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特開2024-104660補償装置、プログラム及び零相電圧検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104660
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】補償装置、プログラム及び零相電圧検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/16 20060101AFI20240729BHJP
   H02H 3/34 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01R29/16 B
H02H3/34 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008997
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】503032382
【氏名又は名称】古屋 一彦
(71)【出願人】
【識別番号】392022721
【氏名又は名称】株式会社和田電業社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】古屋 一彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 功
(57)【要約】
【課題】コンデンサの静電容量が厳密に設計値と一致しない場合でも、正確な零相電圧を検出することのできる補償装置、プログラム及び零相電圧検出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、零相コンデンサを用いて零相電圧の検出を行う装置の出力を補償する補償装置が提供される。この補償装置は、演算部を備える。演算部は、記憶部に記憶されている補償係数を取得し、装置が検出する電圧値と補償係数とに基づいて該電圧値を補償する。補償係数は、装置が備える零相コンデンサ及び検出用コンデンサの静電容量値に基づいて算出された係数である。零相コンデンサは、零相電圧の検出対象となる配電系統の第1の相に接続される第1の零相コンデンサと、配電系統の第2の相に接続される第2の零相コンデンサと、配電系統の第3の相に接続される第3の零相コンデンサとを含む。検出用コンデンサは、第1の零相コンデンサと第2の零相コンデンサと第3の零相コンデンサとに接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
零相コンデンサを用いて零相電圧の検出を行う装置の出力を補償する補償装置であって、
演算部を備え、
前記演算部は、記憶部に記憶されている補償係数を取得し、前記装置が検出する電圧値と前記補償係数とに基づいて該電圧値を補償し、
前記補償係数は、前記装置が備える零相コンデンサ及び検出用コンデンサの静電容量値に基づいて算出された係数であり、
前記零相コンデンサは、零相電圧の検出対象となる配電系統の第1の相に接続される第1の零相コンデンサと、前記配電系統の第2の相に接続される第2の零相コンデンサと、前記配電系統の第3の相に接続される第3の零相コンデンサとを含み、
前記検出用コンデンサは、前記第1の零相コンデンサと前記第2の零相コンデンサと前記第3の零相コンデンサとに接続される
補償装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補償装置において、
受付部を備え、
前記受付部は、前記零相コンデンサの静電容量値と、前記検出用コンデンサの静電容量値との入力を受け付け、
前記演算部は、前記受付部が受け付けた静電容量値に基づいて前記補償係数を算出し、該算出した補償係数を前記記憶部に記憶させる
補償装置。
【請求項3】
請求項1に記載の補償装置において、
前記補償係数は、仮想回路に基づいて前記検出用コンデンサの両端の電圧値を算出した値と、前記装置の回路に基づいて前記検出用コンデンサの両端の電圧値を算出した値との比であり、
前記仮想回路は、第1の仮想コンデンサを前記第1の零相コンデンサに並列接続し、第2の仮想コンデンサを前記第2の零相コンデンサに並列接続し、第3の仮想コンデンサを前記第3の零相コンデンサに並列接続し、検出用仮想コンデンサを前記検出用コンデンサに並列接続した回路であり、
前記第1の仮想コンデンサの静電容量値と前記第1の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第1の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、
前記第2の仮想コンデンサの静電容量値と前記第2の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第2の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、
