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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104516
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】RFIDシステム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240729BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20240729BHJP
【FI】
G06K7/10 268
G06K7/10 240
G06K7/10 148
G07B15/00 501
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008771
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000108649
【氏名又は名称】タカヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】三宅 広大
(72)【発明者】
【氏名】末田 道識
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 典貢
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA01
3E127AA30
3E127BA23
3E127BA45
3E127CA02
3E127CA56
3E127DA18
3E127FA03
3E127FA08
3E127FA21
3E127FA28
3E127FA43
3E127FB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な手法でRFIDタグの誤読を減らすRFIDシステムを提供する。
【解決手段】RFIDシステム100において、メインゲート10aは、RFIDタグを読み取るため、RFIDリーダライタ21と、それに接続されるRFIDアンテナ23と、RFIDリーダライタを制御するコントローラ22を備える。RFIDアンテナは、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とを有するアンテナセットS(k)を1以上備え、第1アンテナ部材と第2アンテナ部材とは、RFIDタグの通過方向に隣り合って配置されるとともに一対の指向性方向が前方で互いに離れるように離反角度差を設けて配置される。RFIDリーダライタは、第1アンテナ部材と第2アンテナ部材とを切り替えつつ読み取ったRFIDタグの検出信号を処理し、検出信号の経時的変化に基づいて、RFIDタグがRFIDアンテナが近傍を通過したかどうか識別する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを読み取るため、RFIDリーダライタと、前記RFIDリーダライタに接続されるRFIDアンテナと、前記RFIDリーダライタを制御するコントローラとを備え、
前記RFIDアンテナは、第1アンテナ部材と第2アンテナ部材とを有するアンテナセットを1以上備え、
前記第1アンテナ部材と前記第2アンテナ部材とは、前記RFIDタグの通過方向に隣り合って配置されるとともに一対の指向性方向が前方で互いに離れるように離反角度差を設けて配置され、
前記RFIDリーダライタは、前記第1アンテナ部材と前記第2アンテナ部材とを切り替えつつ読み取った前記RFIDタグの検出信号を処理し検出信号の経時的変化に基づいて、前記RFIDタグが前記RFIDアンテナの近傍を通過したかどうかを識別する、RFIDシステム。
【請求項2】
前記アンテナセットから、前記第1アンテナ部材の放射特性の半値角と前記第2アンテナ部材の放射特性の半値角とのクロスポイントまでの距離を感度分離距離として、前記感度分離距離が、前記指向性方向を一致させた標準状態を基準として20~70%大きい、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項3】
前記RFIDリーダライタは、前記RFIDアンテナを介して読み取った前記検出信号から、信号強度の経時的変化を抽出し、前記信号強度に対して信号強度及びピーク指標を含む通過特性に関するフィルタ処理を行うことにより、前記RFタグが前記RFIDアンテナの近傍を移動したタグかどうかを識別する、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項4】
前記RFIDリーダライタは、前記フィルタ処理を行うにあたり、前記信号強度の保存データを前記フィルタ処理の信頼性を確保可能なデータ点数に減らす、請求項3に記載のRFIDシステム。
【請求項5】
前記RFIDアンテナは、読取エリアの近傍において複数の前記アンテナセットを備え、
前記RFIDリーダライタは、複数の前記アンテナセットに接続される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項6】
前記RFIDリーダライタと前記RFIDアンテナとの間に介在されるアンテナ切替器を備える、請求項5に記載のRFIDシステム。
【請求項7】
前記RFIDリーダライタと、前記RFIDアンテナと、前記アンテナ切替器とは、同一の筐体へ組み込まれている、請求項6に記載のRFIDシステム。
【請求項8】
読取エリアを通過する人を検知する人検知赤外線モジュールをさらに備え、
前記RFIDタグの通過判定と人検知赤外線モジュールの通過検知とを組み合わせて判定を行う、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項9】
