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特開2024-104600判別装置、判別方法、および判別プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104600
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】判別装置、判別方法、および判別プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20240729BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240729BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240729BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01N21/59 M
B65H7/14
G03G21/00 376
G01N21/27 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008905
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 崇史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 大介
(72)【発明者】
【氏名】池田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】土器屋 翔平
(72)【発明者】
【氏名】植村 昂紀
【テーマコード(参考)】
2G059
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2G059AA03
2G059AA05
2G059BB10
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE11
2G059GG02
2G059GG03
2G059HH01
2G059HH02
2G059KK03
2G059MM05
2H270LC02
2H270LC03
2H270LC04
2H270LC05
2H270LD03
2H270LD09
2H270MB07
2H270PA14
2H270PB08
2H270QB13
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048BB08
3F048DC11
3F048EB22
(57)【要約】
【課題】記録媒体の種類が誤って判別されることをより広範囲において抑制する。
【解決手段】画像形成装置1は、記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得する取得部と、複数の判別指標の各々における測定値と閾値との比較結果に基づいて、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する判別部と、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける入力部と、判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定し、対象の判別指標の閾値を変更する変更部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得する取得部と、
前記複数の判別指標の各々における前記測定値と閾値との比較結果に基づいて、前記記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する判別部と、
前記記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける入力部と、
判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、前記記録媒体の種類が前記入力された種類に判別されるように、前記複数の判別指標のうち前記閾値を変更する対象の判別指標を特定し、前記対象の判別指標の前記閾値を変更する変更部とを備える、判別装置。
【請求項2】
前記複数の記録媒体種は、普通紙、再生紙、コート紙、および色紙のうち少なくとも2つを含む、請求項1に記載の判別装置。
【請求項3】
前記複数の判別指標の各々は、波長の異なる2種類の光の透過率の相対値、または、当該2種類の光の反射率の相対値であり、
前記複数の判別指標の各々の前記閾値は、前記記録媒体の赤外線の透過率であるIR透過率に応じて設定される、請求項1または2に記載の判別装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記対象の判別指標の、前記IR透過率ごとの前記閾値を一括して同量だけ変更する、請求項3に記載の判別装置。
【請求項5】
前記変更部は、前記測定値と、前記記録媒体の前記IR透過率に対応する前記閾値との差に基づいて、前記閾値の変更量を決定する、請求項4に記載の判別装置。
【請求項6】
前記変更部は、複数枚の記録媒体についての前記対象の判別指標の測定値に基づいて、前記閾値の変更量を決定する、請求項1または2に記載の判別装置。
【請求項7】
前記入力部は、前記変更量の決定に使用する記録媒体の枚数を入力する操作を受け付ける、請求項6に記載の判別装置。
【請求項8】
前記複数の記録媒体種が色紙を含む場合には、前記複数の判別指標は複数の色紙判別指標を含み、
前記判別部は、
前記複数の色紙判別指標のうち少なくとも1つの色紙判別指標の前記測定値が色紙を示す場合には、前記記録媒体を色紙と判別し、
前記複数の色紙判別指標のうちいずれの色紙判別指標の前記測定値も色紙を示していない場合には、前記記録媒体を色紙以外と判別し、
前記変更部は、前記記録媒体が色紙以外と判別され、かつ、前記入力された種類が色紙である場合には、前記対象の判別指標として前記複数の色紙判別指標を特定し、前記複数の色紙判別指標のうち前記測定値と前記閾値との差が最も小さい色紙判別指標の当該差に基づいて前記閾値の変更量を算出し、前記複数の色紙判別指標の各々について前記閾値を一括して当該変更量だけ変更する、請求項1または2に記載の判別装置。
【請求項9】
前記変更部は、前記対象の判別指標に対して複数の閾値が設定されている場合、前記複数の閾値を一括して同量だけ変更する、請求項1または2に記載の判別装置。
【請求項10】
前記閾値と前記IR透過率との関係は、一次関数によって表される、請求項3に記載の判別装置。
【請求項11】
前記変更部は、前記差を所定のステップ単位に基づくステップ数に換算し、当該ステップ数を前記変更量として決定する、請求項5に記載の判別装置。
【請求項12】
前記判別装置は、前記変更量を表示する表示部をさらに備える、請求項5に記載の判別装置。
【請求項13】
前記判別装置は、前記記録媒体の種類を前記複数の記録媒体種の中から選択するための画面を表示する表示部をさらに備え、
前記判別装置は、前記画面上で行われたユーザーの操作に従って、前記記録媒体の種類を受け付ける、請求項1または2に記載の判別装置。
【請求項14】
記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得することと、
前記複数の判別指標の各々における前記測定値と閾値との比較結果に基づいて、前記記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別することと、
前記記録媒体の種類を入力する操作を受け付けることと、
判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、前記記録媒体の種類が前記入力された種類に判別されるように、前記複数の判別指標のうち前記閾値を変更する対象の判別指標を特定し、前記対象の判別指標の前記閾値を変更することとを備える、判別方法。
【請求項15】
請求項14に記載の判別方法をコンピューターに実行させる、判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像が形成される記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する判別装置、判別方法、および判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置により形成される画像の品質を向上させるために、画像が形成される記録媒体(例えば、用紙)の特性に応じて画像形成装置のプロセス条件(例えば、定着温度)を変更する必要がある。以前より、記録媒体の特性を光学的に検出し、検出結果に基づいて記録媒体の種類を判別する画像形成装置が知られている。これらの画像形成装置では、記録媒体そのもののバラつき、装置の部品のバラつき、および/または当該部品の組み立てのバラつき等により、記録媒体の種類が誤って判別される場合がある。
【0003】
特開2008-96617号公報に開示される画像形成装置は、記録材からの反射光や透過光を検出することにより得られる測定値がユーザー指定領域内の値である場合には、当該記録材の種類をユーザーが指定した紙種と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-96617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2008-96617号公報に開示される画像形成装置によれば、ユーザー指定領域内については記録媒体の種類が正しく判別されるが、ユーザー指定領域以外の領域については、記録媒体の種類が誤って判別される可能性がある。記録媒体の種類が誤って判別されることをより広範囲において抑制することが求められている。
【0006】
本開示は、記録媒体の種類が誤って判別されることをより広範囲において抑制することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従う判別装置は、記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得する取得部と、複数の判別指標の各々における測定値と閾値との比較結果に基づいて、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する判別部と、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける入力部と、判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定し、対象の判別指標の閾値を変更する変更部とを備える。
【0008】
好ましくは、複数の記録媒体種は、普通紙、再生紙、コート紙、および色紙のうち少なくとも2つを含む。
【0009】
好ましくは、複数の判別指標の各々は、波長の異なる2種類の光の透過率の相対値、または、当該2種類の光の反射率の相対値である。複数の判別指標の各々の閾値は、記録媒体の赤外線の透過率であるIR透過率に応じて設定される。
【0010】
好ましくは、変更部は、対象の判別指標の、IR透過率ごとの閾値を一括して同量だけ変更する。
【0011】
好ましくは、変更部は、測定値と、記録媒体のIR透過率に対応する閾値との差に基づいて、閾値の変更量を決定する。
【0012】
好ましくは、変更部は、複数枚の記録媒体についての対象の判別指標の測定値に基づいて、閾値の変更量を決定する。
【0013】
好ましくは、入力部は、変更量の決定に使用する記録媒体の枚数を入力する操作を受け付ける。
【0014】
好ましくは、複数の記録媒体種が色紙を含む場合には、複数の判別指標は複数の色紙判別指標を含む。判別部は、複数の色紙判別指標のうち少なくとも1つの色紙判別指標の測定値が色紙を示す場合には、記録媒体を色紙と判別する。判別部は、複数の色紙判別指標のうちいずれの色紙判別指標の測定値も色紙を示していない場合には、記録媒体を色紙以外と判別する。変更部は、記録媒体が色紙以外と判別され、かつ、入力された種類が色紙である場合には、対象の判別指標として複数の色紙判別指標を特定し、複数の色紙判別指標のうち測定値と閾値との差が最も小さい色紙判別指標の当該差に基づいて閾値の変更量を算出し、複数の色紙判別指標の各々について閾値を一括して当該変更量だけ変更する。
【0015】
好ましくは、変更部は、対象の判別指標に対して複数の閾値が設定されている場合、複数の閾値を一括して同量だけ変更する。
【0016】
好ましくは、閾値とIR透過率との関係は、一次関数によって表される。
【0017】
好ましくは、変更部は、差を所定のステップ単位に基づくステップ数に換算し、当該ステップ数を変更量として決定する。
【0018】
好ましくは、判別装置は、変更量を表示する表示部をさらに備える。
【0019】
好ましくは、判別装置は、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から選択するための画面を表示する表示部をさらに備える。判別装置は、画面上で行われたユーザーの操作に従って、記録媒体の種類を受け付ける。
