(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104632
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】飲用容器用洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47L 17/00 20060101AFI20240729BHJP
B67D 1/07 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A47L17/00 A
B67D1/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008956
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】芝田 悠月
(72)【発明者】
【氏名】荒川 真央
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB04
3E082CC03
3E082FF01
(57)【要約】
【課題】飲料供給装置から供給される飲料を受ける飲用容器を素早く洗浄できるようにする。
【解決手段】飲用容器用洗浄装置70は、飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置10に隣接する位置に設置されて、飲用容器を洗浄するための洗浄室72と、洗浄室72内にて開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態の飲用容器の内側に下側から洗浄水を噴射する洗浄ノズル80と、洗浄室72内で把持した状態の飲用容器内に洗浄ノズル80から洗浄水を噴射させる噴射手段とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に飲料を注ぎ入れる開口部を有する飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置に隣接する位置に設置され、
前記飲用容器を洗浄するための洗浄室と、
前記洗浄室内にて前記開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態の前記飲用容器の内側に下側から洗浄水を噴射する噴射口を有した洗浄ノズルと、
前記洗浄室内で把持した状態の飲用容器内に前記洗浄ノズルから洗浄水を噴射させる噴射手段とを備えたことを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記洗浄ノズルは下方に押動されると洗浄水を通過させる弁機構部を備えており、
前記噴射手段は、把持した状態の飲用容器により前記洗浄ノズルを下方に押動させることで前記弁機構部を開放させて前記洗浄ノズルの噴射口から洗浄水を噴射させるものであることを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記洗浄室には前記洗浄ノズルの上側で把持した状態の飲用容器の有無を検知する飲用容器センサを設け、
前記噴射手段は、前記飲用容器センサにより把持した状態の飲用容器があることを検知したときに前記洗浄ノズルから洗浄水を噴射させるように制御したものであることを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記洗浄ノズルは、前記飲用容器の外周面側の開口部周縁に洗浄水を噴射する開口部用噴射口を有したことを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項5】
請求項4に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記開口部用噴射口は、前記飲用容器の外周面側の開口部周縁に斜め上方から洗浄水を噴射するものであることを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記洗浄ノズルは、前記飲用容器の外周面側の開口部周縁に空気を噴射する開口部用空気噴射口を有したことを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項7】
請求項6に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記開口部用空気噴射口は、前記飲用容器の外周面側の開口部周縁に斜め上方から空気を噴射するものであることを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項8】
請求項3に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記飲料供給装置は湯または湯を原料水として用いた飲料を供給可能としたものであり、
前記洗浄ノズルの噴射口と開口部用噴射口の少なくとも一方から前記飲料供給装置から供給される湯を洗浄水として噴射したことを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【請求項9】
請求項1に記載の飲用容器用洗浄装置において、
前記洗浄ノズルには前記飲用容器に紫外線を照射する紫外線照射器を設けたことを特徴とする飲用容器用洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置に隣接する位置に設置されてコップ等の飲用容器を洗浄可能とする飲用容器用洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはカップ洗浄機能を有した飲料サーバが開示されている。この飲料サーバは、載置されたカップ(飲用容器)に飲料を注入する飲料注入室を備えた飲料サーバ本体と、載置されたカップに洗浄液を噴射する洗浄ノズルを有したカップ洗浄室とを備えた洗浄装置とから構成されている。飲料サーバ本体は、飲料注入室と、冷水を加熱する温水装置と、飲料の濃縮原液を収納するとともに濃縮原液を温水等と混合撹拌する飲料生成部とを備えている。飲料注入室にカップを置いて、飲料に応じた操作ボタンを操作すると、飲料の濃縮原液と温水が飲料生成部の撹拌部に送出され、飲料の濃縮原液と温水が撹拌部で撹拌混合されて生成された飲料は飲料注入室内のカップに注入される。
【0003】