読取エリアを通過する人を検知する人検知カメラモジュールをさらに備え、
前記RFIDタグの通過判定と人検知カメラモジュールの通過検知とを組み合わせて判定を行う、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項10】
前記RFIDタグの認証に関連するデータベースをさらに備える、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項11】
前記データベースは、元のデータベースから通過が許可又は禁止された対象のみを抽出した簡易型のデータベースである、請求項10に記載のRFIDシステム。
【請求項12】
前記離反角度差を調整する角度調整部材をさらに備える、請求項1に記載のRFIDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に付されたRFIDタグの存在を検出するRFIDシステムに関し、特に複数アンテナ部材を切り換えつつ動作させRFIDタグの通過を検出するRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートにRFIDアンテナを組み込んでゲート前又はゲート間を通過するRFIDタグを検出するRFIDシステムが存在する。かかるRFIDシステムにおいて、反射やマルチパスの影響で遠く離れた場所に存在するRFIDタグを誤読してしまい、誤発報することがある。このような現象を改善するために、電波受信強度と位相情報とを利用して、RFIDタグがゲート前を通過したことをデータ処理により判定し、誤読対策を行っている技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、上記のように位相情報等を用いる手法では、かなり複雑なアルゴリズム処理を行うため、処理速度の遅い演算処理装置を組み込んだシステムでは、処理が間に合わず、高速の演算処理装置を組み込んだシステムでは、誤読を減らすことができたとしても、コストに見合う精度向上が達成されていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-37663号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、簡易な手法でRFIDタグの誤読を減らすことができるRFIDシステムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るRFIDシステムは、RFIDタグを読み取るため、RFIDリーダライタと、RFIDリーダライタに接続されるRFIDアンテナと、RFIDリーダライタを制御するコントローラとを備え、RFIDアンテナは、第1アンテナ部材と第2アンテナ部材とを有するアンテナセットを1以上備え、第1アンテナ部材と第2アンテナ部材とは、RFIDタグの通過方向に隣り合って配置されるとともに一対の指向性方向が前方で互いに離れるように離反角度差を設けて配置され、RFIDリーダライタは、第1アンテナ部材と第2アンテナ部材とを切り替えつつ読み取ったRFIDタグの検出信号を処理し検出信号の経時的変化に基づいて、RFIDタグがRFIDアンテナの近傍を通過したかどうかを識別する。
【0007】
上記RFIDシステムによれば、指向性方向が前方で互いに離れるように離反角度差を設けて配置された第1アンテナ部材と第2アンテナ部材とを切り替えながら読み取りを行うので、2つのアンテナ部材を近づけても、これらアンテナ部材から得た信号強度の経時的変化に関して十分な時間差を設定することができる。これにより、2つのアンテナ部材によって得た検出信号の経時的変化に基づいてRFIDタグの通過を識別する処理の精度を高めることができ、通過判定の信頼性を確保することができる。なお、2つのアンテナ部材を近づけることで、RFIDアンテナをコンパクトにすることができ、装置又はゲートサイズをコンパクトにすることができる。
【0008】
本発明の具体的な側面によれば、上記RFIDシステムにおいて、アンテナセットから、第1アンテナ部材の放射特性の半値角と第2アンテナ部材の放射特性の半値角とのクロスポイントまでの距離を感度分離距離として、感度分離距離が、指向性方向を一致させた標準状態を基準として20~70%大きい。
【0009】
本発明の別の側面によれば、RFIDリーダライタは、RFIDアンテナを介して読み取った検出信号から、信号強度の経時的変化を抽出し、信号強度に対して信号強度及びピーク指標を含む通過特性に関するフィルタ処理を行うことにより、RFタグがRFIDアンテナの近傍を移動したタグかどうかを識別する。この場合、信号強度及びピーク指標を含む通過特性に関するフィルタ処理を行うので、その後の信号判定処理の信頼性を簡易に高めることができる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、RFIDリーダライタは、フィルタ処理を行うにあたり、信号強度の保存データをフィルタ処理の信頼性を確保可能なデータ点数に減らす。この場合、信号判定処理を迅速で効率的なものとすることができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、RFIDアンテナは、読取エリアの近傍において複数のアンテナセットを備え、RFIDリーダライタは、複数のアンテナセットに接続される。この場合、アンテナセットの接続数を増やすことが可能になるので、読取エリアの拡張が容易になる。また、所望数のアンテナセットによる検出信号に基づいて信号判定処理を行うことができ、通過判定の信頼性をより高めることができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、RFIDリーダライタとRFIDアンテナとの間に介在されるアンテナ切替器を備える。