前記第3の仮想コンデンサの静電容量値と前記第3の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第3の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、
前記検出用仮想コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和は、該検出用コンデンサの静電容量の設計値であり、
前記演算部は、前記検出用コンデンサの両端の電圧値に前記補償係数を乗じて、該電圧値を補償する
補償装置。
【請求項4】
請求項1に記載の補償装置において、
前記補償係数は、前記検出用コンデンサの静電容量の設計値を、前記第1の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第2の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第3の零相コンデンサの静電容量の設計値との和で除した値であり、
前記演算部は、仮想回路に基づいて算出した前記検出用コンデンサの両端の電圧値に、前記補償係数を乗じて、該電圧値を補償し、
前記仮想回路は、第1の仮想コンデンサを前記第1の零相コンデンサに並列接続し、第2の仮想コンデンサを前記第2の零相コンデンサに並列接続し、第3の仮想コンデンサを前記第3の零相コンデンサに並列接続し、検出用仮想コンデンサを前記検出用コンデンサに並列接続した回路であり、
前記第1の仮想コンデンサの静電容量値と前記第1の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第1の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、
前記第2の仮想コンデンサの静電容量値と前記第2の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第2の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、
前記第3の仮想コンデンサの静電容量値と前記第3の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第3の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、
前記検出用仮想コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和は、該検出用コンデンサの静電容量の設計値である
補償装置。
【請求項5】
請求項1に記載の補償装置において、
前記補償係数は、前記検出用コンデンサの静電容量の設計値を、前記第1の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第2の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第3の零相コンデンサの静電容量の設計値の和で除した値であり、
前記演算部は、前記第1の相の電源電圧値に第1の定数を乗じた値と前記第2の相の電源電圧値に第2の定数を乗じた値と前記第3の相の電源電圧値に第3の定数を乗じた値との和から、前記装置が検出する電圧値を前記補償係数で除した値を減じた値を、前記第1の定数と前記第2の定数と前記第3の定数との和で除した値であり、
前記第1の定数は、前記第1の零相コンデンサの静電容量値を、該第1の零相コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和で除した値であり、
前記第2の定数は、前記第2の零相コンデンサの静電容量値を、該第2の零相コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和で除した値であり、
前記第3の定数は、前記第3の零相コンデンサの静電容量値を、該第3の零相コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和で除した値である
補償装置。
【請求項6】
コンピュータを補償装置として動作させるプログラムであって、
コンピュータを請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の補償装置として機能させる
プログラム。
【請求項7】
零相電圧検出装置であって、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の補償装置と、第1の零相コンデンサと、第2の零相コンデンサと、第3の零相コンデンサと、検出用コンデンサとを備え、
前記第1の零相コンデンサは、零相電圧の検出対象となる配電系統の第1の相に接続され、
前記第2の零相コンデンサは、前記配電系統の第2の相に接続され、
前記第3の零相コンデンサは、前記配電系統の第3の相に接続され、
前記検出用コンデンサは、一端が前記第1の零相コンデンサと前記第2の零相コンデンサと前記第3の零相コンデンサとに接続され、他端が接地される
