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特開2024-104477電子ファイル管理システム、電子ファイル管理装置、および電子ファイル管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104477
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】電子ファイル管理システム、電子ファイル管理装置、および電子ファイル管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240729BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008703
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】加納 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】前崎 寿美子
(72)【発明者】
【氏名】小谷 正樹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子ファイルの重複登録を回避する電子ファイル管理システム、電子ファイル管理装置、および電子ファイル管理プログラムを提供する。
【解決手段】電子ファイル管理システム100において、電子ファイル管理装置110は、第一電子ファイルとして特定するファイル特定部113と、第一電子ファイルの内容に基づき特徴情報を抽出する抽出部116と、抽出された特徴情報をサーバ120に送信する特徴情報送信部117と、を備える。サーバ120は、第一電子ファイルの特徴情報と、サーバ120が管理する第二電子ファイルに予め紐付けられた特徴情報と、に基づき第一電子ファイルと内容が同じ電子ファイル300の有無を判定する有無判定部124と、判定結果を電子ファイル管理装置110に送信する結果送信部125と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続される電子ファイル管理装置と、前記電子ファイル管理装置から前記ネットワークを介して送信された電子ファイルを管理するサーバと、を備える電子ファイル管理システムであって、
前記電子ファイル管理装置は、
前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルの少なくとも1つを第一電子ファイルとして特定するファイル特定部と、
前記第一電子ファイルの内容に基づき、前記第一電子ファイルの内容を他の電子ファイルの内容とは識別できる特徴情報を前記第一電子ファイルから抽出する抽出部と、
抽出された特徴情報を前記サーバに送信する特徴情報送信部と、を備え、
前記サーバは、
前記電子ファイル管理装置から取得した前記第一電子ファイルの特徴情報と、前記サーバが管理する電子ファイルである第二電子ファイルに予め紐付けられた特徴情報と、に基づき前記第一電子ファイルと内容が同じ前記第二電子ファイルの有無を判定する有無判定部と、
前記有無判定部による判定結果を前記電子ファイル管理装置に送信する結果送信部と、を備える
電子ファイル管理システム。
【請求項2】
前記電子ファイル管理装置は、
特定された電子ファイルの種類を判定する種類判定部を備え、
前記抽出部は、
判定された前記電子ファイルの種類に応じた特徴情報を抽出する
請求項1に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項3】
前記電子ファイル管理装置は、
前記電子ファイルに関連する関連情報を取得する関連情報取得部を備え、
前記関連情報取得部は、
前記結果送信部からの判定結果を、関連情報を受け付ける受付画面に表示する
請求項1または2に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項4】
前記電子ファイル管理装置は、
前記電子ファイルに関連する関連情報を取得する関連情報取得部を備え、
前記関連情報取得部は、
前記結果送信部から無を示す判定結果を取得すると関連情報を受け付ける受付画面を表示する
請求項1または2に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項5】
前記電子ファイル管理装置は、
前記電子ファイルに関連する関連情報を取得する関連情報取得部を備え、
前記関連情報取得部は、
前記結果送信部からの判定結果を取得する前に関連情報を受け付ける受付画面を表示する
請求項1または2に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項6】
前記電子ファイル管理装置は、
前記電子ファイルに関連する関連情報を取得する関連情報取得部を備え、
前記関連情報取得部は、
前記結果送信部から無を示す判定結果を取得すると関連情報を受け付け可能とする
請求項1または2に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項7】
前記抽出部は、
特徴情報を抽出する前に、事前特徴情報を抽出し、前記事前特徴情報に基づく前記有無判定部の判定結果が無を示す場合、前記事前特徴情報とは異なる特徴情報を抽出する
請求項1または2に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項8】