この場合、RFIDリーダライタの個数増加を抑えつつアンテナセットの個数増加を図ることができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、RFIDリーダライタと、RFIDアンテナと、アンテナ切替器とは、同一の筐体へ組み込まれている。この場合、筐体及びその内部をゲート部材として用いることができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、読取エリアを通過する人を検知する人検知赤外線モジュールをさらに備え、RFIDタグの通過判定と人検知赤外線モジュールの通過検知とを組み合わせて判定を行う。この場合、人検知赤外線モジュールの通過検知を補助的に活用して判定の信頼性を高めることができる。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、読取エリアを通過する人を検知する人検知カメラモジュールをさらに備え、RFIDタグの通過判定と人検知カメラモジュールの通過検知とを組み合わせて判定を行う。この場合、人検知カメラモジュールの通過検知を補助的に活用して判定の信頼性を高めることができる。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、RFIDタグの認証に関連するデータベースをさらに備える。この場合、RFIDリーダライタで読み取ったRFIDタグの信号を上位システム等へアクセスすることなく高速に認証することができる。
【0017】
本発明のさらに別の側面によれば、データベースは、元のデータベースから通過が許可又は禁止された対象のみを抽出した簡易型のデータベースである。この場合、データベースに保存されるデータ量を削減することができ、膨大なデータベースを検索する必要がなくなるため、制御装置での処理を高速化することができる。
【0018】
本発明のさらに別の側面によれば、離反角度差を調整する角度調整部材をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態のRFIDシステムを説明する概念的な斜視図である。
図2】RFIDシステムの回路的な構成を説明するブロック図である。
図3】(A)は、具体例のアンテナセットを説明する平面図であり、(B)は、RFIDタグが通過方向に移動した場合の検出パターンを示している。
図4】(A)は、比較例のアンテナセットを説明する平面図であり、(B)は、RFIDタグが通過方向に移動した場合の検出パターンを示している。
図5】RFIDシステムにおける判定動作の一例を説明する図である。
図6】判定動作の変形例を説明するチャートである。
図7】第2実施形態のRFIDシステムについて説明する図である。
図8】第3実施形態のRFIDシステムについて説明する図である。
図9】アンテナセットの角度調整を可能にした変形例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、図1を参照して、本発明に係る第1実施形態のRFIDシステムについて説明する。
【0021】
RFIDシステム100は、通路PWを挟むように配置されるゲート装置10と、ゲート装置10を管理する上位管理装置30とを備える。ゲート装置10は、一対のゲート部材として、メインゲート10aとサブゲート10bとを含む。メインゲート10aとサブゲート10bとに挟まれた通路PW上方は、対象OBに付されたRFIDタグTGの通過を検出する監視対象ゾーンである読取エリアDAとなっている。メインゲート10aは、上位管理装置30に直接的に接続され、サブゲート10bは、ケーブルCAを介してメインゲート10aに接続されている。
【0022】
図2は、RFIDシステム100を説明するブロック図である。メインゲート10aは、RFIDリーダライタ21と、RFIDリーダライタ21に間接的に接続されるRFIDアンテナ23と、RFIDリーダライタ21及びRFIDアンテナ23間に介在するアンテナ切替器24と、全体の動作を統括する制御装置25とを備える。メインゲート10aは、制御装置25の制御下で動作する第1赤外線光源27a、第2赤外線光源28a、及び警報器29をさらに有する。サブゲート10bは、RFIDアンテナ23を備え、第1赤外線センサ27b、第2赤外線センサ28b及び警報器29をさらに有する。
【0023】
RFIDリーダライタ21は、CPU21cやメモリ21mを含む制御回路21aを有し、インストールされたプログラムに基づいて動作する。RFIDリーダライタ21は、RFIDアンテナ23に給電し、所定帯域の電波(具体的には、例えば860~960MHzのUHF帯の電波)を出力させ、通路PWを通過するRFIDタグTGからの応答波を受信し、RFIDタグTGを識別する。つまり、RFIDリーダライタ21は、RFIDタグTGの検出信号を処理し、検出信号の経時的変化に基づいて、RFIDタグTGがRFIDアンテナ23の近傍を通過したかどうかを識別する。
【0024】
