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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104438
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ユニットクーラ
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20240729BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
F25D21/14 Z
F24F13/22 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008639
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】507408947
【氏名又は名称】株式会社マキシス工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薄 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 弘一
(72)【発明者】
【氏名】進藤 保徳
(72)【発明者】
【氏名】田丸 雅貴
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048BA01
3L048CA01
3L048CB02
3L048DA02
3L048FA01
3L048GA02
(57)【要約】
【課題】冷風到達能力を高めつつも、外部への水滴の吹き出しを抑制できるユニットクーラを提供する。
【解決手段】ユニットクーラは、空気が通過する筐体と、前記筐体内に空気を導入するファンを備えたファン装置と、前記筐体内に配置された熱交換器と、前記熱交換器を通過した空気が当たる位置に配置され、流れ方向を上方に変位させるガイド面を備えたガイド板と、を有する。これにより、冷風到達能力を高めつつも、外部への水滴の吹き出しを抑制できるユニットクーラを提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が通過する筐体と、
前記筐体内に空気を導入するファンを備えたファン装置と、
前記筐体内に配置された熱交換器と、
前記熱交換器を通過した空気が当たる位置に配置され、流れ方向下流側を上方に変位させるガイド面を備えたガイド板と、を有する、
ことを特徴とするユニットクーラ。
【請求項2】
水平面に対する前記ガイド面の傾斜角度は一様である、
ことを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項3】
前記ガイド面は、上側面、下側面、及び該上側面と該下側面の中間に位置する中間面を有し、水平面に対する前記中間面の傾斜角度は、前記上側面と前記下側面の傾斜角度より小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項4】
前記ガイド面の下縁は、前記熱交換器のフィンに接している、
ことを特徴とする請求項3に記載のユニットクーラ。
【請求項5】
前記ガイド板を複数有しており、最下方に位置する前記ガイド板は、前記筐体のドレーンパン内まで延在している、
ことを特徴とする請求項3に記載のユニットクーラ。
【請求項6】
前記ファン装置は、空気の流れ方向において前記熱交換器の上流側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項7】
前記ファン装置は、空気の流れ方向において前記熱交換器の下流側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項8】
前記ファン装置のファンの回転軸が鉛直方向を向いており、前記ファンにより吸い込まれた空気が前記筐体の頂壁に当たったのち、前記熱交換器に向かう、
ことを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項9】
