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特開2024-104597通信装置、通信方法、通信プログラム、および通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104597
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、通信プログラム、および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0453 20230101AFI20240729BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240729BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20240729BHJP
【FI】
H04W72/0453
H04W72/0446
H04W84/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008899
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】田中 康之
(72)【発明者】
【氏名】金 瑞旭
(72)【発明者】
【氏名】西尾 真貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇裕
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE25
5K067GG03
(57)【要約】
【課題】データ通信の遅延を抑制する。
【解決手段】決定部は、第1ホップ数を用いた決定規則に基づいてデータ通信のタイミングとデータ通信に用いる無線の周波数とを決定する。通信制御部は、決定されたタイミングで決定された周波数の無線によるデータ通信を制御する。決定部は、第1条件を満たす場合、第1ホップ数を用いた決定規則に基づいて、自装置から1ホップ先の他の通信装置である第1通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。決定部は、第2条件を満たす場合、第1ホップ数と自装置から2ホップ以上先の第2通信宛先のコンセントレータからの第2ホップ数とを用いた決定規則に基づいて、第2通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割多重の通信システムに含まれる複数の通信装置のうち特定の通信装置からの第1ホップ数を用いた、複数の前記通信装置に共通の予め定められた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、前記データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する決定部と、
決定された前記タイミングで、決定された前記周波数の無線による前記データ通信を制御する通信制御部と、
を備え、
前記決定部は、
第1条件を満たす場合、前記第1ホップ数を用いた前記決定規則に基づいて、1ホップ先の第1通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定し、
第2条件を満たす場合、前記第1ホップ数と、2ホップ以上先の第2通信宛先の前記特定の通信装置からの第2ホップ数と、を用いた前記決定規則に基づいて、前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する、
通信装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第1ホップ数と、スケジューリングの単位であるスロットフレームに含まれる、前記データ通信の前記タイミングを表す複数のスロットの個数であるスロット数と、を用いた前記決定規則に基づいて、複数の前記スロットの各々に対して、データ送信に用いる送信スロット、データ受信に用いる受信スロット、およびデータ送受信を行わないスリープスロットの何れかを割り当てることによって、前記データ通信の前記タイミングを決定し、
前記第1条件を満たす場合、現在の前記スロットに対して、前記第1ホップ数と使用可能な複数の周波数の個数であるチャネル数とを用いた前記決定規則に基づいて、複数の前記周波数の何れかを前記第1通信宛先への前記データ通信に用いる周波数として決定し、
前記第2条件を満たす場合、現在の前記スロットに対して、前記第1ホップ数と前記第2ホップ数と前記チャネル数とを用いた前記決定規則に基づいて、複数の前記周波数の何れかを前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる周波数として決定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記スロット数に基づいて前記第2ホップ数を算出する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記決定規則は、
子ノードから親ノード方向へデータを通信する上り方向または親ノードから子ノード方向へデータを通信する下り方向である通信規則方向を表す規則を含み、
前記決定部は、
現在の前記スロットに前記送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが前記通信規則方向へ送信する送信データである前記第1条件を満たす場合、現在の前記スロットに対して、前記決定規則に基づいて前記第1通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定し、
現在の前記スロットに前記送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが前記通信規則方向の逆方向へ送信する送信データである前記第2条件を満たす場合、現在の前記スロットに対して、前記決定規則に基づいて前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記決定部は、
現在の前記スロットに前記送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが前記通信規則方向または前記通信規則方向の逆方向へ送信する送信データであり、前記通信対象のデータが未送信である前記第1条件を満たす場合、現在の前記スロットに対して、前記決定規則に基づいて前記第1通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定し、
現在の前記スロットに前記送信スロットが割り当てられ、前記通信対象のデータが前記逆方向へ送信する送信データであり、前記通信対象のデータが前記第1条件を満たした場合に決定された前記周波数による送信済である前記第2条件を満たす場合、現在の前記スロットに対して、前記決定規則に基づいて前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記決定部は、
現在の前記スロットに前記送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが前記逆方向へ送信する送信データであり、前記第2通信宛先がデータ通信中ではない前記第2条件を満たす場合、現在の前記スロットに対して、前記決定規則に基づいて前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信制御部は、
送信済のデータを記憶部から削除する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信制御部は、
前記第1通信宛先または前記第2通信宛先である通信宛先に無線によりデータが到達可能な送信電力、変調方式、および誤り訂正方式の少なくとも1つを用いて、前記データ通信を制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信制御部は、
前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる周波数の無線による前記データ通信を制御する場合、現在の前記スロット内における予め定められた時期とは異なる時期に送信データの送信を制御する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
複数の前記通信装置のうち1つ以下の前記通信装置を親ノードとするように、複数の前記通信装置とマルチホップネットワークを構成する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
複数の前記通信装置のうち1つ以下の前記通信装置を子ノードとするように、複数の前記通信装置とマルチホップネットワークを構成する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記通信制御部は、
前記第1ホップ数が同じ他の通信装置との間で相互に異なる時刻に前記データ通信するように、決定された前記タイミングで、決定された前記周波数の無線による通信を制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項13】
複数の前記通信装置は、相互に複数の通信経路により接続され、
複数の前記通信経路は、相互に異なる範囲の周波数が割り当てられ、
前記決定部は、複数の前記通信経路それぞれについて、割り当てられた周波数の範囲に含まれる周波数のうち、前記データ通信に用いる周波数を決定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
コンピュータに実行させるための通信プログラムであって、
時分割多重の通信システムに含まれる複数の通信装置のうち特定の通信装置からの第1ホップ数を用いた、複数の前記通信装置に共通の予め定められた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、前記データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する決定ステップと、
決定された前記タイミングで、決定された前記周波数の無線による前記データ通信を制御する通信制御ステップと、
を含み、
前記決定ステップは、
第1条件を満たす場合、前記第1ホップ数を用いた前記決定規則に基づいて、1ホップ先の第1通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定し、
第2条件を満たす場合、前記第1ホップ数と、2ホップ以上先の第2通信宛先の前記特定の通信装置からの第2ホップ数と、を用いた前記決定規則に基づいて、前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する、
通信プログラム。
【請求項15】
複数の通信装置を備える通信システムであって、
複数の前記通信装置それぞれは、
時分割多重の通信システムに含まれる複数の前記通信装置のうち特定の通信装置からの第1ホップ数を用いた、複数の前記通信装置に共通の予め定められた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、前記データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する決定部と、
決定された前記タイミングで、決定された前記周波数の無線による前記データ通信を制御する通信制御部と、
を備え、
前記決定部は、
第1条件を満たす場合、前記第1ホップ数を用いた前記決定規則に基づいて、1ホップ先の第1通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定し、
第2条件を満たす場合、前記第1ホップ数と、2ホップ以上先の第2通信宛先の前記特定の通信装置からの第2ホップ数と、を用いた前記決定規則に基づいて、前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する、
通信システム。
【請求項16】
通信装置で実行される通信方法であって、
時分割多重の通信システムに含まれる複数の通信装置のうち特定の通信装置からの第1ホップ数を用いた、複数の前記通信装置に共通の予め定められた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、前記データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する決定ステップと、
決定された前記タイミングで、決定された前記周波数の無線による前記データ通信を制御する通信制御ステップと、
を含み、
前記決定ステップは、
第1条件を満たす場合、前記第1ホップ数を用いた前記決定規則に基づいて、1ホップ先の第1通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定し、
第2条件を満たす場合、前記第1ホップ数と、2ホップ以上先の第2通信宛先の前記特定の通信装置からの第2ホップ数と、を用いた前記決定規則に基づいて、前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信装置、通信方法、通信プログラム、および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
時分割多重の無線通信では、同一時刻に複数のノード(通信装置)がデータ送信を行うことによる干渉を抑制することが望ましい。例えば、ネットワークの規模に合わせて通信スケジュールの単位であるスロットフレームの時間を事前に調整することで、ネットワーク内の干渉を抑える技術が提案されている。また、ホップ数を使ってデータ通信を行うタイミングを決定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】S. Duquennoy, ”Orchestra: Robust Mesh Networks Through Autonomously Scheduled TSCH”, <URL:https://dl.acm.org/doi/10.1145/2809695.2809714>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、データ通信に遅延が生じる場合があった。