メインゲート10aに組み込まれたRFIDアンテナ23は、図示の例では、多数のアンテナセットS(1)、S(2)、…S(m)を備え、多数のアンテナセットS(1)、S(2)、…S(m)は、読取エリアDA(図1参照)の近傍に配置されている。第1アンテナセットS(1)は、第1アンテナ部材A1(1)と第2アンテナ部材A2(1)とを有し、第2アンテナセットS(2)は、第1アンテナ部材A1(2)と第2アンテナ部材A2(2)とを有し、第mアンテナセットS(m)は、通過方向PDに沿って配列された第1アンテナ部材A1(m)と第2アンテナ部材A2(m)とを有する。第1アンテナセットS(1)は、例えば読取エリアDA(図1参照)の下部に配置され、第2アンテナ部材A2(2)は、例えば読取エリアDAの上部に配置され、第mアンテナセットS(m)は、読取エリアDAの中間に配置される。kを1~mの任意の自然数として、各アンテナセットS(k)は、通過方向PDに沿って配列された第1アンテナ部材A1(k)と、通過方向PDに沿って配列された第2アンテナ部材A2(k)とを有する。各アンテナセットS(k)、つまり第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とは、それぞれRFIDリーダライタ21に接続されている。各アンテナセットS(k)は、RFIDリーダライタ21の制御下で、異なるタイミングで動作する。さらに、各アンテナセットS(k)において、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とは、RFIDリーダライタ21によって相互に切り替えられて異なるタイミングで動作する。このように、アンテナ部材A1(k),A2(k)が動作するタイミングを切り替えることで、混信の問題を回避しつつ、どのアンテナ部材A1(k),A2(k)に対してRFIDタグTGが応答したかを明確に識別し特定することができる。
【0025】
サブゲート10bに組み込まれたRFIDアンテナ23は、メインゲート10aに組み込まれたRFIDアンテナ23と同様のものである。
【0026】
アンテナ切替器24は、RFIDリーダライタ21の制御下で動作し、複数の第1アンテナ部材A1(k)と複数の第2アンテナ部材A2(k)とから、特定のアンテナ部材を選択してRFIDリーダライタ21に接続する。具体例では、特定のアンテナセットS(k)において、第1アンテナ部材A1(k)が先にRFIDリーダライタ21に接続され、第2アンテナ部材A2(k)が後にRFIDリーダライタ21に接続される。なお、サブゲート10bに組み込まれたRFIDアンテナ23は、メインゲート10aに組み込まれたアンテナ切替器24に接続されており、メインゲート10aに組み込まれたRFIDアンテナ23とは異なるタイミングで動作する。
【0027】
制御装置25は、例えばマイクロコンピュータで構成されるコントローラ22である。制御装置25は、CPU25a、メモリ25b、通信回路25c等を有し、インストールされたプログラムに基づいて動作する。制御装置25は、RFIDリーダライタ21、赤外線光源27a,28a、赤外線センサ27b,28b及び警報器29の動作状態を管理するものであるが、RFIDリーダライタ21から独立させる必要はなく、RFIDリーダライタ21の制御回路21aの機能としてRFIDリーダライタ21に組み込むこともできる。この場合、RFIDリーダライタ21は、狭義のRFIDリーダライタとコントローラ22とを備えるものとなる。制御装置25は、図1に示す上位管理装置30のコンピュータによって実現される機能であってもよい。この場合、RFIDリーダライタ21が上位管理装置30によって直接的に管理される。
【0028】
第1赤外線光源27aや第2赤外線光源28aは、図1に示すメインゲート10aの筐体であるケース10fに固定され、第1赤外線センサ27bや第2赤外線センサ28bは、サブゲート10bのケース10fに固定されている。
【0029】
第1赤外線光源27aは、制御装置25又はRFIDリーダライタ21の制御下で動作しており、連続的に発光し或いは周期的に発光している。第1赤外線センサ27bは、第1赤外線光源27aから射出される赤外線を検出している。制御装置25又はRFIDリーダライタ21は、第1赤外線センサ27bの検出結果に基づいて人物等の通過を検知する。以上において、第1赤外線光源27aと第1赤外線センサ27bとは、読取エリアDAを通過する人を検知する第1人検知赤外線モジュール27として機能する。第2赤外線光源28aは、制御装置25又はRFIDリーダライタ21の制御下で動作しており、連続的に発光し或いは周期的に発光している。第2赤外線センサ28bは、第2赤外線光源28aから射出される赤外線を検出している。制御装置25又はRFIDリーダライタ21は、第2赤外線センサ28bの検出結果に基づいて人物等の通過を検知する。以上において、第2赤外線光源28aと第2赤外線センサ28bとは、読取エリアDAを通過する人を検知する第2人検知赤外線モジュール28として機能する。まず、第1人検知赤外線モジュール27によって比較的大きな物体の通過が検知され、次いで、第2人検知赤外線モジュール28によって比較的大きな物体の通過が検知された場合、通路PWを前方に通過する人のような物体が通過したと判断される。つまり、制御装置25又はRFIDリーダライタ21は、RFIDタグTGを用いた通過判定と、人検知赤外線モジュール27,28の通過検知とを組み合わせて判定を行う。具体的には、RFIDタグTGを用いて通過と判定し、かつ、人検知赤外線モジュール27,28を用いて通過を判定した場合、RFIDタグTGを所持する人が読取エリアDAを通過したと判断する。この場合、人検知赤外線モジュール27,28の通過検知を補助的に活用して判定の信頼性を高めることができる。
【0030】
警報器29は、スピーカーやランプを含み、制御装置25又はRFIDリーダライタ21によってRFIDタグTGが存在すると判定された場合、制御装置25又はRFIDリーダライタからの指令を受けてRFIDタグTGの検出について発報処理を行う。
【0031】
図1に示す上位管理装置30は、通信ネットワークを介してデータベースを有するサーバ70に接続されている。サーバ70は、RFIDシステム100外の装置である。
【0032】
