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特開2024-104457水中作業機用の削孔装置、水中削孔方法および水中削岩方法
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  • 特開-水中作業機用の削孔装置、水中削孔方法および水中削岩方法 図1
  • 特開-水中作業機用の削孔装置、水中削孔方法および水中削岩方法 図2
  • 特開-水中作業機用の削孔装置、水中削孔方法および水中削岩方法 図3
  • 特開-水中作業機用の削孔装置、水中削孔方法および水中削岩方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104457
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】水中作業機用の削孔装置、水中削孔方法および水中削岩方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 4/14 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
E21B4/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008669
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】新井 博之
(72)【発明者】
【氏名】三浦 久
(72)【発明者】
【氏名】北原 貴明
(72)【発明者】
【氏名】春原 和弘
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA01
2D129AA04
2D129DC07
2D129DC66
2D129FA02
2D129HB05
(57)【要約】
【課題】水中での削孔効率およびまたは削岩効率を向上可能な手段を提供すること。
【解決手段】フレーム10、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を少なくとも具備し、フレーム10は、水中作業機との取付部11と、取付部11に対しダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を相対移動可能なスライド部12と、を有する削孔装置を用いる。フレーム10を用いてダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を移動させたのち、先行削孔部にガイドロッド30を挿入した状態で、ダウンザホールハンマ20による削孔でもって後行削孔部を形成する工程を適宜繰り返すことで、水中作業機本体を動作させることなく複数本の削孔部を連続形成できる。ガイドロッド30には、削孔部内の異物を排出可能な、圧縮空気32の噴出機能およびまたは吸引機能を設けておくことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中作業機に取り付けて使用する削孔装置であって、
フレーム、ダウンザホールハンマおよびガイドロッドを少なくとも具備し、
前記フレームは、
前記水中作業機との取付部と、
前記取付部に対し、前記ダウンザホールハンマおよび前記ガイドロッドを相対移動可能な、スライド部と、
を有することを特徴とする、
水中作業機用の削孔装置。
【請求項2】
前記ガイドロッドに圧縮空気の噴出機能を設けたことを特徴とする、
請求項1に記載の水中作業機用の削孔装置。
【請求項3】
前記ガイドロッドに吸引機能を設けたことを特徴とする、
請求項1に記載の水中作業機用の削孔装置。
【請求項4】
前記ガイドロッドの側周にスリットを設けたことを特徴とする、
請求項2または3に記載の水中作業機用の削孔装置。
【請求項5】
さらに、パッカーを具備したことを特徴とする、
請求項1に記載の水中作業機用の削孔装置。
【請求項6】
作業船に保持されるシャフトと、前記シャフトを中心に旋回可能に設けた、作業機本体と、からなる水中作業機に、請求項1に記載の削孔装置を取り付けた状態で、水中の岩盤や構造物を削孔対象とする、水中削孔方法であって、
(1)水中作業機を操作して、前記削孔装置を削孔作業の目標座標へと位置決めし、前記ダウンザホールハンマによる削孔を行って先行削孔部を形成する工程と、
(2)前記フレームによって、前記ダウンザホールハンマおよび前記ガイドロッドを移動させて、前記ガイドロッドを先行削孔部に挿入した状態で前記ダウンザホールハンマによる削孔を行って後行削孔部を形成する工程と、
