(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104640
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240729BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008965
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根岸 廣人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友行
(72)【発明者】
【氏名】宮部 航太朗
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】
移動体の乗員と当該乗員に適した移動体外の通話相手とをマッチングすることを可能とする情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体を提供することを目的の1つとしている。
【解決手段】
移動体の移動計画に含まれる1または複数の場面を特定する場面特定部と、前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定部と、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に提示させる提示制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動計画を取得する移動計画取得部と、
前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定部と、
前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定部と、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、
前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記場面特定部は、前記移動計画において所定の属性の道路を移動する際の時刻に基づいて前記1または複数の場面を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記場面特定部は、前記移動計画における訪問地の訪問時刻に基づいて1または複数の場面を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記場面特定部は、前記移動計画における時刻に基づいて前記1または複数の場面を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記要求推定部は、前記1または複数の場面の各々における前記移動体の移動予定位置、移動予定時刻または移動が予定される道路の属性に基づいて前記場面毎の要求事項を推定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記乗員に関する情報及び前記通話相手情報の各々は互いに対応する複数の対応項目を含み、前記抽出部は、前記複数の対応項目のうちの前記場面毎の要求事項に基づいて決まる1または複数の対応項目を用いて前記場面毎の適合度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記乗員に関する情報及び前記通話相手情報の各々は互いに対応する複数の対応項目を含み、前記抽出部は、前記場面毎の要求事項に基づいて前記対応項目毎に重み付けを行って前記場面毎の適合度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通話相手情報は、前記複数の通話相手候補の各々の土地勘のある地域を示す項目を含み、
前記乗員に関する情報は前記場面毎の移動区間を含み、
前記抽出部は、前記移動区間及びその周辺の情報の取得が前記場面毎の要求事項に含まれる場合に、前記土地勘のある地域と、前記場面毎の前記移動区間との共通度を用いて前記場面毎の適合度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通話相手情報は、前記複数の通話相手候補の各々が前記乗員との前記通話が可能な日時である対応可能日時を示す項目を含み、
前記乗員に関する情報は前記場面毎の移動時間帯を含み、
前記抽出部は、前記複数の通話相手候補のうち、前記対応可能日時に前記場面毎の前記移動時間帯が含まれる1又は複数の通話相手候補の各々と、前記乗員との前記場面毎の適合度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記場面特定部は、前記場面の特定の際に、前記1または複数の場面の各々の開始予定時刻を特定し、かつ、前記1又は複数の場面の特定後、前記移動体の前記移動計画に基づく計画移動中において、前記1又は複数の場面のうちの未だ開始していない場面の開始時刻を、前記開始予定時刻を前記計画移動の進行状況に基づいて修正した修正開始時刻として算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記提示制御部は、前記開始予定時刻と、前記修正開始時刻との差分が所定時間以上である場合に、前記開始時刻の変更を前記推奨通話相手に対して提示させる提示制御を行うことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
移動体の移動計画を取得する移動計画取得ステップと、
前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定ステップと、
前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定ステップと、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、
前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、
移動体の移動計画を取得する移動計画取得ステップと、
前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定ステップと、
前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定ステップと、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、
前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、
を実行させるための情報処理プログラム。
【請求項14】
コンピュータを備える情報処理装置に、
移動体の移動計画を取得する移動計画取得ステップと、
前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定ステップと、
前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定ステップと、
前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、
前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、
を実行させるための情報処理プログラムを記憶するコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体に関し、例えば、移動体内の人と移動体外の人との間の通話に関する情報処理を行う情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば需要側と供給側といった、互いに異なるグループに属する者同士を結び付けるマッチングを行う装置が提案されている。例えば、特許文献1には、旅行者が登録した旅行者情報とガイドが登録したガイド情報との共通度合を求め、該共通度合に応じて旅行者とガイドとの組み合わせを抽出するガイドマッチングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記したようなマッチングを、移動体の乗員と当該移動体の乗員の通話相手となる移動体外の人との間で行う場合を考える。移動体の移動や時間の経過によって移動体における状況は変わるため、単に、上記文献のように移動体の乗員が予め登録した情報と、通話相手の候補者が予め登録した情報とを用いてマッチングを行うと良好な結果を得られない場合があることが課題の1つとして挙げられる。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、移動体の乗員と当該乗員に適した移動体外の通話相手とをマッチングすることを可能とする情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、移動体の移動計画を取得する移動計画取得部と、前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定部と、前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定部と、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御部と、を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
請求項12に記載の発明は、情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、移動体の移動計画を取得する移動計画取得ステップと、前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定ステップと、前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定ステップと、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を含むことを特徴とする情報処理方法である。
【0008】
請求項13に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、移動体の移動計画を取得する移動計画取得ステップと、前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定ステップと、前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定ステップと、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を実行させるための情報処理プログラムである。
【0009】
