(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104545
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240729BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B65H29/60 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008818
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】江崎 康浩
【テーマコード(参考)】
2C061
3F053
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR03
2C061AS02
2C061HK06
2C061HN18
2C061HQ02
2C061HV09
2C061HV14
2C061HV49
3F053EA05
3F053EC01
3F053ED19
3F053ED27
3F053LA07
3F053LB03
(57)【要約】
【課題】印刷システムのどちらの印刷装置に障害が発生しても給紙元を変えずに印刷を継続でき、煩雑な用紙補充作業や用紙切れの発生を抑制する。
【解決手段】印刷システム1のシステム制御部150は、第1印刷装置20による印刷処理が実行不可能な場合に、第1印刷部21を迂回する第1バイパス経路24を経由して用紙Mを搬送し第1印刷装置20を通過させた後、第2印刷装置40において、第2印刷部41により用紙Mの一方の面又は両面に印刷処理するように制御する。システム制御部150は、第2印刷装置40による印刷処理が実行不可能な場合に、第1印刷装置20において、第1印刷部21により用紙Mの一方の面又は両面に印刷処理した後、第2印刷部41を迂回する第2バイパス経路44を経由して用紙Mを搬送し第2印刷装置40を通過させるように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面印刷可能な第1印刷装置では、第1印刷部により用紙の一方の面に印刷処理し、両面印刷可能な第2印刷装置では、第2印刷部により前記用紙の他方の面に印刷処理するように、前記用紙に対する印刷処理を制御する制御部を有する印刷システムにおいて、
前記制御部は、
前記第1印刷装置による印刷処理が実行不可能な場合に、前記第1印刷部を迂回する第1バイパス経路を経由して前記用紙を搬送し前記第1印刷装置を通過させた後、前記第2印刷装置において、前記第2印刷部により前記用紙の前記一方の面、又は、前記用紙の前記一方の面及び前記他方の面の両面に印刷処理するように制御し、
前記第2印刷装置による印刷処理が実行不可能な場合に、前記第1印刷装置において、前記第1印刷部により前記用紙の前記一方の面又は前記両面に印刷処理した後、前記第2印刷部を迂回する第2バイパス経路を経由して前記用紙を搬送し前記第2印刷装置を通過させるように制御する、
印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
連結された2台の印刷装置で1枚の用紙に印刷を行う印刷システムが知られている。この種の印刷システムでは、どちらか一方の印刷装置に障害が発生しても、印刷を継続できることが求められる。特許文献1では、第1及び第2の2台のプリンタに給紙ホッパをそれぞれ設け、第1プリンタの障害発生時に、第2プリンタの給紙ホッパからの用紙給紙に切り替えて、ダウンタイムの発生による生産性の低下防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、下流側の第2プリンタの障害発生時には、上流側の第1プリンタに障害が発生していなくても、印刷を継続することができない。また、第1プリンタの障害発生時には、用紙給紙の切り替え後に給紙元となる第2プリンタの給紙ホッパに用紙を充填作業が発生して作業が煩雑化する。その上、第2プリンタの給紙ホッパに十分な容量がないと、給紙ホッパが用紙切れを頻繁に起こすおそれがある。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、印刷システムのどちらの印刷装置に障害が発生しても給紙元を変えずに印刷を継続でき、煩雑な用紙補充作業や用紙切れの発生を抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様による印刷システムは、
