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特開2024-104607情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104607
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240729BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008919
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根岸 廣人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友行
(72)【発明者】
【氏名】宮部 航太朗
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】
移動体の乗員と当該乗員に適した移動体外の通話相手とをマッチングすることを可能とする情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体を提供することを目的の1つとしている。
【解決手段】
移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定部と、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定部と、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、
前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記乗員に関する情報及び前記通話相手情報の各々は互いに対応する複数の対応項目を含み、前記抽出部は、前記乗員に関する情報及び前記通話相手情報の各々から前記現在の要求事項に基づいて決まる1または複数の対応項目を用いて前記適合度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記乗員に関する情報及び前記通話相手情報の各々は互いに対応する複数の対応項目を含み、前記抽出部は、前記現在の要求事項に基づいて前記対応項目毎に重み付けを行って前記適合度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通話相手情報は、前記複数の通話相手候補の各々の土地勘のある地域を示す項目を含み、
前記抽出部は、前記現在の要求事項が前記移動体の現在地又は目的地に関する要求事項を含む場合に、前記通話相手情報に含まれる項目のうちの前記土地勘のある地域を示す項目と、前記移動体の現在地又は目的地との共通度を用いて前記適合度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記乗員の現在の状況は、現在時刻、前記移動体の現在位置、前記移動体が現在移動中の道路の属性、前記移動体の目的地の属性、前記移動体の周囲の交通状況及び前記移動体の内部の状況の少なくとも1つに基づくことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記要求推定部は、前記乗員からの前記推奨通話相手の提示を求める要求があったタイミングにおける前記現在の要求事項を推定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記要求推定部は、前記乗員の現在の状況に基づいたタイミングにおける前記現在の要求事項を推定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記要求推定部は、前記移動体の移動計画を取得し、前記移動計画に基づいて、前記移動計画中の複数の場面を特定し、前記移動体の移動中の前記場面毎に前記現在の要求事項を推定し、
前記抽出部は、前記現在の要求事項が推定される毎に、前記場面毎の前記推奨通話相手を抽出し、
前記提示制御部は、前記推奨通話相手が抽出される毎に、前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定ステップと、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、
前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、
移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定ステップと、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、
前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、
を実行させるための情報処理プログラム。
【請求項11】
コンピュータを備える情報処理装置に、
移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定ステップと、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、
前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、
を実行させるための情報処理プログラムを記憶するコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体に関し、例えば、移動体内の人と移動体外の人との間の通話に関する情報処理を行う情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば需要側と供給側といった、互いに異なるグループに属する者同士を結び付けるマッチングを行う装置が提案されている。例えば、特許文献1には、旅行者が登録した旅行者情報とガイドが登録したガイド情報との共通度合を求め、該共通度合に応じて旅行者とガイドとの組み合わせを抽出するガイドマッチングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-186742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記したようなマッチングを、移動体の乗員と当該移動体の乗員の通話相手となる移動体外の人との間で行う場合を考える。移動体の移動や時間の経過によって移動体における状況は刻々と変わるため、単に、上記文献のように移動体の乗員が予め登録した情報と、通話相手の候補者が予め登録した情報とを用いてマッチングを行うと良好な結果を得られない場合があることが課題の1つとして挙げられる。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、移動体の乗員と当該乗員に適した移動体外の通話相手とをマッチングすることを可能とする情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定部と、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御部と、を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
請求項9に記載の発明は、情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定ステップと、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を含むことを特徴とする情報処理方法である。
【0008】
請求項10に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定ステップと、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を実行させるための情報処理プログラムである。
【0009】
請求項11に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置に、移動体の乗員の現在の状況に基づいて、前記乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定ステップと、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記現在の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで前記複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を実行させるための情報処理プログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係る情報処理システムの概略を示す模式図である。
図2】実施例に係る自動車の前席部分の構成を示す図である。
図3】実施例に係る車載装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施例に係る外部装置の正面図である。
図5】実施例に係る外部装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】実施例に係るサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7】実施例に係るサーバ装置が保持する情報の一例を示す図である。
