(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104433
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240729BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G1/04 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008631
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】清川 渉
(72)【発明者】
【氏名】阪下 誠
(72)【発明者】
【氏名】桂 志文
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ09
3F022JJ11
3F022MM07
3F022MM08
3F022MM11
(57)【要約】
【課題】無線タグとそれを読み取る無線タグリーダとを利用して保管物品の管理を行うように構成された自動倉庫において、保管される物品を簡易な構成で正確性高く管理できるようにする。
【解決手段】自動倉庫は、収容棚と、入庫物品の入庫処理が行われる入庫部と、搬送装置と、制御部とを備える。物品は、固有の識別情報が記録された無線タグを備える。入庫部は、無線タグを読み取る無線タグリーダを備える。制御部は、入庫処理において、無線タグリーダで入庫物品の無線タグを読み取り、読み取られた識別情報が記録部に既に記録されている他の物品の識別情報と重複しない場合に、読み取られた識別情報を入庫物品の識別情報として記録部に記録する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能な複数の収容部を備える収容棚と、
前記収容棚に入庫される前記物品である入庫物品の入庫処理が行われる入庫部と、
前記入庫部からいずれかの前記収容部への前記入庫物品の搬送を行う搬送装置と、
前記入庫処理及び前記搬送装置の制御を行う制御部と、を備えた自動倉庫であって、
前記物品は、固有の識別情報が記録された無線タグを備え、
前記入庫部は、前記無線タグを読み取る無線タグリーダを備え、
前記入庫処理には、前記無線タグリーダにより、前記入庫物品のそれぞれの前記無線タグに記録された前記識別情報を読み取る読取処理が含まれ、
前記物品のそれぞれの前記識別情報を記録する記録部が設けられ、
前記制御部は、前記入庫処理において、前記読取処理で読み取られた前記識別情報が前記記録部に既に記録されている他の前記物品の前記識別情報である記録済識別情報と重複しないことを条件として、当該読取処理により読み取られた前記識別情報を前記入庫物品の前記識別情報として前記記録部に記録する、自動倉庫。
【請求項2】
前記制御部は、前記入庫処理において、前記読取処理で読み取られた前記識別情報が前記記録済識別情報と重複する場合には、前記入庫処理を中断して異常を報知する、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記収容棚から出庫される前記物品である出庫物品の出庫処理が行われる出庫部をさらに備え、
前記制御部は、前記記録部に記録されていた、前記出庫処理が完了した前記出庫物品についての前記識別情報を無効とする、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記入庫部を複数備え、
複数の前記入庫部には、いずれかの前記収容部との距離が予め定められた特定距離未満である近距離入庫部と、全ての前記収容部からの距離が前記特定距離以上である遠距離入庫部と、が含まれ、
前記制御部は、前記近距離入庫部で行われる前記入庫処理において、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記遠距離入庫部で行われる前記入庫処理では、前記読取処理の後、当該読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報とは重複しないものとみなし、前記読取処理で読み取られた前記識別情報をそのまま前記入庫物品の前記識別情報として前記記録部に記録する、請求項4に記載の自動倉庫。
【請求項6】
前記特定距離が、前記無線タグと前記無線タグリーダとの通信可能距離の最大値より大きい距離に設定されている、請求項4に記載の自動倉庫。
【請求項7】
前記近距離入庫部が、前記収容棚の内部の、少なくとも1つの前記収容部に隣接する領域に配置されている、請求項4に記載の自動倉庫。
【請求項8】
前記入庫部を複数備え、
前記制御部は、予め定められた特定距離内に複数の前記入庫部が存在し、前記特定距離内の複数の前記入庫部のそれぞれで前記入庫処理が同時期に行われる場合、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定してから必要に応じて当該識別情報を前記記録部に記録するまでの期間を互いに異ならせる、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動倉庫。
【請求項9】
前記記録部には、前記収容棚に既に収容されている前記物品の位置を示す位置情報が、当該物品の前記識別情報に関連付けられて記録されており、
前記制御部は、前記入庫処理において、前記入庫部からの距離が予め定められた特定距離未満の位置にある前記物品の前記識別情報を前記記録済識別情報として、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動倉庫。
【請求項10】
