(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104566
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】光学接続構造および光ケーブル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20240729BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/44 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008856
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古根川 直人
(72)【発明者】
【氏名】辻田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】寺地 誠喜
【テーマコード(参考)】
2H137
2H201
【Fターム(参考)】
2H137BA06
2H137BA15
2H137BA31
2H137BA52
2H137BA55
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB33
2H137CC03
2H201BB06
2H201BB14
2H201BB23
2H201BB24
2H201KK23B
2H201KK24B
2H201KK26B
(57)【要約】
【課題】長手方向における芯線の一端部の光学物性の低下が抑制された光学接続構造および光ケーブルを提供すること。
【解決手段】光学接続構造1は、光導波路21と、プラスチック光ファイバケーブル3と、接着部材4とを備える。プラスチック光ファイバケーブル3の他端部31は、芯線32と、被覆層33とを備える。被覆層33は、芯線32の周面32S2に配置される。接着部材4は、プラスチック光ファイバケーブル3の他端部31における被覆層33の周面33S2に接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路と、
前記光導波路と光学的に接続されるプラスチック光ファイバケーブルと、
長手方向における前記光導波路の一端部と、長手方向における前記プラスチック光ファイバケーブルの他端部とを接着する接着部材とを備え、
前記プラスチック光ファイバケーブルの前記他端部は、芯線と、前記芯線の周面に配置される被覆層とを備え、
前記接着部材は、前記他端部における前記被覆層の周面に接触する、光学接続構造。
【請求項2】
前記接着部材は、前記被覆層に対して前記芯線の反対側に配置される、請求項1に記載の光学接続構造。
【請求項3】
前記接着部材は、接着剤の硬化物である、請求項1に記載の光学接続構造。
【請求項4】
前記接着剤は、紫外線硬化性である、請求項3に記載の光学接続構造。
【請求項5】
25℃における前記接着剤の粘度は、0.5Pa・s以上、50Pa・s以下である、請求項3に記載の光学接続構造。
【請求項6】
前記芯線は、コアと、前記コアの周面を被覆するクラッドと、を備える、請求項1に記載の光学接続構造。
【請求項7】
前記接着部材の全光線透過率は、70%以上である、請求項1に記載の光学接続構造。
【請求項8】
光電気混載基板を備え、
前記光電気混載基板は、
前記光導波路と、
厚み方向における前記光導波路の一方面に配置される電気回路基板とを備え、
長手方向における前記電気回路基板の一端部は、長手方向における前記被覆層の他端部と、前記接着部材によって接着されている、請求項1に記載の光学接続構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学接続構造を有する、光ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学接続構造および光ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック光ファイバケーブルは、光導波路と光学的に接続されることが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。プラスチック光ファイバケーブルは、光ファイバ芯線と、被覆層とを備える。芯線は、コアと、クラッドとを備える。クラッドは、コアの周面に接触する。被覆層は、芯線の周面に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長手方向におけるプラスチック光ファイバケーブルの他端部における被覆層を除去した後、硬化性の接着剤を用いて、プラスチック光ファイバケーブルは、光導波路と光学的に接続される。このとき、接着剤は、芯線の他端部の周面と、長手方向における光導波路の他端部の周面とに接触する。
【0005】
そうすると、接着剤の成分が、プラスチック光ファイバケーブルの芯線の内部に染み込むという不具合がある。具体的には、成分が、コアに染み込む。この場合には、長手方向における芯線(コア)の他端部の光学物性が低下する。上記した成分の染み込みは、ガラス製の光ファイバケーブルでは見られず、プラスチック光ファイバケーブルで顕著である。
