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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104668
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】起上台アタッチメントおよび内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20240729BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240729BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61B1/018 514
A61B1/00 650
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009007
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】鳩間 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】樽本 哲也
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161BB03
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF36
4C161FF43
4C161GG11
4C161HH24
4C161WW16
4C601BB06
4C601BB22
4C601EE11
4C601FE02
4C601FF04
4C601FF05
(57)【要約】
【課題】ユーザが種々の仕様の処置具を選択できる起上台アタッチメント等を提供すること。
【解決手段】保持体70と起上台80とを備え、内視鏡に着脱可能な起上台アタッチメント90において、前記内視鏡は、挿入部の長手方向に対して傾斜する傾斜面と、第1内壁および前記第1内壁に対向する第2内壁を有し前記傾斜面を二分する起上台溝と、前記起上台溝の内側に回動可能に設けられたレバーとを備えており、前記保持体70は、二分された前記傾斜面の前記第1内壁側および前記起上台溝の縁を覆うL字板形状の傾斜面板75と、前記傾斜面板75の縁から立ち上がり前記第1内壁に沿って配置される第1板71と、前記傾斜面板75の端部に接続されており、前記第2内壁に当接する第2板72とを有し、前記起上台80は、前記第1板71と前記第2板72との間に回動可能に支持されており、前記レバーに連結するレバー連結部81を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持体と起上台とを備え、内視鏡に着脱可能な起上台アタッチメントにおいて、
前記内視鏡は、挿入部の長手方向に対して傾斜する傾斜面と、第1内壁および前記第1内壁に対向する第2内壁を有し前記傾斜面を二分する起上台溝と、前記起上台溝の内側に回動可能に設けられたレバーとを備えており、
前記保持体は、
二分された前記傾斜面の前記第1内壁側および前記起上台溝の縁を覆うL字板形状の傾斜面板と、
前記傾斜面板の縁から立ち上がり前記第1内壁に沿って配置される第1板と、
前記傾斜面板の端部に接続されており、前記第2内壁に当接する第2板とを有し、
前記起上台は、前記第1板と前記第2板との間に回動可能に支持されており、前記レバーに連結するレバー連結部を有する
起上台アタッチメント。
【請求項2】
前記保持体は、外装板と内部板とを有するL字板形状の第3板を備え、
前記外装板は、前記傾斜面板の縁から立ち上がり、前記第1板に対向し、
前記内部板は、前記傾斜面板から立ち上がり、前記外装板の縁に連続する
請求項1に記載の起上台アタッチメント。
【請求項3】
前記第2板は、前記第1板に対向する面に第2板凹部を有し
前記起上台は、
前記第2板に回動可能に支持されており、
前記第2板凹部に向けて突出するストッパ突起を有し、
前記ストッパ突起と前記第2板凹部とにより回動範囲が規制されている
請求項1に記載の起上台アタッチメント。
【請求項4】
前記傾斜面板と前記第2板とに連結する連結板を備え、
前記連結板は、前記起上台溝の内壁に当接して配置される
請求項1に記載の起上台アタッチメント。
【請求項5】
前記傾斜面板と前記第2板とに連結する連結板を備え、
前記連結板は、前記起上台溝の内壁に当接して配置される
請求項2に記載の起上台アタッチメント。
【請求項6】
前記連結板は多角形の板であり、
前記連結板の第1辺は、前記傾斜面板の縁に連続しており、
前記連結板の前記第1辺の第1端側に隣接する第2辺は、前記第2板の縁に連続し、
前記連結板の前記第1辺の第2端側に隣接する第3辺は、前記外装板の縁に連続する
請求項5に記載の起上台アタッチメント。
【請求項7】
前記内部板は、前記連結板と平行である
請求項5に記載の起上台アタッチメント。
【請求項8】
前記傾斜面板は、T字型の貫通孔を有し、
前記貫通孔は、T字型の横棒部分を前記第1板に平行に、T字型の縦棒部分を前記第1板の反対側に向けて配置されている
請求項1に記載の起上台アタッチメント。
【請求項9】
前記第1板は、前記第1内壁に設けられた第1係合爪に係合する第2係合爪を備える
請求項1に記載の起上台アタッチメント。
【請求項10】
前記第2係合爪は、前記第1板から前記第2板と反対側に向けて突出する。
請求項9に記載の起上台アタッチメント。
【請求項11】
挿入部の長手方向に対して傾斜する傾斜面と、
第1内壁および前記第1内壁に対向する第2内壁を有し前記傾斜面に開口して前記傾斜面を二分する起上台溝と、
前記起上台溝の内側に回動可能に設けられたレバーと、
保持体と起上台とを有し、前記起上台溝に着脱可能な起上台アタッチメントとを備え、
前記保持体は、
二分された前記傾斜面の前記第1内壁側および前記起上台溝の縁を覆うL字板形状の傾斜面板と、
前記傾斜面板の縁から立ち上がり前記第1内壁に沿って配置される第1板と、
前記傾斜面板の端部に接続されており、前記第2内壁に当接する第2板とを有し、
前記起上台は、前記第1板と前記第2板との間に回動可能に支持されており、前記レバーに連結するレバー連結部を有する
内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起上台アタッチメントおよび内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
