(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104563
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
F02M 26/26 20160101AFI20240729BHJP
F02M 26/28 20160101ALI20240729BHJP
【FI】
F02M26/26
F02M26/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008852
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 怜央
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062AA05
3G062ED01
3G062ED08
(57)【要約】
【課題】必要に応じて排気の圧力を高めることできる排気装置を提供する。
【解決手段】排気を流通させる機能を備える排気装置である。排気装置は、主流路部と、EGR流路部と、冷却流路部と、バイパス流路部と、少なくとも1つのバルブと、を備える。バイパス流路は、主流路から分岐し、冷却流路と並行するように配置され、主流路とEGR流路とをつなぎ、冷却流路とEGR流路との間に接続される。バルブは、主流路、冷却流路、バイパス流路のうちの何れか1つの少なくとも一部を閉塞するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気を流通させる機能を備える排気装置であって、
排気が流れる主流路を形成する主流路部と、
EGR流路を形成するEGR流路部と、
前記主流路から分岐し、前記主流路と前記EGR流路とをつなぎ、排気を冷却するための冷却流路を形成する冷却流路部と、
前記主流路から分岐し、前記冷却流路と並行するバイパス流路であって、前記主流路と前記EGR流路とをつなぎ、前記冷却流路と前記EGR流路との間に接続されるバイパス流路、を形成するバイパス流路部と、
前記主流路、前記冷却流路、前記バイパス流路のうちの何れか1つの少なくとも一部を閉塞するように構成されたバルブと、
を備える排気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記主流路から前記冷却流路が分岐する部位である第1分岐部と、前記主流路から前記バイパス流路が分岐する部位である第2分岐部と、をさらに備え、
前記バルブは、前記第1分岐部と前記第2分岐部との間に配置される
ように構成された排気装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記バルブは、板状に構成された板状部と、前記板状部の端辺の1つに沿って配置された回転軸と、を備え、
前記バルブは前記板状部が前記回転軸を中心に回転するように構成され、
前記板状部は四角形である排気装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記冷却流路、前記EGR流路、及び前記バイパス流路が合流する部位を形成する合流部、をさらに備え、
前記合流部では、前記EGR流路側の底部よりも前記バイパス流路側の底部の高さが低くなる
ように構成された排気装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記主流路部は、前記主流路から前記冷却流路が分岐する部位、及び前記主流路から前記バイパス流路が分岐する部位において、排気が鉛直方向下方へ流れる
ように構成される排気装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記冷却流路部は前記バイパス流路部の鉛直方向上方に配置される
排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、主流路を流れる排気の一部をEGR流路に導入する機能を備える排気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排気装置では、EGRの流量を増加させたい場合、或いは過給機による過給後の吸気に対して排気を導入したい場合等、排気と吸気との圧力差を高めることに対する要求がある。しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、上記特許文献1の排気装置では、排気の圧力を調整する機能がないため、このような要求に対応できないという課題が見出された。
【0005】