前記ユニットクーラは、外部温度がセ氏0度以上の環境で使用される、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のユニットクーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットクーラは、例えば特許文献1に示すように、筐体外部から取り入れた外気を筐体内部に配置されたコイル(熱交換器)を介して冷却し、冷却された空気を大型の冷蔵庫や冷凍庫内に供給することで庫内温度を下げる機能を有する。特許文献1のユニットクーラに用いられるシャッタは、ファンユニット側に開閉するように構成されており、ファンユニットの送風機が駆動されて筐体の内部から外部へ空気が排出されるときは、その空気の圧力により開放位置に回動し、送風機の駆動が停止されると自重により下がって閉鎖位置に戻るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-54201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客におけるユニットクーラの選定基準として、冷却能力と風量に加え、近年では冷風到達能力も望まれるようになってきた。冷風到達能力とは、例えばユニットクーラからの風を風速計で測定し、基準値を超える風が到達する最遠位置とユニットクーラとの距離により決定される。冷風到達能力が高ければ、庫内におけるユニットクーラの数を減少させることができ、冷蔵庫や冷凍庫のイニシャルコスト削減に貢献する。
【0005】
ここで、冷風到達能力を高めるには、ユニットクーラの送風能力を高めることが一案である。しかしながら、ユニットクーラの送風能力は、単にファンの回転数を増大させるだけでは足りない。熱交換器を通過した空気は、ユニットクーラ周囲の空気よりも密度が高いため、ユニットクーラを通過した後に下降する傾向があり、それにより冷風到達能力が制限されるからである。
【0006】
また、ユニットクーラの送風能力を高めることにより、別な問題が生じる。例えば冷蔵庫に用いるユニットクーラは、セ氏0度以上の庫内環境で使用されることが多い。そのため、熱交換器を通過する際に空気に含まれている水分が結露し水滴となって、熱交換器のフィンなどに付着することとなる。したがって、ユニットクーラの送風能力を高めた場合、フィンに付着した水滴が風圧により飛散して、ユニットクーラから吹き出される恐れがある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、冷風到達能力を高めつつも、外部への水滴の吹き出しを抑制できるユニットクーラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によるユニットクーラは、
空気が通過する筐体と、
前記筐体内に空気を導入するファンを備えたファン装置と、
前記筐体内に配置された熱交換器と、
前記熱交換器を通過した空気が当たる位置に配置され、流れ方向下流側を上方に変位させるガイド面を備えたガイド板と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷風到達能力を高めつつも、外部への水滴の吹き出しを抑制できるユニットクーラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態にかかるユニットクーラの概略を示す縦断面図である。
図2図2は、ガイド板を長手方向に沿って見た図である。
図3図3は、第2の実施形態にかかるユニットクーラの概略を示す縦断面図である。
図4図4は、遮蔽板付きガイド板を長手方向に沿って見た図である。
図5図5は、第3の実施形態にかかるユニットクーラの概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかるユニットクーラ10の概略を示す縦断面図である。ここでは、ユニットクーラ10が、庫内温度がセ氏0度以上の冷凍庫で使用されるものとする。また、明細書中、「下方」とは重力方向下方をいい、「上方」とは重力方向上方をいう。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のユニットクーラ10は、内部に空間を形成する筐体12と、筐体12の内部に配置される熱交換器20と、筐体12に取り付けられる複数の(ここでは4つの)ガイド板14と、筐体12に取り付けられるファン装置30と、を備えている。本実施形態及び第2の実施形態にて、「フロント側」とは外部から空気が吸引される側(空気流れ方向上流側)をいい、「リヤ側」とは空気が外部へと吹き出される側(空気流れ方向下流側)いう。