両面印刷可能な第1印刷装置では、第1印刷部により用紙の一方の面に印刷処理し、両面印刷可能な第2印刷装置では、第2印刷部により前記用紙の他方の面に印刷処理するように、前記用紙に対する印刷処理を制御する制御部を有する印刷システムにおいて、
前記制御部は、
前記第1印刷装置による印刷処理が実行不可能な場合に、前記第1印刷部を迂回する第1バイパス経路を経由して前記用紙を搬送し前記第1印刷装置を通過させた後、前記第2印刷装置において、前記第2印刷部により前記用紙の前記一方の面、又は、前記用紙の前記一方の面及び前記他方の面の両面に印刷処理するように制御し、
前記第2印刷装置による印刷処理が実行不可能な場合に、前記第1印刷装置において、前記第1印刷部により前記用紙の前記一方の面又は前記両面に印刷処理した後、前記第2印刷部を迂回する第2バイパス経路を経由して前記用紙を搬送し前記第2印刷装置を通過させるように制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷システムのどちらの印刷装置に障害が発生しても給紙元を変えずに印刷を継続でき、煩雑な用紙補充作業や用紙切れの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムを示す構成図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1のシステム制御部に構築される復旧処理部が第1又は第2印刷装置における障害発生時に行う復旧処理の一例における手順の一部を示すフローチャートである。
【
図2B】
図2Bは、
図1のシステム制御部に構築される復旧処理部が第1又は第2印刷装置における障害発生時に行う復旧処理の一例における手順の一部を示すフローチャートである。
【
図2C】
図2Cは、
図1のシステム制御部に構築される復旧処理部が第1又は第2印刷装置における障害発生時に行う復旧処理の一例における手順の一部を示すフローチャートである。
【
図2D】
図2Dは、
図1のシステム制御部に構築される復旧処理部が第1又は第2印刷装置における障害発生時に行う復旧処理の一例における手順の一部を示すフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、用紙のジャムが発生した
図1の第1印刷装置の搬送経路に搬送中の用紙が存在する場合を示す説明図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの搬送中の用紙に対する印刷が第1印刷装置で成功した場合に印刷後の用紙を第2印刷装置の搬送経路に搬送するルートを示す説明図である。
【
図3C】
図3Cは、第1印刷装置での印刷が成功して第2印刷装置の搬送経路に搬送された
図3Bの用紙の次の用紙を搬送するルートを示す説明図である。
【
図3D】
図3Dは、
図3Aのジャム用紙を第1印刷装置から取り除いた後に元に戻した用紙の搬送ルートを示す説明図である。
【
図3E】
図3Eは、用紙のジャムが発生した
図1の第2印刷装置の搬送経路と中間搬送部とに搬送中の用紙が存在する場合を示す説明図である。
【
図3F】
図3Fは、
図3Eの搬送中の用紙の排紙後に次の用紙を搬送するルートを示す説明図である。
【
図3G】
図3Gは、
図3Eのジャム用紙を第2印刷装置から取り除いた直後に用紙を搬送するルートを示す説明図である。
【
図3H】
図3Hは、
図3Gのルートで用紙を搬送した後に元に戻した用紙の搬送ルートを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムを示す構成図である。
図1に示す実施形態の印刷システム1は、用紙供給装置10と、第1印刷装置20と、中間搬送装置30と、第2印刷装置40と、用紙排出装置100と、システム制御部150とを備える。本実施形態では、印刷システム1が、第1印刷装置20と第2印刷装置40との2台の印刷装置を有しているが、3台以上の印刷装置を用いてもよい。
【0012】
用紙供給装置10、第1印刷装置20、中間搬送装置30、第2印刷装置40、及び用紙排出装置100は、例えば、枚葉用紙(カット紙)である用紙M(印刷物)の搬送経路に沿って直列に配置されている。
【0013】
なお、用紙供給装置10、第1印刷装置20、中間搬送装置30、第2印刷装置40、及び用紙排出装置100のうちの複数が、共通の筐体内に一体に配置されていてもよい。
