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特開2024-104606保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法
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  • 特開-保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104606
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B65H41/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008918
(22)【出願日】2023-01-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】591107230
【氏名又は名称】株式会社デンケン
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】田島 修自
(72)【発明者】
【氏名】麻植 宏一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝義
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108JA05
(57)【要約】
【課題】板状部材に貼付されているシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法を提供する。
【解決手段】保護材Pの剥離装置10は、板状部材ARに貼付された保護材Pを剥離する保護材Pの剥離装置であって、突出した突出部404が形成された突出部形成部材と、保護材Pを介して板状部材ARが貼り付いた粘着テープTPを予め決められた搬送経路に沿って搬送する送り機構20と、板状部材ARの保護材Pが貼付された面とは反対側の面に接触し、板状部材ARが貼り付いた粘着テープTPを突出部404に押し付ける第1のローラー60と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材に貼付されたシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置であって、
突出した突出部が形成された突出部形成部材と、
前記保護材を介して前記板状部材が貼り付いた粘着テープを予め決められた搬送経路に沿って搬送する送り機構と、
前記板状部材の前記保護材が貼付された面とは反対側の面に接触し、該板状部材が貼り付いた前記粘着テープを前記突出部に押し付ける第1のローラーと、を備えた保護材の剥離装置。
【請求項2】
請求項1記載の保護材の剥離装置において、
前記第1のローラーが、前記板状部材の前端を前記突出部に押し付ける保護材の剥離装置。
【請求項3】
請求項2記載の保護材の剥離装置において、
複数の前記板状部材を上下方向に積層して保持する供給部を更に備えた保護材の剥離装置。
【請求項4】
請求項3記載の保護材の剥離装置において、
前記搬送経路が、前記供給部によって保持された最も低い位置にある前記板状部材の下を通り、
該板状部材が、前記粘着テープの粘着面に接触する保護材の剥離装置。
【請求項5】
請求項4記載の保護材の剥離装置において、
前記供給部の搬送方向下流側かつ前記第1のローラーの搬送方向上流側に配置され、前記粘着テープの粘着面に対して前記保護材を押し付ける第2のローラーを更に備えた保護材の剥離装置。
【請求項6】
請求項5記載の保護材の剥離装置において、
前記送り機構が、前記粘着テープを送る搬送ローラーを有する保護材の剥離装置。
【請求項7】
請求項1記載の保護材の剥離装置による保護材の剥離方法であって、
前記送り機構が、前記粘着テープを送るステップと、
前記粘着テープとともに搬送される前記板状部材が、前記第1のローラーによって、前記突出部に押し付けられるステップと、
前記保護材が剥離されるステップと、を含む保護材の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも一つの頂点部をもつ形状の薄板に付着している同一形状の保護シートの表面に、張力を加えた長尺状の粘着テープを押圧粘着させながら引き上げることで薄板から保護シートを剥離する装置に使用される薄板保護シートの剥離方法が記載されている。この剥離方法は、押圧粘着されている粘着テープの初期引き上げ部位が保護シートの一頂点部であることを特徴としている。
【0003】
特許文献2には、保護シートを貼付した平面状パーツから保護シートを剥離する保護シート剥離装置が記載されている。この保護シート剥離装置は、粘着面を上にして移動する粘着テープと、該粘着テープの下面を間欠的に叩き上げる叩き板を有する叩きアームと、該叩きアームを駆動するカム部とを備え、粘着テープ上に保護シートを下にして平面状パーツを載置して粘着テープと共に移動し、叩きアームの叩き板により粘着テープを介して保護シートを下方から間欠的に叩いて粘着テープに保護シートを接着し、排出時に平面状パーツから保護シートを剥離することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-114384号公報
