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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010451
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】モータ装置及びオイルポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20240117BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H01R13/46 B
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111790
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓樹
(72)【発明者】
【氏名】水越 陽一
(72)【発明者】
【氏名】小泉 太郎
【テーマコード(参考)】
5E087
5H605
【Fターム(参考)】
5E087EE16
5E087FF02
5E087GG02
5E087JJ09
5E087MM08
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR04
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB07
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC06
5H605CC10
5H605DD09
5H605EC05
(57)【要約】
【課題】コネクタユニットを小型化したモータ装置を提供する。
【解決手段】モータ装置は、一対の電源線及び一対の信号線それぞれの一端が第1方向に所定の間隔を隔てて配置され、回路接続部から露出される第1端子部と、一対の電源線及び一対の信号線それぞれの他端が第1端子部と異なるレイアウトで配置され、外部接続部から露出される第2端子部と、第1端子部に隣接する位置において、一対の電源線及び一対の信号線それぞれが、第1方向に所定の間隔を隔てて第1方向に直交する第2方向に平行に延びる平行部と、第2端子部及び平行部の間において、一対の電源線及び一対の信号線それぞれが、第1端子部及び第2端子部のレイアウトを変換するように、第1方向における平行部の幅の範囲内で屈曲した屈曲部とを含むターミナルコネクタを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記電動モータの動作を制御する制御回路と、
前記制御回路を外部装置に接続するコネクタユニットとを備えるモータ装置において、
前記コネクタユニットは、
前記電動モータを駆動する駆動電流が流れる一対の電源線、及び前記制御回路を制御する制御信号が流れる一対の信号線を含むターミナルコネクタと、
一対の前記電源線及び一対の前記信号線が所定の間隔を隔てて配置されるように、前記ターミナルコネクタを覆うインナーモールド体と、
前記インナーモールド体を覆うと共に、前記制御回路に接続される回路接続部、及び前記外部装置に接続される外部接続部を有するアウターモールド体とを備え、
前記ターミナルコネクタは、
一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれの一端が第1方向に所定の間隔を隔てて配置され、前記回路接続部から露出される第1端子部と、
一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれの他端が前記第1端子部と異なるレイアウトで配置され、前記外部接続部から露出される第2端子部と、
前記第1端子部に隣接する位置において、一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれが、前記第1方向に所定の間隔を隔てて前記第1方向に直交する第2方向に平行に延びる平行部と、
前記第2端子部及び前記平行部の間において、一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれが、前記第1端子部及び前記第2端子部のレイアウトを変換するように、前記第1方向における前記平行部の幅の範囲内で屈曲した屈曲部とを含むことを特徴とするモータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向から前記屈曲部を見たときに、一対の前記電源線及び一対の前記信号線は、
互いに重なるように配置された重畳部分と、
前記第1方向または前記第2方向にズレて配置された非重畳部分とを含み、
前記インナーモールド体には、前記第3方向において前記非重畳部分に対面する位置に、外周面から一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれに向かって延びる第1開口が形成されていることを特徴とするモータ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記インナーモールド体は、前記屈曲部に向かって前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に延びて、一対の前記電源線及び一対の前記信号線の少なくとも1つに、前記第1方向または前記第2方向から接触する突起を有することを特徴とするモータ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記インナーモールド体には、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向において前記平行部に対面する位置に、外周面から前記ターミナルコネクタに向かって延びる第2開口が形成されていることを特徴とするモータ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のモータ装置において、