【0013】
筐体12内に支持される熱交換器20は、図1において簡略図示されているが、内部を冷媒が通過する配管であるコイルと、コイルの周囲に接合され図1で紙面に平行に延在する多数の矩形薄板状のフィンとからなる。熱交換器20は、側壁12bの前後方向中心よりリヤ側に配置されると好ましい。
【0014】
筐体12は例えば角枠形状を有しており、冷蔵庫の天井CLに取り付けられた頂壁12aと、頂壁12aに上端を接合した一対(図1では一方のみ図示)の側壁12bと、両側壁12bの下端に配置されたドレーンパン12cとを備える。ドレーンパン12cの周囲は断熱材により覆われると好ましい。
【0015】
頂壁12aと、側壁12bと、ドレーンパン12cの一端側(図1で右側)には、通風用の開口を備えたフロント側パネル12dが接合され、フロント側パネル12dには、フレーム12eを介して、ファン装置30が取り付けられている。一方、頂壁12aと、側壁12bと、ドレーンパン12cにより囲われる他端側(図1で左側)の空間は、ガイド板14を除いて開放している。
【0016】
ファン装置30は、フレーム12eに取り付けられたモータ31と、モータ31により回転可能なファン32とからなる。本実施形態では、ファン装置30が、熱交換器20の上流側であって筐体12の外部に配置されているため、電気的端子や配線などの絶縁が容易になる。
【0017】
側壁12bの他端(図1で左端)近傍に、上下方向に並ぶようにして、ガイド板14の両端が取り付けられている。
【0018】
図2は、ガイド板14を単体で長手方向に見た図である。ガイド板14は、細長い金属製の板材を、プレス加工するなどによって形成される。ガイド板14は、主板部14aと、主板部14aの上縁から折れ曲がって延在する上板部14bと、主板部14aの下縁から折れ曲がって延在する下板部14cと、主板部14aの長手方向両端を直交する方向にそれぞれ折り曲げた一対の端縁部14dとから連設される。矩形状の端縁部14dには、2つの貫通孔14eが形成されている。主板部14aの上面が中間面を形成し、上板部14bの上面が上側面を構成し、下板部14cの上面が下側面を構成し、上側面、下側面、及び上側面と下側面の中間に位置する中間面によりガイド面を構成する。
【0019】
図1に示すように、ボルトBTを貫通孔14eに挿通し、さらに側壁12bに形成した不図示の貫通孔に挿通し、不図示のナットに螺合させて締結することで、各ガイド板14は、両側壁12bに対して掛け渡されるように、上下方向に等間隔で取り付けられると好ましいが、不等間隔で取り付けてもよい。ガイド板14の上下縁は水平に配置されることが望ましい。このとき、ガイド板14の下板部14cの下縁が、熱交換器20のフィンの縁に接している。
【0020】
なお、図1、2の紙面に対して垂直方向にガイド板14の長手方向が一致するように配置されているため、図1、2ではガイド板14の板厚が看取される。ガイド板14の両端側に形成された端縁部14d、14dが、それぞれ両側壁12b、12bに面接触するようにして締結されている。
【0021】
側壁12bに取り付けた状態で、図2を参照して、水平面HPに対して、ガイド板14の主板部14aの傾斜角はθ1であり、上板部14bの傾斜角はθ2であり、下板部14cの傾斜角はθ3であるとき、90°>θ2、θ3>θ1>0°の関係を有する。すなわち、上板部14b、主板部14a、及び下板部14cの上面は、流れ方向下流側を(図2で左側)上方に変位させるように傾いている。ガイド板14の面積、傾斜角度θ1、θ2、θ3等については、ユニットクーラ10の仕様に応じて変更できる。なお、主板部14aの長手方向に直交する方向の幅は、上板部14b及び下板部14cの長手方向に直交する方向の幅の4倍以上であると好ましいが、それに限られない。
【0022】
ただし、以上の実施の形態にかかわらず、上板部14b、主板部14a、及び下板部14cの上面(これらを総合してガイド面とする)の傾斜角を一様(θ2=θ1=θ3)としてもよい、かかる場合、上板部14b、主板部14a、及び下板部14cにより単一の平板を形成することとなる。
【0023】