前記記録部は、前記収容棚に既に収容されている前記物品の前記識別情報を記録した収容済物品データベースと、情報を一時的に記録するバッファメモリと、を含み、
前記制御部は、
前記読取処理で読み取られた前記識別情報を前記バッファメモリに一時的に記録し、対象の前記入庫物品がいずれかの前記収容部に収容された段階で対応する前記識別情報を前記収容済物品データベースに記録するように構成され、
新たな前記入庫物品の前記入庫処理において、前記収容済物品データベースに記録されている前記識別情報と前記バッファメモリに一時的に記録されている前記識別情報とを合わせたものを前記記録済識別情報として、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容する収容棚と物品の搬送を行う搬送装置とを備えた自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫の一例が、例えば国際公開第2008/047545号(特許文献1)に開示されている。特許文献1の自動倉庫は、収容棚(倉庫ユニット10a,10b)における物品(台車60)のアクセス位置にタグリーダ(情報読取・書込み手段14)が設置されており、このリーダで、物品に付されたタグ(IDタグ等の識別部材15)の情報が読み取られる。そして、この読み取りによって得られた情報に基づき、保管物品の管理を行っている。
【0003】
物品に付されるタグとしては、同時読取が可能で遮蔽物の影響も少ない等の点から、例えば、特許文献1において保管物品に貼設されるものとして言及されている無線タグを利用することができる。
【0004】
しかし、収容棚に多数の物品が保管されている自動倉庫において、読取距離が比較的長い無線タグを利用すると、これから入庫しようとしている物品についての読取処理を行う際に、近くに保管されている物品の無線タグの情報を誤って読み取ってしまうことがある。このような誤読が生じると、正しく識別することができなかった物品が入庫されることになるため、収容棚に保管される物品を正確に管理することができなくなってしまう。誤読が生じにくいようにシールドを設置すること等も考えられるが、そのような対策を施すことは、設備構成の複雑化やコスト増につながるため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、無線タグとそれを読み取る無線タグリーダとを利用して保管物品の管理を行うように構成された自動倉庫において、保管される物品を簡易な構成で正確性高く管理できるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る自動倉庫は、
物品を収容可能な複数の収容部を備える収容棚と、
前記収容棚に入庫される前記物品である入庫物品の入庫処理が行われる入庫部と、
前記入庫部からいずれかの前記収容部への前記入庫物品の搬送を行う搬送装置と、
前記入庫処理及び前記搬送装置の制御を行う制御部と、を備えた自動倉庫であって、
前記物品は、固有の識別情報が記録された無線タグを備え、
前記入庫部は、前記無線タグを読み取る無線タグリーダを備え、
前記入庫処理には、前記無線タグリーダにより、前記入庫物品のそれぞれの前記無線タグに記録された前記識別情報を読み取る読取処理が含まれ、
前記物品のそれぞれの前記識別情報を記録する記録部が設けられ、
前記制御部は、前記入庫処理において、前記読取処理で読み取られた前記識別情報が前記記録部に既に記録されている他の前記物品の前記識別情報である記録済識別情報と重複しないことを条件として、当該読取処理により読み取られた前記識別情報を前記入庫物品の前記識別情報として前記記録部に記録する。
【0008】
この構成によれば、例えば入庫部と収容部との距離が近く、入庫部に配置された無線タグリーダが、入庫物品ではなく収容部に収容された物品の無線タグに記録された識別情報を誤って読み取った場合でも、当該誤った識別情報を入庫物品の識別情報として記録してしまうことを回避できる。すなわち、記録部に既に記録されている記録済識別情報との照合によってフィルタリングするという簡易的な手法で、入庫物品の正しい識別情報を記録部に記録することができる。よって、保管される物品を簡易な構成で正確性高く管理できる自動倉庫を実現できる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図8】物品の入庫時における処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
自動倉庫の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の自動倉庫1は、例えば工場や物流センター等において、物品8の保管及び搬送(搬入及び搬出)を効率的に行うために利用される。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の自動倉庫1は、収容棚2と、入庫部3と、出庫部4と、搬送装置5とを備えている。また、自動倉庫1は、
図5に示すように、制御部6と、記録部7とをさらに備えている。
【0012】
収容棚2は、物品8を収容可能な複数の収容部21を備えている。収容棚2は、複数段複数列に亘る収容部21を備えている。本実施形態では、自動倉庫1は複数(図示の例では2つ)の収容棚2を備えており、これら2つの収容棚2が搬送装置5を間に挟んで向かい合うように配置されている。なお、自動倉庫1に備えられる収容棚2の個数はこれに限定されず、1つだけであっても良いし3つ以上であっても良い。
【0013】
図3及び
