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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104445
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】計量装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/415 20060101AFI20240729BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01G19/415 Z
G07G1/00 331C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008649
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】友利 沙也香
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142FA41
(57)【要約】
【課題】
量り売り販売での種々の状況に対応した計量装置及びシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】
載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、風袋重量を減算する風袋引き手段と、表示手段を備える計量装置であって、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否か、及び/又は、秤量超過であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合、又は、秤量超過であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段を備えることを特徴とする計量装置により、上記課題を解決した。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、風袋重量を減算する風袋引き手段と、表示手段を備える計量装置であって、
前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、
前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段を備える
ことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、風袋重量を減算する風袋引き手段と、表示手段を備える計量装置であって、
前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、秤量超過であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、
前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が秤量超過であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段を備える
ことを特徴とする計量装置。
【請求項3】
載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、風袋重量を減算する風袋引き手段と、表示手段を備える計量装置であって、
前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否か、及び秤量超過であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、
前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合、又は、秤量超過であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段を備える
ことを特徴とする計量装置。
【請求項4】
単価を特定する単価特定手段と、
単価と前記風袋引き手段で減算された後の重量に基づいて販売金額を算出する手段と、
最小測定量までの不足重量を算出する不足重量算出手段を備え、
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満ではないと判定された場合に、当該判定の前に特定されていた、若しくは、当該判定の後に特定される単価に応じた販売金額を算出し、
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、前記表示手段は、前記不足重量算出手段が算出した不足重量を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
【請求項5】
単価を特定する単価特定手段と、
単価と前記風袋引き手段で減算された後の重量に基づいて販売金額を算出する手段と、
秤量からの超過重量を算出する超過重量算出手段を備え、
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が秤量超過ではないと判定された場合に、当該判定の前に特定されていた、若しくは、当該判定の後に特定される単価に応じた販売金額を算出し、
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が秤量超過であると判定された場合に、前記表示手段は、前記超過重量算出手段が算出した超過重量を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の計量装置。
【請求項6】
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、所定条件の下で単価を特定する単価特定手段と、
前記単価情報特定手段により単価が特定された後に、販売金額を入力可能とする販売金額入力手段を備える
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の計量装置。
【請求項7】
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、所定条件の下で、前記表示手段は、該商品の定額販売用の商品選択ボタンを表示する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計量装置。
【請求項8】
商品を特定する商品特定手段と、
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、前記商品特定手段で特定された商品識別情報を出力する出力手段を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計量装置。
【請求項9】
風袋重量を読取る読取手段を備え、該読取り手段で風袋重量が読み取れない場合、前記表示手段は、容器選択ボタンを表示し、該容器選択ボタンを押下することにより風袋重量の減算処理を実行する請求項1の計量装置。
【請求項10】
計量装置と情報処理装置を備えるシステムであって、
前記計量装置は、
商品を特定する商品特定手段と、
載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、
風袋重量を減算する風袋引き手段と、
前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、
前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、前記商品特定手段で特定された商品識別情報を出力する商品識別情報出力手段を有し、
前記情報処理装置は、
前記商品識別情報出力手段で出力された商品識別情報を入力する入力手段を有し、
前記入力手段で入力された商品識別情報に対する販売金額を入力する販売金額入力手段、若しくは、前記入力手段で入力された商品識別情報に関連する定額販売用の商品選択ボタンを表示する選択ボタン表示手段のうち、少なくとも一つを有する
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関するものであって、特に、量り売り販売に適した計量装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、量り売りの用途として、購入商品に相当するボタンを選択し、重量に応じた価格を算出させ、ラベルを発行させることができるようにした計量装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-101529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
量り売り用の計量装置としては、取引証明用計量装置が用いられるところ、取引証明が有効となる測定範囲というものが定められている。すなわち、目量から定められる最小測定量未満である場合や秤量を超過した場合には、取引証明をすることができない。多くの販売物品は、測定範囲内に収まるような量で購入されることが多い一方で、一部の商品については(例えば、特殊なスパイスや香辛料は高価であったりするといった事情で)、できるだけ少量で購入したいと考える顧客も存在する。しかしながら、従来の量り売り用の計量装置は、少量販売での状況に対応していないという問題があった。また、とにかく沢山の量を購入したいと考える顧客が秤量超過する程の量を購入しようとした場合にも、同様の問題が発生する。
【0005】
本発明は、量り売り販売での種々の状況に対応した計量装置及びシステムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計量装置は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、風袋重量を減算する風袋引き手段と、表示手段を備える計量装置であって、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段を備えることを特徴とする計量装置である。