図3(A)は、具体例のアンテナセットS(k)を説明する平面図である。メインゲート10aの筐体中、つまりケース10f中には、アンテナセットS(k)として、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とが組み込まれ、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とは、通過方向PDに沿って配列されている。第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とは、RFIDタグTGの通過方向PDに隣り合って配置されるとともに、第1アンテナ部材A1(k)の指向性方向D1と第2アンテナ部材A2(k)の指向性方向D2とが前方で互いに離れるように離反角度差αを設けて配置されている。より具体的には、第1アンテナ部材A1(k)の指向性方向D1は、正面方向に対して反時計回りに傾斜させた方向であり、第2アンテナ部材A2(k)の指向性方向D2は、正面方向に対して時計回りに傾斜させた方向である。離反角度差αについては、第1アンテナ部材A1(k)の感度領域と、第2アンテナ部材A2(k)の感度領域とが読取エリアDAにおいて部分的に重複する領域を小さくすることができる。一方で、離反角度差αを大きくして、第1アンテナ部材A1(k)の感度領域と、第2アンテナ部材A2(k)の感度領域とが過度に離れると、RFIDアンテナ23の厚みが増し、第1アンテナ部材A1(k)の前から第2アンテナ部材A2(k)の前に移動するRFIDタグTGを移動距離程度の時間差で検出することが困難になり、十分な強度を有する検出信号を取得することも容易でなくなる。第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)との離反度については、感度分離距離SDというスケールを用いることができる。感度分離距離SDは、第1アンテナ部材A1(k)の放射特性の半値角θと、第2アンテナ部材A2(k)の放射特性の半値角θとのクロスポイントXPを考えて、アンテナセットS(k)からクロスポイントXPまでの距離として与えられる。
【0033】
図3(B)は、図3(A)に示すように第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とが配置されている場合に、RFIDタグTGが通路PWに沿って通過方向PDに移動した場合の検出パターンを示している。第1アンテナ部材A1(k)の検出ピークPK1に遅れて、第2アンテナ部材A2(k)の検出ピークPK2が検出され、両検出ピークPK1,PK2は、時間軸の方向に関して十分に分離されており、これらアンテナ部材A1(k),A2(k)から得た信号強度の経時的変化に関して十分な時間差を設定することができている。
【0034】
図4(A)は、比較例のアンテナセットS(k)を説明する平面図である。この場合、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とは、RFIDタグTGの通過方向PDに隣り合って配置されているが、第1アンテナ部材A1(k)の指向性方向D1と第2アンテナ部材A2(k)の指向性方向D2とが平行に設定され離反角度差αがゼロとなっている。図4(A)に示すように第1アンテナ部材A1(k)の指向性方向D1と第2アンテナ部材A2(k)の指向性方向D2とが平行な場合の感度分離距離SD0を基準とした場合、図3(A)に示すように第1アンテナ部材A1(k)の指向性方向D1と第2アンテナ部材A2(k)の指向性方向D2とが離反する状態に対応する感度分離距離SDは、感度分離距離SD0よりも30%程度大きいものとなっている。なお、感度分離距離SDを比較例の感度分離距離SD0よりも20%程度以上大きくすることで、第1アンテナ部材A1(k)の感度領域と、第2アンテナ部材A2(k)の感度領域とが重複する領域が大きくなり過ぎることを防止できる。また、感度分離距離SDを比較例の感度分離距離SD0よりも70%程度以下大きくすることで、第1アンテナ部材A1(k)の感度領域と第2アンテナ部材A2(k)の感度領域とが過度に離れてタイミング差が大きくなることや処理の遅れを回避することができる。
【0035】
図4(B)は、図4(A)に示すように第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とが配置されている場合に、RFIDタグTGが通路PWに沿って通過方向PDに移動した場合の検出パターンを示している。第1アンテナ部材A1(k)の検出ピークPK1に遅れて、第2アンテナ部材A2(k)の検出ピークPK2が検出されているが、両検出ピークPK1,PK2は、時間軸の方向に関して十分に分離されておらず、これらアンテナ部材A1(k),A2(k)から得た信号強度の経時的変化に関して十分な時間差を設定することができていない。
【0036】
図5は、RFIDシステム100における判定動作の一例を説明する図である。RFIDリーダライタ21のCPU21cは、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P1がメモリ21mに保管された所定の閾値V1を超えているか否かを判断する(ステップS10)。次に、CPU21cは、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P1の右肩上がりのデータ数(点)DP1がメモリ21mに保管された所定の閾値V2を超えているか否かを判断する(ステップS11)。次に、CPU21cは、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P1の経時的変化特性を総合的に判定し、経時的変化特性におけるピーク値P1maxがメモリ21mに保管された所定の閾値V3を超えているか否かを判断する(ステップS12)。