(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104623
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20240729BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A01D41/12 B
A01F12/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008944
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】李 昇圭
【テーマコード(参考)】
2B074
2B396
【Fターム(参考)】
2B074AA01
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA04
2B074BA05
2B074BA10
2B074EC01
2B074ED03
2B396JA04
2B396JC07
2B396LR02
2B396LR13
2B396PC01
2B396PC02
2B396PC06
2B396PC13
(57)【要約】
【課題】機体の各種状態の報知に用いられる表示を行うための状態表示装置を備えた構成において、機体の外部から目視しやすい位置に状態表示装置を配置することができるとともに、状態表示装置を強固に支持することができるコンバインを提供する。
【解決手段】穀稈を刈り取る刈取部と、刈取部により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、脱穀部から取り出された穀粒を貯留する穀粒タンクと、穀粒タンク内の穀粒を排出する排出オーガ9と、を備えたコンバインであって、コンバインの機体の各種状態の報知に用いられる表示を行う積層灯150を備え、積層灯150は、排出オーガ9を収納状態とするオーガレスト27に支持された状態で設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部から取り出された穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンク内の穀粒を排出する排出オーガと、を備えたコンバインであって、
コンバインの機体の各種状態の報知に用いられる表示を行う状態表示装置を備え、
前記状態表示装置は、前記排出オーガを収納状態とするオーガレストに支持された状態で設けられている
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記状態表示装置は、上下方向について、収納状態の前記排出オーガの下方に位置するように設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記オーガレストは、前記排出オーガの支持位置を変化させるように高さ調節可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記状態表示装置は、上下方向について、収納状態の前記排出オーガの上方に位置している
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動走行をしながら作業を行う構成において、機体の各種状態の報知に用いられる表示を行う状態表示装置を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機等の受信装置により受信した位置情報に基づいて自動走行をしながら作業を行うコンバインにおいて、機体の各種状態の報知に用いられる表示を行う状態表示装置を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。状態表示装置は、機体の外部から目視される位置に設けられ、機体外部の者に対する報知に用いられる。
【0003】
特許文献1には、GPS位置情報に基づく所定の走行経路に沿った自動走行が可能なコンバインにおいて、状態表示装置として、GPS衛星から送信される電波の受信状態によって表示内容を切り換える表示ランプを備えた構成が開示されている。表示ランプの表示内容により、機体外部の者に対して電波の受信状態が報知される。特許文献1に開示された構成において、表示ランプは、運転部を覆うキャビンの上部に立設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンバインにおける状態表示装置については、機体の外部から目視しやすいことと、作業中に脱落しないようにしっかりと支持されることが要求される。この点、特許文献1には、表示ランプの配置位置や支持構造について具体的な内容は記載されていない。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、機体の各種状態の報知に用いられる表示を行うための状態表示装置を備えた構成において、機体の外部から目視しやすい位置に状態表示装置を配置することができるとともに、状態表示装置を強固に支持することができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンバインは、穀稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部から取り出された穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンク内の穀粒を排出する排出オーガと、を備えたコンバインであって、コンバインの機体の各種状態の報知に用いられる表示を行う状態表示装置を備え、前記状態表示装置は、前記排出オーガを収納状態とするオーガレストに支持された状態で設けられているものである。
【0008】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記状態表示装置は、上下方向について、収納状態の前記排出オーガの下方に位置するように設けられているものである。
【0009】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記オーガレストは、前記排出オーガの支持位置を変化させるように高さ調節可能に設けられているものである。
【0010】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記状態表示装置は、上下方向について、収納状態の前記排出オーガの上方に位置しているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機体の各種状態の報知に用いられる表示を行うための状態表示装置を、機体の外部から目視しやすい位置に配置することができるとともに強固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコンバインの左側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るコンバインの右側面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るコンバインの平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るキャビンおよび積層灯の支持構成を示す左側面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るキャビンおよび積層灯の支持構成を示す右側面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るキャビンおよび積層灯の支持構成を示す正面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るキャビンおよび積層灯の支持構成を示す平面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るアンテナユニットおよびその支持構成を示す左側面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す左前方斜視図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す正面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す左側面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す左後方斜視図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す右側面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す正面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す右前方斜視図である。
【
図17】本発明の第1実施形態に係る積層灯の支持構成を示す平面断面図である。
【
図18】本発明の第1実施形態に係る手摺部の取付構造を示す正面図である。
【
図19】本発明の第2実施形態に係る積層灯の配置および支持構成を示す右側面図である。
【
図20】本発明の第2実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す右側面図である。
【
図21】本発明の第2実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す正面図である。
【
図22】本発明の第2実施形態に係る積層灯の支持構成を示す平面図である。
【
図23】本発明の第2実施形態に係る積層灯の支持構成を示す後方斜視図である。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る積層灯およびその支持構成を示す背面図である。
【
図25】本発明の第3実施形態に係る積層灯の配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。まず、
図1から
図3を用いて、本実施形態に係るコンバイン1の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、コンバイン1の前方(
図1における左方)に向かって左側および右側を、それぞれコンバイン1における左側および右側とする。
【0014】
図1から
図3に示すように、コンバイン1は、左右一対のクローラ部3,3を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部2と、走行部2により支持された走行機体4とを備える。コンバイン1は、穀稈を刈り取る刈取部5と、刈取部5により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部6と、脱穀部6から取り出された穀粒を貯留する穀粒貯留部としての穀粒タンク7と、穀粒タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置としての排出オーガ9とを備える。コンバイン1は、走行機体4上に搭載された駆動源としてのエンジン11を備える。また、コンバイン1は、運転部12を覆うキャビン30を備えている。
【0015】
走行部2を構成する各クローラ部3は、走行機体4の下方において前後方向に延設されたトラックフレーム3aと、トラックフレーム3aに支持された駆動スプロケット3c等の各種回転体と、これらの回転体に巻回された履帯3bとを有する。クローラ部3は、駆動スプロケット3cにおいて、エンジン11の動力の伝達を受けて駆動する。
【0016】
刈取部5は、圃場の稲、麦等の穀稈を刈り取りながら取り込むための装置構成であり、走行機体4の前部に設けられている。刈取部5は、走行機体4の前側において、コンバイン1の機体幅の略全体にわたって設けられている。刈取部5は、走行機体4に対して、昇降用の油圧シリンダを介して所定の軸回りに回動可能に装着されており、油圧シリンダの伸縮動作による回動動作によって昇降調節可能に設けられている。
