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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104526
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】壁用役物、および目地構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008788
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 智弘
(72)【発明者】
【氏名】田井 信博
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA14
2E110AA41
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA03
2E110BA12
2E110BB22
2E110DA03
2E110DD12
2E110EA04
2E110EA05
2E110EA06
2E110GA24Z
2E110GB01Z
2E110GB02W
2E110GB02Z
2E110GB03W
2E110GB03Z
2E110GB05Z
2E110GB06W
2E110GB06X
2E110GB06Z
2E110GB07Z
2E110GB42Z
2E110GB46Z
2E110GB48Z
2E110GB54Z
(57)【要約】
【課題】壁用役物および壁の目地構造において、壁全体の意匠性の向上、目地部の防水性の向上、および施工性の向上を図る。
【解決手段】壁基部に固定されるベース材と、壁基部に支持される壁パネルの端面相互の間隙を覆うカバー材とを備え、ベース材は、第1裏支持片と、第2裏支持片と、係合溝とを有し、カバー材は、第1カバー部と、第2カバー部と、第1カバー部および第2カバー部相互間に設けられ、間隙に没入した状態で介装される中央カバー部と、中央カバー部の内側面に設けられ、係合溝に挿入係合される係合片とを有し、係合片は、中央カバー部の内側面に沿ってカバー長さ方向に延設され、且つベース材側に向かって突出形成される脚部と、脚部の先端部に設けられ、係合溝に係合される爪部とを有し、係合溝は、脚部を挿入可能な開口部と、開口部の内側縁に沿って突設され、爪部を係合保持する係合突起とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁の目地部に設けられる壁用役物であって、壁基部に固定されるベース材と、前記壁基部に支持される一対の壁パネルの突き合わせ端面相互の間隙を覆うカバー材と、を備え、
前記ベース材は、前記壁パネルのうち第1壁パネルと前記壁基部との間に設けられる第1裏支持片と、前記壁パネルのうち第2壁パネルと前記壁基部との間に設けられる第2裏支持片と、前記第1裏支持片および前記第2裏支持片相互間に設けられ、前記カバー材を係合保持する係合溝と、を有し、
前記カバー材は、前記第1壁パネルの外側面に沿って配される第1カバー部と、前記第2壁パネルの外側面に沿って配される第2カバー部と、前記第1カバー部および前記第2カバー部相互間に設けられ、前記間隙に没入した状態で介装される中央カバー部と、前記中央カバー部の内側面に設けられ、前記係合溝に挿入係合される係合片と、を有し、
前記係合片は、前記中央カバー部の内側面に沿ってカバー長さ方向に延設され、且つ前記ベース材側に向かって突出形成される脚部と、前記脚部の先端部に設けられ、前記ベース材の前記係合溝に係合される爪部と、を有し、
前記係合溝は、前記脚部を挿入可能な開口部と、前記開口部の内側縁に沿って突設され、前記爪部を係合保持する係合突起と、を有する、壁用役物。
【請求項2】
前記中央カバー部は、前記第1カバー部および前記第2カバー部のカバー幅方向中央側の端縁からそれぞれ前記ベース材側に向かって延設される第1側面部および第2側面部と、前記第1側面部および前記第2側面部相互間に延在し、前記第1カバー部および前記第2カバー部に対して前記ベース材側へ段差をもって配置される段差面部と、を有する、請求項1に記載の壁用役物。
【請求項3】
前記段差の段差深さは、前記壁パネルの外側面に形成された凹凸柄の柄深さよりも小さいことを特徴とする、請求項2に記載の壁用役物。
【請求項4】
前記カバー材は、前記第1壁パネルおよび前記第2壁パネルに対してそれぞれ水密状態で当接する水密材を有し、
前記水密材は、前記第1カバー部と前記第1側面部とが成す第1角部の前記第1壁パネル側の角面、および前記第2カバー部と前記第2側面部とが成す第2角部の前記第2壁パネル側の角面に沿ってそれぞれ、カバー長さ方向に延設されている、請求項2又は3に記載の壁用役物。
【請求項5】
建物の壁の目地構造であって、
隣接して並ぶ第1壁パネルおよび第2壁パネルと、当該各壁パネルを支持する壁基部と、前記第1壁パネルおよび前記第2壁パネルの突き合わせ端面相互の間隙に沿って装着される壁用役物と、を備え、
前記壁用役物は、前記壁基部に固定されるベース材と、前記間隙を前記各壁パネルの外側面側から覆うカバー材と、を備え、
前記ベース材は、前記カバー材を係合保持する係合溝と、前記係合溝の溝枠部からカバー幅方向外側双方に延出する第1裏支持片および第2裏支持片と、を有し、前記第1裏支持片が前記第1壁パネルと前記壁基部との間に配され、且つ前記第2裏支持片が前記第2壁パネルと前記壁基部との間に配された状態で、前記壁基部に固定され、
前記カバー材は、中央カバー部と、前記中央カバー部の内側面に設けられ、前記係合溝に挿入係合される係合片と、前記中央カバー部の側面部からカバー幅方向外側双方に延出する第1カバー部および第2カバー部と、を有し、前記中央カバー部が前記間隙に没入した状態で介装されると共に、前記第1カバー部が前記第1壁パネルの外側面に沿って配され、且つ前記第2カバー部が前記第2壁パネルの外側面に沿って配された状態で、前記ベ