【0006】
本発明は、長手方向における芯線の他端部の光学物性の低下が抑制された光学接続構造および光ケーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、光導波路と、前記光導波路と光学的に接続されるプラスチック光ファイバケーブルと、長手方向における前記光導波路の一端部と、長手方向における前記プラスチック光ファイバケーブルの他端部とを接着する接着部材とを備え、前記プラスチック光ファイバケーブルの前記他端部は、芯線と、前記芯線の周面に配置される被覆層とを備え、前記接着部材は、前記他端部における前記被覆層の周面に接触する、光学接続構造を含む。
【0008】
この光学接続構造では、接着部材は、プラスチック光ファイバケーブルの他端部における被覆層の周面に接触する。そのため、接着部材の成分が芯線の内部に染み込むことが抑制される。その結果、長手方向における芯線の他端部の光学物性の低下を抑制できる。
【0009】
本発明[2]は、前記接着部材は、前記被覆層に対して前記芯線の反対側に配置される、[1]に記載の光学接続構造を含む。
【0010】
この光学接続構造では、接着部材は、被覆層に対して芯線の反対側に配置されるので、接着部材の成分が芯線の内部に染み込むことがより一層抑制される。
【0011】
本発明[3]は、前記接着部材は、接着剤の硬化物である、[1]または[2]に記載の光学接続構造を含む。
【0012】
本発明[4]は、前記接着剤は、紫外線硬化性である、[3]に記載の光学接続構造を含む。
【0013】
本発明[5]は、25℃における前記接着剤の粘度は、0.5Pa・s以上、50Pa・s以下である、[3]または[4]に記載の光学接続構造を含む。
【0014】
接着剤の粘度が0.5Pa・s以上、50Pa・s以下であるので、接着剤が適度な硬さを有するため、接着剤を所望の位置に配置することができる。
【0015】
本発明[6]は、前記芯線は、コアと、前記コアの周面を被覆するクラッドと、を備える、[1]から[5]のいずれか一項に記載の光学接続構造を含む。
【0016】
本発明[7]は、前記接着部材の全光線透過率は、70%以上である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の光学接続構造を含む。
【0017】
この光学接続構造では、接着部材の全光線透過率が70%以上であるので、接着剤部材がプラスチック光ファイバケーブルの他端面と光導波路の一端面との間に入り込んでも、光学接続構造の接続信頼性の低下を抑制できる。
【0018】
本発明[8]は、光電気混載基板を備え、前記光電気混載基板は、前記光導波路と、厚み方向における前記光導波路の一方面に配置される電気回路基板とを備え、長手方向における前記電気回路基板の一端部は、長手方向における前記被覆層の他端部と、前記接着部材によって接着されている、[1]から[7]のいずれか一項に記載の光学接続構造を含む。
【0019】
本発明[9]は、[1]から[8]のいずれか一項に記載の光学接続構造を有する、光ケーブルを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光学接続構造および光ケーブルは、長手方向における芯線の他端部の光学物性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
(定義)
この明細書において、「一端部」とは、長手方向における一方側に有する端部のことを意味する。この明細書において、「他端部」とは、長手方向における他方側(つまり、一方側とは反対側)に有する端部のことを意味する。
【0023】
この明細書において、「一端面」とは、長手方向における一方側に有する面のことを意味する。この明細書において、「他端面」とは、長手方向における他方側(つまり、一方側とは反対側)に有する面のことを意味する。
【0024】
この明細書において、「一方面」とは、厚み方向における一方側に有する面のことを意味する。この明細書において、「他方面」とは、厚み方向における他方側(つまり、一方側とは反対側)に有する面のことを意味する。
【0025】
1. 光学接続構造の一実施形態
図1Aから
図2を参照して、本発明の光学接続構造の一実施形態を説明する。
【0026】
図1Aおよび
図1Bに示すように、光学接続構造1は、次に説明する光電気混載基板2およびプラスチック光ファイバケーブル3を光学的に接続する。光学接続構造1は、長手方向に延びる。長手方向は、光学接続構造1において光信号が伝送される方向である。本実施形態では、光学接続構造1は、厚みを有する。厚みは、長手方向に直交する。本実施形態では、光学接続構造1は、テープ形状またはシート形状を有する。本実施形態において、テープおよびシートは、区別されない。光学接続構造1は、光電気混載基板2と、プラスチック光ファイバケーブル3と、接着部材4とを備える。好ましくは、光学接続構造1は、光電気混載基板2と、プラスチック光ファイバケーブル3と、接着部材4とのみを備える。
【0027】
1.1 光電気混載基板2
