(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104644
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ロータおよびロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/28 20060101AFI20240729BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H02K1/28 A
H02K15/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008972
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】津田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】北尾 拓也
(72)【発明者】
【氏名】亀山 拓弥
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD25
5H601EE13
5H601EE16
5H601EE17
5H601GA02
5H601GA33
5H601GA40
5H601GC12
5H601JJ05
5H601KK13
5H601KK18
5H615AA01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615PP24
5H615SS10
5H615SS19
5H615SS20
(57)【要約】
【課題】ロータコアをロータシャフトに固定する際に要求される電力消費を低減することが可能なロータを提供する。
【解決手段】このロータ102は、ロータシャフト2と、ロータシャフト2が挿入されるシャフト挿入孔10を含み、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成される円環状のロータコア1と、ロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置され、外表面20と内周面10aとに締り嵌め状態で接触させることにより、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定する金属製の中間固定部材3と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータシャフトと、
前記ロータシャフトが挿入されるシャフト挿入孔を含み、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成される円環状のロータコアと、
前記ロータシャフトの外表面と前記シャフト挿入孔の内周面との間に配置され、前記外表面と前記内周面とに締り嵌め状態で接触させることにより、前記ロータシャフトに対して前記ロータコアを固定する金属製の中間固定部材と、を備える、ロータ。
【請求項2】
径方向の前記中間固定部材の厚みは、前記径方向の前記ロータコアの厚みよりも小さい、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記ロータシャフトの前記外表面は、前記シャフト挿入孔の内側において、軸方向の一方側から他方側に向けて半径が拡大するテーパ状に形成されたテーパ外表面を有し、
前記中間固定部材は、前記テーパ外表面に沿ったテーパ状に形成されたテーパ内周面を有し、前記ロータシャフトの前記テーパ外表面と前記シャフト挿入孔の前記内周面とに接触するテーパ部材を含み、
前記中間固定部材には、前記テーパ部材を前記軸方向の一方側から押圧することによって、前記テーパ部材を前記ロータシャフトと前記ロータコアとに締り嵌め状態で接触させる押圧部材が設けられている、請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記軸方向の一方側から前記テーパ部材に接触して、前記テーパ部材の前記軸方向の一方側への移動を規制するように構成されている、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記テーパ部材は、周方向の一部が切り欠かれた切欠部を有し、前記切欠部により前記軸方向から視てC字状に形成されている、請求項3に記載のロータ。
【請求項6】
前記中間固定部材は、
前記ロータシャフトの前記外表面と前記シャフト挿入孔の前記内周面とに接触した状態で前記シャフト挿入孔の内部に配置されるシャフト挿入孔内側部と、
前記シャフト挿入孔内側部と一体的に形成され、軸方向の一方側から前記ロータコアに接触するフランジ形状のフランジ部とを含む、請求項1に記載のロータ。
【請求項7】
ロータシャフトと、前記ロータシャフトが挿入されるシャフト挿入孔を含み、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成される円環状のロータコアとを備えるロータの製造方法であって、
前記ロータコアの前記シャフト挿入孔に前記ロータシャフトを挿入させた状態で、前記ロータシャフトの外表面と前記シャフト挿入孔の内周面との間に金属製の中間固定部材を配置する工程と、