【0014】
用紙供給装置10は、印刷前の用紙Mが積載される載置台11を2つ有する。図示はしないが、用紙供給装置10は、どちらかの載置台11に積載された複数枚の用紙Mのうち最上位に位置する用紙Mを繰り出して、第1印刷装置20に給紙する。各載置台11には、異なる種類の用紙Mが積載されてもよい。用紙供給装置10が有する載置台11の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0015】
第1印刷装置20は、例えば、CMYKやグレー色等の基本色のインクを用いて用紙Mに印刷を行う印刷部21(第1印刷部)を有している。印刷部21は、用紙Mの搬送経路22の上方に配置され、搬送経路22上の用紙Mに画像を印刷する。印刷部21は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。印刷部21は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式で印刷を行うものであってもよく、単色印刷を行うものであってもよい。
【0016】
第1印刷装置20は、搬送経路22上の用紙Mの向きを上下反転させて搬送経路22に戻す反転経路23を有している。反転経路23で上下反転させた用紙Mは、表裏を反転させた状態で搬送経路22に戻される。第1印刷装置20は、反転経路23での反転の前後に搬送経路22上の用紙Mに印刷部21が画像をそれぞれ印刷することで、両面印刷を行うことができる。搬送経路22上で片面印刷又は両面印刷された用紙Mは、中間搬送装置30に搬送される。
【0017】
第1印刷装置20は、用紙Mのバイパス経路24(第1バイパス経路)をさらに有している。バイパス経路24を通る用紙Mは、搬送経路22を通らず印刷部21をバイパスして中間搬送装置30に搬送される。
【0018】
中間搬送装置30は、第1印刷装置20の搬送経路22から搬送された用紙Mの向きを、スイッチバック式の反転部31において、必要に応じて上下反転させる。反転部31において上下反転された用紙Mは、表裏を反転させた状態で、第1経路32を通って第2印刷装置40に搬送される。反転部31において上下反転されない用紙Mは、表裏を反転させていない状態で、第2経路33を通って第2印刷装置40に搬送される。中間搬送装置30は、第1印刷装置20のバイパス経路24から搬送された用紙Mを、反転部31をバイパスして上下反転させず、表裏を反転させない状態で、第1経路32を通って第2印刷装置40に搬送する。
【0019】
第1印刷装置20と同じく、第2印刷装置40は、例えば、CMYKやグレー色等の基本色のインクを用いて用紙Mに印刷を行う印刷部41(第2印刷部)を有している。印刷部41は、第1印刷装置20の印刷部21と同じく、用紙Mの搬送経路42の上方に配置され、搬送経路42上の用紙Mに画像を印刷する。印刷部41は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。印刷部41は、印刷部21と同じく、インクジェット印刷方式以外の印刷方式で印刷を行うものであってもよく、単色印刷を行うものであってもよい。
【0020】
第2印刷装置20は、第1印刷装置20と同じく、搬送経路42上の用紙Mの向きを上下反転させて搬送経路42に戻す反転経路43を有している。反転経路43で上下反転させた用紙Mは、表裏を反転させた状態で搬送経路42に戻される。第2印刷装置40は、反転経路43での反転の前後に搬送経路42上の用紙Mに印刷部41が画像をそれぞれ印刷することで、両面印刷を行うことができる。搬送経路42上で片面印刷又は両面印刷された用紙Mは、用紙排出装置100に搬送される。
【0021】
第2印刷装置20は、第1印刷装置20と同じく、用紙Mのバイパス経路44(第2バイパス経路)をさらに有している。バイパス経路44を通る用紙Mは、搬送経路42を通らず印刷部41をバイパスして用紙排出装置100に搬送される。
【0022】
用紙Mの表裏両面に画像を印刷する場合、印刷システム1のデフォルトの動作では、第1印刷装置20及び第2印刷装置40は、用紙Mの別々の面に1面ずつ画像を印刷する。
【0023】
用紙排出装置100は、第1用紙積載部110と、第2用紙積載部120と、第1中間搬送部130と、第2中間搬送部140とを備える。
【0024】