【特許文献2】特開2021-84787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、板状部材に貼付されているシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、板状部材に貼付されたシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置であって、突出した突出部が形成された突出部形成部材と、前記保護材を介して前記板状部材が貼り付いた粘着テープを予め決められた搬送経路に沿って搬送する送り機構と、前記板状部材の前記保護材が貼付された面とは反対側の面に接触し、該板状部材が貼り付いた前記粘着テープを前記突出部に押し付ける第1のローラーと、を備えた保護材の剥離装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の保護材の剥離装置において、前記第1のローラーが、前記板状部材の前端を前記突出部に押し付ける。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の保護材の剥離装置において、複数の前記板状部材を上下方向に積層して保持する供給部を更に備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の保護材の剥離装置において、前記搬送経路が、前記供給部によって保持された最も低い位置にある前記板状部材の下を通り、該板状部材が、前記粘着テープの粘着面に接触する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の保護材の剥離装置において、前記供給部の搬送方向下流側かつ前記第1のローラーの搬送方向上流側に配置され、前記粘着テープの粘着面に対して前記保護材を押し付ける第2のローラーを更に備える。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の保護材の剥離装置において、前記送り機構が、前記粘着テープを送る搬送ローラーを有する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1記載の保護材の剥離装置による保護材の剥離方法であって、前記送り機構が、前記粘着テープを送るステップと、前記粘着テープとともに搬送される前記板状部材が、前記第1のローラーによって、前記突出部に押し付けられるステップと、前記保護材が剥離されるステップと、を含む保護材の剥離方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、板状部材に貼付されているシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る保護シートの剥離装置の外観図である。
図2】同保護シートの剥離装置の正面図である。
図3】同保護シートの剥離装置が備える供給部におけるアクリル樹脂板及び粘着テープを模式的に示す説明図である。
図4】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その1)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図5】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その2)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図6】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その3)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図7】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その4)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図8】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その5)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0016】
本発明の一実施の形態に係る保護シートPの剥離装置10(図1参照)は、アクリル樹脂板(板状部材の一例)ARに貼付されている保護シートPを、粘着テープTPを用いて剥離し、保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARを排出できる。
なお、アクリル樹脂板ARの厚さは、例えば、1.0~5.0mmである。
また、保護シート(シート状の保護材)Pは、例えば、紙製のシートである。保護シートPに代えて、保護フィルム(フィルム状の保護材)であってもよく、板状部材の表面を保護するためのシート状又はフィルム状の保護材であれば、任意でよい。
【0017】
保護シートPの剥離装置10(以下単に「剥離装置10」という。)は、図2に示すように、送り機構20、供給部30、突出部形成部材40、ローラー50、ローラー60、ローラー70及び制御部80を備えている。
【0018】
送り機構20は、供給リール202、従動ローラー204(図3参照)、搬送ローラー206a、206b及び巻取リール208を有し、保護シートPを介してアクリル樹脂板ARが貼り付いた粘着テープTPを一方向に送り、予め決められた搬送経路に沿って搬送できる。
【0019】
供給リール202は、図2に示すように、ロール状に巻かれた粘着テープTPを保持することができる。なお、粘着テープTPの幅は、アクリル樹脂板ARの幅よりも大きい。
従動ローラー204は、図3に示すように、供給部30の下方に設けられ、供給リール202から引き出された粘着テープTPの送り方向を変えることができる。
【0020】
搬送ローラー206a、206b(図2参照)は、保護シートPが貼り付いた粘着テープTPを間に挟み込んで送ることができる。搬送ローラー206aは送り用モータ(不図示)によって、予め決められた回転速度で駆動される。送り用モータは、例えばパルスモータである。
【0021】
巻取リール208は、供給リール202から送られ保護シートPが貼り付いた粘着テープTPを巻き取ることができる。巻取リール208は、トルク制御される巻取用モータ(不図示)によって駆動される。従って、粘着テープTPは、張力が予め設定された範囲内となるように制御されながら巻き取られる。巻取用モータは、例えばサーボモータである。
なお、送り機構20は、モータによらず、手動により駆動されてもよい。
送り機構20によって送られる粘着テープTPの搬送経路については後述する。
【0022】
供給部30は、図1に示すように、スチール製のベース部材102に設けられ、複数の保護シートP付きアクリル樹脂板ARを上下方向に積層して保持できる。各アクリル樹脂板ARは、保護シートPを下にした状態で保持される。
【0023】