本実施形態においては、図1に示すように、ドレーンパン12cが、筐体12のリヤ側(図1で左側)に延長された延長部12fを有する。熱交換器20の下方を通過する空気が、ドレーンパン内の水滴を跳ね上げることがあり、それを延長部12fで捕獲することができる。空気流れ方向下流まで延長された延長部12fにより、熱交換器20の下方側の水滴が風圧で飛ばされた場合でも捕獲できるため、本実施形態では、熱交換器20の下方側にガイド板14を設けていない。延長部12fを除くドレーンパン12cの底面の高さは、延長部12fの底面の高さより低いと好ましい。
【0024】
(ユニットクーラの動作)
ユニットクーラ10において、熱交換器20の内部を冷却された冷媒が通過した状態で、モータ31を駆動させるとファン32が回転し、図1の矢印Aで流れを示すようにユニットクーラ10のフロント側から空気が吸引され、フロント側パネル12dの通風用の開口を通って、矢印Bで流れを示すようにユニットクーラ10内に進入する。ファン32と熱交換器20との間に比較的大きな空間があることで、ユニットクーラ10内に進入した空気は分散され、均等な風速分布に近づきつつ熱交換器20に進入する。さらに空気は、熱交換器20のフィンを通過することにより冷却され、ガイド板14を通過した後、矢印Cで流れを示すようにユニットクーラ10のリヤ側へと吹き出される。
【0025】
ここで、熱交換器20により冷却された空気は、周囲の空気よりも密度が高いため、下降気流を形成することが多い。しかしながら本実施形態によれば、熱交換器20で冷却され略水平方向に流れてきた空気がガイド板14に当たった後に、傾斜角θ1>0°である主板部14aにより主としてガイドされることにより上向きに向けられる(向きを変更される)。このため、ユニットクーラ10から吹き出された直後の状態では下降気流とはならず、上向きの気流を形成することとなり、それにより冷風到達距離を増大させることができる。本発明者らの検討結果によれば、ガイド板14を設けない場合と比較すると、ガイド板14を設けることにより、冷風到達距離が2倍以上長くなることが確認されている。
【0026】
一方、ユニットクーラ10が設置された冷蔵庫内の温度はセ氏0度以上であるため、フィンを通過する間に空気中の水分が冷却されて結露し、フィンに水滴が付着する。ファン32の回転速度が高いと、風圧でフィンから剥離した水滴が下流側へと飛散する恐れがある。
【0027】
フィンから剥離した水滴には風圧と重力が作用するため、図1に点線で示すように、水滴は放物線を描いて熱交換器20から下流側に落下する。本実施形態によれば、熱交換器20の下流側にガイド板14を配置したので、落下した水滴はガイド板14の上面で捕獲される。特に、上板部14bの傾斜角度θ2が、主板部14aの傾斜角度θ1よりも大きいため、飛散した水滴を捕獲しやすくなっている。
【0028】
上板部14b及び主板部14aで捕獲された水滴は、重力に従い下板部14cへと流れ落ちる。下板部14cの傾斜角度θ3が、主板部14aの傾斜角度θ1よりも大きいため、ガイド板14上での水滴の移動はスムーズに行われる。また、下板部14cの下縁がフィンに接しているため、下板部14cの下縁に到達した水滴は、フィンを伝わって下方に移動し、ドレーンパン12cへと落下する。ドレーンパン12cに貯留された水は、不図示の排水口から外部へと排出される。
【0029】
上述したように、ドレーンパン12cに延長部12fを設けることで、熱交換器20の下方側の水滴は、ガイド板14がない状態で風圧により飛ばされても延長部12fで捕獲でき、同様に不図示の排水口から外部へと排出される。ただし、熱交換器20の下方側にガイド板14を設けてもよい。
【0030】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態にかかるユニットクーラ10Aの概略を示す縦断面図である。
【0031】
本実施の形態のユニットクーラ10Aが、上述のユニットクーラ10に対して異なる点は、主としてファン装置30の取付位置、ドレーンパン12cが延長部を有していない点、及び最下方のガイド板14Aの形状である。それ以外の構成については、第1の実施形態と共通するため重複説明を省略する。
【0032】
より具体的には、ユニットクーラ10Aは、フロント側パネルの代わりにリヤ側パネル12Adが、頂壁12a、側壁12b、ドレーンパン12cのリヤ側(図3で左側)に接合され、リヤ側パネル12Adには、フレーム12eを介して、ファン装置30が熱交換器20の下流側に取り付けられている。一方、頂壁12aと、側壁12bと、ドレーンパン12cにより囲われるフロント側(図3で右側)の空間は開放している。
