(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104505
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】作業者管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20240729BHJP
G06V 40/16 20220101ALI20240729BHJP
【FI】
B65B57/00 A
B65B57/00 H
G06V40/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008747
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100135530
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 智代
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 浩之
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043BA04
(57)【要約】
【課題】非接触でかつ低コストで、作業者を認証し、認証できない場合であっても、装置において必要な程度に作業者を特定することを目的とする。
【解決手段】装置に関連した作業を行う者として登録された作業者の作業者識別情報と、作業者の作業レベルと、を対応付けて記憶する記憶手段と、識別対象の対象作業者の顔画像を取得する取得手段と、予め登録された複数の作業者の顔画像と、対象作業者の顔画像と、に基づいて、対象作業者を認証する認証手段とを備え、認証手段は、記憶手段に登録された作業者の中に、対象作業者の候補となる候補者が複数存在し、対象作業者が複数の候補者のいずれであるか特定できない場合であって、かつ複数の候補者の作業レベルが同一である場合には、対象作業者は、複数の候補者のいずれかであると特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に関連した作業を行う者として登録された作業者の作業者識別情報と、前記作業者の作業レベルと、を対応付けて記憶する記憶手段と、
識別対象の対象作業者の顔画像を取得する取得手段と、
予め登録された複数の前記作業者の顔画像と、前記対象作業者の顔画像と、に基づいて、前記対象作業者を認証する認証手段と
を備え、
前記認証手段は、前記記憶手段に登録された前記作業者の中に、前記対象作業者の候補となる候補者が複数存在し、前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合であって、かつ複数の前記候補者の前記作業レベルが同一である場合には、前記対象作業者は、複数の前記候補者のいずれかであると特定する、作業者管理システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、さらに複数の前記作業者それぞれの勤務計画を記憶し、
前記認証手段は、
前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合には、前記勤務計画を参照し、前記対象作業者は、複数の前記候補者のうち、認証のタイミングにおいて勤務予定の前記候補者であると特定し、
前記勤務計画を参照しても、前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合で、かつ複数の前記候補者それぞれの前記作業レベルが同一である場合には、前記対象作業者は、複数の前記候補者のいずれかであると特定する、請求項1に記載の作業者管理システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、さらに前記装置を識別する装置識別情報と、前記装置の操作権限が付与された前記作業者の前記作業者識別情報と、を対応付けて記憶し、
前記取得手段は、前記対象作業者の前記顔画像と共に、前記対象作業者が操作を行う予定の前記装置の前記装置識別情報を取得し、
前記認証手段は、
前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合には、前記対象作業者は、前記記憶手段において、前記取得手段が取得した前記装置識別情報に対応付けられている前記候補者であると特定し、
前記記憶手段を参照しても、前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合で、かつ複数の前記候補者それぞれの前記作業レベルが同一である場合には、前記対象作業者は、複数の前記候補者のいずれかであると特定する、請求項1に記載の作業者管理システム。
【請求項4】
前記認証手段により特定された1または複数の前記対象作業者の前記作業者識別情報に対応付けて、前記対象作業者による作業履歴を記録する履歴記録手段を更に備える、請求項1に記載の作業者管理システム。
【請求項5】