供給部30は、突き当て部材302及び保持器304を有している。
突き当て部材302は、上下方向に延びるアングル状の部材であり、平面視してアクリル樹脂板ARの異なる2箇所が突き当てられる。
保持器304は、上下方向に延びるアングル状の棒状部材306と、この棒状部材306が固定されたマグネットホルダ台308と、から少なくとも構成されている。マグネットホルダ台308は、手動にてレバー310を回転させることにより磁力を発生させることができ、ベース部材102に対して容易に着脱できる。
【0024】
供給部30においては、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの形状に応じて、突き当て部材302に対する保持器304の位置を調整することで、突き当て部材302と保持器304との間に形成される空間の大きさが調整され、任意の大きさの保護シート付きアクリル樹脂板が積層して保持される。
【0025】
突出部形成部材40は、図4に示すように、ベース部材102の上面に固定された部材である。突出部形成部材40は、受け部402、第1の突出部404及び第2の突出部406を有し、これら受け部402、第1の突出部404及び第2の突出部406の幅は、それぞれ粘着テープTPの幅よりも大きく、粘着テープTPの非粘着面(粘着面とは反対側の面)が接触する。
【0026】
受け部402は、ローラー50が保護シートP付きアクリル樹脂板ARを粘着テープTPに押し付けるための受けとなる水平面が形成されている。なお、ここに言う「水平面」とは、厳密な意味での水平面ではない。即ち、「水平面」とは、設計上や製造上の誤差が許容され、「実質的に水平な面」という意味である(以下同様)。具体的には、例えば、水平線を基準として-5度~+5度の範囲内にある面となっていればよい。
【0027】
第1の突出部404は、受け部402よりも上方に突出しており、正面視して、粘着テープTPの搬送方向上流側に曲面が形成されており、頂部よりも搬送方向下流側に実質的な垂直面が形成されている。換言すると、第1の突出部404は、正面視して、搬送方向上流側から下流側に向かうに従って徐々に高さが高くなり、頂部にて切り落とされた形状となっている。搬送方向下流側に向かって高さが変化する度合いは、徐々に小さくなることが好ましい。
【0028】
第2の突出部406は、第1の突出部404よりも低い位置にて、保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARが排出される方向に突出し、先端には曲面が形成されている。
第2の突出部406は、剥離された保護シートPが貼り付いた状態の粘着テープTPの向きを変更できる。
【0029】
ローラー(第2のローラーの一例)50は、アクリル樹脂板ARの保護シートPが貼付された面とは反対側の面に接触し、粘着テープTPの粘着面に対して保護シートPを押し付けることができる。
ローラー50は、正面視して供給部30の搬送方向下流側かつローラー60の搬送方向上流側に配置され、ローラー保持部材502に設けられている。ローラー保持部材502は、水平方向に延びる回転軸AXの回りに回転でき(図4に示す矢印R1参照)、正面視して回転軸AXから離れた位置に形成されている孔H502には、第1の引張コイルバネ504の一端が取り付けられている。この第1の引張コイルバネ504の作用により、ローラー50は、受け部402に押し付けられる方向に力が加えられている。
なお、各図において、第1の引張コイルバネ504は、上側の部分が省略され、下側の部分のみ示されている。
【0030】
従って、保護シートP付きアクリル樹脂板ARがローラー50と受け部402との間を通過すると、ローラー50は、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの通過に伴って上下する。
ここで、剥離装置10の構成によっては、ローラー50が設けられていないと、粘着テープTPが蛇行して搬送され絡まってしまう現象が発生する場合がある。ローラー50によって、このような現象が抑制される。
【0031】
ローラー(第1のローラーの一例)60は、アクリル樹脂板ARの保護シートPが貼付された面とは反対側の面に接触し、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが貼り付いた粘着テープTPを第1の突出部404に押し付けることができる。
ローラー60は、正面視してローラー50の搬送方向下流側であって第1の突出部404の上方に配置され、ローラー保持部材602に設けられている。ローラー保持部材602は、水平方向に延びる回転軸AX回りに回転でき(図4に示す矢印R2参照)、正面視して回転軸AXから離れた位置に形成されている孔H602には、第2の引張コイルバネ604の一端が取り付けられている。この第2の引張コイルバネ604の作用により、ローラー60は、第1の突出部404に押し付けられる方向に力が加えられている。
なお、各図において、第2の引張コイルバネ604は、上側の部分が省略され、下側の部分のみ示されている。
【0032】
従って、保護シートP付きアクリル樹脂板ARがローラー60と第1の突出部404との間を通過すると、ローラー60は、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの通過に伴って上下する。
【0033】
ローラー70は、保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARを案内できる。ローラー70によって案内されたアクリル樹脂板ARは、図2に示す矢印Xの方向に排出される。
ローラー70は、平面視してローラー60を挟んでローラー50とは反対の側に配置され、図4に示すように、ローラー60と共通のローラー保持部材602に設けられている。
従って、ローラー70は、ローラー60の移動に伴って移動する。
【0034】
制御部80は、搬送ローラー206aを駆動する送り用モータ(不図示)及び巻取リール208を駆動する巻取用モータ(不図示)にそれぞれ駆動電流を供給するための駆動装置並びにこの駆動装置を制御するための制御装置である。これらの駆動装置及び制御装置は、図1及び図2に示すように、筐体802に収められている。
