(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104464
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】表示装置および表示方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240729BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240729BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240729BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240729BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240729BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240729BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G09G3/36
G02B27/02 Z
G09G3/20 632F
G09G3/20 680A
G09G5/00 530H
G09G5/37 300
G09G5/00 510A
H04N5/64 511A
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008677
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
【テーマコード(参考)】
2H193
2H199
5C006
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZE40
2H193ZF12
2H193ZR20
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA29
2H199CA42
2H199CA63
2H199CA65
2H199CA85
2H199CA87
5C006AA14
5C006AA16
5C006AA22
5C006AF46
5C006AF72
5C006BA16
5C006BB15
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC16
5C006BC20
5C006BF38
5C006EA01
5C006EC12
5C006EC13
5C006FA18
5C006GA02
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080EE29
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK52
5C182AA02
5C182AA03
5C182AA05
5C182AA26
5C182AB34
5C182AC03
5C182AC46
5C182BA46
5C182BA75
5C182BC22
5C182BC25
5C182CB01
5C182CB11
5C182CC24
5C182DA22
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】歪曲収差を抑制することができる表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置1は、表示パネル50と、表示パネル50から出射した光をユーザの目Eに集める光学素子20と、画像の情報を有する画像信号に基づいて表示パネル50を駆動する駆動回路51と、を備え、駆動回路51は、光学素子20により生じる歪曲収差に基づいて、画像に対してゆがみを生じさせる補正をした補正画像Grを生成し、補正画像Grを表示パネル50に表示する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルから出射した光をユーザの目に集める光学素子と、
画像の情報を有する画像信号に基づいて前記表示パネルを駆動する駆動回路と、を備え、
前記駆動回路は、前記光学素子により生じる歪曲収差に基づいて、前記画像に対してゆがみを生じさせる補正をした補正画像を生成し、前記補正画像を前記表示パネルに表示する、
表示装置。
【請求項2】
前記補正画像では、前記補正画像の中心から放射方向外側に向かうほど、前記補正画像の中心から放射方向外側に向かうゆがみの度合が大きい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルは、直線偏光を前記光学素子に向けて出射し、
前記光学素子は、
前記直線偏光を円偏光に変換する位相差板と、
前記円偏光をユーザの目に集める液晶素子と、を備える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
表示パネルが出射する光を光学素子によってユーザの目に集める表示装置が実行する表示方法であって、
画像の情報を含む画像信号を取得するステップと、
前記光学素子により生じる歪曲収差に基づいて前記画像を補正するステップと、
補正された前記画像を前記表示パネルに表示するステップと、を含む、
表示方法。
【請求項5】
前記画像を補正するステップにおいて、前記表示装置は、
前記画像の中心から放射方向外側に向かうほど、放射方向外側に向かうゆがみの度合を大きくする、
請求項4に記載の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2,3には、映像素子に表示される画像を、レンズを介してユーザに視認させる虚像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-53152号公報
【特許文献2】特開2019-148626号公報
【特許文献3】特開2019-148627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにレンズ(光学素子)を備える虚像表示装置(表示装置)においては、光学素子によって歪曲収差が発生する。具体的には、ユーザによって視認される画像にゆがみが生じる。よって、光学素子によって生じる歪曲収差を抑制することが求められている。
【0005】
本開示は、歪曲収差を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルから出射した光をユーザの目に集める光学素子と、画像の情報を有する画像信号に基づいて前記表示パネルを駆動する駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記光学素子により生じる歪曲収差に基づいて、前記画像に対してゆがみを生じさせる補正をした補正画像を生成し、前記補正画像を前記表示パネルに表示する。
【0007】
また、本開示の表示方法は、表示パネルが出射する光を光学素子によってユーザの目に集める表示装置が実行する表示方法であって、画像の情報を含む画像信号を取得するステップと、前記光学素子により生じる歪曲収差に基づいて前記画像を補正するステップと、補正された前記画像を前記表示パネルに表示するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す表示装置の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す表示パネルおよび照明装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す表示パネルおよび照明装置の断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す表示パネルの回路構成を示す図である。
【
図8】
図8は、
図4に示す導光板および複数の発光体の平面図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態の駆動回路が実行するフローチャートである。
【
図14】
図14は、画像信号に含まれる画像および当該画像の座標系を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の第2実施形態に係る表示装置の表示システムの構成を示す図である。
【
図22】
図22は、
図17に示す表示パネルに画像が表示される際における駆動回路および光制御回路の動作を示す図である。
【
図23】
図23は、本開示の第2実施形態の表示装置の光学素子の側面図である。
【
図25】
図25は、第2実施形態に係る変換座標系を示す図である。
【
図26】
図26は、第2実施形態に係る補正画像を示す図である。
【
図27】
図27は、本開示の第1実施形態の変形例に係る光学素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態に係る表示装置1の斜視図である。本第1実施形態において、表示装置1は、ユーザの頭部に装着され、ユーザの動きに伴って表示を変更する。例えば、表示装置1は、仮想空間上の3次元のオブジェクト等を示す画像を立体表示し、ユーザの頭部の向き(位置)に伴って立体表示を変更することにより、ユーザに仮想現実感を生じさせるVRシステムである。画像は、例えば、コンピュータグラフィック映像および360度の実写映像等の画像を含む。
【0012】
表示装置1は、外部装置(不図示)と有線または無線によって電気的に接続されている。外部装置は、パーソナルコンピュータおよびゲーム機器等の電子機器である。なお、外部装置は、インターネット上にあるサーバ装置でもよい。
【0013】
外部装置は、画像の情報を含む画像信号を表示装置1に送信する。当該画像は、ユーザの両目の視差を利用した互いに異なる2つの画像を有する。当該2つの画像は、ユーザの右目用の画像およびユーザの左目用の画像である。画像信号は、後述する複数の画素Pの赤の階調値、緑の階調値、青の階調値の情報を含む。
【0014】
図2は、