次に、CPU21cは、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P1の経時的変化特性を総合的に判定し、経時的変化特性におけるピーク値P1maxと平均値P1aveとの差がメモリ21mに保管された所定の閾値V4を超えているか否かを判断する(ステップS13)。次に、CPU21cは、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P1の経時的変化特性を総合的に判定し、経時的変化特性の尖度P1Sがメモリ21mに保管された所定の閾値V5を超えているか否かを判断する(ステップS14)。ここで、信号強度P1の経時的変化特性は、検出点を線分で繋いだ折れ線グラフ状のものであってもよいが、検出点に曲線をフィッティングさせたものであってもよい。尖度P1Sは、経時的変化特性中において単位時間当たりの信号強度P1の増加量が最大となる箇所における増加量つまり最大傾斜を意味する。
【0037】
以上のステップS10~S14において、判断がYesの場合、第1アンテナ部材A1(k)によって、所定以上の信頼度で検出RFIDタグTGを検出できているものとして、RFIDリーダライタ21のCPU21cは、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P2がメモリ21mに保管された所定の閾値V1を超えているか否かを判断する(ステップS15)。次に、CPU21cは、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P2の右肩上がりのデータ数(点)DP2がメモリ21mに保管された所定の閾値V2を超えているか否かを判断する(ステップS16)。次に、CPU21cは、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P2の経時的変化特性を総合的に判定し、経時的変化特性におけるピーク値P2maxがメモリ21mに保管された所定の閾値V3を超えているか否かを判断する(ステップS17)。次に、CPU21cは、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P2の経時的変化特性を総合的に判定し、経時的変化特性におけるピーク値P2maxと平均値P2aveとの差がメモリ21mに保管された所定の閾値V4を超えているか否かを判断する(ステップS18)。次に、CPU21cは、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答に関して信号強度P2の経時的変化特性を総合的に判定し、経時的変化特性の尖度P2Sがメモリ21mに保管された所定の閾値V5を超えているか否かを判断する(ステップS19)。
【0038】
以上のステップS15~S19において、判断がYesの場合、第2アンテナ部材A2(k)によって、所定以上の信頼度でRFIDタグTGを検出できているものとして、RFIDリーダライタ21のCPU21cは、総合的な判断を行う。すなわち、CPU21cは、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答を含む経時的変化特性におけるピーク値P1maxと、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答を含む経時的変化特性におけるピーク値P2maxとの差の絶対値がメモリ21mに保管された所定の閾値V6を超えているか否かを判断する(ステップS20)。また、CPU21cは、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た経時的変化特性におけるピーク値P2maxの発生時刻P2Tと、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た経時的変化特性におけるピーク値P1maxの発生時刻P1Tとの差がメモリ21mに保管された所定の閾値V7を超えているか否かを判断する(ステップS21)。
【0039】
以上のステップS20においてピーク値の差|P1max-P2max|が所定の閾値V6より小さいと判断され、かつ、以上のステップS21においてピーク発生時刻の差P2T-P1Tが閾値V7より小さいと判断された場合、同一のRFIDタグTGを十分な信頼性で検出できているという前提で、RFIDリーダライタ21のCPU21cは、検出したRFIDタグTGを移動タグと判断し、このRFIDタグTGがゲートである読取エリアDAを通過したと判定する(ステップS22)。一方、以上のステップS20においてピーク値の差|P1max-P2max|が所定の閾値V6より大きいと判断され、或いは以上のステップS21においてピーク発生時刻の差P2T-P1Tが閾値V7より大きいと判断された場合、RFIDリーダライタ21のCPU21cは、検出したRFIDタグTGを静止タグと判断し、このRFIDタグTGがゲートである読取エリアDAを通過していない判定する(ステップS23)。
【0040】
以上のステップS10~S14において、信号強度P1、右肩上がりのデータ数DP1、ピーク値P1max、ピーク平均差P1max-P1ave(ピーク値P1maxと平均値P1aveとの差)、及び尖度P1Sを所定の閾値と比較して判定を行うことは、信号強度の経時的変化を抽出し、信号強度に対して信号強度及びピーク指標を含む通過特性に関するフィルタ処理を行うことに対応する。同様に、以上のステップS15~S19において、信号強度P2、右肩上がりのデータ数DP2、ピーク値P2max、ピーク平均差P2max-P2ave(ピーク値P2maxと平均値P2aveとの差)、及び尖度P2Sを所定の閾値と比較して判定を行うことは、信号強度の経時的変化を抽出し、信号強度に対して信号強度及びピーク指標を含む通過特性に関するフィルタ処理を行うことに対応する。さらに、ピーク発生時刻の差P2T-P1Tと、ピーク値の差|P1max-P2max|とを判断することも、フィルタ処理を行うことに対応する。