【0017】
刈取部5は、刈取フレームとしての刈取支持機枠5aを有し、この刈取支持機枠5aに、分草体5b、引起装置5c、刈刃装置5e、および穀稈搬送装置5fを支持させて構成されている。刈取部5は、分草体5bにより圃場の穀稈を分草し、分草した穀稈を引起装置5cにより引き起し、引き起した穀稈を穀稈搬送装置5fにより後側へ搬送しつつ刈刃装置5eにより切断して刈り取る。刈取部5は、刈り取った穀稈を脱穀部6に搬送する。刈取部5を構成する各装置は、エンジン11から伝達される動力により作動する。
【0018】
走行機体4上には、脱穀部6と穀粒タンク7が横並び状に設けられている。脱穀部6は機体左側に、穀粒タンク7は機体右側にそれぞれ配置されている。コンバイン1は、走行部2により走行しながら刈取部5による穀稈の刈取りや脱穀部6による脱穀等を行う。
【0019】
脱穀部6は、前後方向を回転軸方向とする扱胴6aと、扱胴6aの左方に設けられた穀稈供給装置とを有する。穀稈供給装置は、刈取部5により刈り取られた穀稈の株元を挟持して穂先を扱胴6a側とした横臥姿勢で穀稈を後方へ搬送する。穀稈供給装置は、左右方向を回転軸方向とする複数のスプロケットに巻回されたフィードチェンと、フィードチェンと協働して穀稈の株元を挟扼する穀稈供給挟扼体とを有する。
【0020】
走行機体4上における脱穀部6の下方には、脱穀部6により脱穀処理された処理物を選別処理する選別部8が設けられている。選別部8は、揺動選別装置8aと、風選別装置および穀粒搬送装置とを有する。選別部8は、脱穀部6から落下してきた処理物を揺動選別装置8aにより揺動選別し、揺動選別後の処理物を風選別装置により風選別する。選別部8は、風選別後の処理物のうち、穀粒を穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて右方へ搬送し、藁屑や塵埃などを風選別装置により後方へ飛ばして機体の外部に排出する。穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて搬送された穀粒は、穀粒タンク7に貯留される。
【0021】
走行機体4上には、排出オーガ9が設けられている。排出オーガ9は、走行機体4の右後側に設けられた縦取出しコンベア9bを介して走行機体4に対して旋回可能に設けられている。排出オーガ9は、スクリューコンベアを内装した円筒状のオーガ本体部9aと、オーガ本体部9aの先端側に設けられ排出オーガ9の先端部をなす排出口9cを有する。また、排出オーガ9は、その基部を中心として上下昇降回動可能に設けられている。
【0022】
排出オーガ9は、走行機体4の右後側の縦取出しコンベア9bから左前方に水平状に延伸した状態を収納状態としている。排出オーガ9は、収納状態において、平面視で、先端部を刈取部5の左側の部分に位置させ、機体の対角線に沿うように延伸している(
図3参照)。排出オーガ9は、オーガ受け部としてのオーガレスト27に載置支持されることで収納状態となる。
【0023】
穀粒タンク7に貯留されている穀粒は、排出オーガ9内のスクリューコンベアにより搬送され、排出口9cから排出される。排出口9cから排出された穀粒は、トラックの荷台やコンテナ等に投入される。排出オーガ9は、穀粒の排出作業の際、収納状態から機体の左右方向または上下方向に回動することで、排出口9cを機体の外側に移動させる。
【0024】
走行機体4上において、脱穀部6の後方には、脱穀部6による脱穀処理後の排藁を処理する排藁処理部10が設けられている。排藁処理部10は、排藁搬送装置10aと、排藁切断装置10bとを有する。排藁搬送装置10aは、脱穀部6により脱穀済みの穀稈(排稈)を後方に搬送して機体の外部に排出するかあるいは排藁切断装置10bに搬送する。排藁切断装置10bは、排藁搬送装置10aから搬送された排稈を切断して機体の外部に排出する。
【0025】
走行機体4上において、刈取部5の右方であって穀粒タンク7の前方には、キャビン30により覆われた運転部12が設けられている。つまり、運転部12は、走行機体4の前部の上方においてキャビン30内に設けられている。運転部12の前部には、操向操作部としてのハンドル13が設けられており、ハンドル13の後方に、運転席14が設けられている。また、運転席14の左側方には、主変速レバー15を含む各種操作具等が配設されている。
【0026】
運転部12の後下方には、エンジン11を含む原動機部が設けられている。エンジン11の動力は、変速装置等を介して、コンバイン1が備える各部の各種装置に伝達される。エンジン11は、ディーゼルエンジンである。
【0027】
図4から
図6を用いて、キャビン30の構成について説明する。キャビン30は、前面部31、後面部32、左側壁部33、右側壁部34、天井部をなすルーフ部35、および床部36を有し、これらの部分により全体として略箱状に構成されている。
【0028】
キャビン30の前面部31は、その上側の過半部分を構成する前傾状の前上面部31aと、前面部31の略下半部を構成する前下がりの傾斜状の前下面部31bとを有し、全体として側面視で後側に凹の屈曲形状を有する。前上面部31aは、ガラスやアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等からなる矩形状の透明板により、全体的に透明な窓部として形成されている。前下面部31bは、鋼板等の金属製の部材により構成されている。
【0029】
キャビン30の左側壁部33は、下側の部分を、鋼板等により構成された板金製の部分である下部側面部41としている(
図4参照)。左側壁部33において、前後方向の中間部には、上下方向に沿う直線状の左支柱部42が設けられている。左支柱部42は、左側壁部33の上部において上下方向の略全体にわたるように設けられている。
【0030】
左側壁部33において、下部側面部41の上側かつ左支柱部42の後側には、矩形状の左後窓部43が設けられている。左後窓部43は、左側壁部33において左支柱部42の後側の部分をなす左側板44の上部により左支柱部42とともに形成された枠状の部分に対して矩形状のガラス等の透明板を取り付けることにより構成されている。左側板44の下部により、下部側面部41が形成されている。
【0031】
左側壁部33において、左後窓部43の前方の部分は、左前窓部47となっている。左前窓部47は、略逆台形状を有し、前側の縁部を前面部31の前上面部31aの前傾状の傾斜に沿わせるとともに、後側の縁部を左支柱部42の上部に沿わせている。左前窓部47は、ガラスやアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等からなる矩形状の透明板により形成されており、上下方向について前面部31の前上面部31aと略同じ範囲に設けられている。
【0032】
左側壁部33において、左前窓部47の上側には、前上側板57が設けられている。前上側板57は、左側壁部33の左支柱部42よりも前側の部分の上縁部を形成している。前上側板57は、下縁部を、左前窓部47の上縁部に対して内側(右側)から重ねている。
【0033】
キャビン30の右側壁部34には、乗降用の開閉扉であるドア48が設けられている。ドア48は、前側から外方に開くようにキャビン30のフレーム部分に対して回動可能に支持されている。ドア48は、右側壁部34の後部に設けられたヒンジ部48aにより上下方向を軸方向として回動可能に支持され、前側から開くように開閉可能に設けられている。ドア48には、全体的にガラスやアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等からなる透明板が張設されている。
【0034】
右側壁部34において、ドア48よりも前側の部分の上部は、右前窓部49となっている。右前窓部49は、略逆三角形状を有し、前側の縁部を前面部31の前上面部31aの前傾状の傾斜に沿わせるとともに、後側の縁部を上下方向に沿わせている。右前窓部49は、ガラスやアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等からなる矩形状の透明板により形成されており、上下方向について前面部31の前上面部31aと略同じ範囲に設けられている。
【0035】
右側壁部34において、右前窓部49の上側には、前上側板58(
図16参照)が設けられている。前上側板58は、右側壁部34の右前窓部49上側の部分を形成しており、右前窓部49と略面一状となるように設けられている。前上側板58は、下縁部を、右前窓部49の上縁部に対して内側(左側)から重ねている。
【0036】
右側壁部34において、ドア48よりも前側の部分の下部、つまり右前窓部49の下側の部分は、鋼板等により構成された板金製の部分である前下部側面部45となっている。前下部側面部45は、前側の縁部を前面部31の前下面部31bの前下がりの傾斜に沿わせるとともに、後側の縁部を上下方向に沿わせている。前下部側面部45は、前面部31の前下面部31bをなす部材の右縁部から後方への屈曲部分により形成されている。
【0037】
キャビン30の右前側には、バックミラー53が設けられている。バックミラー53は、上下方向を長手方向とした略矩形状の外形を有するミラー本体54と、ミラー本体54を支持するミラーアーム55とを有し、右側壁部34に対して所定の支持部材を介して設けられている。バックミラー53は、ミラーアーム55の前端部においてミラー本体54を垂下状に支持し、ミラー本体54を運転部12の右前方に位置させている。
【0038】
キャビン30のルーフ部35は、平面視で前後方向を長手方向とする略矩形状の外形を有する。ルーフ部35は、前側の縁端部を、前面部31の上端部に対して前側に庇状に突出させており、後側の縁端部を、後面部32の上端部に対して後側に庇状に突出させている。ルーフ部35の前端面部には、複数の照明部51が横並びに設けられている(
図6参照)。
【0039】
ルーフ部35は、扁平状の外形を有するとともに中空状に構成されている。ルーフ部35は、ルーフ部35の基部をなす下側パネル(図示略)と、下側パネルの上側に設けられたルーフパネル50とを有し、これらのパネルにより中空部を形成している。ルーフパネル50は、上面部50aと、上面部50aの左右両側において下側に向けて屈曲形成された左右の側面部50bとを有する。ルーフパネル50は、下側パネル部を全体的に上側および左右両側から被覆するように設けられたカバー部材である。
【0040】
また、ルーフパネル50の左側の側面部50bは、左側壁部33の上縁部を左方から覆っており、ルーフパネル50の右側の側面部50bは、右側壁部34の上縁部を右方から覆っている。ルーフ部35の内部には、コンバイン1が備える空調装置の室内機等が設けられている。
【0041】
以上のような構成を備えたキャビン30において、キャビン30の左方の側面部は、左側壁部33とルーフ部35の左側の部分とにより形成されている。また、キャビン30の右方の側面部は、右側壁部34とルーフ部35の右側の部分とにより形成されている。以下では、キャビン30において、左側壁部33とルーフ部35の左側の部分とを含む左方の側面部をキャビン左側面部37とする。
【0042】
本実施形態に係るコンバイン1は、衛星からの位置情報を受信するためのアンテナユニット60を備える。アンテナユニット60は、キャビン30の左右の側面部のうちキャビン左側面部37の上部に設けられている。アンテナユニット60は、キャビン左側面部37の上部の左方の近傍に位置するように、キャビン30に対して所定の支持部材を介して支持された状態で設けられている。
【0043】
アンテナユニット60は、平面視で略矩形状をなす箱状の外形を有し、長手方向を前後方向とする向きで設けられている。アンテナユニット60は、上下方向について、ルーフ部35と略同じ高さ位置に設けられている。具体的には、アンテナユニット60は、上下方向の寸法を、ルーフパネル50の側面部50bの上下方向の寸法と略同じとし、上下方向について、上下方向の略全体を、ルーフパネル50の側面部50bの高さ範囲に位置させるように設けられている。
【0044】