請求項14に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置に、移動体の移動計画を取得する移動計画取得ステップと、前記移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定ステップと、前記場面毎の状況に基づいて、前記移動体の乗員が前記移動体外の通話相手との通話に求める前記場面毎の要求事項を推定する要求推定ステップと、前記乗員に関する情報と、前記通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、前記場面毎の要求事項と、に基づいて、前記乗員と前記複数の通話相手候補の各々との前記場面毎の適合度を算出することで、前記複数の通話相手候補の中から前記場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、前記場面毎の前記推奨通話相手を前記乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を実行させるための情報処理プログラムを記憶するコンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る情報処理システムの概略を示す模式図である。
【
図2】実施例に係る自動車の前席部分の構成を示す図である。
【
図3】実施例に係る車載装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施例に係る外部装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】実施例に係るサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】実施例に係るサーバ装置が受信する情報の一例を示す図である。
【
図8A】実施例に係るサーバ装置によって特定される場面の一例を示す図である。
【
図8B】実施例に係るサーバ装置によって特定される場面の一例を示す図である。
【
図9】実施例に係るサーバ装置が保持する通話相手情報の一例を示す図である。
【
図10】実施例に係るサーバ装置が保持する乗員情報の一例を示す図である。
【
図11】実施例に係るサーバ装置によるニーズの推定に用いられるテーブルの一例を示す図である。
【
図12】実施例に係るサーバ装置によるマッチングに用いられる対応項目の一例を示す図である。
【
図13】実施例に係るサーバ装置によるマッチングに用いられる場面毎の対応項目の一例を示す図である。
【
図14】実施例に係るサーバ装置によるマッチングにおける重み付けの一例を示す図である。
【
図15】実施例に係る情報処理システムによって実行される情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図16】実施例に係るサーバ装置によって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図17】実施例に係る提示画面の一例を示す図である。
【
図18】実施例に係るサーバ装置によって実行される情報処理の他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0012】
実施例に係る情報処理装置を含む情報処理システム100の構成について添付図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、情報処理システム100の構成の概要を示している。
図1に示すように、情報処理システム100は、車載装置10、外部装置30及び情報処理装置としてのサーバ50を含んで構成されている。なお、
図1においては、車載装置10が移動体の一例としての自動車Mに搭載されている場合を示している。また、
図1においては、外部装置30の一例として、スマートフォンを示している。
【0014】
車載装置10、外部装置30及びサーバ50は、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IPや、UDP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワークNWは、例えば、移動体通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信及び有線通信を含むインターネット通信により構築され得る。
【0015】
情報処理システム100において、車載装置10によって取得された自動車Mにおける映像及び音声を、外部装置30に送信し、外部装置30によって取得された音声を車載装置10に送信する音声映像通信が可能である。
【0016】
本実施例の情報処理システム100においては、車載装置10と外部装置30との間で音声通話が確立された上で、車載装置10から自動車Mにおいて撮影された映像が外部装置30に配信される。
【0017】
以下の説明において、上記のように、車載装置10と外部装置30との間での音声通話を確立させつつ、自動車Mにおいて撮影された映像を車載装置10から外部装置30に配信する通信態様を音声映像通信の一態様としてのビデオ通信と称する。
【0018】
このようなビデオ通信が行われることで、車載装置10から送信される映像を視聴している外部装置30のユーザは、あたかも自動車Mの運転者と自動車Mに同乗しているような感覚を得ることができる。言い換えれば、ビデオ通信によって、外部装置30のユーザの自動車Mへの仮想同乗を実現することができる。また、このようなビデオ通信を実現可能な本実施例の情報処理システム100のようなシステムを仮想同乗システムとも称する。
【0019】
本実施例において、車載装置10と外部装置30とは、サーバ50を介してビデオ通信を行っている。サーバ50は、車載装置10と外部装置30との間で音声通話を確立させ、かつ、自動車Mにおいて撮影され車載装置10によって取得された映像を車載装置10から受信し、当該映像を外部装置30に送信することが可能である。
【0020】
従って、運転者及び同乗者を含む自動車Mの乗員と、外部装置30のユーザとが、ビデオ通信によって通話を行うことができる。当該通話において、外部装置30のユーザは、自動車Mの乗員に対して、例えば、運転が単調で退屈なときに話し相手になる、運転が難しい場合に運転のアドバイスをする、現在地付近の飲食店に関する情報を提供するといった役割を果たすことができる。上記のような役割から、本実施例において、自動車Mの乗員の通話相手としての外部装置30のユーザをガイド又はコンパニオンとも称する。
【0021】
サーバ50は、自動車Mの乗員がビデオ通信によって通話する通話相手として推奨される外部装置30のユーザである推奨通話相手を、当該乗員と複数の通話相手候補の各々とのマッチングを行って抽出し、当該乗員に提示することが可能である。本実施例において、乗員が運転者である場合を中心に説明する。
【0022】
本実施例において、自動車Mの運転者に推奨される通話相手とは、当該運転者が通話相手との通話に求める要求事項であるニーズを満たし得る相手とする。運転者のニーズは、例えば、コンパニオンに提供して欲しい情報又は話題等を含む。
【0023】
また、本実施例において、運転者が予め訪問地や経路を定めた移動計画に沿って移動する際に、事前にマッチングを経て予約した通話相手との間でビデオ通信を行って通話することを想定している。本実施例において、移動計画に沿った移動では、高速道路を移動する場面、観光地を訪問する場面等、場面(シーン)が変わる毎に運転者のニーズも変わることに着目し、場面毎のニーズを推定して、当該推定したニーズをマッチングのパラメータとして用いる。
【0024】
以下、本実施例においては、車載装置10がカーナビゲーション装置である場合を例に説明する。また、本実施例においては、車載装置10が、ユーザが案内を希望する目的地をユーザから受け付け、当該目的地をサーバ50に送信し、サーバ50が目的地への経路を生成する、いわゆるクラウド型のカーナビゲーション装置の端末装置である場合を例に説明する。
【0025】
図2は、車載装置10を搭載している自動車Mの前席付近を示す斜視図である。
図2では、取り付け例として、自動車Mの前席のダッシュボードDB内に車載装置10が取り付けられている場合を示す。
【0026】
GPS受信機11は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(GPS信号)を受信する装置である。GPS受信機11は、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。なお、GPS受信機11は、GPS信号が受信できればどこに配されていてもよい。GPS受信機11は、受信したGPS信号を車載装置10に送信することが可能である。車載装置10は、GPS信号を用いて自動車Mの現在位置情報を取得する。
【0027】
車外カメラ13は、自動車Mの前方を撮影する撮像装置である。本実施例において、車外カメラ13は、前方が撮影方向となる様にダッシュボードDBに配されている。例えば、車外カメラ13は、フロントガラスを介して自動車Mの前方を撮影可能である。なお、車外カメラ13は、ルームミラーRMの近傍に設けられても良く、フロントガラスFGの内側に取り付けられていてもよい。ビデオ通信時には、車外カメラ13によって撮像された映像が、外部装置30に配信される。
【0028】
車内カメラ14は、自動車Mの内部を撮影する撮像装置である。本実施例において、車内カメラ14は、フロントガラスFGの上端または当該上端付近の天井部に設けられている。例えば、車内カメラ14は、自動車Mの運転者を撮影可能である。例えば、車内カメラ14は、自動車Mの助手席や後部座席を含めた自動車Mの内部を撮影可能に設けられていてもよい。
【0029】
例えば、車内カメラ14によって撮像された映像は、ビデオ通信時に、車外カメラ13によって撮像された映像とともに、外部装置30に配信される。例えば、外部装置30において、車外カメラ13の画像と車内カメラ14の画像とが、ユーザの選択によって切り換えて表示されてもよく、並べて表示されてもよい。
【0030】
タッチパネル15は、例えば、映像を表示可能な液晶ディスプレイ等のディスプレイとタッチパッドとが組み合わされたタッチパネルモニターである。タッチパネル15は、例えば、ダッシュボードDBのセンターコンソールに配されている。タッチパネル15は、運転者から視認できかつ運転者の手が届く場所に配されていればよい。例えば、タッチパネル15は、ダッシュボードDB上に取り付けられていてもよい。
【0031】
タッチパネル15は、車載装置10の制御に基づいて画面表示を行うことが可能である。また、タッチパネル15は、ユーザから受け付けたタッチパネル15への入力操作を表す信号を車載装置10に送信することが可能である。例えば、タッチパネル15には、カーナビゲーションの案内表示がなされても良い。また、タッチパネル15を介して、目的地を設定する等、カーナビゲーション機能に関する操作が可能であってもよい。
【0032】
また、タッチパネル15には、ビデオ通信に関する情報が表示されてもよく、コンパニオン(通話相手)の提示をリクエストするための操作の受付画面やマッチングによって抽出された推奨コンパニオン(推奨通話相手)を提示する画面が表示されてもよい。例えば、自動車Mの乗員はタッチパネル15への入力操作によって、提示された複数の推奨コンパニオンの中からビデオ通信を行う相手を選択してもよい。
【0033】
スピーカ17は、例えば、AピラーAPの室内側に設けられている。スピーカ17は、車載装置10の制御に基づいて音楽や音声等の音を発することが可能である。ビデオ通信時において、スピーカ17からは、音声通話における外部装置30からの音声が発せられる。
【0034】
また、推奨コンパニオンの運転者への提示が音声によって行われる場合に、推奨コンパニオンを示す情報、例えば推奨コンパニオンの各々の名前及び簡単なプロフィールを読み上げた音声がスピーカ17から発せられる。また、推奨コンパニオンの提示の際に、事前に録音された推奨コンパニオン自身の声によるメッセージが発せられてもよい。
【0035】