(3)前記後行削孔部を次回の前記先行削孔部として、前記フレームによる移動限界まで、前記(2)の工程を繰り返す工程と、
を有することを特徴とする、
水中削孔方法。
【請求項7】
前記ガイドロッドから圧縮空気を噴出させながら、前記ガイドロッドの挿入作業およびまたは前記ダウンザホールハンマによる削孔作業を行うことを特徴とする、
請求項6に記載の水中削孔方法。
【請求項8】
前記ガイドロッドから吸引を行いながら、前記ガイドロッドの挿入作業およびまたは前記ダウンザホールハンマによる削孔作業を行うことを特徴とする、
請求項6に記載の水中削孔方法。
【請求項9】
作業船に保持されるシャフトと、前記シャフトを中心に旋回可能に設けた、作業機本体と、からなる水中作業機に、請求項5に記載の削孔装置を取り付けた状態で、水中の岩盤を掘削対象とする、水中削岩方法であって、
(1)水中作業機を操作して、前記削孔装置を削孔作業の目標座標へと位置決めし、前記ダウンザホールハンマによる削孔を行って先行削孔部を形成する工程と、
(2)前記フレームによって、前記ダウンザホールハンマおよび前記ガイドロッドを移動させて、前記ガイドロッドを先行削孔部に挿入した状態で前記ダウンザホールハンマによる削孔を行って後行削孔部を形成する工程と、
(3)前記後行削孔部を次回の前記先行削孔部として、前記フレームによる移動限界まで、前記(2)の工程を繰り返す工程と、
(4)前記(1)~(3)の工程を適宜繰り返して掘削対象に複数の削孔部を形成しつつ、前記パッカーを用いて掘削対象の削岩を行う工程と、
を有することを特徴とする、
水中削岩方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中作業機に取り付けて使用する削孔装置、当該削孔装置を用いた水中削孔方法および水中削岩方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム湖の湖底に位置する硬岩を掘採対象とする、水中下での硬岩掘削作業は、ダム湖上に人工地盤を構築した上で、全周回転掘削機により掘削を行うことが一般的である。
この方法では、そもそも人工地盤の構築に多額の工費を要することや、全周回転掘削機のジャミングによる回転不能によって工期が長期化する、などの問題が生じる場合があった。
【0003】
本出願人は、人工地盤を構築することなく水中での掘削作業を可能とする水中作業機として、以下の特許文献1に記載の技術を開発しており、当該技術の改良技術として、削孔効率およびまたは削岩効率に優れる技術の提供可能性について検討するに至った。
【0004】
なお、水中のコンクリート壁面等を切削する装置として以下の特許文献2に記載の技術が開示されているものの、本装置は、コンクリート構造物のハツリ処理程度の作業を想定しており、大規模な硬岩掘削などへの適用は困難と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5952793号公報
【特許文献2】特許第6284150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、本発明は、水中での削孔効率およびまたは削岩効率を向上可能な手段の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本願発明は、水中作業機に取り付けて使用する削孔装置であって、フレーム、ダウンザホールハンマおよびガイドロッドを少なくとも具備し、前記フレームは、前記水中作業機との取付部と、前記取付部に対し、前記ダウンザホールハンマおよび前記ガイドロッドを相対移動可能な、スライド部と、を有することを特徴とする。
また、本願発明は、前記ガイドロッドに圧縮空気の噴出機能や吸引機能を設けてもよい。
また、本願発明は、前記ガイドロッドの側周にスリットを設けてもよい。
また、本願発明は、さらに、パッカーを具備してもよい。
また、本願発明は、作業船に保持されるシャフトと、前記シャフトを中心に旋回可能に設けた、作業機本体と、からなる水中作業機に、前記した削孔装置を取り付けた状態で、水中の岩盤や構造物を削孔対象とする、水中削孔方法であって、(1)水中作業機を操作して、前記削孔装置を削孔作業の目標座標へと位置決めし、前記ダウンザホールハンマによる削孔を行って先行削孔部を形成する工程と、(2)前記フレームによって、前記ダウンザホールハンマおよび前記ガイドロッドを移動させて、前記ガイドロッドを先行削孔部に挿入した状態で前記ダウンザホールハンマによる削孔を行って後行削孔部を形成する工程と、(3)前記後行削孔部を次回の前記先行削孔部として、前記フレームによる移動限界まで、前記(2)の工程を繰り返す工程と、を有することを特徴とする。