ース材に固定されることを特徴とする、目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁の目地部に設けられる壁用役物、および壁の目地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅や商業施設などの建物の壁に壁パネルを施工する場合に、隣り合う2つの壁パネル間の目地部に沿って取り付けられる壁用役物が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の壁用役物は、目地材と、目地材保持具とからなり、目地材に目地材保持具を装着し、壁パネル間の目地部にその外側から嵌め込むことによって取り付けられる。詳しくは、目地材は、壁パネル相互の間隙(目地幅)より広幅の略平板状の目地蓋部と、目地蓋部の内側中央に沿って突設される細幅板状の挿入部と、を有している。一方、目地材保持具は、断面U字状の嵌着部と、嵌着部の基端部(円弧部)から目地幅方向外側に突設される一対の保持部と、を有しており、嵌着部に目地材の挿入部を嵌挿させることによって、目地材に連結される。目地材は、この状態で目地材保持具を壁パネル相互の間隙に押し込み、壁パネルの内側に係合させることによって固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-9620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の壁用役物は、目地蓋部が間隙より広幅の平板状に形成されているため、上記のように目地部に取り付けられたときの目地材の存在感が大きく、壁全体としての意匠性を損なう問題がある。また、目地材にねじれや曲げ応力が加わった場合に、目地蓋部に変形や歪みが生じ易く、壁全体の意匠性がより損なわれる虞があるし、その変形や歪みの度合によっては上記間隙を水密状態で封止できなくなる虞もある。
【0006】
さらに、特許文献1の壁用役物のように、目地蓋部が凹凸のない平面状に形成されていると、施工作業者は、目地材の内側に設けられた係合部(目地材保持具)の位置を目地蓋部の外側から正確に認識できないため、目地材を間隙に指で押して嵌め込む際に、その押し込み方向がずれ易く、円滑に施工できない問題もあった。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、建物の壁の目地部に設けられる壁用役物、および壁の目地構造において、壁全体の意匠性の向上、目地部の防水性の向上、および施工性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の壁用役物および壁の目地構造は、以下の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明は、建物の壁の目地部に設けられる壁用役物であって、壁基部に固定されるベース材と、前記壁基部に支持される一対の壁パネルの突き合わせ端面相互の間隙を覆うカバー材と、を備え、前記ベース材は、前記壁パネルのうち第1壁パネルと前記壁基部との間に設けられる第1裏支持片と、前記壁パネルのうち第2壁パネルと前記壁基部との間に設けられる第2裏支持片と、前記第1裏支持片および前記第2裏支持片相互間に設けられ、
前記カバー材を係合保持する係合溝と、を有し、前記カバー材は、前記第1壁パネルの外側面に沿って配される第1カバー部と、前記第2壁パネルの外側面に沿って配される第2カバー部と、前記第1カバー部および前記第2カバー部相互間に設けられ、前記間隙に没入した状態で介装される中央カバー部と、前記中央カバー部の内側面に設けられ、前記係合溝に挿入係合される係合片と、を有し、前記係合片は、前記中央カバー部の内側面に沿ってカバー長さ方向に延設され、且つ前記ベース材側に向かって突出形成される脚部と、前記脚部の先端部に設けられ、前記ベース材の前記係合溝に係合される爪部と、を有し、前記係合溝は、前記脚部を挿入可能な開口部と、前記開口部の内側縁に沿って突設され、前記爪部を係合保持する係合突起と、を有していることを特徴とする。
【0010】
前記中央カバー部は、前記第1カバー部および前記第2カバー部のカバー幅方向中央側の端縁からそれぞれ前記ベース材側に向かって延設される第1側面部および第2側面部と、前記第1側面部および前記第2側面部相互間に延在し、前記第1カバー部および前記第2カバー部に対して前記ベース材側へ段差をもって配置される段差面部と、を有してもよい。
【0011】
前記段差の段差深さは、前記壁パネルの外側面に形成された凹凸柄の柄深さよりも小さく設定されてもよい。
【0012】
前記カバー材は、前記第1壁パネルおよび前記第2壁パネルに対してそれぞれ水密状態で当接する水密材を有し、前記水密材は、前記第1カバー部と前記第1側面部とが成す第1角部の前記第1壁パネル側の角面、および前記第2カバー部と前記第2側面部とが成す第2角部の前記第2壁パネル側の角面に沿ってそれぞれ、カバー長さ方向に延設されてもよい。
【0013】