前記平行部において前記第1方向に隣接する前記電源線及び前記信号線には、互いに対面する位置に凸部が形成されていることを特徴とするモータ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記外部接続部は、
前記第2端子部を囲むように前記第2方向に突出し、突出端が開放された筒体と、
前記筒体の内側において、前記第2方向に凹む凹部とを備え、
前記インナーモールド体は、前記筒体の内側において、前記第1方向または前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に突出して、前記凹部の切り欠かれた側面を通じて前記凹部の内部に露出する位置決め部を有することを特徴とするモータ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のモータ装置と、
前記電動モータの駆動力によってオイルを圧送するオイルポンプとを備えるオイルポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置及びこれを搭載したオイルポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、持続可能な開発のための2030アジェンダ、平成27(2015)年9月25日国連サミット採択、以下「SDGs」という)の推進に向けた取り組みが行われている。それに伴い、持続可能な生産消費形態の確保などのため、廃棄物の発生防止、廃棄物の削減、ならびに製品の再生利用および再利用によって廃棄物の発生を大幅に削減することなどを目指す技術が知られている。
【0003】
従来より、作動油を圧送するオイルポンプと、オイルポンプを駆動するモータ装置とが一体化されたオイルポンプ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。そして、このような用途に使用されるモータ装置には、電動モータと、電動モータの動作を制御する制御回路と、制御回路を外部装置(例えば、電源)に接続するコネクタユニットとを備える機電一体型が採用されるのが一般的である。
【0004】
コネクタユニットは、電動モータを駆動する駆動電流が流れる一対の電源線と、制御回路を制御する制御信号が流れる一対の信号線とを含む。そして、一対の電源線及び一対の信号線は、制御回路に接続される第1端子部と、外部装置に接続される第2端子部とでレイアウトが異なる。そのため、一対の電源線及び一対の信号線は、第1端子部及び第2端子部の間でレイアウトを変換するために、コネクタユニット内で屈曲されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-187927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成のコネクタユニット内では、一対の電源線及び一対の信号線の短絡を防止するために、各線が幅方向に張り出すように屈曲されるのが一般的である。その結果、コネクタユニットが幅方向に大型化するという課題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、コネクタユニットを小型化したモータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、電動モータと、前記電動モータの動作を制御する制御回路と、前記制御回路を外部装置に接続するコネクタユニットとを備えるモータ装置において、前記コネクタユニットは、前記電動モータを駆動する駆動電流が流れる一対の電源線、及び前記制御回路を制御する制御信号が流れる一対の信号線を含むターミナルコネクタと、一対の前記電源線及び一対の前記信号線が所定の間隔を隔てて配置されるように、前記ターミナルコネクタを覆うインナーモールド体と、前記インナーモールド体を覆うと共に、前記制御回路に接続される回路接続部、及び前記外部装置に接続される外部接続部を有するアウターモールド体とを備え、前記ターミナルコネクタは、一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれの一端が第1方向に所定の間隔を隔てて配置され、前記回路接続部から露出される第1端子部と、一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれの他端が前記第1端子部と異なるレイアウトで配置され、前記外部接続部から露出される第2端子部と、前記第1端子部に隣接する位置において、一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれが、前記第1方向に所定の間隔を隔てて前記第1方向に直交する第2方向に平行に延びる平行部と、前記第2端子部及び前記平行部の間において、一対の前記電源線及び一対の前記信号線それぞれが、前記第1端子部及び前記第2端子部のレイアウトを変換するように、前記第1方向における前記平行部の幅の範囲内で屈曲した屈曲部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コネクタユニットを小型化したモータ装置を得ることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るオイルポンプ装置の外観斜視図である。
図2】コネクタユニットの分解斜視図である。
図3】ターミナルコネクタの正面図、背面図、平面図、側面図、底面図である。