【0020】
本開示の他の局面に従う判別方法は、記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得することと、複数の判別指標の各々における測定値と閾値との比較結果に基づいて、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別することと、記録媒体の種類を入力する操作を受け付けることと、判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定し、対象の判別指標の閾値を変更することとを備える。
【0021】
本開示の他の局面に従う判別プログラムは、上述の判別方法をコンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、記録媒体の種類が誤って判別されることをより広範囲において抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態における画像形成装置の一例を示す図である。
図2】本実施の形態における画像形成装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図3】本実施の形態におけるメディアセンサーの一例を示す図である。
図4】本実施の形態における画像形成装置の処理の概要を示す図である。
図5】本実施の形態における色紙判別指標A1のグラフの一例を示す図である。
図6】本実施の形態における色紙判別指標A2のグラフの一例を示す図である。
図7】本実施の形態におけるコート紙判別指標のグラフの一例を示す図である。
図8】本実施の形態における古紙パルプ判別指標のグラフの一例を示す図である。
図9】本実施の形態における色紙判別指標、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標の組合せにより判別される紙種を示す図である。
図10】本実施の形態における閾値を変更する対象の判別指標の候補を示す図である。
図11】本実施の形態における調整処理の手順の一部を示すフローチャートである。
図12】本実施の形態における調整処理の手順の残りの部分を示すフローチャートである。
図13】本実施の形態において、調整処理の開始を指示する操作を受け付ける画面の一例を示す図である。
図14】本実施の形態において、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける画面の一例を示す図である。
図15】本実施の形態において、調整内容を示す画面の一例を示す図である。
図16】本実施の形態において、調整が行われなかったことを示す画面の一例を示す図である。
図17】実施例1~4における、判別対象の用紙についての各判別指標の測定値、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値、および測定値と閾値との差を示す図である。
図18】実施例1~4における、判別対象の用紙についての色紙判別指標A1の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。
図19】実施例1~4における、判別対象の用紙についての色紙判別指標A2の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。
図20】実施例1~4における、判別対象の用紙についてのコート紙判別指標の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。
図21】実施例1~4における、判別対象の用紙についての古紙パルプ判別指標の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。
図22】実施例1~4における各判別指標の基準線の傾きと切片とを示す図である。
図23】実施例1~4において閾値の変更量の決定時に使用するステップ単位を示す図である。
図24】実施例1~4における閾値の変更量を示す図である。
図25】実施例1についての調整処理の前後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す図である。
図26】実施例2についての調整処理の前後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す図である。
図27】実施例2についての調整処理の前後における古紙パルプ判別指標のグラフの基準線LCの位置を示す図である。
図28】実施例3についての調整処理の前後における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す図である。
図29】実施例3についての調整処理の前後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す図である。
図30】実施例4についての調整処理の前後における色紙判別指標A1のグラフの基準線LA11,LA12の位置を示す図である。
図31】実施例4についての調整処理の前後における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す図である。
図32】変形例2において、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本開示に従う実施の形態および変形例について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0025】
[実施の形態]
<A.画像形成装置の構成>
図1図3を参照して、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態における画像形成装置の一例を示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【0026】
図1および図2を参照して、画像形成装置1は、用紙に画像を形成する。さらに、画像形成装置1は、複数の判別指標の各々における測定値と閾値との比較結果に基づいて、紙種を複数の紙種の中から判別する。画像形成装置1は、本開示における「判別装置」の一例である。用紙は、本開示における「記録媒体」の一例である。
【0027】
画像形成装置1は、制御装置10と、給紙部15と、メディアセンサー20と、画像形成部30と、定着部40と、操作パネル50と、通信インターフェイス60とを備える。制御装置10と、給紙部15と、メディアセンサー20と、画像形成部30と、定着部40と、操作パネル50と、通信インターフェイス60とは、バス99で接続される。
【0028】
制御装置10は、プロセッサー11、メモリー12、およびストレージ13を含む。プロセッサー11は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などで構成される。メモリー12は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置で構成される。
【0029】
ストレージ13は、プログラム131を記憶する。プログラム131は、画像形成装置1を制御するためのコンピューター読取可能な命令を含む。プログラム131は、本開示における「判別プログラム」を含む。プロセッサー11はプログラム131を実行することで、画像形成装置1の各部を制御し、本実施の形態に従う各種処理を実現する。
【0030】
プログラム131は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う画像形成装置1の趣旨を逸脱するものではない。また、プログラム131によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウエアによって実現されてもよい。
【0031】
ストレージ13は、さらに閾値情報132を記憶する。閾値情報132は、紙種の判別に用いられる複数の判別指標の各々における閾値を含む。
【0032】
給紙部15は、画像が形成される用紙を複数収容している。給紙部15は、用紙を1枚ずつ画像形成部30へ供給する。
【0033】
メディアセンサー20は、搬送されてきた用紙に光を照射し、用紙からの光を検出する。
【0034】
画像形成部30は、搬送されてきた用紙に対してトナーを付与して画像を形成する。画像形成部30は、中間転写ベルト31と、画像形成ユニット32と、転写ローラー33とを含む。中間転写ベルト31は、複数のローラーの周りに架け渡され、回転可能に構成されている。画像形成ユニット32は、中間転写ベルト31に沿って配置されており、印刷対象の画像を示す画像データに基づいて、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナー像を中間転写ベルト31上に形成する。用紙が中間転写ベルト31と転写ローラー33との間に形成されるニップ部を通過する際に、当該用紙にトナー像が転写されて画像が形成される。
【0035】
定着部40は、トナー像が転写された用紙を加熱および加圧して当該用紙にトナー像を定着させる。プロセッサー11は、メディアセンサー20から取得した情報に基づいて紙種を判別し、当該紙種に応じて定着部40による加熱条件および加圧条件を変更する。トレイ83には、トナー像が定着した用紙が排出される。
【0036】
操作パネル50は、入力部51と表示部52とを含む。入力部51は、ユーザーの操作を受け付け、当該操作を操作信号に変換してプロセッサー11に出力する。入力部51は、例えばタッチパネルである。表示部52は、画像形成装置1の動作ステータスや処理結果等の各種情報を表示する。表示部52は、例えば、液晶ディスプレイである。操作パネル50では、入力部51が表示部52に重ねられて配置されている。
【0037】
通信インターフェイス60は、外部装置500と情報の送受信を行う。一例として、プロセッサー11は、通信インターフェイス60を介して、外部装置500から画像データを受信する。
【0038】
図3は、本実施の形態におけるメディアセンサーの一例を示す図である。メディアセンサー20は、光源ユニット21と、受光センサー22と、基板23X,23Yと、反射板24とを含む。図3に示す矢印ARは、給紙部15から画像形成部30へ供給される用紙Pの搬送方向を示す。
【0039】
光源ユニット21は、光源211、光源212、光源213、光源214、および光源215を含む。光源211、光源212、および光源213は、反射用光源である。以下の説明において、光源211、光源212、および光源213を区別しない場合には、「光源21X」と称する。光源214および光源215は、透過用光源である。以下の説明において、光源214および光源215を区別しない場合には、「光源21Y」と称する。光源21Xおよび光源21Yはいずれも、例えばLED(Light-Emitting Diode)である。
【0040】
光源21Xは、基板23Xに実装されている。光源21Xは、用紙Pの表面で反射する波長域の光を発する。光源211、光源212、および光源213は、互いに異なる波長の光を発する。具体的には、光源211は、ピーク波長が660nmの光(以下、「660nmの光」と称する)を発する。光源212は、ピーク波長が940nmの光(以下、「940nmの光」と称する)を発する。光源213は、ピーク波長が405nmの光(以下、「405nmの光」と称する)を発する。
【0041】
光源21Yは、基板23Yに実装されている。光源21Yは、用紙Pを透過する波長域の光を発する。光源214および光源215は、互いに異なる波長の光を発する。具体的には、光源214は、ピーク波長が460nmの光(以下、「460nmの光」と称する)を発する。光源215は、ピーク波長が850nmの光(以下、「850nmの光」と称する)を発する。850nmの光は、赤外線の一例である。
【0042】
受光センサー22は、例えば、フォトダイオードである。受光センサー22は、光源21Xから照射され用紙Pの表面で反射した光の光路上であるとともに、光源21Yから照射され用紙Pを透過した光の光路上でもある位置に設けられている。一例として、受光センサー22は、基板23Xに実装されている。以下の説明において、発光している光源21Xから照射され用紙Pの表面で反射した光を「反射光」と称し、発光している光源21Yから照射され用紙Pを透過した光を「透過光」と称する。
【0043】
光源211、光源212、光源213、光源214、および光源215は、搬送されてきた用紙Pの通過中に所定時間ずつ順番に発光する。受光センサー22は、反射光および透過光を検出する。
【0044】
すなわち、光源211、光源212、光源213、光源214、および光源215が搬送されてきた用紙Pの通過中に所定時間ずつ順番に発光することにより、受光センサー22は、用紙Pについて、660nmの光の反射量、940nmの光の反射量、405nmの光の反射量、460nmの光の透過量、および850nmの光の透過量を検出する。
【0045】
受光センサー22は、用紙Pについて検出した検出情報をプロセッサー11へ出力する。検出情報は、660nmの光の反射量、940nmの光の反射量、405nmの光の反射量、460nmの光の透過量、および850nmの光の透過量を含む。