図8】実施例に係るサーバ装置が保持する情報の一例を示す図である。
図9】実施例に係るサーバ装置によるニーズの推定に用いられるテーブルの一例を示す図である。
図10】実施例に係るサーバ装置によるマッチングに用いられる対応項目の一例を示す図である。
図11】実施例に係るサーバ装置によるマッチングにおける重み付けの一例を示す図である。
図12】実施例に係る情報処理システムによって実行される情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図13】実施例に係るサーバ装置によって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
図14】実施例に係る提示画面の一例を示す図である。
図15】実施例に係るサーバ装置によって実行されるルーチンの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0012】
実施例に係る情報処理装置を含む情報処理システム100の構成について添付図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、情報処理システム100の構成の概要を示している。図1に示すように、情報処理システム100は、車載装置10、外部装置30及び情報処理装置としてのサーバ50を含んで構成されている。なお、図1においては、車載装置10が移動体の一例としての自動車Mに搭載されている場合を示している。また、図1においては、外部装置30の一例として、スマートフォンを示している。
【0014】
車載装置10、外部装置30及びサーバ50は、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IPや、UDP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワークNWは、例えば、移動体通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信及び有線通信を含むインターネット通信により構築され得る。
【0015】
情報処理システム100において、車載装置10によって取得された自動車Mにおける映像及び音声を、外部装置30に送信し、外部装置30によって取得された音声を車載装置10に送信する音声映像通信が可能である。
【0016】
本実施例の情報処理システム100においては、車載装置10と外部装置30との間で音声通話が確立された上で、車載装置10から自動車Mにおいて撮影された映像が外部装置30に配信される。
【0017】
以下の説明において、上記のように、車載装置10と外部装置30との間での音声通話を確立させつつ、自動車Mにおいて撮影された映像を車載装置10から外部装置30に配信する通信態様を音声映像通信の一態様としてのビデオ通信と称する。
【0018】
このようなビデオ通信が行われることで、車載装置10から送信される映像を視聴している外部装置30のユーザは、あたかも自動車Mの運転者と自動車Mに同乗しているような感覚を得ることができる。言い換えれば、ビデオ通信によって、外部装置30のユーザの自動車Mへの仮想同乗を実現することができる。また、このようなビデオ通信を実現可能な本実施例の情報処理システム100のようなシステムを仮想同乗システムとも称する。
【0019】
本実施例において、車載装置10と外部装置30とは、サーバ50を介してビデオ通信を行っている。サーバ50は、車載装置10と外部装置30との間で音声通話を確立させ、かつ、自動車Mにおいて撮影され車載装置10によって取得された映像を車載装置10から受信し、当該映像を外部装置30に送信することが可能である。
【0020】
従って、運転者及び同乗者を含む自動車Mの乗員と、外部装置30のユーザとが、ビデオ通信によって通話を行うことができる。当該通話において、外部装置30のユーザは、自動車Mの乗員に対して、例えば、運転が単調で退屈なときに話し相手になる、運転が難しい場合に運転のアドバイスをする、現在地付近の飲食店に関する情報を提供するといった役割を果たすことができる。上記のような役割から、本実施例において、自動車Mの乗員の通話相手としての外部装置30のユーザをガイド又はコンパニオンとも称する。
【0021】
サーバ50は、自動車Mの乗員がビデオ通信によって通話する通話相手として推奨される外部装置30のユーザである推奨通話相手を、当該乗員と複数の通話相手候補の各々とのマッチングを行って抽出し、当該乗員に提示することが可能である。本実施例において、乗員が運転者である場合を中心に説明する。
【0022】
本実施例において、自動車Mの運転者に推奨される通話相手とは、当該運転者が通話相手との通話に求める要求事項であるニーズを満たし得る相手とする。運転者のニーズは、例えば、コンパニオンに提供して欲しい情報又は話題等を含む。
【0023】
また、本実施例において、ニーズを満たし得る相手を推奨通話相手として抽出できるように、運転者と通話相手候補とのマッチングに運転者のニーズを用いる。運転者のニーズは、自動車Mの移動や時間の経過とともに変化するので、本実施例では、運転者の現在の状況に基づいて運転者の現在のニーズを推定する。本実施例において、運転者の現在の状況は、現在時刻や、自動車Mの現在位置、自動車Mの内部の状況等の情報に基づいて取得される。
【0024】
以下、本実施例においては、車載装置10がカーナビゲーション装置である場合を例に説明する。また、本実施例においては、車載装置10が、ユーザが案内を希望する目的地をユーザから受け付け、当該目的地をサーバ50に送信し、サーバ50が目的地への経路を生成する、いわゆるクラウド型のカーナビゲーション装置の端末装置である場合を例に説明する。
【0025】
図2は、車載装置10を搭載している自動車Mの前席付近を示す斜視図である。図2では、取り付け例として、自動車Mの前席のダッシュボードDB内に車載装置10が取り付けられている場合を示す。
【0026】
GPS受信機11は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(GPS信号)を受信する装置である。GPS受信機11は、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。なお、GPS受信機11は、GPS信号が受信できればどこに配されていてもよい。GPS受信機11は、受信したGPS信号を車載装置10に送信することが可能である。車載装置10は、GPS信号を用いて自動車Mの現在位置情報を取得する。
【0027】
車外カメラ13は、自動車Mの前方を撮影する撮像装置である。本実施例において、車外カメラ13は、前方が撮影方向となる様にダッシュボードDBに配されている。例えば、車外カメラ13は、フロントガラスを介して自動車Mの前方を撮影可能である。なお、車外カメラ13は、ルームミラーRMの近傍に設けられても良く、フロントガラスFGの内側に取り付けられていてもよい。ビデオ通信時には、車外カメラ13によって撮像された映像が、外部装置30に配信される。
【0028】
車内カメラ14は、自動車Mの内部を撮影する撮像装置である。本実施例において、車内カメラ14は、フロントガラスFGの上端または当該上端付近の天井部に設けられている。例えば、車内カメラ14は、自動車Mの運転者を撮影可能である。例えば、車内カメラ14は、自動車Mの助手席や後部座席を含めた自動車Mの内部を撮影可能に設けられていてもよい。
【0029】
例えば、車内カメラ14によって撮像された映像は、ビデオ通信時に、車外カメラ13によって撮像された映像とともに、外部装置30に配信される。例えば、外部装置30において、車外カメラ13の画像と車内カメラ14の画像とが、ユーザの選択によって切り換えて表示されてもよく、並べて表示されてもよい。
【0030】
タッチパネル15は、例えば、映像を表示可能な液晶ディスプレイ等のディスプレイとタッチパッドとが組み合わされたタッチパネルモニターである。タッチパネル15は、例えば、ダッシュボードDBのセンターコンソールに配されている。タッチパネル15は、運転者から視認できかつ運転者の手が届く場所に配されていればよい。例えば、タッチパネル15は、ダッシュボードDB上に取り付けられていてもよい。
【0031】
タッチパネル15は、車載装置10の制御に基づいて画面表示を行うことが可能である。また、タッチパネル15は、ユーザから受け付けたタッチパネル15への入力操作を表す信号を車載装置10に送信することが可能である。例えば、タッチパネル15には、カーナビゲーションの案内表示がなされても良い。また、タッチパネル15を介して、目的地を設定する等、カーナビゲーション機能に関する操作が可能であってもよい。
【0032】
また、タッチパネル15には、ビデオ通信に関する情報が表示されてもよく、コンパニオン(通話相手)の提示をリクエストするための操作の受付画面やマッチングによって抽出された推奨コンパニオン(推奨通話相手)を提示する画面が表示されてもよい。例えば、自動車Mの乗員はタッチパネル15への入力操作によって、提示された複数の推奨コンパニオンの中からビデオ通信を行う相手を選択してもよい。
【0033】
スピーカ17は、例えば、AピラーAPの室内側に設けられている。スピーカ17は、車載装置10の制御に基づいて音楽や音声等の音を発することが可能である。ビデオ通信時において、スピーカ17からは、音声通話における外部装置30からの音声が発せられる。