【0005】
本発明は、データ通信の遅延を抑制することができる、通信装置、通信方法、通信プログラム、および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の通信装置は、決定部と、通信制御部と、を備える。決定部は、時分割多重の通信システムに含まれる複数の通信装置のうち特定の通信装置からの第1ホップ数を用いた、複数の前記通信装置に共通の予め定められた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、前記データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する。通信制御部は、決定された前記タイミングで、決定された前記周波数の無線による前記データ通信を制御する。決定部は、第1条件を満たす場合、前記第1ホップ数を用いた前記決定規則に基づいて、1ホップ先の第1通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定し、前記第1条件とは異なる第2条件を満たす場合、前記第1ホップ数と、2ホップ以上先の第2通信宛先の前記特定の通信装置からの第2ホップ数と、を用いた前記決定規則に基づいて、前記第2通信宛先への前記データ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の通信システムの構成例を示す図。
図2】コンセントレータの機能構成のブロック図。
図3】スケジューリングの単位を示す図。
図4】ノードの機能構成を示すブロック図。
図5】スロットフレームに決定されたタイミングを示す図。
図6】スロットフレームに決定されたタイミングを示す図。
図7A】通信スケジュールを示す図。
図7B】通信スケジュールを示す図。
図8】データ送信の説明図。
図9】通信スケジュールを示す図。
図10】通信スケジュールを示す図。
図11】通信処理の流れを示すフローチャート。
図12】第2の本実施形態の通信システムの構成例を示す図。
図13】ノードの構成を示すブロック図。
図14】第3の実施形態の通信システムの構成例を示す図。
図15】コンセントレータの機能構成を示すブロック図。
図16】ノードの構成を示すブロック図。
図17】ハードウェア構成例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、通信装置、通信方法、通信プログラム、および通信システムの好適な実施形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の通信システム1の構成例を示す図である。
【0010】
本実施形態の通信システムは、コンセントレータ200と、複数のノード100~100と、ネットワーク300と、を備える。ノード100~100は同様の構成を備えるため、区別する必要がない場合には単にノード100という。ノード100およびコンセントレータ200は、通信装置の一例である。また、ノード100およびコンセントレータ200を総称して区別なく説明する場合、通信装置と称して説明する場合がある。
【0011】
通信システム1に含まれる各通信装置であるコンセントレータ200およびノード100は、時分割多重の無線通信を行う。時分割多重の無線通信は、マルチホップ無線通信と称される場合がある。すなわち、通信システム1は、コンセントレータ200および複数のノード100によって構成される無線マルチホップネットワークである。
【0012】
コンセントレータ200は、ノード100~100とともに無線マルチホップネットワークを構成する。無線マルチホップネットワークで使用する無線通信方式は、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、および、IEEE 802.15.4などである。また、無線マルチホップネットワークの制御方法は、CTP(Collection Tree Protocol)、および、RPL(IETF RFC 6550)などである。無線通信方式および無線マルチホップネットワークの制御方法はこれらに限られない。
【0013】
コンセントレータ200は、時分割多重の通信システムに含まれる複数の通信装置のうち特定の通信装置に相当する。コンセントレータ200は、無線マルチホップネットワークのなかで様々な制御や、データ集約を行う通信装置である。コンセントレータ200は、ルートノードと称される場合がある。
【0014】
コンセントレータ200が無線マルチホップネットワークを構成するノード100の個数(ノード数)は1つ以上である。ノード数の上限は、採用する無線通信方式、その無線通信方式の上位層のプロトコルの制限、および、ノード100が電池駆動であれば消費電力などの要件によって決まる。図1には、一例として、ノード100~100の5つのノード100を示す。しかし、無線マルチホップネットワークを構成するノード100の個数は、5つに限定されない。
【0015】
コンセントレータ200は、ネットワーク300を含む、無線マルチホップネットワークとは別の外部ネットワークに接続してもよい。外部ネットワークは2つ以上であってもよい。コンセントレータ200は外部ネットワークに接続していなくてもよい。ネットワーク300は、ローカルネットワーク、フィールドエリアネットワーク、および、インターネットなどの、どのようなネットワークであってもよい。ネットワーク300への接続形態は、有線、無線、および、有線と無線とが混在した形態のいずれであってもよい。
【0016】
図1には、無線マルチホップネットワークのトポロジが、ルートノードであるコンセントレータ200からリーフノードとなるノード100まで一本の経路となるリニアトポロジである形態を一例として示す。リーフノードとは、コンセントレータ200から最も遠いノード100であり、図1ではノード100がリーフノードに相当する。
【0017】
リニアトポロジでは、各ノード100は、1つ以下の他のノード100を親ノードとするように無線マルチホップネットワークを構成する。例えばノード100は、コンセントレータ200が親ノードとなるため、他のノード100を親ノードとしないが、ノード100~100は、それぞれ他の1つのノード100を親ノードとする。
【0018】
また、各ノード100は、1つ以下の他のノード100を子ノードとするように無線マルチホップネットワークを構成する。例えばノード100は、リーフノードとなるため、他のノード100を子ノードとしないが、ノード100~ノード100は、それぞれ他の1つのノード100を子ノードとする。
【0019】
リーフノードには、例えば、センサやアクチュエータが搭載されている。リーフノードは、センサにより取得したセンサデータを親ノードへマルチホップ通信により送信することで、コンセントレータ200へ送信する。この場合、コンセントレータ200は、リーフノードで取得したセンサデータを収集する。また、コンセントレータ200は、リーフノードに搭載されたセンサやアクチュエータの制御情報、およびパラメータの設定情報などを、子ノードへマルチホップ送信することで、リーフノードへ向かって送信する。これらの処理により、コンセントレータ200は、リーフノードを制御可能に構成されている。例えば、リーフノードがダム管理に用いられる場合、コンセントレータ200によってダムに設けられた水門の開閉などの制御が行われる。
【0020】
次に、コンセントレータ200の機能構成例について説明する。
【0021】
図2は、コンセントレータ200の機能構成の一例を示すブロック図である。コンセントレータ200は、記憶部20Aと、通信部20Bと、通信部20Cと、アプリケーション20Dと、決定部20Eと、通信制御部20Fと、を備える。
【0022】
上記各部(アプリケーション20D、決定部20E、通信制御部20F)は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2つ以上を実現してもよい。
【0023】
記憶部20Aは、コンセントレータ200で用いられる各種データを記憶する。
【0024】
例えば、記憶部20Aは、ノード情報を記憶する。ノード情報は、接続されるノード100に関する情報である。例えば、ノード情報は、無線マルチホップネットワーク内のノード100すべてに対し、そのノード100の接続先であるノード100またはコンセントレータ200(親ノード)の情報、接続先との間の平均RSSI(Received Signal Strength Indicator)、および、電池残量を含む。ノード情報は、各接続先について他の情報を更に含んでいてもよく、また、接続先と平均RSSIと電池残量の内の一部の情報を含むものであってよい。
【0025】
記憶部20Aは、コンセントレータ200に直接接続するノード100(図1の例ではノード100)のノード情報を少なくとも記憶すればよい。記憶部20Aは、コンセントレータ200に直接するノード100の他に、無線マルチホップネットワーク内のすべてまたは一部のノード100の情報を記憶してもよい。
【0026】
これらのノード情報は、例えば、後述する通信制御部20Fが記憶部20Aへ記憶する。死活確認等によりノード100の切断が確認された場合、通信制御部20Fは、記憶部20Aに記憶されている切断確認されたノード100のノード情報を削除してもよい。
【0027】
記憶部20Aは、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
【0028】
通信部20Bは、無線マルチホップネットワーク内の他のノード100と通信する。通信部20Cは、ネットワーク300との間の通信に用いられる。
【0029】
通信部20Cは、ネットワーク300に接続するための通信機能である。通信部20Cは、主にネットワーク300との間のアプリケーションデータの送受信、および、ネットワーク300との接続維持のための通信を行う。コンセントレータ200がネットワーク300に接続しない構成である場合、コンセントレータ200は通信部20Cを備えない構成であってよい。
【0030】
アプリケーション20Dは、予め定められたアプリケーション処理を実行する。アプリケーション処理はどのような処理であってもよい。アプリケーション処理は、例えばセンサデータの取得および送信、アクチュエータの制御、並びに、他のデバイスへのメッセージの転送などである。
【0031】
例えばアプリケーション20Dは、無線マルチホップネットワーク内のノード100宛のアプリケーションデータ、および、ネットワーク300宛のアプリケーションデータを生成し、送信する。またアプリケーション20Dは、ノード100からのアプリケーションデータを受信してもよい。例えば、アプリケーション20Dは、ノード100が備えるアクチュエータの操作、およびノード100の設定変更のために、アプリケーションデータを生成して送信してもよい。また、例えばアプリケーション20Dは、ノード100が備えるセンサが取得したセンサデータを受信し、センサデータをまとめてネットワーク300へ送信してもよい。
【0032】
決定部20Eは、時分割多重の通信システム1に含まれる複数の通信装置(ノード100、コンセントレータ200)のうちコンセントレータ200からの第1ホップ数を用いた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する。
【0033】
決定部20Eによるタイミングの決定処理および周波数の決定処理の詳細は、ノード100の決定部による処理と同様であるため、詳細を後述する。
【0034】
通信制御部20Fは、通信部20Bおよび通信部20Cを用いた通信を制御する。例えば通信制御部20Fは、無線マルチホップネットワークの構成、管理、および維持を行う。無線マルチホップネットワークを構成するため、通信制御部20Fは、定期的に、ランダムに、または、ある一定のルールもしくは手動での操作によって、無線マルチホップネットワークを周辺のノード100(以下、周辺ノード)に広告する。この広告は、ビーコンと呼ばれるデータ、または、制御メッセージの送信により行われる。
【0035】
また、通信制御部20Fは、周辺ノードから無線マルチホップネットワークへの接続要求を受信すると、所定の手続きに従って周辺ノードの接続を制御する。通信制御部20Fは、この接続処理時に周辺ノードとの間で認証処理を行い、認証が成功した時に周辺ノードの接続を許可してよい。通信制御部20Fは、接続したノード100に対しては、所定のタイミングでビーコンまたは制御メッセージ等を送信し、コンセントレータ200とノード100がそれぞれ有する内部クロックの同期を維持したり、お互いの死活確認をしたりする。
【0036】
通信制御部20Fは、コンセントレータ200に直接接続するノード100(図1の例ではノード100)のノード情報を記憶部20Aに記憶する。死活確認等により、当該ノード100の切断が確認されれば、通信制御部20Fは、記憶部20Aに記憶されていた情報を削除してもよい。また、コンセントレータ200に直接接続するノード100の他に、無線マルチホップネットワーク内のすべてまたは一部のノード100のノード情報を記憶部20Aに記憶してもよい。
【0037】
通信制御部20Fは、時分割多重方式で無線通信を制御する。無線通信方式がIEEE 802.15.4の場合は、時分割多重方式は、TSCH(Time-Slotted Channel Hopping)が考えられるが、これ以外の制御方式であってもよい。通信システム1には、時分割多重における通信スケジュールのスケジューリングの単位が事前に設定されている。通信制御部20Fは、スケジューリングの単位を周期的に繰り替えすことで、データ通信を行う。
【0038】
図3は、スケジューリングの単位の例を示す図である。図3は、スロットフレームをスケジューリングの単位とする例である。スロットフレームとは、時分割多重におけるスケジューリングの単位の一例である。スケジューリングの単位はこれに限られない。例えばスケジューリングの単位は、一定数のスロットフレームを含むスーパーフレームであってもよい。