前記中間固定部材を軸方向に押圧して前記軸方向に直交する方向に広げることによって、前記中間固定部材を前記外表面と前記内周面とに締り嵌め状態で接触させることにより、前記ロータシャフトに対して前記ロータコアを固定する工程と、を備える、ロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータおよびロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータシャフトおよびロータコアを備えるロータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ロータシャフトと、ロータシャフト挿入孔を含むロータコアとを備えるロータが開示されている。上記ロータコアは、加熱によってロータシャフト挿入孔を拡大した状態で、ロータシャフトが挿入される。すなわち、ロータコアは、焼き嵌めによってロータシャフトに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のロータでは、高速回転にも耐えられるようにロータコアをロータシャフトに対して確実に固定するために、焼き嵌めの際にロータコア全体の温度を比較的高い温度に昇温する必要がある。このため、上記特許文献1のロータでは、ロータコア全体を昇温するための電力消費が比較的大きくなるという不都合がある。したがって、従来より、ロータコアをロータシャフトに固定する際に要求される電力消費を低減することが求められている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ロータコアをロータシャフトに固定する際に要求される電力消費を低減することが可能なロータおよびロータの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面によるロータでは、上記のように、ロータシャフトと、ロータシャフトが挿入されるシャフト挿入孔を含み、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成される円環状のロータコアと、ロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に配置され、外表面と内周面とに締り嵌め状態で接触させることにより、ロータシャフトに対してロータコアを固定する金属製の中間固定部材と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面によるロータでは、上記のように、ロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に配置され、外表面と内周面とに接触することにより、ロータシャフトに対してロータコアを固定する金属製の中間固定部材を設ける。これによって、従来のようにロータシャフトにロータコアを直接固定するのではなく、中間固定部材を介してロータコアをロータシャフトに固定することができる。このため、従来のように電力消費が比較的大きい焼き嵌めによりロータコア全体を加熱してロータシャフトに固定するのではなく、中間固定部材をロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に外表面と内周面とに締り嵌め状態で接触するように配置するだけで、ロータコアをロータシャフトに固定することができる。したがって、ロータコアをロータシャフトに固定する際に要求される電力消費を低減することができる。
【0009】
上記第1の局面によるロータにおいて、好ましくは、径方向の中間固定部材の厚みは、径方向のロータコアの厚みよりも小さい。このように構成すれば、中間固定部材が比較的小さく形成されるので、比較的小さな力で容易に中間固定部材を締り嵌め状態でロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に配置することができる。また、中間固定部材を加熱してロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に配置する場合には、中間固定部材が比較的小さく形成されるので、比較的小さな電力消費で中間固定部材を温度上昇させることができる。
【0010】
上記第1の局面によるロータにおいて、好ましくは、ロータシャフトの外表面は、シャフト挿入孔の内側において、軸方向の一方側から他方側に向けて半径が拡大するテーパ状に形成されたテーパ外表面を有し、中間固定部材は、テーパ外表面に沿ったテーパ状に形成されたテーパ内周面を有し、ロータシャフトのテーパ外表面とシャフト挿入孔の内周面とに接触するテーパ部材を含み、中間固定部材には、テーパ部材を軸方向の一方側から押圧することによって、テーパ部材をロータシャフトとロータコアとに締り嵌め状態で接触させる押圧部材が設けられている。このように構成すれば、テーパ部材をロータシャフトに差し込むだけで、テーパ部材の内周側において、テーパ部材の内周面とロータシャフトのテーパ外表面との面接触状態を容易に確保することができる。また、押圧部材によりテーパ部材を軸方向に押圧することにより、テーパ部材を径方向に拡張し、テーパ部材の外周側において、テーパ部材の外周面とシャフト挿入孔の内周面との接触状態を容易に確保することができる。
【0011】
上記中間固定部材に押圧部材が設けられる構成において、好ましくは、押圧部材は、軸方向の一方側からテーパ部材に接触して、テーパ部材の軸方向の一方側への移動を規制するように構成されている。このように構成すれば、押圧部材により、テーパ外表面に沿って配置されるテーパ部材が、ロータコアに対して軸方向に移動すること(抜けること)を抑制することができる。
【0012】
上記中間固定部材に押圧部材が設けられる構成において、好ましくは、テーパ部材は、周方向の一部が切り欠かれた切欠部を有し、切欠部により軸方向から視てC字状に形成されている。このように構成すれば、テーパ部材が押圧部材により軸方向に押圧された際に、切欠部により、テーパ部材を軸方向と直交する方向に広がるように容易に変形させることができる。
【0013】