【0034】
また、推奨コンパニオンの運転者への提示が音声によって行われる場合に、推奨コンパニオンを示す情報、例えば推奨コンパニオンの各々の名前及び簡単なプロフィールを読み上げた音声がスピーカ17から発せられる。また、推奨コンパニオンの提示の際に、事前に録音された推奨コンパニオン自身の声によるメッセージが発せられてもよい。
【0035】
マイク19は、車内の音を受音するマイク装置であり、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。マイク19は、車内の音を受音可能であれば、ルームミラーRMまたはハンドル等、どこに設けられていてもよい。ビデオ通信時において、マイク19に収音された音声が音声通話の音声として外部装置30に送信される。
【0036】
また、推奨コンパニオンの提示を求める操作入力や、提示された推奨コンパニオンの中からビデオ通信を行う相手を選択する操作入力が、マイク19を介して音声によって行われてもよい。
【0037】
なお、上記の推奨コンパニオンの選択等に関する音声による入力操作又はタッチパネル15を介した入力操作は、車載装置10を介して行われる場合に限られず、自動車Mの乗員が使用するスマートフォン等の端末を介して行われてもよい。
【0038】
図3は、車載装置10の構成を示すブロック図である。例えば、車載装置10は、システムバスを介して、記憶部23と、制御部25と、通信部27と、が協働する装置である。
【0039】
また、自動車Mには加速度センサ21が搭載されている。加速度センサ21は、自動車Mの加速度を測定可能であり、当該測定された加速度を示す信号を出力可能である。加速度センサ21は、自動車Mの上方から見て自動車Mの進行方向、すなわち前後方向の加速度を検出可能なセンサである。また、加速度センサは、例えば、自動車Mの進行方向と垂直な横方向(幅方向)の加速度を検出可能である。車載装置10は、例えば、GPS受信機11からのGPS信号に加えて、加速度センサ21のセンサ信号が示す加速度に基づいて、自動車Mの現在位置情報を取得してもよい。
【0040】
記憶部23は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成される記憶デバイスである。記憶部23は、オペレーティングシステムや、端末用のソフトウェア等の、車載装置10において実行される各種プログラムを記憶する。
【0041】
各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、記憶部23に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0042】
また、記憶部23は、道路地図を含む地図情報を記憶している。当該地図情報は、例えば、カーナビゲーションの案内表示に使用される。
【0043】
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、コンピュータとして機能する。制御部25は、CPUがROMや記憶部23に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。本実施例においては、制御部25によって、ビデオ通信時の音声通話及び動画配信機能、並びにカーナビゲーション機能等が発揮される。
【0044】
制御部25は、自動車Mに備えられている各種機器、すなわち、GPS受信機11、車外カメラ13、車内カメラ14、タッチパネル15、スピーカ17、マイク19、及び加速度センサ21と通信可能に接続されている。制御部25は、自動車Mに備えられている各種機器からデータを取得する。また、制御部25は、自動車Mに備えられている各種機器にデータを供給する。
【0045】
具体的には、制御部25は、GPS受信機11からのGPS信号を逐次取得する。また、制御部25は、加速度センサ21によって計測された加速度を示す信号を逐次取得する。制御部25は、例えば、GPS信号及び加速度センサからの信号に基づいて自動車Mの現在位置情報を取得する。
【0046】
制御部25は、車外カメラ13及び車内カメラ14によって撮像された映像を逐次取得する。制御部25は、タッチパネル15になされた入力操作を表す信号を取得する。また、制御部25は、タッチパネル15に表示する画像データを供給する。制御部25は、スピーカ17に音声データを供給する。また、制御部25は、マイク19によって収音された自動車Mにおける音声を逐次取得する。
【0047】
通信部27は、制御部25の指示に従って外部機器とのデータの送受信を行う通信装置である。通信部27は、例えば、ネットワークNWに接続するためのNIC(Network Interface Card)である。
【0048】
通信部27は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータをサーバ50との間で送受信する。また、通信部27は、サーバ50を介して種々のデータを外部装置30との間で送受信する。
【0049】
例えば、制御部25は、通信部27を介して、車載装置10のユーザである自動車Mの乗員によって入力された目的地を含む情報をサーバ50に送信し、サーバ50から、当該目的地への経路情報またはナビゲーション情報を受信可能である。
【0050】
制御部25は、ビデオ通信中、通信部27を介して、車外カメラ13又は車内カメラ14によって撮像された映像をサーバ50に逐次送信する。制御部25は、ビデオ通信中、通信部27を介して、外部装置30からサーバ50を介して音声データを受信し、マイク19によって収音された自動車M内の音声をサーバ50に逐次送信する。
【0051】
制御部25は、例えば、自動車Mの移動中、通信部27を介して、GPS信号及び加速度センサからの信号に基づいて取得した自動車Mの現在位置情報をサーバ50に逐次送信する。
【0052】
制御部25は、例えば、通信部27を介して、乗員によって入力されたビデオ通信に関する情報をサーバ50に送信する。例えば、制御部25は、タッチパネル15又はマイク19を介して乗員によって入力された、推奨コンパニオンの提示を求めることを示す情報や提示された中から選択された推奨コンパニオンを示す情報をサーバ50に送信する。
【0053】
制御部25は、例えば、通信部27を介して、マッチングによって抽出された推奨コンパニオンを提示するための画像を受信し、当該受信した画像をタッチパネル15に供給する。
【0054】
図4は、外部装置30の正面図である。上述のように、本実施例において、外部装置30はスマートフォンである。
【0055】
タッチパネル31は、例えば、映像を表示可能な液晶ディスプレイ等のディスプレイとタッチパッドとが組み合わされたタッチパネルモニターである。タッチパネル31は、ユーザから受け付けたタッチパネル31への入力操作を表す信号を生成することが可能である。
【0056】
本実施例において、タッチパネル31には、ビデオ通信中に車載装置10から配信された映像が表示される。外部装置30のユーザは、ビデオ通信中、タッチパネル31に表示された映像を見ながら自動車Mの運転者と通話をすることが可能である。
【0057】
また、タッチパネル31には、ビデオ通信に関する情報が表示される。例えば、タッチパネル31には、外部装置30のユーザが自動車Mの運転者の通話相手として選ばれたことを示す画面が表示される。外部装置30のユーザは、タッチパネル31への入力操作によって、ビデオ通信を開始することが可能である。
【0058】
スピーカ33は、音楽や音声等の音を発することが可能である。ビデオ通信時において、スピーカ33からは、音声通話における車載装置10からの音声が発せられる。
【0059】
マイク35は、外部装置30に向けて発せられた音を受音するマイク装置である。ビデオ通信時において、マイク35によって収音された音声が音声通話の音声としてサーバ50を介して車載装置10に送信される。
【0060】
図5は、外部装置30の構成の一例を示すブロック図である。例えば、外部装置30は、システムバス(図示せず)を介して、記憶部37と、制御部39と、通信部41と、が協働する装置である。
【0061】
記憶部37は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、オペレーティングシステムや、外部装置30用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0062】
なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、記憶部37に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0063】
制御部39は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPUがROMや記憶部37に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0064】
制御部39は、タッチパネル31、スピーカ33及びマイク35に通信可能に接続されている。制御部39は、タッチパネル31への入力操作を示す信号及びマイク35からの音声入力信号を受信することが可能である。例えば、制御部39は、タッチパネル31及びマイク35によってユーザからなされたビデオ通信の開始のための入力操作を受け付けることが可能である。