マイク19は、車内の音を受音するマイク装置であり、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。マイク19は、車内の音を受音可能であれば、ルームミラーRMまたはハンドル等、どこに設けられていてもよい。ビデオ通信時において、マイク19に収音された音声が音声通話の音声として外部装置30に送信される。
【0036】
また、推奨コンパニオンの提示を求める操作入力や、提示された推奨コンパニオンの中からビデオ通信を行う相手を選択する操作入力が、マイク19を介して音声によって行われてもよい。
【0037】
なお、上記の推奨コンパニオンの選択等に関する音声による入力操作又はタッチパネル15を介した入力操作は、車載装置10を介して行われる場合に限られず、自動車Mの乗員が使用するスマートフォン等の端末を介して行われてもよい。
【0038】
図3は、車載装置10の構成を示すブロック図である。例えば、車載装置10は、システムバスを介して、記憶部23と、制御部25と、通信部27と、が協働する装置である。
【0039】
また、自動車Mには加速度センサ21が搭載されている。加速度センサ21は、自動車Mの加速度を測定可能であり、当該測定された加速度を示す信号を出力可能である。加速度センサ21は、自動車Mの上方から見て自動車Mの進行方向、すなわち前後方向の加速度を検出可能なセンサである。また、加速度センサは、例えば、自動車Mの進行方向と垂直な横方向(幅方向)の加速度を検出可能である。車載装置10は、例えば、GPS受信機11からのGPS信号に加えて、加速度センサ21のセンサ信号が示す加速度に基づいて、自動車Mの現在位置情報を取得してもよい。
【0040】
記憶部23は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成される記憶デバイスである。記憶部23は、オペレーティングシステムや、端末用のソフトウェア等の、車載装置10において実行される各種プログラムを記憶する。
【0041】
各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、記憶部23に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0042】
また、記憶部23は、道路地図を含む地図情報を記憶している。当該地図情報は、例えば、カーナビゲーションの案内表示に使用される。
【0043】
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、コンピュータとして機能する。制御部25は、CPUがROMや記憶部23に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。本実施例においては、制御部25によって、ビデオ通信時の音声通話及び動画配信機能、並びにカーナビゲーション機能等が発揮される。
【0044】
制御部25は、自動車Mに備えられている各種機器、すなわち、GPS受信機11、車外カメラ13、車内カメラ14、タッチパネル15、スピーカ17、マイク19、及び加速度センサ21と通信可能に接続されている。制御部25は、自動車Mに備えられている各種機器からデータを取得する。また、制御部25は、自動車Mに備えられている各種機器にデータを供給する。
【0045】
具体的には、制御部25は、GPS受信機11からのGPS信号を逐次取得する。また、制御部25は、加速度センサ21によって計測された加速度を示す信号を逐次取得する。制御部25は、例えば、GPS信号及び加速度センサからの信号に基づいて自動車Mの現在位置情報を取得する。
【0046】
制御部25は、車外カメラ13及び車内カメラ14によって撮像された映像を逐次取得する。制御部25は、タッチパネル15になされた入力操作を表す信号を取得する。また、制御部25は、タッチパネル15に表示する画像データを供給する。制御部25は、スピーカ17に音声データを供給する。また、制御部25は、マイク19によって収音された自動車Mにおける音声を逐次取得する。
【0047】
通信部27は、制御部25の指示に従って外部機器とのデータの送受信を行う通信装置である。通信部27は、例えば、ネットワークNWに接続するためのNIC(Network Interface Card)である。
【0048】
通信部27は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータをサーバ50との間で送受信する。また、通信部27は、サーバ50を介して種々のデータを外部装置30との間で送受信する。
【0049】
例えば、制御部25は、通信部27を介して、車載装置10のユーザである自動車Mの乗員によって入力された目的地を含む情報をサーバ50に送信し、サーバ50から、当該目的地への経路情報またはナビゲーション情報を受信可能である。
【0050】
制御部25は、ビデオ通信中、通信部27を介して、車外カメラ13又は車内カメラ14によって撮像された映像をサーバ50に逐次送信する。制御部25は、ビデオ通信中、通信部27を介して、外部装置30からサーバ50を介して音声データを受信し、マイク19によって収音された自動車M内の音声をサーバ50に逐次送信する。
【0051】
制御部25は、例えば、自動車Mの移動中、通信部27を介して、GPS信号及び加速度センサからの信号に基づいて取得した自動車Mの現在位置情報をサーバ50に逐次送信する。
【0052】
制御部25は、例えば、通信部27を介して、乗員によって入力されたビデオ通信に関する情報をサーバ50に送信する。例えば、制御部25は、タッチパネル15又はマイク19を介して乗員によって入力された、推奨コンパニオンの提示を求めることを示す情報や提示された中から選択された推奨コンパニオンを示す情報をサーバ50に送信する。
【0053】
制御部25は、例えば、通信部27を介して、マッチングによって抽出された推奨コンパニオンを提示するための画像を受信し、当該受信した画像をタッチパネル15に供給する。
【0054】
図4は、外部装置30の正面図である。上述のように、本実施例において、外部装置30はスマートフォンである。
【0055】
タッチパネル31は、例えば、映像を表示可能な液晶ディスプレイ等のディスプレイとタッチパッドとが組み合わされたタッチパネルモニターである。タッチパネル31は、ユーザから受け付けたタッチパネル31への入力操作を表す信号を生成することが可能である。
【0056】
本実施例において、タッチパネル31には、ビデオ通信中に車載装置10から配信された映像が表示される。外部装置30のユーザは、ビデオ通信中、タッチパネル31に表示された映像を見ながら自動車Mの運転者と通話をすることが可能である。
【0057】
また、タッチパネル31には、ビデオ通信に関する情報が表示される。例えば、タッチパネル31には、外部装置30のユーザが自動車Mの運転者の通話相手として選ばれたことを示す画面が表示される。外部装置30のユーザは、タッチパネル31への入力操作によって、ビデオ通信を開始することが可能である。
【0058】
スピーカ33は、音楽や音声等の音を発することが可能である。ビデオ通信時において、スピーカ33からは、音声通話における車載装置10からの音声が発せられる。
【0059】
マイク35は、外部装置30に向けて発せられた音を受音するマイク装置である。ビデオ通信時において、マイク35によって収音された音声が音声通話の音声としてサーバ50を介して車載装置10に送信される。
【0060】
図5は、外部装置30の構成の一例を示すブロック図である。例えば、外部装置30は、システムバス(図示せず)を介して、記憶部37と、制御部39と、通信部41と、が協働する装置である。
【0061】
記憶部37は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、オペレーティングシステムや、外部装置30用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0062】
なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、記憶部37に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0063】
制御部39は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPUがROMや記憶部37に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0064】
制御部39は、タッチパネル31、スピーカ33及びマイク35に通信可能に接続されている。制御部39は、タッチパネル31への入力操作を示す信号及びマイク35からの音声入力信号を受信することが可能である。例えば、制御部39は、タッチパネル31及びマイク35によってユーザからなされたビデオ通信の開始のための入力操作を受け付けることが可能である。
【0065】
また、制御部39は、タッチパネル31に映像または画像信号を送信して表示をさせたり、スピーカ33に音声信号を送信して、音を出力させたりすることが可能である。例えば、制御部39は、外部装置30のユーザが自動車Mの運転者の通話相手として選ばれたことを示す画面をタッチパネル31に表示させる。また、制御部39は、ビデオ通信中における映像をタッチパネル31に表示させ、自動車Mにおいて収音されたビデオ通信中における音声をスピーカ33に出力させる。
【0066】
通信部41は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータをサーバ50との間で送受信する。また、通信部41は、車載装置10から送信された音声や経路情報、外部装置30において取得された音声等の種々のデータを車載装置10との間でサーバ50を介して送受信する。
【0067】
図6は、サーバ50の構成を示すブロック図である。例えば、サーバ50はシステムバスを介して、記憶部51と、通信部53と、制御部55と、が協働している装置である。
【0068】
サーバ50は、上述のように、ビデオ通信中において、車載装置10から、車外カメラ13又は車内カメラ14によって撮影されて車載装置10によって取得された映像を逐次受信する。サーバ50は、ビデオ通信中、車載装置10から受信した映像を外部装置30に逐次送信する。
【0069】
また、サーバ50は、ビデオ通信中において、車載装置10と外部装置30との間の音声通話を確立し、当該音声通話のデータを転送するSIPサーバのような機能を有している。
【0070】
また、サーバ50は、車載装置10から自動車Mの現在位置情報及び自動車Mの乗員であるユーザが設定した目的地の情報を受信し、当該現在情報及び目的地の情報に基づいて当該目的地への経路を生成する機能を有する。
【0071】
さらに、サーバ50は、自動車Mの移動計画に含まれる場面を特定し、自動車Mの乗員の通話相手として推奨される場面毎の推奨通話相手を抽出し、乗員への提示制御を行う機能を有する。当該場面毎の推奨通話相手を抽出する際において、サーバ50は、自動車Mの乗員と、乗員の通話相手の候補となる複数の外部装置30のユーザとの場面毎のマッチングを行う。
【0072】
記憶部51は、例えば、ハードディスク装置及びSSD(solid state drive)等により構成されており、オペレーティングシステムや、サーバ50用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0073】
