(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104495
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】テント装置
(51)【国際特許分類】
E04H 15/02 20060101AFI20240729BHJP
E04H 15/20 20060101ALI20240729BHJP
E04H 15/34 20060101ALI20240729BHJP
E04H 15/54 20060101ALI20240729BHJP
E04H 15/64 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
E04H15/02
E04H15/20 A
E04H15/34 E
E04H15/54
E04H15/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008727
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】397064058
【氏名又は名称】グローバルハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】森川 清
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA08
2E141BB04
2E141BB06
2E141CC01
2E141CC04
2E141DD14
2E141EE21
2E141EE32
2E141FF03
2E141GG03
2E141GG11
2E141GG17
2E141HH01
(57)【要約】
【課題】 グランピング施設としてキャンプ場に設営したテントやタイニーハウスのテラスなどに設営したテントを、そのまま長期間に亘って使用することのできるテント装置を提供する。
【解決手段】建築物10と、建築物10の屋根部材11を覆うテント幕12と、を備え、前記屋根部材11と前記テント幕12との間に空間部15を設け、この空間部15に前記テント幕12の少なくとも一部を支える支持部材16を配置することで、テント幕12の外形形状を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物と、建築物の屋根部材を覆うテント幕と、を備え、
前記屋根部材と前記テント幕との間に空間部を設け、この空間部に前記テント幕の少なくとも一部を支える支持部材を配置することで、テント幕の外形形状を形成するテント装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記屋根部材と前記テント幕との間に設けられる空間部に、1又は2以上配置される請求項1に記載のテント装置。
【請求項3】
前記テント幕は、前記支持部材に支持されることで屋根部材の上方に緊張した状態に張られ、支持部材の頂点から屋根部材の周縁部に向かって曲線状の傾斜面を形成する請求項1又は2に記載のテント装置。
【請求項4】
前記テント幕にはファスナが設けられている請求項1に記載のテント装置。
【請求項5】
前記支持部材は内部に気体を入れて膨らませたバルーンからなる請求項1又は2に記載のテント装置。
【請求項6】
前記支持部材は、屋根部材の屋根面に設置される基部と、基部から延びて上端がテント幕を支える脚部と、を備える請求項1又は2に記載のテント装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記脚部が伸縮可能である請求項6に記載のテント装置。
【請求項8】
前記支持部材は、基部が屋根部材の屋根面に着脱可能に設置される請求項6に記載のテント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間に亘って使用し続けることのできるテント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のグランピングブームの高まりにより、居住性の高い快適な空間を豪華なテントによって楽しむ人が増えている。グランピング施設などで利用されるテントは、特許文献1に記載されているように、リビング空間を広く確保して快適性を高めたものが好まれている。また最近では、テント型の宿泊施設以外に、トレーラーハウスやコンテナ、木造小屋などのタイニーハウスを宿泊施設とする需要も高まっている。タイニーハウスを宿泊施設とする場合には、タイニーハウスにテラスなどを設けて、タイニーハウスのアウターリビングとして楽しむ傾向がある。テラスにバーベキュー設備や炉端焼きテーブルなどを設けたり、テントを設営したりすることで、グランピング的な楽しみ方をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、グランピング施設としてキャンプ場に設営されるテントやタイニーハウスのテラスに設営されるテントは、一般に柱や屋根を使用していないものが多く、建造物とは認められていない。そのため、建築確認を必要としないのでテントの設営や撤去を簡易に行うことができる反面、長期間に亘ってそのまま宿泊施設として使い続けることができない。