が露出する。
【0137】
本実施形態において、カバー部材300がねじ孔224を遮蔽する位置に移動するように弾性力を発生するばね301が設けられる。ばね301は、圧縮コイルばねである。カバー部材300の前後方向の可動範囲の前端部にカバー部材300が移動することにより、ねじ孔224が遮蔽される。ばね301は、カバー部材300の前後方向の可動範囲の前端部にカバー部材300が移動するように、弾性力を発生する。
【0138】
カバー部材300は、合成樹脂製である。なお、カバー部材300は、金属製でもよい。カバー部材300は、リング部300Aと、リング部300Aから径方向内側に突出するストッパ部300Bと、を有する。リング部300Aは、外中間スリーブ200を囲む帯状である。ストッパ部300Bは、リング部300Aの内周面から径方向内側に突出する。ストッパ部300Bは、外中間スリーブ200を囲むように設けられる。ストッパ部300Bは、前後方向においてリング部300Aの内周面の中間部に設けられる。リング部300Aの前端部は、ストッパ部300Bから前方に突出する。
【0139】
外中間スリーブ200は、ねじ孔224が設けられる大径部200Dと、大径部200Dよりも後方に設けられる小径部200Cと、を有する。ばね301は、小径部200Cの周囲に配置される。ストッパ部300Bは、小径部200Cの周囲に配置される。ストッパ部300Bは、小径部200Cの周囲において前後方向に移動する。リング部300Aの前端部は、ねじ孔224を遮蔽する位置とねじ孔224を露出する位置とに移動可能である。
【0140】
ばね301の前端部は、ストッパ部300Bの後面300Fに接触する。ばね301の後端部は、小径部200Cの後端部に設けられた後側支持面200Bに接触する。後側支持面200Bは、前方を向く。
【0141】
図15に示すように、リング部300Aがねじ孔224を遮蔽する位置に配置された状態で、ストッパ部300Bの前面300Eが小径部200Cの前端部に設けられた前側支持面200Aに接触する。
【0142】
前側支持面200Aは、実質的に後方を向く。前側支持面200Aは、径方向外側に向かって前方に傾斜する。ストッパ部300Bの前面300Eは、前側支持面200Aに平行である。
【0143】
図15に示すように、リング部300Aがねじ孔224を遮蔽する位置に配置された状態で、リング部300Aの前端部とねじ孔224の前端部とは、一致する。
【0144】
例えばトルシアボルトとナットとの締付作業を実施する場合、作業者は、図12図14、及び図15に示すように、ねじ孔224を遮蔽する位置にカバー部材300を配置する。ねじ孔224が径方向外側からカバー部材300で覆われるので、ねじ222の脱落が抑制される。カバー部材300のストッパ部300Bがばね301の弾性力により外中間スリーブ200の前側支持面200Aに押し付けられるので、締付作業においてカバー部材300が不必要に移動することが抑制される。
【0145】
例えばアウタスリーブ204の交換作業を実施する場合、作業者は、図16に示すように、ねじ孔224を露出する位置にカバー部材300を配置する。作業者は、カバー部材300が外中間スリーブ200に取り付けられた状態で、カバー部材300がねじ孔224を遮蔽する位置から露出する位置に移動するようにカバー部材300を後方に手で移動させる。作業者は、開口部102を介して、ねじ222に工具を接触させ、ねじ222を外すことができる。ねじ222による外中間スリーブ200とアウタスリーブ204との固定が解除されることにより、外中間スリーブ200からアウタスリーブ204が外される。外中間スリーブ200にアウタスリーブ204を固定する場合、作業者は、外中間スリーブ200の前端部の径方向内側にアウタスリーブ204の後端部を挿入した後、開口部102を介して、ねじ孔224及び透孔226にねじ222を挿入する。ねじ孔224及び透孔226にねじ222を挿入した後、作業者は、開口部102を介して、ねじ222に工具を接触させ、ねじ222を締め付ける。これにより、外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とがねじ222で固定される。外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とがねじ222で固定された後、ばね301の弾性力によりカバー部材300が前方に移動することにより、ねじ222がカバー部材300で覆われる。
【0146】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、カバー部材300は、外中間スリーブ200の軸方向に移動可能である。
【0147】
上記の構成では、作業者は、カバー部材300を軸方向に移動することにより、ねじ孔224を遮蔽する位置とねじ孔224を露出する位置とにカバー部材300を移動することができる。
【0148】
本実施形態において、カバー部材300は、外中間スリーブ200の周囲に配置される円環状である。
【0149】
上記の構成では、カバー部材300が外中間スリーブ200を囲むように設けられるので、カバー部材300が外中間スリーブ200から脱落することが抑制される。
【0150】
本実施形態において、カバー部材300は、円弧状の第1カバー部材300Lと、第1カバー部材300Lに固定される円弧状の第2カバー部材300Rと、を含む。
【0151】
上記の構成では、カバー部材300がいわゆる半割れ構造なので、カバー部材300を外中間スリーブ200の周囲に配置することができる。
【0152】
