(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104569
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】センサ装置および溶接ロボット
(51)【国際特許分類】
B23K 9/095 20060101AFI20240729BHJP
B23K 9/10 20060101ALI20240729BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20240729BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B23K9/095 515A
B23K9/10 Z
B25J19/02
B23K31/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008859
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】520291168
【氏名又は名称】新東スマートエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 武志
(72)【発明者】
【氏名】森 一彦
(72)【発明者】
【氏名】石岡 秀昭
【テーマコード(参考)】
3C707
4E082
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS10
3C707JU03
3C707KS01
3C707KS29
3C707KS37
3C707KT01
3C707KT05
3C707KV11
3C707KX07
3C707MS14
3C707MS15
4E082AA01
(57)【要約】
【課題】センサ装置の窓部材が汚れているか否かの判断を、発光素子の出力低下が生じているか否かの判断と区別して行える溶接ロボットを実現する。
【解決手段】溶接ロボット(100)に設けられ、レーザ光を用いて溶接対象を検知するセンサ装置(3)であって、レーザ光を透過する窓部材(312)を有し、溶接ロボットが備える溶接トーチ(2)の側面に配置される筐体(31)と、筐体の中から、窓部材を介して溶接対象(W)にレーザ光を照射する発光素子(32)と、筐体の中の反射体(312)で反射したレーザ光の光路L2上、および窓部材に付着している散乱体によって散乱したレーザ光の光路上に配置され、受けたレーザ光の強度に応じた出力を行う光検出部(34)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ロボットに設けられ、レーザ光を用いて溶接対象を検知するセンサ装置であって、
前記レーザ光を透過する窓部材を有し、前記溶接ロボットが備える溶接トーチの側面に配置される筐体と、
前記筐体の中から、前記窓部材を介して前記溶接対象に前記レーザ光を照射する発光素子と、
前記筐体の中に配置され、前記レーザ光の波長を含む波長帯域に属する光を検出する光検出部と、
を備えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記光検出部は、前記筐体の中の反射体で反射したレーザ光の光路上に配置された単一の受光素子で構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記光検出部は、
前記筐体の中の反射体で反射したレーザ光の光路上に配置された第一の受光素子と、
前記筐体の中の前記第一の受光素子とは異なる位置に配置された第二の受光素子と、
によって構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記筐体の中の反射体は、前記レーザ光の光路上に配置されたハーフミラー、または前記窓部材である、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記反射体は、前記窓部材であり、
前記光検出部の受光素子は、前記窓部材で反射したレーザ光の光路上に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記窓部材を着脱することが可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記窓部材および前記発光素子の交換直後の前記光検出部の出力である第一の初期出力に基づく第一閾値、または前記窓部材の交換直後の前記光検出部の出力である第二の初期出力に基づく第二閾値が更新されたことを契機として、
前記光検出部からの出力が前記第一閾値以下であるか否かを判断する処理と、
前記出力が前記第一閾値以下であると判断した場合に、前記発光素子が劣化している旨の第一信号を出力する処理と、
前記光検出部からの出力が前記第二閾値以上であるか否かを判断する処理と、
前記出力が前記第二閾値以上であると判断した場合に、前記窓部材が汚れている旨の第二信号を出力する処理と、