前記結果送信部は、
有を示す判定結果を送信する場合、前記判定結果に対応した第二電子ファイルの関連情報を前記電子ファイル管理装置に送信する
請求項1または2に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項9】
前記サーバは、
前記第二電子ファイルの内容に基づき、前記第二電子ファイルの内容を他の電子ファイルの内容とは識別できる特徴情報を前記第二電子ファイルから抽出するサーバ側抽出部を備える
請求項1または2に記載の電子ファイル管理システム。
【請求項10】
電子ファイルを管理するサーバとネットワークを介して接続される電子ファイル管理装置であって、
前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルの少なくとも1つを第一電子ファイルとして特定するファイル特定部と、
前記第一電子ファイルの内容に基づき、前記第一電子ファイルの内容を他の電子ファイルの内容とは識別できる特徴情報を前記第一電子ファイルから抽出する抽出部と、
抽出された特徴情報を前記サーバに送信する特徴情報送信部と、
を備える電子ファイル管理装置。
【請求項11】
電子ファイル管理装置からネットワークを介して送信された電子ファイルを管理するサーバであって、
前記電子ファイル管理装置から取得した電子ファイルの特徴情報と、前記サーバが管理する電子ファイルに予め紐付けられた特徴情報と、に基づき前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルと内容が同じである前記サーバが管理する電子ファイルの有無を判定する有無判定部と、
前記有無判定部による判定結果を前記電子ファイル管理装置に送信する結果送信部と、を備える
サーバ。
【請求項12】
電子ファイル管理装置が備えるプロセッサに実行されることにより文書の管理を実現する電子ファイル管理プログラムであって、
前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルの少なくとも1つを第一電子ファイルとしてファイル特定部が特定し、
前記第一電子ファイルの内容に基づき、前記第一電子ファイルの内容を他の電子ファイルの内容とは識別できる特徴情報を前記第一電子ファイルから抽出部が抽出し、
抽出された特徴情報をサーバに特徴情報送信部が送信する
電子ファイル管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ファイル管理システム、電子ファイル管理装置、および電子ファイル管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子ファイル管理システムでは、電子ファイルに関連する取引日付、取引相手、取引金額などの関連情報を電子ファイル管理装置にて入力し、関連情報と共に電子ファイルをサーバに送信し、サーバにおいて電子ファイルと関連情報とを紐付けて管理している。サーバは、一般的に電子ファイル管理システムから送信された電子ファイルを保存する際に、重複するファイルの有無をファイル名に基づき簡易的に判断している。また、特許文献1にはファイルサイズ、および部分ハッシュ値に基づいて、電子ファイルの一致、不一致をより詳細に判断する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-201861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電子帳簿保存法などに対応した重要な電子ファイルを保存する場合などにおいては、より厳格に電子ファイルの内容の同一性を比較する必要がある。このような場合、一旦、サーバに電子ファイルをアップロードすることが考えられるが、サイズの大きな電子ファイルを送信する場合、通信に時間を要し、ネットワークの負荷が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電子ファイルをサーバに送信して保存する前に予め保存する電子ファイルの重複を厳格にチェックし、通信の負荷を軽減する電子ファイル管理システム、電子ファイル管理装置、および電子ファイル管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つである電子ファイル管理システムは、ネットワークに接続される電子ファイル管理装置と、前記電子ファイル管理装置から前記ネットワークを介して送信された電子ファイルを管理するサーバと、を備える電子ファイル管理システムであって、前記電子ファイル管理装置は、前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルの少なくとも1つを第一電子ファイルとして特定するファイル特定部と、前記第一電子ファイルの内容に基づき、前記第一電子ファイルの内容を他の電子ファイルの内容とは識別できる特徴情報を抽出する抽出部と、抽出された特徴情報を前記第一電子ファイルから前記サーバに送信する特徴情報送信部と、を備え、前記サーバは、前記電子ファイル管理装置から取得した前記第一電子ファイルの特徴情報と、前記サーバが管理する電子ファイルである第二電子ファイルに予め紐付けられた特徴情報と、に基づき前記第一電子ファイルと内容が同じ前記第二電子ファイルの有無を判定する有無判定部と、前記有無判定部による判定結