(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104649
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】移動速度検出システムおよび移動速度検出方法
(51)【国際特許分類】
G01P 3/80 20060101AFI20240729BHJP
G01P 3/36 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01P3/80 Z
G01P3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008982
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 静一郎
(57)【要約】
【課題】回転円盤上を移動するシート状物体の移動速度を精度高く検出する移動速度検出システムを提供する。
【解決手段】移動速度検出システム1は、受光器60が受光した光量分布パターンを所定周期で取得し、取得された光量分布パターンの検出領域を決定し、決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量から、物体の移動速度を求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光器と、受光器と、移動速度検出装置を有する移動速度検出システムであって、
前記投光器は、物体に所定の光線束幅の光を照射し、
前記受光器は、前記投光器により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光して、光量分布パターンを求め、
前記移動速度検出装置は、
前記受光器が受光した光量分布パターンを所定周期で取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記光量分布パターンの検出領域を決定する決定部と、
前記決定部により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める相関計算部と、
前記相関計算部により求められた前記光量分布パターン間のずれ量から、前記物体の移動速度を求める移動速度計算部と
を有することを特徴とする移動速度検出システム。
【請求項2】
前記物体は、シート状であることを特徴とする請求項1に記載の移動速度検出システム。
【請求項3】
前記物体は、粉状であることを特徴とする請求項1に記載の移動速度検出システム。
【請求項4】
前記決定部は、速度測定範囲に応じて、前記取得部により取得された光量分布パターンの検出領域を決定することを特徴とする請求項1に記載の移動速度検出システム。
【請求項5】
前記決定部は、前記物体の移動方向に沿う所定の受光セルの列に収まるよう光量分布パターンの検出領域を決定することを特徴とする請求項1に記載の移動速度検出システム。
【請求項6】
前記移動速度検出装置は、
ユーザからの速度範囲の入力を受け付ける速度範囲入力部をさらに有し、
前記決定部は、前記速度測定範囲と、前記速度範囲入力部により受け付けた速度範囲を用いて、前記取得部により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の移動速度検出システム。
【請求項7】
前記移動速度検出システムは、前記投光器と、前記受光器と、前記移動速度検出装置とを移動させる移動装置を有し、
前記移動装置は、移動を制御する移動制御部と、
前記移動装置の移動量を測定する移動量測定部と、
を有し、
前記移動速度検出装置の前記決定部は、前記移動量測定部により測定された移動量を用いて、前記取得部により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動速度検出システム。
【請求項8】
前記取得部は、円盤の半径と、前記移動装置の移動量と、角速度の情報とを取得し、
前記取得部により取得された前記円盤の半径と、前記移動装置の移動量とから軌道半径を導出する軌道半径導出部と、
前記軌道半径導出部により導出された前記軌道半径と前記取得部により取得された角速度とから標準速度を計算する標準速度測定部と、
前記標準速度測定部により測定された速度を用いて、前記移動速度計算部により計算された物体の移動速度を校正する校正部と
をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の移動速度検出システム。
【請求項9】
投光器と、受光器と、移動速度検出装置が実行する移動速度検出方法であって、
前記投光器が、物体に所定の光線束幅の光を照射する工程と、
前記受光器が、前記投光器により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光して、光量分布パターンを求める工程と、
前記移動速度検出装置が、前記受光器が受光した光量分布パターンを所定周期で取得する取得工程と、
前記移動速度検出装置が、前記取得工程により取得された前記光量分布パターンの検出領域を決定する決定工程と、
前記移動速度検出装置が、前記決定工程により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める相関計算工程と、
前記移動速度検出装置が、前記相関計算工程により求められた前記光量分布パターン間のずれ量から、前記物体の移動速度を求める速度計算工程と