本開示の1つの局面は、必要に応じて排気の圧力を高めることできる排気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、排気を流通させる機能を備える排気装置である。排気装置は、主流路部と、EGR流路部と、冷却流路部と、バイパス流路部と、少なくとも1つのバルブと、を備える。
【0007】
主流路部は、排気が流れる主流路を形成する。EGR流路部は、EGR流路を形成する。冷却流路部は、主流路から分岐し、主流路とEGR流路とをつなぎ、排気を冷却するための冷却流路を形成する。バイパス流路部は、バイパス流路を形成する。バイパス流路は、主流路から分岐し、冷却流路と並行するように配置され、主流路とEGR流路とをつなぎ、冷却流路とEGR流路との間に接続される。
【0008】
バルブは、主流路、冷却流路、バイパス流路のうちの何れか1つの少なくとも一部を閉塞するように構成される。
このような構成によれば、バルブの作動によって排気の流れを変更することができ、EGR流路に向かう排気の量を調整することができる。よって、必要に応じて排気の圧力を高めることができる。
【0009】
本開示の一態様では、第1分岐部と、第2分岐部と、を備えてもよい。第1分岐部は、主流路から冷却流路が分岐する部位である。第2分岐部は、主流路からバイパス流路が分岐する部位である。バルブは、第1分岐部と第2分岐部との間に配置されてもよい。
【0010】
このような構成によれば、主流路、冷却流路、バイパス流路の中間の位置にバルブを配置するので、1つのバルブで主流路、冷却流路、バイパス流路のうちの1つを閉塞する構成を実現しやすくすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、バルブは、板状部と、回転軸と、を備えてもよい。板状部は、板状に構成される。回転軸は、板状部の端辺の1つに沿って配置される。そして、バルブは板状部が回転軸を中心に回転するように構成されてもよい。板状部は四角形であってもよい。
【0012】
このような構成によれば、板状部が回転軸を中心に回転するという簡素な構成のバルブを採用できる。また、板状部が四角形であるため、断面積が大きな流路を閉塞しやすくすることができる。
【0013】
本開示の一態様では、冷却流路、EGR流路、及びバイパス流路が合流する部位を形成する合流部、をさらに備えてもよい。合流部では、EGR流路側の底部よりもバイパス流路側の底部の高さが低くなるように構成されてもよい。
【0014】
このような構成によれば、凝縮水が冷却流路からEGR流路に流れにくくすることができる。よって、EGR流路を介して凝縮水がエンジン等の内燃機関に流入しにくくすることができ、内燃機関のオイルの劣化を抑制することができる。
【0015】
本開示の一態様では、主流路部は、主流路から冷却流路が分岐する部位、及び主流路からバイパス流路が分岐する部位において、排気が鉛直方向下方へ流れるように構成されてもよい。
このような構成によれば、冷却流路にて生じた凝縮水が主流路に流れやすくすることができる。
【0016】
本開示の一態様では、冷却流路部はバイパス流路の鉛直方向上方に配置されてもよい。
このような構成によれば、冷却流路にて生じた凝縮水がバイパス流路に流れやすくすることができる。よって、EGR流路に凝縮水が流入しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態における排気装置を示す正面断面図である。
【
図2】燃焼システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態における排気装置を示す平面断面図である。
【
図6】
図6Aは第1変形例の排気装置を示す下面断面図、
図6Bはその正面断面図である。
【
図7】第2変形例の排気装置を示す正面断面図である。
【
図8】第3変形例の排気装置を示す正面断面図である。
【
図9】
図9Aは第4変形例の排気装置における冷却流路及びバイパス流路の左断面図、
図9Bは分岐部の平面断面図、
図9Cは第4変形例のバルブの正面図である。
【
図10】
図10Aは第5変形例の排気装置における冷却流路及びバイパス流路の左断面図、
図10Bは分岐部の平面断面図、
図10Cは第5変形例のバルブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.排気装置の概要]
図1に示す排気装置1は、排気を流通させる機能を備える装置である。排気装置1は、例えば
図2に示すように、エンジン2等の内燃機関を有する移動体(例えば乗用車等の車両)に搭載される燃焼システム100において採用される。
【0019】
燃焼システム100は、
図2に示すように、排気装置1と、エンジン2と、主流路部12~14(