上記第1の局面によるロータにおいて、好ましくは、中間固定部材は、ロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面とに接触した状態でシャフト挿入孔の内部に配置されるシャフト挿入孔内側部と、シャフト挿入孔内側部と一体的に形成され、軸方向の一方側からロータコアに接触するフランジ形状のフランジ部とを含む。このように構成すれば、フランジ部により、中間固定部材が、ロータコアに対して軸方向に移動することをより確実に抑制することができる。
【0014】
この発明の第2の局面によるロータの製造方法では、上記のように、ロータシャフトと、ロータシャフトが挿入されるシャフト挿入孔を含み、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成される円環状のロータコアとを備えるロータの製造方法であって、ロータコアのシャフト挿入孔にロータシャフトを挿入させた状態で、ロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に金属製の中間固定部材を配置する工程と、中間固定部材を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、中間固定部材を外表面と内周面とに締り嵌め状態で接触させて、ロータシャフトに対してロータコアを固定する工程と、を備える。
【0015】
この発明の第2の局面によるロータの製造方法では、上記のように、ロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に配置された中間固定部材を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、中間固定部材を外表面と内周面とに接触させて、ロータシャフトに対してロータコアを固定する工程を設ける。これによって、従来のようにロータシャフトにロータコアを直接固定するのではなく、中間固定部材を介してロータコアをロータシャフトに固定することができる。このため、従来のように電力消費が比較的大きい焼き嵌めによりロータコア全体を加熱してロータシャフトに固定するのではなく、中間固定部材をロータシャフトの外表面とシャフト挿入孔の内周面との間に外表面と内周面とに締り嵌め状態で接触するように配置するだけで、ロータコアをロータシャフトに固定することができる。したがって、ロータコアをロータシャフトに固定する際に要求される電力消費を低減することが可能なロータの製造方法を提供することができる。
【0016】
上記ロータおよびロータの製造方法に関して、以下のような構成も考えられる。
【0017】
(付記項1)
たとえば、上記ロータにおいて、好ましくは、ロータシャフトの外表面には、テーパ外表面の軸方向の一方側に雄ネジ部が設けられており、押圧部材は、雄ネジ部に螺合してテーパ部材を軸方向の一方側から押圧するナット部材である。このように構成すれば、雄ネジ部およびナット部材により、ナット部材をロータシャフトの外表面に容易に取り付けることができる。また、雄ネジ部およびナット部材により、ナット部材がテーパ部材を押圧する押圧力を容易に発生させることができる。
【0018】
(付記項2)
また、上記ロータにおいて、好ましくは、中間固定部材は、ロータシャフトの回転中心軸線にロータコアの中心軸線が一致するようにロータコアがロータシャフトに対して位置決めされた状態で、ロータシャフトに対してロータコアを固定するように構成されている。このように構成すれば、中間固定部材を介してロータシャフトに固定されたロータコアの回転を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態によるロータを備える回転電機を径方向から模式的に示した図である。
【
図2】第1実施形態によるロータの中間固定部材のテーパ部材を軸方向から示した図である。
【
図3】第1実施形態によるロータの製造方法について順に説明するための図である。
【
図4】第2実施形態によるロータを備える回転電機を径方向から模式的に示した図である。
【
図5】第2実施形態によるロータの製造方法について順に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1~
図3を参照して、第1実施形態による回転電機100に設けられるロータ102について説明する。
【0022】
各図では、ロータシャフト2の軸方向をX方向により示す。X方向のうちの一方であるロータコア1から後述するナット部材31を向く方向をX1方向により示し、X方向のうちの他方であるナット部材31からロータコア1を向く方向をX2方向により示す。X方向は、ロータシャフト2の回転中心軸線Cに沿った方向である。なお、ナット部材31は、特許請求の範囲の「押圧部材」の一例である。
【0023】
また、各図では、ロータシャフト2の径方向をR方向により示す。R方向のうちの径方向外側をR1方向により示し、径方向内側をR2方向により示す。
【0024】
また、各図では、ロータシャフト2の周方向をRO方向により示す。
【0025】
ここで、
図1に示す第1実施形態の回転電機100は、ロータシャフト2の外表面20とロータコア1のシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置された中間固定部材3により、ロータコア1をロータシャフト2に固定するように構成されている。
【0026】
中間固定部材3は、変形させて、ロータシャフト2の外表面20とロータコア1のシャフト挿入孔10の内周面10aとに締り嵌め状態で接触させることにより、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定するように構成されている。中間固定部材3の詳細については後述する。
