(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104520
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】電子ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240729BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20240729BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240729BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H02G3/08 080
H05K7/14 C
H01R13/52 301H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008776
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】高村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】手塚 優太
(72)【発明者】
【氏名】岸端 裕矢
【テーマコード(参考)】
4E360
5E087
5E348
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360AB12
4E360AB33
4E360BA01
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA11
4E360EA24
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED28
4E360GA08
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA43
4E360GA47
4E360GA53
4E360GB97
4E360GC04
4E360GC08
5E087EE02
5E087LL04
5E087LL12
5E087RR13
5E087RR25
5E348AA03
5E348AA07
5E348AA31
5E348AA32
5E348AA40
5G361AA06
5G361AB09
5G361AC01
5G361AC03
5G361AC13
5G361AD01
(57)【要約】
【課題】ケースとコネクタとの隙間を少なくでき、容易に組み立てられる電子ユニットを提供する。
【解決手段】電子ユニット1は、基板2と、基板2に取り付けられたコネクタ3と、基板2及びコネクタ3を収容したケース7と、コネクタ3の外周面31aに装着された環状のパッキン6と、を備えている。コネクタ3のフランジ部32を含む前端部は、ケース7に設けられた開口部70を通されてケース7外に位置している。パッキン6は、コネクタ3と開口部70との隙間に位置している。パッキン6は、コネクタ3の外周面31aに密着した第1の面61と、フランジ部32に密着した第2の面62と、外周面31aに対して傾斜した傾斜面60と、を有した断面三角形状に形成されており、傾斜面60が開口部70の縁45a,52aに当接している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に取り付けられたコネクタと、前記基板及び前記コネクタを収容したケースと、前記コネクタの外周面に装着された環状のパッキンと、を備え、
前記コネクタの前端部は、前記ケースに設けられた開口部を通されて前記ケース外に位置しており、
前記パッキンは、前記コネクタと前記開口部との隙間に位置しており、
前記パッキンは、前記外周面に対して傾斜した傾斜面を有し、当該傾斜面が前記開口部の縁に当接している
ことを特徴とする電子ユニット。
【請求項2】
前記コネクタの前端部には、前記外周面から突出したフランジ部が設けられており、
前記パッキンは、前記外周面に密着した第1の面と、前記フランジ部に密着した第2の面と、前記傾斜面と、を有した断面三角形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板に取り付けられたコネクタと、これらを収容したケースと、を備えた電子ユニットが知られている。コネクタの前端部は、ケースに設けられた開口部を通されてケース外に位置しており、このコネクタにワイヤハーネスのコネクタなどが接続される。
【0003】
上記電子ユニットにおいては、ケースの開口部とコネクタとの間に隙間が生じるように設計されている。この隙間寸法の設定が少ない場合、各部品の寸法バラツキや組付けのバラツキにより、ケースとコネクタが干渉して組付け性が悪くなったり破損に繋がったりするおそれがある。一方、前述したバラツキによりケースの開口部とコネクタの間の隙間が大きくなると、塵等が入ったり、盗難目的で治具が挿入されることもあるため、隙間は少ないほうが好ましい。
【0004】
なお、特許文献1には、ケースの開口部に導電体が挿通された電子ユニットにおいて、開口部と導電体との間の隙間に止水剤を注入して開口部を封止する技術が記載されている。当該技術を用いることで、防塵や盗難目的の治具挿入を防止することは可能になるが、電子ユニットが故障した際に修理できないといった問題や、止水剤を注入し、硬化させるための設備が必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ケースとコネクタとの隙間を少なくでき、容易に組み立てられる電子ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板と、前記基板に取り付けられたコネクタと、前記基板及び前記コネクタを収容したケースと、前記コネクタの外周面に装着された環状のパッキンと、を備え、前記コネクタの前端部は、前記ケースに設けられた開口部を通されて前記ケース外に位置しており、前記パッキンは、前記コネクタと前記開口部との隙間に位置しており、前記パッキンは、前記外周面に対して傾斜した傾斜面を有し、当該傾斜面が前記開口部の縁に当接していることを特徴とする電子ユニットである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースとコネクタとの隙間を少なくでき、容易に組み立てられる電子ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる電子ユニットの斜視図である。