洗浄装置は、カップ載置台を備えたカップ洗浄室と、カップ洗浄室に温風を噴射する乾燥装置と、噴射された温風を吸引する吸引装置とを備えている。カップ載置台の下部には洗浄水を噴射する2本の洗浄ノズルと温風を噴射する2本の温風ダクトが配設され、カップ載置台の上部には洗浄水を噴射する1本の洗浄ノズルと温風を噴射する1本の温風ダクトが配設されている。カップ載置台は、カップの開口部側を下方から支持する丸棒状の支持棒と、支持棒に直交するように配され先端がフック状に折曲された支持片と、カップの外周側面を支持する支持部材とを備えている。カップの開口部を下方に向けて開口部の一端を支持片に引っ掛けるようにして支持棒に載せると、カップはカップ洗浄室の下方前方へ傾斜した状態で3点支持され、カップの底部側となる支持部材に当接して支持される。この状態で、洗浄ボタンを操作すると、上下の洗浄ノズルからカップ載置台のカップに洗浄水が噴射され、洗浄水の噴射後に上下の温風ダクトから温風が噴射されるとともに、吸引装置を駆動させることにより吸引ダクトから温風の吸引を行ってカップの乾燥が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカップ洗浄機能を有した飲料サーバにおいては、洗浄装置のカップ洗浄室内でカップを洗浄するときに、カップ載置台にカップを載置してから、洗浄ボタンを操作することにより、カップに洗浄水を噴射させ、洗浄水を噴射させてから温風を噴射させている。この場合に、カップをカップ載置台に載置してから洗浄ボタンを操作してカップの洗浄が開始されており、カップを洗浄開始するまでに時間を要することになっていた。また、カップの洗浄工程後に必ず乾燥工程を実行しているので、カップの洗浄が完了するまでに時間を要することになっていた。さらに、カップは飲み口となる開口部側をカップ載置台を構成する支持棒及び支持片に接触させた状態で支持させているので、カップの飲み口側となる開口部側がカップ載置台を構成する支持棒及び支持片に接触し、ユーザが衛生的ではないと不快に感じるおそれがある。本発明は、飲料供給装置から供給される飲料を受ける飲用容器を素早く洗浄できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、上面に飲料を注ぎ入れる開口部を有する飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置に隣接する位置に設置され、飲用容器を洗浄するための洗浄室と、洗浄室内にて開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態の飲用容器の内側に下側から洗浄水を噴射する噴射口を有した洗浄ノズルと、洗浄室内で把持した状態の飲用容器内に洗浄ノズルから洗浄水を噴射させる噴射手段とを備えたことを特徴とする飲用容器用洗浄装置を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した飲用容器用洗浄装置は、上面に飲料を注ぎ入れる開口部を有する飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置に隣接する位置に設置されているので、飲料供給装置から飲料を供給する前の飲用容器や、供給された飲料を飲み終えた後の飲用容器を手軽に洗浄することができる。また、噴射手段は洗浄室内で把持した状態の飲用容器内に洗浄ノズルから洗浄水を噴射させるものであるので、飲用容器を洗浄室内に載置せずに把持したままで洗浄することができ、飲用容器を素早く洗浄することができるようになる。
【0008】
上記のように構成した飲用容器用洗浄装置においては、洗浄ノズルは下方に押動されると洗浄水を通過させる弁機構部を備えており、噴射手段は、把持した状態の飲用容器により洗浄ノズルを下方に押動させることで弁機構部を開放させて洗浄ノズルの噴射口から洗浄水を噴射させるものとしてもよい。このようにしたときには、飲用容器を把持した状態で洗浄室内に入れ、把持した飲用容器により洗浄ノズルを下方に押動させると弁機構部が開放され、把持した飲用容器内に洗浄ノズルから洗浄水が噴射されるので、飲用容器を素早く洗浄することができる。
【0009】
上記のように構成した飲用容器用洗浄装置においては、洗浄室には洗浄ノズルの上側で把持した状態の飲用容器の有無を検知する飲用容器センサを設け、噴射手段は、飲用容器センサにより把持した状態の飲用容器があることを検知したときに洗浄ノズルから洗浄水を噴射させるように制御してもよい。このようにしたときには、飲用容器を把持した状態で洗浄室内にて洗浄ノズルの上側に入れると、飲用容器内に洗浄ノズルから洗浄水が噴射され、飲用容器を素早く洗浄することができる。また、洗浄室内にて把持した飲用容器の飲み口側となる開口部側は洗浄ノズルや飲用容器を支持させる支持部材に接触しないので、飲用容器の飲み口側となる開口部側を清潔に保つことができるようになる。
【0010】
前項の飲用容器用洗浄装置においては、洗浄ノズルは、飲用容器の外周面側の開口部周縁に洗浄水を噴射する開口部用噴射口を有するのが好ましい。洗浄室内にて把持した飲用容器は、噴射口から噴射される洗浄水により洗浄できない飲料容器の外周面側の開口部周縁を開口部用噴射口から噴射される洗浄水により洗浄できるようになる。この場合において、開口部用噴射口は、飲用容器の外周面側の開口部周縁に斜め上方から洗浄水を噴射するのが好ましい。このようにしたときには、飲用容器の外周面側の開口部周縁に噴射された洗浄水を上側に飛散しにくくすることができる。
【0011】
前項の飲用容器用洗浄装置においては、洗浄ノズルは、飲用容器の外周面側の開口部周縁に空気を噴射する開口部用空気噴射口を有するのが好ましい。このようにしたときには、開口部用噴射口から飲用容器の外周面側の開口部周縁に噴射される洗浄水は開口部用エアノズルから噴射される空気によって飛ばされるようになり、飲用容器の外周面側の開口部周縁に洗浄水が残らないようにすることができる。この場合において、開口部用空気噴射口は、飲用容器の外周面側の開口部周縁に斜め上方から空気を噴射するのが好ましい。このようにしたときには、開口部用空気噴射口から噴射される空気により飲用容器の外周面側の開口部周縁から飛ばされた洗浄水は下側に流れやすくなり、洗浄水を周囲に飛散しにくくすることができる。
【0012】
飲用容器用洗浄装置においては、飲料供給装置は湯または湯を原料水として用いた飲料を供給可能としたものであり、洗浄ノズルの噴射口と開口部用噴射口の少なくとも一方から飲料供給装置から供給される湯を洗浄水として噴射するのが好ましい。洗浄ノズルの噴射口と開口部用噴射口の少なくとも一方から湯を洗浄水として噴射させたときには、洗浄水の洗浄力を高くすることができる。
【0013】