また、本願発明は、前記ガイドロッドから圧縮空気を噴出させたり、前記ガイドロッドから吸引を行ったりしながら、前記ガイドロッドの挿入作業およびまたは前記ダウンザホールハンマによる削孔作業を行うことができる。
また、本願発明は、前記発明によって掘削対象に複数の削孔部を形成したあとに、パッカーを用いて掘削対象の削岩を行う工程を追加することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏することで、水中での削孔効率およびまたは削岩効率を向上させることができる。
(1)フレームでもってダウンザホールハンマおよび前記ガイドロッドを相対移動させることで、水中作業機本体を動作させることなく、複数本の削孔部を連続形成することができる。
(2)ガイドロッドから圧縮空気を噴出することで、削孔部内の異物(くり粉など)を除去することができる。
(3)ガイドロッドから吸引作業を行うことで、削孔部内の異物(くり粉など)を除去することができる。
(4)ガイドロッドの側周に設けたスリットが、ガイドロッドから圧縮空気を噴出する際の異物の排出を促進でき、ガイドロッドからの吸引作業に伴う周辺の極端な負圧状態を回避できる。
(5)パッカーを具備することで、ダウンザホールハンマによる削孔後にそのまま削岩作業に移行できる。
(6)ガイドロッドを先行削孔部に挿入した状態で後行削孔部を形成するため、各削孔部間の間隔保持と、削孔部の曲がりの防止を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る削孔装置の概略図。
図2】ガイドロッドの変形例(1)を示す概略図。
図3】ガイドロッドの変形例(2)を示す概略図。
図4】本発明に係る削孔装置の使用手順を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例0011】
<1>全体構成(図1
本発明に係る削孔装置は、水中作業機に取り付けて、水中の岩盤や構造物を削孔対象とする装置である。
本発明に係る削孔装置を取り付ける水中作業機は、水中での作業が可能な装置で有れば特段限定するものではないが、本実施例では、前述した特許文献1(特許第5952793号公報)で開示される、水上の作業船に保持されるシャフトと、前記シャフトを中心に旋回可能に設けた作業機本体からなる構成を想定している。
本実施例に係る削孔装置は、フレーム10、ダウンザホールハンマ20、ガイドロッド30を少なくとも具備して構成する。
以下、各構成の詳細について説明する。
【0012】
<2>フレーム(図1
フレーム10は、本発明に係る削孔装置の基部となる部位である。
フレーム10は、水中作業機へと取付可能に構成した取付部11と、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を装着可能に構成したスライド部12とを少なくとも有して構成する。
【0013】
<2.1>取付部(図1
取付部11は、水中作業機の取付機構に相当する部位である。
本発明において、取付部11の形状および構造は特段限定するものでなく、水中作業機の種類に応じて適宜設計することができる。
本実施例では、水中作業機を構成する作業機本体として、ブームおよびアームを備えた重機タイプを想定しており、取付部11は、このアームの先端に設けた、先端部品(アタッチメント)の交換機構に対応する構造を設けている。
【0014】
<2.2>スライド部(図1
スライド部12は、取付部11に対して、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を、任意方向に相対移動させるための部位である。
本発明において、スライド部12における、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30の相対移動を実現する機構の形状および構造は特段限定するものでなく、所望の移動量や移動方向に応じて適宜設計すればよい。
本実施例では、スライド部12として、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を装着するための機構を備えた装着部と、装着部と取付部11との間に介設したシリンダとで構成し、このシリンダの伸縮によって、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を、取付部11に対して一体的に相対移動可能としている。
【0015】
<3>ダウンザホールハンマ(図1
ダウンザホールハンマ20は、内蔵したシリンダ内のピストンを圧縮空気で反復運動させて打撃を行うことで、岩盤や構造物等に対する削孔を可能とする装置である。