また、本発明の計量装置は、少なくとも以下の構成を具備するものであってもよい。
載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、風袋重量を減算する風袋引き手段と、表示手段を備える計量装置であって、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、秤量超過であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が秤量超過であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段を備えることを特徴とする計量装置である。
ここで、「最小測定量」とは、取引・証明用として、そのはかりが使用できる、計量値の一番小さい値のことで、それ以下の計量値については、表示はされていても、取引・証明用としては使用できないものであって、検定付きはかり(取引・証明用はかり)の技術分野において、確立された技術用語である。例えば、最小目量1gの場合は、20g以上でないと取引証明として使えないといったように、取り決められているものである。なお、判定する手段と報知する手段とが対象とする要素は、最小測定量と秤量超過の少なくとも一方、或いは、両方である。
また、本発明のシステムは、少なくとも以下の構成を具備するものである。
計量装置と情報処理装置を備えるシステムであって、前記計量装置は、商品を特定する商品特定手段と、載置部に載置された被計量物を計量する計量手段と、風袋重量を減算する風袋引き手段と、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段と、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、前記商品特定手段で特定された商品識別情報を出力する商品識別情報出力手段を有し、前記情報処理装置は、前記商品識別情報出力手段で出力された商品識別情報を入力する入力手段を有し、前記入力手段で入力された商品識別情報に対する販売金額を入力する販売金額入力手段、若しくは、前記入力手段で入力された商品識別情報に関連する定額販売用の選択ボタンを表示する選択ボタン表示手段のうち、少なくとも一つを有することを特徴とするシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る計量装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムを説明するブロック図であり、(a)は計量装置のハードウェア構成を、(b)はシステム構成及びソフトウェア機能ブロックを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムにおける操作及び処理の一例を示すフロー図である。
図4】本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムにおける操作及び処理の一例を示すフロー図である。
図5】本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムにおける操作及び処理の一例を示すフロー図である。
図6】本発明の実施形態に係る計量装置の表示画面の一例である。
図7】本発明の実施形態に係る計量装置の表示画面の一例である。
図8】本発明の実施形態に係る計量装置の表示画面の一例である。
図9】本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムにおけるイレギュラー対応時の操作及び処理の例を示すフロー図である。
図10】本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムにおける操作及び処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る計量装置及びシステムの実施の形態の一例を図面に基づいて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため、部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
<計量装置について>
図1は、本発明の実施形態に係る計量装置1の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムを説明するブロック図であり、(a)は計量装置のハードウェア構成を、(b)はシステム構成及びソフトウェア機能ブロックを示す図である。
【0010】
(計量装置のハードウェア構成)
計量装置1は、商品(量り売りする商品)の陳列エリアに設置される陳列棚に複数の陳列容器と共に設置される。複数の陳列容器は、商品ごとに区分されているものであるが、容器の種類も複数種類あってもよく、例えば、落下口の下に容器を持っていき、操作部を操作して、収納されている商品を落下口から落下させて容器に入れるタイプのものや、蓋付きの収納部内に収納されている商品を、蓋部分を開けて、スコップを用いて取り出し、容器に入れるタイプ、その他のものを載置することができる。また、計量装置1も一つの陳列棚に複数設置することもできる。
なお、陳列容器の操作部や蓋部分に加速度センサなどを設けると共に、通信手段を具備させるようにして、操作部の操作や蓋部分の開閉などを検出して、計量装置1へセンサIDを送信するように構成すると便利である。当該センサIDは、後記するように、センサに反応した商品のみを商品選択画面のリストに表示する制御処理のために利用される。
【0011】
図1及び図2(a)に示されるように、計量装置1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、計量部14と、表示部15と、音声出力部16と、印刷部17と、通信部18とを備える。計量部14は、商品の入った容器を載置する載置部14aを有し、印刷部17は、ラベル排出口17aを有する。計量装置1として、基本的には、顧客が操作するセルフ方式の販売装置が想定されているが、店員が操作するものであってもよい。すなわち、研修中の店員、アルバイトの店員など、計量販売に不慣れな店員にとって、本発明の実施形態に係る計量装置1は有効に機能するものである。
【0012】
CPU11は、中央演算処理装置であり、ROM12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、計量装置1の動作を制御する。ROM12は、読み出し専用メモリであり、例えば、プログラムをはじめとしてCPU11が利用する種々の情報を記憶する。RAM13は、読み出し書き込みメモリであり、例えば、ROM12から読み出した情報、通信部18を介して取得した情報、CPU11によって生成された情報等、種々の情報を一時記憶する。
【0013】
計量部14は、載置部14aに載せられたもの(商品、容器等)を、例えばロードセルによる重量検出方式で計量する。表示部15は、顧客に各種情報を表示するとともに、タッチパネルも備え、操作部としての機能を有する。音声出力部16は、音声を出力する。例えば、音声出力部16は、音声ガイダンス等を出力する。
【0014】
印刷部17は、シール媒体を発行するプリンタ装置である。例えば、印刷部17は、商品名や販売価格等をシール媒体に印刷し、ラベル排出口17aから排出(発行)する。印刷部17が印刷、発行するシール媒体を商品ラベル(又は単にラベル)と称する場合がある。商品ラベルには、商品コードや販売価格をコード化したバーコード(所謂、JANコードなどのシンボルコード)を印刷してもよい。
通信部18は、無線(例えば、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等)、又は、有線によって、他の装置との間で情報を送受信する。例えば、後記する情報処理装置2へ商品識別情報を送信したり、陳列容器からセンサIDを受信したり、管理装置から商品ファイルを受信したりする。
【0015】
また、計量装置1は、周辺を撮像(例えば、載置部14aに載置されたものを撮像、前方の顧客を撮像)する撮像部を備えていてもよい。また、計量装置1は、各種の情報(バーコード、2次元コード等)を光学的に読み取るスキャナ部を備えていてもよいし、タッチパネルに替えて、ないしは加えて、テンキーを具備していてもよい。また、計量装置1は、非接触型のICタグ(タグシール)に対して情報の読み書きを実行する無線タグ読書部を備えていてもよい。無線タグ読書部は、無線タグ(ICタグ)との間で、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報の読み書きを実行する。また、計量装置1は、時計機能(計時機能)を備えていてもよい。時計機能を備える計量装置1は、例えば、現在時刻や、ある時間までの残時間や、ある状態となってからの経過時間を管理可能である。また、計量装置1は、操作者(顧客)の存在を検出する人感センサを備えていてもよい。
【0016】
(計量装置の機能的構成)
図2(b)に示されるように、計量装置1は、単価特定手段、計量手段、風袋引き手段、商品識別情報出力手段、測定範囲外状態判定手段、測定範囲外状態報知手段(図2(b)において、判定手段と報知手段は単一のブロックとして示されている)、不足/超過重量算出手段、販売金額入力手段、選択ボタン表示手段などの機能手段を備える。これらの機能手段は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、計量部14と、表示部15と、音声出力部16と、印刷部17と、通信部18の一部若しくは全部がソフトウェア処理による協働の下で実現されるものである。