本発明は、建物の壁の目地構造であって、隣接して並ぶ第1壁パネルおよび第2壁パネルと、当該各壁パネルを支持する壁基部と、前記第1壁パネルおよび前記第2壁パネルの突き合わせ端面相互の間隙に沿って装着される壁用役物と、を備え、前記壁用役物は、前記壁基部に固定されるベース材と、前記間隙を前記各壁パネルの外側面側から覆うカバー材と、を備え、前記ベース材は、前記カバー材を係合保持する係合溝と、前記係合溝の溝枠部からカバー幅方向外側双方に延出する第1裏支持片および第2裏支持片と、を有し、前記第1裏支持片が前記第1壁パネルと前記壁基部との間に配され、且つ前記第2裏支持片が前記第2壁パネルと前記壁基部との間に配された状態で、前記壁基部に固定され、前記カバー材は、中央カバー部と、前記中央カバー部の内側面に設けられ、前記係合溝に挿入係合される係合片と、前記中央カバー部の側面部からカバー幅方向外側双方に延出する第1カバー部および第2カバー部と、を有し、前記中央カバー部が前記間隙に没入した状態で介装されると共に、前記第1カバー部が前記第1壁パネルの外側面に沿って配され、且つ前記第2カバー部が前記第2壁パネルの外側面に沿って配された状態で、前記ベース材に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の壁用役物、および目地構造によれば、カバー材の存在感を小さくできると共に、カバー材の変形や歪みも生じ難く、また、カバー材をベース材に指で押して嵌め込む際の押し込み方向のずれも防止できるから、壁全体の意匠性、目地部の防水性、および施工性が併せて向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の目地構造を示す一部分解斜視図1である。
図2】実施形態の目地構造を示す一部分解斜視図2である。
図3】実施形態の壁用役物の施工途中の状態を示す下方視断面図である。
図4】実施形態の壁用役物の施工状態を示す下方視断面図である。
図5】カバー材の下方視図である。
図6】カバー材の後方視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る壁用役物、および目地構造を図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0017】
図1図4は、戸建て住宅や商業施設などの建物における壁の目地部S周辺の概略構成図である。図1図4に示すように、本実施形態の目地構造は、壁用役物1と、壁基部2と、外装パネル(壁パネル)3A,3Bと、を備えている。
【0018】
壁基部2は、柱や胴縁等が一般的であるが、本実施形態においては、壁の図示しない柱や既設壁等に固定される胴縁であって、上記柱の外側面に沿って配置されている。なお、本実施形態では、壁基部2における上記柱と反対側の面を壁基部2の外側面5として、壁基部2の外側面5に直交する方向(図1図4の矢視X1,X2方向)を前後方向、壁基部2の幅方向(図1図4の矢視Y1,Y2方向)を左右方向、壁基部2の長さ方向(図1図4の矢視Z1,Z2方向)を上下方向とする。
【0019】
外装パネル3A,3Bは、表面がアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板やステンレス板等の金属板により構成され、且つ裏面にポリイソシアヌレートフォームやポリウレタン等の発泡断熱材が着設され、さらにその発泡断熱材を裏面側からアルミニウム箔等で被覆して一体的に形成された金属サイディングであり、一方向に長い略平板状に形成されている。本実施形態の外装パネル3A,3Bは、長手方向の寸法が通常8000mm程度まで設定されている。
【0020】
図示しないが、外装パネル3A,3Bは、その長手方向を水平方向と一致させた横向きで壁基部2の外側面5に、上下左右に複数並べて支持固定されている。即ち、外装パネル3A,3Bは、壁基部2に対して横張りで施工されている。
【0021】
なお、外装パネル3A,3Bは、セメントや繊維質材料等からなる窯業系サイディング、樹脂や繊維質材料等からなる樹脂系サイディング、木質系サイディング等により構成されてもよい。即ち、本発明に係る壁用役物1、および目地構造は、外装パネル3A,3Bが金属サイディングにより構成された壁にのみ適用されるものではない。また、本発明に係る壁用役物1、および目地構造は、外装パネル3A,3Bが横張りで施工された壁にのみ適用されるものでもない。
【0022】
外装パネル3A,3Bの多くは、外側面6に波型、山型、段差等の凹凸柄7が形成されている。本実施形態の外装パネル3A,3Bは、凹凸柄7の柄深さH1が0.2mm~7.0mm程度に形成されている。
【0023】
外装パネル3A,3Bは、壁基部2の外側面5に、端面8相互を突き合せた状態で配されている。図3図4に示すように、外装パネル3A,3Bは、壁基部2の左右間中央を通る基準線L1を挟んで左右に並んで配されており、その突き合わせ端面8相互間には、所定の間隙9が画成されている。壁用役物1は、外装パネル3A,3Bの突き合わせ端面8相互の間隙9に沿って装着される。
【0024】
このように、本実施形態の目地構造は、左右に隣接して並ぶ一対の外装パネル3A,3Bと、これら各外装パネル3A,3Bを支持する壁基部2と、外装パネル3A,3Bの突
き合わせ端面(パネル端面)8相互の間隙9に沿って装着される壁用役物1と、を備えている。
【0025】
図1図4に示すように、壁用役物1は、壁の目地部Sに施工される外装部材であり、ベース材11と、カバー材12と、を備えている。ベース材11は、一方向に長い金属製薄板を折り曲げ加工等によって異形断面に形成された板材であり、その長手方向を壁基部2の延在方向(上下方向)と一致させた縦向きで壁基部2の外側面5に固定される。本実施形態のベース材11は、長手方向の寸法が通常8000mm程度まで設定されている。なお、ベース材11は、壁基部2の長さに応じて複数縦並びで施工される。またその際、一のベース材11を壁基部2の長さに合わせて短手方向に切断して用いてもよい。
【0026】
ベース材11は、好ましくは、金属板により形成される。また、その金属板には、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板等の一種が用いられる。また、ベース材11は、折り曲げ加工に限らず、ロール成形やプレス成形、押出成形、切り欠き加工等によって形成されてもよい。さらに、ベース材11は、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等の合成樹脂材料により形成されてもよい。
【0027】
