(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104448
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】履物及び振動発生ユニット並びにこの振動発生ユニットを備えた履物又は中敷き
(51)【国際特許分類】
A43D 999/00 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A43D999/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008653
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】523026949
【氏名又は名称】アオイロファブリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏紀
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050GA30
(57)【要約】
【課題】電動による振動器を使用することなく、使用者の足に振動を付与することができる新規な履物等を提供する。
【解決手段】ソール72,73の内部に収容空間(凹部72a,73a)が形成され、この収容空間内には、略水平に配置された弾性材(板バネ部75b,75c,75d,75e,75f)と、この弾性材の先端に固定された錘75g,75h,75i,75j,75kとを備えた振動発生部材が配置され、使用者による歩行により、上記錘75iが上下動して使用者の足に振動が付与される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソールの内部に収容空間が形成され、この収容空間内には、略水平に配置された弾性材と、この弾性材の先端に固定された錘とを備えた振動発生部材が配置され、使用者による歩行により、上記錘が上下動して使用者の足に振動が付与されることを特徴とする履物。
【請求項2】
前記弾性材は複数であり、前記錘はこれらの弾性材の先端にそれぞれ固定されてなることを特徴とする請求項1記載の履物。
【請求項3】
履物を構成するソールの内部に形成された収容空間に収容される振動発生ユニットであって、略水平に配置された弾性材と、この弾性材の先端に固定された錘とを備え、
上記履物の使用者による歩行により、上記錘が上下動して使用者の足に振動が付与されることを特徴とする振動発生ユニット。
【請求項4】
前記弾性材は複数であり、前記錘はこれらの弾性材の先端にそれぞれ固定されてなることを特徴とする請求項3記載の振動発生ユニット。
【請求項5】
前記単一の又は複数の弾性材と前記単一の又は複数の錘は、ケース内に配置されてなるとともに、該錘は磁石からなり、
上記ケースには、上記錘の上方位置に一方の反発用磁石が配置され、該錘の下方位置に他方の反発用磁石が配置されてなり、
上記錘である磁石の上面と上記一方の反発用磁石の下面の磁極とは互いに同一となされ、上記錘である磁石の下面と上記他方の反発用磁石の上面との磁極は互いに同一とされてなることを特徴とする請求項3又は4記載の何れかの振動発生ユニット。
【請求項6】
前記ケースは、天板部とこの天板部の外周から垂下してなる上側枠部とを有する上側ケース半体と、底板部とこの底板部の外周から起立してなる下側枠部とを有する下側ケース半体と、を備え、
前記弾性材は板バネからなるとともに、
該板バネの基端は、上記上側ケース半体を構成する上側枠体と上記下側ケース半体を構成する下側枠体とにより挟まれてなる枠板部に連続してなることを特徴とする請求項5記載の振動発生ユニット。
【請求項7】
前記上側ケース半体を構成する天板部であって前記錘の上方には、該天板部の上方から前記一方の反発用磁石が配置される上側凹部が形成され、前記下側ケース半体を構成する底板部であって前記磁石である錘の下方には、該底板部の下方から前記他方の反発用磁石が配置される下側凹部が形成され、
これら上側凹部と下側凹部との深さは、それぞれ上記一方及び他方の反発用磁石の肉厚に略等しいものとされてなることを特徴とする請求項6記載の振動発生ユニット。
【請求項8】
前記上側ケース半体を構成する天板部の下面又は前記下側ケース半体を構成する底板部の上面には、下端又は上端が上記底板部の上面又は天板部の下面に当接し又は接近してなる支柱が垂下又は起立してなるか、
又は、上記天板部の下面からは上側支柱半体が垂下してなるとともに、上記底板部の上面からは上面が該上側支柱半体の下面に当接し又は接近してなる下側支柱半体が起立されてなることを特徴とする請求項6又は7記載の何れかの振動発生ユニット。
【請求項9】
前記請求項3ないし8記載の何れかの振動発生ユニットがソールの内部に形成された収容空間内に配置されてなることを特徴とする履物。