図1参照)と、EGR流路部17とを備える。EGRは排気再循環を表す。燃焼システム100は、EGRバルブ3と、過給機4と、触媒5と、サブマフラ6と、メインマフラ7と、吸気流路部8とを備えてもよい。
【0020】
燃焼システム100では、吸気流路部8から空気が導入される、この空気を用いてエンジン2が別途供給される燃料を燃焼させる。燃焼によって生じた排気は、主流路部12~14のうちの上流管12から排気装置1に導入される。排気の一部はEGR流路部17及びEGRバルブ3を介して吸気流路部8に導入される。吸気流路部8に導入された排気は、吸気流路部8内の空気と混ぜられ、再びエンジン2での燃焼に用いられる。
【0021】
排気装置1を通過した排気の大部分は、例えばターボチャージャとして機能する過給機4が備えるタービンを駆動させ、その後、触媒5、サブマフラ6、メインマフラ7を介して大気に放出される。
【0022】
このような燃焼システム100では、過給機4が吸気流路部8内の空気の圧力を高めるように構成される。このため、排気がEGR流路部17から吸気流路部8に導入されるためには、EGR流路部17の排気の圧力が吸気流路部8内の空気の圧力よりも高くなる必要がある。そこで、排気装置1には、EGR流路部17の排気の圧力を高めるなど、排気の圧力を調整するための工夫が施されている。
【0023】
[1-2.排気装置の構成]
排気装置1は、
図1に示すように、主流路部12~14と、EGR流路部17と、冷却流路部20と、バイパス流路部24と、バルブ30と、を備える。排気装置1は、合流部18と、熱交換器21とを備えてもよい。
図1等においては、鉛直方向上方を「UP」として図示する。
【0024】
主流路部12~14は、排気が流れる主流路11を形成する筒状の部材である。主流路部12~14としては、上流管12と、下流管13と、分岐部14とを備える。上流管12は、分岐部14よりもエンジン2側にて分岐部14と連通する管である。下流管13は、分岐部14よりも触媒5側にて分岐部14と連通する管である。
【0025】
分岐部14では、第1分岐部14Aと第2分岐部14Bとが形成される。第1分岐部14Aは、主流路11から冷却流路19が分岐する部位である。第2分岐部14Bは、主流路11からバイパス流路23が分岐する部位である。第1分岐部14Aは第2分岐部14Bよりも、白抜き矢印で示す排気の流れの上流側に位置する。また、分岐部14において、主流路11から冷却流路19が分岐する部位、及び主流路11からバイパス流路23が分岐する部位では、排気が鉛直方向下方へ流れるように構成される。
【0026】
上流管12及び下流管13は、
図3及び
図6Bに示すように、流路の断面(すなわち排気の流れに直交する方向の断面)が円形になるように構成される。一方で、分岐部14は、流路の断面が四角形になるように構成される。
【0027】
EGR流路部17は、排気再循環のための流路であるEGR流路16を形成する筒状の部材である。
冷却流路部20は、
図1に示すように、主流路11から分岐し、主流路11とEGR流路16とをつなぎ、排気を冷却するための冷却流路19を形成する筒状の部材である。冷却流路19には、熱交換器21が配置される。熱交換器21は、排気と冷却水とで熱交換することで排気を冷却する機能を備える。より詳細には、熱交換器21には、
図3に示すように、液体流路21A及び21Bが接続されており、液体流路21A及び21Bを用いて熱交換器21内に冷却水が導入及び排出されることで、冷却水によって排気が冷却される。本開示の一態様では、冷却流路部20はバイパス流路23の鉛直方向上方に位置する。このため、熱交換器21内では凝縮水が生じるが、この凝縮水は、バイパス流路23内に流下しやすい。
【0028】
バイパス流路部24は、バイパス流路23を形成する筒状の部材である。バイパス流路23は、主流路11から分岐し、冷却流路19と隣接し、冷却流路19と並行するように位置する。バイパス流路23は、主流路11とEGR流路16とをつなぎ、冷却流路19とEGR流路16との間に接続される。バイパス流路23と冷却流路19とは、分離壁15によって隔てられる。冷却流路19からバイパス流路23に流下した凝縮水は、バイパス流路23内にて一部貯留され、大部分は第2分岐部14Bから主流路11に流入する。
【0029】
合流部18は、冷却流路19、EGR流路16、及びバイパス流路23が合流する部位を形成する筒状の部材である。合流部18は冷却流路19とEGR流路16との間の領域を形成する部材である。換言すれば、合流部18は冷却流路部20とEGR流路部17との間に位置する部材である。合流部18は、分岐部14側からEGR流路部17側に向かうにつれて、徐々に断面積が小さくなる先細り形状に形成される。この構成により、合流部18では、EGR流路16側の底部18Xよりもバイパス流路23側の底部18Yの高さ(鉛直方向での位置)が低くなるように構成される。換言すれば、EGR流路16側からバイパス流路23側に凝縮水が流れやすいように、合流部18は、EGR流路16側の底部18Xの最も低い部位から、バイパス流路23側の底部18Yの最も低い部位までの領域で、連続的に高さが低くなるように構成される。