飲用容器用洗浄装置においては、洗浄ノズルには飲用容器に紫外線を照射する紫外線照射器を設けるのが好ましい。このようにしたときには、洗浄水により洗浄した飲用容器に紫外線照射器により紫外線を照射して殺菌することができ、飲用容器を一層衛生的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の飲用容器用洗浄装置を飲料供給装置の下側に設置した斜視図である。
【
図2】飲料供給装置のハウジングの前面パネルを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】飲料供給装置の左右方向の中央部を前後方向に沿って切断した縦方向断面図である。
【
図6】
図1の飲用容器用洗浄装置の洗浄室を拡大した斜視図である。
【
図8】コップを上側から羽根部に押し付けてノズル本体部とピストンを下側に移動させたときの洗浄ノズルの断面図である。
【
図9】第2実施形態の飲用容器用洗浄装置の洗浄室を下方から見た斜視図である。
【
図10】第2実施形態の飲用容器用洗浄装置の洗浄ノズルの斜視図である。
【
図12】第2実施形態の飲用容器用洗浄装置のときの飲料供給装置の給湯部と給水部とを示す概略図である。
【
図13】飲用容器用洗浄装置の制御装置のブロック図である。
【
図14】コップを洗浄ノズルの上側に移動させたときの洗浄ノズルの断面図である。
【
図15】飲料供給装置の貯湯タンクの湯を洗浄ノズルに供給するときの
図4に相当する概略図である。
【
図16】環状突出部に開口部用空気噴射口を設けたときの洗浄ノズルの斜視図である。
【
図17】ノズル本体部に紫外線照射器を設けたときの洗浄ノズルの縦方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の飲用容器用洗浄装置を飲料供給装置の下側に設置した実施形態を図面を参照して説明する。本発明の飲用容器用洗浄装置70は、茶等の飲料を供給する飲料供給装置10の隣接する位置として、飲料供給装置10の下側に隣接する位置に設置されるものであり、飲料供給装置10により供給される茶等の飲料を受けるコップ等の飲用容器を洗浄するためのものである。飲料供給装置10は、給茶機や飲料ディスペンサとも呼ばれるものであり、コップ等の高さの低い飲用容器だけでなくマイボトルと呼ばれる小型の水筒等の高さの高い飲用容器に湯や茶等の飲料を供給可能としたものである。
【0016】
図1~
図4に示したように、飲用容器用洗浄装置70の上側に設置された飲料供給装置10は、略直方体形状のハウジング11を備え、ハウジング11は前側が開口したハウジング本体12と、ハウジング本体12の前面開口を塞ぐ前面パネル13とから構成されている。前面パネル13はハウジング本体12の右側部に鉛直軸線回りに回動可能に軸支されており、ハウジング本体12の前側の開口は前面パネル13を回動することによって開放可能となる。
図2及び
図3に示したように、ハウジング11内の前後方向の中間部には仕切板14が設けられており、ハウジング11内の仕切板14に仕切られた前部には茶等の飲料を生成する飲料生成室15が形成され、ハウジング11内の仕切板14に仕切られた後部には機械室16が形成されている。
【0017】
図1及び
図2に示したように、前面パネル13の下部には左右方向の中央部に開口部13aが形成されており、飲料生成室15内の下部にはこの開口部13aが形成された位置に飲料を受ける飲用容器を載置する容器載置台20が設けられている。
図2及び
図3に示したように、容器載置台20は、容器を載置する載置部21と、載置部21の上側を覆うカバー部22と、載置部21に受皿部23とを備えている。載置部21は多数の通水孔が形成されるように格子状(簀の子状)に形成されており、載置部21に載置された飲用容器から溢出した飲料は格子状に形成された載置部21の通水孔を通って受皿部23で受けられる。受皿部23には排水管(図示省略)が接続されており、受皿部23で受けられた飲料は排水管を通って外側に排出される。
【0018】
図2及び
図3に示したように、飲料生成室15には容器載置台20の載置部21に載置した飲用容器内に飲料を供給する飲料供給部30が設けられている。飲料供給部30は、湯及び/または冷水(水)よりなる原料水と飲料の粉末原料とから飲料を生成する飲料生成部31と、飲料生成部31で生成した飲料を載置部21の飲用容器に案内する飲料ガイド35とを備えている。飲料生成部31は、飲料の粉末原料を貯える粉末原料容器32と、飲料の粉末原料と原料水を混合する混合容器33と、混合容器33内で粉末原料と原料水とを撹拌して混合させる撹拌装置34とを備えている。
【0019】
粉末原料容器32は、茶等の粉末よりなる飲料の粉末原料を貯えるものであり、飲料生成室15に設けたベース17に着脱可能に取り付けられている。粉末原料容器32内の飲料の粉末原料は内部に設けた搬出装置32aにより下側に配設した混合容器33内に搬出される。混合容器33は、粉末原料と湯及び/または冷水(水)よりなる原料水とを混合させる容器であり、飲料生成室15に設けたベース17に着脱可能に取り付けられている。混合容器33の底部には放出口33aが形成されており、混合容器33内で撹拌装置34により撹拌されて混合された飲料は放出口33aから下側に設けた飲料ガイド35に放出される。
【0020】
図2及び
図3に示したように、飲料ガイド35は飲料生成部31で生成した飲料を載置部21に載置した飲用容器に案内するものである。飲料ガイド35は、混合容器33の放出口33aの下側から載置部21の前部で左右方向の中央部まで延びる浅い箱形をし、載置部21のカバー部22の上側に支持されている。飲料ガイド35には載置部21の前部で左右方向の中央部の上側で下方に延びる円筒形をした飲料注出部35aが設けられており、混合容器33から飲料ガイド35に放出された飲料は飲料注出部35aから載置部21の飲用容器に注出される。
【0021】
機械室16には給湯部40と給水部50が設けられており、給湯部40と給水部50から供給される湯及び/または冷水(水)よりなる原料水はベース17に設けた原料水供給口(図示省略)から混合容器33内に供給される。
図4に示したように、給湯部40は、載置部21の飲用容器で受ける飲料の原料水となる湯を供給するものである。給湯部40は、飲料の原料水となる湯を貯える貯湯タンク41を備えており、貯湯タンク41には水道等の給水源から導出された第1給水管42が接続されている。第1給水管42には第1及び第2給水弁42a,42bが介装されており、加圧状態で供給される給水源の水は第1及び第2給水弁42a,42bを開放することによって貯湯タンク41に供給される。