図4に示すように、本実施形態の物品8は、パレット81と、このパレット81の上に載置された荷物82とを含む。図示の例では、荷物82は、計4つが縦横各2列に整列する状態でパレット81に載置されている。荷物82は、むき出しの状態であっても良いし、他の容器に収容された状態であっても良い。後者の場合には、収容する容器も含めて荷物82と言う。
【0014】
本実施形態では、物品8には無線タグ9が付されている。無線タグ9は、無線通信によって読み書き可能なタグである。無線タグ9としては、パッシブ型、アクティブ型、及びセミアクティブ型のいずれのタイプを用いても良い。本実施形態では、無線タグ9として、パッシブ型のRFID(Radio Frequency IDentification)を用いている。また、RFIDとしては、例えばUHF帯のRFIDやHF帯のRFID等、各種周波数帯のRFIDを用いることができる。
図6に示すように、無線タグ9には、当該無線タグ9が付された物品8についての固有の識別情報(物品ID)が記録されている。
【0015】
本実施形態では、無線タグ9は、物品8を構成するパレット81及び荷物82(荷物82が複数存在する場合にはそれぞれの荷物82)のそれぞれに付されている。本実施形態では、無線タグ9は、パレット81にはその側面に付されており、荷物82にはその上面に付されている。
【0016】
このような場合には、個々の無線タグ9に記録されているのは、当該無線タグ9が付されたパレット81についての固有の識別情報(パレットID)、又は当該無線タグ9が付された荷物82についての固有の識別情報(荷物ID)である。この場合、物品8についての固有の識別情報(物品ID)は、パレット81についての固有の識別情報(パレットID)で代用しても良いし、パレット81についての固有の識別情報(パレットID)と、その上の各荷物82についての固有の識別情報(荷物ID)との組み合わせとして把握しても良い。
【0017】
以下では、説明の簡略化のため、パレット81についての固有の識別情報(パレットID)で物品8についての固有の識別情報(物品ID)を代用する構成を例として説明するものとする。
【0018】
入庫部3は、収容棚2に入庫される物品8(以下、「入庫物品8L」と言う。)の入庫処理を行うための部位である。
図1及び
図2に示すように、入庫部3は、収容棚2に向けて入庫物品8Lを搬入するための搬入路31を備えている。搬入路31は、直線的に形成されていても良いし、カーブ区間やL字路等を含んで形成されていても良い。搬入路31は、収容棚2の近傍まで延びている。
【0019】
本実施形態では、自動倉庫1は、入庫部3を複数備えており、図示の例では2つの入庫部3を備えている。2つの入庫部3のうちの一方である第1入庫部3Aは、収容棚2の複数の収容部21のうちの1つに接続されている。2つの入庫部3のうちの他方である第2入庫部3Bは、収容棚2の各列の並び方向に隣接する位置まで延びている。第1入庫部3A及び第2入庫部3Bのそれぞれの搬入路31における収容棚2の手前の箇所には、当該搬入路31に沿って搬入されてきた入庫物品8Lがくぐり抜けるゲート33が設置されている。
【0020】
図2に示すように、ゲート33には、無線タグリーダ34が固定されている。無線タグリーダ34は、入庫物品8Lに付されている無線タグ9を読み取る。本実施形態では、無線タグリーダ34は、無線タグ9としてのRFIDを読み取るアンテナである。
【0021】
本実施形態では、無線タグリーダ34は、1つのゲート33あたり、搬入路31を通って搬入されてくる入庫物品8Lの上部及び側方に位置するように複数設けられている。より具体的には、無線タグリーダ34は、1つのゲート33あたり、入庫物品8Lの上部に2台と入庫物品8Lの側方に1台とが位置するように設けられている。上部の2台の無線タグリーダ34は、主に荷物82の上面に付された無線タグ9を読み取る。側方の1台の無線タグリーダ34は、主にパレット81の側面に付された無線タグ9を読み取る。このように、入庫部3で行われる入庫処理には、無線タグリーダ34により、入庫物品8Lのそれぞれの無線タグ9に記録された識別情報を読み取る読取処理が含まれる。
【0022】
ところで、上述したように、本実施形態では、第1入庫部3Aは収容棚2の複数の収容部21のうちの1つに接続されている。このため、第1入庫部3Aの搬入路31の下流側端部付近に設けられたゲート33とそれに隣接する収容部21との距離は非常に近い。これらの間の距離は、予め定められた特定距離未満となっており、本実施形態では、無線タグ9と無線タグリーダ34との通信可能距離の最大値(以下、「通信可能最大距離」と言う。)より大きい距離未満となっている。
【0023】
なお、無線タグ9と無線タグリーダ34との通信可能最大距離は、無線タグ9としてUHF帯のRFIDを用いる場合は例えば5m~10m程度であり、無線タグ9としてHF帯のRFIDを用いる場合は例えば10cm~15cm程度である。特定距離は、これらに所定の余裕分(例えば1%~10%程度)を加えた長さに設定することができる。本実施形態では、第1入庫部3Aが「近距離入庫部」に相当する。
【0024】
また、本実施形態では、第2入庫部3Bは収容棚2の各列の並び方向に隣接する位置まで延びている。第2入庫部3Bの搬入路31の下流側に設けられたゲート33とそこから最も近接した位置にある収容部21との距離は比較的離れている。これらの間の距離は、予め定められた特定距離以上となっており、本実施形態では、無線タグ9と無線タグリーダ34との通信可能最大距離より大きい距離以上となっている。本実施形態では、第2入庫部3Bが「遠距離入庫部」に相当する。
【0025】
出庫部4は、収容棚2から出庫される物品8(出庫物品)の出庫処理を行うための部位である。