【0039】
スロットフレームは、複数のスロットを含む。スロットは、データ通信のタイミングを表す。
【0040】
図3には、3つの連続するスロットSL0、SL1、SL2からなるスロットフレームをスケジューリングの単位とした例を一例として示す。スロットの長さは決まった時間長である。スロットの時間長は、例えば、10ミリ秒、50ミリ秒、または、100ミリ秒など、どのような長さであってもよい。但し、スロットフレーム内のスロットの長さは互いに等しいものとする。すなわち先頭のスロットの長さが10ミリ秒であれば残りのスロットの長さもそれぞれ10ミリ秒となる。図3ではスロットフレーム内に連続する3つのスロットが含まれるが、1つのスロットフレーム内に含まれるスロットの個数は3に限られない。スロットフレームには、少なくとも2つのスロットが含まれていればよい。
【0041】
通信システム1で用いるスロットフレームの構成は、通信システム1に含まれるコンセントレータ200およびノード100間で共通であるものとする。本実施形態では、スロットフレームには、連続する3つのスロットが含まれる形態を一例として説明する。コンセントレータ200および後述するノード100では、スロットフレームに含まれる3つの連続するスロットを周期的に繰り返すことでデータ通信を行う。
【0042】
スロットフレームに含まれる各スロットには、決定部20Eによって送信スロット、受信スロット、およびスリープスロットの何れかが割り当ててられる。この割り当て処理によって、データ通信のタイミングが決定される。また、決定部20Eによって各スロットに用いられる周波数が決定される。通信制御部20Fは、決定部20Eにより決定されたタイミングで、決定された周波数の無線によるデータ通信を制御する。
【0043】
通信制御部20Fによる、決定部20Eにより決定されたタイミングおよび周波数を用いたデータ通信の制御処理は、ノード100の通信制御部によるタイミングおよび周波数を用いたデータ通信の制御処理と同様である。このため、通信制御部20Fによる、決定部20Eにより決定されたタイミングおよび周波数を用いたデータ通信の制御処理については詳細を後述する。
【0044】
次に、ノード100の構成について説明する。
【0045】
図4は、ノード100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
ノード100は、記憶部10Aと、通信部10Bと、アプリケーション10Dと、決定部10Eと、通信制御部10Fと、を備える。
【0047】
上記各部(アプリケーション10D、決定部10E、通信制御部10F)は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2つ以上を実現してもよい。
【0048】
なお、ノード100は、センサやアクチュエータ等を更に搭載した構成であってもよい。
【0049】
記憶部10Aは、ノード100で用いられる各種データを記憶する。例えば記憶部10Aは、接続される他の装置(コンセントレータ200、他のノード100)に関する情報を記憶する。記憶部10Aは、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM、HDD、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
【0050】
通信部10Bは、無線マルチホップネットワーク内の他のノード100、または、コンセントレータ200と通信する。
【0051】
アプリケーション10Dは、予め定められたアプリケーション処理を実行する。アプリケーション10Dによるアプリケーション処理はどのような処理であってもよい。例えば、アプリケーション10Dによるアプリケーション処理は、コンセントレータ200のアプリケーション20Dに対応する処理である。具体的には、アプリケーション10Dによるアプリケーション処理は、センサデータの取得および送信、アクチュエータの制御、並びに、他の通信装置へのメッセージの転送、等である。
【0052】
決定部10Eは、コンセントレータ200の決定部20Eと同様に、時分割多重の通信システム1に含まれる複数の通信装置(ノード100、コンセントレータ200)のうちコンセントレータ200からの第1ホップ数を用いた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する。
【0053】
通信制御部10Fは、通信部10Bを用いた通信を制御する。例えば、通信制御部10Fは、ビーコン等を受信するなどして無線マルチホップネットワークの存在を認識すると、無線マルチホップネットワーク内の他のノード100に対して接続要求を送信する。接続処理は、使用している無線通信方式や無線マルチホップネットワークの制御方法によって異なる。例えば、通信制御部10Fは、いくつかの制御メッセージの送受信、および、場合によっては認証処理を行い、それらが成功すると無線マルチホップネットワークの中のいずれかの装置(ノード100、コンセントレータ200)に接続できる。ノード100は、コンセントレータ200に直接接続してもよいし、他のノード100に接続してもよい。
【0054】
ノード100が無線マルチホップネットワークに接続する際に送受信する制御メッセージにより、ノード100は自身が無線マルチホップネットワークの中のどの位置に位置するかを認識する。
【0055】
例えば図1のノード100は、コンセントレータ200に直接接続すること、および、コンセントレータ200から見て無線マルチホップネットワーク内の1ホップ目に位置することを認識する。また、ノード100は、ノード100に接続すること、および、コンセントレータ200から見て無線マルチホップネットワーク内の5ホップ目に位置することを認識する。このような無線マルチホップネットワークの接続に関わる情報は、例えば記憶部10Aに記憶される。例えば、ノード100は、以下のような情報を記憶部10Aに記憶する。
【0056】
・接続先ノード(親ノード):ノード100
・コンセントレータ200を起点とした距離(第1ホップ数):2
・接続先との直近の平均RSSI:-65dBm
【0057】
通信制御部10Fは、記憶部10Aが記憶する情報のすべてまたは一部を制御メッセージ等で接続先に送信する。また、通信制御部10Fは、自身に接続するノード100から同様の情報を受信する。受信した情報はさらに自身の接続先へ送信されてもよい。
【0058】
通信制御部10Fは、受信した制御メッセージ、または、手動による設定により、無線マルチホップネットワークで使用されている通信スケジュールのスケジューリングの単位であるスロットフレームを認識する。そして、通信制御部10Fは、コンセントレータ200の通信制御部20Fと同様に、ノード100の決定部10Eで決定されたタイミングで、決定部10Eで決定された周波数の無線によるデータ通信を制御する。
【0059】
まず、コンセントレータ200の決定部20Eおよびノード100の決定部10Eによる、タイミングおよび周波数の決定処理の詳細を説明する。
【0060】
決定部20Eおよび決定部10Eは、時分割多重の通信システム1に含まれる複数の通信装置(ノード100、コンセントレータ200)のうちコンセントレータ200からの第1ホップ数を用いた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する。
【0061】
第1ホップ数とは、コンセントレータ200から自装置までのホップ数である。自装置がコンセントレータ200である場合、第1ホップ数は、ホップ数0(ゼロ)となる。自装置がノード100である場合、第1ホップ数は、各ノード100のホップ数となる。
【0062】
決定規則とは、通信システム1に含まれる全ての複数の通信装置に共通の予め定められた規則である。
【0063】
決定規則には、通信規則方向を表す規則が含まれる。通信規則方向とは、子ノードから親ノード方向へデータを通信する上り方向、または、親ノードから子ノード方向へデータを通信する下り方向、の何れかの方向である。すなわち、決定規則には、上り方向および下り方向の何れか一方の通信規則方向を表す規則が含まれる。通信規則方向として上り方向を表す規則を含む決定規則は、上り方向のデータ通信特有の規則である。通信規則方向として下り方向を表す規則を含む決定規則は、下り方向のデータ通信特有の規則である。
【0064】
また、決定規則には、更に、タイミング決定のための規則および周波数の決定のための規則が含まれる。決定部20Eおよび決定部10Eは、決定規則に基づいて、タイミングおよび周波数を決定する。
【0065】
まず、決定部20Eおよび決定部10Eによるデータ通信のタイミングの決定処理について説明する。
【0066】
決定部20Eおよび決定部10Eは、第1ホップ数と、スロットフレームに含まれる、データ通信のタイミングを表す複数のスロットの個数であるスロット数と、を用いた決定規則に基づいて、データ通信のタイミングを決定する。
【0067】
決定部20Eおよび決定部10Eは、決定規則に基づいて、スロットフレームに含まれる複数のスロットの各々に対して、データ送信に用いる送信スロット、データ受信に用いる受信スロット、およびデータ送受信を行わないスリープスロット、の何れか1つを割り当てることによって、データ通信のタイミングを決定する。
【0068】
すなわち、決定部20Eおよび決定部10Eは、第1ホップ数と、スロットフレームに含まれるスロット数と、を用いた決定規則に基づいて、スロットフレームに含まれる複数のスロットの各々に対して、送信スロット、受信スロット、およびスリープスロットの何れかを割り当てることで、データ通信のタイミングを決定する。
【0069】
詳細には、決定部20Eおよび決定部10Eは、スロットフレームに含まれる複数のスロットの内、送信スロットとするスロットのスロット番号、受信スロットとするスロットのスロット番号、スリープスロットとするスロットのスロット番号をそれぞれ決定することで、タイミングを決定する。
【0070】
スロット番号とは、スロットフレーム内での各スロットの位置を表す情報である。以下では、0、1、・・・、N-1のように、0から始まるスロット番号でスロットの位置が表されるものとする。Nは、スロット数を表す。
【0071】
図3を用いて説明したように、本実施形態では、3つの連続するスロットSL0、SL1、SL2からなるスロットフレームをスケジューリングの単位とした例を一例として説明する。スロットSL0のスロット番号は「0」、スロットSL1のスロット番号は「1」、スロットSL2のスロット番号は「2」を表す。
【0072】
決定部20Eおよび決定部10Eは、決定規則に示される通信規則方向を表す規則に応じて、スロット番号を決定する。
【0073】
まず、決定規則に含まれる通信規則方向を表す規則が「上り方向」を表す場合のタイミングの決定処理について説明する。この場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、下記式(1)により、送信スロットのスロット番号を決定する。
【0074】
(H+SL) mod N=N-1 ・・・式(1)
【0075】
式(1)中、Hは第1ホップ数を表す。自装置がコンセントレータ200である場合、第1ホップ数は、ホップ数0(ゼロ)となる。自装置がノード100である場合、第1ホップ数Hは、該ノード100のコンセントレータ200からのホップ数となる。式(1)中、Nは、スロット数を表す。本実施形態では、図3に示すように、スロットフレームに含まれるスロットの個数は3である場合を一例として説明する。このため、本実施形態ではNは「3」を表す。SLは、送信スロットのスロット番号を表す。図3に示すように、本実施形態では、スロット番号は、スロットSL0を表す「0」、スロットSL1を表す「1」、スロットSL2を表す「2」の何れかとなる。
【0076】
そして、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定した送信スロットの1つ前のスロットを、1ホップ数多い子ノードからの受信スロットとして決定する。また、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定した送信スロットの1つ後ろのスロットを、1ホップ数少ない親ノードからの受信スロットとして決定する。
【0077】
詳細には、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定した送信スロットのスロット番号を用いて、2つの受信スロットのスロット番号SLR1、SLR2を下記式(2)および(3)により決定する。
【0078】
SLR1=(SL-1) mod N ・・・式(2)
SLR2=(SL+1) mod N ・・・式(3)
【0079】
式(2)および式(3)中、SLは送信スロットのスロット番号を表す。Nは、上記式(1)と同様である。
【0080】
このように、決定部20Eおよび決定部10Eは、第1ホップ数とスロット数から送信スロットのスロット番号を計算する。また、決定部20Eおよび決定部10Eは、送信スロットのスロット番号から受信スロットのスロット番号SL(SLR1、SLR2)を計算する。
【0081】
スロット数が「3」である場合、リーフノード以外のノード100では、スロットフレーム内に1つの送信スロット(スロット番号)と2つの受信スロット(スロット番号SLR1、スロット番号SLR2)とを有することとなる。コンセントレータ200は親ノードを有さないため、スロットフレーム内に1つの送信スロット(スロット番号SL)と1つの受信スロット(スロット番号SLR1)とを有することととなる。リーフノードであるノード100は子ノードを有さないため、スロットフレーム内に1つの送信スロット(スロット番号)と1つの受信スロット(スロット番号SL)とを有することととなる。
【0082】
そして、決定部20Eおよび決定部10Eは、スロットフレームに含まれるスロットの内、送信スロットまたは受信スロットの割り当てられないスロットを、スリープスロットとして決定する。スリープスロットとは、自装置全体をスリープ状態にして消費電力を抑えるスロットである。
【0083】