前方斜視型の内視鏡に着脱可能な起上台アタッチメントが提案されている(特許文献1)。内視鏡検査の終了後に起上台アタッチメントを取り外すことにより、内視鏡の洗浄を容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/246532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の起上台アタッチメントは剛性が低いため、たとえば太い穿刺針等の剛性の高い処置具の使用には適さない。そのため、ユーザが選択できる処置具の仕様が限定される。
【0005】
一つの側面では、ユーザが種々の仕様の処置具を選択できる起上台アタッチメント等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
起上台アタッチメントは、保持体と起上台とを備え、内視鏡に着脱可能な起上台アタッチメントにおいて、前記内視鏡は、挿入部の長手方向に対して傾斜する傾斜面と、第1内壁および前記第1内壁に対向する第2内壁を有し前記傾斜面を二分する起上台溝と、前記起上台溝の内側に回動可能に設けられたレバーとを備えており、前記保持体は、二分された前記傾斜面の前記第1内壁側および前記起上台溝の縁を覆うL字板形状の傾斜面板と、前記傾斜面板の縁から立ち上がり前記第1内壁に沿って配置される第1板と、前記傾斜面板の端部に接続されており、前記第2内壁に当接する第2板とを有し、前記起上台は、前記第1板と前記第2板との間に回動可能に支持されており、前記レバーに連結するレバー連結部を有する。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、ユーザが種々の仕様の処置具を選択できる起上台アタッチメント等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】内視鏡の外観図である。
図2】起上台アタッチメントを取り付けた挿入部の先端の斜視図である。
図3】起上台アタッチメントと、起上台アタッチメントを取り外した挿入部の先端との斜視図である。
図4】起上台アタッチメントの斜視図である。
図5図4のV方向による起上台アタッチメントの矢視図である。
図6】起上台アタッチメントを取り付けた挿入部の正面図である。
図7図6のVII方向による挿入部の矢視図である。
図8図6のVIII方向による挿入部の矢視図である。
図9図6のIX-IX線による挿入部の部分断面図である。
図10】起上台の動作を説明する説明図である。
図11図7のXI-XI線による挿入部の部分断面図である。
図12図8のXII-XII線による挿入部の部分断面図である。
図13】起上台アタッチメントを取り外した挿入部の正面図である。
図14図13のXIV方向による、起上台アタッチメントを取り外した挿入部の矢視図である。
図15】保持体の斜視図である。
図16】保持体の斜視図である。
図17図16のXVII方向による保持体の矢視図である。
図18図16のXVIII方向による保持体の矢視図である。
図19図18のXIX-XIX線による保持体の断面図である。
図20】起上台の斜視図である。
図21図20のXXI方向による起上台の矢視図である。
図22図21のXXII方向による起上台の矢視図である。
図23】起上台アタッチメントの組立方法を説明する説明図である。
図24】起上台アタッチメントの組立方法を説明する説明図である。
図25図5のXXIV-XXIV線による起上台アタッチメントの断面図である。
図26】起上台の回動範囲を説明する説明図である。
図27】起上台アタッチメントの供給形態を説明する説明図である。
図28】起上台アタッチメントの第1治具への取付方法を説明する説明図である。
図29図28のXXIX-XXIX線による断面図である。
図30】起上台アタッチメントの第1治具への取付方法を説明する説明図である。
図31】起上台アタッチメントの第1治具への取付方法を説明する説明図である。
図32】起上台アタッチメントの内視鏡への取付方法を説明する説明図である。
図33】起上台アタッチメントの内視鏡への取付方法を説明する説明図である。
図34図32のXXXIV-XXXIV線による断面図である。
図35】起上台アタッチメントの内視鏡への取付方法を説明する説明図である。
図36】起上台アタッチメントの内視鏡への取付方法を説明する説明図である。
図37図36のXXXVII-XXXVII線による断面図である。
図38図37のXXXVIII-XXXVIII線による断面図である。
図39】起上台アタッチメントの内視鏡への取付方法を説明する説明図である。
図40】起上台アタッチメントを内視鏡から取り外す方法を説明する説明図である。
図41図40のXLI-XLI線による断面図である。
図42】起上台アタッチメントを内視鏡から引き抜く途中の状態を説明する説明図である。
図43】起上台アタッチメントを内視鏡から引き抜く途中の状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は、内視鏡10の外観図である。本実施の形態の内視鏡10は、先端にコンベックス型の超音波プローブ61を有する超音波内視鏡である。
【0010】
内視鏡10は、操作部20および挿入部30を有する。操作部20は、起上操作レバー21、チャンネル入口22、送水ボタン25および、2個の湾曲ノブ23を有する。操作部20は、第1チューブ18および第1コネクタ16を介して、図示しないビデオプロセッサ、光源装置および表示装置等に接続される。操作部20は、第1コネクタ16から延びる第2チューブ19および第2コネクタ17を介して、図示しない超音波診断装置にも接続される。
【0011】
挿入部30は、一端が操作部20に接続された長尺の軟性部12を有する。超音波プローブ61は、軟性部12の他端に湾曲部13および先端枠52を介して連結されている。湾曲部13は、軟性部12の内部に挿通された湾曲ワイヤを介して湾曲ノブ23と連結されており、湾曲ノブ23の操作に応じて湾曲する。
【0012】
チャンネル入口22と先端枠52との間は、管状のチャンネル34により連結されている。先端枠52の内部には、光学像による観察を行なう際に使用する照明光学系および観察光学系等が組み込まれる。先端枠52の構成の詳細については後述する。
【0013】
内視鏡10は、挿入部30をたとえば被験者の口から消化管に挿入して、光学像による観察、超音波による観察および各種処置を行なう際に使用される。以後の説明では、挿入部30の長手方向を挿入方向と記載する。同様に、挿入方向に沿って操作部20に近い側を操作部側、操作部20から遠い側を先端側と記載する。
【0014】