果を前記電子ファイル管理装置に送信する結果送信部と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つである電子ファイル管理装置は、電子ファイルを管理するサーバとネットワークを介して接続される電子ファイル管理装置であって、前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルの少なくとも1つを第一電子ファイルとして特定するファイル特定部と、前記第一電子ファイルの内容に基づき、前記第一電子ファイルの内容を他の電子ファイルの内容とは識別できる特徴情報を前記第一電子ファイルから抽出する抽出部と、抽出された特徴情報を前記サーバに送信する特徴情報送信部と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の1つであるサーバは、電子ファイル管理装置からネットワークを介して送信された電子ファイルを管理するサーバであって、前記電子ファイル管理装置から取得した電子ファイルの特徴情報と、前記サーバが管理する電子ファイルに予め紐付けられた特徴情報と、に基づき前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルと内容が同じである前記サーバが管理する電子ファイルの有無を判定する有無判定部と、前記有無判定部による判定結果を前記電子ファイル管理装置に送信する結果送信部と、を備える。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の1つである電子ファイル管理プログラムは、電子ファイル管理装置が備えるプロセッサに実行されることにより文書の管理を実現する電子ファイル管理プログラムであって、前記電子ファイル管理装置が管理する電子ファイルの少なくとも1つを第一電子ファイルとしてファイル特定部が特定し、前記第一電子ファイルの内容に基づき、前記第一電子ファイルの内容を他の電子ファイルの内容とは識別できる特徴情報を前記第一電子ファイルから抽出部が抽出し、抽出された特徴情報をサーバに特徴情報送信部が送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子ファイル管理装置からサーバに送信する電子ファイルの内容と、サーバ内における電子ファイルの内容とを特徴情報に基づき比較することにより電子ファイルをサーバに送信する前に重複の有無を確認できる。従って、重複があることを確認した場合は、電子ファイルの送信を中止し、通信負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電子ファイル管理システムの装置構成を示す図である。
図2】電子ファイル管理システムの機能構成を示す図である。
図3】第一電子ファイルの特定状態を示す図である。
図4】表示装置に表示させる内容画面、および受付画面を示す図である。
図5】電子ファイル管理データベースを示す図である。
図6】属性情報と特徴情報の抽出方法との関係を定義するテーブルである。
図7】電子ファイル管理システムの動作を示すシーケンス図である。
図8】重複した電子ファイルがあることを使用者に報知した表示を示す図である。
図9】電子ファイル管理システムの動作の別例1を示すシーケンス図である。
図10】第一電子ファイルの特定状態の別例を示す図である。
図11】電子ファイル管理システムの動作の別例2を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電子ファイル管理システム、電子ファイル管理装置、および電子ファイル管理プログラムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0013】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。また、図中に示す場合があるX軸、Y軸、Z軸は、図の説明のために任意に設定した直交座標を示している。つまりZ軸は、鉛直方向に沿う軸とは限らず、X軸、Y軸は、水平面内に存在するとは限らない。
【0014】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0015】
フローチャート、シーケンス図などは、一例であり、処理の順序が異なる、複数の処理が統合される、一つの処理が分離されるなど、処理の流れが異なっても本発明の実施の形態に含まれる場合がある。
【0016】
図1は、電子ファイル管理システム100の装置構成を示す図である。図2は、電子ファイル管理システム100の機能構成を示す図である。電子ファイル管理システム100は、電子ファイル管理装置110と、サーバ120と、を備えている。なお、電子ファイル管理システム100は、複数台のサーバ120、複数台の電子ファイル管理装置110、を備えても良い。また、サーバ120、および電子ファイル管理装置110は、一種類のネットワークを介して接続されてもよく、アドレス変換装置230を介して接続される第一ネットワーク210、および第二ネットワーク220のように複数種類のネットワークを介して接続されてもかまわない。本実施の形態の場合、第一ネットワーク210を介して接続される一台のサーバ120、および一台の電子ファイル管理装置110に着目して説明する。
【0017】