零相電圧検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補償装置、プログラム及び零相電圧検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社の高圧配電系統および特高需要家の高圧配電系統には非接地系配線方式が採用されている。そして、当該配電系統の一般的な地絡保護方式として、保護する配線路が、おおよそ100から200メートルを超える場合は地絡方向継電器が採用され、地絡事故回路と健全回路を判定する保護方式が採用されている。
【0003】
一般に、交流配線回路には交流抵抗成分とインダクタンスによる誘導リアクタンス成分と静電容量(キャパシタンス)による容量リアクタンスがある。そして、地絡保護分野において、地絡方向継電器が必要な技術的理由は、地絡事故には交流配線回路における電線間や対地間の静電容量があり、それらが原因で地絡が無い正常な配線回路でも、これらの静電容量が関与して逆方向の零相電流が流れるために、この電流の方向性を判定する必要があるからである。
【0004】
従って、大きな地絡である完全地絡時の大きな地絡電流や、逆に電線絶縁の劣化の発生で流れる小さな地絡電流であっても、その電流の方向を正確に検出することができる技術が求められている。
【0005】
また、今日、電力配線の地中化事業の推進や、大規模の工場、ショッピングセンター、リニア新幹線や空港などの建設が進み、高圧ケーブルによる電力配線が増大しているので、キャパシタンスによる容量性リアクタンスが益々問題になることが予測される。
【0006】
ところで、高圧系統の零相電圧検出装置には1次、2次、3次巻線を持ったトランス方式(EVT:Earthing Voltage Transformer)と、零相コンデンサと分圧コンデンサを持ったコンデンサ方式(ZVT:Zero phase Voltage Transformer)がある。これらのどちらの方式の零相電圧検出装置にも、1線地絡時に発生する零相電圧の大きい場合と、逆に小さい場合において、検出性能の限界があり、地絡方向の判定や零相電圧の検出が不可能になることがある。
【0007】
また、零相電圧検出装置として、原理的にトランス方式のEVTは高圧系統に等価な内部抵抗が数10kΩと比較的小さく地絡検出に影響するため、高圧需要家サイドの使用が制限されていることから、内部抵抗が大きい(5MΩ~12MΩ)コンデンサ方式のZVTにする必要がある。
【0008】
なお、コンデンサ方式の零相電圧検出装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000-199774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、ZVTの零相電圧検出用のコンデンサには、取付けスペース、形状、周囲温度、容量変化等の信頼性、経済性などに優れた、セラミックコンデンサが採用されているが、ピコファラッド(pF)クラスの容量で設計値に均一な物を製品化することは、非常に難しく、均一性の統一に限界がある。その結果、正確な零相電圧の検出において、検出精度の誤差や、軽度な地絡の検出不能、また不要検出
などの主原因となり、問題を生じている。その結果、高品質なセラミックコンデンサが要求されることになり、製品の歩留まりの低下が、メーカ収益の低下、製品価格の上昇の原因になっている。
【0011】
本発明では上記事情を鑑み、コンデンサの静電容量が厳密に設計値と一致しない場合でも、正確な零相電圧を検出することのできる補償装置、プログラム及び零相電圧検出装置を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、零相コンデンサを用いて零相電圧の検出を行う装置の出力を補償する補償装置が提供される。この補償装置は、演算部を備える。演算部は、記憶部に記憶されている補償係数を取得し、装置が検出する電圧値と補償係数とに基づいて該電圧値を補償する。補償係数は、装置が備える零相コンデンサ及び検出用コンデンサの静電容量値に基づいて算出された係数である。零相コンデンサは、零相電圧の検出対象となる配電系統の第1の相に接続される第1の零相コンデンサと、配電系統の第2の相に接続される第2の零相コンデンサと、配電系統の第3の相に接続される第3の零相コンデンサとを含む。検出用コンデンサは、第1の零相コンデンサと第2の零相コンデンサと第3の零相コンデンサとに接続される。
【0013】
本発明の一態様によれば、零相電圧検出用のコンデンサに、その静電容量のばらつきがあった場合でも、正確な零相電圧を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】零相電圧検出装置1の配置例を示した図である。
図2】零相電圧検出装置1の構成を示した図である。
図3】補償装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】補償係数又は零相コンデンサの静電容量値が入力された際の補償装置10の動作の流れを示すアクティビティ図である。
図5】電圧値の補償を行う際の補償装置10の動作の流れを示すアクティビティ図である。
図6】演算例1を説明するための仮想回路の構成を示した図である。