図4】コネクタサブユニットの正面図、平面図、側面図、底面図である。
図5】コネクタユニットの斜視図である。
図6】筒体周辺の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るオイルポンプ装置1を説明する。図1は、本実施形態に係るオイルポンプ装置1の外観斜視図である。
【0012】
本実施形態に係るオイルポンプ装置1は、例えば自動車に搭載されたエンジンクラッチや変速機構クラッチにオイル(例えば、潤滑油)を供給する。但し、オイルポンプ装置1の用途は、これに限定されない。図1に示すように、オイルポンプ装置1は、モータ装置2と、オイルポンプ3とを備える、所謂「電動オイルポンプ」である。
【0013】
モータ装置2は、オイルポンプ3を回転させるための駆動力を発生させる。オイルポンプ3は、モータ装置2の駆動力が伝達されて回転することによって、オイルを圧縮して送り出す(以下、「圧送」と表記する)。オイルポンプ3の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0014】
モータ装置2は、電動モータ4と、電動モータ4の動作を制御する制御回路5と、制御回路5を不図示の外部装置(例えば、電源)に接続するコネクタユニット6とを備える、所謂「機電一体型」のモータである。電動モータ4は、例えば、ブラシレスモータである。電動モータ4及び制御回路5の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0015】
図2は、コネクタユニット6の分解斜視図である。図2に示すように、コネクタユニット6は、ターミナルコネクタ10と、インナーモールド体20と、アウターモールド体30とを主に備える。ターミナルコネクタ10は、駆動電流及び制御信号が流れる導電性の部材である。インナーモールド体20は、ターミナルコネクタ10を覆う(モールドする)絶縁材である。以下、ターミナルコネクタ10をインナーモールド体20でモールドした状態の部品を「コネクタサブユニット10&20」と表記する。アウターモールド体30は、コネクタサブユニット10&20をさらに覆う(モールドする)絶縁材である。
【0016】
図3は、ターミナルコネクタ10の正面図(左図)、背面図(右図)、平面図(上図)、側面図(中図)、底面図(下図)である。図2及び図3に示すように、ターミナルコネクタ10は、一対の電源線11a、11bと、一対の信号線12a、12bとで構成される。一対の電源線11a、11bには、電動モータ4を駆動するための駆動電流が流れる。一対の信号線12a、12bには、制御回路5を制御するための制御信号が流れる。
【0017】
一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、各々が途中で屈曲しながら概ね前後方向に延設される。また、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、前後方向において、第1端子部13、第2端子部14、平行部15、及び屈曲部16に区分される。なお、本明細書では、左右方向を第1方向とし、前後方向を第2方向とし、上下方向を第3方向として説明する。但し、第1方向、第2方向、及び第3方向は相対的なものであって、前述の例に限定されない(すなわち、オイルポンプ装置1の設置の向きを限定するものではない)。
【0018】
第1端子部13は、ターミナルコネクタ10の一端(背面側の端部)であって、制御回路5に接続される。一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、第1端子部13において、左右方向に所定の間隔を隔てて配置(レイアウト)されている。第1端子部13のレイアウトは、制御回路5によって適宜変更される。
【0019】
第2端子部14は、ターミナルコネクタ10の他端(正面側の端部)であって、外部装置に接続される。一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、第2端子部14において、左右方向及び前後方向に離間して配置(レイアウト)されている。より詳細には、一対の電源線11a、11bは、一対の信号線12a、12bより上方において、左右方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、一対の信号線12a、12bは、一対の電源線11a、11bより下方において、左右方向に所定の間隔を隔てて配置されている。第2端子部14のレイアウトは、外部装置のインタフェースによって適宜変更される。すなわち、第2端子部14は、第1端子部13と異なっていれば、どのようなレイアウトでもよい。
【0020】
平行部15は、前後方向における第1端子部13及び屈曲部16の間(すなわち、第1端子部13に隣接する位置)に位置している。一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、平行部15において、左右方向に所定の間隔を隔てて、前後方向に平行に延びている。
【0021】
屈曲部16は、前後方向における第2端子部14及び平行部15の間に位置している。一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、屈曲部16において、第1端子部13及び第2端子部14のレイアウトを変換するように屈曲している。また、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、屈曲部16において、互いに接触(短絡)しないように(すなわち、所定の間隔を隔てて)屈曲している。すなわち、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bが屈曲部16でどのように屈曲しているかは、第1端子部13及び第2端子部14のレイアウトによって適宜異なる。