この場合の法定規則に含まれるタイミング決定のための規則は、通信規則方向「上り方向」について、第1ホップ数と、スロット数と、を用いてタイミングを決定する規則である。
【0084】
図5は、コンセントレータ200のスロットフレームに決定されたタイミングの例を示す図である。図5には、通信規則方向「上り方向」である場合のコンセントレータ200の各スロットへの割り当ての一例を示す。
【0085】
図5に示す例では、コンセントレータ200のスロットフレームにおけるスロットSL0にはスリープスロットが割り当てられている。このため、現在のタイミングである現在のスロットがスロットSL0である場合、コンセントレータ200の通信制御部20Fはデータの送受信を行わず、コンセントレータ200全体をスリープ状態にして消費電力を抑える。
【0086】
また、図5に示す例では、コンセントレータ200のスロットフレームにおけるスロットSL1には、受信スロットが割り当てられている。このため、現在のタイミングである現在のスロットがスロットSL1である場合、コンセントレータ200の通信制御部20Fは、通信部20Bをデータの受信待ち状態にする。コンセントレータ200に接続するノード100がスロットSL1でデータを送信すると、コンセントレータ200の通信制御部20FはスロットSL1でデータを受信できる。スロットSL1の中でデータが受信されないことが判断できれば、通信制御部20Fは、その時点で通信部20Bの受信待ち状態を解除し、消費電力を抑えるように制御してよい。例えばスロットSL1の一定の区間(例えば開始から3ミリ秒の間)に何も受信できなければ、通信制御部20Fは、通信部20Bの受信待ち状態を解除してよい。
【0087】
また、図5に示す例では、コンセントレータ200のスロットフレームにおけるスロットSL2には、送信スロットが割り当てられている。このため、現在のタイミングである現在のスロットがスロットSL2である場合、通信制御部20Fは、送信待ちの送信データを通信部20Bに送信させる。
【0088】
ノード100についても同様に、ノード100の決定部10Eが決定規則に示される通信規則方向「上り方向」を表す規則に応じて、スロット番号を決定する。
【0089】
次に、決定規則に含まれる通信規則方向を表す規則が「下り方向」を表す場合のタイミング決定処理について説明する。この場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、下記式(4)により、送信スロットのスロット番号を決定する。
【0090】
(H-S) mod N=0 ・・・式(4)
【0091】
式(2)中、H、S、およびNの意味は、上記式と同様である。
【0092】
そして、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定した送信スロットの1つ前のスロットを、1ホップ数少ない親ノードからの受信スロットとして決定する。また、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定した送信スロットの1つ後ろのスロットを、1ホップ数多い子ノードからの受信スロットとして決定する。そして、決定部20Eおよび決定部10Eは、スロットフレームに含まれるスロットの内、送信スロットまたは受信スロットの割り当てられないスロットを、スリープスロットとして決定する。
【0093】
この場合の法定規則に含まれるタイミングの決定のための規則は、通信規則方向「下り方向」について、第1ホップ数と、スロット数と、を用いてタイミングを決定する規則である。
【0094】
図6は、コンセントレータ200のスロットフレームに決定されたタイミングの例を示す図である。図6には、通信規則方向「下り方向」である場合にコンセントレータ200の各スロットへの割り当ての一例を示す。
【0095】
図6に示すように、法定規則に含まれる通信規則方向が「下り方向」である場合、図6に示す通信規則方向「上り方向」である場合とは異なる割り当てが決定される。
【0096】
ノード100についても同様に、ノード100の決定部10Eが、決定規則に示される通信規則方向「下り方向」を表す規則に応じて、スロット番号を決定する。
【0097】
次に、決定部20Eおよび決定部10Eによるデータ通信に用いる無線の周波数の決定処理について説明する。
【0098】
決定部20Eおよび決定部10Eは、第1条件を満たす場合、第1ホップ数を用いた決定規則に基づいて、第1通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。また、決定部20Eは、第1条件とは異なる第2条件を満たす場合、第1ホップ数と、第2通信宛先の第2ホップ数と、を用いた決定規則に基づいて、第2通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【0099】
第1通信宛先とは、自装置から1ホップ先の他の通信装置である。1ホップ先の他の通信装置とは、自装置からのホップ数が1ホップ離れた地点に位置する他の通信装置を表す。
【0100】
第2通信宛先とは、自装置から2ホップ以上先の他の通信装置である。2ホップ以上先の他の通信装置とは、自装置からのホップ数が2ホップ以上離れた地点に位置する他の通信装置を意味する。第2ホップ数とは、自装置から2ホップ以上離れた他の通信装置の、コンセントレータ200からのホップ数である。
【0101】
決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のタイミングである現在のスロットに対して、第1条件および第2条件の何れかを満たすかの判断に応じた決定規則に基づいて、データ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【0102】
すなわち、決定部20Eおよび決定部10Eは、第1条件を満たすか第2条件を満たすかに応じて、1ホップ隣の他の通信装置へデータを送信するための周波数、または2ホップ以上離れた他の通信装置へデータを直接送信するための周波数、の何れかを現在のスロットに用いる周波数として決定する。
【0103】
第1条件を満たす場合とは、少なくとも、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、且つ、通信対象のデータが決定規則に規定された通信規則方向へ送信する送信データである場合である。
【0104】
第2条件を満たす場合とは、少なくとも、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、且つ、通信対象のデータが決定規則に規定された通信規則方向の逆方向へ送信する送信データである場合である。
【0105】
上述したように、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定規則に示される通信規則方向に応じて、スロットフレームに含まれる複数のスロットの内、送信スロットとするスロットのスロット番号、受信スロットとするスロットのスロット番号、スリープスロットとするスロットのスロット番号をそれぞれ決定することで、タイミングを決定する。そして、コンセントレータ200の通信制御部20Fおよびノード100の通信制御部10Fでは、スロットフレームに含まれる3つの連続するスロットを周期的に繰り返すことでデータ通信を行う。
【0106】
決定部20Eおよび決定部10Eは、周期的に繰り返されることで順次変化する現在のスロットが送信スロットであり、通信対象のデータが通信規則方向と同じ方向へ送信する送信データである場合、第1条件を満たすと判断する。
【0107】
第1条件を満たすと判断した場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットに対して、決定規則に基づいて第1通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。すなわち、決定部20Eおよび決定部10Eは、第1条件を満たす場合、1ホップ先の他の通信装置へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。言い換えると、第1条件を満たす場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、1ホップ隣の他の通信装置の現在の受信スロットの周波数と同じ周波数を、送信スロットに用いる周波数として決定する。
【0108】
詳細には、第1条件を満たすと判断した場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットに対して、第1ホップ数とチャネル数とを用いた決定規則に基づいて、複数の周波数の何れかを第1通信宛先へのデータ通信に用いる周波数として決定する。
【0109】
具体的には、第1条件を満たす場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、下記式(5)により、現在のスロットである送信スロットに用いる周波数として、決定規則に基づいて、通信規則方向と同じ方向の1ホップ先の他の通信装置である第1通信宛先へのデータ通信に用いる、周波数のチャネル番号を決定する。チャネル番号とは、周波数を識別する番号である。
【0110】
CH=H mod C ・・・(5)
【0111】
式(5)中、CHは、送信スロットで使用する周波数のチャネル番号を表す。Hは、第1ホップ数である。Cは、チャネル数である。チャネル数とは、使用可能な周波数の個数である。
【0112】
この場合の法定規則に含まれる周波数決定のための規則は、通信規則方向と同じ方向への通信について、第1ホップ数と、チャネル数と、を用いて送信スロットの周波数を決定する規則である。
【0113】
決定部20Eおよび決定部10Eは、記憶部(記憶部20A,記憶部10A)に予め記憶された周波数情報を用いて、チャネル番号に対応する周波数を決定することができる。周波数情報は、チャネル番号と周波数とを対応づけた情報である。コンセントレータ200の記憶部20Aには、予め周波数情報を記憶すればよい。また、ノード100の記憶部10Aには、コンセントレータ200がノード100に対して周波数情報を予め報知し、該報知された周波数情報を予め記憶すればよい。
【0114】
上述したように、決定部20Eおよび決定部10Eは、第1ホップ数とスロット数とを用いた決定規則に基づいて、スロットフレームに含まれる複数のスロットの各々に、送信スロット、受信スロット、またはスリープスロットを割り当てる。このため、通信システム1に含まれるスロット数に一致するホップ数分離れた2つの通信装置間で、同じタイミングのスロットが、送信スロットまたは受信スロットに割り当てられる場合がある。このため、これらの2つの通信装置が同じスロット(タイミング)で送信または受信を行うと、これらのスロットで同じ周波数を用いている場合には干渉が発生する場合がある。
【0115】
そこで、決定部20Eおよび決定部10Eが、上記式(5)により、第1ホップ数に応じて周波数を決定することで、第1ホップ数に応じて異なる周波数を決定することができ、干渉を抑制することができる。
【0116】
なお、式(5)を用いて決定された周波数は、接続関係が変更されず第1ホップ数に変更が無い場合には各通信装置(コンセントレータ200、ノード100)において送信スロットに対して同じ周波数が決定される。
【0117】
このため、決定部20Eおよび決定部10Eは、送信スロットのスロット番号を更に用いて周波数を決定してもよい。この場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、第1条件を満たす場合、下記式(6)により、現在のスロットである送信スロットに用いる周波数として、決定規則に基づいて、第1通信宛先へのデータ通信に用いる周波数のチャネル番号を決定してよい。
【0118】
CH=(S+H) mod C ・・・(6)
【0119】
式(6)中、CH、H、およびCは、式(5)と同様である。Sは、現在のスロットである送信スロットのスロット番号である。
【0120】
次に、決定部20Eおよび決定部10Eによる受信スロットに用いる周波数の決定処理について説明する。
【0121】
決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットが受信スロットである場合には、第1条件および第2条件を満たすか否かに拘わらず、以下の処理により受信スロットの周波数を決定すればよい。
【0122】
決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットが受信スロットであり、決定規則に示される通信規則方向が「上り方向」である場合、下記式(7)および(8)を用いて、受信スロットで用いる周波数のチャネル番号を決定する。
【0123】
CHR1=(H+1) mod C ・・・式(7)
CHR2=(H-1) mod C ・・・式(8)
【0124】
決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットが受信スロットであり、決定規則に示される通信規則方向が「下り方向」である場合、下記式(9)および式(10)を用いて、受信スロットで用いる周波数のチャネル番号を決定する。
【0125】
CHR1=(H-1) mod C ・・・式(9)
CHR2=(H+1) mod C ・・・式(10)
【0126】
式(7)~式(10)中、CHR1、CHR2、H、およびCは、上記式と同様である。
【0127】
なお、式(7)~式(10)は、第1通信宛先へのデータ通信に用いる周波数のチャネル番号を、式(5)を用いて決定する場合の、受信スロットで用いる周波数のチャネル番号を決定する場合の式である。
【0128】
第1通信宛先へのデータ通信に用いる周波数のチャネル番号を、式(6)を用いて決定する場合には、決定部20Eおよび決定部10Eは、下記式(7’)~式(10’)を用いて、受信スロットで用いる周波数のチャネル番号を決定すればよい。
【0129】
詳細には、決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットが受信スロットであり、決定規則に示される通信規則方向が「上り方向」である場合、下記式(7’)および(8’)を用いて、受信スロットで用いる周波数のチャネル番号を決定する。