図2は、起上台アタッチメント90を取り付けた挿入部30の先端の斜視図である。起上台アタッチメント90の構成については、後述する。超音波プローブ61は、凸型の超音波送受波面63を有する、いわゆるコンベックス型である。超音波プローブ61は、超音波送受波面63よりも操作部側に、挿入方向に対して垂直に設けられた2本のバルーン給排水溝64を有する。
【0015】
先端枠52は略円筒形であり、先端側に軸方向に対して傾斜した第2傾斜面552を有する。挿入方向に対して、超音波送受波面63と、第2傾斜面552とは同じ側に設けられている。第2傾斜面552に、観察窓36、照明窓37およびノズル38が配置されている。内視鏡10は、挿入方向に対して斜め前方を照明して観察する、いわゆる前方斜視型である。
【0016】
先端枠52の先端側の外周に、バルーン固定溝53が周設されている。バルーン固定溝53には、超音波プローブ61を覆う袋状のバルーン98(図8参照)が取り付けられる。ユーザは、送水ボタン25を操作してバルーン給排水溝64からバルーン98の内部に水を給排水することにより、バルーン98の大きさを適宜調整できる。
【0017】
図3は、起上台アタッチメント90と、起上台アタッチメント90を取り外した挿入部30の先端との斜視図である。図2および図3に示すように、起上台アタッチメント90は挿入部30の先端に着脱可能である。図3を使用して、内視鏡10の先端部の構成の概要を説明する。
【0018】
先端枠52は、先端側から操作部側に向けて延びる略U字溝形状型の起上台溝56により、長手方向に対して左右に二分されている。起上台溝56の操作部側の端部に、チャンネル34が開口している。起上台溝56は、前述の第2傾斜面552に連続する第2内壁562と、第2内壁562に対向する第1内壁561とを有する。第1内壁561に、第1傾斜面551および第3傾斜面553が連続している。
【0019】
第1傾斜面551は、第2傾斜面552と略平行であり、第2傾斜面552よりも操作部側に位置する。第3傾斜面553は、第1傾斜面551および第2傾斜面552と略平行であり、第1傾斜面551よりもさらに操作部側に位置する。以後の説明では、第1傾斜面551と第2傾斜面552と第3傾斜面553とを合わせて、傾斜面55と記載する場合がある。起上台溝56は、傾斜面55に開口している。
【0020】
図4は、起上台アタッチメント90の斜視図である。図4は、図3において内視鏡10側から起上台アタッチメント90を見た図である。起上台アタッチメント90は、保持体70および起上台80を含む。起上台80は、保持体70に対して回動可能である。
【0021】
図5は、図4のV方向による起上台アタッチメント90の矢視図である。ただし、図3および図4においては起上台80は起上した状態であり、図5においては起上台80は倒置した状態である。図3から図5を使用して、起上台アタッチメント90の構成の概要を説明する。
【0022】
起上台80は、一面にスプーン状の窪み部84が設けられた起上部83を有する。起上部83の、窪み部84から離れた端部に、二方に開口する溝状のレバー連結部81が設けられている。起上台80の構成の詳細は後述する。
【0023】
保持体70は、傾斜面板75、第1板71、第2板72、第3板73および連結板74を含む。傾斜面板75は、略直角三角形の直角を構成する一辺の直角側の端部に長方形部分が接続されて、全体が平面視で略L字型を構成するL字板形状である。
【0024】
第1板71は、傾斜面板75の長方形部分が接続された辺のうち、長方形部分が接続されていない部分から略垂直に突出する長方形板である。第1板71の先端には、略直角三角形部分側を向いた第2係合爪711が設けられている。
【0025】
第2板72は、略五角形板である。第2板72の第1辺721(図17参照)と、第2辺722(図17参照)とは略直交している。傾斜面板75の長方形部分の端部は、第1辺721と第2辺722とにより挟まれた角部に接続されている。
【0026】
第1板71と第2板72とは、略平行である。第2板72の第1板71に対向する面には、第2板凹部726が設けられている。第2板72の第2板凹部726とは反対側の面から、係合突起727が突出している。係合突起727は、図5における右側の部分が平面になっている。起上台80は、第2板72に回動可能に支持されている。起上台80を支持する部分の構成も含めて、第2板72の形状の詳細については後述する。
【0027】
第3板73は、傾斜面板75の略直角三角形の部分から、第1板71と同じ側に突出する略L字板である。第3板73は、第1板71に対向する外装板735と、外装板735の端部から第1板71に向けて延びる内部板736とを備え、略L字形断面を有する。外装板735は、傾斜面板75の略直角三角形の部分のうち、斜辺の縁から立ち上がり、なだらかに曲がっている。図4に示すように、外装板735の内部板736が接続されていない側の角部は、略矩形に切り欠かれている。
【0028】
連結板74は、平面視で一段の階段形状を有する多角形板である。連結板74は、第2板72の第1辺721と、傾斜面板75の長方形部分を含む側の縁と、外装板735の略矩形に切り欠かれた部分の縁とを連結する。連結板74は、第2板72と傾斜面板75と、外装板735のいずれに対しても略垂直である。第2板72に平行な面で傾斜面板75と連結板74とを切断した場合、図25に示すように断面形状は略L字型である。
【0029】
図2に示すように起上台アタッチメント90を先端枠52に取り付けた場合に、外装板735は先端枠52の表面になだらかに連続する。同じく図2に示すように、傾斜面板75の表面は、第2傾斜面552と略同一面状である。すなわち、第1傾斜面551および第3傾斜面553は、傾斜面板75の厚さの分、第2傾斜面552よりも操作部側に配置されている。
【0030】
図6は、起上台アタッチメント90を取り付けた挿入部30の正面図である。図7は、図6のVII方向による挿入部30の矢視図である。図8は、図6のVIII方向による挿入部30の矢視図である。図9は、図6のIX-IX線による挿入部30の部分断面図である。図10は、起上台80の動作を説明する説明図である。図11は、図7のXI-XI線による挿入部30の部分断面図である。図12は、図8のXII-XII線による挿入部30の部分断面図である。
【0031】
図13は、起上台アタッチメント90を取り外した挿入部30の正面図である。図14は、図13のXIV方向による、起上台アタッチメント90を取り外した挿入部30の矢視図である。図9から図12の断面図において、先端枠52、超音波プローブ61および、湾曲部13の内部構造については、図示を省略する。