最近では、宿泊施設として設営したテントやタイニーハウスのテラスに設営したテントを長期間に亘ってそのまま使い続けたいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、グランピング施設としてキャンプ場に設営したテントやタイニーハウスのテラスに設営したテントを、そのまま長期間に亘って使用し続けることのできるテント装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテント装置は、建築物と、建築物の屋根部材を覆うテント幕と、を備え、前記屋根部材と前記テント幕との間に空間部を設け、この空間部に前記テント幕の少なくとも一部を支える支持部材を配置することで、テント幕の外形形状を形成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のテント装置によれば、建築物の屋根部材をテント幕で覆うようにし、屋根部材とテント幕との間の空間部に配置した支持部材でテント幕を支えると共にテント幕の外形形状を形成するようにしたので、テントをそのまま長期間に亘って使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るテント装置をタイニーハウスのテラスに設置した時の斜視図である。
【
図3】前記テント装置のテント幕を引き下ろした時の正面図である。
【
図4】第2実施形態に係るテント装置の正面図である。
【
図5】第2実施形態に係るテント装置のテント幕を引き下ろした時の正面図である。
【
図6】第3実施形態に係るテント装置の正面図である。
【
図7】第3実施形態に係るテント装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のテント装置について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、テント装置を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0010】
図1及び
図2には、第1実施形態のテント装置1をタイニーハウス2のテラス3に設営した状態が示されている。タイニーハウス2は、布基礎4の上にトレーラーハウスやコンテナ、木造小屋などの居住部5を設けたものである。
【0011】
タイニーハウス2の前面側には大きなテラス3が設けられている。このテラス3は、多数の床束6に渡した根太の上に天然木材又は合成木材からなる床材7を敷き詰めてウッドデッキとしたものである。ウッドデッキの大きさは特に限定されないが、
図1のようにタイニーハウス2の前面側に大きなテラス3を設けることで、用途が広がると共に開放感が得られるといったメリットがある。
【0012】
このテラス3は、タイニーハウス2に隣接して配置され、タイニーハウス2との間に隙間を設けることなく配置されている。また、タイニーハウス2の玄関口8やリビングルーム10の出入り口との間に段差をなくすことで、タイニーハウス2との一体感が得られる。
【0013】
テント装置1は、テラス3の上に建てられた建築物10と、建築物10の屋根部材11を覆うテント幕12と、を備えている。建築物10は、テラス3に立てられた8本の支柱13と、支柱13の上部に支持される屋根部材11とからなる。8本の支柱13は、テラス3の前後方向に2本、テラス3の幅方向に所定の間隔で4本が配置され、各支柱13の基端がテラス3に固定されている。また、屋根部材11は、金属の板を折り曲げて加工した折板屋根からなり、各支柱13の上部に張り渡した梁14に固定される。この実施形態では屋根部材11が水平状に設けられた平屋根であるが、傾斜屋根であっても構わない。この実施形態では、テント装置1がタイニーハウス2に隣接した位置でテラス3の約半分の面積を占めて設けられるが、テント装置1の大きさは特に限定されない。また、テント装置1をテラス以外の場所、例えばキャンプ場などで決められた場所に直接設営することもできる。
【0014】
テント幕12は、軽くて丈夫な不燃性シートによって形成されるのが望ましい。テント幕12は、屋根部材11の屋根面11a全体を覆っており、また屋根部材11との間に設けた空間部15に配置された2本の支持部材16によって左右の2ヶ所が支持され、それぞれにとんがり部17を形成している。テント幕12は、所定形状をなす複数のパーツを組み合わせ、それらを縫製することによって、2つのとんがり部17ができるように形成される。そして、このとんがり部17を支持部材16で押上げるように支えることで、屋根部材11の上方に緊張した状態に張られ、とんがり部17から屋根部材11の周縁部に向かって曲線状の傾斜面18を形成する。テント幕12は屋根部材11の形状に対応しており、テント幕12の周縁部が屋根部材11の外周部に固定されている。なお、テント幕12の周縁部には、少なくとも一か所にファスナ20が設けられている。このファスナ20によってテント幕12を開くことができ、空間部15内での作業を可能としている。
【0015】
前記支持部材16は、屋根部材11の幅方向において所定の間隔で2カ所に配置されている。それぞれの支持部材16は、屋根部材11の屋根面11aに設置される基部16aと、基部16aから上方に延びる脚部16bとを備える。基部16aは、例えば屋根部材11の上に安定して設置されるように、十字状に延びる4本の金属製の棒状材からなる。支持部材16は、屋根部材11の屋根面11aに基部16aを載せ置くだけでもよいが、屋根面11aに基部16aを固定することによって、より安定的にテント幕12を支持することができる。なお、基部16aを着脱可能に設置してもよい。
【0016】