アンテナユニット60は、前後方向について、全体または略全体を、キャビン左側面部37に設けられた左支柱部42よりも前側に位置させている。具体的には、アンテナユニット60は、前後方向について、後端部を、左支柱部42の上端部の近傍に位置させており、左側面視で左前窓部47の上縁部に沿うように設けられている。アンテナユニット60は、前後方向について、左前窓部47の上縁部と略同じ長さを有する。アンテナユニット60は、前後方向について、ルーフ部35の全体の長さに対して略1/3の寸法を有し、ルーフ部35に対して左前側に位置するように設けられている(
図7参照)。
【0045】
アンテナユニット60は、左右方向について、右側面部を、ルーフパネル50の左側の側面部50bの直左方に位置させるように設けられている。このように、アンテナユニット60は、キャビン30に対して、ルーフ部35の前部の左方に隣接配置されている。
【0046】
このようなアンテナユニット60の配置構成によれば、キャビン30をコンバイン1の機体における右前部に設けた構成において、アンテナユニット60は、左右方向について機体の略中央部に位置する(
図3参照)。また、アンテナユニット60がルーフ部35の前左方に位置することから、照明部51による配光やキャビン30内からの視野がアンテナユニット60により妨げられることがない。また、キャビン30の左側方には、収納状態の排出オーガ9との間に空間が形成されており、アンテナユニット60は、その空間を利用して配置されている。
【0047】
アンテナユニット60は、測位衛星からの電波を受信してコンバイン1の位置を測定するための測位ユニットとして構成されている。アンテナユニット60は、受信部としての受信装置61と、演算部としての慣性航法装置62と、通信部としての無線通信装置63と、これらの装置を収容するケース64とを備えている。アンテナユニット60により、コンバイン1の自動操舵システムが構成されている。
【0048】
受信装置61は、測位衛星からの電波を受信し、受信した電波を信号に変換して慣性航法装置62に送信する。受信装置61は、例えば、GNSS衛星群からの電波を受信するGNSS受信機(GNSSアンテナ)や、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信機(GPSアンテナ)等である。
【0049】
慣性航法装置62は、3軸のジャイロと3方向の加速度を測定し、姿勢方位データを算出する。また、慣性航法装置62は、受信装置61から送信される信号に基づいて位置データを算出する。慣性航法装置62は、受信装置61からの位置情報に基づいて位置データを算出する演算装置として機能する。例えば、慣性航法装置62がGNSS受信機を搭載することで、慣性航法装置62により算出される姿勢方位データの信頼性が向上する。
【0050】
アンテナユニット60は、慣性航法装置62を備えることで、悪天候、電波障害等で測位衛星からの電波を受信できない状況においても、慣性航法装置62によって検出した3方向の加速度に基づいて、移動速度や移動距離などを算出して測位する慣性航法を利用することが可能となる。
【0051】
無線通信装置63は、慣性航法装置62によって算出された位置データおよび姿勢方位データを無線通信によって外部に送信する。無線通信装置63は、例えば無線LAN(Local Area Network)やモバイル通信を用いたデータ通信装置である。無線通信装置63から送信されるデータは、例えばオペレータが所持する携帯端末やコンバイン1のECU(Electronic Control Unit)等で受信され、圃場内での位置確認やコンバイン1の姿勢(前後左右への傾き等)の確認等に利用される。
【0052】
ケース64は、ケース64の下部をなす下ケース体65と、ケース64の上部をなす上ケース体66とを有し、これらのケース体によって収容空間を形成するとともにアンテナユニット60の外形をなしている。ケース64は、下ケース体65および上ケース体66により、前後方向を長手方向とした比較的扁平な箱状の外形をなしている。下ケース体65および上ケース体66は、例えば樹脂製の部材である。
【0053】
下ケース体65は、上側を開放させた箱状の部材であり、水平状の底面部65aと、前後左右の側面部を含み上縁部によって矩形状の開口部を形成する周壁部65bとを有する(
図8参照)。上ケース体66は、下ケース体65の開口部を上側から覆う蓋状の部分である。上ケース体66は、前後左右の面部によって矩形状の縁部を形成しており、この縁部を下ケース体65の矩形状の開口部に嵌合させた状態で設けられている。上ケース体66は、下側の開口縁部を下ケース体65の上側の開口縁部に対して外側から重ねた状態で下ケース体65に嵌合しており、両ケース体は、互いの嵌合部分を貫通するボルト等の固定具67(
図8参照)により複数箇所で互いに固定されている。
【0054】
ケース64内において、前方から後方にかけて、無線通信装置63、受信装置61および慣性航法装置62の順に、これらの装置が所定の間隔をあけて配置されている。これらの装置は、ケース64内において下ケース体65の底面部65aの上側に設けられた図示せぬ取付板に対してボルト等の固定具によって固定された状態で設けられている。
【0055】
以上のように、アンテナユニット60は、ケース64内に受信装置61、慣性航法装置62および無線通信装置63を収容した一体的なユニットとして構成されている。
【0056】
アンテナユニット60によって取得される測位データ(位置データおよび姿勢方位データ)は、あらかじめ設定された経路上を自律的に走行しながら作業を行う自律型のコンバイン1の制御に用いられる。位置データは、例えば、コンバイン1が所定の経路に沿って走行しているか否かの判定に用いられる。また、姿勢方位データは、例えば、コンバイン1の傾斜を認識することで、コンバイン1の走行状態や圃場の状態の確認に用いられる。また、オペレータが無線通信装置63からの送信データを受け取ることで、コンバイン1に対してリアルタイムの指示を送ることができる。
【0057】
なお、アンテナユニット60の構成は、本実施形態に限定されるものではない。アンテナユニット60の構成としては、例えば、受信装置61に、受信装置61によって受信した位置情報から位置データを算出する演算部としての機能を持たせることで、慣性航法装置62を省略した構成であってもよい。
【0058】
アンテナユニット60の支持構成について、
図6から
図8を用いて説明する。なお、
図8においては、ルーフパネル50の一部を切り欠いた状態で示している。
【0059】
コンバイン1は、アンテナユニット60を支持するアンテナ支持部材としての支持フレーム70を備えている。支持フレーム70は、所定の屈曲形状ないし湾曲形状を有する金属製の丸パイプ状の部材により構成されたフレーム部分であり、キャビン左側面部37に設けられている。
【0060】
支持フレーム70は、前後に延伸するように構成されている。支持フレーム70は、前後の両端部を除いた大部分を、略前後方向に延伸したフレーム本体部としている。支持フレーム70は、左側面視において、ルーフパネル50の左側の側面部50bの下縁部の下方近傍に位置し、ルーフパネル50の左側の側面部50bに沿うように設けられている。支持フレーム70は、パイプ状の部材による屈曲形状をなす部分として、前側から後側にかけて順に、前固定部71と、前後延伸部72と、傾斜部73と、後固定部74とを有する(
図7参照)。
【0061】
前固定部71は、左右方向を軸方向とした部分であり、キャビン左側面部37から左方に向けて延出した部分である。前固定部71の右側の端部が、支持フレーム70の前側の端部となる。前後延伸部72は、前後方向を軸方向とした部分であり、前固定部71の左端部から、前固定部71とともに直角状の角部をなすように後方に向けて水平状に延伸した部分である。
【0062】
傾斜部73は、平面視において前側から後側にかけて徐々に左右外側(左側)から左右内側(右側)に向かう傾斜方向を軸方向とした部分である。後固定部74は、左右方向を軸方向とした部分であり、傾斜部73の後端部から、傾斜部73とともに鈍角状の角部をなすように右方に向けて水平状に延伸した部分である。後固定部74の右側の端部が、支持フレーム70の後側の端部となる。
【0063】
支持フレーム70は、前端部および後端部を、キャビン左側面部37に固定させた状態で設けられている。すなわち、支持フレーム70は、前端部となる前固定部71の右側の端部、および後端部となる後固定部74の右側の端部を、それぞれキャビン左側面部37に固定させた状態で設けられている。
【0064】
支持フレーム70の前側の端部は、キャビン左側面部37において、前面部31を構成する前上面部31aの上端部近傍に位置している。支持フレーム70の前側の端部は、キャビン左側面部37の前上部を構成する前上側板57に対して、前取付プレート76を介して固定されている(
図8参照)。
【0065】
前取付プレート76は、板厚方向を左右方向とする向きで、前上側板57に対して、固定ボルト78により前後2箇所で固定されている。前取付プレート76に対して、支持フレーム70の前固定部71の右端部が溶接等により固定されている。
【0066】
支持フレーム70の後側の端部は、キャビン左側面部37において、左後窓部43の後上側の角部の近傍に位置している。支持フレーム70の後側の端部は、キャビン左側面部37の後部を構成する左側板44の上端部に対して、後取付プレート81を介して固定されている(
図8参照)。
【0067】
後取付プレート81は、板厚方向を左右方向とする向きで、左側板44に対して、固定ボルト82により前後2箇所で固定されている。後取付プレート81に対して、支持フレーム70の後固定部74の右端部が溶接等により固定されている。
【0068】
以上のようにキャビン30に対して固定支持された支持フレーム70に対して、支持フレーム70の前部の上にアンテナユニット60が支持されている。アンテナユニット60は、支持フレーム70の前後延伸部72において前後2箇所に設けられた支持ブラケット90に固定された状態で支持されている。
【0069】
支持ブラケット90は、支持フレーム70に固設された取付ブラケット91に固定されている。つまり、支持ブラケット90は、支持フレーム70に対して取付ブラケット91を介して設けられている。支持ブラケット90および取付ブラケット91は、支持フレーム70の前後延伸部72の軸心位置を中心として左右対称または略左右対称となるように構成されている。また、前後の支持ブラケット90および取付ブラケット91の組同士は、前後方向について対称または略対称となるように構成されている。
【0070】
取付ブラケット91は、板状の部材を屈曲形成した態様の長手状の部材であり、長手方向を左右方向として、平面視で前後延伸部72の軸方向に直交するように、前後延伸部72の上側に設けられている。取付ブラケット91は、互いに平行な前面部および後面部と、上面部とを有し、これらの面部によって側面視で下側を開放側とした略「U」字形状をなしている。取付ブラケット91は、前面部および後面部の左右中央部の半円状の切欠部に前後延伸部72を嵌合させた状態で、溶接等により前後延伸部72に固定されている。
【0071】
支持ブラケット90は、板状の部材を屈曲形成した態様の長手状の部材であり、長手方向を左右方向として、平面視で前後延伸部72の軸方向に直交するように、前後延伸部72の上側に設けられている。支持ブラケット90は、取付ブラケット91と略同じ長さを有する。
【0072】
支持ブラケット90は、前後方向を板厚方向とする固定面部と、固定面部の上端から直角状に屈曲形成された水平状の支持面部と、固定面部の左右両端から直角状に屈曲形成された左右の側面部とを有する。支持ブラケット90においては、上面部である支持面部が、アンテナユニット60のケース64の取付けを受ける面部となる。前後の支持ブラケット90は、固定面部を取付ブラケット91の前面部または後面部に対して固定ボルト92等により左右両端の2箇所で取付ブラケット91に固定されている。
【0073】