を実行するプロセッサを備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記光検出部は、前記レーザ光の波長を含む波長帯域に属する光を検知する受光素子で構成されている、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記光検出部は、
受光素子と、
前記受光素子の受光面に設けられ、前記レーザ光の波長を含む波長帯域に属する光のみを透過させるフィルタと、
で構成されている、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記発光素子を冷却する冷却部を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記冷却部は、ペルチェ素子または、ヒートシンクである、
ことを特徴とする請求項10に記載のセンサ装置。
【請求項12】
溶接トーチと、
請求項7に記載のセンサ装置と、
前記センサ装置のプロセッサが出力した信号に応じた報知を行う報知部と、
を備えることを特徴とする溶接ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ装置および溶接ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されたような溶接ロボットの制御装置が知られている。この制御装置は、測距センサを固定面から一定の距離に配置するとともに測距センサから一定の出力でレーザを筐体の外のワークへ照射し、ワークで反射したレーザの受光量を測定する測定手段と、測定される受光量と所定の基準量との比較結果に基づいて、保護部材の交換を促す信号を出力するか否かの判定を行う判定手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術は、筐体の外から入射しようとするレーザが汚れで遮られた、すなわち測定されたレーザの受光量が減少したことを以て、保護部材が汚れたと判断する。一方、レーザの受光量の減少は、測距センサ(発光素子)の劣化によって生じる場合もある。しかしながら、従来技術は、測距センサの劣化によるレーザ強度の低下も、保護部材の汚れによるものと判断することしかできなかった。
本発明の一態様は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、センサ装置の窓部材が汚れているか否かの判断を、発光素子の出力低下が生じているか否かの判断と区別して行える溶接ロボットを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るセンサ装置は、溶接ロボットに設けられ、レーザ光を用いて溶接対象を検知するセンサ装置であって、前記レーザ光を透過する窓部材を有し、前記溶接ロボットが備える溶接トーチの側面に配置される筐体と、前記筐体の中から、前記窓部材を介して前記溶接対象に前記レーザ光を照射する発光素子と、前記筐体の中に配置され、当該筐体の中で反射して入射したレーザ光の強度に応じた出力を行う光検出部と、を備える。
【0006】
また、上記の課題を解決するために、本発明の他の態様に係る溶接ロボットは、溶接トーチと、上記センサ装置と、前記センサ装置のプロセッサが出力した信号に応じた報知を行う報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の各態様によれば、溶接ロボットが、センサ装置の窓部材が汚れているか否かの判断を、発光素子の出力低下が生じているか否かの判断と区別して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る溶接ロボットの一例を示すブロック図である。
【
図2】同ロボットが備えるセンサ装置の一例を示す側面図である。
【
図3】同装置の一部構成を、
図2とは異なる方向から示す側面図である。
【
図4】同装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】同装置のプロセッサが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】同装置のプロセッサが実行する処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る溶接ロボットが備えるセンサ装置の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態について詳細に説明する。なお、図中の括弧書きの符号は、後述する第二実施形態のものである。
【0010】
[溶接ロボットの概要]
図1に示したように、溶接ロボット100は、マニピュレータ100aと、コントローラ100bと、を備える。なお、溶接ロボット100は、プログラミングペンダントを更に備えていてもよい。プログラミングペンダントは、ユーザによりマニピュレータ100aに動きを覚えさせるための入力装置である。
【0011】
{コントローラ}
コントローラ100bは、マニピュレータ100aを制御する装置である。コントローラ100bは、インターフェース4と、メモリ5と、報知部6と、プロセッサ7と、を備える。
【0012】
インターフェース4は、マニピュレータ100aと通信をする。メモリ5は、マニピュレータ100aの動作データを記憶している。