【0035】
筐体802の内部には、送り用モータ(不図示)及び巻取用モータ(不図示)の本体部分も収められており、巻取用モータ及び送り用モータの回転軸は、それぞれ筐体802の表面から正面側へ突出するように設けられている。
筐体802の上面の正面側には、図1に示すように、ベース部材102が正面側に張り出すように固定されている。
【0036】
剥離装置10において、粘着テープTPは、以下に示す搬送経路を通って送られる。
まず、図2に示すように、供給リール202から引き出された粘着テープTPは、粘着面が上側となった状態で、搬送ローラー206a、206bによって引っ張られ、供給部30の下側へと向かい、供給部30の下方にある従動ローラー204にて水平方向に送られる。
すなわち、粘着テープTPは、供給部30によって保持された最も低い位置にある保護シートP付きアクリル樹脂板ARの下を通り、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの一部は、粘着テープTPの粘着面に接触する。
【0037】
次に、水平方向に送られた粘着テープTPは、図4に示すように、ローラー50と受け部402との間の位置(位置A)を経て、ローラー60と第1の突出部404との間の位置(位置Aよりも高い位置B)を通り、第2の突出部406がある位置(位置Aよりも高い位置かつ位置Bよりも低い位置にある位置C)にて方向が変えられて斜め下方へと送られる。付言すると、位置Cにて送り方向が変わると、粘着テープTPの粘着面は下側となる。
【0038】
最後に、斜め下方へと送られた粘着テープTPは、図2に示すように、搬送ローラー206a、206bの間を通り、巻取用モータ(不図示)によって駆動される巻取リール208に巻き取られる。
【0039】
次に、剥離装置10の動作(保護シートPの剥離方法)について、図4図8に基づいて説明する。
剥離装置10は、以下のステップS1~S7に従って動作する。
【0040】
(ステップS1)
剥離装置10の供給リール202にロール状の粘着テープTPが保持され、供給リール202から引き出された粘着テープTPが搬送経路に沿って巻取リール208まで延びるように取り付けられる。
また、供給部30には、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが複数保持される。
【0041】
(ステップS2)
送り機構20が動作し、搬送ローラー206a、206b(図2参照)が、挟み込んでいる粘着テープTPを送る。粘着テープTPの移動に伴い、供給部30の最も低い位置にある保護シートP付きアクリル樹脂板ARの下面を覆う保護シートPが、粘着テープTPの粘着面に貼り付き、図4に示すように、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが粘着テープTPに載って搬送方向に取り出される。取り出された保護シートP付きアクリル樹脂板ARは、反射型の光電センサSENによって検出される。
保護シートP付きアクリル樹脂板ARが取り出されると、その上に載っていた後続の保護シートP付きアクリル樹脂板ARも順次取り出される。
【0042】
(ステップS3)
保護シートP付きアクリル樹脂板AR及び粘着テープTPが、図5に示すように、ローラー50と受け部402との間に挟まれ、所定の大きさの力で押し付けられる。
【0043】
(ステップS4)
保護シートP付きアクリル樹脂板ARが、更に下流方向に移動すると、図6に示すように、ローラー50との接触が維持される一方で、前端が浮き、前端の下縁部が突出部形成部材40に形成された第1の突出部404に接触する。
【0044】
(ステップS5)
保護シートP付きアクリル樹脂板ARが、更に下流方向に移動すると、図7に示すように、ローラー50との接触が維持される一方で、その前端が、ローラー60と第1の突出部404との間に挟まれ、第1の突出部404に乗り上げる。すなわち、ローラー60が、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの前端を第1の突出部404に押し付ける。
【0045】
(ステップS6)
図8に示すように、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが、ローラー60によって第1の突出部404に押し付けられながら移動する。
その結果、アクリル樹脂板ARの移動に伴い、保護シートPが粘着面に貼り付き剥離される。
【0046】
剥離された保護シートPは、粘着面に貼り付いた状態で、突出部形成部材40に形成された第2の突出部406にて搬送方向が変わり、更に搬送経路の下流側に移動する。
保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARは、ローラー70に案内され、排出される。
【0047】
(ステップS7)
アクリル樹脂板ARが通過した後は、ローラー50と受け部402との間及びローラー60と第1の突出部404との間は、後続のアクリル樹脂板ARが通過するまでは、粘着テープTPのみが通過する。
【0048】
以降、前述のステップS2~S7が繰り返されることにより、供給部30から順次保護シートP付きアクリル樹脂板ARが搬送され、保護シートPが剥離される。
なお、予め決められた時間が経過したにも関わらず、光学センサSENによって保護シートP付きアクリル樹脂板ARが検出されない場合には、送り機構20の動作が停止する。
【0049】
以上説明したように、剥離装置10によれば、アクリル樹脂板ARに貼付されている保護シートPを剥離できる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
前述の剥離装置10が剥離できる保護シートPは、アクリル樹脂板ARに貼付されたものに限定されるものではなく、アクリル以外の樹脂板に貼付されたものであってもよい。更に言えば、剥離装置10は、板状の部材に貼付された任意のシート状又はフィルム状の保護材を剥離できる。
【符号の説明】
【0051】
10 剥離装置
20 送り機構
30 供給部
40 突出部形成部材
50、60、70 ローラー
80 制御部
102 ベース部材
202 供給リール