【0022】
貯湯タンク41にはヒータ43と温度センサ44とが設けられている。ヒータ43は貯湯タンク41内の水(湯)を加熱して湯を生成するものである。温度センサ44は貯湯タンク41内の水(湯)の温度を検出するものである。ヒータ43は温度センサ44の検出温度に基づいて作動するように制御され、貯湯タンク41内の湯はヒータ43によって主に飲むのに適した温度となるように加熱(保温)されている。また、貯湯タンク41内には水位センサ45が設けられており、水位センサ45は貯湯タンク41内の水位を検出する。第1及び第2給水弁42a,42bは水位センサ45の検出水位によって開閉されるように制御され、貯湯タンク41内の水(湯)は所定の水位の範囲となるように維持されている。
【0023】
貯湯タンク41の下部には送湯管46が接続されており、送湯管46には送湯ポンプ47が介装されている。貯湯タンク41内の湯は送湯ポンプ47によって送湯管46に送られる。また、送湯管46には三方弁よりなる第1~第5湯送出弁48a~48eが介装されており、第1~第5湯送出弁48a~48eには第1~第5湯送出管49a~49eが接続されている。第1湯送出管49aの導出端部は左側の飲料供給部30の原料水供給口に接続されており、第2湯送出管49bの導出端部は左から2番目の飲料供給部30の原料水供給口に接続されており、第3湯送出管49cの導出端部は左から3番目の飲料供給部30の原料水供給口に接続され、第4湯送出管49dの導出端部は右側の飲料供給部30の原料水供給口に接続されている。第5湯送出管49eの導出端部は飲料ガイド35の飲料注出部(図示省略)に接続されている。
【0024】
送湯ポンプ47を作動させ、第1~第4湯送出弁48a~48dの何れか1つを開放させることで、貯湯タンク41内の湯は、送湯管46と、開放させた第1~第4湯送出弁48a~48dに対応する第1~第4湯送出管49a~49dとを通って混合容器33内に供給される。また、送湯ポンプ47を作動させ、第5湯送出弁48eを開放させることで、貯湯タンク41内の湯は送湯管46と第5湯送出管49eとを通って載置部21に載置した飲用容器に供給される。
【0025】
図4に示したように、給水部50は、載置部21の飲用容器で受ける飲料の原料水となる冷水(水)を供給するものである。給水部50は、飲料の原料水となる冷水を生成するための冷却タンク51を備えており、冷却タンク51には冷却水が貯えられている。また、冷却タンク51内には冷凍装置の蒸発管52が設けられており、冷却タンク51内の冷却水は冷凍装置の蒸発管52を循環する冷媒が気化する気化熱によって冷却されている。冷却タンク51内には原料水となる水を冷却するための水冷却管53が設けられている。
【0026】
水冷却管53の水の導入端部には第1給水管42の第1給水弁42aの直ぐ下流側(第1給水弁42aと第2給水弁42bの間)から導出した第2給水管54が接続されており、加圧状態で供給される水道等の給水源の水は第1給水管42の一部と第2給水管54を通って冷却タンク51内の水冷却管53に送出される。水冷却管53の水の導出端部には送水管55が接続されており、水冷却管53により冷却された冷水は送水管55に送出される。送水管55には4つの分岐部55a~55dが設けられており、分岐部55a~55dから導出された管部と送水管55の先端部55eには第1~第5冷水送出弁56a~56eが介装されている。第1~第5冷水送出弁56a~56eには第1~第5冷水送出管57a~57eが接続されており、第1~第5冷水送出管57a~57eの導出端部は第1~第5湯送出管49a~49eの中間部に接続されている。
【0027】
第1給水弁42aと第1~第4冷水送出弁56a~56dの何れか1つとを開放させることで、給水源の水は第1給水管42の一部と第2給水管54を通って冷却タンク51の水冷却管53に送られて冷却されて冷水となる。冷却タンク51内の水冷却管53で冷却された冷水は、送水管55と、開放させた第1~第4冷水送出弁56a~56dに対応する第1~第4冷水送出管57a~57dと、第1~第4冷水送出管57a~57dに対応して接続された第1~第4湯送出管49a~49dとを通って混合容器33内に供給される。また、第1給水弁42aと第5冷水送出弁56eとを開放させることで、給水源の水は、第1給水管42の一部と第2給水管54を通って冷却タンク51の水冷却管53に送られて冷却されて冷水となり、冷却タンク51内の水冷却管53で冷却された冷水は、送水管55と第5冷水送出管57eと第5湯送出管49eとを通って載置部21に載置した飲用容器に供給される。
【0028】
図5に示したように、飲料供給装置10は制御装置60を備えており、制御装置60は、搬出装置32a、撹拌装置34、第1及び第2給水弁42a,42b、ヒータ43、温度センサ44、水位センサ45、送湯ポンプ47、第1~第5湯送出弁48a~48e、第1~第5冷水送出弁56a~56e及び前面パネル13に設けた操作パネル部61に接続されている。
【0029】
制御装置60は、貯湯タンク41内の湯を用いた温飲料を飲用容器の容量に応じた量で供給する温飲料供給手段と、冷却タンク51内で冷却された冷水(水)を用いた冷飲料を飲用容器の容量に応じた量で供給する冷飲料供給手段とを備えている。温飲料供給手段は、飲料の粉末原料と湯よりなる原料水を混合容器33内で撹拌装置34により撹拌混合して生成した温飲料を載置部21の飲用容器に供給するものである。操作パネル部61を操作して温飲料を供給する温飲料供給手段を実行させたときには、制御装置60は、粉末原料容器32内の粉末原料を搬出装置32aにより混合容器33内に搬出させるとともに、送湯ポンプ47を作動させた状態で第1~4湯送出弁48a~48dの何れか1つを開放させることにより貯湯タンク41から湯よりなる原料水を混合容器33内に供給する。飲料の粉末原料と湯よりなる原料水は混合容器33内で撹拌装置34により撹拌されて温飲料が生成され、生成された温飲料は飲料ガイド35を通って載置部21の飲用容器に注出される。なお、温飲料供給手段は、湯よりなる原料水を温飲料として載置部21の飲用容器に供給するものであってもよい。
【0030】
冷飲料供給手段は、飲料の粉末原料と冷水よりなる原料水を混合容器33内で撹拌装置34により撹拌混合して生成した冷飲料を載置部21の飲用容器に供給するものである。操作パネル部61を操作して冷飲料を供給する冷飲料供給手段を実行させたときには、制御装置60は、粉末原料容器32内の粉末原料を搬出装置32aにより混合容器33内に搬出させるとともに、第1給水弁42aを開放させ、第1~第4冷水送出弁56a~56dの何れか1つを開放させることにより冷水よりなる原料水を混合容器33内に供給する。飲料の粉末原料と冷水よりなる原料水は混合容器33内で撹拌装置34により撹拌されて冷飲料が生成され、生成された冷飲料は飲料ガイド35を通って載置部21の飲用容器に注出される。なお、冷飲料供給手段は、冷水よりなる原料水を冷飲料として載置部21の飲用容器に供給するものであってもよい。