【0130】
CHR1=(St+1+H) mod C ・・・式(7’)
CHR2=(St-1+H) mod C ・・・式(8’)
【0131】
決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットが受信スロットであり、決定規則に示される通信規則方向が「下り方向」である場合、下記式(9’)および式(10’)を用いて、受信スロットで用いる周波数のチャネル番号を決定する。
【0132】
CHR1=(St-1+H) mod C ・・・式(9’)
CHR2=(St+1+H) mod C ・・・式(10’)
【0133】
式(7’)~式(10’)中、CHR1、CHR2、H、およびCは、上記式と同様である。St-1は、現在の一つ前のスロットである送信スロットのスロット番号である。St+1は、現在の一つ次のスロットである送信スロットのスロット番号である。
【0134】
以上のような周波数の決定処理をコンセントレータ200の決定部20Eおよび複数のノード100の各々の決定部10Eでそれぞれ独立に行うことにより、決定規則に示される通信規則方向が「上り方向」であり、送信スロットが第1条件を満たす場合には、無線マルチホップネットワーク全体では図7Aに示すような通信スケジュールで通信を行うことができる。図7Aは、通信スケジュールの一例を示す図である。
【0135】
また、以上のような周波数決定処理をコンセントレータ200の決定部20Eおよび複数のノード100の各々の決定部10Eでそれぞれ独立に行うことにより、決定規則に示される通信規則方向が「下り方向」である場合には、無線マルチホップネットワーク全体では図7Bに示すような通信スケジュールで通信を行うことができる。図7Bは、通信スケジュールの一例を示す図である。
【0136】
図7Aおよび図7Bの例では、スロット数は3、チャネル数は7以上である。図7Aおよび図7Bおよび後述する図中、ch0~ch6のchの後に続く数字は、チャネル番号を表す。図7Aおよび図7Bおよび後述する図中、「ホップ数」は、第1ホップ数を表す。
【0137】
各ノード100は、第1ホップ数に応じてスロット番号および周波数を決定する共通の決定規則を用いる。このため、各ノード100は、他の装置との間で制御メッセージのやり取り(ネゴシエーション)を実行することなく、無線マルチホップネットワーク内での干渉を回避したスケジューリングを行うことができる。
【0138】
スロット数がノード数より小さい場合には、同じスロットで複数のノード100がデータ通信することとなる。しかし、本実施形態では、決定部20Eおよび決定部10Eが、異なる周波数を用いるようにスケジューリングするため、干渉を抑制できる。また周波数が不足することにより、同じ周波数で複数のノード100がデータ通信する場合が生じうる。しかし、本実施形態の通信システム1では、周波数の個数であるチャネル数分のホップ数の差のあるノード100間で同一の周波数が用いられるようなスケジューリング、すなわち、ネットワーク上では距離が離れたノード100間で同一の周波数が用いられるようなスケジューリングとすることができる。このため、本実施形態の通信システム1では、同一ネットワーク内の干渉を抑制することができる。
【0139】
次に、通信制御部20Fの決定部20Eにより決定されたタイミングおよび周波数を用いたデータ通信の制御処理と、通信制御部10Fの決定部10Eにより決定されたタイミングおよび周波数を用いたデータ通信の制御処理について説明する。
【0140】
通信制御部20Fは、決定部20Eにより決定されたタイミングで、決定された周波数の無線によるデータ通信を制御する。
【0141】
通信制御部20Fは、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられている場合、送信待ちの送信データを該送信スロットに対して決定された周波数で通信部20Bに送信させる。
【0142】
通信制御部20Fは、現在のタイミングである現在のスロットに受信スロットが割り当てられている場合、通信部20Bを、該受信スロットに対して決定された周波数によるデータの受信待ち状態にする。コンセントレータ200に接続するノード100がスロットで該周波数により送信データを送信すると、コンセントレータ200は該受信スロットでデータを受信できる。受信スロットの中でデータが受信されないことが判断できれば、通信制御部20Fは、その時点で通信部20Bの受信待ち状態を解除し、消費電力を抑えるように制御してよい。
【0143】
通信制御部20Fは、現在のタイミングである現在のスロットにスリープスロットが割り当てられている場合、データの送受信を行わず、コンセントレータ200全体をスリープ状態にして消費電力を抑える。
【0144】
通信制御部10Fは、通信制御部20Fと同様にしてデータ通信を制御する。
【0145】
詳細には、通信制御部10Fは、決定部10Eにより決定されたタイミングで、決定された周波数の無線によるデータ通信を制御する。
【0146】
通信制御部10Fは、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられている場合、送信待ちの送信データを該送信スロットに対して決定された周波数で通信部10Bに送信させる。
【0147】
通信制御部10Fは、現在のタイミングである現在のスロットに受信スロットが割り当てられている場合、通信部10Bを、該受信スロットに対して決定された周波数によるデータの受信待ち状態にする。受信スロットの中でデータが受信されないことが判断できれば、通信制御部10Fは、その時点で通信部10Bの受信待ち状態を解除し、消費電力を抑えるように制御してよい。
【0148】
通信制御部10Fは、現在のタイミングである現在のスロットにスリープスロットが割り当てられている場合、データの送受信を行わず、ノード100全体をスリープ状態にして消費電力を抑える。
【0149】
ここで、上述したように、決定規則には、上り方向および下り方向の何れか一方の通信規則方向を表す規則が含まれる。
【0150】
このため、ノード100およびコンセントレータ200では、決定規則に示される通信規則方向とは逆方向にデータを通信する場合であっても、該通信規則方向に基づいて決定された通信スケジュールに沿ってデータ通信を行うこととなる。
【0151】
図8は、決定規則に示される通信規則方向「上り方向」に基づいて決定された通信スケジュールに沿って、通信規則方向の逆方向である「下り方向」にデータを送信する場合の一例の説明図である。
【0152】
図7Aに示すように、決定規則に示される通信規則方向「上り方向」に基づいて決定された通信スケジュールに沿って、通信規則方向である「上り方向」にデータを送信する場合を想定する。この場合には、下流側のノード100からコンセントレータ200へ向かって、連続する1スロットごとに順次1ホップずつデータが送信されていく。
【0153】
具体的には、ノード100から送信スロットであるスロットSL0でch2のチャネル番号の周波数により上り方向に送信されたデータは、ノード100の親ノードであるノード100の受信スロットであるch2のチャネル番号の周波数のスロットSL0で受信される。そして、ノード100はスロットSL0で受信したデータを、連続する次のスロットであり送信スロットとして割り当てられたスロットSL1でch1のチャネル番号の周波数により親ノードであるコンセントレータ200へ向かって送信する。ノード100から送信スロットであるスロットSL1でch1のチャネル番号の周波数により上り方向に送信されたデータは、ノード100の親ノードであるコンセントレータ200の受信スロットであるch1のチャネル番号の周波数の該スロットSL1で受信される。
【0154】
このように、決定規則に示される通信規則方向に基づいて決定された通信スケジュールに沿って通信規則方向にデータを送信する場合には、連続する1スロットごとに順次1ホップずつデータが送信されていく。
【0155】
一方、決定規則に示される通信規則方向に基づいて決定された通信スケジュールに沿って、通信規則方向の逆方向にデータを送信する場合を想定する。具体的には、図8に示すように、決定規則に示される通信規則方向「上り方向」に基づいて決定された通信スケジュールに沿って、通信規則方向の逆方向である「下り方向」にデータを送信する場合を想定する。
【0156】
決定規則に示される通信規則方向の逆方向にデータを送信する場合、連続する1スロットごとではなく、連続する2以上のスロットごとに、順次1ホップずつデータが送信されることとなる。例えば、スロット数が「3」である場合には、図8に示すように、通信規則方向の逆方向にデータを送信する場合、2スロットおきに1ホップ先にデータが送信されることとなる。このため、通信規則方向の逆方向にデータを送信する場合、通信規則方向にデータを送信する場合に比べて2倍の通信時間を要することとなる。すなわち、この場合、データ通信の遅延が発生する。
【0157】
そこで、本実施形態の決定部20Eおよび決定部10Eは、第2条件を満たすと判断した場合、現在のスロットに対して、決定規則に基づいて第2通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【0158】
上述したように、第2条件を満たす場合とは、少なくとも、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、且つ、通信対象のデータが決定規則に規定された通信規則方向の逆方向へ送信する送信データである場合である。また、第2通信宛先とは、自装置から2ホップ以上先の他の通信装置である。
【0159】
すなわち、決定部20Eおよび決定部10Eは、第2条件を満たす場合、2ホップ以上先の他の通信装置へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。言い換えると、第2条件を満たす場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、2ホップ以上先の他の通信装置の現在の受信スロットの周波数と同じ周波数を、送信スロットに用いる周波数として決定する。
【0160】
詳細には、決定部20Eおよび決定部10Eは、第2条件を満たす場合、現在のスロットに対して、第1ホップ数と、第2ホップ数と、チャネル数と、を用いた決定規則に基づいて、複数の周波数の何れかを第2通信宛先へのデータ通信に用いる周波数として決定する。
【0161】
第2ホップ数とは、自装置から2ホップ以上離れた他の通信装置の、コンセントレータ200からのホップ数である。
【0162】
具体的には、第2条件を満たす場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、下記式(11)により、現在のスロットである送信スロットに用いる周波数として、決定規則に基づいて、通信規則方向の逆方向の2ホップ以上先の他の通信装置である第2通信宛先へのデータ通信に用いる、周波数のチャネル番号を決定する。
【0163】
CH=(H+αN) mod C ・・・(11)
【0164】
式(11)中、CH、H、N、およびCの意味は、上記式と同様である。式(11)中、αは、1以上の整数である。αNは第2ホップ数を表す。
【0165】
式(11)に示す場合の法定規則に含まれる周波数決定のための規則は、通信規則方向の逆方向への通信について、第1ホップ数と、第2ホップ数と、チャネル数と、を用いて送信スロットの周波数を決定する規則である。
【0166】
すなわち、決定部20Eおよび決定部10Eは、第2条件を満たす場合、現在のスロットに対して、第1ホップ数と第2ホップ数とチャネル数とを用いた決定規則に基づいて、複数の周波数の何れかを第2通信宛先へのデータ通信に用いる周波数として決定する。
【0167】
決定部20Eおよび決定部10Eは、スロット数に基づいて第2ホップ数を算出すればよい。すなわち、決定部20Eおよび決定部10Eは、スロット数(N)とαとの乗算値を、第2ホップ数として算出すればよい。αの値は、1以上の整数であり、且つ、αとスロット数(N)との乗算値によって表される第2ホップ数の通信装置に向かって、自装置が直接データを通信可能な値であればよい。このため、αの値は、通信システム1に含まれる全ての通信装置に共通する値であってもよいし、一部の通信装置において異なる値であってもよい。
【0168】
αが「1」である場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、N-1ホップ先またはN-1ホップ先の通信装置に向かって直接データを通信可能な周波数を決定することができる。αが「2」である場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、2N-1ホップ先または2N+1ホップ先の通信装置に向かって直接データを通信可能な周波数を決定することができる。
【0169】
αの値は、記憶部10Aおよび通信部20Bの各々に予め記憶しておけばよい。また、αの値として、通信システム1に含まれる全ての通信装置に共通する値を用いる場合、コンセントレータ200から各ノード100へビーコン等を介して通知してもよい。
【0170】
なお、式(11)を用いて決定された周波数は、接続関係が変更されず第1ホップ数Hおよび第2ホップ数αNに変更が無い場合には各通信装置(コンセントレータ200、ノード100)において送信スロットに対して同じ周波数が決定される。
【0171】
このため、決定部20Eおよび決定部10Eは、送信スロットのスロット番号を更に用いて周波数を決定してもよい。この場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、第2条件を満たす場合、下記式(12)により、現在のスロットである送信スロットに用いる周波数として、決定規則に基づいて、第2通信宛先へのデータ通信に用いる周波数のチャネル番号を決定してよい。
【0172】
CH=(S+H+αN) mod C ・・・(12)
【0173】