を含むことを特徴とする移動速度検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動速度検出システムおよび移動速度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動する透明フィルムの移動速度を光学的に検出する技術が存在する。例えば、透明フィルムに所定の光線束幅の単色平行光を照射した際に、透明フィルムの内部における構造的なバラツキ等に起因してレーザ光の局部的な反射が生じ、その透過光に該透明フィルムに固有なムラが生じることを利用して、移動する透明フィルムの速度を検出する技術が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、回転する円盤上を移動する物体の移動速度を精度高く検出することができない。例えば、従来技術では、光量分布パターンの相関を用いて移動速度を計算しているため、円盤上の光量分布パターンの観測位置により、円盤上の物体の移動速度としての接線速度が異なるという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に係る移動速度検出システムは、投光器と、受光器と、移動速度検出装置を有する移動速度検出システムであって、前記投光器は、物体に所定の光線束幅の光を照射し、前記受光器は、前記投光器により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光して、光量分布パターンを求め、前記移動速度検出装置は、前記受光器が受光した光量分布パターンを所定周期で取得する取得部と、前記取得部により取得された前記光量分布パターンの検出領域を決定する決定部と、前記決定部により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める相関計算部と、前記相関計算部により求められた前記光量分布パターン間のずれ量から、前記物体の移動速度を求める移動速度計算部とを有することを特徴とする。
【0006】
本願に係る移動速度検出方法は、投光器と、受光器と、移動速度検出装置が実行する移動速度検出方法であって、前記投光器が、物体に所定の光線束幅の光を照射する工程と、前記受光器が、前記投光器により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光して、光量分布パターンを求める工程と、前記移動速度検出装置が、前記受光器が受光した光量分布パターンを所定周期で取得する取得工程と、前記移動速度検出装置が、前記取得工程により取得された前記光量分布パターンの検出領域を決定する決定工程と、前記移動速度検出装置が、前記決定工程により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める相関計算工程と、前記移動速度検出装置が、前記相関計算工程により求められた前記光量分布パターン間のずれ量から、前記物体の移動速度を求める速度計算工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転円盤上を移動する物体の移動速度を精度高く検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る移動速度検出システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る移動速度検出装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、回転による影響を説明する図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る移動速度検出装置の光量分布パターンの検出領域の決定処理を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る移動速度検出装置の光量分布パターンの検出領域の決定処理を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る移動速度検出装置の光量分布パターンの検出領域の決定処理を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る移動速度検出システムによる移動速度検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る移動速度検出装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る移動速度検出システムによる移動速度検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る移動速度検出システムの構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る移動装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る移動速度検出装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る移動速度検出システムによる移動速度検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態(適宜、「実施形態」)について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0010】
[第1実施形態]
[移動速度検出システムの構成]
図1を用いて、実施形態に係る移動速度検出システム1の構成を説明する。
図1は、実施形態に係る移動速度検出システム1の構成を示す図である。
図1には、実施形態に係る移動速度検出システムの一例として、移動速度検出システム1が示される。
【0011】
図1に示すように、移動速度検出システム1は、投光器50と、受光器60と、回転円盤70と、移動速度検出装置100とを備えて構成されてよい。
【0012】
投光器50は、光を照射する装置である。投光器50は、物体に所定の光線束幅の光を照射する。例えば、投光器50は、シート状物体に所定の単色平行光を照射する。例えば、投光器50は、フィルムシートに所定の単色平行光を照射する。また、例えば、投光器50は、粉状物体に所定の単色平行光を照射する。例えば、投光器50は、粉体に所定の単色平行光を照射する。