図1に示す表示装置1の構成を示す模式図である。
図1および
図2に示すように、表示装置1は、装着部10、2つの光学素子20、および、表示システム30を備えている。
【0015】
装着部10は、ユーザの両目を覆う状態でユーザの頭部に装着される。装着部10は、例えば、ヘッドセット、ゴーゴル、ヘルメットおよびマスクなどである。装着部10には、2つの光学素子20および表示システム30が固定されている。なお、装着部10は、外部装置から出力される音信号を出力する出力部(不図示)をさらに備えてもよい。
【0016】
2つの光学素子20は、ユーザの目Eと対向する位置に配置されている。2つの光学素子20は、ユーザの両目に対応している。2つの光学素子20は、表示システム30とユーザの目Eとの間に配置されている。光学素子20の詳細は後述する。
【0017】
表示システム30は、2つの光学素子20を挟んでユーザの目Eと反対側に配置されている。表示システム30は、画像信号に基づいて画像を表示する。
【0018】
図3は、
図2に示す表示システム30のブロック図である。表示システム30は、画像分離回路40、第1表示パネル50a、第2表示パネル50b、第1照明装置60a、および、第2照明装置60bを備えている。
【0019】
画像分離回路40は、画像の情報を含む画像信号を外部装置から取得する。画像分離回路40は、左目用の画像の情報を含む画像信号を第1表示パネル50aに出力し、右目用の画像の情報を含む画像信号を第2表示パネル50bに出力する。
【0020】
第1表示パネル50aおよび第2表示パネル50bは、透過型の液晶ディスプレイである。なお、第1表示パネル50aおよび第2表示パネル50bは、例えば、有機ELディスプレイおよび無機ELディスプレイでもよい。第1表示パネル50aにおいて画像が表示される第1表示領域DA1は、ユーザの左目と対向する。第2表示パネル50bにおいて画像が表示される第2表示領域DA2は、ユーザの右目と対向する。
【0021】
第1表示パネル50aの構成および第2表示パネル50bの構成は、互いに同じである。以下、第1表示パネル50aと第2表示パネル50bとを区別せずに説明するときは、単に「表示パネル50」と称する場合がある。また、第1表示領域DA1と第2表示領域DA2とを区別せずに説明するときは単に「表示領域DA」を称する場合がある。
【0022】
また、第1照明装置60aの構成および第2照明装置60bの構成は互いに同じである。以下、第1照明装置60aと第2照明装置60bとを区別せずに説明するときは、単に「照明装置60」と称する場合がある。
【0023】
図4は、
図3に示す表示パネル50および照明装置60の斜視図である。
図5は、
図4に示す表示パネル50および照明装置60の断面図である。図面で示すX方向およびY方向は、表示パネル50に含まれる基板の前面と平行な方向に相当する。X方向の+X側、-X側、Y方向の+Y側、-Y側は、表示パネル50の側方に相当する。Z方向は、表示パネル50の厚み方向に相当し、X方向およびY方向と直交する。Z方向の+Z側は、表示パネル50の前面側に相当し、Z方向の-Z側は、表示パネル50の背面側に相当する。また、本明細書において、「平面視」は、Z方向に沿って+Z側から-Z側に向かって表示パネル50を見ることである。なお、X、Y、Zの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0024】
図4に示すように、表示パネル50は、平面視矩形状の板状であり、表示領域DAを前面に有する。表示パネル50は、表示領域DAにおいてX方向およびY方向に沿って行列状に並ぶ複数の画素Pを有している。
【0025】
複数の画素Pは、それぞれ、第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3を有している。第1副画素SP1は赤の副画素SPである。第2副画素SP2は緑の副画素SPである。第3副画素SP3は青の副画素SPである。第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3は、X方向に沿ってこの順に並んでいる。第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3の配列はいわゆるストライプ配列である。
【0026】
以下、第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3を区別せずに説明する場合、単に「副画素SP」と記載する場合がある。なお、副画素SPの配列がストライプ配列に限定されないこと、および、副画素SPの色が上記の色に限定されないことは言うまでもない。
【0027】
図6は、
図4に示す表示パネル50の回路構成を示す図である。表示パネル50は、駆動回路51、ならびに、複数の副画素SPそれぞれが有するスイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶容量LC、および、保持容量CSを備えている。
【0028】
駆動回路51は、画像信号に基づいて表示パネル50を駆動する。駆動回路51は、信号処理回路51a、信号出力回路51b、および、走査回路51cを備えている。
【0029】
信号処理回路51aは、画像分離回路40から出力される画像信号に基づいて、後述する副画素信号を生成し、生成した副画素信号を信号出力回路51bに出力する。また、信号処理回路51aは、信号出力回路51bの動作と走査回路51cの動作とを同期させるクロック信号を信号出力回路51bおよび走査回路51cに出力する。
【0030】
信号出力回路51bは、複数の副画素信号それぞれを対応する副画素SPに出力する。信号出力回路51bと複数の副画素SPとは、Y方向に沿って延びる複数の信号線Lbを介して電気的に接続されている。
【0031】
走査回路51cは、信号出力回路51bによる副画素信号の出力と同期して、複数の副画素SPを走査する。走査回路51cと複数の副画素SPとは、X方向に沿って延びる複数の走査線Lcを介して電気的に接続されている。平面視においてX方向で互いに隣接する2つの信号線LbおよびY方向で互いに隣接する2つの走査線Lcによって区画されている領域が副画素SPに相当する。
【0032】
スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。スイッチング素子SWにおいて、ソース電極と信号線Lbとが電気的に接続され、ゲート電極と走査線Lcとが電気的に接続されている。
【0033】
画素電極PEは、スイッチング素子SWのドレイン電極に接続されている。共通電極CEは、複数の走査線Lcに対応して複数配置されている。画素電極PEおよび共通電極CEは、透光性を有する。
【0034】
液晶容量LCは、画素電極PEと共通電極CEとの間にある後述する第1液晶層53の液晶材料の容量成分である。保持容量CSは、共通電極CEと同電位の電極と、画素電極PEと同電位の電極との間に配置されている。
【0035】
図7は、
図4に示す表示パネル50の断面図である。表示パネル50は、第1基板52、第1液晶層53、および、第2基板54をさらに備えている。第1基板52、第1液晶層53、および、第2基板54は、それぞれ透光性を有し、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。第1基板52および第2基板54は、平面視矩形状である。
【0036】
第1基板52の前面52aには、共通電極CEが配置されている。共通電極CEの前面には絶縁層ILが配置され、さらに、絶縁層ILの前面には、画素電極PE、および、第1配向膜AL1が配置されている。第1基板52の前面には、ドライバーICと呼ばれ、駆動回路51を構成するICチップTiが配置されている(
図4参照)。ICチップTiには、信号処理回路51aが含まれる。
【0037】
画素電極PEは、絶縁層ILと第1配向膜AL1との間に配置されている。このように、共通電極CEと画素電極PEは、第1基板52に配置されている。つまり、表示パネル50は、横電界方式の液晶ディスプレイである。なお、画素P毎に共通電極CEにスリットが設けられ、画素電極PEが当該スリットよりも大きい面積を有するような態様としてもよい。
【0038】
第2基板54は、第1基板52の前面側に位置する。第2基板54の背面には、カラーフィルタCF、遮光膜SM、および、第1配向膜AL1が配置されている。遮光膜SMおよびカラーフィルタCFは、第2基板54と第1配向膜AL1との間に配置されている。
【0039】
カラーフィルタCFは、平面視矩形状であり、1つの副画素SPに1つ配置されている。カラーフィルタCFは、透光性を有し、透過させる光のスペクトルのピークが予め定めされている。スペクトルのピークはカラーフィルタCFの色に対応する。カラーフィルタCFの色は副画素SPの色と同じである。つまり、赤の第1副画素SP1は赤のカラーフィルタCFを有し、緑の第2副画素SP2は緑のカラーフィルタCFを有し、青の第3副画素SP3は青のカラーフィルタCFを有する。
【0040】
なお、赤のカラーフィルタCFが透過する光の波長の範囲は、後述する赤のレーザ光の波長の範囲を含む。また、緑のカラーフィルタCFが透過する光の波長の範囲は、後述する緑のレーザ光の波長の範囲を含む。さらに、青のカラーフィルタCFが透過する光の波長の範囲は、後述する青のレーザ光の波長の範囲を含む。
【0041】
遮光膜SMは、遮光性を有し、X方向およびY方向において互いに隣接する複数の副画素SPの境界と平面視で重なる。すなわち、遮光膜SMは、信号線Lbおよび走査線Lcと平面視で重なる。なお、
図6において、信号線Lbおよび走査線Lcの図示は省略されている。信号線Lbおよび走査線Lcは第1基板52の前面に配置されている。
【0042】
第1液晶層53は、複数の第1液晶分子LM1を含んで構成されている。第1液晶層53は、第1基板52と第2基板54との間にあり、平面視で表示領域DAと重なる。具体的には、第1液晶層53は、互いに対向する2つの第1配向膜AL1の間にある。第1液晶分子LM1の向き(第1液晶分子LM1の長軸の向き)は、互いに対向する2つの第1配向膜AL1によって規制される。