単価特定手段は、所定重量当たりの単価を特定する機能を有するものであり、例えば、100g当たり120円商品や100g当たり220円商品などの選択ボタンから選択するようなものであっても良いし、商品指定または商品選択により単価を特定するものであっても良い。本実施形態では、測定範囲外でない(最小測定量未満でない)と判断された場合に機能する商品選択画面により実現されており、この場合の単価特定手段は商品特定手段と捉えることもできる。なお、単価特定手段は、測定範囲外である(最小測定量未満である)と判断された場合のイレギュラー処理においても、用いられる場合もある。
【0017】
計量手段は、載置部14aに載置された被計量物を計量する。風袋引き手段は、RAM13に一時記憶されている容器重量である風袋重量を、計量手段で計量された重量から減算する。RAM13への一時記憶の方法は、あらかじめタグシール(ICタグ)などに風袋量が記録されている場合は、無線タグ読書部で読取りRAM13に記憶したり、あらかじめ風袋量が登録されている購入用やデポジット容器を選択することによりRAM13へ記憶したりする方法などがあり、直接風袋量を数値入力する方法や、空容器を載置部に載置させて計量された値を記憶するなどいずれの方法でも良い。
【0018】
従前、風袋引きした重量が最小測定量に満たない場合には、販売用計量装置での数量等表示がされないか、されたとしても、次の操作のためのガイダンスが示されないといった状況であったため、顧客は、どのように先に進めば良いか分からず、当惑することがあったが、本発明の実施形態に係る計量装置1は、この点を改善するための機能構成を具備している。すなわち、測定範囲外状態判定手段は、計量手段で計量され、風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否かを判定し、測定範囲外状態報知手段は、最小測定量未満であることを報知する。本実施形態では、測定範囲外状態判定手段は、風袋引き後の重量が最小測定量未満であるか否かを判定するに止まるものであるが、このことに替えて、若しくは、加えて、測定範囲外状態報知手段が、風袋引き後の重量が秤量超過であるか否かを判定し、測定範囲外状態報知手段が秤量超過であることを報知するように構成してもよい。さらに、本発明の実施形態に係る計量装置1は、この後に、顧客自身が対応すべき操作をガイダンスするように構成されているが、当該ガイダンスがされない構成で、単に、「店員を呼んで下さい」といった簡易なガイダンスであっても、顧客は、従前のように、途方に暮れることがなく、十分に意味のあるものである。
【0019】
不足重量算出手段は、風袋引き後の重量が最小測定量未満であった場合に、最小測定量までの不足重量を算出し、ガイダンスとして、表示部15は不足重量を表示する。また、これに替えて、若しくは、加えて、風袋引き後の重量が秤量超過であった場合に、秤量からの超過重量を算出する超過重量算出手段を具備させ、ガイダンスとして、表示部15は超過重量を表示するように構成してもよい。顧客は、購入しようとする商品が測定範囲外の重量であった場合に、ガイダンスに従って、不足する重量分の商品を追加したり、超過する重量分の商品を取り除いたりするといった適切な操作を行うことが可能となる。本実施形態では、ガイダンスは、表示部15に表示させることにより行っているが、音声出力部16による音声ガイダンスを加えるようにしてもよい。
【0020】
このようにして、最小測定量になるようにして、顧客は操作を迷うことなく所望の商品を購入することができるのであるが、先述したように、一部の高額商品などについては、最小測定量に満たない少量で敢えて購入したいという要望もある。本発明の実施形態に係る計量装置1は、そのような要望に応えるための機能を、イレギュラー処理の形で、具備している。イレギュラー処理を実現するものが、単価特定手段、販売金額入力手段、(定額商品を選択するための)選択ボタン表示手段、(商品識別情報を出力する)出力手段である。なお、(定額商品を選択するための)選択ボタン表示手段のUIは、測定範囲外でない(最小測定量未満でない)と判断された場合に機能する商品選択画面と同一のものであってもよく、単に、対象が定額商品として用意されている商品に限定されている点のみが異なる。
【0021】
イレギュラー処理において用いられる単価特定手段は、単価を特定し、風袋引き後の重量が最小測定量未満であって、単価が特定されている場合に、所定条件の下で販売金額を入力可能とする販売金額入力手段がアクティベイトされる。具体的に、表示部15に、「店員呼出し」ボタンが表示され、顧客がボタンをタップし、駆けつけた店員が、店員カード読取りやパスワード入力などを行うことによって、特定された商品の販売金額を入力できるダイアログが表示されるように構成されている。勿論、計量装置1がテンキーを備えていれば、テンキーで入力することも可能である。顧客が自由に金額を入力したりすることがないように、店員による操作が前提とされている。なお、販売金額入力手段はテンキー入力のみならず、価格バーコードをスキャンして入力する態様などテンキー入力に限定されない。
【0022】
また、イレギュラー処理時における商品特定手段(不図示)を設けるようにしても良い。当該手段は、風袋引き後の重量が最小測定量未満であって、所定の条件下で商品が特定されていることにより、特定された商品の定額販売用の商品選択ボタンを表示部15に、表示制御させる。例えば、表示部15に、「店員呼出し」ボタンが表示され、顧客がボタンをタップし、駆けつけた店員が、店員カード読取りやパスワード入力などを行うことによって、事前に最小測定量以下の定額商品として用意されている商品のリストがプリセットボタンとして表示され、店員が当該最小測定量未満であり、事前に梱包された定額商品の選択を行えるように構成されている。店員が当該最小測定量未満であり、事前に梱包された定額商品とは、最小測定量を20gとした場合、10gや15g、18gなど任意の重量で梱包された商品である。こうすることで、最小測定量以下でも必要な重量に最も近い定額商品を購入できるので、量り売りで購入するのとほぼ同様の効果が見込める。なお、金額入力とは異なり、当該最小測定量未満の定額商品の選択であれば、該定額商品を陳列棚の近くに配置しておくなどすることで操作ガイダンスにより店員を介在させないオペレーションとすることも可能である。すなわち、顧客のみで操作が行えるように構成することが可能である。
【0023】
この他、風袋引き後の重量が最小測定量未満と判定された場合に、単価特定手段、または商品特定手段が商品を特定し、特定された商品識別情報を出力する出力手段を具備させるようにしてもよい。この態様においては、計量装置1から出力された商品識別情報を、情報処理装置2が、引き継ぐことによって、その後の処理がなされるように構成される。すなわち、図2(b)に示されるように、情報処理装置2は、商品識別情報入力手段、販売金額入力手段、選択ボタン表示手段を備えている。なお、計量装置1の出力手段と情報処理装置2の入力手段については、通信手段(例えば、計量装置1の通信部18と情報処理装置2の通信部)がその役目を担ってもよいし、計量装置1の印刷部17と情報処理装置2のスキャナ機能との協働により実現しても良い。具体的には、印刷部17で印字出力された商品識別情報を、情報処理装置2のスキャナで読み取るようにする。なお、商品識別情報にイレギュラー処理を指示する情報を含ませることで情報処理装置2のタッチ操作を省略することもできる。また、通信に依らない会員カード等の電子媒体を用いて、商品識別情報の受け渡しをするように構成しても良い。
【0024】
<情報処理装置及び計量装置と情報処理装置から成るシステムについて>
情報処理装置2は、店舗内のコンソール(操作卓)であり、顧客に提供した物品を販売するための情報が印刷された精算用ラベルを発行するプリンタ機能部を有するものであるが、それ以外の構成は、CPU、CPUとバス接続された記憶装置(ROM及びRAM)、ストレージデバイス、表示手段、通信手段、操作入力手段といった汎用PCが通常に備えるシステム構成と同様のものにすぎないため、ハードウェア構成の図示は省略し、図2(b)に示される機能ブロック図のみでの説明とする。換言すれば、プリンタ機能を外部に持たせるシンプルな構成として、情報処理装置2を汎用PCやタブレットで構成することも可能である。また、これとは逆に(シンプルな構成でなく)、情報処理装置2が、計量値付け機能付きの販売データ処理装置、販売データ処理装置、会計装置(精算装置)などといった所謂POS機能を備える端末として構成されるようにしても良い。なお、所謂POS機能を備える端末の場合は、精算結果として買い物レシートや領収書を発行するプリンタを内蔵または外部接続しても良い。
【0025】
(システムの機能的構成)
情報処理装置2において、入力手段は、商品識別情報出力手段で出力された商品識別情報を入力する機能を果たす。入力の態様としては、通信による態様、電子媒体を介して引き継がれる態様、印刷媒体により引き継がれる態様など、種々のものを採用することができる。販売金額入力手段、選択ボタン表示手段による処理は、先述した計量装置1内における処理と同様であるので、省略するが、要するに、イレギュラー処理については、計量装置1のみで完結させる態様と、情報処理装置2に引き継ぐ形での態様とが想定されているということになる。後者の態様によれば、計量装置1と情報処理装置2とから成るシステムとして、本発明を観念することが可能となる。
ここまで、計量装置及びシステムのハードウェア構成や機能的構成について説明したが、種々のソフトウェアや、付加装置を用意することで、操作及び処理態様を多様なものとして、様々な実施形態を実現することができる。以下に、詳細に説明する。
【0026】
<計量装置及びシステムの操作及び処理フローについて>
図3図5及び図10は、本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムにおける操作及び処理の幾つかの例を示すフロー図である。図6ないし図8は、本発明の実施形態に係る計量装置の表示画面の一例である。図9は、イレギュラー対応時の操作及び処理について説明するフロー図である。以下、フロー図と表示画面を用いて、操作及び処理フローについて説明する。なお、以下のフロー図(図3~5,9~10)においては共通して、矩形で囲まれた処理は装置ないしシステムが実行する処理を、ひし形で囲まれた処理は条件処理を、台形で囲まれている事象は人の操作を伴う処理若しくは人が行う行動そのものを、意味するものである。