204 従動ローラー
206a、206b 搬送ローラー
208 巻取リール
302 突き当て部材
304 保持器
306 棒状部材
308 マグネットホルダ台
310 レバー
402 受け部
404 第1の突出部
406 第2の突出部
502 ローラー保持部材
504 第1の引張コイルバネ
602 ローラー保持部材
604 第2の引張コイルバネ
802 筐体
AR アクリル樹脂板
AX 回転軸
H502、H602 孔
P 保護シート
TP 粘着テープ
SEN 光学センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材に貼付されたシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置であって、
前記保護材を介して前記板状部材に貼り付き該板状部材を搬送するための粘着テープを送る送り機構と、
突出した突出部が形成された突出部形成部材と、
前記粘着テープによって搬送される前記板状部材の前記保護材が貼付された面とは反対側の面に接触し、前記粘着テープを前記突出部に押し付ける第1のローラーと、を備え
前記板状部材が、前記突出部と前記第1のローラーとの間を通過すると、前記粘着テープによって、前記保護材が該板状部材から剥離される保護材の剥離装置。
【請求項2】
請求項1記載の保護材の剥離装置において、
前記第1のローラーが、前記板状部材の前端を前記突出部に押し付ける保護材の剥離装置。
【請求項3】
請求項2記載の保護材の剥離装置において、
複数の前記板状部材を上下方向に積層して保持する供給部を更に備えた保護材の剥離装置。
【請求項4】
請求項3記載の保護材の剥離装置において、
前記粘着テープが、前記供給部によって保持された最も低い位置にある前記板状部材の下を通り、
前記板状部材に貼付されている前記保護材が、前記粘着テープの粘着面に接触する保護材の剥離装置。
【請求項5】
請求項4記載の保護材の剥離装置において、
前記供給部の搬送方向下流側かつ前記第1のローラーの搬送方向上流側に配置され、前記粘着テープの粘着面に対して前記保護材を押し付ける第2のローラーを更に備えた保護材の剥離装置。
【請求項6】
請求項5記載の保護材の剥離装置において、
前記送り機構が、前記粘着テープを送る搬送ローラーを有する保護材の剥離装置。
【請求項7】
板状部材に貼付されたシート状又はフィルム状の保護材に貼り付き該板状部材を搬送するための粘着テープを送る送り機構と、突出した突出部が形成された突出部形成部材と、前記粘着テープによって搬送される前記板状部材の前記保護材が貼付された面とは反対側の面に接触し、前記粘着テープを前記突出部に押し付けるローラーと、を備えた保護材の剥離装置による保護材の剥離方法であって、
前記送り機構が、前記保護材を介して前記板状部材に貼り付いた前記粘着テープを送るステップと、
記ローラーが、前記板状部材を搬送する前記粘着テープを前記突出部に押し付けステップと、
前記粘着テープによって、前記突出部と前記ローラーとの間を通過した前記板状部材から前記保護材が剥離されるステップと、を含む保護材の剥離方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも一つの頂点部をもつ形状の薄板に付着している同一形状の保護シートの表面に、張力を加えた長尺状の粘着テープを押圧粘着させながら引き上げることで薄板から保護シートを剥離する装置に使用される薄板保護シートの剥離方法が記載されている。この剥離方法は、押圧粘着されている粘着テープの初期引き上げ部位が保護シートの一頂点部であることを特徴としている。
【0003】
特許文献2には、保護シートを貼付した平面状パーツから保護シートを剥離する保護シート剥離装置が記載されている。この保護シート剥離装置は、粘着面を上にして移動する粘着テープと、該粘着テープの下面を間欠的に叩き上げる叩き板を有する叩きアームと、該叩きアームを駆動するカム部とを備え、粘着テープ上に保護シートを下にして平面状パーツを載置して粘着テープと共に移動し、叩きアームの叩き板により粘着テープを介して保護シートを下方から間欠的に叩いて粘着テープに保護シートを接着し、排出時に平面状パーツから保護シートを剥離することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-114384号公報
【特許文献2】特開2021-84787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、板状部材に貼付されているシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、板状部材に貼付されたシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置であって、前記保護材を介して前記板状部材に貼り付き該板状部材を搬送するための粘着テープを送る送り機構と、突出した突出部が形成された突出部形成部材と、前記粘着テープによって搬送される前記板状部材の前記保護材が貼付された面とは反対側の面に接触し、前記粘着テープを前記突出部に押し付ける第1のローラーと、を備え、前記板状部材が、前記突出部と前記第1のローラーとの間を通過すると、前記粘着テープによって、前記保護材が該板状部材から剥離される保護材の剥離装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の保護材の剥離装置において、前記第1のローラーが、前記板状部材の前端を前記突出部に押し付ける。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の保護材の剥離装置において、複数の前記板状部材を上下方向に積層して保持する供給部を更に備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の保護材の剥離装置において、前記粘着テープが、前記供給部によって保持された最も低い位置にある前記板状部材の下を通り、前記板状部材に貼付されている前記保護材が、前記粘着テープの粘着面に接触する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の保護材の剥離装置において、前記供給部の搬送方向下流側かつ前記第1のローラーの搬送方向上流側に配置され、前記粘着テープの粘着面に対して前記保護材を押し付ける第2のローラーを更に備える。