図7】R相の電圧の算出方法を説明するための図である。
図8】R相の電圧の算出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本開示の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0016】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0017】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0018】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0019】
1.零相電圧検出装置の配置例
まず、零相コンデンサを用いて零相電圧の検出を行う装置の例として零相電圧検出装置についての説明を行う。図1は、零相電圧検出装置1の配置例を示した図である。同図に示すように、零相電圧検出装置1は、電源ER、電源ES、電源ETを有する三相の配電系統の各相に接続される。この配電系統には、自系統2と他系統3が接続されている。なお、電源ER、電源ES、電源ETは、いずれも、変圧器や発電機の出力であってもよい。この配電系統の零相対地電圧Vnは、ミルマンの定理に従い、三相の電源電圧と自系統と他系統の対地インピ-ダンスで決まるアドミッタンスYnと、中性点Nに流れ込む電流Inにより、数1のように表すことができる。この時、平衡三相電源の場合の基準位相を、電圧N-ERの位相角をθとすると、電圧N-ESの位相角はθ-120°、電圧N-ETの位相角はθ+120°になる。
【数1】
【0020】
2.零相電圧検出装置1
続いて、零相電圧検出装置1の構成について説明する。図2は、零相電圧検出装置1の構成を示した図である。同図に示すように、零相電圧検出装置1は、零相コンデンサCR1と、零相コンデンサCS1と、零相コンデンサCT1と、検出用コンデンサCo1と、絶縁変圧器Tと、補償装置10とを備える。零相コンデンサCR1は、電源ERと検出用コンデンサCo1との間に接続され、零相コンデンサCS1は、電源ESと検出用コンデンサCo1との間に接続され、零相コンデンサCT1は、電源ETと検出用コンデンサCo1との間に接続される。また、検出用コンデンサCo1は、一端が零相コンデンサCR1、零相コンデンサCS1、零相コンデンサCT1に接続され、他端が接地抵抗RAを介して接地されている。絶縁変圧器Tは、検出用コンデンサCo1の両端に生じる電圧Vo1を変圧して補償装置10に出力する。補償装置10は、検出用コンデンサCo1の両端に生じる電圧Vo1を補償して、零相電圧を特定する。零相コンデンサCR1、零相コンデンサCS1、零相コンデンサCT1の静電容量は、200~300pFであることが多く、設計値としては、全てが同じ静電容量である。また、検出用コンデンサCo1の静電容量は、0.1~0.2μF程度が採用される。
【0021】
3.補償装置10の構成
次に、補償装置10の構成について説明する。図3は、補償装置10の機能的な構成を示すブロック図である。同図に示すように、補償装置10は、受付部11と、記憶部12と、変換部13と、演算部14と、出力部15とを備える。受付部11は、補償係数又は零相コンデンサの静電容量値と、検出用コンデンサの静電容量値との入力を受け付ける。記憶部12は、受付部11が受け付けた補償係数又は零相コンデンサの静電容量値を記憶する。変換部13は、絶縁変圧器Tが出力した電圧の形態をアナログ信号からデジタル信号に変換する。演算部14は、記憶部12に記憶されている補償係数を取得し、絶縁変圧器T(零相電圧検出装置1)
が検出する電圧値と補償係数とに基づいて該電圧値を補償する。また、受付部11が零相コンデンサの静電容量値を受け付けた場合には、演算部14は、受付部11が受け付けた静電容量値に基づいて補償係数を算出し、該算出した補償係数を記憶部12に記憶させる。出力部15は、演算部14により補償された零相電圧値を、表示装置又は他の警報装置等に出力する。この補償装置10は、零相電圧検出装置1の出力を補償するものであり、例えば、パーソナルコンピュータやマイクロコントローラ等のプロセッサを備えた装置をプログラムに応じて動作させることで実現される。このプログラムは、コンピュータを補償装置10として機能させるものである。なお、補償係数は、零相電圧検出装置1が備える零相コンデンサの静電容量値に基づいて算出された係数であり、零相コンデンサは、零相電圧の検出対象となる配電系統の第1の相であるR相に接続される第1の零相コンデンサCR1と、配電系統の第2の相であるS相に接続される第2の零相コンデンサCS1と、配電系統の第3の相であるT相に接続される第3の零相コンデンサCT1とを含む。検出用コンデンサCo1は、第1の零相コンデンサと第2の零相コンデンサと第3の零相コンデンサとに接続される。
【0022】
4.補償装置10の動作
次に、補償装置10の動作について説明する。図4は、補償係数又は零相コンデンサの静電容量値が入力された際の補償装置10の動作の流れを示すアクティビティ図である。また、図5は、電圧値の補償を行う際の補償装置10の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【0023】