図3図5に示すように、ベース材11は、基準線L1を中心とする左右対称形状に形成されている。また、ベース材11は、第1裏支持片21Aと、第2裏支持片21Bと、溝枠部22とを有しており、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bをそれぞれ壁基部2の外側面5に重ねて固定させることにより、壁基部2に沿って配設される。なお、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bは、後述するように固定釘Nによって壁基部2に固定されてもよいし、タッピングネジやタッカー針等によって壁基部2に固定されてもよいし、その他一般的な固定方法によって壁基部2に固定されてもよい。
【0028】
第1裏支持片21Aは、溝枠部22の前縁部から左方に向かって折曲形成されている。第2裏支持片21Bは、基準線L1を中心として第1裏支持片21Aと対称に、溝枠部22の前縁部から右方に向かって折曲形成されている。即ち、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bは、ベース材11の前部に、壁基部2の外側面5に面合わせの状態で当接可能な略平板状の取付部を構成している。
【0029】
第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bはそれぞれ、壁基部2の外側面5に面合わせの状態で配置され、且つ固定釘Nにより固定される。なお、第1外装パネル3Aは、第1裏支持片21Aにその外側面23側から対面して配置される。即ち、第1裏支持片21Aは、壁基部2と第1外装パネル3Aとの間にて固定される。一方、第2外装パネル3Bは、第2裏支持片21Bにその外側面23側から対面して配置される。即ち、第2裏支持片21Bは、壁基部2と第2外装パネル3Bとの間にて固定される。
【0030】
第1裏支持片21Aの先端縁部(左縁部)、および第2裏支持片21Bの先端縁部(右縁部)にはそれぞれ、折り返し部24が形成されている。第1裏支持片21A側の折り返し部24は、第1裏支持片21Aの先端縁部から外側面23側へ右後方(左右間中央後方)に向かって折曲形成されている。第2裏支持片21B側の折り返し部24は、第2裏支持片21Bの先端縁部から外側面23側へ左後方(左右間中央後方)に向かって折曲形成されている。
【0031】
第1裏支持片21Aの外側面23、および第2裏支持片21Bの外側面23にはそれぞれ、リブ25が突設されている。リブ25は、断面略V字状に折曲形成された突起であり、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bの短手側端面相互間に亘って形成されている。また、リブ25は、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bの短手方向(左右方向)に所定の間隔を存して複数(ここでは、それぞれ2つ)並設されている。第1裏
支持片21Aおよび第2裏支持片21Bは、これらリブ25によって所定の曲げ強度が確保されると共に、外装パネル3A,3Bの内側への雨水の浸入を抑制することができる。なお、本実施形態においては、固定釘Nは、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bにおけるリブ25相互間の平面部にて壁基部2に打ち込まれるが、当該固定釘Nの打ち込み位置は、上記平面部に限定されるものではない。
【0032】
溝枠部22は、略M字状に折曲形成されている。詳しくは、溝枠部22は、基準線L1を中心とする左右対称な断面略M字状に形成されており、その左面部を構成する左外枠部22Aと、右面部を構成する右外枠部22Bと、左右間中央の凹没面部を構成する内枠部22Cとを有している。
【0033】
左外枠部22Aは、基準線L1の左側において第1裏支持片21Aの右縁部から後方に向かって延設されている。右外枠部22Bは、基準線L1の右側において第2裏支持片21Bの左縁部から後方に向かって延設されている。
【0034】
内枠部22Cは、左外枠部22Aおよび右外枠部22Bの後縁部相互から前方に向かって略U字状に折曲形成されており、この内枠部22Cの内側凹没部がカバー材12を係合保持可能な係合溝26となる。即ち、内枠部22Cが係合溝26の外郭を構成している。
【0035】
内枠部22Cは、後方に開口している。即ち、係合溝26は、後方に開口部27を有している。内枠部22Cの底面部(溝底部)28は、基準線L1に直交する平面状に形成されている。また、溝底部28は、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bと同一平面上に設けられており、ベース材11が壁基部2に固定されたとき、壁基部2の外側面5に面合わせの状態で配置される。これにより、カバー材12をベース材11に嵌め込む際に、内枠部22Cが前方(押し込み方向)へ位置ずれし難い。また、内枠部22Cの溝側部29が係合溝26の内側(左右間中央側)へ過剰に撓んで、開口部27の開口幅が狭くなるのも防止できる。よって、安定して施工できる。
【0036】
内枠部22Cの左右の溝側部(開口部27の内側縁)29にはそれぞれ、係合突起30が設けられている。左側の溝側部29の係合突起30は、左外枠部22Aの後縁部から右前方(係合溝26の左右間中央側)に向かって斜めに突出形成されている。右側の溝側部29に設けられた係合突起30は、右外枠部22Bの後縁部から左前方(係合溝26の左右間中央側)に向かって斜めに突出形成されている。係合突起30は、溝底部28に対面する爪係合面30Fを有している。
【0037】
爪係合面30Fは、左右の溝側部29から係合溝26の左右間中央側前方に向かって緩やかに傾斜する傾斜面に形成されている。なお、爪係合面30Fは、左右の溝側部29から係合溝26の左右間中央側へ溝底部28と略平行な面に形成されたものとしてもよい。
【0038】