【0043】
また、表示パネル50は、第1基板52の背面に配置されている第1偏光板55、および、第2基板54の前面に配置されている第2偏光板56をさらに備えている。第1偏光板55は、Z方向と直交する透過軸を有している。第2偏光板56は、第1偏光板55の透過軸およびZ方向と直交する透過軸を有している。第2偏光板56の前面は表示パネル50の前面に相当する。第1偏光板55の背面は表示パネル50の背面に相当する。
【0044】
図4に示すように、照明装置60は、表示パネル50の背面側に配置され、表示パネル50を照明する。具体的には、第1照明装置60aは第1表示パネル50aの背面側に配置されており、第2照明装置60bは第2表示パネル50bの背面側に配置されている。つまり、第1照明装置60aは、第1表示パネル50aを照明する。第2照明装置60bは、第2表示パネル50bを照明する。照明装置60は、表示パネル50に向けて光を出射する。
【0045】
図4および
図5に示すように、照明装置60は、導光板61、複数の第1発光体62a、複数の第2発光体62b、複数の第3発光体62c、プリズムシート63、および、拡散シート64を備えている。以下、第1発光体62a、第2発光体62bおよび第3発光体62cを区別せずに説明するときは、単に「発光体62」と称する場合がある。
【0046】
照明装置60において、導光板61、プリズムシート63および拡散シート64は、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けてこの順に並んでいる。発光体62は、導光板61の側方に配置されている。
【0047】
図8は、
図4に示す導光板61および複数の発光体62の平面図である。導光板61は平面視矩形状である。導光板61は、導光板61の中心を通り、X方向と直交する平面を対称面とする面対称形状である。
【0048】
図5および
図8に示すように、導光板61の前面61aは、Z方向と直交する平面である。導光板61の前面61aから表示パネル50に向けて光が出射される。導光板61の背面61bは、第1傾斜面61b1、第2傾斜面61b2、および、接続面61b3を有する。
【0049】
第1傾斜面61b1は、背面61bの-X側にあり、X方向に沿って+X側に向かうほどZ方向に沿って-Z側に向かう傾斜を有する平面である。第2傾斜面61b2は、背面61bの+X側にあり、X方向に沿って-X側に向かうほどZ方向に沿って-Z側に向かう傾斜を有する平面である。
【0050】
接続面61b3は、背面61bのX方向中央部で第1傾斜面61b1と第2傾斜面61b2とを接続する。つまり、接続面61b3は、第1傾斜面61b1の+X側にあり、第1傾斜面61b1と連続している。また、接続面61b3は、第2傾斜面61b2の-X側にあり、第2傾斜面61b2と連続している。接続面61b3は、前面61aと平行な平面である。
【0051】
導光板61の-X側の第1側面61c1は、X方向と直交する平面であり、第1傾斜面61b1と前面61aとを接続する。導光板61の+X側の第2側面61c2は、X方向と直交する平面であり、第2傾斜面61b2と前面61aとを接続する。以下、第1側面61c1および第2側面61c2を区別せずに説明する場合、単に「側面61c」と記載する場合がある。
【0052】
複数の発光体62は、側面61cに向けて光を出射する。発光体62が出射する光は、レーザ光である。複数の発光体62が出射するレーザ光の色は互いに異なる。具体的には、
図8に示すように、第1発光体62aは赤の第1レーザ光LRを出射する。第2発光体62bは緑の第2レーザ光LGを出射する。第3発光体62cは青の第3レーザ光LBを出射する。
【0053】
以下、赤の第1レーザ光LR、緑の第2レーザ光LGおよび青の第3レーザ光LBを区別せずに説明する場合、単に「レーザ光L」と記載する場合がある。
図5には、導光板61の平面視におけるレーザ光Lが示されている。このように、本第1実施形態では、発光体62が出射するレーザ光Lの色は、副画素SPの色(すなわちカラーフィルタの色)に対応している。また、発光体62の種類が3つに限定されないことは言うまでもなく、例えば、照明装置60は、赤、緑および青とは異なる色のレーザ光Lを出射する第4発光体をさらに備えてもよい。
【0054】
また、複数の発光体62は、導光板61の側面61cに対向する状態で配置されている。複数の発光体62は、Y方向に沿って配置されている。具体的には、Y方向に沿って並ぶ1つの第1発光体62a、1つの第2発光体62bおよび1つの第3発光体62cが1組の発光体CLを構成し、複数の1組の発光体CLがY方向に沿って並んでいる。
【0055】
図5に一点鎖線の矢印にて示すように、第2側面61c2と対向している1組の発光体62から出射したレーザ光Lは、導光板61に第2側面61c2から入射し、背面61bおよび前面61aで全反射を繰り返した後、前面61aから出射する。また、第1側面61c1と対向している1組の発光体62から出射したレーザ光L(不図示)は、導光板61に第1側面61c1から入射し、背面61bおよび前面61aで全反射を繰り返した後、前面61aから出射する。
【0056】
つまり、第1傾斜面61b1および第2傾斜面61b2の傾斜角度は、レーザ光Lが前面61aから出射する角度に定められている。また、複数の発光体62のレーザ光Lは導光板61内で全反射を繰り返すことで互いに干渉し、導光板61から出射する光の色が白となる。
【0057】
図5に示すプリズムシート63は、導光板61から出射した光の光軸がZ方向に沿う方向に当該光を屈折させる。プリズムシート63は、Y方向に沿って延びている断面三角形状の複数のプリズム63aを導光板61と対向する状態で有する。なお、複数のプリズム63aは、拡散シート64と対向する状態で配置されてもよい。プリズムシート63から出射した光は、拡散シート64に入射する。
【0058】
拡散シート64は、プリズムシート63から出射した光を拡散させる。拡散シート64から出射した光は、表示パネル50に入射する。拡散シート64によって光が拡散されることで表示パネル50の視野角を増大させることができる。
【0059】
なお、
図5に示す一点鎖線の矢印は、発光体62から出射したレーザ光Lが、導光板61内で反射した後に導光板61から出射され、プリズムシート63で屈折され、拡散シート64で拡散されて表示パネル50の入射する軌跡を示している。当該レーザ光Lの軌跡が
図5に一点鎖線にて示されているものに限定されないことは言うまでもない。
【0060】
拡散シート64から出射した光は表示パネル50を透過する。表示パネル50において、上記の駆動回路51が画像信号に基づいて生成した副画素信号を副画素SPに出力する。これにより、副画素信号に応じた電圧が副画素SPに印加され、第1液晶層53に電界が発生することで、第1液晶分子LM1の向きが変化し、第1液晶層53の透光率が調節される。そして、照明装置60から出射されて表示パネル50を透過する光が変調されることで表示領域DAに画像が表示される。
【0061】
照明装置60は、
図3に示す光制御回路65をさらに備えている。光制御回路65は、照明装置60を制御する。上記の駆動回路51の信号処理回路51aは、画像分離回路40から出力される画像信号に基づいて光源信号を生成し、生成した光源信号を光制御回路65に出力する。さらに、信号処理回路51aは上記のクロック信号を光制御回路65に出力する。クロック信号によって光制御回路65の動作と、信号出力回路51bの動作および走査回路51cの動作とが同期する。光制御回路65は、光源信号に基づいて、発光体62を制御する。
【0062】
図9は、
図2に示す光学素子20の断面図である。2つの光学素子20の構成は、互いに同じである。光学素子20は、表示領域DAに表示されている画像を拡大した状態でユーザに視認させるレンズ作用を有する。光学素子20は、表示パネル50を透過し、表示パネル50から出射した光(以下、出射光と称する場合がある)をユーザの目Eに集める。
【0063】
2つの光学素子20のうち一方の光学素子20は、第1表示パネル50aとユーザの左目との間にあり、第1表示パネル50aを透過した光をユーザの左目に集める。また、2つの光学素子20のうち他方の光学素子20は、第2表示パネル50bとユーザの右目との間にあり、第2表示パネル50bを透過した光をユーザの右目に集める。
【0064】
光学素子20は、第1位相差板21、半透過層22、第2位相差板23、反射偏光板24、第3位相差板25、および、液晶素子26を備えている。第1位相差板21、半透過層22、第2位相差板23、反射偏光板24、第3位相差板25、および、液晶素子26は、平面視で表示領域DAより大きく、表示領域DAと重なる。
【0065】
また、第1位相差板21、半透過層22、第2位相差板23、反射偏光板24、第3位相差板25、および、液晶素子26は、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。第1位相差板21は、表示パネル50から離れて配置されている。なお、第1位相差板21は、表示パネル50の前面と接触していてもよい。
【0066】
第1位相差板21および半透過層22、ならびに、半透過層22および第2位相差板23は、互いに密着した状態で積層されている。第2位相差板23および反射偏光板24は互いに離れて配置されている。すなわち、第2位相差板23と反射偏光板24との間には空気層がある。また、反射偏光板24および第3位相差板25、ならびに、第3位相差板25および液晶素子26は、互いに密着した状態で積層されている。
【0067】
第1位相差板21、第2位相差板23および第3位相差板25は、1/4波長板である。第1位相差板21、第2位相差板23および第3位相差板25を透過する光は、当該光の1/4波長分の位相差が付与される。
【0068】
半透過層22は、金属(例えばアルミニウムおよび銀など)製の薄膜である。半透過層22に入射する光の一部は半透過層22を透過し、半透過層22に入射する光の他の一部は半透過層22を透過せずに反射する。