このような前後の支持ブラケット90に対し、アンテナユニット60のケース64が、固定ボルト96により固定されている。固定ボルト96による固定部は、各支持ブラケット90において左右両側の2箇所に設けられている。このように、アンテナユニット60は、前後の支持ブラケット90に対して2箇所ずつ計4箇所で固定ボルト96により固定されている。各固定ボルト96は、支持ブラケット90の支持面部を下側から貫通し、ケース64内において下ケース体65の底面部65aに臨んでネジ穴を開口させるように設けられた筒状の部材からなる雌ネジ部97に螺挿されている。
【0074】
以上のようにキャビン30の左方上部に支持フレーム70によってアンテナユニット60を支持した構成に対し、手摺部100が設けられている。手摺部100は、アンテナユニット60に対する作業等を行うために用いられる。手摺部100は、所定の屈曲形状ないし湾曲形状を有する金属製の丸パイプ状の部材により構成されており、キャビン30のキャビン左側面部37に設けられている。
【0075】
手摺部100は、上下に延伸するように構成されている。手摺部100は、上下の両端部を除いた大部分を、側面視で上下方向に延伸した手摺本体部としている。手摺部100は、パイプ状の部材による屈曲形状をなす部分として、下側から上側にかけて順に、下固定部101と、傾斜延伸部102と、上固定部103とを有する。
【0076】
下固定部101は、左右方向を軸方向とした部分であり、キャビン左側面部37から左方に向けて延出した部分である。下固定部101の右側の端部が、手摺部100の下側の端部となる。
【0077】
傾斜延伸部102は、側面視において上下方向に沿う方向、かつ正面視において下側から上側にかけて徐々に左右内側(右側)から左右外側(左側)に向かう傾斜方向を軸方向とした部分である。傾斜延伸部102は、正面視において下固定部101とともに鈍角状の角部をなすように斜め左上方に向けて延伸した部分である。
【0078】
上固定部103は、上下方向を軸方向とした部分であり、傾斜延伸部102の上端部から、傾斜延伸部102とともに鈍角状の角部をなすように上方に向けて延伸した部分である。上固定部103の上端部が、手摺部100の上側の端部となる。手摺部100は、左側面視において、キャビン左側面部37を構成する左支柱部42に大部分を重ねる位置に設けられている。
【0079】
手摺部100は、上端部を支持フレーム70に連結させるとともに、下端部をキャビン左側面部37に固定させた状態で設けられている。すなわち、手摺部100は、上固定部103の上端部を支持フレーム70に連結支持させ、下固定部101の右側の端部をキャビン左側面部37に固定させた状態で設けられている。
【0080】
手摺部100の上端部は、支持フレーム70に固設された上側の連結部材である上支持ブラケット110を介して、支持フレーム70に連結されている。上支持ブラケット110は、支持フレーム70において、後側の支持ブラケット90と、前後延伸部72と傾斜部73による角部との間の部分に対して、支持フレーム70の下側に設けられている。
【0081】
上支持ブラケット110は、板状の部材を所定の形状に屈曲形成した態様の部材である。上支持ブラケット110は、左右方向を板厚方向とした略矩形状の固定面部110aと、固定面部110aの前後の端部から左右内側(右側)に向けて直角状に屈曲した前後の側面部110bとを有し(
図8参照)、これらの面部によって上面視で右側を開放側とした略「U」字形状をなしている。上支持ブラケット110においては、固定面部110aが、手摺部100の上端部の取付けを受ける面部となる。
【0082】
上支持ブラケット110の前後の側面部110bの上部の左側には、支持フレーム70の前後延伸部72を嵌合させるための凹状の切欠部110cが形成されている(
図8参照)。上支持ブラケット110は、前後の側面部110bの切欠部110c内に前後延伸部72を位置させた状態で、溶接等により前後延伸部72に固定されている。上支持ブラケット110は、固定面部110aの上縁部を、前後延伸部72の左方に位置させている。
【0083】
手摺部100は、固定プレート115を介して、上固定部103の上端部を上支持ブラケット110に固定させている。固定プレート115は、略截頭二等辺三角形状の外形を有する板状部材であり、板厚方向を左右方向とするとともに、頂部側を下側とする向きで設けられている。固定プレート115は、上固定部103の上端部の左側に溶接等により固定されている。固定プレート115は、上支持ブラケット110の固定面部110aに裏側(右側)から重なった状態で、固定ボルト116等により前後2箇所で固定面部110aに固定されている。
【0084】
手摺部100の下端部は、キャビン左側面部37を構成する下部側面部41に対して、取付部材である下支持ブラケット120を介して固定されている。下支持ブラケット120は、平面視で略「L」字状の屈曲形状をなす取付け金具である。下支持ブラケット120は、略「L」字状をなす一方の面部を固定面部として下部側面部41に沿わせた状態で、固定ボルト124により下部側面部41に固定されている。下支持ブラケット120の略「L」字状をなす他方の面部である支持面部は、固定面部121の前側から左方に向けて突出している。下支持ブラケット120に対して、手摺部100は、下固定部101を支持面部の後側に位置させた状態で、溶接等によって下支持ブラケット120に固定されている。
【0085】
以上のように、手摺部100は、上端側を支持フレーム70に連結支持させるとともに、下端側をキャビン左側面部37に連結支持させ、支持フレーム70とキャビン左側面部37との間に架設された状態で設けられている。
【0086】
本実施形態に係るコンバイン1は、コンバイン1の機体の各種状態の報知に用いられる表示を行う状態表示装置として、2つの積層灯150を備える。コンバイン1は、積層灯150として、キャビン30の左側に配置された第1の積層灯である積層灯150Aと、キャビン30の右側に配置された第2の積層灯である積層灯150Bとを備える。
【0087】
積層灯150は、円筒状の外形を有し、中心軸方向を上下方向とするように立った状態で設けられている。積層灯150は、円筒状の外形をなす面部として、円筒面状の外周面部151と、いずれも平坦な面部である底面部152および上面部153とを有する。
【0088】
積層灯150は、略上半部を、複数の表示灯部を積層した発光表示部154としている。発光表示部154は、複数の表示灯部として、上から下にかけて順に、赤色の発光表示を行う第1表示灯部154a、黄色の発光表示を行う第2表示灯部154b、および緑色の発光表示を行う第3表示灯部154cを積層した構成を有する(
図10参照)。各表示灯部は、LED等の光源を含んで構成されている。
【0089】
積層灯150の構成、例えば、各色の発光表示を行う表示灯部の積層の順番、各表示灯部が発光する色の種類、表示灯部の積層の数、発光表示を行う構造等は、限定されるものではない。また、積層灯150の表示態様も限定されるものではない。積層灯150の表示態様としては、例えば、すべての表示灯部を消灯させたり、複数の表示灯部を同時に点灯させたり、表示灯部の点滅表示が用いられたりしてもよい。
【0090】
積層灯150は、底面部152から延出された接続線である接続コード155を介して、コンバイン1が備える制御部を構成するコントローラ(図示略)に接続されており、積層灯150の表示動作は、コントローラにより制御される。コントローラは、各種演算処理や制御を実行するCPU(Central Processing Unit)、記憶部としてのROM(read only memory)、RAM(random access memory)、入出力インターフェイス等の各種機能部をバス等により接続させた構成を備える。CPUは、ROM等に記憶された各種のプログラムに従って演算処理を行う。
【0091】
コントローラは、コンバイン1の各部に配置された各種のセンサやスイッチ等から入力される信号や、アンテナユニット60の動作モード等に基づき、積層灯150の発光表示部154のいずれかの表示灯部を発光させ、コンバイン1の機体の各種状態の報知を行う。なお、積層灯150により報知される内容は特に限定されるものではない。また、コンバイン1が備えた2つの積層灯150は、共通の表示を行うように制御される。
【0092】
第1表示灯部154aによる赤色の発光表示は、例えば、コンバイン1で何らかのトラブルが生じた場合の注意喚起や警報の表示として用いられる。具体的には、例えば、脱穀部6における穀稈の詰まりや、穀粒タンク7内の穀粒の量が満量となることや、エンジン11の冷却水温の異常等が生じた場合、第1表示灯部154aの点灯によって報知が行われる。また、第2表示灯部154bによる黄色の発光表示は、例えば、上述したようなトラブルが生じる前段階での予備的な警報表示や、機体の自動走行における障害物の検知の報知表示等として用いられる。また、第3表示灯部154cによる緑色の発光表示は、コンバイン1が作業開始の準備が完了した状態や正常運転が行われている状態等を報知するために用いられる。
【0093】
また、積層灯150は、コンバイン1の機体の状態として、アンテナユニット60の受信装置61による受信状態に応じた報知に用いられてもよい。この場合、例えば、積層灯150は、アンテナユニット60の電波の受信状態が適性受信モードの場合、緑色の第3表示灯部154cを点灯させ、同受信状態が不安定受信状態の場合、黄色の第2表示灯部154bを点灯させ、同受信状態が受信不能状態の場合、赤色の第1表示灯部154aを点灯させるように制御される。
【0094】
以上のような積層灯150をキャビン30の左右両側に備えた構成において、コンバイン1における各積層灯150の配置および支持構成について、
図3、
図4から
図18を用いて説明する。
【0095】
キャビン30の左側に位置する積層灯150Aの配置および支持構成について説明する。積層灯150Aは、排出オーガ9を載置支持することで排出オーガ9を収納状態とするオーガレスト27に支持された状態で設けられている。積層灯150Aは、オーガレスト27に設けられた支持部である積層灯支持部160により支持された状態で設けられている。つまり、積層灯150Aは、オーガレスト27に対して積層灯支持部160を介して支持されている。
【0096】
オーガレスト27は、キャビン30の後部の左方に配置されており、排出オーガ9のオーガ本体部9aの延伸方向の中間部における所定の部位を下側から支持する。オーガレスト27は、排出オーガ9のオーガ本体部9aを載置支持するオーガレスト本体部170と、オーガレスト本体部170から下方に延出されオーガレスト本体部170を支持するオーガレスト支柱部171とを有する。
【0097】
オーガレスト本体部170は、円筒状のオーガ本体部9aを位置決めした状態で排出オーガ9を収納支持するように上側を開放側とした凹形状をなす湾曲板状の部分として構成されている。オーガレスト本体部170は、オーガ本体部9aの中心軸方向視で、左右中間部を、略円弧状をなす湾曲部とするとともに全体として略「V」字状をなし、上側の面を、オーガ本体部9aの接触を受ける支持面170aとしている。支持面170aは、左右中間部を、オーガ本体部9aの中心軸方向視で略円弧状に沿うとともにオーガ本体部9aの外径に対応した大きさの略円柱面の一部形状に沿う凹曲面としている。また、オーガレスト本体部170は、左右の両端側を、オーガ本体部9aの中心軸方向視で、収納状態のオーガ本体部9aに対して接線状となるように斜め上方に向けて延出させている。
【0098】
オーガレスト本体部170の下側には、オーガレスト本体部170の湾曲形状に沿ったリブ板172が設けられている。リブ板172は、オーガレスト本体部170の幅方向(収納状態のオーガ本体部9aの軸方向)の中央部に位置しており、収納状態のオーガ本体部9aの軸方向と略同じ方向を板厚方向とするように設けられている。リブ板172は、オーガレスト本体部170に対して溶接等によって固定されることでオーガレスト本体部170と一体の部分として設けられている。
【0099】
オーガレスト支柱部171は、前面部171a、後面部171b、左側面部171cおよび右側面部171dを有する四角柱状の部分であり、オーガレスト本体部170の左右中央に対して右側寄りの位置から垂下状に設けられている。オーガレスト支柱部171は、上端部においてオーガレスト本体部170の下面に沿うように傾斜形状を有するとともに、リブ板172の後側に位置し、オーガレスト本体部170およびリブ板172それぞれに対して溶接等によって固定されている。