【0027】
(実施形態1)
実施形態1は、容器に貼付されたタグシール(ICタグ)から風袋量を取得する形態である。図3は、この場合の操作及び処理を示すフロー図である。容器は、顧客が持参するマイ容器、又は店から借り受けるデポジット容器若しくは店舗で購入する購入容器を用いることが想定されている。また、マイ容器であっても、計量販売において使用された実績があり、タグシールが貼付されている場合と、初めて持参したものであって、タグシールが貼付されていない場合とがある。なお、デポジット容器の場合には、事前に店員が顧客と対面してデポジット料金を回収した上で、風袋量の記憶されたタグシールを貼付すれば、以降は、デポジット容器もマイ容器と同じ取り扱いとすることが可能となり、無線タグ読書部による風袋量の自動取得ができるようになる。
【0028】
タグシールには、各種情報が記憶されることになる。具体的な例としては、容器の種類を示す容器フラグ(例えば、0:マイ容器、1:デポジット、2:購入)、課金フラグ(例えば、0:未課金、1:会計済)、風袋量、デポジット容器の場合の容器識別番号などが、タグシールには記憶されている。また、容器の品番と貸与という観点からのユニークな管理番号が記憶されるようにしても良い。さらに、購入日付やデポジット開始日等も記憶し、管理するようにしても良い。
【0029】
ステップS101において、顧客は、容器に購入する商品を詰める作業を開始する。この際、フロー図には示されていないが、陳列容器の操作部や蓋部分にセンサが設けられている態様であれば、陳列容器のセンサID出力が、計量装置1へ送信されることになり、センサIDと商品情報を関連づけることで表示部15にて所定の商品選択ボタンのみ表示することができる。容器への商品投入を終えた顧客は、載台(載置部14a)の前へと移動する(ステップS102)。
【0030】
載台(載置部14a)の前へ移動した顧客を、撮像部や人感センサにより検知した計量装置1は、表示部15に待機画面を表示するように制御される(ステップS103)。ただし、操作開始後に顧客を感知することなく、所定時間稼働していなければ待機画面を表示するようにしてもよい。また、センサ等を伴わない構成として待機画面のままでも良い。図6(a)は、待機画面の一例である。「はかりの中央に商品をおいてスタート」と表示され、商品をはかりの端でなく、中央に正しく置くように、顧客へのガイダンスが提供されている。
【0031】
ステップS104において、ガイダンスに促されて、顧客が商品の投入された容器を載台(載置部14a)に載置すると、計量装置1の無線タグ読書部が非接触型のICタグ(タグシール)の情報を読み取る処理を行う。ステップS105では、タグシールに記録された風袋量の読取が完了したか否かの判定処理が行われる。タグシールの向きと無線タグ読書部の指向性との関係や、内容物の種類如何によっては、読取がされ難い場合があるので、表示部15に「容器の向きを変えてください」、「容器を回転させてください」等の適時画面を表示させ、読取が行われるように促す(ステップS106)。
【0032】
この他、タグシールの情報が損なわれている場合や、そもそもタグシールが貼付されていない初めて店舗に持ち込まれたマイ容器の場合には、当然に読取は実行されない。ステップS104~S106の処理が何度か(例えば3回)繰り返された後には、表示部15に「店員呼出」のタッチボタンを表示させたり、「サービスカウンタへ行ってください」の案内メッセージを表示させたりするようにし、容器への風袋量書込が行われるように、顧客を誘導する。ステップS107において、店員等によるタグシールの容器への貼付、及び風袋量の書込処理が行われて、容器は計量装置1で対応可能なものとなる。
【0033】
ステップS105において、風袋量が読み込まれると、計量装置1は、計量されている重量と風袋量に基づいて風袋引き演算を実行する(ステップS108)。次いで、計量装置1は、風袋引き演算により求められた重量が最小測定量未満であるか否かを判定する。具体的に、この例では、ネット重量が20g未満であるか否かが判定される(ステップS109)。なお、ステップS108において、風袋引き演算が実行される条件としては、被計量物の安定重量を取得している場合である(表示上は安定重量を取得していない状態でも風袋引きの演算結果を表示しても良い。風袋量を減算しネット重量を確定する場合は安定重量を取得することは必須条件となる)。風袋量の読み込みは被計量物の安定重量取得する前に開始されても安定重量が取得されたことを契機に実行されてもよい。前記の人感センサ等により風袋量の読み込みを開始しても良い。
【0034】
ネット重量が20g未満であると判定された後のステップS110において、計量装置1は、表示部15に、測定範囲に対して不足している重量分の商品の追加を顧客に求めるべく、追加指示表示画面を表示するように制御される。図6(b)は、追加指示表示画面の一例である。図示されるように、風袋重量「10g」の表示と風袋引き後の重量「18g」の表示がなされていると共に、「20gからご購入いただけます あと2g以上追加してください」とのガイダンスが表示されている。なお、この段階では、後記するステップS112における商品選択をすることはできない。
【0035】
追加指示を受けた顧客が、ステップS111において、不足重量分以上の商品を追加して、再度、容器を載台(載置部14a)に載置する。表示部15に表示されている追加指示画面については、所定時間経過したならば、待機画面となるようにしてもよい。一方、商品の追加を希望せず、そのままの重量で購入を希望する顧客は、適宜のボタンを操作する等して、後記するイレギュラー処理へと移行する。なお、ステップS108~S110は、風袋引き後の重量が最小測定量未満であった場合に対応する態様としての処理を示したものであったが、ネット重量が秤量を超えることを判断すると、容器に入れた商品を取り除く旨を表示するようにして、風袋引き後の重量が秤量を超過した場合にも対応できるように構成しても良い。
【0036】
ステップS109において、ネット重量が20g未満ではないと判定された場合、或いは、不足重量分以上の商品を追加してネット重量が20g以上となった場合に、計量装置1は、表示部15に商品選択画面を表示するように制御される(ステップS112)。当該商品選択画面が、商品特定手段であり、単価特定手段である。図7(a)は、商品選択画面の一例である。ここでは、風袋重量「10g」の表示、風袋引き後の重量「65g」の表示と共に、複数の商品リストが表示されている。本実施形態では、所定期間に陳列容器の操作部や蓋部分に設けられたセンサID出力のあった複数の対応商品が、商品選択画面中に表示されるように構成されている。その理由であるが、複数人の顧客が同時並行的に商品を詰める作業をする状況においては、複数のセンサID出力が同時期に複数の計量装置1に送信されることになるため、複数の商品リストが表示されるようにしているのである。この際、不測の事態により対象の商品がリストに表示されない状態が生じた場合には、取扱のある全商品を表示させる画面や、商品番号を入力できる画面を呼び出せるようにして、適宜の入力操作を行うようにする(図3において不図示)。また、陳列容器にセンサが設けられていない態様においては、最初から全商品をリスト表示するように構成する。全商品のリストが表示される場合には、複数画面に亘って「1/2画面」、「2/2画面」といったページ送りのできる分割画面の表示とし、優先度の高い商品のリストを第一画面とするとよい。
【0037】
ステップS113において、顧客が商品リストの中から購入する商品をタップすると、プリント画面に遷移する(ステップS114)。顧客は、容器に投入した商品に対応させて、例えば、ブレンドハーブティーのボタンをタップする。このようにして画面遷移されたプリント指示画面の一例が図7(b)である。ここでは、「65g」のブレンドハーブティーが投入された旨が表示されており、併せて、単価の「190(円/100g)」と値段の「124円」という情報も表示されている。また、ラベル発行を促すべく、プリンタアイコンと共に「プリント」の文字表示がされている。ステップS115において、顧客がプリンタアイコンをタップすると、計量装置1のラベル排出口17aからラベルが発行される(ステップS116)。顧客は、発行されたラベルを容器に貼付する等して、さらに、適宜、別の商品を購入するためにラベル発行等した後に、POSレジが設置されている別の場所へ移動し、会計処理を行うことになる。
ここでの例は、購入のための操作の完了をラベルの発行として説明したが、購入のための操作の完了を、実績データの生成、上位装置への送信として構成するようにしても良い。
【0038】
(実施形態2)
実施形態2は、マイ容器に貼付されたタグシールから風袋量を取得することを基本としつつも、マイ容器を持参せずに、風袋量が取得されない場合に、容器選択画面で所望の購入容器を指定するという形態である。図4は、この場合の操作及び処理を示すフロー図である。容器は、顧客が持参するものであり、かつ、タグシールが貼付されているマイ容器か、店側が用意したものであって、容器選択画面で指定する購入容器が用いられることになる。
【0039】
ステップS201において、顧客は、容器に購入する商品を詰める作業を開始する。この際、フロー図には示されていないが、陳列容器の操作部や蓋部分にセンサが設けられている態様であれば、陳列容器のセンサID出力が、計量装置1へ送信されることになり、センサIDと商品情報を関連づけることで表示部15にて所定の商品選択ボタンのみ表示することができる。容器への商品投入を終えた顧客は、載台(載置部14a)の前へと移動する(ステップS202)。
【0040】