【0013】
受光器60は、光を受光する装置である。受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光や散乱光を受光して、光量分布パターンを求める。なお、受光器60と物体との間には、レンズやミラーといった光学系を用いることができ、各種倍率を調整することができる。例えば、光学系には、物体の表面と受光器60までの距離に応じた、可変倍率のものを用いることができる。また、受光器60には、エリアセンサやラインセンサといった各種センサを用いることができる。
【0014】
回転円盤70は、所定の速度で回転する円盤である。投光器50の投光対象である物体は、回転円盤70の上を移動する。なお、回転円盤70は、回転モータおよびエンコーダによって回転を制御されていてもよい。
【0015】
移動速度検出装置100は、受光器60が受光した光量分布パターンを所定周期で取得し、取得された光量分布パターンの検出領域を決定し、決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量から、物体の移動速度(接線速度)を求める。
【0016】
ここで、光量分布パターン間のずれ量とは、受光器60により求められた光量分布パターン間の画素単位のずれを示す。つまり、移動速度検出装置100は、回転円盤70の円盤面上における物体の回転運動を対象として、光量分布パターンの相関性と画素単位のずれを用いて物体の移動速度を計算する。
【0017】
[移動速度検出装置の構成]
次に、
図2を用いて、移動速度検出装置100の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る移動速度検出装置100の構成の一例を示す図である。
図2が示すように、移動速度検出装置100は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。なお、これらの各部は、複数の装置が分散して保持してもよい。以下にこれら各部の処理を説明する。
【0018】
通信部110は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した外部装置と制御部120の通信を可能とする。例えば、通信部110は、外部装置と制御部120との通信を可能とする。
【0019】
記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部130は、検出領域DB131と、接線速度DB132と、その他DB133とを有する。
【0020】
検出領域DB131は、速度測定範囲、最低速度、最高速度、検出領域(保存対象のセル範囲)、その他検出領域の決定に必要な情報を記憶する。
【0021】
接線速度DB132は、回転円盤70の半径、光量分布パターン、撮影時間、サンプリング周期、受光器60の画素単位の移動量、接線速度、その他接線速度の計算に必要な情報を記憶する。
【0022】
その他DB133は、光学系の倍率、その他速度検出のための補助的な情報を記憶する。なお、上記各情報は一例であり、各DBが記憶する情報は上記に限定されない。
【0023】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やNP(Network Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。
図2に示すように、制御部120は、取得部121と、決定部122と、相関計算部123と、移動速度計算部124とを有する。以下、制御部120が有する各部について説明する。
【0024】
取得部121は、受光器60が受光した光量分布パターンを所定周期で取得する。例えば、取得部121は、受光器60が受光した光量分布パターンを50ミリ秒周期で取得する。ここで、取得部121が光量分布パターンを取得する所定周期については、外部からの入力された値、または、予め設定された値を用いることができる。
【0025】
決定部122は、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する。例えば、決定部122は、速度測定範囲に応じて、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する。ここで、速度測定範囲とは、回転円盤70上での観測位置をいい、具体的には、回転円盤70上での移動速度検出システム1の位置をいう。例えば、決定部122は、回転円盤70の半径と、移動速度検出システム1の位置の情報とに応じて、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する。
【0026】
例えば、決定部122は、速度測定範囲ごとの光量分布パターンの検出領域を記憶する検出領域DB131の情報を用いて、速度測定範囲に対応する光量分布パターンの検出領域を決定する。例えば、決定部122は、速度測定範囲に応じて、取得部121により取得された光量分布パターンを保存するセンサにおける保存対象のセルを決定する。決定部122による光量分布パターンの検出領域の決定方法については後述する。
【0027】
また、決定部122は、物体の移動方向に沿う所定の受光セルの列に収まるよう光量分布パターンの検出領域を決定する。例えば、決定部122は、物体の移動方向に沿う受光セル1列に収まるよう光量分布パターンの検出領域を決定する。
【0028】
相関計算部123は、決定部122により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める。例えば、相関計算部123は、決定部122により決定された検出領域において、受光器60を介して求められた、第1の光量分布パターンと、第1の光量分布パターンが記憶されてから所定周期の経過後に求められた第2の光量分布パターンとを比較照合し、その相関値がピークを示すときの光量分布パターンのずれ量として、受光器60の画素単位の移動量を求める。