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の保護材の剥離装置において、前記送り機構が、前記粘着テープを送る搬送ローラーを有する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、板状部材に貼付されたシート状又はフィルム状の保護材に貼り付き該板状部材を搬送するための粘着テープを送る送り機構と、突出した突出部が形成された突出部形成部材と、前記粘着テープによって搬送される前記板状部材の前記保護材が貼付された面とは反対側の面に接触し、前記粘着テープを前記突出部に押し付けるローラーと、を備えた保護材の剥離装置による保護材の剥離方法であって、前記送り機構が、前記保護材を介して前記板状部材に貼り付いた前記粘着テープを送るステップと、前記ローラーが、前記板状部材を搬送する前記粘着テープを前記突出部に押し付けステップと、前記粘着テープによって、前記突出部と前記ローラーとの間を通過した前記板状部材から前記保護材が剥離されるステップと、を含む保護材の剥離方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、板状部材に貼付されているシート状又はフィルム状の保護材を剥離する保護材の剥離装置及び保護材の剥離方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る保護シートの剥離装置の外観図である。
図2】同保護シートの剥離装置の正面図である。
図3】同保護シートの剥離装置が備える供給部におけるアクリル樹脂板及び粘着テープを模式的に示す説明図である。
図4】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その1)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図5】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その2)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図6】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その3)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図7】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その4)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
図8】同保護シートの剥離装置の動作を示す説明図(その5)であって、突出部形成部材の周辺を正面視した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0016】
本発明の一実施の形態に係る保護シートPの剥離装置10(図1参照)は、アクリル樹脂板(板状部材の一例)ARに貼付されている保護シートPを、粘着テープTPを用いて剥離し、保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARを排出できる。
なお、アクリル樹脂板ARの厚さは、例えば、1.0~5.0mmである。
また、保護シート(シート状の保護材)Pは、例えば、紙製のシートである。保護シートPに代えて、保護フィルム(フィルム状の保護材)であってもよく、板状部材の表面を保護するためのシート状又はフィルム状の保護材であれば、任意でよい。
【0017】
保護シートPの剥離装置10(以下単に「剥離装置10」という。)は、図2に示すように、送り機構20、供給部30、突出部形成部材40、ローラー50、ローラー60、ローラー70及び制御部80を備えている。
【0018】
送り機構20は、供給リール202、従動ローラー204(図3参照)、搬送ローラー206a、206b及び巻取リール208を有し、保護シートPを介してアクリル樹脂板ARが貼り付いた粘着テープTPを一方向に送り、予め決められた搬送経路に沿って搬送できる。
【0019】
供給リール202は、図2に示すように、ロール状に巻かれた粘着テープTPを保持することができる。なお、粘着テープTPの幅は、アクリル樹脂板ARの幅よりも大きい。
従動ローラー204は、図3に示すように、供給部30の下方に設けられ、供給リール202から引き出された粘着テープTPの送り方向を変えることができる。
【0020】
搬送ローラー206a、206b(図2参照)は、保護シートPが貼り付いた粘着テープTPを間に挟み込んで送ることができる。搬送ローラー206aは送り用モータ(不図示)によって、予め決められた回転速度で駆動される。送り用モータは、例えばパルスモータである。
【0021】
巻取リール208は、供給リール202から送られ保護シートPが貼り付いた粘着テープTPを巻き取ることができる。巻取リール208は、トルク制御される巻取用モータ(不図示)によって駆動される。従って、粘着テープTPは、張力が予め設定された範囲内となるように制御されながら巻き取られる。巻取用モータは、例えばサーボモータである

なお、送り機構20は、モータによらず、手動により駆動されてもよい。
送り機構20によって送られる粘着テープTPの搬送経路については後述する。
【0022】
供給部30は、図1に示すように、スチール製のベース部材102に設けられ、複数の保護シートP付きアクリル樹脂板ARを上下方向に積層して保持できる。各アクリル樹脂板ARは、保護シートPを下にした状態で保持される。
【0023】
供給部30は、突き当て部材302及び保持器304を有している。
突き当て部材302は、上下方向に延びるアングル状の部材であり、平面視してアクリル樹脂板ARの異なる2箇所が突き当てられる。