【0100】
オーガレスト支柱部171は、前面部171a、左側面部171cおよび右側面部171dをなす横断面U字状の溝形鋼部材の後側を、後面部171bをなす板状の部材により塞いだ態様の構成を有する(
図13参照)。オーガレスト支柱部171をなす両部材は互いに溶接等により固定されている。なお、オーガレスト支柱部171は、角形鋼管等により構成された部分であってもよい。
【0101】
オーガレスト27は、走行機体4の前部に設けられた前中央支柱175に支持された状態で設けられている。前中央支柱175は、走行機体4を構成する機台部25(
図1参照)上に所定の支持部分を介して立設されている。つまり、オーガレスト27は、機台部25に対して前中央支柱175を介して設けられている。機台部25は、クローラ部3を構成するトラックフレーム3a上において前後方向や左右方向に配されたフレーム部材や板状部材等によって水平状に構成された土台部分である。機台部25上に、エンジン11並びに脱穀部6および穀粒タンク7が設けられている。
【0102】
前中央支柱175は、機台部25上の前部の左右中央部に設けられており、脱穀部6の前端部とエンジン11との間に位置している。前中央支柱175は、前面部175a、後面部175b、左側面部175cおよび右側面部175dを有する四角柱状の部分であり、角形鋼管により形成されている。前中央支柱175は、水平状の上面部175eを有する。
【0103】
前中央支柱175の上端部に対して、オーガレスト支柱部171が、取付フレーム176を介して固定支持されている。取付フレーム176は、前側を開放側とした横断面U字状の溝形鋼部材により形成されており、前中央支柱175の後側に取り付けられることで、前中央支柱175とともに、オーガレスト支柱部171を挿入させる四角筒状の挿入空間177を形成している(
図13参照)。
【0104】
取付フレーム176は、U字状の横断面形状をなす面部として、左側面部176a、右側面部176bおよび後面部176cを有し、左側面部176aおよび右側面部176bの前縁部間に前中央支柱175の後部を位置させ、各側面部をそれぞれ前中央支柱175の左側面部175cおよび右側面部175dに対して溶接等によって固定させている。
【0105】
オーガレスト27は、オーガレスト支柱部171を挿入空間177に対して上側から挿嵌させた状態で、ボルト178およびナット179により上下2箇所で取付フレーム176に締結固定されている。ボルト178は、取付フレーム176の左側面部176aおよび右側面部176b、並びにオーガレスト支柱部171の左側面部171cおよび右側面部171dを左側から貫通し、右側面部176bの右側においてナット179に螺挿されている。
【0106】
ボルト178は、オーガレスト支柱部171の内部に設けられた円筒状のスリーブ180を貫通している(
図13参照)。オーガレスト支柱部171においては、左側面部171cおよび右側面部171dの孔部およびこれらの孔部に連通する両端開口のスリーブ180により、ボルト178を貫通させるボルト挿通部182が形成されている。
【0107】
以上のように前中央支柱175により支持されたオーガレスト27に対し、積層灯150Aを支持する積層灯支持部160は、オーガレスト支柱部171に取り付けられている。積層灯支持部160は、アームプレート161と、支持ステー162とを有する。
【0108】
アームプレート161は、矩形板状の部材であり、板厚方向を前後方向とするとともに長手方向を左右方向とする向きで、オーガレスト支柱部171のリブ板172から下方への延出部分に取り付けられている。アームプレート161は、右側の端部を、オーガレスト支柱部171の前面部171aに固定させ、オーガレスト支柱部171から左方に向けて突出している。アームプレート161は、右側の端部をオーガレスト支柱部171に対して前側から重ね、固定ボルト163により上下2箇所でオーガレスト支柱部171に固定されている。
【0109】
支持ステー162は、屈曲板状の部材により構成されており、オーガレスト本体部170の下方の位置に、積層灯150を載置支持する水平状の支持台部164を有する。支持台部164は、アームプレート161に対してステー本体165を介して設けられている。ステー本体165は、支持台部164とともに一体の部材である支持ステー162を構成している。
【0110】
ステー本体165は、アームプレート161に対して前側から重なる固定面部165aと、固定面部165aの左側に位置し固定面部165aとともに上下方向に沿う稜線部をなす支持面部165bと、固定面部165aおよび支持面部165bによる角部を上側から覆う上面部165cとを有する。固定面部165aは、正面視で左上側の角部を直角側の角部とした略直角三角形状を有する。支持面部165bは、側面視で上下に長い略台形状を有する。
【0111】
支持面部165bは、固定面部165aの左端から左斜め前方に向けて延出しており、固定面部165aとともに平面視で鈍角状の(例えば110°程度の)角部をなす。上面部165cは、支持面部165bの上端部から右側への直角状の屈曲部分として形成されており、固定面部165aと支持面部165bとによる角部の形状に対応した略三角形状を有する。
【0112】
ステー本体165は、上部をアームプレート161に固定させ、下部をアームプレート161の左側の部分から下方に突出させている。ステー本体165は、固定面部165aを、アームプレート161に対して前側から重ね、固定ボルト166およびナット部167により上下2箇所でアームプレート161に締結固定されている。
【0113】
支持台部164は、積層灯150Aに対する水平状の載置支持面をなす支持面部164aと、支持面部164aの前後両側において支持面部164aに対して下方に向けて直角状に屈曲した屈曲面部164bとを有する。支持面部164aは、平面視で略矩形状の外形を有し、平面視での矩形状の外形における一対の対向辺部を収納状態のオーガ本体部9aの延伸方向に沿わせるように、平面視で前後左右方向に対して傾斜状に設けられている。なお、あくまでも一例であるが、支持台部164の平面視における左右方向に対する傾斜角度は約20°となっている。
【0114】
支持面部164aの右側の部分に、ステー本体165をなす屈曲板状の部材の下端部が溶接等によって固定されている。ステー本体165の下端部から支持台部164が左斜め後方に向けて延出している。
【0115】
支持台部164においては、支持面部164a上に、積層灯150Aが載置支持される。支持面部164aは、平面視で円形状の外形をなす積層灯150Aの全体を外形の範囲内に位置させる寸法を有する。積層灯150Aは、底面部152が接触する支持面部164aの上面を載置面として支持面部164aに固定支持されている。
【0116】
積層灯150は、底面部152から下方に向けて突出させた複数の(3本の)ネジ部156を有する(
図11参照)。積層灯150Aは、ネジ部156を支持台部164の支持面部164aに対して上側から貫通させ、支持面部164aの下側においてナット157にネジ部156を螺合させることで、支持面部164aに締結固定されている。支持面部164aには、ネジ部156を貫通させる複数の孔部が形成されている。また、支持面部164aには、積層灯150の底面部152から延出される接続コード155を通すための開口部164cが形成されている(
図12参照)。
【0117】
以上のような積層灯150Aの支持構成において、積層灯150Aは、上下方向について、収納状態の排出オーガ9の下方に位置するように設けられている。支持台部164上に支持固定された積層灯150Aは、上下方向について、上面部153を、オーガレスト本体部170の支持面170aの下端より下方に位置させている。
【0118】
すなわち、
図10に示すように、積層灯150Aの上面部153の高さ位置H1は、オーガレスト本体部170の支持面170aの下端の高さ位置H2より下方に位置している。ここで、支持面170aの下端の高さ位置H2は、支持面170aにおいて、収納状態のオーガ本体部9aの中心軸方向視で下側に凸の円弧状をなす左右中央部の下端の高さ位置である。
【0119】
このような構成により、支持面170aにオーガ本体部9aを嵌合させた態様で収納状態となる排出オーガ9に対し、積層灯150Aは、その全体を、オーガ本体部9aの外周面の下端よりも下方に位置させている。本実施形態では、積層灯150Aは、上面部153を、オーガレスト本体部170の下端の高さ位置H3よりも下方の位置であって、リブ板172の上下中間部の高さに位置させるように設けられている。
【0120】
また、
図7に示すように、積層灯150Aは、収納状態の排出オーガ9に対して、上面視で右側(
図7において左側)の大部分がオーガ本体部9aにより覆われる位置に配置されている。つまり、積層灯150Aは、上面視で左側の一部を収納状態のオーガ本体部9aから右側に露出させる位置に配置されている。また、積層灯150Aは、平面視において、略全体をオーガレスト本体部170の前側に位置させるように設けられている。
【0121】
また、積層灯150Aは、左側面視において、キャビン左側面部37の後端部に重なる位置に配置されている。特に、積層灯150Aは、キャビン左側面部37を形成する左後窓部43の左後方近傍に配置されている。このような構成によれば、キャビン30内から左後窓部43を介して積層灯150Aに容易にアクセスすることができる。これにより、キャビン30内のオペレータが、左後窓部43を開くことにより、積層灯150Aにアクセスすることができるので、積層灯150Aに付着した塵や埃等の除去といったメンテナンスを容易に行うことができる。なお、左後窓部43は、図示せぬヒンジ部によって開閉可能に構成されている。
【0122】
また、積層灯支持部160を介して積層灯150Aを支持するオーガレスト27は、排出オーガ9の支持位置を変化させるように高さ調節可能に設けられている。オーガレスト27は、上下方向について前中央支柱175に対するオーガレスト支柱部171の支持位置を変えることで、高さを変化させる。
【0123】
具体的には、上下2箇所でボルト178による固定を受けるオーガレスト支柱部171において、ボルト178を貫通させるボルト挿通部182が、上下に2組設けられている。つまり、オーガレスト支柱部171においては、ボルト挿通部182として、取付フレーム176に対してオーガレスト支柱部171を第1の高さ位置に固定させる上下2つの第1ボルト挿通部182Aと、取付フレーム176に対してオーガレスト支柱部171を第1の高さ位置よりも高い位置に固定させる上下2つの第2ボルト挿通部182Bとが設けられている(
図11参照)。下側の第2ボルト挿通部182Bは、上下の第1ボルト挿通部182Aの間に位置している。
【0124】
このように、オーガレスト27は、オーガレスト支柱部171において第1ボルト挿通部182Aおよび第2ボルト挿通部182Bを有することで、上下方向について位置調節可能に設けられている。すなわち、走行機体4上に立設された前中央支柱175に対するオーガレスト支柱部171の固定位置が、1組の第1ボルト挿通部182Aによる低位置と、1組の第2ボルト挿通部182Bによる高位置との2段階で調節される。
【0125】
オーガレスト27の高さが調節されることで、積層灯支持部160を介してオーガレスト支柱部171に支持された積層灯150Aの高さ位置が調節される。つまり、積層灯150Aは、オーガレスト27の高さ調節にともなって、オーガレスト27と一体的に高さを変化させる。したがって、積層灯150Aは、オーガレスト27と同様に、低位置と高い位置の2段階で高さ調節可能に設けられている。なお、
図9、
図10および
図12は、オーガレスト27および積層灯150Aを低位置に位置させた状態を示しており、
図11は、オーガレスト27および積層灯150Aを高位置に位置させた状態を示している。
【0126】
キャビン30の右側に位置する積層灯150Bの配置および支持構成について、
図5から
図7、