上記のように、係合突起30は、内枠部22Cの左右の溝側部29に突出形成されている。また、内枠部22Cの左右の溝側部29はそれぞれ、前縁部が溝底部28の左右縁部に連設され、且つ後縁部が左外枠部22Aおよび右外枠部22Bに連設されている。また、左外枠部22Aおよび右外枠部22Bはそれぞれ、前縁部にて第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bに連設されている。即ち、内枠部22C、係合突起30、左外枠部22A、右外枠部22B、第1裏支持片21A、および第2裏支持片21Bは、一の板材によって一体的に形成されている。
【0039】
図3図6に示すように、カバー材12は、一方向に長い金属製薄板を折り曲げ加工等によって異形断面に形成された板材であり、長手方向を壁基部2の延在方向(上下方向)と一致させた縦向きでベース材11に係合固定される。なお、カバー材12は、外装パネ
ル3A,3B相互の間隙9の長さに応じて複数縦並びで施工される。またその際、一のカバー材12を間隙9の長さに合わせて短手方向に切断して用いてもよい。
【0040】
カバー材12は、好ましくは、金属板により形成される。また、その金属板には、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板等の一種が用いられる。さらに好適には、カバー材12は、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板にマグネシウムによる防錆効果を付与した鋼板が用いられる。なお、カバー材12は、外壁の外観を考慮して、外装パネル3A,3Bの表面の金属板と同一素材で構成されるのが好ましい。また、カバー材12は、折り曲げ加工に限らず、ロール成形やプレス成形、押出成形、切り欠き加工等によって形成されてもよい。さらに、カバー材12は、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等の合成樹脂材料により形成されてもよい。
【0041】
カバー材12は、基準線L1を中心とする左右対称形状に形成されている。また、カバー材12は、第1カバー部31Aと、第2カバー部31Bと、中央カバー部31Cと、係合片32とを有しており、係合片32をベース材11の係合溝26に係合させることにより、間隙9を外装パネル3A,3Bの外側面6側から覆うように間隙9に沿って配設される。
【0042】
図6に示すように、カバー材12の短手側の端部のうち、上端部には差込片33が設けられ、下端部には切欠部34が設けられている。図1に示すように、カバー材12を複数縦並びで施工する際、下側に配されるカバー材12は、上側に配されるカバー材12の切欠部34に差込片33を嵌挿させる。これにより、上下のカバー材12は、上下方向に連結した状態で施工される。
【0043】
図3図6に示すように、第1カバー部31Aの内側面35、および第2カバー部31Bの内側面35にはそれぞれ、水密材36が貼設されている。水密材36は、エチレンプロピレンジエンゴム発泡体、ポリプロピレン発泡体、エチレンプロピレンゴム発泡体、発泡ウレタン樹脂、シリコン系樹脂等の弾性および防水性の高い材料によって形成された断面略矩形状の帯体であり、図5に示すように、第1カバー部31Aと中央カバー部31Cの第1側面部43Aとが成す第1角部45Aの第1外装パネル3A側の角面37、および第2カバー部31Bと中央カバー部31Cの第2側面部43Bとが成す第2角部45Bの第2外装パネル3B側の角面37に沿ってそれぞれ、カバー材12の長さ方向(上下方向)に延設されている(図6参照)。
【0044】
これにより、カバー材12をベース材11に取り付けたとき、水密材36は、外装パネル3A,3Bの外側面6およびパネル端面8にそれぞれ密接される。即ち、水密材36は、カバー部31A,31B、中央カバー部31Cの側面部43A,43B、外装パネル3A,3Bの外側面6、およびパネル端面8の4面に対して水密状態で接触する(図4参照)。よって、間隙9から壁内部への雨水の浸入を防止する効果をより高めることができる。
【0045】
図5に示すように、第1カバー部31Aは、中央カバー部31Cの第1側面部43Aの後縁部から左方に向かって折曲形成されている。第2カバー部31Bは、基準線L1を中心として第1カバー部31Aと対称に、中央カバー部31Cの第2側面部43Bの後縁部から右方に向かって折曲形成されている。即ち、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bは、カバー材12の後部に、第1外装パネル3Aおよび第2外装パネル3Bの外側面6に面合わせの状態で当接可能な2つの細幅略平板状のカバー部を構成している。
【0046】
本実施形態の第1カバー部31Aは、中央カバー部31Cの左後縁部から左方に向かっ
て延設される外側表面部41と、外側表面部41の左縁部で折り返されて、外側表面部41の内側(前側)に対面して配される内側表面部42と、を有している。同様に、第2カバー部31Bは、中央カバー部31Cの右後縁部から右方に向かって延設される外側表面部41と、外側表面部41の右縁部で折り返されて、外側表面部41の内側(前側)に対面して配される内側表面部42と、を有している。このように、カバー部31A,31Bは、板体を内側に折り返して二重板状に形成されている。なお、本実施形態のカバー部31A,31Bの外側表面部41は、平坦に形成されているが、外装パネル3A,3Bの外側面6に凹凸柄7が形成されている場合等は、当該凹凸柄7と同様の凹凸柄が上記外側表面部41に形成されてもよい。
【0047】
中央カバー部31Cは、略U字状に折曲形成されている。詳しくは、中央カバー部31Cは、基準線L1を中心とする左右対称な断面略矩形U字状に形成されており、その左面部を構成する第1側面部43Aと、右面部を構成する第2側面部43Bと、左右間中央の凹没面部を構成する段差面部44と、を有している。
【0048】