【0041】
図6は、判定動作の変形例を説明する図である。チャートにおいて、第1アンテナ部材A1(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答である信号強度の経時的変化特性は、12の測定点を含む実際の測定データである。また、第2アンテナ部材A2(k)を用いて得た特定RFIDタグTGからの一連の応答である信号強度の経時的変化特性は、15の測定点を含む実際の測定データであり保存データである。実際の測定データは、処理の簡単化のため間引きによって単純化され、データ点の少ない判定対象データが特定RFIDタグTGの通過判定に用いられる。具体的には、第1アンテナ部材A1(k)や第2アンテナ部材A2(k)に関する判定対象データは、経時的変化特性である波形から、始点、最大点、及び終点の3点のみを残したものとなっている。なお、判定対象データは、説明の便宜上、チャート上で強度に関して上側にシフトさせた位置に表示されている。このように、間引きによって単純化され、データ点を減らした判定対象データを用いることで、信号判定処理を迅速で効率的なものとすることができる。
【0042】
以上の説明では、RFIDシステム100が通路PWを挟むように配置されるメインゲート10aとサブゲート10bとを含むとしたが、メインゲート10aと同様の回路やアンテナを含む装置、つまりRFIDリーダライタ21及びRFIDアンテナ23を、通路PWや読取エリアDAの片側の近傍に配置する非ゲート型とすることができる。
【0043】
以上の説明では、RFIDリーダライタ21とRFIDアンテナ23との間にアンテナ切替器24を介在させたが、アンテナ切替器24は省略可能である。この場合、RFIDリーダライタ21がRFIDアンテナ23を構成する第1アンテナ部材A1(k)や第2アンテナ部材A2(k)を切り換えつつ動作させてRFIDタグTGの検出を行う。
【0044】
以上で説明した第1実施形態のRFIDシステム100は、RFIDタグTGを読み取るため、RFIDリーダライタ21と、RFIDリーダライタ21に接続されるRFIDアンテナ23と、RFIDリーダライタ21を制御するコントローラ22とを備え、RFIDアンテナ23は、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とを有するアンテナセットS(k)を1以上備え、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とは、RFIDタグTGの通過方向に隣り合って配置されるとともに一対の指向性方向D1,D2が前方で互いに離れるように離反角度差αを設けて配置され、RFIDリーダライタ21は、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とを切り替えつつ読み取ったRFIDタグTGの検出信号を処理し検出信号の経時的変化に基づいて、RFIDタグTGがRFIDアンテナ23の近傍を通過したかどうかを識別する。
【0045】
上記RFIDシステム100によれば、指向性方向D1,D2が前方で互いに離れるように離反角度差αを設けて配置された第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とを切り替えながら読み取りを行うので、2つのアンテナ部材A1(k),A2(k)を近づけても、これらアンテナ部材A1(k),A2(k)から得た信号強度の経時的変化に関して十分な時間差を設定することができる。これにより、2つのアンテナ部材によって得た検出信号の経時的変化に基づいてRFIDタグTGの通過を識別する処理の精度を高めることができ、通過判定の信頼性を確保することができる。なお、2つのアンテナ部材A1(k),A2(k)を近づけることで、RFIDアンテナ23をコンパクトにすることができ、装置やゲートサイズをコンパクトにすることができる。
【0046】
[第2実施形態]
以下、図7を参照して、第2実施形態のRFIDシステムについて説明する。第2実施形態のRFIDシステムは、第1実施形態のRFIDシステムを部分的に変更したものであり、同一部分については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0047】
図7を参照して、RFIDシステム100のメインゲート10aにおいて、通路PWの上方である読取エリアDAを撮影するカメラ51が設けられている。
【0048】
カメラ51は、制御装置25に駆動されて通路PWの上方である読取エリアDAの撮影を行い、通路PWを通過する人物画像を画像処理によって抽出し、通路PWを人物が通過したか否かを判定する。つまり、カメラ51と制御装置25とは、読取エリアDAを通過する人を検知する人検知カメラモジュール50として機能する。RFIDシステム100は、RFIDリーダライタ21によるRFIDタグTGの通過判定と、人検知カメラモジュール50による通過検知とを組み合わせて判定を行う。
【0049】
第2実施形態のRFIDシステム100では、RFIDタグTGの通過判定と人検知カメラモジュール50の通過検知とを組み合わせて判定を行うので、人検知カメラモジュール50の通過検知を補助的に活用して判定の信頼性を高めることができる。
【0050】
[第3実施形態]
以下、図8を参照して、第3実施形態のRFIDシステムについて説明する。第3実施形態のRFIDシステムは、第1実施形態のRFIDシステムを部分的に変更したものであり、同一部分については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0051】