前記作業履歴には、前記対象作業者による作業に要した時間が含まれる、請求項4に記載の作業者管理システム。
【請求項6】
前記作業履歴には、前記装置が停止してから前記対象作業者の認証が完了するまでに要した時間が含まれる、請求項4に記載の作業者管理システム。
【請求項7】
前記作業レベルには、前記作業者による前記作業のうち、前記装置の操作に関する操作レベルと、前記作業のうち、前記装置の設定に関する設定レベルと、が含まれる、請求項1に記載の作業者管理システム。
【請求項8】
コンピュータを、
装置に関連した作業を行う者として登録された作業者の作業者識別情報と、前記作業者の作業レベルと、を対応付けて記憶する記憶手段を参照する参照手段、
識別対象の対象作業者の顔画像を取得する取得手段、及び
予め登録された複数の前記作業者の顔画像と、前記対象作業者の顔画像と、に基づいて、前記対象作業者を認証する認証手段として機能させるためのプログラムで、
前記認証手段は、前記記憶手段に登録された前記作業者の中に、前記対象作業者の候補となる候補者が複数存在し、前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合であって、かつ複数の前記候補者の前記作業レベルが同一である場合には、前記対象作業者は、複数の前記候補者のいずれかであると特定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋充填包装機において、オペレータの熟練度に応じて、操作モードが変更される機能が存在しており、オペレータの認証には、パスワード、指紋認証、RFID(radio frequency identification)等が用いられていた。特許文献1には、アクセス権限に応じたアクセスレベルが設定される包装機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パスワードや、RFIDによる認証は、別人による認証が可能である。また、食品生産工場など衛生管理の厳しい環境においては、作業者は、繋ぎ服や、帽子、マスク、手袋などの着用を求められている場合も多く、このような環境においては、指紋認証は、手袋を外す必要があるなど衛生面で問題がある。そこで、非接触で迅速に、かつ低コストで作業者を特定する機能が望まれている。
【0005】
一方で、作業者の認証は、作業者による作業権限を特定したり、作業履歴を記録したりするために行われる。このような観点からは、認証対象者がいずれの作業者であるかまで特定できる必要がない場合もある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、非接触でかつ低コストで、作業者を認証し、認証できない場合であっても、装置において必要な程度に作業者を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、作業者管理システムであって、装置に関連した作業を行う者として登録された作業者の作業者識別情報と、前記作業者の作業レベルと、を対応付けて記憶する記憶手段と、識別対象の対象作業者の顔画像を取得する取得手段と、予め登録された複数の前記作業者の顔画像と、前記対象作業者の顔画像と、に基づいて、前記対象作業者を認証する認証手段とを備え、前記認証手段は、前記記憶手段に登録された前記作業者の中に、前記対象作業者の候補となる候補者が複数存在し、前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合であって、かつ複数の前記候補者の前記作業レベルが同一である場合には、前記対象作業者は、複数の前記候補者のいずれかであると特定する。
【0008】
本発明の他の形態は、コンピュータを、装置に関連した作業を行う者として登録された作業者の作業者識別情報と、前記作業者の作業レベルと、を対応付けて記憶する記憶手段を参照する参照手段、識別対象の対象作業者の顔画像を取得する取得手段、及び予め登録された複数の前記作業者の顔画像と、前記対象作業者の顔画像と、に基づいて、前記対象作業者を認証する認証手段として機能させるためのプログラムで、前記認証手段は、前記記憶手段に登録された前記作業者の中に、前記対象作業者の候補となる候補者が複数存在し、前記対象作業者が複数の前記候補者のいずれであるか特定できない場合であって、かつ複数の前記候補者の前記作業レベルが同一である場合には、前記対象作業者は、複数の前記候補者のいずれかであると特定する、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非接触でかつ低コストで、作業者を認証し、認証できない場合であっても、装置において必要な程度に作業者を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】装置管理システムの全体構成を示す図である。
【