【0032】
図13に示すように、第1内壁561は操作部側に向けて第2内壁562に近付く階段状になっている。図3および図13に示すように、第1内壁561の、第2内壁562に近い部分から第2内壁562に向けて、角柱状のレバー54が突出している。レバー54は、起上台溝56の内側に配置されている。レバー54は、ユーザによる起上操作レバー21の操作に連動して回動する。レバー54の回動軸は、レバー54の内部を通り、挿入方向に対して略垂直である。レバー54を起上操作レバー21と連動して動作させる構造は、従来から使用されているため説明を省略する。
【0033】
起上台アタッチメント90を挿入部30に取り付けた場合、図9に示すように、レバー54と起上台80に設けられたレバー連結部81とが係合する。レバー54が回動することにより、図10に示すように起上台80が回動する。ユーザは、起上操作レバー21を操作することにより、起上台80を回動させて、チャンネル34を介して先端側に突出させた処置具の向きを調整できる。
【0034】
図11に示すように、起上部83は、第1板71と第2板72との間隔と略同一の幅を有する。そのため、チャンネル34から突出した処置具は、起上部83と第1板71との間、または、起上部83と第2板72との間に落ち込まない。
【0035】
図3図6図7図11および図13に示すように、第2内壁562に対して略垂直な溝状の係合凹部57が、先端枠52の周面に設けられている。係合凹部57は、直線状である。
【0036】
図3および図14に示すように、第1内壁561に対して略垂直な保持溝58が、第1傾斜面551と第3傾斜面553との間に設けられている。保持溝58は、第1傾斜面551および第3傾斜面553側に縦棒を向け、第1傾斜面551および第3傾斜面553と略平行に横棒を配置した、T字型断面の溝である。T字型の縦棒の部分と横棒の部分との境界に、略直角の第1係合爪581が2個、互いに対向して形成されている。
【0037】
図12に示すように、第1係合爪581と第2係合爪711とが係合して、先端枠52に保持体70が固定されている。保持溝58の底において、第1内壁561は第2内壁562側に近付く一段の段差部582を有する。第1板71の先端と、保持溝58の底とは突き当て状態、または、僅かの隙間を有する状態である。
【0038】
図示を省略するが、図12に示す第1係合爪581に対向する他方の第1係合爪581も、第2係合爪711と係合する。第1板71の第2板72に対向する面と、第1内壁561とは、略同一平面上である。
【0039】
図6図7および図11に示すように、係合突起727が係合凹部57と係合する。係合突起727は、係合凹部57の先端側の面に押し付けられた状態で係合し、摩擦力により先端枠52に保持体70を固定する。以上に説明したように、先端枠52と保持体70とは、第2係合爪711の2箇所と、係合凹部57の合計三箇所で係合する。
【0040】
図15および図16は、保持体70の斜視図である。図17は、図16のXVII方向による保持体70の矢視図である。図18は、図16のXVIII方向による保持体70の矢視図である。図19は、図18のXIX-XIX線による保持体70の断面図である。図15から図19を使用して、保持体70の構成を説明する。
【0041】
前述のとおり保持体70は、傾斜面板75、第1板71、第2板72、第3板73および連結板74を含む。傾斜面板75は、略直角三角形の直角を構成する一辺の直角側の端部に長方形部分が接続されて、全体が平面視で略L字型を構成する平板形状である。
【0042】
傾斜面板75の略直角三角形の部分には、第1板71から外装板735に向かう向きに縦棒部分を配置し、第1板71と平行に横棒部分を配置したT型孔77が設けられている。T型孔77は、傾斜面板75を貫通する貫通孔である。T型孔77の横棒部分の縁は、第1板71の外装板735側の面と同一面である。したがって、傾斜面板75の表面の一部分は、第1板71の端面でもある。
【0043】
図17に示すように第2板72は、前述の第1辺721、第2辺722に加えて、第3辺723、第4辺724および第5辺725を有する。第3辺723と第4辺724とは略垂直である。同様に、第4辺724と第5辺725とも略垂直である。第4辺724と第5辺725とにより形成される角部には面取りが施されている。前述の係合突起727は、第3辺723の近傍の第4辺724寄りに配置されている。係合突起727の平面状の部分は、第4辺724とは反対側に配置されている。
【0044】
第5辺725近傍の第4辺724寄りに、起上台取付孔76が設けられている。起上台取付孔76は、丸孔の一箇所に略U字形のキー溝761が設けられた形状である。キー溝761は、丸孔部分の第4辺724側の縁に設けられている。起上台取付孔76の縁のうち、キー溝761から反時計回りに約120度程度の範囲には、第1板71と対向しない側の表面から一段くぼんだキー保持部762が設けられている。
【0045】
前述の第2板凹部726は、図15および図18に示すように第2辺722と第3辺723とに挟まれた頂点付近に設けられている。第2板凹部726の形状および機能については、後述する。
【0046】
図18および図19に示すように、第1板71と第3板73とが、傾斜面板75から突出する長さは略同一である。第1板71は、第2板72および第3板73に比べて薄い板である。
【0047】
図19に示す通り連結板74は、平面視で一段の階段形状を有する多角形板である。なお階段状の段差部は、第1板71の背面に隠れている。以後の説明においては、連結板74の辺のうち、傾斜面板75と連結する辺を連結板74の第1辺と記載する。図18において連結板74の第1辺は紙面に垂直である。図19において連結板74の第1辺の左側に位置する連結板74の第2辺は、第2板72の第1辺721に連結している。
【0048】
図19において連結板74の第1辺の右側に位置する連結板74の第3辺は、第1辺に比べて短くなっており、外装板735の傾斜面板75から立ち上がる辺に連続している。
【0049】
図18に示すように、第1板71の連結板74側の端面と、連結板74との間には隙間が設けられている。これにより、後述する第1板71の弾性変形が、連結板74により妨げられない。連結板74が、第2板72、傾斜面板75および外装板735とそれぞれ連結されているため、保持体70の連結板74付近の剛性は高く、外力が加えられても変形しにくい。
【0050】