【0027】
図1に示すように、回転電機100は、ステータ101と、ロータ102とを備えている。
【0028】
(ステータの構成)
ステータ101は、径方向(R方向)においてロータ102に対向している。ステータ101は、ロータ102の径方向外側(R1方向側)に配置されている。すなわち、回転電機100は、インナーロータ型の回転電機として構成されている。
【0029】
ステータ101は、ステータコア101aと、ステータコア101aに配置されたコイル101bとを備えている。
【0030】
ステータコア101aの軸方向(X方向)の両端部には、ステータコア101aから軸方向に突出するコイル101bのコイルエンド部101cが設けられている。ステータコア102aは、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されており、磁束を通過可能に構成されている。コイル101bは、外部の電源部に接続されており、電力(たとえば、3相交流の電力)が供給されるように構成されている。そして、コイル101bは、電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。
【0031】
(ロータの構成)
ロータ102は、ロータコア1と、ロータシャフト2と、中間固定部材3とを備えている。
【0032】
(ロータのロータコアの構成)
ロータコア1は、円環状に形成されている。ロータコア1は、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることにより構成されている。ロータコア1は、磁束を通過可能に構成されている。ロータコア1は、シャフト挿入孔10と、磁石孔11とを含んでいる。
【0033】
シャフト挿入孔10は、軸方向に延びる円形の貫通孔状に形成され、ロータシャフト2が挿入されるように構成されている。シャフト挿入孔10の内周面10aの内径は、一定である。
【0034】
磁石孔11の内側には、永久磁石11aが配置されている。また、磁石孔11の内側には、永久磁石11aを固定するための樹脂部11bが配置されている。
【0035】
(ロータのロータシャフトの構成)
ロータシャフト2は、回転電機100の回転中心となる軸部分である。ロータシャフト2は、円形状の外表面20を有する丸棒状に形成されている。一例ではあるが、ロータシャフト2は、鋼材により形成されている。詳細には、ロータシャフト2は、S45Cにより形成されている。
【0036】
ロータシャフト2の外表面20は、テーパ外表面20aを有している。テーパ外表面20aは、シャフト挿入孔10の内側において、軸方向の一方側(Z1方向側)から他方側(Z2方向側)に向けて半径が拡大するテーパ状に形成されている。
【0037】
また、ロータシャフト2の外表面20には、雄ネジ部20bが設けられている。雄ネジ部20bは、テーパ外表面20aの軸方向の一方側(Z1方向側)に設けられている。雄ネジ部20bは、軸方向において、テーパ外表面20aに連続して設けられている。すなわち、雄ネジ部20bのZ2方向側の端部は、テーパ外表面20aのZ1方向側の端部に配置されている。雄ネジ部20bには、中間固定部材3のナット部材31が螺合される。
【0038】
ロータシャフト2には、ロータコア1を軸方向において位置決めする凸部20cが設けられている。凸部20cは、外表面20から径方向に突出する円形状のフランジにより形成されている。凸部20cは、ロータコア1に対して軸方向の他方側(Z2方向)から接触している。また、凸部20cは、中間固定部材3に対しても軸方向の他方側から接触している。
【0039】
(ロータの中間固定部材の構成)
中間固定部材3は、上記の通り、ロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置され、外表面20と内周面10aとに締り嵌め状態で接触させることにより、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定するように構成されている。中間固定部材3は、金属製である。一例ではあるが、中間固定部材3は、鋼材により形成されている。詳細には、中間固定部材3は、S45Cにより形成されている。すなわち、中間固定部材3は、ロータシャフト2と同じ材料により形成されている。
【0040】
中間固定部材3は、径方向においてロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとに締り嵌め状態で接触している。すなわち、中間固定部材3は、径方向においてロータシャフト2とロータコア1との間に圧入により変形した状態で配置されている。したがって、ロータシャフト2には、中間固定部材3によって径方向内側を向く力が加えられている。また、ロータコア1には、中間固定部材3によって径方向外側を向く力が加えられている。
【0041】
中間固定部材3は、テーパ部材30を含んでいる。中間固定部材3には、ナット部材31が設けられている。
【0042】
テーパ部材30は、ロータシャフト2のテーパ外表面20aに沿ったテーパ状に形成されたテーパ内周面30aを有し、ロータシャフト2のテーパ外表面20aとシャフト挿入孔10の内周面10aとに接触している。一例ではあるが、テーパ部材30の軸方向に対する傾斜角度は、0.5度以上かつ5度以下である。
【0043】
テーパ部材30の軸方向の長さは、テーパ部材30がシャフト挿入孔10の内側に配置されて変形された状態で、シャフト挿入孔10の軸方向の長さ(ロータコア1の厚み)と略等しい。また、テーパ部材30の軸方向の長さは、テーパ部材30がシャフト挿入孔10の内側に配置される前の変形されていない状態で、シャフト挿入孔10の軸方向の長さよりも大きい。
