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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104412
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】バッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240729BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240729BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/126 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/209 20210101ALN20240729BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M50/262 Z
H01M50/224
H01M10/48 P
H01M50/249
H01M50/126
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/211
H01M50/284
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008600
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健史
(72)【発明者】
【氏名】大間 敦史
【テーマコード(参考)】
5H011
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC10
5H011EE04
5H030AA06
5H030AS08
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC34
5H040DD26
5H040LL01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】従来のバッテリシステムでは、セルの膨張により生じた負荷を検出するために半導体センサを用いていたため、製造コストが嵩むという問題点があった。
【解決手段】ケースK内に複数のセルCを整列させて配置した構造を有するモジュールMを備え、列端に配置したセルCとこれに相対向するケース内面の少なくとも一方側に、セルCの膨張により相手側であるサイドプレートP5に接触する導電部材5を備えると共に、導電部材5と相手側との接触により生じた絶縁抵抗の低下を検出する検出器6を備えたバッテリシステムBSとし、セルの劣化による過度な膨張を検知する機能を廉価に得ることを可能にし、製造コストの低減を実現した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に複数のセルを整列させて配置した構造を有するモジュールを備え、
列端に配置したセル及び同セルに相対向するケース内面の少なくとも一方側に、前記セルの膨張により相手側に接触する導電部材を備えると共に、
前記導電部材と相手側との接触により生じた絶縁抵抗の低下を検出する検出器を備えたことを特徴とするバッテリシステム。
【請求項2】
前記ケースが、列端の前記セルに相対向する前記ケース内面を有するサイドプレートを備え、
前記導電部材が、前記セルの膨張に伴う前記サイドプレートの変形により相手側に接触することを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項3】
前記ケースが、導電性を有することを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項4】
前記セルが、樹脂製の外装体で包まれたラミネートセルであって、その周縁部に、一対の樹脂層の間に金属層を有する三層構造の封止部と、前記封止部から外部に延出する外部端子とを有しており、
前記導電部材が、列端の前記セルに相対向する前記ケース内面に配置してあり、
前記導電部材の相手側が、前記外部端子及び前記封止部のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項5】
前記導電部材の相手側が、前記封止部であって、
前記導電部材が、尖頭状を成しており、前記封止部の前記樹脂層を貫通して前記金属層に接触することを特徴とする請求項4に記載のバッテリシステム。
【請求項6】
前記セルが、外装体としての金属製の缶を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項7】