【0030】
バルブ30は、主流路11、冷却流路19、バイパス流路23のうちの何れか1つの少なくとも一部を閉塞するように構成される。バルブ30は、主流路11、冷却流路19、バイパス流路23のうちの閉塞しない流路に排気を流通可能とする。バルブ30は、分岐部14の内部であって、第1分岐部14Aと第2分岐部14Bとの間に配置される。
【0031】
バルブ30は、
図4A、
図4B、
図4Cに示すように、板状部31と、回転軸32と、を備える。板状部31は、板状に構成される。回転軸32は、板状部31の端辺の1つに沿って配置され、回転軸32自体が回転するように構成される。そして、バルブ30は板状部31が回転軸32を中心に回転するように構成される。本実施形態では、板状部31は四角形である。板状部31は、回転する際に、先端部(回転軸32とは反対側の端部)が分岐部14の内壁に当接しないように配置される。また、バルブ30(特に回転軸32)は分離壁15に当接しない程度に近接して配置される。なお、回転軸32と分離壁15との間の隙間は任意に設定することができる。つまり、回転軸32と分離壁15とは比較的隔てられていてもよい。
【0032】
バルブ30は、板状部31が回転軸32を中心に回転することで、
図5Aに示す第1状態、
図5Bに示す第2状態、
図5Cに示す第3状態との間で遷移可能に構成される。
図5Aに示す第1状態では、バルブ30が冷却流路19を閉塞し、主流路11とバイパス流路23とを開放する。この場合、排気の大部分は、上流管12、分岐部14、下流管13の順で流通する。排気の一部は、上流管12、分岐部14、バイパス流路23、EGR流路16の順で流通する。第1状態は、エンジン2の暖機運転時など、排気の冷却が不要なときに採用されうる。
【0033】
図5Bに示す第2状態では、バルブ30がバイパス流路23を閉塞し、主流路11と冷却流路19とを開放する。この場合、排気の大部分は、上流管12、分岐部14、下流管13の順で流通する。排気の一部は、上流管12、分岐部14、冷却流路19、EGR流路16の順で流通する。第2状態は、通常時、すなわち、第1状態及び第3状態にすべきでないときに採用されうる。
【0034】
図5Cに示す第3状態では、バルブ30が主流路11を閉塞し、冷却流路19とバイパス流路23とを開放する。ただし、バルブ30が主流路11を閉塞したとしても、排気の排出に支障がないように構成される。具体的には、排気の大部分は、上流管12、分岐部14、冷却流路19、バイパス流路23、下流管13の順で流通する。排気の一部は、冷却流路19を通過後にEGR流路16に導入される。第3状態では、排気の大部分が冷却流路19を通過するため、EGR流路16における合流部18付近での排気の圧力は、比較的高い状態となる。第3状態は、排気の圧力に対して吸気の圧力が比較的高く、排気の圧力を増加させる必要がある際に採用されうる。具体的には、エンジン2の回転数が比較的低い状態においてトルクを必要とする場合等である。
【0035】
なお、バルブ30が何れかの流路を閉塞する場合、少なくともその流路の一部が閉塞されていればよく、隙間が生じるなどして一部が開放されていてもよい。
【0036】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本開示の一態様は、排気を流通させる機能を備える排気装置1である。冷却流路部20は、主流路11から分岐し、主流路11とEGR流路16とをつなぎ、排気を冷却するための冷却流路19を形成する。バイパス流路部24は、バイパス流路23を形成する。バイパス流路23は、主流路11から分岐し、冷却流路19と並行する(隣接する)ように配置され、主流路11とEGR流路16とをつなぎ、冷却流路19とEGR流路16との間に接続される。バルブ30は、主流路11、冷却流路19、バイパス流路23のうちの何れか1つの少なくとも一部を閉塞するように構成される。
【0037】
このような構成によれば、バルブ30の作動によって排気の流れを変更することができ、EGR流路16に向かう排気の量を調整することができる。よって、必要に応じて排気の圧力を高めることができる。
【0038】
(1b)本開示の一態様では、バルブ30は、第1分岐部14Aと第2分岐部14Bとの間に配置される。