以下に電子ファイル管理システム100の装置構成、機能構成を順に説明するが、説明の順番は、処理の順番と必ずしも一致するものではない。処理の順番については後述する。
【0018】
第一ネットワーク210の種類は、特に限定されるものではなく、例えばプライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)に基づき通信を行うLAN(Local Area Network、構内情報通信網)を例示することができる。具体的に第一ネットワーク210は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3に準拠するネットワークである。この第一ネットワーク210上には、サーバ120、電子ファイル管理装置110が接続されている。なお、第一ネットワーク210に接続される装置は、これらに限定されるものではない。
【0019】
第二ネットワーク220の種類は、特に限定されるものではなく、例えばグローバルIPアドレスに基づき通信可能な通信事業者の提供するWAN(Wide Area Network、広域情報通信網)、いわゆるインターネットを例示することができる。
【0020】
アドレス変換装置230は、IPアドレスを別のIPアドレスに変換するNAT(Network Address Translation)機能を備えた装置である。本実施の形態の場合、アドレス変換装置230は、いわゆるルーターである。
【0021】
電子ファイル管理装置110は、電子ファイル300を保存できる記憶装置である第一記憶装置111と、プログラムを実行することができるプロセッサである第一プロセッサ112と、を備えている。電子ファイル管理装置110は、ネットワークを介してサーバ120と通信し、サーバ120に管理される記憶装置である第二記憶装置150に対し電子ファイル300を保存し、取り出すことができる装置である。具体的な電子ファイル管理装置110としては、特に限定されるものではなく、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータなどを挙示することができる。本実施の形態の場合、電子ファイル管理装置110は、第一記憶装置111、第二記憶装置150などから取得した電子ファイル管理プログラムをインストールすることにより、電子ファイル管理装置110において実行されているOS(Operation System)に基づき表示されるコンテキストメニューの中に電子ファイル管理プログラム独自の項目を表示させ得る状態になる。
【0022】
電子ファイル管理装置110は、インストールされた電子ファイル管理プログラムを第一プロセッサ112に実行させることにより実現される処理部として、ファイル特定部113と、抽出部116と、特徴情報送信部117と、を備えている。本実施の形態の場合、電子ファイル管理装置110は、種類判定部114と、関連情報取得部115を備えている。
【0023】
図3は、電子ファイル管理装置110の表示装置101に表示される内容を示す図である。ファイル特定部113は、電子ファイル管理装置110が管理する電子ファイル300、本実施の形態の場合、第一記憶装置111に保存される電子ファイル300の少なくとも1つを第一電子ファイルとして特定する。電子ファイル300の特定は、使用者の電子ファイル管理装置110に対する操作に基づき所定の電子ファイル300を第一電子ファイルとして特定する。
【0024】
具体的な電子ファイル300の特定方法は、限定されるものではない。本実施の形態の場合、図3に示すように、電子ファイル管理装置110の使用者が、ファイル名301が表示されている行の一つにマウスのカーソル330を合わせ、マウスの右ボタンをクリックした場合、コンテキストメニュー320が表示される。使用者は、コンテキストメニュー320内に示された「関連情報登録」と示された機能情報303にカーソル330を合わせ、左クリックする。ファイル特定部113は、以上の使用者の操作に基づき電子ファイル300の一つであるAAA.pdfを第一電子ファイルとして特定する。
【0025】
関連情報取得部115は、電子ファイル300に関連する関連情報を電子ファイル管理装置110の使用者からの入力に基づき取得する。本実施の形態の場合、ファイル特定部113により第一電子ファイルが特定された場合、例えば、図4に示すような第一電子ファイルの内容を示す内容画面341、および第一電子ファイルに関連する関連情報を受け付け可能な受付画面342を表示装置101に表示させる。
【0026】
内容画面341とは、ファイル特定部113が特定した電子ファイル300の本体データの少なくとも一部を使用者に看取できるように可視化して表示装置101に表示された画面である。受付画面342とは、特定された電子ファイル300に関連する関連情報を使用者の入力に基づき受け付けるための画面である。本実施の形態の場合、受付画面342に基づき受け付けられた関連情報は、内容画面341に表示されている電子ファイル300(第一電子ファイル)と紐付けられて第二記憶装置150に保存される場合がある。保存状態は限定されるものではないが、本実施の形態の場合、図5に示すような、電子ファイル管理データベース340のレコードとして保存される。
【0027】
関連情報とは、電子ファイル300に関連する情報であり、例えば、取引先名、取引年月日、取引金額など電子ファイル300の内容の一部を含んでも良く、取引先担当者、取引先電話番号、取引先メールアドレス、メモなど電子ファイル300の内容に含まれていない情報を含んでも良い。