式(12)中、CH、H、α、N、αN、およびCは、上記式と同様である。Sは、上記式と同様に、現在のスロットである送信スロットのスロット番号である。
【0174】
決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットが受信スロットである場合には、上述したように、第1条件および第2条件を満たすか否かに拘わらず、上述した処理により受信スロットの周波数を決定すればよい。
【0175】
このように、決定部20Eおよび決定部10Eは、第1条件を満たすか第2条件を満たすかに応じて、1ホップ隣の他の通信装置へデータを送信するための周波数、または数ホップ離れた他の通信装置へデータを直接送信するための周波数、の何れかを現在のスロットである送信スロットに用いる周波数として決定する。また、上述したように、第1条件を満たす場合とは、少なくとも、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、且つ、通信対象のデータが決定規則に規定された通信規則方向へ送信する送信データである場合である。また、上述したように、第2条件を満たす場合とは、少なくとも、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、且つ、通信対象のデータが決定規則に規定された通信規則方向の逆方向へ送信する送信データである場合である。
【0176】
このため、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定規則に規定された通信規則方向へ送信データを送信する第1条件を満たす場合、該送信データを送信する送信スロットに、1ホップ先の他の通信装置である第1通信宛先へ直接送信可能な周波数を決定する。言い換えると、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定規則に規定された通信規則方向へ送信データを送信する第1条件を満たす場合、該送信データを送信する送信スロットに、1ホップ隣の他の通信装置の現在の受信スロットの周波数と同じ周波数を、現在の送信スロットに用いる周波数として決定する。
【0177】
一方、決定部20Eおよび決定部10Eは、決定規則に規定された通信規則方向の逆方向へ送信データを送信する第2条件を満たす場合、2ホップ以上先の他の通信装置へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。言い換えると、第2条件を満たす場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、2ホップ以上先の他の通信装置の現在の受信スロットの周波数と同じ周波数を、現在の送信スロットに用いる周波数として決定する。
【0178】
すなわち、本実施形態のコンセントレータ200およびノード100は、送信スロットに対して同一のタイミングのスロットに受信スロットを割り当てられた2ホップ以上先の他の通信装置の該受信スロットについて、該受信スロットに決定された周波数と同じ周波数を用いて、該他の通信装置へ直接データを送信する。
【0179】
このため、本実施形態のコンセントレータ200およびノード100は、決定規則に示される通信規則方向に基づいて決定された通信スケジュールに沿って、通信規則方向の逆方向にデータを送信する場合、数ホップ先の他の通信装置に直接データを送信することができる。言い換えると、本実施形態のコンセントレータ200およびノード100は、1度の送信機会で2ホップ以上先の他の通信装置へ送信データを直接送信することができる。よって、本実施形態のコンセントレータ200およびノード100は、データ通信の遅延を抑制することができる。
【0180】
なお、第1条件を満たす場合とは、少なくとも、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、且つ、通信対象のデータが決定規則に規定された通信規則方向へ送信する送信データである場合であればよく、更に他の要素を含んでいてもよい。同様に、第2条件を満たす場合とは、少なくとも、現在のタイミングである現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、且つ、通信対象のデータが決定規則に規定された通信規則方向の逆方向へ送信する送信データである場合であればよく、更に他の要素を含んでいてもよい。
【0181】
例えば、第1条件を満たす場合とは、現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが通信規則方向または通信規則方向の逆方向へ送信する送信データであり、通信対象のデータが未送信である場合であってよい。この場合、第2条件を満たす場合とは、現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが通信規則方向の逆方向へ送信する送信データであり、且つ、通信対象のデータが第1条件を満たした場合に決定された周波数による送信済である場合であればよい。
【0182】
この場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが通信規則方向または通信規則方向の逆方向へ送信する送信データであり、通信対象のデータが第1条件を満たした場合に決定された周波数による送信が行われていない場合、第1通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。そして、決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが通信規則方向の逆方向へ送信する送信データであり、且つ、通信対象のデータが第1条件を満たした場合に決定された周波数による送信済である場合、第2通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【0183】
第1条件および第2条件をこのような条件とすることで、決定部20Eおよび決定部10Eは、通信対象のデータが通信規則方向の逆方向へ送信する送信データである場合、1ホップ先の第1通信宛先と2ホップ以上先の第2通信宛先の双方へ、データを直接送信することができる。無線マルチホップネットワークでは、数ホップ先の他の通信装置へデータを直接送信する場合に比べて、1ホップずつ通信装置へデータを送信する場合の方が、より確実に送信データを送信することが可能となる。このため、決定部20Eおよび決定部10Eが、1ホップ先の第1通信宛先と2ホップ以上先の第2通信宛先の双方へ、データを直接送信するように周波数を決定することで、より確実にデータを通信宛先へと送信することが可能となる。
【0184】
なお、決定部20Eおよび決定部10Eは、現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが通信規則方向または通信規則方向の逆方向へ送信する送信データであり、通信対象のデータが第2条件を満たした場合に決定された周波数による送信が送信済である場合、第2通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定してもよい。
【0185】
また、第2条件を満たす場合とは、現在のスロットに送信スロットが割り当てられ、通信対象のデータが通信規則方向の逆方向へ送信する送信データであり、且つ、第2通信宛先がデータ通信中ではない場合であってもよい。
【0186】
決定部20Eおよび決定部10Eは、第2通信宛先がデータ通信中であるか否かを、通信規則方向へ送信されたデータ等から類推すればよい。具体的には、通信規則方向に送信され他の通信装置から受信したデータに、データ送信を継続するフラグが含まれている場合、または該フラグが有効である場合、第2通信宛先がデータ通信中であると判断すればよい。また、これらの条件を満たさない場合、決定部20Eおよび決定部10Eは、第2通信宛先がデータ通信中ではないと判断すればよい。
【0187】
また、決定部20Eおよび決定部10Eは、第2通信宛先が定期的に送信するデータの定期送信間隔を用いて、第2通信宛先が次に送信するデータの送信タイミングを類推することで、第2通信宛先がデータ通信中であるか否かを判断してよい。
【0188】
第2条件をこのような条件とすることで、決定部20Eおよび決定部10Eは、第2通信宛先がデータを受信可能なタイミングで送信データが該第2通信宛先に送信されるように、該第2通信宛先の周波数を決定することができ、干渉を回避することができる。
【0189】
以上のような第1条件および第2条件をそれぞれ満たす場合の送信スロットの周波数の決定処理は、コンセントレータ200の決定部20Eおよび複数のノード100の各々の決定部10Eでそれぞれ独立に行ってよい。
【0190】
また、通信システム1に含まれる少なくとも1つの通信装置が、第1条件および第2条件をそれぞれ満たす場合の送信スロットの周波数の決定処理を行い、他の通信装置は、第1条件および第2条件を満たすか否かに拘わらず、送信スロットについて、第1条件を満たした場合の周波数の決定処理を行ってもよい。
【0191】
通信システム1に含まれる少なくとも1つの通信装置が、第1条件および第2条件をそれぞれ満たす場合の送信スロットの周波数の決定処理を行うことで、通信規則方向の逆方向に送信する送信データを、より先のホップ数の通信装置へより早く送信することができる。このため本実施形態のコンセントレータ200およびノード100は、通信規則方向の逆方向へ送信データを送信する場合であっても、末端のノード100または末端のコンセントレータ200までより早く送信データを送信することができる。
【0192】
なお、通信システム1に含まれる複数の通信装置の内、少なくともコンセントレータ200の決定部20Eが、第1条件および第2条件をそれぞれ満たす場合の送信スロットの周波数の決定処理の双方を行うことが好ましい。そして、他の通信装置については、第1条件および第2条件を満たすか否かに拘わらず、送信スロットについて、第1条件を満たした場合の周波数の決定処理を行ってよい。
【0193】
次に、コンセントレータ200およびノード100による無線マルチホップネットワーク全体の通信の具体例について説明する。
【0194】
上述した第1条件および第2条件をそれぞれ満たす場合の周波数の決定処理の双方を、コンセントレータ200の決定部20Eが行った場合を想定する。また、複数のノード100の各々の決定部10Eは、第1条件および第2条件を満たすか否かに拘わらず、第1条件を満たした場合の周波数の決定処理を行った場合を想定する。
【0195】
この場合、決定規則に示される通信規則方向が「上り方向」であり、通信規則方向の逆方向である「下り方向」にデータを送信する場合には、無線マルチホップネットワーク全体では図9に示すような通信スケジュールで通信を行うことができる。
【0196】
図9は、通信スケジュールの一例を示す図である。図9は、決定規則に示される通信規則方向「上り方向」に基づいて決定された通信スケジュールに沿って、通信規則方向の逆方向である「下り方向」にデータを送信する場合の一例の説明図である。また、図9には、コンセントレータ200の決定部20Eが、第2条件を満たす場合の送信スロットの周波数の決定処理を行う場合を示す。
【0197】
図8に示すように、決定規則に示される通信規則方向の逆方向に1ホップ先の第1通信宛先に向かってデータを送信する場合、連続する1スロットごとではなく、連続する2以上のスロットごとに、順次1ホップずつデータが送信されることとなる。例えば、スロット数が「3」である場合には、図8に示すように、通信規則方向の逆方向にデータを送信する場合、2スロットおきに1ホップ先にデータが送信されることとなり、データ通信の遅延が発生する。
【0198】
一方、コンセントレータ200の決定部20Eが第2条件を満たす場合の周波数の決定処理を行った場合を想定する。
【0199】
この場合、図9に示すように、スロットフレーム1においてコンセントレータ200から「下り方向」の1ホップ先のホップ数1のノード100に送信された送信データは、スロットフレーム2においてノード100から「下り方向」の1ホップ先のホップ数2のノード100へ送信される。コンセントレータ200の決定部20Eは、スロットフレーム2のスロットSL2に対して、2ホップ以上先の第2通信装置である第1ホップ数2のノード100および第1ホップ数4のノード100の受信スロットに決定されるチャネル番号3の周波数と同じ周波数のチャネル番号3を決定する。
【0200】
このため、コンセントレータ200の通信制御部20Fは、スロットフレーム2の送信スロットのタイミングで、2ホップ先のノード100および4ホップ先のノード100の各々で受信可能な周波数の送信データを送信する。よって、コンセントレータ200からスロットフレーム2の送信スロットのタイミングで送信された送信データを、2ホップ先のノード100および4ホップ先のノード100の各々で受信することができる。
【0201】
このため、本実施形態の通信装置は、1つのタイミング(スロット)で2ホップ以上先のノード100へ送信データを直接送信することができ、データ通信の遅延を抑制することができる。
【0202】
図10は、通信スケジュールの一例を示す図である。図10は、決定規則に示される通信規則方向「上り方向」に基づいて決定された通信スケジュールに沿って、通信規則方向の逆方向である「下り方向」にデータを送信する場合の一例の説明図である。また、図10には、コンセントレータ200の決定部20Eが、第2条件を満たす場合の送信スロットの周波数の決定処理を行う場合を示す。また、図10には、コンセントレータ200から5ホップ先および7ホップ先のノード100へ送信データを直接送信する例を示す。
【0203】
図10に示すように、スロットフレーム1においてコンセントレータ200から「下り方向」の1ホップ先のホップ数1のノード100に送信された送信データは、スロットフレーム2においてノード100から「下り方向」の1ホップ先のホップ数2のノード100へ送信される。コンセントレータ200の決定部20Eは、スロットフレーム2のスロットSL2に対して、2ホップ以上先の第2通信装置である第1ホップ数5のノード100および第1ホップ数7のノード100の受信スロットに決定されるチャネル番号6の周波数と同じ周波数のチャネル番号6を決定する。