図14から
図18を用いて説明する。なお、
図14、
図15および
図16においては、ルーフパネル50の一部を切り欠いた状態で示している。
【0127】
積層灯150Bは、キャビン30に対するバックミラー53の支持構成を用いてキャビン30に対して支持されている。すなわち、積層灯150Bは、キャビン30の右側壁部34に対して設けられたバックミラー53の支持構成に対して設けられている。バックミラー53は、キャビン30の右側壁部34に設けられた右側の手摺部200に対して、ミラーステー210を介して回動可能に支持されている。
【0128】
手摺部200は、所定の屈曲形状ないし湾曲形状を有する金属製の丸パイプ状の部材により構成されており、キャビン30の右側壁部34に設けられている。手摺部200は、上側の大部分を、上下方向に延伸した手摺本体部201としており、下端側に、パイプ状の部材による屈曲形状をなす部分として下屈曲部202および下固定部203を有する(
図5、
図6参照)。
【0129】
手摺部200は、右側面視において、手摺本体部201の略全体分を、右側壁部34を構成する右前窓部49に重ねた位置に配置されている。また、手摺部200は、手摺本体部201を、右前窓部49に対して所定の間隔を開けて右前窓部49の右方に位置させるように設けられている。
【0130】
下屈曲部202は、右側面視で手摺本体部201に対して後斜め下方向に鈍角状に屈曲した部分である。下固定部203は、下屈曲部202の下端から左右内側(左方)に向けて湾曲した部分である。下固定部203の左側の端部は、手摺部200の下側の端部となり、パイプ状の部材の開口の向きを左側に向けている。
【0131】
手摺部200は、上端部を、取付プレート205を介して、右側壁部34を構成する前上側板58に固定させるとともに、下端部を、右前窓部49の下側の前下部側面部45に固定させた状態で設けられている。
【0132】
取付プレート205は、正面視でクランク形状をなすように屈曲した屈曲板状の部材であり、屈曲形状をなす部分として、鉛直状の固定面部205aと、水平状の横支持面部205bと、鉛直状の縦支持面部205cとを有する。取付プレート205は、固定面部205aを前上側板58の右側に沿わせた状態で、固定面部205aを貫通する固定ボルト206により、前後2箇所で前上側板58に固定されている。
【0133】
取付プレート205は、横支持面部205bおよび縦支持面部205cを、前上側板58から右方に向けて突出させている。取付プレート205は、横支持面部205bおよび縦支持面部205cにおいて、手摺部200を構成するパイプ部材の上端部の固定を受けている。手摺部200は、上端の開口端面を横支持面部205bに対して下側から当接させるとともに、上端部を縦支持面部205cに対して左側から当接させた状態で、溶接等によって取付プレート205に固定されている。なお、横支持面部205bと縦支持面部205cの角部の前後中央部には、貫通状の開口部205dが形成されている。
【0134】
図18に示すように、手摺部200の下端部には、取付ボルト207が固設されている。取付ボルト207は、手摺部200をなすパイプ部材の開口部を頭部207aにより塞ぐようにして溶接等によって手摺部200に固定され、ネジ部207bを左方(
図18において右方)に向けて突出させている。手摺部200は、キャビン30の右側壁部34の前下部側面部45に対して、取付ボルト207のネジ部207bを貫通させ、ネジ部207bに螺合するナット208により前下部側面部45に締結固定されている。
【0135】
以上のように右側壁部34の前部に設けられた手摺部200に対して、ミラーステー210が設けられている。ミラーステー210は、正面視で所定の屈曲形状をなす屈曲板状の部材により構成されており、手摺部200の上端部近傍の位置から前方に向けて突出するように設けられている。
【0136】
ミラーステー210は、屈曲形状をなす部分として、水平状の上面部210aと、上面部210aの左側から直角状に下方に屈曲した鉛直状の側面部210bと、側面部210bの下側から直角状に右方に屈曲した水平状の下面部210cと、下面部210cの左側から直角状に下方に屈曲した鉛直状の垂下面部210dとを有する。
【0137】
ミラーステー210において、上面部210aと下面部210cとは、上下に互いに対向している。また、垂下面部210dは、右側面視で後上側を直角部側とした略直角三角形状を有し、上下方向に沿う後縁部210eを有する。ミラーステー210は、垂下面部210dの後縁部210eを、手摺部200の前側に沿わせた状態で、溶接等によって手摺部200に固定されている。
【0138】
このように手摺部200に固設されたミラーステー210に対して、ミラーアーム55が上下方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。ミラーアーム55は、所定の屈曲形状を有する棒状の部材により構成されており、ミラーアーム55の基端部には、上下方向を中心軸方向とするとともに上下両端を開口させた円筒状のボス部55aが設けられている。
【0139】
ミラーアーム55は、ボス部55aを、ミラーステー210の上面部210aと下面部210cとの間に介装させ、支持ボルト212により、ミラーステー210に対して上下方向の軸回りに回動可能に支持されている。支持ボルト212は、上面部210aの上側から、上面部210a、ボス部55aおよび下面部210cを貫通し、下面部210cから下方への突出部分に2つのナット213の螺合を受け、ミラーステー210に対して固定されている。このようなミラーアーム55の支持構成において、ミラーアーム55は、その基端側の部分を、ミラーステー210の上面部210aと下面部210cとの間に位置させている。
【0140】
バックミラー53は、ミラーステー210に固定された支持ボルト212に対してボス部55aを回動可能に支持させることで、ミラーステー210に対して上下方向を回動軸方向として水平方向に回動可能に支持されている。ボス部55aの後側には、バックミラー53の回動範囲を規制するストッパ板214が溶接等によって固定されている。ストッパ板214は、ボス部55aの後側から左後側に向けて突出しており、ミラーステー210の側面部210bの右側面に接触することで、バックミラー53の右方向(左右外方向)への回動を規制する。
【0141】
以上のようなバックミラー53の支持構成に対して、積層灯150Bは、積層板支持板220を介して支持固定されている。積層板支持板220は、平坦な板状部材であり、ミラーステー210の上側に固定されることで水平な面部を形成している。
【0142】
積層板支持板220は、左側の部分をミラーステー210の上面部210aに対して上側から重ね、支持ボルト212を貫通させることで、支持ボルト212の頭部と上面部210aとの間に挟持され、支持ボルト212とともにミラーステー210に固定されている。積層板支持板220は、上面部210aから右方に向けて延出し、積層灯150Bを載置支持する水平状の支持面部を形成している。
【0143】
積層板支持板220は、後側に、左側に対する円弧状の凹部220aをなすフック部220bを有する。積層板支持板220は、凹部220aに手摺部200を嵌合させた態様で、手摺部200に係合している。また、積層板支持板220は、ミラーステー210から右方への突出側の先端縁部を円弧形状部220cとしている。円弧形状部220cは、平面視で積層灯150Bの円形状の外形に沿う曲率の円弧形状を有する。
【0144】
積層板支持板220上に、積層灯150Bが載置支持される。積層板支持板220は、平面視で円形状の外形をなす積層灯150Bの全体を外形の範囲内に位置させる寸法を有する。積層灯150Bは、底面部152が接触する積層板支持板220の上面を載置面として積層板支持板220に固定支持されている。積層灯150Bは、積層板支持板220に対して、平面視で右側の円弧部分を円弧形状部220cに略一致させるように配置されている。
【0145】
積層灯150Bは、底面部152から突出した複数の(3本の)ネジ部156を積層板支持板220に対して上側から貫通させ、積層板支持板220の下側においてナット157にネジ部156を螺合させることで、積層板支持板220に締結固定されている。積層板支持板220には、ネジ部156を貫通させる複数の孔部220dが形成されている。また、積層板支持板220には、積層灯150の底面部152から延出される接続コード155を通すための開口部220eが形成されている。
【0146】
以上のような積層灯150Bの支持構成において、積層灯150Bは、上下方向について、上面部153をルーフパネル50の上面部50aの高さよりも下方に位置させる高さ位置に設けられている。詳細には、積層灯150Bは、上下方向について、発光表示部154の全体または略全体をルーフパネル50の側面部50bの高さ範囲内に位置させるように設けられている。
【0147】
また、積層灯150Bは、前後方向について、手摺部200の直前方の位置に配置されている。また、積層灯150Bは、左右方向について、ルーフパネル50の右側の側面部50bの右方近傍の位置に配置されている。
【0148】
以上のように、コンバイン1においては、キャビン30の左右両側に積層灯150が設けられることにより、コンバイン1の左側については、積層灯150Aにより、積層灯150が視認可能な領域がカバーされ、コンバイン1の右側については、積層灯150Bにより、積層灯150が視認可能な領域がカバーされる。これにより、2つの積層灯150の表示によってコンバイン1の状態を報知する構成において、コンバイン1の周囲における全方向から、つまり360°の範囲でどの位置からでも発光表示部154による表示態様の把握が可能となる。
【0149】
以上のような構成を備えた本実施形態に係るコンバイン1によれば、機体の各種状態の報知に用いられる表示を行うための積層灯150を、機体の外部から目視しやすい位置に配置することができるとともに強固に支持することができる。
【0150】
積層灯150Aは、キャビン30の後部の左方に位置するオーガレスト27に対して積層灯支持部160により支持された状態で設けられている。このような構成によれば、オーガレスト本体部170の配設部位をコンバイン1において比較的高い部分とするオーガレスト27に対し、積層灯支持部160の支持構造によって積層灯150Aをしっかりと支持することが可能となる。これにより、積層灯150Aをコンバイン1における上部に位置させることができ、積層灯150Aについて、コンバイン1の周囲やコンバイン1から離れた位置からでも良好な視認性を得ることができる。
【0151】
また、オーガレスト27に対して積層灯150Aを支持した構成によれば、積層灯150Aの支持に既存の構成を利用することができるので、積層灯150Aを支持するための構成を簡略化することができる。
【0152】
また、積層灯150Aは、上下方向について、収納状態の排出オーガ9の下方の位置に設けられている。このような構成によれば、排出オーガ9の移動軌跡に干渉しない位置に積層灯150Aを配置することができるので、積層灯150Aが排出オーガ9に接触することを回避することが可能となる。これにより、排出オーガ9の動作制御に影響を与えることなく、積層灯150Aによる表示を行うことができる。
【0153】
なお、積層灯150Aの上下方向の支持位置に関し、積層灯150Aの支持位置が高過ぎると、積層灯150Aが排出オーガ9の可動領域に干渉しやすくなり、積層灯150Aの支持位置が低過ぎると、積層灯150Aが脱穀部等に隠れて積層灯150Aの視認性が低下する。このため、積層灯150Aは、上下方向について、排出オーガ9の可動領域に干渉しない範囲で可及的に高い位置に配置されることが好ましい。
【0154】
また、積層灯150Aを支持するオーガレスト27は、高さ調節可能に設けられている。このような構成によれば、オーガレスト27の高さ調節にともない、積層灯150Aの高さを調節することが可能となる。これにより、排出オーガ9の動作範囲との関係で、積層灯150Aが排出オーガ9に接触することを効果的に回避することができるとともに、積層灯150Aを高い位置に配置することで、積層灯150Aについて良好な視認性を得ることができる。