補償装置10に零相コンデンサの静電容量値が入力された場合には、受付部11が静電容量値の入力を受け付け(A101)、その静電容量値に基づいて演算部14が補償係数を算出し(A102)、算出した補償係数を記憶部12に記憶させる(A103)。一方、補償装置10に補償係数が入力された場合には、受付部11が補償係数の入力を受け付け(A104)、受け付けた補償係数を記憶部12に記憶させる(A103)。
【0024】
また、電圧値の補償を行う際には、補償装置10は、変換部13が、絶縁変圧器Tが出力した電圧の形態をアナログ信号からデジタル信号に変換し(A201)、演算部14が補償係数を用いた演算を行い(A202)、出力部15が、演算部14により補償された零相電圧値を出力する(A203)。これらの処理は、所定の時間間隔で繰り返される。なお、電源ER、電源ES、電源ETは、時間の経過に伴い変動することがあるが、演算部14の処理を繰り返し行うことで対応することができる。
【0025】
5.演算例1
次に、演算部14による演算例1について説明する。図6は、演算例1を説明するための仮想回路の構成を示した図である。演算例1においては、補償係数は、仮想回路に基づいて検出用コンデンサの両端の電圧値を算出した値と、零相電圧検出装置1の実際の回路に基づいて検出用コンデンサの両端の電圧値(絶縁変圧器T(零相電圧検出装置1)が検出する電圧値)を算出した値との比である。仮想回路は、図6に示すように、第1の仮想コンデンサCR2を第1の零相コンデンサCR1に並列接続し、第2の仮想コンデンサCS2を第2の零相コンデンサCS1に並列接続し、第3の仮想コンデンサCT2を第3の零相コンデンサCT1に並列接続し、検出用仮想コンデンサCo2を検出用コンデンサCo1に並列接続した回路である。
【0026】
ここで、第1の仮想コンデンサCR2の静電容量値と第1の零相コンデンサCR1の静電容量値との和は、その第1の零相コンデンサCR1の静電容量の設計値である。同様に、第2の仮想コンデンサCS2の静電容量値と第2の零相コンデンサCS1の静電容量値との和は、その第2の零相コンデンサCS1の静電容量の設計値であり、第3の仮想コンデンサCT2の静電容量値と第3の零相コンデンサCT1の静電容量値との和は、その第3の零相コンデンサCT1の静電容量の設計値である。なお、第1の零相コンデンサCR1の静電容量の設計値、第2の零相コンデンサCS1の静電容量の設計値、第3の零相コンデンサCT1の静電容量の設計値は、同値である。また、検出用仮想コンデンサCo2の静電容量値と検出用コンデンサCo1の静電容量値との和は、その検出用コンデンサCo1の静電容量の設計値である。
【0027】
演算例1では、演算部14は、検出用コンデンサの両端の電圧値(絶縁変圧器T(零相電圧検出装置1)が検出する電圧値)に補償係数を乗じて、該電圧値を補償する。ここで、零相電圧検出装置1の実際の回路におけるR相の電圧について説明する。図7は、R相の電圧の算出方法を説明するための図である。なお、電源ERの周波数fが50Hzであるとすれば、CR1が250pFであれば1/ωCR1が12.7MΩ、Co1が1.4μFであれば1/ωCo1が22.7kΩであり、接地抵抗RAが10Ωであれば、無視できるほど十分に小さいので、接地抵抗RAを無視するものとする。
【0028】
ここで、CCR1=CR1/(CR1+Co1)とすると、検出用コンデンサCo1の両端のR相分の電圧VCo1Rは、配電系統の零相対地電圧をVNとして、数2に示すようになる。
【数2】
【0029】
同様に、CCS1=CS1/(CS1+Co1)、CCT1=CT1/(CT1+Co1)とすると、検出用コンデンサCo1の両端のS相分の電圧VCo1Sは、数3に示すようになり、検出用コンデンサCo1の両端のT相分の電圧VCo1Tは、数4に示すようになる。
【数3】
【数4】
【0030】
したがって、検出用コンデンサCo1の両端の電圧Vo1は、三相分の合成から数5に示すものとなる。
【数5】
【0031】
また、図6に示す仮想回路におけるR相の電圧について説明する。図8は、R相の電圧の算出方法を説明するための図である。この仮想回路についても同様の計算を行うと、CCR2=(CR1+CR2)/(CR1+CR2+Co1+Co2)、CCS2=(CS1+CS2)/(CS1+CS2+Co1+Co2)、CCT2=(CT1+CT2)/(CT1+CT2+Co1+Co2)として、検出用コンデンサCo1及び検出用仮想コンデンサCo2の両端の電圧VCo2は、数6に示すようになる。なお、第1の零相コンデンサCR1の静電容量の設計値、第2の零相コンデンサCS1の静電容量の設計値、第3の零相コンデンサCT1の静電容量の設計値をC1とすると、数7に示す関係が成り立つ。
【数6】
【数7】
【0032】
ここで、Vo2とVo1の比をKVo12とすると、KVo12=Vo2/Vo1となる。そして、このKVo12を補償係数とすると、絶縁変圧器Tが出力したVN1は、数8に示すようにVN2に変換される。このVN2は、配電系統の零相対地電圧をVNに相当するものである。