【0022】
但し、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、屈曲部16において、左右方向における平行部15の範囲内で屈曲している。換言すれば、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、屈曲部16において、平行部15の幅から左右方向に張り出していない。さらに換言すれば、ターミナルコネクタ10の左右方向の幅の最大値は、平行部15の幅に一致する。
【0023】
また、平行部15における電源線11a及び信号線12aには、互いに対面する位置に凸部17a、18aが形成されている。凸部17a、18aは、互いに近接する向きに突出する。電源線11a及び信号線12aは、プレス加工によって一体成形される。そのため、電源線11a及び信号線12aは、凸部17a、18aの位置に形成されたブリッジ(図示省略)で接続されている。そして、後述するようにターミナルコネクタ10がインナーモールド体20でモールドされた後に、ブリッジが除去(すなわち電源線11a及び信号線12aが切断)される。すなわち、凸部17a、18aは、ブリッジを切断した痕跡(ブリッジの端部)である。同様に、平行部15における電源線11b及び信号線12bには、凸部17b、18bが形成されている。
【0024】
さらに、屈曲部16を上下方向から見たときに、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、互いに重なるように配置された重畳部分と、重ならないように配置された(すなわち、左右方向及び前後方向にズレて配置された)非重畳部分とを含む。なお、重畳部分において、電源線11a及び信号線12aは、電源線11b及び信号線12bより下方に位置している。なお、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、重畳部分においても上下方向に所定の間隔を隔てて配置されている。すなわち、一対の電源線11a、11b及び一対の信号線12a、12bは、ターミナルコネクタ10の全域において接触していない。
【0025】
図4は、コネクタサブユニット10&20の正面図(左図)、平面図(上図)、側面図(中図)、底面図(下図)である。なお、図4では、ターミナルコネクタ10を網掛けして図示している。コネクタサブユニット10&20は、上下方向に開閉される金型内にターミナルコネクタ10をインサートした状態で、樹脂材料を充填することによって射出成形される。これにより、ターミナルコネクタ10がインナーモールド体20でモールドされて、コネクタサブユニット10&20が形成される。
【0026】
図4に示すように、ターミナルコネクタ10の第1端子部13及び第2端子部14は、インナーモールド体20から露出している。また、図2及び図4に示すように、インナーモールド体20には、複数の第1開口21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hと、複数の突起22a、22bと、複数の第2開口23a、23b、23c、23dと、フランジ部24と、複数の位置決め部25a、25bとが形成されている。
【0027】
第1開口21a~21dは、インナーモールド体20の上面(外周面)からターミナルコネクタ10に向かって下方に延びている。また、第1開口21a~21dは、上下方向において、ターミナルコネクタ10の屈曲部16に対面して形成されている。より詳細には、第1開口21a~21dは、上下方向において、電源線11a及び信号線12aの非重畳部分に対面して形成されている。
【0028】
第1開口21e~21hは、インナーモールド体20の下面(外周面)からターミナルコネクタ10に向かって上方に延びている。また、第1開口21e~21hは、上下方向において、ターミナルコネクタ10の屈曲部16に対面して形成されている。より詳細には、第1開口21e~21hは、上下方向において、電源線11b及び信号線12bの非重畳部分に対面して形成されている。
【0029】
コネクタサブユニット10&20を射出成形する際に、第1開口21a~21hに相当する位置にはピン(図示省略)が配置される。そして、図3にドットハッチングで示すように、第1開口21a~21dに相当する位置に配置されるピンは、電源線11a及び信号線12aに上方から当接して、電源線11a及び信号線12aの上方への移動を規制する。また、第1開口21e~21hに相当する位置に配置されるピンは、電源線11b及び信号線12bに下方から当接して、電源線11b及び信号線12bの下方への移動を規制する。そして、射出成形後にピンを除去することによって、第1開口21a~21hが形成される。これにより、金型内に充填される樹脂材料の圧力によって、電源線11a、11b及び信号線12a、12bが移動(接触)するのを防止できる。
【0030】
すなわち、第1開口21a~21dは、インナーモールド体20の第1方向の一方側(すなわち、上側)において、重畳部分において第3方向の他方側(すなわち、下側)に位置する電源線11a及び信号線12aに対面して配置されている。第1開口21e~21hは、インナーモールド体20の第1方向の他方側(すなわち、下側)において、重畳部分において第3方向の一方側(すなわち、上側)に位置する電源線11b及び信号線12bに対面して配置されている。
【0031】