図1に示すように、出庫部4は、収容棚2から出庫物品を搬出するための搬出路41を備えている。搬出路41は、直線的に形成されていても良いし、カーブ区間やL字路等を含んで形成されていても良い。搬出路41は、収容棚2の近傍から延びている。
【0026】
本実施形態では、自動倉庫1は、出庫部4を複数備えており、図示の例では2つの出庫部4を備えている。2つの出庫部4のうちの一方である第1出庫部4Aは、収容棚2の複数の収容部21のうちの1つに接続されている。2つの出庫部4のうちの他方である第2出庫部4Bは、収容棚2の各列の並び方向に隣接する位置から延びている。
【0027】
搬送装置5は、入庫部3からいずれかの収容部21への入庫物品8Lの搬送を行うとともに、いずれかの収容部21から出庫部4への物品8(出庫物品)の搬送を行う。本実施形態の搬送装置5は、スタッカークレーンで構成されており、走行台車51とマスト52と昇降台53と移載装置54とを備えている。走行台車51は、一対の収容棚2の間において床面に設置された走行レール上を走行する。マスト52は、走行台車51から2本一組で立設されている。昇降台53は、一対のマスト52に沿って昇降する。移載装置54は、昇降台53に固定されており、物品8を移載する。
【0028】
制御部6は、入庫処理、出庫処理、及び搬送装置5の制御等を行う。
図5に示すように、本実施形態の制御部6は、搬送制御部61と入庫処理部62と出庫処理部63と判定処理部64とを備えている。これらは、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。各機能部61~64は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。また、制御部6は、上位コントローラC、無線タグリーダ34、搬送装置5、報知装置68、及び記録部7と通信可能に接続されている。
【0029】
上位コントローラCは、自動倉庫1を含む設備全体における物品8の保管状況や搬送状況等を統括的に制御する。例えば上位コントローラCは、収容棚2に収容されて保管されている物品8の種別及び個数等、収容棚2に搬入される物品8(入庫物品8L)の種別及び個数等、収容棚2から搬出される物品8(出庫物品)の種別及び個数等を把握している。また、上位コントローラCは、新たに生産されたり、外部から搬入されてきたり、外部へ搬出したりすることによる物品8のストックの変動等も把握している。
【0030】
上位コントローラCは、個々の物品8に付された無線タグ9に記録されている識別情報と、その物品8に関する属性情報(例えば種別、個数、重量、使用期限等)とを関連付けて記憶している。上位コントローラCは、各物品8に付された無線タグ9の識別情報を管理することで、当該識別情報を軸として、各物品8の種別及び個数等を管理する。
【0031】
記録部7は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体をハードウェア構成として備えている。記録部7は、物品8のそれぞれの識別情報を記録する。
図5に示すように、本実施形態の記録部7は、バッファメモリ71と収容済物品データベース(
図5において「収容済物品DB」と表示。)72とを備えている。バッファメモリ71は、物品8のそれぞれの識別情報を一時的に記録する。
図7に示すように、収容済物品データベース72は、収容棚2に既に収容されている物品8の識別情報(物品ID)を記録している。
【0032】
搬送制御部61は、搬送装置5の動作を制御する。搬送制御部61は、入庫部3(第1入庫部3A又は第2入庫部3B)からいずれかの収容部21に入庫物品8Lを搬送するように、走行台車51、昇降台53、及び移載装置54の各動作を制御する。また、搬送制御部61は、いずれかの収容部21から出庫部4(第1出庫部4A又は第2出庫部4B)から物品8を搬送するように、走行台車51、昇降台53、及び移載装置54の各動作を制御する。搬送制御部61は、異なる2つの収容部21どうしの間で物品8を搬送するように、走行台車51、昇降台53、及び移載装置54の各動作を制御しても良い。
【0033】
入庫処理部62は、入庫処理を行う。入庫処理部62は、入庫処理として、入庫物品8Lに係る固有の識別情報を記録部7に記録する処理を行う。また、本実施形態では、入庫処理には、無線タグリーダ34により、入庫物品8Lのそれぞれの無線タグ9に記録された識別情報を読み取る読取処理が含まれる。入庫処理部62は、入庫処理の一環としての読取処理において、無線タグリーダ34で読み取った入庫物品8Lに係る固有の識別情報(物品ID)を、バッファメモリ71に一時的に記録する。なお、バッファメモリ71に一時的に記録された入庫物品8Lの識別情報は、一定条件下、当該入庫物品8Lの目的の収容部21への収容が完了した段階で収容済物品データベース72に記録(追加)される。
【0034】
出庫処理部63は、出庫処理を行う。出庫処理部63は、出庫処理として、収容棚2から搬出される物品8(出庫物品)に係る固有の識別情報を無効とする処理を行う。本実施形態では、出庫処理部63は、出庫物品の識別情報を収容済物品データベース72から削除することにより、当該識別情報を記録部7から消去して無効とする。
【0035】
判定処理部64は、入庫処理においてバッファメモリ71に一時的に記録した入庫物品8Lの識別情報を、収容済物品データベース72に記録するか否かを判定する判定処理を行う。本実施形態では、複数の入庫部3のうちの少なくとも第1入庫部3Aでは、その搬入路31に設けられたゲート33とそれに隣接する収容部21との距離が非常に近い。このため、ゲート33に設けられた無線タグリーダ34で入庫物品8Lの無線タグ9に記録された識別情報を読み取る際に、近傍の収容部21に既に収容されている物品8の識別情報を読み取ってしまう可能性がある。このため、判定処理部64は、無線タグリーダ34で読み取られてバッファメモリ71に一時的に記録された入庫物品8Lの識別情報の真偽を判定する。