さらに略L字形断面を有する第3板73が傾斜面板75から突出しているため、T型孔77が設けられているにもかかわらず傾斜面板75の略直角三角形部分の剛性も高く、外力が加えられても変形しにくい。保持体70は、たとえば射出成型等の手法を用いて一体構造に形成されている。
【0051】
図20は、起上台80の斜視図である。図21は、図20のXXI方向による起上台80の矢視図である。図22は、図21のXXII方向による起上台80の矢視図である。図20から図22を使用して、起上台80の構成を説明する。
【0052】
起上台80は前述の起上部83に加えて、起上台軸82を有する。起上部83は略L字型であり、一面に窪み部84が設けられた第1起上部831と、第1起上部831の端から第1起上部831の窪み部84を有する面と同じ側に突出する第2起上部832とを有する。
【0053】
第1起上部831の窪み部84を有する面と、隣接する第2起上部832の一面とは、なだらかに連続している。図21における左側において、第1起上部831の表面と第2起上部832の表面とは、一つの平面である起上台側面87を形成している。
【0054】
前述のレバー連結部81は、第2起上部832の第1起上部831と連続している側とは反対側の端面、および、起上台側面87とは反対側の面との二方に開口する溝状である。レバー連結部81の内面は略直方体形状であり、隣接する2面が開口面になっている。
【0055】
起上台軸82は、起上台側面87の第2起上部832側の部分から突出する円柱形状である。起上台軸82の中心軸は、レバー連結部81を貫通する。起上台軸82の端部近傍の周面から一方向に、略長方形板状の軸止部85が突出している。軸止部85の突出方向は、レバー連結部81の対向する2つの内面に垂直であり、二つの内面のうち窪み部84に近い側を向いている。図21に示すように、軸止部85と起上台側面87との間の距離を、間隔Hと記載する。
【0056】
起上台側面87の第1起上部831側の部分のうち、窪み部84が設けられた面に近い位置から、略円柱形状のストッパ突起89が突出している。ストッパ突起89の突出高さは、間隔H未満である。
【0057】
図3図6および図12に戻って起上台アタッチメント90を内視鏡10に取り付けた場合の状態を説明する。傾斜面板75の略直角三角形の部分は第1傾斜面551および第3傾斜面553、すなわち起上台溝56により二分された傾斜面55のうちの、第1傾斜面551側を覆う。傾斜面板75の長方形部分は、傾斜面55の超音波プローブ61側の内縁を覆う。
【0058】
第2板72および第1板71は、起上台溝56の内側に収容される。第2板72は、第2内壁562に当接する。第2板72から突出する係合突起727は、係合凹部57と係合する。第2係合爪711の両端は、第1内壁561に設けられた2つの第1係合爪581とそれぞれ係合する。
【0059】
連結板74は、起上台溝56の超音波プローブ61側の内面に当接する。外装板735は、先端枠52の表面になだらかに連続する。レバー連結部81は、レバー54と係合する。以上により、起上台アタッチメント90は内視鏡10の先端に固定され、ユーザによる起上操作レバー21の操作に応じて、起上台80が回動する。
【0060】
図23および図24は、起上台アタッチメント90の組立方法を説明する説明図である。図25は、図5のXXV-XXV線による起上台アタッチメント90の断面図である。図26は、起上台80の回動範囲を説明する説明図である。
【0061】
図23に示すように、起上台取付孔76に設けられたキー溝761と、軸止部85との向きを合わせた状態で、起上台軸82が第3板73側から起上台取付孔76に挿入される。このとき、第2板72の第3板73側の面と、起上台側面87とが近接して対向する。ストッパ突起89は第2板72と干渉しない。
【0062】
キー保持部762が設けられた部分における第2板72の厚さは、図21を使用して説明した間隔H未満である。したがって、第2板72に起上台側面87が突き当たる状態まで起上台軸82を起上台取付孔76に挿入した場合、図24に示すように、起上台80は、起上台軸82を軸にして反時計回りに回動可能な状態になる。
【0063】
第2板72に設けられた第2板凹部726の深さは、間隔H以上である。起上台80を回動させながら、第2板72の角部を起上台80から離れる向きに弾性変形させることにより、図5および図25に示すようにストッパ突起89は第2板凹部726内に収容される。以上により、起上台アタッチメント90の組立が完了する。
【0064】
起上台80の回動可能範囲について説明する。図25における起上台80の位置は、図24に隠れ線で示す起上台80の位置と同一である。すなわち、軸止部85がキー保持部762の縁に突き当たり、図25における時計回りに回動できなくなる位置である。図26は、図25から反時計回りに起上台80を回動させた状態を示す。
【0065】
起上台80は、ストッパ突起89が第2板凹部726の縁に突き当たる位置まで、第2板72を変形させることなく回動可能である。すなわち、起上台80は第2板72を変形させることなく、図26に示す状態よりもさらに反時計回りに回動可能である。
【0066】
図25に示す状態の起上台アタッチメント90が内視鏡10に取り付けられている場合には、図10に示すように起上台80は倒置している。図26に示す状態の起上台アタッチメント90が内視鏡10に取り付けられている場合には、図9に示すように起上台80は起上している。
【0067】
ユーザが起上操作レバー21を起上方向に操作した場合、図9に示すようにレバー54とともに起上台80が回動する。起上台アタッチメント90が内視鏡10に取り付けられている場合、起上台アタッチメント90は第1内壁561と第2内壁562との間に挟まれているため、第2板72は弾性変形できない。したがって、ストッパ突起89が第2板凹部726の縁に突き当たった場合、起上台80は回動できなくなる。すなわち、第2板凹部726の第4辺724側の縁と、ストッパ突起89とは、起上台80の起上角度の上限側の回動範囲を規制するストッパの機能を果たす。
【0068】
同様に第2板凹部726の第1辺721側の縁と、キー保持部762の縁とは、いずれも起上台80の倒置角度の上限側の回動範囲を規制するストッパの機能を果たす。起上台アタッチメント90が内視鏡10に取り付けられた状態においては、図10に示すように先端枠52に設けられた起上台溝56の底部も起上台80の倒置角度の上限側の回動範囲を規制するストッパの機能を果たす。
【0069】
これらのストッパの機能を果たす構造により、たとえば湾曲部13の湾曲形状にかかわらず、起上台80が回動する範囲は所定の範囲に保たれる。
【0070】