図3】登録者テーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図4】勤務計画テーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図5】装置テーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図6】作業レベルテーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図7】作業履歴テーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図8】作業者管理処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、装置管理システム1の全体構成を示す図である。装置管理システム1は、包装装置10と、作業者管理システム20と、を備えている。包装装置10は、包材を筒状に成形し、被包装品が詰め込まれた包装体を生成する。作業者管理システム20は、包装装置10に係る作業を行う作業者を管理する。ここで、作業には、例えば、包材の交換などの操作の他、シール時の加熱温度の設定といった作業が含まれる。包装装置10は、装置の一例である。なお、装置としては、縦ピロー包装装置、横ピロー包装装置といった包装装置の他、包装体を詰める段ボールを成形する成形装置など、包装に係る装置も含まれる。さらに、装置は、作業者による作業を要する装置であればよく、包装に係る装置に限定されるものではない。
【0012】
作業者管理システム20は、例えば据置型の汎用コンピュータやクラウド型のサーバ等により構成される。作業者管理システム20は、例えば、作業者の認証、作業者による作業履歴の記録等、作業者の管理に係る処理を行う。包装装置10と、作業者管理システム20は、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して接続する。
図1においては、1台の包装装置10と1台の作業者管理システム20のみを示しているが、装置管理システム1は、複数台の装置を備え、作業者管理システム20は、複数台の装置それぞれの作業者の管理に係る処理を行うものとする。
【0013】
包装装置10は、包装装置本体100と、操作装置120と、を備えている。
図2は、包装装置本体100の全体構成を示す斜視図である。
図2に示す包装装置本体100は、縦ピロー包装装置である。
【0014】
図2において、111は包材(包装材料)供給部、112は張力調整部、112aは搖動機構、113は日付印字部、113aは日付印字装置、113bは昇降ローラ、114は被包装品供給部、114aはホッパー、114bは充填筒である。115は製筒部、115aは製筒器(フォーマ)、115bは押さえ部材、115cはスライドローラ、116は包材送り部、116aはプーリー、116bは送りベルトである。117は縦シール部、117a、117bは縦シールブロックである。118は横シール・切断部、118a、118bは横シールブロック、118am、118bmは中央溝、118as、118bsはシール面、119は包装体排出部、119aはベルトコンベアである。Fiは包材(フィルム)、grはガイドローラ、MRは巻取り包材、Baは袋、Pcは包装体、tsは縦シール部分、ysは横シール部分である。
【0015】
包装装置本体100は、包材(包装材料)供給部111、張力調整部112、日付印字部113、被包装品供給部114、製筒部115、包材送り部116、縦シール部117、横シール・切断部118、包装体排出部119等を備えている。
【0016】
包材供給部111は、巻取り包材MRを繰り出す巻取り包材供給装置(図示せず)等を備え、巻取り包材MRから包材Fiを繰り出す。張力調整部112は、複数のローラやフレーム等を搖動する搖動機構112aを備え、包材供給部111から繰り出される包材Fiに急激な張力がかからないようにその張力を調整する。
【0017】
日付印字部113は、日付印字装置113a、昇降ローラ113b等を備え、包材Fiに日付印字を行う。被包装品供給部114は、上部がホッパー114aとなっている充填筒114b、被包装品投入装置(図示せず)等を備え、被包装品投入装置より投入されるスナック菓子等の被包装品をホッパー114aで受けて充填筒114bに充填する。
【0018】
製筒部115は、製筒器115a、押さえ部材115b、スライドローラ115c等を備える。製筒部115は、包材供給部111より繰り出されて日付印字部113で日付が印字された包材Fiを、スライドローラ115cで案内し、製筒器115aで筒状に成形して押さえ部材115bにより充填筒114b外周面に押し付ける。包材送り部116は、プーリー116a、送りベルト116b、モータ(図示せず)等を備えた一対の包材送り機構を充填筒114bの両側に配置し、充填筒114bの外周面を包んでいる包材Fiを、一定の長さだけ下方に送る。
【0019】