【0013】
報知部6は、表示装置、ランプ、スピーカ等で構成されている。なお、報知部6は、後述するセンサ装置3が備えていてもよいし、センサ装置3と通信する図示しない端末装置等が備えていてもよい。この場合、コントローラ100bは、報知部6を備えていなくてもよい。
【0014】
プロセッサ7は、メモリ5に記憶されている動作データに基づいて、マニピュレータ100aを動作させる(動作データに基づく制御信号を、インターフェース4を介してマニピュレータ100aへ送信する)。また、プロセッサ7は、マニピュレータ100aからインターフェース4を介して信号を取得した場合に、報知部6を制御する。これにより、報知部6は、センサ装置3のプロセッサ364が出力した信号に応じた報知を行う。この報知の詳細については後述する。
【0015】
{マニピュレータ}
マニピュレータ100aは、アーム1と、溶接トーチ2と、センサ装置3と、を備える。アーム1および溶接トーチ2は、従来公知のもので構成することができる。マニピュレータ100aは、溶接トーチ2の種類が変更されることで、様々な種類の溶接(例えば、アーク溶接、ガス溶接等)に対応することができる。
【0016】
センサ装置3は、溶接ロボット100に設けられ、レーザ光を用いて溶接対象Wを検知するものである。このセンサ装置3の詳細については、次段落以降で説明する。
【0017】
[センサ装置の詳細]
図2に示したように、センサ装置3は、筐体31と、発光素子32と、カメラ33と、光検出部34と、を備える。また、
図3に示したように、センサ装置3は、冷却部35を更に備える。また、
図4に示したように、センサ装置3は、制御基板36と、電源回路37と、を更に備える。
【0018】
{筐体}
図2に示したように、筐体31は、溶接トーチ2の側面に配置される。より具体的には、筐体31は、溶接トーチ2の側面における、溶接を行うときの当該溶接トーチ2の移動方向(
図2における左方向:以下、溶接方向)側に配置される。なお、筐体31は、溶接トーチ2の側面に位置するのであれば、その取り付け箇所は特に限定されない。例えば、溶接トーチ2に直接取り付けられていてもよいし、アーム1から延びる取り付け部材を介して取り付けられていてもよい。また、本実施形態に係る筐体31は、本体311と、窓部材312と、ミラー313と、を有する。
【0019】
本体311は、箱状をなしている。本実施形態に係る本体311は、溶接方向を向く面311aが、溶接トーチ2の先端部から基端部へ向かう方向(
図2における上方向:以下、トーチ基端方向)に進むほど溶接トーチ2に近づくように傾斜している。すなわち、本体311は、溶接方向を向く面311aが溶接トーチ2の延長方向と並行である場合に比べ、小型化されている。また、本実施形態に係る本体311は、溶接トーチ2における基端部から先端部へ向かう方向(
図2における下方向:以下、トーチ先端方向)を向く面に開口311bが形成されている。
【0020】
窓部材312は、レーザ光を透過する部材である。本実施形態に係る窓部材312は、ガラス等の透明、または半透明の材料で板状に形成されている。窓部材312は、本体311の開口311bに、当該開口311bを塞ぐように取り付けられる。窓部材312の本体311への取り付け方には、例えば、開口311bへの勘合、開口311bの周囲に設けられた図示しない係合部への係合、固定具(ビス等)による固定等が含まれる。すなわち、筐体31は、窓部材312を着脱することが可能に構成されている。これにより、窓部材312が汚れて溶接ロボット100の稼働が困難になってしまった場合、当該窓部材312を取り外して新しい窓部材312に交換するだけで稼働を再開することができる。このため、溶接ロボット100の稼働停止時間を短縮し、作業効率を上げることができるようになる。
【0021】
ミラー313は、本体311の内側であって、開口311bを形成する本体311の縁部における溶接方向側の部位に、反射面が溶接方向と反対方向(
図2における右方向:以下、逆溶接方向)を向くように設けられている。また、ミラー313は、後述する発光素子32が発するレーザ光の光路L1上に位置する。
【0022】
{発光素子}
発光素子32は、筐体31の中から、窓部材312を介して溶接対象Wにレーザ光を照射する。本実施形態に係る発光素子32は、ミラー313よりもトーチ基端方向側かつ逆溶接方向側から、ミラー313の反射面に向けてレーザ光を照射する。発光素子32から発せられたレーザ光は、光路L1上を進み、ミラー313で反射する。その後、レーザ光は、光路L2上を進み、溶接対象Wの表面における溶接トーチ2よりも溶接方向側の領域を照射する。なお、発光素子32は、発したレーザ光が初めから光路L2上を通るように配置されていてもよい。その場合、筐体31は、ミラー313を備えていなくてもよい。
【0023】
{カメラ}
カメラ33は、レンズ33aと、撮像素子33bと、を備える。そして、カメラ33は、溶接対象Wの所定範囲を撮影する。所定範囲は、レーザ光が溶接対象Wに当たる、水平かつ溶接方向と直交する方向(
図2における紙面と直交する方向)に延びる直線状の領域を含む。撮像素子33bは、溶接対象で反射して筐体31の中に戻ってきたレーザ光に応じた画像データを生成する。