第1側面部43Aは、基準線L1の左側において第1カバー部31Aのカバー幅方向中央側の端縁(第1角部)45Aから前方(ベース材11側)に向かって延設されている。第2側面部43Bは、基準線L1の右側において第2カバー部31Bのカバー幅方向中央側の端縁(第2角部)45Bから前方(ベース材11側)に向かって延設されている。段差面部44は、第1側面部43Aの前縁部46Aと第2側面部43Bの前縁部46Bとの間に延在し、カバー部31A,31Bに対して前方(ベース材11側)へ段差をもって配置されている。このように、中央カバー部31Cは、カバー材12の後部中央に略矩形状の凹没面部を構成している。
【0049】
本実施形態では、カバー部31A,31Bと段差面部44とが成す段差の段差深さH2、即ち、中央カバー部31Cの段差深さH2は、外装パネル3A,3Bの外側面6に形成された凹凸柄7の柄深さH1と略同一、或いは上記柄深さH1よりも大きく設定されている。
【0050】
本実施形態の第1側面部43Aは、第1カバー部31Aの外側表面部41と段差面部44とを繋ぐ段差内側面部47と、第1カバー部31Aの内側表面部42と係合片32(連結部51)とを繋ぐ段差外側面部48と、を有している。同様に、第2側面部43Bは、第2カバー部31Bの外側表面部41と段差面部44とを繋ぐ段差内側面部47と、第2カバー部31Bの内側表面部42と係合片32(連結部51)とを繋ぐ段差外側面部48と、を有している。即ち、第1側面部43Aおよび第2側面部43Bは、板体を内外に重ねた二重板状に形成されている。
【0051】
上記のとおり、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bはそれぞれ、中央カバー部31Cの左右の後縁部に連設されており、これら第1カバー部31A、第2カバー部31B、および中央カバー部31Cによって、中央部が略矩形状に凹没する二段形状のカバー部を構成している。
【0052】
ところで、カバー材12をベース材11に係合固定させるとき、図4に示すように、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bはそれぞれ、水密材36を介して外装パネル3A,3Bの外側面6に押接され、その反力が第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bに加わる。即ち、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bに対して後方へ湾曲させる方向に応力が加わる。しかしながら、本実施形態のカバー材12の場合、第1カバー部31Aのカバー幅方向中央側の端縁45A、第2カバー部31Bのカバー幅方向中央側の端縁45B、中央カバー部31Cの第1側面部43A側の前縁部46A、および中央カバー部31Cの第2側面部43B側の前縁部46Bの4箇所の折曲部が曲げ起点となり
、上記応力を吸収するため、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bは、後方(外装パネル3A,3Bから離反させる方向)に湾曲し難い。これにより、間隙9から壁内部への雨水の浸入を防止する効果をより高めることができる。
【0053】
図5に示すように、係合片32は、略L字状に折曲形成された板片であり、中央カバー部31Cにおける段差面部44の前面部(内側面)49に、基準線L1を挟んで左右に一対並設されている。詳しくは、係合片32は、中央カバー部31Cの段差外側面部48から左右間中央に向かって延長形成される連結部51と、連結部51の左右間中央側の端縁から前方に向かって延長形成される脚部52と、脚部52の先端縁部(前縁部)から後方に向かって折曲形成される爪部53と、を有している。
【0054】
連結部51は、中央カバー部31Cの端縁から左右間中央に向かって、中央カバー部31Cの段差面部44から次第に離れるように斜め前方に延長形成されている。従って、カバー材12がベース材11に取り付けられる前の状態において、連結部51と段差面部44との間には、連結部51の傾倒動作を許容する遊間60が画成される。
【0055】
脚部52は、基準線L1を挟んで左右位置に一対離間して配されており、連結部51の左右間中央側の端縁から前方に向かって、基準線L1から離れるように斜め側方に延長形成されている。即ち、左右の脚部52はそれぞれ、先端縁部に行くに従い互いに離反するように前方に向かって延長形成されている。
【0056】
爪部53は、脚部52の先端縁部(前縁部)にて左右外向きに折り返して形成されている。即ち、左右の爪部53はそれぞれ、先端に行くに従い互いに離反するように後方に向かって折曲形成されている。
【0057】
上記のように、係合片32は、連結部51の基端縁部が側面部43A,43Bの前縁部46A,46Bに連結支持されている。また、連結部51と中央カバー部31Cの段差面部44との間には、遊間60が画成されている。従って、係合片32は、先端の爪部53に左右方向から所定の応力が加わることで、連結部51の基端縁部(側面部43A,43Bの前縁部46A,46B)を支点として所定の範囲で左右方向へ揺動する。このように、係合片32は、連結部51の基端縁部を支点として揺動可能に構成されているため、カバー材12の内側面部に直接的に連設されているものに比べて可動の自由度が高い。特に、係合片32は、中央カバー部31Cを設けたことで前後方向の長さが短く設定されている場合であっても、可動の自由度が高いから、その分、カバー材12をベース材11に嵌め込む際の力が低減される。
【0058】
また、係合片32の爪部53、脚部52、連結部51、中央カバー部31Cの段差外側面部48、カバー部31A,31Bの内側表面部42、外側表面部41、中央カバー部31Cの段差内側面部47、および段差面部44は、一の板材によって一体形成されている。
【0059】