縦シール部117は、縦シールブロック117a、117b、ヒータ(図示せず)等を備え、充填筒114bの外周面包んで重ね合わされた包材Fiの両端部分に縦シールを施して縦シール部分tsを形成する。横シール・切断部118は、横シールブロック118a、118b、ヒータ(図示せず)、切断装置(図示せず)等を備える。横シールブロック118a、118bは、中央溝118am、118bmとシール面118as、118bsを有し、被包装品が充填された縦シール済包材に対して、シール面118as、118bsにより横シールを施して横シール部分ysを形成する。そして、一方の中央溝118amから突出して他方の中央溝118bmに進入する切断刃(図示せず)により、横シール部分ysの中央部が切断されることで袋Baが形成され、袋Baの中に被包装品が詰め込まれた包装体Pcが生成される。包装体排出部119は、ベルトコンベア119a等を備え、包装体Pcをベルトコンベア119aにより排出する。
【0020】
図1に示す包装装置10の操作装置120は、第1制御部121と、第1記録媒体122と、第1通信部123と、表示部124と、入力部125と、撮影部126と、を備えている。第1制御部121は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等、プロセッサが処理を実行するためのメモリとを含み、各種の処理を実行する。第1制御部121は、第1記録媒体122やROMなどに格納された種々のプログラムを実行する。本実施形態の第1制御部121は、第1記録媒体122に格納されたプログラムを実行することにより、包装装置10の全体を制御する。第1通信部123は、ネットワークNを介して作業者管理システム20などの外部装置との通信を行う装置である。第1制御部121による情報の送受信は、第1通信部123を介して行われる。
【0021】
表示部124は、各種情報を表示する表示装置である。入力部125は、作業者による指示の入力を受け付けるためのユーザインタフェースである。表示部124と入力部125は、タッチパネルとして一体に設けられてもよく、それぞれ別の部材として設けられてもよい。撮影部126は、作業者の顔画像を撮影するカメラである。
【0022】
作業者管理システム20は、第2制御部200と、第2記録媒体210と、第2通信部220と、を備えている。第2制御部200は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等、プロセッサが処理を実行するためのメモリとを含み、各種の処理を実行する。第2制御部200は、第2記録媒体210やROMなどに格納された種々のプログラムを実行する。本実施形態の第2制御部200は、第2記録媒体210に格納されたプログラムを実行することにより、作業者管理システム20の全体を制御する。第2通信部220は、ネットワークNを介して包装装置10などの外部装置との通信を行う装置である。第2制御部200による情報の送受信は、第2通信部220を介して行われる。
【0023】
第2制御部200は、取得部201と、認証部202と、作業履歴記録部203と、を備えている。これらの機能は、プロセッサが第2記録媒体210などに格納されるプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現される。すなわち、上記各部が実行するものとして記載する処理は、第2制御部200が実行する処理である。
【0024】
取得部201は、第2通信部220を介して包装装置10から、作業者の顔画像等の情報を取得する。認証部202は、作業者の顔画像に基づいて、作業者の認証を行う。作業者の認証には、作業者テーブル211に登録される各作業者の顔画像を教師データとして作成された機械学習モデルが用いられる。なお、装置管理システム1は、食品工場のように衛生管理の厳しい工場等に導入される。このような工場では、作業者の認証は非接触で操作を要さずに実行されるのが好ましい。そこで、本実施形態においては、作業者の認証には顔画像を用いた顔認証が用いられる。ただし、このような工場では、作業者は、帽子とマスクを被り、さらにメガネをかける、というように顔のうち特徴的な部分が覆われていることが多く、そのため認識精度を向上させることが難しい。そこで、本実施形態の認証部202は、顔画像以外の情報をさらに利用することで、作業に必要な程度に作業者の特定を行う。本処理については、後に詳述する。作業履歴記録部203は、作業者による作業の履歴を第2記録媒体210に記録(格納)する。各部の処理については、
図8を参照しつつ、後に詳述する。
【0025】
なお、本実施形態においては、第1制御部121は、コンピュータにより実現されるものとする。ただし、第1制御部121が実現する機能の一部はハードウェア回路により実現されてもよい。また他の例としては、プロセッサの機能や処理の少なくとも一部は、例えば複数のプロセッサ、RAM、ROM、及び記憶媒体を協働させることにより実現してもよい。第2制御部200についても同様に、その一部がハードウェア回路により実現されてもよく、また複数のプロセッサ等の共同により実現されてもよい。
【0026】
第2記録媒体210は、作業者テーブル211と、勤務計画テーブル212と、装置テーブル213と、作業レベルテーブル214と、作業履歴テーブル215と、を格納している。
【0027】