前記モジュールを複数備え、
少なくとも1つの前記モジュールが、前記導電部材及び前記検出器を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項8】
前記検出器は、絶縁抵抗の低下が一定時間継続した状態、絶縁抵抗の低下が一定頻度を超えた状態、及び複数箇所で絶縁抵抗の低下を検出した状態のうちのいずれかの状態が生じた際に、異常と判定する機能を有していることを特徴とする請求項7に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のバッテリシステムを搭載したことを特徴とする自動車。
【請求項10】
金属製のボディを備え、
前記ボディと前記導電部材とが電気的に導通していることを特徴とする請求項9に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に複数のセルを整列配置した構造を有するモジュールを備えたバッテリシステムに関し、とくに、セルの過度な膨張を検知する機能を備えたバッテリシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のバッテリシステムとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、複数のラミネートセルの集合からなるラミネートセル集積型バッテリと、このラミネートセル集積型バッテリをケースに収納してなるバッテリモジュール構造が開示されている。
【0003】
上記のようなバッテリシステムにおけるセルは、充放電を繰り返すと、経年劣化に伴って厚みを増大させるように膨張する。このため、バッテリシステムでは、セル間にクッション材を挟んだり、セル間に空間を設けたりして、セルの膨張を見越した設計を行っているが、セルの膨張は使用状況によって異なり、過度に膨張する可能性もある。そこで、従来のバッテリシステムには、セルの膨張により生じた負荷を圧力センサや歪みゲージで検知するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-265945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような従来のバッテリシステムでは、圧力センサや歪みゲージに、半導体センサが用いられており、この半導体センサが高価なため、バッテリシステムの製造コストが嵩むという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、セルの劣化による過度な膨張を検知する機能を廉価に得ることができ、製造コストの低減を実現し得るバッテリシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わるバッテリシステムは、ケース内に複数のセルを整列させて配置した構造を有するモジュールを備えている。そして、バッテリシステムは、モジュールが、列端に配置したセル及び同セルに相対向するケース内面の少なくとも一方側に、セルの膨張により相手側に接触する導電部材を備えると共に、導電部材と相手側との接触により生じた絶縁抵抗の低下を検出する検出器を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わるバッテリシステムは、セルが膨張した際の変位を利用して導電部材と相手側とを接触させ、検出器で絶縁抵抗の低下を検出するので、セルCの経年劣化による過度な膨張によりモジュールMが破損するような事態を未然に阻止し得ると共に、セルの過度な膨張を検知する機能を廉価に得ることができ、製造コストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係わるバッテリシステムの第1実施形態を示す分解斜視図である。
図2】セルを説明する端面図(左図)及び正面図(右図)である。
図3】セルの通常時の状態(左図)と膨張時の状態(右図)を示す断面説明図である。
図4】ケースのサイドプレートを示す断面図(左図)及び正面図(右図)である。
図5】本発明に係わるバッテリシステムの第2実施形態を示す分解斜視図である。
図6】本発明に係わるバッテリシステムの第3実施形態の2例を示す断面図である。
図7】本発明に係わるバッテリシステムの第4実施形態を示す分解斜視図である。
図8】本発明に係わるバッテリシステムの第5実施形態を示す分解斜視図である。