【0024】
{光検出部}
光検出部34は、筐体31の中に配置されている。そして、光検出部34は、前記レーザ光の波長を含む波長帯域に属する光を検出する。レーザ光の波長を含む波長帯域は、例えばレーザ光の波長-10nm~レーザ光の波長+10nmの帯域である。
図4に示したように、本実施形態に係る光検出部34は、単一の受光素子34aと、A/Dコンバータ34bと、で構成されている。本実施形態に係る光検出部34は、検知する光の波長を限定しない受光素子34aと、レーザ光の波長を含む波長帯域に属する光のみを透過させる図示しないフィルタと、で構成されたものであってもよい。また、本実施形態に係る光検出部34は、レーザ光の波長を含む波長帯域に属する光のみを検知する受光素子34aで構成されていてもよい。フィルタを用いる場合、フィルタは、筐体31の内側に、窓部材312と重なるように設けられていても(レーザ光以外の光が筐体31内に入ってこないようになっていても)よいし、受光素子34aの受光面に設けられていてもよい。
【0025】
本実施形態に係る受光素子34aは、窓部材312で反射したレーザ光の光路L3上に配置されている。すなわち、本実施形態に係る反射体は、窓部材312の内面である。そして、受光素子34aは、受けたレーザ光の強度に応じた電圧を出力する。これにより、発光素子32と窓部材312との間に、レーザ光を分岐させる手段(ハーフミラー等)を設ける必要が無い。このため、センサ装置3を製造する際に部品点数および製造コストを削減することができる。また、部品点数が少なくなることで、筐体31を小さくすることができる。また、窓部材312には、使用が進むにつれて散乱体が付着してくる。散乱体は、汚れ(スパッタ、ヒューム等)である。そして、レーザ光は、散乱体で散乱させられ、筐体31内全体に拡散する。このため、散乱したレーザ光の一部は、受光素子34aにも届く。すなわち、受光素子34aは、窓部材312の内面で反射したレーザ光の光路L3上、かつ窓部材312に付着している散乱体によって散乱したレーザ光が入射可能な位置に配置されていることになる。A/Dコンバータ34bは、受光素子34aが出力した電圧の大きさを数値化する。数値化された電圧の大きさ(光検出部34の出力)は、制御基板36の後述する二次メモリ363に格納される。
【0026】
このように、光検出部34を単一の受光素子34aで構成することにより、センサ装置3を製造する際に部品点数および製造コストを削減することができる。また、部品点数が少なくなることで、筐体31を小さくすることができる。その結果、センサ装置3を、溶接トーチ2の動きを邪魔しにくいものとすることができる。また、受光素子34aに接続されるプロセッサ364は、窓部材312が汚れているか否かの判別と、発光素子32の出力低下が生じているか否かの判別を、まとめて実行することができるようになる。このため、プロセッサ364の処理負担を低減することもできるようになる。
【0027】
{冷却部}
冷却部35は、発光素子32、カメラ33の撮像素子33bおよび光検出部34の受光素子34aの少なくともいずれか(以下、冷却対象)を冷却する。本実施形態に係る冷却部35は、ペルチェ素子、またはヒートシンクによって構成されている。
図3に示したように、本実施形態に係る冷却部35は、冷却対象の支持部材38(例えば、冷却対象が実装される基板等)を挟んで冷却対象と接している。なお、冷却部35は、冷却対象と直接接していてもよい。
【0028】
このように、冷却部35が冷却対象を冷却することにより、冷却対象の温度が低い状態が保たれるため、冷却対象が劣化しにくくなる。すなわち、冷却対象の寿命が延び、冷却対象の機能低下(発光素子32の出力低下、受光素子の検出能力低下、撮像素子の画像生成能力低下)が起こりにくくなる。特に、冷却対象が発光素子32の場合、発光素子32の出力低下と窓部材312の汚れが同時に起こることが少なくなる。その結果、発光素子32の出力低下と窓部材312の汚れが同時に起こり、光検出部34の出力に変化が生じず、判別できなくなるのを防ぐことができる。また、ペルチェ素子は薄く場所を取らない部品であるため、冷却部35をペルチェ素子によって構成することにより、センサ装置3の大型化を防ぎつつ、発光素子32を冷却することができる。また、ヒートシンクは電力を用いずに対象を冷却する部品であるため、冷却部35をヒートシンクによって構成することにより、センサ装置3の消費電力の増加を防ぎつつ、発光素子32を冷却することができる。
【0029】
{電源回路}
図4に示したように、電源回路37は、図示しない外部電源から供給された電力を、センサ装置3の各部32~36に応じた電圧に調節して各部32~36に供給する。
【0030】
{制御基板}
制御基板36は、入出力インターフェース(以下、入出力IF361)と、一次メモリ362と、二次メモリ363と、プロセッサ364と、を備える。これらは、バス365を介して電気的に接続されている。
【0031】
〔入出力IF〕
入出力IF361は、カメラ33および光検出部34と、プロセッサ364と、を接続する。
【0032】
〔メモリ〕