【0046】
<B.画像形成装置の処理の概要>
図4を参照して、本実施の形態における画像形成装置1の処理の概要について説明する。
【0047】
図4は、本実施の形態における画像形成装置の処理の概要を示す図である。画像形成装置1は、受光センサー22と、取得部151と、判別部152と、変更部153と、ストレージ13と、操作パネル50とを含む。取得部151と、判別部152と、変更部153とは、プロセッサー11がプログラム131を実行することにより実現される。
【0048】
取得部151は、受光センサー22から検出情報を受信する。取得部151は、記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得する。具体的には、取得部151は、検出情報を基に、給紙部15から搬送されてきた用紙について、紙種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を算出する。
【0049】
判別部152は、複数の判別指標の各々における測定値と閾値との比較結果に基づいて、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する。具体的には、判別部152は、複数の判別指標の各々における測定値と閾値との比較結果に基づいて、紙種を普通紙、再生紙、コート紙、および色紙の中から判別する。複数の判別指標の各々の閾値は、記録媒体の赤外線の透過率であるIR透過率に応じて設定される。閾値とIR透過率との関係は、一次関数によって表される。これにより、プロセッサー11による演算処理が早くなるとともに、使用するメモリーを抑制することができる。閾値は、ストレージ13に保存されている。普通紙、再生紙、コート紙、および色紙は、本開示における「複数の記録媒体種」の一例である。
【0050】
入力部51は、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける。判別された種類とユーザーにより入力された種類とが異なる場合に、変更部153は、記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定し、対象の判別指標の閾値を変更する。より具体的には、判別部152により判別された紙種とユーザーにより入力された紙種とが異なる場合に、変更部153は、用紙の種類が入力された紙種に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定し、対象の判別指標の閾値を変更する。
【0051】
変更部153は、取得部151により取得された測定値と、記録媒体のIR透過率に対応する閾値との差に基づいて、閾値の変更量を決定する。変更部153は、測定値と記録媒体のIR透過率に対応する閾値との差を所定のステップ単位に基づくステップ数に換算し、当該ステップ数を変更量として決定する。変更量を所定のステップ単位に基づくステップ数に換算することにより、プロセッサー11による演算処理が早くなるとともに、使用するメモリーを抑制することができる。変更部153は、対象の判別指標のIR透過率ごとの閾値を一括して同量だけ変更する。
【0052】
変更部153は、対象の判別指標に対して複数の閾値が設定されている場合、当該複数の閾値を一括して同量だけ変更する。
【0053】
表示部52は、変更部153による調整内容を表示する。調整内容は、対象の判別指標と当該対象の判別指標の閾値の変更量とを示す情報を含む。
【0054】
<C.複数の判別指標>
複数の判別指標について説明する。複数の判別指標の各々は、波長の異なる2種類の光の透過率の相対値、または、波長の異なる2種類の光の反射率の相対値である。波長の異なる2種類の光の透過率の相対値は、波長の異なる2種類の光の透過率の差でもよいし、波長の異なる2種類の光の透過率の比率でもよい。波長の異なる2種類の光の反射率の相対値は、波長の異なる2種類の光の反射率の差でもよいし、波長の異なる2種類の光の反射率の比率でもよい。
【0055】
波長の異なる2種類の光のうち一方は判別対象(例えば、判別したい特定の種類の用紙)に対する感度が高い波長を有する光であり、他方は判別対象に対する感度が低い波長を有する光である。判別対象に対する感度が高い波長は、判別対象が吸収しやすい光の波長である。一方、判別対象に対する感度が低い波長は、判別対象が吸収しにくい光の波長である。各判別指標として、判別対象に対する感度が高い波長を有する光と判別対象に対する感度が低い波長を有する光との透過率の相対値、または、判別対象に対する感度が高い波長を有する光と判別対象に対する感度が低い波長を有する光との反射率の相対値を用いることにより、受光センサー22による検出時のノイズ(例えば、光源の個体差、受光センサー22の個体差、および/または用紙の姿勢等による影響)を低減することができる。その結果、紙種の判別精度が向上する。
【0056】
用紙の姿勢に応じて、光源と受光センサー22と用紙との相対的な位置関係が変化するため、受光センサー22により検出される透過光量および反射光量もまた変化する。用紙の姿勢による影響を低減するためには、波長の異なる2種類の光の各々の検出時における用紙の姿勢が極力同じであることが好ましい。そのため、波長の異なる2種類の光の検出タイミングの時間差は極力小さいことが好ましい。
【0057】
複数の判別指標の各々の閾値は、記録媒体の赤外線の透過率であるIR透過率に応じて設定される。IR透過率は、用紙の坪量と相関関係がある。複数の判別指標の各々の閾値がIR透過率に応じて設定されることにより、用紙の坪量の影響を低減することができる。その結果、紙種の判別精度が向上する。
【0058】
透過率は以下の式1を用いて算出され、反射率は以下の式2を用いて算出される。
【0059】
透過率=Tv/Ts・・・式1
【0060】
反射率=Rv/Rs・・・式2
【0061】
式1における「Tv」は、光源21Yから照射され用紙Pを透過した光(透過光)の量である。式1における「Ts」は、光源21Yの光路上に用紙が存在しないときに光源21Yを発光させて受光センサー22で検出した光の量である。式1における「Ts」の値は、測定により予め定められている。なお、「Ts」の値は、プロセッサー11が紙種の判別指示を受け付けた場合に、測定されてもよい。
【0062】
式2における「Rv」は、光源21Xから照射され用紙Pの表面で反射した光(反射光)の量である。式2における「Rs」は、光源21Xの光路上に用紙が存在しないときに光源21Xから照射され反射板24の表面で反射した光の量である。式2における「Rs」の値は、測定により予め定められている。なお、「Rs」の値は、プロセッサー11が紙種の判別指示を受け付けた場合に、測定されてもよい。
【0063】
取得部151は、受光センサー22から受信した用紙Pについての検出情報と式1とを用いて、460nmの光の透過率と、850nmの光の透過率(IR透過率)とを算出する。取得部151は、受光センサー22から受信した用紙Pについての検出情報と式2とを用いて、660nmの光の反射率と、940nmの光の反射率と、405nmの光の反射率とを算出する。
【0064】
本実施の形態では、複数の判別指標として、第1の色紙判別指標(以下、「色紙判別指標A1」と称する)と、第2の色紙判別指標(以下、「色紙判別指標A2」と称する)と、コート紙判別指標と、古紙パルプ判別指標とを使用する。
【0065】
図5は、本実施の形態における色紙判別指標A1のグラフの一例を示す図である。色紙判別指標A1は、色紙を判別するための指標である。色紙判別指標A1は、波長の異なる2種類の光の透過率の比率である。具体的には、色紙判別指標A1は、850nmの光の透過率に対する460nmの光の透過率の比率である。460nmの光は、イエロー系の色紙に対する感度が高い波長を有する光の一例である。すなわち、ある用紙において460nmの光の吸収が多い場合には、当該用紙はイエロー系の色紙である。ある用紙がイエロー系の色紙である場合には、当該用紙の色が濃いほど当該用紙は460nmの光を多く吸収する。850nmの光は、イエロー系の色紙に対する感度が低い波長を有する光の一例である。
【0066】
色紙判別指標A1の閾値は、850nmの光の透過率、すなわちIR透過率に応じて設定される。
【0067】
図5に示す色紙判別指標A1のグラフでは、横軸は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸は850nmの光の透過率に対する460nmの光の透過率の比率を示す。図5における基準線LA11および基準線LA12は、色紙判別指標A1の閾値を示す。図5における基準線LA11はIR透過率が低い場合(坪量が高い場合)の色紙判別指標A1の閾値を示し、図5における基準線LA12はIR透過率が高い場合(坪量が低い場合)の色紙判別指標A1の閾値を示す。1つの判別指標であっても、坪量の高低によって閾値を示す基準線の傾きを変えることにより、坪量の影響を低減することができる。
【0068】
取得部151は、用紙Pについて、色紙判別指標A1の測定値を以下の式3を用いて算出する。
【0069】
色紙判別指標A1の測定値=(460nmの光の透過率)/(850nmの光の透過率)・・・式3
【0070】
色紙判別指標A1において測定値が用紙PのIR透過率に対応する閾値未満である場合には、判別部152は用紙Pの種類を色紙と判別する。
【0071】
図6は、本実施の形態における色紙判別指標A2のグラフの一例を示す図である。色紙判別指標A2は、シアン(水色)系の色紙を判別するための指標である。色紙判別指標A2は、波長の異なる2種類の光の反射率の比率である。具体的には、色紙判別指標A2は、940nmの光の反射率に対する660nmの光の反射率の比率である。660nmの光は、シアン系の色紙に対する感度が高い波長を有する光の一例である。すなわち、ある用紙において660nmの光の吸収が多い場合には、当該用紙はシアン系の色紙である。ある用紙がシアン系の色紙である場合には、当該用紙の色が濃いほど当該用紙は660nmの光を多く吸収する。940nmの光は、シアン系の色紙に対する感度が低い波長を有する光の一例である。
【0072】
色紙判別指標A2の閾値は、850nmの光の透過率、すなわちIR透過率に応じて設定される。
【0073】
図6に示す色紙判別指標A2のグラフでは、横軸は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸は940nmの光の反射率に対する660nmの光の反射率の比率を示す。図6における基準線LA2は、色紙判別指標A2の閾値を示す。
【0074】
取得部151は、用紙Pについて、色紙判別指標A2の測定値を以下の式4を用いて算出する。
【0075】
色紙判別指標A2の測定値=(660nmの光の反射率)/(940nmの光の反射率)・・・式4
【0076】
色紙判別指標A2において測定値が用紙PのIR透過率に対応する閾値未満である場合には、判別部152は用紙Pの種類を色紙と判別する。
【0077】
図7は、本実施の形態におけるコート紙判別指標のグラフの一例を示す図である。コート紙判別指標は、コート紙を判別するための指標である。コート紙判別指標は、波長の異なる2種類の光の透過率の差である。具体的には、コート紙判別指標は、850nmの光の透過率と460nmの光の透過率との差である。460nmの光は、コート紙に対する感度が高い波長を有する光の一例である。850nmの光は、コート紙に対する感度が低い波長を有する光の一例である。
【0078】
コート紙判別指標の閾値は、850nmの光の透過率、すなわちIR透過率に応じて設定される。
【0079】
図7に示すコート紙判別指標のグラフでは、横軸は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸は850nmの光の透過率と460nmの光の透過率との差を示す。図7における基準線LB1および基準線LB2は、コート紙判別指標の閾値を示す。具体的には、図7における基準線LB1は、コート紙判別指標においてコート紙とコート紙以外とを判別するための閾値を示す。図7における基準線LB2は、コート紙判別指標においてコート層が薄いコート紙とコート層が厚いコート紙とを判別するための閾値を示す。以下の説明において、コート紙判別指標におけるコート紙とコート紙以外とを判別するための閾値を「第1の閾値」と称する。以下の説明において、コート紙判別指標におけるコート層が薄いコート紙とコート層が厚いコート紙とを判別するための閾値を「第2の閾値」と称する。コート紙判別指標に対しては、複数の閾値が設定されている。
【0080】
取得部151は、用紙Pについて、コート紙判別指標の測定値を以下の式5を用いて算出する。
【0081】
コート紙判別指標の測定値=(850nmの光の透過率)-(460nmの光の透過率)・・・式5
【0082】
コート紙判別指標において測定値が用紙PのIR透過率に対応する第1の閾値未満である場合には、判別部152は、用紙Pの種類をコート紙以外(例えば、普通紙)と判別する。
【0083】