【0033】
熱交換器20は、側壁12bの前後方向の中心位置よりフロント側(空気流れ方向上流側)に配置される。ファン32により筐体12A内の空気を吸引する構造上、熱交換器20を通過する空気が均一となりやすいため、熱交換器20とファン装置30との間隔を第1の実施形態より狭くできる。したがって、本実施形態のユニットクーラ10Aは、空気流れ方向の寸法を小さく抑えることができ、小型化が可能である。
【0034】
本実施形態でも、最下方のガイド板14Aを除く、ガイド板14の構成は、第1の実施形態と同様である。このため、ユニットクーラ10Aの稼働時において、ガイド板14により冷風到達距離を延ばすとともに、熱交換器20のフィンに付着した水滴をガイド板14により捕獲して、フィンを介してドレーンパン12cに流すことができる。
【0035】
図4は、最下方のガイド板14Aを長手方向から見た図である。ガイド板14Aは、下板部14Acの形状と、端板14Adの貫通孔14Aeが長孔形状であることのみが、図2に示すガイド板14と異なっている。より具体的には、遮蔽板として機能する下板部14Acの長手方向に直交する幅方向の長さが、上述した実施形態のものより延長されている。下板部14Acの該幅は、例えば主板部14aの幅より長寸であると好ましい。また、端板14Adの一方の貫通孔14Aeが、挿通されるボルトBTとの相対位置を変更可能な長孔となっている。他方の貫通孔14eは、第1の実施形態と同様にボルトBTに嵌合可能な円孔である。
【0036】
ユニットクーラ10Aにおいて、熱交換器20の内部を冷却された冷媒が通過した状態で、モータ31を駆動させるとファン32が回転し、図3の矢印Dで流れを示すようにユニットクーラ10のフロント側から空気が吸引され、熱交換器20に進入する。熱交換器20のフィンを通過することにより冷却された空気は、ガイド板14を通過した後、矢印Eで流れを示すように上向きに向けられ、ファン装置30に吸引されて、矢印Fで流れを示すようにユニットクーラ10のリヤ側へと吹き出される。
【0037】
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、ガイド板14の作用により冷風到達距離を確保しつつ、点線で示すように飛散した水滴を確保できる。
【0038】
一方、本実施形態においては、図3に示すように、最下方のガイド板14Aの下板部14Acが、熱交換器20の下端からドレーンパン12c内へ(ドレーンパン12cの上端より下方へ)と延在している。これにより、フィンを伝わって落下する水滴が、ドレーンパン12cに落下して跳ね上がった時に、これを下板部14Acにより捕獲して、再びドレーンパン12cへと戻すことができる。
【0039】
また本実施形態によれば、貫通孔14Aeを長孔としているため、図4に一点鎖線で示すボルトBTの締結を緩めることで、他方の貫通孔14e回りにガイド板14Aを長孔の範囲内で回動させることができ、それによりガイド板14Aの傾斜角を調整できる。なお、このような長孔の貫通孔14Aeは、本実施形態及び他の実施形態において、他のガイド板14に配設することにより、ガイド板14の角度調整が可能になる。それ以外にも、端板に形成する貫通孔を単一とし、単一のボルトを用いてガイド板を側壁に締結する手法を採用することにより、ガイド板の傾斜角を任意に設定できる。
【0040】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して、第3の実施形態について説明する。
図5は、第3の実施形態にかかるユニットクーラ10Bの概略を示す縦断面図である。
【0041】
本実施の形態のユニットクーラ10Bが、上述のユニットクーラ10に対して異なる点は、構成のレイアウトである。より具体的には、ユニットクーラ10Bは、内部に空間を形成する筐体12Bと、筐体12Bの内部に間隔を置いて配置される一対の熱交換器20と、筐体12Bに取り付けられる2組のガイド板14及び14Aと、筐体12Bに取り付けられる単一のファン装置30と、を備えている。ガイド板14及び14Aは、各熱交換器20に対して外部側に配置される。熱交換器20、ガイド板14及び14Aは、上述した実施形態と共通する構成及び効果を有するため、重複説明を省略する。
【0042】