一次メモリ362は、センサ装置3を動作させるためのプログラムを記憶している。二次メモリ363は、光検出部34の出力を記憶できるよう構成されている。
【0033】
〔プロセッサ〕
プロセッサ364は、溶接を行う(溶接トーチ2が動作する)際に発光素子32がレーザ光を発するよう、電源回路37を制御する。また、冷却部35がペルチェ素子により構成されている場合、プロセッサ364は、溶接を行う際に冷却部35(ペルチェ素子)に電力を供給するよう、電源回路37を制御する。
【0034】
また、プロセッサ364は、メモリ362に記憶されたプログラムに従って、自己診断処理を実行する。
図5に示したように、この自己診断処理の中で、プロセッサ364は、取得処理S1と、第一判断処理S2と、第一出力処理S3と、第二判断処理S4と、第二出力処理S5と、第三判断処理S6と、を実行する。
【0035】
(取得処理)
初めの取得処理S1で、プロセッサ364は、二次メモリ363から、数値化された光検出部34の出力を取得する。なお、プロセッサ364は、光検出部34から出力を直接取得してもよい。
【0036】
(第一判断処理)
光検出部34からの出力を取得した後は、第一判断処理S2に移る。第一判断処理S2で、プロセッサ364は、光検出部34からの出力が第一閾値以下であるか否かを判断する。第一閾値は、センサ装置3の製造直後、または発光素子32および窓部材312の交換直後の光検出部34の第一の初期出力に基づく閾値である。本実施形態に係る第一閾値は、第一の初期出力を数値化したものをn%(例えばn=90)まで小さくした数値である。この第一閾値は、発光素子32および窓部材312が交換された後、プロセッサ364が所定処理を実行することにより更新される。なお、この第一判断処理S2で、プロセッサ364は、第一の初期出力に対する光検出部34からの出力の割合を算出し、その値がn%以下であるか否かを判断してもよい。また、第一判断処理S2で、プロセッサ364は、第一閾値を用いずに、光検出部34からの出力を、所定時間(例えば数秒)前の光検出部34からの出力と比較し、変化の速さが所定以上であるか否かを判断してもよい。これは、一般的に、発光素子32の劣化が、窓部材312の汚れの進行よりも急激に起こるという知見を利用したものである。
【0037】
(第一出力処理)
第一判断処理S2で出力が第一閾値以下であると判断した場合(S2:YES)に、プロセッサ364は第一出力処理S3を実行する。第一出力処理S3で、プロセッサ364は、第一信号を出力する。第一信号は、発光素子32が劣化している旨の信号である。本実施形態に係る第一出力処理では、プロセッサ364は、第一信号を、入出力IF361を介してコントローラ100bへ出力する。第一信号を出力した後、プロセッサ364は、取得処理S1の実行に戻る。
【0038】
第一信号を受け取ったコントローラ100bのプロセッサ7は、第一信号に応じた報知を行う。報知部6が表示装置で構成されている場合、プロセッサ7は、発光素子32が劣化している旨の文字や画像を表示装置に表示させる。報知部6がランプで構成されている場合、プロセッサ7は、発光素子32の劣化に対応する態様でランプを点灯させる。報知部6がスピーカで構成されている場合、プロセッサ7は、発光素子32が劣化している旨の音声をスピーカに出力させる。
【0039】
(第二判断処理)
第一判断処理S2で出力が第一閾値以下ではないと判断した場合(S2:NO)に、プロセッサ364は第二判断処理S4を実行する。第二判断処理S4で、プロセッサ364は、光検出部34からの出力が所定の第二閾値以上であるか否かを判断する。第二閾値は、窓部材312の交換直後の光検出部34の第二の初期出力に基づく閾値である。本実施形態に係る第二閾値は、第二の初期出力を数値化したものをm%(例えばn=10)割り増しした数値である。この第二閾値は、窓部材312が交換された後、プロセッサ64が所定処理を実行することにより更新される。なお、この第二判断処理S4で、プロセッサ364は、第二の初期出力に対する光検出部34からの出力の割合を算出し、その値が100+m%以上であるか否かを判断してもよい。
【0040】
(第二出力処理)
第二判断処理S4で出力が第二閾値以上であると判断した場合(S4:YES)に、プロセッサ364は第二出力処理S5を実行する。第二出力処理S5で、プロセッサ364は、第二信号を出力する。第二信号は、窓部材312が汚れている旨の信号である。本実施形態に係る第一出力処理では、プロセッサ364は、第一信号を、入出力IF361を介してコントローラ100bへ出力する。第二信号を出力した後、プロセッサ364は、取得処理S1の実行に戻る。
【0041】
第二信号を受け取ったコントローラ100bのプロセッサ7は、第二信号に応じた報知を行う。報知部6が表示装置で構成されている場合、プロセッサ7は、窓部材312が汚れている旨の文字や画像を表示装置に表示させる。報知部6がランプで構成されている場合、プロセッサ7は、窓部材312の汚れに対応する態様でランプを点灯させる。報知部6がスピーカで構成されている場合、プロセッサ7は、窓部材312が汚れている旨の音声をスピーカに出力させる。なお、プロセッサ364は、第二出力処理S5および上記第二判断処理S4を、第一判断処理S2の前に、または第一判断処理S2の実行と並行して実行してもよい。