図8は、本実施の形態における古紙パルプ判別指標のグラフの一例を示す図である。古紙パルプ判別指標は、古紙パルプ(再生紙)を判別するための指標である。古紙パルプ判別指標は、波長の異なる2種類の光の反射率の比率である。具体的には、古紙パルプ判別指標は、940nmの光の反射率に対する405nmの光の反射率の比率である。
【0084】
405nmの光は、再生紙に対する感度が高い波長を有する光の一例である。940nmの光は、再生紙に対する感度が低い波長を有する光の一例である。古紙パルプは、バージンパルプに比べ不純物を多く含んでいる。その不純物は405nmの光を多く吸収するが、940nmの光をほとんど吸収しない。したがって、用紙に古紙パルプが多く含まれていると、940nmの光の反射率に対する405nmの光の反射率の比率は小さくなる。
【0085】
古紙パルプ判別指標の閾値は、850nmの光の透過率、すなわちIR透過率に応じて設定される。
【0086】
図8に示す古紙パルプ判別指標のグラフでは、横軸は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸は940nmの光の反射率に対する405nmの光の反射率の比率を示す。図8における基準線LCは、古紙パルプ判別指標の閾値を示す。
【0087】
取得部151は、用紙Pについて、古紙パルプ判別指標の測定値を以下の式6を用いて算出する。
【0088】
古紙パルプ判別指標の測定値=(405nmの光の反射率)/(940nmの光の反射率)・・・式6
【0089】
古紙パルプ判別指標において測定値が用紙PのIR透過率に対応する閾値以上である場合には、判別部152は用紙Pの種類を再生紙以外と判別する。
【0090】
図9は、本実施の形態における色紙判別指標、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標の組合せにより判別される紙種を示す図である。複数の色紙判別指標のうち少なくとも1つの色紙判別指標の測定値が色紙を示す場合(例えば、複数の色紙判別指標のうち少なくとも1つの色紙判別指標の測定値が閾値未満の場合)には、判別部152は、記録媒体の種類を色紙と判別する。複数の色紙判別指標のうちいずれの色紙判別指標の測定値も色紙を示していない場合(例えば、複数の色紙判別指標のいずれにおいても測定値が閾値以上の場合)には、判別部152は、記録媒体の種類を色紙以外と判別する。
【0091】
より具体的には、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2の少なくとも一方において測定値が閾値未満である場合には、判別部152は、用紙Pの種類を色紙と判別する。
【0092】
色紙判別指標A1および色紙判別指標A2のいずれにおいても測定値が閾値以上であり、かつ、コート紙判別指標において測定値が第1の閾値未満である場合には、判別部152は、用紙Pの種類を普通紙と判別する。
【0093】
色紙判別指標A1および色紙判別指標A2のいずれにおいても測定値が閾値以上であり、かつ、コート紙判別指標において測定値が第1の閾値以上であり、かつ、古紙パルプ判別指標において測定値が閾値以上である場合には、判別部152は、用紙Pの種類をコート紙と判別する。
【0094】
色紙判別指標A1および色紙判別指標A2のいずれにおいても測定値が閾値以上であり、かつ、コート紙判別指標において測定値が第1の閾値以上であり、かつ、古紙パルプ判別指標において測定値が閾値未満である場合には、判別部152は、用紙Pの種類を再生紙と判別する。
【0095】
なお、用紙Pの種類がコート紙と判別され、かつ、コート紙判別指標において測定値が第1の閾値以上、かつ、第2の閾値未満である場合には、判別部152は、用紙Pの種類をコート層が薄いコート紙とさらに判別してもよい。用紙Pの種類がコート紙と判別され、かつ、コート紙判別指標において測定値が第2の閾値以上である場合には、判別部152は、用紙Pの種類をコート層が厚いコート紙とさらに判別してもよい。
【0096】
図10は、本実施の形態における閾値を変更する対象の判別指標の候補を示す図である。対象の判別指標の候補は網掛けされている判別指標である。図10において、「A」は色紙判別指標を示し、「B」はコート紙判別指標を示し、「C」は古紙パルプ判別指標を示す。
【0097】
例えば、ある用紙について入力された種類が普通紙であり、かつ、当該用紙について判別された種類がコート紙である場合には、コート紙判別指標における閾値を上げて、測定値が第1の閾値未満となれば当該用紙は普通紙と判別される。したがって、入力された種類が普通紙であり、かつ、判別された種類がコート紙である場合には、対象の判別指標の候補はコート紙判別指標である。
【0098】
同様にして、入力された種類が普通紙であり、かつ、判別された種類が再生紙である場合には、対象の判別指標の候補はコート紙判別指標である。入力された種類が普通紙であり、かつ、判別された種類が色紙である場合には、対象の判別指標の候補は色紙判別指標およびコート紙判別指標である。
【0099】
入力された種類がコート紙であり、かつ、判別された種類が普通紙である場合には、対象の判別指標の候補はコート紙判別指標および古紙パルプ判別指標である。入力された種類がコート紙であり、かつ、判別された種類が再生紙である場合には、対象の判別指標の候補は古紙パルプ判別指標である。入力された種類がコート紙であり、かつ、判別された種類が色紙である場合には、対象の判別指標の候補は色紙判別指標、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標である。
【0100】
入力された種類が再生紙であり、かつ、判別された種類が普通紙である場合には、対象の判別指標の候補はコート紙判別指標および古紙パルプ判別指標である。入力された種類が再生紙であり、かつ、判別された種類がコート紙である場合には、対象の判別指標の候補は古紙パルプ判別指標である。入力された種類が再生紙であり、かつ、判別された種類が色紙である場合には、対象の判別指標の候補は色紙判別指標、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標である。
【0101】
入力された種類が色紙であり、かつ、判別された種類が普通紙、コート紙、または再生紙である場合には、対象の判別指標の候補は色紙判別指標である。
【0102】
対象の判別指標の候補が1つの場合には、変更部153は、当該候補の閾値を変更する。一方、対象の判別指標の候補が複数ある場合には、変更部153は、複数の候補のうち、判別対象の用紙についての測定値と閾値との大小関係が入力された種類についての測定値と閾値との大小関係と異なる候補の閾値を変更する。
【0103】
<D.調整処理の手順>
図11図16を参照して、調整処理の手順について説明する。調整処理は、記録媒体について判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、当該記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定し、対象の判別指標の閾値を変更する処理である。本実施の形態においては、調整処理は紙種自動調整モードにおいて実行される。
【0104】
図11は、本実施の形態における調整処理の手順の一部を示すフローチャートである。図12は、本実施の形態における調整処理の手順の残りの部分を示すフローチャートである。
【0105】
ステップS1において、プロセッサー11は、調整処理の開始指示を受け付ける。ここで、図13を参照して、調整処理の開始指示の入力方法について説明する。図13は、本実施の形態において、調整処理の開始を指示する操作を受け付ける画面の一例を示す図である。
【0106】
画面G1は、調整処理の開始を指示する操作を受け付ける画面の一例である。画面G1は、表示部52に表示される。画面G1は、ユーザーが調整処理の開始指示を入力するためのボタンB1,B2を含む。ユーザーがボタンB1を押した後にボタンB2を押した場合には、プロセッサー11は調整処理の開始指示を受け付ける。プロセッサー11は、調整処理の開始指示を受け付けた場合には、表示部52に対し、画面G1から画面G2への切り替えを指示する。
【0107】
再び図11を参照して、ステップS2において、プロセッサー11は、記録媒体の種類(例えば、紙種)を受け付ける。ここで、図14を参照して、記録媒体の種類の入力方法について説明する。図14は、本実施の形態において、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける画面の一例を示す図である。
【0108】
画面G2は、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける画面の一例である。画面G2は、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から選択するための画面である。画面G2は、表示部52に表示される。画面G2は、複数の記録媒体種の各々に対応するボタンB3と、選択操作を決定するためのボタンB4とを含む。ユーザーが記録媒体の種類に対応するボタンB3を押した後にボタンB4を押した場合、プロセッサー11は、ユーザーにより押されたボタンB3に対応する種類を記録媒体の種類として受け付ける。ユーザーは記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から選択すればよいので、ユーザーの操作性が向上する。
【0109】
なお、画面G2は、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から選択するための画面に限られない。画面G2は、記録媒体の種類を手入力するための画面でもよい。
【0110】
再び図11を参照して、ステップS3において、プロセッサー11は、光源ユニット21に対し、発光指示を出力する。
【0111】
ステップS4において、プロセッサー11は、受光センサー22により検出された検出情報を受光センサー22から受信する。
【0112】
ステップS5において、プロセッサー11は、記録媒体について、複数の判別指標の各々の測定値を取得する。
【0113】
ステップS6において、プロセッサー11は、複数の判別指標の各々における測定値と閾値との比較結果に基づいて、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する。
【0114】
図12を参照して、ステップS7において、プロセッサー11は、判別された種類と入力された種類とが異なるか否かを判定する。判別された種類は、ステップS6において判別された種類である。入力された種類は、ステップS2において受け付けられた種類である。判別された種類と入力された種類とが異なる場合には(ステップS7においてYES)、プロセッサー11は、ステップS8へ処理を進める。一方、判別された種類と入力された種類とが同じである場合には(ステップS7においてNO)、プロセッサー11は、ステップS12へ処理を進める。
【0115】
ステップS8において、プロセッサー11は、記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定する。
【0116】
ステップS9において、プロセッサー11は、記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、対象の判別指標の閾値の変更量を決定する。より具体的には、プロセッサー11は、ステップS5において取得された測定値と、記録媒体のIR透過率に対応する閾値との差を所定のステップ単位に基づくステップ数に換算し、当該ステップ数を変更量として決定する。
【0117】
ステップS10において、プロセッサー11は、対象の判別指標の閾値をステップS9にて決定された変更量だけ変更する。
【0118】
ステップS11において、プロセッサー11は、表示部52に対し、調整内容を示す画面の表示を指示する。ここで、図15を参照して、調整内容を示す画面について説明する。図15は、本実施の形態において、調整内容を示す画面の一例を示す図である。
【0119】
画面G3は、調整内容を示す画面の一例である。画面G3は、表示部52に表示される。画面G3は、入力された種類を示す情報m1、判別された種類を示す情報m2、および、調整内容を示す情報m3を含む。情報m3は、対象の判別指標と当該対象の判別指標の閾値の変更量とを示す。画面G3は、情報m3に示される調整内容に従って対象の判別指標の閾値が変更された場合に判別される記録媒体の種類を示す情報m4をさらに含む。情報m4により示される種類は、情報m1により示される種類と一致する。
【0120】
画面G3により、どのような調整が行われたかをユーザーは知ることができる。なお、ステップS9の後、ステップS10の前にステップS11が実行されてもよい。すなわち、ステップS9の後、プロセッサー11は、表示部52に対し画面G3の表示を指示し、画面G3上のボタンB5が押されたことに応じてステップS10を実行してもよい。
【0121】
再び図12を参照して、ステップS12において、プロセッサー11は、表示部52に対し、調整が行われなかったことを示す画面の表示を指示する。ここで、図16を参照して、調整が行われなかったことを示す画面について説明する。図16は、本実施の形態において、調整が行われなかったことを示す画面の一例を示す図である。