【請求項10】
前記請求項3ないし8記載の何れかの振動発生ユニットが内部に形成された収容空間内に配置されてなることを特徴とする履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の歩行による衝撃から振動を発生させ、該振動を使用者の足に付与することにより、使用者の健康増進に寄与する履物等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、使用者の健康増進を目的に、シューズ(運動靴)やスリッパその他の履物の内部に、電池に接続された振動器を配置し、スイッチのオン操作により該振動器が駆動して使用者に振動を付与する(マッサージ効果を付与する)ものが開示されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-085102号公報
【特許文献2】実用新案登録第3069602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記振動器を構成要素とする履物では、該振動器が電源により駆動するものであることから、以下に記載する様々な課題を有する。
(1)履物内には、上記振動器ばかりではなく、該振動器に接続された電源(蓄電池)も必然的に配置せざるを得ないことから、安価に製造することができないばかりか、構成が複雑化するとともに使用者の歩行が繰り返されることにより、電動器と電源(蓄電池)との電気的に接続するコードが断線する可能性が高い。上記電動器の駆動がスイッチによりオン・オフ操作される場合には、より上記断線される危険性が増大する。
(2)上記電源(蓄電池)に蓄電された電気が消耗された場合には、該電源(蓄電池)を交換するか、或いは該蓄電池が二次電池である場合には充電しなければならず、使用者の使い勝手は極めて悪い。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、電動による振動器を使用することなく、使用者の足に振動を付与することができる新規な履物等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、履物に係るものであって、ソールの内部に収容空間が形成され、この収容空間内には、略水平に配置された弾性材と、この弾性材の先端に固定された錘とを備えた振動発生部材が配置され、使用者による歩行により、上記錘が上下動して使用者の足に振動が付与されることを特徴とするものである。
【0007】
この第1の発明に係る履物では、使用者の歩行に伴って上記弾性材の先端に固定された錘が上下動して振動を発生し、この振動が使用者の足裏に伝播されることにより使用者の足の血行が促進される等健康上の効果を有する。
【0008】
なお、この第1の発明において、上記履物は、運動靴、スニーカー、ブーツ、雨靴、サンダル、スリッパ等使用者が歩行する際に足に装着されて使用されるものの全てを含む。また、この発明を構成する上記弾性材は、板バネであると弦巻バネであるかを問わず、およそ先端で上記錘が固定・支持されているとともに弾性作用を有するものであれば何れも使用することができる。また、上記錘は上記弾性材の先端に固定・支持されており、使用者の歩行により上下動可能な質量を備えた物であれば良く、その形状も特に限定されるものではない。なお、これら弾性材と錘は、上記ソールの内部に形成された収容空間内に配置されるものであることから、該弾性材は板バネを使用し、また上記錘は円盤状のように偏平な形状とすることが好ましい。また、上記ソールに形成された収容空間の形成位置は特に限定されるものではなく、該履物を使用する使用者の踵側や爪先側又はこれらの両方、又はソールの長さ方向の中央であっても良い。
【0009】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記弾性材は複数であり、前記錘はこれらの弾性材の先端にそれぞれ固定されてなることを特徴とするものである。
【0010】
この第2の発明に係る履物では、対となる上記弾性材と錘とが複数対とされたものであり、単一のものと比較した場合、より一層使用者に振動を付与することが可能となる。なお、この第2の発明のように、上記弾性材と錘とが複数対とされたものにおいて、それぞれの弾性材が並んで一定方向(例えば、該履物の上面視において、左側から右側にかけてそれぞれ長さを有する方向)に配置し、それぞれの弾性材の先端に錘が固定されている場合に限らず、該弾性材が左右方向から延在され、錘は並ぶことなく各弾性材の間に位置するものであっても良い。また、それぞれの弾性材の長さは必ずしも均一である必要性はなく、また、錘の大きさ、形状、質量もそれぞれが異なるものであっても良い。