【0031】
次に、本発明の飲用容器用洗浄装置70について説明する。
(第1実施形態)
図1及び
図6に示したように、飲用容器用洗浄装置70は、主として飲料供給装置10から供給される飲料を受けるコップ等の飲用容器を洗浄するものである。飲用容器用洗浄装置70は、飲料供給装置10により飲料を飲用容器に供給する前に流し台等の洗浄場所に移動せずに飲用容器を洗浄できるようにしたものである。飲用容器用洗浄装置70は、略直方体形状のハウジング71を備えており、ハウジング71は飲料供給装置10を使用に適した高さ位置に設置している。ハウジング71の前面上部には左右方向の中央部に前側が開口した洗浄室72が形成されており、洗浄室72は飲料供給装置10の容器載置台20の真下に配置されている。洗浄室72は、コップ等の飲用容器を洗浄するための空間であり、この実施形態では、容器載置台20と同様にコップ等の高さの低い飲用容器だけでなく小型の水筒等の高さの高い飲用容器を入れて洗浄可能な高さとなっている。
【0032】
図6に示したように、洗浄室72の下部には洗浄ノズル80と、洗浄ノズル80から噴射されて飲用容器を洗浄後の洗浄水を受ける受皿部73とが配設されている。洗浄ノズル80は、コップ等の飲用容器に洗浄水を噴射するものであり、洗浄室72内で把持した状態の飲用容器内に洗浄水を噴射させるものである。
図4及び
図7に示したように、洗浄ノズル80は、洗浄室72の下部に配設したジョイント部材74を介して第1給水管42の第1給水弁42aよりも上流側から導出された洗浄水供給管75に接続されている。洗浄ノズル80は、ノズル本体部81と、ノズル本体部81に洗浄水を通過及び遮断をする弁機構部82とを備えている。ノズル本体部81は上下方向を軸線方向として延びる略柱形をしており、ノズル本体部81には上下方向を軸線方向として延びる洗浄水通路81aが形成されている。ノズル本体部81の上部には洗浄水通路81aに連通接続された5つ(複数)の噴射口81bが形成されており、洗浄水は洗浄水通路81aと噴射口81bとを通って上方に噴射される。ノズル本体部81の噴射口81bは、上下逆向きとして開口部が下側となる飲用容器の内側に下側から洗浄水を噴射可能としている。
【0033】
弁機構部82は、ノズル本体部81に洗浄水を通過及び遮断させるものであり、ノズル本体部81が上下に移動可能に挿通されたシリンダ83と、ノズル本体部81の下部に固定されてシリンダ83に上下に移動自在に挿通されたピストン84と、シリンダ83内のピストン84の外周に介装されてノズル本体部81を上方に付勢するばね部材85とを備えている。シリンダ83は上下方向を軸線方向として延びる略有底円筒形状をしており、シリンダ83は洗浄水供給管75に接続するためのジョイント部材74の内周部に嵌合されている。シリンダ83内の上部にはノズル本体部81の下部が上下に移動可能に挿通されており、ノズル本体部81の下部にはシリンダ83内にてピストン84の上部が螺着されている。
【0034】
ピストン84はシリンダ83内で上下方向に延出しており、ピストン84の下部はシリンダ83の底壁に形成された貫通孔83aから下側まで延出している。ピストン84には上下方向を軸線方向として延びる洗浄水通路84aが形成されており、ピストン84の洗浄水通路84aはノズル本体部81の洗浄水通路81aに連通接続されている。ピストン84の下端部にはシリンダ83の貫通孔83aよりも大きな径の頭部84bが形成されており、ノズル本体部81とこれに螺着されているピストン84は頭部84bがシリンダ83の底壁に係止することでシリンダ83の上側に抜け止めされている。ピストン84にはシリンダ83の下側にて頭部84bの上側にゴム材を用いた環状のパッキン部材86が設けられており、パッキン部材86はシリンダ83の底壁の貫通孔83aとピストン84との間を液密にシールしている。
【0035】
ピストン84の下端部にはパッキン部材86が介装された位置よりも上側に洗浄水の導入口84cが形成されており、洗浄水の導入口84cはピストン84の洗浄水通路84aに連通されている。シリンダ83内にはピストン84の外側にてノズル本体部81の底部とシリンダ83の底壁との間にばね部材85が介装されており、ばね部材85はノズル本体部81を上方に付勢している。ノズル本体部81の上部には水平方向にて放射状に延びる6つの羽根部87が設けられており、羽根部87はコップ等の飲用容器によりノズル本体部81を下方に押動させるのに用いられる。この飲用容器用洗浄装置70は、洗浄室72内で把持した状態の飲用容器内に洗浄ノズル80から洗浄水を噴射させる噴射手段として、把持した状態の飲用容器を羽根部87に上側から押し付けることで、把持した状態の飲用容器により洗浄ノズル80を下方に押動させることで弁機構部82を開放させて洗浄ノズル80から洗浄水を噴射させている。
【0036】
図7に示したように、洗浄ノズル80のノズル本体部81が下方に押動されていないときには、シリンダ83の底壁の貫通孔83aがパッキン部材86によりシールされ、ピストン84の下端部の導入口84cから洗浄水通路84aに洗浄水が導入されず、ノズル本体部81の噴射口81bから洗浄水は噴射されない。
図8に示したように、開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態のコップ等の飲用容器Cを把持した状態で、飲用容器の開口部周縁を羽根部87に押し付けるようにしてノズル本体部81を下方に押動させると、ノズル本体部81とともにピストンが84がばね部材85の付勢力に抗して下方に移動し、ピストン84の下端部の洗浄水の導入口84cがシリンダ83の底壁より下側に移動してジョイント部材74内に開放される。洗浄水供給管75からジョイント部材74内に送出される洗浄水は洗浄水の導入口84cからピストン84の洗浄水通路84aに流入し、ピストン84の洗浄水通路84aに流入した洗浄水はノズル本体部81の洗浄水通路81aを通って噴射口81bから上下を逆向きとした状態のコップ等の飲用容器Cの内側に噴射される。
【0037】
把持した飲用容器を羽根部87に押し付けた状態から解除して上側に持ち上げると、ばね部材85の付勢力によってノズル本体部81とともにピストン84が