【0155】
また、オーガレスト27を含む積層灯150Aの支持構成によれば、積層灯150Aがコンバイン1における最上部よりも低い位置に配置されることになるため、コンバイン1について良好な取扱い性を得ることができる。すなわち、積層灯150Aがルーフパネル50より上方に突出することがないため、例えば、コンバイン1の輸送に際して機体を移動させるときや、倉庫等にコンバイン1を収納するときに、積層灯150Aがコンバイン1の移動の障害となることを回避することができる。これにより、コンバイン1について良好な取扱い性を得ることができる。また、積層灯150Aがルーフパネル50より上方へ突出していないため、例えばルーフパネル50上を移動する排出オーガ9等の他の装置に積層灯150が干渉することを抑制することができる。
【0156】
また、コンバイン1においては、積層灯150Aに加えて、キャビン30の右側に積層灯150Bが設けられている。このような構成によれば、2つの積層灯150により、コンバイン1の周囲における全方向から積層灯150による表示内容を視認することが可能となる。
【0157】
積層灯150Bは、キャビン30の右前部に位置するバックミラー53の支持構成に対して支持された状態で設けられている。このような構成によれば、コンバイン1において比較的高い部分に位置するバックミラー53の支持構成に対して積層灯150Bをしっかりと支持することが可能となる。これにより、積層灯150Bをコンバイン1における上部に位置させることができ、積層灯150Bについて、コンバイン1の周囲やコンバイン1から離れた位置からでも良好な視認性を得ることができる。
【0158】
また、バックミラー53の支持構成に対して積層灯150Bを支持した構成によれば、積層灯150Bの支持に既存の構成を利用することができるので、積層灯150Bを支持するための構成を簡略化することができる。特に、本実施形態では、バックミラー53は、キャビン30の右側の前部に設けられた手摺部200に対してミラーステー210を介して設けられており、積層灯150Bは、ミラーステー210に対して積層板支持板220を介して立設状態で支持されている。このような構成によれば、既存の構成を効果的に利用することができるとともに、積層灯150Bを堅固に支持することが可能となる。
【0159】
積層灯150Bの支持高さについては、積層灯150Bがルーフパネル50より上方に突出することがない高さに設けることが好ましい。これにより、例えば、コンバイン1の輸送時や収納時に積層灯150Bがコンバイン1の移動の障害となることを回避することができ、コンバイン1について良好な取扱い性を得ることができる。
【0160】
また、バックミラー53が、ミラーアーム55の先端部においてミラー本体54を垂下状に支持した構成において、積層灯150Bは、ミラーアーム55の基端部の上方に設けられている(
図5参照)。このような構成によれば、キャビン30内の運転部12からのミラー本体54に対する視界を妨げることなく積層灯150Bを設けることができる。
【0161】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について、
図19から
図23を用いて説明する。なお、以下に説明する本発明の各実施形態では、第1実施形態と共通のまたは対応する構成については同一の名称または同一の符号を用い、重複する内容についての説明を適宜省略する。
【0162】
本実施形態は、キャビン30の右側に位置する積層灯150Bの配置および支持構成についての変形例である。本実施形態では、積層灯150Bは、バックミラー53のミラーアーム55に対して積層灯支持部250を介して設けられている。
【0163】
ミラーアーム55は、ミラーステー210に対する支持部である基端部から略前方に水平状に延伸したアーム部55bと、アーム部55bの前側から湾曲部を経て下方に向けて上下方向に沿うように形成された垂下部55cとを有する。垂下部55cの下側にミラー本体54が支持されている。
【0164】
積層灯支持部250は、ミラーアーム55に固設された取付金具251と、取付金具251に固定された支持ステー252とを有する。
【0165】
取付金具251は、側面視で後側を開放側とした略U字状をなす屈曲板状の部材であり、上下方向に対向した上下の水平状の支持面部251aと、これらをつなぐ鉛直状の固定面部251bとを有する。取付金具251は、ミラーアーム55の垂下部55cの前側において、支持面部251aの先端部(後端部)を垂下部55cに溶接等によって固定させた状態で設けられている。取付金具251は、ミラーアーム55の垂下部55cの前方(
図20における右方)に、上下の支持面部251aを介して垂下部55cに対して所定の間隔をあけて固定面部251bを位置させている。
【0166】
支持ステー252は、屈曲板状の部材により構成されており、上下方向に延伸した支柱部253と、支柱部253の上側に設けられた支持台部254とを有する。支持ステー252は、支柱部253および支持台部254により、側面視で略逆L字状をなしている(
図20参照)。
【0167】
支柱部253は、平面断面視で後側を開放側とした略U字状をなす屈曲板状の部材により構成されており、前後方向を板厚方向とした前面部253aと、前面部253aの左右両縁部から後側に向けて屈曲した左右の側面部253bとを有する。支柱部253の上端部において、左右の側面部253bは、下側から上側にかけて徐々に前後方向の寸法(側面部253bの幅寸法)を大きくした傾斜部253cを有する。
【0168】
支持台部254は、支柱部253の上端部から後方に向けて水平状に突出しており、積層灯150Bを載置支持する部分となる。支持台部254は、平面視で略矩形状の外形を有し積層灯150Bに対する水平状の載置支持面をなす支持面部254aと、支持面部254aの左右両側において支持面部254aに対して下方に向けて直角状に屈曲した屈曲面部254bとを有する。
【0169】
支持台部254を形成する部材の前部の左右の屈曲面部254b間に、支柱部253を形成する部材の上端部が嵌合した態様で、両部材が互いに溶接等により固定され、一体的な部材である支持ステー252が形成されている。
【0170】
支持ステー252は、支柱部253を取付金具251に固定させることで、ミラーアーム55に対して取り付けられている。詳細には、支持ステー252は、支柱部253の前面部253aを、取付金具251の固定面部251bに対して前側から重ね、固定ボルト256およびナット257により上下2箇所で取付金具251に締結固定されている。このため、取付金具251の固定面部251bおよび支柱部253の前面部253aには、それぞれ固定ボルト256を貫通させる孔部(支柱部253については孔部255)が形成されている。
図20等に示す例では、支持ステー252は、支柱部253の上部を取付金具251に固定させている。
【0171】
支持台部254においては、支持面部254a上に、積層灯150Bが載置支持される。支持面部254aは、平面視で円形状の外形をなす積層灯150Bの全体を外形の範囲内に位置させる寸法を有する。積層灯150Bは、底面部152が接触する支持面部254aの上面を載置面として支持面部254aに固定支持されている。
【0172】
積層灯150Bは、複数の(3本の)ネジ部156を支持台部254の支持面部254aに対して上側から貫通させ、支持面部254aの下側においてナット157にネジ部156を螺合させることで、支持面部254aに締結固定されている。支持面部254aには、ネジ部156を貫通させる複数の孔部254cが形成されている(
図22参照)。また、支持面部254aには、積層灯150Bの底面部152から延出される接続コード155を通すための開口部254dが形成されている(
図22参照)。
【0173】
以上のような積層灯150Bの支持構成において、積層灯150Bは、上下方向について、上面部153をルーフパネル50の上面部50aの高さと略同じ高さに位置させる高さ位置に設けられている(
図21参照)。したがって、積層灯150Bは、上下方向について、発光表示部154の全体または略全体をルーフパネル50の側面部50bの高さ範囲内に位置させるように設けられている。
【0174】
また、積層灯150Bは、前後方向について、バックミラー53のミラー本体54と略同じ位置に配置されている(
図19参照)。また、積層灯150Bは、左右方向について、キャビン30の右側壁部34を形成する右前窓部49の前上側の角部の右方近傍の位置に配置されている(
図19参照)。
【0175】
本実施形態に係る積層灯150Bの支持構成において、支持ステー252は、取付金具251に対して高さ調節可能に設けられている。支持ステー252は、取付金具251に対する支柱部253の固定位置を変えることで、高さを変化させる。
【0176】
具体的には、上下2箇所で固定ボルト256による固定を受ける支柱部253の前面部253aにおいて、固定ボルト256を貫通させる孔部255が、上下に2組設けられている。つまり、支柱部253においては、固定ボルト256を貫通させる孔部255として、取付金具251に対して支持ステー252を第1の高さ位置に固定させる上下2つの第1孔部255Aと、取付金具251に対して支持ステー252を第1の高さ位置よりも高い位置に固定させる上下2つの第2孔部255Bとが設けられている(
図21参照)。第1孔部255Aは、支柱部253の上部に形成されており、第2孔部255Bは、支柱部253の下部に形成されている。
【0177】
このように、支持ステー252は、支柱部253において第1孔部255Aおよび第2孔部255Bを有することで、上下方向について位置調節可能に設けられている。すなわち、ミラーアーム55に固設された取付金具251に対する支持ステー252の固定位置が、1組の第1孔部255Aによる低位置と、1組の第2孔部255Bによる高位置との2段階で調節される。
【0178】
支持ステー252の高さが調節されることで、支持ステー252上に支持された積層灯150Bの高さ位置が調節される。つまり、積層灯150Bは、支持ステー252の高さ調節にともなって、支持ステー252と一体的に高さを変化させる。したがって、積層灯150Bは、低位置と高い位置の2段階で高さ調節可能に設けられている。
【0179】
図19において、支持ステー252および積層灯150Bを高位置に位置させた状態を二点鎖線で示している。高位置に支持された状態の積層灯150Bは、発光表示部154の全体または略全体を、ルーフパネル50の上面部50aより上方に位置させる。
【0180】
積層灯150Bは、キャビン30の右前部に位置するバックミラー53のミラーアーム55に対して支持された状態で設けられている。このような構成によれば、コンバイン1において比較的高い部分に位置するバックミラー53に対して積層灯150Bをしっかりと支持することが可能となる。これにより、積層灯150Bをコンバイン1における上部に位置させることができ、積層灯150Bについて、コンバイン1の周囲やコンバイン1から離れた位置からでも良好な視認性を得ることができる。
【0181】
また、バックミラー53に対して積層灯150Bを支持した構成によれば、積層灯150Bの支持に既存の構成を利用することができるので、積層灯150Bを支持するための構成を簡略化することができる。特に、本実施形態では、積層灯150Bは、金属製の棒状部材により構成されたミラーアーム55に対して支持ステー252を介して立設状態で支持されている。このような構成によれば、既存の構成を効果的に利用することができるとともに、積層灯150Bを堅固に支持することが可能となる。
【0182】
また、手摺部200に設けられたミラーステー210に対して支持ボルト212により水平回動可能に設けられたバックミラー53に積層灯150Bを取り付けた構成によれば、バックミラー53の水平回動を用いて、積層灯150Bを収納状態にすることができる。
【0183】
具体的には、