【0069】
反射偏光板24は、表示パネル50が備える第2偏光板56の透過軸と平行な偏光方向を有する直線偏光である第1直線偏光を透過し、第1直線偏光と直交する直線偏光である第2直線偏光を反射する偏光板である。
【0070】
液晶素子26は、円偏光をユーザの目Eに集めるレンズ作用を有する。また、液晶素子26を透過する光には、当該光の1/2波長分の位相差が付与される。
【0071】
図10は、液晶素子26の断面図である。液晶素子26は、第3基板26a、第2液晶層26b、および、第4基板26cを備えている。第3基板26a、第2液晶層26b、および、第4基板26cは、それぞれ透光性を有し、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。第3基板26aおよび第4基板26cは、平面視矩形状である。
【0072】
また、第3基板26aの前面および第4基板26cの背面には、それぞれ、第2配向膜AL2が配置されている。第2液晶層26bは、Z方向において2つの第2配向膜AL2の間に配置されている。第2液晶層26bはネマチック液晶を有する。
【0073】
第2液晶層26bは、複数の第2液晶分子LM2を含んで構成されている。第2液晶分子LM2の向き(第2液晶分子LM2の長軸の向き)は、互いに対向する2つの第2配向膜AL2によって規制される。具体的には、第2液晶分子LM2の長軸の向きは、次のように規制される。
【0074】
図11は、第2液晶層26bの平面図である。第2液晶層26bは、平面視において、複数の境界Raによって複数の領域Rに区画されている。複数の境界Raは、平面視で互いに直径が異なる同心円状である。複数の領域Rは、平面視円状の中心領域R1、および、中心領域R1の周囲にあり互いに大きさが異なる平面視環状の複数の環状領域R2を有する。中心領域R1は、平面視で表示パネル50の表示領域DAの中心と重なり、ユーザの目Eと対向する。
【0075】
図10および
図11に示すように、複数の領域Rは、それぞれ、Z方向に沿って並ぶ複数の第2液晶分子LM2によって構成される1組の第2液晶分子CLM1を複数含む。
図10に示すように、複数の領域Rそれぞれにおいて、第2液晶分子LM2の長軸の向きは、Z方向と直交する。
【0076】
また、
図11に示すように、複数の領域Rそれぞれにおいて、同じ領域Rに含まれる複数の第2液晶分子LM2の長軸の向きは、平面視で互いに平行である。
【0077】
また、平面視で境界Raの径方向で互いに隣接する2つの領域Rにおいて、第2液晶分子LM2の長軸の向きは、平面視で互いに異なる。具体的には、平面視において、第2液晶分子LM2の長軸の向きは、中心領域R1から境界Raの径方向外側に向かうほどZ軸回り方向(平面視で反時計回り方向)に回転した向きとなる。
【0078】
本第1実施形態では、中心領域R1に含まれる第2液晶分子LM2の長軸の向きは、平面視でX方向に沿っている。また、中心領域R1に含まれる第2液晶分子LM2の長軸と、環状領域R2に含まれる第2液晶分子LM2の長軸とのZ軸回り方向の角度は、中心領域R1の径方向外側に中心領域R1から離れている環状領域R2ほど大きくなる。
【0079】
このように複数の第2液晶分子LM2の向きが規制されることで、液晶素子26(光学素子20)はレンズ作用を有する。上記のように構成されている光学素子20を、表示パネル50を透過した出射光は次のように進む。
【0080】
図12は、
図9に示す光学素子20のレンズ作用を示す図である。表示パネル50から+Z側に向けて出射された出射光Lsが光学素子20に入射する。表示パネル50から出射する出射光Lsは、上記の第1直線偏光に相当する。本第1実施形態では、第1直線偏光は、Y方向に沿う偏光方向を有する直線偏光である。
図12には、第1直線偏光の偏光方向を示す記号S1が示されている。
【0081】
出射光Lsは、はじめに第1位相差板21を透過する。これにより、出射光Lsは、1/4波長の位相差を付与されることで、第1円偏光に変換される。本第1実施形態では、第1円偏光は、出射光Lsの進行方向に沿って進行方向の前側から出射光Lsを見たときに反時計回りに回転する円偏光である。換言すれば、第1円偏光は、平面視において反時計回りに回転している。なお、
図12には、第1円偏光の偏光方向を示す記号S3が示されている。
【0082】
第1位相差板21を透過した出射光Lsの一部は、半透過層22で反射する。半透過層22で反射した出射光Ls(
図12に破線にて示す)は、第2円偏光に変換される。第2円偏光は、第1円偏光の回転方向と反対の回転方向を有する円偏光である。具体的には、第2円偏光は、出射光Lsの進行方向に沿って進行方向の前側から出射光Lsを見たときに時計回りに回転する円偏光である。
図12には、第2円偏光の偏光方向を示す記号S4が示されている。
【0083】
半透過層22で反射した出射光Lsは、第1位相差板21を透過することで、第2直線偏光に変換される。第2直線偏光は、第1直線偏光の偏光方向と直交する偏光方向を有する直線偏光である。本第1実施形態では、第2直線偏光は、X方向に沿う偏光方向を有する。
図12には、第2直線偏光の偏光方向を示す記号S2が示されている。半透過層22で反射して第1位相差板21を透過した出射光Lsは、表示パネル50に吸収される。
【0084】
一方、第1位相差板21を透過した出射光Lsの他の一部は、半透過層22を透過する。半透過層22を透過した出射光Lsは第1円偏光に相当する。さらに、半透過層22を透過した出射光Lsは、第2位相差板23を透過する。第2位相差板23を透過した出射光Lsは、1/4波長の位相差を付与されることで、第2直線偏光に変換される。
【0085】
第2位相差板23を透過した出射光Lsは、第2直線偏光に相当することにより、反射偏光板24で反射する。反射偏光板24で反射した出射光Lsは、第2直線偏光のままである。反射偏光板24で反射した出射光Lsは、第2位相差板23を透過する。
【0086】
第2位相差板23を透過した出射光Lsは、第1円偏光に変換される。第2位相差板23を透過した出射光Lsの一部は、半透過層22を透過する。半透過層22を透過した出射光Ls(
図12に一点鎖線にて示す)は、第1円偏光に相応する。半透過層22を透過した出射光Lsは、第1位相差板21を透過し、第1直線偏光に変換される。
【0087】
一方、反射偏光板24で反射し、第2位相差板23を透過した出射光Lsの他の一部は、半透過層22で反射する。半透過層22で反射した出射光Lsは、第2円偏光に変換される。半透過層22で反射した出射光Lsは、第2位相差板23を透過することで第1直線偏光に変換される。
【0088】
第2位相差板23を透過した出射光Lsは、第1直線偏光に相当することにより、反射偏光板24を透過する。反射偏光板24を透過した出射光Lsは、第1直線偏光のままである。
【0089】
反射偏光板24を透過した出射光Lsは、第3位相差板25を透過する。第3位相差板25を透過した出射光Lsは、1/4波長の位相差を付与されることで、第1円偏光に変換される。第3位相差板25を透過した出射光Lsは、液晶素子26を透過する。
【0090】
液晶素子26を透過する出射光Lsは、第2円偏光に変換されるとともに、ユーザの目Eに向かう方向に屈折する。これにより、出射光Lsはユーザの目Eに集まる。このように、光学素子20のレンズ作用により、ユーザは表示領域DAに表示されている画像を拡大された状態で視認する。
【0091】
上記のように光学素子20において出射光Lsは複数回反射した後にユーザの目Eに集められることで、例えばガラスおよび樹脂などで形成されているレンズと比べて、焦点距離を短くすることができる。よって、光学素子20の薄型化および軽量化を図ることができる。
【0092】
また、光学素子20を介してユーザに視認される画像には、ゆがみが生じる。つまり、光学素子20によって歪曲収差が発生する。具体的には、光学素子20を介してユーザに視認される画像は、表示領域DAに表示されている画像に対して、当該画像の中央部が膨らんだ状態に見えるゆがみを有する。つまり、光学素子20により生じる歪曲収差では、表示領域DAに表示される画像に対して当該画像の中心から離れるほど、当該画像の中心に向かうゆがみの度合が大きくなる。これに対して、駆動回路51は、次に説明するように、光学素子20によって発生する歪曲収差を抑制する。
【0093】
図13は、第1実施形態の駆動回路51が実行するフローチャートである。駆動回路51は、ステップS1で画像の情報を取得する。画像の情報は、外部装置から送信される画像信号に含まれる。
【0094】
続けて、駆動回路51は、ステップS2で、光学素子20により生じる歪曲収差に基づいて画像信号に含まれる画像に対してゆがみを生じさせる補正をした補正画像を生成する。駆動回路51は、はじめに、光学素子20により生じる歪曲収差に基づいて、画像信号に含まれる画像の座標系を変換する。
【0095】
図14は、画像信号に含まれる画像および当該画像の座標系を示す図である。
図14には、画像信号に含まれる画像(以下、入力画像Giと称する場合がある)のうち、黒の実線で構成されている実線部Ciが示されている。実線部Ciは、それぞれ等間隔で配置されている複数の第1直線Lc1および複数の第2直線Lc2で区画された正方形状である。第1直線Lc1および第2直線Lc2は互いに直交する。なお、入力画像Giにおいて実線部Ci以外の部位は、白である。
【0096】
また、入力画像Giに対応する副画素SPの階調値は、画像信号に含まれる。具体的には、赤の第1副画素SP1の階調値は画像信号に含まれる赤の階調値に対応し、緑の第2副画素SP2の階調値は画像信号に含まれる赤の階調値に対応し、青の第3副画素SP3の階調値は画像信号に含まれる青の階調値に対応する。
【0097】
入力画像Giの座標系(以下、入力座標系CS1と称する場合がある)は、座標軸である第1P軸P1および第1Q軸Q1が互いに直交する直交座標系であり、入力座標系CS1の原点O1は、入力画像Giの中心にある。原点O1と実線部Ciの中心とは一致する。また、