各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、記憶部51に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0074】
記憶部51は、例えば、サーバ50が、自動車Mの移動計画を取得し、当該移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定するための情報処理プログラムを記憶している。
【0075】
記憶部51は、例えば、サーバ50が、場面毎の状況に基づいて、自動車Mの乗員が移動体外の通話相手との通話に求める場面毎の要求事項としてのニーズを推定し、当該場面毎のニーズに基づいて乗員と複数の通話相手候補の各々とのマッチングを行って、場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出し、乗員に対して提示させる提示制御を実行するための情報処理プログラムを記憶している。
【0076】
また、記憶部51は、自動車Mの乗員に関する情報(乗員情報とも称する)及び通話相手候補の属性を含む通話相手情報を保持する登録情報保持部を有している。自動車Mの乗員に関する情報及び通話相手情報は、本実施例におけるマッチングの際に、自動車Mの乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出するために用いられる。
【0077】
なお、登録情報保持部には、通話相手情報に紐づけて、通話相手候補の各々が発話した簡単なプロフィール等の音声メッセージを録音した音声データが登録されていてもよい。当該音声メッセージは、例えば、推奨通話相手の抽出結果が提示される際に、車載装置10のスピーカ17から発せられる。
【0078】
また、記憶部51は、道路地図を含む地図情報を記憶している。当該地図情報は、サーバ50がカーナビゲーションのための経路を生成する際に使用される。また、当該地図情報は、サーバ50が自動車Mの現在位置に基づいて、自動車Mが中の道路の属性等の自動車Mの乗員の現在の状況を取得する際に使用される。
【0079】
通信部53は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータを車載装置10及び外部装置30との間で送受信する。
【0080】
制御部55は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPUが、ROMや記憶部51に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0081】
制御部55は、通信部53を介して、車載装置10が搭載されている自動車Mの移動計画を受信することで、移動体の移動計画を取得するステップ(移動計画取得ステップ)を実行する移動計画取得部として機能する。移動計画は、例えば、出発日時、出発地、訪問地、目的地及び移動予定の経路(ルート)等の情報を含む情報である。
【0082】
図7は、サーバ50が受信する移動計画に含まれる情報の一例であるデータD1を示す図である。
図7に示す例においては、車載装置10を識別可能な車載装置ID及び自動車Mの乗員を識別可能な乗員IDに、出発日時、到着日時、予定経路(予定ルート)、訪問地、及び訪問地での滞在予定時間が対応付けられている。また、データD1中に示すように、移動計画は、乗員とともに自動車Mに搭乗する同行者の情報を含んでいてもよい。
【0083】
また、データD1中、移動計画中の予定ルートは、例えば、出発地から訪問地を経由して目的地に到着するまでに自動車Mが移動予定の道路を含んでいる。なお、移動計画中の予定ルートは、自動車Mが移動予定の道路を全て含んでいなくともよく、例えば国道に出るまでの私道等の詳細な経路については省略されていてもよい。例えば、当該詳細な経路については、サーバ50が地図データに基づいて補完してもよい。
【0084】
移動計画は、例えば、車載装置10から送信される。その場合、例えば、移動計画中の予定ルートは、車載装置10のナビゲーション機能によって生成された経路情報であってもよい。なお、移動計画は、車載装置10から送信される場合に限られず、乗員が携帯するスマートフォン等の他の端末装置から送信されてもよい。移動計画は、車載装置10を識別可能な情報を含んでいればよい。
【0085】
例えば、自動車Mでの移動による旅行を計画している乗員は、出発日時や予定ルート等の情報を、車載装置10又は他の端末装置を介して入力し、事前にサーバ50に送信する。移動計画は、例えば、出発日時の前日まで、又は、出発日時の所定時間前(例えば、3時間前)までに送信される。
【0086】
[場面の特定]
制御部55は、上述のように自動車Mの移動計画を取得すると、移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定部57としての処理(場面特定ステップ)を実行する。言い換えれば、制御部55は、機能部として場面特定部57を有する。
【0087】
場面特定ステップにおいて、例えば、自動車Mの乗員が通話相手との通話に求めるニーズ、言い換えれば、通話相手との通話によって満たし得るようなニーズが発生すると推定される場面が特定される。
【0088】
自動車Mの移動計画に含まれる場面は、例えば特定の区間を移動する場面であり、移動予定の区間を特定することによって特定可能である。また、移動計画中の場面は、例えば特定の時間帯に移動する場面であり、移動予定の時間帯を特定することによって特定可能である。本実施例においては、移動計画に含まれる移動予定の時間帯及びその時間帯において移動予定の区間を特定することによって、場面を特定する。
【0089】
例えば、場面特定部57は、移動計画において所定の属性の道路を移動する際の時刻に基づいて1または複数の場面を特定する。例えば、移動計画に基づいて、高速道路等の所定の属性の道路を移動予定の移動区間及び当該移動区間を移動する予定の時間帯を特定することによって、当該所定の属性の道路を移動する場面が特定される。
【0090】
例えば、場面特定部57は、移動計画における訪問地の訪問時刻に基づいて1または複数の場面を特定する。例えば、移動計画に基づいて、観光地等の訪問地に滞在する時間帯及びその時間帯における移動区間を特定することによって、当該訪問地を移動する場面が特定される。なお、例えば、訪問地が観光地であるなどの所定の属性の訪問地の訪問時刻に基づいて場面が特定されてもよい。
【0091】
例えば、場面特定部57は、移動計画における時刻に基づいて1または複数の場面を特定する。例えば、移動計画中に食事時刻等の所定の時刻が含まれる場合、その時刻を含む時間帯又はその時刻の前若しくは後の時間帯を特定することによって食事時刻前の場面等の所定の場面が特定される。
【0092】
場面特定部57は、例えば、移動計画中の場面を特定する際に、移動計画に基づいたタイムテーブルである移動予定情報を生成し、当該タイムテーブルに沿って場面を特定する。例えば、場面特定部57は、移動計画中の出発予定時刻及び出発予定地を起点として、自動車Mが移動予定の経路及び予定時間帯を示す移動予定情報を生成する。当該移動予定情報中の、所定条件に基づいて決まる時間帯又は移動区間を特定することによって、場面が特定される。
【0093】
図8Aは、場面特定部57が移動計画に含まれる場面を特定する際に生成する移動予定情報D2を示す図である。移動予定情報D2は、自動車Mが移動予定の各時間帯における移動予定の区間及び旅程を含む。移動予定情報D2中、各時間帯の開始及び終了時に自動車Mが移動予定の地点をP0~P8で示している。移動予定情報D2において、場面の開始から終了までの時間帯(移動時間帯とも称する)及び移動区間が特定された場面1~3が特定されている。
【0094】
移動予定情報D2中の各時間帯は、例えば、場面特定部57が所定の条件に従って設定した時間帯である。当該各時間帯は、例えば移動する道路が変化するタイミング等の旅程の変化点に基づいて区切られた時間帯である。また、当該各時間帯として、例えば、移動計画中に食事時刻が含まれるとその時刻前の所定の時間帯が設定される。例えば、移動計画中に訪問地又は立ち寄り地が含まれると、訪問地又は立ち寄り地に滞在する時間帯が設定される。
【0095】
図8Aに示す例において、高速道路を移動する場面として、場面1が特定されている。場面1は、〇〇自動車道に進入する予定の地点P1から〇〇自動車道から退出する予定の地点P2までの移動区間を移動予定の時間帯である10:00~11:00までの時間帯によって特定されている。言い換えれば、場面1の開始予定地点は地点P1であり、場面1の終了予定地点は地点P2である。また、場面1の開始予定時刻は10:00であり、場面1の終了予定時刻は11:00である。
【0096】
例えば、場面1のような、高速道路を移動する場面における、高速道路を移動するという状況下では「退屈で話し相手が欲しい」等のニーズが発生すると推定される。
【0097】
また、
図8Aに示す例において、観光地を移動する場面として、場面2が特定されている。場面2は、観光地Aに滞在する12:00から15:00までの時間帯及びその前後の各30分を含む時間帯である11:30から15:30までの移動時間帯によって特定されている。言い換えれば、場面2の開始予定地点は地点P3であり、場面2の終了予定地点は地点P5である。また、場面2の開始予定時刻は11:30であり、場面2の終了予定時刻は15:30である。なお、地点P4は、自動車Mの訪問地である観光地Aを示しており、観光地Aのエリアであってもよい。
【0098】
このように、訪問地に滞在する時間帯の前後の所定時間を含めて場面を特定することで、自動車Mの乗員は、当該場面における通話相手と通話する際に、例えば、当該訪問地への到着前や訪問後にも当該訪問地についての通話相手による説明を受けることができる。なお、訪問地に滞在する前後の所定時間は、
図8Aの例では30分であるが、これに限られず、例えば通話相手の説明を受けるのに適切な時間が設定されていればよく、例えば数分~数十分の時間が設定される。
【0099】
または、訪問地に滞在する前後の所定時間の代わりに、訪問地に到着する前の所定距離、及び訪問地を出発後の所定距離を含めた移動区間によって、訪問地付近を移動する場面を特定してもよい。例えば、
図8Aに示す例において、地点P4に基づいて、観光地Aに到着する所定距離(例えば、10km)前の地点をP3とし、観光地Aを出発してから所定距離(例えば、10km)後の地点をP5としてもよい。当該観光地Aを移動する移動区間にその前後の所定距離を含めた地点P3からP5までの移動区間を特定することによって、観光地を移動する場面2を特定してもよい。
【0100】
例えば、場面2のような、観光地を移動する場面における、観光地A付近を移動するという状況下では「観光地Aについての観光情報が欲しい」等の、訪問地に関する情報提供を求めるニーズが発生すると推定される。
【0101】
なお、場面2において、実際の観光地Aへの滞在中に、自動車Mを停車させ、乗員及び同行者が自動車Mから降りて散策する時間帯があってもよい。その場合、乗員と通話相手との通話は中断してもよく、例えば、車載装置10と通話相手の端末(すなわち、外部装置30)との間の通話から、乗員が携帯するスマートフォンと通話相手の端末との間の通話に自動的に切り替えて通話を継続してもよい。なお、車載装置10は携帯可能に構成されていてもよく、散策中に乗員によって携帯されて、車載装置10と通話相手の端末との間の通話が継続されてもよい。
【0102】
また、