なお、第1用紙積載部110及び第2用紙積載部120のうち一方が省略され、単一の用紙積載部のみが配置されていてもよい。また、第1中間搬送部130及び第2中間搬送部140のうち少なくとも一方が省略され、第2印刷装置40から第1用紙積載部110及び第2用紙積載部120のうち少なくとも一方に直接的に用紙Mが搬送されてもよい。
【0025】
また、用紙排出装置100は、第1用紙積載部110、第2用紙積載部120、第1中間搬送部130、及び第2中間搬送部140のうち少なくとも2つが一体となっている用紙排出装置であってもよい。また、用紙排出装置100は、例えば、単一の印刷装置等の用紙Mを排出する装置に一体に組み込まれているものであってもよい。
【0026】
第1用紙積載部110には、第1中間搬送部130から排出された用紙M、すなわち第1印刷装置20及び第2印刷装置40のうち少なくとも一方において印刷が行われた用紙Mが順次積載される。第2用紙積載部120には、第1中間搬送部130から直接排出される用紙Mではなく、第1中間搬送部130及び第2中間搬送部140を搬送され、第2中間搬送部140から排出された用紙Mが積載される。
【0027】
第1中間搬送部130は、第2印刷装置40の搬送経路42及びバイパス経路44から排出された用紙Mを、第1用紙積載部110に排出する用紙Mと第2用紙積載部120に排出する用紙Mとに分けて排出する。なお、第1中間搬送部130が省略され、第2印刷装置40から第1用紙積載部110又は第2用紙積載部120に直接的に用紙Mが搬送されてもよい。第2中間搬送部140は、第1中間搬送部130から排出された、第2用紙積載部120に排出する用紙Mを、第2用紙積載部120へ搬送する。
【0028】
第2中間搬送部140は、第2用紙積載部120に排出する用紙Mを第1中間搬送部130から受け取り、予定していた印刷を全て終えた完全な印刷物と少なくとも一部の印刷を終えていない不完全な印刷物とに分けて排出する。なお、第2中間搬送部140が省略され、第1用紙積載部110から第2用紙積載部120に直接的に用紙Mが搬送されてもよい。第2中間搬送部140は、第1中間搬送部130から排出された完全な印刷物と不完全な印刷物とを別々の排紙トレイに排紙する。別々の排紙トレイは、例えば、1つを第2用紙積載部120の上面に配置し、他の1つを第2用紙積載部120の筐体内に配置することができる。
【0029】
システム制御部150は、不図示のユーザ端末装置から送信された印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブに基づいて、用紙供給装置10、第1印刷装置20、中間搬送装置30、第2印刷装置40、及び用紙排出装置100の動作を制御する。
【0030】
システム制御部150は、例えば、汎用のマイクロコントローラ用いて構成することができる。マイクロコントローラは、CPU(Central Processing Unit )及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。マイクロコントローラは、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。
【0031】
本実施形態では、マイクロコントローラに構築される複数の情報処理回路をソフトウェアによって実現する例を示す。もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。専用のハードウェアは、各情報処理回路の機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。
【0032】
システム制御部150のマイクロコントローラは、仮想的に構築する複数の情報処理回路により、第1印刷装置20又は第2印刷装置40におけるジャム等の障害発生時に、印刷システム1における印刷を継続させる、復旧処理部を構成することができる。復旧処理部は、用紙供給装置10、第1印刷装置20、中間搬送装置30、第2印刷装置40、及び用紙排出装置100の各制御部(図示せず)を通じて、印刷システム1における用紙Mの搬送状態を監視する。
【0033】
復旧処理部は、監視した搬送状態が、第1印刷装置20又は第2印刷装置40における障害発生を含むものである場合に、印刷システム1における印刷を継続する復旧処理を実行する。復旧処理部は、復旧処理において、用紙供給装置10、第1印刷装置20、中間搬送装置30、第2印刷装置40、及び用紙排出装置100の各制御部(図示せず)に、それらを復旧処理の内容に応じて連携して動作させるための指令を出力する。