筐体12Bは、冷蔵庫の天井CLに取り付けられた頂壁12Baと、頂壁12Baに上端を接合した一対(図5では一方のみ図示)の側壁12Bbと、両側壁12Bbの下端に接合されたドレーンパン12Bcとを備える。ドレーンパン12Bcは、開口12Bdを有する矩形状の底壁12Bhと、底壁12Bhの外縁を取り巻く外壁12Bfと、開口12Bdの内縁を取り巻く内壁12Bgとから形成されている。外壁12Bfと内壁12Bgとの間が貯水可能な空間となり、該空間に貯められた水は、不図示のドレン口を介して排出される。
【0043】
内壁12Bgの内側において、筐体12Bに対しフレーム12Beを介してファン装置30が、回転軸を鉛直方向に向けて取り付けられている。
【0044】
ユニットクーラ10Bにおいて、熱交換器20の内部を冷却された冷媒が通過した状態で、モータ31を駆動させるとファン32が回転し、矢印Gで流れを示すようにユニットクーラ10の下部から空気が吸引され、ユニットクーラ10内に進入する。ファン32により上昇させられた空気は、矢印Hで流れを示すように頂壁12Baにあたって左右方向に分岐し、それぞれ熱交換器20に進入する。それぞれ熱交換器20のフィンを通過することにより冷却された空気は、さらにガイド板14、14Aを通過した後、矢印Iで流れを示すようにユニットクーラ10Bの外部へと吹き出される。
【0045】
本実施形態のユニットクーラ10Bは、上下方向の寸法が小さいため、天井が低い冷蔵庫などに好適に用いることができ、また水平方向両側から冷風を吹き出すことができるため、冷蔵庫の中央に設置することができ、それにより冷蔵庫内の温度管理がしやすくなる。
【0046】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。例えば、本発明のユニットクーラは、冷蔵庫の天井のみならず、床に設置してもよい。
【0047】
本明細書は、以下の発明の開示を含む。
(第1の形態)
空気が通過する筐体と、
前記筐体内に空気を導入するファンを備えたファン装置と、
前記筐体内に配置された熱交換器と、
前記熱交換器を通過した空気が当たる位置に配置され、流れ方向を上方に変位させるガイド面を備えたガイド板と、を有する、
ことを特徴とするユニットクーラ。
【0048】
(第2の形態)
水平面に対する前記ガイド面の傾斜角度は一様である、
ことを特徴とする第1の形態のユニットクーラ。
【0049】
(第3の形態)
前記ガイド面は、上側面、下側面、及び該上側面と該下側面の中間に位置する中間面を有し、水平面に対する前記中間面の傾斜角度は、前記上側面と前記下側面の傾斜角度より小さい、
ことを特徴とする第1の形態のユニットクーラ。
【0050】
(第4の形態)
前記ガイド面の下縁は、前記熱交換器のフィンに接している、
ことを特徴とする第1の形態又は第2の形態のユニットクーラ。
【0051】
(第5の形態)
前記ガイド板を複数個有しており、最下方に位置する前記ガイド板の下側板は、前記筐体のドレーンパン内まで延在している、
ことを特徴とする第3の形態又は第4の形態のユニットクーラ。
【0052】
(第6の形態)
前記ファン装置は、空気の流れ方向において前記熱交換器の上流側に配置されている、
ことを特徴とする第1の形態~第5の形態のいずれかに記載のユニットクーラ。
【0053】
(第7の形態)
前記ファン装置は、空気の流れ方向において前記熱交換器の下流側に配置されている、
ことを特徴とする第1の形態~第5の形態のいずれかに記載のユニットクーラ。
【0054】
(第8の形態)
前記ファン装置のファンの回転軸が鉛直方向を向いており、前記ファンにより吸い込まれた空気が前記筐体の頂壁に当たったのち、前記熱交換器に向かう、
ことを特徴とする第1の形態~第5の形態のいずれかに記載のユニットクーラ。
【0055】
(第9の形態)
前記ユニットクーラは、外部温度がセ氏0度以上の環境で使用される、
ことを特徴とする第1の形態~第8の形態のいずれかに記載のユニットクーラ。
【符号の説明】
【0056】
10、10A、10B ユニットクーラ
12、12A、12B 筐体
12a、12Ba 頂壁
12b、12Bb 側壁
12c、12Bc ドレーンパン
14、14A ガイド板
14a 主板部
14b 上板部
14c、14Ac 下板部
20 熱交換器
30 ファン装置
31 モータ
32 ファン
A~I 空気の流れ
CL 天井
θ1~θ3 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5