載台(載置部14a)の前へ移動した顧客を、撮像部や人感センサにより検知した計量装置1は、表示部15に待機画面を表示するように制御される(ステップS203)。ただし、操作開始後に顧客を感知することなく、所定時間稼働していなければ待機画面を表示するようにしてもよい。また、センサ等を伴わない構成として待機画面のままでも良い。図6(a)は、待機画面の一例である。「はかりの中央に商品をおいてスタート」と表示され、商品をはかりの端でなく、中央に正しく置くように、顧客へのガイダンスが提供されている。
【0041】
ステップS204において、ガイダンスに促されて、顧客が商品の投入された容器を載台(載置部14a)に載置すると、計量装置1の無線タグ読書部が非接触型のICタグ(タグシール)の情報を読み取る処理を行う。ステップS205では、タグシールに記録された風袋量の読取が完了したか否かの判定処理が行われる。タグシールの向きと無線タグ読書部の指向性との関係や、内容物の種類如何によっては、読取がされ難い場合があるので、表示部15に「容器の向きを変えてください」、「容器を回転させてください」等の適時画面を表示させ、読取が行われるように促すようにするのが好適である。非接触型のICタグ(タグシール)の情報を読み取る処理を行うのは、撮像部や人感センサによる操作者を検知したことを契機にしても良いし、載台に容器が載置された(重量が変動した)ことを契機としても良い。
【0042】
顧客が持参し、かつ、タグシールが貼付されているマイ容器が載台(載置部14a)に載置されたならば、ステップS205において、風袋量の読込が完了されたと判断されて、ステップS208に進み、風袋量が読み込まれることになる。一方、店舗に用意されている購入容器が載台(載置部14a)に載置されたならば、ステップS205において、タグシールからの風袋量の読込不能と判断されて、ステップS206に進み、計量装置1は、表示部15に容器選択画面を表示するように制御される。図8(a)は、容器選択画面の一例であり、購入容器が表示されている。取扱いのある容器リストのタッチボタンの表示と共に、「容器を選択してください」とのガイダンス表示が行われている。顧客は、該当する容器のボタンをタップする(ステップS207)。
【0043】
ステップS205における風袋量のタグシールからの読込、又は、ステップS207における容器の選択の何れかにより、風袋量が確定すると、計量装置1は、計量されている重量と風袋量に基づいて風袋引き演算を実行する(ステップS208)。次いで、計量装置1は、風袋引き演算により求められた重量が最小測定量未満であるか否かを判定する。具体的に、この例では、ネット重量が20g未満であるか否かが判定される(ステップS209)。なお、ステップS208において、風袋引き演算が実行される条件としては、被計量物の安定重量を取得している場合である(表示上は安定重量を取得していない状態でも風袋引きの演算結果を表示しても良い。風袋量を減算しネット重量を確定する場合は安定重量を取得することは必須条件となる)
【0044】
ネット重量が20g未満であると判定された後のステップS210において、計量装置1は、表示部15に、測定範囲に対して不足している重量分の商品の追加を顧客に求めるべく、追加指示表示画面を表示するように制御される。図6(b)は、追加指示表示画面の一例である。図示されるように、風袋重量「10g」の表示と風袋引き後の重量「18g」の表示がなされていると共に、「20gからご購入いただけます あと2g以上追加してください」とのガイダンスが表示されている。なお、この段階では、後記するステップS212における商品選択をすることはできない。
【0045】
追加指示を受けた顧客が、ステップS211において、不足重量分以上の商品を追加して、再度、容器を載台(載置部14a)に載置する。表示部15に表示されている追加指示画面については、所定時間経過したならば、待機画面となるようにしてもよい。一方、商品の追加を希望せず、そのままの重量で購入を希望する顧客は、適宜のボタンを操作する等して、後記するイレギュラー処理へと移行する。なお、ステップS208~S210は、風袋引き後の重量が最小測定量未満であった場合に対応する態様としての処理を示したものであったが、ネット重量が秤量を超えることを判断すると、容器に入れた商品を取り除く旨を表示するようにして、風袋引き後の重量が秤量を超過した場合にも対応できるように構成しても良い。
【0046】
ステップS209において、ネット重量が20g未満ではないと判定された場合、或いは、不足重量分以上の商品を追加してネット重量が20g以上となった場合に、計量装置1は、表示部15に商品選択画面を表示するように制御される(ステップS212)。図7(a)は、商品選択画面の一例である。ここでは、風袋重量「10g」の表示、風袋引き後の重量「65g」の表示と共に、複数の商品リストが表示されている。所定期間に陳列容器の操作部や蓋部分に設けられたセンサID出力のあった複数の対応商品が、商品選択画面中に表示されるように構成されている点や、対象の商品がリストに表示されない状態が生じた場合には、商品番号を入力できる画面を呼び出せるように構成してもよい点等は、実施形態1と同様である。
【0047】
ステップS213において、顧客が商品リストの中から購入する商品をタップすると、プリント画面に遷移する(ステップS214)。顧客は、容器に投入した商品に対応させて、例えば、ブレンドハーブティーのボタンをタップする。このようにして画面遷移されたプリント指示画面の一例が図7(b)である。ここでは、「65g」のブレンドハーブティーが投入された旨が表示されており、併せて、単価の「190(円/100g)」と値段の「124円」という情報も表示されている。ここでの例は、マイ容器を示したものであるが、容器がデポジット容器であり、かつ、課金フラグが「0」の未課金を示している場合には、デポジットの代金が併せて表示されることになる。また、ラベル発行を促すべく、プリンタアイコンと共に「プリント」の文字表示がされている。ステップS215において、顧客がプリンタアイコンをタップすると、計量装置1のラベル排出口17aからラベルが発行される(ステップS216)。なお、ラベルに記録される値段の情報は、マイ容器であるか、購入容器であるかによって、異なることになる。すなわち、後者の場合は、容器の購入代金がオンされた値段の情報となる。顧客は、発行されたラベルを容器に貼付する等して、さらに、適宜、別の商品を購入するためにラベル発行等した後に、POSレジが設置されている別の場所へ移動し、会計処理を行うことになる。
ここでの例は、購入のための操作の完了をラベルの発行として説明したが、購入のための操作の完了を、実績データの生成、上位装置への送信として構成するようにしても良い。
【0048】
(実施形態3)
実施形態3は、タグシールや選択ボタンにより、風袋量を取得するのではなく、シンプルに風袋引きのための計量を行う形態である。当然ながら、最初に、空の容器を一旦載台(載置部14a)に載置した後に、風袋引きを行い容器に商品を投入し、再度、計量を行うことになる。
【0049】
ステップS301において、顧客は、載台(載置部14a)の前へと移動する。載台(載置部14a)の前へ移動した顧客を、撮像部や人感センサにより検知した計量装置1は、表示部15に待機画面を表示するように制御される(ステップS302)。「スタート」と書かれたタッチボタン(いずれも不図示)が表示され、まず、最初の操作として風袋引きを行うように顧客へのガイダンスを提供する。
【0050】
ステップS303において、ガイダンスに促されて、顧客が空の容器を載台(載置部14a)に載置し、「風袋引き」ボタンをタップする(ステップS304)。計量装置1は、計量された容器重量を風袋量として一時記憶する。また、商品を詰めた後はネット重量として風袋量とは区別にして表示される。
【0051】
ステップS305において、表示部15に商品選択画面を表示するように制御される。ここでは、陳列棚にある全ての商品がリスト表示される。ステップS306において、顧客は、商品リストの中から購入する商品をタップすると、計量装置1の表示部には、ネット重量としての「0g」の表示がされるようになる。
その後、顧客は、容器に購入する商品を詰める作業を開始する(ステップS307)。
【0052】
計量装置1は、容器に商品が詰められた(投入された)後、計量された値(表示値)が安定する迄待機する(ステップS308)。計量された値が安定すると、計量装置1は、ネット重量が最小測定量未満であるか否かを判定する。具体的に、この例では、ネット重量が20g未満であるか否かが判定される(ステップS309)。
【0053】
ネット重量が20g未満であると判定された後のステップS310において、計量装置1は、表示部15に、測定範囲に対して不足している重量分の商品の追加を顧客に求めるべく、追加指示表示画面を表示するように制御される。図8(b)は、追加指示表示画面の一例である。図示されるように、風袋重量「10g」の表示、風袋引き後の重量「18g」の表示、単価「190(円/100g)の表示、値段「35円」の表示、商品名の「ブレンドハーブティー」の表示がなされていると共に、「あと2g以上追加してください」とのガイダンスが表示されている。
【0054】
追加指示を受けた顧客が、ステップS311において、不足重量分以上の商品を追加して、再度、容器を載台(載置部14a)に載置する。表示部15に表示されている追加指示画面については、所定時間経過したならば、待機画面となるようにしてもよい。一方、商品の追加を希望せず、そのままの重量で購入を希望する顧客は、適宜のボタンを操作する等して、後記するイレギュラー処理へと移行する。このことについては、後記する。なお、ステップS309~S311は、風袋引き後の重量が最小測定量未満であった場合に対応する態様としての処理を示したものであったが、ネット重量が秤量を超えることを判断すると、容器に入れた商品を取り除く旨を表示するようにして、風袋引き後の重量が秤量を超過した場合にも対応できるように構成しても良い。
【0055】