【0122】
画面G4は、調整が行われなかったことを示す画面の一例である。画面G4は、表示部52に表示される。画面G4は、入力された種類を示す情報m1、および、判別された種類を示す情報m2を含む。画面G4は、判別された種類と入力された種類とが同じであったため複数の判別指標のいずれについても閾値の変更が行われなかったことを示す情報m5をさらに含む。画面G4により、複数の判別指標のいずれについても閾値の変更が行われなかったことをユーザーは知ることができる。
【0123】
再び図12を参照して、ステップS11またはステップS12の後、調整処理が終了する。
【0124】
<E.実施例1~4>
(E1:概要)
図17図31を参照して、調整処理の具体的な4つの実施例(実施例1~4)について説明する。実施例1では、種類の判別対象である用紙(以下、「判別対象の用紙」と称する)について、判別された種類がコート紙であり、入力された種類が普通紙である場合の調整処理について説明する。実施例2では、判別対象の用紙について、判別された種類が普通紙であり、入力された種類が再生紙である場合の調整処理について説明する。実施例3では、判別対象の用紙について、判別された種類が色紙であり、入力された種類がコート紙である場合の調整処理について説明する。実施例4では、判別対象の用紙について、判別された種類が再生紙であり、入力された種類が色紙である場合の調整処理について説明する。
【0125】
図17は、実施例1~4における、判別対象の用紙についての各判別指標の測定値、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値、および測定値と閾値との差を示す図である。図17における「透過率の差 850-460」は、判別対象の用紙についてのコート紙判別指標の測定値を示す。図17における「透過率の比 460/850」は、判別対象の用紙についての色紙判別指標A1の測定値を示す。図17における「反射率の比 405/940」は、判別対象の用紙についての古紙パルプ判別指標の測定値を示す。図17における「反射率の比 660/940」は、判別対象の用紙についての色紙判別指標A2の測定値を示す。
【0126】
図17における「測定値のプロット位置のy座標」は、図18図21に示す判別指標のグラフの各々における判別対象の用紙についての測定値を示す点のy座標を意味している。
【0127】
図17における「閾値のプロット位置のy座標」は、図18図21に示す判別指標のグラフの各々における判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値(コート紙判別指標の場合には、判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値)を示す点のy座標を意味している。
【0128】
図17における「差」は、図18図21に示す判別指標のグラフの各々における、判別対象の用紙についての測定値を示す点のy座標の値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値(コート紙判別指標の場合には、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値)を示す点のy座標の値との差を意味している。
【0129】
図17に示す測定値を示す点を各判別指標のグラフにプロットすると、図18図21のようになる。図18は、実施例1~4における、判別対象の用紙についての色紙判別指標A1の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。図19は、実施例1~4における、判別対象の用紙についての色紙判別指標A2の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。図20は、実施例1~4における、判別対象の用紙についてのコート紙判別指標の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。図21は、実施例1~4における、判別対象の用紙についての古紙パルプ判別指標の測定値と、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との関係を示すグラフである。図18図21において、菱形のマークは実施例1の測定値を示す点を示し、四角形のマークは実施例2の測定値を示す点を示し、三角形のマークは実施例3の測定値を示す点を示し、クロスのマークは実施例4の測定値を示す点を示す。
【0130】
図18に示す色紙判別指標A1のグラフでは、横軸(X軸)は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸(Y軸)は850nmの光の透過率に対する460nmの光の透過率の比率を示す。図18における基準線LA11および基準線LA12は、色紙判別指標A1の閾値を示す。
【0131】
図19に示す色紙判別指標A2のグラフでは、横軸(X軸)は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸(Y軸)は940nmの光の反射率に対する660nmの光の反射率の比率を示す。図19における基準線LA2は、色紙判別指標A2の閾値を示す。
【0132】
図20に示すコート紙判別指標のグラフでは、横軸(X軸)は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸(Y軸)は850nmの光の透過率と460nmの光の透過率との差を示す。図20における基準線LB1および基準線LB2は、コート紙判別指標の閾値を示す。図20における基準線LB1は、コート紙判別指標においてコート紙とコート紙以外とを判別するための第1の閾値を示す。図20における基準線LB2は、コート紙判別指標においてコート層が薄いコート紙とコート層が厚いコート紙とを判別するための第2の閾値を示す。コート紙判別指標に対しては、複数の閾値が設定されている。
【0133】
図21に示す古紙パルプ判別指標のグラフでは、横軸(X軸)は850nmの光の透過率(IR透過率)を示し、縦軸(Y軸)は940nmの光の反射率に対する405nmの光の反射率の比率を示す。図21における基準線LCは、古紙パルプ判別指標の閾値を示す。
【0134】
図22は、実施例1~4における各判別指標の基準線の傾きと切片とを示す図である。図22における色紙判別指標A1の第1基準線は、図18における基準線LA11である。図22における色紙判別指標A1の第2基準線は、図18における基準線LA12である。図22における色紙判別指標A2の基準線は、図19における基準線LA2である。
【0135】
図22におけるコート紙判別指標の第1基準線は、図20における基準線LB1である。図22におけるコート紙判別指標の第2基準線は、図20における基準線LB2である。図22における古紙パルプ判別指標の基準線は、図21における基準線LCである。各基準線の傾きと切片とは図22に示す通りである。図18図22に示されるように、閾値とIR透過率との関係は、一次関数によって表される。
【0136】
図23は、実施例1~4において閾値の変更量の決定時に使用するステップ単位を示す図である。色紙判別指標A1および色紙判別指標A2の1ステップは0.03である。コート紙判別指標の1ステップは0.01である。古紙パルプ判別指標の1ステップは0.03である。図24は、実施例1~4における閾値の変更量を示す図である。
【0137】
(E2:実施例1)
実施例1の調整処理について説明する。実施例1では、判別対象の用紙について、判別された種類はコート紙であり、入力された種類は普通紙である。
【0138】
図17図21を参照して、実施例1では、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標のすべてにおいて、判別対象の用紙についての測定値は当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値(コート紙判別指標の場合には、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値)以上である。図9に示すように、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標のすべてにおいて測定値が閾値(コート紙判別指標の場合には、第1の閾値)以上となる紙種はコート紙である。したがって、判別部152は、当該判別対象の用紙の種類をコート紙と判別する。
【0139】
一方、ユーザーが入力した種類は普通紙である。判別された種類と入力された種類とが異なる。図10を参照して、判別された種類がコート紙であり、入力された種類が普通紙である場合には、変更部153は、対象の判別指標として、コート紙判別指標を特定する。図17を参照して、コート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値との差は、+0.028である。
【0140】
判別部152が判別対象の用紙を普通紙と判別するためには、コート紙判別指標において、当該判別対象の用紙についての測定値が第1の閾値未満である必要がある(図9参照)。すなわち、判別部152が判別対象の用紙を普通紙と判別するためには、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図20における菱形のマークにより示される点)が基準線LB1よりも下側に位置しなければならない。しかしながら、現状、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図20における菱形のマークにより示される点)は基準線LB1よりも上側に位置する。そのため、変更部153は、コート紙判別指標について閾値の調整を行う。
【0141】
図23を参照して、コート紙判別指標のステップ単位は0.01である。変更部153は、コート紙判別指標における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値との差(実施例1では、+0.028)を、当該差以上の大きさを示す最小のステップ数(すなわち、+3ステップ)に換算する(図24参照)。変更部153は、コート紙判別指標のIR透過率ごとの閾値を一括して3ステップ分だけ上げる。コート紙判別指標に対しては複数の閾値(基準線LB1により示される第1の閾値、および、基準線LB2により示される第2の閾値)が設定されているので、変更部153は当該複数の閾値を一括して3ステップ分だけ上げる。
【0142】
これにより、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて3ステップ分だけ基準線LB1および基準線LB2が上方へ移動する。図25は、実施例1についての調整処理の前後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す図である。図25における実線は、調整処理前におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す。図25における点線は、調整処理後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す。図25に示すように、変更部153による閾値の調整により、基準線LB1および基準線LB2が実線で示される位置から点線で示される位置へ移動する。その結果、調整後においては、コート紙判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図25における菱形のマークにより示される点)が基準線LB1よりも下側に位置する。すなわち、調整処理後では、コート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値が第1の閾値未満となる。
【0143】
図24に示すように、実施例1では、コート紙判別指標の閾値が一括して3ステップ分だけ上げる。そのため、調整処理後に判別部152により再度判別対象の用紙について種類の判別が行われた場合には、当該判別対象の用紙はユーザーにより入力された種類である普通紙に判別される。
【0144】
また、コート紙判別指標における複数の閾値(基準線LB1により示される第1の閾値、および、基準線LB2により示される第2の閾値)の各々が一括して同量だけ変更されるため、複数の閾値間での関係性(基準線LB1により示される第1の閾値<基準線LB2により示される第2の閾値)が維持される。
【0145】
(E3:実施例2)
実施例2の調整処理について説明する。実施例2では、判別対象の用紙について、判別された種類は普通紙であり、入力された種類は再生紙である。
【0146】