【0011】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、振動発生ユニットに係るものであり、この振動発生ユニットは、履物を構成するソールの内部に形成された収容空間に収容されるものであって、略水平に配置された弾性材と、この弾性材の先端に固定された錘とを備え、上記履物の使用者による歩行により、上記錘が上下動して使用者の足に振動が付与されることを特徴とするものである。
【0012】
この第3の発明に係る振動発生ユニットが収容空間に収容された履物を使用することにより、上記第1の発明と同じように、歩行に伴って上記弾性材の先端に固定された錘が上下動して振動を発生し、この振動が使用者の足裏に伝播されることにより使用者の足の血行が促進される等健康上の効果を有するとともに、上記弾性材と錘とはユニット化されたものであることから、履物に形成された収容空間内に容易に装着することが可能となる。
【0013】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第3の発明において、前記弾性材は複数であり、前記錘はこれらの弾性材の先端にそれぞれ固定されてなることを特徴とするものである。
【0014】
この第4の発明のように、弾性材と錘とが一対とされた構成が複数対配置されたこの振動発生ユニットにより、より一層履物に形成された収容空間内に容易に装着することが可能となる。
【0015】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第3又は第4の発明の何れかにおいて、前記単一の又は複数の弾性材と前記単一の又は複数の錘は、ケース内に配置されてなるとともに、該錘は磁石からなり、上記ケースには、上記錘の上方位置に一方の反発用磁石が配置され、該錘の下方位置に他方の反発用磁石が配置されてなり、上記錘である磁石の上面と上記一方の反発用磁石の下面の磁極とは互いに同一となされ、上記錘である磁石の下面と上記他方の反発用磁石の上面との磁極は互いに同一とされてなることを特徴とするものである。
【0016】
この第5の発明に係る振動発生ユニットでは、上記ケース内に配置された錘は磁石から構成され、該磁石である錘の上方位置に一方の反発用磁石が配置され、該磁石である錘の下方位置に他方の反発用磁石が配置されている。そして、上記磁石である錘の上面と上記一方の反発用磁石の下面の磁極とは互いに同一となされ、上記磁石である錘の下面と上記他方の反発用磁石の上面との磁極は互いに同一とされている。すなわち、上記磁石である錘の上面が、例えばN極である場合には、上記一方の反発用磁石の下面もN極とされ、この場合において磁石である錘の下面はS極であり、上記他方の反発用磁石の上面はS極とされている。したがって、こうした構成に係る振動発生ユニットが配置された履物を使用して使用者が歩行して磁石である錘に振動が付与され、該錘が上方に移動すると、上記一方の反発用磁石により該錘には下方への反発力が付与され、このように錘が下方に移動すると、上記他方の反発用磁石により該錘には上方に反発力が付与される。この結果、上記磁石である錘は上記一方の反発用磁石と他方の反発用磁石とにより、長時間に亘って微妙な上下動を繰り返し、こうした上下動が使用者の足に振動として作用する。したがって、この第5の発明に係る振動発生ユニットが配置された履物(請求項9に係る履物)によれば、使用者に対して長時間に亘って振動を付与することができ、一層血流の促進に寄与することができる。
【0017】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第5の発明において、前記ケースは、天板部とこの天板部の外周から垂下してなる上側枠部とを有する上側ケース半体と、底板部とこの底板部の外周から起立してなる下側枠部とを有する下側ケース半体と、を備え、前記弾性材は板バネからなるとともに、該板バネの基端は、上記上側ケース半体を構成する上側枠体と上記下側ケース半体を構成する下側枠体とにより挟まれてなる枠板部に連続してなることを特徴とするものである。
【0018】
この第6の発明に係る振動発生ユニットでは、上側ケース半体と下側ケース半体とにより前記ケースが構成され、上記弾性部材は板バネからなるものである。そして、この板バネは、枠板部にその基端が連続してなり、該枠板部は、上記上側ケース半体を構成する上側枠部と上記下側ケース半体を構成する下側枠部とにより挟持されている。したがって、ケースに対する弾性部材(板バネ)の固定作業は極めて簡単となるばかりではなく、この振動発生ユニット全体の厚みを短いものとすることができることから、履物のソール内に形成すべき収容空間も短い高さとすることができる。
【0019】