ステップS309において、ネット重量が20g未満ではないと判定された場合、或いは、不足重量分以上の商品を追加してネット重量が20g以上となった場合に、ステップS313に進む(点線で囲まれたステップS312は変形例の処理であるため、この処理は実行されない。)。ステップS313は、図7(b)に示されるようなプリント画面の表示処理である。ここでは、「65g」のブレンドハーブティーが投入された旨が表示されており、併せて、単価の「190(円/100g)」と値段の「124円」という情報も表示されている。また、ラベル発行を促すべく、プリンタアイコンと共に「プリント」の文字表示がされている。ステップS314において、顧客がプリンタアイコンをタップすると、計量装置1のラベル排出口17aからラベルが発行される(ステップS315)。顧客は、発行されたラベルを容器に貼付する等して、さらに、適宜、別の商品を購入するためにラベル発行等した後に、POSレジが設置されている別の場所へ移動し、会計処理を行うことになる。
なお、最初に風袋引き操作を実行し商品を詰める(投入する)のであれば、S302からS306までの順序は上記に限らない。例えば、待機画面を商品選択画面としても良いし、商品を指定した後に風袋引きを行い商品を詰めれば正常に計量操作(取引処理)が行える。
【0056】
(実施形態3の変形例)
実施形態3の変形例としては、商品選択をステップS305~ステップS306では実行せずに、後段の点線で描かれたブロック図のステップS312で実行するものである。この変形例の場合、ステップS310において、図8(b)に示される画面表示が行われる代わりに、図6(b)に示される画面表示が行われることになる。ステップS312の商品選択画面の表示処理に続いて、顧客は、リスト表示された商品ボタンをタップすることになる(図5において不図示)。なお、実施形態1や2と同様に、所定期間に陳列容器の操作部や蓋部分に設けられたセンサID出力のあった複数の対応商品のみが、商品選択画面中に表示されるように構成すると便利である。
【0057】
(実施形態1乃至実施形態3におけるイレギュラー対応処理)
後記するとしたイレギュラー対応での処理について説明する。図9は、本発明の実施形態に係る計量装置及びシステムにおけるイレギュラー対応時の操作及び処理の例を示すフロー図であり、図9(a)と図9(b)は、別の例として二つの態様を示すものである。
【0058】
図9(a)において、計量装置1の表示部15には、店員呼出ボタンが表示されている。当該店員呼出ボタンは常に表示されている態様であっても良いし、メインルーチンにおいて追加指示が表示された後に、一定時間が経過してから表示されるようにしても良い。
【0059】
顧客が店員呼出ボタンをタップすると(ステップS501)、駆けつけた店員等が、イレギュラー対応のための処理をアクティベイトさせるための処理を行う。ここでは、店員が店員カードを読取らせる(ステップS502)例として示されているが、テンキーにより、命令実行のための暗唱番号を入力するように構成しても良い。
【0060】
店員による所定の操作が行われると、商品選択画面に画面移動する(ステップS503)。そこで、まず購入対象の商品を特定する(ステップS504)。購入対象の商品が特定されると、ステップS505において販売金額の入力を行う。計量装置1の表示部15には、特定された商品の販売金額を入力できるダイアログが表示される。ダイアログには現在計量中の重量から目安としての販売金額をデフォルト入力された状態で表示すると便利であるし、図8(b)の例として示したように、値段が既に表示されていた場合には、その情報を目安金額として引き継ぐようにしても良い。なお、あくまでも目安金額であり、顧客と店員の間で確定した金額を入力しなければならないので、目安金額と同じ金額で取引を行うとしても、テンキーなどで入力を行わない限りラベルは発行されない(処理は終了しない)。
【0061】
ステップS505において、店員が顧客の了解を得た上で販売金額を入力すると、計量装置1のラベル排出口17aからラベルが発行される(ステップS506)。この際に発行されるラベルは、商品名と販売金額のみが印字された重量未表示ラベルとなる。顧客は、発行された重量未表示ラベルを容器に貼付して(S507)、適宜、別商品の重量未表示ラベルを発行した後に、POS端末が設置されている別の場所へ移動し、会計処理を行うことになる。
【0062】
図9(b)は、イレギュラー対応処理の別の例を示すものであるが、実施形態3の最初に商品選択をする形態について好適な処理である。図9(b)において、計量装置1の表示部15には、店員呼出ボタンが表示されている。当該店員呼出ボタンは常に表示されている態様であっても良いし、メインルーチンにおいて追加指示が表示された後に、一定時間が経過してから表示されるようにしても良い。
【0063】
顧客が店員呼出ボタンをタップすると(ステップS601)、駆けつけた店員等が、イレギュラー対応のための処理をアクティベイトさせるための処理を行う。ここでは、店員が店員カードを読取らせる(ステップ602)例として示されているが、テンキーにより、命令実行のための暗唱番号を入力するように構成しても良い。ただし、定額商品を近くに陳列させたり、定額商品引換用ラベルを発行させたりといった態様の構成とすることによって、店員によるアクティベイト操作を省く構成とすることも可能である。
【0064】
店員による所定の操作が行われると、計量装置1の表示部15には、メインルーチンにおいて特定済みである商品について、定額商品として表示されたプリセットボタンである定額商品選択ボタンが表示される(ステップ603)。店舗運用として、最小測定量以下の定額商品を事前に準備しておくと便利である。なお、容器に収納されている商品は、店員により回収される。
【0065】
ステップS604において、店員の確認の下、顧客が定額商品のボタンをタップすると、計量装置1のラベル排出口17aからラベルが発行される(ステップS605)。この際に発行されるラベルは、予め重量が決められている定額商品(最小測定量以下の内容量の定額商品)としての商品が印字された定額ラベルとなる。顧客は、発行された定額ラベルを容器に貼付して(S606)、適宜、別商品の定額ラベルを発行する等した後に、POS端末が設置されている別の場所へ移動し、会計処理を行うことになる。なお、事前に準備された商品に対してのプライスラベルが貼付済の定額商品を用意しておき、計量装置1から発行されるラベルにバーコードが無いようにしても良い。さらに、容器に詰めた商品を店員へ返却するような文字を印字しても良い。なお、商品返却のガイダンスの提供は表示部より、定額商品選択の操作において適宜行われる。
さらに、店員が定額商品の処理に介在した場合、容器内の商品は既に回収されているので、定額ラベルの発行を行わなくても良い。
【0066】
図9(b)の処理は、実施形態3の後段のステップS312で商品選択をする形態や実施形態1及び実施形態2についても適用可能である。これらの形態においては、ステップS602において、店員カード読取後には未だ商品が特定されていない。そこで、店員カード読取後に商品選択画面に画面移動する。そこで、まず購入対象の商品を特定する。購入対象の商品が特定されると、ステップS603において商品選択画面で選択された商品の最小測定量以下のいくつかの任意の内容量である定額商品のボタンが表示される。該ボタンをタップすると、計量装置1のラベル排出口17aからラベルが発行される。以下の処理は実施形態3と同様である。店員が介在し容器内の商品が店員により回収されるのであれば、S605の定額ラベル発行のステップをスキップしても良い。
【0067】
(イレギュラー対応のさらに別の例)
図9(a)や図9(b)において、イレギュラー対応は、計量装置1において完結する処理とされていたが、計量装置1が、商品識別情報やその他の情報(例えば、測定範囲外ではあるものの、一応の風袋引き重量や目安金額等)を出力して、情報処理装置2が、当該情報を引き継ぎ、図9(a)や図9(b)において示される処理と同様の処理、すなわち、販売金額(目安金額等を参考に顧客と店員で確定した金額)の入力や、定額商品として表示されたプリセットボタンの表示を実行できるように構成しても良い。図2(b)のシステム構成として示されるように、通信手段によって、情報を引き継ぐようにしても良いし、計量装置1が印字媒体を発行して、情報処理装置2の読取部でそれを読取る格好で、情報を引き継ぐようにしても良い。この場合、計量装置1での店員によるアクティベイト操作は不要となる。
【0068】
また、計量装置1で発行されたバーコードを読取ると自動的に販売金額入力画面や定額商品選択画面を表示するようにし、この際、該バーコードには例えば計量装置で発行された旨の情報を含むなどしても良い。図6(b)画面に「この重量で購入する」ボタンを表示し、該ボタンをタップすることで商品選択画面に画面移動し、購入する商品を選択することで、計量装置1によって商品識別情報または商品識別情報を含むバーコードを印字媒体として発行しても良い。
【0069】
(実施形態4)
実施形態1~3は、定額商品を購入するといった特別な処理での対応によって、最小測定量未満の商品を購入できるようにしたものであった。したがって、自分が詰めたものではないもの、実際に計量したものでないものを顧客は購入することになる。これのに対して、実施形態4は、計量装置1において、飽くまで自分で詰めた商品を自分自身で計量して購入したいという顧客の要望に応じることができるように、最小測定量未満の商品も購入できるようにした形態である。図10は、この場合の操作及び処理を示すフロー図である。容器は、顧客が持参するものであり、かつ、タグシールが貼付されているマイ容器か、店側が用意したものであって、容器選択画面で指定するデポジット容器が用いられることになる。
【0070】
ステップS401において、顧客は、容器に購入する商品を詰める作業を開始する。この際、フロー図には示されていないが、陳列容器の操作部や蓋部分にセンサが設けられている態様であれば、陳列容器のセンサID出力が、計量装置1へ送信されることになる。容器への商品投入を終えた顧客は、載台(載置部14a)の前へと移動する(ステップS402)。
【0071】