図3は、作業者テーブル211のデータ構成例を示す図である。作業者テーブル211は、作業者IDと、作業者情報と、作業レベル(操作レベル及び設定レベル)と、を対応付けて記憶している。作業者IDは、登録された作業者の識別情報である。作業者情報は、作業者の個人情報であり、例えば、氏名、生年月日、性別、入社日、等が含まれる。操作レベルは、作業者による、装置の操作に関して認定されたレベルである。本実施形態においては、操作レベルは、複数の装置に共通した1つのレベルであり、1~3の3段階の値を取り得るものとする。操作レベル1は最も低いレベルであり、操作レベル3は最も高いレベルである。操作レベルが高い作業者ほど、操作権限を有する操作の数や種類が多くなる。なお、他の例としては、操作レベルは、装置毎、または操作の種類毎に設定されてもよい。また、操作レベルは、2段階でもよく、4段階以上でもよい。
【0028】
設定レベルは、作業者による、装置の設定に関して認定されたレベルである。本実施形態においては、設定レベルは、複数の装置に共通した1つのレベルであり、1~3の3段階の値を取り得るものとする。設定レベル1は最も低いレベルであり、設定レベル3は最も高いレベルである。設定レベルが高い作業者ほど、設定権限を有する設定の数や種類が多くなる。なお、他の例としては、設定レベルは、装置毎、又は設定値の種類毎に設定されてもよい。また、設定レベルは、2段階でもよく、4段階以上でもよい。
【0029】
図4は、勤務計画テーブル212のデータ構成例を示す図である。勤務計画テーブル212は、作業者IDと、勤務予定と、を対応付けて記憶している。作業者IDには、各作業者の作業者IDが書き込まれる。勤務予定には、各作業者の勤務予定の時間帯が書き込まれる。勤務計画テーブル212は、いわゆるシフト表に対応した情報である。
【0030】
図5は、装置テーブル213のデータ構成例を示す図である。装置テーブル213は、装置IDと、作業者IDと、を対応付けて記憶している。装置IDは、装置の識別情報(装置識別情報)である。作業者IDは、対応する装置の作業権限を有する作業者の作業者IDである。1つの装置IDに対して1又は2以上の作業者IDが対応付けられる。ここで、作業権限とは、装置に関する作業を行う権限を有すること、すなわち、装置に関する作業を行うことが許可されていることを意味する。
【0031】
図6は、作業レベルテーブル214のデータ構成例を示す図である。作業レベルテーブル214は、操作レベルテーブル214aと、設定レベルテーブル214bと、を有している。操作レベルテーブル214aは、操作レベルと、各種操作の実行許否と、を対応付けて記憶している。操作レベルには、1~3が書き込まれる。
【0032】
ここで、操作としては、例えば、インクリボン交換、包材交換、ベルト交換、等が挙げられる。インクリボン交換とは、
図2を参照しつつ説明した日付印字部113としてのサーマルプリンタにおけるインクリボンが消耗した際に、新しいインクリボンに交換する操作である。ベルト交換は、包材送り部116としてのベルトが消耗した際に、新しいベルトに交換する操作である。なお、操作には、これ以外にも、例えば、縦シール部117や横シール・切断部118におけるシール材の清掃等、清掃に係る操作も含まれる。
【0033】
操作レベルに応じて、実行が許可される操作が異なっている。例えば、
図6の例では、操作レベル1の作業者に対しては、インクリボン交換は許可されているが、ベルト交換は許可されていない。これに対して、操作レベル2の作業者に対しては、インクリボンの交換及びベルト交換のいずれの操作も許可されている。作業者の熟練度が高くなるにつれて操作レベルが高くなり、操作レベルが高くなるほど、実行が許可される操作の数や種類が増加する。なお、各操作レベルにおいて許可される操作の種類や数は、実施形態に限定されるものではなく、管理者等が自由に設定できるものとする。
【0034】
設定レベルテーブル214bは、設定レベルと、各種設定項目に対する設定(変更)の実行許否と、を対応付けて記憶している。ここで、設定項目としては、シール温度や日付印字濃度が挙げられる。シール温度は、縦シール部117や横シール・切断部118におけるヒータの温度(加熱温度)である。シール温度が高すぎると、包材が変形、変質するなど、不良品発生の原因となる。日付印字濃度は、日付印字部113における印字時のインク濃度である。
【0035】
設定レベルに応じて、設定(変更)が許可される設定項目が異なっている。例えば、
図6の例では、設定レベル1の作業者は、シール温度及び日付印字濃度の設定のいずれも許可されていない。これに対して、操作レベル2の作業者は、シール温度の設定は許可されているが、日付印字濃度の設定は許可されている。
【0036】
作業者の熟練度が高くなるにつれて、設定についての知識レベルが高くなるため、設定レベルが高くなる。そして、設定レベルが高くなるほど、設定が許可される設定項目が増加する。なお、各設定レベルにおいて許可される設定項目の種類や数は、実施形態に限定されるものではなく、管理者などが自由に設定できるものとする。
【0037】