また、第7の発明(請求項7記載の発明)は、上記第6の発明において、前記上側ケース半体を構成する天板部であって前記錘の上方には、該天板部の上方から前記一方の反発用磁石が配置される上側凹部が形成され、前記下側ケース半体を構成する底板部であって前記磁石である錘の下方には、該底板部の下方から前記他方の反発用磁石が配置される下側凹部が形成され、これら上側凹部と下側凹部との深さは、それぞれ上記一方及び他方の反発用磁石の肉厚に略等しいものとされてなることを特徴とするものである。
【0020】
この第7の発明に係る振動発生ユニットでは、上記一方の反発用磁石と他方の反発用磁石とは、上記上側凹部又は下側凹部内に配置されるとともに、該上側凹部及び下側凹部の深さはそれぞれ上記一方及び他方の反発用磁石の肉厚に略等しいものとされている。換言すれば、上記一方及び他方の反発用磁石は、それぞれ上記ケース内に配置・収容されているものではないことから、より一層全体の厚みを短いものとすることができる。
【0021】
また、第8の発明(請求項8記載の発明)は、上記第6又は第7の発明の何れかにおいて、前記上側ケース半体を構成する天板部の下面又は前記下側ケース半体を構成する底板部の上面には、下端又は上端が上記底板部の上面又は天板部の下面に当接し又は接近してなる支柱が垂下又は起立してなるか、又は、上記天板部の下面からは上側支柱半体が垂下してなるとともに、上記底板部の上面からは上面が該上側支柱半体の下面に当接し又は接近してなる下側支柱半体が起立されてなることを特徴とするものである。
【0022】
この第8の発明に係る振動発生ユニットは、次の(1)から(3)の態様を含むものである。(1)前記上側ケース半体を構成する天板部の下面に、下端が上記底板部の上面に当接し又は接近してなる支柱が垂下してなるもの、(2)前記下側ケース半体を構成する底板部の上面に、上記天板部の下面に当接し又は接近してなる支柱が起立してなるもの、(3)上記天板部の下面からは上側支柱半体が垂下してなるとともに、上記底板部の上面からは上面が該上側支柱半体の下面に当接し又は接近してなる下側支柱半体が起立されてなるもの。
【0023】
したがって、この第8の発明に係る振動発生ユニットによれば、上記支柱又は上側支柱半体と下側支柱半体との双方により、履物に形成された収容空間に収容されて使用され、該ケースに大きな荷重が作用した場合であっても、該ケース全体が破損したり変形したりすることが防止することができる。
【0024】
また、第9の発明(請求項9記載の発明)は、履物に係るものであって、前記第2ないし第8の発明に係る何れかの振動発生ユニットがソールの内部に形成された収容空間内に配置されてなることを特徴とするものである。また、第10の発明(請求項10記載の発明)は、中敷きに係るものであって、上記第3ないし8記載の何れかの振動発生ユニットが内部に形成された収容空間内に配置されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る履物や振動発生ユニット並びにこの振動発生ユニットが配置された履物又は中敷きによれば、電動による振動器を使用することなく、使用者の足に振動を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施の形態に係る運動靴をアッパーとソールとを分解して示す分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す振動発生ユニットの分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す振動発生ユニットの断面図である。
【
図5】
図1に示す振動発生ユニットの上側ケース半体を除いた状態を示す平面図です。
【
図6】第2の実施の形態に係る中敷きを示す斜視図である。
【
図8】第3の実施の形態に係るサンダルを一部破断して示す側面図である。
【
図9】
図8に示すサンダルを一部破断して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る履物を、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態として、本発明を履物の一種である運動靴に適用した例を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
この実施の形態である運動靴1は、
図1又は
図2に示すように、ソール2とアッパー3とを備えてなるものであり、上記ソール2は、本実施の形態においては、下面が地面への接地面とされたアウトソール21と、このアウトソール21上に形成されたミッドソール22とを備えたものである。そして、上記ミッドソール22の上面であって使用者の踵側中途部には、上方が開放された凹部22aが形成され、この凹部22a内には、後述する振動発生ユニット4が収容されてなるとともに、
図2に示すように、該凹部2aは、上記アッパー3に形成されたインナーソール31により閉塞されている。なお、上記凹部22aは、この振動発生ユニット4が収容された収容空間である。