【0044】
ナット部材31は、テーパ部材30を軸方向の一方側(Z1方向側)から押圧することによって、テーパ部材30をロータシャフト2とロータコア1とに締り嵌め状態で接触させるように構成されている。
【0045】
詳細には、ナット部材31は、ロータシャフト2の雄ネジ部20bに螺合してテーパ部材30を軸方向の一方側から押圧するように構成されている。その結果、ナット部材31は、テーパ部材30を軸方向に直交する方向(径方向)に変形させて広げるように構成されている。
【0046】
これにより、ナット部材31は、テーパ部材30をロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとに接触させて、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定するように構成されている。
【0047】
また、ナット部材31は、軸方向の一方側からテーパ部材30に接触して、テーパ部材30の軸方向の一方側への移動を規制するように構成されている。すなわち、ナット部材31は、テーパ部材30がシャフト挿入孔10から抜けることを防ぐ抜け止めとして機能する。
【0048】
テーパ部材30は、周方向の一部が切り欠かれた切欠部30b(
図2参照)を有し、切欠部30bにより軸方向から視てC字状に形成されている。テーパ部材30は、切欠部30bがあることで、ナット部材31により軸方向に押圧された際に変形によって径方向に拡張しやすくなっている。
【0049】
テーパ部材30は、ロータシャフト2の回転中心軸線Cにロータコア1の中心軸線が一致するようにロータコア1がロータシャフト2に対して位置決めされた状態で、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定するように構成されている。ロータシャフト2の回転中心軸線Cとロータコア1の中心軸線とを一致させる位置決めは、位置決め治具J(
図3参照)によって行われる。ここで、一例ではあるが、径方向の中間固定部材3の厚みL1(最大厚み)は、径方向のロータコア1の厚みL2よりも小さい。
【0050】
(ロータの製造方法)
次に、
図3を参照して、ロータ102の製造方法について各工程に分けて順に説明する。
【0051】
第1の工程として、ロータ102の製造方法は、ロータシャフト2の凸部20cにロータコア1を接触させた状態で、位置決め治具Jにロータコア1およびロータシャフト2を設置して、ロータシャフト2の回転中心軸線Cにロータコア1の中心軸線が一致するようにロータコア1をロータシャフト2に対して位置決めする位置決め工程を備えている。
【0052】
次に、第2の工程として、ロータ102の製造方法は、ロータコア1のシャフト挿入孔10にロータシャフト2を挿入させた状態で、ロータシャフト2の外表面20(テーパ外表面20a)とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に金属製の中間固定部材3を配置する配置工程を備えている。
【0053】
詳細には、上記の配置工程は、径方向において、テーパ外表面20aに対向する位置にテーパ部材30を配置する工程である。
【0054】
次に、第3の工程として、ロータ102の製造方法は、中間固定部材3を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、中間固定部材3を外表面20(テーパ外表面20a)と内周面10aとに接触させて、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定する固定工程を備えている。このロータシャフト2に対してロータコア1を固定する工程は、締り嵌め状態になるように中間固定部材3(テーパ部材30)を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げる工程である。
【0055】
詳細には、上記の固定工程は、雄ネジ部20bに螺合したナット部材31により、テーパ部材30を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、テーパ部材30を外表面20(テーパ外表面20a)と内周面10aとに接触させて、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定する工程である。
【0056】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0057】
[第1実施形態のロータの効果]
第1実施形態のロータ102では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
第1実施形態では、上記のように、ロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置され、外表面20と内周面10aとに接触することにより、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定する金属製の中間固定部材3を設ける。これによって、従来のようにロータシャフトにロータコアを直接固定するのではなく、中間固定部材3を介してロータコア1をロータシャフト2に固定することができる。このため、従来のように電力消費が比較的大きい焼き嵌めによりロータコア全体を加熱してロータシャフトに固定するのではなく、中間固定部材3をロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に外表面20と内周面10aとに締り嵌め状態で接触するように配置するだけで、ロータコア1をロータシャフト2に固定することができる。したがって、ロータコア1をロータシャフト2に固定する際に要求される電力消費を低減することができる。