図8Aに示す例において、食事時刻前の場面として、場面3が特定されている。場面3は、食事時刻を18:00とした場合の食事時刻の30分前の時刻17:30から食事時刻18:00までの時間帯によって、特定されている。言い換えれば、場面3の開始予定時刻は17:30であり、場面3の終了予定時刻は18:00である。場面3の開始予定地点は地点P6であり、場面3の終了予定地点は地点P7である。
【0103】
例えば、場面3のような、食事時刻前の場面における、食事時刻が近いという状況下では「移動予定地(すなわち、場面3の移動区間)の近くで食事をとりたい」、言い換えれば、食事処に関する情報が欲しい等のニーズが発生すると推定される。
【0104】
図8Bは、
図8Aに示した移動計画に基づく移動予定情報D2を時間軸Tに沿って模式的に示す図である。
図8A中、出発地Sを出発する出発予定時刻から目的地Gに到着する予定の到着予定時刻までの間の時刻とともに、各時刻において自動車Mの移動が予定されている地点を示している。
【0105】
上述の通り、10:00から11:00までの時間帯について高速道路を移動する場面1が特定されている。また、11:30から15:30までの時間帯について観光地を移動する場面2が特定され、17:30から18:00までの時間帯について食事時刻前である場面3が特定されている。
【0106】
なお、時刻12:00についても食事時刻として設定されている場合、
図8A及び
図8Bの場面2の時間帯には、食事時刻前の場面が含まれる。このような場合、例えば、場面3と同様に、食事時刻の所定時間前から食事時刻までの間に、「移動予定地(すなわち、観光地A)の近くで食事をとりたい」というニーズが発生すると推定される。この場合、場面2の時間帯に重複して、例えば11:30から12:00までの時間帯に食事時刻前の場面(例えば、図中の場面4)が特定されてもよい。
【0107】
このように、場面の少なくとも一部が重複する場合、いずれかの場面を優先して特定するようにしてもよい。本実施例においては、食事時刻に基づく場面よりも訪問地に基づいて特定された場面2が優先して特定される。なお、場面2は、観光地を移動する場面でありかつ食事時刻を含む場面として特定されてもよい。
【0108】
なお、
図8A及び
図8Bにおいて、上記した場面1~3以外の時間帯にも場面が特定されてもよい。
【0109】
場面特定部57は、上述のように移動計画に含まれる1つ以上の場面を推定すると、場面毎の開始から終了までの時間帯と、場面毎の開始から終了までの移動区間とを対応付けた場面情報を記憶部51に記憶させる。例えば、場面特定部57は、乗員IDに基づいて、記憶部51の登録情報保持部に保持されている乗員に関する情報(乗員情報)に、場面情報を対応付けて記憶する。
【0110】
制御部55は、場面特定部57によって特定された場面毎の状況に基づいて、移動体としての自動車Mの乗員が移動体外の通話相手との通話に求める場面毎の要求事項を推定する要求推定ステップと、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、場面毎の要求事項と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との場面毎の適合度を算出することで、当該複数の通話相手候補の中から場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出ステップと、場面毎の推奨通話相手を乗員に対して提示させる提示制御ステップと、を含む推奨通話相手抽出部59としての処理を実行する。言い換えれば、制御部55は、機能部として推奨通話相手抽出部59を有する。以下、推奨通話相手抽出部59の機能について説明する。
【0111】
[登録情報]
まず、推奨通話相手抽出部59による推奨通話相手の抽出の際に、乗員と、複数の通話相手候補の各々とのマッチングを行うために用いられる乗員情報及び通話相手情報について説明する。上述したように、乗員情報及び通話相手情報は、記憶部51の登録情報保持部51Aに保持されている。
【0112】
図9は、登録情報保持部51Aに保持されている通話相手情報の一例である通話相手情報D3を示す図である。通話相手情報は、ビデオ通信による乗員との通話を希望する外部装置30のユーザによって予め登録される当該ユーザ自身に関する情報である。通話相手情報は、性別や年代等のユーザ自身の属性に関する情報を含んでいる。外部装置30のユーザは、通話相手情報を登録することで、通話相手候補となり得る。
【0113】
通話相手情報は、例えば、通話相手候補の各々を識別可能な候補者ID(識別子)及び外部装置30のID(識別子)に対応付けて記憶されている。候補者IDは、例えば推奨通話相手の提示の際や通話時に、乗員が通話相手候補の各々を識別可能な情報であればよく、例えばニックネームでもよい。外部装置30のIDは、例えばMACアドレスであり、サーバ50との通信の際の宛先となる。
【0114】
通話相手情報D3においては、通話相手情報として、通話相手候補である外部装置30のユーザ(以下、単に候補者とも称する)自身の趣味及び嗜好が登録されている。また、通話相手情報D3において、候補者自身の性別、年代、性格及び運転スキルが登録されている。
【0115】
例えば、通話相手候補の運転スキルは、例えば自己評価であってもよく、通話相手情報の登録時にアンケートを行うことによって、運転スキルが判定されてもよい。
【0116】
また、通話相手情報D3において、候補者の「土地勘のある地域」が登録されている。例えば、「土地勘のある地域」は、乗員との通話において、候補者が乗員に対して観光情報等の地域に関する情報の提供が可能な地域を示す情報としてマッチングに用いられる。
【0117】
さらに、通話相手情報D3において、候補者が乗員とのビデオ通信による通話が可能な日時を示す対応可能日時が登録されている。例えば、対応可能日時は、候補者の各々によって適宜登録される。例えば、対応可能日時として、定期的に所定期間分のスケジュール(例えば、1か月毎に、1か月分のスケジュール)が登録されて更新されてもよい。
【0118】
図10は、乗員に関する情報(乗員情報とも称する)の一例である乗員情報D4を示す図である。乗員情報は、例えば、予め登録されている情報と、都度登録される情報とを含む。当該都度登録される情報は、乗員が新たな移動計画をサーバ50に送信する度に更新される情報である。例えば、予め登録されている情報は、乗員自身に関する情報と、乗員が通話相手に求めることを示す情報とを含む。
【0119】
乗員情報は、例えば、乗員を識別可能な乗員ID(識別子)及び車載装置10のID(識別子)に対応付けて記憶されている。乗員IDは、例えば通話時に通話相手が乗員の各々を識別可能な情報であればよく、例えばニックネームでもよい。車載装置10のIDは、例えばMACアドレスであり、サーバ50との通信の際の宛先となる。
【0120】
乗員情報に含まれる項目の各々は、通話相手情報に含まれる項目の各々に対応している。言い換えれば、乗員情報及び通話相手情報の各々は互いに対応する複数の対応項目を含んでいる。通話相手情報に含まれる項目と、これに対応する乗員情報に含まれる項目との対である対応項目が、乗員と通話相手候補の各々とのマッチングに用いられる。例えば、対応項目の一致度を比較することによってマッチングが行われる。
【0121】
乗員情報D4においては、乗員自身に関する情報として、乗員の趣味及び嗜好が登録されており、通話相手情報における趣味及び嗜好に夫々対応している。また、乗員情報D4において、乗員が通話相手に求めることとして、性別、年代、性格及び運転スキルが予め登録されており、通話相手情報に含まれる候補者自身の性別、年代、性格及び運転スキルに夫々対応している。
【0122】
乗員情報D4は、都度登録される情報として、乗員がサーバ50に送信した自動車Mの移動計画に基づいて特定された場面を示す場面情報を含む。場面情報は、場面毎の移動区間を示す情報及び場面毎の時間帯を示す情報を含む。
【0123】
例えば、乗員によって移動計画が送信され、上述のように場面特定部57が移動計画に含まれる1又は複数の場面を特定すると、乗員情報中の場面情報が更新される。例えば、乗員が移動計画を送信していないか又は送信済みの移動計画の予定日時が過ぎている場合には、場面情報の欄は空欄となる。
【0124】
当該場面情報のうち、場面毎の移動区間は、通話相手情報における「土地勘のある地域」に対応している。言い換えれば、乗員情報及び通話相手情報は、乗員の移動計画における「場面毎の移動区間」と、通話相手情報における「土地勘のある地域」との対を対応項目として含んでいる。当該対応項目がマッチングに用いられる。これによってマッチングの際に、例えば場面毎の移動予定の地域に関する情報提供をして欲しいといった乗員のニーズが推定される場合に、土地勘のある地域と場面毎の移動区間との一致度又は共通度が高い候補者が抽出され易くなる。
【0125】
また、場面情報のうち、場面毎の時間帯は、通話相手情報における「対応可能日時」に対応している。例えば、「対応可能日時」に場面毎の時間帯を含む候補者と、乗員とのマッチングが行われる。
【0126】
なお、登録情報保持部に保持される情報は、上記した例に限られず、他の対応項目を含み、マッチングに用いられてもよい。例えば、移動計画における乗員の同行者の属性と、候補者の各々が乗員との通話において対応可能な乗員の同行者の属性と、の一致度がマッチングに反映されてもよい。
【0127】
[ニーズの推定]
続いて、推奨通話相手の抽出の際に、乗員と、複数の通話相手候補の各々とのマッチングを行う際に用いられるニーズの推定処理について説明する。
【0128】
推奨通話相手抽出部59は、場面特定部57によって特定された場面毎の状況に基づいて、移動体としての自動車Mの乗員が移動体外の通話相手との通話に求める場面毎の要求事項としての場面毎のニーズを推定する要求推定部として機能する。
【0129】
例えば、要求推定部としての推奨通話相手抽出部59は、特定された場面の各々における自動車Mの移動予定位置、移動予定時刻または移動が予定される道路の属性に基づいて場面毎の要求事項を推定する。
【0130】
図11は、推奨通話相手抽出部59が、特定された場面毎の状況に基づいて、場面毎のニーズを推定する際に用いられる情報の一例であるニーズ推定テーブルTB1を示す図である。ニーズ推定テーブルTB1は、例えば記憶部51に記憶されている。
【0131】
ニーズ推定テーブルTB1において、場面毎の状況に関する項目及び具体的な場面毎の状況の各々に、各々の場面毎の状況から推定されるニーズが対応付けられている。例えば、推奨通話相手抽出部59は、場面毎の状況に基づいて、場面毎のニーズを推定する。
【0132】
ニーズ推定テーブルTB1に示すように、例えば、特定された場面において自動車Mが移動予定の道路の属性に基づいて、場面毎の状況として「高速道路を移動する」状況が特定され、この状況に対して「退屈で話し相手が欲しい」というニーズが推定される。
【0133】
また、例えば、特定された場面における自動車Mの移動予定位置に基づいて、場面毎の状況として「観光地A付近を移動する」状況が特定され、この状況に対して「観光地Aについての観光情報が欲しい」というニーズが推定される。
【0134】
また、例えば、特定された場面における自動車Mの移動予定時刻に基づいて、場面毎の状況として「食事時刻が近い」という状況が特定され、この状況に対して食事時刻における「移動予定地の近くで食事をとりたい」というニーズが推定される。
【0135】