保持器304は、上下方向に延びるアングル状の棒状部材306と、この棒状部材306が固定されたマグネットホルダ台308と、から少なくとも構成されている。マグネットホルダ台308は、手動にてレバー310を回転させることにより磁力を発生させることができ、ベース部材102に対して容易に着脱できる。
【0024】
供給部30においては、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの形状に応じて、突き当て部材302に対する保持器304の位置を調整することで、突き当て部材302と保持器304との間に形成される空間の大きさが調整され、任意の大きさの保護シート付きアクリル樹脂板が積層して保持される。
【0025】
突出部形成部材40は、図4に示すように、ベース部材102の上面に固定された部材である。突出部形成部材40は、受け部402、第1の突出部404及び第2の突出部406を有し、これら受け部402、第1の突出部404及び第2の突出部406の幅は、それぞれ粘着テープTPの幅よりも大きく、粘着テープTPの非粘着面(粘着面とは反対側の面)が接触する。
【0026】
受け部402は、ローラー50が保護シートP付きアクリル樹脂板ARを粘着テープTPに押し付けるための受けとなる水平面が形成されている。なお、ここに言う「水平面」とは、厳密な意味での水平面ではない。即ち、「水平面」とは、設計上や製造上の誤差が許容され、「実質的に水平な面」という意味である(以下同様)。具体的には、例えば、水平線を基準として-5度~+5度の範囲内にある面となっていればよい。
【0027】
第1の突出部404は、受け部402よりも上方に突出しており、正面視して、粘着テープTPの搬送方向上流側に曲面が形成されており、頂部よりも搬送方向下流側に実質的な垂直面が形成されている。換言すると、第1の突出部404は、正面視して、搬送方向上流側から下流側に向かうに従って徐々に高さが高くなり、頂部にて切り落とされた形状となっている。搬送方向下流側に向かって高さが変化する度合いは、徐々に小さくなることが好ましい。
【0028】
第2の突出部406は、第1の突出部404よりも低い位置にて、保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARが排出される方向に突出し、先端には曲面が形成されている。
第2の突出部406は、剥離された保護シートPが貼り付いた状態の粘着テープTPの向きを変更できる。
【0029】
ローラー(第2のローラーの一例)50は、アクリル樹脂板ARの保護シートPが貼付された面とは反対側の面に接触し、粘着テープTPの粘着面に対して保護シートPを押し付けることができる。
ローラー50は、正面視して供給部30の搬送方向下流側かつローラー60の搬送方向上流側に配置され、ローラー保持部材502に設けられている。ローラー保持部材502は、水平方向に延びる回転軸AXの回りに回転でき(図4に示す矢印R1参照)、正面視して回転軸AXから離れた位置に形成されている孔H502には、第1の引張コイルバネ504の一端が取り付けられている。この第1の引張コイルバネ504の作用により、ローラー50は、受け部402に押し付けられる方向に力が加えられている。
なお、各図において、第1の引張コイルバネ504は、上側の部分が省略され、下側の部分のみ示されている。
【0030】
従って、保護シートP付きアクリル樹脂板ARがローラー50と受け部402との間を通過すると、ローラー50は、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの通過に伴って上下する。
ここで、剥離装置10の構成によっては、ローラー50が設けられていないと、粘着テープTPが蛇行して搬送され絡まってしまう現象が発生する場合がある。ローラー50によって、このような現象が抑制される。
【0031】
ローラー(第1のローラーの一例)60は、アクリル樹脂板ARの保護シートPが貼付された面とは反対側の面に接触し、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが貼り付いた粘着テープTPを第1の突出部404に押し付けることができる。
ローラー60は、正面視してローラー50の搬送方向下流側であって第1の突出部404の上方に配置され、ローラー保持部材602に設けられている。ローラー保持部材602は、水平方向に延びる回転軸AX回りに回転でき(図4に示す矢印R2参照)、正面視して回転軸AXから離れた位置に形成されている孔H602には、第2の引張コイルバネ604の一端が取り付けられている。この第2の引張コイルバネ604の作用により、ローラー60は、第1の突出部404に押し付けられる方向に力が加えられている。
なお、各図において、第2の引張コイルバネ604は、上側の部分が省略され、下側の部分のみ示されている。
【0032】
従って、保護シートP付きアクリル樹脂板ARがローラー60と第1の突出部404との間を通過すると、ローラー60は、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの通過に伴って上下する。
【0033】
ローラー70は、保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARを案内できる。ローラー70によって案内されたアクリル樹脂板ARは、図2に示す矢印Xの方向に排出される。
ローラー70は、平面視してローラー60を挟んでローラー50とは反対の側に配置され、図4に示すように、ローラー60と共通のローラー保持部材602に設けられている。
従って、ローラー70は、ローラー60の移動に伴って移動する。
【0034】
制御部80は、搬送ローラー206aを駆動する送り用モータ(不図示)及び巻取リール208を駆動する巻取用モータ(不図示)にそれぞれ駆動電流を供給するための駆動装置並びにこの駆動装置を制御するための制御装置である。これらの駆動装置及び制御装置は、図1及び図2に示すように、筐体802に収められている。
【0035】
筐体802の内部には、送り用モータ(不図示)及び巻取用モータ(不図示)の本体部分も収められており、巻取用モータ及び送り用モータの回転軸は、それぞれ筐体802の表面から正面側へ突出するように設けられている。