図17図21を参照して、実施例2では、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、および古紙パルプ判別指標において、判別対象の用紙についての測定値は当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値以上である。一方、実施例2では、コート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値は当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値未満である。図9に示すように、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、および古紙パルプ判別指標において測定値が閾値以上となり、かつ、コート紙判別指標において測定値が第1の閾値未満となる紙種は普通紙である。したがって、判別部152は、当該判別対象の用紙の種類を普通紙と判別する。
【0147】
一方、ユーザーが入力した種類は再生紙である。判別された種類と入力された種類とが異なる。図10を参照して、判別された種類が普通紙であり、入力された種類が再生紙である場合には、変更部153は、対象の判別指標の候補として、コート紙判別指標および古紙パルプ判別指標を特定する。
【0148】
まず、変更部153は、対象の判別指標の候補のうちコート紙判別指標について閾値の調整要否を判断する。図17を参照して、コート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値との差は、-0.019である。判別部152が判別対象の用紙を再生紙と判別するためには、コート紙判別指標における当該判別対象の用紙についての測定値が第1の閾値以上である必要がある(図9参照)。
【0149】
すなわち、判別部152が判別対象の用紙を再生紙と判別するためには、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図20における四角形のマークにより示される点)が基準線LB1上または基準線LB1よりも上側に位置しなければならない。しかしながら、現状、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図20における四角形のマークにより示される点)が基準線LB1よりも下側に位置する。そのため、変更部153は、対象の判別指標の候補のうちコート紙判別指標について閾値の調整が必要であると判断し、コート紙判別指標を対象の判別指標として特定する。
【0150】
図23を参照して、コート紙判別指標のステップ単位は0.01である。変更部153は、コート紙判別指標における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値との差(実施例2では、-0.019)を、当該差以上の大きさを示す最小のステップ数(すなわち、-2ステップ)に換算する(図24参照)。変更部153は、コート紙判別指標のIR透過率ごとの閾値を一括して2ステップ分だけ下げる。コート紙判別指標に対しては複数の閾値(基準線LB1により示される第1の閾値、および、基準線LB2により示される第2の閾値)が設定されているので、変更部153は当該複数の閾値を一括して2ステップ分だけ下げる。
【0151】
これにより、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて2ステップ分だけ基準線LB1および基準線LB2が下方へ移動する。図26は、実施例2についての調整処理の前後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す図である。図26における実線は、調整処理前におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す。図26における点線は、調整処理後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す。図26に示すように、変更部153による閾値の調整により、基準線LB1および基準線LB2が実線で示される位置から点線で示される位置へ移動する。その結果、調整後においては、コート紙判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図26における四角形のマークにより示される点)が基準線LB1よりも上に位置する。すなわち、調整処理後では、コート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値が第1の閾値以上となる。
【0152】
次に、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち古紙パルプ判別指標について閾値の調整要否を判断する。図17を参照して、古紙パルプ判別指標において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差は、+0.020である。判別部152が判別対象の用紙を再生紙と判別するためには、古紙パルプ判別指標における当該判別対象の用紙についての測定値が閾値未満である必要がある(図9参照)。
【0153】
すなわち、判別部152が判別対象の用紙を再生紙と判別するためには、図21に示す古紙パルプ判別指標のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図21における四角形のマークにより示される点)が基準線LCよりも下側に位置しなければならない。しかしながら、現状、図21に示す古紙パルプ判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図21における四角形のマークにより示される点)が基準線LCよりも上側に位置する。そのため、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち古紙パルプ判別指標について閾値の調整が必要であると判断し、古紙パルプ判別指標を対象の判別指標として特定する。
【0154】
図23を参照して、古紙パルプ判別指標のステップ単位は0.03である。変更部153は、古紙パルプ判別指標における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差(実施例2では、+0.020)を、当該差以上の大きさを示す最小のステップ数(すなわち、+1ステップ)に換算する(図24参照)。変更部153は、古紙パルプ判別指標のIR透過率ごとの閾値を一括して1ステップ分だけ上げる。
【0155】
これにより、図21に示す古紙パルプ判別指標のグラフにおいて1ステップ分だけ基準線LCが上方へ移動する。図27は、実施例2についての調整処理の前後における古紙パルプ判別指標のグラフの基準線LCの位置を示す図である。図27における実線は、調整処理前における古紙パルプ判別指標のグラフの基準線LCの位置を示す。図27における点線は、調整処理後における古紙パルプ判別指標のグラフの基準線LCの位置を示す。図27に示すように、変更部153による閾値の調整により、基準線LCが実線で示される位置から点線で示される位置へ移動する。その結果、調整後においては、古紙パルプ判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図27における四角形のマークにより示される点)が基準線LCよりも下側に位置する。すなわち、調整処理後では、古紙パルプ判別指標において、判別対象の用紙についての測定値が閾値未満となる。
【0156】
図24に示すように、実施例2では、コート紙判別指標の閾値が一括して2ステップ分だけ下がり、古紙パルプ判別指標の閾値が一括して1ステップ分だけ上がる。そのため、調整処理後に判別部152により再度判別対象の用紙について種類の判別が行われた場合には、当該判別対象の用紙はユーザーにより入力された種類である再生紙に判別される。
【0157】
また、コート紙判別指標における複数の閾値(基準線LB1により示される第1の閾値、および、基準線LB2により示される第2の閾値)の各々が一括して同量だけ変更されるため、複数の閾値間での関係性(基準線LB1により示される第1の閾値<基準線LB2により示される第2の閾値)が維持される。
【0158】
(E4:実施例3)
実施例3の調整処理について説明する。実施例3では、判別対象の用紙について、判別された種類は色紙であり、入力された種類はコート紙である。
【0159】
図17図21を参照して、実施例3では、色紙判別指標A1および古紙パルプ判別指標において、判別対象の用紙についての測定値は当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値以上である。一方、実施例3では、色紙判別指標A2およびコート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値は当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値(コート紙判別指標の場合には、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値)未満である。図9を参照して説明したように、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2の少なくとも一方において測定値が閾値未満である場合には、判別部152は、用紙の種類を色紙と判別する。したがって、判別部152は、判別対象の用紙の種類を色紙と判別する。
【0160】
一方、ユーザーが入力した種類はコート紙である。判別された種類と入力された種類とが異なる。図10を参照して、判別された種類が色紙であり、入力された種類がコート紙である場合には、変更部153は、対象の判別指標の候補として、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標を特定する。
【0161】
まず、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち色紙判別指標A1について閾値の調整要否を判断する。図17を参照して、色紙判別指標A1において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差は、+0.386である。判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、色紙判別指標A1における当該判別対象の用紙についての測定値が閾値以上である必要がある(図9参照)。
【0162】
すなわち、判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、図18に示す色紙判別指標A1のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図18における三角形のマークにより示される点)が基準線LA11,LA12上または基準線LA11,LA12よりも上側に位置しなければならない。現状、図18に示す色紙判別指標A1のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図18における三角形のマークにより示される点)が基準線LA11,LA12よりも上側に位置する。そのため、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち色紙判別指標A1については閾値の調整は不要であると判断する。
【0163】
次に、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち色紙判別指標A2について閾値の調整要否を判断する。図17を参照して、色紙判別指標A2において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差は、-0.024である。判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、色紙判別指標A2における当該判別対象の用紙についての測定値が閾値以上である必要がある(図9参照)。
【0164】
すなわち、判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、図19に示す色紙判別指標A2のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図19における三角形のマークにより示される点)が基準線LA2上、または、基準線LA2よりも上側に位置しなければならない。しかしながら、現状、図19に示す色紙判別指標A2のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図19における三角形のマークにより示される点)が基準線LA2よりも下側に位置する。そのため、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち色紙判別指標A2について閾値の調整が必要であると判断し、色紙判別指標A2を対象の判別指標として特定する。
【0165】