左右の爪部53の後端相互間の寸法(爪幅寸法)は、ベース材11の溝枠部22に設けられた係合突起30の先端相互間の寸法、即ち、開口部27の幅寸法(開口幅寸法)よりも僅かに大きく形成されている。従って、カバー材12をベース材11に係合させるべく、係合片32が溝枠部22の開口部27に差し込まれたとき、左右の爪部53はそれぞれ、開口部27の内側の係合突起30に当接する。そしてさらに、係合片32が開口部27よりも係合溝26の奥側(前方)へ押し込まれることで、左右の爪部53は、互いに僅かに近接するように左右内向き(基準線L1に近接する方向)に傾倒され、さらにそれら各先端が係合突起30の先端を過ぎた時点で互いに離反するよう元の位置へ左右外向き(基準線L1から離反する方向)に傾倒される(元の位置に戻る)。その結果、爪部53の先
端(後端)が係合突起30の爪係合面30Fに嵌合する。またその際、水密材36の弾性力がカバー材12に対して後方へ押しやる方向に加わることで、爪部53の先端は、係合突起30の爪係合面30Fに対してより強固に嵌合される。これにより、カバー材12は、ベース材11に安定して係合保持される。
【0060】
なお、上記遊間60により係合片32の可動の自由度を高める技術は、上記実施形態のような中央カバー部31Cを備えた壁用役物1以外にも効果的である。図示しないが、上記技術を具備する他の形態の壁用役物について、上記実施形態の説明中の符号を用いて説明する。例えば、カバー材12は、中央カバー部31Cを備えておらず、上記従来の壁用役物の目地材のようにカバー部が略平面状に形成されている(例えば、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bが同一平面上でつながって構成されている等。なお、略平面状とは、上記カバー部の全面が平坦な場合のみを言うのではなく、外装パネル3A,3Bに凹凸柄7が形成されている場合等は、当該凹凸柄7と同様の凹凸柄を備えているものも含む)。また、上記カバー部は、外側表面部41と、当該外側表面部41から次第に離れるように当該外側表面部41の左右外側の両縁部から左右間中央側へ斜め前方に折り返して延長形成される(これにより、外側表面部41と内側表面部42の間に遊間60が形成される)内側表面部42と、を有しており、係合片32は、内側表面部42の左右間中央側の端縁からそれぞれ前方に向かって延長形成されている(この場合、係合片32は、連結部51を有していなくてよい)。これにより、係合片32は、先端(例えば、爪部53)に左右方向から所定の応力が加わることで、内側表面部42の基端縁部(外側表面部41の左右外側の両縁の折り返し端部)を支点として所定の範囲で左右方向へ揺動する。
【0061】
以上のように、本実施形態の壁用役物1は、建物の壁の目地部Sに設けられる壁用役物1であって、壁基部2に固定されるベース材11と、壁基部2に支持される一対の壁パネル3A,3Bの突き合わせ端面8相互の間隙9を覆うカバー材12と、を備え、ベース材11は、壁パネル3A,3Bのうち第1壁パネル3Aと壁基部2との間に設けられる第1裏支持片21Aと、壁パネル3A,3Bのうち第2壁パネル3Bと壁基部2との間に設けられる第2裏支持片21Bと、第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21B相互間に設けられ、カバー材12を係合保持する係合溝26と、を有し、カバー材12は、第1壁パネル3Aの外側面6に沿って配される第1カバー部31Aと、第2壁パネル3Bの外側面6に沿って配される第2カバー部31Bと、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31B相互間に設けられ、間隙9に没入した状態で介装される中央カバー部31Cと、中央カバー部31Cの内側面49に設けられ、係合溝26に挿入係合される係合片32と、を有し、係合片32は、中央カバー部31Cの内側面49に沿ってカバー長さ方向に延設され、且つベース材11側に向かって突出形成される脚部52と、脚部52の先端部に設けられ、ベース材11の係合溝26に係合される爪部53と、を有し、係合溝26は、脚部52を挿入可能な開口部27と、開口部27の内側縁29に沿って突設され、爪部53を係合保持する係合突起30と、を有している。
【0062】
このものでは、目地部Sに取り付けられたとき、カバー材12の中央カバー部31Cが壁パネル3A,3Bの突き合わせ端面8相互の間隙9に没入した状態で介装されるから、壁におけるカバー材12の存在感を小さくできる。これにより、壁全体の意匠性が格段に向上する。また、カバー材12の第1カバー部31Aと第2カバー部31Bとの間に、中央カバー部31Cが凹没形成されていることで、カバー材12のねじれや曲げ剛性が高く、変形や歪みが生じ難い。これにより、壁全体の意匠性が一層向上すると共に、目地部Sの防水性も向上する。
【0063】
しかも、このものでは、施工作業者は、中央カバー部31Cの内側面49に設けられた係合片32の位置を、カバー材12の外側から指の触感や目視によって正確に把握できるから、カバー材12をベース材11に対して指で押して嵌め込む際に、その押し込み方向
がずれるのも防止できる。よって、施工性も向上する。
【0064】
また、中央カバー部31Cは、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bのカバー幅方向中央側の端縁45A,45Bからそれぞれベース材11側に向かって延設される第1側面部43Aおよび第2側面部43Bと、第1側面部43Aおよび第2側面部43B相互間に延在し、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bに対してベース材11側へ段差をもって配置される段差面部44と、を有している。
【0065】