【0065】
また、制御部39は、タッチパネル31に映像または画像信号を送信して表示をさせたり、スピーカ33に音声信号を送信して、音を出力させたりすることが可能である。例えば、制御部39は、外部装置30のユーザが自動車Mの運転者の通話相手として選ばれたことを示す画面をタッチパネル31に表示させる。また、制御部39は、ビデオ通信中における映像をタッチパネル31に表示させ、自動車Mにおいて収音されたビデオ通信中における音声をスピーカ33に出力させる。
【0066】
通信部41は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータをサーバ50との間で送受信する。また、通信部41は、車載装置10から送信された音声や経路情報、外部装置30において取得された音声等の種々のデータを車載装置10との間でサーバ50を介して送受信する。
【0067】
図6は、サーバ50の構成を示すブロック図である。例えば、サーバ50はシステムバスを介して、記憶部51と、通信部53と、制御部55と、が協働している装置である。
【0068】
サーバ50は、上述のように、ビデオ通信中において、車載装置10から、車外カメラ13又は車内カメラ14によって撮影されて車載装置10によって取得された映像を逐次受信する。サーバ50は、ビデオ通信中、車載装置10から受信した映像を外部装置30に逐次送信する。
【0069】
また、サーバ50は、ビデオ通信中において、車載装置10と外部装置30との間の音声通話を確立し、当該音声通話のデータを転送するSIPサーバのような機能を有している。
【0070】
また、サーバ50は、車載装置10から自動車Mの現在位置情報及び自動車Mの乗員であるユーザが設定した目的地の情報を受信し、当該現在情報及び目的地の情報に基づいて当該目的地への経路を生成する機能を有する。
【0071】
さらに、サーバ50は、自動車Mの乗員と、乗員の通話相手の候補となる複数の外部装置30のユーザとのマッチングを行って、自動車Mの乗員の通話相手として推奨される推奨通話相手を抽出し、当該乗員への提示制御を行う機能を有する。
【0072】
記憶部51は、例えば、ハードディスク装置及びSSD(solid state drive)等により構成されており、オペレーティングシステムや、サーバ50用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0073】
各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、記憶部51に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0074】
記憶部51は、例えば、サーバ50が、車載装置10から受信した情報から自動車Mの乗員の現在の状況を取得するためのプログラムを記憶している。
【0075】
また、記憶部51は、サーバ50が、当該自動車Mの乗員の現在の状況に基づいて、当該乗員が通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定し、複数の外部装置30の各々のユーザを通話相手の候補となる複数の通話相手候補として、自動車Mの乗員に関する情報と、複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、乗員の現在の要求事項と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出し、推奨通話相手を乗員に対して提示させる提示制御を実行するための情報処理プログラムを記憶している。
【0076】
また、記憶部51は、自動車Mの乗員に関する情報及び通話相手候補の属性を含む通話相手情報を保持する登録情報保持部を有している。自動車Mの乗員に関する情報及び通話相手情報は、本実施例におけるマッチングの際に、自動車Mの乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出するために用いられる。
【0077】
図7は、乗員に関する情報(以下、単に乗員情報とも称する)の一例である乗員情報D1を示す図である。乗員情報は、例えば、予め登録されている情報と、移動中に更新される情報とを含む。例えば、予め登録されている情報は、乗員自身に関する情報と、乗員が通話相手に求めることを示す情報とを含む。
【0078】
乗員情報は、例えば、乗員を識別可能な乗員ID(識別子)及び車載装置10のID(識別子)に対応付けて記憶されている。乗員IDは、例えば通話時に通話相手が乗員の各々を識別可能な情報であればよく、例えばニックネームでもよい。車載装置10のIDは、例えばMACアドレスであり、サーバ50との通信の際の宛先となる。
【0079】
乗員情報D1においては、乗員自身に関する情報として、乗員の趣味及び嗜好が登録されており、通話相手に求めることとして、性別、年代、性格及び運転スキルが予め登録されている。
【0080】
乗員情報D1中、移動中の情報としては、車載装置10が搭載されている自動車Mの現在地、目的地及び同乗者の年齢が含まれている。例えば、車載装置10は、乗員情報の登録がなされると、電源が入っている間は自動車Mの現在位置をサーバ50に送信する。また、車載装置10は、車載装置10への入力操作によって自動車Mの目的地が設定されると当該目的地をサーバ50に送信し、同乗者の年齢が入力されると当該同乗者の年齢をサーバ50に送信する。例えば車載装置10に電源が投入されていない場合には、移動中の情報の欄は空欄となる。
【0081】
図8は、通話相手情報の一例である通話相手情報D2を示す図である。通話相手情報は、ビデオ通信による通話を希望する外部装置30のユーザによって予め登録される当該ユーザ自身に関する情報である。通話相手情報は、性別や年代等のユーザ自身の属性に関する情報を含んでいる。外部装置30のユーザは、通話相手情報を登録することで、通話相手候補となる。
【0082】
通話相手情報は、例えば、通話相手候補の各々を識別可能な候補者ID(識別子)及び外部装置30のID(識別子)に対応付けて記憶されている。候補者IDは、例えば推奨通話相手の提示の際や通話時に、乗員が通話相手候補の各々を識別可能な情報であればよく、例えばニックネームでもよい。外部装置30のIDは、例えばMACアドレスであり、サーバ50との通信の際の宛先となる。
【0083】
通話相手情報に含まれる項目の各々は、乗員に関する情報(乗員情報)に含まれる項目の各々に対応している。言い換えれば、乗員情報及び通話相手情報の各々は互いに対応する複数の対応項目を含んでいる。通話相手情報に含まれる項目と、これに対応する乗員情報に含まれる項目との対である対応項目が、乗員と通話相手候補の各々とのマッチングに用いられる。例えば、対応項目の一致度をみることによってマッチングが行われる。
【0084】
通話相手情報D2においては、通話相手情報として、通話相手候補である外部装置30のユーザ(以下、単に候補者とも称する)自身の趣味及び嗜好が登録されており、乗員情報の趣味及び嗜好に夫々対応している。また、通話相手情報D2において、候補者自身の性別、年代、性格及び運転スキルが登録されており、乗員情報の通話相手に求める性別、年代、性格、及び運転スキルに夫々対応している。
【0085】
例えば、通話相手候補の運転スキルは、例えば自己評価であってもよく、通話相手情報の登録時にアンケートを行うことによって、運転スキルが判定されてもよい。
【0086】
さらに、通話相手情報D2において、候補者の「土地勘のある地域」が登録されており、乗員情報の「目的地」及び「現在地」に対応している。これは、マッチングの際に、例えば目的地に関する情報提供や現在地付近の店舗の紹介をして欲しいといった乗員のニーズが推定される場合に、土地勘のある地域と乗員の目的地又は現在地との一致度又は共通度が高い候補者をマッチングさせるためである。
【0087】
以下の説明において、乗員情報の「目的地」と、通話相手情報の「土地勘のある地域」との対である対応項目の対応項目名を「目的地」として説明する。同様に、乗員情報の「現在地」と、通話相手情報の「土地勘のある地域」との対である対応項目の名称を対応項目名「現在地」として説明する。
【0088】
また、通話相手情報D2において、候補者が通話の際に「対応可能な年代」が登録されており、乗員情報における「同乗者の年齢」に対応している。これは、例えば、乗員が自動車Mに乗る際に同乗者が居る場合に、同乗者と話をして欲しいというニーズが推定される場合に、対応可能な年代が乗員の同乗者の年齢との一致度が高い候補者をマッチングさせるためである。以下の説明において、乗員情報の「同乗者の年齢」と、通話相手情報の「対応可能な年代」との対である対応項目の名称を対応項目名「対応可能年代」として説明する。
【0089】
なお、登録情報保持部には、通話相手情報に紐づけて、通話相手候補の各々が発話した簡単なプロフィール等の音声メッセージを録音した音声データが登録されていてもよい。当該音声メッセージは、例えば、推奨通話相手の抽出結果が提示される際に、車載装置10のスピーカ17から発せられる。
【0090】
また、記憶部51は、道路地図を含む地図情報を記憶している。当該地図情報は、サーバ50がカーナビゲーションのための経路を生成する際に使用される。また、当該地図情報は、サーバ50が自動車Mの現在位置に基づいて、自動車Mが移動中の道路の属性等の自動車Mの乗員の現在の状況を取得する際に使用される。
【0091】