【0204】
このため、コンセントレータ200の通信制御部20Fは、スロットフレーム2の送信スロットのタイミングで、5ホップ先のノード100および7ホップ先のノード100の各々で受信可能な周波数の送信データを送信する。よって、コンセントレータ200からスロットフレーム2の送信スロットのタイミングで送信された送信データを、5ホップ先のノード100および7ホップ先のノード100の各々で受信することができる。
【0205】
このため、本実施形態の通信装置は、1つのタイミング(スロット)で2ホップ以上先のノード100へ送信データを直接送信することができ、データ通信の遅延を抑制することができる。
【0206】
次に、本実施形態のコンセントレータ200およびノード100の各々で実行する通信処理の一例を説明する。
【0207】
図11は、コンセントレータ200が実行する通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、ノード100が実行する通信処理の流れも、図11に示すフローチャートと同様であるため、コンセントレータ200の場合を一例として説明する。なお、図11には、コンセントレータ200の決定部20Eが、第1ホップ数とスロット数とを用いた決定規則に基づいて、複数のスロットの各々に対して、送信スロット、受信スロット、スリープスロットの何れかを割り当てることによって、データ通信のタイミングを決定済であるものとして説明を行う。
【0208】
コンセントレータ200の決定部20Eは、決定規則に示される通信規則方向を特定する(ステップS300)。次に、決定部20Eは、現在のスロットに、受信スロット、送信スロット、スリープスロット、の何れが割り当てられているかを判断する(ステップS302)。
【0209】
現在のスロットに送信スロットが割り当てられている場合、決定部20Eは、ステップS300で特定した通信規則方向の逆方向へ送信する送信データがあるか否かを判断する(ステップS304)。例えば、決定部20Eは、該逆方向へ送信するための送信データが記憶部20Aに記憶されているか否かを判別することで、ステップS304の判断を行う。決定部20Eは、例えば、自装置に対して通信規則方向側に接続された他の通信装置から受信し宛先を逆方向側の他の通信装置とするデータが記憶部20Aに記憶されているか否かを判別することで、該逆方向へ送信するための送信データが記憶部20Aに記憶されているか否かを判別すればよい。
【0210】
逆方向へ送信する送信データがある場合(ステップS304:Yes)、ステップS306へ進む。ステップS306では、決定部20Eは、該送信データが第1条件を満たす場合に決定された周波数による送信済であるか否かを判断する(ステップS306)。例えば、決定部20Eは、該送信データに、送信済を表すフラグが付与されているか否かを判別することで、ステップS306の判断を行う。
【0211】
決定部20Eは、ステップS306で否定判断すると(ステップS306:No)、後述するステップS316へ進む。決定部20Eは、ステップS306で肯定判断すると(ステップS306:Yes)、第2通信宛先がデータ通信中であるか否かを判断する(ステップS308)。決定部20Eは、スロット数とαとの乗算値であるNαを、第2通信宛先の第2ホップ数として特定する。そして、決定部20Eは、特定した第2ホップ数の第2通信宛先が、データ通信中であるか否かを判断する。例えば、決定部20Eは、第2通信宛先がデータ送信中であるか否かを上述した方法により類推することで、データ通信中であるか否かを判断する。
【0212】
決定部20Eは、第2通信宛先がデータ通信中であると判断した場合(ステップS308:Yes)、後述するステップS320へ進む。決定部20Eは、第2通信宛先がデータ通信中ではないと判断した場合(ステップS308:No)、ステップS310へ進む。
【0213】
ステップS310では、決定部20Eは、第2通信宛先へのデータ通信に用いる周波数を、現在のスロットである送信スロットに用いる周波数として決定する(ステップS310)。詳細には、決定部20Eは、上記式(11)または式(12)を用いて、周波数を決定する。
【0214】
そして、通信制御部20Fは、現在の送信スロットについてステップS310で決定された周波数で送信データを送信するように、通信部20Bを制御する(ステップS312)。なお、通信制御部20Fは、ステップS312で送信制御した送信済の送信データを、記憶部10Aから削除してよい。また、通信制御部20Fは、該送信データに付与されている送信済を表すフラグを無効にしてもよい。そして、本ルーチンを終了する。
【0215】
一方、上記ステップS304で逆方向へ送信する送信データが無いと判断した場合(ステップS304:No)、ステップS314へ進む。ステップS314では、決定部20Eは、ステップS300で特定した通信規則方向へ送信する送信データがあるか否かを判断する(ステップS314)。例えば、決定部20Eは、該通信規則方向へ送信するための送信データが記憶部20Aに記憶されているか否かを判別することで、ステップS314の判断を行う。決定部20Eは、例えば、自装置に対して該通信規則方向の逆方向側に接続された他の通信装置から受信し宛先を該通信規則方向側の他の通信装置とするデータが記憶部20Aに記憶されているか否かを判別することで、該通信規則方向へ送信するための送信データが記憶部20Aに記憶されているか否かを判別すればよい。
【0216】
通信規則方向へ送信する送信データが無いと判断した場合(ステップS314:No)、後述するステップS320へ進む。通信規則方向へ送信する送信データがあると判断した場合(ステップS314:Yes)、ステップS316へ進む。
【0217】
ステップS316では、決定部20Eは、第1通信宛先へのデータ通信に用いる周波数を、現在のスロットである送信スロットに用いる周波数として決定する(ステップS316)。詳細には、決定部20Eは、上記式(5)または式(16)を用いて、周波数を決定する。
【0218】
そして、通信制御部20Fは、現在の送信スロットについてステップS316で決定された周波数で送信データを送信するように、通信部20Bを制御する(ステップS318)。そして、通信制御部20Fは、送信した該送信データに送信済を表すフラグを付与し記憶部10Aに記憶する。そして、本ルーチンを終了する。
【0219】
一方、ステップS302で、現在のスロットにスリープスロットが割り当てられていると判断した場合、通信制御部20Fはデータの送受信を行わず、コンセントレータ200全体をスリープ状態にして消費電力を抑える(ステップS320)。そして、本ルーチンを終了する。
【0220】
一方、ステップS302で、現在のスロットに受信スロットが割り当てられていると判断した場合、決定部20Eは、ステップS300で特定した通信規則方向の上流側に1ホップ先の第1通信宛先の通信装置の送信スロットの周波数を、該受信スロットの周波数として決定する(ステップS322)。詳細には、決定部20Eは、ステップS300で特定した通信規則方向が「上り方向」である場合には上記式(7)および式(8)を用いて周波数を決定する。また、決定部20Eは、ステップS300で特定した通信規則方向が「下り方向」である場合には上記式(9)または式(10)を用いて周波数を決定する。
【0221】
そして、通信制御部20Fは、受信待機および受信処理を行う(ステップS324)。ステップS324では、通信制御部20Fは、現在の受信スロットの期間、通信部20Bの周波数をステップS322で決定された周波数とし、データの受信待ち状態にする。コンセントレータ200に接続するノード100が該スロットでデータを送信すると、コンセントレータ200の通信制御部20Fは該スロットでデータを受信できる。該スロットの中で一定時間データが受信されないことが判断できれば、通信制御部20Fは、その時点で通信部20Bの受信待ち状態を解除し、消費電力を抑えるように制御してよい。そして、本ルーチンを終了する。
【0222】
以上説明したように、本実施形態のコンセントレータ200は、決定部20Eと通信制御部20Fとを備える。また、本実施形態のノード100は、決定部10Eと通信制御部10Fとを備える。
【0223】
決定部20Eおよび決定部10Eの少なくとも一方は、時分割多重の通信システム1に含まれる複数の通信装置(ノード100,コンセントレータ200)のうち特定の通信装置(コンセントレータ200)からの第1ホップ数を用いた、複数の通信装置に共通の予め定められた決定規則に基づいて、時分割多重によるデータ通信のタイミングと、データ通信に用いる無線の周波数と、を決定する。通信制御部20Fおよび通信制御部10Fは、決定されたタイミングで、決定された周波数の無線によるデータ通信を制御する。
【0224】
決定部20Eおよび決定部10Eの少なくとも一方は、第1条件を満たす場合、第1ホップ数を用いた決定規則に基づいて、自装置から1ホップ先の他の通信装置である第1通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。決定部20Eおよび決定部10Eの少なくとも一方は、第2条件を満たす場合、第1ホップ数と自装置から2ホップ以上先の第2通信宛先のコンセントレータ200からの第2ホップ数と、を用いた決定規則に基づいて、第2通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【0225】
このように、本実施形態の通信装置(ノード100、コンセントレータ200)は、第1条件および第2条件に応じて、自装置から1ホップ先の第1通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数、または、自装置から2ホップ以上先の第2通信宛先へのデータ通信に用いる無線の周波数を決定する。
【0226】
このため、本実施形態の通信装置は、条件に応じて、数ホップ先の通信宛先へ直接データを送信することができる。すなわち、本実施形態の通信装置は、リーフノードまたはコンセントレータ200に向かって高速にデータを送信することでき、データ通信の遅延を抑制することができる。
【0227】
従って、本実施形態の通信装置は、データ通信の遅延を抑制することができる。
【0228】
なお、本実施形態に係る通信システム1は、時分割多重の無線通信制御において、ホップ数を基にした自立型の通信スケジューリングアルゴリズム(autonomous scheduling)、および中央型の通信スケジューリングアルゴリズム、のいずれも採用する事ができる。
【0229】
自立型の通信スケジューリングアルゴリズムとは、例えば、通信に用いるスロットを通知するための通信相手との間の制御メッセージのやり取りであるネゴシエーションを行う必要のないアルゴリズムである。自立型の通信スケジューリングアルゴリズムは、実装が容易であり、制御オーバヘッドを抑制できる。制御オーバヘッドを抑制することで、ネゴシエーションの負荷を軽減することができる。
【0230】
一方、中央型の通信スケジューリングアルゴリズムには制御オーバヘッドがある。しかし、中央型の通信スケジューリングアルゴリズムは、経路制御をコンセントレータと呼ばれる装置で管理することができるため、様々な通信環境に対して柔軟に対応することができる。
【0231】
仮に同一スロット(時刻)に複数のノード100がデータ送信を行った場合を想定する。この場合、複数のノード100それぞれの送信信号が干渉しあい、データ欠損などを引き起こす場合がある。自立型の通信スケジューリングアルゴリズムおよび中央型の通信スケジューリングアルゴリズムでは、このような同一ネットワーク内での干渉を回避するようにスケジューリングを行う必要がある。
【0232】
本実施形態では、無線マルチホップネットワークのルートノードであるコンセントレータ200からリーフノードまで一本の経路が構成されるリニアトポロジを採用する。各ノード100は、無線マルチホップネットワークに接続するとコンセントレータ200からの自ノードまでの間のホップ数である第1ホップ数を認識する。各ノード100は、この第1ホップ数を用いて、データ通信を行うタイミングであるスロットおよび周波数を決定する。各ノード100は、自ノードへデータを送信する他のノード100(リニアトポロジなので親ノードと子ノードは1個ずつ)がデータ送信するスロットではデータ受信処理を行う。
【0233】
本実施形態の通信システム1では、同一スロットで複数のノード100がデータ送信をしても異なる周波数を用いる、または、同一周波数を用いる場合であってもネットワーク上では距離が離れるように構成できる。このため、本実施形態の通信システムでは、上記効果に加えて、同一ネットワーク内の干渉を抑制することができる。
【0234】
(変形例1)
通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、第1通信宛先または第2通信宛先である通信宛先に無線によりデータが到達可能な送信電力、変調方式、および誤り訂正方式の少なくとも1つを用いて、データ通信を制御することが好ましい。
【0235】
例えば、決定部10Eおよび決定部20Eによって1ホップ先の第1通信宛先への通信に用いる無線の周波数が決定された場合を想定する。この場合、通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、第1通信宛先に無線によりデータが到達可能な予め定められた送信電力、変調方式、及び誤り訂正方式を用いて、データ通信を制御する。
【0236】
また、例えば、決定部10Eおよび決定部20Eによって2ホップ以上先の第2通信宛先への通信に用いる無線の周波数が決定された場合を想定する。この場合、通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、2ホップ以上先の第2通信宛先へ到達可能となるように、予め定められた送信電力、変調方式、及び誤り訂正方式の少なくとも1つを変更し、データ通信を制御すればよい。
【0237】
通信制御部10Fおよび通信制御部20Fによるこれらの制御により、より高い確率で誤りなくデータを通信宛先へ送信することが可能となる。
【0238】