図9】本発明に係わるバッテリシステムを第6実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1図4は、本発明に係わるバッテリシステムBSの第1実施形態を示す図である。 以下の説明において、上下や前後等の位置関係を示す語句は、図面上で理解し易くするために用いており、方向性を規定するものではない。また、図面では、便宜上、セルの変位量などを誇張して示している。
【0011】
図1に示すバッテリシステムBSは、ケースK内に複数のセル(二次電池)Cを整列させて配置した構造を有するモジュールMを備えている。図示例のケースKは、上下のプレートP1,P2、前後のプレートP3,P4、及び左右一対のサイドプレートP5,P6を備え、これらのプレートP1~P6を互いに連結した直方体状を成している。各プレートP1~P6は、その材料が限定されるものではないが、代表的には金属である。これにより、ケースKは導電性を有する。
【0012】
セルCは、図2に示すように、樹脂製の外装体で包まれた周知のラミネートセルであって、扁平な直方体状を成している。セルCは、電極や電解液を内包した本体部1の周縁部に、一対の樹脂層の間に金属層を有する三層構造の封止部2を全周にわたって有し、一方の短辺に、封止部2から外部に延出する正極端子(外部端子)3Aを有すると共に、他方の短辺に、同じく封止部2から外部に延出する負極端子(外部端子)3Bを有する。
【0013】
上記のセルCは、図1に示す一対のサイドプレートP5,P6の間に、複数枚を並べて配置すると共に、隣接するセルC,C同士の間、及び列端のセルC,Cと各サイドプレートP5,P6との間に、シート状のクッション材4が介装してある。なお、クッション材4に替えて隙間を設けても良い。
【0014】
上記モジュールMを備えたバッテリシステムBSは、列端に配置したセルC及び同セルCに相対向するケース内面の少なくとも一方側に、セルCの膨張により相手側に接触する導電部材5を備えている。この実施形態では、図1中で左側の列端に配置したセルCと、このセルCに相対向するサイドプレートP5との間において、一方側であるサイドプレートP5のケース内面に導電部材5が設けてある。よって、導電部材5が接触する相手側は、列端のセルCである。
【0015】
導電部材5は、その個数に制限はなく、セルC及びサイドプレートP5の両方に設けても良いが、コストや配線等を考慮して少数にすることが好ましい。また、導電部材5の材料は、とくに限定されないが、アルミや銅などの導電性を有する金属であることが好ましい。さらに、導電部材5は、この実施形態のケースKが導電性を有するので、サイドプレートP5と別体又は一体のいずれでも良い。なお、ケースKが導電性を有していない場合には、導電部材5に配線を接続しても良い。
【0016】
導電部材5は、接触する相手側が、列端のセル(ラミネートセル)Cにおける封止部2、外部端子である正極端子3A及び負極端子3Bのいずれかであり、この実施形態では封止部2である。この封止部2は、一対の樹脂層の間に金属層を配置した三層構造であり、これに対する導電部材5は、円錐や角錐等の尖頭状を成しており、封止部2の樹脂層を貫通して金属層に接触する。
【0017】
この実施形態のバッテリシステムBSでは、導電部材5が、セルCの膨張により相手側に接触するのであるが、とくに、セルCの膨張に伴うサイドプレートP5の変形により相手側である列端のセルCの封止部1に接触する。この場合、ケースKは、セルCが過度に膨張した際、これにより生じた負荷で導電部材5がセルCに近接するように変形し、且つ破断しない強度を確保し得るように強度設計することができる。また、導電部材5が接触する列端のセルCは、導電部材5による本体部1の損傷をより確実に防ぐために、例えば樹脂製のカバー等で本体部1を覆うことも有効である。
【0018】
そして、バッテリシステムBSは、導電部材5と封止部(相手側)2の接触により生じた絶縁抵抗の低下を検出する検出器6を備えている。図示例の検出器6は、図1に示すケースKの前側プレートP3に設けてある。検出器6の検出は、絶縁抵抗の低下又は電気的導通であり、電圧及び電流のどちらを測定しても良い。
【0019】
また、検出器6は、より望ましい実施形態として、絶縁抵抗の低下が一定時間継続した状態、絶縁抵抗の低下が一定頻度を超えた状態、及び複数箇所で絶縁抵抗の低下を検出した状態のうちのいずれかの状態が生じた際に、異常と判定する機能を有する。なお、図1に示す左右両側のサイドプレートP5,P6に導電部材5を夫々配置すれば、複数箇所での絶縁抵抗低下の検出が可能である。
【0020】
上記構成を備えたバッテリシステムBSは、夫々のセルCが充放電を繰り返すと、同セルCが、厚みを増大させるように膨張する。この膨張は全てのセルCで起こり得るので、通常時の膨張変形は、クッション材4若しくは隙間で吸収することができる。
【0021】