光電気混載基板2は、長手方向に延びる。光電気混載基板2は、厚みを有する。光電気混載基板2は、テープ形状またはシート形状を有する。光電気混載基板2は、長手方向における光学接続構造1の他方部分である。光電気混載基板2は、光導波路21と、電気回路基板22とを備える。本実施形態では、光電気混載基板2は、光導波路21と、電気回路基板22とを厚み方向の一方側に向かって順に備える。光電気混載基板2は、好ましくは、光導波路21と、電気回路基板22とのみを備える。
【0028】
1.1.1 光導波路21
光導波路21は、長手方向に延びる。光導波路21は、厚みを有する。光導波路21は、テープ形状またはシート形状を有する。本実施形態では、光導波路21は、厚み方向における光電気混載基板2の他端面に配置されている。
【0029】
光導波路21は、長手方向における一端部211を有する。一端部211は、一端面211S1と、周面211S2とを含む。
【0030】
一端面211S1は、長手方向に直交する。具体的には、一端面211S1は、厚み方向および幅方向に沿う。幅方向は、長手方向および厚み方向に直交する。
【0031】
周面211S2は、長手方向に沿う。周面211S2は、一端面211S1の周端縁から長手方向に延びる。
【0032】
光導波路21は、コア212と、クラッド213とを備える。
【0033】
コア212は、光導波路21に複数備えられる。複数のコア212は、幅方向において互いに間隔が隔てられる。コア212は、断面視において、略円形状を有する。コア212は、上記した一端面211S1を含む。
【0034】
クラッド213は、コア212の周面に配置される。クラッド213は、コア212の周面の全部に接触する。クラッド213は、上記した一端面211S1と、上記した周面211S2とを含む。長手方向におけるコア212の一端面211S1と、長手方向におけるクラッド213の一端面211S1とは、面一である。
【0035】
光導波路21は、透明である。光導波路21の全光線透過率は、例えば、80%以上、好ましくは、90%以上であり、また、99%以下である。全光線透過率は、紫外可視近赤外分光光度計を用いて算出された積分球における透過率を意味する。後述する芯線32の全光線透過率、被覆層33の全光線透過率、および、接着部材4の全光線透過率のそれぞれも、上記と同一の意味である。コア212の屈折率は、クラッド213の屈折率より高い。光導波路21の材料としては、例えば、有機材料、および、無機材料が挙げられる。有機材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、および、シリコーン樹脂が挙げられる。無機材料としては、例えば、ガラスが挙げられる。光導波路21の材料として、好ましくは、変形時の損傷を抑制する観点から、有機材料が挙げられる。好ましくは、光導波路21は、可撓性を有する。
【0036】
光導波路21の厚みは、例えば、20μm以上、200μm以下である。光導波路21の幅は、例えば、1mm以上、1,000mm以下である。コア212の直径は、5μm以上、500μm以下である。
【0037】
1.1.2 電気回路基板22
電気回路基板22は、厚み方向における光導波路21の一方面に配置される。電気回路基板22は、長手方向に延びる。電気回路基板22は、厚みを有する。電気回路基板22は、テープ形状またはシート形状を有する。本実施形態では、電気回路基板22は、厚み方向における光電気混載基板2の一端面に配置されている。電気回路基板22は、光導波路21の一方面に接触する。
【0038】
電気回路基板22は、長手方向における一端部221を有する。一端部221は、一端面221S1と、周面221S2とを含む。
【0039】
一端面221S1は、厚み方向および幅方向に沿う。
【0040】
周面221S2は、長手方向に沿う。周面221S2は、一端面221S1の周端縁から長手方向に延びる。本実施形態では、電気回路基板22の周面221S2の一部(厚み方向の他方面)は、光導波路21の周面211S2の一部(厚み方向の一方面)と接触する。
【0041】
電気回路基板22は、図示しないが、金属支持層、ベース絶縁層、導体層およびカバー絶縁層を厚み方向の一方側に向かって順に配置される。また、図示しないが、光電気混載基板2は、導体層に接続される光電変換素子をさらに備えてもよい。光電変換素子は、コア212に形成されるミラー(図示せず)と光学的に接続される。電気回路基板22の厚みは、例えば、10μm以上、200μm以下である。
【0042】
1.2 プラスチック光ファイバケーブル3
プラスチック光ファイバケーブル3は、光導波路21と光学的に接続される。プラスチック光ファイバケーブル3は、長手方向に延びる。プラスチック光ファイバケーブル3は、厚みを有する。本実施形態では、プラスチック光ファイバケーブル3は、テープ形状またはシート形状を有する。プラスチック光ファイバケーブル3は、長手方向における光学接続構造1の一方部分である。プラスチック光ファイバケーブル3は、長手方向における他端部31を有する。
【0043】
図2に示すように、プラスチック光ファイバケーブル3は、芯線32と、被覆層33とを備える。