【0028】
関連情報取得部115は、サーバ120からの情報に応じて動作が変化する。なお、具体的な動作については後述する。
【0029】
種類判定部114は、ファイル特定部113により特定された電子ファイル300が有する属性情報に基づき、電子ファイル300の種類を判定する。属性情報とは、電子ファイル300の内容である本体データに付帯する情報であって、例えば、ファイル名301、拡張子302、ファイルサイズ、メタデータ、電子ファイル300が格納されているアドレス、電子ファイル300が格納されているフォルダ名、電子ファイル200のパス情報などである。なお、電子ファイル管理装置110は、種類判定部114を備えない場合もある。
【0030】
抽出部116は、第一電子ファイルの内容に基づき、第一電子ファイルの内容を他の電子ファイル300の内容とは識別できる特徴情報を第一電子ファイルから抽出する。電子ファイル300の内容とは、電子ファイル300に付帯する情報以外の情報であり、電子ファイル300の本体情報である。抽出部116が抽出する特徴情報は、限定されるものではないが、例えば電子ファイル300の内容にのみ基づき導出されるハッシュ値、電子ファイル300全体、つまり電子ファイル300の内容に加えて付帯情報を含んだ情報に基づき導出されるハッシュ値などを例示できる。また、抽出部116は、md5、sha256など異なる方法で導出されたハッシュ値を複数抽出し、これらを統合して特徴情報としても構わない。
【0031】
また、抽出部116は、種類判定部114によって判定された電子ファイル300の種類に応じた特徴情報を抽出しても構わない。図6は、属性情報と特徴情報の抽出方法との関係を定義するテーブルである。本実施の形態の場合、抽出部116は、図6に示すようなテーブルを取得し、取得したテーブルに基づき種類判定部114が判定した第一電子ファイルの種類に応じて、第一電子ファイルから抽出する特徴情報の種類を変化させてもよい。具体的には、種類判定部114が拡張子などの属性情報に基づき第一電子ファイルが画像を電子ファイル300の本体情報とするファイルであると判断した場合(第一抽出)、電子ファイル300の本体情報を構成するピクセル情報から特徴情報を抽出しても構わない。また、第一電子ファイルが文章、プログラムなど文字を電子ファイル300の本体情報とするファイルであると種類判定部114が判断した場合(第二抽出)、文字の情報(文字のレイアウトなども含む)から特徴情報を抽出しても構わない。また、種類判定部114がその他の情報を電子ファイル300の本体情報とするファイルであると判断した場合(第三抽出)、電子ファイル300全体から特徴情報を抽出しても構わない。
【0032】
特徴情報送信部117は、抽出部116において抽出された特徴情報をサーバ120に送信する。
【0033】
サーバ120は、第二プロセッサ122を備え、電子ファイル管理装置110との間でネットワークを介して電子ファイル300を送受信することができる装置である。具体的なサーバ120は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、サーバ120として、第二記憶装置150を備えたNAS(Network Attached Storage)を挙示している。なお、サーバ120は、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータなどでもかまわない。
【0034】
サーバ120は、第二プロセッサ122にプログラムを実行させることにより実現される処理部として有無判定部124と、結果送信部125と、を備えている。本実施の形態の場合、サーバ120は、情報登録部123を備えている。
【0035】
有無判定部124は、電子ファイル管理装置110の特徴情報送信部117が送信した第一電子ファイルの特徴情報を取得する。本実施の形態の場合、有無判定部124は、取得した特徴情報と、第二記憶装置150に保存される電子ファイル管理データベース340に基づき第一電子ファイルの内容と同一内容の第二電子ファイルの有無を判定する。具体的に、有無判定部124は、電子ファイル管理データベース340に取得した特徴情報と一致する特徴情報が存在するか否かにより第一電子ファイルと第二電子ファイルとの重複の有無を判定する。
【0036】
結果送信部125は、有無判定部124による判定結果を電子ファイル管理装置110に送信する。判定結果には有を示す情報、または無を示す情報が含まれる。本実施の形態の場合、結果送信部125は、有無判定部124により判定された有を示す判定結果を電子ファイル管理装置110に送信する場合、判定結果に対応した第二電子ファイル、つまり特定された第一電子ファイルと内容が同じ第二電子ファイルに紐付けられた関連情報を電子ファイル管理装置110に送信する。
【0037】
情報登録部123は、有無判定部124の判定結果が無の場合、有無判定に用いられた特徴情報と、電子ファイル管理装置110から送信された第一電子ファイルと、を紐付けて第二記憶装置150に登録する。この段階で第一電子ファイルは第二電子ファイルとなる。登録された特徴情報は次回の有無判定に用いられる。また、情報登録部123は、電子ファイル管理装置110の受付画面342に基づき入力された関連情報を前記第二電子ファイルと紐付けて登録する。本実施の形態の場合、情報登録部123は、第二記憶装置150に保存されている電子ファイル管理データベース340に特徴情報、および関連情報を、第二電子ファイルに紐付けられたレコードとして登録する。なお、関連情報、および特徴情報の管理方法は、限定されるものではなく、異なるデータベースなどで管理されても構わない。