【0036】
本実施形態の判定処理部64は、特に、ゲート33とそれに最も近い収容部21との距離が特定距離未満(より具体的には、無線タグ9と無線タグリーダ34との通信可能最大距離より大きい距離未満)となっている第1入庫部3Aで行われる入庫処理において、バッファメモリ71に一時的に記録された入庫物品8Lの識別情報の真偽を判定する。なお、判定処理部64は、ゲート33とそれに最も近い収容部21との距離が特定距離以上である第2入庫部3Bで行われる入庫処理では、上記のような真偽判定を行わない。
【0037】
判定処理部64は、第1入庫部3Aで行われる入庫処理において、読取処理で読み取られた入庫物品8Lの識別情報が、記録部7の収容済物品データベース72に既に記録されている他のいずれかの物品8の識別情報と重複するか否かを判定する。判定処理部64は、読み取られた入庫物品8Lの識別情報と収容済物品データベース72に既に記録されている他の物品8の識別情報とを順次照合し、同一となる組が存在するか否かを判定することによって重複判定を行う。
【0038】
重複判定は、他のいずれかの物品8の識別情報と重複すると判定され、或いは、他のいずれの物品8の識別情報とも重複しないと判定されるまで順次繰り返して行われる。そして、判定処理部64は、重複判定が終了すると、その重複判定の結果の情報を入庫処理部62に通知する。
【0039】
入庫処理部62は、判定処理部64から「重複なし」との情報を受け取った場合には、バッファメモリ71に一時的に記録された入庫物品8Lの識別情報を、真正のものとして、収容済物品データベース72に記録する。なお、入庫処理部62は、入庫物品8Lの目的の収容部21への収容が完了した段階で、入庫物品8Lの識別情報を収容済物品データベース72に記録する。
【0040】
一方、入庫処理部62は、判定処理部64から「重複あり」との情報を受け取った場合には、バッファメモリ71に一時的に記録された入庫物品8Lの識別情報を、誤った情報として、収容済物品データベース72には記録しない。この場合、入庫処理部62は、入庫処理を中断して、報知装置68を通じて異常を報知する。ここで、報知装置68は、例えばモニタやスピーカ等である。入庫処理部62は、報知装置68としてのモニタに、異常が発生した旨を表示し、或いは、報知装置68としてのスピーカから、異常が発生した旨の音声案内(単なる警告音等でも良い)を行う。
【0041】
作業者は、報知装置68からの報知を受けて、無線タグ9の再読取を行う等の措置を行うことができる。再読取後の重複判定において、規定回数以上繰り返して「重複あり」と判定された場合には、入庫処理部62は、例えば報知装置68としてのモニタに点滅表示したり報知装置68としてのスピーカから大音量で音声案内を行ったりする等、報知レベルを上げても良い。
【0042】
また、自動倉庫1に電波暗室が設けられている場合には、異常が報知された場合に、その入庫物品8Lを電波暗室に搬送してから無線タグ9の再読取を行うように構成しても良い。
【0043】
上述したように、判定処理部64は、第2入庫部3Bで行われる入庫処理では重複判定を行わない。第2入庫部3Bでは、ゲート33とそれに最も近い収容部21との距離が特定距離以上(より具体的には、無線タグ9と無線タグリーダ34との通信可能最大距離より大きい距離以上)であるため、誤読が生じる可能性は実質的にゼロである。このため、判定処理部64は、重複判定を行うことなく、「重複なし」とみなして、その旨の情報を入庫処理部62に通知する。「重複なし」との情報を受け取った後の入庫処理部62の処理に関しては上述した通りである。
【0044】
以下、物品8の入庫時における処理の流れを、
図8のフローチャートを参照して説明する。まず、入庫物品8Lが入庫部3のゲート33に到達すると(ステップ#01:Yes)、入庫処理部62により読取処理が実行される(ステップ#02)。そして、その読取処理が行われたゲート33を有する入庫部3が、近距離入庫部としての第1入庫部3Aであるか否かが判定される(ステップ#03)。近距離入庫部(第1入庫部3A)であった場合には(ステップ#03:Yes)、判定処理部64により、読取処理で読み取られた入庫物品8Lの識別情報(
図8において「読取ID」と表示。)と、収容済物品データベース72に既に記録されている他の物品8の識別情報(
図8において「既存ID」と表示。)と重複するか否かが判定される(ステップ#04)。
【0045】
上記判定処理において、「重複なし」と判定された場合には(ステップ#04:Yes)、入庫処理部62により、先の読取処理で読み取られた入庫物品8Lの識別情報が、入庫完了後に収容済物品データベース72に記録される(ステップ#05)。一方、「重複あり」と判定された場合には(ステップ#04:No)、報知装置68から異常が報知される(ステップ#06)。
【0046】
なお、先の読取処理が行われたゲート33を有する入庫部3が、遠距離入庫部としての第2入庫部3Bであった場合には(ステップ#03:No)、ステップ#04の判定処理を行うことなく、そのまま、読み取られた入庫物品8Lの識別情報が入庫完了後に収容済物品データベース72に記録される(ステップ#05)。
【0047】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、出庫処理において、収容棚2から搬出される物品8(出庫物品)に係る固有の識別情報を収容済物品データベース72から削除する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば出庫物品の識別情報自体は収容済物品データベース72に残しつつ、無効フラグを立てる等の処理によって出庫物品の識別情報を無効化しても良い。