本発明において、ダウンザホールハンマ20の種類やサイズは特段限定せず、所望の性能に応じて、市販製品から適宜選択したり、新規に製作したりすることができる。
【0016】
<4>ガイドロッド(図1
ガイドロッド30は、削孔作業時のダウンザホールハンマ20の安定性を高まるための部位である。
ガイドロッド30は、長手状の部材からなり、ダウンザホールハンマ20による削孔方向と略平行する方向へ移動自在に構成することで、ダウンザホールハンマ20によって先行削孔された箇所(以下、「先行削孔部X」ともいう。)への挿入および引き抜きを可能とする。
【0017】
<4.1>その他の構造(図1図2
ガイドロッド30には、圧縮空気の噴出機能や、吸引機能を設けることもできる。
これらの各機能を実現する例として、図2に示す例ではガイドロッド30に通気孔31を設けている。通気孔31を設ける位置や数は特段限定しない。
この通気孔31を用いた各機能の詳細について以下に説明する。
【0018】
<4.1.1>圧縮空気の噴出機能(図2(a))
本発明では、通気孔31を、通気孔31の一端に接続したエアコンプレッサなどを用いて圧縮空気32を噴出可能な噴出口として使用することができる。
なお、ダウンザホールハンマ20が圧縮空気の供給機能を有している場合には、通気孔31への圧縮空気32の供給手段として兼用させてもよい。
通気孔31から噴出した圧縮空気32は、水中でのエアリフト効果によって、先行削孔部X内に留まる異物(例:ダウンザホールハンマ20での削孔によって発生したくり粉やその他の侵入物など)を浮上させることになる。
そして、気泡とともに浮上した異物は、ガイドロッド30と先行削孔部Xの内壁との間の隙間を通って、孔外へと排出されることになる。
本目的で使用する場合には、エアリフトによる効果を十分に発揮する観点から、ガイドロッド30の先端に通気孔31を設けておく態様が考えられる。
【0019】
<4.1.2>吸引機能(図2(b))
本発明では、通気孔31を、通気孔31の一端に接続した負圧の導入装置を用いて、吸引作業を可能とする吸引口として使用することができる。
その結果、先行削孔部X内に留まる異物(例:ダウンザホールハンマ20での削孔によって発生したくり粉やその他の侵入物など)を、通気孔31からガイドロッド30の内部を通して孔外へと排出することができる。
本目的で使用する場合には、ガイドロッド30の先端に通気孔31を設ける態様や、ガイドロッド30の長手方向に間隔をあけながら複数の通気孔31を設ける態様などが考えられる。
【0020】
<4.1.3>その他の構成(図示せず)
なお、本発明では以下の構成を採用することもできる。
(1)通気孔について前述した圧縮空気の噴出機能と吸引機能を切り替え可能とした構成。
本構成によれば、例えば、使用現場に応じて適切な除去方法を選択するように使用することができ、その他にも、吸引機構で吸い込んだ異物が噛んでしまった場合などに、圧縮空気32の噴出でもって異物の詰まりを解消するなどの使用も可能となる。
(2)ガイドロッドに複数の通気孔を設け、前述した圧縮空気の噴出機能と吸引機能を通気孔毎に分担させた構成。
本構成によれば、使用現場に応じて適切な機能分担が可能となり、例えば、先端に設けた通気孔31から圧縮空気32を噴出してガイドロッド30の周囲を浮上する異物を、ガイドロッド30の途上に設けた通気孔31で吸引して除去するなどの使用も可能となる。
【0021】
<4.2>促進構造(図3
ガイドロッド30には、先行削孔部Xに挿入した状態のガイドロッド30と先行削孔部Xの内壁との間での、空気、水、異物などの流れを促進する構造(促進構造)を設けておくことができる。
本発明において、促進構造を設ける位置や数は特段限定しない。
促進構造の例としては、ガイドロッド30の外周面にスリット33を設ける方法や、ガイドロッド30本体にテーパを設ける方法などが考えられる。
図3に示す例では、ガイドロッド30の外周面に、ガイドロッド30の長手方向に延伸するようにスリット33を設け、このスリット33を介して、先行削孔部X内の空気、水、異物などが流れるよう構成している。
本構成によれば、ガイドロッド30の先端に設けた通気孔31から圧縮空気32を噴出させた場合には、空気によるエアリフト効果によって先行削孔部X内の異物等がスリット33を経由して孔外に排出されやすくなる。
また、ガイドロッド30に設けた通気孔31から異物を吸引する場合には、スリット33を経由して新たな水を送り込んで水の流れを作ることができるため、通気孔31周辺の極端な負圧状態を回避することができる。
【0022】
<5>使用方法(図4
次に、本発明に係る水中削孔装置の使用イメージについて説明する。
【0023】
(1)目標座標への位置決め~先行削孔部の形成(図4(a))