図7は、作業履歴テーブル215のデータ構成例を示す図である。作業履歴テーブル215は、作業者IDと、作業履歴と、を対応付けて記憶している。作業者IDには、作業を行った作業者の作業者IDが書き込まれる。なお、後述する作業者の認証において、複数の候補者が特定された場合には、作業者IDには、複数の候補者それぞれに対応する作業者IDが書き込まれる。本処理については、
図8を参照しつつ後述する。作業履歴には、作業を行った日時と、作業対象の装置の装置IDと、作業の種類と、が含まれる。また、他の例としては、作業履歴には、作業に要した時間が含まれてもよい。また、作業履歴には、さらに、不具合の発生により装置が停止してから、作業対象者の認証が完了するまでに要した時間、認証完了から作業完了までに要した時間、等が含まれてもよい。
【0038】
図8は、作業者管理処理を示すフローチャートである。包装装置10において、例えば、エラーが生じて装置が停止した場合や、作業者がある設定項目の設定値を変更したい場合に、作業者管理処理が実行される。作業者管理処理においては、まずステップS100において、包装装置10の撮影部126において、作業を行う予定の作業者の顔画像を撮影する。作業を行う予定の作業者は、認証対象となる作業者であり、以下、認証対象の作業者を対象作業者と称する。次に、ステップS102において、第1制御部121は、第1通信部123を介して、顔画像を、包装装置10の装置IDと共に、作業者管理システム20に送信する。
【0039】
作業者管理システム20においては、ステップS200において、第2通信部220は、包装装置10から送信された顔画像と装置IDとを取得(受信)する。次に、ステップS202において、認証部202は、顔画像に基づいて、対象作業者の認証を行う。
【0040】
第2制御部200は、認証に成功した場合には(ステップS204でY)、処理をステップS206へ進める。第2制御部200は、認証に成功しなかった場合には(ステップS204でN)、処理をステップS212へ進める。ここで、認証に成功した場合とは、認証により、対象作業者であると推定される登録者が1人に絞り込めた場合である。ここで、登録者とは、作業者テーブル211に登録された作業者である。1人に絞り込めた場合とは、推定される1人の登録者との一致度が第1閾値以上で、他の登録者との一致度が第2閾値以下であることを意味する。ここで、第2閾値は第1閾値よりも低いものとする。なお、1人に絞り込めたと判断するための条件は、実施形態に限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0041】
また、認証に成功しない場合とは、認証により対象作業者であると推定される登録者が1人に絞り込めない場合、すなわち複数の登録者のいずれであるか特定できない場合である。なお、以下では、このように絞り込めなかった複数の登録者を対象作業者の候補者と称する。
【0042】
ステップS206において、作業履歴記録部203は、作業履歴テーブル215に、認証に成功した対象作業者の作業者IDを記録する。次に、ステップS208において、認証部202は、対象作業者の認証に成功したことを示す成功情報と共に、作業レベルを包装装置10に送信する。
【0043】
前述の通り、対象作業者の顔画像において、顔が露出している部分が少ないため、顔認証に成功しない場合がある。この場合には、ステップS212以降の処理において、さらに対象作業者の特定(認証)を試みる。ステップS212においては、認証部202は、勤務計画テーブル212を参照し、対象作業者を認証する。すなわち、認証部202は、勤務計画テーブル212を参照し、複数の候補者から1人の登録者への絞り込みを試みる。例えば、A、B、Cの3人の作業者のうち、当該認証時が勤務中である作業者がAのみであった場合には、対象作業者はAであると特定することができる。この場合には、認証部202は、認証に成功したと判断する。勤務計画テーブル212を参照しても1人の登録者を特定できない場合には、認証部202は、認証に成功しなかったと判断する。
【0044】
そして、第2制御部200は、認証に成功した場合には(ステップS214でY)、処理をステップS206へ進める。また、第2制御部200は、認証に成功しなかった場合には(ステップS214でN)、処理をステップS216へ進める。ステップS216において、認証部202は、装置テーブル213を参照し、対象作業者を認証する。具体的には、認証部202は、作業予定の装置の作業権限を有しているか否かを確認する。すなわち、認証部202は、装置テーブル213において、作業予定の装置(ステップS200において顔画像と共に受信した装置IDで特定される装置)に対応付けられた作業者IDを特定する。そして、候補者のうち1人の作業者IDのみが対応付けられている場合には、認証部202は、認証に成功したと判断する。複数の候補者の作業者IDが対応付けられている場合には、認証部202は、認証に成功しなかったと判断する。
【0045】