【0048】
(2)上記の実施形態では、近距離入庫部としての第1入庫部3Aで行われる入庫処理においてのみ重複判定を行い、遠距離入庫部としての第2入庫部3Bで行われる入庫処理では重複判定を行わない構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、近距離入庫部であるか遠距離入庫部であるかを問わずに全ての入庫部3で行われる入庫処理において重複判定を行っても良い。
【0049】
(3)上記の実施形態では、近距離入庫部と遠距離入庫部との切り分けのための特定距離が、無線タグ9と無線タグリーダ34との通信可能最大距離より大きい距離に設定されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、特定距離が、例えば通信可能最大距離に設定されていても良いし、多少であれば通信可能最大距離未満の距離に設定されていても良い。
【0050】
(4)上記の実施形態では、近距離入庫部と遠距離入庫部とが、予め定められた特定距離との大小関係に基づいて切り分けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、収容棚2が有する収容部21との大雑把な位置関係に基づいて近距離入庫部と遠距離入庫部とを切り分けても良い。例えば、搬入路31が接続されている収容部21が、幅方向の両側と上下方向のいずれかとの計3箇所で他の収容部21に隣接している場合に、その搬入路31を有する入庫部3を近距離入庫部とし、それ以外の入庫部3を遠距離入庫部としても良い。或いは、搬入路31が接続されている収容部21が、上下左右のいずれか2箇所で他の収容部21に隣接している場合に、その搬入路31を有する入庫部3を近距離入庫部とし、それ以外の入庫部3を遠距離入庫部としても良い。或いは、搬入路31が接続されている収容部21が、上下左右のいずれか1箇所でのみ他の収容部21に隣接している場合に、その搬入路31を有する入庫部3を近距離入庫部とし、それ以外の入庫部3を遠距離入庫部としても良い。すなわち、収容棚2の内部の、少なくとも1つの収容部21に隣接する領域に配置されている搬入路31を有する入庫部3を、近距離入庫部としても良い。
【0051】
(5)上記の実施形態では、収容済物品データベース72に記録されている全ての物品8の識別情報を対象として重複判定を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、収容済物品データベース72に記録されている物品8の識別情報のうち、入庫部3(ゲート33)の近傍にある物品8だけを対象として、重複判定を行っても良い。例えば、入庫部3からの距離が予め定められた特定距離未満の位置にある物品8だけを対象として、重複判定を行っても良い。この場合の特定距離は、上記の実施形態と同様に設定することができる。このような構成を採用する場合には、記録部7(収容済物品データベース72)には、収容棚2に既に収容されている物品8の位置を示す位置情報が、当該物品8の識別情報に関連付けられて記録されていると良い。
【0052】
(6)上記の実施形態では、既に収容済物品データベース72に記録されている物品8の識別情報だけを対象として重複判定を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、まもなく入庫される予定の物品8の識別情報も含めて重複判定を行っても良い。このようにするには、収容済物品データベース72に記録されている識別情報と、バッファメモリ71に一時的に記録されている識別情報とを合わせたものを対象として、重複判定を行えば良い。
【0053】
(7)上記の実施形態では、複数の入庫部3どうしが特定距離を遥かに超えて大きく離れている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、自動倉庫1の設置環境次第では、予め定められた特定距離内に複数の入庫部3が近接して設けられても良い。このような構成では、近接する入庫部3のそれぞれで入庫処理が同時期に行われる場合、それぞれの入庫物品8Lの無線タグ9に記録された識別情報(物品ID)が、相手側の入庫部3に設けられた無線タグリーダ34で読み取られる可能性がある。そこで、そのような場合には、読取処理で読み取られた識別情報と収容済物品データベース72に記録されている物品8の識別情報との重複判定を行ってから、必要に応じて(すなわち、非重複の場合に)当該識別情報を収容済物品データベース72に記録するまでの期間の範囲を互いに異ならせる(すなわち、1つの期間が終わった後に別の期間が始まるように構成する)ことが好ましい。
【0054】
(8)上記の実施形態では、重複判定において「重複なし」と判定された場合に、読取処理で読み取られた入庫物品8Lの識別情報を収容済物品データベース72に記録する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、「重複なし」と判定されたことに加え、他の条件を満たした場合に初めて入庫物品8Lの識別情報を収容済物品データベース72に記録するように構成されても良い。この場合の「他の条件」としては、例えば「予め定められた規定重量以下であること」や「予め定められた規定サイズ以下であること」等が挙げられる。
【0055】