図8を参照して、RFIDシステム100のメインゲート10aにおいて、制御装置25には、データベース25uが組み込まれている。データベース25uは、RFIDリーダライタ21で読み取ったRFIDタグTGのID等に関する固有情報を上位システムへアクセスすることなく処理し、管理する。この場合、メインゲート10a等の本体のみで高速の認証が可能になり、上位管理装置30やサーバ70に対して認証に関する照会依頼処理を行う必要がなくなる。
【0052】
通常のRFIDシステム100では、認証に関して上位管理装置30が必須になっており、上位管理装置30を介して、サーバ70に認証に関するデータを照合する必要がある。RFIDリーダライタ21で読み取ったデータを、上位管理装置30を介してサーバ70に対して認証に関する照会依頼処理を行う際に、データ量が多い場合、照合に時間かかるという問題がある。また、このような処理を実現するため、上位管理装置30のソフトウェアを対応させる必要が生じ、上位管理装置30が複雑なものとなってしまう。これに対して、メインゲート10aの制御装置25にデータベース25uを組み込み、制御装置25に保持するデータを認証に必要な最小限のデータに絞ることにより、タグ読取時に上位システムへの照合なく、上位システムの負荷が非常に小さくなり、RFIDシステム100単独で照合を実現できる。
【0053】
なお、RFIDシステム100にデータベース25uを内蔵する手法としては、以下の2通りのケースが存在する。
(1)簡易データベースを内蔵するケース
簡易データベースには、必要最低限のデータが保存される。
(2)完全データベースを内蔵するケース
完全データベースには、文字通り上位システムのサーバにある元のデータベースと同等または元のデータベースに近いデータが保存される。なお、メインゲート10aに液晶ディスプレイを設けて読んだデータを表示させる場合、上記のような上位システムのサーバと同等のデータが必要となる。
【0054】
例えば、RFIDシステム100が図書館の貸出管理に使用される場合、簡易型のデータベース25uには、貸出処理が完了したデータのみを保存することにより、データがない書籍に付したRFIDタグTGに関してアラートを鳴らすシステムとなる。小売店に適用する場合、簡易型のデータベース25uには、購入された商品データのみ保存することにより、未登録のRFIDタグTGが付された商品に関してアラートを鳴らす。
【0055】
簡易型のデータベース25uに保存されるデータは、ホワイトリストデータ(発報させないデータ)に限らず、ブラックリストデータ(発報させるデータ)とすることができる。制御装置25に簡易型のデータベース25uを組み込む場合、認証に最低限必要なデータのみに絞ることで、データベース25uに保存されるデータ量を削減することができ、膨大なデータベースを検索する必要がなくなるため、制御装置25での処理を高速化することができる。
【0056】
以上で説明したデータベース25uは、図示による説明を省略するが、制御装置25ではなくRFIDリーダライタ21中に組み込むことができ、或いは制御装置25やRFIDリーダライタ21から独立した回路として組み込むことができる。
【0057】
図9に示すように、第1アンテナ部材A1(k)と第2アンテナ部材A2(k)とは、角度調整可能に設置することができる。第1アンテナ部材A1(k)を組付けた枠部材10faと第2アンテナ部材A2(k)を組付けた枠部材10fbとの間には、ヒンジ10hが設けられ、ヒンジ10hに付随して角度固定部材10kが設けられている。ヒンジ10h及び角度固定部材10kは、離反角度差αを調整する角度調整部材10xとして機能する。一対の枠部材10fa,10fbは、ケース10f内に収納されて角度変化が許容され、例えば実線で示す状態や点線で示す状態とすることができる。これにより、一対の指向性方向D1,D2を調整することができ、離反角度差αを増減調整することができる。なお、離反角度差αを調整することで、図3(B)に示す検出ピークPK1,PK2間の時間差つまり分離を調整することができる。
【0058】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。RFIDシステム100は、例えば図書館において、蔵書の持ち出し等の管理を可能にするが、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0059】
A1(k)…第1アンテナ部材、A2(k)…第2アンテナ部材、D1,D2…指向性方向、DA…読取エリア、OB…対象、P1,P2…信号強度、P1max,P2max…ピーク値、P1S,P2S…尖度、P1T,P2T…発生時刻、PK1,PK2…検出ピーク、PW…通路、PD…通過方向、S(k)…アンテナセット、SD…感度分離距離、TG…RFIDタグ、XP…クロスポイント、α…離反角度差、θ…半値角、10…ゲート装置、10a…メインゲート、10b…サブゲート、10f…ケース、10fa,10fb…枠部材、10h…ヒンジ、10k…角度固定部材、10x…角度調整部材、20…上位管理装置、21…RFIDリーダライタ、21a…制御回路、22…コントローラ、23…RFIDアンテナ、24…アンテナ切替器、25…制御装置、25u…データベース、27,28…人検知赤外線モジュール、27a,28a…赤外線光源、27b,28b…赤外線センサ、29…警報器、30…上位管理装置、50…人検知カメラモジュール、51…カメラ、70…サーバ、100…RFIDシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9