【0034】
図2A~
図2Dは、
図1のシステム制御部に構築される復旧処理部が第1又は第2印刷装置20,40における障害発生時に行う復旧処理の一例における手順を一部ずつ示すフローチャートである。
図2Aに示すように、システム制御部150のマイクロコントローラに構築される復旧処理部は、第1印刷装置20(プリンター1)に、用紙Mのジャム等の障害があるか否かを確認する(ステップS1)。障害がない場合は(ステップS1でNO)、後述するステップS201に処理を移行する。障害がある場合は(ステップS1でYES)、復旧処理部は、第2印刷装置20(プリンター2)に、用紙Mのジャム等の障害があるか否かを確認する(ステップS101)。
【0035】
障害がある場合は(ステップS101でYES)、第1印刷装置20及び第2印刷装置20の両方に障害があるので、復旧処理部は、エラー停止処理を行った後(ステップS103)、一連の処理を終了する。エラー停止処理では、印刷システム1による印刷処理をエラーにより終了させる。障害がない場合は(ステップS101でNO)、復旧処理部は、障害が発生した第1印刷装置20の搬送経路22に、搬送中の用紙M(
図3Aの(1),(2) 参照)があるか否かを確認する(ステップS105)。搬送経路22に用紙Mがない場合は(ステップS105でNO)、後述するステップS117に処理を移行する。
【0036】
搬送経路22に用紙Mがある場合は(ステップS105でYES)、復旧処理部は、搬送経路22の用紙M(該当用紙)は第1印刷装置20から排出するまで搬送可能か否かを確認する(ステップS107)。搬送可能でない場合は(ステップS107でNO)、復旧処理部は、搬送経路22の用紙Mを、第1印刷装置20(プリンター1)内の前扉の開扉により除去可能な位置に留めて(ステップS109)、ステップS117に処理を移行する。搬送可能である場合は(ステップS107でYES)、復旧処理部は、搬送経路22の用紙Mが、第1印刷装置20(プリンター1)において予定の印刷を終えた印刷成功済の用紙Mか否かを確認する(ステップS111)。
【0037】
印刷成功済の用紙Mである場合は(ステップS111でYES)、復旧処理部は、その用紙Mを第1印刷装置20から中間搬送装置30の反転部31での反転後に第1経路32を経て第2印刷装置40(プリンター2)の搬送経路42に搬送させる。そして、復旧処理部は、第2印刷装置40の印刷部42により用紙Mに、第2印刷装置40において予定している印刷(通常印刷)を行わせる(以上、ステップS113、
図3Bの(1),(2) 参照)。その後、ステップS117に処理を移行する。
【0038】
印刷成功済の用紙Mでない場合は(ステップS111でNO)、復旧処理部は、その用紙Mを第1印刷装置20から中間搬送装置30の反転部31で反転させた後に第1経路32を経て第2印刷装置40(プリンター2)の搬送経路42に搬送させる。そして、復旧処理部は、第2印刷装置40において予定していた印刷(通常印刷)を行わずに搬送経路42の用紙Mを排出させる。さらに、復旧処理部は、排出された搬送経路42の用紙Mを、第1中間搬送部130及び第2中間搬送部140を介して、第2用紙積載部120の不完全な印刷物の排紙トレイに排出させる(以上、ステップS115)。その後、ステップS117に処理を移行する。
【0039】
ステップS117では、復旧処理部は、第1印刷装置20(プリンター1)における以後の用紙Mの搬送ルートを、搬送経路22からバイパス経路24に切替えさせる(
図3Cの(3)-(6) 参照)。続いて、復旧処理部は、第1印刷装置20の前扉のロックを解除する(ステップS119)。次に、復旧処理部は、第1印刷装置20(プリンター1)に障害が発生した場合のルートとして、第1印刷装置20のバイパス経路24及び第2印刷装置40(プリンター2)の反転経路43を通るルートで用紙Mを搬送させる(ステップS121)。このルートで搬送される用紙Mには、第2印刷装置40の反転経路43を通る前後の搬送経路42の搬送中に、印刷部41により両面印刷される。
【0040】
図2Bに示すように、続いて、復旧処理部は、第1印刷装置20(プリンター1)の障害が解消したか否かを確認する(ステップS123)。障害が解消していない場合は(ステップS123でNO)、解消するまでステップS123をリピートする。障害が解消した場合は(ステップS123でYES)、復旧処理部は、第1印刷装置20のバイパス経路24に搬送中の用紙Mがあるか否かを確認する(ステップS125)。バイパス経路24に搬送中の用紙Mがある場合は(ステップS125でYES)、バイパス経路24の用紙MがなくなるまでステップS125をリピートする。