(9)上記の実施形態では、自動倉庫1を制御する制御システムが、互いに通信可能に接続された上位コントローラCと制御部6と記録部7とを備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば自動倉庫1に備えられる制御装置に、上位コントローラC、制御部6、及び記録部7の一部又は全部の機能が一体的に備わっていても良い。或いは、上位コントローラC、制御部6、及び記録部7の少なくとも一部が、さらに細分化されて互いに通信可能に接続されていても良い。
【0056】
(10)上記の実施形態では、入庫処理として、入庫物品8Lの識別情報を読み取る処理や、入庫物品8Lの識別情報を収容済物品データベース72に記録する処理を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、入庫処理として、例えば入庫物品8Lの重量を計測する処理(重量計測処理)や、入庫物品8Lの状態を確認する処理(検品処理)等をさらに行っても良い。
【0057】
(11)上記の実施形態では、出庫処理として、収容棚2から搬出される物品8(出庫物品)の識別情報を収容済物品データベース72から削除する処理を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、出庫処理として、例えば出庫物品の識別情報を読み取る処理(第2読取処理)や、出庫物品の重量を計測する処理(第2重量計測処理)、出庫物品の状態を確認する処理(第2検品処理)等をさらに行っても良い。
【0058】
(12)上記の実施形態では、無線タグ9が物品8を構成するパレット81及び複数の荷物82のそれぞれに付されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、無線タグ9が物品8の一部だけ(例えばパレット81だけ、いずれかの荷物82だけ等)に代表して付されていても良い。
【0059】
(13)上記の実施形態では、入庫部3と出庫部4とが独立して設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、入庫部3と出庫部4とが兼用されても良い。上記の実施形態のように2つの入庫部と2つの出庫部4とが設けられる場合には、第1入庫部3Aと第1出庫部4Aとの組、及び第2入庫部3Bと第2出庫部4Bとの組の少なくとも一方が兼用されても良い。
【0060】
(14)上記の実施形態では、搬送装置5がスタッカークレーンで構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬送装置5としては、少なくとも物品8を搬送する装置であれば、例えばコンベヤ、リフタ、及びシャトル等を組み合わせたものを用いても良い。或いは、搬送装置5として、例えば有軌道の高速仕分け台車や無人搬送車等の各種搬送車を用いても良い。
【0061】
(15)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0062】
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係る自動倉庫は、好適には、以下の各構成を備える。
【0063】
物品を収容可能な複数の収容部を備える収容棚と、
前記収容棚に入庫される前記物品である入庫物品の入庫処理が行われる入庫部と、
前記入庫部からいずれかの前記収容部への前記入庫物品の搬送を行う搬送装置と、
前記入庫処理及び前記搬送装置の制御を行う制御部と、を備えた自動倉庫であって、
前記物品は、固有の識別情報が記録された無線タグを備え、
前記入庫部は、前記無線タグを読み取る無線タグリーダを備え、
前記入庫処理には、前記無線タグリーダにより、前記入庫物品のそれぞれの前記無線タグに記録された前記識別情報を読み取る読取処理が含まれ、
前記物品のそれぞれの前記識別情報を記録する記録部が設けられ、
前記制御部は、前記入庫処理において、前記読取処理で読み取られた前記識別情報が前記記録部に既に記録されている他の前記物品の前記識別情報である記録済識別情報と重複しないことを条件として、当該読取処理により読み取られた前記識別情報を前記入庫物品の前記識別情報として前記記録部に記録する。
【0064】
この構成によれば、例えば入庫部と収容部との距離が近く、入庫部に配置された無線タグリーダが、入庫物品ではなく収容部に収容された物品の無線タグに記録された識別情報を誤って読み取った場合でも、当該誤った識別情報を入庫物品の識別情報として記録してしまうことを回避できる。すなわち、記録部に既に記録されている記録済識別情報との照合によってフィルタリングするという簡易的な手法で、入庫物品の正しい識別情報を記録部に記録することができる。よって、保管される物品を簡易な構成で正確性高く管理できる自動倉庫を実現できる。
【0065】
一態様として、
前記制御部は、前記入庫処理において、前記読取処理で読み取られた前記識別情報が前記記録済識別情報と重複する場合には、前記入庫処理を中断して異常を報知することが好ましい。
【0066】
この構成によれば、無線タグリーダが入庫物品ではなく収容部に収容された物品の無線タグに記録された識別情報を誤って読み取った場合に、作業者に対して誤読の発生を気付かせ、誤りの是正を促すことができる。よって、保管される物品をより正確に管理することができる。
【0067】
一態様として、
前記収容棚から出庫される前記物品である出庫物品の出庫処理が行われる出庫部をさらに備え、
前記制御部は、前記記録部に記録されていた、前記出庫処理が完了した前記出庫物品についての前記識別情報を無効とすることが好ましい。
【0068】
この構成によれば、過去に出庫した物品と同じ識別情報が付された物品が再度入庫する場合に、実際には正しく読取処理が行われたにもかかわらず誤読が生じたと誤って判定されてしまうことを回避できる。