【0042】
(第三判断処理)
第二判断処理S4で出力が第二閾値以上ではないと判断した場合(S4:NO)に、プロセッサ364は第三判断処理S6を実行する。第三判断処理S6で、プロセッサ364は、監視終了条件が成立したか否かを判断する。監視終了条件には、例えば、ユーザにより所定の監視終了操作がなされたこと、コントローラ100bから溶接終了の旨の情報を取得したこと等が含まれる。ここで、監視終了条件が成立していないと判断した場合(S6:NO)、プロセッサ364は、取得処理S1の実行に戻る。一方、監視終了条件が成立したと判断した場合(S6:YES)、プロセッサ364は、自己診断処理を終了する。なお、プロセッサ364は、電力の供給を受けている間、常に上記S1~S5の処理を繰り返し実行してもよい。その場合、プロセッサ364は、この第三判断処理を実行しなくてもよい。
【0043】
〔変形例〕
以上、比較的単純な流れの自己診断処理について説明してきたが、プロセッサ364は、
図6に示したような、より複雑な自己診断処理を実行してもよい。本変形例に係る自己診断処理は、第一閾値または第二閾値が更新されたことを契機として実行される。本変形例に係る自己診断処理の中で、プロセッサ364は、上記自己診断処理と同様の取得処理S1、第一判断処理S2、第一出力処理S3、第二判断処理S4、および第二出力処理S5の他、レーザ照射処理S7と、第三判断処理S6Aと、第四判断処理S8と、レーザ停止処理S9と、を実行する。
【0044】
(レーザ照射処理)
初めのレーザ照射処理S7で、プロセッサ364は、電源回路37を制御して、発光素子32に通電させる。これにより、発光素子32がレーザ光を発する。
【0045】
(第三判断処理)
発光素子32がレーザ光を発した後は、第三判断処理S6Aに移る。第三判断処理S6Aで、プロセッサ364は、監視終了条件が成立したか否かを判断する。監視終了条件は、前出の自己診断処理のものと同様である。ここで、監視終了条件が成立したと判断した場合(S6A:YES)、プロセッサ364は、レーザ停止処理S9を実行して、自己診断処理を終了する。レーザ停止処理S9では、電源回路37を制御して、発光素子32への通電を停止させる。これにより、発光素子32がレーザ光を発しなくなる。
【0046】
(第四判断処理)
第三判断処理S6Aで監視終了条件が成立していないと判断した場合(S6A:NO)、プロセッサ364は、第四判断処理S8を実行する。第四判断処理S8で、プロセッサ364は、発光素子32がレーザ光を発している状態であるか否かを判断する。ここで、発光素子32がレーザ光を発している状態ではないと判断した場合(S8:NO)、プロセッサ364は、レーザ照射処理S7の実行に戻る。
【0047】
一方、発光素子32がレーザ光を発している状態であると判断した場合(S8:YES)、プロセッサ364は、前出の自己診断処理と同様の取得処理S1、第一判断処理S2、第一出力処理S3、第二判断処理S4、および第二出力処理S5を実行する。
【0048】
上述したように、本変形例に係る自己診断処理は、第一閾値または第二閾値が更新されたことを契機として実行される。すなわち、窓部材312および発光素子32を交換した後、または窓部材312のみを交換した後に実行される。窓部材312および発光素子32を交換した後の一定期間は、発光素子32が劣化していない状態が続くため、第一判断処理S2において、光検出部34からの出力が第一閾値以下であるとプロセッサ364が判断することは無い。一方、窓部材312は、通常、交換したての発光素子32が劣化し始めるよりも前に散乱体の付着によって汚れ始める。このため、発光素子32が劣化し始めるより前の時期に、第二判断処理S4において、光検出部34からの出力が第二閾値以上であるとプロセッサ364が判断することになる。
【0049】
窓部材312のみを交換した後は、散乱体によって散乱したレーザ光が光検出部34にほとんど入射しないため、光検出部34からの出力は、ほぼ反射体で反射したレーザ光のみに基づいたものとなる。このため、発光素子32が劣化していない場合は、第一判断処理S2において、光検出部34からの出力が第一閾値以下であるとプロセッサ364が判断することは無い。一方、発光素子32が劣化している場合は、第一判断処理S2において、光検出部34からの出力が第一閾値以下であるとプロセッサ364が判断することになる。このように、本変形例にかかる自己診断処理は、開始条件が規定されているため、プロセッサ364が自己診断処理を実行している間に、発光素子32の出力低下と窓部材312の汚れが同時に起こることがほぼ無くなる(発光素子32の初期不良の場合等に限られる)。このため、窓部材312が汚れているか否かを、発光素子32の出力低下が生じているか否かと、より確実に区別して判別することができるようになる。
【0050】
[作用効果]