【数8】
【0033】
ここで、演算例1を検証してみる。図1に示した他系統3のR相、S相、T相の対地絶縁抵抗は正常として、各相とも100GΩ、自系統2のR相、T相の対地絶縁抵抗も正常として100GΩとし、自系統2のS相の対地絶縁抵抗を縁低下状態として1MΩとする。また、系統の対地静電容量について、他系統3は各相2.4μF、自系統2は各相0.2μFとし、電源周波数は50Hzとする。この場合、数1より、ES-VN=3810.5∠-120°Vとなる。
【0034】
そして、CR1=245pF、CS1=240pF、CT1=235pF、Co1=0.149μFとすると、Vo1=0.228∠150°Vとなる。
【0035】
また、CR2=5pF、CS2=10pF、CT2=15pF、Co2=0.001μFとすると、Vo2=0.0078∠150°Vとなる。
【0036】
したがって、数8より、KVo12=0.03447となる。補償後の零相電圧VN2は、VN2=VN1×KVo12=45.6×0.03447=1.5718Vとなる。
【0037】
6.演算例2
次に、演算部14による演算例2について説明する。演算例2においては、補償係数は、検出用コンデンサCo1の静電容量の設計値を、第1の零相コンデンサCR1の静電容量の設計値と第2の零相コンデンサCS1の静電容量の設計値と第3の零相コンデンサCT1の静電容量の設計値の和で除した値である。
ここで、第1の仮想コンデンサCR2の静電容量値と第1の零相コンデンサCR1の静電容量値との和は、その第1の零相コンデンサCR1の静電容量の設計値である。同様に、第2の仮想コンデンサCS2の静電容量値と第2の零相コンデンサCS1の静電容量値との和は、その第2の零相コンデンサCS1の静電容量の設計値であり、第3の仮想コンデンサCT2の静電容量値と第3の零相コンデンサCT1の静電容量値との和は、その第3の零相コンデンサCT1の静電容量の設計値である。なお、第1の零相コンデンサCR1の静電容量の設計値、第2の零相コンデンサCS1の静電容量の設計値、第3の零相コンデンサCT1の静電容量の設計値は、同値である。また、検出用仮想コンデンサCo2の静電容量値と検出用コンデンサCo1の静電容量値との和は、その検出用コンデンサCo1の静電容量の設計値である。
【0038】
演算例2では、演算部14は、図6に示した仮想回路に基づいて算出した検出用コンデンサの両端の電圧値(絶縁変圧器T(零相電圧検出装置1)が検出する電圧値)に、を算出した値に、補償係数を乗じて、その電圧値を補償する。仮想回路は、第1の仮想コンデンサCR2を第1の零相コンデンサCR1に並列接続し、第2の仮想コンデンサCS2を第2の零相コンデンサCS1に並列接続し、第3の仮想コンデンサCT2を第3の零相コンデンサCT1に並列接続し、検出用仮想コンデンサCo2を検出用コンデンサCo1に並列接続した回路である。
【0039】
具体的には、補償係数KHVNは、零相コンデンサCR1の静電容量の設計値と、零相コンデンサCR1の静電容量の設計値と、零相コンデンサCS1の静電容量の設計値と、零相コンデンサCT1の静電容量の設計値とのそれぞれを、同値であるCとし、検出用コンデンサCo1の静電容量の設計値Coとして、数9で表され、補償後の零相電圧VN2は、数10に示すようなものとなる。
【数9】
【数10】
【0040】
試算してみると、KHVN=Co/(C+C+C)=0.15μF/750pF=200となり、VN2=0.00786×200=1.572Vとなる。
【0041】
7.演算例3
次に、演算部14による演算例3について説明する。演算例3においては、補償係数は、検出用コンデンサCo1の静電容量の設計値を、第1の零相コンデンサCR1の静電容量の設計値と第2の零相コンデンサCS1の静電容量の設計値と第3の零相コンデンサCT1の静電容量の設計値の和で除した値である。
【0042】
演算例2では、演算部14は、第1の相の電源ERの電圧値に第1の定数CCR1を乗じた値と第2の相の電源ESの電圧値に第2の定数CCS1を乗じた値と第3の相の電源ETの電圧値に第3の定数CCT1を乗じた値との和から、絶縁変圧器T(零相電圧検出装置1)が検出する電圧値を補償係数で除した値を減じた値を、第1の定数CCR1と第2の定数CCS1と第3の定数CCT1との和で除した値である。
【0043】
第1の定数CCR1は、第1の零相コンデンサCR1の静電容量値を、該第1の零相コンデンサCR1の静電容量値と検出用コンデンサCo1の静電容量値との和で除した値であり、CCR1=CR1/(CR1+Co1)で表せる。第2の定数は、第2の零相コンデンサCS1の静電容量値を、該第2の零相コンデンサCS1の静電容量値と検出用コンデンサCo1の静電容量値との和で除した値であり、CCS1=CS1/(CS1+Co1)で表せる。第3の定数は、第3の零相コンデンサCT1の静電容量値を、該第3の零相コンデンサCT1の静電容量値と検出用コンデンサCo1の静電容量値との和で除した値であり、CCT1=CT1/(CT1+Co1)で表せる。
【0044】