起上台側面87および第2板72の起上台側面87と対向する部分は、平滑面であることが望ましい。このようにすることにより、起上台80を滑らかに回動させられる。
【0071】
図27は、起上台アタッチメント90の供給形態を説明する説明図である。起上台アタッチメント90は、第1治具91に取り付けられた状態で、1個ずつ滅菌パック等の個装材に封入され、電子線滅菌等の任意の滅菌手段により滅菌された状態で提供される。
【0072】
起上台アタッチメント90は、内視鏡10を使用する前に内視鏡10に取り付けられ、一人の患者の内視鏡検査が終了した後に、内視鏡10から取り外されて廃棄される、いわゆるシングルユース品である。第1治具91は、ユーザが起上台アタッチメント90を内視鏡10に取り付ける際に使用する取付治具の例示である。
【0073】
図28は、起上台アタッチメント90の第1治具91への取付方法を説明する説明図である。図29は、図28のXXIX-XXIX線による断面図である。なお、図28においては、起上台80の図示を省略する。
【0074】
図28および図29に示すように、第1治具91は柱状の把持部96を備える。把持部96の端面である第1当接部41から、第3保持突起443、弾性板43および第2保持突起442が、この順番で並んで突出している。
【0075】
弾性板43は、図28に示すように平面視で先細りの板状である。弾性板43の先端には、第3保持突起443側に突出する第1保持突起431が設けられている。図28に示すように、第1保持突起431は平面視で略三角形である。第1保持突起431の第1当接部41側の面は、第1当接部41と略平行である。第1保持突起431の第3保持突起443側の面は、斜面により先細りに形成されている。
【0076】
第2保持突起442は、平面視では弾性板43と略同一形状であり、弾性板43よりも厚い板状である。第2保持突起442の弾性板43に対向しない側は、斜面により先細りに形成されている。
【0077】
第3保持突起443は、板状である。第3保持突起443の弾性板43に対向しない側は、斜面により先細りに形成されている。第3保持突起443の弾性板43に対向する側は、一段の階段状に先細りに形成されている。第3保持突起443の先端と第1当接部41との間の距離は、第1保持突起431と第1当接部41との間の距離よりも短い。第1治具91は、たとえば射出成型等の手法を用いて一体構造に形成されている。
【0078】
図30および図31は、起上台アタッチメント90の第1治具91への取付方法を説明する説明図である。図29から図31を使用して、起上台アタッチメント90を第1治具91に取り付ける手順を説明する。
【0079】
起上台アタッチメント90は、起上台80を図26に示すように第4辺724側に回動した状態で保持される。なお、起上台80は図26に示す状態と、図25に示す状態との中間程度まで回動した状態で保持されてもよい。
【0080】
図29に示すように、起上台アタッチメント90の傾斜面板75側に、第1治具91の先端が近づけられる。第3保持突起443がT型孔77に、弾性板43および第2保持突起442が第1板71と第2板72との間にそれぞれ挿入される。第2保持突起442および第3保持突起443の先端に斜面が設けられて先細りになっているため、起上台アタッチメント90と第1治具91との位置合わせを厳密に行わなくても、スムーズな挿入が可能である。
【0081】
起上台80が、図26に示す状態と、図25に示す状態との中間程度まで回動した状態で保持されている場合であっても、弾性板43および第2保持突起442は起上台80と連結板74との間にスムーズに挿入される。起上台80は、弾性板43および第2保持突起442により押されて、図27に示す状態まで回動する。
【0082】
弾性板43および第2保持突起442は、ストッパ突起89が第2板凹部726の縁に突き当たる直前程度まで、起上台80を図26における反時計まわりに回動させるように構成されてもよい。
【0083】
図30に示すように、弾性板43は第2保持突起442側に向かって弾性変形する。図31は、第1当接部41が傾斜面板75に当接するまで第1治具91の先端を起上台アタッチメント90に挿入した状態を示す。第1保持突起431が第1板71よりも奥まで挿入されることにより、図31に示すように弾性板43は弾性復帰する。
【0084】
図31に示す状態では、第2係合爪711が第3保持突起443の階段状の部分に引っかかるため、起上台アタッチメント90は第1治具91から外れない。以上により、第1治具91への起上台アタッチメント90の取り付けが完了する。
【0085】
図27に戻って説明を続ける。弾性板43およびその背後に存在する第2保持突起442により、起上台80は図27に示す状態に固定される。レバー連結部81の向きは、把持部96の長手方向の向きと略同一である。
【0086】
図32および図33は、起上台アタッチメント90の内視鏡10への取付方法を説明する説明図である。図34は、図33のXXXIV-XXXIV線による断面図である。図35および図36は、起上台アタッチメント90の内視鏡10への取付方法を説明する説明図である。図37は、図36のXXXVII-XXXVII線による断面図である。図38は、図37のXXXVIII-XXXVIII線による断面図である。図39は、起上台アタッチメント90の内視鏡10への取付方法を説明する説明図である。
【0087】
図34図35図37および図39の断面図において、先端枠52の内部構造および超音波プローブ61の外観については図示を省略する。図38の断面図において、先端枠52、超音波プローブ61および、湾曲部13の内部構造については、図示を省略する。図33において、起上台80については図示を省略する。
【0088】
ユーザは、起上台アタッチメント90が取り付けられた第1治具91を個装材から取り出す。ユーザは、起上操作レバー21を操作して、起上台80を起上させる向きにレバー54を保持する。ユーザは把持部96を把持して、図32に示すように傾斜面55に対して略垂直な方向から起上台アタッチメント90を傾斜面55に近づける。
【0089】
図33および図34は、起上台アタッチメント90の一部分が起上台溝56に挿入された状態を示す。図34に示すように、第2板72と第2内壁562とを当接させた状態で、挿入が行われる。
【0090】
図35は、さらに起上台アタッチメント90が挿入された状態を示す。第1保持突起431が第1内壁561に押されることにより、弾性板43が第2保持突起442側に弾性変形している。第2係合爪711が第1係合爪581に押されることにより、第1板71が第2板72側に弾性変形している。ユーザは、さらに起上台アタッチメント90の挿入を続ける。