【0044】
1.2.1 芯線32
芯線32は、プラスチック光ファイバケーブル3に複数備えられる。本実施形態では、複数の芯線32は、幅方向において互いに間隔が隔てられる。本実施形態では、芯線32は、断面視において、円形状を有する。芯線32は、長手方向にわたってプラスチック光ファイバケーブル3の全体に含まれる。そのため、プラスチック光ファイバケーブル3の他端部31は、芯線32を備える。他端部31における芯線32は、光導波路21の一端部211におけるコア212およびクラッド213に対向する。
図1Aおよび
図1Bに示すように、長手方向における芯線32における他端部は、他端面32S1と、周面32S2とを含む。
【0045】
他端面32S1は、長手方向に直交する。他端面32S1は、長手方向において、光電気混載基板2における一端面211S1と対向する。他端面32S1は、一端面211S1と接触する。なお、他端面32S1は、一端面211S1と間隔が隔てられることも許容される。
【0046】
周面32S2は、長手方向に沿う。周面32S2は、他端面32S1の周端縁から長手方向に延びる。
【0047】
芯線32は、コア321と、クラッド322と、を備える。
【0048】
コア321は、径方向における芯線32の中央部に配置される。コア321は、断面視において、円形状を有する。長手方向におけるコア321の他端部は、他端面32S1を含む。長手方向におけるコア321の他端部は、周面32S2を含まない。
【0049】
クラッド322は、コア321の周面を被覆する。クラッド322は、コア321の周面の全部に接触する。クラッド322は、断面視において、円環形状を有する。クラッド322の他端部は、他端面32S1と、周面32S2とを含む。
【0050】
芯線32は、透明である。芯線32の全光線透過率は、例えば、80%以上99%以下、好ましくは、90%以上99%以下である。コア321の屈折率は、クラッド322の屈折率より高い。芯線32の材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、含フッ素ポリマー、ポリカーボネート樹脂(変性ポリカーボネート樹脂を含む)、アクリル樹脂、および、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0051】
1.2.2 被覆層33
図2に示すように、本実施形態では、被覆層33は、プラスチック光ファイバケーブル3に単数備えられる。被覆層33は、断面視において、複数の芯線32を被覆する。被覆層33は、複数の芯線32の周面に配置される。被覆層33は、長手方向にわたってプラスチック光ファイバケーブル3の全体に含まれる。そのため、プラスチック光ファイバケーブル3の他端部31は、被覆層33を備える。被覆層33の断面視における外形形状は、限定されない。被覆層33は、保護層と称呼されることもある。
図1Bに示すように、被覆層33は、他端面33S1と、周面33S2とを含む。
【0052】
他端面33S1は、長手方向に直交する。被覆層33の他端面33S1は、芯線32の他端面32S1と面一である。
【0053】
周面33S2は、長手方向に沿う。周面33S2は、他端面33S1の周端縁から長手方向に延びる。
図2に示すように、被覆層33の周面33S2は、径方向において、芯線32の周面32S2と間隔が隔てられる。
【0054】
被覆層33は、不透明である。被覆層33の全光線透過率は、例えば、0%以上10%以下、好ましくは、0%以上5%以下である。被覆層33は、可撓性を有する。被覆層33の材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。
【0055】
1.3 接着部材4
図1Aおよび
図1Bに示すように、接着部材4は、長手方向における光導波路21の一端部211と、長手方向におけるプラスチック光ファイバケーブル3の他端部31とを接着する。また、接着部材4は、長手方向における電気回路基板22の一端部211と、長手方向における被覆層33の他端部31とを接着する。
【0056】
図1Bおよび
図2に示すように、具体的には、接着部材4は、プラスチック光ファイバケーブル3の他端部31における被覆層33の周面33S2に接触する。接着部材4は、他端部31における被覆層33の周面33S2の全部に接触する。接着部材4は、被覆層33に対して芯線32の反対側に配置される。言い換えると、接着部材4と芯線32との間に被覆層33が設けられる。接着部材4は、芯線32の周面に接触しない。
【0057】
接着部材4の全光線透過率は、例えば、70%以上100%以下、好ましくは、80%以上100%以下、より好ましくは、90%以上100%以下である。接着部材4の全光線透過率が上記した下限以上であれば、接着部材4がプラスチック光ファイバケーブル3の他端面32S1と光導波路21の一端面211S1との間に入り込んでも、光学接続構造1の接続信頼性の低下を抑制できる。
【0058】