載台(載置部14a)の前へ移動した顧客は、操作開始ボタンを押下したり、容器を載置することにより、重量の変化を検出すると、待機画面(操作開始画面)に移動する。また、撮像部や人感センサにより検知した計量装置1は、表示部15に待機画面を表示するように制御されてもよい(ステップS403)。図6(a)は、待機画面の一例である。「はかりの中央に商品をおいてスタート」と表示され、商品をはかりの端でなく、中央に正しく置くように、顧客へのガイダンスが提供されている。
【0072】
ステップS404において、ガイダンスに促されて、顧客が商品の投入された容器を載台(載置部14a)に載置すると、計量装置1の無線タグ読書部が非接触型のICタグ(タグシール)の情報を読み取る処理を行う。ステップS405では、読取が完了したか否かの判定処理が行われる。タグシールの向きと無線タグ読書部の指向性との関係や、内容物の種類如何によっては、読取がされ難い場合があるので、表示部15に「容器の向きを変えてください」、「容器を回転させてください」等の適時画面を表示させ、読取が行われるように促すようにするのが好適である。
【0073】
顧客が持参し、かつ、タグシールが貼付されているマイ容器が載台(載置部14a)に載置されたならば、ステップS405において、風袋量の読込が完了されたと判断されて、ステップS408に進み、風袋量が読み込まれることになる。一方、店舗に用意されている購入容器が載台(載置部14a)に載置されたならば、ステップS405において、風袋量の読込不能と判断されて、ステップS406に進み、計量装置1は、表示部15に容器選択画面を表示するように制御される。図8(a)は、容器選択画面の一例である。取扱いのある容器リストのタッチボタンの表示と共に、「容器を選択してください」とのガイダンス表示が行われている。顧客は、該当する容器のボタンをタップする(ステップS407)ここで、再度風袋量の読取をリトライする場合の「風袋読取りリトライ」ボタンを表示するようにしても良い。さらに、店員呼出しボタンも同時に表示するようにしても良い。こうすることで、風袋量の読取エラーのリトライを顧客自ら実行できるので店員が呼び出されないで良いし、必要に応じて店員呼出しも可能となる。なお、店員呼出しボタンは常時表示されているボタンでも良いし、別途メカキーを用意しても良い。
【0074】
ステップS405における風袋量のタグシールからの読込、又は、ステップS407における容器の選択の何れかにより、風袋量が確定すると、計量装置1は、計量されている重量と風袋量に基づいて風袋引き演算を実行する(ステップS408)。次いで、計量装置1は、風袋引き演算により求められた重量が最小測定量未満であるか否かを判定する。具体的に、この例では、ネット重量が20g未満であるか否かが判定される(ステップS409)。
【0075】
ステップS409において、ネット重量が20g未満ではないと判定された場合に、計量装置1は、表示部15に商品選択画面を表示するように制御される(ステップS410)。図7(a)は、商品選択画面の一例である。ここでは、風袋重量「10g」の表示、風袋引き後の重量「65g」の表示と共に、複数の商品リストが表示されている。所定期間に陳列容器の操作部や蓋部分に設けられたセンサID出力のあった複数の対応商品が、商品選択画面中に表示されるように構成されている点は、実施形態1や実施形態2と同様である。
【0076】
ステップS411において、顧客が商品リストの中から購入する商品をタップすると、プリント画面に遷移する(ステップS412)。顧客は、容器に投入した商品に対応させて、例えば、ブレンドハーブティーのボタンをタップする。このようにして画面遷移されたプリント指示画面の一例が図7(b)である。ここでは、「65g」のブレンドハーブティーが投入された旨が表示されており、併せて、単価の「190(円/100g)」と値段の「124円」という情報も表示されている。ここでの例は、マイ容器を示したものであるが、購入容器を選択した場合は、購入容器名称やの購入容器の代金が併せて表示されることになる。また、ラベル発行を促すべく、プリンタアイコンと共に「プリント」の文字表示がされている。ステップS413において、顧客がプリンタアイコンをタップすると、計量装置1のラベル排出口17aからラベルが発行される(ステップS414)。なお、ラベルに記録される値段の情報は、マイ容器であるか、購入容器であるかによって、異なることになる。すなわち、後者の場合は、容器の代金がオンされた値段の情報となる。顧客は、発行されたラベルを容器に貼付する等して、さらに、適宜、別の商品を購入する等した後に、POSレジが設置されている別の場所へ移動し、会計処理を行うことになる。
【0077】
ステップS409において、ネット重量が20g未満であると判定されたならば、ステップS415へと進む。当該ステップにおいて、計量装置1は、表示部15に、別の載台へ商品の入った容器を移動させることを促すガイダンスを表示するように制御される。別の載台は、例えば、最小測定量が1gである計量部141(図1及び図2において不図示)といった、要するに、20g未満の重量でも、取引・証明用として、そのはかりが使用できることが保証された計量部である。この構成により、煩雑なイレギュラー処理対応をすることなく、簡単に、計量販売処理を完遂することが可能となる。なお、ステップS405において読み込まれた風袋重量や、ステップS407において読み込まれた容器の値段は、別の載台での計量部141にも引き継がれて、運用されるように構成すると便利である。また、非接触型のICタグ(タグシール)に対して情報の読み書きを実行する無線タグ読書部については、計量部14と計量部141の両方に備えさせてもよいし、計量部14のみが備えるようにしてもよい。後者の態様の場合において、最初から、計量部141の載台に商品の入った容器を載置しようとする顧客に対しては、一旦、計量部14の載台に容器を載置するように促すガイダンスを表示させるようにすると良い。
【0078】
ステップS418からステップS422の処理は、基本的には、ステップS410からステップS414の処理と同様であるので、説明は省略するが、プリント指示画面の表示は、図7(b)で示される重量よりも格段に小さいものが表示されることになる。
【0079】
ここまで説明した4つの実施形態やイレギュラー対応は、重量が最小測定量未満や秤量超過などの状態に対処する技術というように狭く捉えられるべきものではない。例えば、タグシールの読取結果からスムーズな操作を実現するに適した多くの技術内容を開示するものである。具体的には、風袋量が読み取れない場合にエラー報知するだけではなく、読取りやすいようにガイダンスを表示したり、容器選択画面を自動的に表示して容器を特定したりすることによって、事前に設定されている風袋量や代金(デポジット容器の場合は、デポジット代金、購入容器の場合は購入代金)の情報を円滑に取得して顧客や不慣れな操作者が操作に行き詰まらないようにすることができる。
さらに、デポジット容器の場合はタグシールに風袋量や課金済などの情報を書き込むことで、次回操作よりマイ容器を同等の操作ができるようになる点など、非常に有用である。
【0080】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、計量装置に関するものであって、特に、量り売り販売に適した計量装置及びシステムに関する。
[背景技術]
従来、量り売りの用途として、購入商品に相当するボタンを選択し、重量に応じた価格を算出させ、ラベルを発行させることができるようにした計量装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2001-101529号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
量り売り用の計量装置としては、取引証明用計量装置が用いられるところ、取引証明が有効となる測定範囲というものが定められている。すなわち、目量から定められる最小測定量未満である場合や秤量を超過した場合には、取引証明をすることができない。多くの販売物品は、測定範囲内に収まるような量で購入されることが多い一方で、一部の商品については(例えば、特殊なスパイスや香辛料は高価であったりするといった事情で)、できるだけ少量で購入したいと考える顧客も存在する。しかしながら、従来の量り売り用の計量装置は、少量販売での状況に対応していないという問題があった。また、とにかく沢山の量を購入したいと考える顧客が秤量超過する程の量を購入しようとした場合にも、同様の問題が発生する。
本発明は、量り売り販売での種々の状況に対応した計量装置及びシステムを提供することを課題とするものである。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、載置部に載置された被計量物を計量する計量手段(計量部14)と、風袋重量を減算する風袋引き手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、表示手段(表示部15)を備える計量装置(計量装置1)であって、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段(CPU11、ROM12、RAM13、表示部15及び音声出力部16)を備えることを特徴とする。
【0081】
上記構成によれば、どのように先の処理に進めば良いか分からず、顧客が当惑するといったことがない計量装置を提供することができる。
【0082】
(2)本実施形態の一態様は、載置部に載置された被計量物を計量する計量手段(計量部14)と、風袋重量を減算する風袋引き手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、表示手段(表示部15)を備える計量装置(計量装置1)であって、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、秤量超過であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が秤量超過であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段(CPU11、ROM12、RAM13、表示部15及び音声出力部16)を備えることを特徴とする。