そして、第2制御部200は、認証に成功した場合には(ステップS218でY)、処理をステップS206へ進める。また、第2制御部200は、認証に成功しなかった場合には(ステップS218でN)、処理をステップS220へ進める。ステップS220において、認証部202は、複数の候補者の作業レベルが同一か否かを確認する。複数の候補者の操作レベル及び設定レベルがいずれも等しい場合には、認証部202は、作業レベルが同一と判断する。複数の候補者の操作レベル及び設定レベルの少なくとも一方が異なる場合には、認証部202は、作業レベルが同一でないと判断する。第2制御部200は、候補者の作業レベルが同一の場合には(ステップS220でY)、処理をステップS222へ進める。第2制御部200は、候補者の作業レベルが同一でない場合には(ステップS220でN)、処理をステップS224へ進める。
【0046】
ステップS222において、作業履歴記録部203は、作業履歴テーブル215に候補者それぞれの作業者IDを記録する。このように、作業レベルが等しい場合には、対象作業者が設定可能な設定項目が等しく、また、作業レベルに対応した作業履歴を格納することで、作業レベルごとの作業を確認することができるため、個人の特定までは必要ではない。そこで、本実施形態においては、個人認証ができない場合には、作業レベルが特定できる程度に認証を行うことで認証成功と判断することとする。ステップS222の処理の後、第2制御部200は、処理をステップS208へ進める。そして、ステップS208において、作業レベルが包装装置10に送信される。また、ステップS224においては、認証部202は、認証に失敗したことを示すエラー情報を包装装置10に送信する。
【0047】
包装装置10では、ステップS102において、顔画像が送信されると、第1制御部121は、作業レベルを受信するまで待機し(ステップS104でN)、作業レベルを受信すると(ステップS104でY)、第1制御部121は、処理をステップS106へ進める。ステップS106において、第1制御部121は、作業レベルに応じて、設定可能な設定項目以外の操作を制限する。次に、ステップS108において、第1制御部121は、作業に応じて、作業履歴を作業者管理システム20へ送信する。作業者管理システム20では、作業履歴を受信すると、ステップS210において、第2制御部200は、ステップS208又はステップS222において記録した作業者IDに対応付けて、作業履歴テーブル215に、作業履歴を記録する。以上で、作業者管理処理が完了する。
【0048】
以上のように、本実施形態の装置管理システム1においては、作業者の認証に成功しなかった場合には、さらに勤務計画テーブル212、装置テーブル213を参照することで、段階的に認証を行う。そして、装置管理システム1は、それでも対象作業者を1人の候補者に絞り込めない場合であって、かつ複数の候補者の作業レベルが等しい場合には、複数の候補者それぞれの作業者IDを記録し、認証に成功したと判断する。実施形態において説明したように、作業レベルが特定されていれば、適切に設定項目を制限することができる。このため、個人の特定までは不要である。また、作業履歴の記録においても、作業レベルと作業履歴の対応関係が取得したい場合には、個人の特定は不要である。このような場合には、作業レベルが特定できる程度に作業者を絞り込めたことを条件に認証成功と判断しても問題ない。このように、本実施形態の装置管理システム1においては、作業者を認証できない場合であっても、装置において必要な程度に作業者を特定することができる。すなわち、本実施形態の装置管理システム1は、非接触でかつ低コストで、作業者を認証し、認証できない場合であっても、装置において必要な程度に作業者を特定することができる。
【0049】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0050】
そうした第1の変形例としては、作業者管理システム20は、複数の装置により実現されてもよい。例えば、第2記録媒体210に記録される複数のテーブルのうち少なくとも1つのテーブルが他の装置に格納されていてもよい。また、他の例としては、認証部202と、作業履歴記録部203は、他の装置により実現されてもよい。
【0051】
第2の変形例としては、作業レベルは、操作レベルと設定レベルに分類されず1つの作業レベルとして統一された値であってもよい。
【0052】
第3の変形例としては、顔画像を用いた認証に成功しない場合に、認証部202は、勤務計画テーブル212や装置テーブル213を利用した認証を試みることなく、作業レベルが等しい場合には、認証に成功したと判断することとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 装置管理システム
10 包装装置
20 作業者管理システム
100 包装装置本体
120 操作装置
121 第1制御部
122 第1記録媒体
123 第1通信部
124 表示部
125 入力部
126 撮影部
200 第2制御部
201 取得部
202 認証部
203 作業履歴記録部
210 第2記録媒体
211 作業者テーブル
212 勤務計画テーブル
213 装置テーブル
214 作業レベルテーブル
215 作業履歴テーブル
220 第2通信部