図7に示した状態に戻るように上側に移動する。ピストン84の下端部の洗浄水の導入口84cはシリンダ83の底壁より上側に移動するとともに、シリンダ83の底壁の貫通孔83aがパッキン部材86により再びシールされるようになる。このように、把持した飲用容器を持ち上げると、洗浄水がノズル本体部81の噴射口81bから噴射されないようになり、飲用容器の洗浄が終了する。
【0038】
上記のように構成した飲用容器用洗浄装置70は、上面に飲料を注ぎ入れる開口部を有するコップ等の飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置10に隣接する位置に設置されて、飲用容器を洗浄するための洗浄室72と、洗浄室72内にて開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態の飲用容器の内側に下側から洗浄水を噴射する噴射口81bを有した洗浄ノズル80とを備えている。この飲用容器用洗浄装置70は、洗浄室72内で把持した状態の飲用容器内に洗浄ノズル80から洗浄水を噴射させる噴射手段として、把持した状態の飲用容器により洗浄ノズル80を下方に押動させることで弁機構部82を開放させて洗浄ノズル80の噴射口81bから洗浄水を噴射させるものである。
【0039】
飲用容器用洗浄装置70は、飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置10に上下に隣接する位置に設置されているので、飲料供給装置10から飲料を供給する前の飲用容器や、供給された飲料を飲み終えた後の飲用容器を手軽に洗浄することができる。また、飲料供給装置10の容器載置台20とは別の位置に洗浄室72を備えているので、容器載置台20に飲み残しの飲料が排出されないように促すことができ、容器載置台20を清潔に保つことができる。
【0040】
噴射手段は洗浄室72内で把持した状態の飲用容器内に洗浄ノズル80の噴射口81bから洗浄水を噴射させるものであるので、洗浄用の操作ボタン等を操作することなく、飲用容器を洗浄室72内に載置せずに把持したままで洗浄することができ、飲用容器を素早く洗浄することができるようになる。特に、飲用容器を把持した状態で洗浄室72内に入れ、把持した飲用容器を羽根部87の上側から下側に押し付けることで洗浄ノズル80を下方に押動させると、飲用容器内に洗浄ノズル80の噴射口81bから洗浄水が噴射され、飲用容器を素早く洗浄することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aについて説明する。第1実施形態の飲用容器用洗浄装置70の洗浄ノズル80は、下方に押動されると洗浄水を通過させる弁機構部82を備えており、噴射手段は、把持した状態の飲用容器により洗浄ノズル80を下方に押動させることで弁機構部82を開放させて洗浄ノズル80から洗浄水を噴射させるものである。これに対し、第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aは、洗浄室72Aには洗浄ノズル80Aの上側で把持した状態の飲用容器の有無を検知する飲用容器センサ73A,74Aを設け、噴射手段は飲用容器センサ73A,74Aにより把持した状態の飲用容器があることを検知したときに洗浄ノズル80Aから洗浄水を噴射させるように制御したものである。
【0042】
図9に示したように、第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aにおいては、洗浄室72には洗浄ノズル80Aの上側で把持した状態の飲用容器の有無を検知する飲用容器センサ73A,74Aが設けられている。飲用容器用洗浄装置70Aは、把持した状態の飲用容器が洗浄室72Aにあることを飲用容器センサ73A,74Aにより検知したときに洗浄ノズル80Aから洗浄水を噴射させるように制御している。洗浄室72Aの側壁と天井壁には飲用容器センサ73A,74Aが設けられており、飲用容器センサ73A、74Aはこの実施形態では赤外線センサが用いられている。飲用容器センサ73A,74Aは飲口側となる開口部側を下側として上下を逆向きにした飲用容器が洗浄ノズル80Aの上側に有ることを検知可能としている。なお、飲用容器センサ73A、74Aは、赤外線センサに限られるものでなく、超音波センサや測距センサ等を用いたものであってもよい。
【0043】
この実施形態では、洗浄室72Aの左右方向の長さは約200mmとなっており、洗浄室72Aの左側壁に設けた飲用容器センサ73Aは、側壁から中央部までの長さより短い長さの一例として、飲用容器センサ73Aから80mm以下の位置に対象物があることを検出することで、洗浄室72A内で洗浄ノズル80Aの上側に飲用容器が有ることを検知可能としている。洗浄室72A内にて洗浄ノズル80Aの上側に飲用容器を入れたときには、飲用容器が洗浄室72内にて洗浄ノズル80Aの上側に有ることが飲用容器センサ73Aにより検知される。なお、飲用容器センサ73Aは、洗浄室72Aの左側壁に設けられているが、これに限られるものでなく、洗浄室72Aの右側壁に設けるようにしてもよい。さらに、飲用容器センサ73Aを左右両側壁に設けるようにしたときには、飲用容器が入れられたことの検知精度を高くすることができる。
【0044】
飲用容器センサ74Aは、洗浄ノズル80Aの上側で把持した状態の飲用容器が有るのを検知するのに用いられるだけでなく、飲用容器の上下の向きを検知するのに用いられている。開口部を下側にして上下を逆向きした飲用容器を洗浄室72Aに入れたときには、飲用容器の開口部と反対側となる底部が洗浄室72Aの天井壁に近くなっているが、開口部を上側にした飲用容器を洗浄室72Aに入れたときには、飲用容器の開口部と反対側となる底部が洗浄室72の天井壁から離れることになる。この実施形態では、洗浄室72Aの高さは220mmとなっており、洗浄室72Aの天井壁に設けた飲用容器センサ74Aは洗浄室72Aの高さの略半分以下の位置の一例として飲用容器センサ74Aから170mm以下の位置に対象物として飲用容器の底部があることを検知可能としている。飲用容器の開口部が上側となって洗浄室72Aに入れられると、飲用容器の底部が洗浄室72の下部にあって飲用容器センサ74Aから170mm以上離れることになり、飲用容器の開口部が上側となって洗浄に適した向きとなっていないことが飲用容器センサ74Aにより検知される。これに対し、飲用容器の開口部が下側となって洗浄室72Aに入れられると、飲用容器の底部が洗浄室72の上部にあって飲用容器センサ74Aから170mm以上離れないようになり、飲用容器の開口部が下側となって洗浄に適した向きとなっていることが飲用容器センサ74Aにより検知される。