図22に示すように、支持ボルト212による回動軸C1回りにバックミラー53を左右内側に向けて回動させることで(矢印C2参照)、バックミラー53が収納状態となり、これにともなって積層灯150Bが収納状態となる。積層灯150Bをバックミラー53とともに収納状態とすることができることにより、例えば、コンバイン1の輸送時や収納時に積層灯150Bがコンバイン1の移動の障害となることを回避することができ、コンバイン1について良好な取扱い性を得ることができる。
【0184】
また、積層灯150Bを支持する支持ステー252は、高さ調節可能に設けられている。このような構成によれば、積層灯150Bの高さを調節することが可能となる。これにより、排出オーガ9の動作範囲との関係で、積層灯150Bが排出オーガ9に接触することを回避することができるとともに、積層灯150Bを高い位置に配置することで、積層灯150Bについて良好な視認性を得ることができる。
【0185】
特に、積層灯150Bの支持位置としての高位置を、発光表示部154の全体がルーフパネル50の上面部50aより上方に位置する高さに設定した構成とすることができる。このような構成によれば、キャビン30の左側の積層灯150Aを省略して右側の積層灯150Bのみにより、コンバイン1の周囲における全方向から発光表示部154による表示態様の把握が可能となる。
【0186】
一方で、積層灯150Bの支持高さについて、積層灯150Bがルーフパネル50より上方に突出することがない支持高さとした構成とすることができる。このような構成によれば、例えば、コンバイン1の輸送時や収納時に積層灯150Bがコンバイン1の移動の障害となることを回避することができ、コンバイン1について良好な取扱い性を得ることができる。
【0187】
また、積層灯150Bは、ミラー本体54の上方に位置するミラーアーム55の垂下部55cの上方に設けられている。このような構成によれば、キャビン30内の運転部12からのミラー本体54に対する視界を妨げることなく積層灯150Bを設けることができる。
【0188】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について、
図24および
図25を用いて説明する。本実施形態に係るコンバインは、積層灯150として、キャビン30の左側に配置された1つの積層灯150Cを備える。積層灯150Cは、オーガレスト27に設けられた支持部である積層灯支持部360により支持された状態で設けられている。つまり、積層灯150Cは、オーガレスト27に対して積層灯支持部360を介して支持されている。積層灯150Cは、上下方向について、収納状態の排出オーガ9の上方に位置している。
【0189】
図24および
図25に示すように、積層灯支持部360は、オーガレスト27のオーガレスト支柱部171に取り付けられている。積層灯支持部360は、収納状態の排出オーガ9の左方かつ上方の位置に積層灯150Cを支持する。積層灯支持部360は、積層灯150Cを載置支持する水平状の支持台部361と、支持台部361をオーガレスト支柱部171に対して支持する支持ステー部362とを有する。なお、
図25においては、支持ステー部362の図示を省略している。
【0190】
支持台部361は、オーガレスト本体部170の左方の近傍に位置している(
図25参照)。これにより、支持台部361上に支持された積層灯150Cは、収納状態の排出オーガ9のオーガ本体部9aにおけるオーガレスト本体部170による支持部分の左方の近傍に位置する。支持台部361は、前後方向については、オーガレスト本体部170と略同じ位置に設けられている。
【0191】
支持台部361は、上下方向について、排出オーガ9のオーガ本体部9aの上端よりも高い位置に設けられている(
図24参照)。これにより、支持台部361上に支持された積層灯150Cは、その全体を、収納状態のオーガ本体部9aの上端よりも上方に位置させている。
【0192】
支持台部361は、平面視で略矩形状の外形を有し積層灯150Cに対する水平状の載置支持面をなす支持面部361aと、支持面部361aの前後両側において支持面部361aに対して下方に向けて直角状に屈曲した屈曲面部361bとを有する。支持面部361aは、平面視での矩形状の外形における一対の対向辺部を収納状態のオーガ本体部9aの延伸方向に沿わせるように、平面視で前後左右方向に対して傾斜状に設けられている。
【0193】
支持台部361は、第2実施形態に係る支持台部254と同様の形状部分であり、支持面部361a上に、積層灯150Cが載置支持される。積層灯150Cは、複数の(3本の)ネジ部を支持台部361の支持面部361aに対して上側から貫通させてナットに螺合させることで支持面部361aに締結固定されている。支持面部361aには、ネジ部を貫通させる複数の孔部と、積層灯150Cの底面部152から延出される接続コード155を通すための開口部とが形成されている。
【0194】
支持ステー部362は、水平状に延伸したアーム部363と、後面視で上下方向に延伸した支柱部364とを有し、アーム部363および支柱部364によって後面視で略L字状をなすように構成されている(
図24参照)。支持ステー部362は、例えば、アーム部363をなす板状の部材と、支柱部364をなす柱状の部材とを互いに連結させることにより構成されている。なお、支持ステー部362は、略L字状の一体の部材により構成された部分であってもよい。
【0195】
支持ステー部362は、アーム部363の基端側(右側)の部分をオーガレスト支柱部171に溶接やボルト等の固定具によって固定させた状態で設けられている。アーム部363は、オーガレスト支柱部171に対する固定部から左方に向けて延伸している。アーム部363は、その先端部が平面視でオーガレスト本体部170および収納状態のオーガ本体部9aに重ならない位置となるまで延伸している。支柱部364は、アーム部363の先端部から上方に向けて延伸しており、先端部(上端部)を収納状態のオーガ本体部9aより上方に位置させている。支柱部364の上端部に、溶接やボルト等の固定具によって支持台部361が固設されている。
【0196】
以上のような積層灯150Cの支持構成において、積層灯150Cは、その表示によってコンバイン1の状態を報知するため、コンバイン1の周囲における全方向から、つまり360°の範囲でどの位置からでも発光表示部154による表示態様が把握できるように設けられる。この点に関し、積層灯150Cは、上下方向について、少なくとも発光表示部154の全体を、キャビン30のルーフパネル50の上面部50aより上方に位置させるように設けられている。
【0197】
また、
図25に示すように、積層灯150Cは、前後方向について、ルーフパネル50の後端部と略同じ位置に配置されている。また、積層灯150Cは、左右方向について、オーガレスト本体部170の左方近傍の位置に配置されている。
【0198】
本実施形態に係るコンバイン1によれば、機体の各種状態の報知に用いられる表示を行うための積層灯150Cを、機体の外部から目視しやすい位置に配置することができるとともに強固に支持することができる。
【0199】
積層灯150Cは、オーガレスト27に対して積層灯支持部360により支持された状態で設けられている。このような構成によれば、オーガレスト27に対して積層灯支持部360の支持構造によって積層灯150Cをしっかりと支持することが可能となる。これにより、積層灯150Cをコンバイン1における上部に位置させることができ、積層灯150Cについて、コンバイン1の周囲やコンバイン1から離れた位置からでも良好な視認性を得ることができる。また、積層灯150Cの支持に既存の構成であるオーガレスト27を利用することができるので、積層灯150Cを支持するための構成を簡略化することができる。
【0200】
また、積層灯150Cは、上下方向について、収納状態の排出オーガ9の上方に位置している。そして、本実施形態では、積層灯150Cは、上下方向について、発光表示部154の全体がルーフパネル50の上面部50aより上方に位置するように設けられている。このような構成によれば、1つの積層灯150Cにより、コンバイン1の周囲における全方向から発光表示部154による表示態様の把握が可能となる。これにより、2つの積層灯150を備えた構成との比較において、積層灯150の本数が少なくなるため、その分コストの削減を図ることができる。
【0201】
コンバイン1において、主に使用される排出オーガ9の動作は、オーガレスト27による収納状態からの上方への回動および右方への回動となる。すなわち、平面視において、排出オーガ9の主な動作範囲は、収納状態における位置から右回転側(時計回り側)の動作範囲となる。そこで、本実施形態に係る積層灯150Cの支持構成は、オーガレスト27および収納状態の排出オーガ9に対して左方に設けられている。したがって、本実施形態においては、積層灯150Cおよび積層灯支持部360に対する排出オーガ9の干渉を回避する観点から、例えば、排出オーガ9の動作範囲をオーガレスト27による収納状態よりも上方かつ右方の範囲に制限するように排出オーガ9の動作制御が行われる。
【0202】
なお、本実施形態において、例えば、支持ステー部362を構成する支柱部364を上下方向について複数の部材による分割構造とするとともに部材間の固定位置を上下方向について複数設けた構造等にすることで、積層灯150Cを高さ調節可能に設けることができる。このような構成によれば、積層灯150Cをオーガレスト本体部170よりも低い高さに位置させることで、積層灯150Cが排出オーガ9に接触することを回避することができる。また、積層灯150Cを収納状態の排出オーガ9等よりも高い位置に配置することで、積層灯150Cについて良好な視認性を得ることができる。また、積層灯150Cの高さに関し、積層灯150Cがルーフパネル50より上方に突出することがない高さに位置させることで、例えば、コンバイン1の輸送時や収納時に積層灯150Cがコンバイン1の移動の障害となることを回避することができ、コンバイン1について良好な取扱い性を得ることができる。
【0203】
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係るコンバインは、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
【0204】
本技術は、以下のような構成を取ることができる。なお、以下に記載の構成は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
(1)
穀稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部から取り出された穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンク内の穀粒を排出する排出オーガと、を備えたコンバインであって、
コンバインの機体の各種状態の報知に用いられる表示を行う状態表示装置を備え、
前記状態表示装置は、前記排出オーガを収納状態とするオーガレストに支持された状態で設けられている
ことを特徴とするコンバイン。
(2)
前記状態表示装置は、上下方向について、収納状態の前記排出オーガの下方に位置するように設けられている
ことを特徴とする前記(1)に記載のコンバイン。
(3)
前記オーガレストは、前記排出オーガの支持位置を変化させるように高さ調節可能に設けられている
ことを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載のコンバイン。
(4)
前記状態表示装置は、上下方向について、収納状態の前記排出オーガの上方に位置している
ことを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のコンバイン。
【符号の説明】
【0205】
1 コンバイン
4 走行機体
5 刈取部
6 脱穀部
7 穀粒タンク
9 排出オーガ
27 オーガレスト
30 キャビン
50 ルーフパネル
53 バックミラー
55 ミラーアーム
150 積層灯(状態表示装置)
154 発光表示部
160 積層灯支持部
170 オーガレスト本体部
171 オーガレスト支柱部
175 前中央支柱
200 手摺部
210 ミラーステー
250 積層灯支持部
360 積層灯支持部