筐体802の上面の正面側には、図1に示すように、ベース部材102が正面側に張り出すように固定されている。
【0036】
剥離装置10において、粘着テープTPは、以下に示す搬送経路を通って送られる。
まず、図2に示すように、供給リール202から引き出された粘着テープTPは、粘着面が上側となった状態で、搬送ローラー206a、206bによって引っ張られ、供給部30の下側へと向かい、供給部30の下方にある従動ローラー204にて水平方向に送られる。
すなわち、粘着テープTPは、供給部30によって保持された最も低い位置にある保護シートP付きアクリル樹脂板ARの下を通り、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの一部は、粘着テープTPの粘着面に接触する。
【0037】
次に、水平方向に送られた粘着テープTPは、図4に示すように、ローラー50と受け部402との間の位置(位置A)を経て、ローラー60と第1の突出部404との間の位置(位置Aよりも高い位置B)を通り、第2の突出部406がある位置(位置Aよりも高い位置かつ位置Bよりも低い位置にある位置C)にて方向が変えられて斜め下方へと送られる。付言すると、位置Cにて送り方向が変わると、粘着テープTPの粘着面は下側となる。
【0038】
最後に、斜め下方へと送られた粘着テープTPは、図2に示すように、搬送ローラー206a、206bの間を通り、巻取用モータ(不図示)によって駆動される巻取リール208に巻き取られる。
【0039】
次に、剥離装置10の動作(保護シートPの剥離方法)について、図4図8に基づいて説明する。
剥離装置10は、以下のステップS1~S7に従って動作する。
【0040】
(ステップS1)
剥離装置10の供給リール202にロール状の粘着テープTPが保持され、供給リール202から引き出された粘着テープTPが搬送経路に沿って巻取リール208まで延びるように取り付けられる。
また、供給部30には、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが複数保持される。
【0041】
(ステップS2)
送り機構20が動作し、搬送ローラー206a、206b(図2参照)が、挟み込んでいる粘着テープTPを送る。粘着テープTPの移動に伴い、供給部30の最も低い位置にある保護シートP付きアクリル樹脂板ARの下面を覆う保護シートPが、粘着テープTPの粘着面に貼り付き、図4に示すように、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが粘着テープTPに載って搬送方向に取り出される。取り出された保護シートP付きアクリル樹脂板ARは、反射型の光電センサSENによって検出される。
保護シートP付きアクリル樹脂板ARが取り出されると、その上に載っていた後続の保護シートP付きアクリル樹脂板ARも順次取り出される。
【0042】
(ステップS3)
保護シートP付きアクリル樹脂板AR及び粘着テープTPが、図5に示すように、ローラー50と受け部402との間に挟まれ、所定の大きさの力で押し付けられる。
【0043】
(ステップS4)
保護シートP付きアクリル樹脂板ARが、更に下流方向に移動すると、図6に示すように、ローラー50との接触が維持される一方で、前端が浮き、前端の下縁部が突出部形成部材40に形成された第1の突出部404に接触する。
【0044】
(ステップS5)
保護シートP付きアクリル樹脂板ARが、更に下流方向に移動すると、図7に示すように、ローラー50との接触が維持される一方で、その前端が、ローラー60と第1の突出部404との間に挟まれ、第1の突出部404に乗り上げる。すなわち、ローラー60が、保護シートP付きアクリル樹脂板ARの前端を第1の突出部404に押し付ける。
【0045】
(ステップS6)
図8に示すように、保護シートP付きアクリル樹脂板ARが、ローラー60によって第1の突出部404に押し付けられながら移動する。
その結果、アクリル樹脂板ARの移動に伴い、保護シートPが粘着面に貼り付き剥離される。
【0046】
剥離された保護シートPは、粘着面に貼り付いた状態で、突出部形成部材40に形成された第2の突出部406にて搬送方向が変わり、更に搬送経路の下流側に移動する。
保護シートPが剥離されたアクリル樹脂板ARは、ローラー70に案内され、排出される。
【0047】
(ステップS7)
アクリル樹脂板ARが通過した後は、ローラー50と受け部402との間及びローラー60と第1の突出部404との間は、後続のアクリル樹脂板ARが通過するまでは、粘着テープTPのみが通過する。
【0048】
以降、前述のステップS2~S7が繰り返されることにより、供給部30から順次保護シートP付きアクリル樹脂板ARが搬送され、保護シートPが剥離される。
なお、予め決められた時間が経過したにも関わらず、光学センサSENによって保護シートP付きアクリル樹脂板ARが検出されない場合には、送り機構20の動作が停止する。
【0049】
以上説明したように、剥離装置10によれば、アクリル樹脂板ARに貼付されている保護シートPを剥離できる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
前述の剥離装置10が剥離できる保護シートPは、アクリル樹脂板ARに貼付されたものに限定されるものではなく、アクリル以外の樹脂板に貼付されたものであってもよい。更に言えば、剥離装置10は、板状の部材に貼付された任意のシート状又はフィルム状の保護材を剥離できる。
【符号の説明】
【0051】
10 剥離装置
20 送り機構
30 供給部
40 突出部形成部材
50、60、70 ローラー
80 制御部
102 ベース部材
202 供給リール
204 従動ローラー
206a、206b 搬送ローラー
208 巻取リール
302 突き当て部材
304 保持器
306 棒状部材
308 マグネットホルダ台
310 レバー
402 受け部
404 第1の突出部
406 第2の突出部
502 ローラー保持部材
504 第1の引張コイルバネ
602 ローラー保持部材
604 第2の引張コイルバネ
802 筐体
AR アクリル樹脂板
AX 回転軸
H502、H602 孔
P 保護シート
TP 粘着テープ
SEN 光学センサ