図23を参照して、色紙判別指標A2のステップ単位は0.03である。変更部153は、色紙判別指標A2における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差(実施例3では、-0.024)を、当該差以上の大きさを示す最小のステップ数(すなわち、-1ステップ)に換算する(図24参照)。変更部153は、色紙判別指標A2のIR透過率ごとの閾値を一括して1ステップ分だけ下げる。
【0166】
これにより、図19に示す色紙判別指標A2のグラフにおいて1ステップ分だけ基準線LA2が下方へ移動する。図28は、実施例3についての調整処理の前後における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す図である。図28における実線は、調整処理前における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す。図28における点線は、調整処理後における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す。図28に示すように、変更部153による閾値の調整により、基準線LA2が実線で示される位置から点線で示される位置へ移動する。その結果、調整後においては、色紙判別指標A2のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図28における三角形のマークにより示される点)が基準線LA2よりも上に位置する。すなわち、調整処理後では、色紙判別指標A2において、判別対象の用紙についての測定値が閾値以上となる。
【0167】
次に、変更部153は、対象の判別指標の候補のうちコート紙判別指標について閾値の調整要否を判断する。図17を参照して、コート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値との差は、-0.026である。判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、コート紙判別指標における当該判別対象の用紙についての測定値が第1の閾値以上である必要がある(図9参照)。
【0168】
すなわち、判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図20における三角形のマークにより示される点)が基準線LB1よりも上側に位置しなければならない。しかしながら、現状、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図20における三角形のマークにより示される点)が基準線LB1よりも下側に位置する。そのため、変更部153は、対象の判別指標の候補のうちコート紙判別指標について閾値の調整が必要であると判断し、コート紙判別指標を対象の判別指標として特定する。
【0169】
図23を参照して、コート紙判別指標のステップ単位は0.01である。変更部153は、コート紙判別指標における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値との差(実施例3では、-0.026)を、当該差以上の大きさを示す最小のステップ数(すなわち、-3ステップ)に換算する(図24参照)。変更部153は、コート紙判別指標のIR透過率ごとの閾値を一括して3ステップ分だけ下げる。コート紙判別指標に対しては複数の閾値(基準線LB1により示される第1の閾値、および、基準線LB2により示される第2の閾値)が設定されているので、変更部153は当該複数の閾値を一括して3ステップ分だけ下げる。
【0170】
これにより、図20に示すコート紙判別指標のグラフにおいて3ステップ分だけ基準線LB1および基準線LB2が下方へ移動する。図29は、実施例3についての調整処理の前後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す図である。図29における実線は、調整処理前におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す。図29における点線は、調整処理後におけるコート紙判別指標のグラフの基準線LB1および基準線LB2の位置を示す。図29に示すように、変更部153による閾値の調整により、基準線LB1および基準線LB2が実線で示される位置から点線で示される位置へ移動する。その結果、調整後においては、コート紙判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図29における三角形のマークにより示される点)が基準線LB1よりも上に位置する。すなわち、調整処理後では、コート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値が第1の閾値以上となる。
【0171】
次に、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち古紙パルプ判別指標について閾値の調整要否を判断する。図17を参照して、古紙パルプ判別指標において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差は、+0.067である。判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、古紙パルプ判別指標における当該判別対象の用紙についての測定値が閾値以上である必要がある(図9参照)。
【0172】
すなわち、判別部152が判別対象の用紙をコート紙と判別するためには、図21に示す古紙パルプ判別指標のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図21における三角形のマークにより示される点)が基準線LC上または基準線LCよりも上側に位置しなければならない。現状、図21に示す古紙パルプ判別指標のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図21における三角形のマークにより示される点)が基準線LCよりも上側に位置する。そのため、変更部153は、対象の判別指標の候補のうち古紙パルプ判別指標については閾値の調整は不要であると判断する。
【0173】
図24に示すように、実施例3では、色紙判別指標A2の閾値が一括して1ステップ分だけ下がり、コート紙判別指標の閾値が一括して3ステップ分だけ下がる。そのため、調整処理後に判別部152により再度判別対象の用紙について種類の判別が行われた場合には、当該判別対象の用紙はユーザーにより入力された種類であるコート紙に判別される。
【0174】
また、コート紙判別指標における複数の閾値(基準線LB1により示される第1の閾値、および、基準線LB2により示される第2の閾値)の各々が一括して同量だけ変更されるため、複数の閾値間での関係性(基準線LB1により示される第1の閾値<基準線LB2により示される第2の閾値)が維持される。
【0175】
(E5:実施例4)
実施例4の調整処理について説明する。実施例4では、判別対象の用紙について、判別された種類は再生紙であり、入力された種類は色紙である。
【0176】
図17図21を参照して、実施例4では、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、およびコート紙判別指標において、判別対象の用紙についての測定値は当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値(コート紙判別指標の場合には、当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する第1の閾値)以上である。一方、実施例4では、古紙パルプ判別指標において、判別対象の用紙についての測定値は当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値未満である。図9に示すように、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、およびコート紙判別指標において測定値が閾値(コート紙判別指標の場合には、第1の閾値)以上となり、かつ、古紙パルプ判別指標において測定値が閾値未満となる紙種は再生紙である。したがって、判別部152は、当該判別対象の用紙の種類を再生紙と判別する。
【0177】
一方、ユーザーが入力した種類は色紙である。判別された種類と入力された種類とが異なる。図10を参照して、判別された種類が再生紙であり、入力された種類が色紙である場合には、変更部153は、対象の判別指標として、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2を特定する。
【0178】
図17を参照して、色紙判別指標A1において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差は、+0.072である。図17を参照して、色紙判別指標A2において、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差は、+0.049である。
【0179】
図9を参照して説明したように、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2の少なくとも一方において測定値が閾値未満である場合には、判別部152は、用紙の種類を色紙と判別する。すなわち、判別部152が判別対象の用紙を色紙と判別するためには、図18に示す色紙判別指標A1のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図18におけるクロスのマークにより示される点)が基準線LA11,LA12よりも下側に位置することと、図19に示す色紙判別指標A2のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図19におけるクロスのマークにより示される点)が基準線LA2よりも下側に位置することとの少なくとも一方が成立しなければならない。しかしながら、現状、図18に示す色紙判別指標A1のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図18におけるクロスのマークにより示される点)は基準線LA11,LA12よりも上側に位置し、図19に示す色紙判別指標A2のグラフにおいて、当該判別対象の用紙についての測定値を示す点(図19におけるクロスのマークにより示される点)が基準線LA2よりも上側に位置する。そのため、変更部153は、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2について閾値の調整を行う。
【0180】
変更部153は、複数の色紙判別指標のうち判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差が最も小さい色紙判別指標における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差に基づいて閾値の変更量を算出する。変更部153は、複数の色紙判別指標の各々について閾値を一括して当該変更量だけ変更する。これにより、複数の色紙判別指標の各々について閾値が必要以上に変更されることを抑制することができる。
【0181】
実施例4では、色紙判別指標A2における、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差(+0.049)は、色紙判別指標A1における、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差(+0.072)よりも小さい。変更部153は、色紙判別指標A1と色紙判別指標A2とのうち、判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差が小さい色紙判別指標A2における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差に基づいて、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2の閾値の変更量を決定する。図23を参照して、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2のステップ単位はいずれも0.03である。変更部153は、色紙判別指標A2における判別対象の用紙についての測定値と当該判別対象の用紙のIR透過率に対応する閾値との差(実施例4では、+0.049)を、当該差以上の大きさを示す最小のステップ数(すなわち、+2ステップ)に換算する(図24参照)。変更部153は、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2の各々について、IR透過率ごとの閾値を一括して2ステップ分だけ上げる。
【0182】
これにより、図18に示す色紙判別指標A1のグラフにおいて2ステップ分だけ基準線LA11,LA12が上方へ移動する。また、図19に示す色紙判別指標A2のグラフにおいて2ステップ分だけ基準線LA2が上方へ移動する。
【0183】