以上説明してきたセンサ装置3は、使用を続けるうちに発光素子32の劣化によりレーザ光の強度が低下してくると、反射体(窓部材312)で反射するレーザ光の強度も低下し、光検出部34の出力が初期より小さくなる。一方、使用を続けるうちに窓部材312に散乱体(スパッタ、ヒューム等)が付着してくると、散乱体によって散乱するレーザ光が増大して筐体31の中が初期より明るくなり、光検出部34の出力が当初より大きくなる。このため、センサ装置3によれば、光検出部34に接続されるコントローラ100bのプロセッサ7が、光検出部34の出力の初期値からの増加または減少により、窓部材312が汚れているか否かを、発光素子32の出力低下が生じているか否かと区別して判別することができるようになる。
【0051】
また、本実施形態に係るセンサ装置3は、各種処理を実行するプロセッサ364を備えている。このため、このセンサ装置3によれば、溶接ロボット100の制御装置に新たな比較機能を追加することなく、発光素子32の劣化や窓部材312の汚れを検知することができる。また、第一信号または第二信号が入力されたコントローラ100bの報知部6は、第一信号または第二信号に応じた報知を行う。これにより、溶接ロボット100のユーザは、発光素子32の交換タイミングと、窓部材312の交換タイミングの両方を容易に認識することができる。
【0052】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記第一実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図1に示したように、本実施形態に係る溶接ロボット100Aは、センサ装置3Aの構成が上記第一実施形態に係るセンサ装置3と異なる。
【0054】
〔センサ装置〕
図4、7に示したように、センサ装置3Aは、上記第一実施形態に係るセンサ装置3と同様の発光素子32、カメラ33、および冷却部35の他、筐体31Aと、光検出部34Aと、制御基板36Aと、を備える。
【0055】
{筐体}
筐体31Aは、上記第一実施形態に係る筐体31と同様の本体311、窓部材312、およびミラー313の他、反射体314を備える。本実施形態に係る反射体314は、ハーフミラーである。ハーフミラー314は、レーザ光の光路L1上であって、発光素子32とミラー313との間に配置されている。そして、ハーフミラー314は、発光素子32からミラー313へ向かうレーザ光の一部を、光路L1と直交する方向へ反射する。
【0056】
{光検出部}
図4、7に示したように、本実施形態に係る光検出部34Aは、第一の受光素子34cと、第一のA/Dコンバータ34dと、第二の受光素子34eと、第二のA/Dコンバータ34fと、によって構成されている。
【0057】
第一の受光素子34cは、筐体31の中のハーフミラー314(反射体)で反射したレーザ光の光路L4上に配置されている。そして、第一の受光素子34cは、受けたレーザ光の強度に応じた電圧を出力する。本実施形態に係る受光素子34cは、上記第一実施形態に係る受光素子34aと同様、発光素子32が発したレーザ光のみの強度を電圧に変換して出力するよう構成されている。第一のA/Dコンバータ34dは、第一の受光素子34cが出力した電圧の大きさを数値化する。
【0058】
第二の受光素子34eは、筐体31の中の第一の受光素子34cとは異なる位置に配置されている。そして、第二の受光素子34eは、受けたレーザ光の強度に応じた電圧を出力する。本実施形態に係る受光素子34eは、上記第一実施形態に係る受光素子34aと同様、発光素子32が発したレーザ光のみの強度を電圧に変換して出力するよう構成されている。散乱したレーザ光は、筐体31Aの中の広範囲に拡散する。このため、第二の受光素子34eの設置個所は、筐体31Aの任意の箇所とすることができる。
【0059】
{制御基板}
制御基板36Aは、一次メモリ362Aに記憶されているプログラムの内容が、第一実施形態に係るプログラムと異なる。
【0060】
〔プロセッサ〕
プロセッサ364は、メモリ362Aに記憶されたプログラムに従って、自己診断処理を実行する。
図5、6に示したように、この自己診断処理の中で、プロセッサ364は、第一実施形態に係る自己診断処理と同様の第一出力処理S3、第二出力処理S5、および第三判断処理S6の他、取得処理S1Aと、第二取得処理S1Bと、第一判断処理S2Aと、第二判断処理S4Aと、を実行する。
【0061】
(取得処理)
取得処理S1Aで、プロセッサ364は、数値化された第一の受光素子34cからの出力(第一のA/Dコンバータ34dの出力)を取得する。
【0062】
(第二取得処理)
第二取得処理S1Bで、プロセッサ364は、数値化された第二の受光素子34eからの出力(第二のA/Dコンバータ34fの出力)を取得する。なお、プロセッサ364は、第二取得処理S1Bを、取得処理S1Aの前に、または取得処理S1Aの実行と並行して実行してもよい。
【0063】
(第一判断処理)
第一判断処理S2Aで、プロセッサ364は、第一の受光素子34cからの出力が第一閾値以下であるか否かを判断する。
【0064】
(第二判断処理)
第二判断処理S4Aで、プロセッサ364は、第二の受光素子34eからの出力が第二閾値以上であるか否かを判断する。
【0065】
[作用効果]