(変形例2)
通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、第2通信宛先へのデータ通信に用いる周波数の無線によるデータ通信を制御する場合、現在の前記スロット内における予め定められた時期とは異なる時期に送信データの送信を制御することが好ましい。
【0239】
通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、1つのスロット内における予め定められた時期にデータ送信を開始する。例えば、1スロットの時間長が100ミリ秒である場合を想定する。この場合、1スロット内における例えばスロットの先頭から30ミリ秒の時期からデータ送信を開始することが予め定められている。
【0240】
そこで、通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、2ホップ以上先の他の通信装置である第2通信宛先へのデータ通信に用いる周波数の無線によるデータ通信を制御する場合、送信スロット内における予め定められた時期より早いタイミングで送信データの送信を制御する。例えば、通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、2ホップ以上先の他の通信装置である第2通信宛先へのデータ通信に用いる周波数の無線によるデータ通信を制御する場合、1スロット内における、例えば、予め定められた時期(例えばスロットの先頭から30ミリ秒の時期)より早い、スロットの先頭から10ミリ秒の時期からデータ送信を開始する。
【0241】
通信制御部10Fおよび通信制御部20Fが、送信スロット内における予め定められた時期より早いタイミングで送信データの送信を制御することで、よりホップ数の多い2ホップ以上先の他の通信装置へ直接送信する送信データを、1ホップ先の他の通信装置へ直接送信する送信データに比べて、より優先して送信することができる。このため、通信制御部10Fおよび通信制御部20Fは、より高い確率で、通信規則方向の逆方向に向かって送信データを送信することが可能となる。
【0242】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、2つ以上の他のノードに接続されるノードを含む構成について説明する。コンセントレータが2つ以上のノードに接続されてもよい。
【0243】
図12は、第2の本実施形態の通信システム1Bの構成例を示す図である。図12に示すように、本実施形態の通信システム1Bは、コンセントレータ200-2と、複数のノード100-2~ノード100-2、ノード100-2~ノード100-2と、ネットワーク300と、を備える。ノード100-2~ノード100-2、ノード100-2~ノード100-2は同様の構成を備えるため、区別する必要がない場合は単にノード100-2という。コンセントレータ200-2は、ノード100に替えてノード100-2に接続されている点以外は上記実施形態のコンセントレータ200と同様である。
【0244】
図12に示すように、ノード100-2はノード100-2とノード100-2に接続されている。また、ノード100-2はノード100-2とノード100-2とノード100-2に接続されている。このように、本実施形態の通信システム1Bは、2つ以上の他のノード100-2に接続されるノード100-2、ノード100-2を含む。
【0245】
図13は、第2の実施形態のノード100-2の構成の一例を示すブロック図である。図13に示すように、ノード100-2は、記憶部10Aと、通信部10Bと、アプリケーション10Dと、決定部10Eと、通信制御部12Fと、を備える。
【0246】
ノード100-2は、通信制御部10Fに替えて通信制御部12Fを備える点以外は、上記実施形態のノード100と同様である。
【0247】
決定部10Eの機能は上記実施形態と同様である。このため、例えば、例えば第1ホップ数が同じであるノード100-2、ノード100-2、ノード100-2には、同じスロットおよび周波数が決定される場合がある。
【0248】
そこで、本実施形態では、通信制御部12Fは、第1ホップ数が同じ他の通信装置との間で相互に異なる時刻にデータ通信するように、決定されたタイミングで、決定された周波数の無線による通信を制御する。
【0249】
詳細には、通信制御部12Fは、第1ホップ数が同じ他のノード100-2が存在する場合、当該他のノード100-2との間でデータを生成または送信するタイミングを調整し、複数のノード100-2が同じタイミングでデータを送信しないようにする。なお、このような調整をアプリケーション10Dが実行してもよい。以下では、通信制御部12Fがこのような調整を行う場合を例に説明する。
【0250】
図12では、例えばノード100-2とノード100-2はホップ数が同じであるため、同じスロットで送信スロットを持つ。これら2つのノード100-2が同時にデータを送信しないよう、予めデータ送信可能な時刻または時間帯を分離しておく。
【0251】
例えば通信制御部12Fは、無線マルチホップネットワークに接続したときに得られる情報などから、第1ホップ数が同じ他のノード100-2が存在するか否かを特定する。第1ホップ数が同じ他のノード100-2が存在する場合、通信制御部12Fは、ホップ数が同じ他のノード100-2との間で相互に異なる時刻でデータ通信するように通信を制御する。例えば通信制御部12Fは、予め指定された、他のノード100-2と異なる時刻または時間帯にデータ通信するように制御する。
【0252】
時刻または時間帯はどのような指定方法で指定されてもよいが、例えば、絶対時刻を用いる方法、および、時間の経過とともに単調増加するよう管理されているスロット番号またはスロットフレーム番号を用いた方法を適用できる。
【0253】
通信制御部12Fは、予め定められた規則(時刻決定規則)に従い、他のノード100-2と異なる時刻または時間帯にデータ通信するように制御してもよい。この規則は、例えば、ノード100-2に割り当てられたノード100-2の識別情報、インタフェースのアドレス、および、ネットワークアドレスなどからデータ送信が可能な時刻または時間帯を計算する規則である。例えば、通信制御部12Fは、ノード100-2の識別情報を60で割った余りが10の場合は毎時10分台にデータが送信できるように、またノード100-2の識別情報を60で割った余りが35の場合は毎時35分台にデータが送信できるように制御してもよい。
【0254】
このように、第2の実施形態では、2つ以上の他のノードに接続されるノードが含まれる場合であっても、ネットワーク内の干渉を抑制できる。
【0255】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、通信装置(コンセントレータ、ノード)間で複数の通信経路が構成される例を説明する。
【0256】
図14は、第3の実施形態の通信システム1Cの構成例を示す図である。図14に示すように、本実施形態の通信システム1Cは、コンセントレータ200-3と、複数のノード100-3~100-3と、ネットワーク300と、を備えている。ノード100-3~100-2は同様の構成を備えるため、区別する必要がない場合は単にノード100-3という。
【0257】
図14に示すように、本実施形態では、コンセントレータ200-3とノード100-3は、2つの通信経路で接続されるように、無線マルチホップネットワークを構成する。すなわち、本実施形態では、コンセントレータ200-3およびノード100-3は、2つの通信部を用いて2つの通信経路を有する。一方の通信経路は、コンセントレータ200-3の通信部20Bと各ノード100-3の通信部10Bで構成される通信経路PAである。他方は、コンセントレータ200-3の通信部23G(後述)と各ノード100-3の通信部13G(後述)で構成される通信経路PBである。
【0258】
本実施形態では、2つの通信経路に対して、相互に異なる範囲の周波数が割り当てられる。例えば通信経路PAに対しては、使用可能な複数の周波数のうち、チャネル番号が前半の周波数が割り当てられ、通信経路PBに対しては、使用可能な周波数のうち、チャネル番号が後半の周波数を割り当てられる。周波数の割り当て方法はこれに限られない。例えば、チャネル番号が偶数および奇数である周波数が、それぞれ通信経路PAと通信経路PBに割り当てられてもよい。
【0259】
割り当てられた周波数の範囲内で、各ノード100-3が用いる周波数が、上記実施形態と同様の手法で決定される。
【0260】
図15は、第3の実施形態のコンセントレータ200-3の機能構成の一例を示すブロック図である。図15に示すように、コンセントレータ200-3は、記憶部20Aと、通信部20Bと、通信部20Cと、通信部23Gと、通信制御部23Fと、決定部20Eと、アプリケーション20Dと、を備える。
【0261】
第3の実施形態のコンセントレータ200-3は、通信部23Gを更に備え、通信制御部20Fに替えて通信制御部23Fを備える点以外は、上記第1の実施形態のコンセントレータ200と同様である。
【0262】
通信部23Gは、通信部20Bと同様に、無線マルチホップネットワーク内の他のノード100-3と通信する。上記のように、通信部20Bは通信経路PAで用いられ、通信部23Gは通信経路PBで用いられる。
【0263】
なお、本実施形態では、決定部20Eは、2つの通信経路PA、PBそれぞれについて、割り当てられた周波数の範囲内で、使用する周波数を決定する。例えば決定部20Eは、通信経路PAについては、通信経路PAに対して割り当てられた周波数の個数をCとして、上記実施形態と同様の手順により、周波数を決定する。同様に、決定部20Eは、通信経路PBについては、通信経路PBに対して割り当てられた周波数の個数をCとして、上記実施形態と同様の手順により、周波数を決定する。
【0264】
通信制御部23Fは、通信部20B、通信部20Cに加え、通信部23Gを用いた通信を制御する。
【0265】
図16は、第3の実施形態のノード100-3の構成の一例を示すブロック図である。図16に示すように、ノード100-3は、記憶部10Aと、通信部10Bと、アプリケーション10Dと、決定部10Eと、通信制御部13Fと、通信部13Gと、を備える。
【0266】
第3の実施形態のノード100-3は、通信制御部10Fに替えて通信制御部13Fを備え、通信部13Gを更に備える点以外は、上記第1の実施形態のノード100と同様である。
【0267】
通信部13Gは、通信部10Bと同様に、無線マルチホップネットワーク内の他のノード100-3、または、コンセントレータ200-3と通信する。上記のように、通信部10Bは通信経路PAで用いられ、通信部13Gは通信経路PBで用いられる。
【0268】
なお、決定部10Eは、2つの通信経路PA、PBそれぞれについて、割り当てられた周波数の範囲内で、使用する周波数を決定する。例えば決定部10Eは、通信経路PAについては、通信経路PAに対して割り当てられた周波数の個数をCとして、上記実施形態と同様の手順により、周波数を決定する。同様に、決定部10Eは、通信経路PBについては、通信経路PBに対して割り当てられた周波数の個数をCとして、上記実施形態と同様の手順により、周波数を決定する。
【0269】
通信制御部13Fは、通信部10Bに加え、通信部13Gを用いた通信を制御する。
【0270】
本実施形態では、このようにして周波数を使い分け、第1の実施形態のような通信制御が実行される。なお、コンセントレータ200-3およびノード100-3が有する通信経路は3個以上でもよい。コンセントレータ200-3およびノード100-3は、通信経路の数に合わせた個数の通信部を備えればよい。
【0271】
このように、第3の実施形態では、装置間で複数の通信経路を備える構成についても、ネットワーク内の干渉を抑制できる。
【0272】
次に、第1から第3の実施形態にかかる通信装置のハードウェア構成について図17を用いて説明する。図17は、第1から第3の実施形態にかかる通信装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0273】
第1から第3の実施形態にかかる通信装置は、CPU51などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)52やRAM53などの記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F54と、各部を接続するバス61を備えている。
【0274】
第1から第3の実施形態にかかる通信装置で実行されるプログラムは、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
【0275】
第1から第3の実施形態にかかる通信装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるように構成してもよい。
【0276】
さらに、第1から第3の実施形態にかかる通信装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、第1から第3の実施形態にかかる通信装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0277】
第1から第3の実施形態にかかる通信装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した通信装置の各部として機能させうる。このコンピュータは、CPU51がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0278】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0279】
100、100-2、100-3 ノード
200、200-3 コンセントレータ
10A、20A 記憶部
10B、13G、20B、20C、23G 通信部
10D、20D アプリケーション
10E、20E 決定部
10F、12F、13F、20F、23F 通信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17