【0059】
第1実施形態では、上記のように、径方向の中間固定部材3の厚みL1は、径方向のロータコア1の厚みL2よりも小さい。これによって、中間固定部材3が比較的小さく形成されるので、比較的小さな力で容易に中間固定部材3を締り嵌め状態でロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置することができる。また、中間固定部材3を加熱してロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置する場合には、中間固定部材3が比較的小さく形成されるので、比較的小さな電力消費で中間固定部材3を温度上昇させることができる。
【0060】
第1実施形態では、上記のように、ロータシャフト2の外表面20は、シャフト挿入孔10の内側において、軸方向の一方側から他方側に向けて半径が拡大するテーパ状に形成されたテーパ外表面20aを有し、中間固定部材3は、テーパ外表面20aに沿ったテーパ状に形成されたテーパ内周面30aを有し、ロータシャフト2のテーパ外表面20aとシャフト挿入孔10の内周面10aとに接触するテーパ部材30を含み、中間固定部材3には、テーパ部材30を軸方向の一方側から押圧することによって、テーパ部材30をロータシャフト2とロータコア1とに締り嵌め状態で接触させる押圧部材(ナット部材31)が設けられている。これによって、テーパ部材30をロータシャフト2に差し込むだけで、テーパ部材30の内周側において、テーパ部材30の内周面とロータシャフト2のテーパ外表面20aとの面接触状態を容易に確保することができる。また、押圧部材によりテーパ部材30を軸方向に押圧することにより、テーパ部材30を径方向に拡張し、テーパ部材30の外周側において、テーパ部材30の外周面とシャフト挿入孔10の内周面10aとの接触状態を容易に確保することができる。
【0061】
第1実施形態では、上記のように、押圧部材(ナット部材31)は、軸方向の一方側からテーパ部材30に接触して、テーパ部材30の軸方向の一方側への移動を規制するように構成されている。これによって、押圧部材により、テーパ外表面20aに沿って配置されるテーパ部材30が、ロータコア1に対して軸方向に移動すること(抜けること)を抑制することができる。
【0062】
第1実施形態では、上記のように、テーパ部材30は、周方向の一部が切り欠かれた切欠部30bを有し、切欠部30bにより軸方向から視てC字状に形成されている。これによって、テーパ部材30が押圧部材(ナット部材31)により軸方向に押圧された際に、切欠部30bにより、テーパ部材30を軸方向と直交する方向に広がるように容易に変形させることができる。
【0063】
第1実施形態では、上記のように、ロータシャフト2の外表面20には、テーパ外表面20aの軸方向の一方側に雄ネジ部20bが設けられており、押圧部材は、雄ネジ部20bに螺合してテーパ部材30を軸方向の一方側から押圧するナット部材31である。これによって、雄ネジ部20bおよびナット部材31により、ナット部材31をロータシャフト2の外表面20に容易に取り付けることができる。また、雄ネジ部20bおよびナット部材31により、ナット部材31がテーパ部材30を押圧する押圧力を容易に発生させることができる。
【0064】
第1実施形態では、上記のように、中間固定部材3は、ロータシャフト2の回転中心軸線Cにロータコア1の中心軸線が一致するようにロータコア1がロータシャフト2に対して位置決めされた状態で、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定するように構成されている。これによって、中間固定部材3を介してロータシャフト2に固定されたロータコア1の回転を安定させることができる。
【0065】
[第1実施形態のロータの製造方法の効果]
第1実施形態のロータ102の製造方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
第1実施形態では、上記のように、ロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置された中間固定部材3を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、中間固定部材3を外表面20と内周面10aとに接触させて、ロータシャフト2に対してロータコア1を固定する工程を設ける。これによって、従来のようにロータシャフトにロータコアを直接固定するのではなく、中間固定部材3を介してロータコア1をロータシャフト2に固定することができる。このため、従来のように電力消費が比較的大きい焼き嵌めによりロータコア1全体を加熱してロータシャフト2に固定するのではなく、中間固定部材3をロータシャフト2の外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に外表面20と内周面10aとに締り嵌め状態で接触するように配置するだけで、ロータコア1をロータシャフト2に固定することができる。したがって、ロータコア1をロータシャフト2に固定する際に要求される電力消費を低減することが可能なロータ102の製造方法を提供することができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、
図4および
図5を参照して、第2実施形態のロータ202について説明する。第2実施形態では、中間固定部材3を構成するナット部材31により、中間固定部材3を構成するテーパ部材30を軸方向に押圧した第1実施形態とは異なり、プレス装置Pにより中間固定部材203を軸方向に押圧する例について説明する。なお、第1実施形態と同様の部分は同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