言い換えれば、要求推定部としての推奨通話相手抽出部59は、自動車Mの移動予定位置、移動予定時刻又は自動車Mの移動が予定される道路の属性に基づいて、場面毎のニーズを推定する。
【0136】
例えば、推奨通話相手抽出部59は、場面特定部57から場面毎の状況又は場面毎の状況を特定可能な情報を取得して場面毎のニーズを推定する。例えば、推奨通話相手抽出部59は、場面特定部57によって場面が特定された移動予定情報(例えば
図8A、
図8B)に含まれる移動予定の道路の属性等の情報に基づいて、場面毎のニーズを推定する。
【0137】
場面毎の状況及び推定されるニーズは、ニーズ推定テーブルTB1に示す例に限られず、要求推定部としての推奨通話相手抽出部59は、上記した以外にも、様々な場面毎の状況に対して様々なニーズを推定することが可能である。
【0138】
また、1つの場面について複数のニーズが推定されてもよい。例えば、「観光地Aについての観光情報が欲しい」というニーズが推定された場面が食事時刻を含む場合に、「移動予定地の近くで食事をとりたい」というニーズがさらに推定されてもよい。
【0139】
なお、推奨通話相手抽出部59による場面毎のニーズの推定は、テーブルTB1に従って推定する場合に限られず、例えば、場面毎の状況を示す情報を入力とし、場面毎のニーズを示す情報を出力とする学習済みモデルを用いて推定してもよい。
【0140】
[マッチング]
推奨通話相手抽出部59は、上述のように場面毎のニーズを推定すると、場面毎のマッチングを行って、場面毎の推奨コンパニオンを抽出する。より詳細には、推奨通話相手抽出部59は、推定した場面毎のニーズと、記憶部51の登録情報保持部が保持している乗員情報及び通話相手情報とに基づいて、乗員と、複数の通話相手候補の各々との適合度を算出することで、当該複数の通話相手候補の中から場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部として機能する。
【0141】
推奨通話相手抽出部59は、例えば、乗員情報及び通話相手情報の複数の対応項目のうち、場面毎のニーズに基づいて決まる1又は複数の対応項目を用いて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出する。
【0142】
例えば、推奨通話相手抽出部59は、複数の対応項目のうち、場面毎のニーズとの関わりが深い対応項目を用いて適合度を算出してもよい。
【0143】
図12は、場面毎のニーズに基づいて決まり、乗員と通話相手候補の各々とのマッチングに使用される対応項目の一例であるテーブルTB2を示す図である。上述したように、対応項目の各々は、乗員情報に含まれる項目と、通話相手情報に含まれる情報との対である。なお、以下の説明においては、乗員情報における「場面毎の移動区間」と、通話相手情報における「土地勘のある地域」との対応項目について、対応項目名を「場面毎の区間」として説明する。
【0144】
テーブルTB2には、場面毎のニーズの内容に応じて、マッチングに使用する対応項目が設定されている。推奨通話相手抽出部59は、例えば、1つの場面についてのニーズを推定すると、テーブルTB2を参照して、その場面についての適合度の算出に用いる対応項目を特定する。
【0145】
テーブルTB2に示す例においては、退屈で話し相手が欲しい(ID1)、又は眠気を覚ましたい(ID2)というニーズが推定された場面のマッチングには、趣味、嗜好、性別、年代、性格の対応項目が使用される。
【0146】
例えば、趣味や嗜好等の対応項目の一致度が高いことによって会話が円滑に進むことを前提として、趣味、嗜好、性別、年代及び性格を「退屈で話し相手が欲しい」といったニーズと関わりの深い項目として扱うことによって、上記のような対応項目が設定されている。この場合、例えば、「運転スキル」は、趣味や嗜好等と比較してニーズとの関わりが浅い対応項目として扱われてもよい。
【0147】
また、テーブルTB2に示す例においては、例えば、「不安なので運転アドバイスが欲しい」(ID3)というニーズが推定された場面のマッチングには、運転スキルを含む対応項目が使用される。
【0148】
例えば、通話相手が適切な運転アドバイスを行うためには通話相手の運転スキルが高いこと、例えば乗員が通話相手に求める運転スキル以上であることが重要であるとして、運転スキルをニーズとの関わりが深い対応項目として扱ってもよい。この場合、例えば趣味や嗜好は運転スキルと比較してニーズとの関わりが浅い対応項目としてもよい。
【0149】
本実施例において、例えば、テーブルTB2に例示したような場面毎のニーズに応じてマッチングに使用する1または複数の対応項目の各々の一致度を算出し、一致度の合計を場面毎の適合度として算出する。それによって、例えば、マッチングに使用される対応項目、例えば乗員の場面毎のニーズとの関わりが深い項目の一致度が高い候補者を、当該場面毎のニーズを満たし得る場面毎の推奨通話相手として抽出することができる。
【0150】
また、例えばテーブルTB2に示す「移動予定地の近くで食事をとりたい」(ID4)トいうニーズや「移動予定地の観光情報が欲しい」(ID5)というニーズは、場面毎の移動区間及びその周辺の情報の取得を含むニーズであるといえる。このような場合、対応項目「場面毎の区間」を含む対応項目がマッチングに使用される。
【0151】
具体的には、通話相手情報における「土地勘のある地域」と、乗員情報における「場面毎の移動区間」との一致度を用いて場面毎の適合度が算出される。それによって、乗員の場面毎のニーズを満たし得る通話相手が抽出可能となる。
【0152】
当該「土地勘のある地域」と、「場面毎の移動区間」との一致度は、例えば、「場面毎の移動区間」が、「土地勘のある地域」に含まれるか否か、又は「土地勘のある地域」から所定距離内にあるか否かに基づいて判定されてもよい。言い換えれば、当該一致度は、「土地勘のある地域」と、「場面毎の移動区間」との共通度である。
【0153】
図13は、
図8A及び
図8Bにおいて説明した場面1~3について、場面毎のニーズが推定された結果及び場面毎の適合度の算出に用いられる対応項目の一例であるデータD5を示す図である。データD5は、上述したように、推奨通話相手抽出部59が、場面1~3の各々についてニーズを推定し、テーブルTB2を参照して、各々の場面についての適合度の算出に用いる対応項目を特定した結果である。乗員情報及び推奨通話相手情報の対応項目のうち、データD5に示す対応項目を用いて、場面1~3の各々について、乗員と、通話相手候補の各々との適合度が算出される。
【0154】
[重み付け]
また、推奨通話相手抽出部59は、例えば、乗員情報及び通話相手情報の複数の対応項目のうち、場面毎のニーズに基づいて対応項目毎に重み付けを行って、乗員と複数の通話相手候補の各々との場面毎の適合度を算出する。
【0155】
例えば、推奨通話相手抽出部59は、場面毎のニーズとの関わりが深い対応項目について重み付けを行って適合度を算出してもよい。具体的には、例えば、複数の対応項目の各々の一致度を算出し、場面毎のニーズとの関わりが深い1または複数の対応項目の一致度に、他の対応項目よりも大きい重みづけ係数を掛けることで重み付けを行う。例えば、重み付けがなされた一致度の合計が場面毎の適合度として算出される。
【0156】
図14は、推奨通話相手抽出部59が場面毎のニーズに基づいて対応項目毎に重み付けを行って場面毎の適合度を算出する際の、重み付け係数を定めたテーブルの一例であるテーブルTB3を示す図である。テーブルTB3は、例えば記憶部51に記憶されている。
【0157】
テーブルTB3において、6つの対応項目について、ニーズ毎の重み付け係数が定められている。例えば、推奨通話相手抽出部59は、テーブルTB3を参照して、場面毎のニーズに応じて対応項目毎に重み付けを行って、乗員と通話相手候補の各々との場面毎の適合度を算出する。
【0158】
テーブルTB3に示すように、ニーズの内容によって異なる対応項目に、他の項目よりも大きい重みづけ係数が設定されている。
【0159】
また、テーブルTB3に示す例においては、6つの対応項目の中で相対的にニーズとの関わりが小さいとされる対応項目については重みづけ係数が0.10に設定されており、相対的にニーズとの関わりが深いとされる対応項目については、これよりも大きい重みづけ係数が設定されている。これによって、場面毎のニーズとの関わりが深い対応項目の一致度が高い候補者ほど、算出される適合度が高くなり、場面毎のニーズを反映したマッチングを行うことができる。
【0160】
また、テーブルTB3に示すように、例えば、「移動予定地の近くで食事をとりたい」というニーズについて、「場面毎の区間」を最も関わりが深い項目とし、「嗜好」及び「性別、年代」を次に関わりが深い項目としてもよい。その場合、「場面毎の区間」について最も大きい重み付け係数を設定し、「嗜好」及び「性別、年代」については0.10よりも大きくかつ「場面毎の区間」よりも小さい重み付け係数を設定してもよい。
【0161】
このように、場面毎のニーズとの関わりの深さに応じて強弱をつけて重み付け係数が設定されてもよい。それによって、より精度よく場面毎のニーズを反映したマッチングを行うことができる。
【0162】
なお、例えば、「観光地Aについての観光情報が欲しい」というニーズが、食事時刻を含む場面について推定された場合、食事時刻を含まない場合と比較して、重み付けが変更されてもよい。その場合、例えば、食事時刻を含む場面については「嗜好」の対応項目についての重み付け係数を大きくしてもよい。
【0163】
なお、推奨通話相手抽出部59は、上記のマッチングにおいて、対応項目の一致度を用いて場面毎の適合度を算出する例について説明したが、これに限られず、例えば、通話相手情報に含まれる項目のみによって決まる値を適合度の算出に用いてもよい。例えば、場面毎のニーズが運転スキルに関わる場合に、通話相手候補の運転スキルと、乗員が求める運転スキルとの一致度に代えて、通話相手候補の運転スキル自体を示す数値を場面毎の適合度の算出に用いてもよい。その場合にも、場面毎のニーズを反映したマッチングを行うことができる。
【0164】
推奨通話相手抽出部59は、乗員と通話相手候補の各々との場面毎の適合度を算出すると、例えば当該適合度の高い順に所定人数の場面毎の推奨通話相手を抽出する。
【0165】
このように、推奨通話相手抽出部59は、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、場面毎のニーズと、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との場面毎の適合度を算出することで複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を場面毎の推奨通話相手として抽出する抽出部として機能する。
【0166】
推奨通話相手抽出部59は、場面毎の推奨通話相手を抽出すると、抽出された場面毎の通話相手候補を乗員に対して提示する制御を行う。推奨通話相手抽出部59は、例えば、音声によって推奨通話相手の名前及び簡単なプロフィール等の情報を読み上げた音声データを生成して車載装置10又は乗員が使用する他の端末に送信する。また、推奨通話相手抽出部59は、例えば、推奨通話相手の名前及び簡単なプロフィール等の情報を表示する画像を生成して車載装置10又は乗員が使用する他の端末に送信する。
【0167】
推奨通話相手抽出部59は、推奨通話相手を乗員に対して提示させる提示制御部として機能する。
【0168】
以下、情報処理システム100において実行される各装置間の通信シーケンス及びサーバ50による制御ルーチンについて説明する。