そして、上記のバッテリシステムBSは、図3の左右に通常時と異常時を示すように、セルCが過度に膨張すると、膨張に伴って生じた負荷によりサイドプレートP5が変形する。この際、バッテリシステムBSは、サイドプレートP5が中央部を外側に膨出させるように変形し、列端のセルCの封止部2に尖頭状の導電部材5が突き刺さる。
【0022】
これにより、上記のバッテリシステムBSは、導電部材5が封止部2の樹脂層を貫通して内部の金属層に接触し、接触により生じた絶縁抵抗の低下を検出器6で検出する。検出器6の検出結果は、視覚的表示や音響などで外部に知らせることが可能である。
【0023】
このようにして、上記のバッテリシステムBSは、セルCが膨張した際の変位を利用して導電部材5とセルCの封止部(相手側)2とを接触させ、検出器6で絶縁抵抗の低下を検出するので、セルCの経年劣化による過度な膨張によりモジュールMが破損するような事態を未然に阻止し得ると共に、セルの過度な膨張を検知する機能を廉価に得ることができ、製造コストの低減を実現することができる。
【0024】
また、上記のバッテリシステムBSは、セルCの膨張に伴うサイドプレートP5の変形を利用するので、導電部材5と封止部2(相手側)とが接触し易い配置になり、双方を確実に接触させることができる。また、サイドプレートP5は、図4に示すように、中央部の両側にスリットや溝などの変形促進部7を設けることで、規則的に変形させることが可能になり、導電部材5と封止部2との接触をより確実に行うことができる。
【0025】
さらに、上記のバッテリシステムBSは、導電性を有するケースKを採用することで、導電部材5に対する配線が不要になり、部品点数の削減や製造コストのさらなる低減に貢献することができる。
【0026】
さらに、上記のバッテリシステムBSは、セルCが、封止部2及び外部端子(3A,3B)を有するラミネートセルであり、ケース内面に設けた導電部材5に接触する相手側を封止部2及び外部端子(3A,3B)のいずれかにする。これにより、バッテリシステムBSは、検出器6により絶縁抵抗の低下を検出することができる。
【0027】
さらに、上記のバッテリシステムBSは、検出器6が、絶縁抵抗の低下が一定時間継続した状態、絶縁抵抗の低下が一定頻度を超えた状態、及び複数箇所で絶縁抵抗の低下を検出した状態のうちのいずれかの状態が生じた際に、異常と判定する機能を有する。つまり、バッテリシステムBSは、振動や衝撃等の外力により電気的導通が生じた場合、一時的に絶縁抵抗の低下が生じる。そこで、バッテリシステムBSは、一時的な絶縁抵抗の低下を誤検出と見なし、一定の条件を満たした場合に異常と判定することで、検出の信頼性のさらなる向上を実現することができる。
【0028】
図5図9は、本発明に係わるバッテリシステムBSの他の実施形態を説明する図である。以下の各実施形態では、第1実施形態と同一の構成部位に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0029】
<第2実施形態>
図5に示すバッテリシステムBSにおけるセルCは、樹脂製の外装体で包まれたラミネートセルであり、第1実施形態(図1参照)と同様に、サイドプレートP5の内面に導電部材5が設けてある。そして、この実施形態のバッテリシステムBSは、列端のセルCに対して、サイドプレートP5の反対側に、少なくとも封止部2に相対向する支持部材8が配置してある。図示例の支持部材8は、セルCの全面に相対向する。
【0030】
上記のバッテリシステムBSは、セルCが過度に膨張した際、導電部材5がセルCの封止部2を突き刺して封止部2の内部の金属層に接触し、これにより生じた絶縁抵抗低下又は電気的導通を検出器6で検出する。このとき、バッテリシステムBSは、導電部材5が封止部2を突き刺す際に、封止部2が背面側に撓まないように支持部材8で支持する。これにより、バッテリシステムBSは、導電部材5が封止部2を容易に突き刺し、導電部材5と封止部2の内部の金属層との接触をより確実に行うことができる。
【0031】
<第3実施形態>
図6に示すバッテリシステムBSは、セルCが、外装体としての金属製の缶9を備えた缶型セルである。そして、図6の左側に示すバッテリシステムBSは、サイドプレートP5の内面に導電部材5が配置してある。この場合、導電部材5が接触する相手側は、セルCの外装体である金属製の缶9である。また、図6の右側に示すバッテリシステムBSは、セルCに導電部材5が配置してあり、この場合、導電部材5が接触する相手側は、導電性を有するサイドプレートP5である。
【0032】