【0045】
図10及び
図11に示したように、第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aの洗浄ノズル80Aは、飲用容器を接触させることなく洗浄水を噴射可能としたものである。洗浄ノズル80Aは、円筒形のノズル本体部81Aと、ノズル本体部81Aの水平方向の外側を覆う外形が有底円筒形をした有底円筒部82Aとを備えている。ノズル本体部81Aは、上下方向を軸線方向として延びる略円筒形をしており、ノズル本体部81Aには上下方向を軸線方向として延びる洗浄水通路81Aaが形成されている。ノズル本体部81Aの上部には洗浄水通路81Aaに連通接続された5つ(複数)の噴射口81Abが形成されており、洗浄水は洗浄水通路81Aaと噴射口81Abとを通って上方に噴射される。ノズル本体部81Aの噴射口81Abは、上下を逆向きとして開口部が下側となる飲用容器の内側に下側から洗浄水を噴射可能としている。
【0046】
図11に示したように、有底円筒部82Aは、ノズル本体部81Aの水平方向の外側を覆う外形が有底円筒形をしており、開口部側が下側となるように上下を逆向きとした飲用容器の開口部周縁を水平方向にて外側から覆う大きさの径となっている。有底円筒部82Aの内部には洗浄水が通過する洗浄水通路82Aaが形成されており、有底円筒部82Aの洗浄水通路82Aaは、ノズル本体部81Aの洗浄水通路81Aaに連通接続されているとともに、第1給水管42の第1給水弁42aよりも上流側から導出された洗浄水供給管75Aに接続されている。
図12に示したように、洗浄水供給管75Aには第3給水弁76Aが介装されており、加圧状態で供給される給水源の水は第3給水弁76Aを開放することによって洗浄水として洗浄水供給管75Aから洗浄ノズル80Aに供給される。
【0047】
図10及び
図11に示したように、有底円筒部82Aの上部には飲用容器の外周面側の開口部周縁に洗浄水を噴射する12個の開口部用噴射口82Abが形成されている。開口部用噴射口82Abは、飲用容器の外周面側の開口部周縁に向けて斜め上方から洗浄水を噴射するように、有底円筒部82Aの中心部に向けて斜め下方に開口している。有底円筒部82Aの底部には排水口82Acが形成されており、有底円筒部82A内に流れ落ちた洗浄水は排水口82Acから排水管(図示省略)を通ってハウジング71の外側に排出される。
【0048】
図13に示したように、飲用容器用洗浄装置70Aは、飲用容器センサ73A,74A及び第3給水弁76Aに接続された制御装置77Aを備えており、制御装置77Aは飲用容器センサ73A,74Aの検知結果に基づいて第3給水弁76Aを開放するように制御している。具体的には、制御装置77Aは、飲用容器センサ73A,74Aにより洗浄室72A内にて洗浄ノズル80Aの上側に上下を逆向きとした状態の飲用容器があると検知されたときに、第3給水弁76Aを一定時間として例えば10秒間開放されるように制御している。なお、飲用容器用洗浄装置70Aは制御装置77Aによって飲用容器センサ73A,74Aの検知結果に基づいて第3給水弁76Aを開閉制御しているが、これに限られるものでなく、飲料供給装置10の制御装置60により飲用容器センサ73A,74Aの検知結果に基づいて第3給水弁76Aを開閉制御してもよい。
【0049】
図14に示したように、開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態のコップ等の飲用容器Cを把持した状態で、飲用容器Cの開口部周縁を洗浄ノズル80Aのノズル本体部81Aと有底円筒部82Aの間に入れると、飲用容器センサ73A,74Aにより洗浄室72A内にて洗浄ノズル80Aの上側に上下を逆向きとした状態の飲用容器Cがあると検知され、制御装置77Aは、第3給水弁76Aを10秒間開放させる。給水源の水は洗浄水供給管75Aからノズル本体部81Aの洗浄水通路81Aaと有底円筒部82Aの洗浄水通路82Aaに洗浄水として流入し、ノズル本体部81Aの洗浄水通路81Aaに流入した洗浄水は噴射口81Abから飲用容器Cの内側に噴射され、有底円筒部82Aの洗浄水通路82Aaに流入した洗浄水は開口部用噴射口82Abから飲用容器Cの外周面側の飲み口となる開口部周縁に噴射される。このように、第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aでは、飲用容器Cの内側が洗浄水により洗浄されるだけでなく、飲用容器Cの外周面側の飲み口となる開口部周縁も洗浄水により洗浄される。
【0050】
上記のように構成した第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aは、上面に飲料を注ぎ入れる開口部を有するコップ等の飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置10に隣接する位置に設置されて、飲用容器を洗浄するための洗浄室72Aと、洗浄室72A内にて開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態の飲用容器の内側に下側から洗浄水を噴射する噴射口81Abを有した洗浄ノズル80Aとを備えている。この飲用容器用洗浄装置70Aにおいては、洗浄室72Aには洗浄ノズル80Aの上側で把持した状態の飲用容器の有無を検知する飲用容器センサ73A,74Aを設け、洗浄室72A内で把持した状態の飲用容器内に洗浄ノズル80Aから洗浄水を噴射させる噴射手段として、飲用容器センサ73A,74Aにより把持した状態の飲用容器があることを検知したときに洗浄ノズル80Aから洗浄水を噴射させるように制御したものである。
【0051】
第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aにおいても、飲用容器に飲料を供給する飲料供給装置10に上下に隣接する位置に設置されているので、飲料供給装置10から飲料を供給する前の飲用容器や、供給された飲料を飲み終えた後の飲用容器を手軽に洗浄することができる。また、飲料供給装置10の容器載置台20とは別の位置に洗浄室72を備えているので、容器載置台20に飲み残しの飲料が排出されないように促すことができ、容器載置台20を清潔に保つことができる。
【0052】