【0038】
第一記憶装置111、第二記憶装置150などの記憶装置は、電子ファイル300を長期的に保存し、保存しているデータを出力することができる装置であり、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などを例示することができる。
【0039】
次に、電子ファイル管理システム100の動作について説明する。図7は、電子ファイル管理システム100の動作を示すシーケンス図である。使用者が電子ファイル管理装置110においてファイルビューア310を起動し(S101)、図3に示すように所望の電子ファイル300を表示させる。なお、表示させる電子ファイル300は、第一記憶装置111に保存されている電子ファイル300である。
【0040】
使用者は、電子ファイル管理装置110において所望の電子ファイル300を右クリックしてコンテキストメニュー320を表示させ、コンテキストメニュー320内の関連情報登録を左クリックで選択する(S102)。ファイル特定部113は、選択された電子ファイル300に関する情報を取得し、選択された電子ファイル300を第一電子ファイルとして特定する(S103)。
【0041】
本実施の形態の場合、種類判定部114は、特定された第一電子ファイルの属性情報に基づき第一電子ファイルの種類を判定する(S104)。
【0042】
抽出部116は、種類判定部114が判定した第一電子ファイルの種類に応じた特徴情報を抽出する(S105)。
【0043】
特徴情報送信部117は、抽出された特徴情報を、ネットワークを介してサーバ120に送信する(S106)。
【0044】
本実施の形態の場合、関連情報取得部115は、結果送信部125からの判定結果を取得する前、つまりサーバ120において第一電子ファイルと同内容の第二電子ファイルの有無にかかわらず、関連情報を受け付ける受付画面342を表示する(S107)。なお、使用者による関連情報の入力は受け付けない状態となっている。
【0045】
一方、サーバ120においては、有無判定部124が第一電子ファイルと内容が同じ第二電子ファイルが第二記憶装置150に有るか無いか、つまり取得した特徴情報と一致する特徴情報が電子ファイル管理データベース340に存在するか否かを判定する(S201)。判定結果は、結果送信部125により電子ファイル管理装置110に送信される(S202)。本実施の形態の場合、有無判定部124が無と判定した場合、判定結果として無を示す情報が送信される。有無判定部124が有と判定した場合、有を示す情報に加え、電子ファイル管理データベース340に基づき同一の特徴情報が存在するレコードの関連情報の少なくとも一部が判定結果として送信される。
【0046】
電子ファイル管理装置110の関連情報取得部115は、結果送信部125から有を示す判定結果を取得すると(S108、有)、同一内容の電子ファイル300がサーバ120によって管理される第二記憶装置150内に保存されていることを示す情報(図8参照)を表示する(S109)。使用者による受付画面342に基づく入力操作は行えない状態が維持される。
【0047】
一方、関連情報取得部115は、結果送信部125から無を示す判定結果を取得すると(S108、無)、受付画面342に基づく関連情報の受け付けを開始する(S110)。関連情報の入力が終了し、受付画面342において使用者が保存の操作を実行すると、関連情報取得部115は、特定された第一電子ファイル、および入力された関連情報をサーバ120に送信する(S111)。
【0048】
第一電子ファイル、および関連情報を取得したサーバ120の情報登録部123は、第一電子ファイルを第二電子ファイルとして第二記憶装置150に保存する。また、情報登録部123は、有無判定に用いた特徴情報、および関連情報を電子ファイル管理データベース340に新たに登録した第二電子ファイルと紐付けて登録する(S203)。
【0049】
以上のように、本実施の形態に係る電子ファイル管理システム100によれば、第一電子ファイルをサーバ120に送信する前に、電子ファイル300の重複チェックを行うことで、無駄な電子ファイル300の送信を抑制し、ネットワークの負荷を軽減することが可能となる。
【0050】
また、重複する電子ファイル300の存在を使用者に事前に報知することにより、重複する電子ファイル300が存在する場合に発生していた無駄な関連情報の入力処理を防止してユーザビリティを向上させることができる。
【0051】
また、重複する電子ファイル300の関連情報を使用者に表示することにより、第二記憶装置150に保存される第二電子ファイルの更新の必要性などを使用者に判断させることが可能となる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0053】