【0083】
上記構成によれば、どのように先の処理に進めば良いか分からず、顧客が当惑するといったことがない計量装置を提供することができる。
【0084】
(3)本実施形態の一態様は、載置部に載置された被計量物を計量する計量手段(計量部14)と、風袋重量を減算する風袋引き手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、表示手段(表示部15)を備える計量装置(計量装置1)であって、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否か、及び/又は、秤量超過であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、前記測定範囲外状態判定手段により、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合、又は、秤量超過であると判定された場合に該旨を報知する測定範囲外状態報知手段(CPU11、ROM12、RAM13、表示部15及び音声出力部16)を備えることを特徴とする。
【0085】
上記構成によれば、どのように先の処理に進めば良いか分からず、顧客が当惑するといったことがない計量装置を提供することができる。
【0086】
(4)本実施形態の一態様は、(1)に記載の計量装置(計量装置1)において、前記測定範囲外状態判定手段において、単価を特定する単価特定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、単価と前記風袋引き手段で減算された後の重量に基づいて販売金額を算出する手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、最小測定量までの不足重量を算出する不足重量算出手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)を備え、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満ではないと判定された場合に、当該判定の前に特定されていた、若しくは、当該判定の後に特定される単価に応じた販売金額を算出し、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、前記表示手段は、前記不足重量算出手段が算出した不足重量を表示することを特徴とする。
【0087】
上記構成によれば、不足重量に対する適正な操作を行うことを顧客にガイダンスすることが可能な計量装置を提供することができる。
【0088】
(5)本実施形態の一態様は、(2)に記載の計量装置(計量装置1)において、前記測定範囲外状態判定手段において、単価を特定する単価特定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、単価と前記風袋引き手段で減算された後の重量に基づいて販売金額を算出する手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、秤量からの超過重量を算出する超過重量算出手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)を備え、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が秤量超過ではないと判定された場合に、当該判定の前に特定されていた、若しくは、当該判定の後に特定される単価に応じた販売金額を算出し、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が秤量超過であると判定された場合に、前記表示手段は、前記超過重量算出手段が算出した超過重量を表示することを特徴とする。
【0089】
上記構成によれば、超過重量に対する適正な操作を行うことを顧客にガイダンスすることが可能な計量装置を提供することができる。
【0090】
(6)本実施形態の一態様は、(1)から(3)の何れかに記載の計量装置(計量装置1)において、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、所定条件の下で単価を特定する単価特定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、前記単価情報特定手段により単価が特定された後に、販売金額を入力可能とする販売金額入力手段(CPU11及び表示部15)を備えることを特徴とする。
【0091】
上記構成によれば、商品を最小測定量より少ない量で購入することが可能な計量装置を提供することができる。
【0092】
(7)本実施形態の一態様は、(1)又は(2)に記載の計量装置(計量装置1)において、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、所定条件の下で、前記表示手段(表示部15)は、該商品の定額販売用の商品選択ボタンを表示することを特徴とする。
【0093】
上記構成によれば、商品を最小測定量より少ない量で購入することが可能な計量装置を提供することができる。
【0094】
(8)本実施形態の一態様は、(1)又は(2)に記載の計量装置(計量装置1)において、商品を特定する商品特定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、前記商品特定手段で特定された商品識別情報を出力する出力手段(印刷部17又は通信部18)を備えることを特徴とする。
【0095】
上記構成によれば、情報処理装置と組み合わせることによって、商品を最小測定量より少ない量で購入することが可能な計量装置を提供することができる。
【0096】
(9)本実施形態の一態様は、(1)に記載の計量装置(計量装置1)において、風袋重量を読取る読取手段(無線タグ読書部)を備え、該読取り手段で風袋重量が読み取れない場合、前記表示手段は、容器選択ボタン(容器リストのタッチボタン)を表示し、該容器選択ボタンを押下することにより風袋重量の減算処理を実行することを特徴とする。
【0097】
上記構成によれば、顧客が自分の容器を持参していない場合でも、円滑に計量・販売処理を進めることが可能な計量装置を提供することができる。
【0098】
本実施形態の一態様は、計量装置(計量装置1)と情報処理装置(情報処理装置2)を備えるシステムであって、前記計量装置(計量装置1)は、商品を特定する商品特定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、載置部に載置された被計量物を計量する計量手段(計量部14)と、風袋重量を減算する風袋引き手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、前記計量手段で計量され、前記風袋引き手段で減算された後の重量が、最小測定量未満であるか否かを判定する測定範囲外状態判定手段(CPU11、ROM12、及びRAM13)と、前記測定範囲外状態判定手段において、前記風袋引き手段で減算された後の重量が最小測定量未満であると判定された場合に、前記商品特定手段で特定された商品識別情報を出力する商品識別情報出力手段(印刷部17又は通信部18)を有し、前記情報処理装置(情報処理装置2)は、前記商品識別情報出力手段で出力された商品識別情報を入力する入力手段を有し、前記入力手段で入力された商品識別情報に対する販売金額を入力する販売金額入力手段、若しくは、前記入力手段で入力された商品識別情報に関連する定額販売用の商品選択ボタンを表示する選択ボタン表示手段のうち、少なくとも一つを有することを特徴とする。
【0099】
上記構成によれば、商品を最小測定量より少ない量で購入することが可能なシステムを提供することができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態に係る計量装置1及び計量装置1と情報処理装置2とから成るシステムについて、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態1や2において、載台へ容器を載置する前に、商品選択画面の表示を行うように構成してもよい。この場合、最小測定量未満のときであっても、単価が特定されていることになるので、不足重量に対して追加をしない場合に、イレギュラー処理へと進む工程を簡便なものとすることが可能となる。これとは、逆に、イレギュラー処理というものを設けず、最小測定量未満のときは、取引中止とするように構成してもよい。
また、説明した実施形態では、商品が特定された後に、風袋引きのための演算が実行され、風袋引き重量が表示されるように構成されていたが、購入商品を特定して初めて計量法の適用となる測定範囲外の重量の発生との問題が生じるという商慣行に馴染むような態様を用意しただけのことである。したがって、当該態様とは異なり、商品の特定に関わらず、風袋引き演算後の重量が表示されると共に、測定範囲外である旨の表示が行われるように構成しても良い。
また、説明した実施形態では、タグシールに記憶されている風袋重量を用いて風袋引き演算を行う構成であったが、置数による風袋引きや、風袋載置による風袋引きといった手法を採用しても、本発明の技術的思想に含まれるものである。
さらに、アドオン構成として、店員呼出ボタンがタップされた際に、「最小測定量未満」の呼出しである旨が判別可能なアラートを店員に報知するといった機能を追加することなども想定できる。そのように構成すれば、その後の処理が円滑に実行できることになる。
【符号の説明】
【0101】
1 計量装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 計量部
14a 載置部
15 表示部
16 音声出力部
17 印刷部
17a ラベル排出口
18 通信部
2 情報処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10