【0041】
搬送中の用紙Mがバイパス経路24にない場合は(ステップS125でNO)、復旧処理部は、第1印刷装置20(プリンター1)における以後の用紙Mの搬送ルートを切替えさせる(ステップS127)。切替え後の搬送ルートは、第1印刷装置20の搬送経路22、中間搬送装置30の反転部31及び第1経路32を経て、第2印刷装置40の搬送経路42に至るルートとなる。
【0042】
次に、復旧処理部は、第2印刷装置40(プリンター2)の反転経路43に搬送中の用紙Mがあるか否かを確認する(ステップS129)。反転経路43に搬送中の用紙Mがある場合は(ステップS129でYES)、反転経路43の用紙MがなくなるまでステップS129をリピートする。
【0043】
搬送中の用紙Mが反転経路43にない場合は(ステップS129でNO)、復旧処理部は、第2印刷装置40(プリンター2)における以後の用紙Mの搬送ルートを切替えさせる(ステップS131)。切替え後の搬送ルートは、第2印刷装置40の搬送経路42から反転経路43を通らずに第1中間搬送部130に至るルートとなる(
図3Dの(5)-(8) 参照)。その後、
図2AのステップS1にリターンする。
【0044】
図2Cに示すように、
図2AのステップS1において第1印刷装置20(プリンター1)に用紙Mのジャム等の障害がない場合(NO)に進むステップS201では、復旧処理部は、第2印刷装置20(プリンター2)に、用紙Mのジャム等の障害があるか否かを確認する(ステップS201)。
【0045】
障害がない場合は(ステップS201でNO)、第1印刷装置20及び第2印刷装置20の両方に障害がないので、復旧処理部は、通常ルート処理を行った後(ステップS203)、一連の処理を終了する。通常ルート処理では、印刷システム1による印刷処理を通常の搬送ルートで用紙Mを搬送しながら実行させる。通常の搬送ルートは、例えば、
図3Dに示す、第1印刷装置20の搬送経路22、中間搬送装置30の反転部31及び第1経路32、第2印刷装置40の搬送経路42を用紙Mが通るルートである。
【0046】
障害がある場合は(ステップS201でYES)、復旧処理部は、障害が発生した第2印刷装置40の手前にある中間搬送装置30の第1経路32に、搬送中の用紙M(
図3Eの(3),(4) 参照)があるか否かを確認する(ステップS205)。第1経路32に用紙Mがない場合は(ステップS205でNO)、後述するステップS217に処理を移行する。
【0047】
第1経路32に用紙Mがある場合は(ステップS205でYES)、復旧処理部は、第1経路32の用紙M(該当用紙)は第2印刷装置40(プリンター2)まで搬送可能か否かを確認する(ステップS207)。搬送可能でない場合は(ステップS207でNO)、復旧処理部は、エラー停止処理を行った後(ステップS209)、一連の処理を終了する。搬送可能である場合は(ステップS207でYES)、復旧処理部は、第2印刷装置40の搬送経路42は用紙Mを搬送可能な状態か否かを確認する(ステップS211)。
【0048】
搬送経路42が用紙Mを搬送可能な状態である場合は(ステップS211でYES)、第1経路32の用紙Mを第2印刷装置40に搬送させ、第2印刷装置40の搬送経路42、第1中間搬送部130及び第2中間搬送部140を介して、第2用紙積載部120の不完全な印刷物の排紙トレイに排出させる(以上、ステップS213)。その後、ステップS117に処理を移行する。
【0049】
搬送経路42が用紙Mを搬送可能な状態でない場合は(ステップS211でNO)、第1経路32の用紙Mを第2印刷装置40に搬送させ、第2印刷装置20内の前扉の開扉により除去可能な位置に留めて(ステップS215)、ステップS217に処理を移行する。
【0050】
ステップS217では、復旧処理部は、中間搬送装置30における以後の用紙Mの搬送ルートを、第1経路32から第2経路33に切替えさせる(
図3Fの(5),(6) 参照)。続いて、復旧処理部は、第2印刷装置40の前扉のロックを解除する(ステップS219)。次に、復旧処理部は、第2印刷装置40(プリンター2)に障害が発生した場合のルートとして、第1印刷装置20の反転経路23及び第2印刷装置40(プリンター2)のバイパス経路44を通るルートで用紙Mを搬送させる(ステップS221)。このルートで搬送される用紙Mには、第1印刷装置20の反転経路23を通る前後の搬送経路22の搬送中に、印刷部21により両面印刷される。