通信部53は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータを車載装置10及び外部装置30との間で送受信する。
【0092】
制御部55は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPUが、ROMや記憶部51に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0093】
制御部55は、自動車Mの乗員の現在の状況を取得する現在状況取得部57としての処理を実行する。言い換えれば、制御部55は、機能部として現在状況取得部57を有する。
【0094】
自動車Mの乗員の現在の状況は、例えば、現在時刻、自動車Mの現在位置、自動車Mが現在移動中の道路の属性、自動車Mの目的地の属性、自動車Mの周囲の交通状況及び自動車Mの内部の状況の少なくとも1つに基づいて取得される。
【0095】
具体的には、例えば、現在状況取得部57は、現在時刻が夜間の時間帯に属する場合に、現在時刻が夜間であるという現在の状況を取得する。例えば、現在時刻が食事の時間帯に属する場合に、現在時刻が食事時間であるという現在の状況を取得する。
【0096】
現在状況取得部57は、例えば、自動車Mの移動開始時間から現在時刻までの連続移動時間が所定時間以上(例えば、2時間以上)である場合に、所定時間以上続けて運転しているという自動車Mの乗員の現在の状況を取得する。
【0097】
例えば、現在状況取得部57は、自動車Mの現在位置及び記憶部51に記憶された地図情報から、現在移動中の道路の属性を取得し、当該道路の属性から、乗員の現在の状況を取得する。例えば、現在移動中の道路の属性から、高速道路を移動中である、峠道を移動中であるといった現在の状況が取得される。
【0098】
例えば、現在状況取得部57は、自動車Mの目的地及び記憶部51に記憶された地図情報から、目的地の属性を取得する。例えば、目的地が観光地の属性から、目的地が観光地であるといった現在の状況が取得される。
【0099】
例えば、現在状況取得部57は、自動車Mの現在位置及びVICS(登録商標)(Vehicle Information Communication System)情報を取得し、これらの情報に基づいて、移動中の自動車Mの周囲の交通状況を自動車Mの乗員の現在の状況として取得する。例えば、周囲の交通状況から、現在地付近で渋滞しているといった現在の状況が取得される。
【0100】
例えば、現在状況取得部57は、車内カメラ14の映像及び自動車M内の音声に基づいて、自動車Mの内部の状況を自動車Mの乗員の現在の状況として取得する。例えば、自動車Mの内部の状況から、子供が泣いているといった現在の状況が取得される。
【0101】
なお、これらは一例に過ぎず、現在状況取得部57は、上記した例以外の情報を取得し、当該取得した情報に基づいて自動車Mの乗員の現在の状況を取得してもよい。
【0102】
制御部55は、現在状況取得部57によって取得された移動体としての自動車Mの乗員の現在の状況に基づいて、乗員が移動体外の通話相手との通話に求める要求事項を推定する要求推定ステップと、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、乗員の現在の状況と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、推奨通話相手を乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を含む推奨通話相手抽出部59としての処理を実行する。言い換えれば、制御部55は、機能部として推奨通話相手抽出部59を有する。
【0103】
図9は、現在状況取得部57によって取得された乗員の現在の状況に基づいて、推奨通話相手抽出部59が自動車Mの乗員の現在の要求事項(現在のニーズ)を推定する際に用いられる情報の一例であるニーズ推定テーブルTB1を示す図である。ニーズ推定テーブルTB1は、例えば記憶部51に記憶されている。
【0104】
ニーズ推定テーブルTB1において、具体的な乗員の現在の状況に、ニーズが対応付けられている。推奨通話相手抽出部59は、ニーズ推定テーブルTB1を参照して、乗員の現在の状況に基づいてニーズを推定する。
【0105】
ニーズ推定テーブルTB1に示すように、例えば、「現在時刻が夜間である」という現在の状況に対して、「眠気を覚ましたい」という乗員の現在のニーズが推定される。例えば、「現在時刻が食事時間帯である」という現在の状況に対して、「現在地の近くで何か食べたい」という乗員の現在のニーズが推定される。
【0106】
推奨通話相手抽出部59は、乗員の現在のニーズを推定する際に、テーブルTB1に従って推定する場合に限られず、例えば、乗員の現在の状況を示す情報を入力とし、乗員の現在のニーズを示す情報を出力とする学習済みモデルを用いて推定してもよい。
【0107】
推奨通話相手抽出部59は、自動車Mの乗員の現在の状況に基づいて、乗員が移動体外の通話相手との通話に求める要求事項を推定する要求推定部として機能する。
【0108】
推奨通話相手抽出部59は、乗員の現在のニーズを推定すると、推定した現在のニーズと、記憶部51の登録情報保持部が保持している乗員情報及び通話相手情報とに基づいて、乗員と、複数の通話相手候補の各々との適合度を算出する。
【0109】
上述したように、乗員情報及び通話相手情報の各々は、互いに対応する複数の対応項目を含んでいる。例えば、適合度の算出は、対応項目の各々の一致度に基づいて行われる。
【0110】
推奨通話相手抽出部59は、例えば、乗員情報及び通話相手情報の複数の対応項目のうち、乗員の現在のニーズに基づいて決まる1又は複数の対応項目を用いて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出する。
【0111】
例えば、推奨通話相手抽出部59は、複数の対応項目のうち、乗員の現在のニーズとの関わりが深い対応項目を用いて適合度を算出する。
【0112】
図10は、乗員と通話相手候補の各々とのマッチングに使用される対応項目の一例であるテーブルTB2を示す図である。上述したように、対応項目の各々は、乗員情報に含まれる項目と、通話相手情報に含まれる情報との対である。
【0113】
テーブルTB2に示す例においては、退屈で話し相手が欲しい(ID1)、又は眠気を覚ましたい(ID2)というニーズがある場合には、趣味、嗜好、性別、年代、性格の対応項目がマッチングに使用される。
【0114】
例えば、趣味や嗜好等の対応項目の一致度が高いことによって会話が円滑に進むことを前提として、「退屈で話し相手が欲しい」といったニーズと関わりの深い項目としてもよい。この場合、例えば、「運転スキル」は、趣味や嗜好等と比較してニーズとの関わりが薄い対応項目としてもよい。
【0115】
また、テーブルTB2に示す例においては、例えば、不安なので運転アドバイスが欲しい(ID3)というニーズがある場合には、運転スキルの対応項目がマッチングに使用される。
【0116】
例えば、通話相手が適切な運転アドバイスを行うためには通話相手の運転スキルが高いこと、例えば乗員が通話相手に求める運転スキル以上であることが重要であるとして、運転スキルをニーズとの関わりが深い対応項目としてもよい。この場合、例えば趣味や嗜好は運転スキルと比較してニーズとの関わりが薄い対応項目としてもよい。
【0117】
本実施において、例えば、テーブルTB2に例示したようなマッチングに使用する1または複数の対応項目の各々の一致度を算出し、一致度の合計を適合度として算出する。それによって、例えば、マッチングに使用される対応項目、例えば乗員の現在のニーズとの関わりが深い項目の一致度が高い候補者を、ニーズを満たし得る通話相手候補として抽出することができる。
【0118】
また、例えばテーブルTB2のニーズID4~6のように、ニーズが自動車Mの現在地又は目的地に関するものである場合には、乗員に関する情報に含まれる自動車Mの「現在地」又は「目的地」と、通話相手情報に含まれる「土地勘のある地域」との対がマッチングに使用される。具体的には、例えば、「現在地の近くで何か食べたい」というニーズを満たし得る通話相手は、自動車Mの現在地付近に土地勘のある通話相手であるとしてもよい。
【0119】
このような場合、通話相手情報に含まれる「土地勘のある地域」と、乗員に関する情報に含まれる自動車Mの現在地又は目的地との一致度を用いて適合度を算出する。土地勘のある地域と、自動車Mの現在地又は目的地との一致度は、例えば、現在地又は目的地が、土地勘のある地域に含まれるか否か、土地勘のある地域から所定距離内にあるか否かに基づいて判定されてもよい。言い換えれば、当該一致度は、土地勘のある地域と、自動車Mの現在地又は目的地との共通度である。
【0120】
また、推奨通話相手抽出部59は、例えば、乗員情報及び通話相手情報の複数の対応項目のうち、乗員の現在のニーズに基づいて対応項目毎に重み付けを行って、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出する。
【0121】
例えば、推奨通話相手抽出部59は、乗員の現在のニーズとの関わりが深い対応項目について重み付けを行って適合度を算出してもよい。具体的には、例えば、複数の対応項目の各々の一致度を算出し、乗員の現在のニーズとの関わりが深い1または複数の対応項目の一致度に、他の対応項目よりも大きい重みづけ係数を掛けることで重み付けを行う。重み付けがなされた一致度の合計を適合度として算出する。