図14に示す入力座標系CS1には、第1P軸P1および第1Q軸Q1の一方と平行であり等間隔で配置されている複数の補助線H1が示されている。
【0098】
また、第1P軸P1、第1Q軸Q1および補助線H1の一部と、実線部Ciとは重なっている。入力座標系CS1において、入力画像Giと重なる第1P軸P1、第1Q軸Q1および補助線H1は実線にて示され、入力画像Giと重なっていない第1P軸P1、第1Q軸Q1および補助線H1は破線にて示されている。
【0099】
駆動回路51は、まず、式(1)および式(2)を用いて原点O1を基準点として入力座標系CS1のサイズを変換する。サイズが変換された座標系(不図示)は、第1P軸P1に対応する第2P軸と、第1Q軸Q1に対応する第2Q軸とが互いに直交する直交座標系である。
p2=p1×Cp1 ・・・(1)
q2=q1×Cq1 ・・・(2)
【0100】
式(1)において、p1は入力座標系CS1における第1P軸P1の座標であり、p2は、サイズが変換された座標系における第2P軸の座標であり、Cp1は所定の値を示す係数である。式(2)において、q1は入力座標系CS1における第1Q軸Q1の座標であり、q2は、サイズが変換された座標系の第2Q軸の座標であり、Cq1は所定の値を示す係数である。また、Cp1およびCq1は、入力画像Giに対して補正画像が乱れたり、つぶれたりしない値であり、予め実行される実験およびシミュレーションなどによって調節される。
【0101】
続けて、駆動回路51は、光学素子20により生じる歪曲収差に基づいて、サイズが変換された座標系に対してゆがみを生じさせるゆがみ処理を行う。ゆがみ処理は、サイズが変換された座標系に対して、原点O1を基準点として、光学素子20により生じる歪曲収差と同様のゆがみを生じさせる。
【0102】
上記のように、光学素子20により生じる歪曲収差では、表示領域DAに表示される画像に対して当該画像の中心から離れるほど、当該画像の中心に向かうゆがみの度合が大きくなる。これに対し、ゆがみ処理は、上記のサイズが変換された座標系における任意の点を原点に近づく方向に移動させるとともに、当該任意の点が原点から離れるほど、原点に近づく方向における任意の点の移動量を大きくする。
【0103】
具体的には、駆動回路51は、式(3)、式(4)および式(5)を用いてゆがみ処理を行う。ゆがみ処理が行われた座標系(不図示)は、第2P軸に対応する第3P軸と、第2Q軸に対応する第3Q軸とが互いに直交する直交座標系である。
p3=p2×(1-k1×r2-k2×r4-k3×r6) ・・・(3)
p3=p2×(1-k1×r2-k2×r4-k3×r6) ・・・(4)
r2=p22+q22 ・・・(5)
【0104】
式(3),(4),(5)において、p3はゆがみ処理が行われた座標系における第3P軸の座標であり、q3はゆがみ処理が行われた座標系における第3Q軸の座標であり、k1、k2およびk3は、所定の値を示す係数であり、正の値である。また、k1、k2およびk3は、光学素子20の歪曲収差によって定まる値であり、予め実行される実験およびシミュレーションなどによって調節される。
【0105】
さらに、駆動回路51は、式(6)および式(7)を用いてゆがみ処理が行われた座標系のサイズを変換した座標系(以下、変換座標系CS4(後述する
図15参照)と称する場合がある)を生成する。変換座標系CS4は、第3P軸に対応する第4P軸P4と、第3Q軸に対応する第4Q軸Q4とが互いに直交する直交座標系である。
p4=p3×Cp2 ・・・(6)
q4=q3×Cq2 ・・・(7)
【0106】
式(6)において、p4はサイズが変換された変換座標系CS4における第4P軸P4の座標であり、Cp2は所定の値を示す係数である。式(7)において、q4はサイズが変換された座標系の第4Q軸Q4の座標であり、Cq2は所定の値を示す係数である。また、Cp2およびCq2は、ユーザが視認する補正画像を適切なサイズにする値であり、予め実行される実験およびシミュレーションなどによって調節される。
【0107】
図15は、変換座標系CS4を示す図である。
図15には、第4P軸P4、第4Q軸Q4および補助線H4が示されている。変換座標系CS4は、入力座標系CS1に対して、中央部が膨らんだ状態に見えるゆがみを有する。すなわち、変換座標系CS4は、原点O4から放射方向外側(原点O4から離れる側)に向かうほど、原点O4へ向かうゆがみの度合が大きい。
【0108】
さらに、駆動回路51は、変換座標系CS4に入力画像Giの座標を適用することで、補正画像を生成する。なお、駆動回路51は、変換座標系CS4に入力画像Giの座標を適用する際に、いわゆる双三次補間(バイキュービック(bicubic)補間)などの補間を用いてもよい。
【0109】
図16は、補正画像Grを示す図である。
図16には、補正画像Grのうち、入力画像Giの実線部Ciが補正された補正実線部Crが示されている。補正実線部Crは黒の実線で構成されている。補正画像Grにおいて補正実線部Cr以外の部位は、白である。
【0110】
補正画像Grは、入力画像Giに対して、中央部が窪んだ状態に見えるゆがみを有する。すなわち、補正画像Grでは、補正画像Grの中心から放射方向外側(補正画像Grの中心から離れる側)に向かうほど、補正画像Grの中心から放射方向外側に向かうゆがみの度合が大きい。これにより、補正実線部Crにおいても、補正画像Grの中心から放射方向外側に向かうほど、補正画像Grの中心から放射方向外側に向かうゆがみの度合が大きい。
【0111】
続けて、駆動回路51は、ステップS3で補正画像Grに基づいて副画素SPの階調を示す副画素信号を生成する。具体的には、副画素信号において、黒の補正実線部Crに対応する副画素SPの階調値は最小であり、補正実線部Cr以外の補正画像Grの部位(白)に対応する副画素SPの階調値は最大である。
【0112】
続けて、駆動回路51は、ステップS4で副画素信号を出力する。複数の副画素SPそれぞれにおいて副画素信号が示す階調値に応じた電圧が副画素SPに印加されることで第1液晶層53の透光率が調節される。これにより、照明装置60から出射されて表示パネル50を透過する光が変調されることで、補正画像Grが表示領域DAに表示される。駆動回路51は、ステップS4を実行すると、プログラムをステップS1に戻す。
【0113】
上記のように、ユーザは、表示領域DAの表示されている補正画像Grを、光学素子20を介して視認する。ユーザによって視認される画像は、光学素子20によって、表示領域DAに表示されている補正画像Grに対して大きくなる。また、ユーザによって視認される画像は、光学素子20によって発生する歪曲収差により、表示領域DAに表示される補正画像Grに対してゆがみを有する。
【0114】
上記のように、光学素子20により生じる歪曲収差では、表示領域DAに表示される画像に対して当該画像の中心から離れるほど、当該画像の中心に向かうゆがみの度合が大きくなる。一方、補正画像Grでは、補正画像Grの中心から離れるほど、補正画像Grの中心から離れるゆがみの度合が大きくなる。つまり、光学素子20により生じるゆがみの度合が大きくなる方向と補正画像Grにおけるゆがみの度合が大きくなる方向とは反対である。
【0115】
よって、表示領域DAに表示されている補正画像Grは、光学素子20を介してユーザに視認されることで、補正画像Grのゆがみが抑制される。また、補正画像Grが有するゆがみは、入力画像Giに対するゆがみである。つまり、ゆがみが抑制された補正画像Grは、入力画像Giに相当する。したがって、ユーザは、光学素子20を介して、表示領域DAに表示されている補正画像Grを視認することで、入力画像Giを視認することができる。
【0116】
このように、駆動回路51が光学素子20により生じる歪曲収差に基づいて、入力画像Giに対してゆがみを生じさせる補正をした補正画像Grを生成し、補正画像Grを表示領域DAに表示することで、上記の歪曲収差を抑制することができる。
【0117】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態の表示装置1について、主として上記の第1実施形態の表示装置1と異なる点を説明する。
【0118】
図17は、本開示の第2実施形態に係る表示装置1の表示システム130の構成を示す図である。
図18は、
図17に示す表示システム130の平面図である。表示システム130は、第1フレキシブル配線基板2aを介して電気的に接続されている外部装置から出力される画像信号に基づいて画像を表示する。表示システム130は、表示パネル150、および、照明装置160を備えている。
【0119】
表示パネル150は、表示領域DAを前面150aに有している。表示パネル150は、第1基板152、第1液晶層153、第2基板154、第1基材157、および、第2基材158を備えている。
【0120】
第1基板152および第2基板154は、平面視矩形状であり、透光性を有する。第1基板152は、平面視において第2基板154より露出している露出部Bを有している。第1基板152は、第2基板154の背面154b側に配置されている。第1基板152の前面152aと第2基板154の背面154bとが互いに対向する。第1液晶層153は、第1基板152と第2基板154との間に配置されている。
【0121】
図18に示すように、表示領域DAは、X方向およびY方向に沿って行列状に並ぶ複数の画素Pと平面視で重なる。画素Pは、平面視で正方形状である。第1液晶層153および画素Pの詳細は、後述する。
【0122】
図17および
図18に示す第1基材157および第2基材158は、第1基板152、第2基板154および第1液晶層153を保護する。第1基材157および第2基材158は、平面視矩形状であり、透光性を有する。第1基材157は、第1接着剤部AD1を介して第1基板152の背面152bに貼り付けられている。第2基材158は、第2接着剤部AD2を介して第2基板154の前面154aに貼り付けられている。第1接着剤部AD1および第2接着剤部AD2は、透光性を有し、接着剤が硬化することで形成される。