【0051】
図2Dに示すように、続いて、復旧処理部は、第2印刷装置40(プリンター2)の障害が解消したか否かを確認する(ステップS223)。障害が解消していない場合は(ステップS223でNO)、解消するまでステップS223をリピートする。障害が解消した場合は(ステップS223でYES)、復旧処理部は、第1印刷装置20の反転経路23に搬送中の用紙Mがあるか否かを確認する(ステップS225)。反転経路23に搬送中の用紙Mがある場合は(ステップS225でYES)、反転経路23の用紙MがなくなるまでステップS225をリピートする。
【0052】
搬送中の用紙Mが反転経路23にない場合は(ステップS225でNO)、復旧処理部は、第1印刷装置20(プリンター1)における以後の用紙Mの搬送ルートを切替えさせる(ステップS227)。切替え後の搬送ルートは、第1印刷装置20の搬送経路22、中間搬送装置30の反転部31及び第1経路32を経て、第2印刷装置40の搬送経路42に至るルートとなる。
【0053】
次に、復旧処理部は、第2印刷装置20(プリンター1)の反転経路23に搬送中の用紙Mがあるか否かを確認する(ステップS229)。反転経路23に搬送中の用紙Mがある場合は(ステップS229でYES)、反転経路23の用紙MがなくなるまでステップS229をリピートする。
【0054】
搬送中の用紙Mが反転経路23にない場合は(ステップS129でNO)、復旧処理部は、第2印刷装置40(プリンター2)における以後の用紙Mの搬送ルートを切替えさせる(ステップS131)。切替え後の搬送ルートは、第2印刷装置40のバイパス経路44を通らずに、搬送経路42から第1中間搬送部130に至るルートとなる(
図3Hの(11)-(14) 参照)。その後、
図2AのステップS1にリターンする。
【0055】
以上に説明した手順により、本実施形態の印刷システム1では、第1又は第2印刷装置20,40において障害が発生した場合でも、障害が発生した印刷経路をバイパスすることによって、残りの印刷経路で印刷を継続できる。
【0056】
例えば、第1印刷装置20で用紙Mのオモテ面を印刷し、第2印刷装置40で用紙Mのウラ面を印刷する両面印刷の実行中に、第1又は第2印刷装置20,40で障害が発生した場合は、以下のように制御する。
【0057】
第1印刷装置20で障害が発生し、第1印刷装置20での印刷継続が不可である場合は、第1印刷装置20のバイパス経路24を通って、第2印刷装置40で用紙Mのオモテ面を印刷する。また、反転経路43で用紙Mを反転させて、用紙Mのウラ面も第2印刷装置40で印刷し、用紙排出装置100に排紙する。第1印刷装置20の障害が解消したら、元の搬送ルートに切り替えて印刷を継続する。
【0058】
第2印刷装置40で障害が発生し、第2印刷装置40での印刷継続が不可である場合は、第1印刷装置20で用紙Mのオモテ面を印刷する。また、反転経路23で用紙Mを反転させて、用紙Mのウラ面も第1印刷装置20で印刷し、第2印刷装置40のバイパス経路24を通って、用紙排出装置100に排紙する。第2印刷装置40の障害が解消したら、元の搬送ルートに切り替えて印刷を継続する。
【0059】
図2A~
図2D及び
図3A~
図3Hを参照して説明した実施形態では、第1又は第2印刷装置20,40に「障害が発生した場合」の例として、用紙Mの搬送ルートにジャム等の障害が発生した場合を説明した。本発明における「障害が発生した場合」は、第1又は第2印刷装置20,40に用紙Mのジャムが発生した場合の他に、例えば、第1又は第2印刷装置20,40でインク切れが発生した場合、印刷部21,41のインクジェットヘッド(図示せず)のクリーニングが必要になった場合等を含む概念であってもよい。
【0060】
障害によって、印刷が正常に完了せず少なくとも一部の印刷を終えていない不完全な印刷物がある場合は、不完全な印刷物用の排出トレイに排出する。不完全な印刷物用の排出トレイは、例えば、完全な印刷物と分けて第2中間搬送部140が印刷物を排出する第2用紙積載部120に設けることができる。不完全な印刷物用の排出トレイは、用紙排出装置100の第2用紙積載部120以外の場所に設けてもよい。
【0061】