【0122】
図11は、推奨通話相手抽出部59がニーズとの関わりが深い項目について重み付けを行って適合度を算出する際の、重み付け係数を定めたテーブルの一例であるテーブルTB3を示す図である。テーブルTB3は、例えば記憶部51に記憶されている。
【0123】
テーブルTB3において、8つの対応項目について、ニーズ毎の重み付け係数が定められている。例えば、推奨通話相手抽出部59は、テーブルTB3を参照して、乗員の現在のニーズに応じて対応項目毎に重み付けを行って、乗員と通話相手候補の各々との適合度を算出する。
【0124】
テーブルTB3に示すように、ニーズの内容によって異なる対応項目に、他の項目よりも大きい重みづけ係数が設定されている。
【0125】
テーブルTB3に示す例においては、ニーズとの関わりが小さいとされる対応項目については重みづけ係数が0.10に設定されており、ニーズとの関わりが深いとされる対応項目については、これよりも大きい重みづけ係数が設定されている。これによって、ニーズとの関わりが深い対応項目の一致度が高い候補者ほど、算出される適合度が高くなり、乗員の現在のニーズを反映したマッチングを行うことができる。
【0126】
また、テーブルTB3において、例えば、「現在地の近くで何か食べたい」というニーズについては、当該ニーズとの関わりが最も深いとされる対応項目である「現在位置」に最も大きい重み付け係数が設定されている。また、テーブルTB3において、ニーズとの関わりがあるが「現在位置」よりも小さいとされる嗜好及び性別、年代の対応項目についても重みづけがなされており、0.10よりも大きくかつ現在位置についての重み付け係数よりも小さい重み付け係数が設定されている。
【0127】
このように、乗員の現在のニーズとの関わりの深さに応じて強弱をつけて重み付け係数が設定されてもよい。それによって、より精度よく乗員の現在のニーズを反映したマッチングを行うことができる。
【0128】
なお、推奨通話相手抽出部59は、上記のマッチングにおいて、対応項目の一致度を用いて適合度を算出する例について説明したが、これに限られず、例えば、通話相手情報に含まれる項目のみによって決まる値を適合度の算出に用いてもよい。例えば、乗員の現在のニーズが運転スキルに関わる場合に、通話相手候補の運転スキルと、乗員が求める運転スキルとの一致度に代えて、通話相手候補の運転スキル自体を示す数値を適合度の算出に用いてもよい。その場合にも、乗員の現在のニーズを反映したマッチングを行うことができる。
【0129】
推奨通話相手抽出部59は、乗員と通話相手候補の各々との適合度を算出すると、例えば適合度の高い順に所定人数の推奨通話相手を抽出する。
【0130】
このように、推奨通話相手抽出部59は、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、乗員の現在の状況と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部として機能する。
【0131】
推奨通話相手抽出部59は、推奨通話相手を抽出すると、抽出された通話相手候補を乗員に対して提示する制御を行う。推奨通話相手抽出部59は、例えば、音声によって推奨通話相手の名前及び簡単なプロフィール等の情報を読み上げた音声データを生成して外部装置30に送信する。また、推奨通話相手抽出部59は、例えば、推奨通話相手の名前及び簡単なプロフィール等の情報を表示する画像を生成して外部装置30に送信する。
【0132】
推奨通話相手抽出部59は、推奨通話相手を乗員に対して提示させる提示制御部として機能する。
【0133】
例えば、推奨通話相手抽出部59は、乗員からの推奨通話相手の提示を求める要求(リクエスト)があったタイミングにおける乗員の現在のニーズを推定し、当該現在のニーズを用いて上述したマッチングを行って、推奨通話相手を抽出し、推奨通話相手を乗員に提示させる。
【0134】
また、例えば、推奨通話相手抽出部59は、乗員からのリクエスト無しに、自動的に、自動車Mの移動中に乗員の現在の状況に基づいたタイミングにおける乗員の現在のニーズを推定し、当該現在のニーズを用いて上述したマッチングを行って、推奨通話相手を抽出し、推奨通話相手を乗員に提示させてもよい。例えば、乗員の現在の状況が所定の条件を満たしている時点における乗員のニーズを推定する。例えば、現在時刻が所定の時間帯に含まれる場合に乗員のニーズを推定し、例えば現在時刻が食事時間帯に含まれる場合に、「現在地の近くで何か食べたい」というニーズを推定する。言い換えれば、推奨通話相手抽出部59は、乗員の現在の状況に基づいて、乗員のニーズの発生を検出して当該乗員のニーズの内容を推定する。
【0135】
また、乗員からのリクエストが無くても自動的に推奨通話相手を提示するか否かを、乗員による入力操作によって選択可能であってもよい。
【0136】
図12は、本実施例の情報処理システム100において複数の通話相手候補の中から推奨通話相手が抽出される際に実行されるシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【0137】
まず、外部装置30において、タッチパネル15を介して、外部装置30のユーザである通話相手候補による、ビデオ通信用のアプリケーション内の待機中ルームへの入室を示す入力操作(入室操作)が受け付けられる(ステップS11)。本実施例において、通話相手候補の待機中ルームへの入室は、乗員とのマッチングが成立した場合に、当該通話相手候補がすぐに通話を開始できる状態であることを示す。
【0138】
入室操作が受け付けられると、通話相手候補の入室を示す入室情報がサーバ50に送信される(ステップS12)。それによって、サーバ50において、通話相手候補が待機中に設定される(ステップS13)。ステップS11~ステップS13において、複数の通話相手候補からの入室操作が受け付けられ、入室情報がサーバ50に送信されて、複数の通話相手候補が待機中に設定される。本シーケンスでは、上記のようにして常に複数の通話相手候補が入室していることを前提とする。
【0139】
上記のように、複数の通話相手候補が入室している状況で、車載装置10において、車載装置10のユーザである自動車Mの乗員による推奨通話相手の提示のリクエストを示す入力操作が受け付けられる(ステップS14)。当該入力操作が受け付けられると、当該乗員によるリクエストを示すリクエスト情報がサーバ50に送信される(ステップS15)。
【0140】
その後、サーバ50は、上述のような、乗員と複数の通話相手候補の各々とのマッチングを行って、推奨通話相手を抽出し(ステップS16)、抽出した推奨通話相手を音声又は画像によって乗員に提示させるための提示情報を車載装置10に送信する(ステップS17)。
【0141】
車載装置10は、サーバ50から受信した情報に基づいて、推奨通話相手を乗員に提示する(ステップS18)。ステップS18において、例えば、「3人紹介します。1番、C1さん・・・」といった推奨通話相手を紹介する音声に加えて、「私はラーメン屋に詳しいです」などの本人の声を録音したメッセージがスピーカ17から発せられる。また、「何番にしますか」といった推奨通話相手の選択を促す音声が車載装置10のスピーカ17から発せられる。
【0142】
その後、乗員による車載装置10への、推奨通話相手の中から実際に通話する相手を選択する入力が受け付けられ(ステップS19)、選択された推奨通話相手を示す選択情報がサーバ50に送信される(ステップS20)。
【0143】
サーバ50は、選択情報を受信すると、当該選択情報が示す推奨通話相手の外部装置30に、ビデオ通信を開始するためのURLを送信する(ステップS21)。当該推奨通話相手がURLをタップして外部装置30が当該URLにアクセスすると(ステップS22)、サーバ50は、車載装置10と外部装置30との間の音声通話を確立させつつ、自動車Mにおいて撮影された映像を車載装置10から外部装置30に配信させるビデオ通信を開始する(ステップS23)。
【0144】
このようにして、車載装置10と外部装置30とが、サーバ50を介してビデオ通信を開始する。乗員は、マッチングによって抽出された推奨通話相手の中から選択した通話相手との通話を開始することができる。
【0145】
[マッチングの制御ルーチン]
以下、サーバ50が推奨通話相手を抽出する際に実行する制御ルーチンの例について説明する。一例として、サーバ50の制御部55は、車載装置10に電源が投入されると、現在状況取得部57に現在状況の取得を開始させることとする。
【0146】
[リクエストに応じて推奨通話相手を提示するルーチン]
図13は、制御部55の推奨通話相手抽出部59が乗員からのリクエストに応じて推奨通話相手を抽出して提示させる際に実行する制御ルーチンの一例である抽出ルーチンRT1を示すフローチャートである。
【0147】
制御部55は、例えばサーバ50に電源が投入されると、推奨通話相手抽出部59に抽出ルーチンRT1を繰り返し実行させる。
【0148】
推奨通話相手抽出部59は、抽出ルーチンRT1を開始すると、車載装置10から、推奨通話相手の抽出のリクエストが到来したか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、例えば、制御部55が通信部53を介して、乗員が推奨通話相手の提示を要求することを示すリクエスト情報を受信した場合に、リクエストが到来したと判定する。例えば、乗員は、タッチパネル15の操作により、又はマイク19を介して「コンパニオンを探して」等のフレーズを入力することによって推奨通話相手の提示を要求する。