図4に示す第2実施形態の回転電機200のロータ202は、ロータコア1と、ロータシャフト202aと、中間固定部材203とを備えている。なお、上記第1実施形態の中間固定部材3はテーパ部材30およびナット部材31の2つの部材により構成されていたが、第2実施形態の中間固定部材203は1つの部材により構成されている。一例ではあるが、中間固定部材203は、鋼材により形成されている。詳細には、中間固定部材203は、S45Cにより形成されている。
【0069】
ロータシャフト202aは、上記第1実施形態のロータシャフト2とは異なり、テーパ外表面20aを備えていない。すなわち、ロータシャフト202aの外径は、凸部20cを除いて、一定である。したがって、ロータシャフト202aの外表面20と、シャフト挿入孔10の内周面10aとの間には、一定幅の円筒形状の空間が設けられている。
【0070】
中間固定部材203は、ロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置され、外表面20と内周面10aとに接触することにより、ロータシャフト202aに対してロータコア1を固定するように構成されている。
【0071】
中間固定部材203は、シャフト挿入孔内側部203aと、フランジ部203bとを含んでいる。シャフト挿入孔内側部203aは、ロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとに接触した状態でシャフト挿入孔10の内部に配置されている。フランジ部203bは、シャフト挿入孔内側部203aと一体的に形成され、軸方向の一方側からロータコア1に接触するフランジ形状に形成されている。
【0072】
なお、フランジ部203bは、プレス装置P(
図5参照)により中間固定部材203が変形されることによって、形成される。中間固定部材203は、変形されていないプレス前の状態で、円筒形状に形成されている。
【0073】
ここで、一例ではあるが、径方向の中間固定部材203の厚みL1a(最大厚み)は、径方向のロータコア1の厚みL2よりも小さい。
【0074】
また、一例ではあるが、ロータコア1の厚みL2が112.7mmであり、シャフト挿入孔10の内径が48mmであるとした場合に、中間固定部材203が変形されていないプレス前の状態で、中間固定部材203の径方向の厚みは、1.5mmである。また、一例ではあるが、中間固定部材203が変形されていないプレス前の状態で、中間固定部材203の軸方向の長さは、上記厚みL2よりも僅かに大きい114.8mmである。
【0075】
また、一例ではあるが、中間固定部材203が変形されていないプレス前の状態で、中間固定部材203とロータコア1の内周面10aとの径方向の距離は、0.025mm以上に設定される。また、一例ではあるが、中間固定部材203が変形されていないプレス前の状態で、中間固定部材203とロータシャフト202aの外表面20との径方向の距離は、0.001mm以上に設定される。また、一例ではあるが、中間固定部材203が変形される際の中間固定部材203の締め代(中間固定部材203がロータコア1を径方向外側に押しのける量)は、片側0.025mmである。
【0076】
(ロータの製造方法)
次に、
図5を参照して、ロータ202の製造方法について各工程に分けて順に説明する。
【0077】
第1の工程として、ロータ202の製造方法は、ロータシャフト202aの凸部20cにロータコア1を接触させた状態で、位置決め治具Jにロータコア1およびロータシャフト202aを設置して、ロータシャフト202aの回転中心軸線Cにロータコア1の中心軸線が一致するようにロータコア1をロータシャフト202aに対して位置決めする位置決め工程を備えている。
【0078】
次に、第2の工程として、ロータ202の製造方法は、ロータコア1のシャフト挿入孔10にロータシャフト202aを挿入させた状態で、ロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に金属製の中間固定部材203を配置する配置工程を備えている。
【0079】
次に、第3の工程として、ロータ202の製造方法は、軸方向の一方側からプレス装置Pにより中間固定部材203を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、中間固定部材203を外表面20と内周面10aとに接触させて、ロータシャフト202aに対してロータコア1を固定する固定工程を備えている。固定工程の際に、フランジ部203bが形成される。固定工程の結果、ロータシャフト202aの外表面20とロータコア1のシャフト挿入孔10の内周面10aとの間がシャフト挿入孔内側部203aによって満たされる。なお、一例ではあるが、プレス装置Pに要求される力は、41.2トン以上である。
【0080】
上記の固定工程の前処理として、中間固定部材を軟化させるために、中間固定部材を所定温度まで加熱してもよい。この際の中間固定部材の加熱は、誘導加熱または加熱炉などによって行われる。中間固定部材は、軟化することによって、プレスの際に、ロータシャフトの外表面とロータコアの内周面との間に、満たされやすくなる。
【0081】
また、上記の固定工程の前処理として、中間固定部材を加熱するのではなく所定温度まで冷却してもよい。詳細には、上記の固定工程の前処理として、中間固定部材を冷却して、中間固定部材を低温脆性劣化させる。中間固定部材は、低温脆性劣化することによって、プレスの際に、ロータシャフトの外表面とロータコア1の内周面との間に、満たされやすくなる。プレス後には、中間固定部材に熱処理して、脆性を回復する。