【0029】
そして、上記凹部22a内に収容された振動発生ユニット4は、
図3に示すように、合成樹脂により成形され上側ケース半体42と下側ケース半体43とからなるケース41と、板バネ部材44と、第1ないし第3の錘45,46,47と、第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50と、第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53とを備えている。
【0030】
上記ケース41を構成する上側ケース半体42は、天板部42aと、この天板部42aの外周から垂下し枠状に成形された上側枠部42bとを有し、また上記下側ケース半体43は、上記天板部42aと対向してなる底板部43aと、この底板部43aの外周から起立し枠状に成形された下側枠部43bとから構成されている。なお、上記天板部42aと底板部43aとは同一の形状に成形されてなるとともに上記上側枠部42bと下側枠部43bとは面対称に成形されたものである。そして、上記上側ケース半体42の天板部42aの上面には、第1の上側凹部42cと、第2の上側凹部42dと、第3の上側凹部42eが形成されている。上記第2の上側凹部42dは、上記天板部42aの中央からこの運動靴1の踵側に形成され、上記第1の上側凹分42cと第3の上側凹部42eは、該運動靴1の幅方向に並んで形成されている。また、上記下側ケース半体43の底板部43aの下面面には、第1の下側凹部43cと、第2の下側凹部43dと、第3の下側凹部43eが形成されている。上記第2の下側凹部43dは、上記底板部43aの中央からこの運動靴1の踵側に形成されてなるものであって上記第2の上側凹部42dの下方に位置してなるものであり、上記第1の下側凹部42cと第3の下側凹部43eは、該運動靴1の幅方向に並んで形成されてなるものであって該第1の下側凹部43cは上記第1の上側凹部42cの下方に位置し、また該第3の下側凹部43eは上記第3の上側凹部42eの下方に位置している。
【0031】
また、上記上側ケース半体42を構成する天板部42aの略中央には、第1の上側支柱半体42fと、第2の上側支柱半体42gとが互いに面対向した状態で垂下されており、また、上記下側ケース半体43を構成する底板部43aの上面には、上端が上記第1の上側支柱半体42fに上端が対向し又は当接された第1の下側支柱半体43fと、上端が上記第2の上側支柱半体42gに上端が対向し又は当接された第2の下側支柱半体43gとが起立されている。
【0032】
また、上記板バネ部材44は全体が磁石により板状に成形されてなるものであって、
図3又は
図5に示すように、上記上側ケース半体42を構成する上側枠部42b及び上記下側ケース半体43を構成する下側枠部43bの下面の形状とそれぞれ同一の形状に成形された枠板部44aと、この枠板部44aの内側から略水平に突出してなる第1の板バネ部44bと第2の板バネ部44cと第3の板バネ部44dとから構成されている。上記第1の板バネ部44bと第3の板バネ部44dとは、それぞれその基端(枠板部44aの内周)からややこの運動靴1の爪先側に延設され、互いに平行とされている。また、上記第2の板バネ部44cは、その基端(枠板部44aの内周)からややこの運動靴1の踵側に延設されており、上記第1の板バネ部44bと第3の板バネ部44dとの間に位置している。また、この第2の板バネ部44cの中途部は、上記第1の上側支柱半体42f及び第1の下側支柱半体43fと上記第2の上側支柱半体42g及び第2の下側支柱半体43gとの間に位置している。なお、この実施の形態においては、そして、上記第1ないし第3の板バネ部44b,44c,44dの先端には、それぞれ複数の固定爪部(符号は省略する。)が形成された円盤状の(第1ないし第3の)錘載置板部44e,44f,44gが形成され、上記第1の錘載置板部44e上には上記第1の錘45が取り付けられ、
図4に示すように、上記第2の錘載置板部44f上には上記第2の錘46が取り付けられ、上記第3の錘載置板部44g上には上記第3の錘47が取り付けられている。
【0033】
そして、上記第1ないし第3の錘45,46,47は、それぞれ全体形状が円盤状に成形されてなるとともに磁石からなるものであって、この実施の形態では、該第1ないし第3の錘45,46,47の上面側の極性はS極とされ裏面側の極性はN極とされている。
【0034】