【0123】
第1基板152の前面152aおよび背面152b、第2基板154の前面154aおよび背面154b、第1基材157の前面157aおよび背面157b、ならびに、第2基材158の前面158aおよび背面158bは、それぞれ平面であり、互いに平行である。なお、第2基材158の前面158aが表示パネル150の前面150aに相当し、第1基材157の背面157bが表示パネル150の背面150bに相当する。
【0124】
また、第1基板152、第2基板154、第1基材157、および、第2基材158の-X側の側面である第1XL側面152c、第2XL側面154c、第3XL側面157c、および、第4XL側面158cは、それぞれ平面であり、互いに平行である。さらに、第1基板152、第2基板154、第1基材157、および、第2基材158の+X側の側面である第1XR側面152d、第2XR側面154d、第3XR側面157d、および、第4XR側面158dは、それぞれ平面であり、互いに平行である。
【0125】
また、第1基板152、第2基板154、第1基材157、および、第2基材158の-Y側の側面である第1YB側面152e、第2YB側面154e、第3YB側面157e、および、第4YB側面158eは、それぞれ平面であり、互いに平行である。第1YB側面152e、第2YB側面154e、第3YB側面157e、および、第4YB側面158eは、表示パネル150の第1側面150cに相当する。
【0126】
さらに、第1基板152、第2基板154、第1基材157、および、第2基材158の+Y側の側面である第1YF側面152f、第2YF側面154f、第3YF側面157f、および、第4YF側面158fは、それぞれ平面であり、互いに平行である。第1YF側面152f、第2YF側面154f、第3YF側面157f、および、第4YF側面158fは、表示パネル150の第2側面150dに相当する。
【0127】
照明装置160は、表示パネル150の側方に配置されている。具体的には、照明装置160は、表示パネル150の第1側面150c側にあり、第2基材158の第4YB側面158eと対向している。照明装置160は、表示パネル150の第1側面150c側から第1側面150cと反対側の第2側面150d側に向けて光を出射する(詳細は後述する)。照明装置160は、支持体159を介して第2基材158に固定されている。
【0128】
複数の1組の発光体CLは、X方向に沿って並んでいる。本第2実施形態において1組の発光体CLは、赤の第1発光体162a、緑の第2発光体162b、および、青の第3発光体162cを備えている。発光体162は、導光部161に向けてレーザ光Lを発する。
【0129】
導光部161は、直方体状であり、発光体162と対向する対向面161a、および、対向面161aの反対側にあり、第2基材158の第4YB側面158eと対向する反対面161bを有する。また、導光部161は、平面視で第4XL側面158cから第4XR側面158dまで連続している形状である。導光部161は、透光性を有する。発光体162のレーザ光Lは、対向面161aから導光部161に入射し、導光部161内で拡散され、反対面161bから第2基材158の第4YB側面158eに向けて、光量を均一化された状態で出射される。
【0130】
第2基材158の第4YB側面158eから入射した発光体162のレーザ光Lは、表示パネル150の第1側面150cから第2側面150dに向けて表示パネル150内を伝播する。具体的には、発光体162の光は、表示パネル150内において、第1基板152、第2基板154、第1基材157および第2基材158それぞれの前面152a,154a,157a,158aおよび背面152b,154b,157b,158bで反射し、第2側面150dまで伝播する。
【0131】
図19は、
図17に示す表示パネル150の回路構成を示す図である。表示パネル150は、上記の第1実施形態の表示パネル50と同様に、駆動回路151、ならびに、複数の画素Pそれぞれが有するスイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶容量LC、および、保持容量CSを備えている。
【0132】
駆動回路151は、上記の第1実施形態の駆動回路51と同様に構成されている。つまり、駆動回路151は、信号処理回路151a、信号出力回路151b、および、走査回路151cを備えている。
【0133】
信号処理回路151aは、画像分離回路40から出力される画像信号に基づいて、後述する画素信号を生成し、生成した画素信号を信号出力回路151bに出力する。信号出力回路151bは、複数の画素信号それぞれを対応する画素Pに出力する。信号出力回路151bと複数の画素Pとは、Y方向に沿って延びる複数の信号線Lbを介して電気的に接続されている。
【0134】
走査回路151cは、信号出力回路151bによる画素信号の出力と同期して、複数の画素Pを走査する。走査回路151cと複数の画素Pとは、X方向に沿って延びる複数の走査線Lcを介して電気的に接続されている。平面視においてX方向で互いに隣接する2つの信号線LbおよびY方向で互いに隣接する2つの走査線Lcによって区画されている領域が画素Pに相当する。
【0135】
駆動回路151は、画像信号に基づいて複数の画素信号を生成する。画素信号は、画像の情報として画像信号に含まれる画素Pの階調(上記の赤の階調値、緑の階調値および青の階調値)を有する。駆動回路151は、画素Pの階調を示す画素信号を複数の画素Pに出力することで表示パネル150を駆動する(詳細は後述する)。
【0136】
図20は、
図17に示す表示パネル150の断面図である。なお、
図20において第1基材157および第2基材158は省略されている。第1基板152の前面152aには、信号線Lb(不図示)、画素電極PE、および、走査線Lcが電気的に絶縁された状態で配置されている。
【0137】
また、第1基板152の前面152aには、第1配向膜AL1が配置されている。第1基板152と第1配向膜AL1との間に、信号線Lb、画素電極PE、および、走査線Lcが配置されている。
【0138】
第2基板154の背面152bには、共通電極CE、および、第1配向膜AL1が配置されている。第2基板154と第1配向膜AL1との間に共通電極CEが配置されている。2つの第1配向膜AL1の配向方向は、互いに平行である。なお、2つの第1配向膜AL1の配向方向は、互いに直交してもよい。
【0139】
このように、本第2実施形態の表示パネル150は、上記の第1実施形態の表示パネル50と異なり、カラーフィルタCF、遮光膜SM、第1偏光板55および第2偏光板56を備えない。
【0140】
図21は、
図17に示す表示パネル150の部分拡大断面図である。本第2実施形態の第1液晶層153は、高分子分散型液晶を含む。具体的には、第1液晶層153は、3次元の網目状を有するポリマーネットワーク153aを有している。
【0141】
ポリマーネットワーク153aは、2つの第1配向膜AL1によって配向されたモノマーを、紫外線および熱などによって重合させることで形成される。第1液晶分子LM1は、ポリマーネットワーク153aの隙間にある。
【0142】
図17に示すように、光制御回路165は、支持体159に配置されている。本第2実施形態の光制御回路165は、第2フレキシブル配線基板2bを介して電気的に接続されている外部装置(不図示)から出力される光制御信号に基づいて、照明装置160を制御する。光制御信号は、画像信号に基づいて定められる発光体162の光量(発光体が出射する光の量)の情報を含む。
【0143】
次に、表示パネル150が画像を表示する際の表示装置1の基本動作について説明する。駆動回路151および光制御回路165は、フィールドシーケンシャル方式によって表示パネル150および照明装置160を駆動する。
【0144】
はじめに、画像信号および光制御信号が表示装置1に送信されておらず、表示パネル150が画像を表示していない場合について説明する。この場合、駆動回路151は画素信号を出力しておらず、画素電極PEに電圧が印加されていない。また、光制御回路165は、照明装置160を駆動しておらず、発光体162から光が発せられていない。
【0145】
画素電極PEに電圧が印加されていない場合、
図21に示すように、ポリマーネットワーク153aの光軸AX1および第1液晶分子LM1の光軸AX2は、2つの第1配向膜AL1によって規制されている。本実施形態では、画素電極PEに電圧が印加されていない場合、ポリマーネットワーク153aの光軸と第1液晶分子LM1の光軸とは、互いに平行であり、X方向に沿っている。
【0146】
ポリマーネットワーク153aの常光屈折率と第1液晶分子LM1の常光屈折率とは、互いに等しい。よって、画素電極PEに電圧が印加されていない場合、すべての方向において、ポリマーネットワーク153aの屈折率と第1液晶分子LM1との屈折率との差がゼロになる。したがって、表示パネル150内を伝播する光は散乱しない。
【0147】
つまり、この場合、第1液晶層153は、表示パネル150内を伝播する光を散乱させない透過状態となる。第1液晶層153が透過状態である場合、表示パネル150の表示領域DAには画像が表示されない。
【0148】
次に、画像信号および光制御信号が表示装置1に送信され、表示パネル150が画像を表示する場合について説明する。まず、駆動回路151が画素信号を出力し、画素電極PEに電圧が印加された状態について説明する。
【0149】
画素電極PEに電圧が印加された場合、第1液晶分子LM1の光軸AX2は、電圧の大きさに応じてX方向に対して傾斜する。一方、ポリマーネットワーク153aの光軸AX1は、画素電極PEに電圧が印加された場合においても傾斜せず、X方向に沿っている。つまり、ポリマーネットワーク153aの光軸AX1に対して第1液晶分子LM1の光軸AX2が傾斜する。
【0150】