前記脚部16bは、基部16aの中心部から上方に延びる1本の金属製の柱状部材からなる。脚部16bの上端はテント幕12に直接に接して支えることができる形状となっている。例えば、テント幕12に面で接触して支える平坦状の支持面に形成されるか、又はテント幕12に直接当たる部分を球形状又は砲弾形状などにしてテント幕12を傷めないように形成されるのが好ましい。また、テント幕12をしっかり支えることができるよう、テント幕12のとんがり部17の裏面側に脚部16bの上端を受け入れる収容凹部(図示せず)を設けてもよい。さらに、脚部16bを複数の部材によって構成し伸縮可能とすることもできる。テント幕12の高さ位置の調整及び強風時や降雪量が多い時などにおいてテント幕を引き下ろす際に有効である。強風時や降雪量が多い時などには、
図3に示したように、ファスナ20を開けて空間部15内に作業者が入って脚部16bを縮小し、テント幕12を引き下ろすことでテント幕12の損傷や人身事故などを防ぐことができる。なお、脚部16bの伸縮動作を自動で行うこともできる。
【0017】
図4及び
図5には本発明の第2実施形態に係るテント装置30が示されている。このテント装置30は、第1実施形態に係るものと同様、タイニーハウス2のテラス3に設けられるが、第1実施形態とは異なり、屋根部材11とテント幕12との間の空間部15に配置される支持部材がバルーン31からなる。
【0018】
前記バルーン31は、ゴムやビニールなどからなる袋31aの中に気体31bを充てんして膨らませたものである。気体31bとしては、空気や浮揚性のあるヘリウムガスなどが用いられる。ヘリウムガスの場合は、テント幕12を押し上げる作用が増す。また、
図4に示されるように、バルーン31全体をしずく形状に膨らませることで、テント幕12の外形形状を整えることができる。すなわち、バルーン31の下部は、屋根部材11の屋根面11aに安定して設置されるように、ボリューム感のある形状となっている。また、バルーン31の上部は、徐々にすぼまりながら上端部がテント幕12のとんがり部17を支える尖った形状となっている。
【0019】
バルーン31がこのようなしずく形状からなり、またバルーン31の袋31bの中に空気やヘリウムガスなどの気体31bを充てんすることで、バルーン31は屋根部材11とテント幕12との間の空間部15に配置されたときには、屋根部材11の屋根面11aに安定した状態で設置されると共に、テント幕12のとんがり部17を下方から押上げるようにして支える。その結果、テント幕12を屋根部材11の上方に緊張した状態で張ることができ、とんがり部17の尖った形状、左右のとんがり部17の間に形成される湾曲状の稜線19及びとんがり部17から屋根部材11の周縁部に向かって曲線状の傾斜面18が形成される。
【0020】
上記バルーン31には、袋31aに気体31bを供給しあるいは内部の気体31bを吸引するため、外部に設置された気体供給装置(図示せず)に配管32が接続されている。気体供給装置からバルーン31に供給する気体量を調整することによってテント幕12の高さ位置を調整することができる。また、
図5に示されるように、強風時や降雪量が多い時などには内部の気体を吸引してバルーン31を萎ませることで、テント幕12を引き下ろすことができる。
【0021】
なお、この実施形態に係るテント装置30は、バルーン31による支持部材を除いて、上述した第1実施形態のテント装置1と同様の構成からなるので、同一の構成部材には同一の符号を付することで、詳細な説明は省略する。
【0022】
図6及び
図7には本発明の第3実施形態に係るテント装置40が示されている。このテント装置40は、前記実施形態と同様にタイニーハウス2のテラス3に設けられているが、建築物が木造の建築物10’からなる。建築物10’の支柱13’には木材が使用されており、支柱13’と支柱13’の間には筋交い44が設けられる。また、建築物10’の屋根部材は切妻屋根41からなる。そして、切妻屋根41の傾斜した屋根面41a全体を覆うようにテント幕12が張られる。さらに、テント幕12の両端部を切妻屋根41の下端部からロープ45で引っ張り、切妻屋根41の屋根面に41aにテント幕12を密着させることで、建物全体がテントらしくなり、意匠性の高いテント装置40が得られる。
【0023】
テント幕12は屋根面41aに密着するようにして切妻屋根41を覆っており、棟42の部分に空間部43を形成している。この空間部43は、前記いずれの実施形態のものに比べて狭く形成されているが、棟43の部分でテント幕12の一部を支える支持部材(図示せず)が配置される。
【0024】
支持部材は、上記第1実施形態もしくは上記第2実施形態におけるものと同様の形態からなるものを利用することができるが、
図7に示されるように、棟42の長手方向の中央部に1つ配置されてテント幕12のとんがり部17を支える。
【0025】
なお、上記いずれの実施形態もテント幕12に設けられるとんがり部17は1つ又は2つであるが、その数は特に限定されないものである。また、テント幕12を支える支持部材16も上記の形状に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
1 テント装置
2 タイニーハウス
3 テラス
4 布基礎
5 居住部
6 床束
7 床材
8 玄関
9 リビングルーム
10,10’ 建築物
11屋根部材
11a 屋根面
12 テント幕
13,13’ 支柱
14 梁
15 空間部
16 支持部材
16a 基部
16b 脚部
17 とんがり部
18 傾斜面
19 稜線
20 ファスナ
30 テント装置
31 バルーン
31a 袋
31b 気体
32 配管
40 テント装置
41 切妻屋根
41a 屋根面
42 棟
43 空間部
44 筋交い
45 ロープ