本実施形態において、第1カバー部材300Lの一端部に設けられた第1の凸部300Cが第2カバー部材300Rの一端部に設けらた第1の凹部300Dに圧入され、第2カバー部材300Rの他端部に設けられた第2の凸部300Cが第1カバー部材300Lの他端部に設けらた第2の凹部300Dに圧入されることにより、第1カバー部材300Lと第2カバー部材300Rとが固定される。
【0153】
上記の構成では、第1カバー部材300Lと第2カバー部材300Rとは、例えば接着剤を使用することなく固定される。
【0154】
本実施形態において、ねじ孔224を露出する位置は、カバー部材300がねじ孔224よりも後方に配置された位置である。
【0155】
上記の構成では、作業者は、ねじ孔224を遮蔽する位置に配置されているカバー部材300を後方に移動することにより、ねじ孔224を遮蔽する位置からねじ孔224を露出する位置にカバー部材300を移動することができる。
【0156】
本実施形態において、電動締付機1は、カバー部材300がねじ孔224を遮蔽する位置に移動するように弾性力を発生するばね301を備える。
【0157】
上記の構成では、カバー部材300は、ばね301の弾性力により、カバー部材300は、ねじ孔224を露出する位置からねじ孔224を遮蔽する位置に移動することができる。
【0158】
本実施形態において、カバー部材300は、リング部300Aと、リング部300Aから径方向内側に突出するストッパ部300Bと、を有する。外中間スリーブ200は、ねじ孔224が設けられる大径部200Dと、大径部200Dよりも後方に設けられる小径部200Cと、を有する。ばね301及びストッパ部300Bは、小径部200Cの周囲に配置される。
【0159】
上記の構成では、リング部300Aを大径部200Dの周囲に配置することができる。
【0160】
本実施形態において、ばね301の前端部は、ストッパ部300Bの後面300Fに接触し、ばね301の後端部は、小径部200Cの後端部に設けられた後側支持面200Bに接触する。
【0161】
上記の構成では、ばね301は、リング部300Aがねじ孔224を露出する位置からねじ孔224を遮蔽する位置に移動するように弾性力を発生することができる。
【0162】
本実施形態において、リング部300Aがねじ孔224を遮蔽する位置に配置された状態で、ストッパ部300Bの前面が小径部200Cの前端部に設けられた前側支持面200Aに接触する。
【0163】
上記の構成では、リング部300Aは、ねじ孔224を遮蔽する位置に位置決めされる。ばね301の弾性力によりストッパ部300Bが外中間スリーブ200の前側支持面200Aに押し付けられることにより、カバー部材300が不必要に移動することが抑制される。
【0164】
本実施形態において、前側支持面200Aは、径方向外側に向かって前方に傾斜する。
【0165】
上記の構成では、径方向外側に向かって前方に傾斜する前側支持面200Aにストッパ部300Bが接触することにより、リング部300Aがねじ孔224を遮蔽する位置に位置決めされる。
【0166】
本実施形態において、リング部300Aがねじ孔224を遮蔽する位置に配置された状態で、リング部300Aの前端部とねじ孔224の前端部とは、一致する。
【0167】
上記の構成では、リング部300Aの大型化が抑制される。特に、リング部300Aの軸方向の寸法が過度に大きくなることが抑制される。
【0168】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、電動締付機1は、シャーレンチであることとした。電動締付機1は、一次締めレンチでもよい。
【符号の説明】
【0169】
1…電動締付機、2…ハウジング、4…動力伝達部、6…動力部、7…ハンドル部、8…バッテリ、9…バッテリ装着部、10…ロータシャフト、11…モータ、12…中間歯車機構、14…遊星歯車機構、18…スリーブ機構、20…ハンドルハウジング、21…左ハンドルハウジング、22…右ハンドルハウジング、24…モータハウジング、26…ギヤハウジング、28…リヤカバー、30…ギヤケース、31…インターナルギヤ、34…ねじ、35…ねじ、38…ねじ、40…穴、44…スイッチ、45…引金、56…チップレバー、74…コントローラ、79…通気口、80…仕切リブ、90…吸気口、96…ステータ、98…ロータ、100…カバー部材、101…突出部、102…開口部、108…センサ回路基板、115…ピニオン、122…軸受、124…軸受、126…ファン、128…排気口、130…第1中間ギヤ、132…第2中間ギヤ、134…軸受、136…軸受、138…軸受、139…軸受、140…ロッド、150…後遊星歯車列、151…傘歯、152…遊星ギヤ、156…軸受、157…軸受、160…中遊星歯車列、162…遊星ギヤ、170…前遊星歯車列、172…遊星ギヤ、173…ピン、174…キャリア、175…内歯部、180…チップロッド、182…押し出しリング、200…外中間スリーブ、200A…前側支持面、200B…後側支持面、200C…小径部、200D…大径部、202…内中間スリーブ、204…アウタスリーブ、206…インナスリーブ、210…軸受、211…軸受、212…インナスリーブスプリング、214…ピン、216…ストッパ、218…頭部、220…チップロッドスプリング、222…ねじ、224…ねじ孔、226…透孔、230…爪部、232…溝部、300…カバー部材、300A…リング部、300B…ストッパ部、300C…凸部、300D…凹部、300E…前面、300F…後面、300L…第1カバー部材、300R…第2カバー部材、301…ばね、AX…回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図16