また、図6に示すバッテリシステムBSにおける導電部材5は、いずれも第1実施形態と同様に尖頭状を成しており、クッション材4に埋没した状態にある。図6中で左図のバッテリシステムBSは、図中に仮想線で示すようにセルCが過度に膨張すると、圧縮されたクッション材4を導電部材5が貫通してセルCの缶(外装体)9に接触する。また、図6中で右図のバッテリシステムBSは、仮想線で示す如くセルCが膨張すると、圧縮されたクッション材4を導電部材5が貫通してサイドプレートP5に接触する。これにより、夫々のバッテリシステムBSは、検出器(図1参照)により、導電部材5と、缶9又はサイドプレートP5との接触により生じた絶縁抵抗の低下又は電気的導通を検出する。
【0033】
上記のバッテリシステムBSは、缶型セルCを用いているので、同セルCの膨張だけで導電部材5と相手側である缶9又はサイドプレートP5を接触させるので、第1実施形態のようにサイドプレートP5を変形させる必要が無くなり、サイドプレートP5ひいてはケースKの機械的強度を充分に確保することができる。
【0034】
<第4実施形態>
図7に示すバッテリシステムBSは、第1実施形態と同等の基本構成を備えると共に、図中で右側に示す列端のセルCに導電部材5が配置してある。よって、導電部材5が接触する相手側は、上記セルCに相対向するサイドプレートP6である。導電部材5は、尖頭状を成しており、セルCの本体部1に配置してある。
【0035】
上記のバッテリシステムBSは、セルCが過度に膨張すると、導電部材5がクッション材4を貫通してサイドプレートP6に接触し、その接触により生じた絶縁抵抗の低下又は電気的導通を検出器6で検出する。
【0036】
上記のバッテリシステムBSは、セルC側に導電部材5を設ける際に、セルCが膨張した際に変形量が大きい本体部1に導電部材5を配置することができ、また、サイドプレートP6を変形させずに導電部材5とサイドプレートP6とを確実に接触させることができるので、サイドプレートP5ひいてはケースKの機械的強度を充分に確保し得る。
【0037】
<第5実施形態>
図8に示すバッテリシステムBSは、モジュールMを複数備え、少なくとも1つのモジュールMが、導電部材及び検出器6を備えている。図示例のバッテリシステムBSは、4つのモジュールMを備えており、図中で右下のモジュールMに導電部材(図示せず)と検出器6が設けてある。
【0038】
上記のバッテリシステムBSでは、全てのモジュールMに導電部材及び検出器6を設けることも当然可能であるが、セルCの劣化には熱が大きく影響する。そこで、バッテリシステムBSは、設置箇所の周囲環境を鑑み、事前実験やシミュレーションを実施することで、バッテリシステムBS中の熱の分布を把握し、劣化によりセルCが膨張しやすい位置のモジュールMを特定することができる。このようにして、導電部材や検出器6の設置数を絞ることによりコストの低減を実現することができる。
【0039】
<第6実施形態>
図9に示すバッテリシステムBSは、自動車Vに搭載してある。自動車Vは、電気自動車であって、金属製のボディ50と、前後左右の車輪51及び前後の車軸52と、駆動源であるモータ53と、モータ53とバッテリシステムBSとの間に配置したインバータ54を備えている。そして、上記の自動車Vは、金属製のボディ50と導電部材(5)とを電気的に導通させた構成である。
【0040】
上記の自動車Vは、バッテリシステムBSからの直流電源をインバータ54で交流変換し、交流電源によってモータ53を駆動して走行する。なお、バッテリシステムBSの充電機構等の図示は省略した。図9は、電気自動車の構成であるが、内燃機関とバッテリシステムを併用したハイブリッド自動車の形態でも同様に実施することができる。
【0041】
バッテリを動力源とする自動車Vは、安全性をより一層高めるため、一般的に、強電バッテリと金属製ボディ50間の絶縁抵抗の低下を検知する機構を有している。そのため、バッテリシステムBSを有する自動車Vは、金属製ボディ50と導電部材(5)を導通させることにより、導電部材5とセルの導電部、若しくは導電部材(5)とモジュールMのケースKとの間の絶縁抵抗のみを検出する検出器を省略することができ、コストのさらなる低減を図ることができる。
【0042】
本発明に係わるバッテリシステムは、その構成が上記各実施形態のみに限定されるものではなく、上記説明中にも記載したように、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
BS バッテリシステム
C セル
K ケース
M モジュール
P5,P6 サイドプレート
V 自動車
5 導電部材
6 検出器
2 封止部
3A 正極端子(外部端子)
3B 負極端子(外部端子)
9 缶
50 金属製ボディ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9