【0169】
[事前のマッチング]
図15は、本実施例の情報処理システム100において、自動車Mの移動計画に含まれる複数の場面毎の推奨通話相手が、移動予定日時の所定時間前までに抽出されて乗員に提示される際に実行されるシーケンスの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスにおいて、複数の通話相手候補が、上述したような通話相手情報の登録を済ませていることを前提とする。
【0170】
一例として、
図15において、乗員が使用する端末装置を車載装置10として説明するが、車載装置10に代えて、車載装置10以外の端末装置が使用されてもよい。
【0171】
まず、車載装置10において、乗員によって、移動計画の送信及び推奨通話相手の提示を求めるリクエストを行う入力操作が受け付けられ(ステップS11)、移動計画及びリクエスト情報がサーバ50に送信される(ステップS12)。
【0172】
サーバ50は、移動計画及びリクエストを受信すると、上述したように、移動計画に含まれる場面を特定し、乗員と通話相手候補とのマッチングを行って、場面毎の推奨通話相手を抽出する(ステップS13)。
【0173】
その後、サーバ50は、抽出した通話相手候補を乗員に提示させる提示制御情報を車載装置10に送信する(ステップS14)。車載装置10において、場面毎の推奨通話相手の名前及び簡単なプロフィールが画像又は音声によって提示される(ステップS15)。
【0174】
その後、場面毎の推奨通話相手を選択する乗員による入力操作が受け付けられ(ステップS16)、選択された場面毎の推奨通話相手を示す選択情報がサーバ50に送信される(ステップS17)。
【0175】
その後、サーバ50は、場面毎に選択された推奨通話相手の各々が使用する外部装置30に、予定されている移動場面における乗員との通話を承諾するか否かの確認のための通知を行う(ステップS18)。ステップS18において、例えば、許諾の選択画面が外部装置30に表示される。
【0176】
推奨通話相手の各々が承諾の連絡をサーバ50に送信すると(ステップS19)、予約確定の連絡が車載装置10に送信される(ステップS20)。
【0177】
このようにして、乗員は、移動計画に含まれる場面毎の通話相手を事前に予約しておくことができる。
【0178】
なお、ステップS19において、場面毎の推奨通話相手が乗員との通話を承諾しない場合は、その場面について乗員による再度の選択を受け付けるか又はその場面についての再度のマッチングを行ってもよい。または、ステップS16における乗員による選択に優先順位を付け、ステップS19において、承諾されない場合は優先順位が次の候補者に承諾の確認が送信されてもよい。
【0179】
なお、ステップS11及びS12において、乗員によるリクエストが行われなくともよく、サーバ50は、送信計画を受信すると、推奨通話相手の抽出を行うようにしてもよい。
【0180】
なお、ステップS15において場面毎の推奨通話相手の提示を受けた乗員は、ステップS16において、コンパニオンが不要な場面については推奨通話相手を選択しなくともよい。
【0181】
[マッチングの制御ルーチン]
図15は、サーバ50の制御部55の推奨通話相手抽出部59が乗員の推奨通話相手を抽出して提示させる際に実行する制御ルーチンの一例である抽出ルーチンRT1を示すフローチャートである。
【0182】
制御部55は、例えば、自動車Mの移動計画が登録されかつ乗員からのリクエストを受け付けると、移動計画に含まれる1又は複数の場面を場面特定部57に特定させ、場面特定部57が場面を特定すると、推奨通話相手抽出部59に抽出ルーチンRT1を実行させる。なお、制御部55は、上述のように乗員からのリクエストの有無にかかわらず場面の特定及び抽出ルーチンRT1を進行させてもよい。
【0183】
推奨通話相手抽出部59は、抽出ルーチンRT1を開始すると、場面特定部57によって特定された1又は複数の場面のうちの、k番目の場面の開始から終了までの時間帯に対応可能な通話相手候補が存在するか否かを判定する(ステップS101)。
【0184】
ステップS101において、例えば、乗員情報及び通話相手情報を参照して判定が行われる。例えば、通話相手情報に含まれる「対応可能日時」に、乗員情報の場面情報(例えば、
図10)における当該k番目の場面の時間帯が含まれる通話相手候補が存在する場合に、k番目の場面の時間帯に対応可能な通話相手候補が存在すると判定される。
【0185】
ステップS101において、対応可能な通話相手候補が存在すると判定する(ステップS101:YES)と、推奨通話相手抽出部59は、k番目の場面における状況に基づいて、k番目の場面において乗員が通話相手との通話に求めるニーズを推定する(ステップS102)。ステップS102において、例えば、k番目の場面における自動車Mの移動予定位置、移動予定時刻または移動が予定される道路の属性に基づいて、k番目の場面におけるニーズが推定される。
【0186】
ステップS102において、推奨通話相手抽出部59は、場面毎の状況に基づいて、乗員が移動体外の通話相手との通話に求める場面毎の要求事項を推定する要求推定部として機能する。
【0187】
ステップS102の実行後、推奨通話相手抽出部59は、乗員と通話相手候補の各々との、k番目の場面の通話相手としての適合度を算出する(ステップS103)。ステップS103において、例えば、上述したように、乗員情報及び通話相手情報の対応項目の各々の一致度を算出して合計することで、k番目の場面における適合度が算出される。
【0188】
ステップS103において、例えば、k番目の場面におけるニーズが、観光情報等の移動区間及びその周辺の情報の取得を含むニーズである場合には、k番目の場面の移動区間と、通話相手情報における「土地勘のある地域」との共通度を用いて適合度が算出される。
【0189】
ステップS103の実行後、推奨通話相手抽出部59は、ステップS103において適合度を算出した通話相手候補の中から、1又は複数の相手をk番目の場面についての推奨通話相手として抽出する(ステップS104)。ステップS104において、例えば、ステップS103で算出された適合度の高い順に所定数(例えば、3人)の通話相手候補が抽出される。
【0190】
ステップS103及びステップS104において、推奨通話相手抽出部59は、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、場面毎のニーズと、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との場面毎の適合度を算出することで複数の通話相手候補の中から1または複数の相手を場面毎の推奨通話相手として抽出する抽出部として機能する。
【0191】
ステップS104の実行後、推奨通話相手抽出部59は、kをインクリメントしてk+1をkとする(ステップS105)。
【0192】
推奨通話相手抽出部59は、ステップS101において、対応可能な通話相手候補が存在しないと判定した場合(ステップS101:NO)にも、ステップS105を実行し、kをインクリメントしてk+1をkとする。
【0193】
ステップS105の実行後、推奨通話相手抽出部59は、場面特定部によって特定された1又は複数の場面のうち、k番目の場面が存在するか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106において、例えば、乗員情報に対応付けられた場面情報を参照し、k番目の移動区間またはk番目の時間帯が存在するか否かを判定することで、k番目の場面が存在するか否かが判定される。
【0194】
ステップS106において、k番目の場面が存在すると判定する(ステップS106:YES)と、推奨通話相手抽出部59は、ステップS101に戻り、k番目の場面における時間帯に対応可能な通話相手候補が存在するか否かを再び判定する。
【0195】
ステップS106において、k番目の場面が存在しないと判定する(ステップS106:NO)と、推奨通話相手抽出部59は、場面毎の推奨通話相手の抽出結果を提示させる提示制御情報を車載装置10に送信する(ステップS107)。ステップS107において、例えば、推奨通話相手抽出部59は、ステップS104において抽出された場面毎の推奨通話相手を提示する音声又は画像を車載装置10に送信する。ステップS107において、例えば、通話相手情報に基づく推奨通話相手のプロフィールを示す情報が提示制御情報として送信される。
【0196】
例えば、ステップS107において送信される音声には、場面毎の推奨通話相手を紹介する音声に加えて、推奨通話相手本人の声を録音したメッセージが含まれてもよい。
【0197】
車載装置10において、例えば、
図17に示すような提示画面が車載装置10のタッチパネル15に表示される。
図17に示す例においては、1つの場面について3人の推奨通話相手の名前(ニックネーム)及びプロフィールが提示されており、「次のシーンへ」のボタンをタップすることによって、次の場面についての推奨通話相手に関する情報が提示される。
【0198】
ステップS107において、例えば、ニーズに関連するプロフィールの項目が最初に表示されてもよい。例えば、「話し相手が欲しい」というニーズに対しては、「話好き」な性格を示す項目が目立つように表示されてもよい。例えば、提示画面には、音声によって提示される情報に加えて、推奨通話相手に関するより詳細なプロフィール等の情報が含まれていてもよい。
【0199】
なお、ステップS107において、車載装置10に加えて、またはこれに代えて、乗員が携帯するスマートフォン(図示せず)にも提示制御情報が送信されてもよい。
【0200】
ステップS107の実行後、推奨通話相手抽出部59は、抽出ルーチンRT1を終了する。
【0201】
抽出ルーチンRT1によって、場面毎の要求事項に基づいたマッチングによって場面毎の推奨コンパニオンが抽出されるので、例えば自動車Mを移動手段とする旅行を計画している乗員は、場面毎の適した通話相手を事前に予約することができる。
【0202】
例えば、移動計画中の高速道路を移動する場面については話し相手が欲しいというニーズが生じると推定され、話好きの人物が推奨通話相手として抽出され得る。また、例えば、移動計画中の観光地Aを移動する場面については観光地Aについての観光情報が欲しいというニーズが推定され、観光地Aに土地勘のある人物が推奨通話相手として抽出され得る。また、例えば、移動計画中の食事時間前の場面では移動予定地の近くで食事をとりたいというニーズが推定され、例えば当該移動予定地に土地勘がありかつ乗員との嗜好の一致度が高い人物が推奨通話相手として抽出され得る。自動車Mの乗員は、場面毎に、その場面において乗員に適した通話相手となり得る推奨通話相手を予約することができる。
【0203】
なお、例えば、場面特定部57によって、時間帯の少なくとも1部が重複する場面が特定された場合、抽出ルーチンRT1によって、互いに重複する場面の各々について推奨コンパニオンが抽出されて提示されてもよい。その場合、例えば、乗員によって選択されたいずれかの推奨コンパニオンが予約されることとしてもよい。
【0204】
なお、上記のステップS102において、ニーズが推定されない場面があってもよく、ニーズが推定されない場面については推奨通話相手の抽出を実行せず、ステップS105に移ることとしてもよい。
【0205】
[実際の移動]
図18は、自動車Mの移動計画に沿った実際の移動である計画移動の際に、自動車Mの乗員と、事前に予約していた場面毎の推奨通話相手とのビデオ通信による通話が行われる際に実行されるシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【0206】