また、上記第1の上側凹部42c内には、第1の上側反発用磁石48が上記上側ケース半体42の上方から配置(嵌合又は接着)され、上記第2の上側凹部42d内には、第2の上側反発用磁石49が上記上側ケース半体42の上方から配置(嵌合又は接着)され、また、上記第3の上側凹部42e内には、第3の上側反発用磁石50が上記上側ケース半体42の上方から配置(嵌合又は接着)されている。これら第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50は、それぞれ本発明を構成する一方の反発用磁石である。そして、これら第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50は全て円盤状に成形され、その肉厚は上記第1ないし第3の上側凹部42c,42d,42eの深さと略同一とされてなるとともに、それぞれの下面の極性は、上記第1ないし第3の錘45,46,47の上面側の極性であるS極と同じS極とされている。また、上記第1の下側凹部43c内には、第1の下側反発用磁石51が上記下側ケース半体43の下方から配置(嵌合又は接着)され、上記第2の下側凹部43d内には、第2の下側反発用磁石52が上記下側ケース半体43の下方から配置(嵌合又は接着)され、また、上記第3の下側凹部43e内には、第3の下側反発用磁石53が上記下側ケース半体43の下方から配置(嵌合又は接着)されている。これら第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53は、それぞれ本発明を構成する他方の反発用磁石である。そして、これら第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53は、第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50と同一形状(円盤状)に成形され、その肉厚は上記第1ないし第3の下側凹部43c,43d,43eの深さと略同一とされてなるとともに、該第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53の上面の極性は、上記第1ないし第3の錘45,46,47の下面側の極性であるN極と同じN極とされている。
【0035】
したがって、上述した第1の実施の形態に係る運動靴1によれば、使用者により足に装着され歩行され、該歩行による衝撃が上記振動発生ユニット4に伝わると、上記第1ないし第3の錘45,46,47は上記第1ないし第3の板バネ部44b,44c,44dを介して上下動するとともに、これら第1ないし第3の錘45,46,47がそれぞれ上方に移動した際には、上記第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50により下方に反発され、また該第1ないし第3の錘45,46,47がそれぞれ下方に移動した際には、上記第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53により上方に反発され、こうした反発動作により上方に移動した第1ないし第3の錘45,46,47は再び下方に反発される。すなわち、これら第1ないし第3の錘45,46,47は、上記第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50と第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53との磁力により該第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50と第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53との間で衝撃音さえ発生することなく小刻みに一定時間に亘った振動が継続し、こうした継続した振動が使用者の足に伝播されて使用者の足の血流を効果的に促すことができる。
【0036】
特に、この第1の実施の形態に係る運動靴1を構成する上記振動発生ユニット4は、本発明を構成する弾性部材としての板バネ(第1ないし第3の板バネ部44b,44c,44d)とこの板バネの先端に固定された錘(第1ないし第3の錘45,46,47)との対が全部で3対に亘って構成されていることから、より一層使用者の足の血流を効果的に促すことができる。また、上記振動発生ユニット4を構成する上記第1ないし第3の上側反発用磁石48,49,50及び第1ないし第3の下側反発用磁石51,52,53は、上記ケース41内に配置されているのではなく、上記上側ケース半体42の天板部42aに形成された第1ないし第3の第1の上側凹部42c,42d,42eや上記下側ケース半体43の底板部43aに形成された第1ないし第3の下側凹部43c,43d,43e内に配置されていることから、該振動発生ユニット4全体の肉厚を比較的短いものとすることができる。さらにまた、上記振動発生ユニット4には、上記第1及び第2の上側支柱半体42f,42gと第1及び第2の下側支柱半体43f,43gとが形成されていることから、使用者の方向により圧縮された場合であっても該振動発生ユニット4のケース41が割れたりヒビが入ったりする等の破損を有効に回避することができる。