噴射手段は飲用容器センサ73A,74Aにより把持した状態の飲用容器があることを検知したときに洗浄ノズル80Aから洗浄水を噴射させるように制御したものである。飲用容器を把持した状態で洗浄室72A内にて洗浄ノズル80Aの上側に入れると、飲用容器内に洗浄ノズル80Aの噴射口81Abから洗浄水が噴射され、飲用容器の内側を素早く洗浄することができる。また、洗浄室72A内にて把持した飲用容器の飲み口側となる開口部側は、上述した第1実施形態の洗浄ノズル80の羽根部87や飲用容器を支持させる支持部材等に接触しないので、飲用容器の開口部側を清潔に保つことができるようになる。
【0053】
第2実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aにおいては、有底円筒部82Aの上部に飲用容器の外周面側の開口部周縁に洗浄水を噴射する開口部用噴射口82Abを備えている。洗浄室72A内にて把持した飲用容器は、ノズル本体部81Aの噴射口81Abから噴射される洗浄水により洗浄されない外周面側の開口部周縁が有底円筒部82Aの開口部用噴射口82Abから噴射される洗浄水により洗浄されるので、開口部側となる飲み口を含めて飲用容器を洗浄することができるようになる。また、開口部用噴射口82Abは、飲用容器の外周面側の開口部周縁に斜め上方から洗浄水を噴射するものであるので、洗浄水は飲用容器の外周面側の開口部周縁に噴射されてから下側に流れやすくなり周囲に飛散しにくくなる。
【0054】
この第2実施形態では、ノズル本体部81Aの洗浄水通路81Aa及び有底円筒部82Aの洗浄水通路82Aaには洗浄水供給管75Aから給水源の水が供給されるようになっている。
図15に示した実施形態では、飲料供給装置10の貯湯タンク41から高温の湯を洗浄水として洗浄ノズル80Aに供給するようにしている。この場合には、貯湯タンク41から湯が供給される送湯管46に第6湯送出弁48fが介装され、第6湯送出弁48fに接続された第6湯送出管49fが洗浄水供給管75Aの代わりに洗浄ノズル80Aに接続されている。
【0055】
洗浄ノズル80Aに貯湯タンク41内の高温の湯を洗浄水として供給するようにした実施形態の飲用容器用洗浄装置70Aにおいては、開口部が下側となるように上下を逆向きとした状態のコップ等の飲用容器を把持した状態で、飲用容器の開口部周縁を洗浄ノズル80Aのノズル本体部81Aと有底円筒部82Aの間に入れると、飲用容器センサ73A,74Aにより洗浄室72A内に上下を逆向きとした状態の飲用容器があると検知され、制御装置77Aは、送湯ポンプ47を所定時間として10秒間作動させ、第6湯送出弁48fを10秒間開放させる。貯湯タンク41内の湯は第6湯送出管49fからノズル本体部81Aの洗浄水通路81Aaと有底円筒部82Aの洗浄水通路82Aaに湯よりなる洗浄水として流入し、ノズル本体部81Aの洗浄水通路81Aaに流入した湯よりなる洗浄水は噴射口81Abから飲用容器の内側に噴射され、有底円筒部82Aの洗浄水通路82Aaに流入した湯よりなる洗浄水は開口部用噴射口82Abから飲用容器の飲み口となる外周面側の開口部周縁に内側に噴射される。このように、洗浄水に貯湯タンク41内の高温の湯を用いることで、洗浄水の洗浄力を高めることができる。なお、ノズル本体部81Aの洗浄水通路81Aaと有底円筒部82Aの洗浄水通路82Aaとを分けることで、噴射口81Abと開口部用噴射口82Abとの一方で湯よりなる洗浄水を噴射させるようにしてもよい。
【0056】
この第2実施形態では、有底円筒部82Aの上部には12個の開口部用噴射口82Abを設け、12個の開口部用噴射口82Abから洗浄水を噴射させている。
図16に示した実施形態では、有底円筒部82Aの上部には6個の開口部用噴射口82Abと6個の開口部用空気噴射口82Adとが設けられている。この場合に、6個の開口部用噴射口82Abと6個の開口部用空気噴射口82Adとを交互に配置するのが好ましい。有底円筒部82Aの上部に開口部用空気噴射口82Adが設けられた実施形態では、有底円筒部82Aの内側に空気導入管(図示省略)が接続され、エアポンプ(図示省略)から送出される空気が開口部用空気噴射口82Adから噴出される。また、開口部用空気噴射口82Adも、開口部用噴射口82Abと同様に、飲用容器の外周面側の開口部周縁に向けて斜め上方から洗浄水を噴射するように、有底円筒部82Aの中心部に向けて斜め下方に開口している。開口部用空気噴射口82Adは有底円筒部82Aの中心部に向けて斜め下方に開口していることで、飲用容器の外周面側の開口部周縁に噴射された洗浄水は開口部用空気噴射口82Adから噴射される空気によって下側に流れ落ちやすくなり、飲用容器の外周面側の開口部周縁に洗浄水が残りにくくなる。なお、開口部用噴射口82Abから洗浄水を噴射させるタイミングと同じタイミングでエアポンプを作動させて開口部用空気噴射口82Adから空気を噴射させてもよいし、開口部用噴射口82Abから洗浄水を噴射させるタイミングよりも遅らせてエアポンプを作動させて開口部用空気噴射口82Adから空気を噴射させてもよいし、開口部用噴射口82Abから洗浄水を噴射後にエアポンプを作動させて開口部用空気噴射口82Adから空気を噴射させてもよい。この実施形態でも、前項に記載したように、開口部用噴射口82Abから湯よりなる洗浄水を噴射させてもよい。
【0057】
また、
図17に示したように、少なくともノズル本体部81Aを紫外線を透過可能な素材により形成し、紫外線を上方に照射する紫外線照射器83Aをノズル本体部81Aに設けるようにしてもよい。この場合には、飲用容器センサ73A,74Aにより洗浄室72A内に上下を逆向きとした状態の飲用容器があると検知されたときに、ノズル本体部81Aの噴射口81Abから洗浄水を噴射させるとともに、紫外線照射器83Aにより飲用容器の内側に紫外線を照射させるように制御する。紫外線照射器83Aにより飲用容器の内側に紫外線を照射することにより、飲用容器を洗浄しながら紫外線により殺菌をすることができるようになる。なお、ノズル本体部81Aに紫外線照射器を設けたものに限られるものでなく、有底円筒部82Aの上部に紫外線照射器を設け、飲用容器の外周面側の飲み口となる開口部周縁に紫外線を照射するようにしてもよい。
【0058】
飲用容器用洗浄装置70は、飲料供給装置10に隣接する位置として下側に隣接する位置に設置されているが、これに限られるものでなく、飲料供給装置10に隣接する位置として上側または左右に隣接する位置に設置されているものであってもよい。また、本発明は、上述した各実施形態を適宜に組み合わせたものであってもよい。
【0059】
10…飲料供給装置、70…飲用容器用洗浄装置、72,72A…洗浄室、80,80A…洗浄ノズル、81b,81Ab…噴射口、82Ab…開口部用噴射口、82Ad…開口部用空気噴射口、83…紫外線照射器。