これにより、ポリマーネットワーク153aの屈折率と第1液晶分子LM1との屈折率との間に差が生じる。このとき、光制御信号に基づいて光制御回路165が発光体162から光を出射すると、表示パネル150内を伝播する光が散乱する。つまり、この場合、第1液晶層153は、表示パネル150内を伝播する光を散乱させる散乱状態となる。第1液晶層153で散乱した光は、複数の画素Pから(表示パネル150の前面150a側から)外部に出射する。
【0151】
また、第1液晶層153で散乱した光の量は、第1液晶層153の散乱の度合によって変化する。第1液晶層153の散乱の度合は、第1液晶分子LM1の傾き、つまり、画素電極PEに印加される電圧の大きさによって定まる。電圧の大きさは、画素信号に含まれる画素Pの階調値(上記の赤の階調値、緑の階調値および青の階調値)に基づいて定められる。画素Pの階調値は、画素Pから出射する光の色ごとに定められている。画素Pから出射する光の色の数は3つであり、発光体162のレーザ光Lの色は画素Pから出射する光の色に対応している。
【0152】
駆動回路151は、画素信号を複数の画素P毎に生成し、画素信号を複数の画素Pに送信する。これにより、複数の画素Pそれぞれにおいて、階調値に応じた電圧が画素電極PEに印加され、画素Pに対応する第1液晶分子LM1が階調値の大きさに応じて傾斜し、第1液晶層153の散乱の度合が変化することで、画素Pから出射する光の量が変化する。階調値が大きいほど、画素Pから出射する光の量が多くなる。
【0153】
図22は、
図17に示す表示パネル150に画像が表示される際における駆動回路151および光制御回路165の動作を示す図である。
図22は、1フレームFあたりの駆動回路151および光制御回路165の動作を示している。1フレームFは、第1サブフレームSF1、第2サブフレームSF2および第3サブフレームSF3をこの順に有している。
【0154】
第1サブフレームSF1では、画像に含まれる赤の光が画素Pから出射される。具体的には、駆動回路151は、第1走査期間TS1において複数の画素Pを走査し、赤の光を出射させる画素Pを選択し、画像に含まれる赤の階調を示す第1画素信号を選択した画素Pに送信する。これにより、選択された画素Pに対応する第1液晶層153が赤の階調値に応じた散乱状態となる。画素電極PEに印加された電圧は、第1発光期間TL1において保持され、第1サブフレームSF1の終了時にリセットされる。
【0155】
また、光制御回路165は、第1発光期間TL1において第1発光体162aを発光させる。第1発光体162aの赤の第1レーザ光LRは、導光部161内で拡散され、表示パネル150内を伝播する。これにより、駆動回路151によって選択された画素Pに対応する第1液晶層153において、第1液晶層153の散乱の度合に応じて赤の第1レーザ光LRが散乱し、外部に出射される。つまり、駆動回路151によって選択された画素Pから、第1画素信号の階調値に応じた階調を有する赤の光が出射される。これにより、表示領域DAに赤の画像が表示される。
【0156】
第2サブフレームSF2では、画像に含まれる緑の光が画素Pから出射される。具体的には、駆動回路151は、第2走査期間TS2において複数の画素Pを走査し、緑の光を出射させる画素Pを選択し、画像に含まれる緑の階調を示す第2画素信号を選択した画素Pに送信する。これにより、選択された画素Pに対応する第1液晶層153が緑の階調値に応じた散乱状態となる。画素電極PEに印加された電圧は、第2発光期間TL2において保持され、第2サブフレームSF2の終了時にリセットされる。
【0157】
また、光制御回路165は、第2発光期間TL2において第2発光体162bを発光させる。第2発光体162bの緑の第2レーザ光LGは、導光部161内で拡散され、表示パネル150内を伝播する。これにより、駆動回路151によって選択された画素Pに対応する第1液晶層153において、第1液晶層153の散乱の度合に応じて緑の第2レーザ光LGが散乱し、外部に出射される。つまり、駆動回路151によって選択された画素Pから、第2画素信号の階調値に応じた階調を有する緑の光が出射される。これにより、表示領域DAに緑の画像が表示される。
【0158】
第3サブフレームSF3では、画像に含まれる青の光が画素Pから出射される。具体的には、駆動回路151は、第3走査期間TS3において複数の画素Pを走査し、青の光を出射させる画素Pを選択し、画像に含まれる青の階調を示す第3画素信号を選択した画素Pに送信する。これにより、選択された画素Pに対応する第1液晶層153が青の階調値に応じた散乱状態となる。画素電極PEに印加された電圧は、第3発光期間TL3において保持され、第3サブフレームSF3の終了時にリセットされる。
【0159】
また、光制御回路165は、第3発光期間TL3において第3発光体162cを発光させる。第3発光体162cの青の第3レーザ光LBは、導光部161内で拡散され、表示パネル150内を伝播する。これにより、駆動回路151によって選択された画素Pに対応する第1液晶層153において、第1液晶層153の散乱の度合に応じて青の第3レーザ光LBが散乱し、外部に出射される。つまり、駆動回路151によって選択された画素Pから、第3画素信号の階調値に応じた階調を有する青の光が出射される。これにより、表示領域DAに青の画像が表示される。
【0160】
1フレームFの時間は、1フレームFにおいて放出される赤の光、緑の光および青の光が合成された光がユーザの目Eによって認識される時間に定められている。つまり、ユーザの目Eは、赤、緑および青が合成された色および階調の光を認識する。よって、ユーザは、表示領域DAに表示された赤の画像、緑の画像および青の画像が合成された画像を視認する。
【0161】
図23は、本開示の第2実施形態の表示装置1の光学素子120の側面図である。本第2実施形態の光学素子120は、ガラス製のレンズであり、上記の第1実施形態の光学素子20と同様のレンズ作用を有する。すなわち、光学素子120のレンズ作用により、表示パネル150から出射した光はユーザの目Eに集められ、ユーザは、表示領域DAに表示されている画像が拡大された画像を視認する。
【0162】
本第2実施形態の光学素子120においても歪曲収差が発生する。本第2実施形態の光学素子120によって発生する歪曲収差と、上記の第1実施形態の光学素子20の歪曲収差とでは、ゆがみの度合が大きくなる方向が反対である。
【0163】
具体的には、光学素子120を介してユーザに視認される画像は、表示領域DAに表示されている画像に対して、当該画像の中央部が窪んだ状態に見えるゆがみを有する。つまり、光学素子20により生じる歪曲収差では、表示領域DAに表示される画像に対して当該画像の中心から離れるほど、当該画像の中心から離れるゆがみの度合が大きくなる。これに対して、駆動回路151は、次に説明するように、光学素子120によって発生する歪曲収差を抑制する。
【0164】
なお、説明を簡単にするために、本第2実施形態の光学素子120によって発生する歪曲収差と、上記の第1実施形態の光学素子20の歪曲収差とでは、ゆがみの大きさは同じとする。
【0165】
図24は、
図19に示す駆動回路151が実行するフローチャートである。駆動回路151は、ステップS11で画像の情報を取得する。駆動回路151は、ステップS11で画素Pの階調値を取得する。説明を簡単にするために、上記の第1実施形態と同様に、画像信号に含まれる画像は、
図14に示す入力画像Giと同じとする。
【0166】
続けて、駆動回路151は、ステップS12で補正画像Grを生成する。具体的には、駆動回路151は、上記の式(1),(2)を用いて入力座標系CS1のサイズを変換する。
【0167】
続けて、駆動回路51は、光学素子120により生じる歪曲収差に基づいて、サイズが変換された座標系に対してゆがみを生じさせるゆがみ処理を行う。ゆがみ処理は、サイズが変換された座標系に対して、原点O1を基準点として、光学素子120により生じる歪曲収差と同様のゆがみを生じさせる。
【0168】
上記のように、光学素子120により生じる歪曲収差では、表示領域DAに表示される画像に対して当該画像の中心から離れるほど、当該画像の中心から離れるゆがみの度合が大きくなる。これに対し、本第2実施形態のゆがみ処理は、上記のサイズが変換された座標系における任意の点を原点から離れる方向に移動させるとともに、当該任意の点が原点から離れるほど、原点から離れる方向における任意の点の移動量を大きくする。
【0169】
具体的には、駆動回路151は、上記の式(5)、ならびに、下記の式(8)および式(9)を用いてゆがみ処理を行う。ゆがみ処理が行われた座標系(不図示)は、第2P軸に対応する第3P軸と、第2Q軸に対応する第3Q軸とが互いに直交する直交座標系である。
p3=p2×(1+k1×r2+k2×r4+k3×r6) ・・・(8)
p3=p2×(1+k1×r2+k2×r4+k3×r6) ・・・(9)
【0170】
上記のように、本第2実施形態の光学素子120によって発生する歪曲収差と、上記の第1実施形態の光学素子20の歪曲収差とでは、ゆがみの度合が大きくなる方向が反対である。これにより、式(8),(9)は、上記の式(3),(4)に対して、k1、k2およびk3に付けられている符号が異なるのみである。なお、k1、k2およびk3は、上記の第1実施形態と同様に、所定の値を示す係数であり、正の値である。
【0171】
さらに、駆動回路151は、上記の式(6)および式(7)を用いてゆがみ処理が行われた座標系のサイズを変換した変換座標系CS4(後述する
図25参照)を生成する。変換座標系CS4は、第3P軸に対応する第4P軸P4と、第3Q軸に対応する第4Q軸Q4とが互いに直交する直交座標系である。
【0172】
図25は、第2実施形態に係る変換座標系CS4を示す図である。本第2実施形態の変換座標系CS4は、入力座標系CS1に対して、中央部が窪んだ状態に見えるゆがみを有する。すなわち、変換座標系CS4は、原点O4から放射方向外側(原点O4から離れる方向)に向かうほど、原点O4から放射方向外側に向かうゆがみの度合が大きい。
【0173】
さらに、駆動回路151は、変換座標系CS4に入力画像Giの座標を適用することで、補正画像を生成する。
【0174】