【0037】
なお、上記第1の実施の形態では、本発明を運動靴1に適用したものであるが、本発明はこうした運動靴1ではなく、例えば
図6及び
図7に示す(第2の実施の形態である)中敷き61に形成された凹部61a内に上述した振動発生ユニット4が収容されてなるものであっても良い。なお、この中敷き61は、上記凹部61a内に上記振動発生ユニット4が収容された状態で、該凹部61aを閉塞する図示しないアッパーソールが貼付されてなるものであっても良い。
【0038】
またさらに、本発明は、上述した振動発生ユニット4を構成要素することなく、例えば
図8及び
図9に示すサンダル71のように、下側ソール72の上面に形成された下側凹部72aと該下側ソール72上に貼付された上側ソール73の下面に形成された上側凹部73aとからなる収容空間(符号は省略する。)内に、第1ないし第5の板バネ部75b,75c,75d,75e,75fと、これら第1ないし第5の板バネ部75b,75c,75d,75e,75fの先端に配置された第1ないし第5の錘75g,75h,75i,75j,75kを配置したものであっても良い。
【0039】
すなわち、このサンダル71は、本発明を履物の一種であるサンダルに第3の実施の形態として適用したものであって、上記下側ソール72と上側ソール73とからなるソール(符号は省略する。)内に、上記下側凹部72aと上側凹部73aとからなる収容空間(符号は省略する。)内に、第1ないし第5の板バネ部75b,75c,75d,75e,75fと、これら第1ないし第5の板バネ部75b,75c,75d,75e,75fの先端に配置された第1ないし第5の錘75g,75h,75i,75j,75kを配置したものである。なお、上記第1ないし第5の板バネ部75b,75c,75d,75e,75fは、枠状に成形された枠状板部75aの内側にそれぞれ基端を有してなり、それぞれ略平行に該枠状板部75aから延設されてなるものである。そして、上記第1、第3及び第5の板バネ部75b,75d,75fは、踵側から爪先側に延設されてなり、上記第2及び第4の板バネ部75c,75eは、爪先側から踵側に延設されてなるものである。また、上記第1ないし第5の錘75g,75h,75i,75j,75kの形状及び質量それぞれ同一に成形されてなるものであり、上記第1ないし第5の板バネ部75b,75c,75d,75e,75fの先端に溶接又は接着されてなるものである。なお、上記枠状板部75aは、上記下側ソール72と上側ソール73との間に挟持された状態で固定されている。
【0040】
こうした構成に係るサンダル71であっても、電動による振動器を使用することなく、歩行を使用者が繰り返すことにより、該使用者の足に振動を付与することができる。
【0041】
なお、上記第1の実施の形態に係る運動靴1、振動発生ユニット4、又は第2の実施の形態に係る中敷き61、又は第3の実施の形態に係るサンダル71では、本発明を構成する弾性材としての板バネ部と錘とが、それぞれ対となって複数対が配置されてなるものであるが、該板バネ部と錘とは1対であっても良い。また、第1の実施の形態に係る運動靴1を構成する振動発生ユニット4では、上記天板部42aの下面からは第1及び第2の上側支柱半体42f,42gがそれぞれ垂下してなるとともに、上記底板部43aの上面からは上面が該第1又は第2の上側支柱半体42f,42gの下面に当接し又は接近してなる第1及び第2の下側支柱半体43f,43gが起立されてなるものを図示して説明したが、これらの構成は、上記天板部42aの下面又は前記底板部43aの上面に下端又は上端が上記底板部43aの上面又は天板部42aの下面に当接し又は接近してなる支柱が垂下又は起立してなるものであっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 運動靴
2 ソール
3 アッパー
4 振動発生ユニット
22 ミッドソール
22a 凹部(収容空間)
41 ケース
42 上側ケース半体
42a 天板部
42b 上側枠部
42c,42d,42e 第1ないし第3の上側凹部
42f,42g 第1及び第2の上側支柱半体
43 下側ケース半体
43a 下側枠部
43c,43d,43e 第1ないし第3の下側凹部
43f,43g 第1及び第2の下側支柱半体
44 板バネ部材
45,46,47 第1ないし第3の錘
48,49,50 第1ないし第3の上側反発用磁石
51,52,53 第1ないし第3の下側反発用磁石
61 中敷き
61a 上側凹部(収容空間)
71 サンダル
72 下側ソール
72a 下側凹部(収容空間)
73 上側ソール
73a 上側凹部(収容空間)
75b,75c,75d,75e,75f 第1ないし第5の板バネ部
75g,75h,75i,75j,75k 第1ないし第5の錘