【0069】
一態様として、
前記入庫部を複数備え、
複数の前記入庫部には、いずれかの前記収容部との距離が予め定められた特定距離未満である近距離入庫部と、全ての前記収容部からの距離が前記特定距離以上である遠距離入庫部と、が含まれ、
前記制御部は、前記近距離入庫部で行われる前記入庫処理において、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定することが好ましい。
【0070】
この構成によれば、いずれかの収容部との距離が近く誤読が生じる可能性が相対的に高い近距離入庫部で行われる入庫処理において、誤った識別情報を入庫物品の識別情報として記録してしまうことを的確に回避できる。
【0071】
一態様として、
前記制御部は、前記遠距離入庫部で行われる前記入庫処理では、前記読取処理の後、当該読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報とは重複しないものとみなし、前記読取処理で読み取られた前記識別情報をそのまま前記入庫物品の前記識別情報として前記記録部に記録することが好ましい。
【0072】
この構成によれば、いずれかの収容部との距離が遠く誤読が生じる可能性が相対的に低い遠距離入庫部で行われる入庫処理では、読取処理で読み取られた識別情報をそのまま記録することで、入庫物品の識別情報の正確性をほとんど損なうことなく、演算に係る処理負荷の軽減を図ることができる。
【0073】
一態様として、
前記特定距離が、前記無線タグと前記無線タグリーダとの通信可能距離の最大値より大きい距離に設定されていることが好ましい。
【0074】
この構成によれば、いずれかの入庫部で入庫処理が行われる場合に、読み取られた識別情報と記録済識別情報との重複の有無を判定してから記録するか否かの設定を、適切なものとすることができる。
【0075】
一態様として、
前記近距離入庫部が、前記収容棚の内部の、少なくとも1つの前記収容部に隣接する領域に配置されていることが好ましい。
【0076】
この構成によれば、少なくとも1つの収容部に隣接する領域に配置されており誤読が生じる可能性が相対的に高い近距離入庫部で行われる入庫処理において、誤った識別情報を入庫物品の識別情報として記録してしまうことを的確に回避できる。
【0077】
一態様として、
前記入庫部を複数備え、
前記制御部は、予め定められた特定距離内に複数の前記入庫部が存在し、前記特定距離内の複数の前記入庫部のそれぞれで前記入庫処理が同時期に行われる場合、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定してから必要に応じて当該識別情報を前記記録部に記録するまでの期間を互いに異ならせることが好ましい。
【0078】
この構成によれば、特定距離内の複数の入庫部での同時期の読取処理において仮に少なくとも1つの入庫部での誤読によって同一の識別情報を同時に読み取ってしまった場合でも、先の判定結果を後の判定のために利用することができる。よって、そのような場合でも、誤った識別情報を入庫物品の識別情報として記録してしまうことを回避できる。
【0079】
一態様として、
前記記録部には、前記収容棚に既に収容されている前記物品の位置を示す位置情報が、当該物品の前記識別情報に関連付けられて記録されており、
前記制御部は、前記入庫処理において、前記入庫部からの距離が予め定められた特定距離未満の位置にある前記物品の前記識別情報を前記記録済識別情報として、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定することが好ましい。
【0080】
この構成によれば、記録済識別情報のうち、読み取られた識別情報との重複の有無を判定すべき対象を、入庫部からの距離が特定距離未満の位置にある物品の識別情報に限定することにより、演算に係る処理負荷の軽減を図ることができる。
【0081】
一態様として、
前記記録部は、前記収容棚に既に収容されている前記物品の前記識別情報を記録した収容済物品データベースと、情報を一時的に記録するバッファメモリと、を含み、
前記制御部は、
前記読取処理で読み取られた前記識別情報を前記バッファメモリに一時的に記録し、対象の前記入庫物品がいずれかの前記収容部に収容された段階で対応する前記識別情報を前記収容済物品データベースに記録するように構成され、
新たな前記入庫物品の前記入庫処理において、前記収容済物品データベースに記録されている前記識別情報と前記バッファメモリに一時的に記録されている前記識別情報とを合わせたものを前記記録済識別情報として、前記読取処理で読み取られた前記識別情報と前記記録済識別情報との重複の有無を判定することが好ましい。
【0082】
この構成によれば、読取処理を含む入庫処理後にいずれかの収容部に完全に収容される前の搬送中の物品の識別情報も加えて、別の入庫物品について読み取られた識別情報との重複の有無を判定すべき対象とすることで、誤った識別情報を入庫物品の識別情報として記録してしまう可能性をさらに低減することができる。
【0083】
本開示に係る自動倉庫は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
【符号の説明】
【0084】
1 自動倉庫
2 収容棚
3 入庫部
3A 第1入庫部(近距離入庫部)
3B 第2入庫部(遠距離入庫部)
4 出庫部
5 搬送装置
6 制御部
7 記録部
8 物品
8L 入庫物品
9 無線タグ
21 収容部
34 無線タグリーダ
68 報知装置
71 バッファメモリ
72 収容済物品データベース
81 パレット
82 荷物