図26は、第2実施形態に係る補正画像Gr1を示す図である。
図26には、補正画像Gr1のうち、入力画像Giの実線部Ciが補正された補正実線部Cr1が示されている。補正実線部Cr1は黒の実線で構成されている。補正画像Gr1において補正実線部Cr1以外の部位は、白である。
【0175】
補正画像Gr1は、入力画像Giに対して、中央部が膨らんだ状態に見えるゆがみを有する。すなわち、補正画像Gr1では、補正画像Grの中心から放射方向外側(補正画像Grの中心から離れる側)に向かうほど、補正画像Grの中心へ向かうゆがみの度合が大きい。これにより、補正実線部Crにおいても、補正画像Grの中心から放射方向外側に向かうほど、補正画像Grの中心から放射方向外側に向かうゆがみの度合が大きい。
【0176】
さらに、駆動回路151は、ステップS13で、レーザ光の色ごとに補正画像Grを分解した複数の色分解画像を生成する。上記のように第1レーザ光LRは赤のレーザ光Lであり、第2レーザ光LGは緑のレーザ光Lであり、第3レーザ光LBは青のレーザ光Lである。つまり、駆動回路151は、第1レーザ光LRに対応する赤の第1色分解画像、第2レーザ光LGに対応する緑の第2色分解画像、および、第3レーザ光LBに対応する青の第3色分解画像を生成する。
【0177】
第1色分解画像は、補正画像Grの補正実線部Crと同じ形状の黒の第1補正実線部を有する。第1色分解画像における第1補正実線部以外の部位は、比較的明るい赤である。第2色分解画像は、補正画像Grの補正実線部Crと同じ形状の黒の第2補正実線部を有する。第2色分解画像における第2補正実線部以外の部位は、緑であり、1色分解画像における第1補正実線部以外の部位と同じ明るさを有する。また、第3色分解画像は、補正画像Grの補正実線部Crと同じ形状の黒の第3補正実線部を有する。第3色分解画像における第3補正実線部以外の部位は、青であり、1色分解画像における第1補正実線部以外の部位と同じ明るさを有する。
【0178】
続けて、駆動回路151は、ステップS14で画素信号を生成する。具体的には、駆動回路151は、赤の第1色分解画像に基づいて、赤の階調を示す第1画素信号を生成する。第1画素信号において、第1色分解画像の第1補正実線部に対応する画素Pの階調値は最小であり、第1色分解画像の第1補正実線部以外の部位に対応する画素Pの階調値は最大である。
【0179】
また、駆動回路151は、緑の第2色分解画像に基づいて、緑の階調を示す第2画素信号を生成する。第2画素信号において、第2色分解画像の第2補正実線部に対応する画素Pの階調値は最小であり、第2色分解画像の第2補正実線部以外の部位に対応する画素Pの階調値は最大である。
【0180】
さらに、駆動回路151は、青の第3色分解画像に基づいて、青の階調を示す第3画素信号を生成する。第3画素信号において、第3色分解画像の第3補正実線部に対応する画素Pの階調値は最小であり、第3色分解画像の第3補正実線部以外の部位に対応する画素Pの階調値は最大である。
【0181】
続けて、駆動回路151は、ステップS15で画素信号を出力する。具体的には、駆動回路151は、第1走査期間TS1に第1画素信号を出力する。さらに、第1発光期間TL1において第1発光体162aが発光する。これにより、第1サブフレームSF1において、赤の第1色分解画像が表示領域DAに表示される。
【0182】
また、駆動回路151は、第2走査期間TS2に第2画素信号を出力する。さらに、第2発光期間TL2において第2発光体162bが発光する。これにより、第2サブフレームSF2において、緑の第2色分解画像が表示領域DAに表示される。
【0183】
さらに、駆動回路151は、第3走査期間TS3に第3画素信号を出力する。そして、第3発光期間TL3において第3発光体162cが発光する。これにより、第3サブフレームSF3において、青の第3色分解画像が表示領域DAに表示される。
【0184】
つまり、本第2実施形態では、1フレームFにおいて、第1色分解画像、第2色分解画像および第3色分解画像がこの順に表示される。駆動回路151は、ステップS15を実行すると、プログラムをステップS11に戻す。
【0185】
ユーザは、光学素子120を介して、表示領域DAの表示されている第1色分解画像、第2色分解画像および第3色分解画像が合成された画像を拡大された状態で視認する。当該画像は、ゆがみが抑制された補正画像Gr1、すなわち、入力画像Giに相当する。つまり、ユーザは、光学素子20を介して、表示領域DAに表示されている第1色分解画像、第2色分解画像および第3色分解画像が合成された画像を視認することで、入力画像Giを視認することができる。
【0186】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0187】
例えば、
図3に示す第1表示パネル50aおよび第2表示パネル50bは一体でもよい。この場合、一体の第1表示パネル50aおよび第2表示パネル50bは1つの表示領域DAを有し、当該表示領域DAにおいて左目用の画像は-X側に右目用の画像は+X側に表示される。さらにこの場合、第1照明装置60aおよび第2照明装置60bは一体でもよい。
【0188】
また、表示パネル50は装着部10に対して着脱可能に取り付けられてもよい。
【0189】
また、表示装置1は、VRシステムではなく、車両のナビゲーションシステム(いわゆるカーナビ)でもよい。この場合、表示装置1は車両に取り付けられ、表示領域DAには例えば地図の画像が表示される。
【0190】
図27は、本開示の第1実施形態の変形例に係る光学素子220の断面図である。本変形例の光学素子220は、上記の第1実施形態の第2位相差板23、反射偏光板24および第3位相差板25を備えず、第2の液晶素子227を備えている。
【0191】
具体的には、光学素子220は、第1位相差板21、半透過層22、第2の液晶素子227、および、液晶素子26を備えている。第1位相差板21、半透過層22、第2の液晶素子227、および、液晶素子26は、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。
【0192】
また、半透過層22および第2の液晶素子227は互いに離れて配置されている。すなわち、半透過層22と第2の液晶素子227との間には空気層がある。さらに、第2の液晶素子227および液晶素子26は互いに密着した状態で積層されている。
【0193】
図28は、第2の液晶素子227の断面図である。第2の液晶素子227は、第1円偏光を反射し、第2円偏光を透過する。
【0194】
第2の液晶素子227は、第5基板227a、第3液晶層227b、および、第6基板227cを備えている。第5基板227a、第3液晶層227bおよび第6基板227cは、それぞれ透光性を有し、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。第5基板227aおよび第6基板227cは、平面視矩形状である。
【0195】
また、第5基板227aの前面および第6基板227cの背面には、それぞれ、第3配向膜AL3が配置されている。第3液晶層227bは、Z方向において2つの第3配向膜AL3の間に配置されている。第3液晶層227bはコレステリック液晶を有する。
【0196】
第3液晶層227bは、複数の第3液晶分子LM3を含んで構成されている。複数の第3液晶分子LM3の長軸の向きは、Z方向と直交する。
【0197】
また、第3液晶層227bは、Z方向に沿って並ぶ複数の第3液晶分子LM3によって構成される1組の第3液晶分子CLM2を複数含む。1組の第3液晶分子CLM2において複数の第3液晶分子LM3は、らせん状に配置されている。1組の第3液晶分子CLM2において複数の第3液晶分子LM3の回転方向は、平面視において反時計回りであり、換言すれば、平面視において第1円偏光の回転方向と同じである。1組の第3液晶分子CLM2において第3液晶分子LM3の平面視での回転角度は360°以上である。
【0198】
図29は、
図27に示す光学素子220のレンズ作用を示す図である。
図29には、
図12と同様に記号S1,S2,S3,S4が示されている。
【0199】
表示パネル50から+Z側に向けて出射された出射光Lsが光学素子220に入射する。表示パネル50から出射する出射光Lsは、第1直線偏光に相当する。出射光Lsは、第1位相差板21を透過することで第1円偏光に変換される。
【0200】
第1位相差板21を透過した出射光Lsの一部は、半透過層22で反射する。半透過層22で反射した出射光Lsの一部(
図29に破線にて示す)は第2円偏光に変換され、さらに、第1位相差板21を透過することで第2直線偏光に変換される。
【0201】
一方、第1位相差板21を透過した出射光Lsの他の一部は、半透過層22を透過する。半透過層22を透過した出射光Lsは、第1円偏光であり、第2の液晶素子227で反射する。第2の液晶素子227で反射した出射光Lsの一部は、半透過層22を透過する。半透過層22を透過した出射光Ls(
図29に一点鎖線にて示す)は、第1位相差板21を透過することで第1直線偏光に変換される。
【0202】
一方、第2の液晶素子227で反射した出射光Lsの他の一部は、半透過層22で反射し、第2円偏光に変換され、第2の液晶素子227を透過する。さらに、出射光Lsは、液晶素子26のレンズ作用によってユーザの目Eに集められる。
【0203】
また、上記の第2実施形態の表示装置1は、光学素子120に代えて、上記の第1実施形態の光学素子20および上記の変形例の光学素子220の一方を備えてもよい。この場合、表示パネル150は、第2偏光板56を前面150aに備える。これにより、表示パネル150の出射光Lsは、光学素子20または光学素子220によってユーザの目Eに集まる。
【0204】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0205】
1 表示装置
20 光学素子
50 表示パネル
51 駆動回路
60 照明装置
62 発光体
E ユーザの目
Gi 入力画像(画像信号に含まれる画像)
Gr 補正画像