このような構成によれば、主流路11、冷却流路19、バイパス流路23の中間の位置にバルブ30を配置するので、1つのバルブ30で主流路11、冷却流路19、バイパス流路23のうちの1つを閉塞する構成を実現しやすくすることができる。
【0039】
(1c)本開示の一態様では、バルブ30は板状部31が回転軸32を中心に回転するように構成される。板状部31は四角形である。
このような構成によれば、板状部31が回転軸32を中心に回転するという簡素な構成のバルブ30を採用できる。また、板状部31が四角形であるため、断面積が大きな流路を閉塞しやすくすることができる。
【0040】
(1d)本開示の一態様において、合流部18では、EGR流路16側の底部18Xよりもバイパス流路23側の底部18Yの高さが低くなるように構成される。
このような構成によれば、冷却流路19から間に移動した凝縮水がEGR流路16に流れにくくすることができる。よって、EGR流路16を介して凝縮水がエンジン2に流入しにくくすることができ、オイルの劣化を抑制することができる。
【0041】
(1e)本開示の一態様では、主流路部12~14は、主流路11から冷却流路19が分岐する部位、及び主流路11からバイパス流路23が分岐する部位において、排気が鉛直方向下方へ流れるように構成される。
このような構成によれば、冷却流路19にて生じた凝縮水が主流路11に流れやすくすることができる。
【0042】
(1f)本開示の一態様では、冷却流路部20はバイパス流路23の鉛直方向上方に配置される。
このような構成によれば、冷却流路19にて生じた凝縮水がバイパス流路23に流れやすくすることができる。よって、EGR流路16に凝縮水が流入しにくくすることができる。
【0043】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0044】
(2a)上記実施形態では、1つのバルブ30が、何れかの流路を閉塞するように構成したが、これに限定されない。例えば、主流路11、冷却流路19、バイパス流路23をそれぞれ個別に閉塞可能な複数のバルブを備え、各バルブが協働して何れかの流路を閉塞するように構成してもよい。つまり、バルブ30の数は1つでも複数でもよい。
【0045】
(2b)上記実施形態では、第1分岐部14A及び第2分岐部14Bにおいて排気が鉛直方向下方へ流れるように構成したが、これに限定されない。例えば、
図1の矢印[A]に示すように鉛直方向を規定し、分岐部14側よりもEGR流路部17側が鉛直方向上側に向くように配置してよい。また、矢印[B]に示すように、分岐部14側よりもEGR流路部17側が鉛直方向下側に向くように配置してよい。或いは、矢印[C]に示すように、EGR流路部17側が鉛直方向真上を向くように配置してもよい。
このような構成であっても、バルブ30が、何れかの流路を良好に閉塞するように構成することができる。
【0046】
(2c)また或いは、
図6A及び
図6Bに示す第1変形例の排気装置1Aのように、主流路11が水平方向を向くように主流路部12~14が配置されてもよい。この場合、冷却流路19及びバイパス流路23が水平方向に並ぶように冷却流路部20及びバイパス流路部24が配置されてもよい。この場合においても、合流部18では、EGR流路16側の底部18Xよりもバイパス流路23側の底部18Yの高さが低くなるように構成される。
このような構成であっても、冷却流路19から間に移動した凝縮水がEGR流路16に流れにくくすることができる。
【0047】
(2d)上記実施形態では、冷却流路19の断面積(矢印で示す排気の流れと直交する断面の面積)とバイパス流路23の断面積とが概ね同じになるように構成されたが、この構成に限られない。例えば、
図7に示す第2変形例の排気装置1Bのように、バイパス流路23Aの断面積が冷却流路19の断面積よりも小さくなるように構成されてもよい。この構成において、バイパス流路23Aの断面積は、EGR流路16の断面積よりもよりも小さくなるように構成されてもよい。
このような構成によれば、冷却流路19を流れる排気が、バイパス流路23Aに流れにくくすることができるので、EGR流路16に向かう排気の量を増やす(圧力を高める)ことができる。
【0048】
(2e)
図8に示す第3変形例の排気装置1Cのように、より長い合流部18Aが採用されてもよい。合流部18Aは、分岐部14側からEGR流路部17側に向かうにつれて、上述した合流部18よりも、より緩やかに断面積が小さくなるように構成される。このため、合流部18Aは、バイパス流路部24(冷却流路部20)からEGR流路部17までの長さが上述した合流部18よりも長くなる。
【0049】