【0029】
例えば、相関計算部123は、第1の光量分布パターンの取得から所定周期後に第2の光量分布パターンが取得された際、記憶部130に記憶された第1の光量分布パターンと第2の光量分布パターンとを比較照合し、光量分布パターン間の相関値、具体的には、その類似度を逐次計算する。また、相関計算部123が行う計算は、新たな光量分布パターンが求められるごとに行ってもよい。
【0030】
移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた光量分布パターン間のずれ量から物体の移動速度を求める。例えば、移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた、第1の光量分布パターンと、第2の光量分布パターンとのずれ量としての受光器60の画素単位の移動量から、物体の移動速度としての接線速度を求める。
【0031】
例えば、移動速度計算部124は、第1の光量分布パターンと第2の光量分布パターンから抽出した特徴と移動速度との関係に関する情報を用いて、接線速度を求める。例えば、移動速度計算部124は、第1の光量分布パターンと第2の光量分布パターンとの受光器60の画素単位の移動量とサンプリング周期と接線速度との関係を記憶する接線速度DB132に記憶された情報を用いて、接線速度を求める。
【0032】
[光量分布パターンの検出領域の決定処理]
次に、光量分布パターンの検出領域の決定処理について、
図3~5を参照して説明する。
図3は、回転による影響を説明するための図である。
【0033】
図3に示すように、回転する円盤上にある物体の接線速度を移動速度として測定する場合、光量分布パターンの検出領域を一定のままにしておくと、回転による接線速度が円盤内のパターン観測位置により異なるので、検出される物体の速度に違いが生じる。そのため、速度範囲と、円盤面内で利用する領域の大きさの関係に合わせて、光量分布パターンを変更する必要がある。
【0034】
次に、
図4は、決定部122が行う、光量分布パターンの検出領域の決定処理を説明するための図である。決定部122は、受光器60の受光セル(画素)のうち、光量分布パターンを保存する対象のセルを決定することにより、検出領域を決定する。
図4において、実線で示されているセルが決定部122により選択されたセルであり、波線で示すセルが選択されていないセルである。
【0035】
決定部122は、速度測定範囲に応じて、光量分布パターンを保存するセンサ(受光器60)における保存対象のセルを決定する。例えば、決定部122は、速度測定範囲ごとの光量分布パターンの検出領域を記憶する検出領域DB131の情報を用いて、速度測定範囲に対応する光量分布パターンの検出領域を決定する。例えば、決定部122は、速度測定範囲が円盤の外輪もしくは外輪近傍であれば、光量分布パターンを保存するセンサにおける保存対象のセルが1セル列内に収まるよう設定してもよい。
【0036】
続いて、
図5は、決定部122が行う、複数列のセル範囲の設定による光量分布パターンの決定方法を説明するための図である。決定部122は、例えば、
図5に示すように、速度測定範囲が円盤の内輪もしくは内輪近傍であれば、光量分布パターンを保存するセンサにおける保存対象のセルが複数セル列内に収まるよう設定してもよい。
【0037】
続いて、
図6は、決定部122が行う、行列方向のセル範囲の設定による光量分布パターンの決定方法を説明するための図である。決定部122は、例えば、
図6(1)に示すように、エリアセンサのマトリクスの一列内において、接線速度方向が多方向を向かない範囲内で、列方向に選択するセルを調整する。例えば、決定部122は、物体の移動方向に沿う所定の受光セルの列に収まるよう光量分布パターンの検出領域を決定してもよい。
【0038】
また、決定部122は、例えば、
図6(2)に示すように、マトリクスの一列内において多方向を向くようになると、セルの行数を制限するよう設定する。なお、決定部122により選択されるセルは有効面積を有し、定性的には光量分布パターンの選択領域に下限が存在するため、許容される範囲内でセルを設定する。また、受光器60としてラインセンサを用いる場合には、
図6(2)に示した方法と同様の方法により光量分布パターンの検出領域を決定してもよい。
【0039】
[フローチャート]
次に、上述した構成の移動速度検出システム1による移動速度検出処理について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
図7は、実施形態に係る移動速度検出システム1による推定処理の一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS101~S106は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S106のうち、省略される処理があってもよい。
【0040】
まず、投光器50は、物体に所定の光線束幅の光を照射する(ステップS101)。例えば、投光器50は、シート状物体に対して、所定の光線束幅の単色平行光を照射する。
【0041】
受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光してその光量分布パターンを求める(ステップS102)。例えば、受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の単色平行光を照射されたシート状物体からの反射光もしくは散乱光を受光してその光量分布パターンを求める。
【0042】
決定部122は、光量分布パターンの検出領域を決定する(ステップS103)。例えば、決定部122は、速度測定範囲に応じて、光量分布パターンを撮影するセンサの保存対象セルを決定する。