例えば、図9に示すように、抽出部116は、特徴情報を抽出する前に、特定された第一電子ファイルの内容に基づき事前特徴情報を抽出してもよい(S121)。この場合、特徴情報送信部117は、事前特徴情報をサーバ120に送信し、サーバ120の有無判定部124は、事前特徴情報に基づき電子ファイル300の重複有無の判定を実施する(S211)。判定結果は、サーバ120の結果送信部125が電子ファイル管理装置110に送信する(S212)。抽出部116は、判定結果が無を示す場合、事前特徴情報とは異なる、例えば情報量が多い特徴情報を抽出する。一方、判定結果が有を示す場合、関連情報の受付ができない旨を使用者に報知する(S109)。なお、S122、S123、S211、S212以外の動作は、先に述べた動作と同様であり、同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0054】
以上のように、事前処理として事前特徴情報により簡易的に電子ファイル300の重複を判定し、無を示す判定結果の場合には再度特徴情報により重複を確認することで、サーバ120への電子ファイル300の重複登録を厳密に回避することができる。また、有を示す判定結果の場合には、即座に重複する電子ファイルの300の存在を使用者に報知することができるため、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0055】
また、電子ファイル管理装置110は、種類判定部114を備えなくてもよい。この場合、図9に示すように、電子ファイル300の種類を判定するステップ(S104)は、存在し得ず、抽出部116は、特定された第一電子ファイルの種類によらず特徴情報を抽出する。
【0056】
また、サーバ120は、第二電子ファイルの内容に基づき、第二電子ファイルの内容を他の電子ファイル300の内容とは識別できる特徴情報を第二電子ファイルから抽出するサーバ側抽出部(不図示)を備えても構わない。これによれば、第二記憶装置150に保存されている電子ファイル300の特徴情報を電子ファイル管理装置110によらず抽出することができる。これによれば、第二記憶装置150内に既に保存されている電子ファイル300について、電子ファイル管理データベース340を拡充することができる。また、新たな種類の特徴情報を用いて重複の有無を判断することになった場合、第二記憶装置150内に既に保存されている電子ファイル300の新たな特徴情報を抽出することができる。
【0057】
また、判定結果が電子ファイル管理装置110に送信される前に、関連情報取得部115は、受付画面342を表示させ、関連情報を取得しても構わない。なお、この場合でも、無を示す判定結果を受信しない限り、使用者が登録操作(S111)をしても、第一電子ファイルを第二記憶装置150に登録はできなくしても構わない。
【0058】
また、サーバ120の有無判定部124が電子ファイル300の重複有無をチェック中は、ネットワークに接続された他の電子ファイル管理装置110からの登録を受け付けないものとしてもよい。
【0059】
また、ファイル特定部113は、図10に示すように、予め電子ファイル300管理プログラムに関連付けたショートカットアイコン311に使用者がドラック・アンド・ドロップした電子ファイル300を第一電子ファイルとして特定しても構わない。
【0060】
また、関連情報取得部115は、図7に示すようにファイル特定部113が、第一電子ファイルと同内容の第二電子ファイルの有無にかかわらず、関連情報を受け付ける受付画面342を表示する(S107)のではなく、図11に示すように、結果送信部125から無を示す判定結果を取得してから(S108、無)、関連情報を受け付ける受付画面342を表示してもかまわない(S131)。なお、ステップS107の代わりであるステップS131のフローチャートにおける位置がステップS107と異なる以外の動作は、図7に基づき述べた動作と同様であり、同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0061】
以上のように、重複する電子ファイル300が無いことを確認後、関連情報を受け付ける受付画面342を表示することで、重複した電子ファイル300に対し使用者が関連情報を入力することを防止でき、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、電子ファイル管理装置110によって表示可能な電子ファイル300と関連情報との管理、例えば電子帳簿保存法により電磁的記録(電子データ)による保存が認められている国税関係帳簿や国税関係書類(決算関係書類・取引関係書類)などに関する電子ファイル300と関連情報との管理に利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
100 電子ファイル管理システム
101 表示装置
110 電子ファイル管理装置
111 第一記憶装置
112 第一プロセッサ
113 ファイル特定部
114 種類判定部
115 関連情報取得部
116 抽出部
117 特徴情報送信部
120 サーバ
122 第二プロセッサ
123 情報登録部
124 有無判定部
125 結果送信部
150 第二記憶装置
210 第一ネットワーク
220 第二ネットワーク
230 アドレス変換装置
300 電子ファイル
301 ファイル名
302 拡張子
303 機能情報
310 ファイルビューア
311 ショートカットアイコン
320 コンテキストメニュー
330 カーソル
340 電子ファイル管理データベース
341 内容画面
342 受付画面
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