このような構成によれば、より長い合流部18Aを採用しているので、冷却流路19から勢いよくEGR流路16に向かう凝縮水を合流部18Aが受け止めやすくすることができる。よって、EGR流路16に凝縮水が進入しにくくすることができる。
【0050】
(2f)上記実施形態では、分岐部14の断面形状を四角形に構成したが、この構成に限られない。例えば、上述した分岐部14、冷却流路部20、熱交換器21、バイパス流路部24に換えて、
図9A、
図9Bに示すように、断面形状が三角形の分岐部14B、冷却流路部20B、熱交換器21B、バイパス流路部24Bを備えてもよい。この場合、上述したバルブ30に換えて、
図9Cに示すバルブ30Bを備えてもよい。バルブ30Bは、板状部31Bと、回転軸32Bと、を備える。板状部31Bは、三角形の板状に構成される。回転軸32Bは、板状部31Bの端辺の1つに沿って配置される。
【0051】
また例えば、上述した分岐部14、冷却流路部20、熱交換器21、バイパス流路部24に換えて、
図10A、
図10Bに示すように、断面形状が半円形の分岐部14C、冷却流路部20C、熱交換器21C、バイパス流路部24Cを備えてもよい。この場合、上述したバルブ30に換えて、
図10Cに示すバルブ30Cを備えてもよい。バルブ30Cは、板状部31Cと、回転軸32Cと、を備える。板状部31Cは、半円形の板状に構成される。回転軸32Cは、板状部31Bの端辺の1つに沿って配置される。
これらのような構成であっても、主流路11、冷却流路19、バイパス流路23のうちの何れか1つの少なくとも一部を良好に閉塞することができる。
【0052】
(2g)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0053】
(2h)上述した排気装置1,1A~1Cの他、当該排気装置1,1A~1Cを構成要素とする燃焼システム100等のシステムなど、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0054】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
排気を流通させる機能を備える排気装置であって、
排気が流れる主流路を形成する主流路部と、
EGR流路を形成するEGR流路部と、
前記主流路から分岐し、前記主流路と前記EGR流路とをつなぎ、排気を冷却するための冷却流路を形成する冷却流路部と、
前記主流路から分岐し、前記冷却流路と並行するように位置するバイパス流路であって、前記主流路と前記EGR流路とをつなぎ、前記冷却流路と前記EGR流路との間に接続されるバイパス流路、を形成するバイパス流路部と、
前記主流路、前記冷却流路、前記バイパス流路のうちの何れか1つの少なくとも一部を閉塞するように構成されたバルブと、
を備える排気装置。
[項目2]
項目1に記載の排気装置であって、
前記主流路から前記冷却流路が分岐する部位である第1分岐部と、前記主流路から前記バイパス流路が分岐する部位である第2分岐部と、をさらに備え、
前記バルブは、前記第1分岐部と前記第2分岐部との間に配置される
ように構成された排気装置。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の排気装置であって、
前記バルブは、板状に構成された板状部と、前記板状部の端辺の1つに沿って配置された回転軸と、を備え、
前記バルブは前記板状部が前記回転軸を中心に回転するように構成され、
前記板状部は四角形である排気装置。
[項目4]
項目1から項目3までの何れか1項に記載の排気装置であって、
前記冷却流路、前記EGR流路、及び前記バイパス流路が合流する部位を形成する合流部、をさらに備え、
前記合流部では、前記EGR流路側の底部よりも前記バイパス流路側の底部の高さが低くなる
ように構成された排気装置。
[項目5]
項目1から項目4までの何れか1項に記載の排気装置であって、
前記主流路部は、前記主流路から前記冷却流路が分岐する部位、及び前記主流路から前記バイパス流路が分岐する部位において、排気が鉛直方向下方へ流れる
ように構成される排気装置。
[項目6]
項目1から項目5までの何れか1項に記載の排気装置であって、
前記冷却流路部は前記バイパス流路部の鉛直方向上方に配置される
排気装置。
【符号の説明】
【0055】
1,1A~1C…排気装置、11…主流路、12~14…主流路部、15…分離壁、16…EGR流路、17…EGR流路部、18…合流部、18A…合流部、18X,18Y…底部、19…冷却流路、20,20B,20C…冷却流路部、21,21B,21C…熱交換器、23,23A…バイパス流路、24,24B,24C…バイパス流路部、30,30B,30C…バルブ、31,31B,31C…板状部、32,32B,32C…回転軸、100…燃焼システム。