【0091】
図36から図38は、傾斜面板75と傾斜面55とが当接する位置まで起上台アタッチメント90が挿入された状態を示す。外装板735は、先端枠52の表面になだらかに連続する状態になっている。図37に示すように、第1板71は弾性復帰して、第2係合爪711と2つの第1係合爪581とが係合している。
【0092】
図38に示すように、レバー54がレバー連結部81の中に収容されて、レバー54と起上台80とが係合する。図示を省略するが、図36に示す状態に至る途中で、第2板72の端部が弾性変形および弾性復帰して、係合突起727と係合凹部57とが係合する。
【0093】
その後、ユーザは第1治具91を内視鏡10から引き抜く。図37に示すように、第1内壁561と第1板71とは略同一平面上であるため、弾性板43は弾性変形した状態のまま起上台アタッチメント90から引き抜かれる。図12に示すように、起上台アタッチメント90は第1治具91から外れて、内視鏡10側に残る。以上により、起上台アタッチメント90の内視鏡10への取り付けが完了する。
【0094】
第1治具91を使用することにより、ユーザは起上台アタッチメント90を内視鏡10に容易に取り付け可能である。起上台アタッチメント90に比べて第1治具91の方が大きいため、個装材からの取り出し等の取扱いも容易である。
【0095】
第1治具91を使用することにより、取付作業中に、起上台アタッチメント90および内視鏡10に無理な力が加わって、一方または双方が破損することを防止できる。取付作業中に、ユーザが着用している医療用手袋に孔が空くことも防止できる。
【0096】
図40は、起上台アタッチメント90を内視鏡10から取り外す方法を説明する説明図である。図41は、図40のXLI-XLI線による断面図である。図41の断面図において、先端枠52の内部構造および超音波プローブ61の外観については図示を省略する。
【0097】
図40は、図12と同じ断面において、第2治具92を起上台アタッチメント90に挿入した状態を示す。第2治具92は、ユーザが起上台アタッチメント90を内視鏡10から取り外す際に使用する取り外し治具の例示である。図40および図41を使用して、第2治具92の構成を説明する。
【0098】
第2治具92は柱状の把持部97を備える。把持部97の端面である第2当接部42から、第1突起451および第2突起452が突出している。図40に示すように、第1突起451は先端にテーパ面を有する先細り形状である。
【0099】
図41に示すように、第2突起452は、平面視で略三角形の板状である。図40に示すように、第2突起452の先端には第1突起451側に突出する第4保持突起454が設けられている。第4保持突起454の第2当接部42側の面は、第2当接部42と略平行である。第2突起452の第1突起451とは反対側の面は、斜面により先細りに形成されている。
【0100】
第1突起451の先端と第2当接部42との間の距離は、第4保持突起454と第2当接部42との間の距離よりも短い。第2治具92は、たとえば射出成型等の手法を用いて一体構造に形成されている。
【0101】
内視鏡検査の終了後、ユーザは、起上操作レバー21を操作して、起上台80を起上させる。ユーザは、把持部97を把持して、図40および図41に示すように第2突起452を第1板71と第2板72との間に、第1突起451をT型孔77に、それぞれ挿入する。
【0102】
まず、第4保持突起454が第1板71よりも奥側に到達する。その後、第1突起451により第2係合爪711が押圧されて、図40に示すように第1板71が第2板72側に向かって弾性変形し、第2係合爪711と第1係合爪581との係合が外れる。
【0103】
仮に、起上台80が図41に示す状態まで起上していない状態で起上台アタッチメント90の取り外し作業を開始した場合であっても、第4保持突起454は起上台80と連結板74との間にスムーズに挿入される。起上台80は、第4保持突起454により押されて、図41に示す状態まで回動する。
【0104】
ユーザは、第2治具92を内視鏡10から引き抜く。図42および図43は、起上台アタッチメント90を内視鏡10から引き抜く途中の状態を説明する説明図である。図42において、起上台80については図示を省略する。第1板71は、弾性変形した状態のまま第1突起451の先端に設けられたテーパ面と、第4保持突起454とに保持されて、把持部97と共に引き抜かれる。
【0105】
図41に示すように、把持部97の長手方向に起上台アタッチメント90を引き抜くことにより、レバー54と起上台80との係合も外れる。図示を省略するが、引き抜く途中で第2板72の端部が弾性変形および弾性復帰して、係合突起727と係合凹部57との係合も外れる。
【0106】
ユーザがさらに把持部97を引き抜くことにより、起上台アタッチメント90が内視鏡10から外れる。外れた後の起上台アタッチメント90は、第2治具92に保持されたままである。ユーザは、第2治具92と共に起上台アタッチメント90を廃棄する。取り外された起上台アタッチメント90は、第2治具92から分離しないため、起上台アタッチメント90を誤って再使用することを防止できる。
【0107】
第2治具92を使用することにより、起上台アタッチメント90を取り外す作業中に、ユーザが誤って内視鏡10を破損することを防止できる。取り外し作業中に、ユーザが着用している医療用手袋に孔が空くことも防止できる。
【0108】
第1治具91と第2治具92とは、一体に構成されていてもよい。たとえば図27を使用して説明した把持部96の他端側を、図40を使用して説明した把持部97にすることができる。ユーザは、起上台アタッチメント90の取り付けに使用した第1治具91の他端を使用して、起上台アタッチメント90を取り外せる。
【0109】
本実施の形態の内視鏡10の使用方法の概要を説明する。内視鏡10は、洗浄等を行った状態で保管されている。ユーザは、個装材から起上台アタッチメント90が取り付けられた第1治具91を取り出す。ユーザは、図32から図39を使用して説明した手順により、起上台アタッチメント90を内視鏡10に取り付ける。
【0110】
ユーザは、第1コネクタ16をビデオプロセッサ、光源装置および表示装置等に接続する。ユーザは第2コネクタ17を超音波診断装置に接続する。ユーザは、バルーン固定溝53にバルーン98を取り付ける。なお、バルーン98が取り付けられた後に、起上台アタッチメント90が取り付けられてもよい。
【0111】