長手方向における接着部材4の長さは、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下である。つまり、長手方向における接着部材4の長さは、例えば、0.5mm以上20mm以下、0.5mm以上10mm以下、1mm以上20mm以下、または1mm以上10mm以下である。光電気混載基板2(光導波路21)を接着する接着部材4の長手方向長さは、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下である。つまり、光電気混載基板2(光導波路21)を接着する接着部材4の長手方向長さは、例えば、0.5mm以上20mm以下、0.5mm以上10mm以下、1mm以上20mm以下、または1mm以上10mm以下である。被覆層3を接着する接着部材4の長手方向長さは、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下である。つまり、被覆層3を接着する接着部材4の長手方向長さは、例えば、0.5mm以上20mm以下、0.5mm以上10mm以下、1mm以上20mm以下、または1mm以上10mm以下である。接着部材4の長さが上記した下限以上であれば、光学接続構造1における接続信頼性に優れる。
【0059】
接着部材4は、例えば、接着剤の硬化物である。接着剤は、紫外線硬化性、または、熱硬化性であり、好ましくは、熱劣化を抑制する観点から、紫外線硬化性である。接着剤としては、例えば、アクリル接着剤、エポキシ接着剤およびシリコーン接着剤が挙げられる。なお、接着剤は、例えば、25℃で液状である。
【0060】
25℃における接着剤の粘度は、例えば、0.5Pa・s以上、好ましくは、1Pa・s以上であり、例えば、50Pa・s以下、好ましくは、25Pa・s以下である。つまり、25℃における接着剤の粘度は、例えば、0.5Pa・s以上50Pa・s以下、0.5Pa・s以上25Pa・s以下、1Pa・s以上50Pa・s以下、または1Pa・s以上25Pa・s以下である。接着剤の粘度は、EHD型粘度計より測定される。接着剤の粘度が上記した下限以上、上限以下であれば、接着剤は所望の位置に配置されながら、接着剤が周囲に付着して汚染することを抑制できる。
【0061】
1.4 光学接続構造1の製造方法
次に、光学接続構造1の製造方法を説明する。
【0062】
まず、光電気混載基板2とプラスチック光ファイバケーブル3とをそれぞれ準備する。
【0063】
次いで、光電気混載基板2の一端面221S1と、プラスチック光ファイバケーブル3の他端面32S1とを突き合わせる。続いて、光電気混載基板2の一端部211、221と、プラスチック光ファイバケーブル3の他端部31とに、接着剤を配置する。
【0064】
その後、接着剤を硬化させる。接着剤に紫外線を照射し、または、接着剤を加熱する。これにより、接着部材4が形成される。すると、接着部材4は、光電気混載基板2の一端部211,221と、長手方向におけるプラスチック光ファイバケーブル3の他端部31とを接着する。
【0065】
これによって、光学接続構造1が製造される。
【0066】
1.5 用途
光学接続構造1の用途は、限定されない。光学接続構造1は、光ケーブル100として用いられる。つまり、光ケーブル100は、上記した光学接続構造1を含む。
【0067】
2. 作用効果
図2に示すように、この光学接続構造1では、接着部材4は、プラスチック光ファイバケーブル3の他端部31における被覆層33の周面33S2に接触する。そのため、接着部材4が芯線32の周面32S2に接触することが抑制され、接着部材4の成分が芯線32の内部に染み込むことが抑制される。具体的には、接着剤の成分が、コア321に染み込むことが抑制される。その結果、長手方向における芯線32(コア321)の他端部の光学物性の低下を抑制できる。なお、この実施形態においては、
図2が示すように、接着部材4が、被覆層33の周面33S2の全体を被覆するように接触するが、被覆層33の周面33S2の少なくとも一部(例えば、周面の面積の50%以上)を被覆するように接触するような構成であってもよい。
【0068】
この光学接続構造1では、接着部材4は、被覆層33に対して芯線32の反対側に配置されるので、接着部材4の成分が芯線32の内部に染み込むことがより一層抑制される。
【0069】
接着剤の粘度が0.5Pa・s以上、50Pa・s以下であれば、接着剤は所望の位置に配置されながら、接着剤が周囲に付着して汚染することを抑制できる。
【0070】
この光学接続構造1では、接着部材4の全光線透過率が70%以上であえば、接着剤部材がプラスチック光ファイバケーブル3の他端面32S1と光導波路21の一端面211S1との間に入り込んでも、光学接続構造1の接続信頼性の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0071】
1 光学接続構造
100 光ケーブル
2 光電気混載基板
21 光導波路
22 電気回路基板
211 一端部(光導波路)
3 プラスチック光ファイバケーブル
31 他端部(プラスチック光ファイバケーブル)
32 芯線
32S2 周面(芯線)
321 コア(芯線)
322 クラッド(芯線)
33 被覆層
33S2 周面(被覆層)
4 接着部材