【0043】
相関計算部123は、決定部122により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し(ステップS104)、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める(ステップS105)。例えば、相関計算部123は、受光器60を介して求められた、第1の光量分布パターンと、第1の光量分布パターンが記憶されてから所定周期の経過後に求められた第2の光量分布パターンとを比較照合し、相関値がピークを示す時の光量分布パターンのずれ量を求める。
【0044】
移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた光量分布パターン間のずれ量から物体の移動速度を求める(ステップS106)。例えば、移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた、第1の光量分布パターンと、第2の光量分布パターンとのずれ量としての受光器60の画素単位の移動量から、物体の移動速度としての接線速度を求める。
【0045】
[効果]
上述のように、実施形態に係る移動速度検出システム1は、投光器50と、受光器60と、移動速度検出装置100を有する移動速度検出システムであって、投光器50は、物体に所定の光線束幅の光を照射し、受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光して、光量分布パターンを求め、移動速度検出装置100は、受光器60が受光した光量分布パターンを所定周期で取得する取得部121と、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する決定部122と、決定部122により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める相関計算部123と、相関計算部123により求められた光量分布パターン間のずれ量から、物体の移動速度を求める移動速度計算部124とを有する。
【0046】
これにより、実施形態に係る移動速度検出システム1は、回転の影響を軽減し、回転円盤70上を移動する物体の移動速度を精度高く測定することができる。
【0047】
また、実施形態に係る移動速度検出システム1は、回転の影響を軽減し、回転円盤70上を移動するシート状物体の移動速度を精度高く測定することができる。
【0048】
また、実施形態に係る移動速度検出システム1は、回転の影響を軽減し、回転円盤70上を移動する粉状物体の移動速度を精度高く測定することができる。
【0049】
また、実施形態に係る移動速度検出システム1において、決定部122は、速度測定範囲に応じて、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する。これにより実施形態に係る移動速度検出システム1は、速度測定範囲に応じて光量分布パターンの検出領域を限定し、回転の影響を軽減し、回転円盤70上を移動する物体の移動速度を精度高く測定することができる。
【0050】
また、実施形態に係る移動速度検出システム1において、決定部122は、物体の移動方向に沿う所定の受光セルの列に収まるよう光量分布パターンの検出領域を決定する。これにより実施形態に係る移動速度検出システム1は、速度測定範囲に応じて特定の受光セル列に収まるよう光量分布パターンの検出領域を限定し、回転の影響を軽減し、回転円盤70上を移動する物体の移動速度を精度高く測定することができる。
【0051】
[第2実施形態]
ここまで第1実施形態に係る移動速度検出装置100について説明したが、以下では、第2の実施形態に係る移動速度検出装置100について説明する。なお、第1実施形態に係る移動速度検出装置100と同様の説明については適宜省略する。第2実施形態に係る移動速度検出装置100は、ユーザからの入力を受け付けた速度範囲の情報を用いて、光量分布パターンの検出領域を設定する。
【0052】
[移動速度検出装置の構成]
まず、
図8を用いて、移動速度検出装置100の構成について説明する。
図8に示す第2の実施形態に係る移動速度検出装置100は、速度範囲入力部125をさらに有する点で、
図2に示した第1の実施形態に係る移動速度検出装置100と相違する。
【0053】
速度範囲入力部125は、ユーザからの速度範囲の入力を受け付ける。例えば、速度範囲入力部125は、ユーザからの最低速度、最高速度の入力を受け付ける。
【0054】
決定部122は、速度測定範囲と、速度範囲入力部125により受け付けた速度範囲を用いて、光量分布パターンの検出領域を決定する。例えば、決定部122は、速度測定範囲と、速度範囲入力部125により受け付けた最低速度、最高速度の情報とを用いて、光量分布パターンの検出領域を決定する。例えば、決定部122は、速度測定範囲と、速度範囲と、検出領域との関係を記憶する検出領域DB131を用いて、速度測定範囲と、速度範囲入力部125により受け付けた最低速度、最高速度の情報とから、光量分布パターンの検出領域を決定する。
【0055】
[フローチャート]
次に、上述した構成の移動速度検出システム1について、
図9のフローチャートを参照して説明する。
図9は、実施形態に係る移動速度検出システム1による移動速度検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS201~S207は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS201~S207のうち、省略される処理があってもよい。
【0056】
まず、速度範囲入力部125は、ユーザからの速度範囲の入力を受け付ける(ステップS201)。例えば、速度範囲入力部125は、ユーザからの最低速度と最高速度との入力を受け付ける。