【0149】
ステップS101において、推奨通話相手抽出部59は、リクエストが到来していないと判定する(ステップS101:NO)と、抽出ルーチンRT1を終了する。
【0150】
ステップS101において、推奨通話相手抽出部59は、リクエストが到来したと判定する(ステップS101:YES)と、当該リクエストを行った乗員の現在の状況を現在状況取得部57から取得する(ステップS102)。ステップS102において、推奨通話相手抽出部59は、上述したように、現在状況取得部57が現在時刻や車載装置10から受信した自動車Mの現在位置情報等に基づいて取得した乗員の現在の状況を示す情報を受信する。
【0151】
ステップS102の実行後、推奨通話相手抽出部59は、乗員の現在の状況に基づいて、乗員の現在のニーズを推定する(ステップS103)。ステップS103において、例えば、図9に例示したようなニーズが推定される。具体的には、例えば、現在時刻が食事時間帯であるという状況に基づいて、「現在地の近くで何か食べたい」といったニーズが推定される。
【0152】
ステップS103において、推奨通話相手抽出部59は、移動体としての自動車Mの乗員の現在の状況に基づいて、乗員が移動体外の通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定部として機能する。
【0153】
ステップS103の実行後、推奨通話相手抽出部59は、待機中の通話相手候補が居るか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104において、推奨通話相手抽出部59は、例えば上述したような待機中ルームに入室している外部装置30のユーザが存在するが否かを判定する。
【0154】
ステップS104において、推奨通話相手抽出部59は、待機中の通話相手候補がいないと判定する(ステップS104:NO)と、抽出ルーチンRT1を終了する。
【0155】
ステップS104において、推奨通話相手抽出部59は、待機中の通話相手候補がいると判定する(ステップS104:YES)と、乗員と通話相手候補の各々との適合度を算出する(ステップS105)。ステップS105において、記憶部51の乗員に関する情報(乗員情報)と、通話相手候補の各々の属性を含む通話相手情報と、ステップS103において推定された乗員の現在のニーズとに基づいて、乗員と通話相手候補の各々との適合度が算出される。
【0156】
ステップS105において、推奨通話相手抽出部59は、例えば、乗員の現在のニーズに基づいて決まる対応項目を用いて適合度を算出する。ステップS105において、例えば、上述したように、乗員の現在のニーズと関わりの深い1又は複数の対応項目の各々の一致度を算出し、例えば1又は複数の一致度の合計を適合度として算出する。
【0157】
ステップS105において、推奨通話相手抽出部59は、例えば、乗員の現在のニーズに基づいて対応項目毎に重み付けを行って適合度を算出する。ステップS105において、例えば、上述したように、複数の対応項目の一致度を算出し、当該複数の対応項目のうち、乗員の現在のニーズと関わりの深い1又は複数の対応項目の一致度に、他の項目よりも大きい重み付け係数を掛けることで重み付けを行う。
【0158】
ステップS105の実行後、推奨通話相手抽出部59は、適合度を算出した通話相手候補の中から、推奨通話相手を抽出する(ステップS106)。ステップS106において、例えば、ステップS105で算出された適合度の高い順に所定数(例えば、3人)の通話相手候補が抽出される。
【0159】
ステップS105及びステップS106において、推奨通話相手抽出部59は、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、乗員の現在の状況と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部として機能する。
【0160】
ステップS106の実行後、推奨通話相手抽出部59は、抽出結果を提示させる提示制御情報を車載装置10に送信する(ステップS107)。ステップS107において、推奨通話相手抽出部59は、ステップS106において抽出された推奨通話相手を提示する音声又は画像を車載装置10に送信する。
【0161】
例えば、ステップS107において送信される音声には、推奨通話相手本人の声を録音したメッセージが含まれる。例えば、図14に示すような提示画面が車載装置10のタッチパネル15に表示される。例えば、提示画面には、音声によって提示される情報に加えて、推奨通話相手に関するより詳細な情報が含まれていてもよい。なお、ステップS107において、車載装置10に加えて、乗員が携帯するスマートフォン(図示せず)にも提示制御情報が送信されてもよい。
【0162】
なお、ステップS104において、待機中の通話相手候補がいないと判定された場合(ステップS104:NO)、ステップS107において、推奨通話相手の提示ができないことを示す提示制御情報が送信されてもよい。
【0163】
ステップS107の実行後、推奨通話相手抽出部59は、抽出ルーチンRT1を終了する。なお、抽出ルーチンRT1のステップS104は、例えば、ステップS102の前に実行されてもよい。
【0164】
抽出ルーチンRT1によって、乗員からの推奨通話相手の提示を求める要求があったタイミングにおける乗員の現在の要求事項を推定することができ、当該推定した現在の要求事項に基づいたマッチングを行うことができる。
【0165】
例えば、抽出ルーチンRT1によって、自動車Mの移動中に乗員が急遽ガイドや話し相手の役割をする通話相手としてのコンパニオンが必要になった場合に、車載装置10を介してリクエストを行うことによって、推奨通話相手がプロフィールとともに提示される。例えば、乗員は、提示された推奨通話相手のプロフィールを参考にして、複数の推奨通話相手の中から選択した相手との間で、ビデオ通信によって通話を行うことができる。
【0166】
例えば、自動車Mが事前に目的地や経路を定めた移動計画に沿って移動する場合であっても、移動中に急遽コンパニオンが必要になった場合に、抽出ルーチンRT1によって推奨通話相手を提示させることができる。
【0167】
なお、例えば、抽出ルーチンRT1によって推奨通話相手を提示させる際に、推奨通話相手抽出部59が推定したニーズの内容を併せて提示し、コンパニオンの抽出に用いたニーズが適切であるか否かの確認を行ってもよい。例えば、乗員によるニーズの修正を受け付けて、再度コンパニオンの抽出を行ってもよい。
【0168】
また、乗員がリクエストを行う際に、発話等によって乗員の現在のニーズを車載装置10に入力することでニーズを自己申告した場合には、当該乗員が入力したニーズに基づいて、上記の適合度を算出してコンパニオンの抽出を行ってもよい。
【0169】
[自動的に推奨通話相手を提示するルーチン]
図15は、推奨通話相手抽出部59が、乗員からのリクエスト無しに、自動的に推奨通話相手を抽出して提示させる際に実行する制御ルーチンの一例である抽出ルーチンRT2を示すフローチャートである。
【0170】
抽出ルーチンRT2は、ステップS101及びステップS102の代わりにステップS201を含む点で抽出ルーチンRT1と異なり、その他のステップについては同様に進行する。具体的には、抽出ルーチンRT2のステップS202~S206は、抽出ルーチンRT1のステップS103~S107と同様に進行する。
【0171】
制御部55は、例えばサーバ50に電源が投入されると、推奨通話相手抽出部59に抽出ルーチンRT2を繰り返し実行させる。制御部55は、例えば、自動的に推奨通話相手を提示させる機能が乗員の入力操作によって有効になっている場合に、抽出ルーチンRT2を実行させる。
【0172】
推奨通話相手抽出部59は、抽出ルーチンRT2を開始すると、現在状況取得部57によって取得された自動車Mの乗員の現在の状況が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201において、例えば、乗員が通話相手に求めるニーズが生じている状況、言い換えれば、通話相手が必要な状況であるか否かが判定される。具体的には、例えば、図9に例示したように、現在時刻が所定の時間帯に含まれる、連続移動時間が所定時間以上である、自動車Mが移動中の道路が所定の種別の道路である等の場合に、所定の条件を満たすと判定される。
【0173】
ステップS201において、推奨通話相手抽出部59は、現在の状況が所定の条件を満たさないと判定する(ステップS201:NO)と、抽出ルーチンRT2を終了する。
【0174】
ステップS201において、推奨通話相手抽出部59は、現在の状況が所定の条件を満たすと判定する(ステップS201:YES)と、乗員の現在の状況に基づいて、乗員の現在のニーズを推定する(ステップS202)。ステップS202において、例えば、ステップS103の場合と同様に、図9に例示したような、「現在時刻が食事時間である」という乗員の現在の状況に基づく「現在地の近くで何か食べたい」等のニーズが推定される。
【0175】
ステップS202において、推奨通話相手抽出部59は、乗員の現在の状況に基づいて乗員が通話相手との通話に求める現在の要求事項を推定する要求推定部として機能する。
【0176】
言い換えれば、ステップS201及びステップS202において、推奨通話相手抽出部59は、乗員のニーズの発生を検出してニーズを推定する。