演算例3では、零相電圧VNは、数11により算出され、VN=1.554Vとなる。なお、演算例3では、仮想回路を用いていないため、VN2(補償後の零相電圧)として表していないが、零相電圧VNは、VN2に相当する値である。
【数11】
【0045】
8.その他
以上、演算例1では、VN2=1.5718V、演算例2では、VN2=1.572V、演算例3では、VN=1.554Vとなり、各演算結果の差は、1%未満となり、ほぼ一致する。したがって、いずれの演算方法によっても零相電圧の補償を行うことができる。その結果、次のような効果を得ることができる。
(1)高圧配線系統に使用されている零相コンデンサを用いた現状の零相電圧検出装置に比べ、零相電圧が小さい領域において、2桁以上に検出感度を上げることが可能になり、その結果、高圧系統の地絡保護技術に大きく貢献する。
(2)本技術は、仮想コンデンサを用いて零相電圧検出装置を補償するソフトウェアによる技術であるから、ハードウェアでは実現不可能な負の静電容量値を用いることも可能になり、ハードウェアを用いた手法に比べ、大きく優れている。
(3)零相電圧検出装置の本体のハード的な対策で、高性能化を行うこと無く、現状の零相電圧検出装置を使用した状態でのソフト対策により、零相電圧検出装置の高性能化を実現することが可能である。
(4)零相電圧検出装置の本体のハード的な対策に対し、本体の外形、重量、設置スペース等の問題が無く、かつ、既存の零相電圧検出装置を使用して、電圧計、地絡方向継電器、絶縁監視装置などの高性能化が可能になる。
(5)現市場の零相電圧検出装置用零相コンデンサの誤差の大小に関わらず、使用することが可能になり、製品製造時の歩留まりの改善につながる。
(6)零相電圧検出装置の本体のハード的な対策に比較して、対策費の負担を大幅に小さくできる。
【0046】
なお、本技術は22kV、33kV、66kV、154kV等の交流系統においても活用することが可能である。
【0047】
また、本技術は、高性能ZVT(零相電圧検出装置)として用いるのみでなく、絶縁監視装置、地絡検出リレー、漏電遮断器、UGS(地中線用負荷開閉器)、等にも用いることが可能である。
【0048】
本発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0049】
(1)零相コンデンサを用いて零相電圧の検出を行う装置の出力を補償する補償装置であって、演算部を備え、前記演算部は、記憶部に記憶されている補償係数を取得し、前記装置が検出する電圧値と前記補償係数とに基づいて該電圧値を補償し、前記補償係数は、前記装置が備える零相コンデンサ及び検出用コンデンサの静電容量値に基づいて算出された係数であり、前記零相コンデンサは、零相電圧の検出対象となる配電系統の第1の相に接続される第1の零相コンデンサと、前記配電系統の第2の相に接続される第2の零相コンデンサと、前記配電系統の第3の相に接続される第3の零相コンデンサとを含み、前記検出用コンデンサは、前記第1の零相コンデンサと前記第2の零相コンデンサと前記第3の零相コンデンサとに接続される補償装置。
【0050】
(2)上記(1)に記載の補償装置において、受付部を備え、前記受付部は、前記零相コンデンサの静電容量値と、前記検出用コンデンサの静電容量値との入力を受け付け、前記演算部は、前記受付部が受け付けた静電容量値に基づいて前記補償係数を算出し、該算出した補償係数を前記記憶部に記憶させる補償装置。
【0051】
(3)上記(1)又は(2)に記載の補償装置において、前記補償係数は、仮想回路に基づいて前記検出用コンデンサの両端の電圧値を算出した値と、前記装置の回路に基づいて前記検出用コンデンサの両端の電圧値を算出した値との比であり、前記仮想回路は、第1の仮想コンデンサを前記第1の零相コンデンサに並列接続し、第2の仮想コンデンサを前記第2の零相コンデンサに並列接続し、第3の仮想コンデンサを前記第3の零相コンデンサに並列接続し、検出用仮想コンデンサを前記検出用コンデンサに並列接続した回路であり、前記第1の仮想コンデンサの静電容量値と前記第1の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第1の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、前記第2の仮想コンデンサの静電容量値と前記第2の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第2の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、前記第3の仮想コンデンサの静電容量値と前記第3の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第3の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、前記検出用仮想コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和は、該検出用コンデンサの静電容量の設計値であり、前記演算部は、前記検出用コンデンサの両端の電圧値に前記補償係数を乗じて、該電圧値を補償する補償装置。