【0057】
次に、投光器50は、物体に所定の光線束幅の光を照射する(ステップS202)。例えば、投光器50は、シート状物体に対して、所定の光線束幅の単色平行光を照射する。
【0058】
受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光してその光量分布パターンを求める(ステップS203)。例えば、受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の単色平行光を照射されたシート状物体からの反射光もしくは散乱光を受光してその光量分布パターンを求める。
【0059】
決定部122は、速度測定範囲と、速度範囲入力部125により受け付けた速度範囲とを用いて、光量分布パターンの検出領域を決定する(ステップS204)。例えば、決定部122は、速度測定範囲と、速度範囲入力部125により受け付けた最低速度、最高速度の情報とを用いて、光量分布パターンを撮影するセンサの保存対象セルを決定する。
【0060】
相関計算部123は、決定部122により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し(ステップS205)、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める(ステップS206)。例えば、相関計算部123は、受光器60を介して求められた、第1の光量分布パターンと、第1の光量分布パターンが記憶されてから所定周期の経過後に求められた第2の光量分布パターンとを比較照合し、相関値がピークを示す時の光量分布パターンのずれ量を求める。
【0061】
移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた光量分布パターン間のずれ量から物体の移動速度を求める(ステップS207)。例えば、移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた、第1の光量分布パターンと、第2の光量分布パターンとのずれ量としての受光器60の画素単位の移動量から、物体の移動速度としての接線速度を求める。
【0062】
[効果]
実施形態に係る移動速度検出システム1は、速度範囲入力部125をさらに有し、決定部122は、速度測定範囲と、速度範囲入力部125により受け付けた速度範囲との情報を用いて、光量分布パターンの検出領域を決定する。
【0063】
これにより、実施形態に係る移動速度検出システム1は、速度測定範囲に加えて、ユーザから入力された速度の情報を用いて光量分布パターンの検出領域を決定することで、移動速度検出に際しての処理負荷を軽減しつつ、回転円盤70上を移動する物体の移動速度を精度高く測定することができる。
【0064】
[第3実施形態]
ここまで第1、第2実施形態に係る移動速度検出システム1について説明したが、以下では、第3実施形態に係る移動速度検出装置100について説明する。なお、第1、第2実施形態に係る移動速度検出装置100と同様の説明については適宜省略する。第3実施形態に係る移動速度検出システム1では、投光器50、受光器60、移動速度検出装置100は、移動装置200に取り付けられ、移動速度検出システム1は、移動装置200の位置に応じて、光量分布パターンを保存するセル範囲を設定する。また、第3実施形態に係る移動速度検出システム1は、軌道半径と角速度とから算出した標準速度を用いて、移動速度検出装置100により検出された移動速度の校正を行う。
【0065】
[移動速度検出システムの構成]
まず、
図10を用いて、移動速度検出システム1の構成について説明する。
図10に示す第3の実施形態に係る移動速度検出システム1は、移動装置200をさらに有する点で、
図1で示した第1の実施形態に係る移動速度検出システム1と相違する。
【0066】
移動装置200は、投光器50と、受光器60と、移動速度検出装置100とを移動させる装置である。
【0067】
[移動装置の構成]
次に、
図11を用いて、移動装置200の構成について説明する。移動装置200は、移動制御部221と、移動量測定部222とを有する。
【0068】
移動制御部221は、移動装置200の移動を制御する。例えば、移動制御部221は、投光器50と、受光器60と、移動速度検出装置100とが取り付けられた移動装置200の移動を制御する。例えば、移動制御部221は、移動装置200を回転円盤70の外周部から中心部の方向に移動させる。また、例えば、移動制御部221は、移動装置200を、回転円盤70の中心部から、外周部の方向に移動させてもよい。
【0069】
移動量測定部222は、移動装置200の移動量を測定する。例えば、移動量測定部222は、移動装置200の移動方向と、移動距離とを測定する。
【0070】
[移動速度検出装置の構成]
次に、
図12を用いて移動速度検出装置100の構成について説明する。
図2に示す第1の実施形態に係る移動速度検出装置100とは、校正DB134と、軌道半径導出部126と、標準速度測定部127と、校正部128とを有する点で相違する。
【0071】
記憶部130は、校正DB134を有する。校正DB134は、物体の移動速度(接線速度)、標準速度、角速度、回転円盤70の半径、移動装置200の移動量、軌道半径、その他校正に必要な情報を記憶する。なお、上記の校正DB134が記憶する情報は一例であり、校正DB134が記憶する情報は上記に限定されない。
【0072】
取得部121は、回転円盤70の半径と、移動装置200の移動量と、角速度の情報とを取得する。例えば、取得部121は、接線速度DB132に記憶された回転円盤70の半径の情報を取得する取得部121は、移動装置200の移動量測定部222により測定された移動量の情報を取得する。また、取得部121は、回転円盤70の回転を制御する装置(例えば、エンコーダなど)から、回転円盤70の角速度の情報を取得する。