このものでは、中央カバー部31Cの第1側面部43A、第2側面部43B、および段差面部44が成す陰影によって、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bの存在感をより小さくできるから、壁全体の意匠性が一層向上する。さらに、このものでは、目地部Sに取り付けたとき、第1側面部43Aおよび第2側面部43Bをそれぞれ、壁パネル3A,3Bの突き合わせ端面8に近接させた状態で、中央カバー部31Cを間隙9に介装できるから、目地部Sの防水性も一層向上する。
【0066】
また、この種の壁用役物では、カバー材がベース材に嵌まり難い場合、施工作業者は、カバー材の外側面にあて木を当てて、その外側からハンマー等で叩くことによってカバー材をベース材に嵌め込む方法が用いられる。ところが、上記従来の壁用役物のように、カバー材(目地材)の外側面全体が凹凸のない平面状に形成されていると、ハンマー等であて木を叩いたときに、カバー材の外側面の変形や歪みを招く虞がある。また、上記変形や歪みが目立ちやすいといった問題もある。
【0067】
しかしながら、本実施形態の壁用役物1は、カバー材12の中央部(中央カバー部31C)が凹没形成されており、上記のようにあて木を用いてカバー材12をベース材11に係合させるとき、カバー材12の外側面に加わる衝撃は、中央カバー部31Cの第1側面部43Aおよび第2側面部43Bに分散される。これにより、カバー材12の外側面に変形や歪みが生じ難いから、壁全体の意匠性や目地部Sの防水性が損なわれるのを防止できる。
【0068】
なお、第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bと段差面部44とが成す段差の段差深さH2は、壁パネル3A,3Bの外側面6に形成された凹凸柄7の柄深さH1よりも小さく設定されもよい。このように、カバー部31A,31Bと段差面部44とが成す段差の段差深さH2を、壁パネル3A,3Bの凹凸柄7の柄深さH1よりも小さく設定することで、壁パネル3A,3Bの外側面6に形成された凹凸柄7の存在感がより強調されるから、壁全体の意匠性が一層向上する。なお、上記段差深さH2が上記柄深さH1よりも小さく設定されるとは、実質的に上記段差深さH2が上記柄深さH1よりも小さい場合に限られず、施工された状態において、段差面部44が凹凸柄7の柄底よりも後方に位置する場合も含む。
【0069】
また、カバー材12は、第1壁パネル3Aおよび第2壁パネル3Bに対してそれぞれ水密状態で当接する水密材36を有し、水密材36は、第1カバー部31Aと第1側面部43Aとが成す第1角部45Aの第1壁パネル3A側の角面37、および第2カバー部31Bと第2側面部43Bとが成す第2角部45Bの第2壁パネル3B側の角面37に沿ってそれぞれ、カバー長さ方向に延設されている。
【0070】
このものでは、少なくともカバー部31A,31B、中央カバー部31Cの側面部43A,43B、および壁パネル3A,3Bの3面に対して水密材36を確実に接触させることができるから、目地部Sの防水性がより一層向上する。
【0071】
また、本実施形態の壁の目地構造は、建物の壁の目地構造であって、隣接して並ぶ第1
壁パネル3Aおよび第2壁パネル3Bと、各壁パネル3A,3Bを支持する壁基部2と、第1壁パネル3Aおよび第2壁パネル3Bの突き合わせ端面8相互の間隙9に沿って装着される壁用役物1と、を備え、壁用役物1は、壁基部2に固定されるベース材11と、間隙9を各壁パネル3A,3Bの外側面6側から覆うカバー材12と、を備え、ベース材11は、カバー材12を係合保持する係合溝26と、係合溝26の溝枠部22からカバー幅方向外側双方に延出する第1裏支持片21Aおよび第2裏支持片21Bと、を有し、第1裏支持片21Aが第1壁パネル3Aと壁基部2との間に配され、且つ第2裏支持片21Bが第2壁パネル3Bと壁基部2との間に配された状態で、壁基部2に固定され、カバー材12は、中央カバー部31Cと、中央カバー部31Cの内側面49に設けられ、係合溝26に挿入係合される係合片32と、中央カバー部31Cの側面部43A,43Bからカバー幅方向外側双方に延出する第1カバー部31Aおよび第2カバー部31Bと、を有し、中央カバー部31Cが間隙9に没入した状態で介装されると共に、第1カバー部31Aが第1壁パネル3Aの外側面6に沿って配され、且つ第2カバー部31Bが第2壁パネル3Bの外側面6に沿って配された状態で、ベース材11に固定されている。
【0072】
このものでは、壁用役物1を目地部Sに取り付けたとき、カバー材12の中央カバー部31Cが壁パネル3A,3Bの突き合わせ端面8相互の間隙9に没入した状態で介装されるから、壁におけるカバー材12の存在感を小さくできる。これにより、壁全体の意匠性が格段に向上する。また、カバー材12の第1カバー部31Aと第2カバー部31Bとの間に、中央カバー部31Cが凹没形成されていることで、カバー材12のねじれや曲げ剛性が高く、変形や歪みが生じ難い。これにより、壁全体の意匠性が一層向上すると共に、目地部Sの防水性も向上する。
【0073】
しかも、このものでは、施工作業者は、中央カバー部31Cの内側面49に設けられた係合片32の位置を、カバー材12の外側から指の触感や目視によって正確に把握できるから、カバー材12をベース材11に対して指で押して嵌め込む際に、その押し込み方向がずれるのも防止できる。よって、施工性も向上する。
【符号の説明】
【0074】
1 壁用役物
2 壁基部
3A 第1外装パネル(壁パネル)
3B 第2外装パネル(壁パネル)
6 壁パネルの外側面
8 パネル端面(突き合わせ端面)
9 間隙
11 ベース材
12 カバー材
21A 第1裏支持片
21B 第2裏支持片
26 係合溝
27 開口部
29 開口部の内側縁
30 係合突起
31A 第1カバー部
31B 第2カバー部
31C 中央カバー部
32 係合片
36 水密材
43A 第1側面部
43B 第2側面部
44 段差面部
49 中央カバー部の内側面
51 連結部
52 脚部
53 爪部
S 目地部
図1
図2
図3
図4
図5
図6