【
図3】
図1の電子ユニットの分解図であり、
図2と別の角度から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態にかかる「電子ユニット」について、
図1~10を参照して説明する。
【0011】
図1~3,7~10に示すように、電子ユニット1は、基板2と、基板2に取り付けられたコネクタ3と、基板2及びコネクタ3を収容したケース7と、コネクタ3の外周面31aに装着された環状のパッキン6と、を備えている。
【0012】
基板2はプリント基板であり、コネクタ3は基板2に表面実装されている。また、本例では、2つのコネクタ3が基板2に実装されている。
【0013】
コネクタ3は、複数の端子39と、これら複数の端子39を保持した合成樹脂製のハウジング30と、を備えている。ハウジング30は、一方向に開口した箱状のハウジング本体31と、ハウジング本体31の外周面31aかつ前端部から突出したフランジ部32と、を備えている。コネクタ3のフランジ部32を含む前端部は、ケース7に設けられた開口部70を通されてケース7外に位置している。このコネクタ3にワイヤハーネスのコネクタ(以下、相手コネクタと呼称する)などが接続される。
【0014】
本明細書においては、コネクタ3に関して、相手コネクタとの嵌合方向における相手コネクタに近い側を前とし、嵌合方向における相手コネクタから離れた側を後ろとしている。また、基板2に重ねられる側を下とし、基板2から離れた側を上としている。
【0015】
ケース7は、箱状のケース本体4と、板状のカバー5と、が互いに組付けられて構成されている。本明細書においては、ケース7に関して、ケース本体4の後述する天井壁40側を上とし、カバー5側を下としている。
【0016】
ケース本体4は、アルミダイカストにより得られるものであり、矩形状の天井壁40と、側壁41,42,43,44と、天井壁40の内面からカバー5側に突出したガイドピン46等を備えている。一の側壁41には、開口部70を構成する矩形状の切欠き45が形成されている。
【0017】
切欠き45は、
図4に示すように、側壁41の下端から天井壁40側に延びた一対の端面45c,45dと、一対の端面45c,45dに交差した端面45bと、を有している。また、一対の端面45c,45dには、ダイカスト時に離型を容易にするための抜き勾配θが付けられている。よって、切欠き45は、正確には台形状とされている。
【0018】
カバー5は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものであり、天井壁40と対向する板部51と、板部51の端から曲げ起こされた立ち上がり部52と、を備えている。ケース本体4とカバー5が組付けられた状態で、立ち上がり部52は、切欠き45内に位置して開口部70を構成する。立ち上がり部52の上端面は、一対の端面45c,45dと交差しており、端面45bと対向している。
【0019】
パッキン6は、ゴム製である。パッキン6は、ハウジング本体31の外周面31aかつフランジ部32の背面に装着されており、電子ユニット1の完成状態においてコネクタ3と開口部70との隙間に位置している。パッキン6は、
図5,6,8~10に示すように、ハウジング本体31の外周面31aに密着した第1の面61と、フランジ部32の背面に密着した第2の面62と、外周面31aに対して傾斜した傾斜面60と、を有した断面三角形状に形成されている。正確には、第1の面61と傾斜面60とが交わる角部を落とし、第2の面62に潰し代を設けているため、断面形状が略三角形状となっている。
【0020】
電子ユニット1の組立て順序は、パッキン6をコネクタ3に取り付け、コネクタ3を基板2にはんだ実装し、ケース本体4のガイドピン46を基板2の基準穴26に挿入して位置決めし、カバー5を被せて該カバー5とケース本体4とをネジ等で固定する。
【0021】
電子ユニット1の完成状態においてパッキン6の傾斜面60は、開口部70の縁45a,52aに当接している。開口部70の縁45aとは、
図8に示すように、切欠き45のケース本体4外表面側のエッジ部分(角部)を意味する。開口部70の縁52aとは、
図8に示すように、立ち上がり部52の上端かつ外表面側のエッジ部分(角部)を意味する。
【0022】
また、上述した切欠き45の抜き勾配θにより、開口部70の上部においては縁45aがパッキン6の傾斜面60に食い込んでおり(
図8参照)、開口部70の下部においては縁45aが傾斜面60に非接触となっている(
図10参照)。
【0023】
電子ユニット1は、各部品の寸法バラツキの他、上述した切欠き45の抜き勾配θがあり、コネクタ3を基板2に実装する際のバラツキがあり、立ち上がり部52を板部51の端から曲げ起こす際のバラツキなどが存在する。これらバラツキを傾斜面60が付いたパッキン6によって吸収することができる。このようにパッキン6は、止水を目的とするものではなく、ケース7とコネクタ3との隙間を少なくするためのものである。ケース7とコネクタ3との隙間が少なくなることで、防塵や盗難目的の治具挿入を防止することができる。また、止水剤ではなくパッキン6を用いることで、電子ユニット1を容易に組み立てることができ、電子ユニット1の故障の際は、修理が可能である。
【0024】
また、パッキン6は、傾斜面60を有しているので、開口部70の縁45a,52aが食い込んで弾性変形する際、ケース7の外表面に沿って開口部70の外方に肉が逃げるとともにハウジング本体31の外周面31aに沿ってコネクタ3の後方に肉が逃げる。このように、パッキン6の逃げ代が2方向に確保されているので、電子ユニット1の組立性を向上させることができる。
【0025】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0026】
1 電子ユニット
2 基板
3 コネクタ
4 ケース本体
5 カバー
6 パッキン
7 ケース
31 ハウジング本体
31a 外周面
32 フランジ部
60 傾斜面
61 第1の面
62 第2の面
70 開口部