障害の発生時に、不完全な印刷物用の排出トレイまで搬送できない不完全な印刷物が第1又は第2印刷装置20,40にある場合は、障害が発生している印刷装置20,40の内部に留める。これにより、障害が発生している印刷装置20,40をバイパスし障害が発生していない他方の印刷装置40,20を利用して印刷を継続することに影響を与えることなく、障害が発生している印刷装置20,40から原因の用紙Mを除去することができる。
【0062】
即ち、直列に接続したタンデム配置の第1及び第2印刷装置20,40を含む印刷システム1において、上流の第1印刷装置20と下流の第2印刷装置40とのどちらで障害が発生しても、障害が発生していない残りの印刷経路で印刷を継続できる。このため、障害発生時の印刷システム1のダウンタイムを削減できる。また、障害発生時でも、用紙Mの給紙及び排紙は通常時と同じ用紙供給装置10及び用紙排出装置100を使えるので、通常時と同じ給排紙条件で印刷物を途切れることなく得ることができる。障害時も正常時と同じ大容量の用紙供給装置から給紙できるので、特別な用紙積載作業が不要になり、十分な給紙容量を利用できる。
【0063】
なお、本発明は上記の実施形態のままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0064】
[付記]
以上に説明した実施形態によって、以下に示す態様の発明が開示される。
【0065】
両面印刷可能な第1印刷装置では、第1印刷部により用紙の一方の面に印刷処理し、両面印刷可能な第2印刷装置では、第2印刷部により前記用紙の他方の面に印刷処理するように、前記用紙に対する印刷処理を制御する制御部を有する印刷システムにおいて、
前記制御部は、
前記第1印刷装置による印刷処理が実行不可能な場合に、前記第1印刷部を迂回する第1バイパス経路を経由して前記用紙を搬送し前記第1印刷装置を通過させた後、前記第2印刷装置において、前記第2印刷部により前記用紙の前記一方の面、又は、前記用紙の前記一方の面及び前記他方の面の両面に印刷処理するように制御し、
前記第2印刷装置による印刷処理が実行不可能な場合に、前記第1印刷装置において、前記第1印刷部により前記用紙の前記一方の面又は前記両面に印刷処理した後、前記第2印刷部を迂回する第2バイパス経路を経由して前記用紙を搬送し前記第2印刷装置を通過させるように制御する、
印刷システムが開示される。
【0066】
そして、上記態様による発明によれば、印刷システムのどちらの印刷装置に障害が発生しても給紙元を変えずに印刷を継続でき、煩雑な用紙補充作業や用紙切れの発生を抑制することができる。
【0067】
つまり、上記態様による発明によれば、第1印刷装置で印刷継続が不可の場合には、第1印刷装置の第1バイバス経路を使うことによって第2印刷装置で片面印刷もしくは両面印刷を継続する。また、第2印刷装置で印刷継続が不可の場合には、第2印刷装置の第2バイバス経路を使うことによって第1印刷装置で片面印刷もしくは両面印刷を継続する。このため、どちらの印刷装置に障害が発生しても、障害が発生していない印刷装置を片面印刷又は両面印刷で少なくとも使用して、給紙元を変えずに印刷を継続することができる。
【0068】
また、以上に説明した実施形態によって、第1印刷装置及び第2印刷装置で印刷継続不可の理由が解消した場合、第1印刷装置及び第2印刷装置の両方を使用した通常経路での印刷に自動的に切り替える印刷システムが開示される。
【0069】
さらに、以上に説明した実施形態によって、障害の発生により、例えば、両面印刷する用紙の少なくとも片面の印刷が済んでいない、印刷が正常に完了しなかった用紙を、残りの片面への印刷を行わないまま排紙する場合に、印刷が正常に完了した用紙と区別して排出する印刷システムが開示される。また、以上に説明した実施形態によって、印刷が正常に完了しなかった用紙を、印刷が正常に完了した用紙と区別して排出するための排出トレイを備える印刷システムが開示される。
【0070】
加えて、以上に説明した実施形態によって、障害の発生により排出部まで搬送できない用紙がある場合、障害発生以降の印刷継続に影響を与えずに用紙除去できるように、排出部まで搬送できない用紙の搬送を制御する印刷システムが開示される。
【符号の説明】
【0071】
1 印刷システム
10 用紙供給装置
20 第1印刷装置
21 印刷部(第1印刷部)
24 バイパス経路(第1バイパス経路)
40 第2印刷装置
41 印刷部(第2印刷部)
44 バイパス経路(第2バイパス経路)
150 システム制御部(制御部)
M 用紙(印刷物)