【0082】
なお、固定工程の前処理としての中間固定部材の加熱および冷却を行うことなく、中間固定部材を、ロータシャフトの外表面とロータコアのシャフト挿入孔の内周面との間に、圧入により締り嵌め状態で配置してもよい。
【0083】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0084】
[第2実施形態のロータの効果]
第2実施形態のロータ202では、以下のような効果を得ることができる。
【0085】
第2実施形態では、上記のように、ロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置された中間固定部材203を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、中間固定部材203を外表面20と内周面10aとに接触させて、ロータシャフト202aに対してロータコア1を固定する工程を設ける。これによって、上記第1実施形態と同様に、ロータコア1をロータシャフト202aに固定する際に要求される電力消費を低減することができる。
【0086】
第2実施形態では、上記のように、径方向の中間固定部材203の厚みL1aは、径方向のロータコア1の厚みL2よりも小さい。これによって、中間固定部材203が比較的小さく形成されるので、比較的小さな力で容易に中間固定部材203を締り嵌め状態でロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置することができる。また、中間固定部材203を加熱してロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置する場合には、中間固定部材203が比較的小さく形成されるので、比較的小さな電力消費で中間固定部材203を温度上昇させることができる。
【0087】
第2実施形態では、上記のように、中間固定部材203は、ロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとに接触した状態でシャフト挿入孔10の内部に配置されるシャフト挿入孔内側部203aと、シャフト挿入孔内側部203aと一体的に形成され、軸方向の一方側からロータコア1に接触するフランジ形状のフランジ部203bとを含む。これによって、フランジ部203bにより、中間固定部材203が、ロータコア1に対して軸方向に移動することをより確実に抑制することができる。
【0088】
[第2実施形態のロータの製造方法の効果]
第2実施形態のロータ202の製造方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0089】
第2実施形態では、上記のように、ロータシャフト202aの外表面20とシャフト挿入孔10の内周面10aとの間に配置された中間固定部材203を軸方向に押圧して軸方向に直交する方向に広げることによって、中間固定部材203を外表面20と内周面10aとに接触させて、ロータシャフト202aに対してロータコア1を固定する工程を設ける。これによって、上記第1実施形態と同様に、ロータコア1をロータシャフト202aに固定する際に要求される電力消費を低減することが可能なロータ202の製造方法を提供することができる。
【0090】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0091】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、中間固定部材をS45Cにより形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中間固定部材をS20CまたはS15CなどのS45Cとは異なる金属材料により形成してもよい。
【0092】
また、上記第1および第2実施形態では、中間固定部材をロータシャフトと同じ材料により形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中間固定部材をロータシャフトとは異なる材料により形成してもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、本発明の押圧部材をナット部材により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中間固定部材をかしめによりロータシャフトに固定されるかしめ部材などにより構成してもよい。
【0094】
また、上記第1実施形態では、テーパ部材の軸方向に対する傾斜角度を0.5度以上かつ5度以下とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、テーパ部材の軸方向に対する傾斜角度を0.5度未満、または、5度よりも大きくしてもよい。
【0095】
また、上記第1実施形態では、テーパ部材に切欠部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、テーパ部材に切欠部が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 ロータコア
2、202a ロータシャフト
3、203 中間固定部材
10 シャフト挿入孔
10a (シャフト挿入孔の)内周面
20 (ロータシャフトの)外表面
20a テーパ外表面
30 テーパ部材
30a (テーパ部材の)テーパ内周面
30b (テーパ部材の)切欠部
31 ナット部材(押圧部材)
102、202 ロータ
203a シャフト挿入孔内側部
203b フランジ部