【0073】
決定部122は、移動量測定部222により測定された移動量を用いて、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する。例えば、決定部122は、移動量に対応する光量分布パターンの検出領域を記憶する検出領域DB131の情報を用いて、移動量に対応する光量分布パターンの検出領域を決定する。
【0074】
軌道半径導出部126は、取得部121により取得された回転円盤70の半径と、移動量測定部222により測定された移動量とから軌道半径を導出する。例えば、軌道半径導出部126は、取得部121により取得された回転円盤70の半径と、移動量測定部222により測定された移動量との差を計算することによって、軌道半径を導出する。
【0075】
標準速度測定部127は、軌道半径導出部126により導出された軌道半径と、取得部121により取得された角速度とから標準速度を計算する。ここで、標準速度とは、次に説明する校正部128による校正の際に標準となる速度の情報である。例えば、標準速度測定部127は、軌道半径導出部126により導出された軌道半径と、取得部121により取得された角速度とを乗算することにより標準速度を計算する。ここで、標準速度測定部127により計算された標準速度は、校正DB134に記憶されてもよい。
【0076】
校正部128は、標準速度測定部127により測定された速度と、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度との対応関係を計算する。例えば、校正部128は、予め、標準速度測定部127により測定された速度と、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度との対応関係を計算しておき、校正DB134に保存しておく。
【0077】
また、校正部128は、標準速度測定部127により測定された速度を用いて、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度を校正する。例えば、校正部128は、標準速度と、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度との対応を記憶する校正DB134を用いて、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度を校正する。
【0078】
[フローチャート]
次に、上述した構成の移動速度検出システム1について、
図13のフローチャートを参照して説明する。
図13は、実施形態に係る移動速度検出システム1による移動速度検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS301~S310は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS301~S310のうち、省略される処理があってもよい。
【0079】
まず、取得部121は、回転円盤70の半径と、移動装置200の移動量と、角速度の情報とを取得する(ステップS301)。例えば、取得部121は、接線速度DB132に記憶された回転円盤70の半径の情報を取得する。また、例えば、取得部121は、移動装置200の移動量測定部222により測定された移動量の情報を取得する。また、取得部121は、回転円盤70の回転を制御するエンコーダから、回転円盤70の角速度の情報を取得する。
【0080】
軌道半径導出部126は、取得部121により取得された回転円盤70の半径と、移動量測定部222により測定された移動量とから軌道半径を導出する(ステップS302)。例えば、軌道半径導出部126は、取得部121により取得された回転円盤70の半径と、移動量測定部222により測定された移動量との差を計算することによって、軌道半径を導出する。
【0081】
標準速度測定部127は、軌道半径導出部126により導出された軌道半径と、取得部121により取得された角速度とから標準速度を計算する(ステップS303)。ここで、標準速度とは、次に説明する校正部128による校正の際に標準となる速度の情報である。例えば、標準速度測定部127は、軌道半径導出部126により導出された軌道半径と、取得部121により取得された角速度とを乗算することにより標準速度を計算する。
【0082】
次に、投光器50は、物体に所定の光線束幅の光を照射する(ステップS304)。例えば、投光器50は、シート状物体に対して、所定の光線束幅の単色平行光を照射する。
【0083】
受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の光を照射された物体からの反射光もしくは散乱光を受光してその光量分布パターンを求める(ステップS305)。例えば、受光器60は、投光器50により所定の光線束幅の単色平行光を照射されたシート状物体からの反射光もしくは散乱光を受光してその光量分布パターンを求める。
【0084】
決定部122は、光量分布パターンの検出領域を決定する(ステップS306)。例えば、決定部122は、移動量測定部222により測定された移動量を用いて、光量分布パターンを撮影するセンサの保存対象セルを決定する。
【0085】
相関計算部123は、決定部122により決定された検出領域における光量分布パターン間の相関値を計算し(ステップS307)、その相関値がピークを示すときの光量分布パターン間のずれ量を求める(ステップS308)。例えば、相関計算部123は、受光器60を介して求められた、第1の光量分布パターンと、第1の光量分布パターンが記憶されてから所定周期の経過後に求められた第2の光量分布パターンとを比較照合し、相関値がピークを示す時の光量分布パターンのずれ量を求める。
【0086】