【0052】
(4)上記(1)又は(2)に記載の補償装置において、前記補償係数は、前記検出用コンデンサの静電容量の設計値を、前記第1の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第2の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第3の零相コンデンサの静電容量の設計値との和で除した値であり、前記演算部は、仮想回路に基づいて算出した前記検出用コンデンサの両端の電圧値に、前記補償係数を乗じて、該電圧値を補償し、前記仮想回路は、第1の仮想コンデンサを前記第1の零相コンデンサに並列接続し、第2の仮想コンデンサを前記第2の零相コンデンサに並列接続し、第3の仮想コンデンサを前記第3の零相コンデンサに並列接続し、検出用仮想コンデンサを前記検出用コンデンサに並列接続した回路であり、前記第1の仮想コンデンサの静電容量値と前記第1の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第1の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、前記第2の仮想コンデンサの静電容量値と前記第2の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第2の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、前記第3の仮想コンデンサの静電容量値と前記第3の零相コンデンサの静電容量値との和は、該第3の零相コンデンサの静電容量の設計値であり、前記検出用仮想コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和は、該検出用コンデンサの静電容量の設計値である補償装置。
【0053】
(5)上記(1)又は(2)に記載の補償装置において、前記補償係数は、前記検出用コンデンサの静電容量の設計値を、前記第1の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第2の零相コンデンサの静電容量の設計値と前記第3の零相コンデンサの静電容量の設計値の和で除した値であり、前記演算部は、前記第1の相の電源電圧値に第1の定数を乗じた値と前記第2の相の電源電圧値に第2の定数を乗じた値と前記第3の相の電源電圧値に第3の定数を乗じた値との和から、前記装置が検出する電圧値を前記補償係数で除した値を減じた値を、前記第1の定数と前記第2の定数と前記第3の定数との和で除した値であり、前記第1の定数は、前記第1の零相コンデンサの静電容量値を、該第1の零相コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和で除した値であり、前記第2の定数は、前記第2の零相コンデンサの静電容量値を、該第2の零相コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和で除した値であり、前記第3の定数は、前記第3の零相コンデンサの静電容量値を、該第3の零相コンデンサの静電容量値と前記検出用コンデンサの静電容量値との和で除した値である補償装置。
【0054】
(6)コンピュータを補償装置として動作させるプログラムであって、コンピュータを上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の補償装置として機能させるプログラム。
【0055】
(7)零相電圧検出装置であって、上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の補償装置と、第1の零相コンデンサと、第2の零相コンデンサと、第3の零相コンデンサと、検出用コンデンサとを備え、前記第1の零相コンデンサは、零相電圧の検出対象となる配電系統の第1の相に接続され、前記第2の零相コンデンサは、前記配電系統の第2の相に接続され、前記第3の零相コンデンサは、前記配電系統の第3の相に接続され、前記検出用コンデンサは、一端が前記第1の零相コンデンサと前記第2の零相コンデンサと前記第3の零相コンデンサとに接続され、他端が接地される零相電圧検出装置。
もちろん、この限りではない。
【0056】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 :零相電圧検出装置
2 :自系統
3 :他系統
10 :補償装置
11 :受付部
12 :記憶部
13 :変換部
14 :演算部
15 :出力部
CR1 :第1の零相コンデンサ
CR2 :第1の仮想コンデンサ
CS1 :第2の零相コンデンサ
CS2 :第2の仮想コンデンサ
CT1 :第3の零相コンデンサ
CT2 :第3の仮想コンデンサ
Co1 :検出用コンデンサ
Co2 :検出用仮想コンデンサ
ER :電源
ES :電源
ET :電源
N :中性点
RA :接地抵抗
T :絶縁変圧器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8