【0177】
その後、推奨通話相手抽出部59は、抽出ルーチンRT1と同様に、待機中の通話相手候補が居る場合に(ステップS203:YES)、ステップS202において推定した乗員の現在のニーズを用いて、乗員と通話相手候補の各々との適合度を算出し(ステップS204)、推奨通話相手を抽出する(ステップS205)。その後、推奨通話相手の抽出結果を提示させる提示制御情報が車載装置10に送信される(ステップS206)。
【0178】
抽出ルーチンRT2によって、乗員からのリクエスト無しに、自動車Mの移動中に乗員の現在の状況に基づいたタイミングにおける現在のニーズを推定し、当該推定した現在の要求事項に基づいたマッチングを行うことができる。
【0179】
例えば、抽出ルーチンRT2によって、自動車Mの移動中に乗員の状況が通話相手としてのコンパニオンが必要な状況になった場合に、自動的に、推奨通話相手がプロフィールとともに提示される。
【0180】
例えば、自動車Mが事前に目的地や経路を定めた移動計画に沿って移動する場合であっても、移動中に急遽コンパニオンが必要な状況になった場合に、抽出ルーチンRT2によって自動的に、推奨通話相手を提示させることができる。
【0181】
さらに、推奨通話相手抽出部59は、自動車Mが移動計画に沿って移動する場合に、移動計画に基づいて、移動計画中の複数の場面を特定し、自動車Mの移動中の場面毎に、乗員の現在の要求事項を推定してもよい。例えば、当該場面としては、移動計画に含まれる経路中又は移動予定期間中の場面であって、通話相手との通話によって満たし得るようなニーズが発生すると推定される場面が特定される。
【0182】
推奨通話相手抽出部59は、例えば、現在の要求事項が推定される毎に、場面毎の推奨通話相手を抽出し、当該場面毎の推奨通話相手を乗員に対して提示させてもよい。
【0183】
そのようにすることで、例えば、事前の移動計画がある場合でも、事前にコンパニオンの予約をしておく必要がなく、必要な場面になった時点で通話が可能な待機中の通話相手候補とのマッチングが可能である。従って、予定が変更になったり、渋滞によって遅延したりした場合でも、例えば予約していたコンパニオンとの予定の再調整は不要である。
【0184】
以上、説明したように、本発明の情報処理装置は、移動体としての自動車Mの乗員の現在の状況に基づいて、乗員が移動体外の通話相手との通話に求める要求事項を推定する要求推定部と、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、乗員の現在の状況と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、推奨通話相手を乗員に対して提示させる提示制御部と、を有する。
【0185】
上述したように、移動体の乗員の現在の状況は、移動体の移動や時間の経過とともに刻々と変化する。当該現在の状況が変化すると、乗員が通話相手との通話に求める要求事項も刻々と変化する。
【0186】
本発明では、要求推定部が、移動体の乗員の現在の状況に基づいて、当該乗員の現在の要求事項を推定するので、推定される現在の要求事項には現在の状況が反映される。また、抽出部は、当該推定された現在の要求事項と、乗員に関する情報と、通話相手情報と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出する。従って、算出される適合度には、乗員の現在の要求事項が反映される。
【0187】
よって、乗員の現在の要求事項を満たし得る通話相手の抽出、言い換えれば、移動体の乗員の現在のニーズを満たし得る通話相手とのマッチングを実現することができる。
【0188】
従って、本発明によれば、移動体の乗員と当該乗員に適した移動体外の通話相手とをマッチングすることを可能とする情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体を提供することができる。
【0189】
なお、本実施例によれば、例えば、乗員がリクエストする毎に、又は乗員の現在のニーズが検出される毎に推奨通話相手を抽出して提示することができ、例えば現実のガイドや現実の同乗者よりも臨機応変に交代することもできる。
【0190】
上述した実施例及び変形例における車載装置10、サーバ50及び外部装置30の構成、ルーチン等は、例示に過ぎず、用途等に応じて、適宜選択または変更することができる。
【0191】
例えば、上記の実施例においては、サーバ50が現在状況取得部及び推奨通話相手抽出部を有する構成について説明したが、これに限られない。例えば、現在状況取得部を車載装置10が有していて、取得した現在の状況を示す情報をサーバに送信してもよい。
【0192】
また、推奨通話相手抽出部の一部の機能を車載装置10が有していてもよい。例えば、乗員の現在の状況に基づく現在のニーズの推定を車載装置10が実行し、乗員の現在のニーズを示す情報をサーバ50に送信してもよい。
【0193】
上記の実施例においてサーバ50の登録情報保持部に予め乗員情報や通話相手情報が登録されることについて説明したが、これに限られない。例えば、登録情報保持部に予め登録される情報は、サーバ50とは別の外部のサーバに記憶されていてもよい。
【0194】
上記の実施例においては、情報処理システム100においてビデオ通信を行う例について説明したが、これに限られない。本発明は、情報処理システム100において、外部装置30と車載装置10との間で音声通話のみ行う場合に適用可能である。つまり、本発明は、車載装置10から映像が配信されない態様での通信にも適用可能である。
【0195】
また、上記の実施例においては、車載装置10と外部装置30とがサーバ50を介してビデオ通信を行うこととしたが、推奨通話相手の提示後のビデオ通信は車載装置10と外部装置30との間で直接なされてもよい。
【0196】
また、ビデオ通信の際に、車載装置10から外部装置30に上記映像配信が行われつつ、情報処理システム100とは別の経路で並行して車載装置10と外部装置30との間の音声通話が確立されていても良い。
【0197】
上記の実施例において、自動車Mの乗員として主に運転者が通話相手候補とマッチングされる例について説明したが、助手席や後部座席に乗っている乗員が通話相手候補とマッチングされてもよい。
【0198】
上記実施例において、自動車Mの前方及び内部を撮影した映像が配信される例について説明したが、これに限られない。例えば、自動車Mには、自動車Mの側方又は後方を撮影するカメラ、又は360度カメラが備えられていてもよく、これらのカメラによって撮影された映像がビデオ通信時に配信されてもよい。
【0199】
上記実施例において、車載装置10及び車載装置60は、車載ナビゲーション装置であるとしたが、車載装置10又は車載装置60は、ナビゲーション機能を有していなくともよい。その場合、例えば、自動車Mの目的地がサーバ50に送信されないが、サーバ50において、自動車Mの目的地以外の情報を用いて取得可能な乗員の現在の状況が取得される。
【0200】
例えば、車載装置10は、車載装置10と同様の構成を有する端末装置と車外カメラ13とタッチパネル15とが一体化された構成であってもよい。具体的には、例えば、車載装置10は、上記車載装置10と同様の機能を発揮するアプリケーションを搭載したカメラ付きのスマートフォン、タブレットまたはPC等の端末装置であってもよい。この場合、車載装置10は、内蔵カメラが自動車Mのフロントガラスを通して自動車Mの前方を撮影可能なように、例えばクレードル等でダッシュボードDB上に取り付けられ得る。
【0201】
また、車載装置10は、自動車Mの乗員に提示する画面を表示しない構成であってもよい。例えば、車載装置10は、ドライブレコーダのような構成を有していてもよく、例えば、車外カメラ13と一体となった装置であってもよい。具体的には、車載装置10は、例えば、車外カメラ13の筐体内に上記した車載装置10のビデオ通信機能を果たすハードウェアを内蔵したような装置であってもよい。この場合、車載装置10は、上記において説明したような種々の表示出力を行わないこととしてもよい。
【0202】
上記の実施例において、外部装置30はスマートフォンである場合について説明したが、これに限られない。外部装置30は、仮想同乗者となる通話相手候補がビデオ通信に利用できる端末装置であって、ビデオ通信に関する表示又はメッセージの提示、ビデオ通信を行うために必要な操作入力の受付、音声データの送受信並びに映像の受信及び表示が可能に構成されていればよい。例えば、外部装置30は、タブレット、PC、ウェアラブル端末等の端末装置であってもよい。
【0203】
上記の実施例においては、車載装置10が自動車Mに搭載される例を説明したが、車載装置10は、自転車、バイク、船舶等他の移動体に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0204】
10 車載装置
13 車外カメラ
14 車内カメラ
15 タッチパネル
17 スピーカ
19 マイク
21 加速度センサ
23 記憶部
25 制御部
27 通信部
30 外部装置
31 タッチパネル
33 スピーカ
35 マイク
37 記憶部
39 制御部
41 通信部
50 サーバ
51 記憶部
53 通信部
55 制御部
57 現在状況取得部
59 推奨通話相手抽出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15