ユーザは、挿入部30を検査対象者の口または肛門等から挿入する。観察窓36を介して撮影した映像を観察しながら、ユーザは挿入部30の先端を目的部位に誘導する。ユーザは、目的部位にバルーン98を介して超音波送受波面63を当て付けて、超音波画像診断を行なう。ユーザは、送水ボタン25を操作してバルーン98の大きさを適宜変更することにより、目的部位を超音波画像上の所望の位置に捉えることができる。
【0112】
ユーザは、チャンネル34を介してたとえば穿刺針等の処置具を先端枠52から突出させて使用する。ユーザは処置具の先端と病変部位等との位置関係を超音波画像で観察できる。ユーザは、起上操作レバー21を操作して起上台80を回動させること等により、所望の位置に処置具の先端を誘導する。
【0113】
必要な処置等を行った後に、ユーザは処置具をチャンネル34から抜去する。ユーザは内視鏡10を検査対象者から抜去して、検査または処置を終了する。ユーザは、図40から図43を使用して説明した手順により、起上台アタッチメント90を内視鏡10から取り外して、廃棄する。ユーザは、バルーン98を取り外して、廃棄する。なお、起上台アタッチメント90とバルーン98とは、どちらを先に取り外しても良い。
【0114】
ユーザは、起上台アタッチメント90およびバルーン98を外した後の内視鏡10に対して、次回の使用に備えて洗浄等の再処理を行なう。起上台アタッチメント90が取り外されているため、ユーザは洗浄作業を容易に行える。
【0115】
ところでユーザは、先端枠52および超音波プローブ61を所望の位置に誘導するために、軟性部12および湾曲部13を適宜屈曲させる。さらに、一般的に処置具は丸めた状態で輸送および保管されるため、曲がり癖が付いている場合がある。そのため、起上台80の長手方向に対して処置具が斜めに突出する場合がある。
【0116】
斜めに突出した処置具を起上台80により起上する場合、起上台軸82を起上台取付孔76に対して傾ける向きの応力が発生する。応力の向きおよび大きさは、内視鏡10の屈曲状態と、処置具の曲がり癖の状態と、処置具の硬さとの組み合わせにより様々であり、予想は困難である。ユーザが内視鏡10および処置具を操作した場合には、応力の向きおよび大きさが変化する場合がある。
【0117】
このように予測が困難で、変動しやすい応力が発生した場合、起上台アタッチメント90に歪みが生じ、たとえば起上台80が回動しにくくなる、または、起上台80が回動した際に処置具を超音波走査面から外れる方向に起上させてしまう等の現象が発生するおそれがある。このような現象が発生した場合、ユーザが所望の位置に処置具の先端を誘導することが難しくなる。
【0118】
剛性の高い処置具を使用する場合には、起上台80に加わる応力が大きいため、起上台アタッチメント90の歪みに起因する問題が顕在化しやすい。したがって、このような問題を避けるためには、使用する処置具の選択肢が制約される。
【0119】
しかしながら、本実施の形態の保持体70においては、前述の通り連結板74が、第2板72、傾斜面板75および外装板735とそれぞれ連結されている。そのため、起上台アタッチメント90の組立時に弾性変形が必要である係合突起727の近傍、および起上台アタッチメント90を内視鏡10に着脱する際に弾性変形が必要である第1板71に関しては、十分な弾性変形が可能であるが、それ以外の部分については剛性が高くなっている。
【0120】
したがって、本実施の形態によると、起上台アタッチメント90に歪みが生じにくく、歪みに起因する問題が生じにくい起上台アタッチメント90を提供できる。これにより、ユーザが選択可能な処置具の範囲が広くなり、治療の自由度が増加する。
【0121】
本実施の形態によると、内視鏡検査後に起上台アタッチメント90を取り外すことにより洗浄を容易に行なえる、超音波内視鏡等の前方斜視型の内視鏡10を提供できる。本実施の形態によると、起上台アタッチメント90は第1治具91に取り付けた状態で供給されるため、取付が容易である。
【0122】
本実施の形態によると、起上台アタッチメント90は第2治具92を使用して容易に取り外すことができる。第2治具92から起上台アタッチメント90が外れないため、起上台アタッチメント90を誤って再使用することを防止できる。
【0123】
起上台アタッチメント90の滅菌は、起上台アタッチメント90を使用する前に、個々の医療機関で実施されても良い。このようにする場合、個装材への封入が、医療機関で実施されても良い。図27から図31を使用して説明した、起上台アタッチメント90の第1治具91への取り付けが、医療機関で実施されても良い。
【0124】
なお、図2を使用して説明した観察光学系の構成は例示であり、照明窓37および照明窓37の数および配置は図2に示すものに限定しない。内視鏡10は、超音波プローブ61を備えない単なる前方斜視型であってもよい。
【0125】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
10 内視鏡
12 軟性部
13 湾曲部
16 第1コネクタ
17 第2コネクタ
18 第1チューブ
19 第2チューブ
20 操作部
21 起上操作レバー
22 チャンネル入口
23 湾曲ノブ
25 送水ボタン
30 挿入部
34 チャンネル
36 観察窓
37 照明窓
38 ノズル
41 第1当接部
42 第2当接部
43 弾性板
431 第1保持突起
442 第2保持突起
443 第3保持突起
451 第1突起
452 第2突起
454 第4保持突起
52 先端枠
53 バルーン固定溝
54 レバー
55 傾斜面
551 第1傾斜面
552 第2傾斜面
553 第3傾斜面
56 起上台溝
561 第1内壁
562 第2内壁
57 係合凹部
58 保持溝
581 第1係合爪
582 段差部
61 超音波プローブ
63 超音波送受波面
64 バルーン給排水溝
70 保持体
71 第1板
711 第2係合爪
72 第2板
721 第1辺
722 第2辺
723 第3辺
724 第4辺
725 第5辺
726 第2板凹部
727 係合突起
73 第3板
735 外装板
736 内部板
74 連結板
75 傾斜面板
76 起上台取付孔
761 キー溝
762 キー保持部
77 T型孔(貫通孔)
80 起上台
81 レバー連結部
82 起上台軸
83 起上部
831 第1起上部
832 第2起上部
84 窪み部
85 軸止部
87 起上台側面
89 ストッパ突起
90 起上台アタッチメント
91 第1治具
92 第2治具
96 把持部
97 把持部
98 バルーン
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