図30は、実施例4についての調整処理の前後における色紙判別指標A1のグラフの基準線LA11,LA12の位置を示す図である。図30における実線は、調整処理前における色紙判別指標A1のグラフの基準線LA11,LA12の位置を示す。図30における点線は、調整処理後における色紙判別指標A1のグラフの基準線LA11,LA12の位置を示す。
【0184】
図31は、実施例4についての調整処理の前後における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す図である。図31における実線は、調整処理前における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す。図31における点線は、調整処理後における色紙判別指標A2のグラフの基準線LA2の位置を示す。
【0185】
図30に示すように、変更部153による閾値の調整により、基準線LA11,LA12が実線で示される位置から点線で示される位置へ移動する。その結果、調整後においても、調整前と同様に、色紙判別指標A1のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図30におけるクロスのマークにより示される点)が基準線LA11,LA12よりも上側に位置する。
【0186】
一方、図31に示すように、変更部153による閾値の調整により、基準線LA2が実線で示される位置から点線で示される位置へ移動する。その結果、調整後においては、色紙判別指標A2のグラフにおいて、判別対象の用紙についての測定値を示す点(図31におけるクロスのマークにより示される点)が基準線LA2よりも下側に位置する。すなわち、調整処理後では、色紙判別指標A2において、判別対象の用紙についての測定値が閾値未満となる。
【0187】
図24に示すように、実施例4では、色紙判別指標A1および色紙判別指標A2の各々について、閾値が一括して2ステップ分だけ上がる。そのため、調整処理後に判別部152により再度判別対象の用紙について種類の判別が行われた場合には、当該判別対象の用紙はユーザーにより入力された種類である色紙に判別される。
【0188】
<F.効果>
このように、本実施の形態における画像形成装置1は、記録媒体について判別された種類と入力された種類とが異なる場合に当該記録媒体の種類が入力された種類に判別されるように、複数の判別指標のうち閾値を変更する対象の判別指標を特定し、対象の判別指標の閾値を変更する。このような閾値の変更が繰り返し行われることにより、記録媒体の種類が正しく判別されるようになる。それゆえに、本実施の形態における画像形成装置1は、記録媒体の種類が誤って判別されることをより広範囲において抑制することができる。
【0189】
また、判別指標の閾値をユーザーが手動で調整する場合と比べて、本実施の形態における画像形成装置1は、ユーザーの手間を抑制することができる。
【0190】
[変形例1]
上記実施の形態では、複数の判別指標を用いて記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する例として、色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標を用いて、記録媒体の種類を普通紙、再生紙、コート紙、および色紙の中から判別する例について説明した。しかしながら、複数の判別指標、および、複数の記録媒体種はこれらに限られない。
【0191】
1つの色紙判別指標、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標を用いて、記録媒体の種類を普通紙、再生紙、コート紙、および色紙の中から判別してもよい。
【0192】
複数の記録媒体種は、普通紙、再生紙、コート紙、および色紙のうち少なくとも2つを含むのでもよい。例えば、コート紙判別指標と古紙パルプ判別指標とを用いて、記録媒体の種類をコート紙と、普通紙と、再生紙とのいずれであるのかを判別してもよい。
【0193】
複数の色紙判別指標を用いて、記録媒体の種類を色紙と色紙以外の紙種とのいずれであるのかを判別してもよい。
【0194】
複数の判別指標は色紙判別指標A1、色紙判別指標A2、コート紙判別指標、および古紙パルプ判別指標とは異なる判別指標を含んでもよく、複数の記録媒体種は普通紙、再生紙、コート紙、および色紙とは異なる紙種を含んでもよい。
【0195】
本開示における技術は、複数の判別指標を用いて記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する場合に適用できる。
【0196】
また、上記実施の形態で説明した光源ユニット21の各光源が発する光の波長は一例にすぎない。各光源が発する光は、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別できるような波長の光であればよく、使用する複数の判別指標に応じて決定される。
【0197】
色紙の判別に使用される光の波長は図5および図6に示す波長に限られない。色紙の判別に使用される光の波長は、判別したい色紙の色に応じて決定される。
【0198】
[変形例2]
上記実施の形態では、変更部153は、1枚の判別対象の用紙についての対象の判別指標の測定値に基づいて当該対象の判別指標の閾値の変更量を決定した。変形例2では、変更部153は、複数枚の判別対象の用紙についての対象の判別指標の測定値に基づいて、当該対象の判別指標の閾値の変更量を決定してもよい。例えば、変更部153は、複数枚の判別対象の用紙についての対象の判別指標の測定値の平均値に基づいて、当該対象の判別指標の閾値の変更量を決定してもよい。
【0199】
これにより、対象の判別指標の閾値の変更量は複数枚の用紙の測定値に基づいて決定されることから、変更量に対する信頼性が担保される。その結果、変形例2における画像形成装置1は、記録媒体の種類が誤って判別されることをより広範囲において抑制することができる。
【0200】
また、閾値の変更量の決定に使用する記録媒体の枚数は予め定められていてもよいし、ユーザーにより指定されてもよい。閾値の変更量の決定に使用する記録媒体の枚数をユーザーが指定する場合には、入力部51が、閾値の変更量の決定に使用する記録媒体の枚数を入力する操作を受け付けてもよい。より具体的には、図32に示すように、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける画面に閾値の変更量の決定に使用する記録媒体の枚数を入力する欄を設けておく。
【0201】
図32は、変形例2において、記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける画面の一例を示す図である。画面G5は、図14に示す画面G2と同様に、記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から選択するための画面である。画面G5は、表示部52に表示される。画面G5が図14に示す画面G2と異なる点は、画面G5が閾値の変更量の決定に使用する記録媒体の枚数を入力する入力欄m6を含む点である。ユーザーが記録媒体の種類に対応するボタンB3を押し、入力欄m6に数値を入力し、ボタンB4を押した場合、プロセッサー11は、ユーザーにより押されたボタンB3に対応する種類を記録媒体の種類として受け付け、入力欄m6に入力された数値を閾値の変更量の決定に使用する記録媒体の枚数として受け付ける。
【0202】
[付記]
上述した実施の形態および変形例は、以下のような技術思想を含む。
【0203】
[構成1]
記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得する取得部と、
前記複数の判別指標の各々における前記測定値と閾値との比較結果に基づいて、前記記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別する判別部と、
前記記録媒体の種類を入力する操作を受け付ける入力部と、
判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、前記記録媒体の種類が前記入力された種類に判別されるように、前記複数の判別指標のうち前記閾値を変更する対象の判別指標を特定し、前記対象の判別指標の前記閾値を変更する変更部とを備える、判別装置。
【0204】
[構成2]
前記複数の記録媒体種は、普通紙、再生紙、コート紙、および色紙のうち少なくとも2つを含む、構成1に記載の判別装置。
【0205】
[構成3]
前記複数の判別指標の各々は、波長の異なる2種類の光の透過率の相対値、または、当該2種類の光の反射率の相対値であり、
前記複数の判別指標の各々の前記閾値は、前記記録媒体の赤外線の透過率であるIR透過率に応じて設定される、構成1または2に記載の判別装置。
【0206】
[構成4]
前記変更部は、前記対象の判別指標の、前記IR透過率ごとの前記閾値を一括して同量だけ変更する、構成3に記載の判別装置。
【0207】
[構成5]
前記変更部は、前記測定値と、前記記録媒体の前記IR透過率に対応する前記閾値との差に基づいて、前記閾値の変更量を決定する、構成4に記載の判別装置。
【0208】
[構成6]
前記変更部は、複数枚の記録媒体についての前記対象の判別指標の測定値に基づいて、前記閾値の変更量を決定する、構成1または2に記載の判別装置。
【0209】
[構成7]
前記入力部は、前記変更量の決定に使用する記録媒体の枚数を入力する操作を受け付ける、構成6に記載の判別装置。
【0210】
[構成8]
前記複数の記録媒体種が色紙を含む場合には、前記複数の判別指標は複数の色紙判別指標を含み、
前記判別部は、
前記複数の色紙判別指標のうち少なくとも1つの色紙判別指標の前記測定値が色紙を示す場合には、前記記録媒体を色紙と判別し、
前記複数の色紙判別指標のうちいずれの色紙判別指標の前記測定値も色紙を示していない場合には、前記記録媒体を色紙以外と判別し、
前記変更部は、前記記録媒体が色紙以外と判別され、かつ、前記入力された種類が色紙である場合には、前記対象の判別指標として前記複数の色紙判別指標を特定し、前記複数の色紙判別指標のうち前記測定値と前記閾値との差が最も小さい色紙判別指標の当該差に基づいて前記閾値の変更量を算出し、前記複数の色紙判別指標の各々について前記閾値を一括して当該変更量だけ変更する、構成1または2に記載の判別装置。
【0211】
[構成9]
前記変更部は、前記対象の判別指標に対して複数の閾値が設定されている場合、前記複数の閾値を一括して同量だけ変更する、構成1~8のいずれか1項に記載の判別装置。
【0212】
[構成10]
前記閾値と前記IR透過率との関係は、一次関数によって表される、構成3に記載の判別装置。
【0213】
[構成11]
前記変更部は、前記差を所定のステップ単位に基づくステップ数に換算し、当該ステップ数を前記変更量として決定する、構成5に記載の判別装置。
【0214】
[構成12]
前記判別装置は、前記変更量を表示する表示部をさらに備える、構成5に記載の判別装置。
【0215】
[構成13]
前記判別装置は、前記記録媒体の種類を前記複数の記録媒体種の中から選択するための画面を表示する表示部をさらに備え、
前記判別装置は、前記画面上で行われたユーザーの操作に従って、前記記録媒体の種類を受け付ける、構成1~12のいずれか1項に記載の判別装置。
【0216】
[構成14]
記録媒体について、記録媒体種の判別に用いられる複数の判別指標の各々の測定値を取得することと、
前記複数の判別指標の各々における前記測定値と閾値との比較結果に基づいて、前記記録媒体の種類を複数の記録媒体種の中から判別することと、
前記記録媒体の種類を入力する操作を受け付けることと、
判別された種類と入力された種類とが異なる場合に、前記記録媒体の種類が前記入力された種類に判別されるように、前記複数の判別指標のうち前記閾値を変更する対象の判別指標を特定し、前記対象の判別指標の前記閾値を変更することとを備える、判別方法。
【0217】
[構成15]
構成14に記載の判別方法をコンピューターに実行させる、判別プログラム。
【0218】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0219】
1 画像形成装置、10 制御装置、11 プロセッサー、12 メモリー、13 ストレージ、15 給紙部、20 メディアセンサー、21 光源ユニット、21X,21Y,211,212,213,214,215 光源、22 受光センサー、23X,23Y 基板、24 反射板、30 画像形成部、31 中間転写ベルト、32 画像形成ユニット、33 転写ローラー、40 定着部、50 操作パネル、51 入力部、52 表示部、60 通信インターフェイス、83 トレイ、99 バス、131 プログラム、132 閾値情報、151 取得部、152 判別部、153 変更部、500 外部装置、AR 矢印、B1,B2,B3,B4,B5 ボタン、G1,G2,G3,G4,G5 画面、LA2,LA11,LA12,LB1,LB2,LC 基準線、P 用紙、m1,m2,m3,m4,m5 情報、m6 入力欄。
図1
図2
図3
図4
図5
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