以上説明してきたセンサ装置3Aによれば、第一実施形態に係るセンサ装置3と同様に、光検出部34Aに接続されるコントローラ100bのプロセッサ7が、光検出部34の出力の初期値からの増加または減少により、窓部材312が汚れているか否かを、発光素子32の出力低下が生じているか否かと区別して判別することができるようになる。
【0066】
<本発明その他>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
例えば、上記実施形態で、プログラムは、プロセッサ364に、第一判断処理S2、S2A、第一出力処理S3、第二判断処理S4、S4A、および第二出力処理S5を、一つの自己診断処理の中で実行させる内容になっていた。しかし、プログラムは、第一判断処理S2、S2A、および第一出力処理S3を含む第一の自己診断処理と、第二判断処理S4、S4A、および第二出力処理S5を含む第二の自己診断処理と、をプロセッサ364に別々に実行させる内容になっていてもよい。
【0068】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0069】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るセンサ装置は、溶接ロボットに設けられ、レーザ光を用いて溶接対象を検知するセンサ装置であって、前記レーザ光を透過する窓部材を有し、前記溶接ロボットが備える溶接トーチの側面に配置される筐体と、前記筐体の中から、前記窓部材を介して前記溶接対象に前記レーザ光を照射する発光素子と、前記筐体の中に配置され、当該筐体の中で反射して入射したレーザ光の強度に応じた出力を行う光検出部と、を備える構成である。
本発明の態様2に係るセンサ装置は、上記の態様1において、前記光検出部は、前記筐体の中の反射体で反射したレーザ光の光路上に配置された単一の受光素子で構成されている、構成としてもよい。
本発明の態様3に係るセンサ装置は、上記の態様1において、前記光検出部は、前記反射体で反射したレーザ光の光路上に配置された第一の受光素子と、前記筐体の中の前記第一の受光素子とは異なる位置に配置された第二の受光素子と、によって構成されている、構成としてもよい。
本発明の態様4に係るセンサ装置は、上記の態様1から3の何れか一項において、前記反射体は、前記レーザ光の光路上に配置されたハーフミラー、または前記窓部材である、構成としてもよい。
本発明の態様5に係るセンサ装置は、上記の態様4において、前記反射体は、前記窓部材であり、前記光検出部の受光素子は、前記窓部材で反射したレーザ光の光路上に配置されている、構成としてもよい。
本発明の態様6に係るセンサ装置は、上記の態様1から3のいずれか一項において、前記筐体は、前記窓部材を着脱することが可能に構成されている、構成としてもよい。
本発明の態様7に係るセンサ装置は、上記の態様1から3のいずれか一項において、前記窓部材および前記発光素子の交換直後の前記光検出部の第一の初期出力、並びに前記窓部材の交換直後の前記光検出部の第二の初期出力の少なくとも一方の初期出力を取得したことを契機として、前記光検出部からの出力が、前記第一の初期出力に基づく第一閾値以下であるか否かを判断する処理と、前記出力が前記第一閾値以下であると判断した場合に、前記発光素子が劣化している旨の第一信号を出力する処理と、前記光検出部からの出力が、前記第二の初期出力に基づく第二閾値以上であるか否かを判断する処理と、前記出力が前記第二閾値以上であると判断した場合に、前記窓部材が汚れている旨の第二信号を出力する処理と、を実行するプロセッサを備える、構成としてもよい。
本発明の態様8に係るセンサ装置は、上記の態様1から3のいずれか一項において、前記発光素子を冷却する冷却部を備える、構成としてもよい。
本発明の態様9に係るセンサ装置は、上記の態様8において、前記冷却部は、ペルチェ素子または、ヒートシンクである、構成としてもよい。
本発明の態様10に係るセンサ装置と、前記センサ装置のプロセッサが出力した信号に応じた報知を行う報知部と、を備えることを特徴とする溶接ロボットは、上記の態様7において、溶接トーチと、請求項7に記載のセンサ装置と、前記センサ装置のプロセッサが出力した信号に応じた報知を行う報知部と、を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
100、100A:溶接ロボット、100a:マニピュレータ、1:アーム、2:溶接トーチ、3、3A:センサ装置、31、31A:筐体、311:本体、311b:開口、312:窓部材(反射体)、313:ミラー、314:ハーフミラー(反射体)、32:発光素子、33:カメラ、33a:レンズ、33b:撮像素子、34、34A 光検出部、34a、34c、34e:受光素子、34b、34d、34f:A/Dコンバータ、35:冷却部、35a、35c、35e:受光素子、35b、35d、35f:A/Dコンバータ、36、36A:制御基板、361:入出力インターフェース、362、362A:一次メモリ、363:二次メモリ、364:プロセッサ、365:バス、37:電源回路、38:支持部材、100b:コントローラ、4:インターフェース、5:メモリ、6:報知部、7、L1、L2、L3、L4:光路