車載装置10に電源が投入され、自動車Mが計画移動を開始すると(ステップS21)、車載装置10は、サーバ50との通信を開始して、サーバ50から受信するナビゲーション情報に基づくルート案内を開始する。
【0207】
ステップS21の後、サーバ50は、当該計画移動の実際の進行状況の監視を開始し(ステップS22)、進行状況に基づいて、場面特定部によって事前に特定されている1又は複数の場面のうちの未だ開始していない場面、すなわちこれから開始予定の場面の開始時刻を、開始予定時刻を修正した修正開始時刻として算出する。
【0208】
例えば、サーバ50は、事前に特定されている1番目の場面である第1場面の開始時刻を現在の進行状況に基づいて改めて算出し、第1場面の開始予定時刻として特定されていた時刻(第1場面の予約時刻とも称する)との差分を算出して遅延の有無を判定する(ステップS23)。
【0209】
サーバ50は、例えば自動車Mの現在位置、自動車Mの移動速度、自動車Mの移動予定経路の交通状況等の直近の情報に基づいて、開始予定の場面の開始時刻を算出する。なお、サーバ50が修正開始時刻を算出する場面は、直近の開始予定の場面に限られず、将来の1又は複数の場面の開始予定について、修正開始時刻を算出してもよい。
【0210】
ステップS23において、サーバ50は、修正開始時刻と開始予定時刻との差分が所定時間以上(例えば、十数分以上)である場合に遅延ありと判定する。その後、第1場面の遅延時間を示す通知を、第1場面のコンパニオンとして予約されていた推奨通話相手の外部装置30に送信する(ステップS24)。
【0211】
ステップS24の後、第1場面の推奨通話相手が遅延を承諾する旨の操作を外部装置30に入力すると、遅延の承諾を示す連絡がサーバ50を介して車載装置10に送信される(ステップS25)。
【0212】
第1場面の予約時刻を過ぎて、実際に第1場面が開始する際に、サーバ50は、第1場面の推奨通話相手の外部装置30に、ビデオ通信を開始するためのURLを送信する(ステップS26)。当該推奨通話相手がURLをタップして外部装置30が当該URLにアクセスすると(ステップS27)、サーバ50は、車載装置10と外部装置30との間の音声通話を確立させつつ、自動車Mにおいて撮影された映像を車載装置10から外部装置30に配信させるビデオ通信を開始する(ステップS28)。
【0213】
その後、サーバ50は、次に開始予定の第2場面の修正開始時刻を算出し、所定時間以上の遅延ありと判定すると、第2場面の推奨通話相手の外部装置30に、遅延時間の通知を送信する(ステップS29)。その後、第1場面と同様に、第2場面の推奨通話相手からの承諾の連絡(S30)があると、第2場面が開始する際に、第2場面の推奨通話相手へのURL送信(ステップS31)及び当該推奨通話相手によるURLアクセス(ステップS32)を経て、ビデオ通信が開始される(ステップS33)。
【0214】
このように、次に開始する場面の修正開始時刻を算出し、遅延がある場合には遅延時間の通知を行うことで、場面毎の通話相手とのビデオ通信を円滑に開始することができる。なお、サーバ50は、修正開始時刻と開始予定時刻との差分が所定時間未満である場合は、遅延が無いと判定して、予定時刻通りにビデオ通信を開始する。
【0215】
以上のように、車載装置10と外部装置30とが、サーバ50を介してビデオ通信を開始する。乗員は、場面毎のマッチングによって抽出された推奨通話相手の中から事前に選択した場面毎の通話相手との通話を開始することができる。
【0216】
なお、サーバ50は、これから開始予定の場面の修正開始時刻が、当該場面の開始予定時刻として特定されていた時刻よりも所定時間以上早まる場合は、予定の前倒しがあると判定し、当該場面の推奨通話相手の外部装置30に、前倒し時間の通知を送信するようにしてもよい。また、遅延時間、または前倒し時間について場面毎の推奨通話相手が承諾しない場合には、その場面について新たにマッチングを行って、推奨通話相手の抽出提示が行われてもよい。その際に、例えば、移動計画に基づく場面毎のニーズに基づいて、予約不要で即時応答が可能な通話相手候補を対象としてマッチングがなされてもよい。
【0217】
なお、例えばステップS21において、例えば、車載装置10に加えて、乗員が携帯するスマートフォン等の他の端末装置が、サーバ50に接続されてもよく、遅延時間に関する連絡等の通信が当該他の端末装置との間で行われてもよい。
【0218】
以上、詳細に説明したように、本発明の情報処理装置は、移動体としての自動車Mの移動計画を取得する移動計画取得部と、当該移動計画に含まれる1または複数の場面を、所定条件に基づいて特定する場面特定部と、を有する。さらに、本発明の情報処理装置は、場面毎の状況に基づいて、移動体の乗員が移動体外の通話相手との通話に求める場面毎の要求事項を推定する要求推定部と、乗員に関する情報と、通話相手の候補となる複数の通話相手候補の各々の属性を含む情報である通話相手情報と、場面毎の要求事項と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との場面毎の適合度を算出することで、複数の通話相手候補の中から場面毎の1または複数の相手を推奨通話相手として抽出する抽出部と、場面毎の前記推奨通話相手を乗員に対して提示させる提示制御部と、を有する。
【0219】
例えば、移動体の移動計画に、移動体の移動や時間の経過とともに変わる様々な場面が含まれる場合がある。また、移動体の移動中に移動体の乗員がおかれる状況は、場面毎に変化する。当該状況が変化すると、乗員が通話相手との通話に求める要求事項も変化する。
【0220】
本発明では、要求推定部が、場面毎の状況に基づいて、乗員が通話相手との通話に求める要求事項を推定するので、推定される要求事項には場面毎の状況が反映される。また、抽出部は、当該推定された場面毎の要求事項と、乗員に関する情報と、通話相手情報と、に基づいて、乗員と複数の通話相手候補の各々との適合度を算出する。従って、算出される適合度には、場面毎の要求事項が反映される。
【0221】
よって、乗員の場面毎の要求事項を満たし得る通話相手との場面毎のマッチングを実現することができる。例えば、乗員は、移動計画に沿って、場面毎の通話相手を事前に決めておくことができる。
【0222】
従って、本発明によれば、移動体の運転者と当該運転者に適した移動体外の通話相手とをマッチングすることを可能とする情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び記憶媒体を提供することができる。
【0223】
なお、本実施例によれば、例えば、場面毎に異なる通話相手を予約することができ、例えば現実のガイドや現実の同乗者よりも臨機応変に交代することができる。
【0224】
上述した実施例及び変形例における車載装置10、サーバ50及び外部装置30の構成、ルーチン等は、例示に過ぎず、用途等に応じて、適宜選択または変更することができる。
【0225】
例えば、上記の実施例においては、サーバ50が場面特定部及び推奨通話相手抽出部を有する構成について説明したが、これに限られない。例えば、場面特定部を車載装置10が有していてもよく、車載装置10が移動計画を取得し、移動計画に基づいて特定した場面を示す情報、例えば上述した移動予定情報のような情報をサーバに送信してもよい。
【0226】
また、上記に加えて、推奨通話相手抽出部の一部の機能を車載装置10が有していてもよい。例えば、車載装置10が要求推定部としての機能を有していてもよく、場面毎のニーズの推定を車載装置10が実行し、場面毎のニーズを示す情報をサーバ50に送信してもよい。
【0227】
上記の実施例においてサーバ50の登録情報保持部に予め乗員情報や通話相手情報が登録されることについて説明したが、これに限られない。例えば、登録情報保持部に予め登録される情報は、サーバ50とは別の外部のサーバに記憶されていてもよい。
【0228】
上記の実施例においては、情報処理システム100においてビデオ通信を行う例について説明したが、これに限られない。本発明は、情報処理システム100において、外部装置30と車載装置10との間で音声通話のみ行う場合に適用可能である。つまり、本発明は、車載装置10から映像が配信されない態様での通信にも適用可能である。
【0229】
また、上記の実施例においては、車載装置10と外部装置30とがサーバ50を介してビデオ通信を行うこととしたが、推奨通話相手の提示後のビデオ通信は車載装置10と外部装置30との間で直接なされてもよい。
【0230】
また、ビデオ通信の際に、車載装置10から外部装置30に上記映像配信が行われつつ、情報処理システム100とは別の経路で並行して車載装置10と外部装置30との間の音声通話が確立されていても良い。
【0231】
上記の実施例において、自動車Mの乗員として主に運転者が通話相手候補とマッチングされる例について説明したが、助手席や後部座席に乗っている乗員が通話相手候補とマッチングされてもよい。
【0232】
上記実施例において、自動車Mの前方及び内部を撮影した映像が配信される例について説明したが、これに限られない。例えば、自動車Mには、自動車Mの側方又は後方を撮影するカメラ、又は360度カメラが備えられていてもよく、これらのカメラによって撮影された映像がビデオ通信時に配信されてもよい。
【0233】
上記実施例において、車載装置10及び車載装置60は、車載ナビゲーション装置であるとしたが、車載装置10又は車載装置60は、ナビゲーション機能を有していなくともよい。その場合、例えば、車載装置10は、自動車Mの現在位置情報をサーバ50に送信することで、実際の移動の進行状況の監視がなされてもよい。
【0234】
例えば、車載装置10は、車載装置10と同様の構成を有する端末装置と車外カメラ13とタッチパネル15とが一体化された構成であってもよい。具体的には、例えば、車載装置10は、上記車載装置10と同様の機能を発揮するアプリケーションを搭載したカメラ付きのスマートフォン、タブレットまたはPC等の端末装置であってもよい。この場合、車載装置10は、内蔵カメラが自動車Mのフロントガラスを通して自動車Mの前方を撮影可能なように、例えばクレードル等でダッシュボードDB上に取り付けられ得る。
【0235】
また、車載装置10は、自動車Mの運転者に提示する画面を表示しない構成であってもよい。例えば、車載装置10は、ドライブレコーダのような構成を有していてもよく、例えば、車外カメラ13と一体となった装置であってもよい。具体的には、車載装置10は、例えば、車外カメラ13の筐体内に上記した車載装置10のビデオ通信機能を果たすハードウェアを内蔵したような装置であってもよい。この場合、車載装置10は、上記において説明したような種々の表示出力を行わないこととしてもよい。
【0236】
上記の実施例において、外部装置30はスマートフォンである場合について説明したが、これに限られない。外部装置30は、仮想同乗者となる通話相手候補がビデオ通信に利用できる端末装置であって、ビデオ通信に関する表示又はメッセージの提示、ビデオ通信を行うために必要な操作入力の受付、音声データの送受信並びに映像の受信及び表示が可能に構成されていればよい。例えば、外部装置30は、タブレット、PC、ウェアラブル端末等の端末装置であってもよい。
【0237】
上記の実施例においては、車載装置10が自動車Mに搭載される例を説明したが、車載装置10は、自転車、バイク、船舶等他の移動体に搭載されていてもよい。