図3に斜線ハッチングで示すように、突起22a、22bは、インナーモールド体20の上面(外周面)からターミナルコネクタ10の屈曲部16に向かって下方に延びている。そして、突起22aは、電源線11aに後方側(第2方向)から接触し、信号線12bに右側(第3方向)から接触する。また、突起22bは、電源線11bに左側(第3方向)から接触し、信号線12aに前方側(第2方向)から接触する。
【0032】
コネクタサブユニット10&20を射出成形する際に、突起22a、22bに相当する位置にはピン(図示省略)が配置される。これにより、電源線11a、11b及び信号線12a、12bが左右方向及び前後方向の位置が規制される。また、突起22a、22bに相当する位置に配置されるピンは、電源線11a、11b及び信号線12a、12bとの間に所定の間隔を隔てて配置される。これにより、金型内に樹脂材料が充填されると、電源線11a、11b及び信号線12a、12bとピンとの間にも樹脂材料が進入する。その結果、突起22a、22bが形成される。
【0033】
すなわち、突起22a、22bは、ターミナルコネクタ10の屈曲部16に向かって第3方向に延設され、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの少なくとも1つに、第1方向または第2方向から接触する。
【0034】
第2開口23a、23bは、インナーモールド体20の上面(外周面)からターミナルコネクタ10に向かって下方に延びている。また、第2開口23c、23dは、インナーモールド体20の下面(外周面)からターミナルコネクタ10に向かって上方に延びている。そして、第2開口23a~23dは、上下方向において、ターミナルコネクタ10の平行部15に対面して形成されている。より詳細には、第2開口23a~23dは、上下方向において、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの凸部17a、17b、18a、18bに対面する位置に形成されている。
【0035】
コネクタサブユニット10&20を射出成形する際に、第2開口23a~23dに相当する位置には金型の一部が配置される。この金型の一部は、上方方向及び左右方向において、電源線11a、11b及び信号線12a、12bに接触する。これにより、平行部15における電源線11a、11b及び信号線12a、12bの上下方向及び左右方向の位置が規制される。そして、コネクタサブユニット10&20が金型から取り出されると、第2開口23a~23dが形成される。さらに、第2開口23a~23dを通じてブリッジが除去されることによって、ターミナルコネクタ10に凸部17a、17b、18a、18bが形成される。
【0036】
フランジ部24は、インナーモールド体20の前後方向の略中央部から径方向外向きに突出し、且つ周方向に連続する部分である。フランジ部24は、アウターモールド体30でモールドする際にコネクタサブユニット10&20の前後方向の位置を規制すると共に、アウターモールド体30に極端に肉厚が厚い部分ができる(すなわち、肉厚に偏りが生じる)のを防止する役割を担っている。
【0037】
位置決め部25a、25bは、インナーモールド体20の前方側(より詳細には、フランジ部24より前方)に設けられている。また、位置決め部25a、25bは、インナーモールド体20の外周面から径方向外向きに突出している。本実施形態において、位置決め部25aは、インナーモールド体20の右下隅から右方に突出し且つ前後方向に延設されている。また、位置決め部25bは、インナーモールド体20の左上隅から左方に突出し且つ前後方向に延設されている。位置決め部25a、25bは、後述するようにコネクタユニット6を成形する際に、金型内でコネクタサブユニット10&20が回転するのを防止する役割を担う。
【0038】
図5は、コネクタユニット6の斜視図である。コネクタユニット6は、左右方向に開閉される金型内にコネクタサブユニット10&20をインサートした状態で、樹脂材料を充填することによって射出成形される。これにより、コネクタサブユニット10&20がアウターモールド体30でモールドされて、コネクタユニット6が形成される。図2及び図5に示すように、コネクタユニット6は、回路接続部31と、外部接続部32とを主に備える。
【0039】
回路接続部31は、第1端子部13を制御回路5に接続させるインタフェースである。回路接続部31は、第1端子部13をコネクタユニット6の外部(背面)に露出させる。そして、回路接続部31をボルト等で制御回路5のケースに固定することによって、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの第1端子部13が制御回路5に電気的に接続される。
【0040】
外部接続部32は、第2端子部14を外部装置に接続させるインタフェースである。外部接続部32は、筒体33を備える。筒体33は、インナーモールド体20を囲むように、前方(第2方向)に突出する筒形状の外形を呈する。また、筒体33の突出端(前端)は、開放されている。さらに、外部接続部32(筒体33)は、第2端子部14をコネクタユニット6の外部(前面)に露出させる。そして、外部接続部32(筒体33)が外部装置のインタフェースに挿入されることによって、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの第2端子部14が外部装置に電気的に接続される。
【0041】
図6は、筒体33周辺の要部斜視図である。なお、図6では、インナーモールド体20を網掛けして図示している。図6に示すように、アウターモールド体30には、凹部34a、34bが形成されている。凹部34a、34bは、筒体33の内側で且つインナーモールド体20より外側に形成されている。より詳細には、凹部34a、34bは、左右方向において、インナーモールド体20に隣接して形成されている。さらに、凹部34a、34bは、アウターモールド体30の前面から後方(第2方向)に凹んでいる。