まず、水中作業機を操作して、削孔装置を削孔作業の目標座標へと位置決めする。このとき、フレーム10に装着したダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30の位置は、スライド部12によって一側に寄せた状態としておく。
この状態から、ダウンザホールハンマ20による削孔を行って、初回の先行削孔部X1を形成する。このとき、ダウンザホールハンマ20の機能として、圧縮空気32の噴出機構を設けてある場合には、適宜、圧縮空気32を孔内に噴出して、孔内の異物を孔外に排出しながら作業を行っても良い。
なお、初回の先行削孔部X1を形成する際には、ガイドロッド30による位置決めは行わずに削孔を行うことになる。
【0024】
(2)ガイドロッドの位置決め~後行削孔部の形成(図4(b))
先行削孔部X1に対し、ガイドロッド30を挿入可能な位置まで、スライド部12を用いてダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30の移動を行う。
ダウンザホールハンマ20とガイドロッド30との離間距離は予め把握可能なため、この離間距離に相当する分だけ、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を移動させる制御を行えば、目視による位置決め作業を必要とするものではない。
【0025】
次に、ガイドロッド30を先行削孔部X1へと挿入して、ダウンザホールハンマ20の位置決めを行う。このとき、先行削孔部X1内にくり粉などの異物が滞留していると、ガイドロッド30の挿入に支障をきたす場合が考えられるため、挿入作業中に、ガイドロッド30からの圧縮空気32の噴出による異物の排出およびまたは異物吸引による異物の除去などを行ってもよい。
【0026】
先行削孔部X1をガイドロッド30に挿入したあとは、ダウンザホールハンマ20による削孔を開始し、新たな削孔部(後行削孔部Y1)を形成する。このとき、ダウンザホールハンマ20による削孔作業によっても、くり粉などの異物が先行削孔部X1内に新たに侵入し、ガイドロッド30の引き抜きを阻害する場合が考えられるため、削孔作業中もガイドロッド30からの圧縮空気32の噴出による異物の排出およびまたは異物の吸引による、異物の除去を行ってもよい。
なお、先行削孔部X1と後行削孔部Y1が連通する連続孔の形成時には、後行削孔部Y1の形成作業に伴って先行削孔部X1側への異物の混入がより進行する可能性が高いため、適宜通気孔31を用いた異物の除去作業を行うと、ガイドロッド30の挿入や引き抜きを妨げる要因を未然に取り除くことができる。
【0027】
後行削孔部Y1の形成後は、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30を、各削孔部X1,Y1から引き抜く。この引抜作業時にも、ガイドロッド30からの圧縮空気32の噴出による異物の排出およびまたは異物の吸引による、異物の除去を行ってもよい。
【0028】
(3)繰り返し(図4(c))
前記(2)の工程で形成した後行削孔部Y1を、次回の前記(2)工程に係る先行削孔部X2として、スライド部12によるガイドロッド30およびダウンザホールハンマ20の移動限界に到達するまで、前記(2)の工程を繰り返していく。
この作業によって、水中作業機本体を移動させることなく、削孔対象に複数本の削孔部を形成することができる。
なお、形成した複数本の削孔部が、連続孔となるか間欠孔となるかは、ダウンザホールハンマ20とガイドロッド30との位置関係で決まるに過ぎないため、本発明においては特段限定しない。
【0029】
(4)削岩工程
本発明に係る削孔装置の削孔目的が、岩盤の掘削(削岩)である場合には、上記(1)~(3)の工程を適宜繰り返して適宜形成した複数の削孔部の間を、パッカー40などの削岩手段を用いて削岩すればよい。
図1に示す削孔装置では、フレーム10に別途パッカー40を取り付けており、複数の削孔部を形成した後に、別途削岩作業を実施可能としている。
パッカー40は、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30と共に移動する構成としても良いし、ダウンザホールハンマ20およびガイドロッド30の移動とは別に、独立して移動可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10:フレーム
11:取付部
12:スライド部
20:ダウンザホールハンマ
30:ガイドロッド
31:通気孔
32:圧縮空気
33:スリット
40:パッカー
X:先行削孔部
Y:後行削孔部
図1
図2
図3
図4