移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた光量分布パターン間のずれ量から物体の移動速度を求める(ステップS309)。例えば、移動速度計算部124は、相関計算部123により求められた、第1の光量分布パターンと、第2の光量分布パターンとのずれ量としての受光器60の画素単位の移動量から、物体の移動速度としての接線速度を求める。
【0087】
そして、校正部128は、標準速度測定部127により測定された速度を用いて、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度を校正する(ステップS310)。例えば、校正部128は、標準速度測定部127により計算された標準速度と、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度との対応を記憶する校正DB134を用いて、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度を校正する。
【0088】
[効果]
実施形態に係る移動速度検出システム1は、投光器50と、受光器60と、移動速度検出装置100とを移動させる移動装置200を有し、移動装置200は、移動を制御する移動制御部221と、移動装置200の移動量を測定する移動量測定部222とを有し、移動速度検出装置100の決定部122は、移動量測定部222により測定された移動量を用いて、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定する。
【0089】
これにより、実施形態に係る移動速度検出システム1は、移動量の情報を用いて、光量分布パターンの検出領域を決定し、回転円盤70の回転の影響を低減させ、精度高く物体の移動速度を測定することができる。
【0090】
また、実施形態に係る移動速度検出システム1は、投光器50と、受光器60と、移動速度検出装置100とを移動させる移動装置200を有し、移動装置200は、移動を制御する移動制御部221と、移動装置200の移動量を測定する移動量測定部222とを有し、移動速度検出装置100の取得部121は、回転円盤70の半径と、移動装置200の移動量と、角速度の情報とを取得し、決定部122は、移動量測定部222により測定された移動量を用いて、取得部121により取得された光量分布パターンの検出領域を決定し、取得部121により取得された回転円盤70の半径と、移動装置200の移動量とから軌道半径を導出する軌道半径導出部126と、軌道半径導出部126により導出された軌道半径と取得部121により取得された角速度とから標準速度を計算する標準速度測定部127と、標準速度測定部127により測定された速度を用いて、移動速度計算部124により計算された物体の移動速度を校正する校正部128とをさらに有する。
【0091】
これにより、実施形態に係る移動速度検出システム1は、軌道半径と角速度とから計算した標準速度の情報を用いて、光量分布パターンの相関値を用いて計算した物体の移動速度を校正し、回転円盤70の回転の影響をさらに低減させ、より精度高く物体の移動速度を測定することができる。
【0092】
[ハードウェア構成]
図14は、実施形態に係る移動速度検出システム1の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【0093】
コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、補助記憶装置1400、通信I/F(インタフェース)1500、入出力I/F(インタフェース)1600が、バス1800により接続された形態を有する。CPU1100は、ROM1300又は補助記憶装置1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0094】
補助記憶装置1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信I/F1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0095】
CPU1100は、入出力I/F1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入出力装置1700を制御する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、入出力装置1700からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータについて入出力I/F1600を介して入出力装置1700へ出力する。
【0096】
例えば、コンピュータ1000が本実施形態に係る通信システム10が有するアクティブ側I/Fモジュール20又はバックアップ側I/Fモジュール30として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部22又は制御部32の機能を実現する。
【0097】
[その他]
ここまで、本発明に係る実施形態の一例について説明をしたが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。すなわち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の移動速度検出システムを具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1 移動速度検出システム
50 投光器
60 受光器
70 回転円盤
100 移動速度検出装置
110 通信部
120 制御部
121 取得部
122 決定部
123 相関計算部
124 移動速度計算部
125 速度範囲入力部
126 軌道半径導出部
127 標準速度測定部
128 校正部
130 記憶部