【0042】
さらに、凹部34a、34bの側面の一部は、切り欠かれている。これにより、インナーモールド体20の一部は、切り欠かれた凹部34a、34bの側面を通じて、凹部34a、34bの内部に露出している。より詳細には、図6(A)に示すように、位置決め部25aの上面及びこれに連なるインナーモールド体20の右側面は、凹部34aの内部に露出している。また、図6(B)に示すように、位置決め部25bの下面及びこれに連なるインナーモールド体20の左側面は、凹部34bの内部に露出している。
【0043】
コネクタユニット6を射出成形する際に、凹部34a、34bに相当する位置には金型の一部が配置される。この金型の一部は、上方方向及び左右方向において、位置決め部25a、25b及びインナーモールド体20の側面に接触する。これにより、金型内に充填される樹脂材料の圧力によって、コネクタサブユニット10&20が回転するのを防止できる。また、コネクタサブユニット10&20と金型との接触面には、樹脂材料が進入しない。その結果、コネクタユニット6を金型から取り出すと、インナーモールド体20の金型に接触していた部分が、凹部34a、34bの内部に露出される。
【0044】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0045】
上記の実施形態によれば、ターミナルコネクタ10の屈曲部16において、電源線11a、11b及び信号線12a、12bを、左右方向における平行部15の範囲内で屈曲させたので、ターミナルコネクタ10を幅方向に小型化することができる。その結果、小型のコネクタユニット6を備えたモータ装置2及びオイルポンプ装置1を得ることができる。
【0046】
また、上記の実施形態によれば、コネクタサブユニット10&20を射出成形する際に、第1開口21a~21hに相当する位置にピンを配置することによって、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの上下方向の位置が規制される。これにより、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの間隔を小さく設定しても、短絡を防止できるので、コネクタユニット6を小型化することができる。
【0047】
また、上記の実施形態によれば、左右方向または前後方向から電源線11a、11b及び信号線12a、12bの少なくも1つに接触する突起22a、22bをインナーモールド体20に設けることによって、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの左右方向及び前後方向の位置が規制される。これにより、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの間隔を小さく設定しても、短絡を防止できるので、コネクタユニット6を小型化することができる。
【0048】
また、上記の実施形態によれば、コネクタサブユニット10&20を射出成形する際に、第2開口23a~23dに相当する位置に金型の一部を配置することによって、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの上下方向及び左右方向の位置が規制される。これにより、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの間隔を小さく設定しても、短絡を防止できるので、コネクタユニット6を小型化することができる。
【0049】
また、上記の実施形態によれば、隣接する電源線11a、11b及び信号線12a、12bを接続するブリッジに対面する位置に第2開口23a~23bを設けることによって、ターミナルコネクタ10をインナーモールド体20でモールドした後に、ブリッジを切断することができる。その結果、電源線11a、11b及び信号線12a、12bの位置精度を容易に向上させることができる。
【0050】
さらに、上記の実施形態によれば、コネクタユニット6を射出成形する際に、凹部34a、34bに相当する位置に金型の一部を配置することによって、コネクタユニット6内でコネクタサブユニット10&20が回転するのを防止することができる。そして、ターミナルコネクタ10を左右方向に小型化したことによって、インナーモールド体20の外周面に形成した位置決め部25a、25bを筒体33の内側に収容することができる。その結果、コネクタユニット6を小型化することができる。
【0051】
そして、上記の実施形態のように、コネクタユニット6を小型化することによって、インナーモールド体20及びアウターモールド体30の樹脂量を削減することができる。また、前述した様々な位置決め手法を採用することによって、不良品の削減が期待できる。これらは、SDGsにおける持続可能な生産消費形態の確保に寄与する。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 :オイルポンプ装置
2 :モータ装置
3 :オイルポンプ
4 :電動モータ
5 :制御回路
6 :コネクタユニット
10 :ターミナルコネクタ
11a,11b :電源線
12a,12b :信号線
13 :第1端子部
14 :第2端子部
15 :平行部
16 :屈曲部
17a,17b,18a,18b :凸部
20 :インナーモールド体
21a~21h :第1開口
22a,22b :突起
23a~23d :第2開口
24 :フランジ部
25a,25b :位置決め部
30 :アウターモールド体
31 :回路接続部
32 :外部接続部
33 :筒体
34a,34b :凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6